説明

トルクリミッタ

【課題】トルクリミッタ126の伝達トルク維持及び動力伝達の遮断を適正に実行できるようにする。
【解決手段】筒形のアウタケース164内において、アウタケース164に挿通した回転軸125に、複数のトルクローラ167を有するトルク板168と、複数のトルクローラ167を挟持する内板169及び外板170とを、回転軸125の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置する。内板169が回転軸125と係合し、外板170がアウタケース164と係合して、トルクローラ167群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成する。回転軸125に形成された油導入用の油穴181を、回転軸125の外周面に開口するように複数分岐させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、各種動力伝達装置に用いられるトルクリミッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンバインの刈取部と脱穀部とに、カウンタケースを介してエンジンの動力を伝える技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−286018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は、例えば刈取部や脱穀部、走行部のような駆動部に急激な負荷が掛かった際にショックを緩和するための構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、請求項1の発明に係るトルクリミッタは、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記回転軸に形成された油導入用の油穴が、前記回転軸の外周面に開口するように複数分岐していることを特徴としている。
【0005】
請求項2の発明に係るトルクリミッタは、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記回転軸には、前記多層状の板群を前記回転軸の軸芯線方向外側から挟持する受板及び押板が設けられており、前記受板及び前記押板の各受圧面が、セットトルクを発生させる押付け力にて撓んで平面状になるように凹面形に形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項3の発明に係るトルクリミッタは、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記各トルク板には前記トルクローラの嵌まる支持孔が複数形成されており、前記各支持孔の対向する両開口縁に一対の舌片が設けられており、前記両舌片にて前記支持孔に嵌まる前記トルクローラの外周が回転自在に挟持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によると、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記回転軸に形成された油導入用の油穴が、前記回転軸の外周面に開口するように複数分岐しているから、前記回転軸の回転に伴う遠心力によって前記各油穴の開口から前記各トルク板のトルクローラに向けて前記カウンタケースの油を移動させ、前記各トルクローラに強制的に油を送って強制潤滑を行える。
【0008】
従って、前記内板、前記トルク板及び前記外板を多層状に設けていても、前記各トルクローラに対して潤滑油を充分に供給できることになり、伝達トルクを適正に維持できると共に、その耐久性を向上できる。
【0009】
また、請求項2の発明によると、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記回転軸には、前記多層状の板群を前記回転軸の軸芯線方向外側から挟持する受板及び押板が設けられており、前記受板及び前記押板の各受圧面が、セットトルクを発生させる押付け力にて撓んで平面状になるように凹面形に形成されているから、前記受板及び前記押板の前記各受圧面に前記押付け力を作用させるだけで、前記各受圧面が平面状になり、平滑化された面圧が前記各トルクローラに掛かることになる。
【0010】
従って、前記各トルクローラの偏摩耗を低減して耐久性を向上でき、セットトルクの伝達精度も向上できる。その上、前記受板や前記押板の厚みをセットトルクにて歪まない程度に厚くしなくても、前記各受圧面圧の平滑化が可能になるから、省スペースでコンパクトなユニットに構成できるという利点もある。
【0011】
請求項3の発明によると、筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、前記各トルク板には前記トルクローラの嵌まる支持孔が複数形成されており、前記各支持孔の対向する両開口縁に一対の舌片が設けられており、前記両舌片にて前記支持孔に嵌まる前記トルクローラの外周が回転自在に挟持されているから、前記各トルクローラを前記トルク板に安定的に保持できる。従って、この場合も、伝達トルクの適正維持に寄与できる。
【0012】
なお、以上のことから明らかなように、請求項1〜3の発明に係る技術上の意義は、トルクリミッタにおける伝達トルクの適正維持・精度向上であり、いずれも共通している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体の左側面図、図2は同平面図、図3は同右側面図であり、図中1は左右一対の走行クローラ2を装設する左右一対のトラックフレーム、3は前記の左右トラックフレーム1に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴6aを内蔵している脱穀機である脱穀部、7は引起機構8及び刈刃9及び穀稈搬送機構10などを備える刈取部、11は刈取フレーム12を介して刈取部7を昇降させる油圧昇降シリンダ、13は排藁チェン14終端を臨ませる排藁処理部、15は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒15aを介して搬入する穀物タンク、16・17は前記タンク15の穀粒を機外に搬出する縦及び横排出オーガ、18は運転操作ハンドル19及び運転席20を備える運転キャビン、21は運転キャビン18下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0014】
