説明

ストレージ機器

【課題】ホストPCなどの上位装置が存在しない環境下でも、自身で、記録媒体に記録されたデータや記録されるデータの解析など、データ制御を可能とする、可搬タイプのストレージ機器を提供する。
【解決手段】記録媒体を駆動させる駆動部と、記録媒体との間で、再生及び/又は記録用信号の送受を行う信号処理部と、駆動装置と信号処理部とを制御する第1の演算処理部58とを有する第1の制御部20Aと、制御メモリ66と、第2の演算処理部64と、を有する第2の制御部20Bと、を備えるストレージ機器であって、制御メモリは、記録媒体のデータ解析用のファイルシステムを格納する領域と、データを利用するアプリケーションプログラムを格納する領域と、アプリケーションプログラムに利用される管理情報を格納する領域と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置などのストレージ機器に関するものであり、特に、PC環境の存在を前提にすることなく、記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録が可能であり、かつ情報の解析を可能にした、ユーザが携行したり、あるいは家庭内に設置できる可搬タイプのストレージ機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のストレージ機器として光ディスク装置が知られている。この光ディスク装置の一例が、例えば、特開平06−187723号公報に、ラップトップ型のコンピュータにデータベースを実現できるものとして開示されている。さらに、特開07−141232号公報には、ファイル格納装置とし動作できる光ディスク装置が開示されている。
【0003】
従来可搬タイプのストレージ機器では、ホストPCは、光ディスク装置をペリフェラルとして制御するので、光ディスク装置は、ホストPCからのライトコマンド、又は、リードコマンドを受けて、ホストPCからデータ受けて、データを光ディスクに書き込む程度で足りていた。ホストPCはファイルシステムを有し、光ディスクに記録されたデータの更新や解析を行い、更新されたデータを光ディスクに記録することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−187723号公報
【特許文献2】特開平07−141232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光ディスク装置は、ホストPCが存在しない環境では、光ディスク装置自身で、記録媒体に記録されたデータや記録されるデータの解析を行うことができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ホストPCなどの上位装置が存在しない環境下でも、自身で、記録媒体に記録されたデータや記録されるデータの解析など、データ制御を可能とする、可搬タイプのストレージ機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、記録媒体を駆動させる駆動部と、前記記録媒体との間で、再生及び/又は記録用信号の送受を行う信号処理部と、前記駆動装置と前記信号処理部とを制御する第1の演算処理部とを有する第1の制御部と、制御メモリと、第2の演算処理部と、を有する第2の制御部と、を備えるストレージ機器であって、前記制御メモリは、前記記録媒体のデータ解析用のファイルシステムを格納する領域と、前記データを利用するアプリケーションプログラムを格納する領域と、当該アプリケーションプログラムに利用される管理情報を格納する領域と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、ホストPCが存在しない環境下でも、自身で、記録媒体に記録されたデータやこれに記録されるデータの解析などのデータ制御を可能とする、可搬タイプのストレージ機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の一例のブロック構成図である。
【図2】図1の光ディスク装置の第1の制御回路と第2の制御回路のそれぞれの一例のブロック図である。
【図3】前記第1の制御回路が実行する光ディスク装置での既存制御と、前記第2の制御回路が実行する追加制御との関係を示すブロック図である。
【図4】前記第2の制御回路の制御メモリのブロック構成図である。
【図5】光ディスク装置の(液晶)表示部に表示されるユーザインターフェース画面の第1の例である。
【図6】その第2の例である。
【図7】その第3の例である。
【図8】データベースに対する、第2の制御回路の更新処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係るストレージ機器の一例としての、光ディスク装置のブロック構成を示すものである。図1において、1は光ディスクを示す。ディスクモータ2は、光ディスク1を回転駆動する。光ディスクの記録面に面して光ピックアップ3が設けられている。光ピックアップ3は、ピックアップスライド機構4によって、光ディスク1の半径方向に移動(アクセス移動)される。スライドモータ5は、ピックアップスライド機構4中のリードスクリュー部材を回転駆動する。ディスクモータ2やスライダモータ5は、モータ駆動回路6によって制御される。
【0011】
光ピックアップ3は、光ピックアップ内でレーザー光を発生するレーザーダイオード7、光ディスク1の記録面から反射したレーザー光を受光する受光部8、レーザーダイオード7を駆動するレーザー駆動回路9、対物レンズを有し光ディスク1の記録面に対し入出射するレーザー光を光学処理する光学系10、そして、光学系10の位置や姿勢を変えるアクチュエータ11を備えている。
【0012】
光ディスク1へ記録する記録信号は記録信号生成部12において生成され、受光部8からの再生信号は、再生/誤差信号処理部13によって、RF信号や、トラッキング誤差信号や、フォーカス誤差信号として増幅処理される。フォーカス/トラッキング制御部14は、アクチュエータ駆動信号を生成する。
