説明

ハロゲン化ヘテロ芳香族化合物の転位、これに続く酸化カップリングを介したカップリングされたヘテロアリール化合物の形成方法

本明細書に開示および記載されている本発明は、下記式(I)および(II)〔式中、HArは、任意により置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール環であり、Halはハロゲンであり、Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、BR、C(RまたはP(O)Rなどの架橋基である〕を有する広く多様な化合物を形成させるための新規かつ効率的な一般的方法に関する。この合成方法では、「塩基触媒ハロゲンダンス」反応が採用されてハロゲン原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を含むメタル化化合物が調製され、次いで、この反応性中間体化合物が酸化的にカップリングされる。式(II)の化合物、および/または、式(II)を有する繰り返し単位を含むオリゴマーまたはポリマーは、半導体材料および/またはこれらの材料を含む電子素子の形成に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の実施許諾権に関する記載事項
本発明者らは、Agreement Number DMR−0120967で、National Science FoundationのSTC Programを通じ、および、Contract Award Number 68A−1060806で、Office of Naval ResearchのMURIプログラムを通じて部分的に財政支援を受けた。連邦政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年2月10日に出願の米国仮特許出願第61,303,163号明細書に基づく優先権を主張しており、この出願の内容のすべてが、すべての目的のために参照により本明細書において援用されている。
【0003】
本明細書において開示、記載、および/または、特許請求されている種々の発明は、多くがトランジスタ、太陽電池および発光ダイオードなどの有機電子素子の作製に有用であるモノマー、オリゴマーまたはポリマー有機化合物の調製に有用である、カップリングされたヘテロアリール環を含む有機化合物および本発明の方法により生成された化合物の合成分野に関する。
【背景技術】
【0004】
近年においては、共役芳香族および/またはヘテロ芳香族環を含むと共に、電荷キャリア(正孔および/または電子)を伝導可能である、例えばトランジスタ、太陽電池および発光ダイオードなどの種々の電子素子を作製するために用いられる新規の半導体有機材料(モノマー、オリゴマーまたはポリマー)の製造技術分野に相当の関心が存在している。
【0005】
ケイ素、ゲルマニウム等などの無機物に基づく既存の高度な半導体テクノロジーが開発されているが、これらの素子の製作は高価であると共に、得られる素子は剛性、かつ、脆弱である。物理的に可撓性であると共に溶液処理が可能である新規の有機半導体材料の開発によって、プラスチック、有機コーティング等などの安価な可撓性材料上に電子素子および発光ディスプレイを安価に作製することが可能とされている。従って、この技術分野においては、有機電子素子における使用において向上した加工性、性能、費用および安定性をもたらすことが可能である新規で改良された有機半導体に対する要求が未だ存在している。
【0006】
半導体有機ポリマーまたはコポリマーを含むこのような新規の有機半導体材料の合成においてはすでにいくらかの進展が実現されているが、これらの有機半導体材料の多くは、複数の共役および/または縮合環サブユニットを含むサブユニットを包含する、高度に特定的に設計および置換されたアリールまたはヘテロアリールサブユニットを含む。残念なことに、有機材料の単量体アリールおよびヘテロアリールポリマー前駆体の合成に採用されている公知の合成方法は、未だに度々特殊であると共に高価であり、最終有機半導体の最終性能においても未だにかなりの改善の余地がある。従って、技術分野においては、新規の向上した半導体有機材料の重合性モノマーまたはオリゴマー前駆体を形成するための向上した方法に対する要求が未だ存在している。
【0007】
アリールおよびヘテロハロゲン化(特に臭化およびヨウ化)アリールは、このような半導体小分子、オリゴマー、ポリマーおよびコポリマーの重合性前駆体として周知であると共に、重合性でもあるか、もしくは、反応されて小分子およびオリゴマーを形成することが可能である(典型的には、パラジウムまたはニッケル錯体などの遷移金属重合触媒などの存在下で)アリールまたはヘテロアリールホウ酸エステルまたはトリアルキル錫誘導体に転換可能であるとしても周知でもある。多くのこのようなアリールもしくはヘテロハロゲン化アリール化合物を形成するための合成方法が公知であるが、多くのアリールもしくはヘテロハロゲン化アリールの特定の望ましい異性体の合成は困難であるか高価なままである。
【0008】
その目的のために、重合性モノマーもしくはオリゴマー、または、必要とされる合成前駆体を生成するための新規の方法に関連する以下に記載の種々の発明の種々の実施形態が実施されている。
【0009】
アリールもしくはヘテロハロゲン化アリールは時々、例えば有機リチウムもしくは有機マグネシウム試薬、または、リチウムジアルキルアミドなどのきわめて強い塩基と共に処理された場合に異性化されて、ハロゲンがアリールもしくはヘテロアリール環上の異なる位置に移動可能であることは技術分野において公知である。「塩基触媒ハロゲンダンス」(「BCHD」)転位(例えば、(非特許文献1)、および、(非特許文献2))を参照のこと;これらは、ハロゲンダンス反応の方法論およびその公知である合成への応用に関する教示について、共に本明細書において参照により援用されている)と呼ばれるアリールとヘテロハロゲン化アリールとのこの塩基触媒転位は、理論に束縛されることは望まないが、技術分野においては、強塩基性の有機金属試薬(典型的には、有機リチウム、有機マグネシウムまたはリチウムジアルキルアミド化合物)による、ハロゲン化アリールまたはヘテロアリール出発材料の環上の比較的酸性の水素の脱プロトン化を介して生じて、出発ハロアリールまたはヘテロアリールのメタル化(度々、リチウム化)形態を形成すると考えられている。次いで、メタル化ハロアリールまたはヘテロアリールは、元のハロゲン置換基が、元のアリールもしくはヘテロアリール環(以下の概念的な概略図に描かれているとおりである、ここで、Hetは環ヘテロ原子であり、Halはハロゲンであり、かつ、Mは、度々LiまたはMgである)上の熱力学的により安定な位置に移動することが可能である一連の金属−ハロゲン交換反応に供されることが可能である。
【化1】

【0010】
ハロゲンダンス転位を介して形成された転位およびメタル化ハロゲン化中間体ヘテロアリール化合物は、次いで、特に求電子剤との反応により、従来技術において多様な方法でさらに利用されてきているが、これらの従来の使用は、本明細書中以下に記載および特許請求されている酸化カップリングのためのこれらのハロゲン化およびメタル化ヘテロアリール中間体の使用とは、質的に顕著に異なると考えられている。
【0011】
いくつかのメタル化(典型的にはリチウム化)アリールまたはヘテロアリール化合物の環は、以下の理想化された図面において概略的に示されているとおり、銅塩または塩化チオニルなどの一定の酸化剤と酸化的にカップリングされることが可能であることは技術分野において公知である(関連する酸化カップリング反応に関する種々の教示について参照により援用されている、例えば、(非特許文献3);(非特許文献4);(非特許文献5)、および、(非特許文献6)を参照のこと)。
【化2】

【0012】
最後に、一定のビスハロゲン化ビスチオフェン化合物は、以下の反応スキームに示されているとおり、種々の試薬とカップリングされて、縮合環ビスチオフェンヘテロアリールの一分類を形成することが可能であることは、例えば、(特許文献1)(本明細書において参照により援用されている)において最近開示されているものなど、技術分野において長い間公知とされている
【化3】

(式中、Halは水素またはハロゲンであって、特にBrを指し、Rは水素または置換基であり、nは0〜6の範囲、好ましくは0であり;存在する場合、Yは、置換もしくは非置換のフェニレン、チエン、1,2−エチレンであるか、または、1,2−エチニレンであり;Rは、水素または一定のアリールおよびアルキルであり、ならびに、Xは一定の架橋基である)。(特許文献1)は、その化合物および/またはこれに由来する一定のコポリマーは電子素子を作製するための半導体として有用であることが可能であることを教示している。しかしながら、(特許文献1)は、ハロゲンダンス反応と酸化カップリング反応との組み合わせがそのビスハロゲン化ビスチオフェン出発材料の調製に用いられることが可能であること、または、少なくとも2つのチオフェン環を含まない縮合環複素環が開示の方法によって調製可能であることを教示、もしくは、示唆していない。
【0013】
本明細書中以下に記載の種々の発明は、有機電子素子の作製に有用であることが可能である新規の小分子、オリゴマー、ポリマーおよびコポリマーの合成用の前駆体として使用可能である反応性小分子の調製のための前駆体とされる公知および新規の両方のきわめて広く多様なジハロアリールおよび/またはヘテロアリール中間体を、簡便、かつ、経済的に調製するために用いられることが可能である反応シーケンスに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2009/115413号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Schnurich et al,Chem Soc.Rev.,2007,36,1046−1057
【非特許文献2】de Souza,Curr.Org.Chem.2007,11,637−646
【非特許文献3】Gronowitz,S.Acta Chem.Scand.15,1393−1395(1961)
【非特許文献4】Whitesides et al,J.Amer.Chem.Soc.89(20)5302−5303(1967)
【非特許文献5】Surry et al,Angew Chem.Int.Ed.,44,1870−1873(2005)
【非特許文献6】Oae et al,Phosphorus,Sulfur,and Silicon,Vol.103,101−110(1995)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書に開示の種々の発明および/またはこれらの実施形態は、塩基触媒ハロゲンダンス(BCHD)反応の使用が含まれる反応シーケンスを採用して、任意に置換されていてもよいヘテロアリール中間体を調製し、次いで、これを酸化的にカップリングに供して少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環を有するきわめて広く多様なヘテロアリール小分子、オリゴマー、ポリマーおよびコポリマー化合物を調製する、少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環および2つのハロゲンを有するヘテロアリール化合物を形成するための新規の方法に関する。
【0017】
多くの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物
【化4】

