説明

シングルステップ診断のための組成物および方法

検体レベル、疾患、または他の生理学的変化を高速で容易に監視するデバイスが提供される。いくつかの場合において、デバイスは、検出部位に、通例は皮膚表面または粘膜内に配置して読み取ることができる粒子などを含み得る。一実施形態において、粒子は異方性粒子を含み得る。通例、デバイスは、視覚比色(colorimetic)シグナルを提供するであろうが、香り、味(たとえば食品として許容されるフレーバーの放出)、または触覚(たとえば形状変化)などの他のシグナルも可能である。デバイスは、好ましくは単回使用の使い捨てデバイスであるが、一部は、ある期間にわたって複数の読み取り値を提供できることもある。これらのデバイスは、いかなる患者も使用することができ、小児および高齢患者にとっても、軍隊、および医療保険未加入者にとっても特に有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、すべてDouglas Adam Levinsonによる、2008年6月4日に出願された米国仮特許出願第61/058,796号「Compositions and Methods for Diagnostics, Therapies, and Other Applications」、2009年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/163,791号「Compositions and Methods for Rapid One−Step Diagnosis」、および2009年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/163,793号「Compositions and Methods for Diagnostics, Therapies, and Other Applications」への優先権を主張する。これらの出願の開示は、本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
【0002】
一態様において、本発明は、検出部位、通例、皮内、局所または粘膜部位での検体の定性的または定量的検出のための方法および装置に関する。本発明の別の態様は一般に、各種の特性を有する異方性粒子およびその使用方法を含む、粒子に一般に関連する多様なシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
検体の検出および測定のための多くの技法が開発されてきた。大半は、測定される体液または組織中の検体の除去を必要とする。一般的な例は、タンパク質、コレステロール、または感染の検出のための血液を含む。患者は試料を提出しなければならず、通常、試料を収集および処理するために熟練者が必要であり、次にレポートが作成されると、熟練者が分析を行って、次に患者の結果を解釈しなければならない。
【0004】
検体のオンラインまたは連続監視のために、いくつかのシステムが開発されている。これらは、指を挟んで、時間と共に血中酸素濃度の測定値を生成する監視装置に配線されている単純な酸素監視装置から、心臓または脳に挿入されて、配線、またはより最近ではワイファイ技術の使用のどちらかによって、監視装置または監視装置によって得られた結果を収集、処理、そして報告するコンピュータにフィードバックを提供し得る、はるかに複雑な監視装置にまで及ぶ。これらのシステムは、非常に複雑であり、使用するには入院が必要なことが多い。
【0005】
よりユーザーに優しい出力を提供する、より簡単な外来患者監視デバイスが開発されている。たとえば、血液1滴のみを必要とする監視装置、または間質液からグルコース濃度を抽出可能な監視装置を使用して、血中グルコース濃度を決定できる。しかし、これらは試料の抽出がなお必要である。妊娠は、尿を適用すると色が変化して、受精直後に発生する胎盤によって分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の存在を示す細片によって判定できる。
【0006】
このようなデバイスはすべて、なお比較的複雑であり、試料の抽出または除去が必要であり、大半の場合には、濃度を読み取って、その濃度が正常範囲内か否かを判定するために、特定の検体の標準と比較しなければならない。測定値が得られる部位で利用される、「ガソリン少」または「修理が必要」または「バッテリ電圧低」という自動車のダッシュボードの警告灯のようなデバイスを提供できるならば、ユーザーによるエラーの可能性は低くなるであろう。いくつかの場合で、このことは抽出なしで、外部の値との比較なしで、計算なしで、および/または医療関係者による解釈を必要とせずに行うことができる。
【0007】
したがって、本発明の多くの目的の1つは、外部分析、処理、または基準値との比較を必要とせずに、測定部位において検体または状況の定性的、定量的および/または半定量的分析を提供できるデバイス、ならびにその使用方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態により、検体レベル、疾患状態、および/または他の生理学的変化を高速で容易に監視するデバイスが本明細書で提供される。一実施形態において、デバイスは、自動車のダッシュボードの警告灯(緑色は正常、黄色は疑わしいまたは危険、やや低いまたはやや高い、そして赤色は異常)になぞらえることができる、基本レベルで機能する。しかし、他の実施形態において、より多いまたは少ないシグナルまたはレベルが存在し得る。そしてユーザーは、自分の診察の必要性または緊急性の程度を適切な医療関係者によって知らされる。このようなデバイスを検出部位に、通例は皮膚表面または粘膜内に配置して読み取ることができる。通例、デバイスは視覚比色(colorimetic)シグナルを提供するであろうが、香り(たとえばpHまたは温度の変化時に放出)、味(デバイスが口腔内に位置しているときに放出される、風船ガム、シナモン、または他の食品として許容されるフレーバー)、ガスの放出、光、電気もしくは磁気特性の生成、または触覚(化学反応による形状変化)などの他のシグナルも可能である。一実施形態において、デバイスは、好ましくは単回使用の使い捨てデバイスであるが、いくつかのデバイスは、ある期間にわたって複数の読み取り値を提供できることもある。他の実施形態において、デバイスは、試験される被験体に永続的に適用されることがある。たとえば化粧用途などの非検知用途のためのデバイスの他の使用も、本明細書に記載する。
【0009】
デバイスのある態様で有用な各種の技法および試薬は、本開示の利益を有する当業者がただちに使用することができる。接着剤、包帯などの被覆物、皮内注射のために予め装填された注射器などの追加の機構を、ただちに含めることができる。たとえば、デバイスは被験体内に注射され得るか、またはデバイスは被験体の皮膚内に投与もしくは挿入され得る。
【0010】
例として、これらのデバイスは、小児、高齢患者、および/または精神病に苦しむ患者、検査が困難である患者、ノンコンプライアンスである患者にとって、軍隊にとって、ならびに医療保険未加入者(たとえば低所得者および/またはホームレスの人々)にとって特に有用である。これらのデバイスは、診療所での高額な検査なしに介入が必要とされ得る時点を判定するために、または単にその健康に懸念がある人々の日常的な健康維持のために使用できる。
【0011】
それゆえ、各種の特性を有する異方性粒子およびその使用方法を含む、一般に粒子に関連する多様な方法、そして組成物を適用するシステムおよび方法ならびに診断、治療、および/またはそのいくつかがこのような粒子および/または他の組成物を使用し得る他の用途のための方法が本明細書に開示される。
【0012】
好ましい一実施形態において、診断方法は、検体を判定する方法である。一組の実施形態において、方法は、検体を粒子の群に暴露させる行為であって、粒子の群の少なくともいくつかの粒子が少なくとも第1の表面領域および第2の表面領域を含む、少なくとも2つの別個の表面領域を有し、第1の表面領域が検体を固定することができる、暴露させる行為と;少なくともいくつかの粒子の第1の表面領域を検体に固定して、それにより複数の検体−粒子クラスタを形成する行為であって、各クラスタが少なくとも1つの検体および検体に固定された粒子の第1の表面領域を含み、各クラスタが粒子の第1の表面領域に対して過剰な粒子の第2の表面領域によって規定された外側境界を規定する、クラスタを形成する行為と;粒子の判定可能な特色を判定して、それにより検体の量または存在を判定する行為とを含む。一実施形態において、粒子、たとえば表面で配向した粒子、相互に付着した粒子などの少なくとも1つの集団または下位集団に、正味の配向変化がある。
【0013】
一組の実施形態において、方法は、複数の皮膚挿入物体を送達できるデバイスを主に表皮中に投与する行為を含む。好ましくは、皮膚挿入物体は、皮膚への挿入後、少なくとも約1週間の期間にわたって被験体の皮膚内の検体を判定するのに好適な粒子を含有する。別の組の実施形態において、方法は、液体ジェットプロセスによって、被験体の皮膚に少なくとも約1時間、1日、1週間またはそれ以上の期間にわたって、被験体の皮膚内の検体を判定するのに好適な粒子を送達する行為を含む。
【0014】
なお別の組の実施形態において、方法は一般に、被験体の皮膚中に、少なくとも2つの別個の領域であって、粒子の表面に存在する各領域を有する粒子を投与する行為に関する。好ましくは、方法は、粒子の相対的位置決めに基づいて、被験体内の検体を判定する行為を含む。
【0015】
一組の実施形態において、方法は、電気的、磁気的、および/または機械的な力を被験体に投与することによって、被験体内に埋め込まれた着色料の呈色を変化させる行為を含む。なお別の組の実施形態の方法は、少なくとも2つの別個の領域であって、粒子の表面に存在する各領域を有する粒子を被験体内で判定することによって、被験体内の検体を判定する行為を含む。
【0016】
一組の実施形態における方法は、被験体の皮膚に適用したときに、被験体内で検体を判定するのに好適な診断組成物を含有する皮膚を有する被験体を提供する行為と、被験体の皮膚に外部から印加される刺激を印加して、診断組成物を少なくとも部分的に除去および/または不活性化する行為とを含む。一実施形態において、診断組成物は粒子を含有する。詳細な実施形態において、粒子は皮膚から除去できる。本実施形態において、方法は、被験体の皮膚に、粒子を少なくとも部分的に除去するのに十分な光を印加する行為を含む。
【0017】
また別の組の実施形態による方法は、少なくとも2つの別個の領域を有する第1の粒子であって、各領域が第1の粒子の表面に存在し、第1のシグナル伝達剤を含有する第1の粒子を提供する行為と;第2のシグナル伝達剤を含有する、第2の粒子(いくつかの実施形態において、少なくとも2つの別個の領域を有し得て、各領域が第2の粒子の表面に存在する)を提供する行為と;第1のシグナル伝達剤および第2のシグナル伝達剤が反応できるように、第1の粒子および第2の粒子を相互に対して固定させるようにする行為と;を含む。
【0018】
別の組の実施形態において、方法は、投与された第1および第2の粒子(いくつかの実施形態において、少なくとも2つの別個の領域を有し得て、各領域が粒子の表面に存在する)を含有する被験体を提供する行為と;被験体に第1の粒子および第2の粒子を相互に対して固定させる化学薬品を適用および/または力を印加する行為とを含む。なお別の組の実施形態の方法は、機器を直接被験体に適用することなく、被験体の皮膚に位置する材料の状態を判定することによって、被験体の身体的状況を判定する行為を含む。
【0019】
また別の組の実施形態において、方法は、被験体に少なくとも2つの別個の領域を有する第1および第2の粒子であって、各領域が粒子の表面に存在する粒子を投与する行為と;被験体に第1の粒子および第2の粒子を相互に対して固定させる化学薬品を適用および/または力を印加する行為とを含む。
【0020】
なお別の実施形態は一般に、被験体の真皮または表皮に複数の粒子を送達するためのデバイスに関する。1組の実施形態により、デバイスは、基材と;基材に着脱自在に固定され、場合により治療剤、検知剤および/または診断剤を担持する複数の表皮および/または真皮挿入物体(本明細書では「皮膚挿入物体」)とを含有する。いくつかの場合において、基材は、複数の表皮および/または真皮挿入物体を被験体の皮膚に適用して、表皮および/または真皮中への物体の挿入を促進するように構築および配置され、物体が真皮および/または表皮に送達される際に、基材が皮膚から除去されるときにその大部分の少なくとも一部が真皮および/または表皮に残存するような接着の程度で、複数の物体に固定される。
【0021】
また別の実施形態は一般に、診断デバイスに関する。一組の実施形態において、デバイスは、表皮へ送達するように構築された、診断組成物と結合された複数の主な表皮挿入物体を含有する。
【0022】
なお別の態様は一般に、組成物に関する。組成物は、第1の組の実施形態において、表皮へのマイクロインジェクション、マイクロニードルインジェクション、液体ジェット送達などに好適な流体に溶解および/または懸濁された、被験体の表皮内で検体を判定するのに好適な診断組成物を含む。
【0023】
また別の組の実施形態は、第1および第2の粒子を含有する液体を含み、第1および第2の粒子は少なくとも2つの別個の領域をそれぞれ有し、各領域は粒子の表面に存在し、第1の粒子は第1シグナル伝達剤を含有し、第2の粒子は、第1および第2の粒子が相互に対して固定化されているときに第1の反応物質と反応する第2のシグナル伝達剤を含有する。
【0024】
なお別の態様は一般に、診断剤または治療剤の真皮および/または表皮への送達のためのキットに関する。キットは、一組の実施形態により、複数の皮膚挿入物体を含み、その少なくともいくつかは、複数の皮膚挿入物体が皮膚に適用されたときに、微粒子組成物の少なくともいくつかが真皮および/または表皮に送達されて診断的または治療的に有効な期間にわたって残存するように構築および配置された、診断剤または治療剤を含む微粒子組成物を含む。
【0025】
別の組の実施形態において、キットは、少なくとも2つの別個の領域を有する第1の粒子であって、各領域が第1の粒子の表面に存在し、第1のシグナル伝達剤を含有する第1の粒子と;第2の粒子であって(いくつかの実施形態において、少なくとも2つの別個の領域を有し得て、第2の粒子の表面に各領域が存在する)、第2のシグナル伝達剤を含有する第2の粒子とを含む。
【0026】
または別の態様は一般に、被験体の皮膚に適用されるときに、被験体に関連する検体を判定するのに好適な診断組成物を含有するクリームまたはローションに関する。他の組成物は、石鹸および化粧品などの、皮膚に適用できる組成物を含む。
【0027】
本発明のまた別の態様は、被験体の外部にある診断センサ組成物を含む。いくつかの実施形態において、センサは、被験体の真皮よりも高い程度で被験体の表皮に常在するように構築され、組成物は検体に応答して、検体の非存在下でのシグナルと区別可能である検体の存在下での検出可能なシグナルを生成する。一態様において、本発明は被験体の皮膚に投与可能なセンサを含み、センサは比色アッセイを使用して検体を判定する。
【0028】
一態様は、被験体に投与可能な平衡に基づくセンサである製品を含む。別の態様は、被験体の皮膚に投与可能なホモジニアスアッセイを含む。
【0029】
別の態様において、本明細書に記載する実施形態の1つ以上、たとえば異方性粒子を作製する方法が提供される。別の態様において、本明細書に記載する実施形態の1つ以上、たとえば異方性粒子を使用する方法が提供される。
【0030】
本明細書に記載するデバイス、組成物、製品、センサおよび方法の他の利点および新規の特色は、以下の詳細な説明から、添付図と併せて考慮するときに明らかになるであろう。本明細書および参照により含まれる文書が矛盾するおよび/または一致しない開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照による含まれる2つ以上の文書が相互に関して矛盾するおよび/または一致しない開示を含む場合には、発効日の遅い文書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1A〜図1Cは、検体を含まない(図1A)、検体の存在下での(図1B)、および4つの領域を備えた(図1C)、異方性粒子を示す。
【図2】図2A〜図2Cは、外部から印加された力の存在下での(図2Aおよび2C)および外部から印加された力の非存在下での(図2Aおよび2B)の異方性粒子の配向を示す。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、皮膚表面への配置が示されている、局所デバイスの実施形態の図である。図3Bでは、局所デバイスは中空皮膚挿入物体を含有する。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、皮膚表面への配置が示されている、局所デバイスの実施形態の図である。図3Bでは、局所デバイスは中空皮膚挿入物体を含有する。
【図4】図4A〜図4Cは、粒子送達のための各種の皮膚挿入物体を示す。
【図5】図5A〜図5Bは、異方性粒子を形成するある技法を示す。
【図6】図6A〜図6Bは、反応することができる異方性粒子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
検体レベル、疾患、または他の生理学的変化を監視するデバイスおよびデバイスの使用方法が提供される。各種の実施形態において、デバイスは迅速に、容易に、および/または状況が判定されている被験体によって使用することができる。いくつかの場合において、デバイスは、検出部位に、通例は皮膚表面または粘膜内に位置して読み取ることができる粒子などを含む。一実施形態において、粒子は異方性粒子である。
【0033】
デバイスは、たとえばその選択性、感度、ダイナミックレンジ、安定性、生体適合性などが制御可能であるように、十分に制御できるアッセイを含有し得る。たとえば、色の変化を含む比色アッセイは、粒子のサイズ、粒子の色、粒子表面の反応剤の濃度および/または位置、粒子の異方性などを制御することによって制御され得る。代わりに、デバイスはホモジニアスアッセイを含有し得る。このようなアッセイは通例、いずれの準備ステップ、たとえば分離、洗浄、遮断なども必要としない。いくつかの場合において、アッセイは、アッセイにいずれのエネルギーおよび/または外部の化学薬品を加えることなく判定することができ、いくつかの場合において、アッセイはいずれの機器も使用せずに判定され得る。
【0034】
I.デバイス
一実施形態において、診断デバイスは、少なくとも1つの反応剤およびシグナル伝達剤を含有する。好ましい実施形態において、デバイスは、1つ以上の粒子を含有する;いくつかの好ましい実施形態において、デバイスは、複数の粒子を含有する。いくつかの実施形態において、デバイスは、粒子の形である。通例、デバイスが粒子の形であるとき、粒子は、好適な担体に含まれて被験体に投与される。他の実施形態において、デバイスは、担体を必要とせずに、被験体の皮膚の表面もしくは皮膚内または粘膜表面への投与に好適な形である。これらのデバイスの例は、パッチ、皮膚挿入物体、腕時計、指輪などを含む。一実施形態において、デバイスは1つ以上の粒子をさらに含み、いくつかの実施形態において、粒子は異方性粒子である。
【0035】
デバイスの形に関わらず、好ましい実施形態において、診断デバイスは、シングルステップ診断デバイスである。本明細書で使用する場合、「シングルステップ診断デバイス」という用語は、デバイスが使用時に、単一の動作で、結果の検知に加えて判定可能なシグナルをユーザーに提供することを意味する。たとえば、いくつかの実施形態において、デバイスは、被験体の皮膚または粘膜表面の上または中に適用することができ、十分な期間の後に、ユーザーによって行われるいずれのさらなる動作、またはステップも用いずに、判定可能なシグナルを提供する。
【0036】
しかし、いくつかの実施形態において、デバイスは「2ステップ」または「マルチステップ」診断デバイスであり得る。たとえば、2ステップ診断デバイスでは、試料を試験される被験体から除去して(「第1のステップ」)、デバイスに適用することができ(「第2のステップ」)、次に十分な期間の後に、デバイスは、ユーザーによって行われるいずれのさらなる動作、またはステップも用いずに、判定可能なシグナルを提供する。
【0037】
A.反応剤およびシグナル伝達剤
本発明のある態様において、本明細書に記載するようなデバイスは、被験体に、たとえば被験体の血流もしくは皮膚に、または被験体内の粘膜部位に、検体の測定、および/もしくは治療剤、診断剤、検知剤の送達などの各種の目的で、またはいくつかの場合では、美容目的で(たとえば永続的なまたは一時的なタトゥーを作製するために)送達され得る。
【0038】
検体測定のために、デバイスは1つ以上の反応剤を含む。本明細書で使用する場合、「反応剤」または「検体反応剤」は、検出または測定される検体と結合および/または反応する任意の薬剤を意味する。
【0039】
「シグナル伝達剤」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の薬剤と組合せて、判定可能なシグナルを生成できる薬剤である。たとえばシグナル伝達剤は、着色粒子、比色、金または蛍光標識、染料などであり得る。いくつかの場合で、シグナル伝達剤は別の薬剤と反応して、判定可能なシグナルを生成する。たとえば反応は、たとえば被験体によって判定できる、光、熱、刺激などを生成し得る。
【0040】
通例、デバイスは少なくとも1つの反応剤および少なくとも1つのシグナル伝達剤を含有する。しかし、いくつかの実施形態において、反応剤はシグナル伝達剤でもある。たとえば、デバイスは、異方性粒子などの粒子であり得て、反応剤は粒子表面上の抗体などであり得る。代わりに、デバイスはパッチであり得るか、または皮膚表面上の粘膜表面に付着される基材を含有する。これらの実施形態において、反応剤は一般にパッチまたは基材の内部および/または表面にある。デバイスおよび反応剤の他の例は、下で議論する。
【0041】
別の実施形態において、デバイスは、1を超える反応剤および1を超えるシグナル伝達剤を含有する。本実施形態は、1を超える検体を判定するのに特に有用である。たとえば、少なくとも1つの反応剤および少なくとも1つのシグナル伝達剤を含有する第1のセットは、第1の検体を判定することができ、第1のセットの反応剤とは異なる少なくとも1つの反応剤および第1のセットの反応剤とは異なる少なくとも1つのシグナル伝達剤を含有する第2のセットは、第2の検体を判定し得る。
【0042】
異なる抗原の存在および/または量を監視するための2つの異なる抗体を含有するデバイスは、2つの異なるシグナル伝達剤、たとえば2つの異なる色も含有し得る。たとえば、第1の反応剤は癌胎児性抗原(「CEA」)に対する抗体であり、第2の反応剤は前立腺特異抗原(「PSA」)に対する抗体であり得る。詳細な非制限的な例として、色は、CEAでは黄色、PSAでは青色であり得て、両方が上昇した場合に緑色を生じ得る。本実施形態において、デバイスは、どちらかの起源の癌を監視するのに使用することができ、異なる色はどちらかまたは両方の癌の存在または可能性を示す。
【0043】
代わりにデバイスは、1つの反応剤を含有することができ、反応剤は、検体と反応するとともに、検出または測定される検体を結合して、検体の存在および/または量を示すシグナルを生成するシグナル生成分子、たとえば比色、金または蛍光標識によって標識される、検出可能なシグナル、たとえば抗体を生成する。別の実施形態において、シグナルは染料であり得る。
【0044】
デバイスは、被験体の身体的状況、たとえば特定の検体の健康レベル、潜在的に危険なレベル、または不健康レベルを判定するのに使用され得る。本明細書で使用する場合、「被験体」はヒトまたは非ヒト動物を含む。被験体の例は、これに限定されるわけではないが、哺乳動物、たとえばイヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット(たとえばドブネズミ)、マウス(たとえばハツカネズミ)、モルモット、ハムスター、霊長類(たとえばサル、チンパンジー、ヒヒ、類人猿、ゴリラなど)、鳥類、爬虫類、魚類などを含む。
【0045】
1.反応剤
反応剤は、検出または測定される検体と結合および/または反応する。本明細書で使用する場合、「結合」は一般に、通例、これに限定されるわけではないが、生化学的、生理学的、および/または化学的相互作用を含む、特異的または非特異的結合または相互作用による、相互の親和性または結合能力を示す、対応する分子または表面の対の間の相互作用を指す。結合は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、および/またはホルモンを含む生体分子の間であり得る。相互に結合する分子の詳細な非制限的な例は、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害物質、酵素/補因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクタ、核酸の相補鎖、タンパク質/核酸リプレッサ/インデューサ、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンド、ウイルス/細胞表面受容体などを含む。
【0046】
反応剤は、興味のある検体に特異的に、半特異的に、または非特異的にさえ結合し得る。好ましい実施形態において、反応剤は、測定または検出される検体を特異的または半特異的に、さらに好ましくは特異的に結合する。しかし、他の実施形態において、興味のある検体との、非特異的相互作用を含む他の相互作用を有する反応剤が使用され得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、「特異的に結合する」は、検出または測定される検体に結合する反応剤に言及するときに、異種分子(たとえばタンパク質および他の生体分子)の混合物中の検体の存在および/または同定に決定的である反応を指す。それゆえたとえば、受容体/リガンド結合対の場合、リガンドは、分子の複合混合物からその受容体に特異的および/もしくは優先的に結合する、またはその逆である。酵素は、その基質に特異的に結合する;核酸は、その補体に特異的に結合する;抗体は、その抗原に特異的に結合するなどである。
【0048】
結合は、これに限定されるわけではないが、イオン性相互作用または静電気相互作用、共有相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合などを含む、1つ以上の多様な機構によることができる。
