サスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ
【課題】本発明は、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記目的を達成する。
【解決手段】本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記目的を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハードディスクドライブ)に用いられる回路基板として、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装するサスペンション用基板が知られている。サスペンション用基板は、通常、金属支持基板(例えばSUS)、ベース絶縁層(例えばポリイミド樹脂)、配線用導体パターン(例えばCu)がこの順に積層された基本構造を有し、通常は、一方の先端に、素子を実装する素子実装領域を備え、他方の先端に、外部回路基板と接続を行う外部接続端子領域を備える。
【0003】
このような外部回路基板と外部接続端子領域における外部接続端子との接続方法としては、リワーク性を有しかつ容易に接続可能であることからはんだ接続が用いられている。
しかしながら、近年のHDDの高密度化により、追加機能の要求が高まっており、それに対応した信号線・端子数の増加が求められている。特にはんだ接続の場合、その外部接続端子の増加に伴い外部接続端子間隔が狭くなり、隣接する外部接続端子がはんだにより短絡されてしまうはんだブリッジが発生するといった問題があった。
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、外部接続端子をベース絶縁層に設けた凹部に配置し、さらに、外部接続端子間に配線用カバー絶縁層を形成する方法が開示されている。このような方法によれば、外部接続端子表面より、上記外部接続端子間に形成された配線用カバー絶縁層の高さを高いものとすることができ、この配線用カバー絶縁層を土手として用いることができる。その結果、はんだが隣接する外部接続端子側に流れ込むことを防ぐことができ、はんだブリッジの発生を防止することが可能となる。
しかしながら、このような方法では、外部接続端子が配線用カバー絶縁層表面より低い位置に配置される結果、上記外部接続端子と外部回路基板との距離が遠くなり、はんだ接続が困難となるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−16699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0007】
本発明によれば、上記外部接続端子間に、上記外部接続端子の高さよりも高さが高い隔壁が形成されることにより、はんだ接続時にはんだブリッジの形成を防止ができ、短絡を防止することができる。
【0008】
本発明においては、上記ベース絶縁層が、上記外部接続端子および隔壁の間に上記金属支持基板が露出しないように形成された溝部を有することが好ましい。上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止することができるからである。
【0009】
本発明においては、上記隔壁用導体パターンが、上記金属支持基板と接続されていることが好ましい。ノイズの少ないものとすることができるからである。
【0010】
本発明は、サスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0011】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、接続安定性に優れたサスペンションとすることができる。
【0012】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0013】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、接続安定性に優れた素子付サスペンションとすることができる。
【0014】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、安定性に優れたハードディスクドライブとすることができる。
【0016】
本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0017】
本発明によれば、上記積層体を用いることにより、上記隔壁を構成する隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を他の部材の形成と同時に形成することができる。このため、上記隔壁を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板を提供できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】従来のサスペンション用基板と本発明のサスペンション用基板とを比較する説明図である。
【図5】従来のサスペンション用基板の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明における外部接続端子領域の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図8】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図9】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図11】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図12】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図13】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【図14】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図15】本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図16】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、サスペンション用基板、それを用いたサスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ、ならびにその製造方法に関するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
【0021】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【0022】
このような本発明のサスペンション用基板について図を参照して説明する。図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、図1のB−B線断面図である。図1〜図3に例示するように、本発明のサスペンション用基板10は、金属支持基板1と、上記金属支持基板1上に形成されたベース絶縁層2と、上記ベース絶縁層2上に形成された配線用導体パターン3と、上記ベース絶縁層2上に形成され、上記配線用導体パターン3に接続された外部接続端子4と、上記配線用導体パターン3を覆い、かつ、上記外部接続端子4を露出する開口部15を有する配線用カバー絶縁層5と、上記ベース絶縁層2上の上記外部接続端子4間に形成された隔壁用導体パターン6および上記隔壁用導体パターン6を覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層7を含む隔壁8と、を有し、上記隔壁8の高さが、上記外部接続端子4の高さよりも高いものである。
また、この例においては、上記隔壁用導体パターン6がビア9を介して金属支持基板1と電気的に接続されているものであり、上記外部回路基板接触領域13(一点破線で囲まれる領域)において、上記外部接続端子領域における外部接続端子と接続される外部回路基板が接触するものである。
【0023】
本発明によれば、上記外部接続端子間に、上記外部接続端子の高さよりも高さが高い隔壁が形成されることにより、はんだ接続時に隣接する外部接続端子間を短絡するはんだブリッジの形成を防止できる。
また、上記隔壁用カバー絶縁層が、通常、はんだとの親和性が低い絶縁性樹脂を用いて形成されるため、このような隔壁用カバー絶縁層で覆われた隔壁を用いることにより、はんだの流動を効果的に防止できる。また、その結果、はんだブリッジの形成を効果的に防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、上述のようにベース絶縁層に上記外部接続端子を配置するための凹部を形成することなく、高さの高い隔壁を有することができるため、図4(b)に例示するように、上記外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離を短いものとすることができる。このため、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hを広いものとすることができ、安定的にはんだ接続したものとすることができる。すなわち、上記外部接続端子間に高さの高い隔壁を有し、かつ、安定的にはんだ接続することができるのである。
これに対して、外部接続端子領域の上記ベース絶縁層に形成された凹部に配置された外部接続端子を有することにより、隣接する上記外部接続端子間に形成された配線用カバー絶縁層を上記外部接続端子よりも高さが高い隔壁として用いる上述の特許文献1に示されるサスペンション用基板では、図4(a)に例示するように、上記外部接続端子4が、上記配線用カバー絶縁層5よりも低い位置に配置されることになる。これにより、絶縁性基板22および外部回路基板側接続端子24を有する外部回路基板20の外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離が長いものとなる。このため、上記外部回路基板側接続端子24と上記外部接続端子4とをはんだ接続した場合には、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hが狭いものとなり、接続信頼性が低下する可能性がある。
なお、図4中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0025】
さらに、上記配線用導体パターンおよび外部接続端子の形成と同時に上記隔壁用導体パターンを同時に形成し、上記配線用カバー絶縁層との形成と同時に上記隔壁用カバー絶縁層を同時に形成し、隔壁とすることができるため、上記隔壁を有するサスペンション用基板を容易に形成可能なものとすることができる。
【0026】
またさらに、本発明における隔壁は、上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を用いるものであるため、厚みの厚い隔壁用カバー絶縁層が不要となる。このため、上述のように上記隔壁用カバー絶縁層を上記配線用カバー絶縁層と同時に形成する場合であっても、上記配線用カバー絶縁層の厚みを厚いものとなることを防ぐことができる。よって、既に説明した図4(b)に示すように、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hを広いものとすることができ、また、反り等の少ないものとすることができる。
これに対して、図5に例示するように、上記配線用カバー絶縁層5のみからなる隔壁を上記外部接続端子4間に有するサスペンション用基板の場合、上記隔壁の高さを十分な高さを有するものとするためには、上記配線用カバー絶縁層5の厚みを厚いものとする必要がある。その結果、上記外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離が長いものとなる。これにより、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hが狭いものとなり、接続信頼性が低下する可能性がある。また、上記配線用カバー絶縁層5の厚みが厚いものとなることにより、上記サスペンション用基板に反りが生じたり、サスペンション用基板の柔軟性が低下しハードディスクドライブに用いた際にディスク上で安定な飛行姿勢を保つことができなくなる可能性がある。
なお、図5中の符号については、図4のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、ベース絶縁層、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁を少なくとも有するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板の各構成について詳細に説明する。
【0028】
1.隔壁
本発明に用いられる隔壁は、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものであり、その高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いものである。
【0029】
このような隔壁の高さとしては、上記外部接続端子の高さよりも高いものであれば特に限定されるものではないが、上記外部接続端子よりも、2m以上高いものであることが好ましく、なかでも、4μm以上高いものであることが好ましく、特に、10μm以上高いものであることが好ましい。上記はんだブリッジの形成を効果的に防止することができるからである。なお、上記隔壁の高さは高いほどはんだブリッジの形成抑制に効果を発揮するが、上記外部回路基板との接続時に障害とならない程度の高さであることが好ましく、通常、上記外部接続端子からの高さが30μm以下であることが好ましい。
