テーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路、該導波路の製造方法、該導波路を利用した光伝送モジュール及び該導波路を採用した熱補助磁気記録ヘッド
【課題】テーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路、導波路の製造方法、導波路を利用した光伝送モジュール及び導波路を採用したHAMR(熱補助磁気記録)ヘッドを提供する。
【解決手段】光を伝送する開口113が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路111において、開口は、入力端111aと出力端111bとの間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、開口を形成する金属の内面にリッジ部114が突出して形成されることによって、開口がC型の形状を有する金属導波路である。
【解決手段】光を伝送する開口113が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路111において、開口は、入力端111aと出力端111bとの間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、開口を形成する金属の内面にリッジ部114が突出して形成されることによって、開口がC型の形状を有する金属導波路である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型開口を有する90°に曲がっている金属導波路、該導波路の製造方法、該導波路を利用した光伝送モジュール及び該導波路を採用した熱補助磁気記録ヘッドに係り、さらに詳細には、強化された近接場を具現し、かつ集積型に製作可能なC型開口を有する90°に曲がっている導波路、該導波路の製造方法、該導波路を利用した光伝送モジュール及び該導波路を採用した高密度記録の可能な熱補助磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ヘッド分野において、磁気記録の高密度化のための研究が持続されている。現在、水平磁気記録の場合、インチ当たり約100ギガビット(100Gbit/in2)の記録密度が達成され、垂直磁気記録の場合には、それ以上の記録密度も可能である。しかし、磁気記録技術には、基本的に超磁性効果によって記録ビットの熱的不安定性が存在するため、高記録密度化に限界がある。
【0003】
記録媒体の熱的安定性を得ようとすれば、熱エネルギーに対する磁気異方性エネルギーの比が大きくならねばならず、磁気異方性エネルギーを大きくしようとすれば、磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用せねばならない。一方、保磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用する場合、記録のために、それだけ大きい磁場が必要になる。しかし、記録密度の向上のために、小さいサイズの記録ヘッドを使用する場合、メインポール部分の磁場が一定レベルで飽和されるので、発生する磁場の大きさの限界によって、記録不可能な問題が発生する。
【0004】
このような問題を解決するために、熱補助磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:HAMR)方式が研究されている。HAMR方式とは、記録媒体の極小部位をキュリー(Curie)温度近くに加熱して、該当位置の保磁力を一時的に減少させた後に記録を行う方式であって、既存の磁気記録方式に比べて、記録のために必要な磁場の大きさを減らせる。このようなHAMR方式で、データが記録される領域は、キュリー温度に近く加熱された部分であるため、記録密度は、磁場を発生させる磁極(ポール)の大きさによるのではなく、加熱される部分の幅によって決定される。例えば、加熱手段がレーザダイオードである場合、レーザダイオードから照射されるレーザ光のスポットサイズによってデータ記録密度が決定される。
【0005】
これにより、HAMRヘッドは、記録媒体にレーザ光を照射するための光伝送モジュールが要求される。光伝送モジュールは、メインポールに隣接した位置まで光を伝達し、記録媒体に結ばれる光スポットのサイズを小さくしつつ、高い光度を有させる。このような光伝送モジュールは、光源、導波路及び小型開口を備え、メインポールに隣接した小さい空間に集積される。しかし、従来の磁気ヘッドの構造を大きく変えないためには、光伝送モジュールの配される位置が制限される。例えば、光源から小型開口まで光を伝達する導波路は、メインポールに垂直に配されねばならないが、この場合、導波路の方向は、メインポールの端部に隣接して配される小型開口の方向と90°の差が生じる。したがって、導波路と小型開口との間には、90°の方向転換の可能な光学要素が必要である。このような光学要素として、ミラーを採用しうるが、薄膜に製造される従来の磁気ヘッド上に、このような体積を有する(bulky)構造の光学要素を集積することは、現実的に難しいという問題点がある。
【0006】
さらに、前記光伝送モジュールは、既存の磁気ヘッド工程のような一括工程内で製作されることが望ましい。このためには、例えば、175℃以下の低温工程で製作可能であり、プレーナ工程によって製作可能な導波路及び小型開口が要求される。
【0007】
一方、小型開口は、導波路を通じて伝送された光を記録媒体の記録層に伝達する。このとき、高記録密度を達成するためには、記録層に伝えられる光は、スポットサイズが小さく、かつ記録層をキュリー温度近くに加熱できる高い光度を有さねばならない。一般的に、スポットのサイズは、小型開口のサイズによって決定される。開口のサイズが小さいほど、さらに大きい記録密度の向上が期待される。しかし、開口のサイズが入射光の波長より過度に小さくなれば、開口のパワー効率が大きく低下する。例えば、半径がrである円形開口の場合、rが入射光の波長の1%以下であるとき、開口のパワー効率は、r4の割合で低下する。すなわち、小型開口を小さくすれば、高い空間分解能は実現されるが、パワー効率が過度に低下して、HAMRヘッドへの適用に限界がある。
【0008】
これにより、このような低い透過効率の問題を解決するための近接場光学プローブについての研究が進められており、多様な形態の小型開口を有するプローブが提案されている。しかし、高い透過率と高い解像度とを同時に得られ、HAMRヘッドへの適用に適当な信頼性・再現性のある近接場プローブは、まだ開発されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高い強度及び小さいスポットサイズを有する光を出力できる開口を有し、別途の光学要素なしに光を90℃に方向転換できる金属導波路を提供することである。また、本発明の他の目的は、前記導波路の製造方法、前記導波路を利用した光伝送モジュール及び前記導波路を採用したHAMRヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、tin=0.25λ±△tres,αを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0012】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、ttp=0.25λ±△tres,γを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinと開口の幅が狭くなるテーパ部での金属導波路の厚さttpとを固定した状態で、全体金属導波路に対する厚み共振分析を通じて入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0014】
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、tout=0.5λ±△tres,βを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,βは、開口が曲がっている部分での散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0015】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0016】
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、前記入力端から曲がる前までの金属導波路部分に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0017】
前記金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする。
前記開口の内部は、空気または誘電体で満たされることを特徴とする。
【0018】
前記リッジ部の幅及び高さは、一定に維持されることを特徴とする。
本発明の他の類型による光伝送モジュールは、上記の金属導波路である第1金属導波路と、光源から伝送された光を前記第1金属導波路に伝達する第2導波路と、を備えることを特徴とする。
【0019】
前記第2導波路は、高さより幅がさらに大きい扁平な形態を有し、入力端の幅が出力端の幅より広いテーパ構造を有することを特徴とする。
【0020】
前記第2導波路とのプロファイルマッチングのために、前記第1金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする。
【0021】
前記第2導波路は、ポリマー導波路であることを特徴とする。
本発明の他の類型による熱補助磁気記録ヘッドは、磁気記録媒体に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、上記の光伝送モジュールと、を備え、前記光伝送モジュールは、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射することを特徴とする。
【0022】
前記磁気記録部は、磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成するメインポールと、前記メインポールの一面に対向するように配されて、メインポールと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールと、前記メインポールに磁場を誘導する誘導コイルと、前記メインポールの他面に配されて、前記メインポールの端部に磁束を集束することを補助するサブヨークと、を備えることを特徴とする。
【0023】
前記光伝送モジュールは、前記サブヨークの側面で前記メインポールの他面に対向する位置に配されたことを特徴とする。
【0024】
前記第1金属導波路の出力端は、前記メインポールの端部と同じ方向に配されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路は、次のような効果を有する。
【0026】
第一に、テーパ構造のポリマー導波路とのプロファイルマッチングが可能に入力端の幅が広い構造で設計されて結合損失を最小化しうる。
【0027】
第二に、90°に曲がっている構造を採用することによって、ミラーのような別途の光学要素なしに超小型構造でビームの方向を90°に転換しうる。
【0028】
第三に、出力端にテーパ構造のC型開口を採用することによって、出力端で小さいスポットサイズ及び適切なスポット形状を有しうる。
【0029】
第四に、前述した性能を有すると同時に、C型開口の有するフィールド強化特性をそのまま維持しうる。
【0030】
第五に、本発明による金属導波路は、低温のプレーナ工程によって製造可能であるので、既存の磁気記録ヘッドと共に一括製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による光伝送モジュールの構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の概略的な構造を示す斜視図である。
【図3】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の断面図である。
【図4】本発明による金属導波路に採用されたC型開口の出力端での寸法を示す断面図である。
【図5】本発明による金属導波路に採用されたC型開口の入力端での寸法を示す断面図である。
【図6】本発明による金属導波路の入力端側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数のグラフである。