【0049】
一実施形態において、検出または測定される検体と結合および/または反応する反応剤は、検体との特異的、非共有、物理化学的相互作用を形成し得る。
【0050】
検体と特異的に結合する多くの反応剤が当技術分野で公知であり、これに限定されるわけではないが、抗原に結合する抗体、受容体に結合するリガンド、基質に結合する酵素および相補的核酸を結合する核酸、ならびにアパタマー、すなわち特異的標的分子を結合するオリゴ核酸またはペプチド分子、キレート剤、およびイオン選択性ポリマーを含む、任意の分子種を含む。いくつかの場合で、結合は、非生体分子の間、たとえば触媒(たとえば反応剤)とその基質との間であり得る。反応剤は、検出または測定される検体としてのストレプトアビジンに結合するビオチンであり得るか、またはその逆である。代わりに、反応剤は、検出または測定されるタンパク質に対して作られた各種の抗体であり得る。
【0051】
デバイスに含まれ得る反応剤の各種の非制限的な例を下で説明する。
【0052】
a.キレート剤
反応剤はキレート剤であり得る。好適なキレート剤は、エチレンジアミン4酢酸(EDTA);ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA);N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン3酢酸(HEDTA);ニトリロ3酢酸(NTA);ヒスチジン;リンゴ酸塩;フィトケラチン、たとえばグルタチオンのオリゴマー、ホモフィトケラチン、デスグリシンフィトケラチン、ヒドロキシメチルフィトケラチン、およびイソフィトケラチン;ポルフィリン環、たとえばヘモグロビンおよびクロロフィル;キレート剤として作用する水溶性顔料、たとえばシデロフォア;クエン酸;ホスホン酸塩;テトラサイクリン;ポリカルボン酸ポリマー、たとえばアクリル酸ポリマーおよびコポリマー;アスコルビン酸;イミノジコハク酸4ナトリウム;ジカルボキシメチルグルタミン酸;エチレンジアミンジコハク酸(EDDS);ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)の7ナトリウム塩(DTPMP・Na7);加水分解羊毛;ニトリロ3酢酸(NTA);非極性アミノ酸、たとえばメチオニン;シュウ酸;リン酸;極性アミノ酸、たとえばアルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、リジン、およびオルニチン;コハク酸;ジメルカプロール;およびその組合せを含む。
【0053】
b.イオン選択性ポリマー
反応剤はイオン選択性ポリマーであり得る。好適なイオン選択性ポリマーは、これに限定されるわけではないが、ブロックコポリマー、たとえばポリ(カーボネート−b−ジメチルシロキサン);クラウンエーテル、チアクラウンエーテル、アザクラウンエーテル、またはクラウンエーテルがポリマーに固定化される場合にはその固定化誘導体;荷電基(たとえばカチオン性、アニオン性、および/または両性イオン基)に対する、ポリテトラフルオロエチレン;ならびに基材、たとえばポリマーに固定化され、荷電基によって官能化されたポリオール、たとえばエチレングリコール、グリセロール、ポリマー、たとえば架橋ポリ(塩化ビニルベンジル)に固定化され、ホスホリル化されたトリス(ヒドロキシメチル)エタン、ペンタエリスリトール、およびペンタエリスリトールトリエトキシレートを含む。
【0054】
イオン選択性ポリマーは、分子インプリントイオン選択性ポリマー、たとえばMolecularly Imprinted Polymers by Borje Sellergen,Elsevier Science BV,The Netherlands(2001)に記載され、下でさらに詳細に議論されるイオン選択性ポリマーでもあり得る。検出される検体が固有の発色団または他の検出手段を有する実施形態において、いくつかの場合では、必要条件は、結合親和性および安定性である(すなわち測定に必要な期間にわたって安定である)。代わりに、ポリマーは、検出されるシグナル(たとえば光学シグナル)の原因であり得る。これらの実施形態において、検体の結合は、検出されるシグナルを生成する原因である原子または原子の群に影響する部位にて発生できる。たとえば、検体のモル吸光係数を上昇させる、または着色錯体を生じる金属(または他の検体)に対するリガンドを選択できる。例は、Pb2+およびジチゾンを含む。色を呈さない金属イオン(または他の検体)では、検体は、蛍光錯体を形成するリガンド、たとえばベンゾインを有するZn2+により配位されることができる。後述するように、Zn2+/ベンゾイン錯体と反応して、スペクトルの可視領域で発光する種を生成する第2の試薬を添加できる。検体が負に荷電している場合、ルミネセンス金属イオンは、熱力学的結合親和性および好適な発色団の両方を獲得するために、結合部位の成分として選択できる。
【0055】
c.抗体
反応剤は、興味のある抗原の特定のエピトープに結合する抗体であり得る。代表的なエピトープは、これに限定されるわけではないが、血球凝集素(hemagglutin)(HA)、FLAG(登録商標)(Sigma−Aldrich)、c−Myc、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、His、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ジゴキシゲニン(DIG)、ビオチンまたはアビジンを含む。これらのエピトープに結合する抗体は、当分野で周知である。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。
【0056】
検出される検体に結合する反応剤として使用するための好適な抗体は、これに限定されるわけではないが、別々の重鎖、軽鎖Fab、Fab’F(ab’)2、Fabc、およびFvを含む、1つ以上の抗体の抗原結合断片を含む。抗体は、2重特異性または2機能性抗体も含む。反応剤およびその対応する検体の例示的な結合パートナーは、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/ニュートラアビジンおよびグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオンを含む。
【0057】
たとえばタンパク質Aは、生体分子IgGに結合するために、およびその逆に使用され得る反応剤である。タンパク質Aは通常、「非特異性」または「半特異性」結合剤と見なされる。グルコースに結合できる、グルコースオキシダーゼもしくはグルコース1−デヒドロゲナーゼなどの酵素、またはコンカナバリンAなどのレクチンも、本明細書に記載するデバイスで利用され得る。
【0058】
好適な反応剤の他の非制限的な例は、相補的核酸を結合する核酸、タンパク質を結合する核酸、他のタンパク質を結合するタンパク質、基質を結合する酵素、リガンドを結合する受容体、ホルモンを結合する受容体および抗原を結合する抗体を含む。
【0059】
2.シグナル伝達剤
シグナル伝達剤は、ある様式で判定できるシグナルを発生する。いくつかの実施形態において、判定可能なシグナルを生成するために1を超えるシグナル伝達剤が必要とされ得る。「判定する」は本文脈では一般に、種のたとえば定量的もしくは定性的な分析、および/または種の存在もしくは非存在を指す。「判定」は、2つ以上の種の間の相互作用の、たとえば定量的もしくは定性的な分析、および/または相互作用の存在もしくは非存在、たとえば2つの種の間の結合の判定も指し得る。一例として、検体は、デバイスまたはデバイスに存在する少なくとも1つのシグナル伝達剤の特性の判定可能な変化、たとえば化学的特性、外観および/もしくは光学的特性、温度、ならびに/または電気的特性の変化を直接または間接的に引き起こし得る。一般に、変化は、個人によって普通使用されるデバイス、たとえばメガネまたは補聴器を除いて、ヒトに直接適用され得る、またはヒトによって使用され得る任意の機器によって補助されずに、ヒトによって判定可能である。たとえば判定可能な変化は、任意のさらなる機器を使用せずにヒトによって判定可能である、外観(たとえば色)の変化、温度の変化、匂いの生成などであり得る。
【0060】
一実施形態において、1つ以上のシグナル伝達剤は、1つ以上の粒子、通例は異方性粒子の外面上にある。一実施形態において、粒子は、物体、通例は診断デバイス、または基材もしくは膜の表面中にある。好ましくは、粒子は、粒子が物体の表面に結合するように配向することができる。
【0061】
a.pH感受性試薬
シグナル伝達剤の一例は、pH感受性試薬である。例示的なpH感受性試薬は、これに限定されるわけではないが、フェノールレッド、ブロモチモールブルー、クロロフェノールレッド、フルオレセイン、HPTS(8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸、3ナトリウム塩、5(6)−カルボキシ−2’,7’−ジメトキシフルオレセインSNARF(登録商標)(モレキュラープローブス、Invitrogen)、およびフェノールフタレイン(phenothalein)を含む。
【0062】
b.イオンまたは分子の存在に感受性の試薬
別の実施形態において、シグナル伝達剤は、イオン、たとえばカチオン、アニオン、もしくは両方、または分子、たとえばO、CO、NH、脂肪酸、タンパク質、グルコースなどの存在に感受性の試薬であり得る。
【0063】
例は、これに限定されるわけではないが、Fura−2およびIndo−1などのカルシウムに感受性の試薬;6−メトキシ−N−(3−スルホプロピル)−キノリウムおよびルシゲニンなどの、塩化物に感受性の実体;4−アミノ−5−メチルアミノ−2’,7’−ジフルオロフルオレセインなどの、一酸化窒素に感受性の実体;トリス(4,4’−ジフェニル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)クロリド5水和物などの、溶解酸素に感受性の実体;溶解COに感受性の実体;ボディピー530標識グリセロホスホエタノールアミンなどの、脂肪酸に感受性の実体;4−アミノ−4’−ベンズアミドスチルベン−2−2’−ジスルホン酸(血清アルブミンに感受性)、X−GalまたはNBT/BCIP(ある酵素に感受性)、TbClからのTb3+(あるカルシウム結合タンパク質に感受性)、ボディピーFLファラシジン(アクチンに感受性)、またはボシリンFL(あるペニシリン結合タンパク質に感受性)などの、タンパク質に感受性の実体;グルコース、ラクトースもしくは他の成分の濃度に感受性の実体、またはプロテアーゼ、乳酸塩もしくは他の代謝副生成物に感受性の実体、タンパク質、抗体、もしくは他の細胞生成物に感受性の実体を含む。
【0064】
色以外の、または色に加えてのシグナル伝達剤の他の特性、たとえば温度変化および/または化学反応(たとえばカプサイシンによって生成される)は、他の実施形態において判定され得る。たとえば一実施形態において、シグナル伝達剤は、カプサイシンまたはカプサイシン様分子を含有する。シグナル伝達剤として使用され得る、カプサイシンおよびカプサイシン様分子の例は、これに限定されるわけではないが、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、またはノニバミドを含む。カプサイシンまたはカプサイシン様分子によって生成されたシグナルは被験体によって温度変化または灼熱感(感覚ニューロンとの反応により)として感知または検知され得るが、カプサイシン反応の機構は、実際の温度変化を必ずしも含まない。
【0065】
c.色シグナル
シグナル伝達剤および/またはデバイスは、被験体の表面またはデバイスの表面内で着色されて、または反応もしくは再配向して、変化または色の変化の出現を生成し得る。たとえば、一実施形態において、シグナル伝達剤は、検体に暴露させたときに視覚的外観の変化、たとえば全体的な色、色相、濃淡、テクスチャ(たとえば均一から不均一または「斑状」または不均質な外観)、反射性対非反射性の変化などを示す、粒子または粒子、たとえば異方性粒子内の部分もしくは領域であり得る。色、色相、濃淡、テクスチャ(たとえば均一色対塊状外観または色の不均質な混合)、反射率(たとえば反射性から非反射性)の変化、および/または特定の色の強度は変化し得る。一実施形態において、シグナル伝達剤は、色または別のインジケータを生成または放出して、反応するときに加水分解または特定の色を放出し、または反応するときに凝集して色を増強することがある。
【0066】
たとえば、1つ以上のシグナル伝達剤は、健康な状態を示す第1の色を生成して、同じまたは異なる反応剤は、疾患状態を示す第2の色を生成し得る。いくつかの場合で、デバイスの外観、たとえば特定の色は、1つ以上の検体に関して患者の健康の程度を示すために使用され得る。たとえば第1の色は健康な状態を示し、第2の色は警戒状態を示し、第3の色は危険状態を示し、または一連の色は被験体の健康の程度を示し得る。
【0067】
たとえば2つ以上の領域を含有する異方性粒子は、第1の領域に反応剤を、第1または第2の領域にシグナル伝達剤を含有し得る。
【0068】
詳細な例として、2つの領域を含有する第1のセットの粒子は第1の領域が黄色に、第2の領域が青色に着色されて、2つの領域を含有する第2のセットの粒子は、第1の領域が赤色に、第2の領域が青色に着色され得る。検体が存在しない場合、反応剤はランダムに配向されて、暗色の外観を与える(すなわち赤色+黄色+青色)。各セットの粒子のいずれかの領域に、異なる反応剤が存在し得る。一実施形態において、第1のセットの粒子は、青色に着色された第2の領域に第1の反応剤を含有し、場合により、第2のセットの粒子は、青色に着色された第2の領域に、第1の反応剤と同じまたは異なる検体と結合または相互作用する第2の反応剤を含む。両方のセットの粒子が同じ反応剤を、ただし粒子内に異なる濃度で含有する場合には、それらは存在する検体の濃度の相対量を判定するために使用され得る。たとえば検体が存在するが、低い濃度である場合、第1のセットの反応剤は検体を識別できるより高い濃度の反応剤を含有するため、第1のセットの反応剤は検体を結合できるが、第2のセットの反応剤は結合できない。それゆえ第1のセットの反応剤は、青色よりも黄色を呈することがあり(たとえば検体への第1のセットの反応剤の凝集のために;第1のセットの反応剤は、第2のセットの反応剤よりも高い程度で検体の周囲に凝集し得る)、反応剤の全体的な外観は、暗黄色の外観に移行する。検体のより高い濃度においては、どちらのセットの反応剤も検体を結合することができ、第2のセットの反応剤は、青色よりも赤色を呈し得る(たとえば第2セットの反応剤の凝集のために)。そして反応剤の全体的な外観は、オレンジ色の外観(赤色+黄色)に移行し得る。
【0069】
一実施形態において、反応剤は、シグナル伝達剤によって標識され得る。本実施形態において、反応剤はシグナル伝達剤として挙動する。たとえば反応剤が抗体である場合、抗体は蛍光標識され得る。それゆえ抗体が検出される検体と反応するとき、抗体は蛍光を発して判定可能なシグナルを生成する。
【0070】
代わりに、デバイスを含有する媒体の光学特性は、検体と相関させることが可能なある方式で変更され得る(たとえば異なる光散乱特性、異なる不浸透度、異なる透明度などを呈する)。いくつかの場合で、色の強度が変化することがあり、たとえば粒子のクラスタ形成によって、2つ以上のシグナル伝達剤が非常に近接し得る。
【0071】
別の実施形態において、デバイスは2つのシグナル伝達剤を含有し得る。たとえば、反応剤が検体と結合するとき、第1のシグナル伝達剤は、容易に検出されないシグナル、たとえばスペクトルのUV領域内で蛍光を生成する。第2のシグナル伝達剤は、検体および第1の反応剤の複合体と反応して、より容易に観察されるシグナル、たとえばスペクトルの可視領域内での発光(すなわち着色種)を生成する。
【0072】
d.他の特性
色以外に他の特性も判定され得る。したがって、本明細書で使用する場合「色」の使用は例示のためのみであり、色の代わりにまたは色に加えて他の特性が判定され得ることを理解すべきである。たとえば異方性(aniostropic)粒子のクラスタ形成によって粒子の電気特性または磁気特性に変化が生じることがあり、この変化は電場または磁場を判定することによって判定できる。たとえば図1Bに示すように、検体15を包囲している複数の粒子10は、孤立した粒子とは異なる磁気モーメントを有する粒子を生成することがあり、このことは粒子の磁気特性を判定することによって判定できる。
【0073】
別の例として、粒子の第1の領域および第2の領域は、異なる反応性を有することがあり(たとえば第1の領域は、酵素、抗体などに対して反応性であり得る)、粒子の凝集によって、判定することができる反応性の正味の変化が生じ得る。
【0074】
なお別の例として、粒子および/または検体を判定するために、サイズが使用され得る。たとえば、凝集体は目視で確認され得る、凝集体は沈殿を形成し得るなどである。それゆえたとえば、(異方性であり得る、またはあり得ない)粒子は、分離したときに第1の色であり、凝集したときに第2の色であると思われる。
【0075】
いくつかの場合で、アッセイ(たとえば凝集アッセイ)は、粒子の状態、すなわち凝集が生じたか否かを判定するために使用され得る。
【0076】
別の組の実施形態において、粒子の秩序化列が判定され得る。たとえば検体の非存在下では、粒子は、基材の表面で秩序化され得る;検体の存在下では、粒子は検体に結合して、表面に対して無秩序となり得る。この秩序化はたとえば表面の光学特性(たとえば屈折率、色、不浸透度など)の変化として判定され得る。
【0077】
また別の例として、形状記憶ポリマーまたは「スマートポリマーを使用して、形状変化が生成され得る。これらの例を下で議論する。
【0078】
本明細書で議論するような粒子のクラスタ形成または凝集は、一般的な球状凝集に限定されない。いくつかの場合で、粒子は表面上でクラスタ形成し得るか、または粒子は、検体もしくは他の外力のために表面に対してある様式で整列され得る。図4Bでは、粒子はたとえば、いくつかの場合では反転可能であり得る、外部から印加された磁場によって整列され得る。
【0079】
シグナル伝達剤は任意の様式で検出され得る
シグナル伝達剤は、直接、またはシグナル伝達剤を含有するデバイスの特性を、たとえば光の生成、熱の放出または吸収(すなわち温度の上昇または下降)、pH変化、ガスの放出、香り、味、テクスチャ、感覚(たとえば刺激または痛み)を生じる化合物などにより判定することによってのどちらかで判定できる任意の様式で反応し得る。いくつかの場合で、沈殿および/または綿状塊が形成され得る−または分散し得る。別の例において、シグナル伝達剤および/またはシグナル伝達剤を含有するデバイスのクラスタ形成によって、シグナル伝達剤および/またはシグナル伝達剤を含有するデバイスの電気または磁気特性の変化が引き起こされることがあり、この変化は、電場または磁場の変化を示すことができる。詳細な例として、粒子、たとえば異方性粒子は、検体への暴露時に光を生成する、熱を放出するなどの、1つ以上のシグナル伝達剤を含有し得る。
【0080】
いくつかの場合で、凝集体は沈殿および/または綿状化し得る。たとえば粒子が溶液中に存在する場合、粒子は、溶液から分離されることがあり、場合により除去またはそうでなければ分析できる凝集体を形成し得る。また別の例として、たとえば検体および粒子が競合的または非競合的阻害を示す場合、検体の非存在下に、粒子の凝集体が形成されるが、検体の存在下では(少なくとも部分的に)脱凝集し得る。このような結合および/または凝集は、いくつかの場合で平衡に基づくことがあり、すなわち結合および/または凝集は、脱結合または脱凝集プロセスと平衡して発生する。それゆえ粒子を取り巻く環境がある様式で変化したとき(たとえば検体の濃度の変化)、平衡はそれに応じて移行して、このことは(たとえば色の変化として)ただちに判定できる。このような平衡に基づく系は、いくつかの場合で、環境変化を判定するためにいずれのエネルギーも印加する必要なしに、環境のこのような変化を判定できることに注目すべきである。
【0081】
温度変化
第1と第2のシグナル伝達剤の間の反応は、吸熱または発熱反応であり;検出可能な温度変化を生じることがある。一例として、デバイスは、反応剤と、第1のシグナル伝達剤としての水酸化バリウム(Ba(OH))と、第2のシグナル伝達剤としての硝酸アンモニウム(NHNO)を含有し得る。一実施形態において、デバイスは、異方性または非異方性であり得る複数の粒子を含有する。本実施形態において、第1のシグナル伝達剤は第1のセットの粒子にあり、第2のシグナル伝達剤は第2のセットの粒子にあり得る。しかし、別の実施形態において、粒子は2つ以上の領域を含有することがあり、第1のシグナル伝達剤は粒子の第1の領域にあり、第2のシグナル伝達剤は、同じ粒子の第1シグナル伝達剤とは異なる領域にある。シグナル伝達剤は、溶解または懸濁して存在することがあり、水酸化バリウムと硝酸アンモニウムとの間にはごく低いレベルの反応が発生する。しかし、反応剤によって識別される種が添加されるとき、粒子の凝集が発生し得る。粒子が凝集して種の表面で配向すると、第1および第2のシグナル伝達剤もより近接するようになり、シグナル伝達剤の間の反応速度を上昇させることができる。この場合、水酸化バリウムと硝酸アンモニウムとの間の反応は、硝酸バリウム(Ba(NO)およびアンモニウム(NH)を生じる吸熱反応である。これは温度の下降を判定することによって判定され得る。
【0082】
デバイスは、反応剤として、グルコースに結合可能であるグルコース反応剤、たとえばレクチン(たとえばコンカナバリンA)、グルコースオキシダーゼまたはグルコース1−デヒドロゲナーゼも含有し得る。比較的低レベルのグルコースでは、デバイスの凝集はほとんどまたは全く発生せず、被験体によって温度変化は感じられない。しかし、比較的高レベルのグルコースでは、デバイスがグルコースの周囲に配向して、反応剤を相互に近接させて、反応剤の間の反応速度を上昇させるように、デバイスの多少の凝集が発生する。この場合、水酸化バリウムと硝酸アンモニウムとの間の反応は、硝酸バリウム(Ba(NO)およびアンモニウム(NH)を生じる吸熱反応である。これは温度の下降として検知され得る。
【0083】
刺激または痛み
刺激または痛みも、検出されるシグナルとして使用できる。一例として、デバイスは、反応剤と、反応剤が結合または相互作用する種との相互作用時に、刺激原を放出し得る。たとえばグルコースセンサは、PEOなどの生体適合性ポリマー、またはポリ乳酸および/またはポリグリコール酸のポリマーで形成されたデバイスから作製できる。第1のセットのデバイスが種に対する反応剤および第1のシグナル伝達剤を含有するのに対して、第2のセットのデバイスも種に対する反応剤(第1セットのデバイスの反応剤と同じまたは異なり得る)および第2のシグナル伝達剤を含有する。第1および第2のシグナル伝達剤はたとえば、被験体によって痛みとして感知され得る、カプサイシンまたはジヒドロカプサイシンなどのカプサイシン様分子の放出を引き起こす2つの薬剤であり得る。一実施形態において、第1のデバイスは、カプサイシンまたはカプサイシン様分子を含有するリポソームであり、第2のデバイスは、リボソームを分解させて、それによりカプサイシンをリポソームから放出することができるリパーゼであり得る。第1のセットのデバイスは、反応剤として、グルコースに結合可能であるグルコース反応剤、たとえばレクチン(たとえば、コンカナバリンA)、グルコースオキシダーゼまたはグルコース1−デヒドロゲナーゼも含有する。別の実施形態において、デバイスは、粒子、たとえば異方性粒子を含有し得る。
【0084】
e.触覚の変化
形状記憶ポリマー
別の実施形態において、検体の結合または存在によって、組成物の触覚の変化(たとえば形状またはテクスチャの変化)を生じる。たとえば形状記憶ポリマー(SMP)または「スマートポリマー」は、1つ以上の検体の存在を検出するためのシグナル伝達剤として使用できる。
【0085】
文献では、SMPは一般に、硬質セグメントおよび軟質セグメントを有する相分離直鎖ブロックコポリマーとして特徴付けられる。硬質セグメントは通例、結晶性であり、規定の融点を有し、軟質セグメントは通例、アモルファスであり、規定のガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態において、しかし硬質セグメントはアモルファスであり、融点ではなくガラス転移温度を有する。他の実施形態において、軟質セグメントは結晶性であり、ガラス転移温度ではなく融点を有する。軟質セグメントの融点またはガラス転移温度は実質的に、硬質セグメントの融点またはガラス転移温度よりも低い。
【0086】
SMPを硬質セグメントの融点またはガラス転移温度を超えて加熱するときに、材料を成形することができる。この(元の)形状は、SMPを硬質セグメントの融点またはガラス転移温度以下に冷却することによって、記憶させることができる。形状が変形される間に、成形したSMPを軟質セグメントの融点またはガラス転移温度以下に冷却すると、その(一時的な)形状が固定される。元の形状は、材料を軟質セグメントの融点またはガラス転移温度を超えて、しかし硬質セグメントの融点またはガラス転移温度以下で加熱することによって回復される。元の形状の回復は、温度の上昇によって誘起され、熱形状記憶効果と呼ばれる。材料の形状記憶能力を説明する特性は、元の形状の形状回復および一時的形状の形状固定である。
【0087】
形状記憶ポリマーは、少なくとも1つの物理的架橋(硬質セグメントの物理的相互作用)を含有するか、または硬質セグメントの代わりに共有架橋を含有することができる。形状記憶ポリマーは、相互貫入網目または半相互貫入網目でもあり得る。固体から液体状態への状態変化(融点またはガラス転移温度)に加えて、硬質および軟質セグメントは、固体から固体への状態転移を受けることがあり、高分子電解質セグメントを含むイオン性相互作用または高度に組織化された水素結合に基づく超分子効果を受けることができる。
【0088】
