説明

ドラムブレーキ

【課題】従来に比較してドラムブレーキを小型化するドラムブレーキを提供する。
【解決手段】ブレーキシュー26および28,30および32の周方向の中間部に貫通された貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aをケース部材66の外周側の固定部66bに備えられた軸部材68に嵌め入れることによって、ブレーキシュー26および28,30および32がケース部材66の固定部66b上に配置されるので、従来シューホールドダウン装置が配置されるブレーキシューの中間部がケース部材66の固定部66bからバッキングプレート20の外周側に離間する位置に配設されるドラムブレーキに比較してバッキングプレート20の径方向の大きさが縮小してドラムブレーキ10が小型化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムブレーキにおいて、ドラムブレーキの部品点数を削減させると共にドラムブレーキを小型化させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラムブレーキには、例えば特許文献1の図1に示すように、リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、その一対のブレーキシューの一端部間に配設されたカム部材とを備え、そのカム部材の回動に従ってその一対のブレーキシューの一端部間を拡大しそのブレーキシューを回転ドラムの内周面に押し付けるものがある。このようなドラムブレーキは、例えば特許文献2の図1に示すようなドラムブレーキに比較して、上記一対のブレーキシューの一端部間を拡大するために、パーキングブレーキレバーや一対のブレーキシューの一方の一端部にそのパーキングブレーキレバーを回動可能に連結するためのレバーピンおよびその止め輪や一対のブレーキシューの一端部間に架け渡されるストラット等の部品を必要としないので、ドラムブレーキの部品点数を減少することができる。また、特許文献1のドラムブレーキでは、特許文献2のドラムブレーキに比較して、バッキングプレート内においてパーキングブレーキレバーを必要としないことからドラムブレーキ制動時のパーキングブレーキレバーの回動スペースをそのバッキングプレート内で確保する必要がなくなり、ドラムブレーキを比較的小さくすることができる。
【0003】
上記特許文献1のドラムブレーキにおいて、そのドラムブレーキのバッキングプレートの内周部には、前記回転ドラムに連結された車軸を軸心まわりに回動可能に支持する軸受を収容する円筒状部を有するケース部材が備えられ、そのケース部材には、その外周部に前記バッキングプレートの内周部と固定するために前記円筒状部の前記バッキングプレート側の端部から外周側へ突き出すフランジ状の固定部が備えられ、前記ケース部材の固定部には、そのケース部材の固定部と前記バッキングプレートの内周部とを非回転部材に締め付ける締付ボルトが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−133382号公報
【特許文献2】特開2000−145837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のようなドラムブレーキにおいて、円弧状の一対のブレーキシューの中間部には、その一対のブレーキシューを前記バッキングプレート側に付勢してその一対のブレーキシューをそのバッキングプレート上に拡開可能に支持するシューホールドダウン装置が備えられているが、そのシューホールドダウン装置を構成する略円柱形状のシューホールドダウンピンが前記ケース部材と接触しないようにその一対のブレーキシューが前記バッキングプレートの外周側に配置されるため、その一対のブレーキシューが前記ケース部材から前記バッキングプレートの外周側に離間して配置される分だけその一対のブレーキシューが搭載されるバッキングプレートの大きさすなわちバッキングプレートの径方向の大きさが大きくなり、その結果ドラムブレーキが大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、従来に比較してドラムブレーキを小型化するドラムブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、(a) 第1リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、その一対のブレーキシューの一端部間に配設されたカム部材とを備え、そのカム部材の回動に従ってその一対のブレーキシューの一端部間を拡大しそのブレーキシューを回転ドラムの内周面に押し付けるドラムブレーキであって、(b) 前記バッキングプレートには、前記回転ドラムに連結された車軸を軸心まわりに回転可能に支持する軸受を収容する円筒状部を有するケース部材が備えられ、(c) 前記ケース部材には、その外周部に前記バッキングプレートの内周部と固定するために前記円筒状部の前記バッキングプレート側の端部から外周側へ突き出すフランジ状の固定部が備えられ、(d) 前記ケース部材の固定部には、そのケース部材の固定部と前記バッキングプレートの内周部とを非回転部材に締め付ける長手状の軸部材が備えられており、(e) 前記ブレーキシューは、その周方向の中間部に貫通された貫通穴を有し、前記軸部材がその貫通穴に嵌め入れられることにより、その軸部材の回りに回動可能に前記ケース部材によって支持されるものである。
【0008】
