説明

トイレ装置

【課題】冷房手段の運転時に、トイレ装置の総合消費電力を押さえ、夏場において、冷房手段の運転開始時の消費電力の増大によるDC電源回路の出力変動による不安定動作をなくす。
【解決手段】トイレ室内を冷房する圧縮機26と凝縮器27と減圧器28と蒸発器29と送風機30とを有する冷凍サイクルによる冷房手段18と、便蓋15と便座14の少なくとも一方の電動開閉手段20を備え、前記冷房手段18の運転開始と前記電動開閉手段20の運転開始が重なった場合、まず前記冷房手段の運転を開始し、前記圧縮機の起動状態が終了後に、前記電動開閉手段20の運転を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室内を冷房する冷房手段を備えた、トイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のトイレ装置としては、例えば、図7に示すようなものがあった。図7は従来のトイレ装置の給水系および電気系の系統図を示すものであり、図8と図9は同トイレ装置において局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図を示す。
【0003】
図7において、1は冷房手段、2は局部温水洗浄手段、3は湯沸ヒータであり、局部温水洗浄手段2の運転時に、冷房手段1を運転した時には、図8に示すように湯沸ヒータ3への通電を遮断するか、もしくは、図9に示すように湯沸ヒータ3の温度を低く設定するように制御する制御手段4が配設されている。こうすることによって、AC100V−160Wの冷房手段1とAC100V−1100Wの湯沸ヒータ3が同時に通電されるのを防ぎ、制御手段4のAC電源回路のスペースおよびコストを抑えている。
【特許文献1】特開2000−79077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、冷房手段の運転開始と電動開閉手段の運転が重なった場合、AC電源の消費電力が急に大きくなり、DC電源回路の出力変動が生じ電動開閉手段の動作が不安定になることがあった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷房手段の運転開始時の消費電力の増大によるDC電源回路の出力変動による不安定動作をなくすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のトワレ装置は、トイレ室内を冷房する圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器と送風機とを有する冷凍サイクルによる冷房手段と、便蓋と便座の少なくとも一方の電動開閉手段を備え、前記冷房手段の運転開始と前記電動開閉手段の運転開始が重なった場合、まず前記冷房手段の運転を開始し、前記圧縮機の起動状態が終了後に、前記電動開閉手段の運転を開始することにより、冷房手段の運転開始と電動開閉手段の運転開始が重なった時に、電動開閉手段を運転しないことで、圧縮機の起動時に大電力を必要としてAC電源の消費電力が急に大きくなり、DC電源回路の出力変動が生じ電動開閉手段の動作が不安定になることを阻止できる。
【発明の効果】
【0007】
冷房手段の運転開始時の圧縮機の起動時に大電力を必要としてAC電源の消費電力が急に大きくなり、DC電源回路の出力変動が生じることによる不安定な電動開閉手段の動作を阻止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、トイレ室内を冷房する圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器と送風機とを有する冷凍サイクルによる冷房手段と、便蓋と便座の少なくとも一方の電動開閉手段を備え、前記冷房手段の運転開始と前記電動開閉手段の運転開始が重なった場合、まず前記冷房手段の運転を開始し、前記圧縮機の起動状態が終了後に、前記電動開閉手段の運転を開始することにより、冷房手段の運転開始と電動開閉手段の運転開始が重なった時に、電動開
閉手段を運転しないことで、圧縮機の起動時に大電力を必要としてAC電源の消費電力が急に大きくなり、DC電源回路の出力変動が生じ電動開閉手段の動作が不安定になることを阻止できる。なお、圧縮機の起動時に大電力を必要とするのは僅かの時間であり、その後に電動開閉手段が実際に稼動しても不快感は感じないで済む。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、湯沸ヒータを有した局部温水洗浄手段を備え、前記湯沸ヒータは冷房手段運転中の消費電力を最大消費電力より小さくしたものである。これにより、冷房手段運転中の消費電力量を抑えることができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、局部温水洗浄手段が複数のヒータを有して、冷房運転中は複数のヒータのうちのすくなくとも一つを通電オフとしたものである。これにより、消費電力を抑えて、かつ使用温度に問題がない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1におけるトイレ装置を便器にセットした状態での斜視図を示すものであり、図2は同トイレ装置のケースを取外した状態での斜視図を示すものであり、図3は同トイレ装置の正面縦断面図を示すものであり、図4は同トイレ装置の給水系および電気系の系統図を示すものであり、図5は同トイレ装置において冬場に局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図であり、図6は同トイレ装置において夏場に局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図である。