【0030】
(1)隔壁用導体パターン
本発明において隔壁を構成する隔壁用導体パターンは、上記ベース絶縁層上であって、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものである。
【0031】
本発明における隔壁用導体パターンの形成位置としては、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものであれば特に限定されるものではなく、既に説明した図1に示すように、上記外部接続端子領域における外部接続端子間にのみ形成されるものであっても良く、上記外部接続端子領域の周囲にも形成されるものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記外部回路基板と接触する領域以外に形成されるものであることが好ましい。上記隔壁用導体パターンの形成位置が上述の位置であることにより、上記外部接続端子間に隔壁を有し、かつ、上記外部回路基板の外部回路基板側接続端子から上記外部接続端子までの距離を短いものとすることができ、上記外部接続端子領域における上記外部接続端子および外部回路基板等のはんだ接続をより安定的にすることができるからである。
【0032】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における形成位置としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記外部接続端子間における隔壁の形成数が一つである場合には、上記隔壁用導体パターンが上記外部接続端子間の中央に形成されることが好ましい。
【0033】
また、本発明における隔壁用導体パターンは、上記外部接続端子間に形成されるものであり、通常、上記外部接続端子と接触しないように形成されるものであるが、隣接する2つの上記外部接続端子の両方と接続しないものであり、かつ、上記隔壁用導体パターンが上記金属支持基板と接続されていないものである場合には、上記隔壁用導体パターンと接触するものであっても良い。
【0034】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における平面視上の形状としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、既に説明した図1に示すような直線状、図6に例示するような破線状、図7に示すような曲線状とすることができる。本発明においては、なかでも、直線状であることが好ましく、特に上記外部接続端子と平行であることが好ましい。上記はんだブリッジの形成を安定的に防止することができるからである。
また、本発明における隔壁の平面視上の形状は、既に説明した図1に示すように一定の幅である一定形状であっても良く、図8に例示するように、狭い箇所や太い箇所を有する不定形状であっても良い。
なお、図6〜8中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0035】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における形成数としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、少なくとも一つあればよいが、図9や図10に例示するように、上記外部接続端子4間に複数形成されるものであっても良い。
なお、図9および図10中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0036】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における幅としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、10μm〜210μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、10μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記隔壁用導体パターンの幅が上述した範囲内であることにより、上記はんだブリッジの形成を安定的に防止することができるからである。
なお、上記隔壁用導体パターンが上記外部接続端子間に複数形成される場合には、全ての隔壁を含む幅をいうものであり、具体的には、既に説明した図9および図10に示すように、全ての隔壁用導体パターン6を含む幅Lをいうものである
【0037】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における配線方向の長さとしては、上記はんだブリッジの形成を防止でき、上記外部回路基板との接続を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、既に説明した図1に例示するように、特に、上記外部回路基板が接触しない領域側に上記外部接続端子より長いことが好ましい。上記外部接続端子4よりも長く形成されることにより、上記はんだブリッジの形成をより安定的に防止することができるからである。
本発明においては、なかでも、上記外部接続端子の端よりも、150μm以上長いことが好ましく、特に、200μm以上長いことが好ましい。より安定的にはんだブリッジの形成を防止できるからである。
【0038】
本発明における隔壁用導体パターンの厚さとしては、上記隔壁の高さを上記外部接続端子よりも高いものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば5μm〜18μmの範囲内とすることができ、なかでも9μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0039】
本発明における隔壁用導体パターンの材料としては、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。
【0040】
本発明における隔壁用導体パターンは、後述するようなメッキ部により被覆されるものであっても良い。
【0041】
本発明における隔壁用導体パターンは、上記金属支持基板と接続されていることが好ましい。上記隔壁用導体パターンが電気的に接続されることにより、ノイズの少ないものとすることができるからである。
本発明において、上記隔壁用導体パターンおよび上記金属支持基板の接続としては、上記隔壁用導体パターンおよび金属支持基板が電気的に接続されたものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ビア接続により接続されたものとすることができる。
また、このような接続箇所としては、上記配線用導体パターンや外部接続端子等と短絡を生じない箇所であれば特に限定されるものではなく、例えば、既に説明した図1に示すような、上記外部接続端子領域の近傍に形成することができる。
本発明においては、なかでも、上記配線用導体パターンおよび外部接続端子から400μm以上離れた箇所に形成されることが好ましい。上記配線用導体パターンや外部接続端子と短絡を安定的に防止できるからである。
【0042】
上記隔壁用導体パターンの形成方法としては、例えば、電解めっき法および無電解めっき法等のめっき法、ならびにスパッタリング法を用いたアディティブ法を用いる方法を挙げることができる。また、上記金属支持基板、絶縁層および配線層からなる積層体を用いたサブトラクト法を用いる方法を挙げることができる。
【0043】
(2)隔壁用カバー絶縁層
本発明に用いられる隔壁用カバー絶縁層は、上記隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものである。
【0044】
本発明における隔壁用カバー絶縁層のパターンとしては、上記隔壁用導体パターンが露出しないように覆うことができるものであれば特に限定されるものではない。
このような隔壁用カバー絶縁層の上記隔壁用導体パターンの幅方向のパターンとしては、例えば、上記隔壁用導体パターンが複数形成される場合には、既に説明した図9に示すように、個々の隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものであっても良く、既に説明した図10に示すように、上記隔壁用導体パターンの全てを一体として覆うように形成されるものであっても良い。
また、上記隔壁用カバー絶縁層の上記隔壁用導体パターンの配線方向のパターンとしては、例えば、既に説明した図6に示すように、配線方向に複数の上記隔壁用導体パターンを有する場合には、通常、図11に例示するように、上記隔壁用導体パターン6全てを一体となるように覆うように形成されるものである。
なお、図11中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0045】
また、本発明における隔壁用カバー絶縁層は、上記隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものであれば特に限定されるものではなく、通常、上記外部接続端子と接触しないように形成されるものであるが、上記外部接続端子が上記外部回路基板との接触を妨げない範囲において、上記外部接続端子と接触するものであっても良い。
【0046】
本発明における隔壁用カバー絶縁層の厚さとしては、上記隔壁の高さを上記外部接続端子よりも高いものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。上記隔壁用カバー絶縁層の厚さが上記範囲より薄い場合には、上記隔壁を十分な高さを有するものとすることが困難となるからである。また、上記範囲より厚い場合には、上記隔壁用カバー絶縁層の形成方法として上記配線用カバー絶縁層と同時に形成する方法を用いた場合に上記配線用カバー絶縁層の厚みも厚いものとなり、反り等の不具合を生じる可能性があるからである。
【0047】
このような隔壁用カバー絶縁層の材料としては、通常、例えばポリイミド樹脂(PI)等の絶縁性樹脂を挙げることができる。また、上記隔壁用カバー絶縁層の材料は、感光性材料であっても良いが、非感光性材料であることが好ましい。材料選択の幅を広いものとすることができるからである。また、非感光性材料は吸湿膨張係数が低く、反り等の発生の少ないものとすることができるからである。
【0048】
本発明に用いられる隔壁用カバー絶縁層の形成方法としては、上記隔壁用導体パターンを安定的に被覆できるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0049】
2.金属支持基板
本発明に用いられる金属支持基板は、上記ベース絶縁層、配線用導電パターンおよび隔壁を支持するものである。
このような金属支持基板の材料としては、特に限定されるものではないが、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的には、SUS等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる金属支持基板の厚さとしては、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内とすることができる。
【0050】
3.ベース絶縁層
本発明に用いられるベース絶縁層は、上記金属支持基板上に形成される層である。
【0051】
このようなベース絶縁層の材料としては、上記金属支持基板と上記配線用導体パターンおよび外部接続端子との短絡を防止することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記「1.隔壁」の「(2)隔壁用カバー絶縁層」に記載の内容と同様とすることができる。
【0052】
また、上記ベース絶縁層の厚さとしては、上記金属支持基板と上記配線用導体パターンおよび外部接続端子との短絡を防止することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、5μm〜10μmの範囲内とすることができる。
【0053】
本発明におけるベース絶縁層の表面形状としては、表面が平坦なものであっても良いが、図12に例示するように、上記外部接続端子領域内の上記外部接続端子および隔壁の間に上記金属支持基板が露出しないように形成された溝部12を有することが好ましい。上記ベース絶縁層の溝部の底から隔壁までの高さが高いものとなることにより、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止することができるからである。
また、このような溝部の深さとしては、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止できることから、深いほど好ましい。
本発明においては、上記ベース絶縁層の溝部における厚さが、1μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、2μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、特に、5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。上記厚さが上述の範囲内であることにより、上記金属支持基板および外部接続端子の短絡を安定的に防止することができるからである。
なお、図12中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0054】
また、本発明における溝部の幅としては、上記外部接続端子および隔壁の間に形成することができる程度の幅であれば特に限定されるものではないが、20μm以上であることが好ましく、なかでも、50μm以上であることが好ましく、特に、上記外部接続端子および隔壁の間隔であることが好ましい。上記幅が上述の範囲であることにより、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止できるからである。また、上記隔壁および外部接続端子をマスクにしてベース絶縁層をエッチングすることにより、容易に上記溝部を形成することができるからである。