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明において、(a) 前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、(b) 前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、その一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれに一端部が係合し且つそれら他端部が互いに係合する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、(c) 前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの一方においてその第1ブレーキシューの一端部およびその第2ブレーキシューの一端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの他方においてその第1ブレーキシューの他端部およびその第2ブレーキシューの他端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである。
【0009】
また、第3発明の要旨とするところは、第1発明において、(a) 前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、(b) 前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、第2リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢されてその一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれにその一端部が係合し且つそれら他端部が互いに離間する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、(c) 前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、その一対の第1ブレーキシューの回動によって前記一対の第2ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである。
【0010】
また、第4発明の要旨とするところは、第1発明乃至第3発明のいずれか1において、前記カム部材にはそのカム部材に相対回転不能に連結される出力軸が備えられ、前記ドラムブレーキに備えられた電動機の入力軸を駆動することによりサイクロ減速機を介してその出力軸が回動させられるものである。
【発明の効果】
【0011】
第1発明のドラムブレーキによれば、(b) 前記バッキングプレートには、前記回転ドラムに連結された車軸を軸心まわりに回転可能に支持する軸受を収容する円筒状部を有するケース部材が備えられ、(c) 前記ケース部材には、その外周部に前記バッキングプレートの内周部と固定するために前記円筒状部の前記バッキングプレート側の端部から外周側へ突き出すフランジ状の固定部が備えられ、(d) 前記ケース部材の固定部には、そのケース部材の固定部と前記バッキングプレートの内周部とを非回転部材に締め付ける長手状の軸部材が備えられており、(e) 前記ブレーキシューは、その周方向の中間部に貫通された貫通穴を有し、前記軸部材がその貫通穴に嵌め入れられることにより、その軸部材の回りに回動可能に前記ケース部材によって支持されるものである。そのため、前記ブレーキシューの周方向の中間部に貫通された貫通穴を前記ケース部材の外周側の固定部に備えられた前記軸部材に嵌め入れることによって、前記ブレーキシューが前記ケース部材の固定部上に配置されるので、従来シューホールドダウン装置が配置されるブレーキシューの中間部が前記ケース部材の固定部から前記バッキングプレートの外周側に離間する位置に配設されるドラムブレーキに比較して前記バッキングプレートの径方向の大きさが縮小して前記ドラムブレーキが小型化される。
【0012】
第2発明のドラムブレーキによれば、(a) 前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、(b) 前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、その一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれに一端部が係合し且つそれら他端部が互いに係合する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、(c) 前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの一方においてその第1ブレーキシューの一端部およびその第2ブレーキシューの一端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの他方においてその第1ブレーキシューの他端部およびその第2ブレーキシューの他端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである。そのため、前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大し、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューが前記回転ドラムの内周面に押し付けられた状態において、前記回転ドラムが所定方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシューおよび一対の第2ブレーキシューが前記回転ドラムの内周面に食い込みその一対の第1ブレーキシューおよび一対の第2ブレーキシューのすべてに自己倍力が作用するので、前記回転ドラムの前記所定方向の回転におけるその回転ドラムの回転を制動する力が好適に向上させられる。
【0013】
