説明

スクリュープレスの運転制御方法

【課題】 スクリュープレスに供給する処理原液の圧入圧力の変動を小さく抑えて安定した運転を行う。
【解決手段】 スクリュープレスの運転制御方法は、スクリーンを張設した外筒の内部で回転するスクリュー軸45で、前記外筒の始端側と前記スクリュー軸45との間に供給した処理原液を、前記外筒の後端側に搬送しながら前記外筒のスクリーンからろ液を分離して前記外筒の後端側の排出口からケーキを取出す際に、前記外筒の始端側に供給される処理原液の圧入圧力Pを一定に制御する。その際に、前記外筒を構成する始端側外筒41Aと後端側外筒41Bを前記スクリュー軸45の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記処理原液の圧入圧力Pが設定基準圧力Pから外れるときは、前記始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを制御することで、前記圧入圧力Pを設定基準圧力Pに戻して一定基準に制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリュープレスの運転制御方法に関し、特にスクリーンを張設した外筒の始端側とスクリュー軸との間に供給される汚泥等の処理原液の圧入圧力を一定に制御するスクリュープレスの運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリュープレスは円筒スクリーンとその内側で回転自在なスクリュー軸とを備え、このスクリュー軸の駆動回転で凝集汚泥を搬送しながら固液分離するものであり、このスクリュープレスに汚泥等の原液を供給する原液供給ポンプと、スクリュープレスに供給される原液の圧入圧力を検出する圧力検出器が設けられている。そして、スクリュープレスの運転制御方法としては、スクリュープレスへの供給流量を略一定となるように制御すると共に、前記圧力検出器で検出される圧入圧力が略一定になるように前記スクリューの回転数が制御される。
【0003】
この種のスクリュープレスの運転制御方法としては、例えば特許文献1に示されている。例えば、原液の原液濃度が高くなったり、円筒スクリーンが目詰まりを起こしてろ液が円筒スクリーンを通過しにくい状態になって脱水性が悪化したりすると上記の検出圧が増大する。この場合は前記スクリューの回転数を増加させてケーキの排出量を増大させることで前記圧入圧力を下げる。その逆に、原液の原液濃度が低くなったり、円筒スクリーンの目詰まりが解消して脱水性が向上したりすると上記の検出圧が減少する。この場合は前記スクリューの回転数を減少させてケーキの排出量を減少させることで前記圧入圧力を上げるものである。
【特許文献1】特許第3542970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のスクリュープレスの運転制御方法においては、スクリュープレスに供給される原液の供給流量を原液供給ポンプで一定制御すると共に、スクリュープレスに供給される原液の圧入圧力を一定に制御するためにスクリュー軸の回転数を制御するので、脱水処理の制御に対する応答速度が遅くなるために前記圧入圧力の微妙な変動や大きな変動に対応することができず、前記圧入圧力を一定にする制御幅が大きくなるという問題点があった。
【0005】
また、円筒スクリーンの目詰まりを解消するには、脱水処理の運転を停止してから、外筒の外周側に配置した洗浄装置により洗浄している。そのために、脱水処理の運転中に円筒スクリーンの目詰まりを解消できないので、原液の脱水性が低下すると、単にスクリュー軸の回転数を増加するだけであった。そのため、単にスクリュー軸の回転数を増加して原液の圧入圧力を一定に制御するには限界があるという問題点があった。
【0006】
そこで、スクリュープレスの脱水処理の運転を一定時間毎に中断し、円筒スクリーンの目詰まりを解消してから、脱水処理の運転を再開する必要があるので、スクリュープレスの運転効率が低下するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、スクリーンを張設した外筒の内部で回転するスクリュー軸で、前記外筒の始端側と前記スクリュー軸との間に供給した処理原液を、前記外筒の後端側に搬送しながら前記外筒のスクリーンからろ液を分離して前記外筒の後端側の排出口からケーキを取出す際に、前記外筒の始端側に供給される処理原液の圧入圧力を一定に制御するスクリュープレスの運転制御方法において、
前記外筒を前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記処理原液の圧入圧力が設定基準圧力から外れるときは、前記外筒の回転数を制御することで、前記圧入圧力を設定基準圧力に戻して一定基準に制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、前記スクリュープレスの運転制御方法において、前記外筒を始端側外筒と後端側外筒に構成すると共に、前記始端側外筒と後端側外筒を前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、この始端側外筒の回転数と後端側外筒の回転数をそれぞれ制御することが好ましい。
