説明

スタビライザ制御装置

【課題】 車両の旋回状態によって運転者に違和感を与えることなく、適切にスタビライザのねじり剛性を切り換えることができるスタビライザ制御装置を提供する。
【解決手段】 切換手段KRによって、スタビライザSTBの第1ねじり剛性を発生する第1位置(第1剛性手段GS1側)、及び第1ねじり剛性より低いねじり剛性を発生する第2位置(第2剛性手段GS2側)を、旋回状態検出手段TCの検出旋回状態量に基づいて切り換える。検出旋回状態量が所定の旋回状態量以下(例えば操舵角が第2しきい値以下)となった状態が、所定時間以上継続したときには、第1位置から第2位置に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスタビライザ制御装置に関し、特に、クラッチ手段の連結及び開放によってスタビライザのねじり剛性を切り換えるスタビライザ制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
車両用サスペンションのスタビライザ装置として、例えば下記の特許文献1には、旋回路での有効なロール制御と一般路での直線走行時の良好な乗り心地とを両立させるために、スタビライザのトーション部を左右に分割し、その分割部にクラッチ機構を設け、高速走行時または旋回時にはクラッチ機構により左右トーション部間を締結してスタビライザ機能を発揮させ、低速の直進時には左右間を開放する旨記載されている。また、クラッチ機構の制御切り換え条件として、車速60km/h以上、又は、0.4G以上の横加速度が例示され、これらの条件は車両特性等によって適宜設定される旨記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−289427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のスタビライザ装置においては、スラローム走行などの過渡操舵条件において、横加速度とロール角の位相差により旋回方向でスタビライザの特性が異なり、所謂左右差が生じ、運転者に違和感を与えるおそれがある。これについて、図9を参照して説明すると、直進走行状態から運転者の操舵操作により車体にローリング運動が発生するダイナミクスにおいては、先ず車輪に操舵角が与えられ、車輪にスリップ角が生ずると、車輪に横力が発生する。この横力に対する抗力として車体に慣性力(横加速度)が作用し、ローリング運動が生ずる。このため、ロール角は横加速度に対して遅れて発生することになる。
【0005】
例えば図9において、t0時に左旋回方向へのステアリングホイール操作が開始され、t1時で横加速度のしきい値に到達すると、ロール角がφ1の状態でクラッチ機構が連結状態とされ、スタビライザとしての効果を発揮し始める。そして、ステアリングホイールが戻され横加速度がゼロに近づくとクラッチ機構が開放される。更に、右旋回方向へのステアリングホイール操作が行われ、横加速度が増加していくと、t2時でクラッチ機構が再び連結状態とされる。このときのロール角φ2は、先の(左旋回においてクラッチ機構が連結状態とされてスタビライザとしての効果を発揮する)ロール角φ1とは異なる値となる。このように、過渡操舵時においては、横加速度とロール角との位相差により右旋回と左旋回とでスタビライザとしての効果を発揮する条件が異なるので、運転者に違和感を与えることが懸念される。
【0006】
そこで、本発明は、スタビライザのねじり剛性を切り換え可能なスタビライザ制御装置において、車両の旋回状態によって運転者に違和感を与えることなく、適切にスタビライザのねじり剛性を切り換えることができるスタビライザ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するため、本発明は、車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の旋回状態量を検出する旋回状態検出手段と、前記スタビライザのねじり剛性を切り換える切換手段であって、前記スタビライザの第1ねじり剛性を発生する第1位置、及び前記第1ねじり剛性より低いねじり剛性を発生する第2位置を有し、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量に基づき前記第1位置と前記第2位置とを切り換える切換手段とを備え、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が所定の旋回状態量以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成したものである。
【0008】