第3発明のドラムブレーキによれば、(a) 前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、(b) 前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、第2リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢されてその一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれにその一端部が係合し且つそれら他端部が互いに離間する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、(c) 前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、その一対の第1ブレーキシューの回動によって前記一対の第2ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである。そのため、前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大し、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューが前記回転ドラムの内周面に押し付けられた状態において、前記回転ドラムが所定方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシューの一方および一対の第2ブレーキシューの一方のブレーキシューが前記回転ドラムの内周面に食い込みその一方の第1ブレーキシューおよび一方の第2ブレーキシューに自己倍力が作用し、且つ、前記回転ドラムが前記所定方向と反対方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシューの他方および一対の第2ブレーキシューの他方のブレーキシューが前記回転ドラムの内周面に食い込みその他方の第1ブレーキシューおよび他方の第2ブレーキシューに自己倍力が作用しするので、前記回転ドラムの前進方向または後進方向の回転におけるその回転ドラムの回転を制動する力が好適に均等にさせられる。
【0014】
第4発明のドラムブレーキによれば、前記カム部材にはそのカム部材に相対回転不能に連結される出力軸が備えられ、前記ドラムブレーキに備えられた電動機の入力軸を駆動することによりサイクロ減速機を介してその出力軸が回動させられるものであるため、前記電動機の入力軸から伝達される回転トルクを前記サイクロ減速機を介して前記出力軸に好適に大きく伝達されるので、前記電動機を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用された一実施例のドラムブレーキを示す正面図である。
【図2】図1のII-II視断面図である。
【図3】図2のドラムブレーキに備えられた軸部材およびケース部材を説明する図2の拡大図である。
【図4】図1のIV-IV視断面図である。
【図5】図1のドラムブレーキの制動状態を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例のドラムブレーキを示す正面図である。
【図7】図6のドラムブレーキの制動状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施例のドラムブレーキ10が中央部に備えられたドラムインディスクブレーキ12のハット型ディスク14およびキャリパ等を取り外した正面図である。上記ハット型ディスク14は、図2に示すように、円板状の円板状外周部14aと有底円筒状の有底円筒状中央部14bとによって構成され、その円板状外周部14aはディスクブレーキの摩擦板として機能し、有底円筒状中央部14bはドラムブレーキ10の回転ドラムとして機能している。また、図1の2点鎖線で示す円は、上記回転ドラムの内周面16を示している。
【0018】
ドラムブレーキ10には、略円板形状を成し、たとえば車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材18に一体的に固設されたバッキングプレート20が備えられている。このバッキングプレート20の外周部には、ハット型ディスク14の円板状外周部14aを保護するためのディスクカバー22が固定されている。
【0019】
また、ドラムブレーキ10には、図1に示すようにバッキングプレート20の外周部の所定位置において図示されていないパーキングブレーキ作動操作によって回動する楕円形状のカム部材24と、そのカム部材24を一端部26aおよび28aの間で挟みそれら一端部26aおよび28aを互いに接近離間可能に略対称的に配設される円弧形状の一対の第1ブレーキシューと26および28と、その一対の第1ブレーキシュー26および28の他端部26bおよび28bのそれぞれに一端部30aおよび32aが係合し且つそれらの他端部30bおよび32bが互いに係合するように略対称的に配設される円弧形状の一対の第2ブレーキシュー30および32と、一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部26aおよび28aとの間に張設されそれら一端部26aおよび28aを互いに接近する方向に常時付勢させてカム部材24の外周面に当接させる第1リターンスプリング34と、一対の第2ブレーキシュー30および32の他端部30bおよび32bとの間に張設されそれら他端部30bおよび32bを互いに接近する方向に付勢させてそれら他端部30bおよび32bを常時当接させる第2リターンスプリング36とが備えられている。
【0020】
一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32は、何れも、バッキングプレート20の内周部に位置する平坦な平板部20aと略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ38および40,42および44と、それらの円弧形状を成すシューウェブ38および40,42および44の外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すようにそのシューウェブ38および40,42および44に一体的に固設された帯板状のシューリム46および48,50および52と、それらシューリム46および48,50および52の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング54および56,58および60とを備えてそれぞれ構成されている。
【0021】