を含むビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を合成する種々の方法に関し、式中、HArは、少なくとも1個の環炭素原子および少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、任意に置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール環であり、ならびに、Halはハロゲンである。式(I)の化合物を形成するための開示の方法には多くの実施形態があるが、これらの実施形態の多くにおいて、この方法の工程は、少なくとも:
a.HAr環上の第1の位置にHal置換基を有するハロヘテロアリール環を含む、任意に置換されていてもよい前駆体化合物を準備する工程;
b.前駆体化合物を強塩基性化合物で処理して前駆体化合物の異性化を誘起して、Hal原子がHAr環上の異なる位置に結合している中間体化合物を生成させる工程;
c.2つの中間体化合物間に炭素−炭素結合が形成されるよう中間体化合物を酸化剤で処理し、これにより、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程
を含む。
【0018】
いくつかの公知のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物と、また、多様な新規で自明ではないビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の両方を、本明細書に開示、記載、および/または、特許請求されている「塩基触媒ハロゲンダンス/酸化的カップリング」反応シーケンスを介して容易に、かつ、効率的に調製することが可能である。本発明のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の多くは、2つのカップリングされたヘテロアリール基を含むと共に、式(Ia):
【化5】

(式中、
a.Rは、水素、ハロゲン、または、例えば、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基などのC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(Rもしくは−B(−OR21基であることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、ならびに、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b.Xは、O、S、SeまたはNRであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;および
c.Yは、CH、CRまたはNであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
に示されている構造を有する。
【0019】
しかも、BCHD/酸化カップリング法により生成される新規なビスハロ−ビスヘテロアリール化合物および公知のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の両方の多くは、容易にさらに官能基化および/または合成されて、多くの目的のために有用である広く多様な公知の、もしくは、新規の下流化合物、オリゴマーまたはポリマーを生成することが可能である。
【0020】
BCHD/酸化カップリング法により調製された式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物から調製することが可能である化合物は、以下に示されている式(II):
【化6】

(式中、
a.HArは、本明細書において他の箇所に開示されている、任意に置換されていてもよいヘテロアリール環のいずれかであることが可能であり、および
b.Zは、例えばS、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rなどの架橋基であり、式中、Rは、C〜C50有機基である)
の広く多様な縮合三環式化合物である。
【0021】
式(II)の縮合三環式化合物の多くは
a.任意により、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を有機金属化合物で処理して金属をHal置換基と交換してビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程、および
b.ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を好適な求電子体と反応させるか、または、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物もしくはビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を求核剤と反応させて、縮合三環式化合物の形成に好適なZ基もしくはその前駆体を導入する工程
により調製されることが可能である。
【0022】
このような縮合三環式化合物の例としては、これらに限定されないが、以下に示されている式(IIa)の化合物:
【化7】

(式中、
a.Rは、水素、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、かつ、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b.Xは、O、S、SeまたはNRであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;ならびに
c.Yは、CH、CRまたはNであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;ならびに
d.Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BR、またはC(Rであることが可能であり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、パーフルオロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
が挙げられる。
【0023】
式(IIa)の化合物の実施形態の多くにおいて、Rは、任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基であることが可能である。例えば、式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物または式(II)の縮合三環式化合物の実施形態の多くにおいて、Rは、以下に示されている式:
【化8】

(式中、R11〜R14は本明細書中他の箇所で定義されているとおりである)
の1つを有する比較的富電子性の基であることが可能である。
【0024】
式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物または式(IIa)の縮合三環式化合物の他の実施形態において、Rは、例えば以下に示されている式:
【化9】

の1つなどの比較的貧電子性のヘテロアリール基であることが可能である。
【0025】
本発明の方法によって調製される式(II)または(IIa)の化合物の種々の化学種および化学亜種は、容易にさらに官能基化および/または合成されて、トランジスタ、太陽電池、発光ダイオード等などの電子素子を作製するための化合物および組成物の調製を含む多くの目的のために有用である、広く多様な公知の、もしくは、新規の下流化合物、オリゴマーまたはポリマーを生成することが可能である。
【0026】
上記において大まかに概要を述べた種々の発明の好ましい実施形態のさらなる詳細な説明が、以下において、下記の詳細な説明の段落に提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、(a)出発2−(5−トリメチルシリル−3−n−ヘキシル−チオフェン−2−イル)−5−ブロモチアゾールと、(b)そのBCHD反応生成物である2−(5−トリメチルシリル−3−n−ヘキシル−チオフェン−2−イル)−4−ブロモチアゾールとのH NMRスペクトル(400MHz,CDCl)の芳香族領域を開示している(Hz(a)に対する2907.23でのシグナル、および、(b)に対する7.27ppmでのシグナルは、残存CHClである)。実施例7を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に開示の種々の発明および/またはこれらの実施形態は、少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環および2つのハロゲンを有する式(I)のヘテロアリール化合物を形成するための新規の方法であって、塩基触媒ハロゲンダンス(BCHD)反応の使用が関与する反応シーケンスを採用して、任意に置換されていてもよいヘテロアリール中間体(インサイチュ)を調製し、次いで、これを酸化的にカップリングして少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環を有するきわめて広く多様なビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を調製する方法に関する。次いで、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の多くが、上記および下記に示されている式(II)の広く多様な縮合三環式化合物、ならびに、これに由来するオリゴマー、ポリマーおよびコポリマーの調製に用いられることが可能である。このような化合物は、トランジスタ、太陽電池、発光ダイオード等などの電子素子の作製するための化学組成物の調製に用いられることが可能である。さらに、これらは、検出、非線形光学素子、光制限等の分野において用途を有することが可能である種々の吸光材料の作製に用いられることが可能である。
【0029】
いずれにせよ、本明細書に記載の本発明の可能性のある多くの実施形態の説明に先立ち、一定の関連している定義が規定されていることが望ましい。
【0030】
定義
組成物が特定の成分を有する、含む(including)、あるいは含む(comprising)と記載されているか、または、プロセスが特定のプロセス工程を有する、含む(including)、あるいは含む(comprising)と記載されている本出願の全体を通して、本教示の組成物はまた、言及されている成分から基本的に構成されているかもしくは、言及されている成分から構成されていることが意図されており、本教示のプロセスはまた、言及されているプロセス工程から基本的に構成されているかもしくは、言及されているプロセス工程から構成されていることが意図されている。
【0031】
要素もしくは成分が言及されている要素もしくは成分の列挙に包含されている、および/または、その列挙から選択されると言われる本出願においては、要素もしくは成分は、言及されている要素もしくは成分のいずれか1つであることが可能であり、かつ、言及されている要素もしくは成分の2つ以上からなる群から個別に選択されていることが可能であると理解されるべきである。
【0032】
加えて、定量値の前に「約」という用語が用いられている場合、本教示はまた、他に明確な記載がない限りにおいて、特定の定量値自体を含む。いくつかの実施形態において、「約」という用語は、記載されている公称値から+−10%の誤差を指している可能性がある。
【0033】
工程の順番、または、一定の行為を実施する順番は、本明細書に開示の方法が実施可能なままである限りにおいては重要ではない可能性があると理解されるべきである。しかも、2つ以上の工程または行為を本明細書に開示の方法が実施可能なままである限りにおいては同時に実施してもよい。
【0034】
本明細書において用いる「ポリマー」または「ポリマー化合物」とは、共有化学結合により結合された1回以上の繰返し単位を複数含む分子(例えば、巨大分子)を指す。ポリマーは、一般式:
【化10】