【0055】
4.配線用導体パターンおよび外部接続端子
本発明に用いられる配線用導体パターンおよび外部接続端子は、上記ベース絶縁層上に形成されるものである。また、上記外部接続端子は上記配線用導体パターンに接続されているものである。
【0056】
本発明に用いられる外部接続端子は、上記外部接続端子領域に形成され、中継基板等の外部回路基板等とはんだにより接続されるものであり、表面が露出するものである。
また、上記外部接続端子領域は、通常、上記サスペンション用基板のテール部側に形成されるものである。
【0057】
本発明に用いられる外部接続端子の平面視上の形状としては、上記外部回路基板等と安定的に接続できるものであれば特に限定されるものではなく、既に説明した図1に例示するように長方形状や、円形状等、一般的なサスペンション用基板に形成される外部接続端子の形状と同様とすることができる。
また、上記外部接続端子のサイズとしては、上記外部回路基板等と安定的に接続できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なサスペンション用基板に形成される外部接続端子のサイズと同様とすることができる。
【0058】
本発明における外部接続端子は隣接して2以上形成されるものであるが、隣接する上記外部接続端子間の距離としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、30μm〜230μmの範囲内とすることができ、なかでも30μm〜150μmの範囲内とすることができ、特に30μm〜100μmの範囲内とすることがでる。本発明においては、上記隔壁を有するものであるため、上記外部接続端子間の距離を上述の範囲内とした場合であっても、はんだブリッジ等の発生を防止することができる。このため、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
【0059】
本発明における配線用導体パターンのパターンとしては、上記外部接続端子領域に形成される外部接続端子と接続するものであれば特に限定されるものではない。
【0060】
本発明に用いられる外部接続端子および配線用導体パターンは、めっき部により被覆されるものであっても良い。特に、上記外部接続端子のように、表面が露出する箇所はめっき部により被覆されることが好ましい。めっき部の一例としては、金めっき部を挙げることができる。また、金めっき部の下地としてニッケルめっき部が形成されていても良い。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内とすることができる。
【0061】
なお、本発明における配線用導体パターンおよび外部接続端子の材料および厚さとしては、上記「1.隔壁」の「(1)隔壁用導体パターン」に記載の内容と同様とすることができる。また、必要に応じて、上記隔壁用導体パターンと同様にめっき部を有するものであっても良い。
【0062】
5.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、上記金属支持基板、ベース絶縁層、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁を少なくとも有するものであるが、通常、上記配線用導体パターンを覆い、かつ、上記外部接続端子を露出するための開口部を有する配線用カバー絶縁層を有するものである。
【0063】
本発明に用いられる配線用カバー絶縁層における開口部は、中継基板等の外部回路基板と接続する上記外部接続端子を露出するための外部接続端子領域として形成されるものである。
【0064】
なお、本発明における配線用カバー絶縁層の材料および厚さとしては、上記「1.隔壁」の「(2)隔壁用カバー絶縁層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0065】
B.サスペンション用基板の製造方法
次に、サスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、を有することを特徴とするものである。
【0066】
このような本発明のサスペンション用基板の製造方法について図を参照して説明する。図13は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略工程図である。図13に例示するように、金属支持基板1を準備し、上記金属支持基板1の表面上にベース絶縁層2、上記ベース絶縁層2上にスパッタリング法を用いてシード層(図示せず)を形成し、その後、上記シード層上に、電解めっき法により配線層3Xを形成することにより積層体を形成する。その後、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いてレジスト16を形成する(図13(a))。次いで、図13(b)に例示するようにウェットエッチングを行い、上記配線層3Xから、上記配線用導体パターン(図示せず)、外部接続端子4および隔壁用導体パターン6を同時に形成する。次に、図13(c)に例示するように、上記配線用導体パターン(図示せず)、外部接続端子4および隔壁用導体パターン6を覆うようにカバー絶縁層5Xを形成し、次いで、DFRを用いてレジスト16を形成する。その後、図13(d)に例示するように、レジストから露出するカバー絶縁層5Xをウェットエッチングし、上記配線用カバー絶縁層5および隔壁用カバー絶縁層7を形成し、次いで、上記外部接続端子4と上記隔壁用導体パターン6および隔壁用カバー絶縁層7を含む隔壁8とをマスクとして用いて上記ベース絶縁層2をウェットエッチングすることにより溝部12を形成した後、上記レジストを剥離することにより、サスペンション用基板10を得る。
なお、図13中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0067】
本発明によれば、上記積層体を用いることにより、上記隔壁を構成する隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を他の部材の形成と同時に形成することができる。このため、上記隔壁を容易に形成することができる。
【0068】
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上記積層体準備工程、配線層パターニング工程およびカバー絶縁層パターニング工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法の各工程について説明する。
なお、本発明により得られるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0069】
1.積層体準備工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法における積層体準備工程は、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する工程である。
【0070】
本工程における積層体の形成方法は、上記各部材が安定的に積層したものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記金属支持基板、ベース絶縁層および配線層をこの順で形成する方法を挙げることができる。また、本工程においては、上記ベース絶縁層上にシード層を形成した後に、上記配線層を形成する方法であっても良い。
【0071】
本工程において、上記ベース絶縁層の形成方法としては、上記ベース絶縁層を構成する材料を含むベース絶縁層形成用塗工液を上記金属支持基板上に塗布・硬化させる方法を挙げることができる。
【0072】
また、上記配線層の形成方法としては、上記ベース絶縁層上に、電解めっき法および無電解めっき法等のめっき法、ならびにスパッタリング法により形成する方法を挙げることができる。
【0073】
本工程に用いられる金属支持基板およびベース絶縁層を構成する材料等については上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
また、上記配線層を構成する材料等については上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の隔壁用導体パターンと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0074】
2.配線層パターニング工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法における配線層パターニング工程は、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する工程である。
【0075】
本工程において、上記配線層をエッチングする方法としては、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記配線層の、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを形成する箇所にレジストを形成し、エッチングする方法を挙げることができる。
【0076】
本工程において用いられるレジストとしては、上記パターンを安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0077】
また、エッチング方法としては、所望のパターンにエッチングできる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、エッチング液を用いたウェットエッチングを用いることができる。
【0078】
本工程においてウェットエッチングに用いられるエッチング液としては、上記配線層を精度よくエッチングできるものであれば特に限定されるものではなく、各材料の特性を考慮して、適宜選択することが好ましい。例えば、上記配線層に銅を用いている場合には、エッチング液として、例えば塩化鉄系エッチング液を用いることができる。
【0079】
なお、本工程により形成される配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンについては、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0080】
3.カバー絶縁層パターニング工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法におけるカバー絶縁層パターニング工程は、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成する工程である。
【0081】
本工程において、上記カバー絶縁層をパターニングする方法としては、上記隔壁用カバー絶縁層を少なくとも形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、上記カバー絶縁層を構成する材料等に応じて適宜設定することができる。
具体的には、上記カバー絶縁層が感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層を露光・現像する方法を用いることができる。また、上記カバー絶縁層が非感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層上にレジストを形成し、エッチングする方法を用いることができる。
また、本工程においては、上記隔壁用カバー絶縁層の形成と同時に、上記配線用導体パターンを覆うように形成される配線用カバー絶縁層を形成する方法であることが好ましい。このような方法としては、具体的には、上記カバー絶縁層が感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層の上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所を露光する方法(ネガ型材料)または上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所以外を露光する方法(ポジ型材料)を用いることができる。また、上記カバー絶縁層が非感光性材料である場合には、上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所にレジストを形成し、エッチングする方法を挙げることができる。
【0082】
本工程におけるカバー絶縁層のエッチングに用いられるレジストおよびエッチング方法としては、上記カバー絶縁層を所望のパターンにエッチングすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記配線層パターニング工程と同様とすることができる。
【0083】
なお、本工程においてウェットエッチングに用いられるエッチング液としては、上記カバー絶縁層を精度よくエッチングできるものであれば特に限定されるものではなく、各材料の特性を考慮して、適宜選択することが好ましい。例えば、上記カバー絶縁層にポリイミド樹脂を用いている場合は、エッチング液として、例えばアルカリ系エッチング液を用いることができる。
【0084】
また、本工程におけるカバー絶縁層の露光・現像方法としては、サスペンション用基板において一般的に用いられる方法を用いることができる。
【0085】
なお、本工程により形成される隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層については、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0086】
4.サスペンション用基板の製造方法