図1および図2に示すように、バッキングプレート20の内周部の平板部20aには、ハット型ディスク14の有底円筒状中央部14bすなわち回転ドラムに連結された車軸62を軸心まわりに回動可能に支持する軸受64を収容する略円筒形状の円筒状部66aを有するケース部材66が備えられ、そのケース部材66には、その外周部にバッキングプレート20の平板部20aと固定するために円筒状部66aのバッキングプレート20側の端部からバッキングプレート20の外周側へ突き出すフランジ状の固定部66bが備えられ、ケース部材66の固定部66bには、そのケース部材66の固定部66bとバッキングプレート20の平板部20aとディスクカバー22の内周部とを非回転部材18に締め付ける4本の長手状の軸部材68が備えられている。
【0022】
図2に示すように、軸受64は、例えばクロム鋼等の鋼材から成り圧入等によってケース部材66の円筒状部66aに固定される円筒形状の外周輪70と、例えばクロム鋼等の鋼材から成り外周輪70より径が小さい円筒形状の内周輪72と、例えばクロム鋼等の線材から球状に成形された複数の転動体74と、外周輪70の内周面と内周輪72の外周面との間に周方向に2列に配列された転動体74どうしの間隔を一定に保持する図示されていない保持器とを備えている。また、その軸受64の内周輪72は、前記回転ドラムに一体的に連結された車軸62を軸心まわりに回転可能に支持する内周面72aを有する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、ケース部材66の固定部66bの4箇所に備えられた長手状の軸部材68は、それぞれ、ケース部材66の固定部66bに形成された雌ねじ穴66cとバッキングプレート20の平板部20aに円形状に貫通された貫通穴20bとディスクカバー22の内周部に円形状に貫通された貫通穴22aと非回転部材18に形成された雌ねじ穴18aとを通る略円柱形状のねじ軸部68aと、そのねじ軸部68aの非回転部材18側の端部に形成されたそのねじ軸部68aの径より大径の頭部68bと、軸部材68によってケース部材66の固定部66bとバッキングプレート20の平板部20aとディスクカバー22の内周部とが非回転部材18に締め付けられた際ねじ軸部68aのケース部材66側の端部から延長されケース部材66の雌ねじ穴66cから突き出る円柱形状の突出部68cとを一体に備えている。
【0024】
図2および図3に示すように、軸部材68のねじ軸部68aの外周面、ケース部材66の雌ねじ穴66cの内周面、非回転部材18の雌ねじ穴18aの内周面にはねじ山が形成されており、軸部材68のねじ軸部68aをケース部材66の雌ねじ穴66cおよび非回転部材18の雌ねじ穴18aに螺合させその軸部材68を所定方向に回動させると、ねじの作用によってケース部材66の固定部66bが非回転部材18側に接近してケース部材66の固定部66bとバッキングプレート20の平板部20aとディスクカバー22の内周部とが非回転部材18に締め付けられる。
【0025】
図1乃至図3に示すように、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32には、それぞれ、そのシューウェブ38および40,42および44の周方向の中間部に軸部材68の円柱形状の突出部68cの直径より僅かに大きい直径を有するように円形状に貫通された貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aが備えられており、それら貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aをそれぞれケース部材66の固定部66bの雌ねじ穴66cから突き出た円柱形状の軸部材68の突出部68cに嵌め入れることにより、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32は、それぞれの軸部材68の回りに回動可能にケース部材66の固定部66bに支持される。また、図1乃至図3に示すように、軸部材68の突出部68cの先端部には、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32に形成された貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aの径より大径の止め輪76が備えられており、車両の走行中の振動等により軸部材68から一対の第1ブレーキ26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32が外れようとするとその止め輪76当接しその外れが防止される。
【0026】
図4に示すように、カム部材24を備えそのカム部材24の回動に従って一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部間26aおよび28aを拡開させる第1ブレーキシュー拡開機構78には、たとえば運転者が図示されていないパーキングブレーキ作動ボタンを押すなどのパーキングブレーキ作動操作によって駆動され回転軸80aが回転される電動機80と、その電動機80の回転駆動によって入力軸82が回転されるとともに、その入力軸82に入力された回転が減速され且つトルクが高められて円柱形状の出力軸84から出力されるサイクロ減速機86とが備えられており、カム部材24に相対回転不能に連結された出力軸84を電動機80が駆動するとカム部材24が出力軸84の軸心Cまわりに回動して一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部26aおよび28a間を拡大させるものである。また、図5に示すように、第1ブレーキシュー拡開機構78の出力軸84の軸心Cは、楕円形状のカム部材24の中心点C1からずれてそのカム部材24と出力軸84とが相対回転不能に連結されている。また、サイクロ減速機86は、特許文献1に記載されているサイクロ減速機と略同様の構成であり、本実施例ではそのサイクロ減速機86の構成の説明を省略する。
【0027】
