トラクタの作業機連結装置
【課題】 従来技術の構成では、2Pジョイントを特殊加工して雌スプライン部まで構成するものであるから作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するとき、例えば、仕様の異なる複数の作業機を装着するときなどには、特殊加工によるジョイントを別に準備しなければならず、コストアップの要因となる。本発明の課題は、2Pジョイントを、標準の2Pジョイント仕様と共用できるようにし、従来の問題点を解消することにある。
【解決手段】 本発明は、トラクタTの後部に作業機Rを着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸21をもつ作業機側のジョイントサポート部20とトラクタのPTO軸9に連結する2Pジョイント10との間を、雄スプライン11aをもつ連結軸11とこの連結軸に嵌着された雌スプライン12aをもつ軸部12とでもって連結保持すべく構成する。
【解決手段】 本発明は、トラクタTの後部に作業機Rを着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸21をもつ作業機側のジョイントサポート部20とトラクタのPTO軸9に連結する2Pジョイント10との間を、雄スプライン11aをもつ連結軸11とこの連結軸に嵌着された雌スプライン12aをもつ軸部12とでもって連結保持すべく構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタの後部に装着する作業機の連結装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来は、例えば、特許文献1に示すように、2Pジョイントは特殊加工により雌スプライン部まで構成し、作業機の入力軸を直接嵌入するものであった。
【特許文献1】特開2005−278582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の構成では、2Pジョイントを特殊加工して雌スプライン部まで構成するものであるから作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するとき、例えば、仕様の異なる複数の作業機を装着するときなどには、特殊加工によるジョイントを別に準備しなければならず、コストアップの要因となる。
【0004】
本発明の課題は、2Pジョイントを、標準の2Pジョイント仕様と共用できるようにし、従来の問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、トラクタ(T)の後部に作業機(R)を着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸(21)をもつ作業機側のジョイントサポート部(20)とトラクタのPTO軸(9)に連結する2Pジョイント(10)との間を、雄スプライン(11a)をもつ連結軸(11)とこの連結軸に嵌着された雌スプライン(12a)をもつ軸部(12)とでもって連結保持すべく構成してあることを特徴とする。
【0006】
トラクタ側の2Pジョイント(10)には連結軸(11)の雄スプライン部(11a)が挿入されてスプライン嵌合される。雌スプライン軸部(12)には作業機側の入力軸(21)が挿入されてスプライン嵌合される。前記連結軸(11)と雌スプライン軸部(12)とは該連結軸の端部を雌スプライン軸部に設けられた嵌合穴(12b)に嵌入して一体的に固着される。
【0007】
ジョイントサポート部と2Pジョイント間は、雄スプラインをもつ連結軸と雌スプライン軸部とで連結保持する構成であるため、2Pジョイントと作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するときにあっても、本来の2Pジョイントをそのまま使用することができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、作業機側ジョイントサポート部(20)には入力軸(21)を軸受保持するジョイントハウジング(22)を横軸(23)芯周りに揺動可能に装着してあると共に、このジョイントハウジング(22)の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧付勢してことを特徴とする。
【0009】