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上記積層体準備工程、配線層パターニング工程およびカバー絶縁層パターニング工程を少なくとも有するものであるが必要に応じて他の工程を有するものであっても良い。
このような他の工程としては、例えば、上記外部接続端子領域において露出する外部接続端子の表面に、めっき部を形成するめっき部形成工程を挙げることができる。なお、上記メッキ部形成工程においてめっき部を形成する方法としては、例えば、電解めっき法を挙げることができる。
また、本発明においては、上記ベース絶縁層に溝部を形成する溝部形成工程を有するものであっても良い。なお、上記溝部の形成方法としては、上記溝部を所望の深さで形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層上に、上記外部接続端子と、上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を含む隔壁を形成した後、上記外部接続端子および隔壁をマスクとして、上記ベース絶縁層をエッチングする方法を挙げることができる。また、エッチング方法およびエッチング液については、上記「3.カバー絶縁層パターニング工程」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0087】
C.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0088】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、接続安定性に優れたサスペンションとすることができる。
【0089】
図14は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図14に示されるサスペンション30は、上述したサスペンション用基板10と、素子実装領域11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板10の表面に備え付けられたロードビーム31とを有するものである。
【0090】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0091】
D.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0092】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、接続安定性に優れた素子付サスペンションとすることができる。
【0093】
図15は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図15に示される素子付サスペンション40は、上述したサスペンション30と、サスペンション30の素子実装領域11に実装された素子41とを有するものである。
【0094】
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび素子を有するものである。サスペンションについては、上記「C.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0095】
E.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0096】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0097】
図16は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図16に示されるハードディスクドライブ50は、上述した素子付サスペンション40と、素子付サスペンション40がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク51と、ディスク51を回転させるスピンドルモータ52と、素子付サスペンション40の素子を移動させるアーム53およびボイスコイルモータ54と、上記の部材を密閉するケース55とを有するものである。
【0098】
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「C.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0100】
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
【0101】
[実施例1]
厚さ20μmのSUS304である金属支持部材の上に、非感光性ポリイミド系の絶縁層形成材料を用い、厚さ10μmのベース絶縁層形成用層を塗工法にて形成した。さらに、そのベース絶縁層形成用層上にシード層となるNi−Cr−Cuをスパッタリング法で約300nmコーティングし、それを導通媒体としCuめっきにて厚さ12μmのCuめっき層である配線層を形成し、積層体を得た。
【0102】
次に、SUS側で位置精度が重要な治具孔と、Cuめっき層側で目的とする配線用導体パターン等とを形成できるように、ドライフィルムを用いて同時にパターニングし、パターン状のレジストを得た。その後、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行い、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンと、金属支持基板とを同時に形成した。
これにより、間隔が、230μmとなるように配置された外部接続端子を形成した。また、幅が30μmであり、高さ(厚み)が12μmの隔壁用導体パターンを上記外部接続端子間の中央に形成した。
【0103】
次に、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、ベース絶縁層形成用層上に、非感光性ポリイミド系の液状カバー層形成材料をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し、現像と同時にカバー層形成材料をエッチングした。その後、エッチング後のカバー層形成用材料を硬化させ、それぞれ、配線用導体パターンおよび隔壁用導体パターン表面からの厚さが4〜8μmの配線用カバー絶縁層および隔壁用カバー絶縁層を形成した。
なお、上記隔壁用カバー絶縁層の幅は、60μmであり、上記外部接続端子間の中央に配置した。
次いで、上記外部接続端子と上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を含む隔壁とをマスクとして用いて上記ベース絶縁層形成用層をウェットエッチングすることによりベース絶縁層を形成した。
【0104】
次に、熱アシスト用配線層の端子部を酸洗浄し、その後、治具めっき法による電解Auめっきを行い、配線めっき部を形成した。次に、金属支持基板と配線層導体パターンとの導通を取る目的として、レジスト製版を行い、電解Niめっきを行い、レジスト剥膜を行い、ビアを形成した。なお、電解Niめっき浴には標準的なスルファミン酸Niめっき浴を用い、電解浸漬めっき(0.2A、14分)で電解Niめっきを行った。最後に、SUSの外形加工を行うため、レジスト製版を行い、SUS側のみエッチングし、エッチング後にレジスト剥膜を行い、サスペンション用基板を得た。
【0105】
[実施例2]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0106】
[実施例3]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0107】
[実施例4]
上記ベース絶縁層形成用層をウェットエッチングし、ベース絶縁層を形成する際に、上記隔壁用カバー絶縁層および外部接続端子間に、上記隔壁用カバー絶縁層および外部接続端子の間隔と同幅であり、深さが5〜8μmの溝部を形成した以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0108】
[実施例5]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は実施例4と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0109】
[実施例6]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は実施例4と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0110】
[比較例1]
隔壁用導体パターンを形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0111】
[比較例2]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は比較例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0112】
[比較例3]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は比較例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0113】
[評価]
実施例及び比較例で作製したサスペンション用基板と、外部回路基板とをはんだを用いて接続し、以下の基準で短絡の有無の評価を行った。結果を表1に示す。なお、評価は実施例及び比較例毎にサスペンション用基板を10枚作製して行った。また、測定方法は、一般的に市販されている触針式の抵抗値測定装置(テスター)により、端子間の絶縁性を測定することにより、行った。例えば、短絡していない場合には端子間の抵抗が∞となるため測定オーバー(測定不能)となる。
○:全てが短絡なく接続できた。
△:6〜9枚が短絡なく接続できた。
×:0〜5枚が短絡なく接続できた。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例では、はんだブリッジを安定的に防止することができた。
【符号の説明】
【0116】
1 … 金属支持基板
2 … ベース絶縁層
3 … 配線用導体パターン
4 … 外部接続端子
5 … 配線用カバー絶縁層
6 … 隔壁用導体パターン
7 … 隔壁用カバー絶縁層
8 … 隔壁
9 … ビア
10 … サスペンション用基板
11 … 素子実装領域
12 … 溝部
13 … 外部回路基板接触領域
14 … はんだ
15 … 開口部(外部接続端子領域)
16 … レジスト
20 … 外部回路基板
22 … 絶縁性基板
24 … 外部回路基板側接続端子
30 … サスペンション
31 … ロードビーム
40 … 素子付サスペンション
41 … 素子
50 … ハードディスクドライブ
51 … ディスク
52 … スピンドルモータ
53 … アーム
54 … ボイスコイルモータ
55 … ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハードディスクドライブ)に用いられる回路基板として、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装するサスペンション用基板が知られている。サスペンション用基板は、通常、金属支持基板(例えばSUS)、ベース絶縁層(例えばポリイミド樹脂)、配線用導体パターン(例えばCu)がこの順に積層された基本構造を有し、通常は、一方の先端に、素子を実装する素子実装領域を備え、他方の先端に、外部回路基板と接続を行う外部接続端子領域を備える。
【0003】
このような外部回路基板と外部接続端子領域における外部接続端子との接続方法としては、リワーク性を有しかつ容易に接続可能であることからはんだ接続が用いられている。
しかしながら、近年のHDDの高密度化により、追加機能の要求が高まっており、それに対応した信号線・端子数の増加が求められている。特にはんだ接続の場合、その外部接続端子の増加に伴い外部接続端子間隔が狭くなり、隣接する外部接続端子がはんだにより短絡されてしまうはんだブリッジが発生するといった問題があった。
このような問題に対して、例えば、特許文献1では、外部接続端子をベース絶縁層に設けた凹部に配置し、さらに、外部接続端子間に配線用カバー絶縁層を形成する方法が開示されている。このような方法によれば、外部接続端子表面より、上記外部接続端子間に形成された配線用カバー絶縁層の高さを高いものとすることができ、この配線用カバー絶縁層を土手として用いることができる。その結果、はんだが隣接する外部接続端子側に流れ込むことを防ぐことができ、はんだブリッジの発生を防止することが可能となる。
しかしながら、このような方法では、外部接続端子が配線用カバー絶縁層表面より低い位置に配置される結果、上記外部接続端子と外部回路基板との距離が遠くなり、はんだ接続が困難となるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−16699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0007】
本発明によれば、上記外部接続端子間に、上記外部接続端子の高さよりも高さが高い隔壁が形成されることにより、はんだ接続時にはんだブリッジの形成を防止ができ、短絡を防止することができる。
【0008】
本発明においては、上記ベース絶縁層が、上記外部接続端子および隔壁の間に上記金属支持基板が露出しないように形成された溝部を有することが好ましい。上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止することができるからである。
【0009】
本発明においては、上記隔壁用導体パターンが、上記金属支持基板と接続されていることが好ましい。ノイズの少ないものとすることができるからである。