以上のよう構成されたドラムブレーキ10によれば、運転者が前記パーキングブレーキ作動ボタンを押すなどのパーキングブレーキ作動操作によって電動機80が駆動してカム部材24が矢印A方向に回動すると、第1ブレーキシュー28の一端部28aは回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印B方向に軸部材68まわりに回動し、第1ブレーキシュー26の一端部26aは回転ドラムの内周面16から離間する方向すなわち矢印D方向に軸部材68まわりに回動する。また、第1ブレーキシュー28が矢印B方向に回動するとその他端部28bによって第2ブレーキシュー32の一端部32aが回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印E方向に軸部材68まわりに回動し、その第2ブレーキシュー32が矢印E方向に回動するとその他端部32bによって第2ブレーキシュー30の他端部30bが回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印F方向に回動する。また、図5に示されている一点鎖線は、非制動時のカム部材24、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32の状態を示すものである。
【0028】
このため、前記パーキングブレーキ作動操作によってカム部材24が回動すると、第1ブレーキシュー28が矢印B方向に回動してその一端部28aのライニング56が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第2ブレーキシュー32が矢印E方向に回動してその一端部32aのライニング60が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第2ブレーキシュー30が矢印F方向に回動してその他端部30bのライニング58が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第1ブレーキシュー26が矢印D方向に回動してその他端部26bのライニング54が回転ドラムの内周面16に押し付けられる。
【0029】
そして、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32が回転ドラムの内周面16に押し付けられた状態において、前記回転ドラムが例えば矢印G方向(所定方向)に回転しようとすると一対の第1ブレーキシュー26および28および一対の第2ブレーキシュー30および32が回転ドラムの内周面16に食い込んでその一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32のすべてに自己倍力が作用して制動力を受けるブレーキシュー26および28,30および32からの荷重が軸部材68を介してケース部材66によって受け入れられその回転ドラムの回転が制動される。
【0030】
本実施例のドラムブレーキ10によれば、バッキングプレート20には、回転ドラム14bに連結された車軸62を軸心まわりに回転可能に支持する軸受64を収容する円筒状部66aを有するケース部材66が備えられ、ケース部材66には、その外周部にバッキングプレート20の内周部と固定するためにケース部材66の円筒状部66aのバッキングプレート20側の端部からバッキングプレート20の外周側へ突き出すフランジ状の固定部66bが備えられ、ケース部材66の固定部66bには、そのケース部材66の固定部66bとバッキングプレート20の内周部とを非回転部材18に締め付ける長手状の軸部材68が備えられており、ブレーキシュー26および28,30および32は、その周方向の中間部に貫通された貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aを有し、軸部材68がその貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aに嵌め入れられることにより、その軸部材68の回りに回動可能にケース部材66の固定部66bによって支持されるものである。そのため、ブレーキシュー26および28,30および32の周方向の中間部に貫通された貫通穴38aおよび40a,42aおよび44aをケース部材66の外周側の固定部66bに備えられた軸部材68に嵌め入れることによって、ブレーキシュー26および28,30および32がケース部材66の固定部66b上に配置されるので、従来シューホールドダウン装置が配置されるブレーキシューの中間部がケース部材66の固定部66bからバッキングプレート20の外周側に離間する位置に配設されるドラムブレーキに比較してバッキングプレート20の径方向の大きさが縮小してドラムブレーキ10が小型化される。
【0031】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、制動力を受けるブレーキシュー26および28,30および32からの荷重が軸部材68を介してケース部材66によって受け入れるため、例えば特許文献1のようなブレーキシューからの荷重を受けるブレーキシュー拡開機構がバッキングプレートに固定される従来のものに対してバッキングプレート20を薄肉化できドラムブレーキ10が軽量となる。
【0032】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、ケース部材66の固定部66bは、4本の軸部材68によって非回転部材18に固定されるものであり、ケース部材66には、カム部材24を一端部間26aおよび28aに配置し第1リターンスプリング34によってそれら一端部26aおよび28aが互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシュー26および28と、その一対の第1ブレーキシュー26および28の他端部26bおよび28bのそれぞれに一端部30aおよび32aが係合し且つそれらの他端部30bおよび32bが互いに係合する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシュー30および32とが、4本の軸部材68回りに回動可能に備えられており、カム部材24の回動に従って一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部間が拡大することにより、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32の一方28および32においてその第1ブレーキシュー28の一端部28aおよびその第2ブレーキシュー32の一端部32aが回転ドラムの内周面16に接近する方向に回動すると共に、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32の他方26および30においてその第1ブレーキシュー26の他端部26bおよびその第2ブレーキシュー30の他端部30bが回転ドラムの内周面16に接近する方向に回動するものである。