説明

シャッター装置

【課題】重量シャッターと自動に開閉されるシートシャッターとが併設されたシャッター装置において、安全性が向上された該シャッター装置を提供する。
【解決手段】重量シャッターは、該重量シャッターの開閉を制御する重量シャッター制御装置26と、シャッターカーテンの移動の軌道上に存する障害物を検知し、重量シャッター制御装置に検知信号を送信する座板感知装置28とを有し、シートシャッターは、該シートシャッターの開閉を制御し、重量シャッター制御装置との信号の送受信が可能なシートシャッター制御装置45を具備し、重量シャッター制御装置は、座板感知装置から信号が発信されたときに重量シャッターの閉鎖を禁止し、シートシャッター制御装置にその旨の信号を発信可能とされ、該信号に基づいてシートシャッター制御装置がシートシャッターの開閉を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に備えられるシャッター装置に関し、詳しくは、シートシャッターと重量シャッターとが併設されたシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部に備えられるシャッター装置にはいくつかの種類があるが、その中に重量シャッター及びシートシャッターがある。
重量シャッターは、複数の金属製の細長い板状であるスラットが連結されてシャッターカーテンが形成されており、閉鎖時における防犯性・遮蔽性に優れ、管理シャッターや防火シャッターとして用いられることが多い。
一方、シートシャッターは、可撓性を有するシート状の材料によりシャッターカーテンが形成されており、開閉動作の高速化が可能である。このようなシートシャッターは、ある程度の遮蔽性を必要とされつつも出入りが頻繁である開口部に適用されている。例えば、工場等の製造施設において、フォークリフトやトラックの出入りが頻繁な開口部を挙げることができる。
【0003】
重量シャッター、シートシャッターは上記したようにそれぞれの利点を有するので、同一の開口部に両方のシャッターを併設したいとの要望も多く、実際に両方のシャッターを併設する建物も増えている。
【0004】
このようなシャッター装置において、同じ開口部に重量シャッター及びシートシャッターをどのように配置するかについてはいくつかのパターンがある。例えば、両シャッターの巻取りシャフトを開口部の上部の室内外側のそれぞれに分けて配置することや、両シャッターの巻取りシャフトを上下に並列させて配置することがある。さらには、特許文献1に記載のように、1つのケースの中に両シャッターの巻取りシャフトを含ませて構成しているものもある。
【0005】
ここで、重量シャッターとシートシャッターとは上記したように各々その役割が異なる等の理由から、独立して個別に制御されていることが多い。一方、特許文献2に記載のシャッター装置は、防音壁として用いる複数のシャッターカーテンが室内外方向に併設されている場合に、障害物を視認しやすくする観点から障害物が検知された場合に、操作者側のシャッターカーテンを退避上昇する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−32687号公報
【特許文献2】特許第2720212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、重量シャッターとシートシャッターとを併設したシャッター装置では、開口部の出入りが多いときには重量シャッターを開放したままとしておき、シートシャッターのみを人や物の出入りの都度開閉するという利用態様が一般的である。ここで、シートシャッターは、利便性向上の観点から人や物をエリアセンサ等により検知し、自動にシャッターカーテンを開閉するように構成されている。
【0008】
重量シャッターの安全装置としては、重量シャッターのシャッターカーテンの下端に設けられたいわゆる座板感知装置が適用され、シャッターカーテンと地面との間に挟まれるように存する障害物を検知することができるように構成されている。一方、シートシャッターの安全装置として、該シートシャッターの室内外側のそれぞれに光電センサが配置され、ここを遮る人や物を検知することができるように構成されている。
【0009】
しかしながら、重量シャッターとシートシャッターとが併設されたシャッター装置において、重量シャッターと地面との間に挟まれた障害物があったとき、座板感知装置により重量シャッターが停止しても、光電センサが当該障害物を検知することができず、シートシャッターのシャッターカーテンが降下する虞があった。
【0010】