【0010】
本発明は、サスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0011】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、接続安定性に優れたサスペンションとすることができる。
【0012】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0013】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、接続安定性に優れた素子付サスペンションとすることができる。
【0014】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、安定性に優れたハードディスクドライブとすることができる。
【0016】
本発明は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0017】
本発明によれば、上記積層体を用いることにより、上記隔壁を構成する隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を他の部材の形成と同時に形成することができる。このため、上記隔壁を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、はんだ接続時にはんだブリッジによる短絡を防止でき、また、外部回路基板と安定的にはんだ接続可能なサスペンション用基板を提供できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】従来のサスペンション用基板と本発明のサスペンション用基板とを比較する説明図である。
【図5】従来のサスペンション用基板の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明における外部接続端子領域の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図8】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図9】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図11】本発明における外部接続端子領域の他の例を示す概略平面図である。
【図12】本発明のサスペンション用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図13】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【図14】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図15】本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図16】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、サスペンション用基板、それを用いたサスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ、ならびにその製造方法に関するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
【0021】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【0022】
このような本発明のサスペンション用基板について図を参照して説明する。図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、図1のB−B線断面図である。図1〜図3に例示するように、本発明のサスペンション用基板10は、金属支持基板1と、上記金属支持基板1上に形成されたベース絶縁層2と、上記ベース絶縁層2上に形成された配線用導体パターン3と、上記ベース絶縁層2上に形成され、上記配線用導体パターン3に接続された外部接続端子4と、上記配線用導体パターン3を覆い、かつ、上記外部接続端子4を露出する開口部15を有する配線用カバー絶縁層5と、上記ベース絶縁層2上の上記外部接続端子4間に形成された隔壁用導体パターン6および上記隔壁用導体パターン6を覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層7を含む隔壁8と、を有し、上記隔壁8の高さが、上記外部接続端子4の高さよりも高いものである。
また、この例においては、上記隔壁用導体パターン6がビア9を介して金属支持基板1と電気的に接続されているものであり、上記外部回路基板接触領域13(一点破線で囲まれる領域)において、上記外部接続端子領域における外部接続端子と接続される外部回路基板が接触するものである。
【0023】
本発明によれば、上記外部接続端子間に、上記外部接続端子の高さよりも高さが高い隔壁が形成されることにより、はんだ接続時に隣接する外部接続端子間を短絡するはんだブリッジの形成を防止できる。
また、上記隔壁用カバー絶縁層が、通常、はんだとの親和性が低い絶縁性樹脂を用いて形成されるため、このような隔壁用カバー絶縁層で覆われた隔壁を用いることにより、はんだの流動を効果的に防止できる。また、その結果、はんだブリッジの形成を効果的に防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、上述のようにベース絶縁層に上記外部接続端子を配置するための凹部を形成することなく、高さの高い隔壁を有することができるため、図4(b)に例示するように、上記外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離を短いものとすることができる。このため、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hを広いものとすることができ、安定的にはんだ接続したものとすることができる。すなわち、上記外部接続端子間に高さの高い隔壁を有し、かつ、安定的にはんだ接続することができるのである。
これに対して、外部接続端子領域の上記ベース絶縁層に形成された凹部に配置された外部接続端子を有することにより、隣接する上記外部接続端子間に形成された配線用カバー絶縁層を上記外部接続端子よりも高さが高い隔壁として用いる上述の特許文献1に示されるサスペンション用基板では、図4(a)に例示するように、上記外部接続端子4が、上記配線用カバー絶縁層5よりも低い位置に配置されることになる。これにより、絶縁性基板22および外部回路基板側接続端子24を有する外部回路基板20の外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離が長いものとなる。このため、上記外部回路基板側接続端子24と上記外部接続端子4とをはんだ接続した場合には、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hが狭いものとなり、接続信頼性が低下する可能性がある。
なお、図4中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0025】
さらに、上記配線用導体パターンおよび外部接続端子の形成と同時に上記隔壁用導体パターンを同時に形成し、上記配線用カバー絶縁層との形成と同時に上記隔壁用カバー絶縁層を同時に形成し、隔壁とすることができるため、上記隔壁を有するサスペンション用基板を容易に形成可能なものとすることができる。
【0026】
またさらに、本発明における隔壁は、上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を用いるものであるため、厚みの厚い隔壁用カバー絶縁層が不要となる。このため、上述のように上記隔壁用カバー絶縁層を上記配線用カバー絶縁層と同時に形成する場合であっても、上記配線用カバー絶縁層の厚みを厚いものとなることを防ぐことができる。よって、既に説明した図4(b)に示すように、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hを広いものとすることができ、また、反り等の少ないものとすることができる。
これに対して、図5に例示するように、上記配線用カバー絶縁層5のみからなる隔壁を上記外部接続端子4間に有するサスペンション用基板の場合、上記隔壁の高さを十分な高さを有するものとするためには、上記配線用カバー絶縁層5の厚みを厚いものとする必要がある。その結果、上記外部回路基板側接続端子24から上記外部接続端子4までの距離が長いものとなる。これにより、上記外部回路基板側接続端子24のはんだ14との接続範囲Hが狭いものとなり、接続信頼性が低下する可能性がある。また、上記配線用カバー絶縁層5の厚みが厚いものとなることにより、上記サスペンション用基板に反りが生じたり、サスペンション用基板の柔軟性が低下しハードディスクドライブに用いた際にディスク上で安定な飛行姿勢を保つことができなくなる可能性がある。
なお、図5中の符号については、図4のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、ベース絶縁層、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁を少なくとも有するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板の各構成について詳細に説明する。
【0028】
1.隔壁
本発明に用いられる隔壁は、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものであり、その高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いものである。
【0029】
このような隔壁の高さとしては、上記外部接続端子の高さよりも高いものであれば特に限定されるものではないが、上記外部接続端子よりも、2m以上高いものであることが好ましく、なかでも、4μm以上高いものであることが好ましく、特に、10μm以上高いものであることが好ましい。上記はんだブリッジの形成を効果的に防止することができるからである。なお、上記隔壁の高さは高いほどはんだブリッジの形成抑制に効果を発揮するが、上記外部回路基板との接続時に障害とならない程度の高さであることが好ましく、通常、上記外部接続端子からの高さが30μm以下であることが好ましい。
【0030】
(1)隔壁用導体パターン
本発明において隔壁を構成する隔壁用導体パターンは、上記ベース絶縁層上であって、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものである。
【0031】
本発明における隔壁用導体パターンの形成位置としては、上記外部接続端子間に少なくとも形成されるものであれば特に限定されるものではなく、既に説明した図1に示すように、上記外部接続端子領域における外部接続端子間にのみ形成されるものであっても良く、上記外部接続端子領域の周囲にも形成されるものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記外部回路基板と接触する領域以外に形成されるものであることが好ましい。上記隔壁用導体パターンの形成位置が上述の位置であることにより、上記外部接続端子間に隔壁を有し、かつ、上記外部回路基板の外部回路基板側接続端子から上記外部接続端子までの距離を短いものとすることができ、上記外部接続端子領域における上記外部接続端子および外部回路基板等のはんだ接続をより安定的にすることができるからである。
【0032】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における形成位置としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記外部接続端子間における隔壁の形成数が一つである場合には、上記隔壁用導体パターンが上記外部接続端子間の中央に形成されることが好ましい。
【0033】
また、本発明における隔壁用導体パターンは、上記外部接続端子間に形成されるものであり、通常、上記外部接続端子と接触しないように形成されるものであるが、隣接する2つの上記外部接続端子の両方と接続しないものであり、かつ、上記隔壁用導体パターンが上記金属支持基板と接続されていないものである場合には、上記隔壁用導体パターンと接触するものであっても良い。
【0034】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における平面視上の形状としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、既に説明した図1に示すような直線状、図6に例示するような破線状、図7に示すような曲線状とすることができる。本発明においては、なかでも、直線状であることが好ましく、特に上記外部接続端子と平行であることが好ましい。上記はんだブリッジの形成を安定的に防止することができるからである。
また、本発明における隔壁の平面視上の形状は、既に説明した図1に示すように一定の幅である一定形状であっても良く、図8に例示するように、狭い箇所や太い箇所を有する不定形状であっても良い。
なお、図6〜8中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0035】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における形成数としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、少なくとも一つあればよいが、図9や図10に例示するように、上記外部接続端子4間に複数形成されるものであっても良い。