上記スタビライザ制御装置において、請求項2に記載のように、前記車両の速度を検出する車両速度検出手段と、該車両速度検出手段の検出車両速度に基づき前記旋回状態量に対する第1しきい値を設定する第1しきい値設定手段と、前記車両速度検出手段の検出車両速度に基づき前記旋回状態量に対する第2しきい値を設定する第2しきい値設定手段とを備えたものとし、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成するとよい。
【0009】
前記旋回状態検出手段の検出対象である車両の旋回状態量とは、車両が旋回する状態を表す状態量であり、車両の操舵角、横加速度及びヨーレイト、並びにこれに基づいて演算される状態量、例えば、操舵角に基づいて演算される推定横加速度(計算横加速度)を用いることができる。
【0010】
而して、前記旋回状態検出手段は、請求項3に記載のように、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含むものとし、前記第1しきい値設定手段及び前記第2しきい値設定手段が、夫々前記操舵角に対する第1しきい値及び第2しきい値を前記車両速度に基づいて設定し、前記操舵角が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記操舵角が前記第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成するとよい。
【0011】
あるいは、前記旋回状態検出手段は、請求項4に記載のように、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、該操舵角検出手段の検出操舵角及び前記車両速度検出手段の検出車両速度に基づき推定横加速度を演算する横加速度演算手段を含むものとし、前記第1しきい値設定手段及び前記第2しきい値設定手段が、夫々前記推定横加速度に対する第1しきい値及び第2しきい値を前記車両速度に基づいて設定し、前記推定横加速度が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記推定横加速度が前記第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のスタビライザ制御装置においては、旋回状態検出手段の検出旋回状態量が所定の旋回状態量以下となった状態が、所定時間以上継続したときには、切換手段により、スタビライザの第1ねじり剛性を発生する第1位置から、第1ねじり剛性より低いねじり剛性を発生する第2位置に切り換えるように構成されているので、運転者に違和感を与えることなく、適切にスタビライザのねじり剛性を切り換えることができる。特に、車両の左右旋回でのスタビライザ特性の左右差を適切に抑制することができ、過渡操舵中においても、運転者に違和感を与えることなく、適切にスタビライザ制御を行うことができる。
【0013】
特に、請求項2に記載のように、車両速度検出手段の検出車両速度に基づき旋回状態量に対する第1しきい値及び第2しきい値を設定し、旋回状態量が第1しきい値以上となったときに、第2位置から第1位置に切り換え、旋回状態量が第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、第1位置から第2位置に切り換えるように構成されているので、スタビライザにねじりが生ずる前に確実に切り換え得るように設定することができる。
【0014】
そして、旋回状態検出手段を請求項3又は4に記載のように構成すれば、操舵角は、車体のローリング運動における最も早期の入力であるため、操舵角又は推定横加速度に基づいて切換手段による切り換えを行うことにより、ロール角が生ずる前、もしくは生じていても僅かな状態でスタビライザのねじり剛性を切り換えることができ、また、過渡操舵中においてもロール角の急変等を回避することができ、運転者に違和感を与えることなく、適切にスタビライザ制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置の構成を示すもので、前輪側及び後輪側のうち少なくとも一方の左右車輪間に配設される切換スタビライザSTB(以下、単にスタビライザSTBという)は、第1ねじり剛性を発揮する第1剛性手段GS1と、第1ねじり剛性より低い第2ねじり剛性を発揮する第2剛性手段GS2と、第1剛性手段GS1と第2剛性手段GS2とを切り換える切換手段KRとによって構成される。これら第1剛性手段GS1及び第2剛性手段GS2の具体的構成については後述するが、これらの手段及び切換手段KRによって、スタビライザSTBの第1ねじり剛性を発生する第1位置、及び第1ねじり剛性より低いねじり剛性を発生する第2位置が、旋回状態検出手段TCの検出旋回状態量に基づいて切り換えられる。
【0016】
