説明

デスクシステム

【課題】上述する事情に鑑みてなされたもので、床面と天板との間の収容部の容量を確保しつつ使用者の脚が収容部と干渉することを防止できるデスクシステムを提供する。
【解決手段】デスクシステム1は、天板2と、床面F上に立設し天板2を支持する脚部3,3と、床面Fと天板2との間に設けられて前面に開口部4aが形成されているとともに電子機器(物品)11を収容可能な電子機器収容部(収容部)4と、横方向に配列され開口部4aを開閉する第1扉(開閉部材)41、第2扉(開閉部材)42、第3扉(開閉部材)43と、が設けられている。デスクシステム1は、各開閉部材41〜43とそれぞれ対応して設けられ各開閉部材41〜43を支持する支持部を備える。第2扉42と対応する後側支持部45aが設けられた塞ぎ部材45には、第2扉42と前後方向に異なる位置に、第2扉42と異なる第4扉46を支持可能な前側支持部45bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスやトレーダールームなどの執務空間にて使用され、床面と天板との間に電子機器などを収容可能な収容部が設けられたデスクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスやトレーダールームなどの執務空間では、特許文献1および2に開示されているような、床面と天板との間に電子機器などを収容可能な収容部が設けられたデスクシステムが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2677131号公報
【特許文献2】特開2001−161472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、床面と天板との間のスペースは、デスクシステムに向かって設置された椅子に使用者が着席したときに、使用者の脚が入り込むスペースでもあるため、収容部の容量が大きいと使用者の脚が収容部とぶつかってしまい使い勝手がよくないことがある。
特に、特許文献1のデスクシステムのように、収容部の前面に扉が設けられている場合は、使用者の脚が扉とぶつかってしまうという不具合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上述する事情に鑑みてなされたもので、床面と天板との間の収容部の容量を確保しつつ使用者の脚が収容部と干渉することを防止できるデスクシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明に係るデスクシステムは、天板と、床面上に立設し前記天板を支持する脚部と、前記床面と前記天板との間に設けられて前面に開口部が形成されているとともに物品を収容可能な収容部と、横方向に配列され前記開口部を開閉する複数の開閉部材と、前記複数の開閉部材とそれぞれ対応して設けられ該開閉部材を支持する支持部と、を備え、前記複数の開閉部材のうちの少なくとも1つと対応する支持部は、前記横方向と交差する複数位置で形成可能とされ、前記開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明では、複数の開閉部材のうちの少なくとも1つと対応する支持部は、前記横方向と交差する複数位置で形成可能とされ、開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能であることにより、複数の開閉部材のうちの少なくとも1つが、他の開閉部材よりも後方で支持されると、開閉部材の前方のスペースを広く確保することができる。
そして、この開閉部材の前方のスペースを、デスクシステムに向かって着席した使用者の脚を置くスペースとして使用することができるため、使用者の脚が収容部にぶつかることを防ぐことができる。
使用者の脚を置くスペースを確保するために収容部の前面を全体的に後方に移動させる必要がないため、収容部の容量を確保することができる。
【0008】
また、本発明に係るデスクシステムでは、隣り合う前記開閉部材の間には、これらの前後方向の隙間を塞ぐ塞ぎ部材が設けられていることが好ましい。
このように構成されることにより、隣り合う開閉部材が前後方向に異なる位置に取り付けられた場合でも、隣り合う開閉部材の間に隙間が生じることを防ぐことができる。
特に、収容部に電子機器が収容され、この電子機器を冷却するために収容部内に冷却風を取り込む場合、この隙間から冷却風が収容部外に漏れたり、冷却風以外の空気が収容部内に入り込んだりすることを防ぐことができる。
【0009】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記塞ぎ部材は、前記床面上に立設しているとともに前記天板を支持していることが好ましい。
このように構成されることにより、脚部とともに塞ぎ部材が天板に作用する荷重を負担することができるため、脚部のみで天板を支持している場合と比べて、デスクシステムの強度を高めることができるとともに、脚部の構造を簡素化することができる。