により表されることが可能であり、式中、Mは、繰返し単位またはモノマーであり、nはポリマー中のMの数である。例えば、nが3である場合、上記に示されているポリマーは:
M−M−M
であると理解される。
【0035】
ポリマーまたはポリマー化合物は、単一種の繰返し単位のみを有すること、ならびに、2種以上の異なる繰返し単位を有することが可能である。前者の場合には、このポリマーはホモポリマーと称されることが可能である。後者の場合には、特にポリマーが化学的に顕著に異なる繰返し単位を含む場合に、「コポリマー」または「コポリマー化合物」という用語が代わりに用いられることが可能である。ポリマーまたはポリマー化合物は、直鎖または分岐鎖であることが可能である。他にそうでないと明記されていない限りにおいて、コポリマーにおける繰返し単位の構築は、頭−尾、頭−頭または尾−尾結合であることが可能である。加えて、他にそうでないと明記されていない限りにおいて、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであることが可能である。
【0036】
本明細書において用いる「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0037】
本明細書において用いる「オキソ」とは、二重結合された酸素(すなわち、=O)を指す。
【0038】
本明細書において用いる「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、−プロピルおよび/イソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基等が挙げられる。種々の実施形態において、アルキル基は、1〜40個の炭素原子(すなわち、C1〜40アルキル基)、または、1〜20個の炭素原子(すなわち、C1〜20アルキル基)を有することが可能である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することが可能であり、「低級アルキル基」と称されることが可能である。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソ−プロピル)、およびブチル基(例えば、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載のとおり置換されていることが可能である。アルキル基は、一般には、他のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されていない。
【0039】
本明細書において用いる「ハロアルキル」とは、1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。種々の実施形態では、ハロアルキル基は、1〜40個の炭素原子(すなわち、C1〜40ハロアルキル基)、例えば、1〜20炭素原子(すなわち、C1〜20ハロアルキル基)を有することが可能である。ハロアルキル基の例としては、CF、C、CHF、CHF、CCl、CHCl、CHCl、CCl等が挙げられる。パーハロアルキル基、すなわち、水素原子のすべてがハロゲン原子で置換されているアルキル基(例えば、CFおよびC)は、「ハロアルキル」の定義に包含される。
【0040】
本明細書において用いる「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソ−プロポキシ)、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ基等が挙げられる。−O−アルキル基中のアルキル基は、本明細書に記載のとおり置換されていることが可能である。
【0041】
本明細書において用いる「シクロアルキル」とは、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環式基を指す。種々の実施形態において、シクロアルキル基は、3〜22個の炭素原子、例えば、3〜20個の炭素原子(例えば、C3〜14シクロアルキル基)を有することが可能である。シクロアルキル基は、単環式(例えば、シクロヘキシル)または多環式(例えば、縮合、架橋および/またはスピロ環系を含む)であることが可能であり、ここで、炭素原子は環系の中もしくは外に位置されている。シクロアルキル基の好適な環位置のいずれかは、定義された化学構造に共有結合的にリンクしていることが可能である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチルおよびスピロ[4.5]デカニル基、ならびに、これらの同族体、異性体等が挙げられる。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、本明細書に記載のとおり置換されていることが可能である。
【0042】
本明細書において用いる「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外のいずれかの要素の原子を指し、例えば、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リンおよびセレニウムを含む。
【0043】
本明細書において用いる「アリール」とは、芳香族単環式炭化水素環系、または、2つ以上の芳香族炭化水素環が一緒に縮合している(すなわち、共通の結合を有する)か、もしくは、少なくとも1つの芳香族単環式炭化水素環が1つ以上のシクロアルキルおよび/もしくはシクロヘテロアルキル環と縮合している多環系を指す。アリール基は、多縮合環を含むことが可能であるその環系中に6〜24個の炭素原子を有することが可能である(例えば、C6〜20アリール基)。いくつかの実施形態において、多環式アリール基は、8〜24個の炭素原子を有することが可能である。アリール基の好適な環位置のいずれかは、定義された化学構造に共有結合的にリンクしていることが可能である。芳香族炭素環のみを有するアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(トリシクロ)、フェナントレニル(トリシクロ)、ペンタセニル(ペンタシクロ)、および同様の基が挙げられる。少なくとも1つの芳香族炭素環が1つ以上のシクロアルキルおよび/またはシクロヘテロアルキル環に縮合している多環系の例としては、とりわけ、シクロペンタンのベンゾ誘導体(すなわち、5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるインダニル基)、シクロヘキサン(すなわち、6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるテトラヒドロナフチル基)、イミダゾリン(すなわち、5,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるベンズイミダゾリニル基)およびピラン(すなわち、6,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるクロメニル基)が挙げられる。
【0044】
本明細書において用いる「ヘテロアリール」とは、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)およびセレニウム(Se)から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する芳香族環系を指す。ヘテロアリール環は、典型的には5員または6員芳香族環を含むが、しかしながら、これは、環系に存在している環の少なくとも1つが芳香族であると共に、少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する多環系が形成されるよう、追加の環に結合していてもよい。多環式ヘテロアリール基としては、一緒に縮合された2つ以上のヘテロアリール環を有するもの、ならびに、1つ以上の芳香族炭素環、非芳香族炭素環および/または非芳香族シクロヘテロアルキル環に縮合している少なくとも1つの単環式ヘテロアリール環を有するものが挙げられる。ヘテロアリール基は、全体として、例えば、5〜24個の環原子を有し、1〜5個の環ヘテロ原子を含有することが可能である(すなわち、5員〜20員ヘテロアリール基)。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子または炭素原子のいずれかで定義されている化学構造に結合して安定構造をもたらしていることが可能である。一般に、ヘテロアリール環は、O−O、S−SまたはS−O結合を含有していない。しかしながら、ヘテロアリール基中の1個以上のNまたはS原子が、酸化されていることが可能である(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例としては、例えば、以下に示されている5員または6員単環式および5〜6員二環系
【化11】

(式中、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)、SiH、SiH(アルキル)、Si(アルキル)、SiH(アリールアルキル)、Si(アリールアルキル)またはSi(アルキル)(アリールアルキル)である)が挙げられる。このようなヘテロアリール環の例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビアゾリル(benzotbiazolyl)、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタルアジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノキサゾリル、チエノイミダゾリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基のさらなる例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロピリジニル基等が挙げられる。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、本明細書に記載のとおり置換されていることが可能である。
【0045】
本明細書において用いる「p−タイプ半導体材料」または「p−タイプ半導体」とは、主たる電流キャリアとして正孔を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態においては、p−タイプ半導体材料で基材を被覆することで、約10−5cm/Vsを超える正孔移動度を達成することが可能である。電界効果素子の場合、p−タイプ半導体はまた、約10を超える、または、好ましくは約10を超える電流on/off比を示すことが可能である。
【0046】
本明細書において用いる「n−タイプ半導体材料」または「n−タイプ半導体」とは、主たる電流キャリアとして電子を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態において、n−タイプ半導体材料で基材を被覆することで、約10−5cm/Vsを超える電子移動度を達成することが可能である。電界効果素子の場合、n−タイプ半導体はまた、約10を超える、または、好ましくは約10を超える電流on/off比を示すことが可能である。
【0047】
本明細書において用いる「溶液処理が可能である」とは、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、平版印刷、大量印刷等)、噴霧コーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティングおよびブレードコーティングを含む種々の溶液相プロセスに用いられることが可能である化合物(例えば、ポリマー)、材料または組成物を指す。
【0048】
ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の合成方法
本明細書に開示の種々の発明および/またはこれらの実施形態は、塩基触媒ハロゲンダンス(BCHD)反応の使用が関与する反応シーケンスを介して、ヘテロアリール環に結合しているハロゲン(特にBrまたはI)、および、典型的には、環に結合している典型金属(LiまたはMgなど)を有する、任意に置換されていてもよいヘテロアリール中間体を調製する、少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環および2つのハロゲンを有するヘテロアリール化合物を形成するための新規の方法に関する。次いで、BCHD反応によって生成される高度に反応性であるメタル化およびハロゲン化ヘテロアリール環が酸化的にカップリングされて、少なくとも2つのカップリングされたヘテロアリール環および2つのハロゲンを有するきわめて広く多様なヘテロアリール化合物が調製される。
【0049】
多くの実施形態において、本発明は、式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物
【化12】

(式中、HArは、任意に置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール環であって、少なくとも1個の環炭素原子および少なくとも1個の環ヘテロ原子を含んでおり、かつ、Halは、特にBrまたはIであるハロゲンである)を合成するための種々の方法に関する。本方法の実施形態の多くにおいて、HArは、追加のアリールもしくはヘテロアリール環を含む追加の有機または無機置換基で任意により置換されていてもよい5員ヘテロアリール環である。種々の実施形態において、HAr環およびその任意の置換基は、一緒になって、1〜50個または2〜40個または3〜30個の炭素原子を含む。
【0050】
式(I)の化合物の合成方法は、少なくとも以下の:
a.HAr環上の第1の位置にHal置換基を有するハロヘテロアリール環を含む、任意に置換されていてもよい前駆体化合物を準備する工程;
b.前駆体化合物を強塩基性化合物で処理して前駆体化合物の異性化を誘起して、Hal原子がHAr環上の異なる位置に結合している中間体化合物を生成させる工程;
c.2種の中間体ハロヘテロアリール化合物の間に炭素−炭素結合が形成されるよう中間体ハロヘテロアリール化合物を酸化剤で処理し、これにより、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程
を含む。
【0051】
任意に置換されていてもよい前駆体化合物は、HAr環の第1の位置にHal置換基(典型的にはBrまたはI)を有するが、追加のハロゲンを含む他の有機または無機環置換基を有しており、かつ、他のアリールもしくはヘテロアリール環をHArヘテロアリール環の他の位置に有していてもよい、少なくとも1つのハロヘテロアリール環を含む。HArのための環置換基の好ましい基としては、顕著にHAr環の電子特性を変え、溶解度もしくは他の物理特性を改変させ、および/または、電子素子において電流キャリアとして用いられる正孔による酸化もしくは電子による還元の後に実質的に化学的に安定であることが可能である、アリールもしくはヘテロアリール環、フッ化物、シアノ、アルキル、アルキニル、アルコキシ、パーフルオロアルキルおよびパーフルオロアルコキシ基が挙げられる。HArのための環置換基はまた、その後の、式(I)もしくは(II)の化合物とのクロスカップリングまたは式(I)もしくは(II)の化合物の重合に有用であると周知である、トリアルキルスズ、トリアルキルシリコン、トリアルコキシシリコンまたはオルガノホウ酸エステル基などの一定の官能基であることが可能である。
【0052】
多くの実施形態において、この合成方法のための前駆体化合物はまた、HAr環の前駆体でもあり、構造
【化13】