【図7】本発明による金属導波路の入力端側の厚さによる光度を示すグラフである。
【図8】1次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図9】2次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図10】3次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図11】図8に示された1次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図12】図9に示された2次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図13】図10に示された3次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図14】本発明による金属導波路で採用されたC型開口のテーパ構造の出力端を示す斜視図である。
【図15】本発明による金属導波路の出力端側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数のグラフである。
【図16】本発明による金属導波路の出力端側でC型開口の厚さによる電場強度の変化を示すグラフである。
【図17A】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内におけるフィールド分布を示す図面である。
【図17B】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内における出力光のスポット形態を示す図面である。
【図17C】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内におけるフィールド強度を示す図面である。
【図18A】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド分布を示す図面である。
【図18B】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内における出力光のスポット形態を示す図面である。
【図18C】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド強度を示す図面である。
【図19】最終的に厚み共振分析を行った結果を示すグラフである。
【図20A】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20B】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20C】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20D】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20E】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20F】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20G】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20H】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20I】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20J】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図21】本発明の一実施形態によるHAMRヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の望ましい実施形態による光伝送モジュール110の構造を概略的に示す斜視図である。図1を参照すれば、本発明による光伝送モジュール110は、マウント140(図21)上に配されたテーパ構造のポリマー導波路115と、前記ポリマー導波路115と結合された90°に曲がっている金属導波路111と、を備えている。ポリマー導波路115の入力端115aは、例えば、光ファイバ117と直接端カップリングまたはバットカップリング方式で結合される。そして、ポリマー導波路115の出力端115bは、前記金属導波路111と結合される。したがって、光源118から光ファイバ117を通じてポリマー導波路115の入力端115aに伝えられた光は、ポリマー導波路115の出力端115bを通じて金属導波路111に伝えられる。
【0033】
ここで、光源118としてレーザダイオードを使用する場合、光源118とポリマー導波路115との結合効率を最大にするためには、二つの要素間の距離を最小化せねばならないだけでなく、レーザダイオードの活性層と導波路のガイディング層との間にプロファイルマッチングがなされねばならない。レーザダイオードが理想的な単一モード発振を行うレーザダイオードである場合、レーザダイオードから出射される光は、接合面に平行な成分を有する直線偏光となる。しかし、実際には、接合面に垂直である偏光成分も存在するため、一般的なレーザダイオードから出射する光で平行な偏光成分と垂直な偏光成分との間の偏光比は、約100となる。したがって、本発明の望ましい実施形態によるポリマー導波路115は、レーザダイオードの活性層とのプロファイルマッチングのために、図1に示したように、幅Wが高さHより大きい扁平な形態を有することが望ましい。
【0034】
また、本発明の望ましい実施形態によるポリマー導波路115は、光源118側との結合損失を最小化するために、図1に示したように、入力端115aの幅が出力端115bの幅より広いテーパ構造を有することが望ましい。
【0035】
一方、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の構造は、図2及び図3に詳細に示されている。図2及び図3を参照すれば、本発明の望ましい実施形態による金属導波路111は、開口113が内部に形成された金属112で形成される。ここで、金属112としては、例えば、導電性に優れた金(Au)を使用しうる。また、開口113の内部は、空気または誘電体で満たされる。例えば、透光性を有する樹脂で開口113を形成しうる。
【0036】
また、本発明によれば、図2及び図3に示したように、入力端111aでの開口113の方向と出力端111bでの開口113の方向とが相互に直角をなしている。このとき、ミラーのような別途の光学要素なしに光の進行方向を90°転換するために、前記開口113の断面は、C型構造でなされる。このために、開口113を形成する金属112の内面には、一定の幅及び高さを有するリッジ部114が突出して形成されている。
【0037】
また、本発明による90°に曲がっている金属導波路111と前述したポリマー導波路115との結合損失を最小化するために、前記金属導波路111の入力端111aとポリマー導波路115の出力端115bとの間にプロファイルマッチングがなされねばならない。このために、前記金属導波路111もポリマー導波路115と同様に、幅W’が高さH’より大きい扁平な構造を有することが望ましい。そして、出力端111bで小さなサイズの光スポットを得るために、前記開口113は、90°に曲がった後、出力端111bの所定の位置から幅が次第に狭くなるテーパ構造を有することが望ましい。
【0038】
このような金属導波路111の構造で追加的に考慮されねばならないのは、結合損失の最小化のためにポリマー導波路115がテーパ構造を有するので、前記導波路115と磁気記録媒体(図示せず)との干渉を避けるために、90°に曲がっている部分からテーパ構造までの金属導波路111の厚さtoutが、90°に曲がる前の金属導波路111の入力端111aの厚さtinより大きく設計されねばならないという点である。ここで、金属導波路111の厚さは、光の進行方向を基準に定義される。
【0039】
また、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の構造は、前述した条件を満足すると同時に、フィールド強化特性を満足する特定の共振条件に合うように決定されねばならない。一般的に、開口が設けられた金属板に光が入射される場合、光が金属板の開口を通過するためには、透過共振条件を満足せねばならない。透過共振は、開口の入力端側及び出力端側からそれぞれ発生する金属板の電荷及び電流の集合的な表面共振に起因する。透過共振条件を満足する入射光は、金属板の開口でフィールド強化されることにより、透過率の急激な低下なしに後方散乱される。また、金属板の厚さが厚くなれば、開口内部にも追加的な電荷及び電流の振動がある。したがって、この場合、他の様相の厚み共振が存在する。その結果、金属板の開口における全体的な透過及びフィールド強化は、表面共振だけでなく、厚み共振の相互作用によって決定される。このような厚み共振は、開口に沿って厚さ方向に透過される光が定常波をなす時になされる。したがって、金属板が一定の厚さ以上に厚い場合、前記金属板の開口に入射される光が円滑に透過されるためには、金属板及び光は、所定の厚み共振条件を満足せねばならない。
【0040】
このために、本発明による90°に曲がっている金属導波路111は、次のような順序によって設計される必要がある。すなわち、まず、ポリマー導波路115との結合損失を最小化するために、金属導波路111の入力端111aにおける最適の共振厚さtinを決定する。次いで、光スポットのサイズを小さくし、所望の形状の光スポットを得るために、金属導波路111のテーパ構造の出力端111bにおける最適の共振厚さttpを決定する。最後に、光路が曲がる部分における損失を最小化するために、金属導波路111が曲がる前後部分における最適の共振厚さtoutを決定する。
【0041】
以下では、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の各部分における最適の厚さtin、ttp及びtoutを決定する過程について詳細に説明する。
【0042】
まず、金属導波路111の入力端111a側の厚さtinを決定する過程について説明する。ここで、図4に示したように、前記金属導波路111の出力端111b側で、開口113の幅は270nmであり、高さは180nmである。また、リッジ部114の幅及び高さは、何れも90nmである。そして、図5に示したように、ポリマー導波路115との結合損失を減らすために、金属導波路111の入力端111a側では、開口113の幅を360nmに伸ばした。しかし、開口113の高さは、そのまま180nmを維持する。リッジ部114の場合、入力端111a側の幅及び高さは、出力端111bと同じ90nmである。
【0043】
このような構造で、金属導波路111の入力端111a側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数(Frequency Response Fuction:FRF)のグラフが図6に示されている。図6のグラフに示したように、開口113の形状と関連した開口共振周波数は、厚さによる周波数値の変化がほとんどなく、サイズのみが急激に大きくなり、厚さが950nmになれば、それ以上存在しなくなる。また、厚さの増大によって、以前に存在していない新たな周波数が出現し、厚さによって、周波数値に大きい変化を示す。新たに出現するかかる周波数は、厚み共振周波数である。
【0044】
ここで、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致すれば、C型開口を有する導波路の内部を通じて入力端の光子が容易に移動し、これにより、フィールド強化特性を示す。図6のグラフから分かるように、図5のような広い幅のC型開口を有する導波路111は、例えば、入射ビームの周波数が384.6THz(すなわち、λ=780nm)であるとき、厚さ250nm、630nm及び1000nmで入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致する。したがって、金属導波路111の入力端111a側は、前記のような厚さに設計されてこそフィールド強化特性を示す。
【0045】
一方、下記表1は、開口113の幅による厚み共振周波数の変化を示す。表1を通じて分かるように、幅が増大すれば、それぞれの共振周波数値が下がる様相を示している。また、図7及び表2に提示されたように、厚み共振がおきる厚さで電場強度が最大となることが確認でき、共振次数が増加するほど、電場強度の値が少しずつ下がる様相を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
