説明

デスク

【課題】複数台を千鳥配置することにより一つの集合体を構成した場合であっても使いにくい領域が生じることがないデスクを提供すること。
【解決手段】一点を中心に三台を配置することにより一つのクラスターを構成する一方、複数台を千鳥配置することにより一つの島を構成するデスク10において、同一の長さを有する一対の後縁13cL,13cRと、一方の後縁13cLの端部と他方の後縁13cRの端部とから延在し、相互に平行かつ同一の長さを有する一対の側縁13bL,13bRとを有する天板13を備えたので、複数台を千鳥配置することにより一つの島を構成した場合であっても使いにくい領域が生じることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において使用されるデスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毎日あるいは一定時間ごとに座席が変わるフリーアドレス制のオフィスが増えている。フリーアドレス制のオフィスでは、多様なレイアウトが可能なデスクが求められている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
たとえば、一点を中心に複数台を配置することにより一つの集合体(クラスター)を構成するクラスター型レイアウトに好適なデスクが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。たとえば、図6に示すクラスター型レイアウトは、一点を中心に配置した三台のデスク110が一つの集合体(クラスター)を構成する。図7に示すように、このデスク110は、略五角形であって、一対の後縁113cL,113cRと、一対の側縁113bL,113bRと、前縁113aとを有する天板113を備えている。一対の後縁113cL,113cRに挟まれた頂角αは120度であって、一対の後縁113cL,113cRは同一の長さを有している。一対の側縁113bL,113bRは、同一の長さを有しており、それぞれ後縁113cL,113cRの端部から後縁113cL,113cRの直角方向に延在している。前縁113aは、凹となる円弧を成しており、一方の側縁113bLの端部から他方の側縁113bRの端部に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−79452号公報
【特許文献2】特開2002−238667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8に示すように、このデスク110を千鳥配置することにより一つの集合体を構成するオフセット型レイアウトに配置すると、天板113と天板113との間に使いにくい三角形の領域が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数台を千鳥配置することにより一つの集合体を構成した場合であっても使いにくい領域が生じることがないデスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一点を中心に複数台を配置することにより一つの集合体を構成する一方、複数台を千鳥配置することにより一つの集合体を構成するデスクにおいて、同一の長さを有する一対の後縁と、一方の後縁の端部と他方の後縁の端部とから延在し、相互に平行かつ同一の長さを有する一対の側縁とを有する天板を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記天板は、凹となる円弧をなす前縁を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記天板の下面両側縁部に配設され、前記両側縁部の前後方向に亘り前記天板を支持する支持脚を備え、前記支持脚は、前後方向に延び、床面上に設置される下部横杆と、前記下部横杆の後端部から上方に向けて延在する支持脚本体と、前記支持脚本体の上端部から前方に向けて延在し、上面が前記天板の下面に接する上部横杆とにより、側面視コの字状をなすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記一対の後縁が交差する頂部の下面に配設され、前記天板を支持する支持支柱を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記一対の側縁の後端を相互に結ぶ仮想線と前記一対の後縁とに囲まれた後部領域に前記天板の下方領域から上方領域に連通する配線口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるデスクは、複数台を千鳥配置することにより一つの集合体を構成した場合には側縁が密着するので、天板と天板との間に使いにくい領域が生じることがない。
【0013】
また、天板の下面両側縁部に配設された支持脚が両側縁部の前後方向に亘り天板を支持するので、天板が安定して支持される。さらに、支持脚は、前後方向に延び、床面上に設置される下部横杆と、下部横杆の後端部から上方に向けて延在する支持脚本体と、支持脚本体の上端部から前方に向けて延在し、上面が天板の下面に接する上部横杆とにより、側面視コの字状をなすので、側方に開放された下肢空間が確保され、使い勝手のよいものとなる。