作業機装着時には、入力軸(21)が下向きに付勢されているため、トラクタ側の雌スプライン軸部(12)が入力軸(21)にドッキングするとき、この入力軸が次第に上向き姿勢に変化しながらドッキングされることになり、作業機の装着が容易でスムースに行える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明によれば、ジョイントサポート部と2Pジョイントとの間を連結軸と雌スプライン軸部とで連結する構成であるため、2Pジョイントと作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するとき、つまり、仕様の異なる複数の作業機を装着するときなどにあっても、従来のように別のジョイントを準備する必要がなく、2Pジョイントを標準の2Pジョイント仕様と共用化でき、安価に実施することができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、作業機装着時には、入力軸が下向きに付勢されているため、トラクタ側のスプライン軸部に対するドッキング時には、作業機側入力軸が次第に上向き姿勢に変化しながらドッキングされることになり、作業機の装着が容易となり、スムースに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、乗用型トラクタを示すものであり、このトラクタTの前部のボンネット1内にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス2内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪3と後輪4とに伝えるようにしている。ミッションケース2の上部には油圧シリンダケース5が設けられ、この油圧シリンダケース5にリフトアーム6を回動自在に枢着している。油圧シリンダケース5内の油圧昇降シリンダ内に作動油を供給するとリフトア−ム6が上昇回動し、排出するとリフトア−ム6は下降するようになっている。トラクタ後部に装着されるロータリ等の作業機Rが前記リフトア−ム6の昇降駆動によって上下動するようになっている。
【0013】
ステアリングハンドル7は、左右の旋回操作で左右前輪3を左右に操向制御する構成であり、ステアリングハンドル7の後方には運転席8が配備されている。
トラクタTの機体後部から後方に向けて突出するPTO軸9の後端部には、2Pジョイント(ユニバーサルジョイント)10が連結されている。2Pジョイント10の後端部には、スプライン孔10aが設けられ、前端に雄スプライン部11aを設けた連結軸11が挿入されて嵌脱自在にスプライン嵌合され、連結軸11の後端は、後端に雌スプライン部12aをもつ雌スプライン軸部12の前端部の嵌合穴12bに嵌入して一体的に固着し、該軸部12の雌スプライン部12aには、後記する作業機R側の入力軸21を挿入してスプライン嵌合する構成としている。また、雌スプライン軸部12にはベアリング13を介してジョイントホルダ14が取り付けられている。
【0014】
作業機R側のジョイントサポート部20には、入力軸21を軸受保持するジョイントハウジング22が横軸23芯周りに上下揺動可能に装着されている。このジョイントハウジング22は入力軸21の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧スプリング24にて張圧付勢されている。つまり、ジョイントハウジング22のサポート部20後部に長穴25を設け、この長穴25にピン軸26を挿通し、このピン軸26の両端を前記スプリング24にて前方に引っ張ることにより、ジョイントハウジングの前端(入力軸の先端)側が下向きとなるよう付勢している。なお、前記ピン軸26が長穴25の後部に接する位置になると、ジョイントハウジング22の上向きの角度が規制されるようになっている。
【0015】
2Pジョイントの雌スプライン軸部12は、図4に示すように、作業機側の入力軸に対する挿入方向をサポート部の前側から行うようにしている。従来はサポート部の中央を後側から通してサポート部にジョイントを取り付けてPTO側を接続していたが、後側から通すようにすると途中でジョイントを片手で支えないといけない状態があり、高齢者や婦女子にとっては重労働である。ジョイントを前側から挿入することにより常に両手でジョイントを支えることができて、作業者の負担が軽減される作業機ヒッチ19の左右両側から前方に突設するヒッチフレーム27,27は、図9に示すように、先端のコの字型取付部27aを機体側ヒッチ16の2Pセットピン17に係合させて連結ピン18により上下回動自在に連結保持される。連結ピン18の抜け止め手段としては、連結プレート18aに設けられたピン孔18bをヒッチフレーム27から上方に突設する係止ピン27pに上側から嵌合し、係止ピン27pの上端にヘヤーピン27hを差し込んで、上方への抜け止めを行うようにしている。
【0016】
作業機ヒッチ19の中央部から上方に突設する上部連結具28には、ロータリ耕耘部30のトップマスト31の上端部が連結ピン32によって連結されるようになっており、作業機ヒッチ19の左右下端側に設けられた下部連結具29,29には、ロータリ耕耘部30の伝動ケース33の両側に設けられた係止具34が係合するようになっており、回動可能な回動係止爪35,35によってその係合係止状態をロックする構成としている。
