説明

トリアゾールとベンゾトリアゾールのエレクトロルミネセンス金属錯体

本発明は、それぞれ式(I)のトリアゾールとベンゾトリアゾールのエレクトロルミネセンス金属錯体、それらの調製方法、金属錯体を含む電子デバイス、及び電子デバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)における、酸素感応指示器としての、バイオアッセイにおけるリン光性指示器としての又は触媒としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾールとベンゾトリアゾールのエレクトロルミネセンス金属錯体、それらの調製方法、金属錯体を含む電子デバイス、及び電子デバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)における、酸素感応指示薬としての、バイオアッセイにおけるリン光性指示薬としての又は触媒としてのそれらの使用に関する。
【0002】
ディスプレーを形成する発光ダイオードなどの発光する有機電子デバイスは、多くの異なる種類の電子装置に存在する。そのような全てのデバイスにおいて、有機活性層が2つの電気接触層の間に挟まれている。少なくとも1つの電気接触層は、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。有機活性層は、電気接触層の全体への電気の適用によって、光透過性電気接触層を通して発光する。
【0003】
発光ダイオードに活性成分として有機エレクトロルミネセンス化合物を使用することは、よく知られている。アントラセン、チアジアゾール誘導体及びクマリン誘導体のような単純な有機分子は、エレクトロルミネセンスを示すことが知られている。半導性共役ポリマーも、例えばUS−B−5,247,190、US−B−5,408,109及びEP−A−443 861で開示されているように、エレクトロルミネセンス成分として使用されている。8−ヒドロキシキノレートと三価金属イオン、特にアルミニウムとの錯体が、例えばUS−A−5,552,678で開示されているように、エレクトロルミネセンス成分として広く使用されてきた。
【0004】
Burrows及びThompsonは、fac−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムが有機発光デバイスで活性成分として使用できることを報告した。(Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4.)その性能は、イリジウム化合物がホスト伝導性物質中に存在すると最大になる。Thompsonは、更に、活性層がfac−トリス〔2−(4′,5′−ジフルオロフェニル)ピリジン〕−C′.sup.2,N〕イリジウム(III)でドープしたポリ(N−ビニルカルバゾール)であるデバイスを報告した。(Polymer Preprints 2000, 41(1), 770.)
【0005】
J. A. C. Allison et al., J. Heterocyclic Chem. 12 (1975) 1275-1277は、パラジウムの2−フェニル−1,2,3−トリアゾールクロロ錯体及び塩素化フェニルトリアジンの合成における触媒としてのそれらの使用を開示する。
【0006】
M. Nonoyama and C. Hayata, Transition Met. Chem. 3 (1978) 366-369は、2−アリール−4,5−ジメチル−1,2,3−トリアゾール〔H(C−N)〕と、パラジウム(II)、白金(II)、ロジウム(II)及びイリジウム(III)の塩化物とのシクロメタル化を記載し、その結果、M=Pd又はPtでは〔MCl(C−N)〕2種をもたらし、M=Rh又はIrでは〔MCl(C−N)22種をもたらす。これらの錯体は、ピリジン及びトリ−n−ブチルホスフィンなどの単座配位子Lと反応して、MCl(C−N)L及びMCl(C−N)2L錯体を与える。
【0007】
US20020055014は、リン光性化合物を含む発光デバイスに関する。好ましいリン光性化合物は、下記で示される式:
【0008】
【化21】

【0009】
(式中、Mは、遷移金属を表わし;Qk1は、5員又は6員芳香族環を形成するのに必要な原子群を表わし;そしてQk2は、5員又は6員芳香族アゾール環を形成するのに必要な原子群を表わす)により表わされる部分構造を有する化合物を含む。Qk2により完成した5員又は6員芳香族アゾール環は、トリアゾールを含んでもよいが、1,2,3−トリアゾールは含まない。
【0010】
US20010019782は、下記式:
【0011】
【化22】

【0012】
(式中、Z11及びZ12は、それぞれ、炭素原子と窒素原子のうちの少なくとも1つを持つ5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わし、前記環は、場合により、置換基を有するか又は他の環と縮合環を形成し;Ln1は、二価基を表わし;Y1は、窒素原子又は炭素原子を表わし;そしてb2は、単結合又は二重結合を表わす)により表わされる部分構造を有する化合物を含む発光物質を開示する。そのうち、Z11及びZ12により形成される5員又は6員環の好ましい例は、1,2,3−トリアゾール環及び1,2,4−トリアゾール環である。二価基Ln1は、単結合を含まない。
【0013】
ベンゾイミダゾール系配位子を含有するリン光性ビス−シクロメタル化イリジウム錯体は、W.-S. Huang et al. in Chem. Mater. 16 (2004) 2480-2488により記載されている。
【0014】
以下のシクロパラジウム化(cyclopalladated)金属錯体の1H及び13C NMRが、P. J. Steel, G. B. Caygill, Journal of Organometallic Chemistry 327 (1987) 101-114に記載されている:
【0015】
【化23】

【0016】
しかし、改善された効率を有するエレクトロルミネセンス化合物が継続的に要望されている。
【0017】
したがって、本発明は、式(I):
【0018】
【化24】

【0019】
(式中、
n1は、1〜3の整数であり、
m1及びm2は、0、1又は2の整数であり、
1は、40を超える原子量の金属であり、
1は、単座配位子又は二座配位子であり、
2は、単座配位子であり、
1及びQ2は、互いに独立して、有機置換基であるか、又は
1及びQ2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、下記基:
【0020】
【化25】

【0021】
を形成し、
ここでQ4は、場合により置換されていることができる縮合芳香族又は複素芳香族環を形成する基を表わし、そして
3は、場合により置換されていることができる縮合芳香族又は複素芳香族環を形成する基を表わすが、但し、以下の化合物:
【0022】
【化26】

【0023】
が除外され、単座配位子がハロゲン原子ではない)で示される化合物、それらの調製方法、金属錯体を含む電子デバイス、及び電子デバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)における、酸素感応指示器としての、バイオアッセイにおけるリン光性指示器としての又は触媒としてのそれらの使用を対象とする。
【0024】
本発明は、トリアゾール及び2H−ベンゾトリアゾールそれぞれから誘導される少なくと1つの配位子を含む金属錯体を対象とする。
【0025】
本発明の文脈における2H−ベンゾトリアゾール化合物とは、2H−ベンゾトリアゾール又はヘテロ−2H−ベンゾトリアゾールを意味する。
【0026】
上記で指定された下記:
【0027】
【化27】

【0028】
の基の可能性を特定する例は、以下である。
【0029】
【化28】

【0030】
2H−ベンゾトリアゾール部分の空の原子価は、その置換に限定されない共有結合を表わすことが理解される。本発明によると、金属錯体は、少なくとも1つのトリアゾール又は2H−ベンゾトリアゾール配位子を含む、すなわち、2つ若しくは3つ又はそれ以上のトリアゾール又は2H−ベンゾトリアゾール配位子を含んでもよい。
【0031】
以下:
【0032】
【化29】

【0033】
の特定の例が、下記のY1、Y2及びY3の定義で提示される。
【0034】
用語「配位子」とは、金属イオンの配位圏に結合している、分子、イオン又は原子を意味することが意図される。用語「錯体」とは、名詞として使用される場合、少なくとも1つの金属イオン及び少なくとも1つの配位子を有する化合物を意味することが意図される。用語「基」とは、有機化合物中の置換基又は錯体中の配位子のような、化合物の一部分を意味することが意図される。用語「面」とは、3個の「a」基が全て隣接している、すなわち八面体の1つの三角面の角にある、八面体の形状を有する錯体Ma33の1つの異性体を意味することが意図される。用語「子午線」とは、3個の「a」基が、2個が互いにトランスになるように3か所を占めている、すなわち、3個の「a」基が、子午線を思わせることができる、配位圏を横切る弧を形成する共平面上の3か所に位置する、八面体の形状を有する錯体Ma33の1つの異性体を意味することが意図される。語句「隣接する」とは、デバイスの層について使用される場合、1つの層が別の層の直ぐ隣にあることを必ずしも意味しない。用語「光活性」とは、エレクトロルミネセンス及び/又は感光性を示すあらゆる物質を意味する。
【0035】
本発明の金属錯体は、トリアゾール又はベンゾトリアゾール化合物から誘導される少なくとも1つの配位子によって特徴決定される。
【0036】
適切なトリアゾール又はベンゾトリアゾール:
【0037】
【化30】