従来のシャッター装置では、重量シャッターとシートシャッターとが個別に制御されていることから、上記の問題を解決することはできなかった。また、特許文献2に記載の発明は、併設シャッター装置は操作者の操作により閉鎖するものであり、一方のシャッターカーテンが自動開閉であることにより生じる上記問題を解決することはできなかった。
【0011】
そこで本発明は、このような問題点に鑑み、重量シャッターと自動に開閉されるシートシャッターとが併設されたシャッター装置において、安全性が向上された該シャッター装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0013】
請求項1に記載の発明は、重量シャッター(10)及び自動に開閉可能に形成されたシートシャッター(30)が併設されたシャッター装置(1)であって、重量シャッターは、該重量シャッターのシャッターカーテン(15)の巻取り、及び巻き戻しを制御する重量シャッター制御装置(26)と、重量シャッターのシャッターカーテン(35)の移動の軌道上に存する障害物を検知し、重量シャッター制御装置に検知信号を送信する座板感知装置(28)と、を有し、シートシャッターは、該シートシャッターのシャッターカーテンの巻取り、及び巻き戻しを制御し、重量シャッター制御装置との信号の送受信が可能とされるシートシャッター制御装置(45)を具備し、重量シャッター制御装置は、座板感知装置から信号が発信されたときに該信号を受信し、重量シャッターのシャッターカーテンの下降を禁止するとともに、シートシャッター制御装置に対して座板感知装置から信号が発せられた旨の信号を発信可能とされ、該信号に基づいてシートシャッター制御装置がシートシャッターの開閉禁止の命令をすることを特徴とするシャッター装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、重量シャッター(10)及び自動に開閉可能に形成されたシートシャッター(30)が併設されたシャッター装置(1)の制御方法であって、重量シャッターに具備された座板感知装置(28)により障害物が検知されたとき、重量シャッターに設けられた該重量シャッターのシャッターカーテン(15)の巻取り、及び巻き戻しを制御する重量シャッター制御装置(26)が、シートシャッターに設けられた該シートシャッターのシャッターカーテン(35)の巻取り、及び巻き戻しを制御するシートシャッター制御装置(45)に対して、座板感知装置から信号が発せられた旨の信号を発信し、シートシャッター制御装置がシートシャッターの開閉を禁止する命令をすることを特徴とするシャッター装置の制御方法を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、座板感知装置で感知した情報に基づいて適切にシートシャッターのシャッターカーテンの開閉を禁止することができる。従って、重量シャッターに挟まれた障害物に対してシートシャッターのシャッターカーテンが降下してくることがなく、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1つの実施形態に係るシャッター装置を正面視した図である。
【図2】図1(a)の右側面図で、必要に応じて透視して示した図である。
【図3】図2の一部を拡大して示した図である。
【図4】図3の矢印IVの方向から見た図である。
【図5】図3の矢印Vの方向から見た図である。
【図6】重量シャッターのシャッターカーテンの下端部に注目した図である。
【図7】シャッター装置の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。しかし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、1つの実施形態に係るシャッター装置1が建物開口部に取り付けられた状態において、当該シャッター装置1を正面から見た図である。本説明図においては図1(a)がシャッター装置1の室外視正面図、図1(b)は室内視正面図である。図2は図1(a)の右側面図である。図1、図2には説明のため、一部の部材を透視して表示している。ここで図1、図2では、シャッター装置1が閉鎖され、通路又は空間が仕切られている姿勢が表されている。
図3は図2に一点鎖線で示したIIIの範囲を拡大した図、図4は図3にIVで示した方向から見た図で電動開閉機23が備えられた側の端部を拡大して示した図、図5は図3にVで示した方向から見た図で電動開閉機43が備えられた側の端部を拡大した図である。
以下、図1〜図5、及び適宜示す図を参照しつつシャッター装置1について説明する。
【0019】
シャッター装置1は、重量シャッター10、シートシャッター30、三方枠50、光電センサ60、61、エリアセンサ63、64を備えている。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
