説明

ステッピングモータ駆動式の制御弁

【課題】外部からの振動の影響を受け難く、好ましくは比較的大きな弁ストロークを得ることが可能なステッピングモータ駆動式の制御弁を提供する。
【解決手段】流量制御弁32は、ボディに固定されるシャフト182と、シャフト182の外周面に軸線方向にそった螺旋状のガイド部184と、ガイド部184に係合する係合部とロータ172に支持される動力伝達部とを有する回転ストッパ188と、ロータ172に係合して軸線方向に並進可能に支持されるとともにボディに螺合し、ロータ172の回転により弁体と一体に弁部の開閉方向に動作する弁作動体134と、を備える。そして、ロータ172がその一端側と他端側に軸受部を有する中空形状をなし、シャフト182がロータ172の内部空間に延設されることにより、回転ストッパ188がその内部空間において変位するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステッピングモータ駆動式の制御弁に関し、特に車両用冷暖房装置に好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両においてはエンジンの燃焼効率が向上したこともあり、熱源として利用してきた冷却水が暖房に必要な温度にまで上昇し難くなっている。一方、内燃機関と電動機を併用したハイブリッド車両においては内燃機関の稼働率が低いため、そのような冷却水の利用がさらに難しい。電気自動車に至っては内燃機関による熱源そのものがない。このため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用冷暖房装置は、圧縮機、室外熱交換器、蒸発器、室内熱交換器等を含む冷凍サイクルを有し、暖房運転時と冷房運転時とで室外熱交換器の機能が切り替えられる。暖房運転時においては室外熱交換器が蒸発器として機能する。その際、冷凍サイクルを冷媒が循環する過程で室内熱交換器が放熱し、その熱により車室内の空気が加熱される。一方、冷房運転時においては室外熱交換器が凝縮器として機能する。その際、室外熱交換器にて凝縮された冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。その際、除湿も行われる。
【0004】
ところで、このように冷凍サイクルの運転状態によって複数の蒸発器が機能する場合、各蒸発器を流れる冷媒流量の割合を調整する必要がある。複数の凝縮器が機能する場合も同様である。このため、冷媒循環通路の特定位置に弁開度を電気的に調整可能な制御弁を設けることがあるが、一般には比較的低コストで大きな駆動力が得られるソレノイド駆動の電磁弁が用いられることが多い。しかし、特に弁開度の精密な制御が必要となる場合には、住宅用冷暖房装置に多くみられるようにステッピングモータ駆動式の制御弁を用いるのが好ましい(例えば特許文献2参照)。ステップ数(駆動パルス数)の設定により弁体の変位量、ひいては弁開度を正確に調整できるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−240266号公報
【特許文献1】特開昭60−8583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両用冷暖房装置は車両走行時の振動の影響を大きく受けるため、住宅用冷暖房装置とは異なり設置環境が安定しない。このため、ステッピングモータの回転安定性やその駆動機構の精密な動作を確保するためには、車両から受ける振動の影響を極力小さくする必要がある。一方、車両の設置スペース等の制約から、弁部の駆動量が比較的大きくなっても全体としてコンパクトに構成されるのが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、外部からの振動の影響を受け難く、好ましくは比較的大きな弁ストロークを得ることが可能なステッピングモータ駆動式の制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のステッピングモータ駆動式の制御弁は、上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、導入ポートと導出ポートとを連通する弁孔とを有するボディと、弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、弁体を弁部の開閉方向に駆動するロータを有するステッピングモータと、ボディに固定され、ロータの軸線方向に延びるシャフトと、シャフトの外周面に軸線方向にそって延設された螺旋状のガイド部と、ガイド部にそって係合する係合部とロータに支持される動力伝達部とを有し、ロータの回転とともにシャフトの軸線方向に変位し、動力伝達部がシャフトの一端側および他端側のそれぞれで係止されることによりロータの回転を規制する回転ストッパと、ロータに係合して軸線方向に並進可能に支持されるとともにボディに螺合し、ロータの回転により弁体と一体に弁部の開閉方向に動作する弁作動体と、を備える。そして、ロータがその一端側と他端側に軸受部を有する中空形状をなし、シャフトがロータの内部空間に延設されることにより、回転ストッパがその内部空間において変位するように構成されている。
【0009】
この態様によると、ステッピングモータのロータの軸受部がその両端部にそれぞれ設けられることで、その軸受部の間隔を大きくとることができる。その結果、外部からの振動を受けてもロータを安定に支持することができる。また、ロータの軸受部をその両端部に設けることで形成される比較的大きな内部空間にシャフトを配置することで、回転ストッパを支持するガイド部を軸線方向に長くとることができる。すなわち、回転ストッパの軸線方向の並進範囲を大きくとることができ、その結果、弁作動体を軸線方向に大きな範囲でストロークさせることも可能になる。つまり、弁体の開閉方向のストロークを大きくとることが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部からの振動の影響を受け難いステッピングモータ駆動式の制御弁を提供することができる。また、ステッピングモータの大きさに比して大きな弁ストロークを得ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。
【図2】車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。
【図3】流量制御弁の具体的構成を表す断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】流量制御弁の動作状態を表す説明図である。
【図6】流量制御弁の動作状態を表す説明図である。
【図7】流量制御弁の制御状態と弁開度の状態を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係る複合弁の具体的構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。本実施形態は、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車の冷暖房装置として具体化したものである。
【0013】
車両用冷暖房装置1は、圧縮機2、室内凝縮器3、第1制御弁ユニット4、室外熱交換器5、第2制御弁ユニット6、蒸発器7およびアキュムレータ8を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。車両用冷暖房装置1は、冷媒としての代替フロン(HFC−134a)が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式の冷暖房装置として構成されている。冷媒循環回路には、冷暖房を適切に制御するための各種制御弁が配設されている。