さらに、図4乃至図9に示す如く、機台3前側で左右の走行クローラ2の間にミッションケース22を配設させ、ミッションケース22とエンジン21を略直列に前後に設け、ミッションケース22を介して走行クローラ2にエンジン21の駆動力を伝えると共に、脱穀部4前側の機台3上面に左右の支持台23・24を立設させ、支持台23・24に刈取フレーム12を介して刈取部7を昇降自在及び横移動可能に設ける。また、支持台23・24後側の機台3上面にカウンタケース25を設け、脱穀部4及び刈取部7にカウンタケース25を介してエンジン21の駆動力を伝える。
【0015】
さらに、ミッションケース22側方の機台3にキャビン前フレーム26を立設させ、キャビン18のステップフレーム27前部を前フレーム26上部に回動支点軸28を介して設け、支点軸28回りにキャビン18を前方に回動自在に支持させると共に、右の支持台24に左のキャビン後フレーム29を立設させ、機台3に立設させる右のキャビン後フレーム30との間の機台3上面にエンジン21を設け、エンジン21をエンジンルームカバー31で覆う。また、前記カバー31の上方で左右の後フレーム29・30上部をキャビン横フレーム32によって連結させ、キャビン横フレーム32に台ブラケット33を設け、キャビン18のステップフレーム27後部を横フレーム32に上載させて係脱自在に固定させると共に、右の支持台24と前フレーム26の間に水平連結フレーム34を固定させ、水平連結フレーム34中間と横フレーム32中間に傾斜連結フレーム35を固定させ、連結フレーム34・35によってフレーム剛性を確保する。また、左の後フレーム29にオーガ支柱36を連結させて上側にオーガレスト37を設け、昇降及び旋回自在に設ける排出オーガ17をオーガレスト37の本機収納位置に支持させる。
【0016】
さらに、図10乃至図12に示す如く、前記走行クローラ2を駆動するミッションケース22は、1対の油圧走行ポンプ38及び油圧走行モータ39を設けて走行主変速用の油圧式無段変速機構を形成する走行変速部材40と、1対の油圧旋回ポンプ41及び油圧旋回モータ42を設けて旋回用の油圧式無段変速機構を形成する旋回部材43とを備え、前記エンジン21の出力軸44にミッションケース22の入力軸45を介して連結させて前記各ポンプ38・41を駆動するように構成している。
【0017】
また、前記走行モータ39のモータ軸46に、副変速機構47及び差動機構48を介して左右走行クローラ2の各駆動輪49を連動連結させるもので、前記差動機構48は左右対称の1対の遊星ギヤ機構50を有し、各遊星ギヤ機構50は1つのサンギヤ51と、該サンギヤ51の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ52と、これらプラネタリギヤ52に噛合うリングギヤ53などで形成している。
【0018】
前記プラネタリギヤ52は、サンギヤ51の遊転軸54と同軸線上の車軸55のキャリヤ56にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ51を挾んで左右のキャリヤ56を対向配置させると共に、前記リングギヤ53は各プラネタリギヤ52に噛み合う内歯を有して車軸55に回転自在に軸支させ、車軸55を延設して駆動輪49を軸支させている。
【0019】
また、走行変速部材40は、走行ポンプ38の斜板角度の変更により走行モータ39の正逆回転と回転数の制御を行うもので、走行モータ39の回転を、モータ軸46と副変速機構47の低速及び高速ギヤ57・58とブレーキ軸59と分岐軸60を介して、左右のリングギヤ53に伝達して左右のキャリヤ56を回転させるように構成している。また前記ブレーキ軸59に駐車ブレーキ61を設けると共に、刈取部7に回転力を伝達する刈取駆動プーリ62を前記モータ軸46に設け、刈取部7を車速同調速度で駆動させる。
【0020】
上記のように、前記分岐軸60を介しリングギヤ53に伝達された走行モータ39の駆動力を、左右の遊星ギヤ機構50を介して左右キャリヤ56に伝達させると共に、左右キャリヤ56に伝達された回転を左右の駆動輪49にそれぞれ伝え、左右走行クローラ2を同一方向に同一速度で駆動するように構成している。
【0021】
さらに、旋回用の油圧式無段変速機構で形成する旋回部材43は、旋回ポンプ41の斜板角度の変更により旋回モータ42の正逆回転と回転数の制御を行うもので、操向出力ブレーキ63を設けるモータ軸64と、操向出力クラッチ65を設けるクラッチ軸66と、前記の左右サンギヤ51に常時噛合させる左右入力ギヤ67・68を設け、旋回モータ42の出力用の前記モータ軸64及び操向出力クラッチ65を介してクラッチ軸66を連結させ、クラッチ軸66に正転ギヤ69及び逆転ギヤ70を介して左右の入力ギヤ67・68を連結させる。そして、右側のサンギヤ51に正転ギヤ69を介してモータ42回転力を伝え、また左側のサンギヤ51に逆転ギヤ70を介してモータ42回転を伝え、旋回モータ42を正転(逆転)時、左右同一回転数で、左サンギヤ51を逆転(正転)させ、かつ右サンギヤ51を正転(逆転)させ、左右走行クローラ2を逆方向に同一速度で駆動するように構成している。
【0022】
而して、旋回モータ42を停止させて左右サンギヤ51を静止固定させた状態で、走行モータ39を駆動すると、走行モータ39の回転は左右のリングギヤ53に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構50のキャリヤ56を介して左右の走行クローラ2が左右同一回転方向で同一回転数によって駆動され、機体の前後方向直進走行が行われる。一方、走行モータ39を停止させて左右のリングギヤ53を静止固定させた状態で、旋回モータ42を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構50が正或いは逆回転、また右側の遊星ギヤ機構50が逆或いは正回転し、左右走行クローラ2を逆方向に駆動し、機体を左或いは右に旋回させる。また、走行モータ39を駆動させながら、旋回モータ42を駆動することにより、機体が左右に旋回して進路が修正されるもので、機体の旋回半径は旋回モータ42の出力回転数によって決定される。
【0023】
また、前記入力軸45にファン軸71を連結させ、ファン軸71によってエンジン21水冷用のラジエータの冷却ファン72を駆動させると共に、前記の走行及び旋回ポンプ38・41の各ポンプ軸73・74にギヤ群75を介して前記ファン軸71を連結させ、各ポンプ38・41に入力軸45を連結させると共に、走行ポンプ38のポンプ軸73と、走行モータ39のモータ軸46を、車速定速クラッチ76を介して連結させる定速軸77を設け、車速定速クラッチ76を入にしたとき、定速軸77を介してポンプ軸73とモータ軸46をギヤ連結させ、走行変速部材40を介することなく、入力軸45の回転を副変速機構47に伝え、エンジン21の定速回転によって左右の走行クローラ2を駆動させ、略一定の車速で走行して収穫作業などを行わせる。なお、旋回ポンプ軸74上にチャージポンプ78を設けて駆動する。