温度の関数として形状または相を変化させることができる他のポリマーは、プルロニック(登録商標)を含む。これらはポロキサマー、すなわちポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2本の親水性鎖が隣接したポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖から成る非イオン性トリブロックコポリマーとしても公知である。ポリマーブロックの長さをカスタマイズできるため、わずかに異なる特性を有する多くの異なるポロキサマーが存在する。「ポロキサマー」という総称では、これらのコポリマーは一般に、(ポロキサマーの)文字「P」と続いての3桁によって命名され、最初の2桁×100は、ポリオキシプロピレンコアのおおよその分子量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有率をパーセンテージで示す(たとえばP407=分子量4,000g/molおよびポリオキシエチレン含有率70%のポリオキシプロピレンによるポロキサマー)。プルロニック(登録商標)という商品名では、これらのコポリマーのコード化は、室温でのその物理形を定義する文字(L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で開始して、2または3桁が続く。数字表示の最初の桁(3桁の数字のうちの2桁)は、300を掛けると、疎水性物質のおおよその分子量を示す;最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有率をパーセントで示す(たとえばL61=分子量1,800g/molおよびポリオキシエチレン含有率10%のポリオキシプロピレンによるプルロニック)。示した例では、ポロキサマー181(P181)=プルロニックL61である。プルロニック(登録商標)は、U.S.patent No.3,740,421に記載されている。
【0089】
疎水性モノマー、水素結合モノマー、および感熱性モノマーから成る架橋コポリマーを含む、その下限臨界溶液温度(LCST)にて明瞭な相変化を有するゲルを形成する、他の温度感受性ポリマーは、SamraらへのU.S.Patent No.6,538,089に記載されている。
【0090】
N−イソプロピルアクリルアミド(NIP);1−ビニル−2−ピロリドン(VPD);および場合により、アクリル酸(AA)の共重合生成物を含むさらなる熱応答性、水溶性ポリマーは、温度の関数として形状を変化させる。成分AAの割合が上昇すると、下限臨界溶液温度(LCST)は下降して、COOH反応性基が増加し、コポリマーに高い反応性を与える。LinらへのU.S.Patent No.6,765,081に記載されているように、モノマーの割合を調整することによって、広範囲のLCSTを約20〜80℃で操作することができる。
【0091】
形状記憶効果は通例、熱効果の文脈で説明されるが、ポリマーはその形状を、光の印加、イオン濃度および/もしくはpHの変化、電場、磁場もしくは超音波に応じて変化することができる。たとえばSMPは、少なくとも1つの硬質セグメントおよび少なくとも1つの軟質セグメントを含むことができ、少なくとも2つのセグメント、好ましくは2つの軟質セグメントは、光、電場、磁場または超音波の印加時に切断可能である官能基を介して相互に結合されている。一時的形状は、直鎖ポリマーを架橋することによって固定される。これらの結合を切断することによって、元の形状を回復できる。これらの結合を架橋および切断するための刺激は、同じでも異なっていてもよい。
【0092】
一実施形態において、形状記憶ポリマー組成物は、発色団である検体と結合、複合体化、または相互作用する。硬質および/または軟質セグメントは、発色団が光を吸収するときにシス異性体からトランス異性体に移行する2重結合を含むことができる。したがって光を使用して、2重結合が異性体化するか否かを観察することによって、発色団検体の存在を検出できる。
【0093】
形状記憶効果は、イオン強度またはpHの変化によっても誘起できる。各種の官能基が、あるイオンの存在下で、またはpHの変化に応答して架橋することが公知である。たとえばカルシウムイオンはアミンおよびアルコール基を架橋することが公知であり、すなわちアルギン酸塩のアミン基はカルシウムイオンによって架橋することができる。またカルボキシル基およびアミン基は、あるpHにおいて荷電種となる。これらの種が荷電すると、それらは反対の電荷のイオンと架橋することができる。硬質および/または軟質セグメントに、イオン種の濃度および/またはpHの変化に応答する基が存在することによって、これらのセグメントの間に可逆的結合が生じる。セグメントを架橋する間に、物体の形状を固定することができる。形状が変形された後に、イオン濃度またはpHの変化によって、セグメント間の架橋を形成したイオン性相互作用の切断を引き起こすことができ、それにより変形により生じた歪が軽減され、それゆえ物体が元の形状に戻る。このプロセスでイオン結合が形成および破壊されるので、これは1回のみ行うことができる。しかし結合は、イオン濃度および/またはpHを変化させることによって再形成することが可能なため、プロセスを所望する通りに反復できる。それゆえ本実施形態において、イオン強度またはpHを変化させる検体の存在によって、ポリマーにおける形状記憶効果を誘起することができ、検体の存在が確認される。
【0094】
電場および/または磁場も、形状記憶効果を誘起するために使用できる。各種の部分、たとえば多数の非局在化電子を持つ発色団は、印加された磁場または電場のパルスに応答して、場によって生じた電子流の増加の結果として、温度を上昇させる。材料が温度を上昇させた後に、材料は、材料が直接加熱されたのと同じ方式で温度誘起形状記憶を受けることができる。これらの組成物は、植込み材料への熱の直接印加が困難であり得るが、印加された磁場または電場の印加が発色団を持つこれらの分子にのみ影響して、周囲組織は加熱しない、生物医学用途で特に有用である。たとえば多数の非局在化電子を持つ発色団検体の存在は、印加された電場または磁場のパルスに応答して、形状記憶ポリマーインプラントを取り巻く微小環境での温度上昇を引き起こすことができる。このような温度上昇によって次に、熱形状記憶効果が引き起こされ、それゆえ特定の検体の存在を確認することができる。
【0095】
他の多くの種類の「スマートポリマー」は、HoffmanらへのU.S.Patent No.5,998,588に記載されている。ポリマーおよび相互作用性分子などの刺激応答性成分が部位特異的コンジュゲートを形成する能力の組合せは、多様なアッセイ、分離、処理、および他の用途で有用である。ポリマー鎖の立体配座および体積は、pH、温度、光、または他の刺激の変化によって操作することができる。相互作用性分子は、環境または製造プロセスにおいて、タンパク質またはペプチドなどの生体分子、たとえば抗体、受容体、もしくは酵素、リガンドに特異的に結合する多糖類もしくは糖タンパク質、または核酸、たとえばアンチセンス、リボザイム、およびアパタマー、または有機もしくは無機分子に対するリガンドであり得る。刺激応答性ポリマーは特定の部位で認識生体分子にカップリングされるので、ポリマーをリガンド−生体分子結合を隣接する結合部位、たとえばストレプトアビジンのビオチン結合部位、抗体の抗原結合部位または酵素の活性な基質結合部位にて変化させる刺激によって操作することができる。結合は、完全に遮断(すなわちコンジュゲートがオン−オフスイッチとして作用する)または部分的に遮断(すなわちコンジュゲートが結合を部分的に遮断する、またはより大きいリガンドのみを遮断する加減抵抗器として作用する)され得る。リガンドが結合されると、リガンドおよびリガンドに結合されているものの排出を引き起こすために1つ(またはそれ以上)のコンジュゲートポリマーを刺激することによって、リガンドを結合部位から排出させることもできる。代わりに、刺激応答性成分を適切な環境刺激に暴露することによって、ポリマーコンジュゲート生体分子の選択的分配、相分離または沈殿を達成することができる。
【0096】
液晶ポリマー材料を使用して、検体の検出または定量のシグナルを提供することもできる。液晶は、3次元すべてではなく、1次元または2次元のみで長距離秩序を示す物質である。液晶状態の際立った特徴は、分子、すなわちメソゲンが配向子として公知の共通軸に沿って配向する傾向である。この特色は、固有の秩序を持たない、分子が液体またはアモルファス相にある材料、および高次に秩序化され、平行移動の自由度がほとんどない、分子が固体状態にある材料とは対照的である。液晶状態の特徴的な配向秩序は、結晶相と液相の間に相当する。好適な材料は、MathiowitzらによるU.S.Patent Nos.6,465,002および6,696,075に記載されている。これらは圧力または温度感受性であり、色または形状の変化を生成することによって反応することができる。
【0097】
f.2つ以上のシグナル伝達剤の間の他の相互作用
さらに、判定可能なシグナルを生成するために1を超えるシグナル伝達剤が必要とされ得ることに注目すべきである。たとえば第1シグナル伝達剤および第1シグナル伝達剤と反応する第2のシグナル伝達剤を含有する第1のセットの粒子があり得る。粒子がある様式で(たとえば検体または粒子それぞれの反応剤によって認識される他の化学薬品への暴露によって、粒子を共に近接させるための電力、磁力、および/または機械的な力の印加などによって)集結されるとき、第1および第2のシグナル伝達剤は相互に反応し得る。
【0098】
詳細な例として、第1のシグナル伝達剤と第2のシグナル伝達剤との間の反応は、吸熱または発熱反応であり得る;それゆえ粒子が集結されるとき、温度変化が生じ、これはある様式で判定できる。
【0099】
たとえば図6Aに示すように、検体と結合または相互作用する第1の反応剤を含有する第1の領域11および第1のシグナル伝達剤を含有する第2の領域12を有する第1の粒子10は、検体と結合または相互作用する第2の反応剤を含有する第1の領域21および第2のシグナル伝達剤を含有する第2の領域22を有する、第2の粒子20と集結され得る。図6Bでは、検体15が導入されて、粒子10および20が集結され、したがって領域22および12が近接される。検体を供給することによって、これらのシグナル伝達剤が相互に反応性である場合、第1のシグナル伝達剤と第2のシグナル伝達剤との間の反応は、反応剤を近接させることによって誘起または少なくとも加速することができる。第1および第2のシグナル伝達剤は、相互に反応して判定可能なシグナルを生成する任意の好適な薬剤であり得る。たとえば第1および第2の反応剤は、熱(たとえば発熱反応においてなど)、低温(たとえば吸熱反応においてなど)、色の変化、次に判定可能な生成物などを生成することができる。
【0100】
別の例として、第1のシグナル伝達剤と第2のシグナル伝達剤との間の反応によって、材料の放出が引き起こされ得る。いくつかの場合で、材料は、たとえばカプサイシン、酸、アレルゲンなど、被験体が検知できる材料である。それゆえ被験体は、変化を温度、痛み、掻痒感、膨潤などの変化として検知し得る。他の例は、血管拡張または血管収縮を引き起こす薬剤、ヒスタミン、刺激原(たとえばカプサイシン、毒、たとえばハチ、サソリ、火蟻などによる毒)、着色剤、染料、発泡剤、放出時に匂いを生成する薬剤などを含む。
【0101】
第1の反応剤と第2の反応剤との間の反応は、1つ以上の治療剤、診断剤、および/または予防剤の放出を引き起こし得る。治療剤の例示的なクラスは、これに限定されるわけではないが、興奮剤;鎮痛剤;麻酔剤;抗喘息剤;抗関節炎剤;抗癌剤;抗コリン作動剤;抗痙攣剤;抗うつ剤;抗糖尿病剤;止瀉薬;制吐剤;駆虫剤;抗ヒスタミン薬;抗高脂血症剤;降圧剤;抗感染剤;抗炎症剤;片頭痛剤;抗悪性腫瘍剤;抗パーキンソン病薬;止痒剤;抗精神病剤;解熱剤;鎮痙剤;抗結核剤;抗潰瘍剤;抗ウイルス剤;抗不安剤;食欲抑制薬(食欲減退剤);注意欠陥障害薬および注意欠陥過活動性障害薬;カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症剤、中枢神経系(「CNS」)剤、ベータ遮断薬および抗不整脈剤を含む心血管剤;中枢神経系刺激薬;利尿薬;遺伝物質;ホルモン遮断薬(hormonolytics);睡眠薬;血糖降下剤;免疫抑制剤;筋肉弛緩薬;麻薬拮抗薬;ニコチン;栄養剤;副交感神経遮断薬;ペプチド薬;精神刺激薬;鎮静薬;唾液分泌促進薬、ステロイド;禁煙剤;交感神経作動剤;精神安定薬;血管拡張薬;ベータ作動薬;および子宮収縮抑制剤を含む。
例示的な治療剤は、これに限定されるわけではないが、アセクロフェナク(ceclofenac)、アセトアミノフェン、アトモキセチン(adomexetine)、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アマンタジン、アムシノニド、アミノシクロプロパン、アミトリプチリン、アムロジピン(amolodipine)、アモキサピン、アンフェタミン、アリピプラゾール、アスピリン、アトモキセチン、アゼセトロン、アザタジン、ベクロメタゾン、ベナクチジン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ビシファジン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブスピロン、ブトルファノール、ブトリプチリン、カフェイン、カルバマゼピン、カルビドパ、カリソプロドール、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、サリチル酸コリン、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロニタゼン、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、クロザピン、コデイン、コルチコステロン、コルチゾン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダポキセチン、デメキシプチリン、デシプラミン、デソモルヒネ、デキサメタゾン、デキサナビノール、硫酸デキストロアンフェタミン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジベンゼピン、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロモルヒネ、ジメタクリン、ジバルプロエクス(divalproxex)、ジザトリプタン、ドラセトロン、ドネペジル、ドチエピン、ドキセピン、デュロキセチン、エルゴタミン、エスシタロプラム、エスタロザム、エトスクシミド、エトドラク、フェモキセチン、フェナム酸、フェノプロフェン、フェンタニル、フルジアゼパム、フロキセチン、フルフェナジン、フルラゼパム、フルルビプロフェン、フルタゾラム、フルボキサミン、フロバトリプタン、ガバペンチン、ガランタミン、ゲピロン、イチョウ、グラニセトロン、ハロペリドール、フペルジンA、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イミプラミン、インディプロン、インドメタシン、インドプロフェン、イプリンドール、イプサピロン、ケタセリン、ケトプロフェン、ケトロラク、レソピトロン、レボドパ、リパーゼ、ロフェプラミン、ロラゼパム、ロキサピン、マプロチリン、マジンドール、メフェナム酸、メラトニン、メリトラセン、メマンチン、メペリジン、メプロバメート、メサラジン、メタプラミン、メタキサロン、メタドン、メタドン、メタンフェタミン、メトカルバモール、メチルドパ、メチルフェニデート、サリチル酸メチル、メチルセギド、メトクロプラミド、ミアンセリン、ミフェプリストン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モクロベミド、モダフィニル(抗ナルコレプシー薬)、モリンドン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、ナブメトン、ナドロール、ナプロキセン、ナラトリプタン、ネファゾドン、ニューロンチン、ノミフェンシン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルサラジン、オンダンセトロン、オピプラモール、オルフェナドリン、オキサフロザン、オキサプラジン、オキサゼパム、オキシトリプタン、オキシコドン、オキシモルフォン、パンクレリパーゼ、パレコキシブ、パロキセチン、ペモリン、ペンタゾシン、ペプシン、ペルフェナジン、フェナセチン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ホスファチジルセリン、ピモジド、ピルリンドール、ピロキシカム、ピゾチフェン、ピゾチリン、プラミペキソール、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレガバリン、プロパノロール、プロピゼピン、プロポキシフェン、プロトリプチリン、クアゼパム、キヌプラミン、レボキセチン(reboxitine)、レセルピン、リスペリドン、リタンセリン、リバスチグミン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロチゴチン、サルサラート、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スルファサラジン、スリンダク、スマトリプタン、タクリン、テマゼパム、テトラベナジン(tetrabenozine)、チアジド、チオリダジン、チオチキセン、チアプリド、チアシピロン(tiasipirone)、チザニジン、トフェナシン、トルメチン、トロキサトン、トピラメート、トラマドール、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトベンズアミド、トリミプラミン、トロピセトロン、バルデコキシブ、バルプロ酸、ベンラフェキシン、ビロキサジン、ビタミンE、ジメルジン、ジプラシドン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロンならびにその異性体、塩、および組合せを含む。
【0102】
B.粒子
いくつかの実施形態において、デバイスは1つ以上の粒子を含有し、好ましくは複数の粒子を含有する。別の実施形態において、粒子はそれ自体が診断デバイスである。たとえば異方性粒子は、検体検出デバイスとして利用できる。
【0103】
粒子は広範囲の用途で使用できる。たとえば粒子は、反応剤に認識される検体に暴露させたときに、先に議論したように、粒子をたとえば凝集体として検体の周囲に集合させる反応剤を含み得る。凝集体は、ランダム配向状態などの、非凝集状態の粒子から識別可能な視覚または他のシグナルを生成し得る。いくつかの場合で、粒子は凝集体したときに化学反応を引き起こすことがあり、これにより検出可能なシグナルが生成される。
【0104】
a.微粒子およびナノ粒子
粒子は、微粒子および/またはナノ粒子であり得る。「微粒子」は、マイクロメートル程度(すなわち約1マイクロメートル〜約1mm)の平均直径を有する粒子であるのに対して、「ナノ粒子」は、ナノメートル程度(すなわち約1nm〜約1マイクロメートル)の平均直径を有する粒子である。いくつかの場合で、複数の粒子が使用されることがあり、いくつかの場合では、粒子のいくつか、または実質的にすべてが同じであり得る。たとえば少なくとも約5%の、少なくとも約10%の、少なくとも約30%の、少なくとも約40%の、少なくとも約50%の、少なくとも約60%の、少なくとも約70%の、少なくとも約80%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、または少なくとも約99%の粒子が、同じ形状を有し得る、および/または同じ組成を有し得る。たとえば一実施形態において、少なくとも約50%の粒子が異方性であり得る。
【0105】
b.異方性粒子
一組の実施形態において、検体を判定するために被験体で使用する粒子は、異方性粒子であり(しかし他の場合では、粒子は必ずしも異方性ではない)、いくつかの場合で、粒子の実質的にすべてが異方性粒子である。ある場合で、少なくとも約10%の、少なくとも約30%の、少なくとも約40%の、少なくとも約50%の、少なくとも約60%の、少なくとも約70%の、少なくとも約80%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、または少なくとも約99%の粒子が、異方性粒子である。一実施形態において、異方性粒子は第1の色を有する第1の領域および第1の色とは異なる第2の色を有する第2の領域を有することができ、粒子は、被験体内の検体への暴露時に、上で議論したように、第1の領域または第1の色と比べて、過剰な第2の領域または第2の色を示すクラスタを形成し得る。粒子は、たとえば被験体の血流中、間質液中および/または皮膚内(たとえば表皮内の一時的なタトゥ)に存在し得る。粒子が被験体の皮膚まで送達される場合、粒子は、皮膚内(または皮膚の下)の任意の位置まで、たとえば表皮まで、真皮まで、皮下的に、筋肉内などに送達され得る。いくつかの場合で、皮膚内に粒子の「デポー」を形成することができ、デポーは一時的または永続的であり得る。たとえば、デポー内の粒子は、最終的に分解する(たとえば粒子が生分解性である場合)、血流に入る、または環境へと脱落し得る。一例として、粒子が主に表皮に送達される場合、粒子の多くは最終的に環境中に脱落して(表皮が脱落するときに)、すなわち粒子は、被験体内に一時的に(たとえば数日または数週間の期間で)存在する。しかし粒子が組織のより下層、たとえば真皮またはそれ以下に送達される場合、次に粒子はただちに環境中に脱落しないことがあり(または粒子が環境中に脱落するためにより長期間掛り得る)、それゆえ粒子は皮膚により長期間存在し得る。たとえば粒子は、被験体中に数週間、数か月、または数年にわたって存在し得る。
【0106】
「異方性」粒子は、本明細書で使用する場合、球対称ではない粒子である(しかし粒子はなお各種の対称を示し得る)。非対称は、形状の、組成の、または両方の非対称であり得る。一例として、卵またはアメリカンフットボールの形状を有する粒子は、完全な球状ではなく、それゆえ異方性を示す。別の例として、厳密に2分の1が赤色であり、2分の1が青色である(またはそうでなければ異なる側面で異なる表面特徴を示す)ように塗装された球も、少なくとも1つの対称軸をなお示すであろうが、完全な球対称でないために異方性である。したがって粒子は、その形状のために、ならびに/または粒子の表面および/もしくは粒子内に存在する2つ以上の領域のために、異方性であり得る。粒子は、第1の表面領域と、第1の領域とはある点で、たとえば着色、表面コーティング、1つ以上の反応剤の存在などのために異なる第2の表面領域とを含み得る。粒子は、その表面のみに異なる領域を有し得るか、または粒子は、内部に2つ以上の異なる領域を有し得て、その部分が粒子の表面まで延在する。領域は、同じまたは異なる形状を有し、粒子の表面に任意のパターンで分散され得る。たとえば領域は、粒子を2つの半球に、各半球が同じ形状および/もしくは同じ表面積を有するように分割され得るか、または領域はさらに複雑な配置に分散され得る。たとえば第1の領域は、粒子の表面に円形状を有し得るが、第2の領域は粒子の残りの表面を占有し、第1の領域は、第2の領域が取り巻く一連の別個の領域または「スポット」として存在し得て、第1および第2の領域はそれぞれ、粒子の表面に一連の「ストライプ」として存在し得るなどである。いくつかの場合で、粒子は3つの、4つの、5つの、またはそれ以上の別個の表面領域を含み得る。たとえば粒子は、別個の第1、第2および第3の表面領域を;別個の第1、第2、第2、および第4の表面領域を;別個の第1、第2、第3、第4および第5の表面領域などを含み得る。いくつかの場合で、表面領域は別々に着色することができ、いくつかの例では、異方性粒子は、外部環境に応じて複数の色を示すことが可能である。たとえば粒子は、下で議論するように、第1の検体に応じて第1の色を、第2の検体に応じて第2の色を呈し得る。
【0107】
検体の非存在下では、異方性粒子は、図1Aに示すようにランダムに配向され得て、粒子(10)は第1の領域(11)および第2の領域(12)を含有する。しかし検体(15)の存在下では、粒子のいくつか(10a、bおよびc)は検体に向かって配向し得て、いくつかの場合では、検体を包囲し得る(図1Bを参照)。それゆえ検体は、粒子の配向を変化させることができる。
【0108】
粒子と検体との間の相互作用は競合的であり得る。一実施形態において、検体は、濃度依存的な方式で粒子間の結合と競合する。検体の濃度が高くなればなるほど、粒子間に発生する結合はより少なくなり、シグナルはより大きくなる。対照的に、低い検体濃度によって、より大きい粒子間結合、それゆえより少ないシグナルが生じる。別の実施形態において、検体と反応剤との間の結合によって1つのシグナルが生じ、粒子間の結合によって別のシグナルが生じる。高濃度の検体では、結合は主に検体と反応剤との間であるが、低濃度では、結合は主に粒子間である。
【0109】
たとえば反応剤が粒子の第1の領域(11)に存在するが、第2の領域(12)には存在しない場合、図1Bに示すように粒子が検体(15)に向かって配向しているため、第2の領域(12)の色が第1の色に優先し得る。したがって、検体をこのような異方性粒子に暴露することによって、複数の検体−粒子クラスタが形成され得て、いくつかの実施形態において、クラスタは、粒子の第1の表面領域に比べて第2の表面領域を過剰に呈し得る。
【0110】
図1Cは、第1の検体に応じて第1の色を、第2の検体に応じて第2の色を呈することができる異方性粒子を示す。図1Cにおいて、粒子10は、第1の領域(11)、第2の領域(12)、第3の領域(21)、および第4の領域(22)を含有する。第1の領域(11)は、第1の検体に結合する反応剤を含有し得るが、第3の領域(21)は第2の検体に結合する第2の反応剤を含有し得る。それゆえ第1の検体の存在下では、粒子は第2の領域(12)(たとえば第1の色)を示し得るが、第2の検体の存在下では、粒子は第4の領域(22)(たとえば第2の色)を示し得る。それゆえ粒子は、2つの異なる検体の存在および/または相対量を判定するために使用され得る。
【0111】
別の実施形態において、粒子に対する電力、磁力、および/または機械的な力の印加によって、粒子は色の変化を呈する。たとえば粒子の少なくとも一部が磁気浸透性である場合、磁場の印加によって、粒子はクラスタを形成し得る。これは、図1Aに示すようなランダムに分散した粒子が、外部から印加された磁場の影響下で図2Aに示すような粒子クラスタを形成するように誘導されている、図2Aに見ることができる。
【0112】
図2Bに示すように、第1の領域(11)および第2の領域(12)を含有する異方性粒子(10)は、外部から印加された磁場などの外部の力によって制御され得る。この例では、第1の領域(11)は反応剤(13)を含有し、第2の領域(12)は、たとえば別の薬剤(14)、たとえば治療剤、検知剤、または色(たとえば染料、比色剤、蛍光実体、リン光実体などによって生成される)を含有し得る。
【0113】
