説明

スクリーン印刷用マスク、並びに、スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法

【課題】複数種類の基板面のランダムな混合生産を、確実に最適な印刷条件で行うことを可能にし、複数種類の基板面の切り替え時間を大幅に短縮することを可能にするスクリーン印刷用マスク、並びに、それを用いたスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷用マスク1は、金属製で厚みが100〜150μm程度の薄板状のメタルマスクであり、プリント基板の基板面にクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷するために用いられる。1つのスクリーン印刷用マスク1には、2種類の基板面に対応する2種類の開口パターン2、3が形成されている。ここで、開口の形状は、プリント基板の基板面上のランドに対応した形状である。また、スクリーン印刷用マスク1には、各開口パターン2、3についての情報をそれぞれ記録した2種類の情報認識マーク2a、3aが付与されている。ここで、情報認識マーク2a、3aとしては、バーコードやQRコード等を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板にクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷するために用いられるスクリーン印刷用マスク、並びに、それを用いたスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板にクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷するにあたっては、印刷しようとするプリント基板に対応するスクリーン印刷用マスクであるメタルマスクをスクリーン印刷装置に取り付けた後、それに対して印刷ペーストの印刷条件のプログラムを呼び出し、最適な印刷条件でスクリーン印刷を行うようにされている。
【0003】
しかし、従来、印刷条件の設定はオペレータが個々に行っていたため、経験者と初心者の印刷条件のプログラムができて(すなわち、オペレータの印刷条件の設定にバラツキが生じて)、スクリーン印刷後のプリント基板の品質にもバラツキを生じる場合があった。
【0004】
また、複数種類の基板面を混合してスクリーン印刷を行う(すなわち、混合生産する)場合には、そのメタルマスクがどの基板面に対するものであるかが確認できないため、複数種類の基板面が規則的に流れることが必須条件となっていた。そして、複数種類の基板面をランダムに流した場合には、メタルマスクとの合致に不具合が生じることがあり、従って、従来においては複数種類の基板面のランダムな混合生産は困難であった。
【0005】
そこで、これらの課題を解決するために、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
すなわち、特許文献1においては、プリント基板に対する各種印刷条件についての情報を記録した情報表示マークをメタルマスクに形成し、この情報表示マークを読み取ることにより、プリント基板に対する各種印刷条件を自動設定するようにした構成が提案されている。
【0007】
また、特許文献2においては、メタルマスクに印刷条件のコード信号を付与しておき、読取装置によって前記コード信号を読み取り、その読み取られたコード信号に基づいてスクリーン印刷装置に付属する記憶装置の情報を検索し、その検索された情報より読み出した印刷条件に応じてスクリーン印刷装置の各部の変更動作を自動的に行わせるようにした構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−151797号公報
【特許文献2】特開平5−261890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1、2の構成では、単にオペレータの印刷条件の設定のバラツキの発生を防止できるに留まり、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現するには至っていない。すなわち、従来においては、スクリーン印刷の対象となる基板面の種類が切り替わるごとにスクリーン印刷用マスクを取り替える必要があり、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替えに長時間を要していた。
【0010】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、複数種類の基板面のそれぞれに対する最適な印刷条件を設定することを可能にすると共に、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現することを可能にするスクリーン印刷用マスク、並びに、それを用いたスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。さらに具体的には、本発明は、複数種類の基板面のランダムな混合生産を、確実に最適な印刷条件で行うことを可能にし、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することを可能にするスクリーン印刷用マスク、並びに、それを用いたスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係るスクリーン印刷用マスクの構成は、プリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するために用いられるスクリーン印刷用マスクであって、複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されていることを特徴とする。
