スローアウェイ工具用収納ケース
【課題】 スローアウェイ工具の輸送時や取扱い時の刃部の欠損、収納ケースの損傷および雑音の発生等を防止し、経済的なスローアウェイ工具用収納ケースを提供する。
【解決手段】 硬質プラスチックからなるケース基体２の中に、発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなり、スローアウェイ工具３を収納する位置が型抜かれている（４）とともに該スローアウェイ工具３の切刃部５を収納する位置にさらに切込み６が形成された収納空間７を有する緩衝材８を挿設し、スローアウェイ工具３の切刃部５が緩衝材８間に挟持されるように切刃部５を緩衝材８の切込み６に埋め込むようにしてスローアウェイ工具３を収納位置９に収納するスローアウェイ工具用収納ケース１である。
【解決手段】 硬質プラスチックからなるケース基体２の中に、発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなり、スローアウェイ工具３を収納する位置が型抜かれている（４）とともに該スローアウェイ工具３の切刃部５を収納する位置にさらに切込み６が形成された収納空間７を有する緩衝材８を挿設し、スローアウェイ工具３の切刃部５が緩衝材８間に挟持されるように切刃部５を緩衝材８の切込み６に埋め込むようにしてスローアウェイ工具３を収納位置９に収納するスローアウェイ工具用収納ケース１である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、スローアウェイ工具を収納するスローアウェイ工具用収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
スローアウェイ工具（以下、工具と称する。）を工具ホルダに取り付けて切削加工するスローアウェイ式工具が汎用されている。かかるスローアウェイ式工具においては、工具の切刃部が寿命に達した時点で新しい工具に交換されるため、一般的に工具チップは複数個単位で販売されている。
【０００３】
従来この種の収納ケースとしては、例えば、特許文献１、２のように格子状の中枠で仕切られた１０個の矩形状の収納空間を有する箱型のプラスチック収納ケースが一般的であり（図５参照）、この矩形状の収納部に工具が１個ずつ収納されていた。また、特許文献１には工具の形状と同じ形状の型抜きをしたスポンジを収納空間に詰めて隙間のない状態で工具を収納する方法が開示されている。
【特許文献１】登録実用新案第３００５１０８号公報
【特許文献２】特開平９−１３２２４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記のようなプラスチックケースの矩形状の収納部に工具を収納する方法では、図５に示すように、工具を収納したケースを取り扱う際や運搬の際に工具が収納部内で動き回り、収納ケースの中枠や外壁に衝突していた。このために、工具の切刃部にチッピングや欠損が生じたり、切刃部にプラスチック等の異物が付着する恐れがあった。また、場合によっては、工具の切刃部がプラスチックからなる収納ケースの壁面を傷つけてプラスチック壁面にめり込んでしまい工具がケースから取れにくくなることもあった。さらに、工具がプラスチックケースに衝突することによって雑音が発生するという不具合もあった。
【０００５】
また、特許文献１の工具の形状と同じ形状の型抜きをしたスポンジを収納空間に詰めて工具を収納する方法では、工具の形状毎にスポンジの型抜きをする必要があることからサイズや形状の異なる工具を取り扱う場合には不経済であった。
【０００６】
本発明は上記課題を解消するものであり、その目的は、スローアウェイ工具の切刃部を確実に保護できるとともに雑音の発生も抑制し、かつ経済的なスローアウェイ工具用収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者は、以下の構成からなるスローアウェイ工具用収納ケースとすることにより、上記課題を解消できることを発明した。
【０００８】
すなわち、本発明のスローアウェイ工具用収納ケースは、ケース基体の中に、スローアウェイ工具を収納する位置が型抜かれているとともに該スローアウェイ工具の切刃部を収納する位置にさらに切込みが形成された収納空間を有する緩衝材を挿設し、前記スローアウェイ工具の切刃部が前記緩衝材間に挟持されるように前記切刃部を前記緩衝材の切込みに埋め込むようにして前記スローアウェイ工具を前記収納位置に収納することを特徴とする。
【０００９】
ここで、前記ケース基体が硬質プラスチックからなるとともに、前記緩衝材が発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなることが、収納ケースの強度、緩衝材の衝撃吸収力、軽さ、保形性、コストの点で望ましい。