【0009】
また、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、前記スクリュープレスの運転制御方法において、前記スクリュー軸の回転数をNとし、前記始端側外筒の回転数をNとし、後端側外筒の回転数をNとしたとき、N>N>Nで、かつ、(N−N)を常時一定とすることが好ましい。
【0010】
また、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、前記スクリュープレスの運転制御方法において、前記外筒を始端側外筒と後端側外筒に構成すると共に、前記始端側外筒だけを前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記始端側外筒の回転数を制御することが好ましい。
【0011】
また、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、前記スクリュープレスの運転制御方法において、前記処理原液の処理運転中に、前記外筒の外周側に配設した洗浄装置で、前記外筒を連続的又は間欠的に洗浄することが好ましい。
【0012】
また、この発明のスクリュープレスの運転制御方法は、前記スクリュープレスの運転制御方法において、前記外筒の回転数の増減に応じて前記外筒の後端側の排出口の開度を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、スクリュープレスに供給される処理原液の圧入圧力を一定に制御するために、前記圧入圧力を検出し、この検出した圧力をパラメータとして、外筒を前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記処理原液の圧入圧力が設定基準圧力から外れるときは、前記外筒の回転数を制御するので、スクリュー軸の回転数と外筒の回転数の差速範囲を大きく取れるために、前記圧入圧力の微妙な変動や大きな変動に対応することができる。その結果、前記圧入圧力を一定にする制御幅を小さくすることができ、スクリュープレスにとってより一層安定した運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1を参照するに、この実施の形態に係るスクリュープレスの運転制御方法で使用されるスクリュープレス1及びその運転制御システム3について説明すると、汚泥貯留槽5に貯留されている汚泥等の処理原液は、原液ポンプ7(P1)により原液流量Q(「供給流量」ともいう)で原液供給管9を経て凝集装置11に供給される。
【0016】
なお、原液供給管9の途中には、処理原液の原液濃度Cを測定するための原液濃度計13(C)と、処理原液の供給流量Qを測定するための原液流量計15(F)が例えば前記原液ポンプ7側より順に設けられている。
【0017】
さらに、凝集装置11と原液流量計15との間の原液供給管9には、ポリマー溶解槽17に貯留されている高分子凝集剤が凝集剤ポンプ19(P2)により凝集剤流量Qで凝集剤供給管21を経て供給されるよう構成されている。なお、高分子凝集剤流量Qは原液流量Qに対する比例制御で行われる。
【0018】
また、上記の凝集装置11は、処理原液に高分子凝集剤を添加し、撹拌混合して凝集フロックを生成するものであり、撹拌槽23内に流入した処理原液と高分子凝集剤が撹拌用モータ25(M)で回転駆動される撹拌羽根27で撹拌される構成である。この凝集装置11で撹拌された処理原液は原液供給管29を経てスクリュープレス1に供給され、この原液供給管29にはスクリュープレス1に供給される処理原液の圧入圧力Pを計測するための原液供給圧力計31(PS)が介設されている。
【0019】
なお、上記の原液ポンプ7、原液濃度計13、原液流量計15、凝集剤ポンプ19、撹拌用モータ25(M)、原液供給圧力計31(PS)は、それぞれ制御装置33に接続されている。
【0020】
図2を併せて参照するに、スクリュープレス1は、前後のフレーム35,37に支架されており、後述する図3の外筒スクリーン39を周部に張設した外筒41の内部に、スクリュー羽根43を巻き掛けたスクリュー軸45が配設されている。
【0021】
図3を併せて参照するに、円筒状の外筒41は、始端側の濃縮ゾーンの始端側外筒41Aと後端側のろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bに分割されており、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aと、ろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bの間に軸受47が介装されている。
【0022】