【0012】
このスクリーン印刷用マスクの構成によれば、当該スクリーン印刷用マスクに付与されている各情報認識マークに記録された各種類の基板面に対応する各開口パターンについての情報をそれぞれ読み取ることにより、複数種類の基板面のそれぞれに対する最適な印刷条件を設定することが可能になる。また、複数種類の基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されているので、この構成のスクリーン印刷用マスクを用いることにより、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現することも可能になる。
【0013】
本発明に係るスクリーン印刷装置の構成は、スクリーン印刷用マスクを用いてプリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スクリーン印刷用マスクには、複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されており、かつ、前記各情報認識マークを読み取る認識部と、前記各情報認識マークに記録された前記各開口パターンについての情報に基づいて、前記各基板面に対する各種印刷条件を自動設定する印刷条件設定部と、前記各基板面に対する前記各種印刷条件のプログラムを記憶する記憶部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
このスクリーン印刷装置の構成によれば、スクリーン印刷用マスクに付与されている各情報認識マークに記録された各種類の基板面に対応する各開口パターンについての情報を認識部によって読み取り、印刷条件設定部によって、各種類の基板面に対する最適な印刷条件を自動設定することができる。すなわち、このスクリーン印刷装置の構成によれば、複数種類の基板面のそれぞれに対する最適な印刷条件を自動設定することができる。そして、これにより、オペレータの印刷条件の設定にバラツキが生じることはないので、スクリーン印刷後のプリント基板の品質にバラツキが生じることを防止することができる。また、各基板面に対する各種印刷条件のプログラムをそれぞれ記憶部に記憶させておき、各基板面に対するスクリーン印刷開始時に当該各基板面に対する各種印刷条件のプログラムを記憶部から読み出すようにすることにより、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現することができる。そして、その際、スクリーン印刷の対象となる基板面の種類が切り替わるごとにスクリーン印刷用マスクを取り替える必要はなく、記憶部から読み出す各種印刷条件のプログラムを切り替えるだけでよいので、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0015】
また、前記本発明のスクリーン印刷装置の構成においては、前記印刷条件設定部によって自動設定された前記各基板面に対する前記各種印刷条件を用いて前記各基板面を試し刷りした結果に基づいて、前記各基板面に対する前記各種印刷条件を微調整する印刷条件微調整部をさらに備え、前記各基板面に対する微調整後の前記各種印刷条件のプログラムが前記記憶部に記憶されるのが好ましい。この好ましい例によれば、複数種類の基板面のランダムな混合生産を、より最適な印刷条件で実現することができる。
【0016】
また、前記本発明のスクリーン印刷装置の構成においては、搬入される前記プリント基板の前記基板面に付与された基板面識別マークを検出することによって当該基板面の種類を判定する基板面種類判定手段をさらに備え、前記基板面種類判定手段による判定結果に基づいて、前記プリント基板の前記基板面が当該基板面に対応する前記スクリーン印刷用マスクの前記開口パターンの下方に位置決め保持されると共に、当該基板面に対する前記各種印刷条件のプログラムが選択されるのが好ましい。この好ましい例によれば、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターンの下方に自動的に位置決め保持して、当該基板面へのスクリーン印刷を行うことができる。
【0017】
本発明に係るスクリーン印刷方法は、スクリーン印刷用マスクを用いてプリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するスクリーン印刷方法であって、前記スクリーン印刷用マスクには、複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されており、かつ、搬入される前記プリント基板の前記基板面に付与された基板面識別マークを検出することによって当該基板面の種類を判定するステップと、前記判定結果に基づいて、前記プリント基板の前記基板面を当該基板面に対応する前記スクリーン印刷用マスクの前記開口パターンの下方に位置決め保持すると共に、前記情報認識マークに基づいて作成された当該基板面に対する各種印刷条件のプログラムを選択するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