【0038】
は、既知であるか、又は既知の手順に従って製造できる。適切なベンゾトリアゾールの合成は、例えば、WO03/105538及びPCT2004EP53111、並びにこれらで引用されている参考文献に記載されている。
【0039】
金属は、一般に、40を超える原子量の金属M1である。
好ましくは、金属M1は、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Ag及びAuからなる群より選択される。
より好ましくは、金属は、Ir、Rh及びRe、並びにPt及びPdから選択され、ここで、Irが最も好ましい。
【0040】
配位子は、好ましくはモノアニオン性二座配位子である。一般に、これらの配位子は、配位原子としてN、O、P又はSを有し、イリジウムに配位する場合、5員又は6員環を形成する。適切な配位基には、アミノ、イミノ、アミド、アルコキシド、カルボキシレート、ホスフィノ、チオレートなどが含まれる。こられの配位子に適切な親化合物の例には、β−ジカルボニル(β−エノレート配位子)及びそれらのN及びS類似体;アミノカルボン酸(アミノカルボキシレート配位子);ピリジンカルボン酸(イミノカルボキシレート配位子);サリチル酸誘導体(サリチレート配位子);ヒドロキシキノリン(ヒドロキシキノリネート配位子)及びそれらのS類似体;並びにジアリールホスフィノアルカノール(ジアリールホスフィノアルコキシド配位子)が含まれる。
【0041】
二座配位子L1又はL′の例は下記であり、
【0042】
【化31】

【0043】
ここで、
11及びR15は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール又はC1〜C8ペルフルオロアルキルであり、
12及びR16は、互いに独立して、水素又はC1〜C8アルキルであり、
13及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール、C1〜C8ペルフルオロアルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
14は、C1〜C8アルキル、C6〜C10アリール又はC7〜C11アラルキルであり、
18は、C6〜C10アリールであり、
19は、C1〜C8アルキルであり、
20は、C1〜C8アルキル又はC6〜C10アリールであり、
21は、水素、部分的に若しくは完全にフッ素化されていてもよい、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
22及びR23は、互いに独立して、Cn(H+F)2n+1又はC6(H+F)5であり、R24は、同一又はそれぞれの場合に異なっていることができ、H又はCn(H+F)2n+1から選択され、
pは、2又は3であり、そして
46は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、又はC1〜C18アルキルで置換されているC6〜C18アリールである。
【0044】
適切なホスフィノアルコキシド配位子:
【0045】
【化32】

【0046】
の例は下記に示されている:
3−(ジフェニルホスフィノ)−1−オキシプロパン〔dppO〕
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ジフェニルホスフィノ)−エトキシド〔tfmdpeO〕。
【0047】
配位子Lが誘導される特に適切な化合物HL:
【0048】
【化33】

【0049】
の例には、下記が含まれる。
【0050】
【化34】

【0051】
ヒドロキシキノリン親化合物HLは、部分的又は完全にフッ素化されていてもよいアルキル又はアルコキシ基のような基で置換されていることができる。一般に、これらの化合物は市販されている。適切なヒドロキシキノリネート配位子Lの例には、下記が含まれる:
8−ヒドロキシキノリネート〔8hq〕
2−メチル−8−ヒドロキシキノリネート〔Me−8hq〕
10−ヒドロキシベンゾキノリネート〔10−hbq〕。
【0052】
本発明の更なる実施態様において、二座配位子L1又はL′は、下記式:
【0053】
【化35】

【0054】
(式中、
環A:
【0055】
【化36】

【0056】
は、場合によりヘテロ原子を含有することができる、場合により置換されているアリール基を表わし、
環B:
【0057】
【化37】

【0058】
は、場合により更なるヘテロ原子を含有することができる、場合により置換されている窒素含有アリール基を表わすか、又は環Aは、環Aに結合している環Bと一緒に環を形成してもよい)
で示される配位子である。
【0059】
好ましい環Aには、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、フリル基、置換フリル基、ベンゾフリル基、置換ベンゾフリル基、チエニル基、置換チエニル基、ベンゾチエニル基、置換ベンゾチエニル基などが含まれる。置換フェニル基、置換ナフチル基、置換フリル基、置換ベンゾフリル基、置換チエニル基及び置換ベンゾチエニル基の置換基には、C1〜C24アルキル基、C2〜C24アルケニル基、C2〜C24アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、C1〜C24アルコキシ基、C1〜C24アルキルチオ基、シアノ基、C2〜C24アシル基、C1〜C24アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキレンジオキシ基などが含まれる。
【0060】
前記の実施態様において、二座配位子:
【0061】
【化38】

【0062】
は、好ましくは下記式:
【0063】
【化39】

【0064】
(式中、R206、R207、R208及びR209は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、C2〜C24アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、シアノ、アシル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ基又はハロゲン原子であり;環Aは、場合により置換されているアリール若しくはヘテロアリール基を表わすか;又は環Aは、環Aに結合しているピリジル基と一緒に環を形成してもよく;R206、R207、R208及びR209により表わされているアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基及びアルキルオキシカルボニル基は、置換されていてもよい)
で示される基である。
【0065】
二座配位子L1、L′又はL″の好ましい種類の例は、下記式:
【0066】
【化40】

【0067】
〔式中、Yは、S、O、NR200であり、ここでNR200は、水素、シアノ、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニル、−(CH2r−Ar(ここで、Arは、場合により置換されているC6〜C10アリール、特に下記:
【0068】
【化41】

【0069】
である)、基−(CH2r’20(ここで、r′は、1〜5の整数であり、X20は、ハロゲン、特にF若しくはCl;ヒドロキシ、シアノ、O−C1〜C4アルキル、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ、アミノ又はシアノである);基−(CH2rOC(O)(CH2r″CH3(ここで、rは、1又は2であり、そしてr″は、0又は1である);下記:
【0070】
【化42】

