説明

サンドイッチ等食品包装用袋

【課題】表フィルムと汚れ防止用フィルムを帯状に熱溶着して従来のカットテープを省略でき、生産効率を向上し、袋の開封が容易で、見栄えがよく商品価値を高める。
【解決手段】重ね合わされた表フィルム3と裏フィルム4の両側縁部7,7及び先細部6の根本部9が熱溶着され、反先細部側が食品挿入口となる開口部12とされる袋本体2と、該袋本体2の内部に設けられる汚れ防止用フィルム5を具備する食品包装用袋において、前記汚れ防止用フィルム5は、幅方向中央部にて幅方向に直角方向に帯状に表フィルムと熱溶着され、該帯状の熱溶着部8の両側に2条のミシン目状切り込み10,10が設けられるとともに、先細部側6の表フィルム3に前記ミシン目状切り込み10,10と平行して開封用切り込み11,11を設ける。開封用切り込み11,11の先端部を摘み部とし、表フィルム3を合成樹脂延伸フィルムとすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチ等食品包装用袋であって、より詳細には、表フィルムと汚れ防止用フィルムを帯状に熱溶着して従来のカットテープを省略でき、袋の開封が容易で、商品価値を高めることができるサンドイッチ等食品包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サンドイッチ等食品包装用袋としては、一般に、図4〜5(特許文献1)に示すように、袋にサンドイッチを入れた状態の背面部に相当する裏フィルム120に逆U字状の切り込み線123があり、この切り込み線の内側が舌片状摘み124となり、この舌片状摘みから開口部近辺までカットテープ103が貼り付けられている。一方、サンドイッチの斜め切り口部に面する表フィルム110の内側に汚れ防止用フィルムが熱溶着されている(図示せず)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−244071号公報 図5〜7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように従来のサンドイッチ用袋は、表フィルムの内側に汚れ防止用フィルムを熱溶着し、裏フィルムの内側にカットテープを貼着するという二度手間がかかり、また、通常、サンドイッチを包装した状態の背面部に相当する裏フィルムの外側、即ち、舌片状摘みの下方に品質表示や消費期限などを印刷したラベルを貼り付けている。従って、袋を開封する際に、舌片状摘みを下方に引っ張ったときに、前記カットテープがラベルに当たり、無理に引っ張るとカットテープが切断し、或いは切断方向がずれる等してスムーズな開封が妨げられるという問題があった。
【0005】
本願発明は、表フィルムの内側に汚れ防止用フィルムを熱溶着し、裏フィルムの内側にカットテープを貼り付けるという二度手間がかからないで生産効率のよいサンドイッチ等食品包装用袋を提供することを第一の課題とし、更に、袋を開封する際に、舌片状摘みを下方に引っ張ったときに、前記カットテープがラベルに当たり、カットテープが切断し、或いは切断方向がずれる等してスムーズな開封が妨げられないようにするサンドイッチ等食品包装用袋を提供することを第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するために、本発明は、重ね合わされた表フィルムと裏フィルムの両側縁部及び先細部の根本部が熱溶着され、反先細部側が食品挿入口となる開口部とされる袋本体と、該袋本体の内部に設けられる汚れ防止用フィルムを具備する食品包装用袋において、前記汚れ防止用フィルムは、幅方向中央部にて幅方向に直角方向に帯状に表フィルムと熱溶着され、該帯状の熱溶着部の両側に2条のミシン目状切り込みが設けられるとともに、先細部側の表フィルムに前記ミシン目状切り込みと平行して開封用切り込みを設けることを特徴とするサンドイッチ等食品包装用袋とする(請求項1)。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記先細部の先端部を熱溶着して、該熱溶着部と前記先細部の根本部の熱溶着部との中間に、前記開封用切り込みの先端部を摘み部として設けることを特徴とする前記のサンドイッチ等食品包装用袋とすることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、少なくとも前記表フィルムが合成樹脂延伸フィルムからなることを特徴とする前記のサンドイッチ等食品包装用袋とすることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサンドイッチ等食品包装用袋によれば、前記のように表フィルムと汚れ防止用フィルムを帯状に熱溶着して従来のカットテープが不要となり、カットテープを貼り付ける手間が省略できるので、生産効率を格段に向上する。その上、開封面が表示ラベルの貼着面と反対面である表面側に設けられるので、表示ラベルに邪魔されることなくスムーズに開封することができるという利点がある。また、汚れ防止用フィルムによってサンドイッチ等食品の内容物が表フィルムに付着して汚れることを防止する効果を奏するばかりでなく、従来のカットフィルムが透明性に欠けるのに対して、本発明に係る食品包装用袋の帯状の熱溶着部はフィルムの透明性が損なわれることがなく、袋の内容物をより透視できて見栄えがよく、商品価値を高める効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態について、以下に詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋の一例を示した正面図であり、図2は、本発明の第二の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋の一例を示した正面図である。本図において、同一名称については共通の符号を付することとする。