【0024】
さらに、図12に示す如く、走行ポンプ38の斜板79角度を変更して出力調整する主変速シリンダ80と、主変速レバー81及び操向ハンドル19に連結させて切換える変速バルブ82と、走行ポンプ38出力を一定量減速するバルブ83を設け、前記チャージポンプ78を各バルブ82・83を介して主変速シリンダ80に油圧接続させるもので、主変速レバー81によって変速バルブ82を切換え、主変速シリンダ80を作動させて走行ポンプ38の斜板79角度を変更させ、走行モータ39のモータ軸46の回転数を無段階に変化させたり、逆転させる走行変速動作を行わせ、また前記斜板79の角度調節動作によって変速バルブ82が中立復帰するフィードバック動作を行わせ、主変速レバー81の操作量に比例させて前記斜板79角度を変化させ、走行モータ39の回転数を変化させて車速を変更させる。
【0025】
また、走行モータ39の斜板84角度を変更して出力調整する副変速シリンダ85を設け、前記チャージポンプ78に電磁副変速バルブ86を介して副変速シリンダ85を油圧接続させ、副変速バルブ86が中立のときに副変速シリンダ85を油タンクであるミッションケース22に短絡させ、走行モータ39の斜板84角度を主回路油圧によって変化させると共に、副変速バルブ86の切換によって斜板84角度を強制的に変化させ、走行モータ39の出力を高速または低速に変更させる。
【0026】
さらに、旋回ポンプ41の斜板87角度を変更して出力調整する旋回シリンダ88を設け、操向ハンドル19及び主変速レバー81に連結させて切換える旋回バルブ89並びに電磁自動操向バルブ90を介してチャージポンプ78を旋回シリンダ88に油圧接続させ、操向ハンドル19によって旋回バルブ89を切換え、旋回シリンダ88を作動させて旋回ポンプ41の斜板87角度を変更させ、旋回モータ42のモータ軸64の回転数を無段階に変化させたり、逆転させる左右旋回動作を行わせ、また前記斜板87の角度調節動作によって旋回バルブ89が中立復帰するフィードバック動作を行わせ、操向ハンドル19の操作量に比例させて前記斜板87角度を変化させ、旋回モータ42の回転数を変化させて左右旋回角度を変更させる。
【0027】
また、主変速レバー81が中立以外の位置に操作され、操向ハンドル19が直進以外に操作されることにより、主変速レバー81の操作方向と操作量に比例させて走行ポンプ38の油圧出力を増減させ、油圧モータ39を正逆転または増減速させて前後進速度(車速)を変更させると共に、主変速レバー81の操作量に比例させて旋回ポンプ41出力を変化させるもので、高速側走行変速によって旋回半径を自動的に小さくし、かつ低速側走行変速によって旋回半径を自動的に大きくし、操向ハンドル19の一定操作によって走行速度に関係なく左右走行クローラ2の旋回半径を略一定に維持させ、作業走行速度の変更並びに未刈り穀稈列などに機体を沿わせる進路修正などを行わせる。一方、操向ハンドル19の操作量に比例させて各バルブ82・89の制御により旋回ポンプ41出力と走行ポンプ38出力を変化させ、旋回半径(操舵角)を小さく(大きく)したとき、走行速度(車速)を比例させて減速させ乍ら、左右の走行クローラ2の速度差を大きくし、左右に旋回させるもので、左右走行クローラ2の駆動速度を変更して条合せ進路修正並びに圃場枕地でのスピンターンによる方向転換を行い、連続的に穀稈を刈取って脱穀する収穫作業を行う。なお、主変速レバー81が中立のとき、操向ハンドル19の操作に関係なく、旋回バルブ89が中立維持され、旋回ポンプ41の油圧出力が略零に保たれ、旋回モータ42を停止させる。
【0028】
さらに、図10乃至図14に示す如く、前記エンジン21の出力軸44を前側及び後側に突設させ、出力軸44の前側に前記入力軸45を連結させ、出力軸44の後側に作業出力プーリ91を設けると共に、エンジン21の左側で脱穀部4前側の機台3上面にカウンタケース25を設け、入力プーリ92、車速同調プーリ93、脱穀プーリ94、刈取プーリ95、選別プーリ96をカウンタケース25に軸支させ、ケース25後側の入力プーリ92を作業出力プーリ91にテンション脱穀クラッチ97を介してベルト98連結させ、エンジン21の駆動力をカウンタケース25に伝える。また、右支持台24前側のアイドルプーリ99を介してミッションケース22の刈取駆動プーリ62に前記カウンタケース25右側の車速同調プーリ93をベルト100連結させると共に、機台3の前側上面に立設させる支持台23・24に刈取入力ケース101を回転自在に軸支させ、前記ケース101に刈取フレーム12を連結させてケース101回りに刈取部7を回転させて昇降させるもので、前記ケース101左側に刈取入力軸102を介して刈取入力プーリ103を軸支させ、前記カウンタケース25左側の刈取プーリ95を刈取入力プーリ103にベルト104連結させ、刈取部7の各部に駆動力を伝える。
【0029】
また、前記扱胴6の駆動入力プーリ105にカウンタケース25前側の脱穀プーリ94をベルト106連結させ、扱胴6下側の選別唐箕及び揺動選別機構に選別プーリ96から駆動力を伝え、脱穀部6の各部を駆動すると共に、前記カウンタケース25の左側面にフィードチェン入力軸107を設け、外側に移動可能な前記フィードチェン5の駆動スプロケット108に入力軸107から動力を伝える。また、前記穀物タンク15の前側に排出駆動プーリ109を設け、該プーリ109を前記作業出力プーリ91に排出クラッチ110を介してベルト連結させ、排出オーガ17にエンジン21出力を伝えてタンク15の穀粒を排出させる。
【0030】
さらに、前記カウンタケース25に扱胴入力軸111を軸支させ、該軸111を前後方向に延設させ、カウンタケース25前面外側の前記軸111前側に脱穀プーリ94を設け、カウンタケース25の後面外側の前記軸111後側に入力プーリ92を設け、扱胴入力軸111にエンジン21の一定回転動力を入力させて定速回転させる。また、前記カウンタケース25の右側に同調入力軸112を軸支させ、カウンタケース25の右側外側の前記軸112右側に車速同調プーリ93を設け、アイドルプーリ99を介してプーリ62・93間にベルト100を緊張させ、ミッションケース22からカウンタケース25に車速同調動力を入力させる。
【0031】
さらに、前記扱胴入力軸111に右側をベベルギヤ113連結させるカウンタ軸または選別入力軸である定速軸114と、該軸114の前側に略平行に設ける車速同調軸115とを、カウンタケース25に軸支させると共に、同調入力軸112の車速同調回転力を伝える一方向クラッチ120を同調入力軸112上に設け、車速同調プーリ93からの動力を一方向クラッチ120によって伝えるギヤ117及び刈取クラッチ118を介して車速同調軸115を回転させるように構成する。
