説明

ジスチリルベンゼン化合物混合物

【課題】優れた発光特性等を有する機能性材料として有用なジスチリルベンゼン混合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される2種類または3種類と、下記一般式(4)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される1〜3種類とを含むことを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。




(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基等を表わす。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤に対する溶解性を向上させたジスチリルベンゼン化合物混合物に関するものである。さらに詳細には、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の有機エレクトロニクス用素材として有用であるジスチリルベンゼン化合物混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機材料の発光特性や電荷輸送特性を利用して、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子が提案されている。これら機能素子のなかで、光電変換素子とりわけ有機太陽電池および電子写真感光体用電荷輸送剤としてこれまで低分子系および高分子系の様々な材料が報告されている。
以下、電子写真感光体を例に挙げ、従来の電荷輸送剤について述べる。電子写真感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染の影響が少ない材料を選択できること、製造コストが安いことなどの理由により、無機感光体に対して有利な点が多い。電子写真感光体の電荷輸送剤としては、例えばオキサジアゾール化合物(例えば、特許文献1参照)、オキサゾール化合物(例えば、特許文献2参照)、ピラゾリン化合物(例えば、特許文献3参照)、ヒドラゾン化合物(例えば、特許文献4〜7参照)、ジアミン化合物(例えば、特許文献8参照)、スチルベン化合物(例えば、特許文献9〜11参照)、ブタジエン化合物(例えば、特許文献12参照)等がある。これらの電荷輸送剤は優れた特性を有し、実用化されているものがあるが、近年、画像形成装置の高速化並びに小型化が急速に進行するに伴って、電荷輸送機能の更なる向上が必要不可欠となっており、特に高移動度を有する電荷輸送剤の開発が強く求められている。
高移動度を有する電荷輸送剤は、π共役が発達した分子構造が有利であるが、その場合に分子サイズが大きくなり、溶解性が低下したり、結晶化しやすくなるなどの不具合が生じる。感光体の電荷輸送層に用いる場合は、電荷輸送剤をバインダー樹脂とともに溶剤に溶解させ膜を形成する必要がある。例え、移動度に優れる電荷輸送剤があったとしても、溶剤に溶解できなければ実用性はないことになる。
【0003】
高移動度を有する電荷輸送剤としては、ジスチリルベンゼン化合物を電子写真感光体の用途として用いているものが開示されている(特許文献13参照)。ジスチリルベンゼン化合物は耐久性、感度、ドリフト移動度等は優れているが、有機溶剤に対する溶解性に乏しい。溶解性が乏しいと、電荷輸送性に影響を与える上、一度溶解したとしても後から結晶化したり、微小なクラックが形成されたりすることがあり、溶解性が低いことが及ぼす影響は非常に大きい。
バインダー樹脂への相溶性を改善したジスチリルベンゼン化合物を得る手法もあるが(特許文献14参照)、ジスチリルベンゼン化合物の対称性を考慮したものではなく、また製造工程が長く、安価に製造することが困難であり、実用レベルにあるとは言い難い。また、一段階の反応で得た複数のスチリル基を有する化合物混合物を電子写真感光体の材料として使用しているものがある(特許文献15参照)。この方法で得られる混合物はオリゴマーであり、不純物を多く含んでいる。そのため、電荷輸送剤としての機能が高くはない。また、一段階の反応でp−ターフェニル化合物混合物を合成しているものがある(特許文献16参照)。この方法で得られる混合物は有機溶剤に対する溶解性が高く、純度も高い。しかしながら、電荷輸送剤の移動度は今後の電子写真感光体のさらなる特性向上には十分ではない。このように高いドリフト移動度を有し、低コストで製造可能であり、有機溶剤に対する優れた溶解性を有する電荷輸送剤は見出されていない。
【0004】
【特許文献1】特公昭34−005466号公報
【特許文献2】特開昭56−123544号公報
【特許文献3】特公昭52−041880号公報
【特許文献4】特公昭55−042380号公報
【特許文献5】特公昭61−040104号公報
【特許文献6】特公昭62−035673号公報
【特許文献7】特公昭63−035976号公報
【特許文献8】特公昭58−032372号公報
【特許文献9】特公昭63−018738号公報
【特許文献10】特公昭63−019867号公報
【特許文献11】特公平3−039306号公報
【特許文献12】特開昭62−030255号公報
【特許文献13】特許第2552695号公報
【特許文献14】特許第3720927号公報
【特許文献15】特開2005−181679号公報
【特許文献16】WO2007/086439 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、高い移動度並びに電荷輸送性を併せ持ち、かつ低コストで製造可能であり、溶剤に対する溶解性が良好であり、また優れた発光特性あるいは電荷輸送特性を有すると共に耐久性に優れた機能性材料として有用なジスチリルベンゼン混合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は本発明の以下の(1)〜(7)によって解決される。
(1)「下記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される2種類または3種類と、下記一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される1〜3種類とを含むことを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物;
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】
【化4】