【００１０】
なお、前記スローアウェイ工具を前記緩衝材の２箇所以上の切込みにて固定することが、スローアウェイ工具をより安定して固定するために望ましい。
【００１１】
また、前記スローアウェイ工具の収納空間において、前記スローアウェイ工具を収納した際に該スローアウェイ工具の外周面の一部と前記型抜きされた内壁面との間に隙間が存在することが、この隙間に指や爪を入れることによって容易にスローアウェイ工具の取出しが可能となる点で望ましい。
【００１２】
さらに、１枚の前記緩衝材内に複数の前記収納空間を形成されて、複数の前記スローアウェイ工具を収納できることが、ケース基体中に挿設する緩衝材の数を減らすことができるとともに緩衝材自体を大きくできて取り扱いが容易となり製品梱包の手間を低減できる点で望ましい。
【００１３】
また、前記スローアウェイ工具を収納する時に、該スローアウェイ工具の切刃部にて前記緩衝材の切込みを切り拡げることが可能であれば、緩衝材１形状に対して適応可能な工具形状の数が増してより経済的である。
【００１４】
さらには、前記スローアウェイ工具の上面が前記緩衝材の上面と同じか、または突出した状態となるように前記スローアウェイ工具を前記緩衝材に埋め込んで収納することが、工具のより容易な取出しを可能とする点で望ましい。
【発明の効果】
【００１５】
上記本発明のスローアウェイ工具用収納ケースによれば、工具の切刃部が緩衝材間に挟持されるように収納されることから、工具とプラスチックケース基体との衝突による切刃部の欠損や異物の付着、雑音の発生を防止することができる。また、複数種類の工具形状を同じ緩衝材にて収納することが可能となるので経済的である。
【００１６】
なお、工具の収納時に工具の切刃部にて緩衝材の切込みを切り拡げることができれば１種類の緩衝材形状にてより多種類の工具形状に適応可能となる。
【００１７】
さらに、スローアウェイ工具が緩衝材にて固定された状態となり、ケースを裏返すような雑な取り扱いをしても確実にスローアウェイ工具を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
本発明のスローアウェイ工具用収納ケースについて、その好適例である図１乃至４に基づいて説明する。
【００１９】
図１はスローアウェイ工具用収納ケース（以下、単に収納ケースと略す。）の一例を示す概略平面図、図２は図１の収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図、図３は図２のＡ−Ａ断面図、図４は本発明の他の実施態様を示す概略断面図である。
【００２０】
図１によれば、収納ケース１は、硬質プラスチックからなるケース基体２の中に、発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなり、スローアウェイ工具３（以下、工具と略す。）を収納する位置が型抜かれている（以下、型抜き部４と称す。）とともに工具３の切刃部５を収納する位置にさらに切込み６が形成された収納空間７を有する緩衝材８を挿設している。
【００２１】
そして、図１の収納ケース１に工具３が収納された状態を示す概略平面図である図２に示すように、工具３の切刃部５が緩衝材８の切込み６間に挟持されるように切刃部５を緩衝材８の切込み６に埋め込むようにして工具３が収納空間７に収納されている。
【００２２】
上記構成によれば、工具３の切刃部５が発泡ゴムまたは発泡プラスチックからなる緩衝材８によって挟持されるように収納されて固定されていることから、工具３とプラスチックケース基体２との衝突による切刃部５の欠損や異物の付着、雑音の発生を防止することができる。
【００２３】
また、工具３の形状が変わっても複数種類の形状を同じ緩衝材８にて収納することが可能となるので経済的である。さらに、工具３が緩衝材８にて固定された状態となり、収納ケース１を裏返すような雑な取り扱いをしても確実に工具３を保持することができる。
【００２４】
なお、工具３の収納時に工具３の切刃部５にて緩衝材８の切込み６を切り拡げることができれば１種類の緩衝材８形状にてより多種類の工具３形状に適応可能となる。
【００２５】
ここで、収納空間７の複数箇所に切込み６が形成されることが、工具３をより安定して固定するために望ましい。また、切込み６は単に緩衝材８が線状にカットされたものであってもよいが、大きなサイズの工具３を収納することができる点では図１のようにＶ溝状をなすものであってもよい。さらに、切込み６は緩衝材８の厚み方向を貫通するように形成されていてもよいが、切込み６は緩衝材８の上面から途中まで形成されたものであってもよく、このように切込み６を緩衝材８の途中までで止めた構成とすることによって工具１を収納ケース１の下面から浮かせた状態で収納することも可能である。