【0017】
図10に示す実施例は、作業機側ヒッチフレーム27のトラクタ側機体ヒッチに対する取付部を別部品とする構成としている。例えば、構成の異なるコの字型取付部27aと横軸ピン型取付部27bとからなる二つの部品構成とし、これらを互いに交換して使用できるようにし、ヒッチフレームに対し抜き差し自在とすると共に、連結ボルト38により固定する構成としている。取付部が交換できることで専用部品を少なくすることができ、取付部の構成が異なるトラクタに対して装着が容易にできる。また、上部連結具28に対する作業機側のマスト31を交換することによっても、規格の異なる作業機に対応することができる。
【0018】
図11に示す実施例は、制御機構(メカオート)などの作動用ワイヤ39を作業機ヒッチ19近くの適所においてトラクタ側39aと作業機側39bとに分割し、この分割部分を油圧のクイックカプラのような簡単に接合分離できるカプラ40a,40b方式の構成としている。従来はトラクタから作業機まで1本のワイヤで接続されており、作業機を外す際にはトラクタ後部の狭いスペースに取り付けられたワイヤを外す必要があり不便である。本例によれば、上記カプラにより簡単に接続分離することができ、作業の行い易い場所でワンタッチで行えるため、作業機の付け替えが多い場合でも容易に行うことができる。
【0019】
図12及び図13に示す実施例について説明すると、ロータリ耕耘部30のリヤカバー41をプレッシャロッド42を介して吊持するハンガ部43にロックプレート44を設け、トラクタの運転席に座ったままで手が届く位置にロックレバー45を設けてあり、このロックレバーの操作によって、リヤカバーの下げロックができるように構成している。
【0020】
プレッシャロッド42は、ハンガ部43に架設された支持ピン46回りに回動可能な角チューブ47に挿通支架されている。ロックプレート44は、ロックレバー45の操作で軸芯P回りに回動する構成であり、ロックレバー45を図13(イ)状態から(ロ)状態に操作すると、ロックプレート44が回動して前記角チューブ47から突設するロックピン48に係合し、リヤカバーを下げ状態でロックするようになっている。
【0021】
図14に示す実施例は、トラクタに装備された作業機装着用のクイックヒッチ19にICカードデータ読取装置50を設け、各作業機に備えられたICカード51のデータをドッキングしたときに読み込み、自動的に作業機の上げ規制を行うようにしている。つまり、クイックヒッチ19により作業機Rをドッキングすると、クイックヒッチに設けられたICカードのデータ読込装置50が各作業機に設けられたICカード51のデータを読み込む。そして、ICカードのデータより必要に応じてトラクタが自動的に上げ規制を行う。要するに、ICカードには上げ規制のデータが入っていて、読込装置がこのデータを読み込むと自動的に上げ規制の制御が入り、作業機とトラクタの干渉を防ぐようにしている。作業機によって上げ規制が必要な場合がある。この規制をし忘れると、作業機がキャビン等に激突し破損を招く問題がある。本例ではこのような問題点を作業機の上げ規制によって解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】トラクタ要部の側面図
【図2】作業機連結装置の要部側面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】作業機ヒッチと2Pジョイントとの関係側面図
【図5】作業機要部の平面図
【図6】同上斜視図
【図7】同上側面図
【図8】同上背面図
【図9】作業機側ヒッチフレームと機体側ヒッチの連結装置を示す斜視図
【図10】別実施例の作業機ヒッチの平面図
【図11】別実施例の作業機要部の側面図
【図12】トラクタ一部と作業機の側面図
【図13】同上要部の斜視図
【図14】クイックヒッチと作業機との関係を示すロータリー斜視図(A)、クイックヒッチ部斜視図(B)、ロータリー入力部前側斜視図(C)
【符号の説明】
【0023】
9 PTO軸
10 2Pジョイント
11 連結軸
12 雌スプライン軸部
19 作業機ヒッチ
20 ジョイントサポート部
21 入力軸
22 ジョイントハウジング
23 横軸
24 張圧スプリング
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタの後部に装着する作業機の連結装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来は、例えば、特許文献1に示すように、2Pジョイントは特殊加工により雌スプライン部まで構成し、作業機の入力軸を直接嵌入するものであった。