【0010】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記開閉部材は横方向に3つ以上配列され、横方向の両端部以外に配された前記開閉部材の少なくとも1つは、前記横方向と交差する前後方向に複数設けられ前記開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能な支持部に支持されていることが好ましい。
このように構成されることにより、開閉部材の前方のスペースを、横方向の両端部に比べて、中間部が広い形状とすることができる。
そして、一般的に、デスクシステムに対して使用者は横方向の中間部に着席することが多く、この広くなった部分に使用者が脚を置くことができるため、使用者が脚を置くためのスペースを最適な位置に確保することができる。
【0011】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記収容部には、前記物品を載置可能であるとともに前記収容部内および前記収容部の前面において移動可能な可動台が設けられていることが好ましい。
このように構成されることによって、可動台を移動させることで、収容部に収容される物品の出し入れを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の開閉部材のうちの少なくとも1つと対応する支持部は、横方向と交差する前後方向に複数設けられ、開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能であることにより、複数の開閉部材のうちの少なくとも1つが、他の開閉部材よりも後方で支持されると、開閉部材の前方のスペースを広く確保することができる。
そして、この開閉部材の前方のスペースを、デスクシステムに向かって着席した使用者の脚を置くスペースとして使用することができるため、使用者の脚が収容部にぶつかることを防ぐことができる。
使用者の脚を置くスペースを確保するために収容部の前面を全体的に後方に移動させる必要がないため、収容部の容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるデスクシステムの一例を示す斜視図である。
【図2】電子機器収容部の平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】塞ぎ部材と前面板および扉を説明する図である。
【図6】(a)〜(f)は扉の位置を変更した電子機器収容部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態によるデスクシステムについて、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態によるデスクシステム1は、平面視矩形状の天板2と、床面F上に立設し天板2の両側端部を支持する1対の脚部3,3と、を備えている。そして、天板2と床面Fとの間には、電子機器11が収容される電子機器収容部4と、電子機器11と接続される配線や天板2上にて使用される機器に接続される配線やOAタップ、ローゼットなど(以下、配線類と称する)が収容される配線収容部5とが設けられている。
また、本実施形態によるデスクシステム1には、天板2上面の後端部側から上方へ突出する支柱6が設けられていて、この支柱6にはディスプレイ7が取り付けられている。なお、図2以降では、支柱6およびディスプレイ7を省略する。
ここで、天板2の奥行き方向を前後方向(図中の矢印Aの方向)とし、水平面内においてこの前後方向に直交する方向を横方向(図中の矢印Bの方向)として以下説明する。
【0015】
図2乃至図4に示すように、天板2は、前端部2aが電子機器収容部4および配線収容部5(図3および図4参照)の前端部よりも前側に突出している。このため、デスクシステム1に向かって椅子(不図示)が設置され、この椅子に使用者(不図示)が着席したときに、天板2と床面Fとの間で、かつ電子機器収容部4および配線収容部5の前方の空間Sは、着席した使用者の脚が入り込むように構成されている。
【0016】
図3および図4に示すように、電子機器収容部4と配線収容部5とは上下方向に配列され、電子機器収容部4の上側に配線収容部5が配置している。そして、天板2には、上下方向に貫通する配線用開口部21が形成されていて、この配線用開口部21から配線収容部5の配線類が天板2の上部へ取り出されている。
電子機器収容部4と配線収容部5との間には、配線類が載置される配線トレー12が設置され、この配線トレー12によって電子機器収容部4と配線収容部5とが区画されている。この配線トレー12は、脚部3,3に支持されている。
【0017】
電子機器収容部4および配線収容部5の後面には、幕板8が設けられており、幕板8は、脚部3,3に固定された枠材8aに取り付けられている。
また、配線収容部5の前面には、両端部が脚部3,3に固定された前面板9が設けられている。この前面板9には、天板2が固定されていて、前面板9は脚部3,3とともに天板2を支持している。
【0018】