重量シャッター10は、建物開口部に設けられた下がり壁W1(図2、図3参照)の室外側面に配置され、開閉部11と、該開閉部11の上端に具備される巻取り部20と、座板感知装置28とを備えている。開閉部11は、実際に建物開口部の開放、閉鎖が行われる部位である。一方、巻取り部20は、重量シャッター10の開放の姿勢において、後で説明するシャッターカーテン15を巻取り収納するとともに、重量シャッター10の開閉、その他制御のための駆動源である電動開閉機23、重量シャッター制御装置26等を備える部位である。そして、座板感知装置28はシャッターカーテン15と地面との間に挟まれた障害物を検知する装置である。以下詳しく説明する。
【0021】
開閉部11は、ガイドレール12、13、まぐさ14、及びシャッターカーテン15を備えている。ガイドレール12、13は、所定の間隔を有して平行に立設された2本の長尺部材で、横断面が略コ字状である。ガイドレール12、13は当該コ字状である開口部を対向させるように設置される。まぐさ14はガイドレール12、13の上部を渡すように取り付けられた長尺部材である。
【0022】
シャッターカーテン15は、上下に連結された複数のスラット15a、15a、…、及び下端に設けられた座板16を備えている。例えば図1〜図3に良く表れているように、スラット15a、15a、…は、シャッターカーテン15の閉鎖の姿勢で、長手方向を水平に、幅方向を鉛直に配置される長尺の略板状の部材である。そして上下方向に隣り合うスラット15a、15a、…の端部同士が、所定の回動が許容されるように連結されている。これにより巻取りが可能となる。座板16は、最下端のスラット15aに沿って配置される矩形断面を有する長尺部材で、その内側にスラット15aの下部を包含するように取り付けられている。
【0023】
以上のような構成部材を有する開閉部11は、シャッターカーテン15の左右両端部を2本のガイドレール12、13のコ字状の開口から内側に包含させるように配置する。このときシャッターカーテン15はガイドレール12、13に固定はされないので、ガイドレール12、13の長手方向には移動が可能であり、これと直交する方向(図1(a)の紙面奥/手前方向、室内外方向)の移動は制限される。これによりシャッターカーテン15を適切にガイドレール12、13に沿って上下に移動させることができる。
【0024】
巻取り部20は、ケース21、ブラケット22、22、電動開閉機23、巻取りシャフト24、駆動チェーン25、重量シャッター制御装置26、及び操作パネル27を備えている。
【0025】
ケース21は、ブラケット22、22、電動開閉機23、巻取りシャフト24、駆動チェーン25、及び重量シャッター制御装置26の大部分をその内側に隠蔽する箱状の部材である。これにより各構成部材を塵埃等から保護し、装置寿命伸ばしたり、装置の動作の信頼性を向上させたりすることができる。
【0026】
ブラケット22、22は、後述する巻取りシャフト24の軸受けとなる板状の部材で、ケース21の内側両端部のそれぞれに、面を対向するように並列されている。また、ブラケット22、22は図4からわかるように下がり壁W1に固定されている。
【0027】
電動開閉機23は、電気により駆動して巻取りシャフト24を回転させる機器である。これには例えば電動モータを挙げることができ、通常の重量シャッターに用いられる電動開閉機でよい。電動開閉機23は、図2〜図4からわかるように、一方のブラケット22に取り付けられた電動開閉機用ブラケット23aに固定される。また、電動開閉機23の回動軸には、該回転軸に同軸で回転する駆動スプロケット23bが取り付けられている。電動開閉機23の正転によりシャッターカーテン15の巻取りが行われる。
【0028】
巻取りシャフト24は、シャッターカーテン15の左右幅方向(図1(a)の紙面左右方向)に沿ってブラケット22、22間を渡されるように水平に設けられた円筒状の部材で、該円筒の中心軸を軸として回動可能に設置されている。さらに、上記した電動開閉機23の駆動スプロケット23bが配置されたと同じ側の巻取りシャフト24の端部には、該巻取りシャフト24と同軸であるシャフトスプロケット24aが設けられている。当該シャフトスプロケット24aは、駆動スプロケット23bよりも大きな径を有している。これにより適切な速度でシャッターカーテン15を上下動させることができる。
また、巻取りシャフト24の外周の所定部分にシャッターカーテン15の上端が固定されている。
【0029】