【0032】
さらに、刈取定速機構121を形成する刈取定速クラッチ122と高速カットギヤ123を前記各軸114・115の間に設け、刈取部7を車速同調または高速カット駆動させる切換シフタ124によって前記各ギヤクラッチ118・122を択一的に係合させ、刈取部7を車速同調駆動して走行速度に連動した速度で刈取部7を駆動する一方、刈取部7を高速カット駆動して車速同調の最高速よりも速い一定回転速度で刈取部7を駆動して倒伏穀稈を刈取る。
【0033】
また、前記カウンタケース25の左側で下部後側に定速軸114の左側端を突出させ、該軸114左側端部に選別プーリ96を軸支させる。さらに、カウンタケース25の左側で下部前側に刈取伝動軸(回転軸)125を軸支させ、該軸125右側を車速同調軸115にトルクリミッタ126を介して連結させ、カウンタケース25左側に突出させる前記軸125の左側端部に刈取プーリ95を軸支させると共に、前記刈取入力軸102に刈取駆動軸127をギヤ128連結させ、刈取駆動軸127に刈取入力プーリ103を軸支させるもので、トルクリミッタ126に伝える車速同調入力の入切と、定速駆動入力の入切とを、同一のシフタ124によって行い、トルクリミッタ126に伝える車速同調入力と定速駆動入力が同時に入になる不具合をなくし、車速同調と定速駆動の各入力がシフタ124によって択一選択されて伝えられ、伝動切換の制御を不要にして取扱い性の向上を図る。さらに、前記の左の支持台23に支点軸199を介してギヤ128のケースを縦軸回りに回転自在に設け、刈取入力ケース101の左側をギヤ128のケースに固定させ、各ケース101に前記ギヤ128を内設させ、刈取入力軸102の左端側から刈取り動力を入力させ、前記ケース101右端側の刈取フレーム12に内挿させる刈取伝達軸130を介して刈取部7の駆動を行わせる一方、支点軸129回りに機体左側に略水平に刈取部7を回転移動させ、機体内側の各ケース22・25付近のメンテナンス等を行う。
【0034】
さらに、前記カウンタケース25の左側上部に前記フィードチェン入力軸107を軸支させ、フィードチェンクラッチ131を設けるフィードチェン駆動軸132に前記入力軸107をチェン133連結させると共に、定速軸114の回転を車速同調軸115の回転数変化によって変速して伝えるフィードチェン変速機構134を設け、サンギヤ135とプラネタリギヤ136とリングギヤ137を備える遊星ギヤ機構138によって無段変速可能に前記機構134を形成するもので、定速軸114にサンギヤ135を係合軸支させ、定速軸114に遊転支持させるリングギヤ137を車速同調軸115にギヤ139連結させると共に、プラネタリギヤ136を遊転支持させる軸受体140を定速軸114に遊転支持させ、前記フィードチェンクラッチ131を介して前記フィードチェン駆動軸132に軸受体140をギヤ141連結させ、穀稈の搬送に必要な最低回転を確保し乍ら、低い一定回転から高回転にフィードチェン5速度を車速と同調させて変更可能に構成している。
【0035】
また、切換シフタ124を作動させる油圧刈取定速シリンダ143と、脱穀クラッチ97を入にする油圧脱穀シリンダ144を、前記カウンタケース25の上面蓋である油路ベース145に固定させると共に、前記車速定速クラッチ76を入にする車速定速シリンダ146を作動させる車速定速バルブ147と、刈取定速シリンダ143を作動させる刈取定速バルブ149と、脱穀シリンダ144を作動させる脱穀バルブ150とを、前記チャージポンプ78に並列に油圧接続させる。
【0036】
さらに、図15、図16は、刈取部7の駆動速度を切換える刈取変速機構151をカウンタケース25に設けるもので、刈取変速機構151を設けない仕様の図13のカウンタケース25と同一形状のカウンタケース25を用い、刈取変速機構151を設ける仕様を構成するもので、刈取変速機構151を形成する低速ギヤ152及び高速ギヤ153を前記同調入力軸112と刈取変速軸154の間に設け、低速及び中立及び高速の各刈取変速を行う刈取変速スライダ155によって前記各ギヤ152・153を刈取変速軸154に択一的に係合させ、刈取変速軸154を同一軸芯上で連結させる車速同調軸115に刈取変速出力を伝えると共に、各軸114・115間に高速カットギヤ156を設け、刈取定速機構121を形成する流込みギヤ123と高速カットギヤ156を前記各軸114・115の間に設け、刈取部7を流込み駆動または高速カット駆動させる切換スライダ124によって前記各軸114・115に前記各ギヤ123・156を択一的に係合させ、刈取部7を流込み駆動して走行状態に関係なく刈取部7の穀稈をフィードチェン5側に搬送させる一方、刈取部7を高速カット駆動して車速同調の最高速よりも速い一定回転速度で刈取部7を駆動して倒伏穀稈を刈取る。
【0037】
さらに、図13、図14、図17乃至図20に示す如く、前記刈取伝動軸(回転軸)125にトルクリミッタ126を設けるもので、前記カウンタケース25の側壁の一部を形成する着脱自在な分離ケース25aにトルクリミッタ取付け孔157を開設させ、前記取付け孔157に軸受蓋158を外側から嵌合させて着脱自在にボルト159止め固定させ、カウンタケース25の一部を形成する着脱自在な軸受蓋158に刈取伝動軸125の中間をベアリング軸受160により回転及び摺動自在に軸支させる。
【0038】
また、前記カウンタケース25の外側に突出させる刈取伝動軸125の一端側に刈取プーリ95をキー嵌合固定させると共に、カウンタケース25の内側に挿入させる刈取伝動軸125の他端側に、平ギヤ形のリミッタ伝動ギヤ161をベアリング軸受162を介して回転自在に軸支させる。なお、前記プーリ95の外径を軸受蓋158の外形よりも大きく形成し、プーリ95を軸125から取外した状態で軸受蓋158及びボルト159の着脱を行うと共に、前記ギヤ161の外径を取付け孔157よりも小さく形成し、ギヤ161を軸125に取付けた状態で、取付け孔157に軸125と軸受蓋158の嵌合部を出入させるもので、前記ギヤ161を噛合させる平ギヤ163を前記車速同調軸115に係合軸支させ、車速同調軸115にリミッタ伝動ギヤ161を連結させる。
【0039】