(式中、
a.Rはハロゲン、または、任意に置換されていてもよい有機基であり;
b.Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、RはC〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;および
c.Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する。
【0053】
ハロゲンダンス/酸化カップリング反応工程の前または後のいずれかにおいて図面に示されている位置で5員ヘテロアリール環に結合していることが可能である好ましいR有機基は、例えばアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−Sn(R(トリオルガノスズ)、−Si(R(トリオルガノシリル)、Si(OR(トリアルコキシシリル)または−B(−OR21(オルガノホウ酸エステル)基などのC〜C30有機基であることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、かつ、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している。
【0054】
好ましいトリオルガノスズ基としては、特にアリールまたは臭化もしくはヨウ化ヘテロアリールといった有機ハロゲン化物とのパラジウム触媒スティルカップリングおよび/または重合反応における使用について周知である、特にトリブチルスズおよびトリメチルスズ基といったトリアルキルスズ基が挙げられる。好ましいトリオルガノシリル基としては、臭化物およびヨウ化物などのハロゲン化物に容易に転換されることが可能であるか、または、直接的に、ヒヤマカップリングにおいて反応可能である(活性化TMS基の場合)、特にトリメチルシリル(TMS)基またはトリイソプロピルシリル(TIPS)基といったトリアルキルシリル基が挙げられる。好ましいトリアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリルまたはトリエトキシルシリルまたはトリプロポキシシリル基が挙げられる。好ましいオルガノホウ酸エステル基は、Rでアルキル基を含むか、または、ホウ酸ピナコール基(すなわち、特にアリールもしくはヘテロハロゲン化アリールといった他の有機ハロゲン化物とのパラジウム触媒スズキカップリング反応における反応性ついて周知である、以下に示されている構造:
【化14】

を有する4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン基)である。
【0055】
多くの実施形態において、R基は、自身が、任意に置換されていてもよいことが可能であるアリールもしくはヘテロアリール基である。例えば、Rは、ハロゲン、アルキル、アルキニル、シアノ、パーフルオロアルキル、アルコキシド、パーフルオロアルコキシド、−Sn(R、−Si(R、Si(ORまたは−B(−OR21(式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して、酸素原子を架橋する環を形成している)から独立して選択される1〜4つの環置換基によって、任意に置換されていてもよい、C〜C30アリール(本明細書において他の箇所に記載されているとおり、フェニル、ナフチル、ビフェニル等)またはヘテロアリール(本明細書において他の箇所に記載されているとおり、チオフェン、ピロール、チアゾール等)であることが可能である。
【0056】
いくつかの実施形態において、Rは、構造−C≡C−R(式中、Rは、水素、−Si(Rであることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリール、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アリールあるいはヘテロアリールである)を有するものなどの、任意に置換されていてもよいC〜C30アルキニル基であることが可能である。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、R基は、正孔または電子を効率的に伝導可能である下流での「低バンドギャップ」コポリマーの作製に有用であるオリゴマー化合物の調製に関しては、「電子供与体」「コモノマー」として機能することが可能である比較的富電子性の共役π電子系、または、「電子受容体」「コモノマー」として機能することが可能である比較的貧電子性の共役π電子系を有する、任意に置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールであることが可能である。望ましい富電子性R基の非限定的な例としては、以下に示されている種々のヘテロアリール:
【化15】

が挙げられる。
【0058】
はまた、例えば以下に示されている式の1つなどの比較的貧電子性であるヘテロアリール基:
【化16】

であることが可能である。
【0059】
上記のRアリールもしくはヘテロアリール基のための置換基に関連して、11、R12、R14は、特にこれらに限定されないが、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルまたはアルコキシ基などのC〜C30有機基のいずれかであることが可能であり、R13は、特にこれらに限定されないが、Si(R、Si(OR、−B(−OR21あるいはSn(Rを含むC〜C18アルキル、パーフルオロアルキルまたはアルコキシ基などのC〜C30有機基のいずれか、水素、ハロゲンであることが可能である。
【0060】
多くの実施形態において、R基は、以下に示されている貧電子性基などの「末端」アリールもしくはヘテロアリール基:
【化17】

である。
【0061】
追加の関連する実施形態において、式(I)の化合物の合成に用いられる前駆体化合物は、以下に示されている構造:
【化18】

(式中、
a.RおよびHalは、上記のいずれかのように定義されることが可能であり;および
b.Xは、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有することが可能である。いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0062】
追加の関連する実施形態において、式(I)の化合物の合成に用いられる前駆体化合物は、以下に示されているチアゾールまたはイミダゾール誘導体:
【化19】

(式中、
a.RおよびHalは、上記のいずれかのように定義されることが可能であり;および
b.Xは、SまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
であることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0064】
追加の関連する実施形態において、式(I)の化合物の合成に用いられる前駆体化合物は、以下に示されているチアゾール:
【化20】

(式中、
a.RおよびHalは、上記のいずれかのように定義されることが可能である)
であることが可能である。
【0065】
上記に記載されている種々の前駆体化合物の多くを合成するための多くの方法が当業者に公知であるか、または、周知の供給者から市販されていることが認識されるであろう。前駆体化合物のいくつかを合成するための例示的な方法が以下に提供されている。ハロゲンダンス/酸化カップリング反応シーケンスが行われる前にR置換基の1種(−SiR基など)が最初から存在していてもよいが、最初からあるR基(ハロゲンまたは−SiR基など)は、次いで、任意により除去されて、アリールもしくはヘテロアリール、または、SnRもしくはオルガノホウ酸エステル基などの異なるR基で置換されることが可能であることにも注目すべきである。
【0066】
本明細書において記載されていると共に特許請求されている式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の合成方法は、典型的には、反応シーケンスの塩基触媒ハロゲンダンス部分の性能に関連する少なくとも以下の工程を含む。
a.前駆体化合物を強塩基性化合物で処理して前駆体化合物の異性化を誘起して、Hal原子がHAr環上の異なる位置に結合している中間体化合物を生成させる工程
【0067】
「塩基触媒ハロゲンダンス」反応の生起に用いられる強塩基性化合物は、前駆体化合物の環水素の1つを脱プロトン化して、前駆体化合物の環における脱プロトン化炭素上に有機アニオンの反応性等価物を形成するに十分に強塩基性であるいずれかの化合物であることが可能である。実際には、利用される強塩基性化合物は、典型的には、特に有機リチウムまたは有機マグネシウム化合物といった、第I族または第II族金属の有機金属化合物である。多くの実施形態において、利用される強塩基性化合物は、リチウムジアルキルアミド(例えばリチウムジイソプロピルアミドなど)であることが可能である。
【0068】
典型的には、上記に言及されている工程に相当する「塩基触媒ハロゲンダンス」転位反応は、小モル過剰量(例えば、約1.1当量)の強塩基性化合物の前駆体化合物の溶液への添加によって生起される。理論に束縛されることは望まないが、この実施は、典型的には、前駆体化合物の水素原子の脱プロトン化、および異性化に供されて熱力学的にさらに安定した種を形成する、高度に反応性の「インサイチュ」中間体としての前駆体化合物の有機金属(通常はリチウム)塩の形成を同時にもたらすと考えられている。この反応の最中に、存在している塩基もまた、前駆体化合物のハロゲン原子(Hal)の前駆体化合物の環上の熱力学的により安定な位置への移動/異性化の効果を有することが可能であるリチウム−ハロゲン交換反応シーケンスを生起させる。Hal原子がHAr環上の異なる位置に結合している高度に反応性の有機金属中間体化合物をもたらす、この「塩基触媒ハロゲンダンス」反応シーケンスは、概念的に、以下の図:
【化21】

によって例示されることが可能である。
【0069】
本発明の方法においては、転位後の、度々高度に反応性である中間体化合物は、次いで、以下に言及されているとおり、酸化カップリング工程に供される。
a.2つの中間体化合物間に炭素−炭素結合が形成されるよう中間体化合物を酸化剤で処理し、これにより、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程。
【0070】
広く多様な酸化剤を用いて中間体化合物を処理し、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成することが可能である。例えば、塩化チオニルおよび多様な銅(II)塩を採用することが可能である。CuClが、本発明の方法の多くの実施形態において酸化剤として採用される。酸化反応およびビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の形成を例示する概略図が以下に示されている。
【化22】

【0071】
生成物ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物は、抽出、蒸留、結晶化、昇華またはクロマトグラフィを含む技術分野において周知である方法の多くにより容易に精製および単離されることが可能である。
【0072】
以上に記載されていると共に以下に特許請求されている合成方法のいくつかを実施するための一般的な合成手法は以下のとおりである:臭化ヘテロアリールを無水THF中に溶解し、この溶液を、窒素雰囲気下にアセトン/ドライアイス浴中で冷却する。リチウムジイソプロピルアミド(LDA)(1.1当量)を滴下し、BCHD反応の進行をGC/MSおよび/またはH NMRで監視する。BCHD反応が完了した後、CuCl(1.1当量)を一度に添加し、混合物を−78℃で数時間撹拌し、次いで、室温に温める。反応混合物をヘキサンおよび水で希釈し、有機相を除去し、水性相をヘキサンで数回抽出する。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をヘキサンまたは他の好適な溶剤中に溶解させ、この溶液をシリカゲルのプラグを通してろ過する。生成物を、結晶化、昇華、カラムクロマトグラフィー、クーゲルロール蒸留、または、当業者に周知である他の技術の多くによってさらに精製することが可能である。
【0073】
本発明の方法を介して合成可能であるビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の亜種分類の例は、以下に示されている式(Ia):
【化23】