【0014】
また、一対の後縁が交差する頂部の下面に配設された支持支柱が天板を支持するので、一対の側縁の後端を相互に結ぶ仮想線と一対の後縁とに囲まれた後部領域にパソコンなどの重量物を設置してもデスクが転倒することがない。
【0015】
また、一対の側縁の後端を相互に結ぶ仮想線と一対の後縁とに囲まれた後部領域に天板の下方領域から上方領域に連通する配線口を設けたので、LANケーブルなどの配線が挿通可能となり、配線が整理され、使い勝手および見栄えがよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるデスクの正面図である。
【図2】図2は、図1に示したデスクの側面図である。
【図3】図3は、図1に示したデスクの平面図である。
【図4】図4は、図1に示したデスクをクラスター型レイアウトに配置した配置図である。
【図5】図5は、図1に示したデスクをオフセット型レイアウトに配置した配置図である。
【図6】図6は、従来のデスクをクラスター型レイアウトに配置した配置図である。
【図7】図7は、図6に示したデスクの平面図である。
【図8】図8は、従来のデスクをオフセット型レイアウトに配置した配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかるデスクの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明の実施の形態であるデスクの正面図、図2は図1に示したデスクの側面図、図3は図1に示したデスクの平面図である。また、図4は図1に示したデスクをクラスター型レイアウトに配置した配置図、図5は図1に示したデスクをオフセット型レイアウトに配置した配置図である。
【0019】
本発明の実施の形態であるデスク10は、図4に示すように、クラスター型レイアウトに配置することもできれば、図5に示すように、オフセット型レイアウトに配置することもできる。図4に示すように、クラスター型レイアウトは、一点を中心に複数台のデスク10を配置することにより、一つの集合体(クラスター)を構成するレイアウトで、図4に示す例では、三台のデスク10で一つの集合体(クラスター)を構成している。図5に示すように、オフセット型レイアウトは、複数台のデスク10を千鳥配置することにより、一つの集合体(島)を構成するレイアウトで、任意の台数のデスク10で一つの集合体(島)を構成できる。図5に示す例では、六台のデスク10で一つの集合体(島)を構成しているが、オフィスの大きさや柱スパンに応じて任意の台数のデスク10で一つの集合体(島)を構成できる。
【0020】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態であるデスク10は、脚11、幕板12、天板13を備えている。
【0021】
図1に示すように、脚11は、天板13を支持するためのもので、左右一対となる脚(支持脚)11L,11Rと、中央に設けられた脚(支持支柱)11Mとを備えている。左右一対となる脚11L,11Rは、天板13の下面両側縁部に配設され、天板13の両側縁部の前後方向に亘り天板13を支持する。図2に示すように、左右一対となる脚11L,11Rは、前方から後方に向けて延在し、床面上に設置される脚部(下部横杆)11aと、脚部11aの後端部から上方に向けて延在する柱部(支持脚本体)11bと、柱部11bの上端部から前方に向けて延在し、上面が天板13に接する支持部(上部横杆)11cとを有しており、側面視コの字状をなしている。脚部11aの下面には、前後一対となるアジャスター11a1,11a2が螺合しており、高さを微調整可能である。中央に配設された脚11Mは、天板13の下面頂部(後述する一対の後縁13cL,13cRが交差する部位)に配設され、天板13の後部領域(後述する一対の側縁13bL,13bRの後端を結ぶ仮想線と一対の後縁13cL,13cRとに囲まれた領域)を支持する。中央に設けられた脚11Mは、床面から上方に延在する柱部11dを有している。柱部11dの下面には、アジャスター11d1が螺合しており、高さを微調整可能である。
【0022】
図1および図2に示すように、幕板12は、左側の脚11Lと中央に設けられた脚11Mとの間、右側の脚11Rと中央に設けられた脚11Mとの間に架設されている。
【0023】
図3に示すように、天板13は、略五角形であって、一対の後縁13cL,13cRと、一対の側縁13bL,13bRと、前縁13aとを有している。一対の後縁13cL,13cRに挟まれた頂角αは120度であって、一対の後縁13cL,13cRは同一の長さを有している。したがって、図4に示すように、一点を中心に三台のデスク10を配置することにより、一つの集合体(クラスター)を構成すると、向かい合うデスク10の天板13との間に隙間が生じることはない。
【0024】
図3に示すように、一対の側縁13bL,13bRは、一方の後縁13cLの端部と他方の後縁13cRの端部とから延在し、相互に平行かつ同一の長さを有している。したがって、図5に示すように、複数台のデスク10を千鳥配置することにより、一つの集合体(島)を構成すると、隣り合うデスク10の天板13と密着し、隣り合うデスク10の天板13との間に使いにくい隙間が生じることはない。
【0025】