次に、しきい値設定手段として、第2剛性手段GS2から第1剛性手段GS1に切り換える切換条件を設定する第1しきい値設定手段SV1と、第1剛性手段GS1から第2剛性手段GS2に切り換える第2しきい値設定手段SV2が構成される。第1しきい値及び第2しきい値は、車両速度に基づいて設定することができる。そして、比較手段CMPにて第1しきい値設定手段SV1及び第2しきい値設定手段SV2によって設定された第1しきい値及び第2しきい値と、旋回状態検出手段TCによって検出される車両の旋回状態量とが比較される。この旋回状態量としては、車両の操舵角、横加速度及びヨーレイト、並びにこれに基づいて演算される状態量、例えば、操舵角に基づいて演算される推定横加速度を用いることができる。而して、第1しきい値及び第2しきい値によって設定される切換条件を満足すると判定されると、切換手段KRが駆動されスタビライザSTBのねじり剛性が切り換えられる。
【0017】
第1しきい値の条件を満足し、第2剛性手段GS2から第1剛性手段GS1への切り換え要と判定された場合には、直ちに切換手段KRが制御され、スタビライザSTBのねじり剛性の切り換えが行われる。しかし、第2しきい値の条件を満たし、第1剛性手段GS1から第2剛性手段GS2への切り換え要と判定された場合には、調整手段ADJにおいて、第2しきい値の条件を満足する継続時間が判定され、継続時間が所定時間以上となった場合に切換手段KRが駆動される。このように、第2しきい値の条件を満足する時間が所定時間だけ継続するのを待ってスタビライザSTBのねじり剛性が切り換えられるため、上述の旋回状態量(例えば、操舵角)とローリング運動との位相差によって生ずるスタビライザ特性の左右差を抑制することができる。
【0018】
比較手段CMPには、運転者によって操作されるモード選択スイッチMS(以下、単にスイッチMSという)の信号も取り込まれる。このスイッチ操作によって、運転者が第1剛性手段GS1(高ねじり剛性の状態)を選択している場合(以下、スポーツモードSM1という)には、切換手段KRは第1剛性手段GS1との連結状態に維持される。従って、上述のような旋回状態量(例えば、操舵角)と第1しきい値及び第2しきい値との比較に基づいて切換手段KRが制御されるのは、スイッチMSが運転者によって第1剛性手段GS1を選択していない場合(以下、通常モードSM2という)に限られる。また、車両が旋回中に前記スイッチ操作によって、スポーツモードSM1を指示した状態から通常モードSM2を指示した状態に切り換えても、上述の第2しきい値の条件を満足し、且つ、その継続時間が所定値以上でなければ、切換手段KRは第2剛性手段GS2(低ねじり剛性の状態)への変更は行なわれない。このように、車両の旋回中に、運転者が不必要にモード選択スイッチMSに触れ、通常モードSM2を指示したとしても、第2剛性手段GS2への変更は行われないので、ローリング運動の急激な変化が防止される。
【0019】
次に、第1剛性手段GS1、第2剛性手段GS2及び切換手段KRについて、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、車両前方の左右車輪間に配設されるスタビライザSTBfを示すものであるが、車両後方に配設されるスタビライザSTBrについても同様の構成であり、図1のスタビライザSTBのように構成されている(以下においては、特に区別する必要がある場合を除き、スタビライザSTBを用いて説明する)。第1剛性手段GS1は、スタビライザSTBを相対的に高ねじり剛性とするもので、図2において左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrがクラッチ機構CLによって連結された構成を意味する。また、図3では左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrがクラッチ機構CLによって中間トーションバーTBfa及び剛性部材TBfbを介して連結された構成が第1剛性手段GS1に相当する。
【0020】
これに対し、第2剛性手段GS2は、スタビライザSTBを相対的に低ねじり剛性とするもので、図2では左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrが分離された構成(スタビライザSTBがねじり剛性を発揮しない状態)を意味し、図3では左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrがクラッチ機構CLによって中間トーションバーTBfaのみを介して連結された構成が第2剛性手段GS2に相当する。
【0021】
第1しきい値は、第1剛性手段GS1に切り換える、即ち、低ねじり剛性から高ねじり剛性に切り換える基準とするしきい値であり、第2しきい値は第2剛性手段GS2に切り換える、即ち、高ねじり剛性から低ねじり剛性に切り換える基準とするしきい値である。第1しきい値及び第2しきい値は車両速度Vに基づいて操舵角の次元で表される。そして、比較手段CMPにおいて例えば実際の操舵角δswと比較され、比較結果に応じて切換手段KR(図2及び図3ではクラッチ機構CL)が駆動される。
【0022】