【0011】
図1において、1は、前記食品包装用袋であって、重ね合わされた表フィルム3と裏フィルム4の両側縁部7,7及び先細部6の根本部9が熱溶着され、反先細部側が食品挿入口となる開口部12とされる袋本体2と、該袋本体2の内部に設けられる汚れ防止用フィルム5とを具備し、前記汚れ防止用フィルム5は、幅方向中央部にて幅方向に直角方向に帯状に表フィルムと熱溶着され、該帯状の熱溶着部8の両側に2条のミシン目状切り込み10,10が設けられるとともに、先細部側6の表フィルム3に前記ミシン目状切り込み10,10と平行して開封用切り込み11,11が設けられてなる。
【0012】
この実施の形態における食品包装用袋1の材質は、特に限定されるものではないが、袋内部のサンドイッチ等食品が外部から透視できるように、透明の合成樹脂製のフィルムから構成され、特に表フィルム3は、この食品包装用袋1を開封する際に、摘み部13を下方に引っ張ったときに、表フィルム3が開封用切り込み11,11の延長線に沿って引き裂かれる必要がある。そのために、表フィルム3は、合成樹脂製の延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を使用することが好ましい。OPPは、分子が一軸乃至二軸方向に配向しており、切り込みがあるとそこから容易に引き裂くことができるので本発明の食品包装用袋に適している。
【0013】
前記先細部6において、表フィルム3は、汚れ防止用フィルム5のミシン目状切り込み10,10とほぼ平行して開封用切り込み11,11が設けられており、摘み部13は、前記帯状の熱溶着部8によって表フィルム3と汚れ防止用フィルム5が互いに熱溶着されているので、摘み部13を下方に引っ張れば、表フィルム3と汚れ防止用フィルム5が一体となって根本部9で裏フィルム4から剥離し、更に帯状の熱溶着部8が、恰もカットフィルムのように作用して、汚れ防止用フィルム5の2条のミシン目状切り込みに沿って引き裂かれて、食品包装用袋1を容易に開封することができるのである。
【0014】
次に、本発明の第二の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋について説明する。図2に示すように、この実施の形態における食品包装用袋1は、第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋において、袋本体2の先細部6の先細先端部16を熱溶着して封止すること、及びこの熱溶着部と前記先細部の根本部9の熱溶着部との中間に、前記開封用切り込み11の先端部を摘み部13として設けること、以外は第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋と同様である。
【0015】
本発明の第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋を製造するには、先ず、汚れ防止用フィルム用の長尺フィルムに、その幅方向のほぼ中央部に適宜離間する2条のミシン目状切り込み10,10を形成し、適宜長さに切断して汚れ防止用フィルム5とする。次に、適宜幅の表フィルム用の長尺フィルムの片面に前記の汚れ防止用フィルム5を重ね合わせて、2条のミシン目状切り込み10,10の中間を加熱刃(溶着刃)によって帯状に熱用着すると同時に、汚れ防止用フィルム5の下端部14を熱溶着して係止する。帯状熱溶着部8の幅は加熱刃(溶着刃)の幅によって決まり、この幅は、通常開封する際の摘み易さや強度を考慮して、3〜10mmの範囲が好ましい。
【0016】
更に、先細部6の表フィルム及び汚れ防止用フィルムに、2条のミシン目状切り込み10,10に沿って切り込み加工を施し、開封用切り込み11,11を形成する。ミシン目状切り込みは、複数の切り出しカッターを所定間隔で固定した装置にフィルムを通すか、丸鋸状のカッターを使用する。次に、前記表フィルムの汚れ防止用フィルム5が熱溶着されている面に裏フィルムを重ね合わせ、袋本体2の両側縁部7,7を加熱刃(溶断刃)及び先細部6の根本部9を加熱刃(溶着刃)によって、それぞれ熱溶着して食品包装用袋1を得る。
【0017】
次に、本発明の第二の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋を製造するには、前記第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋の製造において、先細部6の表フィルム及び汚れ防止用フィルムに、切り込み加工するとともに、前記開封用切り込み11,11の先端部に逆U状の摘み部13を形成する工程と、先細部6の根本部9を加熱刃(溶着刃)によって、それぞれ熱溶着するとともに、先細先端部16を熱溶着する工程と、を具備する以外は第一の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋の製造と同様にして食品包装用袋1を得る。
【0018】