また、図8ないし図10は、共振厚さを有する導波路111の入力端111aでの開口113の内部におけるフィールド分布を示す。図面から分かるように、厚さが増大するにつれて、開口113の内部で伝播される光のパターンが複雑になる様相を示す。図8に示したように、1次厚み共振では、入出力端にのみフィールドが限定されている。しかし、図9及び図10に示したように、2次及び3次厚み共振では、フィールドの集中する部分が入出力端以外にも、開口113の内部でそれぞれ1個及び2個追加される。したがって、厚み共振がおきる場合、開口113の内部を進行する光が開口113の内部で定常波を形成するということが分かる。一方、図11ないし図13は、それぞれ図8ないし図10に示した1次ないし3次厚み共振で、導波路111の入力端111aを通過した後、40nm離隔された位置に形成された光スポットの形状を示している。本発明によれば、前記光スポットの形状及びサイズは、何れも約140nm×150nmであってほぼ同じであり、但し、光度にのみ差がある。
【0049】
次いで、金属導波路111のテーパ構造の出力端111bでの厚さttpを決定する過程を説明する。前述したように、入力端111aでは、ポリマー導波路115とのプロファイルマッチングのために広い開口幅が必要であるが、出力端111bでは、光スポットのサイズを小さくし、適切な形状に作るために、異なる形態の開口113が選択されねばならない。すなわち、開口113の幅をさらに狭くする必要がある。したがって、図14に示したように、本発明による金属導波路111は、90°に曲がった後、出力端111b側でテーパ構造のC型開口113を有することが望ましい。例えば、図14のようなテーパ構造のC型開口113の入力側113aは、幅が360nmであり、出力側113bは、幅が270nmでありうる。
【0050】
図14のようなテーパ構造を有するC型開口113の厚さttpも、共振厚さを考慮して決定せねばならない。前記テーパ構造を有するC型開口113の入力側113aの幅が360nm、出力側113bの幅が270nmであり、入射ビームの波長が384.6THzである場合に対して、厚さによる共振周波数の変化を図15に示している。図15のグラフから分かるように、テーパ構造のC型開口113の第1共振厚さは、約270nmであるということが分かる。したがって、90°に曲がっている金属導波路111の出力端111bにテーパ構造のC型開口113を採用する場合、前記テーパ構造の出力端111bの厚さttpは、約270nmに設計されることが望ましい。
【0051】
図16は、C型開口の厚さによる電場強度の変化を示すグラフである。図16で、‘−●−’で表示された曲線は、幅が360nmであり、一定の広幅のC型開口に対するものであり、‘−▲−’で表示された曲線は、出力端で幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口に対するものである。図16のグラフから分かるように、広幅のC型開口に比べて、テーパ構造のC型開口は、共振厚さで電場強度が約37%向上する。これは、テーパ構造のC型開口の場合、厚さ方向に幅が小さくなりつつ、出力端でリッジ部にフィールドが集中するためであると判断される。
【0052】
図17Aないし図17Cは、それぞれ幅が360nmであり、一定の拡幅のC型開口内におけるフィールド分布、出力光のスポット形態及び強度を表し、図18Aないし図18Cは、それぞれ幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド分布、出力光のスポット形態及び強度を表す。図17A及び図18Aを比較するとき、一定の幅のC型開口は、厚さが250nmであり、テーパ構造のC型開口は、それより20nm伸びた270nmであるが、開口内部におけるフィールド分布は、類似していることが確認できる。しかし、図17B及び図18Bを比較するとき、出力光のスポットは、テーパ構造のC型開口の場合にさらに小さくなる。具体的に、x方向のスポットサイズは、一定の幅のC型開口の場合に、140nmである一方、テーパ構造のC型開口の場合に、120nmに小さくなる。y方向のスポットサイズは、二つの場合とも150nmで同じであるが、これは、y方向のスポットサイズがリッジ部114の幅によって決定されるためである。すなわち、リッジ部114の幅は、90nmで一定しているため、テーパ構造のC型開口の場合にも、y方向のスポットサイズには、差がない。したがって、y方向のスポットサイズを調節するためには、開口113の幅ではないリッジ部114の幅を設計変更すればよい。また、図17C及び図18Cを比較すれば、テーパ構造のC型開口の場合に、x方向に幅が狭く、強度がさらに大きい光スポットが得られるということが分かる。
【0053】
前記のような過程を通じて、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の入力端111a側の厚さtinと、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpとが決定できた。最後に、90°に曲がっている部分からテーパ構造の出力端111bまでの金属導波路111の厚さtoutを決定する。この過程もやはり、前述した厚み共振分析を通じて行えばよい。但し、金属導波路111の入力端111a側の厚さtinと、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpとを決定する場合には、各部分を分離した状態で個別的に厚み共振分析を行ったが、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutを決定する過程は、前記厚さtin及びttpを特定の値に固定した状態で厚さtoutを変化させつつ、金属導波路111の全体に対して厚み共振分析を行う。例えば、波長が384.6THzである光を使用する場合に、入力端111a側の厚さtinを250nmに選択し、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpを270nmに選択した状態で、金属導波路111の全体に対する厚み共振分析を行うことによって、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutを決定しうる。
【0054】
図19は、このような方式で厚み共振分析を行った結果を示すグラフである。図19で、太い実線で表示したものは、厚さtoutが420nmである場合であり、細い実線で表示したものは、厚さtoutが250nmである場合である。そして、点線で表示したものは、90°に曲がっている部分なしに380nm厚さの入力端と270nm厚さのテーパ構造の出力端とで金属導波路が構成された比較例の場合である。図19から分かるように、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutが420nmである場合に、共振周波数が入射ビームの周波数と一致する結果を得た。このような方式で設計された本発明による90°に曲がっている金属導波路111の出力端で最終的に電場強度を測定した結果、出力光スポットが約13.0104V2/m2の高い値を有することが確認できた。すなわち、90°に曲がっている金属導波路111を通過しつつも、フィールドのサイズが小さくならず、フィールド強化特性が維持されるということが分かる。
【0055】
前述した内容を総合的に考慮するとき、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の設計時に、90°に曲がる前までの入力端111a側の厚さtinは、ほぼtin=0.25λ±△tres,αを満足し、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutは、ほぼtout=0.5λ±△tres,βを満足し、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpは、概略的にttp=0.25λ±△tres,γを満足すると見られる。ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表し、△tres,βは、90°に曲がっている部分の散乱及び共振関連厚さ偏差を、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表す。例えば、前述した例のように、入力端111a側における開口113の幅及び高さがそれぞれ360nm及び180nmであり、出力端111b側での開口113の幅及び高さがそれぞれ270nm及び180nmであり、リッジ部114の幅及び高さが何れも90nmである場合、384.6THzの周波数を有する入射ビームのに対して出力端で約100nmのスポットサイズを得るための厚さは、tin=250±10nm、tout=420±10nm及びttp=270±10nmほどに予測される。
【0056】
以上、金属導波路111が90°に曲がっている場合について説明したが、必要に応じて、90°ではない他の角度に曲がる場合にも、本発明の原理はそのまま適用できる。したがって、本発明による金属導波路111は、必ずしも90°に曲がっている場合に限定されず、導波路の内部で光の進行方向を損失なしに変えるいかなる場合にも適用されるであろう。
【0057】
以下で、図20Aないし図20Jを参照して、本発明による90°に曲がっている金属導波路の製造方法の一実施形態について説明する。
【0058】
まず、図20Aを参照すれば、基板10上に金属層11を全体的に積層する。このような積層は、スパッタリングを利用してなされる。次いで、図20Bに示したように、金属層11上にレジスト12をマスキングし、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive−Ion Eetching:RIE)工程を利用して、前記金属層11の一部をエッチングした後、レジスト12を除去する。それにより、図20Cのように、エッチングされない金属層11の残りの部分にリッジ部13が形成される。図20Dは、このように形成されたリッジ部13を示す斜視図である。図20Dに示したように、リッジ部13は、90°に曲がっている形状になっている。このような形状のリッジ部13を形成するために、金属層11上にマスキングされるレジスト12のパターンは、90°に曲がっている形態とならねばならない。
【0059】
次いで、図20Eに示したように、例えば、スピンコーティング方法を利用して、金属層11及びリッジ部13上に全体的に紫外線硬化性樹脂14を一定の高さに塗布する。その後、図20Fのように、前記紫外線硬化性樹脂14上にマスクパターン15を転写し、マスクパターン15の透光部分16を通じて紫外線硬化性樹脂14に紫外線(UV)を照射する。このような方式で紫外線の照射を受けた前記紫外線硬化性樹脂14の一部分は硬化され、残りの部分は、硬化されない状態に残っている。次いで、硬化されていない状態にある紫外線硬化性樹脂14と、その上に転写されているマスクパターン15とを除去する。それにより、図20Gに示したように、リッジ部13を取り囲むC型開口17が金属層11上に形成される。図20Hは、このように形成されたC型開口17を示す斜視図である。図20Hに示したように、前記C型開口17は、90°に曲がっており、出力端側で幅が狭くなるテーパ構造を有する。このために、図20Fで紫外線硬化性樹脂14上に転写されるマスクパターン15の透光部分16は、図20Hに示されたC型開口17と同じ形態のパターンとならねばならない。
【0060】
最後に、図20Iに示したように、例えば、スパッタリング方法を利用して、前記C型開口17上に再び金属層18を積層する。これにより、本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路を製造しうる。図20Jは、このような方法で完成された本発明による金属導波路の斜視図を示す。
【0061】
前述した製造方法を通じて分かるように、本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路は、例えば、通常的な磁気ヘッドの製造工程のようなプレーナ工程によって製作可能である。したがって、本発明による金属導波路をHAMRヘッドに採用する場合、前記ヘッドの製造時に一括製造工程上で共に製造することが可能である。したがって、金属導波路のための別の製造工程及び組立作業が要求されない。
【0062】