このスクリーン印刷方法によれば、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターンの下方に自動的に位置決め保持して、当該基板面へのスクリーン印刷を行うことができ、その結果、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現することができる。そして、その際、スクリーン印刷の対象となる基板面の種類が切り替わるごとにスクリーン印刷用マスクを取り替える必要はなく、各種印刷条件のプログラムを切り替えるだけでよいので、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数種類の基板面のランダムな混合生産を、確実に最適な印刷条件で行うことが可能になり、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷用マスクの構成を示す概略平面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の構成を示す概略平面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法を示すフローチャート
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法における基板位置決め移動動作の動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法における基板位置決め移動動作の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法における基板位置決め移動動作の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0022】
[スクリーン印刷用マスクの構成]
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷用マスクの構成について説明する。図1は、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷用マスクの構成を示す概略平面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態のスクリーン印刷用マスク1は、金属製で厚みが100〜150μm程度の薄板状のメタルマスクであり、プリント基板の基板面にクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷するために用いられる。
【0024】
1つのスクリーン印刷用マスク1には、2種類の基板面に対応する2種類の開口パターン2、3が形成されている。ここで、開口の形状は、プリント基板の基板面上のランドに対応した形状であり、各開口パターン2、3は、エッチングやレーザ加工によって形成されている。
【0025】
尚、『2種類の基板面』には、2種類のプリント基板のそれぞれの基板面同士が含まれるが、1つのプリント基板における表側の基板面、裏側の基板面同士も『2種類の基板面』に含まれる。
【0026】
また、1つのスクリーン印刷用マスク1には、各開口パターン2、3についての情報をそれぞれ記録した2種類の情報認識マーク2a、3aが付与されている。ここで、情報認識マーク2a、3aとしては、バーコードやQRコード等を用いることができる。また、これらを付与する方法としては、ラベル等にして貼り付ける方法が考えられるが、開口パターン2、3の形成と同時に、エッチングやレーザ加工によって付与するようにしてもよい。
【0027】
上記構成のスクリーン印刷用マスク1によれば、当該スクリーン印刷用マスク1に付与されている各情報認識マーク2a、3aに記録された各種類の基板面に対応する各開口パターン2、3についての情報をそれぞれ読み取ることにより、2種類の基板面のそれぞれに対する最適な印刷条件を設定することが可能になる。また、2種類の基板面に対応する2種類の開口パターン2、3が形成されているので、この構成のスクリーン印刷用マスク1を用いることにより、2種類の基板面のランダムな混合生産を実現することも可能になる。
【0028】
尚、1つのスクリーン印刷用マスク1に形成される開口パターンの種類は2種類に限定されるものではなく、3種類以上であってもよい。そして、この場合には、情報認識マークの種類も、開口パターンの種類の数に応じて3種類以上となる。すなわち、本発明のスクリーン印刷用マスクの構成によれば、複数種類の基板面のランダムな混合生産を実現することが可能になる。
【0029】
[スクリーン印刷装置の構成]
次に、図2を参照しながら、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の構成について説明する。図2は、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の構成を示す概略平面図である。
【0030】
図2に示すように、本実施の形態のスクリーン印刷装置4は、プリント基板5を搬送する搬送コンベア7を有する基板位置決めステージ6と、当該基板位置決めステージ6をX軸方向、Y軸方向、中心点Sを中心とする面内回転方向であるθ軸方向、及び、上下方向(図2の紙面に垂直なZ軸(図示せず)方向)に移動させることが可能な4軸制御ロボット8とを備えている。