そのため、カム部材24の回動に従って一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部間26aおよび28aが拡大し、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32が回転ドラムの内周面16に押し付けられた状態において、回転ドラムが矢印G方向(所定方向)に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32が回転ドラムの内周面16に食い込みその一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー30および32のすべてに自己倍力が作用するので、回転ドラムの矢印G方向の回転におけるその回転ドラムの回転を制動する力が好適に向上させられる。
【0033】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、カム部材24にはそのカム部材24に相対回転不能に連結される出力軸84が備えられ、ドラムブレーキ10に備えられた電動機80の入力軸82を駆動することによりサイクロ減速機86を介してその出力軸84が回動させられるものであるため、電動機80の入力軸82から伝達される回転トルクをサイクロ減速機86を介して出力軸84に好適に大きく伝達されるので、電動機80を小型化できる。
【実施例2】
【0034】
また、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施例のドラムブレーキ88は、実施例1のドラムブレーキ10におけるカム部材24、一対の第2ブレーキシュー30および32、第2リターンスプリング36と異なるカム部材90、一対の第2ブレーキシュー92および94、第2リターンスプリング96を使用する以外は実施例1のドラムブレーキ10と略同様であって、図6、図7はそのドラムブレーキ88を説明する図である。
【0036】
ドラムブレーキ88には、図6に示すようにバッキングプレート20の外周部の所定位置において運転者が図示されていないパーキングブレーキ作動ボタンを押すなどのパーキングブレーキ作動操作によって回動する楕円形状のカム部材90と、そのカム部材90を一端部26aおよび28aの間に配置しそれら一端部26aおよび28aを互いに接近離間可能に略対称的に配設される円弧形状の一対の第1ブレーキシュー26および28と、その一対の第1ブレーキシュー26および28の他端部26bおよび28bのそれぞれに一端部92aおよび94aが係合し且つそれらの他端部92bおよび94bが互いに離間するように略対称的に配設される円弧形状の一対の第2ブレーキシュー92および94と、その一対の第2ブレーキシュー92および94の一端部92aおよび94aとの間に張設されそれら一端部92aおよび94aを互いに接近する方向に付勢させてそれら一端部92aおよび94aを一対の第1ブレーキシュー26および28の他端部26bおよび28bにそれぞれ当接させる第2リターンスプリング96とが備えられている。
【0037】
一対の第2ブレーキシュー92および94は、何れも、バッキングプレート20の内周部に位置する平坦な平板部20aと略平行な平板状を成し且つ図6に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ98および100と、それらの円弧形状を成すシューウェブ98および100の外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すようにそのシューウェブ98および100に一体的に固設された帯板状のシューリム102および104と、それらシューリム102および104の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング106および108とを備えてそれぞれ構成されている。
【0038】
また、一対の第2ブレーキシュー92および94には、それぞれ、そのシューウェブ98および100の周方向の中間部に軸部材68の円柱形状の突出部68cの直径より僅かに大きい直径を有するように円形状に貫通された貫通穴98aおよび100aが備えられており、それら貫通穴98aおよび100aをそれぞれケース部材66の固定部66bの雌ねじ穴66cから突き出た円柱形状の軸部材68の突出部68cに嵌め入れることにより、一対の第2ブレーキシュー92および94は、それぞれの軸部材68の回りに回動可能にケース部材66の固定部66bに支持されている。
【0039】
また、第1ブレーキシュー拡開機構78の出力軸84の軸心Cは、楕円形状のカム部材90の中心点C2と一致するようにそのカム部材90と出力軸84とが相対回転不能に連結されている。
【0040】