【0013】
符号20は、光ディスク装置の制御部であって、第1制御回路20Aと第2制御回路20Bとを備えている。第1制御回路は、光ディスク装置における既述の従来制御を達成する。すなわち、第1制御回路は、モータ駆動回路6に供給するサーボ信号を生成し、記録信号生成部を制御する信号を生成し、再生/誤差信号処理部13からの信号に基づき、再生信号を復調し、そして、トラッキング誤差信号やフォーカス誤差信号に基づき、フォーカス/トラッキング制御部14に供給するフォーカス制御信号やトラッキング制御信号を生成する。
【0014】
これに対して、第2制御回路20Bは、光ディスク装置の既存制御とは別に、後述の追加制御を光ディスク装置に提供するものである。
【0015】
図2は第1制御回路20Aと第2制御回路20Bとの詳細を示すブロック図である。第1制御回路は、LAN52に接続するためのLANポート60と、既述の既存制御を実行するDSP(Digital Signal Processor)54と、DSPを制御するCPU58と、LAN52に接続する複数のホスト装置50A,50Bと光ディスク1との間で送受信されるデータをバッファリングするバッファ56と、を備えている。ホスト装置としては、例えば、PCの他、テレビ、ビデオ、デジタルカメラなどの映像機器である。これらは、内部バス51によって相互に接続されている。なお、符号51Aは、PCや映像機器などを直結するためのポートである。
【0016】
なお、DSP54、バッファ56、CPU58、LANポート60は別なハードウエア資源から実現したが、DSP54にバッファ56、CPU58、LANポート60が含まれる構成でもよい。
【0017】
第2制御回路20Bは第1制御回路と外部バス53によって接続されている。第2制御回路は追加制御を制御するCPU64と、追加制御のためのOSなどの制御プログラムと制御情報を格納するとともに、キャッシュメモリとしても動作する制御メモリ66と、が内部バス61に接続された構成を備えている。また、第2制御回路20Bには、液晶表示装置(LCD)と入力装置とが接続されている。なお、LANポートを第2制御回路20Bに設けてもよい。
【0018】
なお、バッファ56としては、SDRAM或いはフラッシュメモリ又はSSDを用いることができる。また、制御メモリ66としては、フラッシュメモリ又はSSDを用いることができる。
【0019】
また、図2では、第1制御回路20Aの演算処理回路58と、第2制御回路20Bの演算処理回路64と、別なハードウエア資源から実現したが、第1の演算処理と第2の演算処理を、いずれかのCPUが兼ねてもよい。
【0020】
図3は追加制御の詳細を示すブロック図である。追加制御は既存制御と関連して実施される。例えば、光ディスク装置への記録、あるいは光ディスク装置の再生に合わせて、記録信号あるいは再生信号に対して、第2制御回路が追加制御を実行する。
【0021】
追加制御を実施するためのソフトウエア構造は、OS80と、FATなどのファイルシステム86と、データベース機能82と、そして、制御メモリ66を駆動するためのドライバ84と、から構成される。OS80はファイルシステム86を動作させて、制御メモリ60にキャッシングされた、光ディスクへの記録データ及び光ディスクからの再生データを解析し、データベース管理情報を作成する。データベース管理情報は制御メモリ60に記録される。OS80及びアプリケーションは、データベース管理情報と、光ディスクに記録された、映像ファイルおよび音声ファイルなどのデータファイルと、に基づいて、データベース機能82を実現する。
【0022】
図4は制御メモリ66のブロック図である。制御メモリ66はキャッシュ領域72と、データベース管理情報を格納する領域70と、を備えている。その他、OS、及びデータベースソフトウエアや他のアプリケーション、例えば、記録データを解析し、記録データの特徴を抽出するアプリケーションや、データベース管理情報を読み出しLCDや外部表示装置に表示するアプリケーションなど、を実現するアプリケーションプログラムを格納する領域を備えている。
【0023】
データベース管理情報には、メディア情報データベースと、記録データ情報データベースと、がある。メディア情報データベースは、メディアIDとフォーマットとファイルシステムとから構成される。第2制御回路20BのCPU64は、第1制御回路20AのCPU58と連携して、記録メディア1をローディングした際に、記録メディアからメディアID、フォーマット及びファイルシステムの種類を取得して、これをメディア情報データベースに登録する。
【0024】
記録データ情報データベースは、データファイルの名称と、当該記録データファイル名の登録日時、そして、データファイルのフォーマット種別を含んでいる。データファイル名は、ユーザが入力装置を介して設定するか、あるいはCPU64によって、データファイルを作成した際に決定される。
【0025】
第2制御回路20Bがファイルシステムを有しているために、本発明のストレージ機器はPCが存在しない環境下でも、記録メディアのデータファイルを自身の液晶表示部に再生し、あるいはテレビなど外部情報装置で再生することがき、また、データベース管理情報及びファイルシステムを用いて、データベース機能を、液晶表示部、又は映像機器に再生することができる。
【0026】
なお、記録媒体・記録メディアとして光ディスクを説明したが、これに限らず、ハードディスクドライブ、テープメディアなど公知のものにも同様に本発明を適用することができる。
【0027】