【0031】
また、基板位置決めステージ6の水平可動範囲の上方には、スクリーン印刷用マスク1が取り付けられている。上記したように、このスクリーン印刷用マスク1には、2種類の基板面に対応する2種類の開口パターン2、3が形成されている。また、スクリーン印刷用マスク1には、各開口パターン2、3についての情報をそれぞれ記録した2種類の情報認識マーク2a、3aが付与されており、各情報認識マーク2a、3aは、各開口パターン2、3に対応する基板面に付与されている基板面識別マーク5aと紐付けされている。
【0032】
基板位置決めステージ6に搬入されるプリント基板5の基板面に付与されている基板面識別マーク5aは、基板面識別マーク検出部(図示せず)によって検出される。尚、この基板面識別マーク検出部は、スクリーン印刷用マスク1に付与されている各情報認識マーク2a、3aについても検出する。この各情報認識マーク2a、3aには、各開口パターン2、3についての情報の他、『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』を示す位置データが記録されており、基板面識別マーク検出部によって各情報認識マーク2a、3aを検出することにより、『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』を示す位置データが後述する記憶部11(図3参照)に記憶される。そして、上記のように、各情報認識マーク2a、3aは、各開口パターン2、3に対応する基板面に付与されている基板面識別マーク5aと紐付けされているので、基板位置決めステージ6に搬入されるプリント基板5の基板面に付与されている基板面識別マーク5aを基板面識別マーク検出部によって検出することにより、『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』を示す位置データが記憶部11から読み出され、後述する制御部10(図3参照)が、読み出された位置データを参照して、後述する基板搬送位置決め駆動部17(図3参照)を制御する。これにより、4軸制御ロボット8が駆動され、当該プリント基板5の基板面が、『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』に移動する。基板面識別マーク検出部は、バーコードリーダであり、基板面識別マーク5a及び各情報認識マーク2a、3aとしてのバーコードを検出する。尚、基板面識別マーク5a及び各情報認識マーク2a、3aとしては、バーコードの他にQRコード等を用いることもできる。
【0033】
また、スクリーン印刷用マスク1の各開口パターン2、3とプリント基板5の基板面の回路パターンとを精度良く位置決めするために、スクリーン印刷用マスク1に各開口パターン2、3に対応させて付与されている位置合わせ用の位置マーク(図示せず)と基板位置決めステージ6に位置固定されるプリント基板5の基板面に付与されている位置合わせ用の位置マーク(図示せず)とをカメラ(図示せず)による認識によって読み取ることができるようにされている。
【0034】
そして、基板位置決めステージ6に搬入されたプリント基板5の基板面に付与されている基板面識別マーク5aをバーコードリーダによって読み取ると共に、スクリーン印刷用マスク1に各開口パターン2、3に対応させて付与されている位置合わせ用の位置マークと基板位置決めステージ6に位置固定されたプリント基板5の基板面に付与されている位置合わせ用の位置マークとをカメラ認識によって読み取り、これらの読み取り結果に基づいて、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターン2又は3の下方に自動的に位置決め保持し、上昇させることにより、スクリーン印刷用マスク1に当接させて、当該基板面に対し、スクリーン印刷用マスク1の上方に備えられたスキージ9a又は9b等を用いてクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷することができる。
【0035】
[スクリーン印刷装置の制御系の構成]
次に、図3をも参照しながら、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系の構成について説明する。図3は、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0036】
図3において、制御部10はCPU(central processing unit)であり、この制御部10は、記憶部11に記憶された各種処理プログラムを実行することにより、以下に説明する各部を制御する。そして、これにより、基板搬送動作やスクリーン印刷動作などの各種動作が実行される。
【0037】
記憶部11には、各種印刷条件のプログラムや搬送動作プログラムなどの各種の動作プログラムが記憶されている。各種印刷条件のプログラムは、スクリーン印刷用マスク1の開口パターン2又は3の下方に位置決め保持されたプリント基板5の基板面にクリーム半田等の印刷ペーストをスクリーン印刷するための動作プログラムである。各種印刷条件としては、プリント基板5のサイズ、スキージストローク、スキージ速度、スキージ印圧、版離れストローク、版離れ速度などが挙げられる。搬送動作プログラムは、上流側から搬入されるプリント基板5を、当該プリント基板5の基板面に対してスクリーン印刷作業が行われるスクリーン印刷用マスク1の所定の位置に送り込むと共に、前記所定の位置から印刷済みのプリント基板5を下流側に送り出すための動作プログラムである。
