説明

ズームレンズ及びそれを有する撮像装置

【課題】 高ズーム比で、しかも全ズーム範囲にわたり高い光学性能が得られる小型のズームレンズ及びそれを有する撮像装置を得ること。
【解決手段】 物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群から構成され、ズーミングに際して、少なくとも2つのレンズ群が移動するズームレンズであって、該第1レンズ群は、正の屈折力の光学素子と、それに少なくとも1つの負の屈折力の光学素子を接合した複合光学素子を有しており、該正の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数nd1p、νd1p、該少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数nd1n、νd1nを各々適切に設定すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はズームレンズ及びそれを有する撮像装置に関し、例えばビデオカメラや電子スチルカメラ、放送用カメラ、監視カメラ等のように固体撮像素子を用いた撮像装置、或いは銀塩写真用のカメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像素子を用いたビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、監視カメラ、そして銀塩フィルムを用いたカメラ等の撮像装置は高機能化され、又装置全体が小型化されている。
【0003】
そしてそれに用いる撮影光学系にはレンズ全長が短く、コンパクトで高ズーム比(高変倍比)を有し、しかも高解像力のズームレンズであることが要求されている。
【0004】
これらの要求に応えるズームレンズとして、物体側より像側へ順に、正の屈折力のレンズ群、負の屈折力のレンズ群、そしてそれに続く1つ以上のレンズ群を含む後群を有するポジティブリード型のズームレンズが知られている(特許文献1〜5)。
【0005】
特許文献1〜3では物体側より像側へ順に、正、負、正、正の屈折力のレンズ群の4つのレンズ群より成り、各レンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズを開示している。
【0006】
特許文献4では物体側より像側へ順に、正、負、正、負、正の屈折力のレンズ群の5つのレンズ群より成り、各レンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズを開示している。
【0007】
特許文献5では物体側より像側へ順に、正、負、正又は負、正、負の屈折力のレンズ群の5つのレンズ群より成り、各レンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズを開示している。
【0008】
また近年透光性セラミックスが開発され、それを光学材料として用いた撮影光学系が知られている。透光性セラミックスは光学ガラスに比べて屈折率が高く、又硬度と強度に優れている。この性質を利用して、レンズ系全体の薄型化を図った撮像装置が知られている(特許文献6)。
【0009】
特許文献6では、正レンズと負レンズを貼り合わせた接合レンズの負レンズの材料に、透光性セラミックスを用いてレンズ肉厚の薄型化をし、レンズ系全体の小型化を図っている。
【特許文献1】特開2007−212537号公報
【特許文献2】特開2005−338740号公報
【特許文献3】特開2007−171371号公報
【特許文献4】特開平6−160712号公報
【特許文献5】特開平6−337375号公報
【特許文献6】特開2006−84887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、撮像装置に用いるズームレンズには、高ズーム比で、かつレンズ系全体が小型であることが強く要望されている。
【0011】
一般にズームレンズを小型化するためには、ズームレンズを構成する各レンズ群の屈折力を強めつつ、レンズ枚数を削減すれば良い。
【0012】
しかしながら、このようにしたズームレンズは、レンズ肉厚が増してしまいレンズ系の短縮効果が不十分になると同時に諸収差の補正が困難になってくる。
【0013】
このため、高ズーム比とレンズ系全体の小型化を図るには、ズームタイプ、各レンズ群の屈折力そして各レンズ群を構成するレンズ構成等を適切に設定することが重要となる。
【0014】
また一般に光学ガラスは屈折率が大きくなると、アッベ数は小さくなり、分散が大きくなる特性がある。
【0015】
これに対してセラミックスは同じアッベ数を有する光学ガラスに比べ、高い屈折率を有する材料が知られている。
【0016】
このような性質を有するセラミックスを光学材料として用いると、収差補正及び光学系全体の小型化に有利となる。
【0017】
しかしながら単にセラミックスより成るレンズをズームレンズに用いても全系の小型化を図りつつ全ズーム範囲にわたり、高い光学性能を得ることは難しい。
【0018】
特に前述したポジティブリード型のズームレンズにおいて第1レンズ群の有効径を小さくし全系の小型化を図りつつ、高ズーム比化を図るには、第1レンズ群中のレンズ構成を適切に設定することが重要となってくる。例えば第1レンズ群を構成するレンズに適切なる材料を選択し、第1レンズ群をなるべく少ないレンズ枚数で構成することが重要となってくる。
【0019】
ポジティブリード型のズームレンズでは、第1レンズ群のレンズ構成が不適切であると、全系の小型化を図りつつ全ズーム範囲にわたり高い光学性能を得るのが大変難しい。
【0020】
本発明は、高ズーム比で、しかも全ズーム範囲にわたり高い光学性能が得られる小型のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群から構成され、
ズーミングに際して、少なくとも2つのレンズ群が移動するズームレンズであって、該第1レンズ群は、正の屈折力の光学素子と、該正の屈折力の光学素子に対して負の屈折力の光学素子を接合した複合光学素子を有しており、
該正の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1p、νd1p
該少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1n、νd1nとするとき
2.45<nd1p−(9.3×10−5×νd1p−1.7×10−2×νd1p)<3.00
5.0<νd1p<80.0
1.35<nd1n<2.35
5.0<νd1n<45.0
なる条件を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高ズーム比で、しかも全ズーム範囲にわたり高い光学性能が得られる小型のズームレンズ及びそれを有する撮像装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。
【0024】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群から構成されている。
【0025】
そして複数のレンズ群のうちズーミングに際して、少なくとも2つのレンズ群が移動するズームレンズである。
【0026】
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。図2〜4はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、中間ズーム位置、望遠端(長焦点距離端)における収差図である。
【0027】
図5は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。図6〜図8はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、中間ズーム位置、望遠端における収差図である。
【0028】
図9は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。図10〜図12はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、中間ズーム位置、望遠端における収差図である。
【0029】
図13は本発明の実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。図14〜図16はそれぞれ実施例4のズームレンズの広角端、中間ズーム位置、望遠端における収差図である。