図21は、前述した90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路を採用した本発明の一実施形態によるHAMRヘッドの概略的な構造を示す斜視図である。図21を参照すれば、本実施形態によるHAMRヘッド100は、磁気記録媒体(図示せず)に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射する光伝送モジュール110と、を備える。また、前記HAMRヘッド100は、記録された情報を読み取るための再生素子180と、前記再生素子180に漂遊フィールドが入射することを防止するために、再生素子180の両面に配された遮蔽層160,170と、をさらに備えうる。
【0063】
前記磁気記録部は、メインポール120、リターンポール125、誘導コイル130及びサブヨーク150を備える。ここで、メインポール120は、磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成する役割を行う。そして、リターンポール125は、メインポール120の一面から離隔配置され、メインポール120と磁気的に連結されて磁路を形成する。また、誘導コイル130は、前記メインポール120に磁場を誘導する役割を行う。一方、サブヨーク150は、メインポール120の他面に配され、前記メインポール120の端部に磁束を集束することを補助する。
【0064】
光伝送モジュール110は、磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための手段である。図1に詳細に示したように、前記光伝送モジュール110は、磁気記録媒体に光を照射するためのC型開口を有する金属導波路111と、外部の光源118(図1参照)から供給された光を、金属導波路111に伝達するポリマー導波路115とを備える。前記光伝送モジュール110及び金属導波路111の詳細な構成は、前述した通りである。
【0065】
本発明によれば、前記光伝送モジュール110は、磁気記録媒体に情報が記録される直前に光を照射できるように、メインポール120に隣接して配されることが望ましい。図21に示したように、メインポール120は、サブヨーク150の上面でメインポール120の端部が前記サブヨーク150から突出するように配されている。そして、光伝送モジュール110は、前記サブヨーク150の側面でメインポール120と遮蔽層160との間の空間に配される。このような空間は、従来の磁気記録ヘッドの構造でも容易に確保されるので、従来の磁気記録ヘッドの薄膜の製造工程を大きく変更せず、本発明によるHAMRヘッドの製造が可能である。ここで、光伝送モジュール110の金属導波路111とポリマー導波路115とは、サブヨーク150と同じ層に積層されて形成されることが望ましい。したがって、光伝送モジュール110とサブヨーク150との厚さ差を補正するために、前記光伝送モジュール150は、マウント140上に装着される。
【0066】
図21には図示されていないが、図1のように、前記光伝送モジュール110のポリマー導波路115の入力端は、光ファイバ117と結合されていて、光源118で発生した光が光ファイバ117を通じてポリマー導波路115に伝えられる。前記ポリマー導波路115に伝送された光は、x方向に進行した後、金属導波路111に伝達される。本発明によるHAMRヘッド100で光伝送モジュール110が磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するためには、光伝送モジュール100から出力される光がメインポール120の端部と同じ方向(すなわち、−z方向)に進行せねばならない。このために、前記金属導波路111は、90°に曲がっているC型開口113を備えている。したがって、金属導波路111に伝達された光は、進行方向を90°に変えて磁気記録媒体に向かって出射される。前述したように、本発明による金属導波路111は、光をほとんど損失なしに伝達するだけでなく、テーパ構造の出力端を利用して、出力光のスポットを小さくしうる。
【0067】
このような方式で前記光伝送モジュール110は、強化された小さいスポットの近接場光を磁気記録媒体に提供しうる。それにより、光伝送モジュール110から照射される小さいスポットの光によって磁気記録媒体が局所的に加熱され、これにより、磁気記録媒体の記録層の保磁力が劣化する。その結果、磁気記録媒体は、メインポール120で発生する磁場の強度が大きくなくても、容易に磁気記録され、保磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用できて、記録密度を向上させうる。
【0068】
前述した説明で多くの事項が具体的に記載されているが、これは、発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。例えば、当業者ならば、前記HAMRヘッド100で構成要素の位置を異ならせてもよく、構成要素の種類をさらに多様化させてもよい。
【0069】
さらに、これまで本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路111及び光伝送モジュール110がHAMRヘッドに採用された場合について例を挙げて説明したが、これに必ずしも限定されるものではない。本発明による前記金属導波路及び光伝送モジュールは、小さい光スポット及び高い光強度を有する光学手段として、HAMRだけでなく、単分子検出、分光学、ナノ粒子操作とシングル量子ドット、ナノ粒子やナノワイヤのようなナノ物質研究分野及び超高密度保存装置分野のような多様な応用分野を有している。
【0070】
例えば、生化学分野の場合において、分子レベルの研究のためのマイクロスコピー、分光学及び光操作分野は、高い空間分解能を有する近接場プローブを必要とする。このとき、近接場プローブの設置場所が制限される場合にも、本発明による金属導波路と光伝送モジュールとを近接場プローブに採用することによって設置を容易にしうる。
【0071】
さらに他の例として、光保存装置において、半導体レーザの前端に小型開口を有する超小型開口レーザ(Very Small Aperture Laser:VSAL)装置にも、本発明による金属導波路と光伝送モジュールとが適用されて、光保存装置の記録密度及び再生速度を大きく向上させうる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、磁気記録ヘッド関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
110 光伝送モジュール
111 金属導波路
115 ポリマー導波路
115a 入力端
115b 出力端
117 光ファイバ
118 光源
140 マウント
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型開口を有する90°に曲がっている金属導波路、該導波路の製造方法、該導波路を利用した光伝送モジュール及び該導波路を採用した熱補助磁気記録ヘッドに係り、さらに詳細には、強化された近接場を具現し、かつ集積型に製作可能なC型開口を有する90°に曲がっている導波路、該導波路の製造方法、該導波路を利用した光伝送モジュール及び該導波路を採用した高密度記録の可能な熱補助磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ヘッド分野において、磁気記録の高密度化のための研究が持続されている。現在、水平磁気記録の場合、インチ当たり約100ギガビット(100Gbit/in2)の記録密度が達成され、垂直磁気記録の場合には、それ以上の記録密度も可能である。しかし、磁気記録技術には、基本的に超磁性効果によって記録ビットの熱的不安定性が存在するため、高記録密度化に限界がある。
【0003】
記録媒体の熱的安定性を得ようとすれば、熱エネルギーに対する磁気異方性エネルギーの比が大きくならねばならず、磁気異方性エネルギーを大きくしようとすれば、磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用せねばならない。一方、保磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用する場合、記録のために、それだけ大きい磁場が必要になる。しかし、記録密度の向上のために、小さいサイズの記録ヘッドを使用する場合、メインポール部分の磁場が一定レベルで飽和されるので、発生する磁場の大きさの限界によって、記録不可能な問題が発生する。
【0004】
このような問題を解決するために、熱補助磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:HAMR)方式が研究されている。HAMR方式とは、記録媒体の極小部位をキュリー(Curie)温度近くに加熱して、該当位置の保磁力を一時的に減少させた後に記録を行う方式であって、既存の磁気記録方式に比べて、記録のために必要な磁場の大きさを減らせる。このようなHAMR方式で、データが記録される領域は、キュリー温度に近く加熱された部分であるため、記録密度は、磁場を発生させる磁極(ポール)の大きさによるのではなく、加熱される部分の幅によって決定される。例えば、加熱手段がレーザダイオードである場合、レーザダイオードから照射されるレーザ光のスポットサイズによってデータ記録密度が決定される。
【0005】
これにより、HAMRヘッドは、記録媒体にレーザ光を照射するための光伝送モジュールが要求される。光伝送モジュールは、メインポールに隣接した位置まで光を伝達し、記録媒体に結ばれる光スポットのサイズを小さくしつつ、高い光度を有させる。このような光伝送モジュールは、光源、導波路及び小型開口を備え、メインポールに隣接した小さい空間に集積される。しかし、従来の磁気ヘッドの構造を大きく変えないためには、光伝送モジュールの配される位置が制限される。例えば、光源から小型開口まで光を伝達する導波路は、メインポールに垂直に配されねばならないが、この場合、導波路の方向は、メインポールの端部に隣接して配される小型開口の方向と90°の差が生じる。したがって、導波路と小型開口との間には、90°の方向転換の可能な光学要素が必要である。このような光学要素として、ミラーを採用しうるが、薄膜に製造される従来の磁気ヘッド上に、このような体積を有する(bulky)構造の光学要素を集積することは、現実的に難しいという問題点がある。
【0006】
さらに、前記光伝送モジュールは、既存の磁気ヘッド工程のような一括工程内で製作されることが望ましい。このためには、例えば、175℃以下の低温工程で製作可能であり、プレーナ工程によって製作可能な導波路及び小型開口が要求される。
【0007】
一方、小型開口は、導波路を通じて伝送された光を記録媒体の記録層に伝達する。このとき、高記録密度を達成するためには、記録層に伝えられる光は、スポットサイズが小さく、かつ記録層をキュリー温度近くに加熱できる高い光度を有さねばならない。一般的に、スポットのサイズは、小型開口のサイズによって決定される。開口のサイズが小さいほど、さらに大きい記録密度の向上が期待される。しかし、開口のサイズが入射光の波長より過度に小さくなれば、開口のパワー効率が大きく低下する。例えば、半径がrである円形開口の場合、rが入射光の波長の1%以下であるとき、開口のパワー効率は、r4の割合で低下する。すなわち、小型開口を小さくすれば、高い空間分解能は実現されるが、パワー効率が過度に低下して、HAMRヘッドへの適用に限界がある。
【0008】
これにより、このような低い透過効率の問題を解決するための近接場光学プローブについての研究が進められており、多様な形態の小型開口を有するプローブが提案されている。しかし、高い透過率と高い解像度とを同時に得られ、HAMRヘッドへの適用に適当な信頼性・再現性のある近接場プローブは、まだ開発されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高い強度及び小さいスポットサイズを有する光を出力できる開口を有し、別途の光学要素なしに光を90℃に方向転換できる金属導波路を提供することである。また、本発明の他の目的は、前記導波路の製造方法、前記導波路を利用した光伝送モジュール及び前記導波路を採用したHAMRヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、tin=0.25λ±△tres,αを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0012】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、ttp=0.25λ±△tres,γを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の類型による開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinと開口の幅が狭くなるテーパ部での金属導波路の厚さttpとを固定した状態で、全体金属導波路に対する厚み共振分析を通じて入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0014】