本実施形態における第1剛性手段GS1への切り換えは操舵角δswと第1しきい値δ1との比較結果に応じて行われる。これに対し、第2剛性手段GS2への切り換えは、操舵角δswと第2しきい値δ2とが比較され、第2剛性手段GS2への切換条件を満足する状態が所定時間以上継続したときに切換手段KRを駆動するように、調整手段ADJによって調整される。このように、調整手段ADJによって第2剛性手段GS2への切り換えが適切に行われるため、図9で説明した操舵角とローリング運動との位相差に起因する過渡操舵時におけるスタビライザ特性の左右差が改善される。
【0023】
尚、第1しきい値Gy1及び第2しきい値Gy2を横加速度の次元で表し、操舵角δswと車両速度Vから演算横加速度Gyeを求めて、比較手段CMPにおいて演算横加速度Gyeと第1しきい値Gy1及び第2しきい値Gy2とを比較することによって、切換手段KRを制御するように構成することもできる。
【0024】
図2において、スタビライザSTBfは左車輪トーションバーTBfl及び右車輪トーションバーTBfrによってねじり剛性を発揮する。左車輪トーションバーTBflは接続部Aにてクラッチ機構CLの一方側部材に固定される。一方、右車輪トーションバーTBfrは接続部Bにおいて、スプラインSPによって回転方向の運動が拘束されてガイドされ、クラッチ機構CLの他方側部材に接続される。そして、クラッチ機構CLの他方側部材が駆動手段(図示せず)によって軸方向(図2の左右方向)に駆動されることにより、クラッチ機構CLの連結及び開放が切り換えられる。従って、このクラッチ機構CLの切り換えによって、スタビライザSTBfのねじり剛性が制御される。
【0025】
而して、クラッチ機構CLが連結位置にあって、左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrが連結された状態にある場合が、図1の第1剛性手段GS1に対応し、スタビライザSTBfは左車輪トーションバーTBfl及び右車輪トーションバーTBfrによる高ねじり剛性の状態となる。これに対し、クラッチ機構CLが開放位置にあって、左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrが分離された状態にある場合が、図1の第2剛性手段GS2に対応し、スタビライザSTBfはねじり剛性がゼロとなり、低ねじり剛性の状態となる。
【0026】
図3の構成においては、図2の構成とは異なり、低ねじり剛性の構成、即ち第2剛性手段GS2がねじり剛性を有する場合を示す。左車輪トーションバーTBflは、円筒形の剛性部材TBfbを介して、クラッチ機構CLの一方側部材に固定される。一方、右車輪トーションバーTBfrは、接続部Eにおいて、スプラインSPによって回転方向の運動が拘束されてガイドされ、クラッチ機構CLの他方側部材に接続される。また、左車輪トーションバーTBflと剛性部材TBfbとの接続部Dと、接続部Eとの間には、ねじり剛性を有する中間トーションバーTBfaが配置されている。そして、クラッチ機構CLの他方側部材が駆動手段(図示せず)によって軸方向(図3の左右方向)に駆動されることにより、クラッチ機構CLの連結及び開放が切り換えられる。従って、このクラッチ機構CLの切り換えによって、スタビライザSTBfのねじり剛性が制御される。
【0027】
而して、クラッチ機構CLが連結位置にあって、左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrが、中間トーションバーTBfa及び剛性部材TBfbを介して接続された構成が、図1の第1剛性手段GS1に対応し、スタビライザSTBfは高ねじり剛性の状態となる。これに対し、クラッチ機構CLが開放位置にあって、左車輪トーションバーTBflと右車輪トーションバーTBfrが、中間トーションバーTBfaのみを介して連結された構成が、図1の第2剛性手段GS2に対応し、スタビライザSTBfは低ねじり剛性の状態となる。
【0028】
以上、スタビライザSTBの構成例を説明したが、本発明に供される切換スタビライザは、これらに限定されるものではなく、例えば、サスペンション部材とトーションバーとの間のリンク部材に切換機構を設けることも可能であり、また、トーションバーを支持する部材に切換機構を設けることも可能である。つまり、スタビライザのねじり剛性が高い構成(第1剛性手段)と低い構成(第2剛性手段で、必ずしもゼロである必要はない)とを切り換えることが可能であればよい。
【0029】
図4は、本発明のスタビライザ制御装置を備えた制御システムを示すもので、ねじり剛性を切り換え可能なスタビライザSTBf及びSTBrが車両に設けられる。スタビライザSTBf及びSTBrには、ねじり剛性を切り換えるための切換アクチュエータKAf及びKArが備えられる。切換アクチュエータKAf及びKArはスタビライザ用電子制御ユニットECU1により制御される。このスタビライザ用電子制御ユニットECU1には、モード選択スイッチMSが接続されており、運転者のスイッチ操作によってスタビライザSTBf及びSTBrのねじり剛性を切り換えることができる。