さらに、前記リミッタ伝動ギヤ161の側面に一体形成する円筒形のアウタケース164と、刈取伝動軸125上で対向させるドーナツ板形の受板165及び押板166と、同一円周上に複数のトルクローラ167を略等間隔に配列させるドーナツ板形のトルク板168と、刈取伝動軸125の軸芯方向の対向する両側方からトルク板168のトルクローラ167を挾持させるドーナツ平板形の内板169及び外板170と、前記伝動軸125に螺着させて押板166に圧接させる着脱自在なナット171及び座金172とを、前記トルクリミッタ126に備え、カウンタケース25内部にトルクリミッタ126本体側のアウタケース164などを配設させて油浴させる。
【0040】
そして、軸受蓋158に刈取伝動軸125を軸支させ、該軸125にリミッタ伝動ギヤ161を抜出し自在に軸支させ、アウタケース164の内孔173に受板165を内挿させ、複数組の内板169とトルク板168と外板170をアウタケース164に内挿させ、刈取伝動軸125のスプラインに内板169の内孔を係合軸支させ、略120度間隔に設けるアウタケース164のキー溝174に外板170外周の突起形キー175を係合させる。また、トルクバネ176を支持させた座板177を刈取伝動軸125の機外側端部に回転自在に軸支させ、前記軸125にトルクナット178を螺着させ、トルクリミッタ126を軸受蓋158及び刈取伝動軸125とユニット構造に組立てるもので、トルクナット178を締付けてトルクバネ176力を調節し、トルクローラ167の伝達トルクを設定する。また、前記刈取プーリ95とこのプーリボス179とを各別に形成し、プーリ95とプーリボス179を着脱自在にボルト180止め固定させ、プーリボス179を刈取伝動軸125にキー嵌合させ、プーリボス179の機外側面にトルクバネ176を圧接させ、カウンタケース25の外側にトルクナット178及びバネ176を設ける。
【0041】
また、刈取伝動軸125の軸芯部にL形の油穴181を形成し、油穴181の一端側をカウンタケース25の内部に軸125端面で開口させ、油穴181の他端側を刈取伝動軸125の周面に開口させ、刈取伝動軸125の回転によって発生する遠心力により油穴181からトルクローラ167方向にケース25の油を移動させ、遠心力によって強制的にトルクローラ167に油を送って強制潤滑する。
【0042】
さらに、前記トルクローラ167の円柱形に対して平面視で相似する長方形の支持孔182をトルク板168に形成し、トルクローラ167を支持孔182に回転自在に内挿させると共に、支持孔182の対向する長辺側の開口縁に一対の舌片183を対向させて設け、トルクローラ167の外周に舌片183を摺接させる。また、トルク板168の外周に形成する折曲げ縁184と同一方向に舌片183を突設させ、トルク板168の軸芯方向の幅をトルクローラ167の外径よりも小さく形成し、トルク板168の両側面にトルクローラ167の外周側を突出させて内板169と外板170に摺接させると共に、ホルダを形成する一対の舌片183の先端側をトルクローラ167の円周方向に折曲げ、トルクローラ167の外周を一対の舌片183によって回転自在に挾持させる。
【0043】
さらに、前記トルク板168の回転中心を通過する放射線に対してトルクローラ167の軸芯線をトルク板168の回転下手側に一定の傾斜角度で傾斜させるもので、トルクローラ167の転動軸芯線がトルク板168の回転中心を含む平面(放射線)に対して一定角度だけ傾斜するようにトルクローラ167を配置させ、車速同調軸115の平ギヤ163を介してアウタケース164を回転駆動させると、各トルクローラ167が内板169と外板170に接しながら転動してトルク板168も回転する。このとき、各トルクローラ167は、外板170の回転軌道に対して一定角度だけ傾斜した方向に転動しようとするのを、トルク板168で規制されながら外板170の回転軌道の方向に移動するため、前記トルクバネ176圧に比例した摩擦抵抗が発生し、しかも、各トルクローラ167は転動しながら滑り摩擦を発生させるので、静摩擦は発生せず、常に動摩擦による安定した摩擦抵抗力が得られる。また、刈取伝動軸125側の刈取駆動負荷が増加したとき、または平ギヤ163側の入力速度の変更によりアウタケース164の回転速度が高速側に急変したとき、内板169と外板170の各回転トルク差が増大してトルクローラ167の摩擦抵抗力よりも大きくなることにより、内板169と外板170がトルクローラ167に対して摺動して伝達動力が遮断される。
【0044】
上記のように、油圧変速機構40と定速機構121のいずれか一方によって作業部である刈取部7に駆動力を伝えると共に、刈取部7を定速回転させる刈取伝動軸125にトルクリミッタ126を設け、油圧変速機構40と定速機構121を切換えるときの駆動トルク差によって生じるショックをトルクリミッタ126によって吸収させると共に、トルクリミッタ126を内設させるカウンタケース25内部の作動油面をトルクリミッタ126の軸125の設置位置よりも高くし、トルクリミッタ126に対して充分に潤滑を行わせる。
【0045】
また、プーリボス179の外側にトルクナット178及びトルクバネ176を設け、トルクリミッタ126のトルクセットを機外から行い、メンテナンスなど取扱い性の向上を図ると共に、刈取プーリ95とプーリボス179を別体で形成し、刈取プーリ95とプーリボス179をボルト180止め固定させ、プーリボス179を取付けた状態で刈取プーリ95を取外し、トルクリミッタ126のセットトルクを一定に保った状態で刈取プーリ95を取外してベルト交換作業などを行う。
【0046】
さらに、図19、図20に示す如く、刈取伝動軸(回転軸)125上で受板165と押板166を対向させ、複数組の内板169とトルク板168と外板170を前記受板165と押板166の間に設け、内板169を刈取伝動軸(回転軸)125に係合させ、外板170をアウタケース164に係合させ、トルク板168にトルクローラ167を設けると共に、刈取伝動軸(回転軸)125に螺着させるトルクナット178にバネ座板177を係止させ、バネ座板177と押板166の間にバネ176を設ける。そして、トルク板168に対向させる受板165または押板166の受圧面185・186が、セットトルクを発生させる押付け力によって撓んで平面になるように、前記受圧面185・186を略凹面形に形成するもので、受板165及び押板166の各受圧面185・186を、傾斜角A1、A2をなすテーパ構造にし、各板165・166の外周側が内板169に先に当たるように傾斜角A1、A2をなすテーパとして受圧面185・186を形成する。そして、セットトルクを発生するときの押付け力によって受板165または押板166が撓んで受圧面185・186が略平面になり、平滑化された面圧がトルクローラ167面にかかり、トルクローラ167の偏摩耗を低減して耐久性を向上させることができ、セットトルクの伝達精度も向上させる。また、受板165または押板166の厚みをセットトルクによって歪まない程度に厚くしなくても、受圧面185・186圧の平滑化ができるから、省スペースでコンパクトなユニットに構成することができる。