異方性粒子の非制限的な例は、J.Lahannらによる、“Multi−phasic Nanoparticles”という名称の、2006年9月14日にU.S.Publication No.2006/0201390として公開され、2005年11月10日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/272,194;J.Lahannによる、“Multi−Phasic Bioadhesive Nan−Objects as Biofunctional Elements in Drug Delivery Systems”という名称の、2007年10月11日にU.S.Publication No.2007/0237800として公開され、2007年7月15日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/763,842;またはDouglas A.Levinsonによる、“Compositions and Methods for Diagnostics,Therapies,and Other Applications”という名称の、2008年6月4日に出願されたU.S.Provisional Patent Application Serial No.61/058,796に開示されており、そのそれぞれは参照により本明細書に組み入れられている。
【0114】
AndersonらによるU.S.Publication No.2003/0159615は、着色シグナルを生成するために使用できる、着色染料を含有するおよび/または着色染料から成る多種多様の微粒子について記載している。
【0115】
c.材料
粒子(異方性であっても、また異方性でなくてもよい)は、用途に応じて任意の好適な材料から形成され得る。たとえば、粒子は、ガラス、および/またはポリマー、たとえばポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン、ポリフルオロエチレン、ポリアクリル酸、ポリアミド(たとえばナイロン)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートおよび/またはポリプロピレンを含み得る。いくつかの場合で、粒子は、リン酸3カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フッ素リン灰石、酸化アルミニウム、または酸化ジルコニウムなどのセラミックを含み得る。いくつかの場合で(たとえばある生物学的用途で)、粒子は、生体適合性および/または生分解性ポリマー、たとえばポリ乳酸および/またはポリグリコール酸、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、デンプン、セルロース、キトサン、および/またはこれらの組合せから形成され得る。一組の実施形態において、粒子は、ヒドロゲル、たとえばアガロース、コラーゲン、またはフィブリンを含み得る。
【0116】
d.磁気感受性材料
粒子は、いくつかの場合で、磁気感受性材料、たとえば常磁性または強磁性を示す材料を含み得る。たとえば粒子は、鉄、酸化鉄、マグネタイト、ヘマタイト、または鉄を含有する他のいくつかの化合物を含み得る。別の実施形態において、粒子は、導電性材料(たとえばチタン、銅、白金、銀、金、タンタル、パラジウム、ロジウムなどの金属)、または半導体材料(たとえばケイ素、ゲルマニウム、CdSe、CdSなど)を含むことができる。他の粒子は、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、InSe、Cd、CdAs、InAs、またはGaAsを含む。
【0117】
e.追加の薬剤
粒子は、他の種、たとえば細胞、生化学種、たとえば核酸(たとえばRNA、DNA、PNAなど)、タンパク質、ペプチド、酵素、ナノ粒子、量子ドット、香料、インジケータ、染料、蛍光種、化学薬品、小型分子(たとえば約1kDa未満の分子量を有する)も含み得る。一実施形態において、粒子は、1つ以上の反応剤および/または1つ以上のシグナル伝達剤を含有することに加えて、反応剤を使用して特定される疾患または障害を処置するための1つ以上の治療剤も含有する。
【0118】
治療剤の例示的なクラスは、これに限定されるわけではないが、興奮剤;鎮痛剤;麻酔剤;抗喘息剤;抗関節炎剤;抗癌剤;抗コリン作動剤;抗痙攣剤;抗うつ剤;抗糖尿病剤;止瀉薬;制吐剤;駆虫剤;抗ヒスタミン薬;抗高脂血症剤;降圧剤;抗感染剤;抗炎症剤;片頭痛剤;抗悪性腫瘍剤;抗パーキンソン病薬;止痒剤;抗精神病剤;解熱剤;鎮痙剤;抗結核剤;抗潰瘍剤;抗ウイルス剤;抗不安剤;食欲抑制薬(食欲減退剤);注意欠陥障害薬および注意欠陥過活動性障害薬;カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症剤、中枢神経系(「CNS」)剤、ベータ遮断薬および抗不整脈剤を含む心血管剤;中枢神経系刺激薬;利尿薬;遺伝物質;ホルモン遮断薬(hormonolytics);睡眠薬;血糖降下剤;免疫抑制剤;筋肉弛緩薬;麻薬拮抗薬;ニコチン;栄養剤;副交感神経遮断薬;ペプチド薬;精神刺激薬;鎮静薬;唾液分泌促進薬、ステロイド;禁煙剤;交感神経作動剤;精神安定薬;血管拡張薬;ベータ作動薬;および子宮収縮抑制剤を含む。
【0119】
第1および第2の反応剤の間の反応は、1つ以上の治療剤、診断剤、および/または予防剤の放出を引き起こし得る。例示的な治療剤は、これに限定されるわけではないが、アセクロフェナク(ceclofenac)、アセトアミノフェン、アトモキセチン(adomexetine)、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アマンタジン、アムシノニド、アミノシクロプロパン、アミトリプチリン、アムロジピン(amolodipine)、アモキサピン、アンフェタミン、アリピプラゾール、アスピリン、アトモキセチン、アゼセトロン、アザタジン、ベクロメタゾン、ベナクチジン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ビシファジン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブスピロン、ブトルファノール、ブトリプチリン、カフェイン、カルバマゼピン、カルビドパ、カリソプロドール、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、サリチル酸コリン、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロニタゼン、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、クロザピン、コデイン、コルチコステロン、コルチゾン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダポキセチン、デメキシプチリン、デシプラミン、デソモルヒネ、デキサメタゾン、デキサナビノール、硫酸デキストロアンフェタミン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジベンゼピン、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロモルヒネ、ジメタクリン、ジバルプロエクス(divalproxex)、ジザトリプタン、ドラセトロン、ドネペジル、ドチエピン、ドキセピン、デュロキセチン、エルゴタミン、エスシタロプラム、エスタロザム、エトスクシミド、エトドラク、フェモキセチン、フェナム酸、フェノプロフェン、フェンタニル、フルジアゼパム、フロキセチン、フルフェナジン、フルラゼパム、フルルビプロフェン、フルタゾラム、フルボキサミン、フロバトリプタン、ガバペンチン、ガランタミン、ゲピロン、イチョウ、グラニセトロン、ハロペリドール、フペルジンA、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イミプラミン、インディプロン、インドメタシン、インドプロフェン、イプリンドール、イプサピロン、ケタセリン、ケトプロフェン、ケトロラク、レソピトロン、レボドパ、リパーゼ、ロフェプラミン、ロラゼパム、ロキサピン、マプロチリン、マジンドール、メフェナム酸、メラトニン、メリトラセン、メマンチン、メペリジン、メプロバメート、メサラジン、メタプラミン、メタキサロン、メタドン、メタドン、メタンフェタミン、メトカルバモール、メチルドパ、メチルフェニデート、サリチル酸メチル、メチルセギド、メトクロプラミド、ミアンセリン、ミフェプリストン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モクロベミド、モダフィニル(抗ナルコレプシー薬)、モリンドン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、ナブメトン、ナドロール、ナプロキセン、ナラトリプタン、ネファゾドン、ニューロンチン、ノミフェンシン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルサラジン、オンダンセトロン、オピプラモール、オルフェナドリン、オキサフロザン、オキサプラジン、オキサゼパム、オキシトリプタン、オキシコドン、オキシモルフォン、パンクレリパーゼ、パレコキシブ、パロキセチン、ペモリン、ペンタゾシン、ペプシン、ペルフェナジン、フェナセチン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ホスファチジルセリン、ピモジド、ピルリンドール、ピロキシカム、ピゾチフェン、ピゾチリン、プラミペキソール、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレガバリン、プロパノロール、プロピゼピン、プロポキシフェン、プロトリプチリン、クアゼパム、キヌプラミン、レボキセチン(reboxitine)、レセルピン、リスペリドン、リタンセリン、リバスチグミン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロチゴチン、サルサラート、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スルファサラジン、スリンダク、スマトリプタン、タクリン、テマゼパム、テトラベナジン(tetrabenozine)、チアジド、チオリダジン、チオチキセン、チアプリド、チアシピロン(tiasipirone)、チザニジン、トフェナシン、トルメチン、トロキサトン、トピラメート、トラマドール、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトベンズアミド、トリミプラミン、トロピセトロン、バルデコキシブ、バルプロ酸、ベンラフェキシン、ビロキサジン、ビタミンE、ジメルジン、ジプラシドン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロンならびにその異性体、塩、および組合せを含む。
【0120】
別の実施形態において、粒子は、その分散または凝集の程度または量に基づいて、異なるシグナルを生成する粒子であり得る。たとえば、金ナノ粒子などのある粒子またはコロイドは、検体と相互作用可能な薬剤によってコーティングすることができる。このような粒子は、粒子を含有する材料の光吸収特性に基づいて変化が与えられるような方式で、検体の存在下で相互に会合し得るか、または反対に解離し得る。たとえば相補的(complimentary)核酸配列によってコーティングした粒子を使用して粒子結合核酸配列に相補的な(complimentary)標的核酸をキャラクタリゼーションすることができる。この手法は、各種の実施形態で、いずれのクラスの検体にも適用可能であり、さらに皮膚に基づく視覚センサとして使用できる。凝集体を特定する技法の非制限的な例は、U.S.Patent No.6,361,944に開示されている。
【0121】
f.サイズおよび形状
粒子は任意のサイズおよび形状を有し得る。たとえば粒子は、約5mmまたは2mm未満の、または約1mm未満の、または約500ミクロン未満の、約200ミクロン未満の、約100ミクロン未満の、約60ミクロン未満の、約50ミクロン未満の、約40ミクロン未満の、約30ミクロン未満の、約25ミクロン未満の、約10ミクロン未満の、約3ミクロン未満の、約1ミクロン未満の、約300nm未満の、約100nm未満の、約30nm未満の、または約10nm未満の平均直径を有し得る。
【0122】
粒子は球状または非球状であり得る。たとえば粒子は、長方形または細長いか、またはS.Mitragotriらによる、“Engineering Shape of Polymeric Micro− and Nanoparticles”という名称の、2008年5月15日にU.S.Publication No.2008/0112886として公開され、2007年9月7日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/851,974;S.Mitragotriらによる“Engineering Shape of Polymeric Micro−and Nanoparticles”という名称の、2008年3月13日にWO 2008/031035として公開され、2007年9月7日に出願されたInternational Patent Application No.PCT/US2007/077889;J.Lahannらによる、“Multi−phasic Nanoparticles”という名称の、2006年9月14日にU.S.Publication No.2006/0201390として公開され、2005年11月10日に出願された、U.S.Patent Application Serial No.11/272,194;またはJ.Lahannによる、“Multi−Phasic Bioadhesive Nan−Objects as Biofunctional Elements in Drug Delivery Systems”という名称の、2007年10月11日にU.S.Publication No.2007/0237800として公開され、2007年6月15日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/763,842に開示されているような他の形状を有し得て、そのそれぞれは参照により本明細書に組み入れられている。
【0123】
非球状粒子の平均直径は、非球状粒子と同じ体積を有する完全球の直径である。粒子が非球状である場合、粒子は、たとえば楕円、立方体、繊維、チューブ、ロッドの形状、または不規則形状を有し得る。いくつかの場合で、粒子は中空または多孔性であり得る。他の形状、たとえばコア/シェル構造(たとえば組成を有する)、矩形ディスク、高縦横比矩形ディスク、高縦横比ロッド、ワーム状、扁平楕円、長楕円、楕円ディスク、UFO、円形ディスク、バレル、弾丸、丸剤、プーリー、両凸レンズ、リボン、ラビオリ、フラット丸剤、双円錐形、ダイヤモンドディスク、凹形ディスク、細長六角形ディスク、タコス、縮緬状長楕円、縮緬状扁平楕円、多孔性楕円ディスクも可能である。
【0124】
g.診断デバイスとしての粒子
別の実施形態において、粒子はそれ自体が診断デバイスである。本実施形態では、粒子は、好適な担体を使用して被験体に投与され得る。たとえば一実施形態において、粒子は注射によって投与される。粒子は液剤、懸濁剤、またはエマルションとして投与できる。粒子の注射に好適な担体は、これに限定されるわけではないが、滅菌生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物、および植物油などの油を含む。製剤は、1つ以上の製薬的に許容される賦形剤、たとえば分散化剤、pH調節剤、緩衝剤、界面活性剤、等張剤、保存料、水溶性ポリマー(たとえばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デキストラン、およびカルボキシメチルセルロース)、およびその組合せを含有し得る。別の実施形態において、粒子は、被験体の皮膚表面または粘膜表面に好適な担体を使用して局所的に投与され得る。粒子の局所投与のために好適な担体は、ゲル、フォーム、軟膏、ペースト、およびローションを含む。クリームまたはローションは、たとえば任意の順序で分散された(たとえば水中油型または油中水型)疎水性および親水性材料(たとえば油および水)のエマルションを含有し得て、粒子は、エマルション相のいずれか1つ以上に存在し得る。
【0125】
「親水性」は本明細書で使用する場合、水とただちに相互作用する強極性基を有する物質を指す。
【0126】
「親油性」という用語は、脂質への親和性を有する化合物を指す。
【0127】
「両親媒性」は、親水性および親油性(疎水性)特性を組合せた分子を指す。
【0128】
「疎水性」は、本明細書で使用する場合、水への親和性がなく;水をはじいて吸収せず、水に溶解もしない、または水と混合もしない傾向がある物質を指す。
【0129】
「連続相」は、固体が懸濁された、または別の液体の液滴が分散された液体を指し、時には外部相と呼ばれる。これは固体または流体粒子が中に分散されているコロイドの流体相も指す。連続相が水(または別の親水性溶媒)である場合、水溶性または親水性薬は連続相に溶解するであろう(分散されるのとは対照的に)。多相製剤(たとえばエマルション)では、分散(discreet)相は連続相に懸濁または分散される。
【0130】
「エマルション」は、共に均一にブレンドされた非混和性成分の混合物を含有する組成物である。詳細な実施形態において、非混和性成分は、親油性成分および水性成分を含む。エマルションは、第2の液体全体に小球として分散された1つの液体の調製物である。分散された液体は不連続相であり、分散媒体は連続相である。油が分散された液体であり、水溶液が連続相であるとき、これは水中油型エマルションとして公知であるのに対して、水または水溶液が分散された相であり、油または油性物質が連続相であるとき、これは油中水型エマルションであることが公知である。油相および水相のいずれかまたは両方は、1つ以上の界面活性剤、乳化剤、エマルション安定剤、緩衝剤、および他の賦形剤を含有し得る。好ましい賦形剤は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;乳化剤、特に乳化ワックス;および液体不揮発性非水性材料、詳細にはグリコール、たとえばプロピレングリコールを含む。油相は、他の油性の製薬的に承認された賦形剤を含有し得る。たとえばヒドロキシル化ヒマシ油またはゴマ油などの材料は、油相中で界面活性剤または乳化剤として使用され得る。
【0131】
「ローション」は、低〜中粘度の液体製剤である。ローションは、懸濁化剤および分散化剤を使用することによって、分散媒体に溶解された微粉化物質を含有することができる。代わりにローションは、分散相液体として、ビヒクルと非混和性であり、乳化剤または他の好適な安定剤によって通常は分散される物質を含有できる。ローションの流動性によって、広い表面積への迅速で均一な適用が可能である。ローションは通例、皮膚上で乾燥して、皮膚の表面に医薬品成分の薄い膜を残すことを目的としている。
【0132】
「クリーム」は、「水中油型」または「油中水型」のどちらかの粘性の液体または半固体エマルションである。クリームは、乳化剤および/または他の安定剤を含有し得る。一実施形態において、製剤は、1000センチストロークを超える、通例は20,000〜50,000センチストロークの範囲の粘度を有するクリームの形である。クリームは、クリームが一般に適用しやすく、除去しやすいために、軟膏よりも好ましいことが多い。
【0133】
クリームとローションの違いは粘度であり、粘度は各種の油の量/使用および製剤を調製するために使用した水のパーセンテージに依存する。クリームは通例、ローションよりも濃厚であり、各種の用途を有することがあり、皮膚に対する所望の効果に応じて、さらに多様な油/バターが使用されることが多い。クリーム製剤では、水ベースパーセンテージは全体の約60〜75%であり、油ベースパーセンテージは約20〜30%であり、残りのパーセンテージは乳化剤、保存料および添加剤で合計100%となる。
【0134】
「軟膏」は、軟膏ベースおよび場合により1つ以上の活性剤を含有する、半固体調製物である。好適な軟膏ベースの例は、炭化水素ベース(たとえばワセリン、白色ワセリン、黄色軟膏、および鉱油);吸収ベース(親水性ワセリン、無水ラノリン、ラノリン、およびコールドクリーム);水除去ベース(たとえば親水性軟膏)、および水溶性ベース(たとえばポリエチレングリコール軟膏)を含む。ペーストは通例、それらがより高いパーセンテージの固体を含有するという点で、軟膏とは異なる。ペーストは通例、同じ成分で調製した軟膏よりも吸収性であり、脂肪分が少ない。
【0135】
「ゲル」は、液体ビヒクル中に溶解または懸濁した増粘剤またはポリマー材料の作用によって半固体にされた、液体ビヒクル中に小型または大型分子の分散物を含有する半固体系である。液体は、親油性成分、水性成分または両方を含み得る。いくつかのエマルションはゲルであり得るか、またはそうでなければゲル成分を含み得る。しかしいくつかのゲルは、それらが非混和性成分の均質化ブレンドを含有しないため、エマルションではない。好適なゲル化剤は、これに限定されるわけではないが、修飾セルロース、たとえばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース;カーボポールホモポリマーおよびコポリマー;およびその組合せを含む。液体ビヒクル中の好適な溶媒は、これに限定されるわけではないが、ジグリコールモノエチルエーテル;アルキレン(alklene)グリコール、たとえばプロピレングリコール;ジメチルイソソルビド;アルコール、たとえばイソプロピルアルコールおよびエタノールを含む。溶媒は通例、薬物を溶解するその能力のために選択される。皮膚の感触および/または製剤の皮膚軟化性を改善する他の添加剤も組み込まれ得る。このような添加剤の例は、これに限定されるわけではないが、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸エチル、安息香酸C12−C15アルキル、鉱油、スクアラン、シクロメチコン、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、およびその組合せを含む。
【0136】
フォームは、ガス状噴射剤と組合せたエマルションから成る。気体状噴射剤は主に、ヒドロフルオロアルカン(HFA)から成る。好適な噴射剤は、HFA、たとえば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227)を含むが、医療用途に現在承認されているか、または承認されることになる、これらおよび他のHFAの混合物および混和物は好適である。噴射剤は好ましくは、噴射中に可燃性または爆発性蒸気を生成する可能性がある、炭化水素噴射ガスではない。さらに組成物は、使用中に可燃性または爆発性蒸気を生成する可能性がある揮発性アルコールを好ましくは含有しない。
【0137】
緩衝剤は、組成物のpHを制御するために使用する。好ましくは、緩衝剤は、組成物を約4のpHから約7.5のpHへ、さらに好ましくは約4のpHから約7のpHへ、最も好ましくは約5のpHから約7のpHに緩衝する。好ましい実施形態において、緩衝剤はトリエタノールアミンである。
【0138】
保存料を使用して、真菌および微生物の増殖を防止することができる。好適な抗真菌剤および抗菌剤は、これに限定されるわけではないが、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコールおよびチメロサールを含む。
【0139】
代わりに、粒子は粘膜接着性であり、組織の粘膜表面に噴霧され得る。たとえば粒子は、粘膜接着性ポリマーから形成され得る。粘膜接着性ポリマーは、2つの群:ヒドロゲルおよび親水性ポリマーに分類できる。粘膜接着性ポリマーは通例、組織に付着する官能基、たとえばカルボン酸基、ヒドロキシル基、および/またはアミン基を含有する。粘膜接着性ポリマーのクラスは、これに限定されるわけではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および他のセルロース誘導体、カーボポール、ポリアクリレートおよび架橋ポリアクリレート、キトサンおよびその誘導体(N−トリメチルキトサン)、オイドラギット(登録商標)という商品名で入手可能なアクリル樹脂、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)、およびその組合せを含む。
【0140】
キット
一実施形態において、粒子を被験体に送達するための装置が使用され得る。たとえば装置は、注射器またはバイアルであり得る。装置はキットに含まれ得る。たとえばキットは、凍結乾燥または乾燥微粒子を含有する注射器ならびに滅菌食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水などの懸濁化剤をキット内に含有し得る。
【0141】
h.診断デバイスの成分としての粒子
いくつかの実施形態において、デバイスは、1つ以上の粒子を含有し、好ましくは複数の粒子を含有する。本実施形態は、下でさらに詳細に説明する。
【0142】
C.デバイスの形
a.粒子
上述した一実施形態において、デバイスは粒子の形である。一実施形態において、粒子は注射に好適な形である。代わりに、粒子は、皮膚表面または粘膜表面への局所適用のために設計され得る。これらの実施形態のそれぞれにおいて、粒子は、好適な担体を使用して投与される。
【0143】
b.非注射型デバイス
別の実施形態において、デバイスは非注射型実施形態である。一実施形態においてデバイスは皮膚または粘膜表面(口、舌下、直腸、膣)に適用される。デバイスは、少なくとも2つの構成要素:(1)表示モニタ、表面、またはシグナル放出機構および(2)検体収容または反応チャンバまたは表面を含む。2つの構成要素は、隣接しているか、または単一の二重目的構成要素であることさえあり得る。デバイスは、1つ以上の反応剤および1つ以上のシグナル伝達剤も含有する。一実施形態において、シグナル伝達剤は、判定可能なシグナルを生成するために、デバイスの外面と整列するように設計されている。
【0144】
皮膚または粘膜表面に配置する例示的なデバイスを図3に示す。図3に示すように、デバイス(40)は通例、基材層(50)およびチャンバ(60)を含有し、場合によりデバイスは外層(70)も含有する。
【0145】
一実施形態において、デバイスは、ユーザーの表面に適用させるのに好適な生体適合性材料で形成された基材層(50)を含有する。一実施形態において、この層は接着性である。皮膚接着剤は持続の程度および長さに幅があり、商業的に入手できる。たとえば皮膚接着剤は、長期間の創傷閉止のためのシアノアクリレート、またはバンドエイド(登録商標)などの創傷被覆材、もしくは紫外線不浸透性透明皮膚パッチに見られる種類の軽度の接着剤であり得る。
