説明

テープ状部材のテンション測定方法、テンション測定装置、テープ繰出し装置、テープ印刷装置およびカートリッジ検査装置

【課題】テープ状部材を走行させることなくテンションを精度良く測定することのできるテープ状部材のテンション測定方法、テンション測定装置、テープ繰出し装置、テープ印刷装置およびカートリッジ検査装置を提供する。
【解決手段】テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、テープ状部材の共振周波数と、の相関関係を記憶する記憶手段81と、周波数を可変させながら検査音をテープ状部材に出力する音源70と、テープ状部材に対し、反射または透過した検査音を入力するマイク55と、入力した検査音から共振周波数を検出する共振周波数検出手段68と、検出した共振周波数と記憶手段の記憶内容とを照合して、テンション値を求めるテンション測定手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボン等のテープ状部材に付与されたテンションを測定するテープ状部材のテンション測定方法、テンション測定装置、テープ繰出し装置、テープ印刷装置およびカートリッジ検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなテンション測定方法として、送られてゆくテープ状部材に回転しないローラを接触させ、ローラが受けるテープ状部材からの反力によりテンションを測定するものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−182879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような構成では、テープ状部材を送りながらテンションを測定するため、製造したテープカートリッジに対し所望のテンションが得られているかを検査する際に、テープ状部材を無駄に消費してしまう問題があった。また、テープ印刷装置等により繰り出されるテープ状部材が低速で送られる場合、接触するローラの摺動抵抗により測定精度が低下してしまう不具合があった。
【0004】
本発明は、テープ状部材を走行させることなくテンションを精度良く測定することのできるテープ状部材のテンション測定方法、テンション測定装置、テープ繰出し装置、テープ印刷装置およびカートリッジ検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープ状部材のテンション測定方法は、テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、テープ状部材の共振周波数と、の相関関係を記憶させる記憶工程と、周波数を可変させながら音源から検査音をテープ状部材に出力する発音工程と、テープ状部材に対し、反射または透過した検査音を入力する受音工程と、入力した検査音から共振周波数を検出する共振周波数検出工程と、検出した共振周波数と記憶工程における記憶内容とを照合して、テンション値を求めるテンション測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明のテープ状部材のテンション測定装置は、テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、テープ状部材の共振周波数と、の相関関係を記憶する記憶手段と、周波数を可変させながら検査音をテープ状部材に出力する音源と、テープ状部材に対し、反射または透過した検査音を入力するマイクと、入力した検査音から共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、検出した共振周波数と記憶手段の記憶内容とを照合して、テンション値を求めるテンション測定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、出力した検査音がテープ状部材の共振点に達すると、入力される検査音の音圧レベルが高くなる。このとき、この共振点における共振周波数を検出し、テンション値を求めることで、テープ状部材に接することなくこれに付与されたテンションを測定することができる。このため、テープ状部材を走行させることなく、またテープ状部材にローラ等を接触させることなく、テンションを精度良く測定することができる。
【0008】