【0030】
図17、図18は本発明のズームレンズを備えるカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
【0031】
各実施例のズームレンズはビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像装置に用いられる撮像レンズ系である。
【0032】
尚、各実施例のズームレンズをプロジェクター等の投射レンズとして用いるときは、左方がスクリーン、右方が被投射画像となる。
【0033】
レンズ断面図において、iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。LRは1以上のレンズ群を含む後群である。
【0034】
各実施例においてL1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群である。
【0035】
図1の実施例1、図9の実施例3において後群LRは正の屈折力の第3レンズ群L3と正の屈折力の第4レンズ群L4より成っている。
【0036】
図5の実施例2、図13の実施例4において後群LRは負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5より成っている。
【0037】
SPは開口絞りである。開口絞りSPは図1、図9に示した実施例1、3のズームレンズにおいては、第3レンズ群L3の物体側に配置している。
【0038】
又、開口絞りSPは図5および図13に示した実施例2および実施例4のズームレンズにおいては、第4レンズ群L4中の物体側に配置している。
【0039】
図1においてFPはフレアーカット絞りであり、第3レンズ群L3の像側に配置している。
【0040】
Gは光学フィルター、フェースプレート、水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当する光学ブロックである。
【0041】
IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮像光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が置かれている。
【0042】
又、銀塩フィルム用のカメラの撮像光学系として使用する際には、フィルム面に相当する。
【0043】
収差図において、d、gは各々d線及びg線、M、Sはメリディオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。ωは半画角、fnoはFナンバーである。
なお、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用レンズ群が機構上光軸上を移動可能な範囲の両端に位置した時のズーム位置を言う。
【0044】
レンズ断面図中の矢印は、広角端から望遠端へのズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡又はフォーカスの際の移動方向を示している。
【0045】
各実施例のポジティブリード型のズームレンズにおいて第1レンズ群L1は有効レンズ径が大きくなるので、全系の小型化のためには第1レンズ群L1は、レンズ枚数が少ないほうが好ましい。
【0046】
そこで各実施例において、第1レンズ群L1は、例えばセラミックス材料より成る正の屈折力の光学素子(母材)と、それに少なくとも1つの例えば樹脂材料より成る負の屈折力の光学素子(レプリカ)を接合した複合光学素子を有するようにしている。
【0047】
そして正の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1p、νd1pとする。少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1n、νd1nとする。
【0048】
このとき
2.45<nd1p−(9.3×10−5×νd1p−1.7×10−2×νd1p)<3.00 ・・・(1)
5.0<νd1p<80.0 ・・・(2)
1.35<nd1n<2.35 ・・・(3)
5.0<νd1n<45.0 ・・・(4)
なる条件を満足するようにしている。
【0049】
次に各実施例の技術的な意味について説明する。
【0050】
条件式(1)、(2)は第1レンズ群L1の複合光学素子を構成する正の屈折力の光学素子に使用する固体材料の屈折率とアッベ数に関して規定したものであり、第1レンズ群L1に使用する正の屈折力の光学素子の薄肉化を図るためのものである。
【0051】
条件式(1)または(2)の上限値を超えると、光学的に実用的な材料が少なく、光学系として使用し実施することが難しくなる。
【0052】
条件式(1)の下限値を超えると屈折率の低い材料の使用となり、第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子のパワーを維持するためにレンズ面の曲率半径を小さくしなくてはならなくなる。この結果、正の屈折力の光学素子の肉厚が厚くなってしまうので良くない。また条件式(2)の下限値を超えると諸収差の補正が不十分になり、特にズーム全域に渡って軸上色収差と倍率色収差をバランス良く補正することが困難になるので良くない。ここで正の屈折力の光学素子の材料としては透光性セラミックスが適用できる。
【0053】
条件式(3)、(4)は第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子に接合する少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数に関して規定したものである。ここで少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の材料としては、例えば樹脂材料が適用できる。
【0054】
条件式(3)、(4)を満たす材料より成る少なくとも1つの負の屈折力の光学素子を第1レンズ群L1に設けることで、望遠側における軸上色収差や倍率色収差をバランスよく補正している。
【0055】
条件式(3)の下限値を超えると少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の周辺肉厚が厚くなってきてレンズ全長が長くなってしまう。逆に上限値を超えると光学的に実用的な材料が少なくなり、光学系として実施することが難しくなってくる。
【0056】
条件式(4)の上限値または下限値を超えると諸収差の補正が不十分になり、特にズーム全域に渡って軸上色収差と倍率色収差をバランス良く補正することが困難になるので良くない。
【0057】
なお更に好ましくは、条件式(1)〜(4)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0058】
2.45<nd1p−(9.3×10−5×νd1p−1.7×10−2×νd1p)<2.80 ・・・(1a)
10.0<νd1p<75.0 ・・・(2a)
1.45<nd1n<2.00 ・・・(3a)
10.0<νd1n<35.0 ・・・(4a)
以上のように各実施例によれば第1レンズ群L1のレンズ構成を前述の如く適切に設定することにより、前玉径の小型化を図りつつ、広角端から望遠端に至る全ズーム範囲にわたり良好な光学性能を有するズームレンズを得ている。
【0059】
尚、各実施例においては好ましくは次の条件のうち1以上を満足するのが良い。それによれば各条件に対応した効果が得られる。
【0060】
第1レンズ群L1の複合光学素子を構成する正の屈折力の光学素子の空気中での焦点距離をf1p、第1レンズ群L1の焦点距離をf1とする。
【0061】
第1レンズ群L1の少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の空気中での焦点距離をf1nとする。
【0062】
全系の広角端での焦点距離をfw、全系の望遠端での焦点距離をftとする。
【0063】
第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の望遠端での合成焦点距離をf12tとする。
【0064】
第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子のレンズ中心肉厚をd1p、正の屈折力の光学素子に接合されている負の屈折力の光学素子の全てのレンズ中心肉厚の総和をd1nとする。
【0065】
このとき
【0066】
【数1】