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、tout=0.5λ±△tres,βを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,βは、開口が曲がっている部分での散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする。
【0015】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0016】
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、前記入力端から曲がる前までの金属導波路部分に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする。
【0017】
前記金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする。
前記開口の内部は、空気または誘電体で満たされることを特徴とする。
【0018】
前記リッジ部の幅及び高さは、一定に維持されることを特徴とする。
本発明の他の類型による光伝送モジュールは、上記の金属導波路である第1金属導波路と、光源から伝送された光を前記第1金属導波路に伝達する第2導波路と、を備えることを特徴とする。
【0019】
前記第2導波路は、高さより幅がさらに大きい扁平な形態を有し、入力端の幅が出力端の幅より広いテーパ構造を有することを特徴とする。
【0020】
前記第2導波路とのプロファイルマッチングのために、前記第1金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする。
【0021】
前記第2導波路は、ポリマー導波路であることを特徴とする。
本発明の他の類型による熱補助磁気記録ヘッドは、磁気記録媒体に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、上記の光伝送モジュールと、を備え、前記光伝送モジュールは、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射することを特徴とする。
【0022】
前記磁気記録部は、磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成するメインポールと、前記メインポールの一面に対向するように配されて、メインポールと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールと、前記メインポールに磁場を誘導する誘導コイルと、前記メインポールの他面に配されて、前記メインポールの端部に磁束を集束することを補助するサブヨークと、を備えることを特徴とする。
【0023】
前記光伝送モジュールは、前記サブヨークの側面で前記メインポールの他面に対向する位置に配されたことを特徴とする。
【0024】
前記第1金属導波路の出力端は、前記メインポールの端部と同じ方向に配されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路は、次のような効果を有する。
【0026】
第一に、テーパ構造のポリマー導波路とのプロファイルマッチングが可能に入力端の幅が広い構造で設計されて結合損失を最小化しうる。
【0027】
第二に、90°に曲がっている構造を採用することによって、ミラーのような別途の光学要素なしに超小型構造でビームの方向を90°に転換しうる。
【0028】
第三に、出力端にテーパ構造のC型開口を採用することによって、出力端で小さいスポットサイズ及び適切なスポット形状を有しうる。
【0029】
第四に、前述した性能を有すると同時に、C型開口の有するフィールド強化特性をそのまま維持しうる。
【0030】
第五に、本発明による金属導波路は、低温のプレーナ工程によって製造可能であるので、既存の磁気記録ヘッドと共に一括製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による光伝送モジュールの構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の概略的な構造を示す斜視図である。
【図3】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の断面図である。
【図4】本発明による金属導波路に採用されたC型開口の出力端での寸法を示す断面図である。
【図5】本発明による金属導波路に採用されたC型開口の入力端での寸法を示す断面図である。
【図6】本発明による金属導波路の入力端側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数のグラフである。
【図7】本発明による金属導波路の入力端側の厚さによる光度を示すグラフである。
【図8】1次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図9】2次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図10】3次共振厚さを有する本発明による金属導波路の入力端で開口内部におけるフィールド分布を示す図面である。
【図11】図8に示された1次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図12】図9に示された2次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図13】図10に示された3次厚み共振において、本発明に他の金属導波路の入力端を通過した後の光スポットの形状を示す図面である。
【図14】本発明による金属導波路で採用されたC型開口のテーパ構造の出力端を示す斜視図である。
【図15】本発明による金属導波路の出力端側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数のグラフである。
【図16】本発明による金属導波路の出力端側でC型開口の厚さによる電場強度の変化を示すグラフである。
【図17A】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内におけるフィールド分布を示す図面である。
【図17B】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内における出力光のスポット形態を示す図面である。
【図17C】幅が360nmに一定した広幅のC型開口内におけるフィールド強度を示す図面である。
【図18A】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド分布を示す図面である。
【図18B】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内における出力光のスポット形態を示す図面である。
【図18C】幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド強度を示す図面である。
【図19】最終的に厚み共振分析を行った結果を示すグラフである。
【図20A】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20B】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20C】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20D】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20E】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20F】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20G】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20H】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20I】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図20J】本発明によるテーパ構造のC型開口を有する90°に曲がっている金属導波路の製造過程を示す図面である。
【図21】本発明の一実施形態によるHAMRヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の望ましい実施形態による光伝送モジュール110の構造を概略的に示す斜視図である。図1を参照すれば、本発明による光伝送モジュール110は、マウント140(図21)上に配されたテーパ構造のポリマー導波路115と、前記ポリマー導波路115と結合された90°に曲がっている金属導波路111と、を備えている。ポリマー導波路115の入力端115aは、例えば、光ファイバ117と直接端カップリングまたはバットカップリング方式で結合される。そして、ポリマー導波路115の出力端115bは、前記金属導波路111と結合される。したがって、光源118から光ファイバ117を通じてポリマー導波路115の入力端115aに伝えられた光は、ポリマー導波路115の出力端115bを通じて金属導波路111に伝えられる。
【0033】
ここで、光源118としてレーザダイオードを使用する場合、光源118とポリマー導波路115との結合効率を最大にするためには、二つの要素間の距離を最小化せねばならないだけでなく、レーザダイオードの活性層と導波路のガイディング層との間にプロファイルマッチングがなされねばならない。レーザダイオードが理想的な単一モード発振を行うレーザダイオードである場合、レーザダイオードから出射される光は、接合面に平行な成分を有する直線偏光となる。しかし、実際には、接合面に垂直である偏光成分も存在するため、一般的なレーザダイオードから出射する光で平行な偏光成分と垂直な偏光成分との間の偏光比は、約100となる。したがって、本発明の望ましい実施形態によるポリマー導波路115は、レーザダイオードの活性層とのプロファイルマッチングのために、図1に示したように、幅Wが高さHより大きい扁平な形態を有することが望ましい。
【0034】
また、本発明の望ましい実施形態によるポリマー導波路115は、光源118側との結合損失を最小化するために、図1に示したように、入力端115aの幅が出力端115bの幅より広いテーパ構造を有することが望ましい。
【0035】
一方、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の構造は、図2及び図3に詳細に示されている。図2及び図3を参照すれば、本発明の望ましい実施形態による金属導波路111は、開口113が内部に形成された金属112で形成される。ここで、金属112としては、例えば、導電性に優れた金(Au)を使用しうる。また、開口113の内部は、空気または誘電体で満たされる。例えば、透光性を有する樹脂で開口113を形成しうる。
【0036】
また、本発明によれば、図2及び図3に示したように、入力端111aでの開口113の方向と出力端111bでの開口113の方向とが相互に直角をなしている。このとき、ミラーのような別途の光学要素なしに光の進行方向を90°転換するために、前記開口113の断面は、C型構造でなされる。このために、開口113を形成する金属112の内面には、一定の幅及び高さを有するリッジ部114が突出して形成されている。
【0037】
また、本発明による90°に曲がっている金属導波路111と前述したポリマー導波路115との結合損失を最小化するために、前記金属導波路111の入力端111aとポリマー導波路115の出力端115bとの間にプロファイルマッチングがなされねばならない。このために、前記金属導波路111もポリマー導波路115と同様に、幅W’が高さH’より大きい扁平な構造を有することが望ましい。そして、出力端111bで小さなサイズの光スポットを得るために、前記開口113は、90°に曲がった後、出力端111bの所定の位置から幅が次第に狭くなるテーパ構造を有することが望ましい。