本発明の他のテープ状部材のテンション測定方法は、テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、テープ状部材に対し反射または透過する音の減衰率と、の相関関係を記憶させる記憶工程と、音源から検査音をテープ状部材に出力する発音工程と、テープ状部材に対し反射または透過した検査音を入力する受音工程と、出力した検査音と入力した検査音とからその減衰率を算定する減衰率算定工程と、算定した減衰率と記憶工程における記憶内容とを照合して、テンション値を求めるテンション測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のテープ状部材のテンション測定装置は、テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、テープ状部材に対し反射または透過する音の減衰率と、の相関関係を記憶させる記憶手段と、検査音をテープ状部材に出力する音源と、テープ状部材に対し反射または透過した検査音を入力するマイクと、出力した検査音と入力した検査音とからその減衰率を算定する減衰率算定手段と、算定した減衰率と記憶手段の記憶内容とを照合して、テンション値を求めるテンション測定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、テープ状部材により反射または透過された検査音は、テープ状部材に付与されたテンションの大小に対応して減衰率が変化する。このため、その減衰率からテンションを測定することにより、テープ状部材に接することなく測定することができる。すなわち、テープ状部材を走行させることなく、またテープ状部材にローラ等を接触させることなく、テンションを精度良く測定することができる。
【0011】
この場合、音源は、超音波発生回路と、前記超音波発生回路の電気信号を再生するスピーカーとにより構成されていることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、超音波を発生させ、これをテープ状部材へ出力させるようにしているため、テープ状部材の測定する間の長さが短くても、超音波をテープ状部材に集中的に当てることができ、テンションを確実に測定することができる。
【0013】
これらの場合、テープ状部材が、インクリボンであることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、適切なテンションを付与することができるため、シワの発生やジャミングを有効に防止することができる。
【0015】
本発明のテープ繰出し装置は、テープ状部材をコアに巻回した状態で収容するテープ収容部と、テープ状部材をコアから繰り出すテープ送り手段と、繰り出されるテープ状部材にテンションを付与するテンション付与手段と、付与したテンションを測定する上記のテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、精度良くテンションを測定することのできるテープ繰出し装置を提供することができる。
【0017】
本発明のテープ印刷装置は、テープ状部材をコアに巻回した状態で収容したテープカートリッジと、テープ状部材をコアから繰り出すテープ送り手段と、繰り出されるテープ状部材にテンションを付与するテンション付与手段と、繰り出されるテープ状部材を印刷に供する印刷手段と、付与したテンションを測定する上記のテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、精度良くテンションを測定することのできるテープ印刷装置を提供することができる。
【0019】
本発明のカートリッジ検査装置は、テープ状部材を収容すると共に、テープ状部材にテンションを付与しながら繰り出すテープカートリッジに対し、付与したテンションが適切か否かを検査するカートリッジ検査装置において、テープカートリッジを装着するカートリッジ装着部と、テープカートリッジに臨み、テープ状部材が繰り出される程度に張りを与えるテープ緊張手段と、付与したテンションを測定する上記したテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、テンションの検査において、インクリボンの無駄な消費を防止できるカートリッジ検査装置を提供することができる。なお、テンション値が適切か否かの判別手段を設けることが、より好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のテンション測定方法およびテンション測定装置を適用したカートリッジ検査装置およびテープ印刷装置について説明する。カートリッジ検査装置は、テーププリンタの印刷に供するテープカートリッジにおけるインクリボンに付与したバックテンションを測定し、カートリッジが良品であるか不良品であるかを検査するものである。また、テープ印刷装置は、テーププリンタにテンション測定装置を組み込み、その測定結果に基づいて、インクリボンに付与するバックテンションを適切なものとなるように制御するものである。以下、カートリッジ検査装置およびテープ印刷装置の順で説明するが、理解を容易にすべく、先ずテープカートリッジから説明する。
【0022】
図1に示すように、テープカートリッジCは、上ケース25と下ケース26とからなるカートリッジケース27と、ケース内部に収容され、図示上側中央に配置されると共に、印刷テープTを巻回するテープコア30と、図示右側に配置され、インクリボンRを巻回する繰出しリボンコア31と、図示下側中央に配置され、使用後のインクリボンRを巻き取る巻取りリボンコア32と、上記のサーマルヘッド15に対峙する位置に設けたプラテンローラ16と、を備えている。
【0023】