【0071】
−NH−Ph、−C(O)CH3、−CH2−O−(CH22−Si(CH33、又は下記:
【0072】
【化43】

【0073】
である〕
で示される化合物である。
【0074】
二座配位子L1、L′又はL″の別の好ましい種類は、下記式:
【0075】
【化44】

【0076】
〔式中、R214は、水素、ハロゲン、特にF又はCl;ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C4アルコキシ、又は場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニルであり、
215は、水素、ハロゲン、特にF若しくはCl;C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニル、又は場合により置換されているC6〜C10ペルフルオロアリール、特にC65であり、
216は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニル、又は場合により置換されているC6〜C10ペルフルオロアリール、特にC65であり、
217は、水素、ハロゲン、特にF又はCl;ニトロ、シアノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C4アルコキシ、又は場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニルであり、
210は、水素であり、
211は、水素、ハロゲン、特にF又はCl;ニトロ、シアノ、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、−O−C1〜C4ペルフルオロアルキル、トリ(C1〜C4アルキル)シラニル、特にトリ(メチル)シラニル、場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニル、又は場合により置換されているC6〜C10ペルフルオロアリール、特にC65であり、
212は、水素、ハロゲン、特にF又はCl;ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C4アルコキシ、−O−C〜Cペルフルオロアルキル、−S−C〜Cアルキル、基−(CH2r20(ここで、rは、1又は2であり、X20は、ハロゲン、特にF又はCl;ヒドロキシ、シアノ、−O−C1〜C4アルキル、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ、−CO221であり、ここでX21は、H又はC1〜C4アルキルである);−CH=CHCO222(ここでX22は、C1〜C4アルキルである);−CH(O)、−SO223、−SOX23、−NC(O)X23、−NSO223、−NHX23、−N(X232(ここでX23は、C1〜C4アルキルである);トリ(C1〜C4アルキル)シロキサニル、場合により置換されている−O−C6〜C10アリール、特にフェノキシ、シクロヘキシル、場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニル、又は場合により置換されているC6〜C10ペルフルオロアリール、特にC65であり、そして
213は、水素、ニトロ、シアノ、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、−O−C1〜C4ペルフルオロアルキル、トリ(C1〜C4アルキル)シラニル、又は場合により置換されているC6〜C10アリール、特にフェニルである〕
で示される化合物である。
【0077】
二座配位子L1、L′又はL″の特定の例は、以下の化合物(X1)〜(X47)である。
【0078】
【化45】





【0079】
本発明の好ましい実施態様において、化合物は、式(II):
2a(Lbw(Lcx(L′)y(L″)z (II)〔式中、
w=0又は1であり、x=0又は1であり、y=0、1又は2であり、z=0又は1であるが、但し:
x=1であり、y+z=0であり、y=2である場合、z=0であり;
2は、Pt、Pd、Rh、Re又はIrであり、
L′は、二座配位子又は単座配位子であるが、但し:L′が単座配位子である場合、y+z=2であり、L′が二座配位子である場合、z=0であり;
L″は、単座配位子であり;そして
a、Lb及びLcは、同一又は互いに異なり、La、Lb及びLcは、ぞれぞれ下記の構造(IIIa)、(IIIb)又は(IV):
【0080】
【化46】

【0081】
を有し、
ここで、
1及びQ2は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル又は場合によりGで置換されているC6〜C18アリールであり;
21、A22、A23及びA24は、互いに独立して、水素、CN、ハロゲン、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、C1〜C24ペルフルオロアルキル、場合によりGで置換されているC6〜C18アリール;−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又は場合によりGで置換されているC2〜C10ヘテロアリール;特に下記式:
【0082】
【化47】

【0083】
の基であるか、
あるいは
22及びA23は、下記式:
【0084】
【化48】

【0085】
の基であり、
ここで、A41、A42、A43、A44、A45、A46及びA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、場合によりGで置換されていてもよいC6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又はC2〜C10ヘテロアリール;特に下記:
【0086】
【化49】

【0087】
であり、
11、A12、A13、A14、A15及びA16は、互いに独立して、H、CN、ハロゲン、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、C6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又は場合によりGで置換されているC2〜C10ヘテロアリールであり;
ここで、
1は、O、S又はNR25であり、
25及びR26は、互いに独立して、C6〜C18アリール、C7〜C18アラルキル又はC1〜C24アルキルであり、R27は、C1〜C24アルキル、C6〜C18アリール又はC7〜C18アラルキルであり;
1、Y2及Y3は、互いに独立して、下記式:
【0088】
【化50】

【0089】
の基であり、
ここで、
41は、M2への結合であり、
71は、M2への結合であり、
42は、水素、又はC1〜C24アルキル、CN、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
43は、水素、CN、ハロゲン、特にF、Fで置換されているC1〜C24アルキル、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、若しくはC1〜C8アルコキシ、−CONR2526、−COOR27、下記:
【0090】
【化51】

【0091】
であり、
ここで、
2は、−S−、−O−又は−NR25’−であり、R25’は、C1〜C24アルキル又はC6〜C10アリールであり、
110は、H、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であるか、あるいは
42及びR43は、下記式:
【0092】
【化52】

【0093】
の基であり、
ここで、A41、A42、A43、A44、A45、A46及びA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、場合によりGで置換されていてもよいC6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又はC2〜C10ヘテロアリール;特に下記:
【0094】
【化53】

【0095】
であり、
44は、水素、CN、又はC1〜C24アルキル、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
45は、水素、CN、又はC1〜C24アルキル、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
11’、A12’、A13’及びA14’は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であり、
68及びR69は、互いに独立して、C1〜C24アルキル、特にC4〜C12アルキルであり、特に1又は2個の酸素原子で中断されていることができる、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル及びオクチルであり、
70、R72、R73、R74、R75、R76、R90、R91、R92及びR93は、互いに独立して、H、ハロゲン、特にF、CN、C1〜C24アルキル、C6〜C10アリール、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であり、ここで、R25、R26及びR27は、上記で定義されたとおりであり、そしてGは、C1〜C18アルキル、−OR305、−SR305、−NR305306、−CONR305306又は−CNであり、ここで、R305及びR306は、互いに独立して、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C18アルコキシ;C1〜C18アルキル、又は−O−で中断されているC1〜C18アルキルであり;あるいは
305及びR306は、一緒になって、5員又は6員環、特に下記:
【0096】
【化54】

【0097】
を形成する〕
を有する。
【0098】
前記の実施態様において、w=1であり、x=1であり、y=0であり、そしてz=0であり、及びw=1であり、x=0であり、y=1であり、そしてz=0であり、下記の構造(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(VIa)又は(VIb):
【0099】
【化55】

【0100】
〔式中、
3は、Rh又はRe、特にIrであり、
1及びQ2は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル又はC6〜C18アリールであり、
L′は、下記:
【0101】
【化56】

【0102】
から選択される二座配位子であり、
ここで、
11及びR15は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール又はC1〜C8ペルフルオロアルキルであり、
12及びR16は、互いに独立して、水素又はC1〜C8アルキルであり、
13及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール、C1〜C8ペルフルオロアルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
14は、C1〜C8アルキル、C6〜C10アリール又はC7〜C11アラルキルであり、
18は、C6〜C10アリールであり、
19は、C1〜C8アルキルであり、
20は、C1〜C8アルキル又はC6〜C10アリールであり、
21は、水素、部分的に若しくは完全にフッ素化されていてもよい、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
22及びR23は、互いに独立して、Cn(H+F)2n+1又はC6(H+F)5であり、R24は、同一又はそれぞれの場合に異なっていることができ、H又はCn(H+F)2n+1から選択され、
pは、2又は3であり、
11は、水素であり、
12は、水素であり、
13は、水素であり、
14は、水素又はC6〜C18アリールであり、
15は、水素又はC6〜C18アリールであり、
16は、水素であり、
21は、水素であり、
22は、水素又はC6〜C10アリールであり、
23は、水素又はC6〜C10アリールであり、
24は、水素であり、
42は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
43は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C8アルコキシ又はC6〜C10アリールであり、
44は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
45は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、そして
46は、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C1〜C8アルコキシ、又はC1〜C8アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又は二座配位子L′であり、これは、下記式:
【0103】
【化57】

【0104】
の配位子(L″)であり、特に、化合物(X−1)〜(X−47)である〕
を有する化合物がより好ましい。
【0105】
別の実施態様において、下記の構造(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIa)又は(VIIIb):
【0106】
【化58】

【0107】
(式中、
4は、Pd又はPtであり、そしてQ1、Q2、L′、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A21、A22、A23、A24、R42、R43、R44及びR45は、上記で定義されたとおりである)
を有する化合物が好ましい。
【0108】
金属錯体(La2IrL′の場合では、3個の異性体が存在できる。
【0109】
【化59】

【0110】
幾つかの場合において、異性体の混合物が得られる。多くの場合、混合物は個々の異性体を単離することなく使用できる。
【0111】
現在のところ最も好ましい化合物を下記に示す。
【0112】
【表2】





































