【0146】
チャンバ(60)は、1つ以上の反応剤(62a、b、c)および1つ以上のシグナル伝達剤(61aおよびb)を含有する。通例、ユーザーの表面に近接したチャンバの側面(66)は、少なくとも検出される検体を浸透させることができる。これにより検体をユーザーからデバイス中に移動させる。
【0147】
いくつかの実施形態において、外部層(70)はガスに対して不浸透性であるが、他の実施形態において、外部層はガス交換が可能である。たとえば検出可能なシグナルが反応剤によって放出される香気である実施形態において、デバイスは好ましくは、ユーザーがその香気を嗅げるようにするためのガス浸透性外部層を含む。
【0148】
一実施形態において、デバイスは中空または固体皮膚挿入物体を含有する。本実施形態の例を図3Bに示し、そこでは皮膚挿入物体(35a、b、cおよびd)がユーザーの表面に近接したチャンバの側面(66)を介して基材層(50)に付着している。場合により皮膚挿入物体は中空であり、体からの血液または間質液などの体液を基材中に移動させて反応剤に接触させるように設計されている。
【0149】
デバイスは、指輪、ブレスレット、腕時計、イヤリング、または接触部位にて物理的に束縛されている他のデバイスの形であり得る。一般にこれらの実施形態において、デバイスは通例、物理的拘束具などの代わりの手段を使用して表面に適用されるため、デバイスは皮膚表面に近接した接着層を含有しないであろう。デバイスは、接着剤または物理的拘束具の利用によって適用され得る。皮膚接着剤は持続の程度および長さに幅があり、3M、Johnson & Johnson、および多様な他の医療用品会社から入手できる。これらは長期間の創傷閉止のためのシアノアクリレート、またはバンドエイド(登録商標)などの創傷被覆材に見られる種類の軽度の接着剤であり得る。好適な経皮デバイスを作製するのに使用できる紫外線不浸透性透明皮膚パッチは、GoeringerへのU.S.Patent No.5,811,108に記載されている。
【0150】
粘膜デバイス
デバイスは患者の口腔に、さらに詳細には、口腔の舌および舌下領域に適用され得る。舌の裏側および基部は、舌の下の口腔基部と同様に、非常に変化に富み、血管新生され、表面に近い毛細血管を含有しており、このことにより検出および測定のために検体を移動できるようにかなりの表面積が与えられる。
【0151】
デバイスは、フィルム、パッチまたは舌下スペースに接着する他の接着剤の形であってもよく、検体をデバイス内またはデバイス表面に捕捉する。代わりに、微粒子またはナノ粒子を含有する粉末化組成物は、口腔へ、たとえば舌の上表面に、さらに好ましくは舌下スペースに送達され得る。
【0152】
a.粘膜接着性パッチまたは包帯
デバイスは粘膜表面に接着され、時間と共に溶解またはそうでなければ崩壊して、粒子を粘膜表面に持続様式で送達し得る。デバイスは、ヒト口腔粘膜に良好な接着を示す組成物を有する少なくとも1つの表面を含有し得る。デバイスは、生体接着性材料から成り得るか、または口腔、膣または直腸範囲の粘膜表面に接着する、生体接着性材料をコーティングしたもしくは生体接着材料から成る1つ以上の表面を有し得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、粒子は粘膜接着性材料を含有し得る。いくつかの場合で、たとえば反応が色変化によって検出されるときに、粒子は組織上に噴霧され得る。
【0154】
頬側錠が公知である。たとえばU.S.Patent Nos.4,740,365および4,764,378を参照。
【0155】
粘膜表面に接着する非粘膜接着性デバイスに使用する接着剤は、当分野で公知である。ポリアクリル酸およびポリイソブチレンは、このような接着剤の成分として開示されている。たとえばChenへのU.S.Patent No.3,339,546は、口腔の湿潤表面に接着すると言われ、天然または合成ゴム状物質に組み込まれた医薬品および親水コロイド(カルボキシポリメチレン(すなわちポリアクリル酸))を含む包帯を開示している。RobinsonへのU.S.Patent No.4,615,697は、生体接着剤および治療剤を含む組成物を開示している。生体接着剤は、水膨潤性であるが、非水溶性、繊維状で架橋したカルボキシ官能性ポリマーであり、カルボキシ含有性ポリマーは、その少なくとも約80%が少なくとも1個のカルボキシ官能基を含有する複数の反復単位、およびポリアルケニルポリエーテルを実質的に含まない、約0.05〜約1.5%の架橋剤を含有する。ChenらへのU.S.Patent No.4,253,460は、親水コロイドゴム、圧力感受性接着剤、および凝集強化剤の混合物から成る接着性組成物を開示している。圧力感受性接着性成分は、粘度平均分子量が約36,000〜約53,000のポリイソブチレン3〜5部および粘度平均分子量が約1,150,000〜約1,600,000のポリイソブチレンなどのエラストマー1部の混合物であり得る。YukimatsuらへのU.S.Patent No.4,740,365は、活性成分および2つのポリマー成分の混合物を含む持続放出調製物を開示しており、第1のポリマー成分はポリアクリル酸またはその製薬的に許容される塩を含み、第2のポリマー成分はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アルギン酸、またはアルギン酸の製薬的に許容される塩である。カーボポール(登録商標)樹脂は、第1に言及したクラスのポリマーの好適なメンバと言われるポリマーに含まれる。InoueらへのU.S.Patent No.4,772,470は、適合可能な状態のポリアクリル酸および酢酸ビニルポリマーの混合物を含む口腔包帯を開示している。この包帯は、口腔粘膜または歯に適用させたときに長期間にわたって強力な接着力を示すと言われている。
【0156】
粘膜接着性ポリマーは、生体粘膜組織に対して少なくとも約110N/m接触面積(11mN/cm)の接着力を有するポリマーとして定義される。好適な測定方法は、MathiowitzらへのU.S.Patent No.6,235,313に記載されている。ポリ酸無水物は、好ましい種類の粘膜接着性ポリマーである。無水物ポリマーまたはオリゴマーを生体接着性にする機構は、末端のカルボキシル基の存在と結合された、ポリマーの疎水性主鎖の組合せによるものと考えられる。荷電カルボキシラート基と組織との相互作用は、他の生体接着によって示されている。特に、生体接着性であると見なされる製薬業界の材料は通例、カルボン酸基と、しばしばヒドロキシル基も含有する親水性ポリマーである。製薬業界の標準はしばしば、カーボポール(商標)(高分子量のポリ(アクリル酸))であると見なされる。他のクラスの生体接着性ポリマーは、中程度から高いカルボキシル置換密度を有することを特徴とする。比較的疎水性の無水ポリマーは、親水性カルボキシラートポリマーと比較したときに、優れた生体接着特性を示すことが多い。
【0157】
好適なポリ酸無水物は、ポリアジピン酸無水物、ポリフマル酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリマレイン酸無水物、ポリリンゴ酸無水物、ポリフタル酸無水物、ポリイソフタル酸無水物、ポリアスパラギン酸無水物、ポリテレフタル酸無水物、ポリイソフタル酸無水物、ポリカルボキシフェノキシプロパン無水物および異なるモル比の他のポリ酸無水物とのコポリマーを含む。
【0158】
イガイ、他の二枚貝および藻類が岩および他の基材に水中で付着するための天然接着剤が公知である(WaiteへのU.S.Patent No.5,574,134、BenedictらへのU.S.Patent No.5,015,677およびVreelandらへのU.S.Patent No.5,520,727を参照)。これらの接着剤は、ポリ(ヒドロキシ置換)芳香族基を含有するポリマーである。イガイおよび他の二枚貝では、このようなポリマーは、ジヒドロキシ置換芳香族基、たとえば3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)を含有するタンパク質を含む。藻類では、様々なポリヒドロキシ芳香族、たとえばフロログルシノールおよびタンニンが使用される。水中の表面に付着する際に、二枚貝は基材に付着して、それにより二枚貝を基材に結合する、予め形成されたタンパク質を分泌する。最初の付着ステップの後、天然ポリマーは通例、隣接するヒドロキシル基の酸化によって永続的に架橋される。DOPAの各種のポリマー主鎖への付着は、BenedictらへのU.S.Patent No.4,908,404およびSchestopolらへのU.S.Publication No.2005/0201974に記載されている。好適な粘膜接着性ポリマーは、DOPA−マレイン酸無水物コポリマー;イソフタル酸無水物ポリマー;DOPA−メタクリレートポリマー;およびDOPA−セルロースベースポリマーを含む。
【0159】
生体接着性材料は、カテコール官能基を有するポリマーを含有する。生体接着性材料の分子量およびポリマーの芳香族化合物による置換パーセントは大きく変化し得る。置換度は所望の接着強度に基づいて変化し、低くは10%、20%、25%、50%の、または最大100%の置換であり得る。平均でポリマー主鎖中の少なくとも50%のモノマーが、少なくとも1個の芳香族基によって置換される。好ましくは主鎖中のモノマーの75〜95%が、少なくとも1つの芳香族基または芳香族基を含有する側鎖によって置換される。好ましい実施形態において、平均でポリマー主鎖中のモノマーの100%が、少なくとも1つの芳香族基または芳香族基を含有する側鎖によって置換される。得られた生体接着性材料は、約1〜2,000kDaに及ぶ分子量のポリマーである。生体接着性材料の主鎖を形成するポリマーは、いずれの非生分解性または生分解性ポリマーでもよい。好ましい実施形態において、ポリマーは疎水性ポリマーである。一実施形態において、ポリマーは生分解性ポリマーであり、経口投薬製剤を形成するのに使用される。
【0160】
好ましい生分解性ポリマーの例は、ポリヒドロキシ酸などの合成ポリマー、たとえば乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)およびポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、および天然ポリマー、たとえばアルギン酸塩および他の多糖類、コラーゲン、その化学誘導体(化学基の置換、付加、たとえばアルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化、および当業者によって日常的に行われる他の修飾)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンならびに他の疎水性タンパク質、そのコポリマーおよび混合物を含む。一般にこれらの材料は、インビボでの酵素的加水分解または水への暴露、表面またはバルク侵食のどちらかによって分解する。上記の材料は、単独で、物理的混合物(ブレンド)として、またはコポリマーとして使用され得る。
【0161】
粘膜接着性材料は、JacobらへのU.S.Patent No.5,985,312に記載されているように、ポリマーが粘膜などの組織表面に付着する能力を向上させるためのオリゴマーおよび金属酸化物ポリマーを組み込む、MathiowitzらへのU.S.Patent No.5,955,096に記載されているようにポリ(フマル酸:セバシン酸)も含む。好ましくは、ポリマーは生分解性ポリマーである。
【0162】
D.追加の薬剤または材料
a.検体移動促進剤
デバイスの皮膚もしくは粘膜表面へのまたは皮膚もしくへ粘膜表面中への投与の前または投与と同時に、1つ以上の化学促進剤がデバイスの投与部位に投与され得る。化学促進剤は、ドナー製剤中の薬物の溶解度上昇、皮下への分配の増加、脂質2分子層の流動化、および細胞内タンパク質の破壊を含む、複数の異なる機構を介して、経皮薬物輸送を増加させることが見出されている(Kost and Langer,In Topical Drug Bioavailability,Bioequivalence, and Penetration;Shah and Maibech,ed.(Plennum,NY 1993)pp.91−103(1993))。EppsteinらへのU.S.5,445,611も参照。
【0163】
脂質2分子層破壊剤
化学促進剤は、薬物輸送を各種の機構によって増加させることが見出されている。脂質への浸透性を向上させる化学薬品は公知であり、市販されている。たとえばエタノールは、薬物の溶解度を最大10,000倍に上昇させて(Mitragotriら、In End of Pharm.Tech.:Swarbrick and Boylan,eds.Marcel Dekker 1995)、エストラジオールの流量を140倍に上昇させることが見出されているのに対して、不飽和脂肪酸は脂質2分子層の流動性を上昇させることが示されている(Bronaugh and Maiback,editors(Marcel Dekker 1989)pp.1−12)。
【0164】
脂質2分子層を破壊する脂肪酸の例は、リノール酸、カプリン酸、ラウリン酸、およびネオデカン酸を含み、これらはエタノールまたはプロピレングリコールなどの溶媒に含まれていてもよい。公開されている浸透データを脂質2分子層破壊剤を利用して評価すると、親油性化合物の浸透促進のサイズ依存性の観察と非常に良好に一致している。プロピレングリコール中の3つの2分子層破壊化合物、カプリン酸、ラウリン酸、およびネオデカン酸の浸透促進は、Aungstら、Pharm.Res.7,712−718(1990)によって報告された。
【0165】
脂質2分子層破壊剤の総合的なリストは、European Patent Application 43,738(1982)に記載されている。例示的な化合物は式:
R−X
によって表され、式中、Rは、炭素原子約7〜16個の直鎖アルキル、炭素原子約7〜22個の非末端アルケニル、または炭素原子約13〜22個の分枝鎖アルキルであり、Xは、−OH、−COOCH、−COOC、−OCOCH、−SOCH、−P(CHO、COOCOCOH、−COOCH(CHOH)CHOH、−COOCHCHOHCH、COOCHCH(OR”)CHOR”、−(OCHCHOH、−COOR’、または−CONR’であり、ここでR’は、−H、−CH、−C、−Cまたは−COHであり;R”は、−H、または炭素原子約7〜22個の非末端アルケニルであり;mは、2〜6であり;ただしR”がアルケニルであり、Xが−OHまたは−COOHであるとき、少なくとも1個の2重結合がシス配置にあるという条件である。
【0166】
溶解度向上剤
好適な溶媒は、水;ジオール、たとえばプロピレングリコールおよびグリセロール;1価アルコール、たとえばエタノール、プロパノール、および高級アルコール;DMSO;ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;2−ピロリドン;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン、N−メチルピロリドン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンおよび他のn−置換−アルキル−アザシクロアルキル−2−オンおよび他のn−置換−アルキル−アザシクロアルキル−2−オン(アゾン)を含む。
【0167】
CooperへのU.S.Patent No.4,537,776は、浸透向上のためのある2成分系の使用について詳説した従来技術および背景情報の要約を含んでいる。European Patent Application 43,738も、親油性薬理活性化合物の送達のための幅広い種類の細胞表層障害化合物と共に、溶媒として選択されたジオールを使用することについて記載している。C8−32脂肪族モノカルボン酸(C18−32ならば不飽和および/または分枝)またはC6−24脂肪族1価アルコール(C14−24ならば不飽和および/または分枝)の1価アルコールエステルおよびN環式化合物、たとえば2−ピロリドンまたはN−メチルピロリドンから成る、メトクロプラミド(metaclopramide)浸透を向上させる2成分系は、UK Patent Application GB 2,153,223 Aに記載されている。
【0168】
プロゲストゲンおよびエストロゲンなどのステロイドの経皮送達を向上させるための、ジエチレングリコールモノエチルまたはモノメチルエーテルから成る向上剤とプロピレングリコールモノラウリン酸およびメチルラウリン酸との組合せは、U.S.Patent No.4,973,468に開示されている。薬物の経皮送達のためのモノラウリン酸グリセロールおよびエタノールから成る2重促進剤は、U.S.Patent No.4,820,720に記載されている。U.S.Patent No.5,006.342は、C−Cアルカンジオールの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエーテルから成り、エステル/エーテルの各脂肪酸/アルコール部分が炭素原子約8〜22個である、経皮薬物投与のための多数の向上剤を挙げている。U.S.Patent No.4,863,970は、規定量の1つ以上の細胞表層障害化合物、たとえばオレイン酸、オレイルアルコール、およびオレイン酸のグリセロールエステル;CまたはCアルカノールおよび水などの不活性希釈剤を含有する浸透促進ビヒクル中に活性浸透剤を含む、局所利用のための浸透促進組成物を開示している。
【0169】
他の化学促進剤は、必ずしも2成分系に関連していないが、HerschlerへのU.S.Patent No.3,551,554;HerschlerへのU.S.Patent No.3,711,602;およびHerschlerへのU.S.Patent No.3,711,606に開示されているものなどのジメチルスルホキシド(DMSO)およびDMSOの水溶液、ならびにCooperへのU.S.Patent No.4,557,943に記載されているようなアゾン(n−置換−アルキル−アザシクロアルキル−2−オン)を含む。
【0170】
いくつかの化学促進剤系は、毒性および皮膚刺激などの負の副作用を有し得る。U.S. Patent No.4,855,298は、皮膚刺激特性を有する化学促進剤含有組成物によって引き起こされた皮膚刺激を、抗刺激効果を与えるのに十分な量のグリセリンを用いて低減するための組成物を開示している。
【0171】
脂質2分子層障害剤および溶媒の組合せ
いくつかの実施形態において、脂質2分子層障害剤および溶媒は同じ部位に、デバイスの投与の前に、またはデバイスの投与と同時に投与され得る。ジラウリン酸ポリエチレングリコール200(PEG)、ミリスチン酸イソプロピル(IM)、およびトリオレイン酸グリセロール(GT)を用いた超音波によって、PBSのみからの受動的流量と比較して、わずか2、5、および0.8のコルチコステロン流量値の増加が生じる。しかし、50%エタノールおよびLA/エタノールによって、コルチコステロンの受動的流量は46倍および900倍と著しく増加して、化学促進剤および治療用超音波の有益な効果が有効に組合せできることが示されている。50%エタノールと組合された超音波は、受動的な場合のコルチコステロン輸送の2倍の増加を生じるが、LA/エタノールからの輸送は14倍に増加する
b.機械的、電気的および超音波変換器
超音波、機械的剥離および/または電場を使用して、皮膚または粘膜表面を通じた検体の経皮移動を向上させることができる。Echo Therapeutics,Franklin,MAは、最長24時間にわたって皮膚膜を越える分子の流れを増加させる非侵襲的で痛みのない方法のための、超音波ベース皮膚浸透技術を含む、ソノプレップ(登録商標)システムを有する。ソノプレップシステムおよびその使用方法は、U.S.Patent Nos.6,190,315;6,234,990;6,491,657;6,620,123を含む多様な米国特許に記載されている。
【0172】
Echoの超音波エネルギーの利用によって、分析のためにそれを通じて大型分子を送達または除去できる可逆性チャネルが皮膚に生成される。超音波技術のこのような使用によって、無痛経皮薬物送達または検体抽出が可能となる。ソノプレップ(登録商標)システムは、ハンドピースから低レベルの超音波エネルギーを短時間伝達することによって動作して、皮膚の最外層(角質層)への浸透を可能にする。超音波処理部位のサイズは通例、0.8cmである。Echoは研究を実施して、皮膚の導電率が著しく向上していることと、向上が数時間続くことを証明した。ソノプレップ(登録商標)システムは、リアルタイムの皮膚コンダクタンスのフィードバックを提供する。ソノプレップ(登録商標)は、超音波印加中の皮膚コンダクタンスの上昇(または皮膚インピーダンスの下降)を測定して、所望のレベルのコンダクタンスが達成されたときに超音波処理手順を停止させる。この技術は、迅速で容易な1ステップ監視を提供するために、本明細書に記載する方法および組成物に組み入れることができる。
【0173】
c.モニタ
モニタは、非注射型デバイス、たとえば色が変化する発色団を有する範囲を有する包帯またはリザーバ型デバイスに埋め込むことが可能であり、LED、液晶ディスプレイ、または他の材料をデバイス自体の中に組み込んでもよい。液晶は上述のように、生体侵食性または非生体侵食性であり得る。代表的な非メソゲン生体侵食性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリラクチド−co−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ吉草酸、ポリオルトエステル、多糖類、ポリペプチド、およびあるポリエステルを含む。代表的なメソゲン生体侵食性ポリマーは、いくつかのポリ酸無水物およびポリブチレンテレフタレートを含む。好ましい非メソゲン非侵食性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリテレフタル酸(polytherephthalic acid)を含む。ポリマーは、水溶性または非水溶性であり得る。これらは、LCポリマー中にカプセル化された物質の制御放出または保持で使用できる。ポリマーは、フィルム、フィルム積層体(laminants)および微粒子を含む、多様な形であり得る。好ましい実施形態において、LCポリマーは、医療または製薬用途で使用するための治療剤、診断剤、または予防剤をカプセル化するために使用される。カプセル化できる他の物質は、香料などの香気、香味剤または着色剤、遮光剤、および殺虫剤を含む。
【0174】
LCポリマーは、フィルム、フィルム積層体(laminants)、コーティング、膜、微粒子、平板、押出品、および成形品を含む多様な形で作製できる。LCポリマーは相互に、非LCポリマーと、または金属、セラミック、ガラス、もしくは半導体などの、通例はコーティングの形の他の材料と組合せることができる。ポリマーを製品に製造して、次にLC状態を誘起するために処置することができるか、またはLC状態を導入して、次にLCポリマーから製品を形成することができる。LCポリマーを含む組成物は、モノリシックまたは層状であり得る。「モノリシック」という用語は、本明細書では、層ではなく、埋め込まれた構造物を有する連続相を説明するために使用される。LCポリマーは、別々に調製して、次に転移温度を変化させないプロセスで他の材料と混合できる。LCポリマーは、たとえばコンピュータ用のディスプレイシステムで、および材料の結晶構造の変化によって発生するLCポリマーの不透明度/透明度の変化に基づいて、メッセージを表示させる、または視界から隠すことができるメッセージシステムで使用できる。LCポリマーは、製品の包装にも使用できる。LCポリマーの別の用途は、たとえば温度検知デバイスにある。1つの医療用途では、センサを皮膚に付着させて、局所温度変化を示す温度マップを提供する。このようなデバイスはたとえば、ある病気、たとえば腫瘍、または周囲の健常組織と異なる温度を有する感染もしくは炎症もしくは循環不良の範囲の診断に有用である。
【0175】
モニタは、粒子と共に投与される、または粒子内に組み込まれる切換型応答性デバイスであり得る。スイッチは、スイッチ(たとえばマーク上で光を放つ、包帯中のLED)を検出できる別の検出器を付加することによって検出できる。
II.製造方法
A.粒子
微粒子およびナノ粒子は、当分野で公知の多様な技法を使用して調製できる。検体を結合または複合体化するために使用する官能基は、微粒子形成の前に導入できるか(たとえばモノマーを検体を結合または複合体化するために1個以上の官能基によって官能化できる)、または官能基を微粒子形成の後に導入できる(たとえば微粒子の表面を反応性官能基によって官能化することによって)。微粒子は場合により、その中に1つ以上のコア材料をカプセル化し得る。一実施形態において、微粒子またはナノ粒子は、さらなる機器を必要とせずに検出可能なシグナルをユーザーに提供するために、有効量で存在すべきである。たとえば微粒子および/またはナノ粒子は、ユーザーによって容易に検出可能である検体を結合または錯体化したときの味、匂い、形状、および/または色の変化を提供するために、有効量で存在すべきである。
【0176】
以下は微粒子およびナノ粒子を形成するための代表的な方法である。後述する技法以外の技法も、微粒子および/またはナノ粒子を調製するために使用され得る。
【0177】
異方性(Anisotrophic)微粒子
異方性(anisotrophic)粒子または繊維を形成するための技法は、Lah
annらによる、“Multi−Phasic Nanoparticles”という名称の、2006年9月14日にU.S.Patent Application Publication No.2006/0201390として公開され、2005年11月10日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/272,194;またはLahannによる、“Multiphasic Biofunctional Nano−Components and Methods for Use Thereof”という名称の、2007年10月11日にU.S.Patent Application Publication No.2007/0237800として公開され、2007年6月15日に出願されたU.S.Patent Application Serial No.11/763,842への優先権に見出される。