なお、図9および図10中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0036】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における幅としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、10μm〜210μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、10μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記隔壁用導体パターンの幅が上述した範囲内であることにより、上記はんだブリッジの形成を安定的に防止することができるからである。
なお、上記隔壁用導体パターンが上記外部接続端子間に複数形成される場合には、全ての隔壁を含む幅をいうものであり、具体的には、既に説明した図9および図10に示すように、全ての隔壁用導体パターン6を含む幅Lをいうものである
【0037】
本発明に用いられる隔壁用導体パターンの上記外部接続端子間における配線方向の長さとしては、上記はんだブリッジの形成を防止でき、上記外部回路基板との接続を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、既に説明した図1に例示するように、特に、上記外部回路基板が接触しない領域側に上記外部接続端子より長いことが好ましい。上記外部接続端子4よりも長く形成されることにより、上記はんだブリッジの形成をより安定的に防止することができるからである。
本発明においては、なかでも、上記外部接続端子の端よりも、150μm以上長いことが好ましく、特に、200μm以上長いことが好ましい。より安定的にはんだブリッジの形成を防止できるからである。
【0038】
本発明における隔壁用導体パターンの厚さとしては、上記隔壁の高さを上記外部接続端子よりも高いものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば5μm〜18μmの範囲内とすることができ、なかでも9μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0039】
本発明における隔壁用導体パターンの材料としては、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。
【0040】
本発明における隔壁用導体パターンは、後述するようなメッキ部により被覆されるものであっても良い。
【0041】
本発明における隔壁用導体パターンは、上記金属支持基板と接続されていることが好ましい。上記隔壁用導体パターンが電気的に接続されることにより、ノイズの少ないものとすることができるからである。
本発明において、上記隔壁用導体パターンおよび上記金属支持基板の接続としては、上記隔壁用導体パターンおよび金属支持基板が電気的に接続されたものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ビア接続により接続されたものとすることができる。
また、このような接続箇所としては、上記配線用導体パターンや外部接続端子等と短絡を生じない箇所であれば特に限定されるものではなく、例えば、既に説明した図1に示すような、上記外部接続端子領域の近傍に形成することができる。
本発明においては、なかでも、上記配線用導体パターンおよび外部接続端子から400μm以上離れた箇所に形成されることが好ましい。上記配線用導体パターンや外部接続端子と短絡を安定的に防止できるからである。
【0042】
上記隔壁用導体パターンの形成方法としては、例えば、電解めっき法および無電解めっき法等のめっき法、ならびにスパッタリング法を用いたアディティブ法を用いる方法を挙げることができる。また、上記金属支持基板、絶縁層および配線層からなる積層体を用いたサブトラクト法を用いる方法を挙げることができる。
【0043】
(2)隔壁用カバー絶縁層
本発明に用いられる隔壁用カバー絶縁層は、上記隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものである。
【0044】
本発明における隔壁用カバー絶縁層のパターンとしては、上記隔壁用導体パターンが露出しないように覆うことができるものであれば特に限定されるものではない。
このような隔壁用カバー絶縁層の上記隔壁用導体パターンの幅方向のパターンとしては、例えば、上記隔壁用導体パターンが複数形成される場合には、既に説明した図9に示すように、個々の隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものであっても良く、既に説明した図10に示すように、上記隔壁用導体パターンの全てを一体として覆うように形成されるものであっても良い。
また、上記隔壁用カバー絶縁層の上記隔壁用導体パターンの配線方向のパターンとしては、例えば、既に説明した図6に示すように、配線方向に複数の上記隔壁用導体パターンを有する場合には、通常、図11に例示するように、上記隔壁用導体パターン6全てを一体となるように覆うように形成されるものである。
なお、図11中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0045】
また、本発明における隔壁用カバー絶縁層は、上記隔壁用導体パターンを覆うように形成されるものであれば特に限定されるものではなく、通常、上記外部接続端子と接触しないように形成されるものであるが、上記外部接続端子が上記外部回路基板との接触を妨げない範囲において、上記外部接続端子と接触するものであっても良い。
【0046】
本発明における隔壁用カバー絶縁層の厚さとしては、上記隔壁の高さを上記外部接続端子よりも高いものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。上記隔壁用カバー絶縁層の厚さが上記範囲より薄い場合には、上記隔壁を十分な高さを有するものとすることが困難となるからである。また、上記範囲より厚い場合には、上記隔壁用カバー絶縁層の形成方法として上記配線用カバー絶縁層と同時に形成する方法を用いた場合に上記配線用カバー絶縁層の厚みも厚いものとなり、反り等の不具合を生じる可能性があるからである。
【0047】
このような隔壁用カバー絶縁層の材料としては、通常、例えばポリイミド樹脂(PI)等の絶縁性樹脂を挙げることができる。また、上記隔壁用カバー絶縁層の材料は、感光性材料であっても良いが、非感光性材料であることが好ましい。材料選択の幅を広いものとすることができるからである。また、非感光性材料は吸湿膨張係数が低く、反り等の発生の少ないものとすることができるからである。
【0048】
本発明に用いられる隔壁用カバー絶縁層の形成方法としては、上記隔壁用導体パターンを安定的に被覆できるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0049】
2.金属支持基板
本発明に用いられる金属支持基板は、上記ベース絶縁層、配線用導電パターンおよび隔壁を支持するものである。
このような金属支持基板の材料としては、特に限定されるものではないが、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的には、SUS等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる金属支持基板の厚さとしては、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内とすることができる。
【0050】
3.ベース絶縁層
本発明に用いられるベース絶縁層は、上記金属支持基板上に形成される層である。
【0051】
このようなベース絶縁層の材料としては、上記金属支持基板と上記配線用導体パターンおよび外部接続端子との短絡を防止することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記「1.隔壁」の「(2)隔壁用カバー絶縁層」に記載の内容と同様とすることができる。
【0052】
また、上記ベース絶縁層の厚さとしては、上記金属支持基板と上記配線用導体パターンおよび外部接続端子との短絡を防止することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、5μm〜10μmの範囲内とすることができる。
【0053】
本発明におけるベース絶縁層の表面形状としては、表面が平坦なものであっても良いが、図12に例示するように、上記外部接続端子領域内の上記外部接続端子および隔壁の間に上記金属支持基板が露出しないように形成された溝部12を有することが好ましい。上記ベース絶縁層の溝部の底から隔壁までの高さが高いものとなることにより、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止することができるからである。
また、このような溝部の深さとしては、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止できることから、深いほど好ましい。
本発明においては、上記ベース絶縁層の溝部における厚さが、1μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、2μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、特に、5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。上記厚さが上述の範囲内であることにより、上記金属支持基板および外部接続端子の短絡を安定的に防止することができるからである。
なお、図12中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0054】
また、本発明における溝部の幅としては、上記外部接続端子および隔壁の間に形成することができる程度の幅であれば特に限定されるものではないが、20μm以上であることが好ましく、なかでも、50μm以上であることが好ましく、特に、上記外部接続端子および隔壁の間隔であることが好ましい。上記幅が上述の範囲であることにより、上記はんだブリッジの形成をより効果的に防止できるからである。また、上記隔壁および外部接続端子をマスクにしてベース絶縁層をエッチングすることにより、容易に上記溝部を形成することができるからである。
【0055】
4.配線用導体パターンおよび外部接続端子
本発明に用いられる配線用導体パターンおよび外部接続端子は、上記ベース絶縁層上に形成されるものである。また、上記外部接続端子は上記配線用導体パターンに接続されているものである。
【0056】
本発明に用いられる外部接続端子は、上記外部接続端子領域に形成され、中継基板等の外部回路基板等とはんだにより接続されるものであり、表面が露出するものである。
また、上記外部接続端子領域は、通常、上記サスペンション用基板のテール部側に形成されるものである。
【0057】
本発明に用いられる外部接続端子の平面視上の形状としては、上記外部回路基板等と安定的に接続できるものであれば特に限定されるものではなく、既に説明した図1に例示するように長方形状や、円形状等、一般的なサスペンション用基板に形成される外部接続端子の形状と同様とすることができる。
また、上記外部接続端子のサイズとしては、上記外部回路基板等と安定的に接続できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なサスペンション用基板に形成される外部接続端子のサイズと同様とすることができる。
【0058】
本発明における外部接続端子は隣接して2以上形成されるものであるが、隣接する上記外部接続端子間の距離としては、上記はんだブリッジの形成を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、30μm〜230μmの範囲内とすることができ、なかでも30μm〜150μmの範囲内とすることができ、特に30μm〜100μmの範囲内とすることがでる。本発明においては、上記隔壁を有するものであるため、上記外部接続端子間の距離を上述の範囲内とした場合であっても、はんだブリッジ等の発生を防止することができる。このため、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
【0059】
本発明における配線用導体パターンのパターンとしては、上記外部接続端子領域に形成される外部接続端子と接続するものであれば特に限定されるものではない。
【0060】
本発明に用いられる外部接続端子および配線用導体パターンは、めっき部により被覆されるものであっても良い。特に、上記外部接続端子のように、表面が露出する箇所はめっき部により被覆されることが好ましい。めっき部の一例としては、金めっき部を挙げることができる。また、金めっき部の下地としてニッケルめっき部が形成されていても良い。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内とすることができる。
【0061】
なお、本発明における配線用導体パターンおよび外部接続端子の材料および厚さとしては、上記「1.隔壁」の「(1)隔壁用導体パターン」に記載の内容と同様とすることができる。また、必要に応じて、上記隔壁用導体パターンと同様にめっき部を有するものであっても良い。
【0062】
5.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、上記金属支持基板、ベース絶縁層、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁を少なくとも有するものであるが、通常、上記配線用導体パターンを覆い、かつ、上記外部接続端子を露出するための開口部を有する配線用カバー絶縁層を有するものである。