図2に戻り、電子機器収容部4は、前面に開口部4aが形成され、前方から電子機器11を出し入れ可能に構成されている。また、電子機器収容部4の前面には、横方向に配列された3つの扉(開閉部材)41,42,43が取り付けられている。これらの3つの扉41,42,43は、それぞれ開口部4aの一部を開閉可能に構成されており、全ての扉41,42,43を閉めることで、開口部4aを閉塞することができる。
【0019】
これらの3つの扉41,42,43は、一方の側部にヒンジ44が取り付けられていて、このヒンジ44を中心に回転する開き戸となっている。
ここで、これらの3つの扉を、図2の上側から下側に向かって第1扉41,第2扉42,第3扉43として以下説明する。
【0020】
脚部3には、横方向の両端に位置する第1扉41および第3扉43いずれかのヒンジ44を支持する支持部3aが設けられている。そして、第1扉41および第3扉43は、ヒンジ44がそれぞれ脚部3に支持されることにより、脚部3に取り付けられている。
第1扉41および第3扉43は、脚部3に支持された状態で開口部4aの一部を開閉している。
【0021】
横方向の中間に位置する第2扉42は、その側方に位置する第1扉41、第3扉43よりも後方に取り付けられている。
そして、第2扉42の両側方には、第2扉42と第1扉41および第3扉43との前後方向の隙間を塞ぐ一対の塞ぎ部材45,45が設けられている。
図5に示すように、塞ぎ部材45,45は、床面Fに立設し、上端部は前面板9に固定されている。
【0022】
図2に示すように、一対の塞ぎ部材45,45の一方には、その後端部近傍に、第2扉42のヒンジ44を支持可能な後側支持部(支持部)45aが設けられている。そして、第2扉42は、ヒンジ44が後側支持部45aに支持されることにより塞ぎ部材45に取り付けられている。
【0023】
また、この一方の塞ぎ部材45には、前端部近傍に第2扉42とは異なる第4扉46のヒンジ44を支持可能にな前側支持部(支持部)45bが設けられている。第4扉46も開き戸となっている。
そして、第2扉42が塞ぎ部材45から取り外された状態において、第4扉46は、ヒンジ44が前側支持部45bに支持されることにより塞ぎ部材45に取り付けられている。
なお、第4扉46は、前側支持部45bに代わって前面板9に設けられた支持部(不図示)に支持されるように構成されていてもよい。
【0024】
これらの第2扉42および第4扉46は、いずれか一方が選択され電子機器収容部4に取り付けられる。
そして、第2扉42が選択されて塞ぎ部材45に取り付けられることにより、第2扉42の前方のスペースS1を広くすることができ、このスペースS1を着席した使用者が脚を入れるスペースとして使用することができる。
【0025】
一方、第4扉46が選択されて塞ぎ部材45に取り付けられると、第4扉46は、第1扉41および第3扉43と前後方向において略同じ位置に配されている。
このように、第2扉42に代わって第4扉46を取り付けることにより、電子機器収容部4の内部を広くすることができる。
【0026】
また、電子機器収容部4の内部には、電子機器11を載置する3台の可動台51,52,53が設けられている。これらの3台の可動台51,52,53は、3つの扉41,42,43からそれぞれ出し入れ可能に構成されている。
ここで、3台の可動台51,52,53を、図2の上側から下側に向かって第1可動台51,第2可動台52,第3可動台53とすると、第2可動台52は、第1可動台51および第3可動台53よりも奥行きが小さく形成されている。
これらの可動台51,52,53は、扉が開放された状態で、床面Fに沿って電子機器収容部4から前方へ引き出すことができる。
【0027】
次に、上述したデスクシステム1の効果について図面を用いて説明する。
本実施形態によるデスクシステム1によれば、第2扉42または第4扉46が取り付け可能であることにより、第2扉42を取り付ければ、デスクシステム1に向かって着席した使用者の脚を置くスペースS1を広く確保することができる。
また、第4扉46を取り付ければ、電子機器収容部4の容量を確保することができる。
そして、使用者の脚を置くスペースS1を確保するために電子機器収容部4の前面を全体的に後方に移動させる必要がないため、電子機器収容部4の容量を確保することができる。
【0028】
また、第2扉42と、第1扉41および第3扉43との間に、塞ぎ部材45が設けられていることにより、第2扉42と、第1扉41および第3扉43との隙間を塞ぐことができる。
特に、電子機器収容部4に電子機器11が収容されているため、この電子機器11を冷却するために電子機器収容部4内に冷却風を取り込む場合、第2扉42と、第1扉41および第3扉43との隙間から冷却風が電子機器収容部4外に漏れたり、冷却風以外の空気が電子機器収容部4内に入り込んだりすることを防ぐことができる。
【0029】
また、第2扉42を設置すれば、使用者の脚を置くスペースS1が横方向の中間部に形成されることになる。そして、一般的に、デスクシステム1に対して使用者は横方向の中間部に着席することが多いため、使用者が脚を置くためのスペースS1を最適な位置に確保することができる。