以上のよう構成されたドラムブレーキ88によれば、運転者が前記パーキングブレーキ作動ボタンを押すなどのパーキングブレーキ作動操作によって電動機80が駆動してカム部材90が矢印A方向に回動すると、第1ブレーキシュー28の一端部28aは回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印B方向に軸部材68まわりに回動し、第1ブレーキシュー26の一端部26aは回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印D1方向に軸部材68まわりに回動する。また、第1ブレーキシュー28が矢印B方向に回動するとその他端部28bによって第2ブレーキシュー94の一端部94aが回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印E方向に軸部材68まわりに回動し、第1ブレーキシュー26が矢印D1方向に回動するとその他端部26bによって第2ブレーキシュー92の一端部92aが回転ドラムの内周面16に接近する方向すなわち矢印F1方向に回動する。また、図7に示されている一点鎖線は、非制動時のカム部材90、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー92および94の状態を示すものである。
【0041】
このため、前記パーキングブレーキ作動操作によってカム部材90が回動すると、第1ブレーキシュー28が矢印B方向に回動してその一端部28aのライニング56が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第2ブレーキシュー94が矢印E方向に回動してその一端部94aのライニング108が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第1ブレーキシュー26が矢印D1方向に回動してその一端部26aのライニング54が回転ドラムの内周面16に押し付けられ、第2ブレーキシュー92が矢印F1方向に回動してその一端部92aのライニング106が回転ドラムの内周面16に押し付けられる。
【0042】
そして、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー92および94が回転ドラムの内周面16に押し付けられた状態において、前記回転ドラムが例えば矢印G方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシュー26および28の一方の第1ブレーキシュー28および一対の第2ブレーキシュー92および94の一方の第2ブレーキシュー94が前記回転ドラムの内周面16に食い込みその一方の第1ブレーキシュー28および一方の第2ブレーキシュー94に自己倍力が作用して、制動力を受けるブレーキシュー26および28,92および94からの荷重が軸部材68を介してケース部材66によって受け入れられその回転ドラムの回転が制動される。また、前記回転ドラムが例えば矢印H方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシュー26および28の他方の第1ブレーキシュー26および一対の第2ブレーキシュー92および94の他方の第2ブレーキシュー92が前記回転ドラムの内周面16に食い込みその他方の第1ブレーキシュー26および他方の第2ブレーキシュー92に自己倍力が作用して、制動力を受けるブレーキシュー26および28,92および94からの荷重が軸部材68を介してケース部材66によって受け入れられその回転ドラムの回転が制動される。
【0043】
本実施例のドラムブレーキ88によれば、ケース部材66の固定部66bは、4本の軸部材68によって非回転部材18に固定されるものであり、ケース部材66には、カム部材90を一端部間26aおよび28aに配置し第1リターンスプリング34によってそれら一端部26aおよび28aが互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシュー26および28と、第2リターンスプリング96によって一端部92aおよび94aが互いに接近する方向に付勢されてその一対の第1ブレーキシュー26および28の他端部26bおよび28bのそれぞれにその一端部92aおよび94aが係合し且つそれらの他端部92bおよび94bが互いに離間する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシュー92および94とが、4本の軸部材68回りに回動可能に備えられており、カム部材90の回動に従って一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部間が拡大することにより、一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部26aおよび28aがそれぞれ回転ドラムの内周面16に接近する方向に回動すると共に、その一対の第1ブレーキシュー26および28の回動によって一対の第2ブレーキシュー92および94の一端部92aおよび94aがそれぞれ回転ドラムの内周面16に接近する方向に回動するものである。そのため、カム部材90の回動に従って一対の第1ブレーキシュー26および28の一端部間26aおよび28aが拡大し、一対の第1ブレーキシュー26および28、一対の第2ブレーキシュー92および94が回転ドラムの内周面16に押し付けられた状態において、前記回転ドラムが矢印G方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシュー26および28の一方の第1ブレーキシュー28および一対の第2ブレーキシュー92および94の一方の第2ブレーキシュー94が回転ドラムの内周面16に食い込みその一方の第1ブレーキシュー28および一方の第2ブレーキシュー94に自己倍力が作用し、且つ、前記回転ドラムが矢印G方向と反対方向すなわち矢印H方向に回転しようとするとその一対の第1ブレーキシュー26および28の他方の第1ブレーキシュー26および一対の第2ブレーキシュー92および94の他方の第2ブレーキシュー92が回転ドラムの内周面16に食い込みその他方の第1ブレーキシュー26および他方の第2ブレーキシュー92に自己倍力が作用しするので、回転ドラムの前進方向(矢印G方向)または後進方向(矢印H方向)の回転におけるその回転ドラムの回転を制動する力が好適に均等にさせられる。
【0044】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0045】
たとえば、本実施例のドラムブレーキ10および88において、ドラムブレーキ10および88は、パーキングブレーキ用のドラムブレーキとして使用されたが、例えば車両走行中のサービス用のドラムブレーキとして使用されても良い。