【0067】
なる条件のうち1以上を満足するのが良い。
【0068】
条件式(5)は第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子の屈折力に関する。
【0069】
条件式(5)の下限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子の屈折力が強くなると、ペッツバール和が正の方向に大きくなりすぎて像面湾曲の補正が困難になってくる。
【0070】
逆に上限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子の屈折力が弱くなると、レンズ全長が長くなり、前玉径も増大してくるので良くない。
【0071】
なお更に好ましくは、条件式(5)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0072】
【数2】

【0073】
条件式(6)は第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子に接合した少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の屈折力に関する。
【0074】
条件式(6)の下限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子に接合した少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の負レンズの屈折力が強くなると、広角端において倍率色収差の補正が困難になる。
【0075】
逆に上限値を超えると、屈折力が弱くなりすぎると、望遠端において色収差の補正が不十分になってくる。
【0076】
なお更に好ましくは、条件式(6)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0077】
【数3】

【0078】
条件式(7)は第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子に接合した少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の屈折力とアッベ数に関する。
【0079】
条件式(7)の下限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力の光学素子に接合した少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の負の屈折力が強くなると、広角端において倍率色収差の補正が困難になる。
【0080】
逆に上限値を超えると、屈折力が弱くなりすぎて、望遠端において色収差の補正が不十分になってくる。
【0081】
なお更に好ましくは、条件式(7)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0082】
【数4】

【0083】
条件式(8)は第1レンズ群L1の焦点距離に関する。
【0084】
条件式(8)の下限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力が強くなると、望遠端において軸上色収差の補正が困難になり、またペッツバール和が正の方向に大きくなりすぎて像面湾曲の補正が困難になってくる。
【0085】
逆に上限値を超えて第1レンズ群L1の正の屈折力が弱くなると、レンズ全長が長くなり、また前玉径が増大してくるので良くない。
【0086】
なお更に好ましくは、条件式(8)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0087】
【数5】

【0088】
条件式(9)は第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の望遠端における合成焦点距離に関する。
【0089】
条件式(9)の下限を超えて第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の合成した屈折力が強くなると、球面収差等の諸収差の補正が困難となる。またレンズ群の屈折力の変化に対する結像位置の比である敏感度が高くなり製造が困難になってくる。
【0090】
逆に上限を超えて第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の合成した屈折力が弱くなると、ズーミング時の第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の移動量が増大してしまい、レンズ全長が長くなるので良くない。
【0091】
なお更に好ましくは、条件式(8)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0092】
【数6】