【0047】
また、図17、図20に示す如く、受板165に段部187を設け、該段部187をベアリング軸受162のインナー部188に当接させてセットトルクを受圧させると共に、押板166に段部189を設け、該段部189を座金172に当接させ、ナット171によって固定させる座金172と押板166の間で押板166の円周側に空間を形成し、ナット171の締付力が座金172を介して段部189から押板166に直線的に作用するように構成している。また、プーリボス179にビス190止め固定させる合成樹脂製の軸カバー191を設け、トルクバネ176及びトルクナット178などを前記軸カバー191に内設させ、軸カバー191を外した状態でカウンタケース25外側でトルクナット178を操作し、トルクリミッタ126のセットトルクを調節する。また、複数の内板169の間の夫々に向けて刈取伝動軸(回転軸)125の外周の複数個所に油穴181を夫々開口させ、油穴181からアウタケース164のキー溝174を介して外部に油が遠心力によって移動し、トルクローラ167の強制潤滑を行う。
【0048】
上記から明らかなように、刈取伝動軸(回転軸)125上で受板165と押板166を対向させ、複数組の内板169とトルク板168と外板170を前記受板165と押板166の間に設け、内板169を刈取伝動軸(回転軸)125に係合させ、外板170をアウタケース164に係合させ、トルク板168にトルクローラ167を設けると共に、刈取伝動軸(回転軸)125に螺着させるトルクナット178にバネ座板177を係止させ、バネ座板177と押板166の間にバネ176を設けるトルクリミッタ126において、前記内板169で仕切られる複数の閉塞部に夫々開口させて給油可能に刈取伝動軸(回転軸)125に油穴181を形成するもので、内板169及び外板170及びトルク板168を多層状に設けても、トルクローラ167に対して潤滑油を充分に供給でき、伝達トルクを適正に維持でき、耐久性を向上させることができ、トルクリミッタ126機能の向上などを図ることができる。
【0049】
また、外板170を係合させるアウタケース164のキー溝174から閉塞部の油を排出させ、トルクローラ167周辺の油を遠心力によってキー溝174から効率良く放出させることができ、トルクローラ167に対する油の供給を促進させることができ、トルクローラ167の潤滑を効率良く行わせると共に、トルクナット178の押圧力が直接作用するように、座金172と押板166の間で押板166の円周側に空間を形成し、ナット171の締付力を座金172を介して押板166に直接的に作用させることができ、押板166の受圧面186を平滑化してトルクローラ167の偏荷重を防ぐことができる。
【0050】
さらに、図1乃至図4、図9に示す如く、前記運転席20後側のキャビン18内部にコラムコントローラ192を設ける。また、前記の左右の支持台23・24の前面板193に走行コントローラ194を設ける。また、前記エンジンルームカバー31外側のキャビンフレーム30にエンジンコントローラ195を設ける。また、穀物タンク15後側の脱穀部4機枠に脱穀コントローラ196を設け、各コントローラ192・194・195・196をキャン通信により接続させると共に、穀物タンク15下側の機台3上面に、刈取部7の昇降用並びに機体の水平制御用並びに排出オーガ17の移動用の油圧バルブセット197を設けるもので、エンジンルームカバー31機外側の外気導入カバー198、並びに縦排出オーガ16回りに水平回動させる穀物タンク15を側方に回動自在に設けると共に、前記の左の支持台23上部に支点軸199を介してギヤ128の収納ケース200を縦軸回りに回転自在に設け、刈取フレーム12を支える刈取入力ケース101の左側をギヤ128の収納ケース200に固定させ、刈取入力ケース101に前記ギヤ128を内設させ、刈取入力軸102の左端側から刈取り動力を入力させ、前記ケース101右端側の刈取フレーム12に内挿させる刈取伝達軸130を介して刈取部7の駆動を行わせる一方、支点軸199回りに機体左側に略水平に刈取部7を側方回動させ、機体内側の各ケース22・25付近のメンテナンス等を行う。
【0051】
さらに、図13、図15に示す如く、刈取部7と脱穀部4とに、カウンタケース25を介してエンジン21の動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部7の駆動速度を変更する刈取変速機構151を設ける図15の仕様と、刈取変速機構151を設けない図13の仕様とを、同一形状のカウンタケース25を用いて構成するもので、前記の異なる仕様にカウンタケース25を兼用することができ、製造コストの低減などを図ることができる。また、略定速駆動によって流込み動作を行わせる刈取部7の回転数を、刈取変速機構151を設ける図15の仕様と設けない図13の仕様とで異ならせるもので、刈取変速を行わないときは刈取速度の高速側を制限する必要がないが、走行速度を速い変速段にしたとき、刈取回転が限界以上になる不具合があるから、流込み速度に切換えて刈取部7の駆動を行うから、刈取変速を行うときに比べて行わないときの流込み速度を速くし、速い走行速度に対応させて刈取部を駆動することができる。
【0052】
さらに、刈取部7と脱穀部4とに、カウンタケース25を介してエンジン21の動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部7の駆動速度を変更する刈取変速機構151を設ける図15の仕様のときに、流込み機構である流込みギヤ123と高速カット機構である高速カットギヤ156をカウンタケース25に設けると共に、刈取変速機構151を設けない図13の仕様のときに、刈取変速機構151を設ける図15の仕様よりも流込みギヤ123の速度を速くし、高速カットギヤ156を省くもので、流込みギヤ123と軸154を変換するだけで刈取変速機構151を設ける図15の仕様と設けない図13の仕様を構成でき、製造コストの低減などを図ることができる。また、刈取部7の側方回動によって開放される位置に、刈取変速機構151及び流込みギヤ123の変速コントローラである走行コントローラ194を設けるもので、エンジン21から離れた機体内側で、保守作業を行い易い位置で、カウンタケース25に近い位置に走行コントローラ194を設置でき、該コントローラ194とカウンタケース25の間のハーネス張設距離を短縮でき、組立性及び取扱い性の向上並びに製造コストの低減などを図ることができる。
【0053】