【００２６】
また、工具３の収納空間７において、工具３を収納した際に工具３の一部の外周面１０と型抜きされた緩衝材８の内壁面１１との間に隙間１２が存在することが、この隙間１２に指や爪を入れることによって容易に工具３の取出しが可能となる点で望ましい。
【００２７】
さらに、図２のＡ−Ａ断面図である図３に示すように、工具３の上面３ａ高さが緩衝材８の上面８ａ高さと同じか、または突出した状態となるように埋め込んで工具３を緩衝材８に収納することが、収納ケース１から工具３を取り出す際に容易に取り出せる点で望ましい。
【００２８】
なお、収納ケースとしては、収納ケースの強度、軽さ、保形性、コストの点で硬質プラスチックからなることが望ましく、特に、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等がリサイクル性に優れている点を考慮しても好適に使用可能である。一方、緩衝材としては、衝撃吸収力、軽さ、保形性、コストの点で発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなることが望ましく、中でも、ウレタンフォーム、発泡ポリスチレン、発泡スチロール等が好適に使用可能である。
【００２９】
さらに、ケース基体２が、ケース本体１３とスライド式の蓋１４ａとの箱体からなるとともに、ケース本体１３の底面に収納ケース１同士を積層する時に係止めとなる突起１６を備えているタイプに対しても好適に適応可能である。
【００３０】
なお、図１によれば、ケース基体２はケース本体１３と蓋１４とからなっており、ケース本体１３の内部には長手方向に１本だけ中枠１７が設けられている。この中枠１７はケース本体１３の補強材としても作用する。また、本発明によれば、中枠１７は従来の収納ケースのように各工具３の収納部を仕切るように格子状に設けられていてもよいが、緩衝材８をはめ込む手間を省くためにはできるだけ隣接する工具収納位置間に中枠１３を設けない部分が存在することが望ましい。
【００３１】
すなわち、１枚の緩衝材３内に複数の収納空間７が形成されて、複数の工具３を収納できることが、ケース基体２中に挿設する緩衝材８の数を減らすことができるとともに緩衝材８自体を大きくできて取り扱いが容易となる点で望ましい。
【００３２】
また、工具２が中央にねじ孔１８を有する形状である場合、図４の他の実施態様を示す概略断面図に示すように、ケース本体１３と一体化されたピン１９を設けて工具３のねじ孔１８にピン１９が貫通するように収納することも可能である。この方法によれば工具３がより動きにくくなり工具３の切刃部５の保護効果と雑音防止効果がさらに高まる。しかしながら、工具３を収納ケース１から取り出す際の作業性の観点からは、ピン１９を設けない方が、工具３の外周面と変形可能な緩衝材８の内壁面との間隔をより広く確保できるため工具３が容易に取り出せるので望ましい。また工具３を収納ケース１に収納する際の作業性の観点からも、ピン１９を設けない方が、ピン１９を気にせず切込み６に切刃部５を合わせて押し込むことで容易に収納できるので望ましい。
【００３３】
上記構成の収納ケース１は、ケース本体１３内に緩衝材８を挿入し、次に緩衝材８の各収納空間７に工具３を１つずつ載置する。そして、蓋１４ａをスライドさせながら装着することによりケース本体１３の内部を封じる。さらに、所望により、ケース本体１３と蓋１４との双方にかかるようにラベル（図示せず）を貼ることによって完成する。
【００３４】
なお、図１、２では工具３として主面が多角形状をなす板状の、いわゆるスローアウェイチップについて例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドリルやエンドミル、ボーリングバー等の棒状部を有する工具や、略直方体形状の溝入れ工具等に対しても好適に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の一実施例を示すスローアウェイ工具用収納ケースの概略平面図である。
【図２】図１のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。
【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。
【図４】本発明のスローアウェイ工具用収納ケースの他の実施態様を示す概略断面図である。
【図５】従来のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ スローアウェイ工具用収納ケース（収納ケース）
２ ケース基体