【0014】
車両用冷暖房装置1は、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。この冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。すなわち、暖房運転時(除湿時)に冷媒が循環する第1冷媒循環通路、暖房運転時および除霜運転時に冷媒が循環する第2冷媒循環通路、冷房運転時に冷媒が循環する第3冷媒循環通路が形成される。
【0015】
第1冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→第2制御弁ユニット6→蒸発器7→第2制御弁ユニット6→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第2冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→第2制御弁ユニット6→室外熱交換器5→第1制御弁ユニット4→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第3冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→第1制御弁ユニット4→室外熱交換器5→第2制御弁ユニット6→蒸発器7→第2制御弁ユニット6→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。室外熱交換器5を流れる冷媒の流れは、第2冷媒循環通路が開放された場合と第3冷媒循環通路が開放された場合とで逆転する。つまり、室外熱交換器5における冷媒の入口と出口は、第2冷媒循環通路が開放された場合と第3冷媒循環通路が開放された場合とで切り替わる。
【0016】
具体的には、圧縮機2の吐出室は第1通路21を介して室内凝縮器3の入口に接続され、室内凝縮器3の出口は第2通路22を介して室外熱交換器5の一方の出入口に接続されている。室外熱交換器5の他方の出入口は第3通路23を介して蒸発器7の入口に接続され、蒸発器7の出口は第4通路24(戻り通路)を介してアキュムレータ8の入口に接続されている。そして、第2通路22が室内凝縮器3寄りの分岐点と室外熱交換器5寄りの分岐点の2箇所においてそれぞれバイパス通路25、バイパス通路26に分岐されている。室外熱交換器5寄りの分岐点は第1制御弁ユニット4の内部通路に設けられ、その分岐点には後述する切替弁30が配設されている。
【0017】
また、バイパス通路25は、その下流側が第1分岐通路27と第2分岐通路28とに分岐している。これら第1分岐通路27および第2分岐通路28は、第2制御弁ユニット6の内部通路として形成されている。第1分岐通路27は第3通路23を介して蒸発器7につながり、第2分岐通路28は第3通路23を介して室外熱交換器5につながっている。第2分岐通路28には後述する流量制御弁32が設けられている。第3通路23における第1分岐通路27との接続点には後述する切替弁34が配設され、その切替弁34と蒸発器7との間には後述する過冷却度制御弁42が配設されている。
【0018】
第1冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,バイパス通路25,第1分岐通路27,第4通路24を接続して構成される。第2冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,バイパス通路25,第2分岐通路28,第3通路23,バイパス通路26を接続して構成される。第3冷媒循環通路は、第1通路21,第2通路22,第3通路23,第4通路24を接続して構成される。そして、このような冷媒循環通路の切り替えを実現するために、室内凝縮器3と室外熱交換器5との接続部に第1制御弁ユニット4が設けられ、室内凝縮器3と室外熱交換器5と蒸発器7との接続部に第2制御弁ユニット6が設けられている。
【0019】
車両用冷暖房装置1は、空気の熱交換が行われるダクト10を有し、そのダクト10における空気の流れ方向上流側から室内送風機12、蒸発器7、室内凝縮器3が配設されている。室内凝縮器3の上流側には、エアミックスドア14が回動自在に設けられ、室内凝縮器3を通過する風量と室内凝縮器3を迂回する風量との比率が調節される。また、室外熱交換器5に対向するように室外送風機16が配置されている。
【0020】
圧縮機2は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示しないバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。この圧縮機2としては、レシプロ式、ロータリ式、スクロール式など、様々な形式の圧縮機を採用することができるが、電動圧縮機そのものは公知であるため、その説明については省略する。
【0021】
室内凝縮器3は、車室内に設けられ、室外熱交換器5とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧の冷媒が室内凝縮器3を通過する際に放熱する。エアミックスドア14の開度に応じて振り分けられた空気は、室内凝縮器3を通過する過程でその熱交換が行われる。
【0022】
室外熱交換器5は、車室外に配置され、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外送風機16は、吸い込み式の送風機であり、軸流ファンをモータにより回転駆動することにより外気を導入する。室外熱交換器5は、その外気と冷媒との間で熱交換をさせる。
【0023】
蒸発器7は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。すなわち、膨張装置として機能する制御弁の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器7を通過する際に蒸発する。ダクト10の上流側から導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却される。このとき冷却・除湿された空気は、エアミックスドア14の開度に応じて室内凝縮器3を通過するものと、室内凝縮器3を迂回するものとに振り分けられる。室内凝縮器3を通過する空気は、その通過過程で加熱される。室内凝縮器3を通過した空気と迂回した空気とが室内凝縮器3の下流側にて混合されて目標の温度に調整され、図示しない吹出口から車内に供給される。例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口等から車室内所定場所に向かって吹き出される。
【0024】
アキュムレータ8は、蒸発器から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。このため、仮に上流側から想定以上の液冷媒が導出されたとしても、その液冷媒を液相部に溜めおくことができ、気相部の冷媒を圧縮機2に導出することができる。その結果、圧縮機2の圧縮動作に支障をきたすこともない。一方、本実施形態では、その液相部の冷媒の一部を圧縮機2に供給できるようにされており、圧縮機2に必要量の潤滑オイルを戻すことができるようになっている。
【0025】