図5は、光ディスク装置のLCDに表示されるユーザインタフェース画面である。CPU64は制御メモリ66のキャッシュ領域に存在する映像ファイルをファイルシステムで解析して代表映像502を生成し、これをLCDに表示する。CPU64は、画像解析プログラムを起動して、映像ファイルを解析処理し、その映像の特徴・特性(ジャンル)を決定する。図5の例では、画像解析プログラムが人体と色とを解析して、多くの人数が同じ色から構成されると判定し、ユーザに判定結果として、映像のジャンルが運動会であると推定し、その確認をユーザに促す表示504,506を提示する。
【0028】
これに対して、ユーザは、入力装置を使用して、判定結果を肯定または否定する入力508をCPU64に送信する。CPU64は入力結果を制御メモリのデータベース管理情報登録領域の記録データ情報データベースに、例えば、映像ファイルが運動会であることを示すフラグとして登録する。
【0029】
図5は、ストレージ機器が記録データのファイルを解析して、ユーザに映像のジャンルの確認を促すGUIであったのに対して、図6は光ディスクの視聴中の映像を分析してユーザに映像のジャンルの選択を求めるGUIである。一方、図7は、ストレージ機器がユーザに映像を公私に分離することを促す表示700,702を提示するGUIである。ユーザがプライベートデータであることを選択すると、特定のフラグが記録データ情報データベースに登録される。このフラグが設定されているファイルには、例えば特定のパスワード等のセキュリティ情報を設定できる。
【0030】
次に、データベースに対する、CPU64の更新処理について、図8を利用して説明する。光ディスク装置に記録メディアがロードされると、ディスク種別を判断し(800)、かつフォルダ構造を解析して、データーベースファイルを読み出す(802)。
【0031】
ディスク種別が、書き換え不可能なディスク(例えば、DVD−ROM、BD−ROMなど)である場合は、ディスクがアンロードされるまで制御メモリ60でデータベースファイルを構築してデータベースの更新を行い、更新後の最終データをメモリに格納しておくか、更新データを含めた全てのデータベースファイルを新たな記録媒体に書き戻す。
【0032】
一方、追記型の媒体の場合には、媒体ではデータのファイル更新ができないので、データベースファイルを読み出した後、半導体メモリ60でデータの更新を行い、更新後のデータを記録可能型媒体に書き込む(803→806→810)。
【0033】
一方、書き換え可能なディスク(例えば、DVD−RAMやBD−REなど)の場合は、データベースファイルの更新処理をディスク上で行う(803→804)。もちろん、上述のように、データベースファイルを読み出した後、半導体メモリ60でデータの更新を行い、例えばディスクがアンロードされる前に更新後のデータをディスクに書き込んでもよい。このようにして、記録ディスクと半導体メモリを用いたハイブリッドシステムでは、データベースファイルの更新に際して、ディスクの種別に応じて、データの格納先を適切に選定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るストレージ装置によれば、自信でファイルシステムを備えているために、PC環境下でなくても、自身でファイルの再生・記録・解析が可能であり、外部映像機器を利用してAV情報を表示することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 光ディスク、2 ディスクモータ、3 光ピックアップ、6 モータ駆動回路、20 制御回路、20A 第1制御回路、20B 第2制御回路、54 DSP、第1のCPU(光ディスク装置の既存制御実行)60 制御メモリ、64 第2のCPU(追加制御実行)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を駆動させる駆動部と、
前記記録媒体との間で、再生及び/又は記録用信号の送受を行う信号処理部と、
前記駆動装置と前記信号処理部とを制御する第1の演算処理部とを有する第1の制御部と、
制御メモリと、第2の演算処理部と、を有する第2の制御部と、
を備え、
前記制御メモリは、前記記録媒体のデータ解析用のファイルシステムを格納する領域と、前記データを利用するアプリケーションプログラムを格納する領域と、当該アプリケーションプログラムに利用される管理情報を格納する領域と、を備える、ストレージ機器。
【請求項2】
前記制御メモリは、前記記録媒体に対する再生及び/又は記録時に当該データを一時記憶するキャッシュ領域を備えている、請求項2記載のストレージ機器。
【請求項3】
前記第2の演算処理部は、前記キャッシュ領域にキャッシングされた前記データに対して前記ファイルシステムによる解析を行い、当該解析の結果を、前記管理情報として格納する請求項2記載のストレージ機器。
【請求項4】
ネットワーク接続用のポートを有し、前記第2の演算処理部は、前記ポートを介して、前記ネットワークに接続されたホスト機からのデータに対して前記ファイルシステムを適用する、請求項1記載のストレージ機器。
【請求項5】
前記アプリケーションプログラムはデータベースソフトウエアである、請求項1記載のストレージ機器。
【請求項6】
前記制御メモリは、前記アプリケーションプログラムとしてのデータベースソフトウエアを格納する第1の領域と、前記記録媒体に記録されるデータベースの管理情報を格納する第2の領域と、前記記録媒体に対するデータ再生及び/又は記録時に当該データを一時記憶する第3の領域と、を備え、
前記第2の演算処理部は、前記第3の領域で一時記憶された前記データに対して前記ファイルシステムによる解析を行い、当該解析の結果を前記データベースソフトウエアに基づいて前記記録媒体のデータベースに登録する請求項1記載のストレージ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−165395(P2010−165395A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5127(P2009−5127)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】