【0030】
スタビライザ用電子制御ユニットECU1は、通信バスに接続され、この通信バスを介して他の制御システムの電子制御ユニット(例えば、ブレーキ系電子制御ユニットECU2)における処理情報及びセンサ信号を共有することができる。更に、上記の通信バスには、ステアリングホイールSWの操舵角δswを検出する操舵角センサSA、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサGX、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサGY、車両のヨー角速度Yrを検出するヨー角速度センサYRが接続され、各電子制御ユニットにセンサ信号の情報を提供できるように構成されている。
【0031】
各車輪WHxx(添字「xx」は各車輪を表し、「fr」は右前輪、「fl」は左前輪、「rr」は右後輪、「rl」は左後輪を意味する)には、車輪速度センサWSxxが配設され、これらがブレーキ系電子制御ユニットECU2に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号がブレーキ系電子制御ユニットECU2に入力されるように構成されている。そして、ブレーキ系制御ユニットECU2内において、車輪速度センサWSxxからの車輪速度信号Vwxxに基づいて、車両の前後方向速度(車両速度)Vが演算される。
【0032】
上記の構成になるスタビライザ制御装置による、ねじり剛性の切り換え制御ついて、図5を参照して以下に説明する。先に図9を参照して説明したように、ステアリングホイール操作が入力となってローリング運動が生ずる。従って、ステアリングホイールSWの操舵角δswはローリング運動に対して時間的に最も早い信号であるため、これをスタビライザSTBのねじり剛性の切換条件として利用するとよい。操舵角δswは右旋回と左旋回とを区別するために、正負の符号付データとして取り扱われることが一般的ではあるが、本発明ではスタビライザのねじり剛性を高い構成(第1剛性手段)と低い構成(第2剛性手段)との間で切り換えるものであるので、左旋回と右旋回を特に区別する必要はない。従って、以下の説明において単に操舵角と記載されている場合には、操舵角の絶対値であることを意味する。
【0033】
先ず、ステップ101にて初期化が実行され、ステップ102で正負の符号付の操舵角、車両速度を含むセンサ及び通信信号、モード選択スイッチMSの信号が読み込まれる。ステップ103において、符号付操舵角信号から操舵角(絶対値)δswが演算され、次に、ステップ104において、操舵角についての第1しきい値δ1及び第2しきい値δ2が設定される。ここで、第1しきい値δ1とは、第1剛性手段GS1に切り換える基準とされるしきい値であり、第2しきい値δ2とは、第2剛性手段GS2に切り換える基準とされるしきい値である。ステップ104にて第1及び第2しきい値δ1及びδ2が設定された後、これらに基づいてスタビライザSTBの切換判定が行われる。
【0034】
第1しきい値δ1及び第2しきい値δ2は、それぞれ、図6に示すように、車両速度Vの関数として設定することができる。第1しきい値δ1は、スタビライザに略ねじりが生じていない状態で切り換えられるような値に設定される。ここで、「略ねじりが生じていない状態」とは、右旋回と左旋回との特性差が、運転者に対する違和感として感じられることのない程度のねじり状態のことをいう。
【0035】
そして、ステップ105において、モード選択スイッチMSが通常モードSM2にあるか否かが判定される。通常モードSM2ではなく、スポーツモードSM1を指示しているときには、ステップ112に進み、切換手段KRによって第1剛性手段GS1への接続(第1剛性手段GS1への切換、又は第1剛性手段GS1の継続)が行われる。例えば、車両が直進走行中であり、モード選択スイッチMSが通常モードSM2を指示しているときに、運転者によってスポーツモードSM1に変更されると、クラッチ機構CLが連結位置とされ、スタビライザSTBは高ねじり剛性である第1剛性手段GS1に切り換えられる。
【0036】
一方、ステップ105において、モード選択スイッチMSが通常モードSM2を選択していると判定されたときには、ステップ106に進み、切換手段KRの切換位置が第1剛性手段GS1であるか否かが判定される。つまり、スタビライザSTBのねじり剛性が高い状態にあるか否かが判定される。ステップ106において、切換位置が第2剛性手段GS2側と判定されると、ステップ111に進み、第1剛性手段GS1への切換判定が第1しきい値δ1に基づいて行われる。ステップ111において、操舵角δswが第1しきい値δ1より小さく、第1剛性手段GS1への切換条件を満足しないと判定された場合には、ステップ110に進み、第2剛性手段GS2への切換位置が継続される。