【0038】
認識部12は、バーコードリーダであり、スクリーン印刷用マスク1に付与されている各開口パターン2、3についての情報をそれぞれ記録したバーコードからなる2種類の情報認識マーク2a、3aを読み取る。また、印刷条件設定部13は、各情報認識マーク2a、3aに記録された各開口パターン2、3についての情報に基づいて、各基板面に対する各種印刷条件を自動設定する。そして、記憶部11には、上記した『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』を示す位置データと、当該開口パターン2、3に対応する(すなわち、各基板面に対する)各種印刷条件のプログラムとが対になって記憶される。
【0039】
尚、上記『各開口パターン2、3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』は、上述のように、基板位置決めステージ6に搬入されたプリント基板5の基板面に付与されている基板面識別マーク5aをバーコードリーダによって読み取ると共に、スクリーン印刷用マスク1に各開口パターン2、3に対応させて付与されている位置合わせ用の位置マークと基板位置決めステージ6に位置固定されたプリント基板5に付与されている位置合わせ用の位置マークとをカメラ認識によって読み取り、これらの読み取り結果に基づいて、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターン2又は3の下方に自動的に位置決め保持することにより、1枚のプリント基板5の基板面ごとに最適位置に修正される。
【0040】
上記構成のスクリーン印刷装置4によれば、スクリーン印刷用マスク1に付与されている各情報認識マーク2a、3aに記録された各種類の基板面に対応する各開口パターン2、3についての情報を認識部12によって読み取り、印刷条件設定部13によって、各種類の基板面に対する最適な印刷条件を自動設定することができる。すなわち、上記構成のスクリーン印刷装置4によれば、2種類の基板面のそれぞれに対する最適な印刷条件を自動設定することができる。そして、これにより、オペレータの印刷条件の設定にバラツキが生じることはないので、スクリーン印刷後のプリント基板5の品質にバラツキが生じることを防止することができる。また、各基板面に対する各種印刷条件のプログラムをそれぞれ記憶部11に記憶させておき、各基板面に対するスクリーン印刷開始時に当該各基板面に対する各種印刷条件のプログラムを記憶部11から読み出すようにすることにより、2種類の基板面のランダムな混合生産を実現することができる。そして、その際、スクリーン印刷の対象となる基板面の種類が切り替わるごとにスクリーン印刷用マスクを取り替える必要はなく、記憶部11から読み出す各種印刷条件のプログラムを切り替えるだけでよいので、複数種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0041】
本実施の形態のスクリーン印刷装置4においては、印刷条件微調整部14を備えているのが望ましい。この印刷条件微調整部14は、印刷条件設定部13によって自動設定された各基板面に対する各種印刷条件を用いて各基板面を試し刷りした結果に基づいて、版離れ速度、スキージ速度等の、各基板面に対する各種印刷条件を微調整する。そして、各基板面に対する微調整後の各種印刷条件のプログラムが記憶部11に記憶される。この望ましい構成によれば、2種類の基板面のランダムな混合生産を、より最適な印刷条件で実現することができる。
【0042】
また、本実施の形態のスクリーン印刷装置4においては、基板面種類判定部15を備えているのが望ましい。この基板面種類判定部15は、基板面識別マーク検出部による基板面識別マーク5aの検出結果に基づいてプリント基板5の基板面の種類を判定する。従って、基板面識別マーク検出部(バーコードリーダ)と基板面種類判定部15は、上流側から搬入されるプリント基板5の基板面に付与された基板面識別マーク5aとしてのバーコードを検出することによって当該基板面の種類a、bを判定する基板面種類判定手段となっている。そして、基板面種類判定手段による判定結果に基づいて、プリント基板5の基板面が当該基板面に対応するスクリーン印刷用マスク1の開口パターン2又は3の下方に位置決め保持されると共に、当該基板面に対する各種印刷条件のプログラムが選択される。この望ましい構成によれば、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターン2又は3の下方に自動的に位置決め保持し、上昇させることにより、スクリーン印刷用マスク1に当接させて、当該基板面へのスクリーン印刷を行うことができる。
【0043】
スキージ等駆動部16は、スキージ9a、9b等のスクリーン印刷手段を駆動する。基板搬送位置決め駆動部17は、基板位置決めステージ6の搬送コンベア7を駆動すると共に、4軸制御ロボット8を駆動する。尚、上記構成において、制御部10は、各種印刷条件のプログラムに基づいてスキージ等駆動部16を制御するスクリーン印刷動作制御部であると共に、搬送動作プログラムに基づいて基板搬送位置決め駆動部17を制御する搬送動作制御部である。