カートリッジケース27には、プラテンローラ16の近傍に位置して、カートリッジケース27を上下に貫通する略方形の貫通開口28が形成されており、この貫通開口28には、インクリボンRから印刷テープTへのインクの感熱転写を行うサーマルヘッド15がプラテンローラ16と対峙するよう当接する。また、貫通開口28近傍のカートリッジケース27側壁には、後述するカートリッジ検査装置50によりインクリボンRのテンションを測定するために開口された側壁開口33が形成されている。なお、プラテンローラ16および巻取りリボンコア32は駆動コアとして機能し、テープコア30および繰出しリボンコア31は従動コアとして機能すると共に、繰出しリボンコア31には、これの回転を制動する制動手段(テンション付与手段)が設けられている。
【0024】
テープコア30から繰り出された印刷テープTは、テープガイドピン35に案内されてプラテンローラ16に至り、この部分で印刷されてからカートリッジケース27の側面に形成したテープ送出口36から送り出される。一方、繰出しリボンコア31から繰り出されたインクリボンRは、制動手段により回転を制動されることでバックテンションが付与されると共に、第1リボンピン37および第2リボンピン38に案内され、プラテンローラ16に至る。このとき、インクリボンRは、印刷テープTに重なって印刷に供され、さらに上記の貫通開口28を形成する第3リボンピン39および第4リボンピン40に案内されて、Uターンし、巻取りリボンコア32に巻き取られる。このとき、第3リボンピン39と第4リボンピン40との間に張設されたインクリボンRの部位が、テンションを測定するための測定部位41となる。この場合、駆動側のプラテンローラ16および巻取りリボンコア32は同期して回転するため、印刷テープTおよびインクリボンRは同時に走行し、また印刷テープTには走行しながら印刷が行われる。
【0025】
一方、図2に示すように、カートリッジ検査装置50は、テープカートリッジCが着脱自在に装着される装置本体51と、装置本体51の前部に立設したディスプレイ52と、装置本体51に組み込んだテンション測定装置53と、を備えている。装置本体51には、その中央にテープカートリッジCを装着するための浅溝が設けられ、この浅溝には、後述するテープ印刷装置100と同様の駆動系が組み込まれると共に、後述するテンション測定装置53のスピーカー54およびマイク55が組み込まれている。すなわち、浅溝には、上記のテープコア30が係合する位置決め突起60、プラテンローラ16が係合するプラテン駆動軸61および巻取りリボンコア32が係合する巻取り駆動軸62が立設されると共に、その内部にはこれらを駆動するテープ送り機構(図示省略)が内蔵されている。また、装着したテープカートリッジCの貫通開口28に対応する部分にダミーヘッド63が、側壁開口33に対応する部分にスピーカー54およびマイク55が配設されている。
【0026】
テープカートリッジCを浅溝に装着すると、ダミーヘッド63が印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んでプラテンローラ16に接するように回動する。続いて、プラテン駆動軸61および巻取り駆動軸62が僅かに回転する。この回転に伴って、インクリボンRに張りが与えられ、繰出しリボンコア31が制動回転を開始したことを検出し、これをトリガとして、テンション測定装置53によるテンション測定を行う。そして、その測定結果は、ディスプレイ52に表示される。
【0027】
テンション測定装置53は、超音波で構成された検査音をインクリボンRに向かって出力(放射)する音源ユニット(音源)65と、音源ユニット65から出力されインクリボンRにより反射した検査音を集音するマイク55と、測定したテンション値等を表示する上記のディスプレイ52と、を備えている。
【0028】
音源ユニット65は、超音波発生回路66と、超音波発生回路66で生成した超音波の電気信号を再生する超音波用のスピーカー54と、を有しており、超音波発生回路66には周波数可変コントローラ67(バンドフィルタ)が組み込まれている。そして、超音波発生回路66は、超音波(20kHz以上)の周波数を可変させながら出力するようになっている。なお、超音波を用いることで、測定するインクリボンRの測定部位41の長さが短い場合であっても測定することが可能となる。なお、音源ユニット65では、スピーカー54から発生される検査音に単一指向性を持たせているため、検査音が拡散することなくインクリボンRに空気伝搬される。
【0029】
マイク55は、単一指向性のマイク55を用いており、インクリボンRにより反射された検査音を集音しその音圧レベルを計測する。このため、反射した検査音を指向性を持って集音することができるため、雑音(暗騒音)を抑え、反射してくる検査音が小さい場合でも、確実に音を拾うことができる。
【0030】
