説明

スクリーン印刷装置

【課題】スクリーン印刷装置においてクリームはんだの印刷状態を迅速に検査する。
【解決手段】 その厚み方向に開口が貫通するスクリーン印刷用マスク表面に沿って移動することにより前記開口にクリームはんだを充填するスキージと、前記スキージと一体的に設けられ前記スクリーン印刷用マスク表面を光学的に読み取るラインセンサと、を備えることを特徴とするスクリーン印刷装置。前記ラインセンサは、前記スキージにその移動方向上流側又は下流側のいずれか一方、又は、両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置に係り、特に、クリームはんだの印刷状態を迅速に検査するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだ付けを良好に行う等の観点より、プリント基板等の被印刷面にクリームはんだを印刷し、この被印刷面をCCDで撮影してクリームはんだの印刷状態(クリームはんだが安定して印刷されているか否か等)を検査することが行われている(特許文献1、2)。
【0003】
しかしながら、従来の検査工程はクリームはんだの印刷工程とは別個の工程として設けられているため、クリームはんだの印刷が完了しなければ検査工程を実施できないという問題があった。
【特許文献1】特開2002−286430号公報
【特許文献2】特開平11−17328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、クリームはんだの印刷状態を迅速に検査するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、次の構成を採る。
【0006】
その厚み方向に開口が貫通するスクリーン印刷用マスク表面に沿って移動することにより前記開口にクリームはんだを充填するスキージと、前記スキージに一体的に設けられ前記スクリーン印刷用マスク表面を光学的に読み取るラインセンサと、を備えることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【0007】
本発明によれば、スキージとラインセンサとが一体的に設けられているので、スキージによるクリームはんだ充填動作(従来のクリームはんだの印刷工程に相当)と、ラインセンサによるスクリーン印刷用マスク表面の光学的読み取り(従来の検査工程に相当)とを同時に行うことが可能となる。
【0008】
したがって、クリームはんだの印刷状態を迅速に検査することが可能となる。
【0009】
上記スクリーン印刷装置においては、例えば、ラインセンサをスキージの移動方向上流側にのみ設けてもよいし、あるいはラインセンサをスキージの移動方向下流側にのみ設けてもよいし、あるいはラインセンサを両側に設けてもよい。
【0010】
ラインセンサをスキージの移動方向上流側に設けることとすれば、クリームはんだの充填量を検査することが可能となる。また、ラインセンサをスキージの移動方向下流側に設けることとすれば、スクリーン印刷用マスクの目詰まり等のマスクの汚れを検査することが可能となる。
【0011】
また、上記スクリーン印刷装置においては、例えば、前記上流側に設けられたラインセンサが読み取った画像データに基づいて、前記開口に対するクリームはんだの充填量を検査する手段をさらに備える。
【0012】
これは、前記開口に対するクリームはんだの充填量を検査するための手段の例示である。
【0013】
また、上記スクリーン印刷装置においては、例えば、前記下流側に設けられたラインセンサが読み取った画像データに基づいて、前記スクリーン印刷用マスクを検査する手段をさらに備える。
【0014】
これは、スクリーン印刷用マスクを検査するための手段の例示である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、クリームはんだの印刷状態を迅速に検査することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態であるスクリーン印刷装置について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び図2はスクリーン印刷装置の主要構成を説明するための図である。図1及び図2に示すように、スクリーン印刷装置10は、マスク11、スキージ12、ラインセンサ13、及び制御部14等を備えている。
【0018】
マスク11は、その厚み方向に複数の開口(図示せず)が貫通するスクリーン印刷用のメタルマスクである。スキージ12は、マスク11表面に沿って移動(図1中矢印方向)することにより、マスク11の開口にクリームはんだを充填するためのものである。スキージ12は、図1に示すように、その移動方向に対して直角の方向に延びており、その下端12aは比較的鋭角に形成されている。
【0019】
ラインセンサ13は、共通のフレーム(図示せず)等を介してスキージ12と一体的に設けられマスク11表面を光学的に読み取る、例えば、ラインCCD等の撮像素子である。ラインセンサ13は、スキージ12の移動方向上流側に設けてもよいし(図1中符号13Aで示す。以下上流側ラインセンサ13Aともいう)、あるいは、スキージ13の移動方向下流側に設けてもよい(図1中符号13Bで示す。以下下流側ラインセンサ13Bともいう)。あるいは、上流側及び下流側の両側に設けてもよい。本実施形態では両側にラインセンサ13を設けた例について説明する。
【0020】
各ラインセンサ13A、13Bはそのライン(受光面13a、13b)がマスク11表面に対向した状態で、かつ、そのライン(受光面13a、13b)がスキージ12の移動方向に対して直角になるように設けられている。
【0021】
制御部14は、図2に示すように、処理部14a、メモリ14b、及びCPU14c等を備えている。処理部14aは、CPU14cがメモリ14bに読み込まれた所定プログラムを実行することにより、各ラインセンサ13A、13Bから入力される画像に基づいて所定処理(図2のフローチャートで示される処理)を実行する。
【0022】
次に、上記構成のスクリーン印刷装置10の印刷動作及び検査動作について図2を参照しながら説明する。
【0023】
スクリーン印刷装置10においては、従来の印刷工程と同様に、プリント基板Kが載置された基板ステージ(図示せず)を昇降させることによりマスク11をプリント基板K表面に重ね、マスクK表面に沿ってスキージ12を移動させることにより(図1中矢印の方向)マスク11の開口(図示せず)にクリームはんだを充填する。
【0024】
この充填動作とともに、スキージ12と一体化されているラインセンサ13Aは開口にクリームはんだが充填されたマスク11表面を二次元的に読み取り、同様に、スキージ12と一体化されているラインセンサ13Bは開口にクリームはんだが充填されていないマスク11表面を二次元的に読み取る。
【0025】
このスキージ12による充填動作(及び、各ラインセンサ13A、13Bによる読み取り)の後、プリント基板K表面からマスク11を分離する。