第1制御弁ユニット4は、切替弁30および過熱度制御弁46を含む。切替弁30は、第2通路22を開閉する第1弁部と、バイパス通路26を開閉する第2弁部と、各弁部を駆動するソレノイドとを備える三方向電磁弁からなる。第1弁部は、その開弁により室内凝縮器3から第2通路22を介した室外熱交換器5への冷媒の流れを許容する。第2弁部は、その開弁により室外熱交換器5からバイパス通路26を介したアキュムレータ8への冷媒の流れを許容する。本実施形態では、切替弁30として、ソレノイドへの通電有無によって第1弁部および第2弁部の一方を開弁させて他方を閉弁させる開閉弁(オン/オフ弁)が用いられる。なお、切替弁30を弁部を駆動するアクチュエータはソレノイドでなくてもよく、ステッピングモータ等の電動機であってもよい。
【0026】
過熱度制御弁46は、室外熱交換器5が室外蒸発器として機能するときにその蒸発圧力を調整する「蒸発圧力調整弁」として機能する。過熱度制御弁46は、その出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、その過熱度が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過熱度制御弁46として、その出口側(過熱度制御弁46の下流側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。
【0027】
過熱度制御弁46は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、室外熱交換器5の蒸発圧力を上昇させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁46は、弁開度を大きくし、室外熱交換器5の蒸発圧力を低下させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁46は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。なお、本実施形態では、過熱度制御弁46の設定過熱度と過熱度制御弁48の設定過熱度とを等しく設定しているが、両者を異なるように設定してもよい。
【0028】
なお、図示を省略するが、過熱度制御弁46は、例えば上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体を含む弁駆動体と、出口ポート側(弁部の下流側)の内部通路を流れる冷媒の温度と圧力を感知し、過熱度制御弁46の出口側(弁部の下流側)の過熱度が設定過熱度となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでよい。
【0029】
一方、第2制御弁ユニット6は、流量制御弁32、過冷却度制御弁42、過熱度制御弁48および切替弁34を含む。切替弁34は、第1分岐通路27と第3通路23との合流点に設けられている。切替弁34は、第1分岐通路27を開閉する第1弁部と第3通路23を開閉する第2弁部とのいずれか一方を開弁させて流路を切り替え可能な機械式の三方弁からなる。第1弁部は、その開弁により室内凝縮器3からバイパス通路25および第1分岐通路27を介した蒸発器7への冷媒の流れを許容する。第2弁部は、その開弁により室外熱交換器5から第3通路23を介した蒸発器7への冷媒の流れを許容する。
【0030】
流量制御弁32は、第2分岐通路28に設けられている。流量制御弁32は、その開度がアクチュエータへの供給電流値に応じた設定開度に自律的に調整される比例弁として構成されている。本実施形態では、流量制御弁32の弁部を駆動するアクチュエータとしてステッピングモータが採用されるが、ソレノイドであってもよい。流量制御弁32は、基本的には全開状態、大口径制御状態、小口径制御状態、閉弁状態のいずれかの状態に制御される。なお、大口径制御状態は全開状態には到らないが開度が大きい状態であり、小口径制御状態は閉弁状態には到らないが開度が小さい状態である。
【0031】
流量制御弁32は、小口径制御により膨張装置としても機能する。暖房運転時においては、流量制御弁32の開度(つまり第2分岐通路28の開度)が調整される。このため、流量制御弁32の開度に応じて室外熱交換器5へ供給される冷媒の流量が調整される。すなわち、流量制御弁32は、室内凝縮器3から室外熱交換器5へ向かう冷媒流量と、室内凝縮器3から蒸発器7へ向かう冷媒流量との割合を調整する流量調整弁として機能する。
【0032】
過冷却度制御弁42は、室外熱交換器5から導出された冷媒や、バイパス通路25を介して供給された冷媒を絞り膨張させて蒸発器7側に導出する「膨張装置」として機能する。過冷却度制御弁42は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC)に近づくよう冷媒の流れを制御する。また、暖房運転時において室内凝縮器3の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過冷却度制御弁42として、その上流側(冷房運転時においては室外熱交換器5の出口側であり、暖房運転時(除湿制御を行う特定暖房運転時)において室内凝縮器3の出口側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。
【0033】
過冷却度制御弁42は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁42は閉弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。過冷却度制御弁42は、その入口(室外熱交換器5の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。
【0034】
過冷却度制御弁42は、また、特定暖房運転時においてバイパス通路25が開放されると、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁42は閉弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。過冷却度制御弁42は、その入口(室内凝縮器3の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。
【0035】
なお、図示を省略するが、過冷却度制御弁42は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、入口ポートから導入された冷媒の温度と圧力を感知し、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでもよい。
【0036】
過熱度制御弁48は、その出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、その過熱度が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過熱度制御弁48として、その出口側(過熱度制御弁48の下流側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過熱度制御弁48は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、蒸発器7の蒸発圧力を上昇させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁48は、弁開度を大きくし、蒸発器7の蒸発圧力を低下させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁48は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。