駆動チェーン25は、上記駆動スプロケット23bとシャフトスプロケット24aとを掛け渡すように取り付けられる環状部材であり、電動開閉機23で生じた回転力を巻取りシャフト24に伝達するように形成されている。これには例えば駆動スプロケット23b、及びシャフトスプロケット24aの外周に凹凸が形成され、駆動チェーン25はこれに係合離脱しつつ回転し、動力を伝達するチェーンである例を挙げることができる。
【0030】
重量シャッター制御装置26は、シャッターカーテン15の巻取り(上昇)、巻き戻し(降下)、停止等に関する各機器からの信号を受信し、シャッターカーテン15を実際にどのように動作させるかを判断するとともに、その判断結果を機器に命令する装置である。重量シャッター制御装置26の構成は特に限定されるものではないが、例えば信号を受信して取り込む入力部、どのように動作すべきかが決められたプログラムを格納しておくROM、演算を実行する中央演算子、各種信号や演算結果を一時的に記憶して演算領域として機能するRAM、及び結果を外部に出力する出力部等を備えている。これにより、シャッター装置1が現時点においてどのような動作をすべきかを適切に判断することができ、利便性と安全性、及び動作の信頼が図られる。ここで、重量シャッター制御装置26は、シートシャッター30のシャッターカーテンの制御装置であるシートシャッター制御装置45と信号を送受信できるように構成されている。
【0031】
また、重量シャッター制御装置26は通常は商用電源により動作するが、停電時にも最低限の動作が可能であるように充電式バッテリが備えられていてもよい。これにより震災時に商用電源が供給されない場合であっても、少なくともシャッターカーテンの閉鎖をさせることができ、防火、防煙の機能を提供することができる。
【0032】
操作パネル27は、操作手段として使用者が自分の意思により重量シャッター10のシャッターカーテン15、及びシートシャッター30のシャッターカーテン35を巻取り(上昇)、停止、巻き戻し(降下)させるための操作をする部位である。具体的には、シャッターカーテン巻取りのための押しボタン、停止のための押しボタン、巻き戻しのための押しボタンを備えている。これにより使用者はシャッター装置1に対して命令を与えることができ、特にこれを遮断する理由がない場合にはシャッター装置1は当該命令通りの動作をする。
シートシャッター30のシャッターカーテン35は、通常、後述するエリアセンサ63、64により、人や車両が近づくことを感知して自動に開放され、その後自動に閉鎖されるように構成される。しかし、このような自動開閉を基本としつつ、手動でもシートシャッター30のシャッターカーテン35を開閉することができるように構成されてもよい。
【0033】
座板感知装置28は、障害物感知センサ28aと、送信機28dと、受信機28eとを備えている。図6には、図2にVIで示した部位のうち、障害物感知センサ28aが配置された部位に注目した図を示した。
障害物感知センサ28aは、図1及び図6からわかるように、重量シャッター10のシャッターカーテン15の座板16の下端に、該座板16の長手方向に沿って水平に設けられる長尺の機器である。さらに詳しくは障害物感知センサ28aは、図6に表れているように、下面に開口部を有する箱状であるケース28bと、該ケース28bの開口部から突没可能に設けられる感知スイッチ28cとを有している。ケース28bの箱状である内側天井面及び感知スイッチ28cの上面には、それぞれ不図示の接触子が設けられている。図6に示したような感知スイッチ28cがケース28bから突出している状態(通常状態)のときには当該接触子は接触しない位置が保たれて待機状態にある。そして感知スイッチ28cが押し上げられ、ケース28bの内側に押し込まれるように移動したときには、当該接触子同士が接触して信号が発せられるように構成されている。
【0034】
送信機28dは、ケースの内側に制御装置、及び発信部を有している。ケースは、送信機28dの外観を形成するとともに各部品を内側に包含する箱状の部材である。制御装置は、電源から電力の供給を受けて障害物感知センサ28aからの信号を受信し、発信部に発信の指令を出すことができるいわゆる制御回路により形成されている。発信部は、後述する受信機28eに信号を発信する部位である。発信部から発信される信号は無線によるものであり、これには例えば赤外線を挙げることができる。
【0035】
受信機28eは、ケース、及び受信部を有している。ケースは受信機28eの外観を形成するとともに各部品を内側に包含する箱状の部材である。受信部は、上記送信機28dからの無線信号を受信するセンサである。送信機28eは、重量シャッター制御装置26と電気的に接続されている。
【0036】