さらに、図5、図6、図9に示す如く、カウンタケース25に締結座201を一体形成し、機台3上面と支持台23とに受台202・203を設け、締結座201を受台202・203にボルト204止め固定させ、機台3と支持台23とにカウンタケース25を固定させると共に、支持台23の開口205から出入自在にバッテリ206を支持台23の内側に設けるもので、走行クローラ2を駆動するミッションケース22と、刈取部7及び脱穀部4とに、カウンタケース25を介してエンジン21の動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部7を昇降可能並びに側方回動可能に支持させる刈取架台である支持台23にバッテリ206を設け、支持台23に前記カウンタケース25を固定させ、刈取部7の側方回動によりバッテリ206をメンテナンスし易い場所に設置でき、支持台23及びカウンタケース25を設ける脱穀部4前側の機台3を前方に拡張する必要がなく、機台3の有効利用並びにメンテナンス作業の簡略化などを図ることができる。
【0054】
また、側方回動可能に機台3上に配置させる穀物タンク15下面の機台3に、刈取部7の昇降並びに機体の水平制御用の油圧バルブセット197を設け、穀物タンク15の側方回動により前記油圧バルブセット197をメンテナンスし易い場所に設置でき、機台3の有効利用並びにメンテナンス作業の簡略化などを図ると共に、機台3前側のカウンタケース25と機台3後側の燃料タンク207の間で、脱穀部4の下側に、エンジン21の排気管208を設け、バッテリ206及び油圧バルブセット197などに対して排気管208を離間させて設置でき、機台3の有効利用並びにメンテナンス作業の簡略化などを図ることができる。
【0055】
さらに、図6、図8に示す如く、刈取部7と脱穀部4とに、カウンタケース25を介してエンジン21の動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部7を支持させる左右の支持台23・24と脱穀部4の間にカウンタケース25を設け、左右の支持台23・24を連結する支持フレーム209をカウンタケース25の上方に横架させるもので、左右の支持台23・24を支持フレーム209によって連結させることにより、ハーネス210取付け部材または機外側の支持台23の補強部材として支持フレーム209を活用でき、カウンタケース25周辺構造の簡略化並びに剛性向上などを図ることができる。
【0056】
また、カウンタケース25上面に設ける油圧機器である変速バルブ211のハーネス210を支持フレーム209に支持させ、支持台23の補強部材として共用可能な支持フレーム209を利用してハーネス210を簡単に附設でき、刈取部7の側方回動による開放部に設けるカウンタケース25の周辺構造の簡略化などを図る。また、支持台23・24に変速バルブ211のコントローラ194を設けると共に、刈取部7を側方回動させる支点199を一方の支持台23に設け、側方に回動させる刈取部7の開放部でのメンテナンスし易い場所に支持台23・24を利用して前記コントローラ194を設置でき、カウンタケース25とこのコントローラ194を近接させてカウンタケース25の周辺構造の簡略化などを図ることができる。
【0057】
さらに、図4、図7、図8に示す如く、エンジン21の動力を伝えるミッションケース22と、刈取部7と、脱穀部4を設けるコンバインにおいて、刈取部7を支える支持台24と、該支持台24よりも前方に突設させる機台3前部のキャビンフレーム26とに連結フレーム34を固定させ、連結フレーム34中間に固定させるブラケット212をミッションケース22の前側に設け、ミッションケース22に対する連結フレーム34の取付高さ、またはミッションケース22の上面に設ける附設部品の高さなどの制限を緩和でき、ミッションケース22構造及び機体構成の簡略化並びに剛性向上などを図ることができると共に、ミッションケース22の上面にドレン口213を設け、該ドレン口213にエア抜パイプ214を連結させ、ミッションケース22の上面で略最高位置にドレン口213を設置でき、エア抜パイプ214の連結によってミッションケース22のドレン構造の簡略化などを図ることができる。
【0058】
さらに、走行クローラ2を駆動するミッションケース22と、エンジン21及びラジエータ215を設けると共に、運転席20を設けるキャビン18を機台3に四角パイプ形のキャビンフレーム32を介して支持させるコンバインにおいて、ミッションケース22のエア抜パイプ214をキャビンフレーム32に連結させるもので、別途にキャッチタンクを設ける必要がなく、ミッションケース22に対して高位置に設けるキャビンフレーム32の一部をエア抜パイプとして形成でき、ドレン構造の簡略化並びにコスト低減などを行うことができる。また、キャビンフレーム32に連結させる補強フレームである連結フレーム35にエア抜パイプ214の中間を支持させ、エア抜パイプ214の中間を変形し易い軟質ゴムホースによって形成でき、エア抜パイプ214構造の簡略化並びにコスト低減などを行うと共に、図21に示す如く、ラジエータ215の給水ホース216及び給水キャップ217をキャビンフレーム30にブラケット218を介して支持させ、エンジン21に対して高位置に設けるキャビンフレーム30のブラケット218を給水キャップ217の支持部材として形成でき、給水キャップ217支持構造の簡略化並びにコスト低減などを行うことができる。
【0059】
さらに、図22、図23に示す如く、エンジンルームカバー31の内部にエンジン21を設けると共に、エンジンルームカバー31の外側で前方にラジエータ215を設け、エンジンルームカバー31及びラジエータ215の一側に外気導入カバー198を後支点219で側方に回動自在に設けるコンバインにおいて、ラジエータ215のラジエータダクト220にオイルクーラ221を内設させ、オイルクーラ221を出入させるラジエータダクト220一側の開口222を保守カバー223によって閉塞し、オイルクーラ221のホース224を保守カバー223に挿通させ、ボルト225止め固定の前記保守カバー223を外すことによってオイルクーラ221を外してラジエータ215及びダクト220等のメンテナンスを行うことができ、前記ホース224を外す必要がなく、メンテナンス作業性の向上などを図ることができると共に、ラジエータ215に外気を取入れる側でラジエータ215に対してオイルクーラ221を可及的に離反させて設け、ラジエータ215の放熱面に充分な冷却風を均等に供給でき、ラジエータ215の放熱効率を向上させることができ、熱容量の大きいサイズのラジエータ215を設置できる。なお、ヒンジ226及びボルト227によってオイルクーラ221を側方に回動自在に固定させ、ボルト227を外してヒンジ226回りにオイルクーラ221を側方回動させてダクト220内部を掃除すると共に、ヒンジ226及びボルト227を外し、かつ保守カバー223を外し、オイルクーラ221をダクト220前側の開口222から出入させる。