外筒41について図3に基づいて詳述すると、外筒41の周部に巻き付けたパンチングプレート49の内周面に外筒スクリーン39が張設されており、この実施の形態では、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aに直径が例えば1.5mmφの微細孔の濃縮スクリーン39Aが張設されており、ろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bには、後方に向って順次微細孔を小さくした直径が例えば1.5mmφ、1.0mmφ、0.5mmφの脱水スクリーン39B,39C,39Dが張設されている。なお、パンチングプレート49の周部に補強用のリブ51が環着されている。
【0023】
再び図2を参照するに、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aの始端側にフランジ53が連結されており、このフランジ53がフレーム35に止着した回転板軸受55に回動自在に軸承されている。フランジ53の端面に連結したスラスト受57にスプロケット59が嵌着されており、このスプロケット59が図1に示されている正逆転のモータ61(M2)に連動連結されており、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aを正回転、あるいは逆回転ができるようになっている。
【0024】
また、外筒41はろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bの後端側に回転板63が連結されており、この回転板63がフレーム37に止着した回転板軸受65に回動自在に軸承されている。この回転板63に連結したスプロケット67が、図1に示されているモータ69(M3)に連動連結されており、ろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bを正回転、あるいは逆回転ができるようになっている。
【0025】
また、外筒41の外周側には、洗浄水管71Aが濃縮ゾーンの始端側外筒41Aに沿って配設され、洗浄水管71Bがろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bに沿って配設されている。つまり、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aとろ過・脱水ゾーンの後端側外筒41Bが回転するときに、洗浄水管71Aから洗浄水が連続的あるいは間欠的に噴射されることで、始端側外筒41Aの濃縮スクリーン39Aが洗浄され、洗浄水管71Bから洗浄水が連続的あるいは間欠的に噴射されることで、後端側外筒41Bの脱水スクリーン39B,39C,39Dが洗浄されるように構成されている。
【0026】
また、外筒41に内設したスクリュー軸45の始端側には、原液供給管29が連結されており、この原液供給管29の軸受部29Aが濃縮ゾーンの始端側外筒41Aに嵌着したフランジ53の内周面に軸承されている。
【0027】
また、スクリュー軸45の後端部に連結した駆動軸73がフレーム37に止着した図示しないベアリングユニットに軸承されている。さらに、前記駆動軸73は図示しないスプロケットを介して図1に示されているモータ75(M1)で回転駆動されるように構成されており、スクリュー軸45が回転駆動される。
【0028】
さらに、スクリュー軸45の前端部に連結した原液供給管29には処理原液の供給路77が設けられており、この供給路77がスクリュー軸45の内部に連通し、スクリュー軸45には前記供給路77に連通する供給孔77Aが外筒41の始端部に向けて開孔されている。しかも、供給孔77Aから外筒41内に圧入される処理原液がスクリュー軸45に巻き掛けたスクリュー羽根43の間から供給するように構成されており、凝集された軟弱な汚泥等の処理原液がスクリュー羽根43の影響を受けないようにされている。
【0029】
また、外筒41の終端側の排出口79にはプレッサー81が対設されており、このプレッサー81は移動軸83に吊設されて、プレッサー81の後端に連結したエアーシリンダ85でケーキに背圧を加えながら、排出口79の開口量を調節するように構成されている。例えば、スクリュープレス1に供給される処理原液の圧入圧力Pが基準より大きくなった場合は、排出口79のプレッサー81の開度を大きくして調整することができる。
【0030】
より詳しく説明すると、エアーシリンダ85はプレッサー81の前後方向の任意に設定した位置で、エアー圧力をある一定の圧力範囲で一段階低下、あるいは上昇させるように例えば近接スイッチLS1,LS2によりON・OFF制御している。この実施の形態では、プレッサー81の基準位置では排出口79の開度が狭い基準開度で、かつ、前記エアー圧力が近接スイッチLS1により一段階低下した状態になる構成である。その逆に、外筒41内のケーキの押出圧が高くなってプレッサー81が任意に設定した位置まで押し戻されると、近接スイッチLS2がON動作になり、前記エアー圧力が一段階上昇した状態になる構成である。
【0031】