(式中、R、X、Y、およびHalは、上記において既に詳述されている方法のいずれかのように定義されることが可能であるか、または、以下のとおりである:
a.Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b.Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;ならびに
c.Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである;)
を有する。
【0074】
本明細書に記載の式I、Ia、およびこれらの種々の化学亜種において、Halは、F、Cl、BrあるいはIを含むハロゲンであることが可能である。多くの実施形態において、Halは、BrあるいはIであり、または、多くの事例においては、Brである。
【0075】
本発明の方法を介して合成可能であるビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の他の亜種分類の例が以下に示されている。
【化24】

(式中、R、X、YおよびHalは、上記において既に詳述されている方法のいずれかのように定義されることが可能であり、特にHalはBrであるか、または、以下のとおりである:
a.Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b.Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
【0076】
本発明の方法を介して合成可能であるビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の亜種分類の追加の例が以下に示されている。
【化25】

(式中、R、X、Y、およびHalは、上記において既に詳述されている方法のいずれかのように定義されることが可能であるか、または、以下のとおりである:
a.Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b.Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
【0077】
本発明の方法を介して合成可能であるビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の亜種分類のさらなる例が以下に示されている。
【化26】

(式中、R、X、YおよびHalは、上記において既に詳述されている方法のいずれかのように定義されることが可能であるか、または、式中、R、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であり、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
【0078】
上記のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の亜種分類のいずれかについて、いくつかの実施形態においては、Rは、以下に示されている構造を有することが可能であることにも注目すべきである。
【化27】

(式中、mは、1、2、3あるいは4であり、R11、R12、R14は、水素、または、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシあるいはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(RあるいはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して、酸素原子を架橋する環を形成している。)
【0079】
2つのチアゾール環を有すると共に、Rで多様なアリールもしくはヘテロアリール置換基を有する式(I)の化合物を調製するための好適な出発材料は、度々、以下の図に例示されている一般的な合成手法によって調製可能である。
【化28】

【0080】
本発明の方法により合成されたビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の特定の例が以下に示されている表1に示されており、さらなる例が、以下の実施例の段落に提供されている。
【0081】
【表1】

【0082】
縮合三環式化合物の合成方法
上記の合成方法を介した式(I)の広く多様なビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の入手の容易性により、以下に示されている式(II)の広く多様な縮合三環式化合物:
【化29】

(式中、
a.HArは、本明細書中他の箇所に開示されている、任意に置換されていてもよいヘテロアリール環基のいずれかであることが可能であり、および
b.Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rなどの架橋基であり、式中、Rは有機基である)
の合成のための広く多様な出発材料がもたらされる。
【0083】
式(II)の縮合三環式化合物の多くは、さらに
a.任意により、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を有機金属化合物で処理して、金属をHal置換基と交換すると共にビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程、および
b.ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を好適な求電子体と反応させるか、または、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物もしくはビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を求核剤と反応させて、縮合三環式化合物の形成に好適なZ基もしくはその前駆体を導入する工程
により調製されることが可能である。
【0084】
上記方法工程を換言すると、いくつかの実施形態においては、本発明は、構造
【化30】

(式中、
a.HArは、少なくとも1個の環炭素原子および少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、任意に置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール環であり、
b.Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rであり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、パーフルオロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を含む式(II)の縮合三環式化合物を形成する多段方法に関し、
ここで、この方法は、
i)HAr環上の第1の位置にHal置換基を有すると共にHalがハロゲンであるハロヘテロアリール環を含む、任意に置換されていてもよい前駆体化合物を準備する工程、および
ii)前駆体化合物を強塩基性化合物で処理して前駆体化合物の異性化を誘起して、Hal原子がHAr環上の異なる位置に結合している中間体化合物を生成させる工程;および
iii)2つの中間体化合物間に炭素−炭素結合が形成されるよう中間体化合物を酸化剤で処理し、これにより、構造
【化31】

を有するビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程、および
iv)任意により、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を有機金属化合物で処理して、金属をHal置換基と交換すると共にビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を形成する工程、および
(1)ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を好適な求電子体と反応させる工程、または
(2)ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物もしくはビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を求核剤と反応させて、Z基もしくは縮合三環式化合物の形成に好適であるその前駆体を導入する工程
を含む。
【0085】
式(I)の縮合三環式化合物を形成するこのような方法のいくつかの実施形態においては、式(I)のビスハロ−ビスヘテロアリール化合物のハロゲン化位置が、Z基を含む求核性試薬と縮合することが可能である。例えば、実施例10または同様の新規のセレニウム誘導体において以下に詳細を示す、以下の例示的なパラジウム触媒の存在下でのビスハロ−ビスヘテロアリール化合物と求核性アミン化合物との縮合反応を考察する。
【化32】

【0086】
縮合三環式化合物を形成する方法の他の実施形態においては、ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を、先ず、有機金属化合物と反応させてHal置換基に対して金属を置換し、これにより、求核性ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を形成し、次いで、これをZ基の求電子体源と縮合させて、以下に示されている式(IIa)の縮合三環式化合物の亜種を形成する。
【化33】

【0087】
上記の図に示されているとおり、有機金属化合物がビスハロ−ビスヘテロアリール化合物との反応およびその活性化に用いられてビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物が形成され、これが、次いで、好適なZ基供給源と反応させられる。ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の活性化に好適な有機金属化合物としては、有機リチウム化合物(n−ブチルリチウムなど)または有機マグネシウム化合物などの強塩基性および/または求核性有機典型金属化合物が挙げられる。ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物の活性化に他の好適な有機金属化合物としては、種々の遷移金属触媒化合物、特に第VIII、IBまたはIIB族からの後期遷移金属が挙げられる。
【0088】
本方法の実施形態の多くにおいて、Z基の求電子体源は化合物V−R−V’であることが可能であり、ここで、Rは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRあるいはC(Rから選択されると共に、VおよびV’は脱離基であるか、または、VおよびV’は、縮合三環式化合物を形成するビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物との縮合反応に好適な脱離基を一緒になって形成する。多くの実施形態において、Rは、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシド、アリール、ヘテロアリール等から選択される、任意に置換されていてもよい有機基である。Rは、1〜50個の炭素原子または2〜30個の炭素原子を有する。多くの実施形態において、Vおよび/またはV’は、Cl、BrあるいはIなどのハロゲン、または、他の同様のアニオン性脱離基である。
【0089】
Z基を導入するために好適なV−R−V’試薬の特定の例としては、これらに限定されないが、ジメチルカルバモイルクロリド(CO基を導入するため)、ジエチルオキサレート(α−ジカルボニル基を導入するため)、ClSiR(SiR基を導入するため)、SClまたは(PhSOS(SOまたはSO基に酸化されることが可能であるS架橋を導入するため)、RB(OMe)(BR架橋を導入するため);ClPR(ホスフィンオキシドに酸化されることが可能であるPR架橋を導入するため);および(PhSOSe(Se架橋を導入するため)が挙げられる。
【0090】
他の実施形態において、Vおよび/またはV’は、パーフルオロアルコキシドなどの有機脱離基、または、N,N−ジメチル−ピペラジン−2,3−ジオンのN,N−ジメチルエチレンジアミン基などのアミン(これは、以下の図面および実施例16に例示されているとおり、α−ジカルボニル「Z」基の有効な供給源である)であることが可能である。
【化34】

【0091】
概して、本明細書に記載の種々の発明は、以下の反応スキーム図に示されているとおり、きわめて広く多様な縮合三環式化合物を合成する概略的に3工程法に関する。
【化35】

(式中、R、X、YおよびZは、上記本明細書に開示の方法のいずれかのように定義されることが可能である。
【0092】
縮合三環式化合物
上記に開示および記載されているとおり、本発明の方法の種々の実施形態は、広く多様な縮合三環式化合物であって、その多くが電子素子を作製するための半導体材料として用いられることが可能であるか、または、合成中間体として用いられ得、かつ、さらに合成もしくは共重合されて電子素子の作製に有用な他の半導体材料をもたらし得る縮合三環式化合物を形成するための予想外に短く、効率的で、かつ、安価な方法を提供している。
【0093】
本明細書に記載の方法によって形成されることが可能である縮合三環式化合物としては、以下に示されている式(II)の一般構造を有するいくつかが挙げられる。
【化36】

(式中、
a.HArは、上記のいずれかの様式で定義されることが可能であり、ならびに
b.Zは、2つのHAr基を架橋して三環式化合物を形成する有機または無機基である。例えば、Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rであることが可能であり、式中、Rは、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシド、アリール、ヘテロアリール等から選択される、任意に置換されていてもよい有機基である。ZがC(O)またはC(O)C(O)である場合(すなわち、1つ以上のカルボニル基である場合)、対応するケタールもまた以下に開示されているとおり容易に合成可能であり、このようなケタールは以下にも記載されているとおり、HAr基の追加の官能基化を促進させる、きわめて価値のある合成中間体であることが可能であることにも注目すべきである。)
【0094】
縮合三環式化合物の多くの実施形態において、HArは、任意に置換されていてもよい5員複素環である。このような縮合三環式化合物の例は、以下に示されている式(IIa)に示されている一般構造を有することが可能である。
【化37】

(式中、R、X、Y、およびZは、本明細書に開示の方法のいずれかのように定義されることが可能である。)
【0095】
式(IIa)の化合物のこのような実施形態のいくつかにおいて、Rは、水素、ハロゲンまたはC〜C30有機基であることが可能である。このようなR有機基は、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21から選択されることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している。このようなR有機基は、式
【化38】