【0013】
11はトイレ装置で、便器12と、その上面後部に配設された本体部13と、本体部13の前端部に便器12上に設置された状態と上方に開いた状態との間で回転可能に装着された便座14および便蓋15にて構成されている。
【0014】
本体部13は、便器12上に固定設置されるベース板16上に、便器12を洗浄するための水を貯める水タンク17と、トイレ室内を冷房する冷房手段18と、局部温水洗浄手段19と、便座14と便蓋15の電動開閉手段20(DC12V−10W)と、トイレ室内を暖房する部屋暖房手段21と、室温検出手段22と、これらの電気系統を制御する制御手段23とをケース24内に収納して構成されている。
【0015】
便座14は便座ヒータ14a(AC100V−55W)を有する便座暖房手段25で表面を暖房され、ケース24は、ケース本体24aとその上端開口部を覆うケース蓋24bにて構成されており、ケース蓋24bは、必要に応じて手洗い手段(図示せず)を設けた構成とされる。
【0016】
冷房手段18は、圧縮機26(AC100V−160W)と凝縮器27と減圧器28と蒸発器29からなる冷凍サイクルと、蒸発器29で冷却された空気を送風する送風機30(DC12V−10W)とを備えており、本体部13を便器12に設置したままで着脱できるユニットとして構成されている。31は冷凍サイクルを接続する冷媒配管である。
【0017】
凝縮器27は、水タンク17内に収容配置されて便器先浄水と熱交換する蛇行配管部材にて構成され、減圧器28は細管を巻回して構成されている。蒸発器29は、周壁内に配設されたフィン群とこのフィン群を貫通する蛇行配管にて構成され、蛇行配管に冷媒を流しながらフィン群の隙間に空気を通すことにより、空気を熱交換して冷却するように構成されている。送風機30は軸方向から吸込んで、径方向に吹出すシロッコファンにて構成されている。蒸発器29と送風機30は比較的小さな幅の通風空間を介して並列配置して
連結され、かつ蒸発器29が水タンク17の一側部に送風機30を介在させた状態で配置され、蒸発器29で熱交換された空気を送風機30にてケース蓋24bの前面両側部に配設された吹出口32から便座14上に着座した人の首筋に向けて冷風を吹付けるように構成されている。
【0018】
局部温水洗浄手段19は、第1の湯沸ヒータ33a(AC100V−550W)と第2の湯沸ヒータ33b(AC100V−550W)とからなる熱交換水路34と、水道からの入水をオン・オフする止水電磁弁35(DC12V−1W)と、加圧ポンプモータ36(DC12V−5W)と、お尻を洗浄するためのお尻ノズル37aと女性の局部を洗浄するためのビデノズル37bと、お尻ノズル37aとビデノズル37bへの水路切換と流量調節のための切換流調弁38と、切換流調弁38を駆動する切換流調モータ39(DC12V−1W)にて構成されている。
【0019】
部屋暖房手段21は、部屋暖房ヒータ40(AC100V−250W)と部屋暖房送風機41(DC12V−8W)にて構成されている。
【0020】
制御手段23は、冷房手段18、局部温水洗浄手段19、電動開閉手段20、部屋暖房手段21、便座暖房手段25を作動制御するとともに、DC電源回路とAC電源回路を有している。
【0021】
以上のように構成されたトイレ装置11において、局部温水洗浄手段19の温度制御は、入水温度や設定出湯温度に応じて、第1の湯沸ヒータ33aを通電率制御し、第2の湯沸ヒータ33bは通電オンまたは通電オフの何れかの状態にする。そして、冷房手段18運転中は、入水温度や設定出湯温度にかかわらず、第2の湯沸ヒータ33bを通電オフ状態にする。従って、図5に示すように、入水温度の低い冬場においては、第2の湯沸ヒータ33bがオフ状態になり、第1の湯沸ヒータ33aがフル通電状態になっても電気容量不足で設定出湯温度に達しないが、トイレ装置11の総合消費電力は、圧縮機26(AC100V−160W)と第1の湯沸ヒータ33a(AC100V−550W)の合計の710Wとなる。一方、図6に示すように、入水温度の高い夏場においては、第2の湯沸ヒータ33bは、元々オフ状態のため出湯温度への影響はなく、トイレ装置11の総合消費電力は、圧縮機26(AC100V−160W)と第1の湯沸ヒータ33a(AC100V−550W)の合計の710Wとなる。したがって、通常は、冷房手段18の運転は入水温度が高く第2の湯沸ヒータ33bがオフ状態の夏場のため、局部温水洗浄手段19の出湯温度を所定の温度に保つことができ、実使用上問題はなく、冷房手段18の運転時に、局部温水洗浄手段19が運転された時のトイレ装置11の総合消費電力を、冬場の第1の湯沸ヒータ33aと第2の湯沸ヒータ33bの同時通電時の消費電力の1100W以下に、押さえることができ、制御手段23のAC電源回路のスペースおよびコストを抑制できる。