また、スクリュー軸45に螺旋状に巻き掛けたスクリュー羽根43の先端部には、図示しないゴム等の弾力性を有する一連のスクレーパがスクリュー羽根43の濃縮ゾーンの始端部からろ過・脱水ゾーンの終端部にわたってボルトとナットで止着されており、このスクレーパは外筒41の内周面に弾圧的に摺接されている。このスクレーパにより、目詰りを未然に防止した濃縮ゾーンの濃縮スクリーン39Aからろ液を分離させ、濃縮ゾーンでの処理原液を増加させ、濃縮汚泥を供給するろ過・脱水ゾーンの脱水スクリーン39B、39C,39Dの微細孔上のケーキ層を掻き取って、高脱水を行なうように構成されている。
【0032】
なお、スクリュー軸45に巻き掛けたスクリュー羽根43は、図2に示される実施の形態では、濃縮ゾーンの始端側外筒41Aに内設したスクリュー羽根43Aが脱水ゾーンのスクリュー羽根43Bの1/2ピッチの間隔で巻き掛けられているが、このピッチは限定されない。
【0033】
また、上記のモータ75(M1)、モータ61(M2)、モータ69(M3)は、図1に示されているようにそれぞれ制御装置33に接続されている。
【0034】
次に、上記構成のスクリュープレス1及びその運転制御システム3に基づいて、この実施の形態に係るスクリュープレスの運転制御方法について説明する。
【0035】
図1及び図4を参照するに、第1の実施の形態に係るスクリュープレスの運転制御方法は、スクリュープレス1の内部の圧密状態を確保して安定して運転するために、スクリュープレス1に供給される汚泥等の処理原液の圧入圧力Pを一定に制御することを基本としている。しかも、前記原液ポンプ7はスクリュープレス1に供給される処理原液の供給流量Q(「原液流量」ともいう)を原液流量計15で測定し、この測定した原液流量Qを一定流量とするように回転制御されている。また、ポリマー溶解槽17から供給される高分子凝集剤流量Qは原液流量Qに対する比例制御で行われる。
【0036】
なお、このとき、スクリュープレス1のスクリュー軸45は単位時間あたりの回転数Nが一定で回転(回転速度が一定)しており、始端側外筒41Aはスクリュー軸45の回転方向と同じ方向に単位時間あたりの回転数Nが一定で回転(回転速度が一定)しており、後端側外筒41Bはスクリュー軸45の回転方向と同じ方向に単位時間あたりの回転数Nが一定で回転(回転速度が一定)している。
【0037】
しかも、始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nは、スクリュー軸45の回転数Nより常に低く設定されている。つまり、スクリュー軸45の回転数Nとの差速を設けていることにより、スクリュー軸45は外筒41に対して相対的に速く回転することで、処理原液が外筒41の後端側に搬送されながら外筒41の外筒スクリーン39、つまり始端側外筒41Aの濃縮スクリーン39Aと後端側外筒41Bの脱水スクリーン39B,39C,39Dで脱水され、かつ、ケーキが外筒41の後端側の排出口79から排出されることになる。
【0038】
さらに、始端側外筒41Aの回転数Nは後端側外筒41Bの回転数Nより常に低く設定されている。すなわち、常に、N>N>Nの状態で回転されている。
【0039】
しかし、スクリュープレス1の運転中は、処理原液の原液濃度C(「汚泥濃度」ともいう)や脱水性の変動により圧入圧力Pが変動する。そこで、前記圧入圧力Pを一定に運転制御するために、前記処理原液の圧入圧力Pが設定基準圧力Pから外れるときは、スクリュー軸45の回転数Nはそのままで、始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを制御することで、前記圧入圧力Pを設定基準圧力Pに戻して一定基準に制御することを特徴とするものである。
【0040】
この実施の形態では、前記外筒41が始端側外筒41Aと後端側外筒41Bに分割し、かつそれぞれが独立して回転数を変化できるように構成されているが、基本的には前記外筒41が始端側外筒41Aと後端側外筒41Bに分割されていないスクリュープレスであっても適用される。
【0041】
この場合は、説明の便宜上のために、例えば外筒41の回転数をNとすると、外筒41がスクリュー軸45と同じ方向に回転され、かつ、外筒41の回転数Nがスクリュー軸45の回転数Nより常に低く設定され、スクリュー軸45の回転数Nとの差速を設けている。そして、前記処理原液の圧入圧力Pが設定基準圧力Pから外れるときは、スクリュー軸45の回転数Nはそのままで、外筒41の回転数Nを制御することになる。
【0042】
また、別の実施の形態としては、圧入圧力Pが設定基準圧力Pから外れるときは、上記の始端側外筒41Aの回転数Nだけを制御する方法にも適用される。この場合、後端側外筒41Bは回転しない。つまり、後端側外筒41Bの回転数Nがない場合である。
【0043】
前述した図1の場合について、より詳しく説明すると、スクリュープレス1の運転が開始されると、スクリュープレス1に供給される処理原液の圧入圧力の圧力データPは、原液供給圧力計31(PS)で検知されて制御装置33に送られる。
【0044】