【0113】
本発明の金属錯体は、当該技術で既知の通常の方法に従って調製できる。式:Ir(La3のイリジウム金属錯体を調製するための都合の良い一工程法は、市販の三塩化イリジウム水和物を過剰量のLaHと、3当量のトリフルオロ酢酸銀の存在下、場合により溶媒(ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒及び水など)の存在下で反応させることを含む。
【0114】
トリス−シクロメタル化イリジウム錯体が単離され、常法によって精製される。幾つかの場合において、異性体の混合物が得られる。多くの場合、混合物は個々の異性体を単離することなく使用できる。
式:Ir(La2L′のイリジウム金属錯体は、例えば、最初に下記式:
【0115】
【化60】

【0116】
(式中、Xは、H、メチル又はエチルであり、そしてLaは、上記で定義されたとおりである)で示される中間体のイリジウム二量体を調製し、次にHL′を加えることによって、調製できる。イリジウム二量体は、一般に、最初に三塩化イリジウム水和物をHLaと反応させ、NaXを加え、そして三塩化イリジウム水和物を2−エトキシエタノールなどの適切な溶媒中でHLaと反応させることによって、調製できる。
【0117】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0118】
1〜C24アルキルは、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル又はドコシルである。
【0119】
1〜C24ペルフルオロアルキルは、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基であり、例えば、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3及び−C(CF33である。
【0120】
1〜C24アルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ又はtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ及びオクタデシルオキシである。
【0121】
2〜C24アルケニル基は直鎖状又は、分岐鎖状のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニル又はn−オクタデカ−4−エニルである。
【0122】
2-24アルキニルは、直鎖状又は分岐鎖状であり、好ましくはC2-8アルキニルであり、これは非置換であるか又は置換されていてもよく、例えばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル又は1−テトラコシン−24−イルである。
【0123】
4〜C18シクロアルキル、特にC5〜C12シクロアルキルは、好ましくは、C5〜C12シクロアルキル又は1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されている前記シクロアルキルであり、例えばシクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチル又は2−アダマンチルである。シクロヘキシル、1−アダマンチル及びシクロペンチルが最も好ましい。
【0124】
S、O又はNR25で中断されているC4〜C18シクロアルキルの例は、ピペリジル、ピペラジニル及びモルホリニルである。
【0125】
2〜C24アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル又はオクテニルである。
【0126】
アリールは、通常、C630アリール、好ましくはC6〜C24アリールであり、これは場合により置換されていることができ、例えばフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリル、アントリル、テトラシル、ペンタシル、ヘキサシル、テルフェニリル又はクアドフェニリル;あるいは1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されているフェニル、例えばo−、m−若しくはp−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2−メチル−6−エチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、2−エチルフェニル又は2,6−ジエチルフェニルである。
【0127】
7〜C24アラルキル基は、好ましくはC7〜C15アラルキル基であり、これは置換されていてもよく、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル;あるいは1〜3個のC1〜C4アルキル基でフェニル環において置換されているフェニル−C1〜C4アルキル、例えば2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル若しくは4−tert−ブチルベンジル、又は3−メチル−5−(1′,1′,3′,3′−テトラメチル−ブチル)−ベンジルである。
【0128】
ヘテロアリールは、典型的にはC2〜C26ヘテロアリールであり、すなわち、窒素、酸素又は硫黄が考えられるヘテロ原子である、5〜7個の環原子を持つ環であるか、又は縮合環系であり、典型的には、少なくとも6個の共役π電子を有する原子5〜30個を持つ不飽和複素環基であり、例えば、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ジベンゾ〔b,d〕チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル又はフェノキサジニルであり、これらは非置換であることができるか、又は置換されていることができる。
【0129】
6〜C18シクロアルコキシは、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ又はシクロオクチルオキシ、あるいは1〜3個のC1〜C4アルキルで置換されている前記シクロアルコキシ、例えばメチルシクロペンチルオキシ、ジメチルシクロペンチルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、ジメチルシクロヘキシルオキシ、トリメチルシクロヘキシルオキシ又はtert−ブチルシクロヘキシルオキシである。
【0130】
6〜C24アリールオキシは、典型的にはフェノキシ又は1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されているフェノキシであり、例えばo−、m−若しくはp−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2−メチル−6−エチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2−エチルフェノキシ又は2,6−ジエチルフェノキシである。
【0131】
6〜C24アラルコキシは、典型的にはフェニル−C1〜C9アルコキシであり、例えばベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジルオキシ又は2−フェニルエトキシである。
【0132】
1〜C24アルキルチオ基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、テトラデシルチオ、ヘキサデシルチオ又はオクタデシルチオである。C1〜C24アルキルセレニウム及びC1〜C24アルキルテルルは、それぞれ、C1〜C24アルキルSe−及びC1〜C24アルキルTe−である。
【0133】
9とR10及びR25とR26それぞれにより形成される5員又は6員環の例は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1つの追加のヘテロ原子を有することができる、炭素原子3〜5個を有するヘテロシクロアルカン又はヘテロシクロアルケンであり、例えば下記:
【0134】
【化61】