３ スローアウェイ工具（工具）
３ａ 工具の上面
４ 型抜き部
５ 切刃部
６ 切込み
７ 収納空間
８ 緩衝材
８ａ 緩衝材の上面
９ 収納位置
１０ 工具の外周面
１１ 緩衝材の内壁面
１２ 隙間
１３ ケース本体
１４ 蓋
１４ａ スライド式の蓋
１６ 突起
１７ 中枠
１８ ねじ孔
１９ ピン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、スローアウェイ工具を収納するスローアウェイ工具用収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
スローアウェイ工具（以下、工具と称する。）を工具ホルダに取り付けて切削加工するスローアウェイ式工具が汎用されている。かかるスローアウェイ式工具においては、工具の切刃部が寿命に達した時点で新しい工具に交換されるため、一般的に工具チップは複数個単位で販売されている。
【０００３】
従来この種の収納ケースとしては、例えば、特許文献１、２のように格子状の中枠で仕切られた１０個の矩形状の収納空間を有する箱型のプラスチック収納ケースが一般的であり（図５参照）、この矩形状の収納部に工具が１個ずつ収納されていた。また、特許文献１には工具の形状と同じ形状の型抜きをしたスポンジを収納空間に詰めて隙間のない状態で工具を収納する方法が開示されている。
【特許文献１】登録実用新案第３００５１０８号公報
【特許文献２】特開平９−１３２２４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記のようなプラスチックケースの矩形状の収納部に工具を収納する方法では、図５に示すように、工具を収納したケースを取り扱う際や運搬の際に工具が収納部内で動き回り、収納ケースの中枠や外壁に衝突していた。このために、工具の切刃部にチッピングや欠損が生じたり、切刃部にプラスチック等の異物が付着する恐れがあった。また、場合によっては、工具の切刃部がプラスチックからなる収納ケースの壁面を傷つけてプラスチック壁面にめり込んでしまい工具がケースから取れにくくなることもあった。さらに、工具がプラスチックケースに衝突することによって雑音が発生するという不具合もあった。
【０００５】
また、特許文献１の工具の形状と同じ形状の型抜きをしたスポンジを収納空間に詰めて工具を収納する方法では、工具の形状毎にスポンジの型抜きをする必要があることからサイズや形状の異なる工具を取り扱う場合には不経済であった。
【０００６】
本発明は上記課題を解消するものであり、その目的は、スローアウェイ工具の切刃部を確実に保護できるとともに雑音の発生も抑制し、かつ経済的なスローアウェイ工具用収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者は、以下の構成からなるスローアウェイ工具用収納ケースとすることにより、上記課題を解消できることを発明した。
【０００８】
すなわち、本発明のスローアウェイ工具用収納ケースは、ケース基体の中に、スローアウェイ工具を収納する位置が型抜かれているとともに該スローアウェイ工具の切刃部を収納する位置にさらに切込みが形成された収納空間を有する緩衝材を挿設し、前記スローアウェイ工具の切刃部が前記緩衝材間に挟持されるように前記切刃部を前記緩衝材の切込みに埋め込むようにして前記スローアウェイ工具を前記収納位置に収納することを特徴とする。
【０００９】
ここで、前記ケース基体が硬質プラスチックからなるとともに、前記緩衝材が発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなることが、収納ケースの強度、緩衝材の衝撃吸収力、軽さ、保形性、コストの点で望ましい。
【００１０】
なお、前記スローアウェイ工具を前記緩衝材の２箇所以上の切込みにて固定することが、スローアウェイ工具をより安定して固定するために望ましい。
【００１１】
また、前記スローアウェイ工具の収納空間において、前記スローアウェイ工具を収納した際に該スローアウェイ工具の外周面の一部と前記型抜きされた内壁面との間に隙間が存在することが、この隙間に指や爪を入れることによって容易にスローアウェイ工具の取出しが可能となる点で望ましい。
【００１２】
さらに、１枚の前記緩衝材内に複数の前記収納空間を形成されて、複数の前記スローアウェイ工具を収納できることが、ケース基体中に挿設する緩衝材の数を減らすことができるとともに緩衝材自体を大きくできて取り扱いが容易となり製品梱包の手間を低減できる点で望ましい。
【００１３】
また、前記スローアウェイ工具を収納する時に、該スローアウェイ工具の切刃部にて前記緩衝材の切込みを切り拡げることが可能であれば、緩衝材１形状に対して適応可能な工具形状の数が増してより経済的である。