スクリュープレス1の運転中は、処理原液の原液濃度Cがアップしたり、スクリーンのろ過性(脱水性)が悪くなったりして、スクリュープレス1への負荷が増えると、処理原液の圧入圧力Pが上昇する。一方、処理原液の原液濃度Cがダウンしたり、スクリーンのろ過性(脱水性)が回復したりして、スクリュープレス1への負荷が減少すると、処理原液の圧入圧力Pが減少する。
【0045】
そこで、制御装置33では、表1に示されているように、始端側外筒41Aを回転駆動するモータ61(M2)と後端側外筒41Bを回転駆動するモータ69(M3)に指令を与えて始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを変更させて制御する。
【表1】

【0046】
例えば、処理原液の原液濃度Cが高くなったために、原液供給圧力計31(PS)の圧力データPが予め設定した設定基準圧力Pと比較判断して、設定基準圧力Pより高い場合は、始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを回転数αだけ減少して低くされることにより、スクリュー軸45の回転数Nとの差速が大きくなる。これにより、相対的にスクリュー軸45の回転数Nが増加するように変化させたことになるために、ケーキ排出量が増加することで、圧入圧力Pが減少する。なお、このとき、後端側外筒41Bの回転数Nと始端側外筒41Aの回転数Nとの差(N−N)は、常に一定になるように変化させる。
【0047】
また、上記のようにケーキ排出量が増加することで、外筒41内のケーキの押出圧が高くなるためにプレッサー81が基準位置から任意に設定した位置まで押し戻されてプレッサー開度(排出口79の開度)が大きくなる。すると、近接スイッチLS2がON動作になり、エアーシリンダ85のエアー圧力が一段階上昇した状態になり、一段高い圧力でケーキを押し返そうとする。
【0048】
そして、上記の圧入圧力Pが設定基準圧力Pに戻されると、外筒41内のケーキの押出圧が低下するので、プレッサー81はプレッサー開度(排出口79の開度)を狭くする方向に押し返して基準位置へ戻ることになる。この基準位置では排出口79の開度が狭い基準開度となり、かつ、エアーシリンダ85のエアー圧力が近接スイッチLS1により一段階低下した状態になる。
【0049】
一方、例えば、処理原液の原液濃度Cが低くなったために、圧力データPが設定基準圧力Pより低い場合は、始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを回転数αだけ増加して高くされることにより、スクリュー軸45の回転数Nとの差速が小さくなる。これにより、相対的にスクリュー軸45の回転数Nが減少するように変化させたことになるために、ケーキ排出量が減少することで、圧入圧力Pが増加する。なお、このとき、上述したように、後端側外筒41Bの回転数Nと始端側外筒41Aの回転数Nとの差(N−N)は、常に一定になるように変化させる。
【0050】
また、ケーキ排出量が減少することで、外筒41内のケーキの押出圧が低いので、プレッサー81は基準位置のままでプレッサー開度(排出口79の開度)が狭い基準開度の状態である。
【0051】
一例としては、外筒41の直径が例えばφ300mmのとき、スクリュー軸45の回転数Nが例えば0.7(min−1当たり)で、始端側外筒41Aの回転数Nが例えば0.1(min−1当たり)で、後端側外筒41Bの回転数Nが例えば0.2(min−1当たり)であるとき、増減幅の回転数αは例えば0.02(min−1)にできる。このとき、(N−N)は0.1(min−1)であるが、上記の増減幅の回転数αの数値を変えても、(N−N)は常に0.1(min−1)の一定になるように変化させるものである。
【0052】
以上のことから、スクリュープレス1に供給される処理原液の圧入圧力Pを一定に制御するために、前記圧入圧力Pを検出し、この検出した圧力をパラメータとして、外筒41を構成する始端側外筒41Aと後端側外筒41Bを前記スクリュー軸45の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記処理原液の圧入圧力Pが設定基準圧力Pから外れるときは、前記外筒41を構成する始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nを制御するので、スクリュー軸45の回転数Nと外筒41の回転数N,Nとの差速範囲を大きく取れるために、前記圧入圧力Pの微妙な変動や大きな変動に対応することができる。その結果、前記圧入圧力Pを一定にする制御幅を小さくすることができ、スクリュープレス1にとってより一層安定した運転を行うことができる。
【0053】
また、プレッサー開度(排出口79の開度)は、始端側外筒41Aの回転数Nと後端側外筒41Bの回転数Nの増減に応じて段階的に調整して制御するので、圧入圧力Pの微妙な変動や大きな変動に対応することに寄与することになる。
【0054】