【0038】
このような金属導波路111の構造で追加的に考慮されねばならないのは、結合損失の最小化のためにポリマー導波路115がテーパ構造を有するので、前記導波路115と磁気記録媒体(図示せず)との干渉を避けるために、90°に曲がっている部分からテーパ構造までの金属導波路111の厚さtoutが、90°に曲がる前の金属導波路111の入力端111aの厚さtinより大きく設計されねばならないという点である。ここで、金属導波路111の厚さは、光の進行方向を基準に定義される。
【0039】
また、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の構造は、前述した条件を満足すると同時に、フィールド強化特性を満足する特定の共振条件に合うように決定されねばならない。一般的に、開口が設けられた金属板に光が入射される場合、光が金属板の開口を通過するためには、透過共振条件を満足せねばならない。透過共振は、開口の入力端側及び出力端側からそれぞれ発生する金属板の電荷及び電流の集合的な表面共振に起因する。透過共振条件を満足する入射光は、金属板の開口でフィールド強化されることにより、透過率の急激な低下なしに後方散乱される。また、金属板の厚さが厚くなれば、開口内部にも追加的な電荷及び電流の振動がある。したがって、この場合、他の様相の厚み共振が存在する。その結果、金属板の開口における全体的な透過及びフィールド強化は、表面共振だけでなく、厚み共振の相互作用によって決定される。このような厚み共振は、開口に沿って厚さ方向に透過される光が定常波をなす時になされる。したがって、金属板が一定の厚さ以上に厚い場合、前記金属板の開口に入射される光が円滑に透過されるためには、金属板及び光は、所定の厚み共振条件を満足せねばならない。
【0040】
このために、本発明による90°に曲がっている金属導波路111は、次のような順序によって設計される必要がある。すなわち、まず、ポリマー導波路115との結合損失を最小化するために、金属導波路111の入力端111aにおける最適の共振厚さtinを決定する。次いで、光スポットのサイズを小さくし、所望の形状の光スポットを得るために、金属導波路111のテーパ構造の出力端111bにおける最適の共振厚さttpを決定する。最後に、光路が曲がる部分における損失を最小化するために、金属導波路111が曲がる前後部分における最適の共振厚さtoutを決定する。
【0041】
以下では、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の各部分における最適の厚さtin、ttp及びtoutを決定する過程について詳細に説明する。
【0042】
まず、金属導波路111の入力端111a側の厚さtinを決定する過程について説明する。ここで、図4に示したように、前記金属導波路111の出力端111b側で、開口113の幅は270nmであり、高さは180nmである。また、リッジ部114の幅及び高さは、何れも90nmである。そして、図5に示したように、ポリマー導波路115との結合損失を減らすために、金属導波路111の入力端111a側では、開口113の幅を360nmに伸ばした。しかし、開口113の高さは、そのまま180nmを維持する。リッジ部114の場合、入力端111a側の幅及び高さは、出力端111bと同じ90nmである。
【0043】
このような構造で、金属導波路111の入力端111a側の厚さ変化による開口共振特性を示す周波数応答関数(Frequency Response Fuction:FRF)のグラフが図6に示されている。図6のグラフに示したように、開口113の形状と関連した開口共振周波数は、厚さによる周波数値の変化がほとんどなく、サイズのみが急激に大きくなり、厚さが950nmになれば、それ以上存在しなくなる。また、厚さの増大によって、以前に存在していない新たな周波数が出現し、厚さによって、周波数値に大きい変化を示す。新たに出現するかかる周波数は、厚み共振周波数である。
【0044】
ここで、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致すれば、C型開口を有する導波路の内部を通じて入力端の光子が容易に移動し、これにより、フィールド強化特性を示す。図6のグラフから分かるように、図5のような広い幅のC型開口を有する導波路111は、例えば、入射ビームの周波数が384.6THz(すなわち、λ=780nm)であるとき、厚さ250nm、630nm及び1000nmで入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致する。したがって、金属導波路111の入力端111a側は、前記のような厚さに設計されてこそフィールド強化特性を示す。
【0045】
一方、下記表1は、開口113の幅による厚み共振周波数の変化を示す。表1を通じて分かるように、幅が増大すれば、それぞれの共振周波数値が下がる様相を示している。また、図7及び表2に提示されたように、厚み共振がおきる厚さで電場強度が最大となることが確認でき、共振次数が増加するほど、電場強度の値が少しずつ下がる様相を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
また、図8ないし図10は、共振厚さを有する導波路111の入力端111aでの開口113の内部におけるフィールド分布を示す。図面から分かるように、厚さが増大するにつれて、開口113の内部で伝播される光のパターンが複雑になる様相を示す。図8に示したように、1次厚み共振では、入出力端にのみフィールドが限定されている。しかし、図9及び図10に示したように、2次及び3次厚み共振では、フィールドの集中する部分が入出力端以外にも、開口113の内部でそれぞれ1個及び2個追加される。したがって、厚み共振がおきる場合、開口113の内部を進行する光が開口113の内部で定常波を形成するということが分かる。一方、図11ないし図13は、それぞれ図8ないし図10に示した1次ないし3次厚み共振で、導波路111の入力端111aを通過した後、40nm離隔された位置に形成された光スポットの形状を示している。本発明によれば、前記光スポットの形状及びサイズは、何れも約140nm×150nmであってほぼ同じであり、但し、光度にのみ差がある。
【0049】
次いで、金属導波路111のテーパ構造の出力端111bでの厚さttpを決定する過程を説明する。前述したように、入力端111aでは、ポリマー導波路115とのプロファイルマッチングのために広い開口幅が必要であるが、出力端111bでは、光スポットのサイズを小さくし、適切な形状に作るために、異なる形態の開口113が選択されねばならない。すなわち、開口113の幅をさらに狭くする必要がある。したがって、図14に示したように、本発明による金属導波路111は、90°に曲がった後、出力端111b側でテーパ構造のC型開口113を有することが望ましい。例えば、図14のようなテーパ構造のC型開口113の入力側113aは、幅が360nmであり、出力側113bは、幅が270nmでありうる。
【0050】
図14のようなテーパ構造を有するC型開口113の厚さttpも、共振厚さを考慮して決定せねばならない。前記テーパ構造を有するC型開口113の入力側113aの幅が360nm、出力側113bの幅が270nmであり、入射ビームの波長が384.6THzである場合に対して、厚さによる共振周波数の変化を図15に示している。図15のグラフから分かるように、テーパ構造のC型開口113の第1共振厚さは、約270nmであるということが分かる。したがって、90°に曲がっている金属導波路111の出力端111bにテーパ構造のC型開口113を採用する場合、前記テーパ構造の出力端111bの厚さttpは、約270nmに設計されることが望ましい。
【0051】
図16は、C型開口の厚さによる電場強度の変化を示すグラフである。図16で、‘−●−’で表示された曲線は、幅が360nmであり、一定の広幅のC型開口に対するものであり、‘−▲−’で表示された曲線は、出力端で幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口に対するものである。図16のグラフから分かるように、広幅のC型開口に比べて、テーパ構造のC型開口は、共振厚さで電場強度が約37%向上する。これは、テーパ構造のC型開口の場合、厚さ方向に幅が小さくなりつつ、出力端でリッジ部にフィールドが集中するためであると判断される。
【0052】
図17Aないし図17Cは、それぞれ幅が360nmであり、一定の拡幅のC型開口内におけるフィールド分布、出力光のスポット形態及び強度を表し、図18Aないし図18Cは、それぞれ幅が270nmに狭くなるテーパ構造のC型開口内におけるフィールド分布、出力光のスポット形態及び強度を表す。図17A及び図18Aを比較するとき、一定の幅のC型開口は、厚さが250nmであり、テーパ構造のC型開口は、それより20nm伸びた270nmであるが、開口内部におけるフィールド分布は、類似していることが確認できる。しかし、図17B及び図18Bを比較するとき、出力光のスポットは、テーパ構造のC型開口の場合にさらに小さくなる。具体的に、x方向のスポットサイズは、一定の幅のC型開口の場合に、140nmである一方、テーパ構造のC型開口の場合に、120nmに小さくなる。y方向のスポットサイズは、二つの場合とも150nmで同じであるが、これは、y方向のスポットサイズがリッジ部114の幅によって決定されるためである。すなわち、リッジ部114の幅は、90nmで一定しているため、テーパ構造のC型開口の場合にも、y方向のスポットサイズには、差がない。したがって、y方向のスポットサイズを調節するためには、開口113の幅ではないリッジ部114の幅を設計変更すればよい。また、図17C及び図18Cを比較すれば、テーパ構造のC型開口の場合に、x方向に幅が狭く、強度がさらに大きい光スポットが得られるということが分かる。
【0053】
前記のような過程を通じて、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の入力端111a側の厚さtinと、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpとが決定できた。最後に、90°に曲がっている部分からテーパ構造の出力端111bまでの金属導波路111の厚さtoutを決定する。この過程もやはり、前述した厚み共振分析を通じて行えばよい。但し、金属導波路111の入力端111a側の厚さtinと、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpとを決定する場合には、各部分を分離した状態で個別的に厚み共振分析を行ったが、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutを決定する過程は、前記厚さtin及びttpを特定の値に固定した状態で厚さtoutを変化させつつ、金属導波路111の全体に対して厚み共振分析を行う。例えば、波長が384.6THzである光を使用する場合に、入力端111a側の厚さtinを250nmに選択し、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpを270nmに選択した状態で、金属導波路111の全体に対する厚み共振分析を行うことによって、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutを決定しうる。
【0054】
図19は、このような方式で厚み共振分析を行った結果を示すグラフである。図19で、太い実線で表示したものは、厚さtoutが420nmである場合であり、細い実線で表示したものは、厚さtoutが250nmである場合である。そして、点線で表示したものは、90°に曲がっている部分なしに380nm厚さの入力端と270nm厚さのテーパ構造の出力端とで金属導波路が構成された比較例の場合である。図19から分かるように、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutが420nmである場合に、共振周波数が入射ビームの周波数と一致する結果を得た。このような方式で設計された本発明による90°に曲がっている金属導波路111の出力端で最終的に電場強度を測定した結果、出力光スポットが約13.0104V2/m2の高い値を有することが確認できた。すなわち、90°に曲がっている金属導波路111を通過しつつも、フィールドのサイズが小さくならず、フィールド強化特性が維持されるということが分かる。
【0055】