【００１４】
さらには、前記スローアウェイ工具の上面が前記緩衝材の上面と同じか、または突出した状態となるように前記スローアウェイ工具を前記緩衝材に埋め込んで収納することが、工具のより容易な取出しを可能とする点で望ましい。
【発明の効果】
【００１５】
上記本発明のスローアウェイ工具用収納ケースによれば、工具の切刃部が緩衝材間に挟持されるように収納されることから、工具とプラスチックケース基体との衝突による切刃部の欠損や異物の付着、雑音の発生を防止することができる。また、複数種類の工具形状を同じ緩衝材にて収納することが可能となるので経済的である。
【００１６】
なお、工具の収納時に工具の切刃部にて緩衝材の切込みを切り拡げることができれば１種類の緩衝材形状にてより多種類の工具形状に適応可能となる。
【００１７】
さらに、スローアウェイ工具が緩衝材にて固定された状態となり、ケースを裏返すような雑な取り扱いをしても確実にスローアウェイ工具を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
本発明のスローアウェイ工具用収納ケースについて、その好適例である図１乃至４に基づいて説明する。
【００１９】
図１はスローアウェイ工具用収納ケース（以下、単に収納ケースと略す。）の一例を示す概略平面図、図２は図１の収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図、図３は図２のＡ−Ａ断面図、図４は本発明の他の実施態様を示す概略断面図である。
【００２０】
図１によれば、収納ケース１は、硬質プラスチックからなるケース基体２の中に、発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなり、スローアウェイ工具３（以下、工具と略す。）を収納する位置が型抜かれている（以下、型抜き部４と称す。）とともに工具３の切刃部５を収納する位置にさらに切込み６が形成された収納空間７を有する緩衝材８を挿設している。
【００２１】
そして、図１の収納ケース１に工具３が収納された状態を示す概略平面図である図２に示すように、工具３の切刃部５が緩衝材８の切込み６間に挟持されるように切刃部５を緩衝材８の切込み６に埋め込むようにして工具３が収納空間７に収納されている。
【００２２】
上記構成によれば、工具３の切刃部５が発泡ゴムまたは発泡プラスチックからなる緩衝材８によって挟持されるように収納されて固定されていることから、工具３とプラスチックケース基体２との衝突による切刃部５の欠損や異物の付着、雑音の発生を防止することができる。
【００２３】
また、工具３の形状が変わっても複数種類の形状を同じ緩衝材８にて収納することが可能となるので経済的である。さらに、工具３が緩衝材８にて固定された状態となり、収納ケース１を裏返すような雑な取り扱いをしても確実に工具３を保持することができる。
【００２４】
なお、工具３の収納時に工具３の切刃部５にて緩衝材８の切込み６を切り拡げることができれば１種類の緩衝材８形状にてより多種類の工具３形状に適応可能となる。
【００２５】
ここで、収納空間７の複数箇所に切込み６が形成されることが、工具３をより安定して固定するために望ましい。また、切込み６は単に緩衝材８が線状にカットされたものであってもよいが、大きなサイズの工具３を収納することができる点では図１のようにＶ溝状をなすものであってもよい。さらに、切込み６は緩衝材８の厚み方向を貫通するように形成されていてもよいが、切込み６は緩衝材８の上面から途中まで形成されたものであってもよく、このように切込み６を緩衝材８の途中までで止めた構成とすることによって工具１を収納ケース１の下面から浮かせた状態で収納することも可能である。
【００２６】
また、工具３の収納空間７において、工具３を収納した際に工具３の一部の外周面１０と型抜きされた緩衝材８の内壁面１１との間に隙間１２が存在することが、この隙間１２に指や爪を入れることによって容易に工具３の取出しが可能となる点で望ましい。
【００２７】
さらに、図２のＡ−Ａ断面図である図３に示すように、工具３の上面３ａ高さが緩衝材８の上面８ａ高さと同じか、または突出した状態となるように埋め込んで工具３を緩衝材８に収納することが、収納ケース１から工具３を取り出す際に容易に取り出せる点で望ましい。
【００２８】
なお、収納ケースとしては、収納ケースの強度、軽さ、保形性、コストの点で硬質プラスチックからなることが望ましく、特に、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等がリサイクル性に優れている点を考慮しても好適に使用可能である。一方、緩衝材としては、衝撃吸収力、軽さ、保形性、コストの点で発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなることが望ましく、中でも、ウレタンフォーム、発泡ポリスチレン、発泡スチロール等が好適に使用可能である。