【0026】
これにより、マスク11開口に充填されたクリームはんだがその粘着力によってプリント基板K表面に残り(転写され)、印刷が完了する。
【0027】
これとともに処理部14aは、CPU14cがメモリ14bに読み込まれた所定プログラムを実行することにより、ラインセンサ13A、13Bから入力されたマスク11表面の画像(以下、上流側マスク画像、下流側マスク画像ともいう)に対して所定のデータ処理を行うとともに、各マスク画像と予め登録されている基準マスクデータとを比較する(ステップS10)。
【0028】
すなわち、処理部14aは、上流側マスク画像に基づいて、クリームはんだの充填量を検査するのとともに、下流側マスク画像に基づいて、マスク11の汚れを検査する。
【0029】
クリームはんだ充填量検査は次のようにして行うことが考えられる。例えば、上流側マスク画像に対する基準マスクデータとして予め、その開口に適正量のクリームはんだが充填された状態のマスク11表面を撮影してこれをメモリ14b等に保持しておく。そして、この基準マスクデータと上流側マスク画像とを比較する。これにより、マスク11開口に適正量のクリームはんだが充填されているか否かを判定(検査)する。
【0030】
マスク11の汚れ検査は次のようにして行うことが考えられる。例えば、下流側マスク画像に対する基準マスクデータとして予め、その開口にクリームはんだが残存していない状態の(例えば新品の)マスク11表面を撮影してこれをメモリ14b等に保持しておく。そして、この基準マスクデータと下流側マスク画像とを比較する。これにより、マスク11開口に前回の充填動作時のクリームはんだが残存しているか否か等(すなわちマスク11の汚れ)を判定する。
【0031】
上記各比較(判定)の結果、マスク11開口に適正量のクリームはんだが充填されており、かつ、マスク11開口に前回の充填動作時のクリームはんだが残存していないと判定されたなら(ステップS10:OK)、これはクリームはんだが安定して印刷されたことを意味するから、次工程に基板Kを流す(ステップS12)。
【0032】
一方、マスク11開口に適正量のクリームはんだが充填されていないと判定されるか、又は、マスク11開口に前回の充填動作時のクリームはんだが残存していると判定されたなら(ステップS10:NG)、これはクリームはんだが安定して印刷されていないことを意味するから、送り出した基板の取り戻し、あるいはマスクの目詰まりアラームを報知(例えば警告表示あるいは警告音)する(ステップS14)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のスクリーン印刷装置10によれば、スキージ12と各ラインセンサ13A、13Bとが一体的に設けられているので、スキージ12によるクリームはんだ充填動作と、各ラインセンサ13A、13Bによるマスク11表面の光学的読み取り(従来の検査工程に相当)とを同時に行うことが可能となる。
【0034】
したがって、クリームはんだの印刷状態を迅速に検査することが可能となる。
【0035】
また、上流側ラインセンサ13Aを設けたので、クリームはんだの充填量を検査することが可能となる。また、下流側ラインセンサ13Bを設けたので、マスク11の目詰まり等のマスクの汚れを検査することが可能となる。
【0036】
次に、変形例について説明する。
【0037】
上記実施形態のスクリーン印刷装置10においては、下流側マスク画像に対する基準マスクデータとして予め、その開口にクリームはんだが残存していない状態の(例えば新品の)マスク11表面を撮影してこれをメモリ14b等に保持しておき、この基準マスクデータと下流側マスク画像とを比較するように説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
例えば、下流側マスク画像に対する基準マスクデータとして予め、その開口に許容できる程度のクリームはんだが残存している状態のマスク11表面を撮影してこれらをメモリ14b等に保持しておく。そして、この基準マスクデータと下流側マスク画像とを比較するようにしてもよい。すなわち、マスク11開口に前回の充填動作時のクリームはんだが許容できる程度以上残存しているか否か等(すなわちマスク11の汚れ)を判定するようにしてもよい。
【0039】
そして、比較(判定)の結果、マスク11開口にクリームはんだが許容できる程度以上残存していると判定されたなら、送り出した基板の取り戻し、あるいはマスクの目詰まりアラームを報知(例えば警告表示あるいは警告音)する。
【0040】
このようにすれば、マスク11の目詰まり等のマスクの汚れをより適切に検査することが可能となる。
【0041】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態であるスクリーン印刷装置の主要構成を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態であるスクリーン印刷装置の主要構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
10…スクリーン印刷装置、11…マスク、12…スキージ、13(13A、13B)…ラインセンサ、14…制御部、14a…処理部、14b…メモリ、14c…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その厚み方向に開口が貫通するスクリーン印刷用マスク表面に沿って移動することにより前記開口にクリームはんだを充填するスキージと、
前記スキージと一体的に設けられ前記スクリーン印刷用マスク表面を光学的に読み取るラインセンサと、
を備えることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記ラインセンサは、前記スキージの移動方向上流側又は下流側のいずれか一方、又は、両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記上流側に設けられたラインセンサが読み取った画像データに基づいて、前記開口に対するクリームはんだの充填量を検査する手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記下流側に設けられたラインセンサが読み取った画像データに基づいて、前記スクリーン印刷用マスクを検査する手段をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のスクリーン印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−160750(P2007−160750A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360966(P2005−360966)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】