【0135】
であり、これは二環式系の一部であることができ、例えば、下記:
【0136】
【化62】

【0137】
である。
【0138】
上記の基のために可能である置換基は、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基又シリル基である。
【0139】
用語「ハロアルキル」は、上記のアルキル基がハロゲンにより部分的に、又は完全に置換されていることにより示される基を意味し、例えば、トリフルオロメチルなどである。「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基及びアミノ基」には、C1〜C24アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C7〜C24アラルキル基又は複素環基により置換されているものが含まれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基は、非置換であってもよいか、又は置換されていてもよい。用語「シリル基」とは、式:−SiR105106107(式中、R105、R106及びR107は、互いに独立して、C1〜C8アルキル基、特にC1〜C4アルキル基、C6〜C24アリール基、又はC7〜C12アラルキル基である)で示される基を意味し、例えばトリメチルシリル基である。
【0140】
置換基が基において1回を超えて現われる場合、それぞれの場合において異なることができる。
【0141】
本発明は、また、金属錯体を含む電子デバイス及びその製造方法を対象とする。電子デバイスは、デバイスの層の少なくとも1つが金属錯体化合物を含む、2つの電気接触層の間に位置する、少なくとも1つの有機活性物質を含むことができる。電子デバイスは、陽極層(a)、陰極層(e)及び活性層(c)を含むことができる。陽極層(a)に隣接するものは、任意の正孔注入層/輸送層(b)であり、陰極(e)に隣接するものは、任意の電子注入/輸送層(d)である。層(b)及び(d)は、電荷輸送層の例である。
【0142】
活性層(c)は、少なくとも約1重量%の前記で記載された金属錯体を含むことができる。
【0143】
幾つかの実施態様において、活性層(c)は、金属錯体が実質的に100%であってもよく、それは、Alq3のようなホスト電荷輸送物質が必要ないからである。「実質的に100%」とは、不純物又は層を形成するプロセスからの偶発的な副産物の可能性を除いて、金属錯体が層における唯一の物質であることを意味する。それでも幾つかの実施態様において、金属錯体は、ホスト物質内でドーパントであってもよく、これは典型的には活性層(c)内で電荷輸送を促進するために使用される。あらゆる金属錯体を含む活性層(c)は、小型分子活性物質であることができる。
【0144】
デバイスは、陽極層(a)又は陰極層(e)に隣接する支持体又は基板(示されず)を含んでもよい。最も頻繁には、支持体は陽極層(a)に隣接している。支持体は、軟質又は硬質、有機又は無機であることができる。一般に、ガラス又は軟質有機フィルムが支持体として使用される。陽極層(a)は、陰極層(e)と比較すると、正孔を注入するのにより効率的な電極である。陽極は、金属、混合金属、合金、金属酸化物又は混合金属酸化物を含有する物質を含むことができる。陽極層(a)内の適切な金属要素は、4、5、6及び8〜11族の遷移金属を含むことができる。陽極層(a)が光透過性である場合、インジウム−スズ−酸化物などの12、13及び14族の金属の混合金属酸化物を使用してもよい。陽極層(a)用の物質の幾つかの非限定的で特定の例には、インジウム−スズ−酸化物(「ITO」)、アルミニウム−スズ−酸化物、金、銀、銅、ニッケル及びセレニウムが含まれる。
【0145】
陽極層(a)は、化学的若しくは物理的蒸着法又は回転成形法によって形成してもよい。化学的蒸着法は、プラズマ強化化学蒸着(「PECVD」)又は金属有機化学蒸着(「MOCVC」)として実施することができる。
【0146】
物理的蒸着は、全ての形態のスパッタリング(例えば、イオンビームスパッタリング)、eビーム蒸着及び抵抗蒸着を含むことができる。
【0147】
物理的蒸着の特定の形態は、rfマグネトロンスパッタリング又は誘導結合プラズマ物理的蒸着(「ICP−PVD」)を含む。これらの蒸着技術は、半導体製造技術の範囲内で周知である。
【0148】
正孔輸送層(b)は、陽極に隣接していてもよい。正孔輸送小型分子及びポリマーの両方を使用することができる。
【0149】
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)及びビス〔4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕(4−メチルフェニル)メタン(MPMP)に加えて、慣用的に使用される正孔輸送分子は:ポリビニル−カルバゾール、1,1−ビス〔(ジ−4−トリルアミノ)フェニル〕シクロヘキサン(TAPC);N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−〔1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン(PDA);a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);1−フェニル−3−〔p−(ジエチルアミノ)スチリル〕−5−〔p−(ジエチルアミノ)フェニル〕ピラゾリン(PPR又はDEASP);1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TTB);及び銅フタロシアニンのようなポルフィリン化合物を含む。
【0150】
慣用的に使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリアニリンである。正孔輸送ポリマーは、上記のような正孔輸送分子をポリスチレン及びポリカーボネートなどのポリマー中にドーピングすることによって、得ることができる。
【0151】
正孔注入/輸送層(b)は、スピンコート、流延、及びグラビア印刷のような印刷を含む、あらゆる従来の方法を使用して形成できる。層は、また、インクジェット印刷、熱パターン化、又は化学的若しくは物理的蒸着によって適用できる。
【0152】
通常、陽極層(a)及び正孔注入/輸送層(b)は、同じリトグラフ操作の間にパターン化される。パターンは、所望によって変わることができる。例えば、第1電気接触層物質を適用する前に、パターンマスク又はレジストを第1軟質複合バリア構造上に配置することによって、層にパターンを形成することができる。あるいは、層を、全体層として適用し(ブランケット付着とも呼ばれる)、続いて、例えばパターンレジスト層及び湿式化学又はドライエッチング技術を使用してパターン化することができる。当該技術で周知のパターン化の他の方法も使用できる。電子デバイスがアレイ内に位置する場合、陽極層(a)及び正孔注入/輸送層(b)は、典型的には、実質的に同じ方向に伸びる長さを有する、実質的に平行のストリップに形成される。
【0153】
活性層(c)は、本明細書で記載される金属錯体を含んでもよい。選択される特定の物質は、特定の用途、動作の際に使用される電圧及び他の要因に左右されることがある。活性層(c)は、励起子が光電子放出機構を介して発光物質から緩和されるように、電子、正孔及び/又は励起子を捕捉することができる発光物質でドープされている、電子及び/又は正孔を輸送することができるホスト物質を含んでもよい。活性層(c)は、輸送と発光の特性を組み合わせた単一物質を含んでもよい。発光物質がドーパントであるか、又は主要な構成成分であるかに関わらず、活性層は、発光物質の発光に同調するドーパントのような他の物質を含んでもよい。活性層(c)は、組み合わされて所望のスペクトルの光を発光することができる複数の発光物質を含んでもよい。リン光性発光物質の例には、本発明の金属錯体が含まれる。蛍光発光物質の例には、DCM及びDMQAが含まれる。ホスト物質の例には、Alq3、CBP及びmCPが含まれる。発光及びホスト物質は、US−B−6,303,238に開示されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0154】
活性層(c)は、スピンコート、流延及び印刷を含むあらゆる従来の技術によって、溶液から適用できる。活性有機物質は、物質の性質に応じて、蒸着法により直接適用できる。
【0155】
任意層(d)は、電子注入/輸送を促進すること、また、層界面でのクエンチング反応を防止する緩衝層又は閉じ込め層として役立つことの両方の機能を果たすことができる。より具体的には、層(d)は、電子の移動性を促進し、何らかの方法で層(c)と(e)が直接接触する場合にクエンチング反応が起こる可能性を低減することができる。任意層(d)の物質の例には、金属キレート化オキシノイド化合物(例えば、Alq3など);フェナントロリン系化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」)など;アゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)など、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」)など;他の同様の化合物;又はこれらの1つ以上のいずれかの組み合わせが含まれる。あるいは、任意層(d)は、無機であってもよく、BaO、LiF、Li2Oなどを含んでもよい。
【0156】
電子注入/輸送層(d)は、スピンコート、流延、及びグラビア印刷のような印刷を含む、あらゆる従来の方法を使用して形成できる。層は、また、インクジェット印刷、熱パターン化、又は化学的若しくは物理的蒸着によって適用できる。
【0157】
陰極層(e)は、電子又は陰電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。陰極層(e)は、第1電気接触層(この場合は、陽極層(a))よりも低い仕事関数を有するあらゆる金属又は非金属であることができる。
【0158】
第2電気接触層の物質は、1族(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)のアルカリ金属、2族(アルカリ土類)金属、12族金属、希土、ランタニド(例えば、Ce、Sm、Euなど)及びアクチニドから選択できる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、イットリウム及びマグネシウム並びにこれらの組み合わせのような物質もまた使用してもよい。Li含有有機金属化合物、LiF及びLi2Oも、動作電圧を下げるために、有機層と陰極層の間に付着することができる。陰極層(e)用の物質の特定の非限定例には、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム又はサマリウムが含まれる。
【0159】
陰極層(e)は、通常、化学的又は物理的蒸着法により形成される。一般に、陰極層は、陽極層(a)及び任意の正孔注入層(b)を参照した上記のように、パターン化される。デバイスがアレイ内に位置する場合、陰極層(e)は、陰極層ストリップの長さが実質的に同じ方法に伸び、陽極層ストリップの長さに対して実質的に垂直である、実質的に平行なストリップにパターン化されてもよい。
【0160】
画素と呼ばれる電子素子が、交差点(アレイを平面又は上から見た時に、陽極層ストリップが陰極層ストリップと交差している)で形成される。
【0161】
別の実施態様において、追加層(s)が有機電子デバイス内に存在してもよい。例えば、正孔注入層(b)と活性層(c)の間の層(示されず)は、陽電荷輸送を促進し、層間のバンドギャップ整合を促進し、保護層として機能する、などであってもよい。同様に、電荷注入層(d)と陰極層(e)の間の追加層(示されず)は、陰電荷輸送を促進し、層の間のバンドギャップ整合を促進し、保護層として機能する、などであってもよい。当該技術で既知の層を使用することができる。層の一部又は全ては、電荷担体輸送効率を増大するために表面処理されてもよい。それぞれの成分層の物質の選択は、製造費用、製造の複雑性、又は他の可能性のある要因に対して高い装置効率を有するデバイスを提供する目的のバランスをとることによって決定されてもよい。
【0162】
電荷輸送層(b)及び(d)は、一般に活性層(c)と同じ種類である。より具体的には、活性層(c)が小型分子化合物を有する場合、電荷輸送層(b)及び(d)は、そのいずれか又は両方が存在する場合は、異なる小型分子化合物を有することができる。活性層(c)がポリマーを有する場合、電荷輸送層(b)及び(d)は、そのいずれか又は両方が存在する場合は、異なるポリマーを有することもできる。それでも、活性層(c)は、小型分子化合物であってもよく、隣接するいずれかの電荷輸送層は、ポリマーであってもよい。
【0163】
それぞれの機能層は、2つ以上の層から作製されてもよい。例えば、陰極層は、1族金属の層とアルミニウムの層を含んでもよい。1族金属は、活性層(c)の近くに位置してもよく、アルミニウムは、水のような環境汚染物から1族金属を保護するのに役立つことがある。
【0164】
限定することを意図しないが、異なる層は以下の範囲の厚さを有することができる:無機陽極層(a)は、通常約500nm以下、例えば、約50〜200nm;任意正孔注入層(b)は、通常約100nm以下、例えば、約50〜200nm;活性層(c)は、通常約100nm以下、例えば約10〜80nm;任意電荷注入層(d)は、通常約100nm以下、例えば、約10〜80nm;及び陰極層(e)は、通常1000nm以下、例えば約30〜500nm。陽極層(a)又は陰極層(e)は、少なくともいくらかの光を透過する必要があり、そのような層の厚さは、約100nmを超えてはならない。
【0165】
デバイス中の電子−正孔再結合帯域の位置、したがって、デバイスの発光スペクトルは、それぞれの層の相対的な厚さによって影響を受ける可能性がある。例えば、Alq3などの潜在的な発光化合物が電子輸送層(d)に使用される場合、電子−正孔再結合帯域は、Alq3層内に位置する可能性がある。
【0166】
その結果、発光はAlq3のものであって、所望の鮮明な発光とはならない。したがって、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合帯域が発光層(すなわち、活性層(c))内に位置するように選択されるべきである。層の厚さの所望の比率は、使用される物質の正確な性質によって決まることができる。
【0167】
金属錯体から作製されるデバイスの効率は、デバイス中の他の層を最適化することによって、更に改善することができる。例えば、Ca、Ba、Mg/Ag、又はLiF/Alのようなより効率的な陰極を使用することができる。動作電圧の低下又は量子収率の増加をもたらす造形基板及び正孔輸送物質も適用できる。種々の層のエネルギーレベルを調整し、エレクトロルミネセンスを促進するために、追加層を加えることもできる。
【0168】
電子デバイスの用途に応じて、活性層(c)は、信号(例えば、発光ダイオード中の)により活性化される発光層であることができるか、あるいは放射エネルギーに反応し、電圧の印加(例えば、検出器若しくはボルタ電池)のあり又はなしで信号を発生する物質の層であることができる。放射エネルギーに反応することができる電子デバイスの例は、光伝導セル、フォトレジスター、光スイッチ、フォトトランジスター、及び光電管、及び光ボルタ電池から選択される。本明細書を読んだ後、当業者はこれらの特定の用途のための物質を選択することができる。
【0169】
OLEDにおいて、それぞれ陰極(e)及び陽極(a)層から光活性層(c)へ注入される電子及び正孔は、活性層(c)中に陰及び陽電荷ポーラロンを形成する。これらのポーラロンは、適用された電界の影響下で移動し、反対に電荷された種とポーラロン励起子を形成し、続いて放射線再結合を受ける。陽極と陰極の間に、通常約20ボルト未満、一部の場合では約5ボルト以下である、十分な電圧の差がデバイスに適用されることがある。実際の電圧の差は、より大型の電子構成要素中でのデバイスの使用によって決まることがある。多くの実施態様において、電子デバイスの動作の間、陽極層(a)は正電圧にバイアスをかけられ、陰極層(e)は実質的に大地電位すなわちゼロボルトである。電池又は他の電源が、回路の一部として電子デバイスに電気的に接続されていてもよい。
【0170】
他の実施態様において、リン含有金属錯体化合物を層(b)又は(d)中で電荷輸送物質として使用することができる。
【0171】
化合物は、層(b)、(c)又は(d)中で使用される場合、有効であるために固体マトリックス希釈剤(例えば、ホスト電荷輸送物質)である必要はない。層の総重量に基づいて金属錯体化合物の約1重量%より多く、錯体化合物の実質的に100%までの層が、活性層(c)として使用できる。追加の物質が錯体化合物の活性層(c)に存在することができる。例えば、蛍光染料が発光の色を変えるために存在してもよい。
【0172】
また、希釈剤が添加されてもよい。希釈剤は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びポリシランのような高分子物質であることができる。これは、4,4′−N,N′−ジカルバゾールビフェニル又は第三級芳香族アミンなどの小型の分子であることもできる。希釈剤が使用される場合、錯体化合物は、一般に少量で存在し、通常、層の総重量に基づいて20重量%未満、好ましくは10重量%未満である。
【0173】
金属錯体を電子デバイス以外の用途で使用してもよい。例えば、錯体を、触媒又は指示器(例えば、酸素感応指示器、バイオアッセイにおけるリン光性指示器等)として使用してもよい。
【0174】
以下の実施例は本発明の特定の特徴及び利点を説明する。これらは本発明を説明するのであって、限定することを意図しない。全ての百分率は、特に指示のない限り重量による。
【実施例】
【0175】
実施例1
【0176】
【化63】