【００２９】
さらに、ケース基体２が、ケース本体１３とスライド式の蓋１４ａとの箱体からなるとともに、ケース本体１３の底面に収納ケース１同士を積層する時に係止めとなる突起１６を備えているタイプに対しても好適に適応可能である。
【００３０】
なお、図１によれば、ケース基体２はケース本体１３と蓋１４とからなっており、ケース本体１３の内部には長手方向に１本だけ中枠１７が設けられている。この中枠１７はケース本体１３の補強材としても作用する。また、本発明によれば、中枠１７は従来の収納ケースのように各工具３の収納部を仕切るように格子状に設けられていてもよいが、緩衝材８をはめ込む手間を省くためにはできるだけ隣接する工具収納位置間に中枠１３を設けない部分が存在することが望ましい。
【００３１】
すなわち、１枚の緩衝材３内に複数の収納空間７が形成されて、複数の工具３を収納できることが、ケース基体２中に挿設する緩衝材８の数を減らすことができるとともに緩衝材８自体を大きくできて取り扱いが容易となる点で望ましい。
【００３２】
また、工具２が中央にねじ孔１８を有する形状である場合、図４の他の実施態様を示す概略断面図に示すように、ケース本体１３と一体化されたピン１９を設けて工具３のねじ孔１８にピン１９が貫通するように収納することも可能である。この方法によれば工具３がより動きにくくなり工具３の切刃部５の保護効果と雑音防止効果がさらに高まる。しかしながら、工具３を収納ケース１から取り出す際の作業性の観点からは、ピン１９を設けない方が、工具３の外周面と変形可能な緩衝材８の内壁面との間隔をより広く確保できるため工具３が容易に取り出せるので望ましい。また工具３を収納ケース１に収納する際の作業性の観点からも、ピン１９を設けない方が、ピン１９を気にせず切込み６に切刃部５を合わせて押し込むことで容易に収納できるので望ましい。
【００３３】
上記構成の収納ケース１は、ケース本体１３内に緩衝材８を挿入し、次に緩衝材８の各収納空間７に工具３を１つずつ載置する。そして、蓋１４ａをスライドさせながら装着することによりケース本体１３の内部を封じる。さらに、所望により、ケース本体１３と蓋１４との双方にかかるようにラベル（図示せず）を貼ることによって完成する。
【００３４】
なお、図１、２では工具３として主面が多角形状をなす板状の、いわゆるスローアウェイチップについて例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドリルやエンドミル、ボーリングバー等の棒状部を有する工具や、略直方体形状の溝入れ工具等に対しても好適に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の一実施例を示すスローアウェイ工具用収納ケースの概略平面図である。
【図２】図１のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。
【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。
【図４】本発明のスローアウェイ工具用収納ケースの他の実施態様を示す概略断面図である。
【図５】従来のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ スローアウェイ工具用収納ケース（収納ケース）
２ ケース基体
３ スローアウェイ工具（工具）
３ａ 工具の上面
４ 型抜き部
５ 切刃部
６ 切込み
７ 収納空間
８ 緩衝材
８ａ 緩衝材の上面
９ 収納位置
１０ 工具の外周面
１１ 緩衝材の内壁面
１２ 隙間
１３ ケース本体
１４ 蓋
１４ａ スライド式の蓋
１６ 突起
１７ 中枠
１８ ねじ孔
１９ ピン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ケース基体の中に、スローアウェイ工具を収納する位置が型抜かれているとともに該スローアウェイ工具の切刃部を収納する位置にさらに切込みが形成された収納空間を有する緩衝材を挿設し、前記スローアウェイ工具の切刃部が前記緩衝材間に挟持されるように前記切刃部を前記緩衝材の切込みに埋め込むようにして前記スローアウェイ工具を前記収納空間に収納するスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項２】