【0037】
なお、図示を省略するが、過熱度制御弁48は、例えば上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体を含む弁駆動体と、出口ポート側(弁部の下流側)の内部通路を流れる冷媒の温度と圧力を感知し、過熱度制御弁48の出口側(弁部の下流側)の冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでよい。
【0038】
以上のように構成された車両用冷暖房装置1は、制御部100により制御される。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース等を備える。制御部100には、車両用冷暖房装置1に設置された図示しない各種センサ・スイッチ類からの信号が入力される。制御部100は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部100は、切替弁30および流量制御弁32などの開閉制御のほか、圧縮機2,室内送風機12,室外送風機16およびエアミックスドア14の駆動制御も実行する。
【0039】
制御部100は、車室内外の温度、蒸発器7の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて流量制御弁32の設定開度を決定し、その開度がその設定開度となるようステッピングモータに制御パルス信号を出力する。このような制御により、図示のように、圧縮機2は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。
【0040】
次に、本実施形態の冷凍サイクルの動作について説明する。図2は、車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。(A)は冷房運転時の状態を示し、(B)は特定暖房運転時の状態を示し、(C)は除霜運転時の状態を示している。ここでいう「除湿運転」は、車室内の除湿をメインとして運転状態であり、「特定暖房運転」は、暖房運転において特に除湿の機能を高めた運転状態である。
【0041】
各図の上段には冷凍サイクルの動作を説明するモリエル線図が示されている。その横軸がエンタルピーを表し、縦軸が各種圧力を表している。各図の下段には、冷凍サイクルの動作状態が示されている。図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、符号a〜iはモリエル線図のそれと対応している。また、図中の「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。
【0042】
図2(A)に示すように、冷房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁30の第1弁部が開弁され、第2弁部が閉弁される。一方、第2制御弁ユニット6においては流量制御弁32が閉弁状態とされる。このとき、切替弁34は、その前後差圧(P1−P2)が設定差圧ΔPsetより小さくなるため、第1弁部が閉弁状態(第2弁部は開弁状態)となり、室内凝縮器3から導出された冷媒は室外熱交換器5に導かれるようになる。このとき、室外熱交換器5は室外凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3、切替弁30、室外熱交換器5、切替弁34、過冷却度制御弁42、蒸発器7、過熱度制御弁48、アキュムレータ8を経由するように第3冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0043】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3および室外熱交換器5を経ることで凝縮される。そして、室外熱交換器5を経由した冷媒が切替弁34の第2弁部312を通過して過冷却度制御弁42にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒となって蒸発器7に導入される。このとき、過冷却度制御弁42は、室外熱交換器5の出口側(e点)の過冷却度が設定値SCとなるように弁部の開度を自律的に調整する。蒸発器7の入口に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を冷却する。
【0044】
図2(B)に示すように、特定暖房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁30の第2弁部が開弁されてバイパス通路26が開放される一方、第2制御弁ユニット6において流量制御弁32の開度が制御される。このとき、切替弁34は、その前後差圧(P1−P2)が設定差圧ΔPsetより大きくなるために第1弁部が開弁状態(第2弁部は閉弁状態)となり、室内凝縮器3から導出された冷媒の一部が蒸発器7に導かれるようになる。すなわち、流量制御弁32の小口径制御がなされ、その開度が調整されることで、蒸発器7および室外熱交換器5に向かう冷媒の流量の割合が調整される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、切替弁34の第1弁部、過冷却度制御弁42、蒸発器7、過熱度制御弁48、アキュムレータ8を経由するように第1冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、流量制御弁32、室外熱交換器5、切替弁30、過熱度制御弁46、アキュムレータ8を経由するように第2冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0045】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮される。そして、室内凝縮器3から導出された冷媒の一方は、流量制御弁32にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、室外熱交換器5に供給されて蒸発する。また、室内凝縮器3から導出された冷媒の他方は、過冷却度制御弁42にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器7に供給されて蒸発する。このとき、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率が、流量制御弁32の開度により制御される。それにより、蒸発器7での蒸発量を確保でき、除湿機能を確保することができる。一方、蒸発器7へ供給される冷媒流量は、過冷却度制御弁42により室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCとなるように調整される。
【0046】
この特定暖房運転においては除湿運転が良好に行われるが、その除湿制御の概要については以下のとおりである。すなわち、図2(B)に示すように、過冷却度制御弁42により室内凝縮器3の出口における所定の過冷却度SCが維持されることで(c点)、室内凝縮器3における凝縮能力が適正に維持され、室外熱交換器5(室外蒸発器)および蒸発器7(室内蒸発器)のそれぞれにおいて効率の良い熱交換が行われる。このとき、アキュムレータ8によって圧縮機2の入口の冷媒の状態が常に飽和蒸気圧曲線上に保持されるため(a点)、蒸発器7の出口の冷媒の状態(g点)は、過熱度制御弁46の出口の冷媒の状態(h点)とバランスするように変化する。
【0047】