(式中、R11は、シアノ、アルキル、パーフルオロアルキル、アシル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基から独立して選択される1〜10個のハロゲンで、任意に置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールである。)
を有する有機アシル化合物から選択されることが可能である。
【0096】
式(IIa)の化合物において、
a.Xは、O、S、SeまたはNRであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;および
b.Yは、CH、CRまたはNであることが可能であり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;および
c.Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BR、またはC(Rであることが可能であり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、パーフルオロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である。
【0097】
式(IIa)の化合物のいくつかの好ましい実施形態において、ZはC(O)、C(O)C(O)であり、これにより、式(IIb)もしくは式(IIb)のモノまたはビスケト誘導体、または、以下に示されている式(IId)、(IIe)あるいは(IIf)を有するケタールで保護されたその誘導体(ここで、nは2もしくは3である)がもたらされる。
【化39】

(式中、X、YおよびRは、本明細書における他の箇所において特定されているいずれかの基であることが可能である。)
【0098】
式(IId)、(IIe)または(IIf)を有するケタールで保護された誘導体が、Rでの容易なさらなる官能基化、これに続く、官能基化された親カルボニル化合物を遊離させる脱保護を許容する合成中間体として特に有用である。このようなケタールで保護された化合物の特定の例としては、構造が以下に示されているビス−チオフェンおよびビスチアゾールケタール化合物が挙げられる。
【化40】

【0099】
式(IIa)、(IIb)および(IIc)の化合物のいくつかの化学亜種としては、以下の構造を有するビス−チオフェンが挙げられる。
【化41】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであることが可能であり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであることが可能であるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、Rは、水素または任意によりC〜C18アルキル基であることが可能であり、ならびに、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基であることが可能である。)
【0100】
式(IIa)の化合物の関連する化学亜種としては、以下の構造を有するビス−セレノフェンが挙げられる。
【化42】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであることが可能であり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであることが可能であるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、Rは、水素、もしくは、任意により、C〜C18アルキル基であることが可能であり、ならびに、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基であることが可能である。)
【0101】
式(IIa)の化合物の他の関連する実施形態としては、以下に示されているビスピロールが挙げられる。
【化43】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アルキニル、アリールあるいはヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキル、パーフルオロアルキルあるいはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して、酸素原子を架橋する環を形成しており、Rは、水素、シアノ、または、任意によりC〜C18アルキル基であり、ならびに、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である。いくつかの実施形態において、RはCF基である。)
【0102】
式(IIa)の化合物の他の関連する実施形態としては、以下に示されているビスチアゾールが挙げられる。
【化44】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、酸素原子を架橋する、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、ならびに、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である。)
【0103】
構造:
【化45】

(式中、Rは、水素、ハロゲン、任意に置換されていてもよいC〜C30アリールもしくはヘテロアリール、アルキニル、Si(R、Si(OR、Sn(R、または、B(ORであることが可能であり、式中、各Rは、独立して選択されるC〜C18アルキルもしくはアリールであるか、または、R基は一緒になって環式アルキレンを形成している)
を有するビスチアゾール−ビスカルボニル化合物に対する関心が特に高い。
【0104】
このようなビスチアゾール−ビスカルボニル化合物は、高度に貧電子性である縮合トリシクロ核を有すると共に、電子を伝導することが可能であるポリマーおよび/または組成物の形成に有用であり、従って、電子素子の作製にきわめて有用である。さらに、これらは、吸光材料、非線形光学材料、検出材料および光制限材料として有用である可能性がある。
【0105】
式(IIa)の化合物のさらに他の関連する実施形態としては、以下に示されているビスイミダゾールが挙げられる。
【化46】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(Rあるいは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して、酸素原子を架橋する環を形成しており、ならびに、Rは、アルキル、パーフルオロアルキル、アリールあるいはヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である。)
【0106】
式(IIa)の化合物の多くの実施形態および上記に示されているその数々の化学亜種において、Rは、任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであることが可能である。例えば、Rは、以下に示されている式:
【化47】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルまたはアルコキシ基であり、R13は、水素、ハロゲン、Si(R、Si(ORまたはSn(Rである)
の1つを有する比較的富電子性の基であることが可能である。
【0107】
式(IIa)の縮合三環式化合物の他の実施形態またはその化学亜種において、Rは、例えば以下に示されている式:
【化48】

(式中、mは、1、2、3または4であり、ならびに、RおよびR14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルまたはアルコキシ基であり、ならびに、R13は、水素、ハロゲン、Si(RまたはSn(Rである)
の1つなどの比較的貧電子性であるヘテロアリール基であることが可能である。
【0108】
しかも、式(IIa)の化合物のいくつかの実施形態においては、Rは、構造:
【化49】

を有するものなどの比較的貧電子性である末端アリールもしくはヘテロアリールであることが可能である。
【0109】
実験室において実験的に合成した式(IIa)の特定の化合物の例は、表2に例示されている化合物を含む。
【0110】
【表2A】

【表2B】

【0111】
合成中間体としての式(IIa)の化合物
本発明の方法により入手可能である式(II)または(IIa)の化合物の種々の化学亜種はまた、容易にさらに官能基化および/または合成されて、トランジスタ、太陽電池、発光ダイオード等などの電子素子を形成するための化合物および組成物の調製を含む多くの目的のために有用である、広く多様な公知の、もしくは、新規の下流化合物、オリゴマー、ポリマーあるいはコポリマーを生成することが可能である。
【0112】
例えば、Rがトリオルガノシランである式(IIa)の化合物は、以下の図および表3において示されているとおり、対応するヨウ化物または臭化物に容易に転換されることが可能であることが発見されている。
【化50】

【0113】
【表3】

【0114】
このような縮合トリシクロジハロゲンは、Rハロゲン位で、周知のスティル、ソノガシラまたはスズキカップリング法(共に本明細書において参照により援用されている、Hassan et al.Chem.Rev.,2002,102,1359−1469、およびSonogashira et al.,Tetrahedron Lett.,1975,50,4467−4470を参照のこと)を介して広く多様な他のアリールもしくはヘテロアリール化合物とカップリングして、広く多様なオリゴマーまたは重合性オリゴマー系材料であって、これらの繰り返し単位を含むコポリマーの調製に用いられることが可能である広く多様なオリゴマーまたは重合性オリゴマー系材料をもたらすことが可能である。
【0115】
あるいは、ヒヤマもしくはスティルカップリングに好適であるか、または、他の対応するアリールもしくはヘテロアリール基との重合に好適であるSi(OR)もしくはSnR基を含む縮合三環式化合物は、以下に示されている反応図に示されているとおり調製されることが可能である。
【化51】

【0116】
繰り返し単位として縮合三環式化合物を含むポリマー
本発明のいくつかの態様は、本明細書に開示の縮合三環式化合物の1つ以上をコポリマーのための繰り返し単位として含む新規のポリマーに関する。例えば、本明細書における本発明のいくつかの実施形態は、構造
【化52】

(式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、RはCFである)
を有する繰り返し単位を含むポリマーまたはコポリマーに関する。
【0117】
他の実施形態において、本発明は、構造
【化53】

(式中、R11およびR12は、水素またはC〜C18アルキルである)
を有する繰り返し単位を含むポリマーまたはコポリマーに関する。
【0118】
このようなポリマーまたはコポリマーの多くが、正孔および/または電子を伝導することが可能であると共に溶液処理が可能であり、従って、トランジスタ、太陽電池および/または有機発光ダイオードなどの電子素子の合成において有用である予想外に優れた有機半導体である可能性がある。
【実施例】
【0119】
実施例
上述した種々の発明を以下の特定の実施例によってさらに例示するが、これらは、本発明の開示の範囲または添付の特許請求の範囲に対して限定を定めるものとしては如何様にも解釈されることは意図されていない。反対に、本明細書における記載を読了した後、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、技術分野における当業者に対して自明であり得る種々の他の実施形態、変更、およびこれらの均等物が実施され得ることが明らかに理解される。
【0120】
一般的事項−空気および水分に感受性の中間体および化合物を伴うすべての実験は、標準的なシュレンク技術を用いて不活性雰囲気下で実施した。NMRスペクトルは400MHzで、Bruker AMX 400で記録し、残存プロトン溶剤または内部テトラメチルシラン標準を基準とした。UV−vis吸収スペクトルは、Varian Cary 5E UV−vis−NIR分光測光計で記録した。サイクリックボルタモグラムは、コンピュータ制御式のBAS 100B電気化学分析器で得、計測は、窒素流下で、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸(0.1M)の脱酸素無水CHClまたはTHF溶液中に実施した。グラッシーカーボンを作用電極として用い、Ptワイヤを対電極として用い、かつ、AgClで陽極処理したAgワイヤを擬似参照電極として用いた。電位は、フェロセンを内標準として用いることにより、フェロセニウム/フェロセン(CpFe+/0)対を基準とした。用いた略語としては、一重項(s)、二重項(d)、二重項の二重項(dd)、三重項(t)、二重項の三重項(td)、および分解されていない多重項(m)が挙げられる。質量スペクトル分析器は、Georgia Tech Mass Spectrometry Facility製であった。元素分析器はAtlantic Microlab,Inc.製であった。
【0121】
特に記載のない限り、言及されている試薬および溶剤は、周知の市販元(Milwaukee WisconsinのSigma−AldrichまたはGeel BelgiumのAcros Organicsなど)から購入し、さらなる精製を行わずそのまま用いた。
【0122】
実施例1−3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシラニル−2,2’−ビチオフェン(1a)
【化54】