また、前記熱溶着の加熱方法として、電熱により、又はハイ・フリーカンシー・インダクション・ヒーティング(high-frequency induction heating)により加熱刃自体を加熱する方法以外に、塩化ビニル樹脂等の材料は高周波ウエルダー加熱による方法、オレフィン系樹脂等の材料は超音波加熱による方法によって、プラスチックフィルムをゲル化温度ないし溶融温度に加熱して溶着乃至溶断することによっても同様の目的を達成する。加熱温度は、用いる熱可塑性樹脂の種類に応じてその樹脂のゲル化温度ないし溶融温度、加熱時間を考慮して適宜の温度を選択することが好ましい。加工温度が低過ぎるとフィルムが溶融せず、また、温度が高すぎると溶融したフィルムが粘着性を有し加熱刃に付着し易いからである。また、食品包装用袋1は、一個ずつ加工する以外に、ロール状の表フィルム3に汚れ防止用フィルム5を帯状に熱溶着し、更にこの上にロール状の裏フィルム4を重ねて熱溶断する工程を一連の機械作業によって製造してもよい。
【実施例】
【0019】
前記第一の実施の形態及び第二の実施の形態にかかるサンドイッチ等食品包装用袋をそれぞれ20枚ずつ作成して実験した。フィルムは、表フィルム3、裏フィルム4、及び汚れ防止用フィルム5とも0.03mmのOPPフィルムを使用した。帯状熱溶着部8の幅は4mmとした。それぞれのサンドイッチ等食品包装用袋について5人のモニタによって、摘み部13を下方に引っ張って袋の開封のし易さを実験した結果、何れの袋についても、ミシン目状切り込み10に沿って真っ直ぐに引き裂かれ、頗る開封性に優れていることが確認された。次に、前記袋でサンドイッチを包装し、外観を目視により観察したところ、帯状熱溶着部8も含め全体に透明で、内容物がよく透視でき見栄えがよかった。
【0020】
図3は、前記実施例により得た第二の実施の形態に係るサンドイッチ等食品包装用袋1にサンドイッチを包装した斜視図であり、開口部を折り畳んで封止するとともに背面部に表示ラベル15を貼着した状態を示す。図3示すように、摘み部13が表面に向き、表示ラベル15が背面部にあるので、袋を開封する際に摘み部13を下方に引っ張っても表示ラベル15に邪魔されることはなく、スムーズに開封することができる。また、逆にサンドイッチの斜辺部が裏フィルム4に当接するようにサンドイッチを袋に挿入し、背面部に摘み部13がくるようにすることも可能である。また、食品包装用袋は、サンドイッチ以外におにぎり等他の食品包装用にも利用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るサンドイッチ等食品包装用袋は、従来のこの種の食品包装用袋に使用されているカットテープを省略できて、製造の作業効率が向上し、しかも袋の開封が容易で、商品価値を高めることができることから極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一の実施の形態係るサンドイッチ等食品包装用袋を例示した正面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態係るサンドイッチ等食品包装用袋を例示した正面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係るサンドイッチ等食品包装用袋にサンドイッチを包装した状態の斜視図である。
【図4】従来の食品包装用袋の正面図である。
【図5】従来の食品包装用袋であって、サンドイッチを包装した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1:食品包装用袋、2:袋本体、3:表フィルム、4:裏フィルム、5:汚れ防止用フィルム、6:先細部、7:側縁部、8:帯状熱溶着部、9:根本部、10:ミシン目状切り込み、11:開封用切り込み、12:開口部、13:摘み部、14:下端部、15:表示ラベル、16:先細先端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた表フィルムと裏フィルムの両側縁部及び先細部の根本部が熱溶着され、反先細部側が食品挿入口となる開口部とされる袋本体と、該袋本体の内部に設けられる汚れ防止用フィルムを具備する食品包装用袋において、前記汚れ防止用フィルムは、幅方向中央部にて幅方向に直角方向に帯状に表フィルムと熱溶着され、該帯状の熱溶着部の両側に2条のミシン目状切り込みが設けられるとともに、先細部側の表フィルムに前記ミシン目状切り込みと平行して開封用切り込みを設けることを特徴とするサンドイッチ等食品包装用袋。
【請求項2】
前記先細部の先端部を熱溶着して、該熱溶着部と前記先細部の根本部の熱溶着部との中間に、前記開封用切り込みの先端部を摘み部として設けることを特徴とする請求項1記載のサンドイッチ等食品包装用袋。
【請求項3】
少なくとも前記表フィルムが合成樹脂延伸フィルムからなることを特徴とする請求項1又は2記載のサンドイッチ等食品包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−131271(P2006−131271A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323146(P2004−323146)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(301020558)有限会社 アヅマ化工 (1)
【Fターム(参考)】