【0093】
条件式(10)は第1レンズ群L1中の正の屈折力の光学素子のレンズ中心肉厚d1pと正の屈折力の光学素子に接合される負の屈折力の光学素子の全てのレンズ中心肉厚の総和d1nとの比に関する。
【0094】
条件式(10)の下限を超えると、正の屈折力の光学素子のコバ厚が薄くなり、明るさを適正に保つためには製造が困難なレンズ形状になってしまう。または負の屈折力の光学素子側の中心肉厚が厚くなり、レンズ全長が長くなってしまう。
【0095】
逆に上限を超えると負の屈折力の光学素子側の中心肉厚が薄くなり製造が困難なレンズ形状になってしまう、または正の屈折力の光学素子側の中心肉厚が厚くなってしまい、レンズ全長が長くなってしまうので良くない。
【0096】
なお更に好ましくは、条件式(10)の数値範囲を次のごとく設定するのがよい。
【0097】
【数7】

【0098】
以上のうち少なくとも1つの条件式を満足すれば、
広角端から望遠端に至る全ズーム範囲に渡り良好なる光学性能を有するズームレンズを容易に得ることができる。
【0099】
なお、各実施例において、第1レンズ群L1の物体側または、最も像側のレンズ群の像側または、双方にコンバーターレンズ等の他のレンズ群を配置しても良い。
【0100】
本発明のズームレンズにおいて、後群LRを構成するレンズ群の数は任意であり、最低限1つのレンズ群を有していればよい。
【0101】
本発明にかかるズームレンズは、3つ以上のレンズ群を有しズーミングに際し、2つのレンズ群が移動するズームレンズであれば良い。
【0102】
次に本発明の各実施例のズームレンズのレンズ構成について説明する。
【0103】
実施例1のズームレンズは物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、負の屈折力を有する第2レンズ群L2、正の屈折力を有する第3レンズ群L3、正の屈折力を有する第4レンズ群L4より構成している。
【0104】
そして広角端から望遠端へのズーミングに際し各レンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動してズーミングを行っている。
【0105】
具体的には広角端から望遠端へのズーミングに際して矢印のように第1レンズ群L1を像側へ移動させた後に物体側へ移動させている。即ち像側に凸状の軌跡を描いて移動させている。
【0106】
第2レンズ群L2を像側へ凸状の軌跡で移動させて変倍に伴う像面変動を補正している。
【0107】
また、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4を物体側に移動させている。
【0108】
ズーミングに際し、広角端に比べて望遠端において第1レンズ群L1と第3レンズ群L3が物体側に位置するように移動させることで広角端におけるレンズ全長を小型に維持しつつ、大きなズーム比が得られるようにしている。
【0109】
また、第4レンズ群L4を光軸上移動させてフォーカシングを行うリヤーフォーカス式を採用している。
【0110】
望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合には、同図矢印4cに示すように第4レンズ群L4を前方に繰り出すことによって行っている。
【0111】
第4レンズ群L4の実線の曲線4aと点線の曲線4cは各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに伴う際の像面変動を補正するための移動軌跡を示している。
【0112】
G11は第1レンズ群L1を構成する正の屈折力の第1光学素子(光学素子)であり、セラミックス材より成っている。G12は第1レンズ群L1を構成する負の屈折力の第2光学素子(光学素子)であり、樹脂材料よりなっており、第1光学素子G11に接合されている。第1光学素子G11と第2光学素子G12は接合して複合光学素子を構成している。
【0113】
尚、第2光学素子G12は第1光学素子G11の面に積層している。
【0114】
本実施例において、複合光学素子は第1光学素子とこの第1光学素子G11に接合された第2光学素子G12(複数でも構わない)とによって構成されている。この第1光学素子(好ましくはセラミックス、或いはガラスで構成されているレンズ本体)G11と、この第1光学素子に接合された第2光学素子(好ましくは樹脂で構成されている補助レンズ)G12とが以下の関係を満足する。
(ア)第1光学素子の光軸上の厚さは、第2光学素子の光軸上の厚さの3倍以上(好ましくは5倍以上)である。ここで、第1光学素子の光軸上の厚さは、第2光学素子の光軸上の厚さの100倍以下であると好ましい。
(イ)第1光学素子の屈折力(焦点距離の逆数)の絶対値は、第2光学素子の屈折力の絶対値の2倍以上(好ましくは2.5倍以上)である。ここで、第1光学素子の屈折力(焦点距離の逆数)の絶対値は、第2光学素子の屈折力の絶対値の50倍以下(好ましくは40倍以下)である。
【0115】
実施例2のズームレンズは物体側より像側へ順に正の屈折力を有する第1レンズ群L1、負の屈折力を有する第2レンズ群L2、負の屈折力を有する第3レンズ群L3、正の屈折力を有する第4レンズ群L4、正の屈折力を有する第5レンズ群L5より構成している。
【0116】
そして広角端から望遠端へのズーミングに際し各レンズ群の間隔が変化するように第1、第3、第4、第5レンズ群を移動してズーミングを行っている。
【0117】
具体的には広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は物体側に移動する。第2レンズ群L2は不動である。第3レンズ群L3は像側に移動してから物体側に往復するように移動する。第4レンズ群L4は物体側に移動する。第5レンズ群L5は像側に移動する。
【0118】
Pは第2レンズ群L2の一部を構成する光路折り曲げ用の反射面を含むプリズムである。また第5レンズ群L5に関する実線の曲線5aと点線の曲線5bは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端への変倍に伴う像面変動を補正するための移動軌跡を示している。