図3に示すように、前縁13aは、凹となる円弧を成しており、一方の側縁13bLの端部から他方の側縁13bRの端部に延在している。
【0026】
また、天板13において、上述した一対の側縁13bL,13bRの後端を相互に結ぶ仮想線と上述した一対の後縁13cL,13cRとに囲まれた後部領域には、電源コンセント14と配線口15とが設けてある。具体的には、電源コンセント14と配線口15とが左側となる後縁13cLと平行に設けてある。配線口15は、天板13の下方領域から上方領域に連通しており、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの配線が挿通可能である。また、配線口15は、配線カバー16で覆ってあり、必要に応じて配線口15を露出可能である。
【0027】
上述した本発明の実施の形態にかかるデスク10は、図3に示すように、着席した状態で天板13の全域に着席者の手が届き、着席者が専有する領域を有効に活用できる。
【0028】
また、天板13の下面両側縁部に配設した脚11L,11Rが天板13の両側縁部を前後方向に亘り支持するので、天板13が安定して支持される。さらに、脚11L,11Rは、前後方向に延び、床面上に設置される脚部11aと、脚部11aの後端部から上方に向けて延在する柱部11bと、柱部11bの上端部から前方に向けて延在し、上面が天板13の下面に接する支持部11cとにより、側面視コの字状をなすので、側方に開放された下肢空間が確保され、使い勝手のよいものとなる。
【0029】
また、天板13の一対の後縁13cL,13cRが交差する頂部の下面に配設した脚11Mが天板13を支持するので、一対の側縁13bL,13bRの後端を相互に結ぶ仮想線と一対の後縁13cL,13cRとに囲まれた後部領域にパソコン等の重量物を設置してもデスク10が転倒することがない。
【0030】
また、天板13の一対の側縁13bL,13bRの後端を相互に結ぶ仮想線と一対の後縁13cL,13cRとに囲まれた後部領域に天板13の下方領域から上方領域に連通する配線口15を設けたので、LANケーブルなどの配線が挿通可能となり、配線が整理され、使い勝手および見栄えがよいものとなる。
【0031】
上述した本発明の実施の形態にかかるデスク10は、一点を中心にした一つの集合体(クラスター)を構成した場合に、天板13の後縁13cL,13cRが向かい合うデスク10の天板13の後縁13cL,13cRに密着するので、図4に示すように、デスク10とデスク10との間に隙間が生じることはない。
【0032】
上述した本発明の実施の形態にかかるデスク10は、複数台を千鳥配置することにより一つの集合体(島)を構成した場合に、天板13の側縁13bL,13bRが隣り合うデスク10の天板の側縁13bL,13bRに密着するので、図5に示すように、デスク10とデスク10との間に使いにくい領域が生じることがない。
【符号の説明】
【0033】
10 デスク
11 脚
11L,11R 脚(支持脚)
11M 脚(支持支柱)
11a 脚部(下部横杆)
11a1,11a2 アジャスター
11b 柱部(支持脚本体)
11c 支持部(上部横杆)
11d 柱部
11d1 アジャスター
12 幕板
13 天板
13a 前縁
13bL,13bR 側縁
13cL,13cR 後縁
14 電源コンセント
15 配線口
16 配線カバー
α 頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一点を中心に複数台を配置することにより一つの集合体を構成する一方、複数台を千鳥配置することにより一つの集合体を構成するデスクにおいて、
同一の長さを有する一対の後縁と、一方の後縁の端部と他方の後縁の端部とから延在し、相互に平行かつ同一の長さを有する一対の側縁とを有する天板を備えたことを特徴とするデスク。
【請求項2】
前記天板は、凹となる円弧をなす前縁を有することを特徴とする請求項1に記載のデスク。
【請求項3】
前記天板の下面両側縁部に配設され、前記両側縁部の前後方向に亘り前記天板を支持する支持脚を備え、
前記支持脚は、前後方向に延び、床面上に設置される下部横杆と、前記下部横杆の後端部から上方に向けて延在する支持脚本体と、前記支持脚本体の上端部から前方に向けて延在し、上面が前記天板の下面に接する上部横杆とにより、側面視コの字状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のデスク。
【請求項4】
前記一対の後縁が交差する頂部の下面に配設され、前記天板を支持する支持支柱を備えたことを特徴とする請求項3に記載のデスク。
【請求項5】
前記一対の側縁の後端を相互に結ぶ仮想線と前記一対の後縁とに囲まれた後部領域に前記天板の下方領域から上方領域に連通する配線口を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のデスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65820(P2012−65820A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212753(P2010−212753)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】