【0022】
また、本実施の形態1では、冷房手段18の運転開始と電動開閉手段20の運転開始が重なった場合、まず冷房手段18の運転を開始し、圧縮機26の起動状態が終了後に、電動開閉手段20の運転を開始する。これによって、圧縮機26の起動時に大電力を必要としてAC電源の消費電力が急に大きくなり、DC電源回路の出力変動が生じ電動開閉手段20の動作が不安定になることを防止できる。なお、圧縮機26の起動時に大電力を必要とするのは僅かの時間であり、その後に電動開閉手段20が実際に稼動しても不快感は感じないで済む。
【0023】
また、本実施の形態1では、高基準温度(例えば25℃)以上の時には、冷房手段18だけを運転可能とし、高基準温度以下、低基準温度(例えば15℃)以上の時には、便座暖房手段25だけを運転可能とし、低基準温度以下の時には、便座暖房手段25と部屋暖
房手段21の両方を運転可能とすることにより、トイレ室温に応じて冷房手段18と便座暖房手段25と部屋暖房手段21を使い分けることによって、トイレ装置の総合消費電力を押さえ、制御手段23のAC電源回路のスペースおよびコストを抑制できる。
【0024】
以上のように、本実施の形態1では冷房手段の運転時に、トイレ装置の総合消費電力を押さえ、制御手段のAC電源回路のスペースおよびコストを抑制できるとともに、夏場において、局部温水洗浄手段の出湯温度を所定の温度に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1のトイレ装置を便器にセットした状態での斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置のケースを取外した状態での斜視図
【図3】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の正面縦断面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の給水系および電気系の系統図
【図5】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置において、冬場に局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図
【図6】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置において、夏場に局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図
【図7】従来のトイレ装置の給水系および電気系の系統図
【図8】従来のトイレ装置において、局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図
【図9】従来のトイレ装置において、局部温水洗浄手段運転中に冷房手段を運転した場合のそれらの運転制御のタイミング図
【符号の説明】
【0026】
11 トイレ装置
14 便座
15 便蓋
18 冷房手段
19 局部温水洗浄手段
20 電動開閉手段
21 部屋暖房手段
22 室温検出手段
25 便座暖房手段
26 圧縮機
27 凝縮器
28 減圧器
29 蒸発器
30 送風機
33a 第1の湯沸ヒータ(湯沸ヒータ)
33b 第2の湯沸ヒータ(湯沸ヒータ)






【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室内を冷房する圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器と送風機とを有する冷凍サイクルによる冷房手段と、便蓋と便座の少なくとも一方の電動開閉手段を備え、前記冷房手段の運転開始と前記電動開閉手段の運転開始が重なった場合、まず前記冷房手段の運転を開始し、前記圧縮機の起動状態が終了後に、前記電動開閉手段の運転を開始するトイレ装置。
【請求項2】
湯沸ヒータを有した局部温水洗浄手段を備え、前記湯沸ヒータは冷房手段運転中の消費電力を最大消費電力より小さくした請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
局部温水洗浄手段は複数のヒータを有し、冷房手段運転中は前記複数のヒータのうちのすくなくとも1つを通電オフにした請求項2記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−280965(P2006−280965A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167211(P2006−167211)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【分割の表示】特願2002−23030(P2002−23030)の分割
【原出願日】平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】