【特許文献1】特開2005−278582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の構成では、2Pジョイントを特殊加工して雌スプライン部まで構成するものであるから作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するとき、例えば、仕様の異なる複数の作業機を装着するときなどには、特殊加工によるジョイントを別に準備しなければならず、コストアップの要因となる。
【0004】
本発明の課題は、2Pジョイントを、標準の2Pジョイント仕様と共用できるようにし、従来の問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、トラクタ(T)の後部に作業機(R)を着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸(21)をもつ作業機側のジョイントサポート部(20)とトラクタのPTO軸(9)に連結する2Pジョイント(10)との間を、雄スプライン(11a)をもつ連結軸(11)とこの連結軸に嵌着された雌スプライン(12a)をもつ軸部(12)とでもって連結保持すべく構成してあることを特徴とする。
【0006】
トラクタ側の2Pジョイント(10)には連結軸(11)の雄スプライン部(11a)が挿入されてスプライン嵌合される。雌スプライン軸部(12)には作業機側の入力軸(21)が挿入されてスプライン嵌合される。前記連結軸(11)と雌スプライン軸部(12)とは該連結軸の端部を雌スプライン軸部に設けられた嵌合穴(12b)に嵌入して一体的に固着される。
【0007】
ジョイントサポート部と2Pジョイント間は、雄スプラインをもつ連結軸と雌スプライン軸部とで連結保持する構成であるため、2Pジョイントと作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するときにあっても、本来の2Pジョイントをそのまま使用することができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、作業機側ジョイントサポート部(20)には入力軸(21)を軸受保持するジョイントハウジング(22)を横軸(23)芯周りに揺動可能に装着してあると共に、このジョイントハウジング(22)の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧付勢してことを特徴とする。
【0009】
作業機装着時には、入力軸(21)が下向きに付勢されているため、トラクタ側の雌スプライン軸部(12)が入力軸(21)にドッキングするとき、この入力軸が次第に上向き姿勢に変化しながらドッキングされることになり、作業機の装着が容易でスムースに行える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明によれば、ジョイントサポート部と2Pジョイントとの間を連結軸と雌スプライン軸部とで連結する構成であるため、2Pジョイントと作業機の入力軸との間隔が相違する作業機に変更するとき、つまり、仕様の異なる複数の作業機を装着するときなどにあっても、従来のように別のジョイントを準備する必要がなく、2Pジョイントを標準の2Pジョイント仕様と共用化でき、安価に実施することができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、作業機装着時には、入力軸が下向きに付勢されているため、トラクタ側のスプライン軸部に対するドッキング時には、作業機側入力軸が次第に上向き姿勢に変化しながらドッキングされることになり、作業機の装着が容易となり、スムースに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、乗用型トラクタを示すものであり、このトラクタTの前部のボンネット1内にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス2内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪3と後輪4とに伝えるようにしている。ミッションケース2の上部には油圧シリンダケース5が設けられ、この油圧シリンダケース5にリフトアーム6を回動自在に枢着している。油圧シリンダケース5内の油圧昇降シリンダ内に作動油を供給するとリフトア−ム6が上昇回動し、排出するとリフトア−ム6は下降するようになっている。トラクタ後部に装着されるロータリ等の作業機Rが前記リフトア−ム6の昇降駆動によって上下動するようになっている。
【0013】
ステアリングハンドル7は、左右の旋回操作で左右前輪3を左右に操向制御する構成であり、ステアリングハンドル7の後方には運転席8が配備されている。