2−ブロモチオフェン(0.10mol、16.3g)を200mLの無水THF中に溶解し、無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。LDA(ヘキサン−THF中に1.2M、0.10mol、83.3ml)を滴下し、透明な黄−オレンジ色の溶液を1時間撹拌した。クロロトリメチルシラン(1.0当量、0.10mol、10.86g)を滴下し、混合物を1時間撹拌し、2−ブロモ−5−トリメチルシリルチオフェンの透明な形成物をGC/MS分析により確認した。LDA(ヘキサン−THF中に1.2M、1.1当量、0.11mol、91.7ml)を滴下し、0.5時間攪拌した後、高粘度の懸濁液が形成された。BCHD反応の完了をGC/MS分析により確認し、CuCl(1.1当量、0.11mol、14.79g)を一度に添加した。濃い緑色の混合物を室温に一晩かけてゆっくりと温めさせた。ヘキサンおよび水を添加し(銅塩が部分的に析出した)、有機相を注意深く除去した。水性相をヘキサンで数回抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣(油といくらかの緑色の銅塩)をヘキサン中に溶解させた。この溶液をシリカゲルプラグ(流出液としてヘキサン)を通してろ過し、溶剤を茶色がかった溶液から除去し、粗生成物を油として得たところ、これは一晩で部分的に固化した。この粗材料をクーゲルロール蒸留により精製し、生成物を、175〜180℃/1.0〜1.2mm Hgで黄色の油として得た(この油は静置で固化した、19.80g,84.5%収率)。UV−vis(CHCl)λmax,nm226,266。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.20〜7.10(s,2H);0.40〜0.30(s,18H);13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ142.76,136.86,133.78,112.78,−0.52。
【0123】
実施例2−3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシラニル−2,2’−ビセレノフェン(2a)
【化55】

ジイソプロピルアミン(CaHから蒸留した、48.4mmol、4.90g)の無水THF(20ml)中の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、44.0mmol、17.6ml)を滴下した。冷却浴を取り外し、混合物を0.5時間撹拌した。この新たに調製したLDA(1.0M、20.0mmol、20ml)の一部を、2−ブロモセレノフェン(20.0mmol、4.20g)の100mLの無水THF中の無色の溶液に滴下した(アセトン/CO浴)。LDAの添加の最中に、反応混合物は無色から黄色に変色した。反応混合物を0.5時間撹拌し、クロロトリメチルシラン(20.0mmol、2.17g)を滴下した。混合物を20分間撹拌し、2−ブロモ−5−トリメチルシリル−セレノフェンの透明な形成物をGC/MS分析により確認した。LDA(1.0M、24.0mmol、24ml)を滴下し、反応混合物を0.5分間撹拌し、BCHD反応の完了をGC/MS分析により確認した。CuCl(20.0mmol、2.69g)を一度に添加し、得られた混合物を2時間撹拌し、冷却浴を取り外した。濃い黄−茶色がかった反応混合物を約50mLの塩水に注ぎ入れ、約50mLのヘキサンで希釈したところ、銅塩が部分的に析出した。有機相を除去し、水性相をヘキサンで抽出し(3×20ml)、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をヘキサン中に溶解させ、シリカゲルプラグを通してろ過した(流出液として200mLのヘキサン、次いでヘキサン:EtOAc(50:1、200ml))。溶剤を明るい黄色の溶液から除去し、オレンジ色の油をカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として生成物を得た(3.74g、66.6%収率)。C1420BrSeSiに対するHRMS(EI)算出値561.7801;実測値561.7797。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.46(s,2H),0.33(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ145.0,139.5(CH),139.4,113.3,−0.1。C1420BrSeSiに対する分析算出値:C,29.91;H,3.59。実測値:C,30.15;H3.53。
【0124】
実施例3−3,3’5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジ−n−ヘキシル−2,2’−ビチオフェン(3a)
【化56】

ジイソプロピルアミン(CaHから蒸留した、90.0mmol、9.11g)を無水THF(160ml)中に窒素雰囲気下で溶解し、得られた溶液を冷却した(アセトン/ドライアイス浴)。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、82.5mmol、33.0ml)を滴下し、冷却浴を取り外し、混合物を30分間撹拌した。この新たに調製したLDAの溶液を冷却し(アセトン/ドライアイス浴)、2,5−ジブロモ−3−n−ヘキシルチオフェン(75.0mmol、24.46g)を滴下した。明るい黄色の反応混合物を1時間撹拌し、CuCl(82.5mmol、11.09g)を一度に添加した。混合物は黄−オレンジ色から青色になった。反応混合物を室温に一晩かけてゆっくりと温めさせた(冷却浴を取り外さずに)。反応混合物を、水(約70ml)およびヘキサンで処理した(銅塩が析出した)。有機相を除去し、水性相をヘキサンで2回抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を茶色がかった油として得た。粗生成物をヘキサン中に溶解させ、シリカゲルプラグを通してろ過した(流出液として約400mLのヘキサンを用いた)。わずかに黄色がかった溶液を回収し(茶色および緑色の物質がシリカゲルに付着していた)、溶剤を除去し、黄色がかった油を減圧下で乾燥させた。黄色がかった油をひっかくことで固化させ、黄色がかった固体を得た(19.74g、81.0%)。C2026Brに対するHRMS(EI)算出値645.8209;実測値645.8171。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.64(t,J=7.9Hz,2H),1.53(m,2H),1.43−1.20(m,6H),0.88(t,J=6.8Hz,3H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ141.5,128.5,114.6,111.0,31.5,30.3,29.0,28.5,22.6,14.1。C2026Brに対する分析算出値:C,36.95;H,4.03。実測値:C,37.23;H,4.03。
【0125】
実施例4−4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(トリイソプロピルシリル)−5,5’−ビチアゾール(4a)
【化57】

2−トリイソプロピルシリル−5−ブロモチアゾール(6.71mmol、2.15g)を70mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、得られた無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。LDA(ヘキサン−THF中に1.5M、1.1当量、7.38mmol、4.9ml)を滴下したところ、反応混合物は明るい黄色になった。混合物を15分間撹拌し、少量をヘキサン−MeOHで処理し、溶剤を除去し、残渣をH NMRにより分析した。BCHD反応の完了を確認し、CuCl(1.1当量、7.38mmol、0.99g)を一度に添加した。反応混合物は濃い緑色に変色した。2時間攪拌した後、冷却浴を取り外し、混合物を室温に温め、ヘキサン(約70ml)および水で処理したところ、銅塩が析出した。有機相を除去し、水性相をヘキサンで抽出し(3×20ml)、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を茶色がかった固体として得た。この材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl(2:1))。わずかに汚染された材料を含有していた最初の数回分の画分を別に組み合わせ、溶剤を除去し、黄色がかった固体(0.514g)を、約45mLのEtOHからの再結晶によりさらに精製した。オフホワイトの結晶性材料を、減圧ろ過後に得た(0.412g、80.2%回収率)。純粋な材料を伴う画分を別に組み合わせ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、黄色がかった固体(1.24g)を約80mLのEtOHから再結晶させた。オフホワイトの光沢のある固体を減圧ろ過後に得た(1.09g、87.9%回収率)。再結晶前の生成物の全収率は81.8%(1.75g)であり、再結晶後の回収率は85.6%(1.50g)であった。UV−vis(CHCl)λmax:225,314。C2442BrSiに対するHRMS(EI)算出値636.0695;実測値636.0669。H NMR(CDCl,400MHz):δ1.48(septet,6H),1.75(d,J=7.6Hz,36H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ172.5,130.3,125.0,18.4,11.5。C2442BrSiに対する分析算出値;C,45.13;H,6.63;N,4.39。実測値:C,44.86;H,6.53;N,4.36。
【0126】
実施例5−2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジヨード−3,3’−ビピリジン(5a)
【化58】

2−フルオロ−3−ヨードピリジン(7.80mmol、1.74g)を40mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、溶液をアセトン/CO浴中で冷却した。LDA(1.1当量、ヘキサン−THF中に1.2M、8.58mmol、7.15ml)を滴下した。反応混合物は黄色がかった色となり、これを0.5時間攪拌した後、GC/MSにより分析した。完全なBCHD反応を確認し、混合物をさらに0.5時間撹拌し、CuCl(1.1当量、8.58mmol、1.15g)を一度に添加した。黄色の反応混合物は、濃い青色、次いで、赤茶色(1〜2時間以内)、次いで、室温に温めた後に明るい緑色がかった色に変色した。反応混合物をヘキサンおよび水で処理し、有機相を除去し、水性相をヘキサンで抽出した(2×約20ml)。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去して緑色がかった−茶色がかった油を得、これは静置で部分的に固化した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl混合物(2:1、1:1:次いで、1:2))。組み合わせた画分から溶剤を除去し、生成物をオフホワイトの固体として得た(1.04g、60.1%)。UV−vis(CHCl)λmax,nm226,244,268。C10に対するHRMS(EI)算出値443.8432;実測値443.8417。H NMR(CDCl,400MHz):δ8.01(d,J=5.2Hz,2H),7.82(d,J=5.2Hz,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ159.28(d,J(C−F)=242.8Hz,第4級C),148.5(d,J(C−F)=15.62Hz,CH),132.1(d,J(C−F)=4.6Hz,CH),125.0(dd,J(C−F)=33.4Hz,4.1Hz),114.5(d,J(C−F)=1.7Hz)。C10に対する分析算出値:C,27.05;H,0.91;N,6.31。実測値:C,27.52;H,0.84;N,6.19。
【0127】
実施例6−4,4’−ジブロモ−5,5’−ビス(トリメチルシリル)−2,2’−ビチアゾール(6a)
【化59】