次にシートシャッター30について説明する。シートシャッター30は、建物開口部に設けられた下がり壁W1(図2、図3参照)の室内側面に配置され、開閉部31と、該開閉部31の上端に具備される巻取り部40とを備えている。開閉部31は、実際に建物開口部の開放、閉鎖が行われる部位である。一方、巻取り部40は、シートシャッター30の開放の姿勢において、後で説明するシートシャッターのシャッターカーテン35を巻取り収納するとともに、シートシャッター30の開閉、その他制御のための駆動源である電動開閉機43、シートシャッター制御装置45等を備える部位である。
【0037】
開閉部31は、ガイドレール32、33及びシートシャッターのシャッターカーテン35を備えている。ガイドレール32、33は、所定の間隔を有して平行に立設された2本の長尺部材で、横断面が略コ字状である。ガイドレール32、33は当該コ字状である開口部を対向させるように設置される。
【0038】
シートシャッターのシャッターカーテン35は、図1(b)、図2からわかるように、水平円筒状である複数の芯材35a、35a、…が所定の間隔で設けられ、芯材35a、35a、…を渡すようにシート材35b、35b、…が張られている。このようなシャッターカーテン35は、通常のシートシャッターのシャッターカーテンと同様のものを適用することができる。また、芯材35a、35a、…及びシート材35b、35b、…の左右両端部は、2本のガイドレール32、33のコ字状の開口から内側に包含されるように配置される。このとき芯材35a、35a、…及びシート材35b、35b、…はガイドレール32、33に固定されない。従って、シャッターカーテン35は、ガイドレール32、33の長手方向に移動が可能であるとともに、これと直交する方向(図1(b)の紙面奥/手前方向、室内外方向)の移動は制限される。これによりシャッターカーテン35を適切にガイドレール32、33に沿って上下に移動させることができる。また、シャッターカーテン35の下端には、端部芯材36が配置され、下端部を適切にガイドしている。
【0039】
巻取り部40は、ケース41、ブラケット42、42、電動開閉機43、巻取りシャフト44、シートシャッター制御装置45、及び操作パネル46を備えている。
【0040】
ケース41は、ブラケット42、42、電動開閉機43、巻取りシャフト44、及びシートシャッター制御装置45の大部分をその内側に隠蔽する箱状の部材である。これにより各構成部材を塵埃等から保護し、装置寿命伸ばしたり、装置の動作の信頼性を向上させたりすることができる。
【0041】
ブラケット42、42は、後述する巻取りシャフト44の軸受けとなる板状の部材で、ケース41の内側両端部のそれぞれに、面を対向するように並列されている。また、ブラケット42、42はケース41の内面に固定されている。
【0042】
電動開閉機43は、電気により駆動して巻取りシャフト44を回転させる機器である。これには例えば電動モータを挙げることができ、通常のシートシャッターに用いられる電動開閉機でよい。電動開閉機43は、図1、図5からわかるように、電動機本体43a及び回転軸43bを有し、電動機本体43aは筐体43cの内側に納められるとともに、回転軸43bは筐体43cから突出するように配置されている。電動開閉機43は、巻取りシャフト44の内側に具備されるとともに、筐体43cが一方のブラケット42に固定され、回転軸43bが巻取りシャフト44に同軸に固定される。
これにより、電動開閉機43の正転及び逆転により巻取りシャフト44が回転し、シャッターカーテン35の巻取り及び巻き戻しが行われる。
【0043】
巻取りシャフト44は、シートシャッター30のシャッターカーテン35の左右幅方向(図1(b)の紙面左右方向)に沿ってブラケット42、42間を渡されるように水平に設けられた円筒状の部材で、該円筒の中心軸を軸として回動可能に設置されている。そして、巻取りシャフト44の外周の所定部分にシャッターカーテン35の上端が固定されている。
【0044】
シートシャッター制御装置45は、シャッターカーテン35の巻取り(上昇)、巻き戻し(降下)、停止等に関する各機器からの信号を受信し、シートシャッター30のシャッターカーテン35を実際にどのように動作させるかを判断するとともに、その判断結果を機器に命令する装置である。シートシャッター制御装置45の構成は特に限定されるものではないが、例えば信号を受信して取り込む入力部、どのように動作すべきかが決められたプログラムを格納しておくROM、演算を実行する中央演算子、各種信号や演算結果を一時的に記憶して演算領域として機能するRAM、及び結果を外部に出力する出力部等を備えている。これにより、シャッター装置1が現時点においてどのような動作をすべきかを適切に判断することができる。
【0045】