すなわち、図示のように過熱度制御弁46の出口側にて過熱度が発生している場合、蒸発器7の出口における冷媒の湿り度(g点)は、過熱度制御弁46の出口における冷媒の過熱度(h点)とバランスする。また、逆に、過熱度制御弁48の出口側にて過熱度が発生する場合には、室外熱交換器5の出口における湿り度((d)点)が、過熱度制御弁48の出口側の過熱度((i)点)とバランスするようになる。
【0048】
また、除霜運転時においては、図2(C)に示すように、第1制御弁ユニット4において切替弁30の第2弁部が開弁されてバイパス通路26が開放される一方、第2制御弁ユニット6において流量制御弁32が開弁される。このとき、流量制御弁32は大口径制御を実行する。その結果、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒(ホットガス)が、流量制御弁32を通過して室外熱交換器5に供給される。除霜運転が安定した状態においては図中実線にて示すように、室外熱交換器5から導出された冷媒は、アキュムレータ8に導入されることにより飽和蒸気線上に制御される(a点)。一方、アキュムレータ8内の液冷媒が不足等により過熱度制御弁46の出口側に過熱度が発生する場合には、図中点線にて示すように、過熱度制御弁46がその過熱度が設定過熱度SHに近づくよう冷媒の流れを制御する(h点)。
【0049】
次に、流量制御弁の具体的構成について説明する。図3は、流量制御弁の具体的構成を表す断面図である。図4は、図3の部分拡大図である。(A)は図3のC部拡大図を示し、(B)は図3のD部拡大図を示す。
図3に示すように、流量制御弁32は、ステッピングモータ駆動式の電動弁として構成され、弁本体101とモータユニット102とを接続部材103を介して組み付けて構成されている。弁本体101は、有底筒状のボディ104に小口径の第1弁105(「第1の弁部」を開閉する)と、大口径の第2弁106(「第2の弁部」を開閉する)とを同軸状に収容して構成される。
【0050】
ボディ104は、金属製の第1ボディ107に樹脂製の第2ボディ108を同軸状に嵌合して構成されている。第1ボディ107の一方の側部には導入ポート110が設けられ、他方の側部には導出ポート112が設けられている。導入ポート110は第2分岐通路28の上流側(バイパス通路25側)に連通し、導出ポート112は第2分岐通路28の下流側(第3通路23側)に連通する(図1参照)。
【0051】
第2ボディ108は、下方に向けて小径化する段付円筒状の本体を有し、第1ボディ107に同心状に圧入されている。第2ボディ108における導入ポート110との対向面および導出ポート112との対向面には、それぞれ内外を連通する連通孔が設けられている。それらの連通孔の近傍をシールするようにOリング114が配設されている。
【0052】
第2ボディ108と接続部材103との間には、円板状の区画部材116が配設されている。区画部材116は、その外周縁部が接続部材103と第2ボディ108とに挟まれるようにして支持され、弁本体101の内部とモータユニット102の内部とを区画する。区画部材116の中央部には、円ボス状の軸受部118が設けられている。軸受部118の内周面には雌ねじ部120が設けられ、外周面は滑り軸受として機能する。接続部材103と区画部材116との間には、リング状のシール部材122が介装されている。第2ボディ108は、その下半部が小径化されている。そして、その下半部の内周面がガイド孔124を形成し、その上端部が弁孔126(「第2の弁孔」に該当する)を形成している。また、弁孔126の上端開口端縁により弁座128(「第2の弁座」に該当する)が形成されている。
【0053】
ボディ104の内方には、大径の弁体130(「第2の弁体」に該当する)、小径の弁体132(「第1の弁体」に該当する)、および弁作動体134が同軸状に配設されている。弁体130は、上流側から弁孔126に接離して大口径の第2の弁部を開閉する。弁体130の外周面にはリング状の弾性体(例えばゴム)からなる弁部材136が嵌着されており、その弁部材136が弁座128に着座することにより、第2の弁部を完全に閉じることが可能になる。弁体130の中央を軸線方向に貫通する段付孔が設けられ、その上端開口部にリング状の弁座形成部材138が圧入されている。
【0054】
弁座形成部材138の内周部により弁孔140(「第1の弁孔」に該当する)が形成され、その上端開口端縁により弁座142(「第1の弁座」に該当する)が形成されている。弁座形成部材138は、金属体(例えばステンレス)からなり、弁体132が弁座142に着座することにより、第1の弁部を閉じることが可能になる。図示のように、弁孔126および弁孔140の上流側に導入ポート110に連通する高圧室115が形成され、弁孔126および弁孔140の下流側に導出ポート112に連通する低圧室117が形成されている。
【0055】
弁体130は、縮径部を介して区画部144が連設されている。区画部144は、低圧室117に配置されている。そして、区画部144の下端部がガイド孔124に摺動可能に支持されることにより、弁体130の開閉方向への安定した動作が確保されている。区画部144とボディ104の底部との間には背圧室146が形成される。また、弁体130と区画部144とを貫通する連通路148が形成され、高圧室115と背圧室146とを連通させている。これにより、背圧室146には常に、導入ポート110から導入される上流側圧力P1が満たされる。
【0056】
本実施形態においては、弁孔126の有効径Aとガイド孔124の有効径Bとが等しく設定されているため(弁体130の有効受圧面積と区画部144の有効受圧面積とが実質的に等しくされているため)、弁体130に作用する上流側圧力P1の影響はキャンセルされる。特に、その圧力キャンセルを厳密に実現するために、背圧室146における区画部144の下方には、第2の弁部が閉弁状態となるときに区画部144に密着してその有効受圧面積を拡大する受圧調整部材149が配設されている。受圧調整部材149は、リング状をなす薄膜状の弾性体(例えばゴム)からなり、その外周端部の厚肉部が第1ボディ107と第2ボディ108との間に挟まれるようにして支持されている。
【0057】
すなわち、図4(A)に示すように、弁体130の有効受圧面積は、弁孔126の有効径Aに対応するように設定されている。しかし、図示のように弁部材136が弁座128に着座した完全シール状態においては、弾性体の性質により実際の有効受圧径A’が弁孔126の有効径Aよりもやや大きくなる(図中二点差線参照)。これに対応するため、図4(B)に示すように、その完全シール時においては、受圧調整部材149が区画部144の下面に密着するようにすることで、背圧室146側の有効受圧径B’がガイド孔124の有効径Bよりもやや大きくなるようにする(図中二点差線に一致する)。このようにして弁体130の有効受圧面積と区画部144の有効受圧面積とを等しくすることにより、完全な圧力キャンセルを実現している。
【0058】
図3に戻り、弁体130の上端部には、円板状のばね受け部材150が設けられている。ばね受け部材150には、冷媒を通過させるための連通孔151が設けられている。そして、ばね受け部材150と区画部材116との間に、弁体130を閉弁方向に付勢するスプリング152(「付勢部材」に該当する)が介装されている。一方、区画部144とボディ104との間には、区画部144を介して弁体130を開弁方向に付勢するスプリング154(「付勢部材」に該当する)が介装されている。なお、本実施形態では、スプリング152の荷重をスプリング154の荷重よりも大きく設定している。
【0059】