【0177】
Cpd−1 0.46g(1.78mmol)及び塩化イリジウム(III)水和物(54%)0.35g(0.99mmol)を、2−エトキシエタノール10ml及び水3mlに溶解した。反応混合物を120℃に23時間加熱した。橙色の生成物を濾取し、エタノール及びアセトンで洗浄した。アセチルアセトン0.15g(1.50mmol)の粗生成物に、炭酸ナトリウム0.40(3.76mmol)及び2−エトキシエタノール15mlを加えた。反応混合物を120℃で20時間加熱した。生成物を濾取し、水及びジエチルエーテルで洗浄した。トルエンを用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィー及びヘキサン/酢酸エチル 20/1を用いるシリカゲルの第2カラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物E−1を生じた。
【0178】
実施例2
【0179】
【化64】

【0180】
a)エタノール200ml中のフェニルヒドラジン30.7g(0.283mmol)の溶液に、1−フルオロ−2−ニトロベンゼン20.0g(0.142mmol)を滴加した。反応混合物を27時間撹拌し、次に水に注いだ。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。この生成物を精製しないで次の工程に使用した。
【0181】
【化65】

【0182】
b)実施例2a)の生成物31.0g(0.136mol)をエタノール200ml中で還流させた。この溶液に、水酸化ナトリウム54.6(1.36mol)を加えた。亜ジチオン酸ナトリウム61.5g(0.300mol)を加えた。反応混合物を27時間還流した。ジクロロメタンを加え、有機相を水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。生成物をエタノールから2回、次にi−プロパノールから結晶化した(収量:5.20g(20%))。
【0183】
実施例3
【0184】
【化66】

【0185】
a)エタノール120ml中の4−メチル−フェニルヒドラジン塩酸塩5.62g(35.4mmol)に、炭酸カリウム4.90g(35.4mmol)を加えた。反応混合物を還流し、1−フルオロ−2−ニトロベンゼン5.00g(35.4mmol)を加えた。43時間後、反応混合物を水及びジエチルエーテルで希釈した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空下で除去した。
【0186】
b)実施例3a)の生成物以外は、実施例2b)に対応して実施例3b)を使用した。
【0187】
実施例4
【0188】
【化67】