【0063】
本発明に用いられる配線用カバー絶縁層における開口部は、中継基板等の外部回路基板と接続する上記外部接続端子を露出するための外部接続端子領域として形成されるものである。
【0064】
なお、本発明における配線用カバー絶縁層の材料および厚さとしては、上記「1.隔壁」の「(2)隔壁用カバー絶縁層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0065】
B.サスペンション用基板の製造方法
次に、サスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、上記ベース絶縁層上に形成され、上記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、上記外部接続端子間に形成された隔壁と、を有し、上記隔壁が、上記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび上記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、上記隔壁の高さが、上記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、を有することを特徴とするものである。
【0066】
このような本発明のサスペンション用基板の製造方法について図を参照して説明する。図13は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略工程図である。図13に例示するように、金属支持基板1を準備し、上記金属支持基板1の表面上にベース絶縁層2、上記ベース絶縁層2上にスパッタリング法を用いてシード層(図示せず)を形成し、その後、上記シード層上に、電解めっき法により配線層3Xを形成することにより積層体を形成する。その後、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いてレジスト16を形成する(図13(a))。次いで、図13(b)に例示するようにウェットエッチングを行い、上記配線層3Xから、上記配線用導体パターン(図示せず)、外部接続端子4および隔壁用導体パターン6を同時に形成する。次に、図13(c)に例示するように、上記配線用導体パターン(図示せず)、外部接続端子4および隔壁用導体パターン6を覆うようにカバー絶縁層5Xを形成し、次いで、DFRを用いてレジスト16を形成する。その後、図13(d)に例示するように、レジストから露出するカバー絶縁層5Xをウェットエッチングし、上記配線用カバー絶縁層5および隔壁用カバー絶縁層7を形成し、次いで、上記外部接続端子4と上記隔壁用導体パターン6および隔壁用カバー絶縁層7を含む隔壁8とをマスクとして用いて上記ベース絶縁層2をウェットエッチングすることにより溝部12を形成した後、上記レジストを剥離することにより、サスペンション用基板10を得る。
なお、図13中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0067】
本発明によれば、上記積層体を用いることにより、上記隔壁を構成する隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を他の部材の形成と同時に形成することができる。このため、上記隔壁を容易に形成することができる。
【0068】
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上記積層体準備工程、配線層パターニング工程およびカバー絶縁層パターニング工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法の各工程について説明する。
なお、本発明により得られるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0069】
1.積層体準備工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法における積層体準備工程は、上記金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された上記ベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する工程である。
【0070】
本工程における積層体の形成方法は、上記各部材が安定的に積層したものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記金属支持基板、ベース絶縁層および配線層をこの順で形成する方法を挙げることができる。また、本工程においては、上記ベース絶縁層上にシード層を形成した後に、上記配線層を形成する方法であっても良い。
【0071】
本工程において、上記ベース絶縁層の形成方法としては、上記ベース絶縁層を構成する材料を含むベース絶縁層形成用塗工液を上記金属支持基板上に塗布・硬化させる方法を挙げることができる。
【0072】
また、上記配線層の形成方法としては、上記ベース絶縁層上に、電解めっき法および無電解めっき法等のめっき法、ならびにスパッタリング法により形成する方法を挙げることができる。
【0073】
本工程に用いられる金属支持基板およびベース絶縁層を構成する材料等については上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
また、上記配線層を構成する材料等については上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の隔壁用導体パターンと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0074】
2.配線層パターニング工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法における配線層パターニング工程は、上記配線層をエッチングし、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する工程である。
【0075】
本工程において、上記配線層をエッチングする方法としては、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記配線層の、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを形成する箇所にレジストを形成し、エッチングする方法を挙げることができる。
【0076】
本工程において用いられるレジストとしては、上記パターンを安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0077】
また、エッチング方法としては、所望のパターンにエッチングできる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、エッチング液を用いたウェットエッチングを用いることができる。
【0078】
本工程においてウェットエッチングに用いられるエッチング液としては、上記配線層を精度よくエッチングできるものであれば特に限定されるものではなく、各材料の特性を考慮して、適宜選択することが好ましい。例えば、上記配線層に銅を用いている場合には、エッチング液として、例えば塩化鉄系エッチング液を用いることができる。
【0079】
なお、本工程により形成される配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンについては、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0080】
3.カバー絶縁層パターニング工程
本発明のサスペンション用基板の製造方法におけるカバー絶縁層パターニング工程は、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、上記カバー絶縁層をパターニングして、上記隔壁用カバー絶縁層を形成する工程である。
【0081】
本工程において、上記カバー絶縁層をパターニングする方法としては、上記隔壁用カバー絶縁層を少なくとも形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、上記カバー絶縁層を構成する材料等に応じて適宜設定することができる。
具体的には、上記カバー絶縁層が感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層を露光・現像する方法を用いることができる。また、上記カバー絶縁層が非感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層上にレジストを形成し、エッチングする方法を用いることができる。
また、本工程においては、上記隔壁用カバー絶縁層の形成と同時に、上記配線用導体パターンを覆うように形成される配線用カバー絶縁層を形成する方法であることが好ましい。このような方法としては、具体的には、上記カバー絶縁層が感光性材料である場合には、上記カバー絶縁層の上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所を露光する方法(ネガ型材料)または上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所以外を露光する方法(ポジ型材料)を用いることができる。また、上記カバー絶縁層が非感光性材料である場合には、上記隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層が形成される箇所にレジストを形成し、エッチングする方法を挙げることができる。
【0082】
本工程におけるカバー絶縁層のエッチングに用いられるレジストおよびエッチング方法としては、上記カバー絶縁層を所望のパターンにエッチングすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記配線層パターニング工程と同様とすることができる。
【0083】
なお、本工程においてウェットエッチングに用いられるエッチング液としては、上記カバー絶縁層を精度よくエッチングできるものであれば特に限定されるものではなく、各材料の特性を考慮して、適宜選択することが好ましい。例えば、上記カバー絶縁層にポリイミド樹脂を用いている場合は、エッチング液として、例えばアルカリ系エッチング液を用いることができる。
【0084】
また、本工程におけるカバー絶縁層の露光・現像方法としては、サスペンション用基板において一般的に用いられる方法を用いることができる。
【0085】
なお、本工程により形成される隔壁用カバー絶縁層および配線用カバー絶縁層については、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0086】
4.サスペンション用基板の製造方法
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上記積層体準備工程、配線層パターニング工程およびカバー絶縁層パターニング工程を少なくとも有するものであるが必要に応じて他の工程を有するものであっても良い。
このような他の工程としては、例えば、上記外部接続端子領域において露出する外部接続端子の表面に、めっき部を形成するめっき部形成工程を挙げることができる。なお、上記メッキ部形成工程においてめっき部を形成する方法としては、例えば、電解めっき法を挙げることができる。
また、本発明においては、上記ベース絶縁層に溝部を形成する溝部形成工程を有するものであっても良い。なお、上記溝部の形成方法としては、上記溝部を所望の深さで形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層上に、上記外部接続端子と、上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を含む隔壁を形成した後、上記外部接続端子および隔壁をマスクとして、上記ベース絶縁層をエッチングする方法を挙げることができる。また、エッチング方法およびエッチング液については、上記「3.カバー絶縁層パターニング工程」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0087】
C.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0088】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、接続安定性に優れたサスペンションとすることができる。
【0089】
図14は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図14に示されるサスペンション30は、上述したサスペンション用基板10と、素子実装領域11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板10の表面に備え付けられたロードビーム31とを有するものである。
【0090】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0091】
D.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0092】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、接続安定性に優れた素子付サスペンションとすることができる。
【0093】
図15は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図15に示される素子付サスペンション40は、上述したサスペンション30と、サスペンション30の素子実装領域11に実装された素子41とを有するものである。
【0094】