また、電子機器収容部4には、電子機器11を載置可能な可動台51,52,53が設けられていることにより、可動台51,52,53を移動させることで、電子機器収容部4に収容される電子機器11の出し入れを容易に行うことができる。また、電子機器11の出し入れが容易であるため、電子機器11のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
以上、本発明によるデスクシステム1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、第2扉42が取り外されて第4扉46に付け替え可能に構成されているが、図6(a)〜(f)に示すように、第1扉41や第3扉43が取り外されて、第4扉46の様に前方位置に付け替え可能に構成されていてもよい。また、複数の扉が付け替え可能に構成されていてもよい。このとき、各扉を支持する支持部31,45a,45bは、脚部3,3や塞ぎ部材45,45だけでなく前面板9などに設けられていてもよい。
また、上述した本実施形態では、3つの扉41,42,43が設けられているが、2つや4つ以上の扉が設けられていてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、後側支持部45aから第2扉42を取り外して前側支持部45bに第4扉46を支持させているが、前側支持部45bが第2扉42を支持可能な構成にして、第4扉46の代わりに取り外した第2扉42を、塞ぎ部材45に取り付けてもよい。
また、上述した本実施形態では、開閉部材として、第1扉41,第2扉42,第3扉43、第4扉46は開き戸としているが、開き戸以外に、観音式やケンドン式の扉、折れ戸などとしてもよく、全てを同じ形態としなくてもよい。なお、開閉部材がヒンジ44を必要としない場合は、ヒンジ44を支持する支持部31,45a,45bに代わって、それぞれ開閉部材を支持可能な支持部を設ければよい。
また、上述した実施形態では、電子機器収容部4の内部に可動台51,52,53が設けられているが、設けられていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、電子機器収容部4が設けられているが、電子機器収容部4に代わって、電子機器11以外の物品を収容する収容部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 デスクシステム
2 天板
3 脚部
4 電子機器収容部(収容部)
11 電子機器(物品)
31 支持部
41 第1扉(開閉部材)
42 第2扉(開閉部材)
43 第3扉(開閉部材)
45 塞ぎ部材
45a 後側支持部(支持部)
45b 前側支持部(支持部)
46 第4扉
51,52,53 可動台
F 床面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
床面上に立設し前記天板を支持する脚部と、
前記床面と前記天板との間に設けられて前面に開口部が形成されているとともに物品を収容可能な収容部と、
横方向に配列され前記開口部を開閉する複数の開閉部材と、
前記複数の開閉部材とそれぞれ対応して設けられ該開閉部材を支持する支持部と、を備え、
前記複数の開閉部材のうちの少なくとも1つと対応する支持部は、前記横方向と交差する複数位置で形成可能とされ、前記開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能であることを特徴とするデスクシステム。
【請求項2】
隣り合う前記開閉部材の間には、これらの前後方向の隙間を塞ぐ塞ぎ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のデスクシステム。
【請求項3】
前記塞ぎ部材は、前記床面上に立設しているとともに前記天板を支持していることを特徴とする請求項2に記載のデスクシステム。
【請求項4】
前記開閉部材は横方向に3つ以上配列され、横方向の両端部以外に配された前記開閉部材の少なくとも1つは、前記横方向と交差する前後方向に複数設けられ前記開閉部材を前後方向に異なる位置で支持可能な支持部に支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデスクシステム。
【請求項5】
前記収容部には、前記物品を載置可能であるとともに前記収容部内および前記収容部の前面において移動可能な可動台が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデスクシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120795(P2012−120795A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276228(P2010−276228)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】