【0189】
a)水250ml中の酢酸ナトリウム22.6(0.276mol)の溶液に、フェニルヒドラジン15.7g(0.145mmol)を加えた。この溶液に、水中のグリオキサールの40%溶液10g(68.9mmol)を加えた。この反応混合物を4時間撹拌した後、生成物を濾取し、水で洗浄した(収量:16.5g(100%))。
【0190】
b)実施例4aの生成物6.25g(26.2mmol)を、水70ml中のCuSO4 16.4g(65.5mmol)の溶液に加えた。反応混合物を80℃で17時間撹拌した。生成物を水から取り出し、水蒸気蒸留装置に移した。留出物に、塩化ナトリウムを飽和するまで加えた。水相をジエチルエーテルで抽出した。有機層を10%HCl及び水で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を真空下で除去した。
【0191】
実施例5
【0192】
【化68】

【0193】
2−フェニル−ベンゾトリアゾール1.60g(8.20mmol)及びIrCl3水和物0.61g(2.04mmol)を、2−エトキシエタノール/水(3:1)160ml中、150℃で20時間還流した。反応混合物を室温に冷却した後、橙色の固体を濾取し、エタノール15mlで洗浄して、乾燥した後でクロロ架橋二量体0.93gを得た。
【0194】
実施例6
【0195】
【化69】

【0196】
実施例5に従って調製したクロロ架橋二量体0.271g(0.219mmol)を、アセチルアセトネート0.080g(0.800mmol)及び炭酸ナトリウム0.270g(2.55mmol)の存在下、2−エトキシエタノール18ml中、140℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、懸濁液を濾過し、固体をジクロロメタンで2回洗浄した。溶媒を除去した後、生成物をジクロロメタンに溶解し、不溶物質を濾別した。均質の溶液を、沈殿が始まるまで真空下で濃縮した。濾過した後、生成物0.219gを単離した(融点:308℃〜318℃)。
【0197】
実施例7
【0198】
【化70】

【0199】
実施例5に従って調製したクロロ架橋二量体0.150g(0.122mmol)を、ピコリン酸0.030g(0.244mmol)の存在下、ジクロロメタン2.90ml中、還流下で18時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、ヘキサンに滴下した。黄色の懸濁液を濾過し、固体をヘキサンで洗浄した。次に、生成物をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンの層で覆った。濾過した後、固体をヘキサンで洗浄して、橙色の結晶98.9mgを生じた(融点:225.1℃)。
【0200】
実施例8
【0201】
【化71】

【0202】
実施例5の手順に従って調製した対応するクロロ架橋二量体0.150g(0.145mmol)を、アセチルアセトネート0.036g(0.363mmol)及び炭酸ナトリウム0.17g(1.60mmol)の存在下、2−エトキシエタノール3ml中、100℃で15時間撹拌した。室温に冷却した後、懸濁液をジクロロメタンで希釈した。溶液を水で2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。黄色の固体をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンに滴下した。濾過した後、固体をヘキサンで洗浄して、黄色の結晶123.9mgを生じた(融点:311.3℃)。
【0203】
実施例9
【0204】
【化72】

【0205】
実施例5の手順に従って調製した対応するクロロ架橋二量体0.150g(0.145mmol)を、ピコリン酸0.036g(0.291mmol)の存在下、ジクロロメタン3.50ml中、還流下で20時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、ヘキサンに滴下した。黄色の懸濁液を濾過し、固体をヘキサンで洗浄した。次に、生成物をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンの層で覆った。最後に、形成された固体を濾取し、ヘキサンで洗浄して、黄色の結晶124mgを生じた(融点:164.7℃)。
【0206】
実施例10
【0207】
【化73】

【0208】
2−〔3−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−フェニル〕−ベンゾトリアゾール0.970g(3.15mmol)及びIrCl3水和物0.450g(1.50mmol)を、2−エトキシエタノール/水(3:1)20ml中、150℃で20時間還流した。室温に冷却した後、橙色の固体を濾取し、エタノール4ml及びヘキサン6mlで洗浄して、乾燥した後でクロロ架橋二量体0.84gを得た。
【0209】
実施例11
【0210】
【化74】

【0211】
実施例6に従って調製したクロロ架橋二量体0.084g(0.05mmol)を、アセチルアセトネート0.013g(0.125mmol)及び炭酸ナトリウム0.055g(0.50mmol)の存在下、2−エトキシエタノール2ml中、140℃で18時間撹拌した。室温に冷却した後、懸濁液をジクロロメタンで希釈し、水で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。固体残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物0.075gを橙色の粉末として生じた(融点:268℃)。
【0212】
実施例12
【0213】
【化75】

【0214】
実施例10に従って調製したクロロ架橋二量体0.084g(0.05mmol)を、銀トリフルオロメタンスルホネート0.029g(0.13mmol)の存在下、アセトン4ml中、55℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、2−フェニルピリジン0.016g(0.11mmol)を加え、反応物を55℃で更に16時間撹拌した。橙色の懸濁液を室温に冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。固体残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物0.064gを橙色の粉末として生じた(融点:280℃)。
【0215】
実施例13
【0216】
【化76】

【0217】
2−〔3−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−フェニル〕−2−ベンゾトリアゾール0.61g(2.0mmol)及びIrCl3水和物0.16g(0.6mmol)を、標準的条件下で反応させた。原料生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物0.057gを黄色の粉末として生じた(融点:316℃)。
【0218】
実施例14
【0219】
【化77】

【0220】
実施例5に従って調製したクロロ架橋二量体0.062g(0.05mmol)を、2−フェニルピリジン0.016g(0.80mmol)及び銀トリフルオロメタンスルホネート0.290g(0.13mmol)の存在下、エチレングリコール5ml中、180℃で18時間撹拌した。室温に冷却した後、懸濁液をジクロロメタンで希釈し、水で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。固体残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物0.01gを橙色の粉末として生じた。
【0221】
適用例1
単一有機層を有する有機ルミネセンスデバイスを以下の方法で調製した:ガラス基材上に、100nm厚のITOフィルムをスパッタリングにより形成し、続いてパターン化した。酸素−プラズマ処理したITOフィルム上に、PEDOT:PSS(Baytron P)を使用して、スピンコート、続く200℃での加熱(5分間)により、80nm厚の正孔注入層を形成した。トルエン10g中の化合物B−1(実施例6)5mg及びポリフルオレン(平均分子量140,000)95mgの溶液を、スピンコート(2000rpm;10秒間)により適用して、80nmの厚さを得た。このように処理された基板を真空蒸着チャンバ内にセットした後、バリウム50nm、続いてアルミニウム100nmを付着することによって、二層電極構造を有する陰極を形成した。1mA/cm2(8V)の電流密度でデバイスを駆動する場合、0.7cd/Aの効力を持つ鮮明な白色の発光(CIE 0.30,0.33)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
n1は、1〜3の整数であり、
m1及びm2は、0、1又は2の整数であり、
1は、40を超える原子量の金属であり、
1は、単座配位子又は二座配位子であり、
2は、単座配位子であり、
1及びQ2は、互いに独立して、有機置換基であるか、又は
1及びQ2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、下記基:
【化2】


を形成し、
ここでQ4は、場合により置換されていることができる縮合芳香族又は複素芳香族環を形成する基を表わし、そして
3は、場合により置換されていることができる縮合芳香族又は複素芳香族環を形成する基を表わすが、但し、以下の化合物:
【化3】


が除外され、単座配位子がハロゲン原子ではない)
で示される化合物。
【請求項2】
金属M1が、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Ag及びAuからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(II):
2a(Lbw(Lcx(L′)y(L″)z (II)
〔式中、w=0又は1であり、x=0又は1であり、y=0、1又は2であり、z=0又は1であり、
2は、Pt、Pd、Rh、Re又はIrであり、
L′は、二座配位子又は単座配位子であるが;但し:L′が単座配位子である場合、y+z=2であり、L′が二座配位子である場合、z=0であり;
L″は、単座配位子であり;そして
a、Lb及びLcは、同一であるか又は互いに異なり、La、Lb及びLcは、ぞれぞれ下記の構造(IIIa)、(IIIb)又は(IV):
【化4】