また、上述したように脱水処理の運転中に、外筒41を構成する始端側外筒41Aと後端側外筒41Bを回転させるので、洗浄水管71Aから洗浄水が連続的あるいは間欠的に噴射されることで、始端側外筒41Aの濃縮スクリーン39Aが洗浄され、洗浄水管71Bから洗浄水が連続的あるいは間欠的に噴射されることで、後端側外筒41Bの脱水スクリーン39B,39C,39Dが洗浄される
したがって、従来のように一定時間毎に脱水処理運転を中断して洗浄工程をする必要はなくなるので、スクリュープレス1の脱水処理の連続運転時間を相当に延長できる。例えば、スクリュープレス1を24時間運転する場合、1日当たりの処理量が増大する。つまり、1時間当たりの脱水処理能力を従来と比較して大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施の形態のスクリュープレスの運転制御システムを示す概略的な状態説明図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るスクリュープレスの要部縦断面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係るスクリーンを張設した外筒の縦断面図である。
【図4】この発明の実施の形態のスクリュープレスの運転制御方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 スクリュープレス
3 スクリュープレスの運転制御システム
5 汚泥貯留槽
7 原液ポンプ(P1)
9 原液供給管
11 凝集装置
13 原液濃度計
15 原液流量計
17 ポリマー溶解槽
19 凝集剤ポンプ(P2)
21 凝集剤供給管
25 撹拌用モータ(M)
29 原液供給管
31 原液供給圧力計(PS)
33 制御装置
39 外筒スクリーン
39A 濃縮スクリーン
39B、39C,39D 脱水スクリーン
41 外筒
41A 始端側外筒
41B 後端側外筒
43 スクリュー羽根
45 スクリュー軸
61 モータ(M2)
73 駆動軸
75 モータ(M1)
77 供給路
77A 供給孔
79 排出口
81 プレッサー
85 エアーシリンダ
原液流量
基準流量
凝集剤流量
原液濃度
圧力データ
設定基準圧力
回転数(スクリュー軸45の)
回転数(始端側外筒41Aの)
回転数(後端側外筒41Bの)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを張設した外筒の内部で回転するスクリュー軸で、前記外筒の始端側と前記スクリュー軸との間に供給した処理原液を、前記外筒の後端側に搬送しながら前記外筒のスクリーンからろ液を分離して前記外筒の後端側の排出口からケーキを取出す際に、前記外筒の始端側に供給される処理原液の圧入圧力を一定に制御するスクリュープレスの運転制御方法において、
前記外筒を前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記処理原液の圧入圧力が設定基準圧力から外れるときは、前記外筒の回転数を制御することで、前記圧入圧力を設定基準圧力に戻して一定基準に制御することを特徴とするスクリュープレスの運転制御方法。
【請求項2】
前記外筒を始端側外筒と後端側外筒に構成すると共に、前記始端側外筒と後端側外筒を前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、この始端側外筒の回転数と後端側外筒の回転数をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1記載のスクリュープレスの運転制御方法。
【請求項3】
前記スクリュー軸の回転数をNとし、前記始端側外筒の回転数をNとし、後端側外筒の回転数をNとしたとき、N>N>Nで、かつ、(N−N)を常時一定とすることを特徴とする請求項2記載のスクリュープレスの運転制御方法。
【請求項4】
前記外筒を始端側外筒と後端側外筒に構成すると共に、前記始端側外筒だけを前記スクリュー軸の回転方向と同じ方向に回転せしめ、前記始端側外筒の回転数を制御することを特徴とする請求項1記載のスクリュープレスの運転制御方法。
【請求項5】
前記処理原液の処理運転中に、前記外筒の外周側に配設した洗浄装置で、前記外筒を連続的又は間欠的に洗浄することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のスクリュープレスの運転制御方法。
【請求項6】
前記外筒の回転数の増減に応じて前記外筒の後端側の排出口の開度を調整することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のスクリュープレスの運転制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−55451(P2008−55451A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233814(P2006−233814)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【Fターム(参考)】