【0011】
【化5】

【0012】
【化6】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
(2)「前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率が1〜50質量%であることを特徴とする前記第(1)項に記載のジスチリルベンゼン化合物混合物」、
(3)「下記一般式(7)、一般式(8)で表わされる2種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成されることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物;
【0013】
【化7】

【0014】
【化8】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとRは共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
(4)「下記一般式(7)、一般式(8)で表わされる2種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成される下記一般式(1)、一般式(2)で表わされる2種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物と、下記一般式(4)で表わされる1種類の非対称型ジスチリルベンゼン化合物からなることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物;
【0015】
【化9】

【0016】
【化10】

【0017】
【化11】

【0018】
【化12】

【0019】
【化13】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとRは共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
(5)「下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成されることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【0020】
【化14】

【0021】
【化15】

【0022】
【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
(6)「下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成される下記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物と、下記一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる3種類の非対称型ジスチリルベンゼン化合物とからなることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物;
【0023】
【化17】

【0024】
【化18】

【0025】
【化19】

【0026】
【化20】

【0027】
【化21】

【0028】
【化22】

【0029】
【化23】

【0030】
【化24】

【0031】
【化25】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
(7)「下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物から選択される2種類または3種類とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって、3〜6種類のジスチリルベンゼン化合物混合物を得ることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物の製造方法;
【0032】
【化26】

【0033】
【化27】

【0034】
【化28】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)」、
【発明の効果】
【0035】
本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物は高いドリフト移動度を有し、有機溶剤に対する溶解性に優れる。本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物は応用範囲が広く、高感度の光電変換素子として電子写真感光体のみならず、有機EL、有機太陽電池、有機TFTなどの材料として非常に有効である。
本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物の有機溶剤に対する溶解性が向上した理由として、混合物が類似構造の化合物の混合物であることが挙げられる。また、この混合物は、嵩高いフェニルアミノ基の構造が異なり立体障害を有するため、分散性に優れ、良好な電荷輸送能をも発現する。
ジスチリルベンゼン化合物混合物を一段階の反応で合成すると、類似構造の化合物の混合物を晶析で得られる。この混晶は、フェニルアミノ基の構造が異なるジスチリルベンゼン化合物がランダムに存在するため、立体障害により、分子レベルでの隙間が多くなるため、さらに溶解性が向上すると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の前記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物の内、2〜3種類と、該化合物のそれぞれの置換基群を併せ持つ一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物の内、1〜3種類からなるジスチリルベンゼン化合物混合物は、各々の化合物を合成し、混合することで作製することができる。
また、本発明の前記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物の内、2〜3種類と、該化合物のそれぞれの置換基群を併せ持つ一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物の内、1〜3種類からなるジスチリルベンゼン化合物混合物は、下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物から選択される2種類または3種類とp−キシレン−α,α’−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によっても、3〜6種類のジスチリルベンゼン化合物混合物を合成することができる。一段階の反応でジスチリルベンゼン化合物混合物を合成する方法は、嵩高いフェニルアミノ基の構造が異なる対称型ジスチリルベンゼンと非対称型ジスチリルベンゼンとが同時に合成されるため、分子同士が整列し難く、前記混合物の混晶は、分子レベルで隙間が多く存在し、各々の化合物を別々に合成して混合したものに比べ、より溶解性が向上する。
【0037】
【化29】