【0178】
溶媒の蒸発
溶媒の蒸発では、ポリマーは揮発性有機溶媒、たとえば塩化メチレンに溶解される。薬物(溶解性であるか、または微粒子として分散されているかのどちらか)を溶液に添加して、ポリ(ビニルアルコール)などの界面活性剤を含有する水溶液に混合物を懸濁させる。得られたエマルションを大半の有機溶媒が蒸発するまで撹拌すると、固体粒子が残る。得られたナノ粒子および微粒子を水で洗浄して、凍結乾燥器で一晩乾燥させる。本方法によって、各種のサイズ(0.5〜1000ミクロン)および形態の粒子が得られる。本方法は、ポリエステルおよびポリスチレンなどの比較的安定なポリマーに有用である。
【0179】
しかし不安定なポリマー、たとえばポリ酸無水物は、水の存在のために、製造プロセス中に分解し得る。これらのポリマーでは、完全無水有機溶媒中で実施される、以下の2つの方法が最も有用である。
【0180】
溶媒の除去
溶媒除去技法は、ポリ酸無水物のために主に設計されている。本方法では、ポリマーは塩化メチレンなどの揮発性溶媒に溶解される。混合物を有機油(シリコーン(silicon)油など)中で撹拌することによって懸濁させて、エマルションを形成する。溶媒の蒸発とは異なり、本方法を使用して高い融点および各種の分子量を有するポリマーからナノ粒子を作製できる。本手順によって、1〜300ミクロンに及ぶナノ粒子が得られる。本技法で生成された球の外部形態は、使用したポリマーの種類に大きく依存する。
【0181】
噴霧乾燥
噴霧乾燥技法では、ポリマーを有機溶媒に溶解させる。溶液または懸濁物を次に噴霧乾燥させる。小型噴霧乾燥器(Buchi)の代表的なプロセスパラメータは次の通りである:ポリマー濃度=0.04g/mL、入口温度=−24℃、出口温度=13〜15℃、アスピレータ設定=15、ポンプ設定=10mL/分、噴霧流量=600Nl/時間、およびノズル径=0.5mm。1〜10ミクロンに及ぶサイズと、使用したポリマーの種類および噴霧乾燥条件に依存する形態とを有する微粒子が得られる。
【0182】
界面重縮合
界面重縮合技法では、1つのモノマーを溶媒に溶解させる。第2のモノマーを、第1の溶媒と不混和性である第2の溶媒(通例は水性)に溶解させる。第1の溶液を第2の溶液中で撹拌することによって第1の溶液を懸濁させて、エマルションを形成する。エマルションが安定化したら、水相に開始剤を添加して、エマルションの各液滴の界面で界面重合を生じさせる。
【0183】
転相
ミクロスフェアは転相法を使用してポリマーから形成することができ、転相法では、ポリマーを溶媒に溶解させ、混合物を強非溶媒に注入して、ポリマーが好ましい条件下で、ポリマー性ミクロスフェアを自発的に生成させる。方法を使用して、たとえば約100ナノメートル〜約10ミクロンを含む、広範囲のサイズのナノ粒子および微粒子を生成できる。使用できる例示的なポリマーは、ポリビニルフェノールおよびポリ乳酸を含む。プロセスでは、ポリマーを有機溶媒に溶解させて、次に非溶媒と接触させると溶解させたポリマーの転相によって、粒度分布が狭く、場合により抗原または他の物質を組み込んだ、小型の球状粒子が形成される。
【0184】
相分離
相分離では、ポリマーを溶媒に溶解してポリマー溶液を形成する。絶えず撹拌する間に、ポリマーの非溶媒を溶液にゆっくり添加してポリマーの溶解度を低下させる。溶媒および非溶媒へのポリマーの溶解度に応じて、ポリマーは沈殿するか、またはポリマーが豊富な相とポリマーが少ない相に相分離するかのどちらかである。適正な条件下で、ポリマーが豊富な相におけるポリマーは、連続相との界面に移動して、ポリマーシェルを持つ粒子を形成するであろう。
【0185】
自発的乳化
自発的乳化は、温度を変更すること、溶媒を蒸発させること、または化学架橋剤を添加することによって、乳化液体ポリマー液滴を固化することを含む。カプセル材料の物理的および化学的特性、ならびにカプセル化される材料によって、カプセル化の好適な方法が指示される。疎水性、分子量、化学安定性、および熱安定性などの因子は、カプセル化に影響する。
【0186】
ヒドロゲル粒子
ゲル型ポリマー、たとえばアルギン酸塩およびヒアルロン酸から成る粒子は、従来のイオン性ゲル化技法によって生成することができる。ポリマーを最初に水溶液に溶解させて、次に、いくつかの例では窒素ガス流を使用して液滴を破壊する、微小液滴形成デバイスによって押出す。低速で撹拌している(約100〜170RPM)イオン硬化浴を押出しデバイスの下に配置して、形成される微小液滴を捕捉する。ゲル化が発生するのに十分な時間を与えるために、粒子を浴中で20〜30分間インキュベートさせたままにする。粒子のサイズは、各種のサイズ押出機を使用することによって、または窒素ガスもしくはポリマー溶液流速のどちらかを変化させることによって制御される。キトサン粒子は、ポリマーを酸性溶液に溶解させて、それをトリポリリン酸塩によって架橋することによって調製できる。カルボキシメチルセルロース(CMC)粒子は、ポリマーを酸性溶液に溶解させて、粒子を鉛イオンによって沈殿させることによって調製できる。負に荷電したポリマー(たとえばアルギン酸塩、CMC)の場合、各種の分子量の正に荷電したリガンド(たとえばポリリジン、ポリエチレンイミン)をイオン的に結合することができる。
【0187】
粒子を調製するために使用できる当分野で公知の他の方法は、これに限定されるわけではないが、高分子電解質縮合(Sukら、Biomaterials,27,5143−5150(2006)を参照);シングルおよびダブルエマルション(プローブ超音波処理);粒子成形および静電自己組織化(たとえばポリエチレンイミン−DNAまたはリポソーム)を含む。
【0188】
エレクトロスプレーまたはエレクトスピニング
エレクトロスプレーまたはエレクトスピニング技法を使用して粒子を調製できる。いくつかの場合で、2つ以上の流体流(液体ジェットを含む)が複合流を形成するのに十分な空間次元で接触するように、2つ以上の流体流が共に組合される。いくつかの場合で、複合流内での2つ以上の流体流の混合は、ほどんどまたは全くない。いくつかの変形において、流体流は導電性であり、ある場合において、電場の影響下で2つ以上の流体流を組合せることによって、円錐ジェットが形成され得る。
【0189】
いくつかの場合で、複合流は、たとえば電場などの力の場の印加によって、基材に向けられる。たとえば複合流が荷電されている場合、電場を使用して、複合流を基材に向けて推進させることができる。複合流は、連続的であるか、またはいくつかの場合で不連続であり、たとえば(球状または非球状であり得る)一連の液滴を形成し得る。いくつかの場合で、複合流は、基材との接触前および/または接触時に硬化される。たとえば複合流は、複合流(たとえば溶媒)の少なくとも一部が蒸発する条件下で基材に向けて推進され、残存流が硬化されてたとえば粒子、球、ロッド、または繊維を形成することがある。いくつかの変形では、複合流が断片化して液滴となり、粒子、球、ロッド、および/または繊維の形成を引き起こすことができる。
【0190】
図5Aおよび5Bを参照すると、概略図によって異方性粒子を形成するのに使用され得る並列型エレクトロジェット装置が示されている。図5Aは、2つのジェット液体が組合されて粒子を形成するエレクトロジェット装置の概略図である。図5Bは、2つのジェット液体が組合されて2相繊維を形成するエレクトロジェット装置の概略図である。複合流128の各側面に2つの異なる成分を組み込むために、ノズル134内にチャネル130、132が相互に隣接して(すなわち並列して)構成されている。いくつかの変形では、チャネル130、132は毛細管である。チャネル130、132は、2つの異なるジェット液体流136、138を、電源142によって発生した電場を有する領域140中に供給する。チャネル130、132は、液体流36、138が接触して複合流144を形成するのに十分な寸法である。1つの変形では、この電場は、ノズル134とプレート146との間の電位差によって発生する。通例、電場は、少なくとも2個の電極間の約0.1kV〜約25kVの電位差を印加することによって形成される。
【0191】
プレートおよび形態の各種の構成が使用して電場を発生させることができ、したがって本実施形態の範囲内であることが、当業者に認識されるであろう。図5Aは、粒子148が形成されるエレクトロスプレーの1つの変形を示す。この変形では、噴出された複合流128が不安定性のために断片化され、それにより液滴のスプレーを形成する。図5Bは、たとえばポリマー溶液または溶融物をジェット液体として使用するときに繊維が形成される、一実施形態を示す。
【0192】
III.適用および検出方法
A.検出または測定される検体
1.正常な生理学的検体
血中グルコース、インスリン、ホルモンレベルはすべて、臨界レベルによってシグナルが発生される場合、測定される代表的な正常検体である。1つ以上の検体のpH(またはpH変化)、温度(または温度変化)、および/または存在もしくは非存在または濃度を判定するために使用され得る反応剤は、これに限定されるわけではないが、
(a)これに限定されるわけではないが、カドミウム、カルシウム、塩化物、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム、セレン、ナトリウム、硫黄、および亜鉛を含む、金属または非金属イオン;
(b)これに限定されるわけではないが、酵素(触媒活性を有するタンパク質)、輸送タンパク質、および構造タンパク質を含む、タンパク質;
(c)これに限定されるわけではないが、C−ペプチド(インスリン産生の基準としての)を含む、ペプチド;
(d)これに限定されるわけではないが、天然型、たとえばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン、または非天然型アミノ酸、たとえばタウリン、シトルリン、およびオルニチン)を含む、アミノ酸;
(e)これに限定されるわけではないが、DNAおよびRNAを含む、核酸;
(f)これに限定されるわけではないが、エストラジオール、エステロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオン、ホリトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピンおよびプロラクチンを含む、ホルモン;
(g)これに限定されるわけではないが、グルコース、マンノース、ガラクトース、グルコサミン、ガラクトサミン(galactoseamine)、フコース、アミロペクチン、アミロース、アラビノース、フルクトース、スクロースなどを含む、炭水化物;
(h)小型分子、たとえば1000Da未満の分子量を有する分子;
(i)これに限定されるわけではないが、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、塩化物イオン(Cl)、リン酸水素イオン(HPO2−)、および炭酸水素イオン(HCO)を含む、電解質;
(j)代謝産物;
(k)これに限定されるわけではないが、O、CO、CO、N、およびNHを含む、(気道の疾患または障害を示し得る)ガス;
(l)これに限定されるわけではないが、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、ガンマリノール酸、ジホモガンマリノール酸、およびアラキドン酸、ならびに2つ以上の脂肪酸の比を含む、脂肪酸;
(m)これに限定されるわけではないが、総コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール、およびトリグリセリドを含む脂質;
(n)細胞および/または細胞表面;
(o)これに限定されるわけではないが、ベータ−カロテン、トコフェロール、葉酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、およびビタミンE)を含むビタミン;
(p)または興味のある他の検体を含む。
【0193】
測定される検体の例は、グルコース(たとえば糖尿病の場合);ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、および/または重炭酸塩(たとえば脱水を判定するため);二酸化炭素または酸素などのガス;pH;尿素、血中尿素窒素またはクレアチニンなどの代謝産物;エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオンなどのホルモン(たとえば妊娠、違法薬物使用を判定するために);またはコレステロールを含む。pHの変化は、1つ以上の疾患状態を示すことができる。
【0194】
好ましい実施形態において、これらの検体は、デバイスが変化を示すときに、「オン/オフ」または「異常/正常」状況として測定される。デバイスでの検出可能なシグナルは、インスリンが必要であること;コレステロールを確認するために受診が必要であること;排卵が起きていること;腎臓透析が必要であること;たとえば特に老人ホームに入居している高齢の患者;小児患者、および有効量を判定するために滴定が必要である医薬品、たとえば精神病、たとえば双極性障害、うつ病、統合失調症などを処置するための医薬品について薬物レベルが存在すること(特に違法薬物の場合)または薬物レベルが高すぎることを示すことができる。
【0195】
2.異常な検体
異常な検体の例は、疾患を示す検体、たとえばCEAおよびPSAなどの癌特異的マーカー、ウイルスおよび細菌抗原、ならびに自己免疫インジケータ、たとえば狼瘡を示す、2本鎖DNAに対する抗体を含む。
【0196】
各種の病原体、たとえば細菌、寄生性原虫(すなわち単細胞真核生物)(たとえばプラスモジウム)もしくはウイルス(たとえば炭疽菌)、および/またはこのような病原体によって産生されたマーカーは、たとえば細菌によって産生されたマーカーに対して作られた抗体との反応によって検出され得る。例示的な病原体は、これに限定されるわけではないが、ウイルス(たとえばアデノウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、パポバウイルス科、ラブドウイルス科、トガウイルス科)、真菌(たとえばカビおよび酵母、たとえばヒストプラスマ・カプスラーツム、コクシジオイデス・イミティス、カンジダ、およびアスペルギルス)、および/または細菌(たとえばヒト結核菌、連鎖球菌およびシュードモナス属、ならびに赤痢菌属、カンピロバクターおよびサルモネラ属)を含む。病原体は寄生生物も含む。一実施形態において、生物自体が検出される。代わりに、特定の寄生生物に特異的な核酸および/またはタンパク質が検出される。
【0197】
異常な検体は、薬物、たとえばニコチン、処方薬、市販(OTC)薬、違法薬物(たとえばコカイン、メタンフェタミン、LSD、アヘン剤、たとえばヘロイン;エクスタシーなど)、タンパク質同化ステロイド、および乱用傾向のある処方薬も含む。乱用傾向のある例示的な処方薬は、スケジュールII、III、IV、およびV薬物、たとえば1−フェニルシクロヘキシルアミン、1−ピペリジノシクロヘキサンカルボニトリル、アルフェンタニル、アルファセチルメタドール、アルファピロジン、アルプラゾラム、アモバルビタール、アンフェタミン、アニレリジン、アポモルフィン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビツール酸誘導体、ベミドン、ベンゾイルエクゴニン、ベンズフェタミン、ベタセチルメタドール、ベタプロジン、ベジトラミド、ブロマゼパム、ブプレノルフィン、ブタバルビタール、ブタルビタール、ブトルファノール、カマゼパム、カシン、クロラール、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、コカイン、コデイン、クロルフェンテルミン、デロラゼパム、デクスフェンフルラミン、デキストロモルアミド、デキストロプロポキシフェン(dextropropoxyphen)、デゾシン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェノキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、酪酸ジオキサフェンチル、ジパノン、ジフェノキシラート、ジプレノルフィン、エクゴニン、エナドリン、エプタゾシン、エスタゾラム、エトヘプタジン、ロフラゼプ酸エチル、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェムプロポネックス、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンタニル、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキサルゴン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、イソメタドン、ヒドロコドン、ケタミン、ケタゾラム、ケトベミドン、レバノン、レボアルファセチルメタドール、レボメタドン、酢酸レボメタジル、レボメトルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、ロペラミド、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リセルグ酸、リセルグ酸アミド、マジンドール、メダゼパム、メフェノレックス、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メタンフェタミン、メトヘキシタール、メトトリメプラジン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メトポン、モルヒネ、ナビロン、ナルブフェン、ナルブピン、ナロルフィン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、ノルメタドン、ノルモルヒネ、オキサゼパム、オキサゾラム、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェナドキソン、フェナゾシン、フェンシクリジン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェネリジン、ピミノジン、プロジリジン、プロペリジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、ラセモラミド、レミフェンタニール、セコバルビタール、スフェンタニル、タルブタール、テバイン、チアミラール、チオペンタール、トラマドール、トリメペリジン、ビンバルビタール、アロバルビトン、アルプラゾラム、アミロバルビトン、アプロバルビタール、バルビタール、バルビトン、ベンズフェタミン、ブラロバルビタール、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブスピロン、ブタルビタール、ブトバルビトン、ブトルファノール、カマゼパム、カプトジアム、カルブロマル、カルフェンタニル、カルピプラミン、カチン、クロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロラロース、クロルジアゼポキシド、クロルヘキサドール、エジシル酸クロルメチアゾール、クロルメザノン、シノラゼパム、クロバザム、クロラゼプ酸カリウム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、シクロバルビトン、デロラゼパム、デキスフェンフルラミン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジフェバルバメート、ジフェノキシン、エンシプラジン、エスタゾラム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フェバルバメート、フェンカムファミン、フェンフルラミン、フェンプロポレックス、フルアニソン、フルジアゼパム、フルニトラム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルトプラゼパム、ゲピロン、グルテチミド、ヘラゼパム、ハロキサゾラム、ヘキソバルビトン、イボマール、イサピロン、ケタゾラム、メシル酸ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マジンドール、メブタメート、メダゼパム、メフェノレックス、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクラゼパム、メタクワロン、メトヘキシタール、メチルペンチノール、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ミラゾラム、モルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、パラアルデヒド、ペモリン、ペンタバルビトン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、フェンシクリジン、フェノバルビタール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンプロバメート、フェンテルミン、フェニルアセトン、ピナゼパム、ピプラドール、プラゼパム、プロキシバルバール、クアゼパム、キナルバリトン、セコバルビタール、セコブトバルビトン、シブトラミン、テマゼパム、テトラゼパム、トリアゾラム、トリクロフォス、ザレパン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびゾピクロンを含む。検出される検体は、薬物自体および/または薬物の1つ以上の代謝産物であり得る。
【0198】
抗体は、これに限定されるわけではないが、たとえば食品アレルギーに関連するIgG抗体、たとえばナッツ(たとえばアーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、クルミなど)、乳製品(たとえば牛乳、チーズなど)、食用獣肉および鶏肉、野菜(たとえばトウモロコシ);果実(たとえばメロン、オレンジ、イチゴ、トマト);甲殻類(たとえばカニ、エビおよび/またはロブスター);卵;カラスムギ;コムギ;およびマメ;ならびに1つ以上の疾患または障害状態(たとえば癌、自己免疫疾患などの診断手段である抗体;を含む。
【0199】
これらの場合の大部分で、検出可能なシグナルは、「警告灯」として設定されたインジケータであり、そこで個人は次に、さらなる継続管理のために医師に委ねられる。
【0200】
たとえば生体適合性ポリマー、たとえばポリエチレンオキシド(PEO)、またはポリ乳酸(PLA)および/またはポリグリコール酸(PGA)を含む異方性粒子を調製できる。粒子の第1の半分は、病原体と結合または相互作用する反応剤、たとえば病原体に対する抗体および/または病原体によって産生されたマーカー(たとえばタンパク質)を含有する。詳細な例として、病原体は炭疽菌であり、抗体は炭疽菌胞子に対する抗体であり得る。別の例として、病原体はプラスモジウム(マラリアを引き起こすある種)であり、抗体はプラスモジウムを認識する抗体であり得る。いくつかの場合で、これらは間質液に入ることができる溶解性分子であり得る。第1の半分は、緑であり得る第1の着色料、たとえばフルオレセインまたはGFPも含有し得る。2の半分は、赤色であり得る第2の着色料、たとえばローダミンを含有し得る。
【0201】
粒子(または他の好適なデバイス)は、生理食塩水に懸濁させて、ヒト被験体の皮膚中に注射する。粒子は真皮および/または表皮中に注射されて、たとえば皮膚内に「マーク」を形成する。病原体の非存在下では、粒子の凝集は発生せず、粒子は皮膚内でランダムな配向で存在する;それゆえ赤色および緑色の混合物が見える(たとえば褐色の外観が得られる)。しかし、病原体(または病原体マーカー)の存在下では、粒子が病原体の周囲に配向するように粒子の多少の凝集が発生し、粒子の第1の半分は、病原体反応性パートナーが存在するために病原体に向かって優先的に配向する。それゆえ視覚的に、粒子が凝集体するときには、第2の着色料が優先するであろう;それゆえ粒子がランダムに配向されているときの色と比べて、より明るい赤色の外観が見られる。
【0202】
3.検出または測定される他の変数
本明細書に記載するデバイスを使用して検出または測定され得る他の変数は、これに限定されるわけではないが、水分レベル、外部源からの、または睡眠時無呼吸、熱すぎること(その内部温度制御が完全に自己制御できるわけではない乳児の場合に重要である)もしくは発熱からであり得る、上昇した一酸化炭素レベルへの暴露を含む。さらに、デバイスを使用して、ヒトの口腔に存在し得る、細菌レベル、または嫌気性細菌の老廃物、たとえば揮発性硫黄化合物(たとえば硫化水素、メチルメルカプタン、カダベリン、プトレシン、および/またはスカトール)のレベルを測定して、ユーザーの口臭を生成する、または口臭のリスクに瀕した化合物および/または細菌のレベルが上昇しているか否かを判定することができる。
【0203】
4.分析および治療
1つ以上の検体が個人に存在するか否か、および/または個人の検体のレベルを判定することに加えて、本明細書に記載するデバイスは、必要に応じて、疾患状態を処置する、検体のレベルを低下させる、または検体のレベルを上昇させる1つ以上の治療化合物も含有し得る。
【0204】
B.検出される検体を含有する流体を除去する方法
一実施形態において、複数の粒子は、任意の好適な方法またはデバイスによって、皮膚または粘膜表面に投与される。次に試験される流体、たとえば間質液または血液)を被験体から任意の好適な手段によって除去して、粒子を投与した部位に移動させる。好ましくはマイクロニードル(mcironeedles)を皮膚または粘膜表面に挿入して流体を除去する。
【0205】
一実施形態において、粒子はデバイスである。別の実施形態において、粒子は、皮膚または粘膜表面に適用されるように設計されたデバイスの基材に埋め込まれ得る(例として、たとえば図3Bを参照)。一実施形態において、デバイスは包帯である。
【0206】
C.適用方法
1ステップ診断デバイスを使用する一実施形態において、デバイスは個人に適用され、次に結果は、投与部位およびデバイスに基づいて検出される。一般に、デバイスは、局所的に皮膚に投与されるか、真皮中または皮下的に注射されるか、または粘膜表面に投与される。
【0207】
1.経皮表面投与
デバイスは、包帯、プラスチック「腕時計」、「ブレスレット」もしくは「指輪」の形、または皮膚への直接適用のために特に設計された装置であり得る。デバイスは、拘束具によってまたは接着材料によって物理的に固定され得る。
【0208】
別の実施形態において、デバイスが粒子の形である場合、複数のデバイスは、皮膚にすり込んでデバイスを送達できるクリームまたはローション内に含有され得る。いくつかの場合で、デバイスは開業医によって投与され得る;しかし他の場合では、デバイスは自己投与され得る。