を有し、
ここで、
1及びQ2は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル又は場合によりGで置換されているC6〜C18アリールであり;
21、A22、A23及びA24は、互いに独立して、水素、CN、ハロゲン、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、C1〜C24ペルフルオロアルキル、場合によりGで置換されているC6〜C18アリール;−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又は場合によりGで置換されているC2〜C10ヘテロアリール;特に下記式:
【化5】


の基であるか、
あるいは
22及びA23は、下記式:
【化6】


の基であり、
ここで、A41、A42、A43、A44、A45、A46及びA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、場合によりGで置換されていてもよいC6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又はC2〜C10ヘテロアリール;特に下記:
【化7】


であり、
11、A12、A13、A14、A15及びA16は、互いに独立して、H、CN、ハロゲン、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、C6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又は場合によりGで置換されているC2〜C10ヘテロアリールであり;
ここで、
1は、O、S又はNR25であり、
25及びR26は、互いに独立して、C6〜C18アリール、C7〜C18アラルキル又はC1〜C24アルキルであり、
27は、C1〜C24アルキル、C6〜C18アリール又はC7〜C18アラルキルであり;そして
1、Y2及びY3は、互いに独立して、下記式:
【化8】


の基であり、
ここで、
41は、M2への結合であり、
71は、M2への結合であり、
42は、水素、又はC1〜C24アルキル、CN、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
43は、水素、CN、ハロゲン、特にF、Fで置換されているC1〜C24アルキル、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、C1〜C8アルコキシ、−CONR2526、−COOR27、下記:
【化9】


であり、
ここで、
2は、−S−、−O−又は−NR25’−であり、ここで、R25’は、C1〜C24アルキル又はC6〜C10アリールであり、
110は、H、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であるか、あるいは
42及びR43は、下記式:
【化10】


の基であり、
ここで、A41、A42、A43、A44、A45、A46及びA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24ペルフルオロアルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、場合によりGで置換されていてもよいC6〜C18アリール、−NR2526、−CONR2526若しくは−COOR27、又はC2〜C10ヘテロアリール;特に下記:
【化11】


であり、
44は、水素、CN、又はC1〜C24アルキル、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
45は、水素、CN、又はC1〜C24アルキル、Fで置換されているC1〜C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6〜C18アリール、C1〜C12アルキルで置換されているC6〜C18アリール、又はC1〜C8アルコキシであり、
11’、A12’、A13’及びA14’は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であり、
68及びR69は、互いに独立して、C1〜C24アルキル、特にC4〜C12アルキルであり、特にヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル及びオクチルであり、1又は2個の酸素原子で中断されていることができ、
70、R72、R73、R74、R75、R76、R90、R91、R92及びR93は、互いに独立して、H、ハロゲン、特にF、CN、C1〜C24アルキル、C6〜C10アリール、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526又は−COOR27であり、ここで、R25、R26及びR27は、上記で定義されたとおりであり、そしてGは、C1〜C18アルキル、−OR305、−SR305、−NR305306、−CONR305306又は−CNであり、ここで、R305及びR306は、互いに独立して、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル又はC1〜C18アルコキシで置換されているC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、又は−O−で中断されているC1〜C18アルキルであり;あるいは
305及びR306は、一緒になって、5員又は6員環、特に下記:
【化12】


を形成する〕
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
w=1であり、x=1であり、y=0であり及びz=0であり、そしてM2が、Rh、Re又はIrである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
二座配位子L1又はL′が、下記式:
【化13】


〔式中、環A:
【化14】


は、場合によりヘテロ原子を含有することができる、場合により置換されているアリール基を表わし、
環B:
【化15】


は、場合により更なるヘテロ原子を含有することができる、場合により置換されている窒素含有アリール基を表わすか、又は環Aは、環Aに結合している環Bと一緒に環;特に下記式:
【化16】


の基を形成してもよく、
ここで、R206、R207、R208及びR209は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、C2〜C24アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C24アルコキシ、C1〜C24アルキルチオ、シアノ、アシル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ基又はハロゲン原子であり;環Aは、場合により置換されているアリール若しくはヘテロアリール基を表わすか;又は環Aは、環Aに結合しているピリジル基と一緒に環を形成してもよく;R206、R207、R208及びR209により表わされているアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基及びアルキルオキシカルボニル基は、置換されていてもよい〕
で示される化合物である、請求項1又は3記載の化合物。
【請求項6】
下記の構造(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(VIa)又は(VIb):
【化17】


〔式中、
2は、Rh又はRe、特にIrであり、
1及びQ2は、互いに独立して、水素、C1〜C24アルキル又はC6〜C18アリールであり、
L′は、下記:
【化18】


から選択される二座配位子であり、
ここで、
11及びR15は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール又はC1〜C8ペルフルオロアルキルであり、
12及びR16は、互いに独立して、水素又はC1〜C8アルキルであり、
13及びR17は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C2〜C10ヘテロアリール、C1〜C8ペルフルオロアルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
14は、C1〜C8アルキル、C6〜C10アリール又はC7〜C11アラルキルであり、
18は、C6〜C10アリールであり、
19は、C1〜C8アルキルであり、
20は、C1〜C8アルキル又はC6〜C10アリールであり、
21は、水素、部分的に若しくは完全にフッ素化されていてもよい、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであり、
22及びR23は、互いに独立して、Cn(H+F)2n+1又はC6(H+F)5であり、R24は、同一又はそれぞれの場合に異なっていることができ、H又はCn(H+F)2n+1から選択され、
pは、2又は3であり、
11は、水素であり、
12は、水素であり、
13は、水素であり、
14は、水素又はC6〜C18アリールであり、
15は、水素又はC6〜C18アリールであり、
16は、水素であり、
21は、水素であり、
22は、水素又はC6〜C10アリールであり、
23は、水素又はC6〜C10アリールであり、
24は、水素であり、
42は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
43は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C4ペルフルオロアルキル又はC6〜C10アリールであり、
44は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、
45は、H、F、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルコキシ又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり、そして
46は、C1〜C8アルキル、C6〜C18アリール、C1〜C8アルコキシ、又はC1〜C8アルキルで置換されているC6〜C18アリール;又はL″であり、ここでL″は、下記:
【化19】






から選択される二座配位子である〕
を有する請求項1記載の化合物、
あるいは
下記の構造(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIa)又は(VIIIb):
【化20】


(式中、
4は、Pd又はPtであり、そしてQ1、Q2、L′、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A21、A22、A23、A24、R42、R43、R44及びR45は、上記で定義されたとおりである)
を有する請求項1記載の化合物。
【請求項7】
以下のいずれかである、請求項6記載の化合物:
【表1】





























【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物を含む発光層を含む、有機電子デバイス
【請求項9】
ポリビニル−カルバゾール、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、1,1−ビス〔(ジ−4−トリルアミノ)フェニル〕シクロヘキサン(TAPC)、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−〔1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル〕4,4′−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス〔4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕(4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−〔p−(ジエチルアミノ)スチリル〕−5−〔p−(ジエチルアミノ)フェニル〕ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TTB)、ポルフィリン化合物、及びこれらの組み合わせから選択される正孔輸送層を更に含む、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
電子デバイス中、特に有機発光ダイオード(OLED)中での、酸素感応指示薬としての、バイオアッセイにおけるリン光性指示薬としての又は触媒としての、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−504342(P2008−504342A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518583(P2007−518583)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052845
【国際公開番号】WO2006/000544
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】