トラクタTの機体後部から後方に向けて突出するPTO軸9の後端部には、2Pジョイント(ユニバーサルジョイント)10が連結されている。2Pジョイント10の後端部には、スプライン孔10aが設けられ、前端に雄スプライン部11aを設けた連結軸11が挿入されて嵌脱自在にスプライン嵌合され、連結軸11の後端は、後端に雌スプライン部12aをもつ雌スプライン軸部12の前端部の嵌合穴12bに嵌入して一体的に固着し、該軸部12の雌スプライン部12aには、後記する作業機R側の入力軸21を挿入してスプライン嵌合する構成としている。また、雌スプライン軸部12にはベアリング13を介してジョイントホルダ14が取り付けられている。
【0014】
作業機R側のジョイントサポート部20には、入力軸21を軸受保持するジョイントハウジング22が横軸23芯周りに上下揺動可能に装着されている。このジョイントハウジング22は入力軸21の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧スプリング24にて張圧付勢されている。つまり、ジョイントハウジング22のサポート部20後部に長穴25を設け、この長穴25にピン軸26を挿通し、このピン軸26の両端を前記スプリング24にて前方に引っ張ることにより、ジョイントハウジングの前端(入力軸の先端)側が下向きとなるよう付勢している。なお、前記ピン軸26が長穴25の後部に接する位置になると、ジョイントハウジング22の上向きの角度が規制されるようになっている。
【0015】
2Pジョイントの雌スプライン軸部12は、図4に示すように、作業機側の入力軸に対する挿入方向をサポート部の前側から行うようにしている。従来はサポート部の中央を後側から通してサポート部にジョイントを取り付けてPTO側を接続していたが、後側から通すようにすると途中でジョイントを片手で支えないといけない状態があり、高齢者や婦女子にとっては重労働である。ジョイントを前側から挿入することにより常に両手でジョイントを支えることができて、作業者の負担が軽減される作業機ヒッチ19の左右両側から前方に突設するヒッチフレーム27,27は、図9に示すように、先端のコの字型取付部27aを機体側ヒッチ16の2Pセットピン17に係合させて連結ピン18により上下回動自在に連結保持される。連結ピン18の抜け止め手段としては、連結プレート18aに設けられたピン孔18bをヒッチフレーム27から上方に突設する係止ピン27pに上側から嵌合し、係止ピン27pの上端にヘヤーピン27hを差し込んで、上方への抜け止めを行うようにしている。
【0016】
作業機ヒッチ19の中央部から上方に突設する上部連結具28には、ロータリ耕耘部30のトップマスト31の上端部が連結ピン32によって連結されるようになっており、作業機ヒッチ19の左右下端側に設けられた下部連結具29,29には、ロータリ耕耘部30の伝動ケース33の両側に設けられた係止具34が係合するようになっており、回動可能な回動係止爪35,35によってその係合係止状態をロックする構成としている。
【0017】
図10に示す実施例は、作業機側ヒッチフレーム27のトラクタ側機体ヒッチに対する取付部を別部品とする構成としている。例えば、構成の異なるコの字型取付部27aと横軸ピン型取付部27bとからなる二つの部品構成とし、これらを互いに交換して使用できるようにし、ヒッチフレームに対し抜き差し自在とすると共に、連結ボルト38により固定する構成としている。取付部が交換できることで専用部品を少なくすることができ、取付部の構成が異なるトラクタに対して装着が容易にできる。また、上部連結具28に対する作業機側のマスト31を交換することによっても、規格の異なる作業機に対応することができる。
【0018】
図11に示す実施例は、制御機構(メカオート)などの作動用ワイヤ39を作業機ヒッチ19近くの適所においてトラクタ側39aと作業機側39bとに分割し、この分割部分を油圧のクイックカプラのような簡単に接合分離できるカプラ40a,40b方式の構成としている。従来はトラクタから作業機まで1本のワイヤで接続されており、作業機を外す際にはトラクタ後部の狭いスペースに取り付けられたワイヤを外す必要があり不便である。本例によれば、上記カプラにより簡単に接続分離することができ、作業の行い易い場所でワンタッチで行えるため、作業機の付け替えが多い場合でも容易に行うことができる。
【0019】
図12及び図13に示す実施例について説明すると、ロータリ耕耘部30のリヤカバー41をプレッシャロッド42を介して吊持するハンガ部43にロックプレート44を設け、トラクタの運転席に座ったままで手が届く位置にロックレバー45を設けてあり、このロックレバーの操作によって、リヤカバーの下げロックができるように構成している。
【0020】