【0037】
ステップ111において、操舵角δswが第1しきい値δ1以上と判定され、第1剛性手段GS1の切換条件を満足すると判定されると、ステップ112にて切換位置が第1剛性手段GS1に切り換えられる。ステップ106において、切換手段KRの切換位置が第1剛性手段GS1側と判定されると、ステップ107において操舵角δswが第2しきい値δ2と比較される。操舵角δswが第2しきい値δ2より大きく、第2剛性手段GS2への切換条件を満足しないと、ステップ112に進み、第1剛性手段GS1への切換位置が維持される。
【0038】
ステップ107において、操舵角δswが第2しきい値δ2以下と判定されると、ステップ108に進み、ステップ107の条件を満足する継続時間が演算される。そして、ステップ109において、その継続時間が所定値To以上となったか否かが判定される。前記継続時間が所定値Toより小さいときには、ステップ112に進み、第1剛性手段GS1の状態が継続される。一方、前記継続時間が所定値To以上となった場合には、ステップ110において第2剛性手段GS2への切り換えが行われる。
【0039】
而して、低ねじり剛性を有する第2剛性手段GS2への切り換えに関し、操舵角δswが第2しきい値δ2を満足したときに直ちには行われず、切換条件を満足する継続時間が所定値To以上となった場合に、初めて切り換えが行われる。このように、車両のローリング運動が十分に収まってからスタビライザSTBが低ねじり剛性に変更されるため、過渡操舵時の不必要なスタビライザの切り換えを抑制することができる。
【0040】
上記図5に示す制御作動を時系列で表すと、図7に示すようになる。図7において、車両は、先ず、直進走行をしており、切換手段KRの切換位置は第2剛性手段GS2に接続されており、スタビライザSTBは低ねじり剛性の状態にある。また、モード選択スイッチMSは、通常モードSM2を指示している。t00時において運転者のステアリングホイール操作が開始され、t01時にて、操舵角δswが第1しきい値δ1以上となると、図5のステップ111の条件を満足し、切換手段KRが第1剛性手段GS1の切換位置に切り換えられ、スタビライザSTBが高ねじり剛性の状態となる。
【0041】
前述のように操舵角δswは、車体のローリング運動の最も早期の入力であるため、操舵角に基づいて切り換えを行うことにより、ロール角が生ずる前、又は生じていても僅かな状態で第1剛性手段GS1への切り換えを行うことができる。そのため、スタビライザSTBには全くねじりが生じていない状態、又は僅かにねじりが生じた状態で切り換えを行うことができる。そして、横加速度の増加に従いロール角が増大するが、スタビライザSTBが高ねじり剛性に切り換えられているため、低ねじり剛性(図7に二点鎖線で示す特性)の場合に比べてロール角が低減される。
【0042】
ステアリングホイールが戻され操舵角δswが減少すると、t02時において、操舵角δswが第2しきい値δ2以下となり、図5のステップ107の条件を満足するが、直ちには、第2剛性手段GS2へは切り換えられない。操舵角δswが第2しきい値δ2以下となったときから、この条件を満足する継続時間のカウントが開始される(図5のステップ108)。t03時にて、操舵角δswが第2しきい値以下の状態が終了するが、継続時間(t02とt03の間の時間)が所定値Toより短く、図5のステップ109の条件を満足しないため、切換手段KRの切換位置は第1剛性手段GS1が選択され、スタビライザSTBは高ねじり剛性の状態に維持される。
【0043】
運転者がステアリングホイールSWを直進位置に戻し、操舵角δswが第2しきい値δ2以下となると、ステップ107の条件を再び満足し、ステップ108の継続時間のカウントが開始される。運転者がステアリングホイールSWの直進位置を維持し続け、車両が直進走行を継続すると、t05時において、図5のステップ109の条件が満足され、切換位置は第2剛性手段GS2に切り換えられ、スタビライザSTBは低ねじり剛性の状態に切り換えられる。
【0044】
以上のように、本実施形態においては、ローリング運動の原因(入力)である操舵角δswに基づいて切換手段KRを作動させるために、スタビライザSTBにねじりが生じていない状態、又は、生じていても僅かな状態で切り換えることが可能である。その結果、車両の左右旋回について、スタビライザ特性の左右差がなく、運転者に違和感を与えることがない。更に、操舵角δswが所定値δ2以下になった場合に、直ちに切り換えが行われることなく、その条件を満足する継続時間に応じて切り換えが行われる。そのため、スラローム走行などの過渡操舵中において、不必要な切り換えが行われることがないため、ロール角の急変等の違和感を運転者に与えることがない。
【0045】