【0046】
また、本実施例のドラムブレーキ10および88において、カム部材24および90を回動するためにサイクロ減速機86が使用されたが本発明ではそれ以外の例えば歯車式減速機等の減速機が使用されても良い。また、カム部材24および90に連結された出力軸84に長手状のブレーキレバーの基端部を相対回転不能に連結させ且つそのブレーキレバーの先端部に図示されていないパーキングブレーキケーブルの一端部を連結させて電動機80およびサイクロ減速機86を使用せずにカム部材24および90を回動させても良い。また、上記のような機械式のドラムブレーキの場合は、たとえば図示されていないパーキングブレーキレバーが操作されることによって前記パーキングブレーキケーブルが引っ張られ、前記ブレーキレバーがその基端部まわりに回動すると共にカム部材24および90が回動するものである。
【0047】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
10,88:ドラムブレーキ
16:回転ドラムの内周面
18:非回転部材
20:バッキングプレート
24、90:カム部材
26,28:一対の第1ブレーキシュー
26a,28a:一端部
26b,28b:他端部
30,32、92,94:一対の第2ブレーキシュー
30a,32a、92a,94a:一端部
30b,32b、92b,94b:他端部
34:第1リターンスプリング
36、96:第2リターンスプリング
38a,40a,42a,44a、98a,100a:貫通穴
62:車軸
64:軸受
66:ケース部材
66a:円筒状部
66b:固定部
68:軸部材
80:電動機
82:入力軸
84:出力軸
86:サイクロ減速機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、該一対のブレーキシューの一端部間に配設されたカム部材とを備え、該カム部材の回動に従って該一対のブレーキシューの一端部間を拡大し該ブレーキシューを回転ドラムの内周面に押し付けるドラムブレーキであって、
前記バッキングプレートには、前記回転ドラムに連結された車軸を軸心まわりに回転可能に支持する軸受を収容する円筒状部を有するケース部材が備えられ、
前記ケース部材には、その外周部に前記バッキングプレートの内周部と固定するために前記円筒状部の前記バッキングプレート側の端部から外周側へ突き出すフランジ状の固定部が備えられ、
前記ケース部材の固定部には、該ケース部材の固定部と前記バッキングプレートの内周部とを非回転部材に締め付ける長手状の軸部材が備えられており、
前記ブレーキシューは、その周方向の中間部に貫通された貫通穴を有し、前記軸部材が該貫通穴に嵌め入れられることにより、該軸部材の回りに回動可能に前記ケース部材によって支持されるものであることを特徴とするドラムブレーキ。
【請求項2】
前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、
前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、該一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれに一端部が係合し且つそれら他端部が互いに係合する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、
前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの一方において該第1ブレーキシューの一端部および該第2ブレーキシューの一端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、前記一対の第1ブレーキシューおよび前記一対の第2ブレーキシューの他方において該第1ブレーキシューの他端部および該第2ブレーキシューの他端部が前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである請求項1のドラムブレーキ。
【請求項3】
前記ケース部材の固定部は、4本の前記軸部材によって前記非回転部材に固定されるものであり、
前記ケース部材には、前記カム部材を一端部間に配置し前記第1リターンスプリングによってそれら一端部が互いに接近する方向に付勢される円弧形状を成す一対の第1ブレーキシューと、第2リターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢されて該一対の第1ブレーキシューの他端部のそれぞれにその一端部が係合し且つそれら他端部が互いに離間する円弧形状を成す一対の第2ブレーキシューとが、前記4本の軸部材回りに回動可能に備えられており、
前記カム部材の回動に従って前記一対の第1ブレーキシューの一端部間が拡大することにより、前記一対の第1ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動すると共に、該一対の第1ブレーキシューの回動によって前記一対の第2ブレーキシューの一端部がそれぞれ前記回転ドラムの内周面に接近する方向に回動するものである請求項1のドラムブレーキ。
【請求項4】
前記カム部材には該カム部材に相対回転不能に連結される出力軸が備えられ、前記ドラムブレーキに備えられた電動機の入力軸を駆動することによりサイクロ減速機を介して該出力軸が回動させられるものである請求項1乃至3のいずれか1のドラムブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−193818(P2012−193818A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59834(P2011−59834)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サイクロ
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】