【0038】
【化30】

【0039】
【化31】

【0040】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【0041】
フェニル基の置換基であるRとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12が共同で環を形成した結果、フェニル基と共に構成される基としては、インデン、インダン、ナフタレン、テトラリン、ベンゾフラン、クロマン、インドール、インドリンなどが挙げられる。
【0042】
前記一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物の具体的な例として、次のような化合物が挙げられる。なお、本発明においては、これらの化合物に限定されるものではない。
【0043】
【化32】

【0044】
【化33】

【0045】
前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表わされる対称型ジスチリルベンゼン化合物の具体的な例として、次のような化合物が挙げられる。なお、本発明においては、これらの化合物に限定されるものではない。
【0046】
【化34】

【0047】
【化35】

【0048】
【化36】

【0049】
一段階の反応で本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物を合成する際、各々の反応速度が同じであると仮定した場合、ジスチリルベンゼン化合物混合物中の最大含有率を示す非対称型ジスチリルベンゼン化合物は最大で50質量%となる。実施例で示すように、一段階の反応で合成した非対称型ジスチリルベンゼン化合物の含有率は50%より小さい。これらの結果から、本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物において、前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率は0質量%より大きく、50質量%以下となると考えられる。本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物において、前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率は1質量%より多いことが望ましい。1質量%以下の場合、溶解性の悪い対称型ジスチリルベンゼンが多くなり、溶解性が悪化することがある。さらに望ましくは、溶解性の観点から前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率が5質量%より多いジスチリルベンゼン化合物混合物である。
一段階ではなく、個々の化合物を混合してジスチリルベンゼン化合物混合物を作製することも可能であり、その際一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率は50質量%を超えることができる。
しかしながら、非対称型ジスチリルベンゼン化合物と対称型ジスチリルベンゼン化合物とが高度に分散し、溶解性に優れる点、及び、コスト面から、有利である。
【0050】
また、本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物において、前記一般式(1)〜(3)で表わされる対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率は25〜95質量%であることが望ましい。
【0051】
本発明の電子写真感光体は、前記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物(但し、置換基群R5、R6、R7およびR8と置換基群R9、R10、R11およびR12と置換基群R1、R2、R3およびR4は置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)の内、2〜3種類と、該化合物のそれぞれの置換基群を併せ持つ一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物(但し、置換基群R5、R6、R7およびR8と置換基群R9、R10、R11およびR12と置換基群R1、R2、R3およびR4は置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)のうち、1〜3種類からなるジスチリルベンゼン化合物混合物を含有する。一段階の反応で本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物を合成する場合、前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率が0質量%より大きく、50質量%以下となると考えられる。非対称型ジスチジスチリルベンゼン化合物が1質量%以下の場合、溶解性の悪い対称型ジスチリルベンゼンが多くなり、溶解性が悪化することがある。そのため、より好ましくは溶解性の観点から前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率が5質量%より多いジスチリルベンゼン化合物混合物である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中の部は質量部を表わす。
化合物の同定は、対称型ジスチリルベンゼン化合物については、個々の化合物についての単一合成を実施し、元素分析によってその構造を確認した後、高速液体クロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較によって行なった。また、非対称型ジスチリルベンゼン化合物については、ジスチリルベンゼン化合物混合物からの分取高速液体クロマトグラフィーを用いた単離を実施し、元素分析によってその構造を確認した後、高速液体クロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較によって行なった。化合物の同定および混合比を測定するための高速液体クロマトグラフィーの側定条件は以下の通りである。
カラム:ODS系カラム、
溶離液:テトラヒドロフラン/メタノール=1/10(v/v)、
測定波長:254nm。
【0053】
[合成実施例1](化合物No.1、No.11およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物の合成)
p−キシレン−α,α’−ジイルジホスホン酸テトラエチル11.35g(30.0mmol)と4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド8.61g(31.5mmol)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド9.49g(31.5mmol)にテトラヒドロフラン34mlを加え、これにカリウム−t−ブトキシド8.06g(72mmol)を30〜45℃に加温しながら加えた。さらに、45〜50℃で1時間撹拌した後、メタノール100mlを加え、析出した結晶をろ過した。結晶をメタノールで洗浄した後、乾燥し、粗晶18.80g(収率;97.2%)を得た。さらに、粗晶15.00gにトルエン300mlを加え、50℃に加温して溶解した後、活性白土強(日本活性白土株式会社製)7.50gを加え、45〜50℃で1時間撹拌した。さらに活性白土強7.50gを加え、45〜50℃で1時間撹拌した後、ろ過し、トルエンを留去した。テトラヒドロフラン/メタノールの混合溶媒で晶析を行ない、化合物No.1、No.11およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物を、化合物No.1:化合物No.11:化合物No.13=48.5:25.4:25.9(高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積比)の混合比で14.59g(精製収率;97.3%)得た。