図5の実施形態における切換判定は操舵角δswに基づいて行われるが、操舵角δswから求められる推定横加速度に基づいて切換判定を行うこともできる。この場合には、図5のステップ102で読み込まれるセンサ及び通信バスの操舵角δsw及び車両速度Vから、下記の式により推定横加速度Gyeが演算される。
Gye=(V2・|δsw|)/{L・N・(1+Kh・V2)}
ここで、Nはステアリングギア比、Lは車両のホイールベース、Khはスタビリティファクタである。
【0046】
そして、第1剛性手段GS1に切り換えるための第1しきい値Gy1、及び第2剛性手段GS2に切り換えるための第2しきい値Gy2は、それぞれ横加速度の次元で表される。第1しきい値Gy1及び第2しきい値Gy2は、路面凹凸による直進走行を維持するための修正操舵角では切り換えを行わず、車両の旋回運動が開始された場合には、スタビライザSTBにねじりが生ずる前に確実に切り換えが行なわれる値に設定される。例えば、第1しきい値Gy1及び第2しきい値Gy2は、横加速度の次元で0.05Gから0.1Gの範囲で設定されることが望ましい。尚、第1しきい値Gy1及び第2しきい値Gy2は、固定値として設定することも可能であるが、車両速度Vに基づいて設定することも可能である。
【0047】
図4のシステム構成では、車両の前方及び後方にスタビライザSTBf及びSTBrを配置した構成となっている。しかし、(切換)スタビライザSTBfを前輪側に配置し、後輪側には切換手段KRを備えていない通常のスタビライザ、又はスタビライザを備えていない構成とすることも可能である。このような構成によりシステム全体として簡略化することができ、低コスト化が可能となる。また、以下の理由により直進時の乗り心地が、更に向上するという相乗効果も有する。
【0048】
サスペンションスプリング(図示せず)のばね剛性とスタビライザ(STBf,STBr)のねじり剛性から定まる車両のロール剛性は、操縦安定性を考慮して前輪のロール剛性比率が55〜60%程度で設定されることが一般的である。一方、左右の片側車輪のみが路面突起を乗り越えるような場合には、図8に示すように前輪側のロール剛性比率が低い方(図8の破線で示す特性)が、ロール剛性比率が高い場合(図8の実線で示す特性)に比べて、ロール角の変動が少なく、乗り心地がよい。
【0049】
本発明では、ローリング運動が発生する略直前にスタビライザのねじり剛性を切り換えることができる。従って、前輪側にのみ(切換)スタビライザSTBfを配置し、車両が直進走行している場合には前輪側のスタビライザSTBfを低ねじり剛性として乗り心地を向上させ、ステアリングホイールSWが操作され旋回運動が開始されたならば、ローリング運動が発生する略直前にスタビライザSTBfを高ねじり剛性に切り換え、操縦安定性を確保することが可能となる。この構成においては、スタビライザSTBfが低ねじり剛性(第2剛性手段GS2)にある場合に前輪ロール剛性比率が40〜45%程度とし、高ねじり剛性(第1剛性手段GS1)に切り換えられた場合には前輪ロール剛性比率が55〜60%程度となるように設定することが望ましい。
【0050】
以上で説明したように、スタビライザSTBのねじり剛性を高い構成(第1剛性手段GS1)と低い構成(第2剛性手段GS2)との間で切り換えが可能なスタビライザ制御装置において、操舵角δsw、又はこの操舵角から求められる推定横加速度Gyeに基づいて切り換えを行うことで、スタビライザSTBにねじりが生じていない状態、又はねじりが生じていても僅かな状態で、切換手段KRの切り換えを行うことが可能である。これにより、車両の左右旋回でスタビライザ特性の左右差が抑制されるので、運転者に違和感を与えることはない。
【0051】
特に、スタビライザSTBのねじり剛性の高い構成から低い構成への切り換えは、その切換条件を満足する(操舵角δswが第2しきい値δ2以下、又は推定横加速度Gyeが第2しきい値Gy2以下である)継続時間が所定値以上となったときに判定されるため、スラローム走行などの過渡操舵中において、ロール角の急変等を回避することができ、運転者に違和感を与えることはない。
【0052】
更に、ねじり剛性の切り換えが可能なスタビライザSTBを前輪のみに配設することにより、システム構成の簡素化が達成できるとともに、直進時及び旋回時のロール剛性比率をそれぞれ適切に設定することができ、乗り心地の向上と操縦安定性の確保を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第1剛性手段、第2剛性手段及び切換手段の具体的構成例を含むスタビライザ制御装置を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る第1剛性手段、第2剛性手段及び切換手段の具体的構成例を含むスタビライザ制御装置を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた制御システムを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態のスタビライザ制御装置によるねじり剛性の切り換え制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態における第1しきい値及び第2しきい値の設定に供するグラフである。