弁体132は、段付円柱状をなし、その下半部がばね受け部材150を貫通して弁孔140に対向配置され、上半部が弁作動体134に支持されている。弁体132は、いわゆるニードル弁体として構成され、その尖った先端部が弁孔140に挿抜される。そして、弁体132が弁座142に着脱することにより第1の弁部が開閉される。弁体132の上端部は弁作動体134を貫通し、その先端部が外方に加締められて係止部156となっている。
【0060】
弁作動体134は、段付円筒状をなし、その外周部に雄ねじ部158が形成されている。雄ねじ部158は、軸受部118の雌ねじ部120に螺合する。弁作動体134の上端部には半径方向外向きに延出する複数(本実施形態では4つ)の脚部160が設けられており、モータユニット102のロータに嵌合している。弁作動体134と弁体132との間には、弁体132を閉弁方向に付勢するスプリング162が介装されている。通常の状態では図示のように、スプリング162によって弁体132が下方へ付勢される一方、弁体132の係止部156が弁作動体134の上端部に係止される。このため、弁体132は、弁作動体134に対して最も下方に位置する状態となる。
【0061】
弁作動体134は、モータユニット102の回転駆動力を受けて回転し、その回転力を並進力に変換する。すなわち、弁作動体134が回転すると、ねじ機構によって弁作動体134が軸線方向に変位し、弁体132を開閉方向に駆動する。第1の弁部の開弁時には弁体132と弁作動体134とが一体に動作する。本実施形態では図示のように、弁作動体134が移動しうる閉弁方向の限界位置(下死点)において第1の弁部がちょうど閉弁状態となるよう設計されている。ただし、仮に組み付け誤差等により弁作動体134が下死点に位置する前に弁体132が弁座142に着座して第1の弁部が閉弁状態となったとしても、弁体132がスプリング162の付勢力に抗して弁作動体134と相対変位することが可能であるため、全く問題はない。
【0062】
一方、モータユニット102は、ロータ172とステータ173とを含むステッピングモータとして構成されている。モータユニット102は、有底円筒状のスリーブ170の内方にロータ172を回転自在に支持するようにして構成されている。スリーブ170の外周には、励磁コイル171を収容したステータ173が設けられている。スリーブ170は、その下端開口部が接続部材103を介してボディ104に組み付けられており、ボディ104とともに流量制御弁32のボディを構成する。
【0063】
ロータ172は、円筒状に形成された回転軸174と、その回転軸174の外周に配設されたマグネット176を備える。本実施形態では、マグネット176は24極に磁化されている。
【0064】
回転軸174の内方にはモータユニット102のほぼ全長にわたる内部空間が形成されている。回転軸174の内周面の特定箇所には、軸線に平行に延びるガイド部178が設けられている。ガイド部178は、後述する回転ストッパと係合するための突部を形成するものであり、軸線に平行に延びる一つの突条により構成されている。
【0065】
回転軸174の下端部はやや縮径され、その内周面に軸線に平行に延びる4つのガイド部180が設けられている。ガイド部180は、軸線に平行に延びる一対の突条により構成され、回転軸174の内周面に90度おきに設けられている。この4つのガイド部180には、上述した弁作動体134の4つの脚部160が嵌合し、ロータ172と弁作動体134とが一体に回転できるようになっている。ただし、弁作動体134は、ロータ172に対する回転方向の相対変位は規制されるものの、そのガイド部180にそった軸線方向の変位は許容される。すなわち、弁作動体134は、ロータ172とともに回転しつつ弁体132の開閉方向に駆動される。
【0066】
ロータ172の内方には、その軸線に沿って長尺状のシャフト182が配設されている。シャフト182は、その上端部がスリーブ170の底部中央に圧入されることにより片持ち状に固定され、ガイド部178に平行に内部空間に延在している。シャフト182は、弁作動体134と同一軸線上に配置されている。シャフト182には、そのほぼ全長にわたって延在する螺旋状のガイド部184が設けられている。ガイド部184は、コイル状の部材からなり、シャフト182の外面に嵌着されている。ガイド部184の上端部は折り返されて係止部186となっている。
【0067】
ガイド部184には、螺旋状の回転ストッパ188が回転可能に係合している。回転ストッパ188は、ガイド部184に係合する螺旋状の係合部190と、回転軸174に支持される動力伝達部192とを有する。係合部190は一巻きコイルの形状をなし、その下端部に半径方向外向きに延出する動力伝達部192が連設されている。動力伝達部192の先端部がガイド部178に係合している。すなわち、動力伝達部192は、ガイド部178の一つの突条に当接して係止される。このため、回転ストッパ188は、回転軸174により回転方向の相対変位は規制されるが、ガイド部178に摺動しつつその軸線方向の変位が許容される。
【0068】
すなわち、回転ストッパ188は、ロータ172と一体に回転し、その係合部190がガイド部184にそってガイドされることで、軸線方向に駆動される。ただし、回転ストッパ188の軸線方向の駆動範囲はガイド部178の両端に形成された係止部により規制される。同図には、回転ストッパ188が下死点に位置した状態が示されている。回転ストッパ188が上方へ変位して係止部186に係止されると、その位置が上死点となる。
【0069】
ロータ172は、その上端部がシャフト182に回転自在に支持され、下端部が軸受部118に回転自在に支持されている。具体的には、回転軸174の上端開口部を封止するように有底円筒状の端部部材194が設けられ、その端部部材194の中央に設けられた円筒軸196の部分がシャフト182に支持されている。すなわち、軸受部118が一端側の軸受部となり、シャフト182における円筒軸196との摺動部が他端側の軸受部となっている。
【0070】
以上のように構成された流量制御弁32は、モータユニット102の駆動制御によってその弁開度を調整可能なステッピングモータ作動式の制御弁として機能する。以下、その動作について詳細に説明する。
図5および図6は、流量制御弁の動作状態を表す説明図である。図5は第1の弁部の全開状態を表し、図6は第2の弁部の全開状態を表している。なお、既に説明した図3は、第1の弁部および第2の弁部の閉弁状態を表している。図7は、流量制御弁の制御状態と弁開度の状態を示す説明図である。同図の横軸にはステッピングモータの開弁方向への回転数(回数)を示し、縦軸には弁開度(弁ストローク:mm)を示している。
【0071】
流量制御弁32の流量制御において、制御部100は、設定開度に応じたステッピングモータの駆動ステップ数を演算し、励磁コイル171に駆動電流(駆動パルス)を供給する。それによりロータ172が回転し、一方で弁作動体134が回転駆動されて小口径の第1の弁部および大口径の第2の弁部の開度が設定開度に調整され、他方で回転ストッパ188がガイド部184にそって駆動されることにより、各弁体の動作範囲が規制される。
【0072】
具体的には、特定暖房運転時などの小口径制御を実行する場合(図2(B)参照)、ロータ172が一方向に回転駆動(正転)されることにより弁体132が開弁方向に変位し、第1の弁部が開弁状態となる。つまり、弁体132が、図3に示す全閉状態と図5に示す全開位置との間の範囲で駆動される。それにより、図7に示すように開度が変化する。本実施形態では、第1の弁部の閉弁状態からロータ172が5回転すると第1の弁部が全開状態となり、弁体132が弁座142から2.5mmリフトする(1回転あたり0.5mm)。その間、小口径の第1の弁部の弁開度(弁ストローク)は図示のように比例的に変化する。なお、このとき回転ストッパ188も同じストロークだけ上方に変位する。