【0054】
個々の化合物の元素分析値は以下の通りである。
化合物No.1;炭素:89.42%(89.40%)、水素:6.24%(6.25%)、窒素:4.34%(4.35%)、化合物No.11;炭素:89.55%(89.58%)、水素:5.90%(5.88%)、窒素:4.55%(4.54%)、化合物No.13;炭素:89.24%(89.25%)、水素:6.60%(6.59%)、窒素:4.15%(4.16%)(計算値をかっこ内に示す。)。
図1に合成実施例1で作製した化合物No.1、No.11およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物のIRスペクトルを示す。
【0055】
[合成実施例2](化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物の合成1)
ジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物として4−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド7.24g(25.2mmol)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド11.39g(37.8mmol)を使用した他は、合成実施例1と同様にして反応、後処理を行ない、粗晶18.86g(収率;95.0%)得た。粗晶15.00gを合成実施例1と同様にして活性白土による吸着精製、晶析を行ない、化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物を、化合物No.2:化合物No.12:化合物No.13=45.7:12.6:40.9(高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積比)の混合比で14.43g(収率;96.2%)得た。
【0056】
個々の化合物の元素分析値は以下の通りである。
化合物No.2;炭素:89.34%(89.32%)、水素:6.42%(6.43%)、窒素:4.23%(4.25%)、化合物No.12;炭素:89.38%(89.40%)、水素:6.26%(6.25%)、窒素:4.35%(4.35%)、化合物No.13;炭素:89.24%(89.25%)、水素:6.60%(6.59%)、窒素:4.15%(4.16%)(計算値をかっこ内に示す。)。
図2に合成実施例2で作製した化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物のIRスペクトルを示す。
【0057】
[合成実施例3](化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物の合成2)
ジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物として4−(N−フェニル−N−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド1.81g(6.3mmol)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド17.09g(56.7mmol)を使用した他は、合成実施例1と同様にして反応、後処理を行ない、粗晶19.01g(収率;94.6%)得た。粗晶15.00gを合成実施例1と同様にして活性白土による吸着精製、晶析を行ない、化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物を、化合物No.2:化合物No.12:化合物No.13=16.8:0.9:80.6(高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積比)の混合比で14.36g(収率;95.7%)得た。
【0058】
個々の化合物の元素分析値は以下の通りである。
化合物No.2;炭素:89.34%(89.32%)、水素:6.42%(6.43%)、窒素:4.23%(4.25%)、化合物No.12;炭素:89.38%(89.40%)、水素:6.26%(6.25%)、窒素:4.35%(4.35%)、化合物No.13;炭素:89.24%(89.25%)、水素:6.60%(6.59%)、窒素:4.15%(4.16%)。(計算値をかっこ内に示す。)。
図3に合成実施例3で作製した化合物No.2、No.12およびNo.13からなるジスチリルベンゼン化合物混合物のIRスペクトルを示す。
【0059】
[合成実施例4](化合物No.3、No.4、No.5、No.13、No.18およびNo.19からなるジスチリルベンゼン化合物混合物の合成)
ジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物として4−(ジ−p−トリルアミノ)−ベンズアルデヒド15.19g(50.4mmol)、4−〔N−フェニル−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−アミノ〕−ベンズアルデヒド1.38g(4.2mmol)、4−〔N−フェニル−N−(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−アミノ〕−ベンズアルデヒド2.75g(8.4mmol)を使用した他は、合成実施例1と同様にして反応、後処理を行ない、粗晶18.94g(収率;92.4%)得た。粗晶15.00gを合成実施例1と同様にして活性白土による吸着精製、晶析を行ない、化合物No.3、No.4、No.5、No.13、No.18およびNo.19からなるジスチリルベンゼン化合物混合物を、化合物No.3:化合物No.4:化合物No.5:化合物No.13:化合物No.18:化合物No.19=6.2:19.1:0.3:73.0:0.1:0.9(高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積比)の混合比で13.23g(収率;88.2%)得た。
【0060】
個々の化合物の元素分析値は以下の通りである。
化合物No.3;炭素:89.39%(89.36%)、水素:6.61%(6.63%)、窒素:4.00%(4.01%)、化合物No.4;炭素:89.36%(89.36%)、水素:6.62%(6.63%)、窒素:4.02%(4.01%)、化合物No.5;炭素:89.49%(89.46%)、水素:6.67%(6.68%)、窒素:3.84%(3.86%)、化合物No.13;炭素:89.24%(89.25%)、水素:6.60%(6.59%)、窒素:4.15%(4.16%)、化合物No.18;炭素:89.50%(89.46%)、水素:6.66%(6.68%)、窒素:3.84%(3.86%)、化合物No.19;炭素:89.43%(89.46%)、水素:6.71%(6.68%)、窒素:3.86%(3.86%)(計算値をかっこ内に示す。)。
図4に合成実施例4で作製した化合物No.3、No.4、No.5およびNo.13、No.18、No.19からなるジスチリルベンゼン化合物混合物のIRスペクトルを示す。
【0061】
[有機溶剤に対する溶解度]
合成実施例1〜4のジスチリルベンゼン化合物混合物および単一合成したジスチリルベンゼン化合物(化合物No.11、No.12およびNo.13)の25℃におけるトルエンまたはテトラヒドロフランに対する溶解度を測定した。結果を表1に示した。溶解度の単位は%(重量/重量)で表わした。
【0062】
【表1】