【0044】
[スクリーン印刷方法]
次に、図4〜図7をも参照しながら、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法について説明する。図4は、本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置を用いて実行されるスクリーン印刷方法を示すフローチャート、図5〜図7は、当該スクリーン印刷方法における基板位置決め移動動作の動作説明図である。
【0045】
ここでは、種類a、種類bの2種類の基板面がこの順番で交互に基板位置決めステージ6へ搬入され、これら2種類の基板面に対し、スクリーン印刷装置4においてスクリーン印刷作業が行われる場合を例に挙げて説明する。
【0046】
まず、図5に示すように、基板位置決めステージ6へ上流側からプリント基板5が搬入される(図4のS1)。
【0047】
プリント基板5が基板位置決めステージ6へ搬入されると、プリント基板5の基板面に付与されている基板面識別マーク5aが基板面識別マーク検出部(バーコードリーダ)によって検出される(図4のS2)。そして、基板面識別マーク検出部による基板面識別マーク5aの検出結果に基づき、基板面種類判定部15によってプリント基板5の基板面の種類が判定される(図4のS3)。
【0048】
基板位置決めステージ6に搬入されたプリント基板5の基板面が種類aと判定(図4のS4)されたならば、スクリーン印刷用マスク1に開口パターン2に対応させて付与されている位置合わせ用の位置マークと基板位置決めステージ6に位置固定されたプリント基板5に付与されている位置合わせ用の位置マークとがカメラ認識によって読み取られると共に、制御部10が、搬送動作プログラムによって基板搬送位置決め駆動部17を制御する。これにより、4軸制御ロボット8が駆動され、図5、図6に示すように、プリント基板5の種類aの基板面が、『開口パターン2の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』に位置決め保持され、その後、上昇してスクリーン印刷用マスク1に当接される(図4のS5)。
【0049】
次に、記憶部11に記憶されている種類aの基板面用の各種印刷条件のプログラムが記憶部11から読み出され(図4のS6)、制御部10が、読み出された各種印刷条件のプログラムによってスキージ等駆動部16を制御して、スキージ9a等を駆動する。これにより、スクリーン印刷装置4において種類aの基板面へのスクリーン印刷作業が開始される(図4のS7)。種類aの基板面へのスクリーン印刷作業が終了したら、当該プリント基板5が下流側の工程へ搬出され、基板位置決めステージ6が基板搬入位置まで戻される。そして、次にスクリーン印刷されるプリント基板5が上流側から基板位置決めステージ6へ搬入される。
【0050】
基板位置決めステージ6に搬入されたプリント基板5の基板面が種類bと判定(図4のS8)されたならば、スクリーン印刷用マスク1に開口パターン3に対応させて付与されている位置合わせ用の位置マークと基板位置決めステージ6に位置固定されたプリント基板5に付与されている位置合わせ用の位置マークとがカメラ認識によって読み取られると共に、制御部10が、搬送動作プログラムによって基板搬送位置決め駆動部17を制御する。これにより、4軸制御ロボット8が駆動され、図5、図7に示すように、プリント基板5の種類bの基板面が、『開口パターン3の設置位置に対応する、基板位置決めステージ6の水平可動範囲内の位置』に位置決め保持され、その後、上昇してスクリーン印刷用マスク1に当接される(図4のS9)。
【0051】
次に、記憶部11に記憶されている種類bの基板面用の各種印刷条件のプログラムが記憶部11から読み出され(図4のS10)、制御部10が、読み出された各種印刷条件のプログラムによってスキージ等駆動部16を制御して、スキージ9b等を駆動する。これにより、スクリーン印刷装置4において種類bの基板面へのスクリーン印刷作業が開始される(図4のS11)。種類bの基板面へのスクリーン印刷作業が終了したら、当該プリント基板5が下流側の工程へ搬出され、基板位置決めステージ6が基板搬入位置まで戻される。そして、次にスクリーン印刷されるプリント基板5が上流側から基板位置決めステージ6へ搬入される。
【0052】
以後、種類a、種類bの2種類の基板面がこの順番で繰り返し基板位置決めステージ6へ搬入され、上記と同様にして各基板面へのスクリーン印刷作業が行われる。そして、その後、全ての基板面へのスクリーン印刷作業が終了しているか否かが判断され(図4のS12)、全ての基板面へのスクリーン印刷作業が終了している場合には、そこで作業が完了する。
【0053】
以上説明したスクリーン印刷方法によれば、ある種類の基板面を、それに対応する開口パターンの下方に自動的に位置決め保持し、上昇させることにより、スクリーン印刷用マスク1に当接させて、当該基板面へのスクリーン印刷を行うことができ、その結果、2種類の基板面のランダムな混合生産を実現することができる。そして、その際、スクリーン印刷の対象となる基板面の種類が切り替わるごとにスクリーン印刷用マスクを取り替える必要はなく、各種印刷条件のプログラムを切り替えるだけでよいので、2種類の基板面に対するスクリーン印刷作業の切り替え時間を大幅に短縮することができる。