前記ケース基体が硬質プラスチックからなるとともに、前記緩衝材が発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなる請求項１記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項３】
前記スローアウェイ工具を前記緩衝材の２箇所以上の切込みにて固定する請求項１または２記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項４】
前記スローアウェイ工具の収納空間において、前記スローアウェイ工具を収納した際に該スローアウェイ工具の外周面の一部と前記型抜きされた緩衝材の内壁面との間に隙間が存在する請求項１乃至３のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項５】
１枚の前記緩衝材内に複数の前記収納空間を形成されて、複数の前記スローアウェイ工具を収納できる請求項１乃至４のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項６】
前記スローアウェイ工具を収納する時に、該スローアウェイ工具の切刃部にて前記緩衝材の切込みを切り拡げることが可能な請求項１乃至５のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項７】
前記スローアウェイ工具の上面高さが前記緩衝材の上面高さと同じか、または突出した状態となるように前記スローアウェイ工具を前記緩衝材に埋め込んで収納する請求項１乃至６のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項１】
ケース基体の中に、スローアウェイ工具を収納する位置が型抜かれているとともに該スローアウェイ工具の切刃部を収納する位置にさらに切込みが形成された収納空間を有する緩衝材を挿設し、前記スローアウェイ工具の切刃部が前記緩衝材間に挟持されるように前記切刃部を前記緩衝材の切込みに埋め込むようにして前記スローアウェイ工具を前記収納空間に収納するスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項２】
前記ケース基体が硬質プラスチックからなるとともに、前記緩衝材が発泡プラスチックまたは発泡ゴムからなる請求項１記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項３】
前記スローアウェイ工具を前記緩衝材の２箇所以上の切込みにて固定する請求項１または２記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項４】
前記スローアウェイ工具の収納空間において、前記スローアウェイ工具を収納した際に該スローアウェイ工具の外周面の一部と前記型抜きされた緩衝材の内壁面との間に隙間が存在する請求項１乃至３のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項５】
１枚の前記緩衝材内に複数の前記収納空間を形成されて、複数の前記スローアウェイ工具を収納できる請求項１乃至４のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項６】
前記スローアウェイ工具を収納する時に、該スローアウェイ工具の切刃部にて前記緩衝材の切込みを切り拡げることが可能な請求項１乃至５のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【請求項７】
前記スローアウェイ工具の上面高さが前記緩衝材の上面高さと同じか、または突出した状態となるように前記スローアウェイ工具を前記緩衝材に埋め込んで収納する請求項１乃至６のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００６−８２２４（Ｐ２００６−８２２４Ａ）
【公開日】平成１８年１月１２日（２００６．１．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−１９０９２０（Ｐ２００４−１９０９２０）
【出願日】平成１６年６月２９日（２００４．６．２９）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１月１２日（２００６．１．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年６月２９日（２００４．６．２９）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【Ｆターム（参考）】
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