【0063】
本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物と単一合成したジスチリルベンゼン化合物の溶解度を比較すると、単一合成したジスチリルベンゼン化合物ではトルエンに対する溶解度が極めて低いが、ジスチリルベンゼン化合物混合物では、単一合成したジスチリルベンゼン化合物の2倍以上の溶解度を示し、さらに、テトラヒドロフランに対する本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物の溶解度は、単一合成したジスチリルベンゼン化合物の3〜7倍の溶解度を示し溶解性に優れていることが確認できた。また、結着樹脂と共に溶解した場合にも、本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物の塗布液は単一合成したジスチリルベンゼン化合物の塗布液と比較して溶解安定性に優れている。
【0064】
[応用例]
本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物を用いた応用例として、電子写真感光体の作製例を示す。
<電子写真感光体1>
導電性支持体としての直径30mmのアルミニウムシリンダーに、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、約3.5μmの下引き層、約0.2μmの電荷発生層、約23μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行なった後、下引き層は130℃、電荷発生層は95℃、電荷輸送層は120℃で各々20分乾燥を行なうことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真感光体を得た。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン 50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業(株)製)
アルキッド樹脂 14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、
大日本インキ化学工業(株)製)
メラミン樹脂 8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製)
2−ブタノン 70部
【0065】
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、電荷発生剤に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。
即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
【0066】
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5質量部を得た。これを顔料1とする。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図5に示す。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
【0067】
(電荷発生層用塗工液)
作製したチタニルフタロシアニン結晶を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作製した。
チタニルフタロシアニン結晶 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及び上記顔料を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作製した。
なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が25%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
【0068】
(電荷輸送層用塗工液)
合成実施例1のジスチリルベンゼン化合物混合物 7部
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒 80部
1%シリコーンオイル 溶媒:テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶液
0.2部
(KF50−1CS、信越化学工業製)
【0069】
<電子写真感光体2>
電荷輸送層の電荷輸送剤を合成実施例2のジスチリルベンゼン化合物混合物に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0070】
<電子写真感光体3>
電荷輸送層の電荷輸送剤を合成実施例3のジスチリルベンゼン化合物混合物に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0071】
<電子写真感光体4>
電荷輸送層の電荷輸送剤を合成実施例4のジスチリルベンゼン化合物混合物に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0072】
<電子写真感光体5>
電荷輸送層の電荷輸送剤をジスチリルベンゼン化合物No.11に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0073】
<電子写真感光体6>
電荷輸送層の電荷輸送剤をジスチリルベンゼン化合物No.12に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0074】
<電子写真感光体7>
電荷輸送層の電荷輸送剤をジスチリルベンゼン化合物No.13に換えた以外は応用例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0075】
応用例で作製した電子写真感光体を用いて、明部電位の測定および溶解性試験を行なった。
明部電位測定にはリコー製imagio Neo270を用いた。
imagio Neo270の現像ユニットを分解し、表面電位計に接続された電位計プローブを現像ユニットに取り付け、それに感光体をセットして、暗部電位が−800(V)になるように印加電位を調節した後、黒ベタ画像を出力することによって、明部電位を測定した。表面電位計はTREK MODEL344を用いた。
【0076】
(溶解性試験)
下記組成の溶液に電荷輸送剤を7部添加し、25℃で攪拌した。電荷輸送剤が溶解するまでに要した時間で溶解性を評価した。
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒 68部
1%シリコーンオイル 溶媒:テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶液
0.2部
(KF50−1CS、信越化学工業製)
電荷輸送剤の溶解性は以下の基準で判定した。
5:5分以内に溶解
4:10分以内に溶解
3:20分以内に溶解
2:30分以内に溶解
1:25℃では溶解せず
測定結果を以下の表に示す。
【0077】
【表2】