【0054】
尚、上述したスクリーン印刷方法においては、種類a、種類bの2種類の基板面が1枚ずつこの順番で繰り返し基板位置決めステージ6へ搬入される場合を例に挙げて説明したが、基板位置決めステージ6へ搬入する順番はこれに限定されるものではない。例えば、ある種類の基板面を複数枚連続して基板位置決めステージ6へ搬入した後に、これとは異なる種類の基板面を基板位置決めステージ6へ搬入するようにしてもよい。
【0055】
また、上述したスクリーン印刷方法においては、種類a、種類bの2種類の基板面を混合してスクリーン印刷を行う(すなわち、混合生産する)場合を例に挙げて説明したが、混合生産する基板面の種類は2種類に限定されるものではなく、3種類以上であってもよい。この3種類以上の基板面の混合生産は、3種類以上の基板面に対応する3種類以上の開口パターンが形成されたスクリーン印刷用マスクを用い、スクリーン印刷装置の構成や制御方法をそれに対応するように適宜変更すること等によって実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、複数種類の基板面のランダムな混合生産を、確実に最適な印刷条件で行うことが可能で、複数種類の基板面の切り替え時間を大幅に短縮することができる。従って、本発明は、生産効率の向上が望まれるスクリーン印刷装置に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 スクリーン印刷用マスク
2、3 開口パターン
2a、3a 情報認識マーク
4 スクリーン印刷装置
5 プリント基板
5a 基板面識別マーク
6 基板位置決めステージ
7 搬送コンベア
8 4軸制御ロボット
9a、9b スキージ
10 制御部
11 記憶部
12 認識部
13 印刷条件設定部
14 印刷条件微調整部
15 基板面種類判定部
16 スキージ等駆動部
17 基板搬送位置決め駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するために用いられるスクリーン印刷用マスクであって、
複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されていることを特徴とするスクリーン印刷用マスク。
【請求項2】
スクリーン印刷用マスクを用いてプリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記スクリーン印刷用マスクには、複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されており、かつ、
前記各情報認識マークを読み取る認識部と、
前記各情報認識マークに記録された前記各開口パターンについての情報に基づいて、前記各基板面に対する各種印刷条件を自動設定する印刷条件設定部と、
前記各基板面に対する前記各種印刷条件のプログラムを記憶する記憶部とを備えていることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記印刷条件設定部によって自動設定された前記各基板面に対する前記各種印刷条件を用いて前記各基板面を試し刷りした結果に基づいて、前記各基板面に対する前記各種印刷条件を微調整する印刷条件微調整部をさらに備え、
前記各基板面に対する微調整後の前記各種印刷条件のプログラムが前記記憶部に記憶される、請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
搬入される前記プリント基板の前記基板面に付与された基板面識別マークを検出することによって当該基板面の種類を判定する基板面種類判定手段をさらに備え、
前記基板面種類判定手段による判定結果に基づいて、前記プリント基板の前記基板面が当該基板面に対応する前記スクリーン印刷用マスクの前記開口パターンの下方に位置決め保持されると共に、当該基板面に対する前記各種印刷条件のプログラムが選択される、請求項2又は3に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
スクリーン印刷用マスクを用いてプリント基板の基板面に印刷ペーストをスクリーン印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記スクリーン印刷用マスクには、複数種類の前記基板面に対応する複数種類の開口パターンが形成されていると共に、前記各開口パターンについての情報をそれぞれ記録した複数種類の情報認識マークが付与されており、かつ、
搬入される前記プリント基板の前記基板面に付与された基板面識別マークを検出することによって当該基板面の種類を判定するステップと、
前記判定結果に基づいて、前記プリント基板の前記基板面を当該基板面に対応する前記スクリーン印刷用マスクの前記開口パターンの下方に位置決め保持すると共に、前記情報認識マークに基づいて作成された当該基板面に対する各種印刷条件のプログラムを選択するステップとを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255512(P2011−255512A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129246(P2010−129246)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】