【0119】
望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカスするときは第5レンズ群L5を矢印5cのように前方に繰り出すことによって行っている。
【0120】
G11は第1レンズ群L1を構成する正の屈折力の第1光学素子(光学素子)であり、セラミックス材より成っている。G12は第1レンズ群L1を構成する負の屈折力の第2光学素子(光学素子)であり、樹脂材料よりなっており、第1光学素子G11に接合されている。第1光学素子G11と第2光学素子G12は接合して複合光学素子を構成している。
【0121】
尚、第2光学素子G12は第1光学素子G11の面に積層している。
【0122】
実施例3のズームレンズは、物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、負の屈折力を有する第2レンズ群L2、正の屈折力を有する第3レンズ群L3、正の屈折力を有する第4レンズ群L4より構成している。
【0123】
そして広角端から望遠端へのズーミングに際し各レンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動してズーミングを行っている。
【0124】
広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群L1は物体側へ移動している。第2レンズ群L2は物体側へ移動している。第3レンズ群L3は物体側へ移動している。第4レンズ群L4は物体側へ移動している。
【0125】
また、第2レンズ群L2を光軸上移動させてフォーカシングを行うリアフォーカス方式を採用している。第2レンズ群L2の実線の曲線2aと点線の曲線2bは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端のズーミングの際の像面変動を補正するための移動軌跡である。
【0126】
例えば望遠端のズーム位置において、無限遠物体から近距離物体へのフォーカスを行う場合には、矢印2cに示すように第2レンズ群L2を前方に繰り出すことで行っている。
【0127】
G11は第1レンズ群L1を構成する正の屈折力の第1光学素子(光学素子)であり、セラミックス材より成っている。G12は第1レンズ群L1を構成する負の屈折力の第2光学素子(光学素子)であり、樹脂材料よりなっており、第1光学素子G11に接合されている。第1光学素子G11と第2光学素子G12は接合して複合光学素子を構成している。
【0128】
G13は第1レンズ群L1を構成する正の屈折力の第3光学素子であり、第1光学素子G11と同様にセラミックス材より成っている。
【0129】
尚、第2光学素子G12は第1光学素子G11の面に積層している。
【0130】
実施例4のズームレンズはレンズ構成は実施例2と同じである。
【0131】
そして広角端から望遠端へのズーミングに際し各レンズ群の間隔が変化するように第1、第3、第4、第5レンズ群を移動してズーミングを行っている。
【0132】
具体的には広角端から望遠端へのズーミングに際して第1〜5レンズ群は以下のように移動する(移動しない)。第1レンズ群L1は像側に移動してから物体側に往復するように移動する。第2レンズ群L2はズーミングのためには(ズーミングに際しては)不動である。第3レンズ群L3は像側に移動してから物体側に往復するように(像側に凸状の奇跡に沿って)移動する。第4レンズ群L4は物体側に移動する。第5レンズ群L5は像側に凸状の軌跡を描いて(像側に凸状の軌跡に沿って)移動する。又、実施例2と同様に第2レンズ群L2は光路折り曲げ用の反射面を含むプリズムPを有している。
【0133】
フォーカスは第5レンズ群L5で行っており、フォーカスの際の移動は実施例2と同じである。
【0134】
G11は第1レンズ群L1を構成する正の屈折力の第1光学素子(光学素子)であり、セラミックス材より成っている。G12は第1レンズ群L1を構成する負の屈折力の第2光学素子(光学素子)であり、樹脂材料よりなっており、第1光学素子G11に接合されている。第1光学素子G11と第2光学素子G12は接合して複合光学素子を構成している。
【0135】
G13は第1レンズ群L1を構成する負の屈折力の第3光学素子であり、第2光学素子G12と同様樹脂材料より成り、第1光学素子G11の像側の面に接合されている。第1〜第3光学素子G11〜G13で複合光学素子を構成している。
【0136】
尚、各実施例において、少なくとも1つの負の屈折力の光学素子の空気に接する面は非球面形状である。
【0137】
実施例1、実施例3において、開口絞りSPはズーミングの際に第3レンズ群L3と一体に移動しているが、別体にて移動しても、また固定としてもよい。一体に移動すると移動する群数が少なくなり、メカ構造が簡素化しやすくなる。
【0138】
実施例2、実施例4において、開口絞りSPはズーミングの際に第4レンズ群L4と一体に移動しているが、別体にて移動しても、また固定としてもよい。一体に移動すると移動する群数が少なくなり、メカ構造が簡素化しやすくなる。
【0139】
次に、本発明の実施例1〜4に各々対応する数値実施例1〜4を示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示す。riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。diは第i面と第i+1面との間の間隔である。ndiとνdiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を示す。
【0140】
またkを円錐定数、B、C、D、Eを非球面係数、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき、非球面形状は、
【0141】
【数8】