電子写真感光体5〜7については電荷輸送剤が溶解しなかったため、膜中に電荷輸送剤が固体として残存した。そのため電子写真感光体を作製せず。
合成例、応用例の結果から本発明のジスチリルベンゼン化合物混合物は優れた溶解性を有し、電荷輸送剤として有用であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】合成実施例1のIRチャート図である。
【図2】合成実施例2のIRチャート図である。
【図3】合成実施例3のIRチャート図である。
【図4】合成実施例4のIRチャート図である。
【図5】応用例で作製した電子写真感光体の電荷発生剤のX線回折スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される2種類または3種類と、下記一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物から選択される1〜3種類とを含むことを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【請求項2】
前記一般式(4)〜(6)で表わされる非対称型ジスチリルベンゼン化合物のうち、最大含有率を示す化合物の含有率が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載のジスチリルベンゼン化合物混合物。
【請求項3】
下記一般式(7)、一般式(8)で表わされる2種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成されることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【化7】

【化8】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとRは共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【請求項4】
下記一般式(7)、一般式(8)で表わされる2種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成される下記一般式(1)、一般式(2)で表わされる2種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物と、下記一般式(4)で表わされる1種類の非対称型ジスチリルベンゼン化合物からなることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】


【化13】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとRは共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【請求項5】
下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成されることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【化14】

【化15】

【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【請求項6】
下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって合成される下記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる3種類の対称型ジスチリルベンゼン化合物と、下記一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる3種類の非対称型ジスチリルベンゼン化合物とからなることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物。
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)
【請求項7】
下記一般式(7)、一般式(8)および一般式(9)で表わされる3種類のジフェニルアミノベンズアルデヒド化合物から選択される2種類または3種類とp−キシレン−α,α'−ジイルジホスホン酸テトラエチルとの一段階の反応によって、3〜6種類のジスチリルベンゼン化合物混合物を得ることを特徴とするジスチリルベンゼン化合物混合物の製造方法。
【化26】

【化27】

【化28】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12は共同で環を形成してもよい。但し、置換基群R、R、RおよびRと置換基群R、R10、R11およびR12と置換基群R、R、RおよびRは置換基または置換位置が少なくとも1つ異なっているものとする。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−70455(P2010−70455A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236008(P2008−236008)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】