操作パネル46は、操作手段として使用者が自分の意思により重量シャッター10のシャッターカーテン15、及びシートシャッター30のシャッターカーテン35を巻取り(上昇)、停止、巻き戻し(降下)させるための操作をする部位である。具体的には、シャッターカーテン巻取りのための押しボタン、停止のための押しボタン、巻き戻しのための押しボタンを備えている。これにより使用者はシャッター装置1に対して命令を与えることができ、特にこれを遮断する理由がない場合にはシャッター装置1は命令通りの動作をする。
シートシャッター30のシャッターカーテン35は、通常、後述するエリアセンサ63、64により、人や車両が近づくことを感知して自動に開放され、その後自動に閉鎖されるように構成される。しかし、このような自動開閉を基本としつつ、手動でもシートシャッター30のシャッターカーテン35を開閉することができるように構成されてもよい。
【0046】
引き続き、シャッター装置1の他の構成について説明する。三方枠50は、図2、図3に表れているように、重量シャッター10とシートシャッター30との間において開口部の縁に沿って配置される枠材である。三方枠50は、開口部の上縁である下がり壁W1の下端面に沿って配置される横枠51及び、開口部の左右の縁に沿って配置される縦枠52、53を有している(縦枠53は図面には表れていない)。三方枠50により開口部の縁が隠蔽され、外観を好ましいものとすることができる。
【0047】
光電センサ60、61は、開口部に近づく人や物(車両等)を感知してその情報をシートシャッター制御装置45に送信するセンサである。光電センサ60、61は、1つの発光部材60a、61aと1つの受光部材60b、61bとを有し、これにより一組のセンサを形成している。
【0048】
光電センサ60は、図1、図2からわかるように、重量シャッター10のガイドレール12、13のうち、室外側面の下部に配置される。光電センサ60の発光部材60aはガイドレール12に、受光部材60bは発光部材60aと対応する高さ位置でガイドレール13にそれぞれ配置されている。
光電センサ61は、図1、図2からわかるように、シートシャッター30のガイドレール32、33のうち、室外側面の下部に配置される。光電センサ61の発光部材61aはガイドレール32に、受光部材61bは発光部材61aと対応する高さ位置でガイドレール33にそれぞれ配置されている。
【0049】
光電センサ60、61は、シートシャッター制御装置45に接続され、発光部材60a、61aと受光部材60b、61bとの間を遮ったものがある場合にこれを感知し、シートシャッター制御装置45によってシートシャッター30のシャッターカーテン35の動作を停止させる。従って、人や車両、物が通過しようとするときにシャッターカーテン35との衝突を防止することができる。
【0050】
エリアセンサ63、64は、シャッター装置1に近づく人、車両、物等を検知してシートシャッター制御装置45に情報を伝達し、該シートシャッター制御装置45の命令によりシートシャッター30のシャッターカーテン35を開放させ、その後閉鎖させるためのセンサである。従って、エリアセンサ63、64は、シートシャッター30のシャッターカーテン35の自動開閉を補助して利便性を向上させる目的のセンサである。
エリアセンサ63は重量シャッター10のケース21のうち、室外側面に設置され、室外側を検知するように構成されている。一方、エリアセンサ64はシートシャッター30のケース41のうち、室内側面に設置されて室内側を検知するように構成されている。
【0051】
さらにシャッター装置1は、重量シャッター10のシャッターカーテン15を閉鎖する際に、シャッターカーテン15の軌道上に障害物があり、座板感知装置28が作動するときに重量シャッター制御装置26、シートシャッター制御装置45により次のように動作するように構成されている。図7にフローS0を示した。
【0052】
初めに操作者が手動により操作パネル27、46のいずれかで重量シャッター10のシャッターカーテン15を閉鎖するためのスイッチを押圧する(S1)。すると、スイッチの押圧によりその情報が重量シャッター制御装置26に直接、又はシートシャッター制御装置45を介して重量シャッター制御装置26に伝達される(S2)。
【0053】
シャッターカーテン15の閉鎖の指令を受けた重量シャッター制御装置26は、シャッターカーテン15の閉鎖の命令を発し、これに基づいてシャッターカーテン15の閉鎖が開始される(S3)。
【0054】
障害物により座板感知装置28の感知スイッチ28c(図6参照)が押し上げられ、障害物が感知され、座板感知装置28はその旨の信号を重量シャッター制御装置26に送信する(S4)。
重量シャッター制御装置26は、重量シャッター10のシャッターカーテン15の下降を停止し、同時にその旨をシートシャッター制御装置45に送信する(S5)。そして、シートシャッター制御装置45はシートシャッター30のシャッターカーテン35の開閉を禁止する(S6)。