次に、図3を参照して、テンション測定装置53の制御系について簡単に説明する。テンション測定装置53は、超音波発生回路66、周波数可変コントローラ67およびスピーカー54を有し、超音波からなる検査音を発生させるための発音部70と、マイク55を有し、検査音を受音する受音部71と、ディスプレイ52を有し、測定したテンション値を表示する表示部72と、を備えており、マイク55および音源ユニット65の超音波発生回路66に共振周波数を検出するための共振周波数検出センサ68が接続された検出部73を備えると共に、これら各部に接続され、カートリッジ検査装置50全体の制御を行う制御部74とを更に備えている。
【0031】
共振周波数検出センサ68は、マイク55により集音した音圧レベルと、周波数可変コントローラ67によりスピーカー54に伝達される超音波の周波数とを対応させており、例えば、所望の閾値をもって、音圧レベルが最大時である場合の周波数を特定することができる。
【0032】
制御部74は、CPU80、ROM81、RAM82、周辺制御回路(P−CON)83を備えており、これらは互いに内部バス84により接続されている。ROM81は、CPU80で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域85の他、共振周波数検出センサ68により検出した共振周波数とインクリボンRのテンション値とを対応させた周波数対応テーブル87等を記憶する制御データ領域86を有している。RAM82は、共振周波数検出センサ68により検出した共振周波数を記憶すると共に、制御処理のための作業領域として使用される。
【0033】
CPU80は、P−CON83を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM82内の各種データ等を処理することで、テンション測定装置53全体を制御する。以下、テンション測定装置53の制御について詳細に説明する。
【0034】
カートリッジ検査装置50に装着したテープカートリッジCのインクリボンRに付与されたバックテンションを測定する場合、先ず、テンション測定装置53は、音源ユニット65において低い周波数から高い周波数へと可変させながら検査音を発生させる。このとき、マイク55で受音した入力結果は、図4に示すように、インクリボンRの共振点より低い周波数である場合には、インクリボンRに反射された音圧レベルは、適宜減衰して低く変化もあまりない。しかし、検査音の周波数を高くし、インクリボンの共振点に達すると音圧レベルが極端に高くなる。更に検査音の周波数を高くしていき、インクリボンRの共振点を越えてしまうと、今度は、音圧レベルが低くなる。
【0035】
このとき、共振周波数検出センサ68は、マイク55で受音した音圧レベルの最大値を検出すると共に、その最大値に対応する検査音の周波数を周波数可変コントローラ67から検出する。そして、この検出した周波数がインクリボンRの共振周波数となる。検出したインクリボンRの共振周波数は、RAM82に記憶され、この後、CPU80は、RAM82内に記憶された共振周波数に基づいて、ROM81内に記憶された周波数対応テーブル87から共振周波数に対応するテンション値を読み出し、ディスプレイ52にテンション値を表示する。また同時に、ディスプレイ52は、このテープカートリッジCが良品か不良品かを表示する。
【0036】
以上の構成によれば、インクリボンRに接触しながらテンションを測定する必要がないため、摺動抵抗等を加味することがなく、インクリボンRのテンションを純粋に測定することができる。これにより、測定されるテンションは精度のよいものとすることができる。また、このテンション測定装置53を用いて、テープカートリッジCの検査等を行うときには、インクリボンRの繰り出す瞬間を測定することで、走行する必要がないため、インクリボンRを無駄に消費することなくインクリボンRのテンションを測定することができる。なお、上記の構成では、反射した検査音を受音したが、スピーカー54とマイク55とをインクリボンRを挟むよう設置し、透過した検査音を受音してもよい。
【0037】
次に、図5および図6を参照して、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では重複した記載を避けるため、異なる部分についてのみ説明する。第2実施形態のテンション測定装置53は、音源ユニット65に設けられた周波数可変コントローラ67に代えて、音圧レベルを可変させる音量コントローラ90が設けられると共に、共振周波数検出センサ68に代えて、インクリボンRから反射された音圧レベルを検出する音圧レベル検出センサ91が設けられている。また、音圧レベル検出センサ91により検出された音圧レベルから、反射した音圧レベルの減衰率を算出する減衰率算出プログラム92が、ROM81内に記憶されると共に、周波数対応テーブル87に代えて、減衰率とテンション値とを対応させた減衰率対応テーブル93を記憶している。
【0038】
インクリボンRのテンションを測定する場合、先ず、テンション測定装置53は、音源ユニット65において一定の音圧レベルで検査音を発生させる。検査音はインクリボンRにより反射され、マイク55により集音されてその音圧レベルが計測される。図5に示すように、インクリボンRのテンションが低い場合は、スピーカー54から発生させた音圧レベルに比べ、反射される検査音は大きく減衰して低い音圧レベルとなる。また、インクリボンRのテンションが高い場合は、反射される検査音は減衰が少なく比較的高い音圧レベルを維持する。