【図7】図5に示す制御作動を時系列で表すタイムチャートである。
【図8】左右の片側車輪のみが路面突起を乗り越える場合における、前輪側のロール剛性比率とロール角の変動の関係を示すグラフである。
【図9】従来のスタビライザ制御装置において、舵角とローリング運動との位相差に起因する過渡操舵時におけるスタビライザ特性の左右差を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0054】
STB 切換スタビライザ
KR 切換手段
GS1 第1剛性手段
GS2 第2剛性手段
SV1 第1しきい値設定手段
SV2 第2しきい値設定手段
TC 旋回状態検出手段
CMP 比較手段
ADJ 調整手段
TBfr 右前輪トーションバー
TBfl 左前輪トーションバー
KAf,KAr 切換アクチュエータ
CL クラッチ機構
ECU1 スタビライザ用電子制御ユニット
MS モード選択スイッチ
SW ステアリングホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の旋回状態量を検出する旋回状態検出手段と、前記スタビライザのねじり剛性を切り換える切換手段であって、前記スタビライザの第1ねじり剛性を発生する第1位置、及び前記第1ねじり剛性より低いねじり剛性を発生する第2位置を有し、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量に基づき前記第1位置と前記第2位置とを切り換える切換手段とを備え、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が所定の旋回状態量以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成したことを特徴とするスタビライザ制御装置。
【請求項2】
前記車両の速度を検出する車両速度検出手段と、該車両速度検出手段の検出車両速度に基づき前記旋回状態量に対する第1しきい値を設定する第1しきい値設定手段と、前記車両速度検出手段の検出車両速度に基づき前記旋回状態量に対する第2しきい値を設定する第2しきい値設定手段とを備え、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記旋回状態検出手段の検出旋回状態量が第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成したことを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
【請求項3】
前記旋回状態検出手段が、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含み、前記第1しきい値設定手段及び前記第2しきい値設定手段が、夫々前記操舵角に対する第1しきい値及び第2しきい値を前記車両速度に基づいて設定し、前記操舵角が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記操舵角が前記第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成したことを特徴とする請求項2記載のスタビライザ制御装置。
【請求項4】
前記旋回状態検出手段が、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、該操舵角検出手段の検出操舵角及び前記車両速度検出手段の検出車両速度に基づき推定横加速度を演算する横加速度演算手段を含み、前記第1しきい値設定手段及び前記第2しきい値設定手段が、夫々前記推定横加速度に対する第1しきい値及び第2しきい値を前記車両速度に基づいて設定し、前記推定横加速度が前記第1しきい値以上となったときに、前記切換手段が前記第2位置から前記第1位置に切り換え、前記推定横加速度が前記第2しきい値以下となった状態が、所定時間以上継続したときに、前記切換手段が前記第1位置から前記第2位置に切り換えるように構成したことを特徴とする請求項2記載のスタビライザ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−30575(P2007−30575A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213581(P2005−213581)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】