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび素子を有するものである。サスペンションについては、上記「C.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0095】
E.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0096】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0097】
図16は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図16に示されるハードディスクドライブ50は、上述した素子付サスペンション40と、素子付サスペンション40がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク51と、ディスク51を回転させるスピンドルモータ52と、素子付サスペンション40の素子を移動させるアーム53およびボイスコイルモータ54と、上記の部材を密閉するケース55とを有するものである。
【0098】
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「C.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0100】
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
【0101】
[実施例1]
厚さ20μmのSUS304である金属支持部材の上に、非感光性ポリイミド系の絶縁層形成材料を用い、厚さ10μmのベース絶縁層形成用層を塗工法にて形成した。さらに、そのベース絶縁層形成用層上にシード層となるNi−Cr−Cuをスパッタリング法で約300nmコーティングし、それを導通媒体としCuめっきにて厚さ12μmのCuめっき層である配線層を形成し、積層体を得た。
【0102】
次に、SUS側で位置精度が重要な治具孔と、Cuめっき層側で目的とする配線用導体パターン等とを形成できるように、ドライフィルムを用いて同時にパターニングし、パターン状のレジストを得た。その後、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行い、配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンと、金属支持基板とを同時に形成した。
これにより、間隔が、230μmとなるように配置された外部接続端子を形成した。また、幅が30μmであり、高さ(厚み)が12μmの隔壁用導体パターンを上記外部接続端子間の中央に形成した。
【0103】
次に、上記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、ベース絶縁層形成用層上に、非感光性ポリイミド系の液状カバー層形成材料をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し、現像と同時にカバー層形成材料をエッチングした。その後、エッチング後のカバー層形成用材料を硬化させ、それぞれ、配線用導体パターンおよび隔壁用導体パターン表面からの厚さが4〜8μmの配線用カバー絶縁層および隔壁用カバー絶縁層を形成した。
なお、上記隔壁用カバー絶縁層の幅は、60μmであり、上記外部接続端子間の中央に配置した。
次いで、上記外部接続端子と上記隔壁用導体パターンおよび隔壁用カバー絶縁層を含む隔壁とをマスクとして用いて上記ベース絶縁層形成用層をウェットエッチングすることによりベース絶縁層を形成した。
【0104】
次に、熱アシスト用配線層の端子部を酸洗浄し、その後、治具めっき法による電解Auめっきを行い、配線めっき部を形成した。次に、金属支持基板と配線層導体パターンとの導通を取る目的として、レジスト製版を行い、電解Niめっきを行い、レジスト剥膜を行い、ビアを形成した。なお、電解Niめっき浴には標準的なスルファミン酸Niめっき浴を用い、電解浸漬めっき(0.2A、14分)で電解Niめっきを行った。最後に、SUSの外形加工を行うため、レジスト製版を行い、SUS側のみエッチングし、エッチング後にレジスト剥膜を行い、サスペンション用基板を得た。
【0105】
[実施例2]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0106】
[実施例3]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0107】
[実施例4]
上記ベース絶縁層形成用層をウェットエッチングし、ベース絶縁層を形成する際に、上記隔壁用カバー絶縁層および外部接続端子間に、上記隔壁用カバー絶縁層および外部接続端子の間隔と同幅であり、深さが5〜8μmの溝部を形成した以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0108】
[実施例5]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は実施例4と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0109】
[実施例6]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は実施例4と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0110】
[比較例1]
隔壁用導体パターンを形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0111】
[比較例2]
外部接続端子の間隔を150μmとした以外は比較例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0112】
[比較例3]
外部接続端子の間隔を100μmとした以外は比較例1と同様にしてサスペンション用基板を作製した。
【0113】
[評価]
実施例及び比較例で作製したサスペンション用基板と、外部回路基板とをはんだを用いて接続し、以下の基準で短絡の有無の評価を行った。結果を表1に示す。なお、評価は実施例及び比較例毎にサスペンション用基板を10枚作製して行った。また、測定方法は、一般的に市販されている触針式の抵抗値測定装置(テスター)により、端子間の絶縁性を測定することにより、行った。例えば、短絡していない場合には端子間の抵抗が∞となるため測定オーバー(測定不能)となる。
○:全てが短絡なく接続できた。
△:6〜9枚が短絡なく接続できた。
×:0〜5枚が短絡なく接続できた。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例では、はんだブリッジを安定的に防止することができた。
【符号の説明】
【0116】
1 … 金属支持基板
2 … ベース絶縁層
3 … 配線用導体パターン
4 … 外部接続端子
5 … 配線用カバー絶縁層
6 … 隔壁用導体パターン
7 … 隔壁用カバー絶縁層
8 … 隔壁
9 … ビア
10 … サスペンション用基板
11 … 素子実装領域
12 … 溝部
13 … 外部回路基板接触領域
14 … はんだ
15 … 開口部(外部接続端子領域)
16 … レジスト
20 … 外部回路基板
22 … 絶縁性基板
24 … 外部回路基板側接続端子
30 … サスペンション
31 … ロードビーム
40 … 素子付サスペンション
41 … 素子
50 … ハードディスクドライブ
51 … ディスク
52 … スピンドルモータ
53 … アーム
54 … ボイスコイルモータ
55 … ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、
前記ベース絶縁層上に形成され、前記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子間に形成された隔壁と、
を有し、
前記隔壁が、前記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび前記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、
前記隔壁の高さが、前記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記ベース絶縁層が、前記外部接続端子および隔壁の間に前記金属支持基板が露出しないように形成された溝部を有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記隔壁用導体パターンが、前記金属支持基板と接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項5】
請求項4に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項6】
請求項5に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項7】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、
前記ベース絶縁層上に形成され、前記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子間に形成された隔壁と、
を有し、
前記隔壁が、前記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび前記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、
前記隔壁の高さが、前記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、
前記金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された前記ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、
前記配線層をエッチングし、前記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、
前記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、前記カバー絶縁層をパターニングして、前記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項1】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、
前記ベース絶縁層上に形成され、前記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子間に形成された隔壁と、
を有し、
前記隔壁が、前記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび前記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、
前記隔壁の高さが、前記外部接続端子の高さよりも高いことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記ベース絶縁層が、前記外部接続端子および隔壁の間に前記金属支持基板が露出しないように形成された溝部を有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記隔壁用導体パターンが、前記金属支持基板と接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項5】
請求項4に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項6】
請求項5に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項7】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層上に形成された配線用導体パターンと、
前記ベース絶縁層上に形成され、前記配線用導体パターンに接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子間に形成された隔壁と、
を有し、
前記隔壁が、前記ベース絶縁層上に形成された隔壁用導体パターンおよび前記隔壁用導体パターンを覆うように形成された隔壁用カバー絶縁層を含むものであり、
前記隔壁の高さが、前記外部接続端子の高さよりも高いサスペンション用基板の製造方法であって、
前記金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された前記ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された配線層とを有する積層体を準備する積層体準備工程と、
前記配線層をエッチングし、前記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを同時に形成する配線層パターニング工程と、
前記配線用導体パターン、外部接続端子および隔壁用導体パターンを覆うように、カバー絶縁層を形成した後、前記カバー絶縁層をパターニングして、前記隔壁用カバー絶縁層を形成するカバー絶縁層パターニング工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−79375(P2012−79375A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222606(P2010−222606)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]