【0039】
そして、発生させた音圧レベルをデータ入力すると共に、インクリボンRにより反射した音圧レベルを音圧レベル検出センサ91により検出し、この2つの音圧レベルはRAM82内に記憶される。CPU80は、RAM82内に記憶された2つの音圧レベルに基づいて、ROM81内の減衰率算出プログラム92を実行し、RAM82の作業領域で減衰率を算出すると共に、算出した減衰率に基づいて、ROM81内の減衰率対応テーブル93からテンション値を読み出し、上記と同様にディスプレイ52にテンション値等を表示する。これにより、以上の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
次に、上記のテンション測定装置53を組み込んだテープ印刷装置100について、簡単に説明する。なお、この場合のテンション測定装置53は、ディスプレイ52は無く、CPU80やRAM82、ROM81等は、テープ印刷装置100の制御系で兼用している。このテープ印刷装置100では、図7に示すようにテープカートリッジC内の繰出しリボンコア31に磁性体102が組み込まれる一方、これに対峙するように装置本体101に電磁石103が組み込まれている。すなわち、上記の制動手段は、この磁性体102と電磁石103により構成され、磁性体102を介して電磁石103の磁力を受けた繰出しリボンコア31が下ケース26に対し摺動回転して、インクリボンRにバックテンションを付与するようになっている。図示では省略したが、電磁石103のマグネットドライバは、テンション測定装置53に接続されており、測定結果を電磁石103に磁力の強弱にフィードバックできるようになっている。
【0041】
テープ印刷装置100の装置本体101は、装置ケース107により外殻が形成され、装置ケース107の前半部上面には、キーボード108が配設されている。また、装置ケース107の後半部左上面には、開閉蓋109が広く設けられており、この開閉蓋109の内側にテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、テープコア30が係合する位置決め突起104、プラテンローラ16が係合するプラテン駆動軸105および巻取りリボンコア32が係合する巻取り駆動軸106が立設されると共に、その内部にはこれらを駆動するテープ送り機構(図示省略)が内蔵されている。また、装着したテープカートリッジCの貫通開口28に対応する部分にはサーマルヘッド15が、側壁開口33に対応する部分には上記と同様にスピーカー54およびマイク55が配設されている。
【0042】
テープカートリッジCをカートリッジ装着部110に装着し、開閉蓋109を閉蓋すると、サーマルヘッド15が印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んでプラテンローラ16に接するように回動する。この待機状態から、印刷を指令すると、プラテン駆動軸105および巻取り駆動軸106が回転を開始すると共に、サーマルヘッド15が駆動して所望の印刷が行われる。一方、この状態で、テンション測定装置53によるテンション測定を行うと共に、その測定結果をマグネットドライバにフィードバックし、インクリボンRのバックテンションが適切になるように制御する。
【0043】
このように、インクリボンRのバックテンションを適切になるように管理しているので、印刷テープTおよびインクリボンRの送り・停止が繰り返されても、インクリボンRに生ずるシワやジャミングが防止される。したがって、テープ印刷装置100おける印刷品質が安定に維持される。なお、このテンション測定装置53は、シートやテープを送るローラに組み込んだトルクリミッタの検査装置等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係るテンション測定装置により測定されるテープカートリッジの平面図である。
【図2】本実施形態に係るテンション測定装置を組み込んだカートリッジ検査装置の外観斜視図である。
【図3】テンション測定装置の制御系のブロック図である。
【図4】共振による音圧レベルの変化を示したグラフである。
【図5】第2実施形態に係るテンション測定装置の制御系のブロック図である。
【図6】反射による音圧レベルの変化を示したグラフである。
【図7】テンション測定装置を組み込んだテープ印刷装置の開蓋状態の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
54…スピーカー 55…マイク 65…音源ユニット 66…超音波発生回路 67…周波数可変コントローラ 68…共振周波数検出センサ 87…周波数対応テーブル 90…音量コントローラ 91…音圧レベル検出センサ 92…減衰率算出プログラム 93…減衰率対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、前記テープ状部材の共振周波数と、の相関関係を記憶させる記憶工程と、