【0209】
いくつかの場合で、皮膚は最初に経皮浸透促進剤、機械的剥離または圧力もしくは超音波を用いて処置され得る。
【0210】
2.皮下投与
デバイスは、容易で識別可能な検出を促進するために、皮膚内(または皮膚の下)の任意の位置に、たとえば表皮に、真皮に、または皮下に、しかし好ましくは表皮にまたは皮下に送達され得る。いくつかの場合で、デバイスの「デポー」は、皮膚内に形成され得て、デポーは一時的または永続的であり得る。デポー内のデバイスは最終的に分解または分散して(たとえばデバイスが生分解性であるか、または反応時に切断される場合)、血流に入り、または環境へと脱落し得る。
【0211】
一実施形態において、デバイスは表皮に存在して、浸透深さに応じて、たとえば数日から数週間の時間スケールで表皮と共に自然に脱落し得る。
【0212】
しかし他の実施形態において、外部から印加された刺激は、被験体の皮膚に印加されて、デバイスを少なくとも部分的に除去および/または不活性化する。たとえば光、たとえばレーザ光を皮膚に印加して、デバイスを含めて皮膚の少なくとも一部を剥離することができる。
【0213】
しかしいくつかの場合で、光が印加されて、デバイスの一部(たとえばデバイスの表面上の反応剤)を不活性化し得る。多くの皮膚剥離レーザは商業的に入手でき(たとえばEr:YAGレーザまたは二酸化炭素レーザ)、たとえばレーザ皮膚リサーフェシング、顔面若返り術、皮膚創傷の剥離除去などに使用される。皮膚での剥離速度は、たとえばレーザのフルエンス率、パルスの数および/または周波数(パルスレーザでは)などを制御することによって制御できる。
【0214】
いくつかの場合で、特にデバイスが着色されている場合、送達後のデバイスは「タトゥ」または永続的、もしくは半永続的マークの外観を皮膚内に与えることがあり、タトゥまたは他のマークは任意の色および/またはサイズであり得る。一実施形態において、異方性粒子、たとえば検体、たとえばグルコースを結合できる1つ以上の反応剤を含有する上述の異方性粒子は、被験体の皮膚への注射によって送達でき、このような粒子は、皮膚内への沈着後に、検体の存在または非存在に対して、色の変化を呈することによって反応し得る。粒子は、検体の存在もしくは非存在、および/または検体の濃度に基づいて色の変化を呈し得る。たとえば粒子は、凝集していないときに第1の色(たとえば緑色)を、凝集したときに第2の色(たとえば赤色または褐色)を呈することができ、または粒子は、凝集していないときには見えないが、凝集したときには見え(たとえば色を呈する)、それにより半永久的なタトゥを形成し得る。
【0215】
ちょうど言及したように、粒子はたとえば、第1の色(たとえば緑色)を有する第1の表面領域および第2の色(たとえば赤色)を有する第2の表面領域を有する異方性粒子であり得て、第1の表面領域は、興味のある検体に対する反応性パートナーを含有し得る。低レベルの検体では、粒子は第1および第2の色の組合せを呈し得るが、高レベルの検体では、粒子は第2の色を多く呈し得る。
【0216】
別の実施形態において、粒子(または他の好適なデバイス)の色は、磁石によって外部から制御され得る。本実施形態は、化粧品用途に特に有用であり得る。一般に、色は被験体に(たとえば永久のまたは一時的なタトゥの形で)適用され得て、色は1個以上の外部磁石を使用して変化され得る。本実施形態において、異方性粒子の異なる部分に異なる色を有することに加えて、各粒子の部分は磁気感受性材料、たとえば鉄も含有し得る。
【0217】
本例では、磁場の非存在下で、粒子は皮膚内にランダム配向で存在する。しかし、磁場が印加されるとき、粒子は磁場によって配向するであろう。磁場の位置に応じて、粒子は、粒子の第1の半分が主に見えるように(赤色の外観を生じさせる)、または粒子の第2の半分が主に見えるように(青色の外観を生じさせる)配向されるようになる。
【0218】
磁場は、任意の好適な技法を使用して、たとえば場合により被験体に装着される外部デバイス、たとえばワンド、またはブレスレットを用いて誘起され得る。
【0219】
a.皮下注射針
皮下注射針または同様なデバイスを使用して、適切な担体に懸濁された注射型粒子が各種の組織中に送達され得る。皮下注射針は、当業者に周知であり、一連の針ゲージで入手できる。好ましい針は、20〜30ゲージの範囲である。しかし他の実施形態において、他のゲージ針、たとえば32ゲージ、33ゲージ、34ゲージなどを使用できる。
【0220】
b.皮膚挿入物体
一組の実施形態において、1つ以上の皮膚挿入物体を使用して粒子が送達され得る。皮膚挿入物体は、詳細な用途に応じて、粒子を真皮および/または表皮に送達するように構築できる。皮膚挿入物体は、皮膚に挿入されるように構築され、複数の粒子(または他の物体)を含み得る。一実施形態において、皮膚挿入物体が皮膚に挿入されるとき、粒子は皮膚挿入物体から皮膚中に放出される。
【0221】
したがって、皮膚挿入物体は、このことが起こるようにする任意の好適な形状を有し得て、円筒状であり得る、または先細であり得るなどの、たとえば中実または中空針の形状を有する。たとえば粒子は、皮膚挿入物体が送達される際に、皮膚挿入物体が除去されるときに粒子の少なくとも一部がたとえば摩擦によって真皮および/または表皮に残存する接着の程度で、皮膚挿入物体に固定され得る。別の例として、皮膚挿入物体の一部は皮膚への進入時に破壊して、それにより粒子を送達し得る。上述のように、いくつかの場合で、たとえば同時送達のために基材に固定された1つ以上の皮膚挿入物体が存在し得る。
【0222】
図4Aに示すように、複数の固体皮膚挿入物体(35)の外部表面(34)に付着された複数の粒子(30)を含有する装置(28)は、任意の好適な技法によって、たとえば手動で、または機械式装置によって、皮膚中に挿入され得る。複数の皮膚挿入物体(35)が基材(38)に固定され得る。図4Bに示すように、皮膚挿入物体(35)は中空であり得る。本実施形態において、粒子(30)は、マイクロニードルの中空部(36)を通じて皮膚中に送達される。図4Cに示すように、皮膚挿入物体(35)の少なくとも一部が、皮膚中への進入時に破壊して、皮膚内に粒子(30)を残すように構築され得る。
【0223】
皮膚挿入物体は、生体適合性および/または生分解性材料、たとえば本明細書に記載する材料を含む、任意の好適な材料から形成され得る。しかし他の場合では、皮膚挿入物体は、必ずしも生体適合性および/または生分解性でない他の材料から形成される。
【0224】
皮膚挿入物体は、皮膚に手動で、またはいくつかの場合でデバイスを用いて送達され得る。粒子の皮膚中への浸透深さは、少なくとも一部は、皮膚挿入物体の長さによって決定される。たとえば粒子の少なくとも一部が真皮まで送達されるように、より長い皮膚挿入物体を使用して皮膚の真皮のレベルまで貫通させることができるが、(すべてではないにしても)大半の粒子が表皮中に送達されるように、より短い挿入物体によって皮膚の表皮のレベルまでのみ貫通させることができる。
【0225】
c.マイクロニードル
一実施形態において、皮膚挿入物体はマイクロニードルである。中空または中実マイクロニードルを使用して、デバイスを個人の真皮および/または表皮に送達することができる。U.S.Patent No.6,334,856に開示されているものなどのマイクロニードルは、マイクロニードルの形状および/またはサイズに応じて、ならびに送達の位置に応じて、デバイスを真皮および/または表皮に送達するために使用され得る。マイクロニードルは、任意の好適な材料、たとえば金属、セラミック、半導体、有機物、ポリマー、および/または複合材料から形成され得る。例は、これに限定されるわけではないが、製薬グレードのステンレス鋼、金、チタン、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、これらの合金または他の金属、ケイ素、二酸化ケイ素、ならびにヒドロキシ酸、たとえば乳酸およびグリコール酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド−co−グリコリドのポリマー、およびポリエチレングリコール、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、ポリラクチド−co−カプロラクトン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、ポリエチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエステルとのコポリマーを含む、ポリマーを含む。いくつかの場合で、デバイスは、マイクロニードルによって送達され得る;しかし他の場合では、マイクロニードルを最初に皮膚に適用し、除去して皮膚を貫く(たとえば皮膚の最外層である角質層を貫く)通路を生成し、そして続いてデバイスが皮膚に適用される。
【0226】
マイクロニードルの内部を通じて1個以上の独立した連続した経路を生成することができる。一例において、マイクロニードルはマイクロニードルの中心軸に沿って単一の環状経路を有する。本経路は、最初に材料に孔を化学的または物理的にエッチングして、次に孔の周囲にマイクロニードルをエッチング除去することによって達成することができる。代わりに、マイクロニードルおよびその孔を同時に作製することができるか、またはホールを既存のマイクロニードル中にエッチングすることができる。別の選択肢として、マイクロニードルの形または型を作製して、次にコーティングして、さらにエッチング除去すると、外部コーティングのみが残り、中空マイクロニードルが形成される。コーティングは、特定の厚さまでのフィルムの蒸着またはケイ素マイクロニードルの酸化のどちらかと、続いての内部ケイ素の除去とによって形成することができる。また、ウェハーの裏側から中空ニードルの下側までの孔は、表−裏側赤外線アライメントを使用して生成して、続いてウェハーの裏側からエッチングすることができる。
【0227】
中空ニードル製造のための1つの方法は、中実ニードルの形成で使用した中実マスクを、中実形状の1つ以上の内部領域が除去された中実形状を含むマスクに交換することである。1つの例は、「ドーナツ形」マスクである。この種のマスクを使用して、ニードルの内部領域がその側壁と同時にエッチングされる。ニードルの内部側壁の側方エッチングのために、これにより十分に鋭利な壁が産生されないことがある。このような場合、2種類のプラズマエッチングである、マイクロニードルの外壁を形成するエッチング(すなわち標準エッチング)、および内側中空コアを形成するエッチング(誘導結合プラズマ「ICP」エッチングなどにおける、きわめて異方性のエッチングである)が使用され得る。たとえばICPエッチングを使用してニードルの内部領域を形成して、第2のフォトリソグラフィステップおよび標準エッチングを続けてマイクロニードルの外壁を形成することができる。
【0228】
代わりに、本構造は、中実マイクロニードルに使用したクロムマスクを、クロムで被覆されたケイ素基材上の窒化ケイ素層で代用することによって達成することができる。次に中実マイクロニードルをエッチングして、クロムを剥離し、ケイ素を酸化して、露出されたケイ素表面すべてに二酸化ケイ素の薄層を形成する。窒化ケイ素層によって、ニードル先端の酸化が防止される。次に窒化ケイ素を剥離すると、ニードル先端には露出されたケイ素が、他のいたる所では酸化物で被覆されたケイ素が残る。次にニードルを、高度に異方性の方式でケイ素の内側側壁を選択的にエッチングするICPプラズマに暴露させて、ニードルの内部孔を形成する。
【0229】
別の例は、実際のニードル構造が周囲に蒸着される「形」または型として上述した中実ケイ素ニードルを使用する。蒸着後に、形はエッチング除去されて、中空構造が得られる。各種の方法を使用して、シリカニードルまたは金属ニードルを形成できる。シリカニードルは、上述の酸化の前に、上述のICPニードルに似たニードル構造を作製することによって形成できる。次にウェハーを制御された厚さまで酸化して、最終的に中空マイクロニードルとなる、ニードル形のシャフトに層を形成する。次に窒化ケイ素を剥離して、ケイ素コアを選択的にエッチング除去して(たとえば湿潤アルカリ溶液中で)、中空シリカマイクロニードルを形成する。
【0230】
別の例において、中空ケイ素マイクロチューブのアレイは、従来の反応性イオンエッチング装置での改良黒ケイ素プロセスと組合された深掘り反応性イオンエッチングを使用して、作製される。最初に、円形孔のアレイがシリコンウェハーなどのSiO中にフォトレジストを通じてパターン形成される。次にケイ素は、深い垂直孔をエッチングするために、誘導結合プラズマ(ICP)反応装置での深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用してエッチングすることができる。次のフォトレジストが除去される。次に第2のフォトリソグラフィーステップによって、孔に対して同心状の円形を残りのSiO層にパターン形成すると、孔を取り巻くリング形状の酸化物マスクが残る。次にフォトレジストを除去して、孔がウェハーを完全に貫通して(SiOリング内部に)エッチングされ、同時にケイ素がSiOリングの周囲でエッチングされて円筒が残るように、ケイ素ウェハーに再度、深掘りケイ素エッチングを行う。
【0231】
この後者の例も、中空、先細マイクロニードルを産生するために変更することができる。孔のアレイを上述のように製造した後に、フォトレジストおよびSiO層をコンフォーマルDCスパッタリングされたクロムリングで置き換える。第2のICPエッチングを、反応性イオンエッチング装置(RIE)でのSF/Oプラズマエッチングで置き換えて、プラス方向に傾斜する外部側壁を得る。
【0232】
金属ニードルは、上述の技法を使用してケイ素から作製することができる、または他の標準成形技法、たとえばエンボス加工または射出成形を使用して形成できる、中実ニードル形への、適切な金属層の物理的蒸着によって形成できる。金属は、ニードルの先端から電解研磨技法を使用して選択的に除去され、電解研磨技法では、電解溶液中で印加されたアノード電位によって、鋭利な箇所での電場線の濃度のために、鋭利な箇所でより迅速な金属の分解が引き起こされるであろう。下にあるケイ素ニードル形が先端で露出すると、ケイ素は選択的にエッチング除去されて、中空金属ニードル構造が形成される。本プロセスは、ニードル形に金属以外の材料を蒸着して、応術の手順に従うことによって、他の材料から作製した中空ニードルを作製することもできる。
【0233】
カリフォルニア州アラメダのnanoBioSciencesは、標準金属膜からプレスした小型マイクロニードル形をベースとして、AdminPatchと呼ばれる独自の薬物送達パッチシステムを開発した。AdminPatchシステムは、皮膚の外部抵抗性表面層である角質層および表皮を貫通する、数百本の小型水性チャネル(「マイクロポア」)を無痛で即時に形成する高度なマイクロニードル経皮送達技術である。タンパク質および水溶性分子は、局所効果、または循環に進入することによる全身効果のどちらかのために、これらの水性マイクロポアを通じて体内に進入できる。生成された水性チャネルは、AdminPatchが皮膚に適用されている間に絶えず開いたままであり、したがって皮膚表面に形成されたこれらの水性チャネルを通じた迅速な持続性で効率的な薬物送達が可能となる。AdminPatchシステムは、単回使用の使い捨てAdminPatchおよび再使用可能な携帯型アプリケータから成る。使い捨てAdminPatchは、従来の経皮薬物含有接着パッチに積層された独自のマイクロニードルアレイを含有する。
【0234】
別の使い捨て接着マイクロニードルパッチは、カリフォルニア州、メンロパークのTheraject,Inc.から入手できる。
【0235】
中空、多孔性、または中実マイクロニードルは、マイクロニードルの外部表面に縦溝または他の修飾を備えることができる。たとえば溝は、分子流をマイクロニードルの外側に沿わせるのに有用なはずである。微細加工型を使用して、ポリマーマイクロニードルも作製される。たとえば、エポキシ型は上述のように作製することができ、射出成形技法を利用して型でマイクロニードルを形成することができる。いくつかの場合で、ポリマーは、上述のものなどの生分解性ポリマーである。
【0236】
d.加圧流体
加圧流体は、たとえばジェット式注射器または「ハイポスプレー」を使用して、デバイス、たとえば粒子を送達するために使用され得る。通例、このような装置は、デバイスを皮膚中に推進させる液体または粉末(たとえば生理食塩水などの生体適合性液体)の高圧「ジェット」を生成し、浸透深さは、たとえばジェット圧を制御することによって制御され得る。圧力は、好適な供給源、たとえば標準ガスシリンダーまたはガスカートリッジから得ることができる。たとえばU.S.Patent No.4,103,684を参照。液体の加圧は、圧縮空気またはガスを使用して、たとえば大型シリンダーからの、または内蔵ガスカートリッジもしくは小型シリンダーからの圧力ホースによって達成され得る。
【0237】
皮膚への浸透深さは、液体の加圧度を制御することによって制御され得る。一般に、より高い圧力によって、皮膚へのより深い浸透が可能となる。それゆえ比較的低圧では、デバイスは表皮中に浸透できる;比較的より高圧では、デバイスの少なくとも一部が皮膚の真皮にも浸透するであろう。
【0238】
3.粘膜表面への投与
デバイスは、粉末の噴霧、または粘膜接着性デバイスの組織への適用によって、好ましくは粘膜表面に適用される。これは舌下、頬側、膣内、直腸、または鼻内でもよい。
【0239】
C.検出方法
シグナルは、表面上もしくはデバイス内のどちらかで、またはデバイス付近で検出することができる。
【0240】
デバイスおよび粒子を含有するデバイスの使用は上述されている。これらをいくつかの実施形態において使用して、検体の存在および/または量を示すパターンまたは色を生成することができる。密度、形状、色、またはパターンもしくは色の強度は、2項選択型の回答を与え得るか、または定量的な量を与えるように等級化され得る。これはpHまたは温度変化への暴露によっても影響されることがある。場合により、粒子は外部から印加された力、たとえば磁場に暴露され得る。
【0241】
デバイスまたは皮膚または組織表面は、反応があるときに感覚が変化し得る。たとえば形状記憶ポリマーは、コレステロールレベルが150mg/dlより低い時に「OK」を示し得る。これらはコレステロールレベルが200mg/dlを超えたときに変化して、「HIGH」と読み取れることがある。デバイスはこれらのレベルの間では、ブランクであるか、またはは明瞭度に欠けることがある。
【0242】
デバイスは、検体と反応したときに、味または香りが変化することがある。このことにより、カプセル化された香気を放出した、または粘膜デバイスの場合には、ミントもしくはシナモンなどの食品着香料を放出する、pHまたは温度の関数として放出されている食品の匂いなどの香りを生じ得る。FDA GRAS成分がシグナルとして使用されることが好ましい。
【0243】
1つの実施形態は、検体が測定される部位に、被験体における検体の存在および/または量の判定のためのシングルステップ診断デバイスを投与することを含む、検体の存在または量を判定する方法を提供し、デバイスは、皮膚または粘膜表面の下または中に局所的に投与され、デバイスが:投与部位にて検出される検体と反応する反応剤およびメガネまたは補聴器などの個人によって普通に使用される機器を除いて、ヒトに直接適用されるまたはヒトに使用されるいずれのデバイスによっても補助されずに、視覚的に、感覚によって、香りによって、または味によって、検体との反応部位にて検出できるシグナルを生成する薬剤を含む。たとえば判定可能な変化は、任意のさらなる機器を使用せずにヒトによって判定可能である、外観(たとえば色)の変化、温度の変化、匂いの生成などであり得る。
【0244】
これらのデバイスは、疾患または炎症を示す温度の変化を測定するために、皮膚または粘膜に適用され得る。好ましい実施形態において、デバイスは無色もしくは正常な温度を示す色(たとえば緑色)であり得るか、またはデバイスは「OK」などのメッセージを表示するであろう。温度があるレベル、たとえば38℃(101°F)を超える場合、色が変化して(たとえば注意の黄色または赤色)またはメッセージが変化して(たとえば形状記憶ポリマーが使用される場合)、「HOT」と読み取れる。これらは、たとえばデイケアなどの施設で、監視すべき数人の乳児または幼児がいて、発熱が急速に発生し得る場合に特に有用である。
【0245】
別の実施形態において、デバイスは、分子と特異的に反応する反応剤と、反応する分子の量と相関する量でシグナルを産生するシグナル生成剤を提供することによって、血中酸素の減少を測定するために、またはグルコース、コレステロール、トリグリセリド、癌マーカー、もしくは感染性因子などの分子の量を測定するために使用され得る。代わりに、温度モニタに似て、事前送信レベルを使用して、色の変化をもたらす、たとえば「C high」、またはたとえば「インスリン!」を示すメッセージを作成することができる。
【0246】
上で議論したように、別の実施形態において、デバイスは、形状が変化し得る、香気もしくはフレーバーを発生し得る、またはそうでなければさらなる情報を求める必要があることをヒトに通知し得る。いくつかの場合で、このことは障害のインジケータを確認することができ、適切な医学的介入が得られる、医学的な配慮を求めることであり得る。発熱を示す温度である場合、介護者は標準温度計を使用して体温を測定することがある。妊娠または排卵を示すホルモン変化の場合、尿試料を使用してELISA検査が実施され得る。高グルコースの場合、このことは標準グルコースモニタおよび血液試料を使用して確認できる。
【0247】
デバイスは一般に、最終診断ではなく、さらなる追跡を必要とする状況のインジケータであること意味する。
【0248】
D.キット
別の態様において、1つ以上の組成物を含むキット、たとえば異方性粒子を含むキット、複数の皮膚挿入物体を含むキットが作製されるであろう。「キット」は本明細書で使用する場合、通例、1つ以上の組成物、たとえば上述したような、1つ以上の組成物を含むパッケージまたはアセンブリを定義する。キットの1つ以上の組成物は、液体形(たとえば溶液で)、または固体形(たとえば乾燥粉末)として提供され得る。ある場合では、いくつかの組成物は、たとえば、キットと共に提供されても提供されなくてもよい、好適な溶媒または他の種の添加によって、構成可能であるか、またはそうでなければ(たとえば活性形に)処理可能であり得る。他の組成物または成分の例は、これに限定されるわけではないが、たとえば試料および/または被験体に対する特定の用途のための、組成物成分をたとえば使用、投与、修飾、集成、貯蔵、包装、調製、混合、希釈、および/または保存するための材料を含む。
【0249】
キットは通例、調製および投与の説明、ならびに/または検出可能なシグナルの解釈を含むであろう。説明は、組成物および/またはキットに関連する他の組成物の使用、修飾、混合、希釈、保存、投与、集成、貯蔵、包装および/または調製のための説明を含み得る。いくつかの場合で、説明は、たとえば試料および/または被験体に対するたとえば特定の用途のための、組成物の送達および/または投与の説明も含み得る。説明は、任意の方式で提供された、このような説明、たとえば書面または出版、口頭、音声(たとえば電話)、デジタル、光学、視覚(たとえばビデオテープ、DVDなど)または電子通信(インターネットまたはウェブベースの通信を含む)を含有するための好適な媒体として、当業者によって認識可能な任意の形で提供され得る。
【0250】
いくつかの実施形態において、1つ以上の実施形態を促進する方法、たとえば異方性粒子またはこのような粒子および/もしくは皮膚挿入物体を含有するデバイスの作製または使用を促進する方法、上で議論したようなキットを促進する方法などが本明細書で議論される。本明細書で使用する場合、「促進された」は、これに限定されるわけではないが、本明細書で議論するような本発明のシステム、デバイス、装置、製品、方法、組成物、キットなどに関連する、販売の、広告の、割当ての、ライセンスの、契約の、指導の、教育の、研究の、輸入の、輸出の、交渉の、資金調達の、貸付けの、取引の、販売の、再販の、流通の、修理の、交換の、保険の、訴訟の、特許取得の方法などを含む、事業を行うすべての方法を含む。促進の方法は、これに限定されるわけではないが、個人当事者、事業(公共または民間)、提携、会社、トラスト、契約または下請代理店、大学などの教育機関、研究機関、病院または他の臨床機関、政府機関などを含む、いずれの当事者も行うことができる。促進活動は、明らかに本発明に関連する任意の形の通信(たとえば書面、口頭、および/またはこれに限定されるわけではないが、eメール、電話、インターネット、ウェブベースなどの電子通信)を含み得る。
【0251】
一組の実施形態において、促進の方法は、1つ以上の説明を含み得る。本明細書で使用する場合、「説明」は、(たとえば指示、ガイド、警告、ラベル、注、FAQ、すなわち「よくある質問」など)の説明上有用な構成要素を定義して、通例、本発明および/もしくは本発明の実装の、またはそれに関連する書面での説明を含むことができる。説明は、たとえば本明細書で議論するように、説明が本発明に関連していることをユーザーが明らかに認識するような任意の方式で提供される、任意の形(たとえば口頭、電子、音声、デジタル、視覚など)の説明のための通信を含むことができる。
【0252】
“Determination of Tracers within Subjects”という名称の、2009年3月26日に出願された、U.S.provisional patent application 61/163,733;“Monitoring of Implants and Other Devices”という名称の、2009年3月26日に出願された、U.S.provisional patent application No.61/163,750:および”Systems And Methods For Creating And Using Suction Blisters or Other Pooled Regions Of Fluid Within The Skin”という名称の、2009年3月26日に出願された、U.S.provisional patent application Ser.No.61/163,710は、参照により本明細書に組み入れられている。
【実施例】
【0253】
デバイスの詳細な非制限的な例は、たとえば、PEOなどの生体適合性ポリマー、またはポリ乳酸および/またはポリグリコール酸のポリマーを含む、異方性粒子を含む。このような予言的な実施例をここで説明する。