前述した内容を総合的に考慮するとき、本発明による90°に曲がっている金属導波路111の設計時に、90°に曲がる前までの入力端111a側の厚さtinは、ほぼtin=0.25λ±△tres,αを満足し、90°に曲がっている部分からテーパ構造の部分までの厚さtoutは、ほぼtout=0.5λ±△tres,βを満足し、テーパ構造の出力端111b側の厚さttpは、概略的にttp=0.25λ±△tres,γを満足すると見られる。ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表し、△tres,βは、90°に曲がっている部分の散乱及び共振関連厚さ偏差を、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表す。例えば、前述した例のように、入力端111a側における開口113の幅及び高さがそれぞれ360nm及び180nmであり、出力端111b側での開口113の幅及び高さがそれぞれ270nm及び180nmであり、リッジ部114の幅及び高さが何れも90nmである場合、384.6THzの周波数を有する入射ビームのに対して出力端で約100nmのスポットサイズを得るための厚さは、tin=250±10nm、tout=420±10nm及びttp=270±10nmほどに予測される。
【0056】
以上、金属導波路111が90°に曲がっている場合について説明したが、必要に応じて、90°ではない他の角度に曲がる場合にも、本発明の原理はそのまま適用できる。したがって、本発明による金属導波路111は、必ずしも90°に曲がっている場合に限定されず、導波路の内部で光の進行方向を損失なしに変えるいかなる場合にも適用されるであろう。
【0057】
以下で、図20Aないし図20Jを参照して、本発明による90°に曲がっている金属導波路の製造方法の一実施形態について説明する。
【0058】
まず、図20Aを参照すれば、基板10上に金属層11を全体的に積層する。このような積層は、スパッタリングを利用してなされる。次いで、図20Bに示したように、金属層11上にレジスト12をマスキングし、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive−Ion Eetching:RIE)工程を利用して、前記金属層11の一部をエッチングした後、レジスト12を除去する。それにより、図20Cのように、エッチングされない金属層11の残りの部分にリッジ部13が形成される。図20Dは、このように形成されたリッジ部13を示す斜視図である。図20Dに示したように、リッジ部13は、90°に曲がっている形状になっている。このような形状のリッジ部13を形成するために、金属層11上にマスキングされるレジスト12のパターンは、90°に曲がっている形態とならねばならない。
【0059】
次いで、図20Eに示したように、例えば、スピンコーティング方法を利用して、金属層11及びリッジ部13上に全体的に紫外線硬化性樹脂14を一定の高さに塗布する。その後、図20Fのように、前記紫外線硬化性樹脂14上にマスクパターン15を転写し、マスクパターン15の透光部分16を通じて紫外線硬化性樹脂14に紫外線(UV)を照射する。このような方式で紫外線の照射を受けた前記紫外線硬化性樹脂14の一部分は硬化され、残りの部分は、硬化されない状態に残っている。次いで、硬化されていない状態にある紫外線硬化性樹脂14と、その上に転写されているマスクパターン15とを除去する。それにより、図20Gに示したように、リッジ部13を取り囲むC型開口17が金属層11上に形成される。図20Hは、このように形成されたC型開口17を示す斜視図である。図20Hに示したように、前記C型開口17は、90°に曲がっており、出力端側で幅が狭くなるテーパ構造を有する。このために、図20Fで紫外線硬化性樹脂14上に転写されるマスクパターン15の透光部分16は、図20Hに示されたC型開口17と同じ形態のパターンとならねばならない。
【0060】
最後に、図20Iに示したように、例えば、スパッタリング方法を利用して、前記C型開口17上に再び金属層18を積層する。これにより、本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路を製造しうる。図20Jは、このような方法で完成された本発明による金属導波路の斜視図を示す。
【0061】
前述した製造方法を通じて分かるように、本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路は、例えば、通常的な磁気ヘッドの製造工程のようなプレーナ工程によって製作可能である。したがって、本発明による金属導波路をHAMRヘッドに採用する場合、前記ヘッドの製造時に一括製造工程上で共に製造することが可能である。したがって、金属導波路のための別の製造工程及び組立作業が要求されない。
【0062】
図21は、前述した90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路を採用した本発明の一実施形態によるHAMRヘッドの概略的な構造を示す斜視図である。図21を参照すれば、本実施形態によるHAMRヘッド100は、磁気記録媒体(図示せず)に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射する光伝送モジュール110と、を備える。また、前記HAMRヘッド100は、記録された情報を読み取るための再生素子180と、前記再生素子180に漂遊フィールドが入射することを防止するために、再生素子180の両面に配された遮蔽層160,170と、をさらに備えうる。
【0063】
前記磁気記録部は、メインポール120、リターンポール125、誘導コイル130及びサブヨーク150を備える。ここで、メインポール120は、磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成する役割を行う。そして、リターンポール125は、メインポール120の一面から離隔配置され、メインポール120と磁気的に連結されて磁路を形成する。また、誘導コイル130は、前記メインポール120に磁場を誘導する役割を行う。一方、サブヨーク150は、メインポール120の他面に配され、前記メインポール120の端部に磁束を集束することを補助する。
【0064】
光伝送モジュール110は、磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するための手段である。図1に詳細に示したように、前記光伝送モジュール110は、磁気記録媒体に光を照射するためのC型開口を有する金属導波路111と、外部の光源118(図1参照)から供給された光を、金属導波路111に伝達するポリマー導波路115とを備える。前記光伝送モジュール110及び金属導波路111の詳細な構成は、前述した通りである。
【0065】
本発明によれば、前記光伝送モジュール110は、磁気記録媒体に情報が記録される直前に光を照射できるように、メインポール120に隣接して配されることが望ましい。図21に示したように、メインポール120は、サブヨーク150の上面でメインポール120の端部が前記サブヨーク150から突出するように配されている。そして、光伝送モジュール110は、前記サブヨーク150の側面でメインポール120と遮蔽層160との間の空間に配される。このような空間は、従来の磁気記録ヘッドの構造でも容易に確保されるので、従来の磁気記録ヘッドの薄膜の製造工程を大きく変更せず、本発明によるHAMRヘッドの製造が可能である。ここで、光伝送モジュール110の金属導波路111とポリマー導波路115とは、サブヨーク150と同じ層に積層されて形成されることが望ましい。したがって、光伝送モジュール110とサブヨーク150との厚さ差を補正するために、前記光伝送モジュール150は、マウント140上に装着される。
【0066】
図21には図示されていないが、図1のように、前記光伝送モジュール110のポリマー導波路115の入力端は、光ファイバ117と結合されていて、光源118で発生した光が光ファイバ117を通じてポリマー導波路115に伝えられる。前記ポリマー導波路115に伝送された光は、x方向に進行した後、金属導波路111に伝達される。本発明によるHAMRヘッド100で光伝送モジュール110が磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するためには、光伝送モジュール100から出力される光がメインポール120の端部と同じ方向(すなわち、−z方向)に進行せねばならない。このために、前記金属導波路111は、90°に曲がっているC型開口113を備えている。したがって、金属導波路111に伝達された光は、進行方向を90°に変えて磁気記録媒体に向かって出射される。前述したように、本発明による金属導波路111は、光をほとんど損失なしに伝達するだけでなく、テーパ構造の出力端を利用して、出力光のスポットを小さくしうる。
【0067】
このような方式で前記光伝送モジュール110は、強化された小さいスポットの近接場光を磁気記録媒体に提供しうる。それにより、光伝送モジュール110から照射される小さいスポットの光によって磁気記録媒体が局所的に加熱され、これにより、磁気記録媒体の記録層の保磁力が劣化する。その結果、磁気記録媒体は、メインポール120で発生する磁場の強度が大きくなくても、容易に磁気記録され、保磁力の大きい材料を磁気記録媒体に使用できて、記録密度を向上させうる。
【0068】
前述した説明で多くの事項が具体的に記載されているが、これは、発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。例えば、当業者ならば、前記HAMRヘッド100で構成要素の位置を異ならせてもよく、構成要素の種類をさらに多様化させてもよい。
【0069】
さらに、これまで本発明による90°に曲がっているC型開口を有する金属導波路111及び光伝送モジュール110がHAMRヘッドに採用された場合について例を挙げて説明したが、これに必ずしも限定されるものではない。本発明による前記金属導波路及び光伝送モジュールは、小さい光スポット及び高い光強度を有する光学手段として、HAMRだけでなく、単分子検出、分光学、ナノ粒子操作とシングル量子ドット、ナノ粒子やナノワイヤのようなナノ物質研究分野及び超高密度保存装置分野のような多様な応用分野を有している。
【0070】
例えば、生化学分野の場合において、分子レベルの研究のためのマイクロスコピー、分光学及び光操作分野は、高い空間分解能を有する近接場プローブを必要とする。このとき、近接場プローブの設置場所が制限される場合にも、本発明による金属導波路と光伝送モジュールとを近接場プローブに採用することによって設置を容易にしうる。
【0071】
さらに他の例として、光保存装置において、半導体レーザの前端に小型開口を有する超小型開口レーザ(Very Small Aperture Laser:VSAL)装置にも、本発明による金属導波路と光伝送モジュールとが適用されて、光保存装置の記録密度及び再生速度を大きく向上させうる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、磁気記録ヘッド関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
110 光伝送モジュール
111 金属導波路
115 ポリマー導波路
115a 入力端
115b 出力端
117 光ファイバ
118 光源
140 マウント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、tin=0.25λ±△tres,αを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする、金属導波路。
【請求項2】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする、金属導波路。
【請求項3】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、ttp=0.25λ±△tres,γを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする請求項2に記載の金属導波路。
【請求項4】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinと開口の幅が狭くなるテーパ部での金属導波路の厚さttpとを固定した状態で、全体金属導波路に対する厚み共振分析を通じて入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする、金属導波路。
【請求項5】