周波数を可変させながら音源から検査音を前記テープ状部材に出力する発音工程と、
前記テープ状部材に対し、反射または透過した前記検査音を入力する受音工程と、
入力した前記検査音から前記共振周波数を検出する共振周波数検出工程と、
検出した前記共振周波数と前記記憶工程における記憶内容とを照合して、前記テンション値を求めるテンション測定工程と、を備えたことを特徴とするテープ状部材のテンション測定方法。
【請求項2】
テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、前記テープ状部材に対し反射または透過する音の減衰率と、の相関関係を記憶させる記憶工程と、
音源から検査音を前記テープ状部材に出力する発音工程と、
前記テープ状部材に対し、反射または透過した前記検査音を入力する受音工程と、
出力した前記検査音と入力した前記検査音とからその前記減衰率を算定する減衰率算定工程と、
算定した前記減衰率と前記記憶工程における記憶内容とを照合して、前記テンション値を求めるテンション測定工程と、を備えたことを特徴とするテープ状部材のテンション測定方法。
【請求項3】
テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、前記テープ状部材の共振周波数と、の相関関係を記憶する記憶手段と、
周波数を可変させながら検査音を前記テープ状部材に出力する音源と、
前記テープ状部材に対し、反射または透過した前記検査音を入力するマイクと、
入力した前記検査音から前記共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、
検出した前記共振周波数と前記記憶手段の記憶内容とを照合して、前記テンション値を求めるテンション測定手段と、を備えたことを特徴とするテープ状部材のテンション測定装置。
【請求項4】
テープ状部材に付与されたテンションのテンション値と、前記テープ状部材に対し反射または透過する音の減衰率と、の相関関係を記憶させる記憶手段と、
検査音を前記テープ状部材に出力する音源と、
前記テープ状部材に対し、反射または透過した前記検査音を入力するマイクと、
出力した前記検査音と入力した前記検査音とからその前記減衰率を算定する減衰率算定手段と、
算定した前記減衰率と前記記憶手段の記憶内容とを照合して、前記テンション値を求めるテンション測定手段と、を備えたことを特徴とするテープ状部材のテンション測定装置。
【請求項5】
前記音源は、超音波発生回路と、前記超音波発生回路の電気信号を再生するスピーカーとにより構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のテープ状部材のテンション測定装置。
【請求項6】
前記テープ状部材が、インクリボンであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のテープ状部材のテンション測定装置。
【請求項7】
テープ状部材をコアに巻回した状態で収容するテープ収容部と、
前記テープ状部材を前記コアから繰り出すテープ送り手段と、
繰り出される前記テープ状部材にテンションを付与するテンション付与手段と、
付与したテンションを測定する請求項3ないし6のいずれかに記載したテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とするテープ繰出し装置。
【請求項8】
テープ状部材をコアに巻回した状態で収容したテープカートリッジと、
前記テープ状部材を前記コアから繰り出すテープ送り手段と、
繰り出される前記テープ状部材にテンションを付与するテンション付与手段と、
繰り出される前記テープ状部材を印刷に供する印刷手段と、
付与したテンションを測定する請求項3ないし6のいずれかに記載したテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項9】
テープ状部材を収容すると共に、前記テープ状部材にテンションを付与しながら繰り出すテープカートリッジに対し、付与したテンションが適切か否かを検査するカートリッジ検査装置において、
前記テープカートリッジを装着するカートリッジ装着部と、
前記テープカートリッジに臨み、前記テープ状部材が繰り出される程度に張りを与えるテープ緊張手段と、
付与したテンションを測定する請求項3ないし6のいずれかに記載したテープ状部材のテンション測定装置と、を備えたことを特徴とするカートリッジ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−121206(P2007−121206A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316642(P2005−316642)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】