【0073】
また、除霜運転時などの大口径制御を実行する場合(図2(C)参照)、図5に示す第1の弁部の全開状態からロータ172がさらに同方向に回転(正転)される。その結果、弁体130が弁体132に引き上げられるようにして開弁方向に駆動される。このとき、ばね受け部材150がストッパとなって弁体132を係止するため、第1の弁部の開度(全開状態)は一定に維持される。逆に、ばね受け部材150が弁体132とともに引き上げられるため、スプリング154の付勢力により弁体130が開弁方向に駆動される。
【0074】
このとき、弁体130は、図5に示す全閉状態と図6に示す全開位置との間の範囲で駆動される。それにより、図7に示すように開度が変化する。本実施形態では、第2の弁部の閉弁状態(第1の弁部の全開状態)からロータ172が7回転すると第2の弁部が全開状態となり、弁体130が弁座128から3.5mmリフトする(1回転あたり0.5mm)。すなわち、回転ストッパ188が上死点位置で係止部186に係止される結果、ロータ172の回転そのものが停止される。その間、大口径の第2の弁部の弁開度(弁ストローク)は図示のように比例的に変化する。なお、ロータ172が逆方向に回転されると、上述と逆の手順で弁体130および弁体132が閉弁方向に動作する。ロータ172の回転数は制御指令値としての駆動ステップ数に対応するため、制御部100は、流量制御弁32を任意の開度に制御することができる。
【0075】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、流量制御弁32、切替弁34および過冷却度制御弁42を一体に構成している点で第1実施形態と異なるが、その他の部分については共通する。このため、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図8は、第2実施形態に係る複合弁の具体的構成を表す断面図である。
【0076】
本実施形態の車両用冷暖房装置は、第2制御弁ユニット6の構成要素として図示の複合弁を備える。この複合弁は、共用のボディ204に流量制御弁32、切替弁34および過冷却度制御弁42を組み付けて構成される。ボディ204には、バイパス通路25に連通する導入ポート110、および第3通路23の上流側に連通する導入出ポート210のほか、第3通路23の下流側に連通する導出ポート212が設けられている(図1参照)。なお、流量制御弁32の構造については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
切替弁34は、第1分岐通路27と導出ポート212とを連通する通路に設けられた第1弁部311と、導入出ポート210と導出ポート212とを連通する通路に設けられた第2弁部312とを含む三方弁であり、両弁部を開閉する共用弁体315を含む。すなわち、共用弁体315には第1分岐通路27と導出ポート212とを連通する弁孔320と、導入出ポート210と導出ポート212とを連通する弁孔324とが設けられ、共用弁体315が弁孔320に接離して第1弁部311を開閉し、共用弁体315が弁孔324に接離して第2弁部312を開閉する。弁孔320と弁孔324とはその中心軸に同軸状に設けられている。
【0078】
共用弁体315は、その一端部が弁孔320に挿抜可能に構成され、他端部が弁孔324に挿抜可能に構成されている。共用弁体315の一端部は、その外径が弁孔320の内径とほぼ等しくなっており、その先端には弁孔320に摺動しつつ支持される複数の脚部(同図にはその1つのみ表示)が延設されている。また、共用弁体315の他端部は、その外径が弁孔324の内径とほぼ等しくなっており、その先端には弁孔324に摺動しつつ支持される複数の脚部(同図にはその1つのみ表示)が延設されている。
【0079】
ここで、弁孔320と弁孔324の有効径が等しく構成されているため、共用弁体315に作用する下流側圧力Ppの影響はキャンセルされる。共用弁体315は、その前後差圧、つまり上流側圧力P1と中間圧力P2との差圧(P1−P2)が設定差圧ΔPset以上であれば、第1弁部311を開弁させ第2弁部312を閉弁させる状態を維持する。前後差圧(P1−P2)が設定差圧ΔPsetより小さくなると、共用弁体315がスプリング329の付勢力によって図の右方へ動作し、第1弁部311を閉弁させ第2弁部312を開弁させる。設定差圧ΔPsetは、スプリング329の荷重調整により設定される。
【0080】
過冷却度制御弁42は、切替弁34の下流側の通路214に設けられ、上流側から導入された冷媒を絞り膨張する弁部と、その弁部を開閉駆動するパワーエレメント332を備えている。過冷却度制御弁42は、プレス成形されたボディ340に弁体342を収容して構成される。ボディ340の上端部には、パワーエレメント332が一体に設けられている。ボディ340の下半部は縮径されており、その縮径部に弁孔344が形成されている。ボディ340の上半部には内外を連通させる導入ポート348が設けられ、下半部には内外を連通させる導出ポート350が設けられている。ボディ340の下端部はばね受けにより封止されて背圧室360が形成されている。そのばね受けと弁体342との間には、弁体342を開弁方向に付勢するスプリングが介装されている。弁体342は、弁孔344の上流側から接離して弁部を開閉する。
【0081】
パワーエレメント332は、中空のハウジングと、ハウジング内を密閉空間と開放空間とに仕切るように配設されたダイアフラム352とを含んで構成されている。密閉空間には、基準ガスとして冷凍サイクルを循環する冷媒ガス(HFC−134a)と窒素ガスとの混合ガスが充填されている。ダイアフラム352の下面には弁体342の上端面が当接する。弁体342を軸線方向に貫通するように連通路が形成されており、導入ポート348から導入された冷媒は、その連通路を介して背圧室360にも導かれるようになっている。本実施形態では、弁体342の背圧室360における有効径と弁孔344の有効径とが等しくされているため、弁体342に作用する上流側の圧力Ppはキャンセルされる。
【0082】
過冷却度制御弁42によれば、過冷却度の制御状態において過冷却度が設定値SCよりも大きくなると、パワーエレメント332が低温を感知して開弁方向に動作する。その結果、弁開度が大きくなるため上流側の圧力Ppが低くなり、過冷却度が小さくなる方向に変化する。逆に、過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、パワーエレメント332が高温を感知して閉弁方向に動作する。その結果、弁開度が小さくなるため上流側の圧力Ppが高くなり、過冷却度が大きくなる方向に変化する。このようにして過冷却度が設定値SCに保たれるようになる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0084】
上記実施形態では、図3に示したように、シャフト182のガイド部184や回転ストッパ188の係合部190をいずれもコイル状の部材により螺旋状に形成する例を示した。変形例においては、例えばシャフト182のガイド部184を雄ねじ部とし、回転ストッパ188の係合部190を雌ねじ部とするねじ機構としてもよい。すなわち、両者により回転を並進に変換する機構が構成されればよい。
【0085】