【0055】
重量シャッター10の閉鎖を以上のように構成することにより、座板感知装置28で感知した情報に基づいて適切にシートシャッター30のシャッターカーテン35の開閉を禁止することができる。従って、重量シャッターに挟まれた障害物に対してシートシャッターが降下してくることがなく、安全性を向上させることができる。
【0056】
一方、障害物が除去されれば座板感知装置28による重量シャッター10の閉鎖が再開されるとともに、シートシャッター30の開閉も許容される。
【0057】
本実施形態では、座板感知装置からの信号に基づいて最終的にシートシャッター30のシャッターカーテン35の開閉が禁止される構成を説明したが、これに加えて光電センサの感知信号に基づいて、シートシャッターのシャッターカーテンのみでなく、重量シャッターのシャッターカーテンの開閉を禁止するように構成してもよい。
【0058】
このためには具体的にはシートシャッター制御装置が光電センサの信号を受信してシートシャッターのシャッターカーテンの閉鎖を禁止するとともに、重量シャッター制御装置に対してその旨の信号を送信する。そして重量シャッター制御装置が重量シャッターのシャッターカーテンの閉鎖を禁止する。
【0059】
以上、現時点において、もっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うシャッター装置及び制御方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0060】
1 シャッター装置
10 重量シャッター
11 開閉部
12 ガイドレール
13 ガイドレール
15 シャッターカーテン
20 巻取り部
24 巻取りシャフト
26 重量シャッター制御装置
27 操作パネル(操作手段)
28 座板感知装置
30 シートシャッター
31 開閉部
32 ガイドレール
33 ガイドレール
35 シャッターカーテン
40 巻取り部
45 シートシャッター制御装置
46 操作パネル(操作手段)
60、61 光電センサ
62、63 エリアセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量シャッター及び自動に開閉可能に形成されたシートシャッターが併設されたシャッター装置であって、
前記重量シャッターは、
該重量シャッターのシャッターカーテンの巻取り、及び巻き戻しを制御する重量シャッター制御装置と、前記重量シャッターのシャッターカーテンの移動の軌道上に存する障害物を検知し、前記重量シャッター制御装置に検知信号を送信する座板感知装置と、を有し、
前記シートシャッターは、該シートシャッターのシャッターカーテンの巻取り、及び巻き戻しを制御し、前記重量シャッター制御装置との信号の送受信が可能とされるシートシャッター制御装置を具備し、
前記重量シャッター制御装置は、前記座板感知装置から信号が発信されたときに該信号を受信し、前記重量シャッターのシャッターカーテンの下降を禁止するとともに、前記シートシャッター制御装置に対して前記座板感知装置から信号が発せられた旨の信号を発信可能とされ、該信号に基づいて前記シートシャッター制御装置が前記シートシャッターの開閉禁止の命令をすることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
重量シャッター及び自動に開閉可能に形成されたシートシャッターが併設されたシャッター装置の制御方法であって、
前記重量シャッターに具備された座板感知装置により障害物が検知されたとき、前記重量シャッターに設けられた該重量シャッターのシャッターカーテンの巻取り、及び巻き戻しを制御する重量シャッター制御装置が、前記シートシャッターに設けられた該シートシャッターのシャッターカーテンの巻取り、及び巻き戻しを制御するシートシャッター制御装置に対して、前記座板感知装置から信号が発せられた旨の信号を発信し、前記シートシャッター制御装置がシートシャッターの開閉を禁止する命令をすることを特徴とするシャッター装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−94409(P2011−94409A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250354(P2009−250354)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000252034)トステム鈴木シャッター株式会社 (26)
【出願人】(390008534)株式会社ユニフロー (31)
【Fターム(参考)】