【0142】
で表示される。ただしRは曲率半径である。
【0143】
また例えば「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角を示す。
【0144】
数値実施例1、2、4において最も像側の4つの面は光学ブロックを構成する面である。
【0145】
また、各数値実施例における上述した条件式との対応を表1に示す。
【0146】
[数値実施例1]
f=5.59〜14.22〜30.18 Fno=2.89〜4.21〜5.89 2ω=70.49°〜31.05°〜14.91°
面番号 r d nd νd 有効径
1 125.217 2.42 1.82750 51.5 19.89
2 -44.785 0.10 1.62524 25.2 19.33
3* -131.025 (可変) 18.76
4* -4374.260 0.80 1.97500 39.5 14.18
5* 6.723 1.92 11.50
6* 11.042 1.93 2.14353 17.8 11.66
7* 19.550 (可変) 11.39
8(絞り) ∞ 0.60 5.21
9* 6.088 1.74 1.60300 65.4 5.37
10* -37.905 0.10 5.11
11 5.050 1.03 1.49700 81.5 5.05
12 7.289 0.50 1.80518 25.4 4.74
13 3.659 0.87 4.37
14 ∞ (可変) 4.43
15* 12.524 1.60 1.75500 71.5 9.66
16* 41.812 (可変) 9.62
17 ∞ 0.60 1.51633 64.1 8.42
18 ∞ 0.90 8.33
19 ∞ 0.40 1.51633 64.1 8.12
20 ∞ 8.08

非球面係数
第3面
K =-2.57862e+001 A = 8.92397e-007 B =-3.59355e-008 C = 2.24120e-010
D = 1.59301e-014
第4面
K =-4.38949e+005 A = 5.04189e-005 B =-1.40263e-006 C = 9.10798e-010
D =-9.40047e-012
第5面
K =-5.88638e-002 A =-3.10606e-004 B = 4.32625e-006 C = 8.70835e-008
D =-8.91268e-009
第6面
K =-7.30420e-001 A =-3.69138e-004 B = 5.12918e-006 C = 5.43993e-008
D =-2.46468e-009
第7面
K =-1.68898e+000 A =-3.60528e-004 B = 1.04839e-006 C = 5.52864e-008
D =-1.81285e-009
第9面
K = 2.78651e-001 A =-5.44811e-004 B =-1.62341e-005 C =-8.74172e-007
D =-6.47382e-008
第10面
K =-4.84672e+001 A = 1.23662e-005 B =-8.98014e-006 C =-4.33506e-007
D =-6.77911e-008
第15面
K =-7.40304e+000 A =-3.20456e-004 B =-3.99343e-006 C = 2.34280e-008
D = 9.93317e-009
第16面
K =-3.20274e+001 A =-8.83431e-004 B = 4.43177e-006 C = 1.38524e-007
D = 5.30069e-009

可変間隔 焦点距離 5.59 14.22 30.18
d3 1.05 10.88 17.86
d7 21.01 6.54 1.16
d14 7.01 10.57 21.16
d16 1.36 3.96 5.16

【0147】
[数値実施例2]
f=6.20〜11.87〜52.01 Fno=2.86〜4.24〜5.92 2ω=59.87°〜33.48°〜7.85°
面番号 r d nd νd 有効径
1* 33.406 0.10 1.62524 25.2 23.20
2 19.497 4.26 1.83520 53.0 21.94
3 109.277 (可変) 20.60
4 44.993 0.95 1.82750 51.5 17.77
5 8.740 4.00 13.68
6 ∞ 11.50 2.00330 28.3 13.38
7 ∞ (可変) 10.91
8* -25.448 1.35 1.56732 42.8 9.58
9 13.094 0.41 9.15
10 16.345 1.48 1.92286 18.9 9.19
11 61.229 (可変) 8.99
12(絞り) ∞ 0.65 6.83
13* 10.883 2.09 1.48749 70.2 7.04
14 -31.344 0.10 6.92
15 6.228 3.17 1.48749 70.2 6.61
16 11.707 0.60 2.00330 28.3 5.45
17 5.148 2.35 5.10
18 9.889 1.26 1.48749 70.2 6.04
19 54.982 (可変) 6.12
20* 29.723 2.08 1.48749 70.2 8.40
21 -23.965 (可変) 8.36
22 ∞ 0.60 1.51633 64.1 7.56
23 ∞ 0.90 7.47
24 ∞ 0.40 1.51633 64.1 7.28
25 ∞ 7.23