プレッシャロッド42は、ハンガ部43に架設された支持ピン46回りに回動可能な角チューブ47に挿通支架されている。ロックプレート44は、ロックレバー45の操作で軸芯P回りに回動する構成であり、ロックレバー45を図13(イ)状態から(ロ)状態に操作すると、ロックプレート44が回動して前記角チューブ47から突設するロックピン48に係合し、リヤカバーを下げ状態でロックするようになっている。
【0021】
図14に示す実施例は、トラクタに装備された作業機装着用のクイックヒッチ19にICカードデータ読取装置50を設け、各作業機に備えられたICカード51のデータをドッキングしたときに読み込み、自動的に作業機の上げ規制を行うようにしている。つまり、クイックヒッチ19により作業機Rをドッキングすると、クイックヒッチに設けられたICカードのデータ読込装置50が各作業機に設けられたICカード51のデータを読み込む。そして、ICカードのデータより必要に応じてトラクタが自動的に上げ規制を行う。要するに、ICカードには上げ規制のデータが入っていて、読込装置がこのデータを読み込むと自動的に上げ規制の制御が入り、作業機とトラクタの干渉を防ぐようにしている。作業機によって上げ規制が必要な場合がある。この規制をし忘れると、作業機がキャビン等に激突し破損を招く問題がある。本例ではこのような問題点を作業機の上げ規制によって解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】トラクタ要部の側面図
【図2】作業機連結装置の要部側面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】作業機ヒッチと2Pジョイントとの関係側面図
【図5】作業機要部の平面図
【図6】同上斜視図
【図7】同上側面図
【図8】同上背面図
【図9】作業機側ヒッチフレームと機体側ヒッチの連結装置を示す斜視図
【図10】別実施例の作業機ヒッチの平面図
【図11】別実施例の作業機要部の側面図
【図12】トラクタ一部と作業機の側面図
【図13】同上要部の斜視図
【図14】クイックヒッチと作業機との関係を示すロータリー斜視図(A)、クイックヒッチ部斜視図(B)、ロータリー入力部前側斜視図(C)
【符号の説明】
【0023】
9 PTO軸
10 2Pジョイント
11 連結軸
12 雌スプライン軸部
19 作業機ヒッチ
20 ジョイントサポート部
21 入力軸
22 ジョイントハウジング
23 横軸
24 張圧スプリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ(T)の後部に作業機(R)を着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸(21)をもつ作業機側のジョイントサポート部(20)とトラクタのPTO軸(9)に連結する2Pジョイント(10)との間を、雄スプライン(11a)をもつ連結軸(11)とこの連結軸に嵌着された雌スプライン(12a)をもつ軸部(12)とでもって連結保持すべく構成してあることを特徴とするトラクタの作業機連結装置。
【請求項2】
作業機側ジョイントサポート部(20)には入力軸(21)を軸受保持するジョイントハウジング(22)を横軸(23)芯周りに揺動可能に装着してあると共に、このジョイントハウジング(22)の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧付勢してことを特徴とする請求項1記載のトラクタの作業機連結装置。
【請求項1】
トラクタ(T)の後部に作業機(R)を着脱自在に装着するトラクタの作業機連結装置において、入力軸(21)をもつ作業機側のジョイントサポート部(20)とトラクタのPTO軸(9)に連結する2Pジョイント(10)との間を、雄スプライン(11a)をもつ連結軸(11)とこの連結軸に嵌着された雌スプライン(12a)をもつ軸部(12)とでもって連結保持すべく構成してあることを特徴とするトラクタの作業機連結装置。
【請求項2】
作業機側ジョイントサポート部(20)には入力軸(21)を軸受保持するジョイントハウジング(22)を横軸(23)芯周りに揺動可能に装着してあると共に、このジョイントハウジング(22)の入力受け入れ側が常時下向きとなるよう張圧付勢してことを特徴とする請求項1記載のトラクタの作業機連結装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−240165(P2009−240165A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87144(P2008−87144)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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