【0060】
また、外気導入カバー198の側方回動によって開放されるエンジンルームカバー31の側部に工具箱228を出入自在に設け、外気導入カバー198を工具箱228の収納蓋として仕様できると共に、工具箱228を収穫作業を行う運転席20周辺場所から離して保管でき、しかも工具箱228を取出すとき、外気導入カバー198を開けるから、該カバー198内部のメンテナンス回数を増やして塵詰りを未然に防止できると共に、エンジン21と外気導入カバー198の間にインタークーラ229を設け、エンジン21とインタークーラ229の間に冷却ファン230を設け、エンジン21に設けるターボチャージャー231の冷却を行うインタークーラ229をエンジン21の近くでコンパクトに設置でき、ラジエータ215及びインタークーラ229のメンテナンス作業を、外気導入カバー198を開けて行うことができる。
【0061】
さらに、図4、図24に示す如く、防振ゴムを有する前側の支点軸28によって前側を支えるステップフレーム27の後側に防振ゴムを有する取付台232を設け、取付台232を係止台233に軸234を介して設けると共に、前記台ブラケット33の上面33aと側部テーパ面33bとに係止台233下面側を当接させ、各面33a・33bに係止台233をボルト235・236止め固定させ、キャビン18後側をキャビンフレーム32に着脱自在にボルト235・236止め固定させ、ボルト235・236を外してキャビン18を支点軸28回りに前方に回動させ、キャビン18下方側のメンテナンス作業を行う。また、前方回動姿勢のキャビン18を固定位置に戻すとき、前側支点軸28の防振ゴムによってキャビン18が左右に振れて位置がずれても、テーパ面33bと係止台233の当接によってキャビン18の位置を修正し、ボルト235・236によって固定できる。さらに、図24の構造では、左右の台ブラケット33の同じ右側面にテーパ面33bを形成したが、図25のように、左右の台ブラケット33の外側の側面にテーパ面33bを左右対称に形成することにより、キャビン18の左右いずれの方向の振れに対しても、左右対称のテーパ面33bと左右の係止台233によってキャビン18の位置ずれが修正されると共に、左右の台ブラケット33左右の係止台233の当接によってキャビン18の左右方向の位置ずれが防止され、例えば図24の構造では2本のボルト235・236を用いたのに対し、図25の構造では1本のボルト235でもキャビン18を適正に固定させることができる。
【0062】
図19、図20において、受板(165)及び押板(166)の受圧面(185)(186)をテーパ構造にしたが、図26に示すように、受圧面(185)(186)の軸穴側(内周側)を窪ませるように段部を設けて受板(165)及び押板(166)と対向する内板(169)との間に隙間(S)を形成し、内板(169)外周側からトルクナット(178)の押圧力がトルクローラ(167)に直接作用するように構成し、トルクローラ(167)の外開きをなくして安定したトルク値を保持できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】コンバインの左側面図。
【図2】同平面図。
【図3】同右側面図。
【図4】前部機体の正面説明図。
【図5】機台の平面説明図。
【図6】カウンタケース部の拡大図。
【図7】前部機体の側面図。
【図8】同部分拡大図。
【図9】カウンタケース部の側面図。
【図10】エンジンの出力系統図。
【図11】ミッションケースの駆動系統図。
【図12】油圧回路図。
【図13】カウンタケースの断面図。
【図14】同駆動系統図。
【図15】図13の変形説明図。
【図16】前図の駆動系統図。
【図17】トルクリミッタ部の断面図。
【図18】同部の分解説明図。
【図19】同部の分解拡大図。
【図20】同部分拡大図。
【図21】ラジエータ部の正面図。
【図22】オイルクーラ部の平面図。
【図23】同部の側面図。
【図24】キャビン取付部の拡大図。
【図25】前図の変形説明図。
【図26】図19の変形例を示す説明図。
【符号の説明】
【0064】
(2)走行クローラ
(4)脱穀部
(7)刈取部
(21)エンジン
(22)ミッションケース
(23)(24)支持台(刈取架台)
(25)カウンタケース
(151)刈取変速機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、
前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、
前記回転軸に形成された油導入用の油穴が、前記回転軸の外周面に開口するように複数分岐している、
トルクリミッタ。
【請求項2】
筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、
前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、
前記回転軸には、前記多層状の板群を前記回転軸の軸芯線方向外側から挟持する受板及び押板が設けられており、
前記受板及び前記押板の各受圧面が、セットトルクを発生させる押付け力にて撓んで平面状になるように凹面形に形成されている、
トルクリミッタ。
【請求項3】
筒形のアウタケース内において、前記アウタケースに挿通した回転軸に、複数のトルクローラを有するトルク板と、前記複数のトルクローラを挟持する内板及び外板とが、前記回転軸の軸芯線回りに回転し得るように多層状且つ同軸状に配置されており、
前記内板が前記回転軸と係合し、前記外板が前記アウタケースと係合して、前記トルクローラ群を転動させながら滑り摩擦を発生させるように構成されており、
前記各トルク板には前記トルクローラの嵌まる支持孔が複数形成されており、前記各支持孔の対向する両開口縁に一対の舌片が設けられており、前記両舌片にて前記支持孔に嵌まる前記トルクローラの外周が回転自在に挟持されている、
トルクリミッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−133960(P2008−133960A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323550(P2007−323550)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【分割の表示】特願2003−360705(P2003−360705)の分割
【原出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】