非球面係数
第1面
K = 1.47318e-003 A =-2.76172e-006 B = 1.65539e-008 C =-2.04516e-010
D = 7.68381e-013
第8面
K =-6.65199e+000 A = 5.51647e-005 B = 3.24022e-006 C =-1.86697e-007
D = 3.36903e-009
第13面
K = 1.49601e+000 A =-2.91442e-004 B =-2.01215e-006 C =-7.61092e-008
D = 1.12157e-009
第20面
K =-2.30773e+001 A =-2.61671e-005 B = 4.44146e-006 C = 6.09860e-008
D =-6.83702e-009

可変間隔 焦点距離 6.20 11.87 52.01
d3 0.60 3.57 19.47
d7 3.42 4.77 0.90
d11 18.45 8.99 1.07
d19 5.81 15.13 27.82
d21 5.58 4.37 3.47

【0148】
[数値実施例3]
f=17.50〜29.50〜48.00 Fno=2.88〜2.88〜2.88 2ω=79.29°〜52.35°〜33.62°
面番号 r d nd νd 有効径
1* 167.626 0.10 1.69770 20.1 52.14
2 98.401 4.00 1.75500 71.5 50.81
3 1062.815 0.20 50.05
4 48.518 5.50 1.75500 71.5 45.36
5 99.861 (可変) 43.26
6* 155.814 0.20 1.52421 51.4 25.01
7 80.988 1.20 1.78590 44.2 24.83
8 12.294 5.80 18.01
9 -29.561 1.00 1.80400 46.6 17.23
10 49.465 0.50 16.38
11 33.375 4.10 1.75520 27.5 16.17
12 -33.900 1.40 15.38
13 -18.309 1.00 1.83481 42.7 15.11
14 608.453 3.00 1.75520 27.5 16.66
15 -37.722 (可変) 17.79
16(絞り) ∞ 1.00 19.20
17 34.558 5.00 1.52249 59.8 21.05
18 -31.388 0.20 21.34
19 28.621 3.60 1.48749 70.2 21.02
20 114.170 2.80 20.39
21 -26.157 1.00 1.83400 37.2 20.29
22 -202.899 (可変) 20.81
23 154.631 3.20 1.48749 70.2 21.30
24 -79.415 0.30 1.52421 51.4 21.57
25* -76.020 2.50 21.67
26 -68.926 3.20 1.48749 70.2 22.09
27 -23.943 0.20 22.41
28 -73.900 1.00 1.83400 37.2 22.15
29 42.207 5.80 1.49700 81.5 23.20
30 -29.482 0.20 24.04
31 -130.600 4.10 1.48749 70.2 24.80
32 -36.179 25.51

非球面係数
第1面
K =-8.10395e+000 A = 4.12044e-007 B =-3.56056e-010 C = 1.84091e-013
D = 1.11807e-016
第6面
K =-3.04232e+001 A = 3.47459e-005 B =-1.09054e-007 C = 3.15972e-010
D =-3.57830e-013
第25面
K =-5.48186e+000 A = 3.27761e-005 B =-9.01837e-010 C =-2.25561e-010
D = 6.42190e-013

可変間隔 焦点距離 17.50 29.50 48.00
d5 2.76 10.49 23.12
d15 13.11 4.54 0.81
d22 6.39 2.84 1.22

【0149】
[数値実施例4]
f=6.20〜11.97〜52.05 Fno=2.86〜4.24〜5.92 2ω=59.87°〜33.21°〜7.85°
面番号 r d nd νd 有効径
1* 28.249 0.10 1.62524 25.2 22.07
2 19.560 3.71 1.83520 53.0 21.20
3 131.938 0.10 1.59696 29.4 20.03
4* 62.390 (可変) 19.12
5 47.005 0.95 1.81600 46.6 17.67
6 8.658 4.00 13.58
7 ∞ 11.50 2.00330 28.3 13.29
8 ∞ (可変) 10.93
9* -25.030 1.35 1.56732 42.8 9.82
10 12.972 0.41 9.40
11 16.074 1.48 1.92286 18.9 9.45
12 60.477 (可変) 9.26
13(絞り) ∞ 0.65 6.80
14* 10.880 2.09 1.48749 70.2 7.01
15 -28.952 0.10 6.89
16 6.168 3.17 1.48749 70.2 6.65
17 11.459 0.60 2.00330 28.3 5.75
18 5.134 2.35 5.36
19 10.468 1.26 1.48749 70.2 6.28
20 51.682 (可変) 6.34
21* 31.729 2.08 1.48749 70.2 8.32
22 -22.791 (可変) 8.30
23 ∞ 0.60 1.51633 64.1 7.51
24 ∞ 0.90 7.43
25 ∞ 0.40 1.51633 64.1 7.24
26 ∞ 7.18