【0254】
1つの実施例において、粒子の第1の半分は、グルコースに結合できるグルコース結合パートナー、たとえばグルコースオキシダーゼまたはグルコース1−デヒドロゲナーゼを含有し得る。第1の半分は、緑であり得る第1の着色料、たとえばフルオレセインまたはGFPも含有し得る。第2の半分は、赤色であり得る第2の着色料、たとえばローダミンを含有し得る。このような粒子は、生理食塩水に懸濁させて、ヒト被験体の皮膚中に注射することができる。比較的低レベルのグルコースでは、粒子の凝集は発生せず、粒子は皮膚内でランダムな配向で存在する;それゆえ赤色および緑色の混合物が見える(たとえば褐色の外観が得られる)。比較的高レベルのグルコースでは、粒子がグルコースの周囲に配向するように粒子の多少の凝集が発生し、粒子の第1の半分は、グルコース結合パートナーが存在するためにグルコースに向かって優先的に配向する。それゆえ視覚的に、粒子が凝集体するときには、第2の着色料が優先するであろう;それゆえ、より明るい赤色の外観が見られる。
【0255】
別の実施例として、第1の半分および第2の半分はそれぞれ、異なる着色料または染料を含有し得る(たとえば第1の半分は赤色であり得るが、第2の半分は青色であり得る)。粒子の第1の半分は、粒子の形成前に流体流に導入され得る、鉄などの磁気感受性材料を含有し得る。磁場の非存在下で、粒子は皮膚内にランダム配向で存在する。しかし、磁場が印加されるとき、粒子は磁場内で配向するようになり得る。磁場は外部から印加され得る。磁場の位置に応じて、粒子は、粒子の第1の半分が主に見えるように(赤色の外観を生じさせる)、または粒子の第2の半分が主に見える(青色の外観を生じさせる)ように配向されるようになる。磁場は、任意の好適な技法を使用して、たとえば場合により被験体に装着される外部装置、たとえばワンド、またはブレスレットを用いて誘起され得る。
【0256】
別の例として、粒子の第1の半分は、病原体と結合または相互作用する反応剤を含有する。たとえば反応剤は、病原体に対する抗体および/または病原体によって産生されたマーカー(たとえばタンパク質)であり得る。詳細な例として、病原体は炭疽菌であり、反応剤は炭疽菌胞子に対する抗体であり得る。別の例として、病原体はプラスモジウム(マラリアを引き起こすある種)であり、反応剤はプラスモジウムを認識する抗体であり得る。いくつかの場合で、これらは間質液に入ることができる溶解性分子であり得る。粒子の第1の半分は、緑であり得る第1の着色料、たとえばフルオレセインまたはGFPも含有し得る。第2の半分は、赤色であり得る第2の着色料、たとえばローダミンを含有し得る。
【0257】
また別の例として、粒子の第1の半分は、病原体と結合または相互作用する反応剤を含有する。たとえば反応剤は、病原体に対する抗体および/または病原体によって産生されたマーカー(たとえばタンパク質)であり得る。詳細な例として、病原体は炭疽菌であり、反応剤は炭疽菌胞子に対する抗体であり得る。粒子の第1の半分は、緑であり得る第1の着色料、たとえばフルオレセインまたはGFPも含有し得る。第2の半分は、赤色であり得る第2の着色料、たとえばローダミンを含有し得る。
【0258】
1セットを超える異方性粒子がいくつかの場合で使用され得る。たとえば、一実施形態において、第1のセットの異方性粒子は、種に対する反応剤を含有する第1の半分および第1のシグナル伝達剤を含有する第2の半分を含有するのに対して、第2のセットの異方性粒子も、種に対する反応剤および第2のシグナル伝達剤を含有する第2の半分を含有する。第1および第2のシグナル伝達剤は、たとえばそれらを集結させたときに吸熱または発熱反応を生成する2つの薬剤、たとえば水酸化バリウム(Ba(OH))および硝酸バリウム(NHNO)であり得る。粒子の第1の半分は、反応剤として、グルコースに結合できるグルコース結合パートナー、たとえばレクチン(たとえばコンカナバリンA)、グルコースオキシダーゼまたはグルコース1−デヒドロゲナーゼも含有する。比較的低レベルのグルコースでは、粒子の凝集は発生せず、被験体によって温度変化は感じられない。しかし比較的高レベルのグルコースでは、粒子がグルコースの周囲に配向するように粒子の多少の凝集が発生し、粒子の第1の半分は、グルコース結合パートナーが存在するためにグルコースに向かって優先的に配向する。粒子の第2の半分はそれゆえ、相互に近接して集結されて、反応剤の間の反応速度を上昇させる。この場合、水酸化バリウムと硝酸アンモニウムとの間の反応は、硝酸バリウム(Ba(NO)およびアンモニウム(NH)を生じる吸熱反応である。これは温度の下降として検知され得る。
【0259】
いくつかの場合で、本明細書に記載するある粒子をコード化システムとして使用できる。たとえば異なる着色料または染料を含有する異方性粒子を使用でき、たとえば第1の半分は実質的に透明であるのに対して、第2の半分は青色であり得る。粒子の第1の半分は、粒子の形成前に流体流に導入され得る、鉄などの磁気感受性材料も含有し得る。粒子は生理食塩水に懸濁させて、被験体の皮膚中に適用される。粒子は真皮および/または表皮中に注射されて、たとえば皮膚内に「マーク」を形成し得る。いくつかの場合で、マークはタトゥの外観を与えるであろう。マークを使用すると、コードワード、句、または記号が被験体内にコード化され得る。マークは抽象記号、ワードなども定義し得る。マークは一時的(たとえば粒子が主に表皮に送達される場合)または永続的であり得る。いくつかの場合では、マークは、被験体に適用されると、目に見えないことがある。たとえば、マークに関連する粒子は、無色である第1の半分と、赤色などの色を含む第2の半分を含み得る。磁場の非存在下では、粒子は皮膚内にランダム配向で存在する。それゆえ皮膚のマークは、第1および第2の色のブレンドであるように見えるか、および/または皮膚のマークは、たとえば粒子が比較的高い濃度で存在しない場合は、皮膚の残りと同様に見えることがある。しかし、磁場が印加されるとき、粒子の第1の半分が磁気感受性材料を含有するため、粒子は磁場内で配向するようになり得る。磁場は外部から印加され得る。磁場の位置に応じて、粒子は、粒子の第2の半分が主に見えて、そえにより皮膚内に着色された外観が生じるように配向されるようになり得る。それゆえ粒子を使用して、被験体に投与される秘密のメッセージがコード化され得る。粒子は比較的透明であるため、別の人がコード化された情報の位置および性質を認識せずに、粒子を発見することは困難または不可能であり得る。しかし、好適な強度を有する磁場に被験体を暴露させると、粒子が整列されるようになり、このことはコード化シグナルとして判定できる。
【0260】
本発明の複数の実施形態が本明細書で説明および例証されたが、当業者は、機能を実施するための、ならびに/または本明細書に記載する結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための、多様な他の手段および/または構造をただちに構想するであろうし、このような変形および/または改良はそれぞれ本発明の範囲内にあると見なされる。さらに一般には、当業者は、本明細書に記載するすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が本発明の教示が使用される詳細な1つまたは複数の用途に応じて変わるであろうことをただちに認識するであろう。当業者は、単に通常の実験を使用して、本明細書に記載する本発明の詳細な実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することができるであろう。したがって、上述の実施形態がほんの一例として示されていることと、添付された請求項およびその均等物の範囲内で、本発明は詳細に説明および請求したのとは別の方法で実施され得ることが理解されるはずである。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における検体の存在および/または量の判定のためのシングルステップ診断デバイスであって、
前記デバイスが皮膚もしくは粘膜表面の下またはその中での局所投与に好適な形であり、
前記デバイスが
検出される検体と投与部位にて反応または相互作用する反応剤と、
単独でおよび/または別の種と組合されて、視覚的に、感覚によって、香りによって、または味によって検出できるシグナルを前記検体との反応部位にて生成するシグナル伝達剤とを含み、
前記反応剤および前記シグナル伝達剤は同じであっても異なっていてもよい、
シングルステップ診断デバイス。
【請求項2】
粘膜接着性材料を含む、粘膜表面への投与のための、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
微粒子を含む、皮下または皮内投与のための、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
皮膚に付着するための手段と、皮膚を通じて検体を取得する手段とを含む、経皮投与のための、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
シグナルを生成するための触覚手段を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記触覚手段が形状記憶ポリマー、温度感受性ポリマー、pH応答性ポリマー、液晶ポリマー、およびポリマーゲルから成る群より選択される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記シグナル伝達剤を含む異方性ナノ粒子または微粒子を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記シグナル伝達剤が発色団または他の染料または発色剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
ブレスレット、指輪、カラー、またはイヤリングの形である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項10】
接着パッチおよび経皮促進剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記シグナルが前記検体との前記反応部位での香りまたは味の放出である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
規定のレベルの検体との反応前に第1の表示を、前記規定のレベルの検体との反応後には第2の異なる表示を表示するモニタをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記反応剤および前記シグナル伝達剤が同じである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記反応剤および前記シグナル伝達剤が異なる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
治療剤をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
2種より多い反応剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
皮膚もしくは粘膜表面の下またはその中の検体が測定される部位へ、被験体における検体の存在および/または量の判定のためのシングルステップ診断デバイスを前記被験体に対して局所投与することを含む、検体の存在または量を判定する方法であって、
前記デバイスが、
検出される検体と投与部位にて反応する反応剤、ならびに
単独でおよび/または別の種と組合されて、外部もしくは第2のデバイスまたは参照試料を参照せずに、視覚的に、感覚によって、香りによって、または味によって検出できるシグナルを前記検体との反応部位にて生成するシグナル伝達剤
を含む、方法。
【請求項18】
疾患または炎症を示す温度の変化を測定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
血中酸素の減少を測定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
グルコース、コレステロール、トリグリセリド、癌マーカー、および感染性因子から成る群より選択される分子の量を、前記分子と特異的に反応する反応剤、および反応する前記分子の量と相関する量でシグナルを産生するシグナル伝達剤を提供することによって測定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記反応剤が核酸を特異的に結合することができる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記反応剤がタンパク質またはペプチドを特異的に結合することができる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
検体を示す標的を判定する方法であって:
前記標的を粒子の群に暴露する工程であって、前記粒子の群の少なくともいくつかの粒子が第1の表面領域および第2の表面領域を含む少なくとも2つの別個の表面領域を有し、前記第1の表面領域が前記標的を固定することができる、工程と;
前記少なくともいくつかの粒子の前記第1の表面領域を前記検体に固定して、粒子配向の変化を引き起こす工程と;
前記粒子の判定可能な特色を判定して、それにより前記標的を判定して前記検体を判定する工程と;
を含む方法。
【請求項24】
複数の標的−粒子クラスタが形成され、各クラスタが少なくとも1つの標的および前記標的に固定された粒子の第1の表面領域を含み、各クラスタが前記粒子の第1の表面領域に比較して過剰な前記粒子の第2の表面領域によって規定された外側境界を規定する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子がポリマーを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子が生分解性ポリマーを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子がヒドロゲルを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が磁気感受性材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子が導電性材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子が半導体材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子の少なくともいくつかが微粒子である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子の少なくともいくつかがナノ粒子である、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記粒子の少なくともいくつかが球状である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記粒子の少なくともいくつかが非球状である、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記粒子の少なくともいくつかが前記検体に結合するか、または前記検体と相互作用する反応剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記反応剤が前記第1の表面領域に存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記反応剤が前記第1の表面領域に存在するが、前記第2の表面領域には存在しない、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記反応剤がタンパク質を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記反応剤が抗体を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記反応剤が酵素を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記反応剤が核酸を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記反応剤が触媒を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記反応剤が前記検体を特異的に結合する、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記反応剤が前記検体を非特異的に結合する、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記検体がグルコースである、請求項23に記載の方法。

【請求項46】
前記検体がコレステロールである、請求項23に記載の方法。
【請求項47】
前記検体がpHである、請求項23に記載の方法。
【請求項48】
前記検体が尿素である、請求項23に記載の方法。
【請求項49】
前記検体が病原体によって産生される、請求項23に記載の方法。
【請求項50】
前記検体が細菌である、請求項23に記載の方法。
【請求項51】
前記検体がウイルスである、請求項23に記載の方法。
【請求項52】
前記検体が製薬または治療剤、栄養素、イオンまたは電解質、タンパク質、脂質、炭水化物、および病原体から成る群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項53】
前記検体が身体に投与される薬剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項54】
前記検体が環境因子である、請求項23に記載の方法。
【請求項55】
前記検体が一酸化炭素または二酸化炭素である、請求項23に記載の方法。
【請求項56】
前記粒子の判定可能な特色が色である、請求項23に記載の方法。
【請求項57】
前記粒子の判定可能な特色が温度である、請求項23に記載の方法。
【請求項58】
前記粒子の判定可能な特色がサイズである、請求項23に記載の方法。
【請求項59】
前記粒子の判定可能な特色が光である、請求項23に記載の方法。
【請求項60】
前記粒子の判定可能な特色が匂いである、請求項23に記載の方法。
【請求項61】
前記粒子の判定可能な特色を判定する行為がヒトによって実施される、請求項23に記載の方法。
【請求項62】
前記粒子の判定可能な特色を判定する行為がヒトの裸眼によって実施される、請求項23に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくともいくつかの粒子の前記第1の表面領域を前記標的に固定する行為が可逆的である、請求項23に記載の方法。
【請求項64】
前記粒子の群が被験体内に含有されている、請求項23に記載の方法。
【請求項65】
前記粒子の群が被験体の皮膚内に含有される、請求項23に記載の方法。
【請求項66】
前記粒子の群が主に前記被験体の真皮に含有される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記粒子の群が主に前記被験体の表皮に含有される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記粒子の少なくともいくつかが前記被験体内に少なくとも約1週間含有された後に、前記検体に固定することが可能である、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記粒子の少なくともいくつかが診断剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項70】
前記粒子の少なくともいくつかが治療剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項71】
被験体の皮膚内の検体を判定するのに好適な粒子を、少なくとも約15分間の期間にわたって、複数の皮膚挿入物体を介して前記被験体の皮膚に送達することを含む方法。
【請求項72】
前記期間が少なくとも約1時間である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記期間が少なくとも約1日である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記期間が少なくとも約1週間である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物が前記被験体の皮膚の部分内でデポーを形成する、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記組成物が液体ジェットプロセスを介して前記被験体の皮膚に送達される、請求項71に記載の方法。
【請求項77】
前記組成物を前記被験体の表皮に送達することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記組成物を前記被験体の真皮に送達することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項79】
前記組成物が被験体の表皮内の検体を判定するのに好適である、請求項71に記載の方法。
【請求項80】
前記組成物が被験体の真皮内の検体を判定するのに好適である、請求項71に記載の方法。
【請求項81】
前記粒子が微量注入によって投与される、請求項71に記載の方法。
【請求項82】
前記皮膚挿入物体がマイクロニードルである、請求項71に記載の方法。
【請求項83】
被験体の皮膚中に、少なくとも2つの別個の領域を有する粒子を投与する工程を含む方法であって、各領域は、前記粒子の表面に存在する、方法。
【請求項84】
前記粒子を投与する行為が液体−ジェットプロセスを介して前記粒子を前記被験体の皮膚中に注射する工程を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記粒子を投与する行為が粉末−ジェットプロセスを介して前記粒子を前記被験体の皮膚中に注射する工程を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
被験体の外部にあり、前記被験体の真皮よりも高い程度で前記被験体の表皮に常在するように構築された診断センサ組成物であって、検体の非存在下でのシグナルと区別可能である、前記検体の存在下での検出可能なシグナルを生成するように前記検体に応答する組成物。
【請求項87】
前記シグナルがヒト裸眼によって検出可能な色変化である、請求項86に記載の診断センサ。
【請求項88】
前記組成物が粒子の群を含み、前記粒子の群の少なくとも1つの粒子が少なくとも第1の表面領域および第2の表面領域を含む少なくとも2つの別個の表面領域を有し、前記粒子の群のそれぞれの前記第1表面領域が前記検体に固定され、前記粒子の群のそれぞれの前記第2の表面領域が判定可能な特色を有する、請求項87に記載の診断センサ。
【請求項89】
前記粒子の群の粒子の少なくとも約5%が少なくとも第1の表面領域および第2の表面領域を含む少なくとも2つの別個の表面領域を有し、前記粒子の群のそれぞれの前記第1表面領域が前記検体に固定され、前記粒子の群のそれぞれの前記第2の表面領域が判定可能な特色を有する、請求項88に記載の診断センサ。
【請求項90】
前記粒子の群の粒子の少なくとも約10%が少なくとも第1の表面領域および第2の表面領域を含む少なくとも2つの別個の表面領域を有し、前記粒子の群のそれぞれの前記第1の表面領域が前記検体に固定され、前記粒子の群のそれぞれの前記第2の表面領域が判定可能な特色を有する、請求項89に記載の診断センサ。
【請求項91】
前記組成物が、間質液により到達可能である、前記被験体の外部にあるマトリクスに固定された前記粒子の群を含む、請求項88に記載の診断センサ。
【請求項92】
前記マトリクスが表皮に前記組成物を送達するのに使用される表皮穿刺物体を含む、請求項91に記載の診断センサ。
【請求項93】
被験体の皮膚に位置する材料の外観を判定することによって、前記被験体の身体的状況を判定することを含む方法。
【請求項94】
前記材料が健康状態を示す第1の外観および疾患状態を示す第2の外観を呈する、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
外観の変化が色の変化、彩度の変化、色相の変化、明度の変化および濃淡の変化から成る群より選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記材料が少なくとも3つの色を呈する、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記身体的条件がヒト裸眼によって判定される、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
主に表皮内に位置する一時的なタトゥを含む組成物。
【請求項99】
前記タトゥが被験体への投与後に数日から数週間に及ぶ期間にわたって持続する、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
前記被験体の表皮が入れ替わるときに前記タトゥが脱落する、請求項98に記載の組成物。
【請求項101】
前記タトゥが複数の着色粒子から形成される、請求項98に記載の組成物。
【請求項102】
ユーザーが外部機器を用いずに判定可能な検知シグナルを提供する、皮膚上または皮膚内の一時的な完全組込み型連続センサ。
【請求項103】
前記検知シグナルが視覚シグナル、触覚シグナル、音声シグナル、香りおよび味から成る群より選択される、請求項103に記載のセンサ。

【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2011−522616(P2011−522616A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512671(P2011−512671)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/046333
【国際公開番号】WO2009/149308
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509202868)セブンス センス バイオシステムズ,インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】