上記実施形態では、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車に適用した例を示したが、内燃機関を搭載した自動車や、内燃機関と電動機を同載したハイブリッド式の自動車に提供することが可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、圧縮機2として電動圧縮機を採用した例を示したが、エンジンの回転を利用して容量可変を行う可変容量圧縮機を採用することもできる。
【0086】
上記実施形態においては、補助凝縮器として室内凝縮器を設ける例を示した。変形例においては、補助凝縮器を室外熱交換器とは別に設けられる熱交換器として構成してもよい。その熱交換器は、例えば車室外に配置され、エンジンの冷却水を利用して熱交換を行うものでもよい。具体的には、例えば図1における圧縮機2と流量制御弁32との間に熱交換器を設ける一方、ダクト10内に放熱器を配置し、これら熱交換器と放熱器とを冷却水の循環回路にて接続してもよい。その循環回路には冷却水を汲み上げるポンプを設けてもよい。このようにすれば、圧縮機2から流量制御弁32へ向かう高温の冷媒と、循環回路を循環する冷却水との間で熱交換を行うことができる。このような構成においても、圧縮機2から吐出された冷媒を熱交換器により凝縮させて流量制御弁32に供給することが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1 車両用冷暖房装置、 2 圧縮機、 3 室内凝縮器、 4 第1制御弁ユニット、 5 室外熱交換器、 6 第2制御弁ユニット、 7 蒸発器、 8 アキュムレータ、 30 切替弁、 32 流量制御弁、 34 切替弁、 42 過冷却度制御弁、 46,48 過熱度制御弁、 50 開閉弁、 100 制御部、 101 弁本体、 102 モータユニット、 104 ボディ、 105 第1弁、 106 第2弁、 110 導入ポート、 112 導出ポート、 115 高圧室、 116 区画部材、 117 低圧室、 118 軸受部、 120 雌ねじ部、 124 ガイド孔、 126 弁孔、 128 弁座、 130,132 弁体、 134 弁作動体、 140 弁孔、 142 弁座、 144 区画部、 146 背圧室、 148 連通路、 149 受圧調整部材、 156 係止部、 158 雄ねじ部、 170 スリーブ、 171 励磁コイル、 172 ロータ、 173 ステータ、 174 回転軸、 176 マグネット、 178,180 ガイド部、 182 シャフト、 184 ガイド部、 188 回転ストッパ、 190 係合部、 192 動力伝達部、 204 ボディ、 210 導入出ポート、 212 導出ポート、 311 第1弁部、 312 第2弁部、 315 共用弁体、 320,324 弁孔、 332 パワーエレメント、 340 ボディ、 342 弁体、 344 弁孔、 348 導入ポート、 350 導出ポート、 352 ダイアフラム、 360 背圧室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータ駆動式の制御弁において、
上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、前記導入ポートと前記導出ポートとを連通する弁孔とを有するボディと、
前記弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、
前記弁体を前記弁部の開閉方向に駆動するロータを有するステッピングモータと、
前記ボディに固定され、前記ロータの軸線方向に延びるシャフトと、
前記シャフトの外周面に軸線方向にそって延設された螺旋状のガイド部と、
前記ガイド部にそって係合する係合部と前記ロータに支持される動力伝達部とを有し、前記ロータの回転とともに前記シャフトの軸線方向に変位し、前記動力伝達部が前記シャフトの一端側および他端側のそれぞれで係止されることにより前記ロータの回転を規制する回転ストッパと、
前記ロータに係合して軸線方向に並進可能に支持されるとともに前記ボディに螺合し、前記ロータの回転により前記弁体と一体に前記弁部の開閉方向に動作する弁作動体と、
を備え、
前記ロータがその一端側と他端側に軸受部を有する中空形状をなし、
前記シャフトが前記ロータの内部空間に延設されることにより、前記回転ストッパがその内部空間において変位するように構成されていることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記弁作動体が前記シャフトと同一軸線上に配置され、
前記ロータの一端側の軸受部が、前記ロータと前記弁作動体との螺合部の外側に位置するよう前記ボディに設けられ、
前記ロータの他端側の軸受部が、前記シャフトにおける前記弁作動体とは反対側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記弁作動体と一体に動作可能な第1の弁体と、
前記第1の弁体と一体に動作可能な第2の弁体と、
前記第2の弁体に形成された第1の弁孔と、
前記ボディに前記第1の弁孔よりも大径に形成された第2の弁孔と、
前記第2の弁体を閉弁方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第1の弁体が前記第1の弁孔に接離することにより第1の弁部を開閉する一方、前記第2の弁体が前記第2の弁孔に接離することにより第2の弁部を開閉し、
前記ロータが一方向に回転することにより前記第1の弁体が変位して前記第1の弁部が全開状態となったときに前記第2の弁体が前記第1の弁体に係合し、前記ロータが同方向にさらに回転することにより前記第2の弁体が前記第1の弁体に引き上げられるようにして前記第2の弁部を開弁させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御弁。
【請求項4】
前記第2の弁体への上流側圧力の影響をキャンセルするキャンセル構造をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の制御弁。
【請求項5】
前記第2の弁体に連設されて前記第2の弁孔の下流側にて前記ボディとの間に背圧室を形成する区画部と、前記背圧室に上流側圧力を導入するための連通路とを含み、
前記キャンセル構造が、前記第2の弁体の有効受圧面積と前記区画部の有効受圧面積とを等しくすることにより実現されていることを特徴とする請求項4に記載の制御弁。
【請求項6】
前記第2の弁体に設けられた弾性体からなり、前記第2の弁孔の上流側開口端部に着脱して前記第2の弁部を開閉する弁部材と、
前記背圧室に設けられた弾性体からなり、前記第2の弁部が閉弁状態となるときに前記区画部に密着してその有効受圧面積を拡大する受圧調整部材と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の制御弁。
【請求項7】
前記第1の弁体は、前記第1の弁部の開弁時に前記弁作動体と一体に動作可能となり、前記第1の弁部の閉弁時に前記弁作動体と相対変位作可能となるよう前記弁作動体に支持されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−57673(P2012−57673A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199800(P2010−199800)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000133652)株式会社テージーケー (280)
【Fターム(参考)】