非球面係数
第1面
K = 1.52213e+000 A =-6.96050e-007 B = 3.49690e-008 C = 1.55607e-010
D =-4.90068e-013
第4面
K = 1.09115e+001 A = 9.68390e-006 B = 2.42334e-008 C = 8.44382e-010
D =-4.16289e-012
第9面
K =-7.43571e+000 A = 4.79997e-005 B = 1.60149e-006 C =-4.58529e-008
D = 9.26837e-010
第14面
K = 1.55204e+000 A =-3.12111e-004 B =-1.39192e-006 C =-1.51094e-007
D = 3.14050e-009
第21面
K = 1.86927e+000 A =-1.60210e-004 B = 1.19015e-005 C =-5.29046e-007
D = 1.00131e-008

可変間隔 焦点距離 6.20 11.94 52.00
d4 0.70 1.33 19.76
d8 3.07 3.28 0.93
d12 18.38 8.83 1.11
d20 5.41 16.37 26.99
d22 5.55 3.93 3.39

【0150】
【表1】

【0151】
次に実施例1、3に示したようなズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラの実施形態を図17を用いて説明する。
【0152】
図17において、20はカメラ本体、21は実施例1、3、4で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
【0153】
23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダーである。
【0154】
このように本発明のズームレンズをデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置が実現できる。
【0155】
次に本発明の実施例2、4のズームレンズを撮影光学系として用いたデジタルカメラ(光学機器)の実施形態を図18を用いて説明する。
【0156】
図18において30はデジタルカメラ本体、31は上述の実施例のズームレンズによって構成された撮影光学系である。Pはプリズムである。撮影光学系31を経た被写体像(撮影光)をCCD等の撮像素子上(光電変換素子上)32に導いている。
【0157】
33は撮像素子32が受光した被写体像を記録する記録手段、34は不図示の表示素子に表示された被写体像を観察するためのファインダーである。
【0158】
上記表示素子は液晶パネル等によって構成され、撮像素子32上に形成された被写体像が表示される。
【0159】
このように本発明のズームレンズをデジタルカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施例1のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図
【図2】実施例1のズームレンズの広角端における諸収差図
【図3】実施例1のズームレンズの中間における諸収差図
【図4】実施例1のズームレンズの望遠端における諸収差図
【図5】実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図
【図6】実施例2のズームレンズの広角端における諸収差図
【図7】実施例2のズームレンズの中間における諸収差図
【図8】実施例2のズームレンズの望遠端における諸収差図
【図9】実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図
【図10】実施例3のズームレンズの広角端における諸収差図
【図11】実施例3のズームレンズの中間における諸収差図
【図12】実施例3のズームレンズの望遠端における諸収差図
【図13】実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図
【図14】実施例4のズームレンズの広角端における諸収差図
【図15】実施例4のズームレンズの中間における諸収差図
【図16】実施例4のズームレンズの望遠端における諸収差図
【図17】本発明の撮像装置の要部概略図
【図18】本発明の撮像装置の要部概略図
【符号の説明】
【0161】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
SP 絞り
FP フレアーカット絞り
LR 後群
IP 像面
G ガラスブロック
d d線
g g線
M メリディオナル像面
S サジタル像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群から構成され、
ズーミングに際して、少なくとも2つのレンズ群が移動するズームレンズであって、該第1レンズ群は、正の屈折力の光学素子と、該正の屈折力の光学素子に対して負の屈折力の光学素子を接合した複合光学素子を有しており、
該正の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1p、νd1p
該負の屈折力の光学素子の材料の屈折率とアッベ数を各々nd1n、νd1nとするとき
2.45<nd1p−(9.3×10−5×νd1p−1.7×10−2×νd1p)<3.00
5.0<νd1p<80.0
1.35<nd1n<2.35
5.0<νd1n<45.0
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第1レンズ群の正の屈折力の光学素子の空気中での焦点距離をf1p、該第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき
【数1】

の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群の負の屈折力の光学素子の空気中での焦点距離をf1n、該第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき
【数2】

の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
全系の広角端における焦点距離をfw、全系の望遠端における焦点距離をftとするとき
【数3】

の条件を満足することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、全系の広角端での焦点距離をfw、全系の望遠端での焦点距離をftとするとき
【数4】

の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の望遠端での合成焦点距離をf12t、全系の望遠端での焦点距離をftとするとき
【数5】

の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記負の屈折力の光学素子の空気に接する面は非球面形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第1レンズ群の正の屈折力の光学素子のレンズ中心肉厚をd1p、該正の屈折力の光学素子に接合されている負の屈折力の光学素子の全てのレンズ中心肉厚の総和をd1n、とするとき
【数6】

の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
固体撮像素子に像を形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子とを有していることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−294302(P2009−294302A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145621(P2008−145621)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】