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、tout=0.5λ±△tres,βを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,βは、開口が曲がっている部分での散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする請求項4に記載の金属導波路。
【請求項6】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする請求項4または5に記載の金属導波路。
【請求項7】
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、前記入力端から曲がる前までの金属導波路部分に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする請求項1ないし6のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項8】
前記金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする請求項1ないし7のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項9】
前記開口の内部は、空気または誘電体で満たされることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項10】
前記リッジ部の幅及び高さは、一定に維持されることを特徴とする請求項1ないし9のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項11】
請求項1ないし10のうち何れか1項に記載の金属導波路である第1金属導波路と、
光源から伝送された光を前記第1金属導波路に伝達する第2導波路と、を備えることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項12】
前記第2導波路は、高さより幅がさらに大きい扁平な形態を有し、入力端の幅が出力端の幅より広いテーパ構造を有することを特徴とする請求項11に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
前記第2導波路とのプロファイルマッチングのために、前記第1金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする請求項11または12に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
前記第2導波路は、ポリマー導波路であることを特徴とする請求項11ないし13の何れか1項に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
磁気記録媒体に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、請求項11ないし14の何れか1項に記載の光伝送モジュールと、を備え、
前記光伝送モジュールは、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射することを特徴とする熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項16】
前記磁気記録部は、
磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成するメインポールと、
前記メインポールの一面に対向するように配されて、メインポールと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールと、
前記メインポールに磁場を誘導する誘導コイルと、
前記メインポールの他面に配されて、前記メインポールの端部に磁束を集束することを補助するサブヨークと、を備えることを特徴とする請求項15に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項17】
前記光伝送モジュールは、前記サブヨークの側面で前記メインポールの他面に対向する位置に配されたことを特徴とする請求項16に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項18】
前記第1金属導波路の出力端は、前記メインポールの端部と同じ方向に配されたことを特徴とする請求項16または17に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項1】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、tin=0.25λ±△tres,αを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,αは、前方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする、金属導波路。
【請求項2】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする、金属導波路。
【請求項3】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、ttp=0.25λ±△tres,γを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,γは、後方散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする請求項2に記載の金属導波路。
【請求項4】
開口が内部に形成された導電性金属からなる金属導波路において、
前記開口は、入力端と出力端との間で光の進行方向を変えるように曲がっている構造を有し、前記曲がっている部分と出力端との間で出力端側に幅が次第に狭くなるテーパ構造を有し、前記開口を形成する金属の内面にリッジ部が突出して形成されることによって、前記開口がC型の形状を有し、
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinと開口の幅が狭くなるテーパ部での金属導波路の厚さttpとを固定した状態で、全体金属導波路に対する厚み共振分析を通じて入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする、金属導波路。
【請求項5】
前記開口が曲がっている部分から開口の幅が狭くなるテーパ部までの金属導波路の厚さtoutは、tout=0.5λ±△tres,βを満足し、ここで、λは、光の波長を表し、△tres,βは、開口が曲がっている部分での散乱及び共振関連厚さ偏差を表すことを特徴とする請求項4に記載の金属導波路。
【請求項6】
開口の幅が狭くなるテーパ部で、前記金属導波路の厚さttpは、前記金属導波路のテーパ部に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする請求項4または5に記載の金属導波路。
【請求項7】
前記金属導波路の入力端から曲がる前までの厚さtinは、前記入力端から曲がる前までの金属導波路部分に対する厚み共振分析を通じて、入射ビームの周波数と厚み共振周波数とが一致するように決定されることを特徴とする請求項1ないし6のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項8】
前記金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする請求項1ないし7のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項9】
前記開口の内部は、空気または誘電体で満たされることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項10】
前記リッジ部の幅及び高さは、一定に維持されることを特徴とする請求項1ないし9のうち何れか1項に記載の金属導波路。
【請求項11】
請求項1ないし10のうち何れか1項に記載の金属導波路である第1金属導波路と、
光源から伝送された光を前記第1金属導波路に伝達する第2導波路と、を備えることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項12】
前記第2導波路は、高さより幅がさらに大きい扁平な形態を有し、入力端の幅が出力端の幅より広いテーパ構造を有することを特徴とする請求項11に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
前記第2導波路とのプロファイルマッチングのために、前記第1金属導波路及びその内部の開口は、高さより幅がさらに大きいことを特徴とする請求項11または12に記載の光伝送モジュール。
【請求項14】
前記第2導波路は、ポリマー導波路であることを特徴とする請求項11ないし13の何れか1項に記載の光伝送モジュール。
【請求項15】
磁気記録媒体に情報を記録するための磁場を形成する磁気記録部と、請求項11ないし14の何れか1項に記載の光伝送モジュールと、を備え、
前記光伝送モジュールは、前記磁気記録媒体の記録予定領域を加熱するために光を照射することを特徴とする熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項16】
前記磁気記録部は、
磁気記録媒体を磁化させる磁場を形成するメインポールと、
前記メインポールの一面に対向するように配されて、メインポールと磁気的に連結されて磁路を形成するリターンポールと、
前記メインポールに磁場を誘導する誘導コイルと、
前記メインポールの他面に配されて、前記メインポールの端部に磁束を集束することを補助するサブヨークと、を備えることを特徴とする請求項15に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項17】
前記光伝送モジュールは、前記サブヨークの側面で前記メインポールの他面に対向する位置に配されたことを特徴とする請求項16に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【請求項18】
前記第1金属導波路の出力端は、前記メインポールの端部と同じ方向に配されたことを特徴とする請求項16または17に記載の熱補助磁気記録ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図14】
【図15】
【図16】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図21】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図14】
【図15】
【図16】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図21】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【公開番号】特開2012−256054(P2012−256054A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151192(P2012−151192)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2008−68116(P2008−68116)の分割
【原出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(508012194)シーゲート テクノロジー インターナショナル (3)
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology International
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2008−68116(P2008−68116)の分割
【原出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(508012194)シーゲート テクノロジー インターナショナル (3)
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology International
【Fターム(参考)】
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