2−ブロモチアゾール(40.0mmol、6.56g)を125mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、クロロトリメチルシラン(40.0mmol、4.34g)を添加し、得られた混合物を冷却した(ヘキサン/N浴)。LDA(ヘキサン−THF中に1.2M、40.0mmol、33.3ml)を滴下したところ、無色の溶液が黄色になり、次いで、黄−オレンジ色になった(−90〜80℃の内部温度)。GC/MS分析で、2−ブロモ−5−トリメチルシリルチアゾールの透明な形成物を確認した。第2の同等のLDA(ヘキサン−THF中に1.2M、44.0mmol、36.7ml)を滴下したところ(−85℃の内部温度)、混合物は、5mLのLDAの添加の後に緑色になった。LDAの添加が完了した後、濃い茶色の反応混合物を10分間撹拌し(−85〜80℃の内部温度)、GC/MSにより分析した。GC/MS分析は、主化合物として転位種の存在を示し、CuCl(40.0mmol、5.38g)を一度に添加し、混合物を、冷却浴を取り外さずに室温にゆっくりと温めた。50分間後、反応混合物を分析したところ、生成物が主化合物として検出された。反応混合物を約40mLの水で処理し(銅塩が部分的に析出した)、有機相を分離し、水性相をヘキサンで数回抽出し、濃い茶色の有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗材料を茶−オレンジ色の固体を得た。この粗化合物を加熱下でヘキサン中に溶解させ、濁った溶液をシリカゲルプラグを通してろ過し(ヘキサン、次いでヘキサン:EtO(約10:1))、わずかに不純物を含む化合物をオレンジ色の固体として得た(6.6g、68.0%収率)。この材料をEtOHから再結晶によりさらに精製し、黄色の固体を減圧ろ過後に得た(4.3g、65%回収率)。さらなる量の材料を母液から得ることが可能である。UV−vis(CHCl)λmax(nm)339,347,251。C1218BrSiに対するHRMS(EI)算出値467.8817;実測値467.8834。H NMR(CDCl,400MHz):δ0.45(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ163.2,123.1,132.0,−0.9。C1218BrSiに対する分析算出値:C,30.64;H,3.86;N,5.96。実測値:C,30.85;H,3.77;H,5.69。
【0128】
実施例7−4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(4−n−ヘキシル−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イル)−5,5’−ビチアゾール(7a)
【化60】

オーブン乾燥したSchlenkフラスコ中で、2−ブロモチアゾール(5.0mmol、0.82g)を2−トリメチルシリル−3−n−ヘキシル−5−トリ−n−ブチルスタニルチオフェン(1.05当量、5.25mmol、2.78g)と混合した。Pd(PPh(0.01mol%、0.05mmol、0.058g)およびCuI(0.003mmol、0.025mmol、3.0mg)および10mLの無水DMFを添加し、混合物を154℃(浴温度)に加熱した。混合物はオレンジ色となり、次いで、15分間後に、急に茶色に変色した。TLC分析(流出液としてCHCl)で2−ブロモチアゾールの消費が完了したことを確認し、混合物を室温に冷却した。水を添加し、有機相をヘキサンで抽出した。有機相をKFaqで処理し、シロップ様の有機相をMgSOで乾燥させ、セライトを通してろ過した。溶剤を高粘度の溶液から除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl(2:1);注記:残渣をジクロロメタン中に溶解したところ、いくらかの不溶性の白色の固体(おそらく錫塩)が残留した)。組み合わせた画分から溶剤を除去し、得られた油を減圧下で乾燥させた(1.12g、69.2%収率)。GC/MS:14.99分で323(C1625NSSiに対して算出した正確な質量323.1198)。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.74(d,J=3.3Hz,1H),7.45(s,1H),7.21(d,J=3.3Hz,1H),2.65(m,2H),1.65(m,2H),1.45−1.25(m,6H),1.38(m,3H),0.37(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ161.9(第4級C),151.1(第4級C),143.2(CH),140.3(第4級C),136.3(第4級C),129.5(CH),117.8(CH),31.7(CH),31.8(CH),31.6(CH),31.3(CH),29.3(CH),22.5(CH),14.0(CH),0.1(SiMeのCH)(第4級,CH,CHおよびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。
【0129】
【化61】

LDAを、ジイソプロピルアミン(1.2当量、3.6mmol、0.36g)、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、3.15mmol、1.26ml)および10mLの無水THFから調製した。2−(5−トリメチルシリル−3−n−ヘキシルチオフェン−2−イル)−チアゾール(3.0mmol、0.97g)を、磁気撹拌棒、窒素入口、温度計およびセプタムを備えた三首丸底フラスコ中で20mLの無水THF中に溶解した。無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、新たに調製したLDAを滴下した(−70〜−65℃の内部温度)。明るい紫色の溶液を1時間撹拌し、臭素(1.05当量、3.15mmol、0.50g)を滴下した。灰色の反応混合物は濃色に変色し、次いで、数分以内に黄−オレンジ色となった。混合物を室温に温め、水性Naで処理し、有機相を分離した。水性相をヘキサンで抽出し(3×15ml)、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物をオレンジ色の油として得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl(3:2))。組み合わせた画分から溶剤を除去し、黄色がかった油を減圧下で乾燥させた(0.53g、43.9%収率)。GC/MS:17.08分で401および403(C1624BrNSSiに対して算出した正確な質量401.0303)。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.62(s,1H),7.37(s,1H),2.64(t,J=8.0Hz,2H),1.61(m,2H),1.42−1.28(m,6H),0.91(t,J=6.7Hz,3H),0.36(s,9H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ163.1(第4級C),151.1(第4級C),144.4(CH),139.7(第4級C),137.1(第4級C),129.6(CH),107.3(第4級C−Br),31.7(CH),31.6(CH),31.3(CH),29.3(CH),22.6(CH),14.0(CH),0.1(SiMeのCH)(この材料は、未だ、NMR分析に基づいて約8%の不純物を含んでいた)。
【0130】
【化62】

LDA(2.2当量、0.37M、6ml)をジイソプロピルアミン(2.4mmol、0.24g)、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、2.2mmol、0.9ml)および5mLの無水THF)から調製した。2−(5−トリメチルシリル−3−n−ヘキシル−チオフェン−2−イル)−5−ブロモチアゾール(1.0mmol、0.40g)を20mLの無水THF中に溶解し、黄色がかった溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した(窒素雰囲気)。新たに調製したLDA(THF中に0.37M、1.1当量、3ml)をブロモチアゾール誘導体に滴下したところ、反応混合物は明るい紫色に変色した。反応混合物を20分間撹拌し、直下に記載されている分析のために少量を取り出し、ヘキサン:MeOHで処理した。有機溶剤を分析サンプルから除去し、残渣をGC/MS分析およびH NMRにより分析した。分析サンプルのNMR分析が図1に示されている。
【0131】
BCHD反応の完了を分析サンプルのNMRにより確認し、CuCl(1.1当量、0.148g)を残りの紫色の反応混合物に一度に添加した。5分間攪拌した後、色が黄緑色に変色し、混合物を冷却浴を取り外すことなく室温にゆっくりと温めた。ヘキサンおよび水を添加し、有機相を除去し、水性相をEtOで抽出した(3×15〜20ml)。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去して、濃い黄色の固体として粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(50mLのシリカゲル、ヘキサン:CHCl(3:2)、明るい黄−オレンジ色の固体を得た(0.27g、67.3%)。微量の不純物をTLC分析により検出し、材料をカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した(100mLのシリカゲル、ヘキサン:CHCl(35:15))。組み合わせた画分から溶剤を除去し、生成物を黄−オレンジ色の油として得たところ、これは静置で固化した(0.13g、48%回収率、32%収率)。C3246BrSiに対するHRMS算出値800.0449;実測値800.0420。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.53(s,2H),2.66(t,J=8.0Hz,4H),1.62(m,4H),1.45〜1.30(m,12H) 0.98(t,J=6.9Hz,6H),0.38(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ162.1(第4級C),151.4(第4級C),139.0(第4級C),138.5(第4級C),130.5(CH),127.6(第4級C),1210(第4級C),31.7(CH),31.6(CH),31.3(CH),29.3(CH),22.6(CH),14.1(CH),0.1(CH)(第4級,CH,CHおよびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C3246BrSiに対する元素分析算出値:C,47.87;H,5.77;N,3.49。実測値:C,47.72;H,5.77;N,3.47。
【0132】
実施例9−2,6−ビス−トリメチルシラニル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(1b)
【化63】

3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシラニル−2,2’−ビチオフェン(1a)(25.62mmol、12.00g)を無水THF(100ml)中に窒素雰囲気下で溶解し、無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、2当量、51.24mmol、20.5ml)を添加したところ、無色の反応混合物は、明るい黄色に変色した。15分間攪拌した後、20mLの無水THF中のN,N−ジメチルカルバモイルクロリド(1当量、25.62mmol、2.76g)を滴下し、深い黄色の混合物を温めさせた。混合物を2.5時間撹拌し、水(75ml)中のNHCl(10g)を注意深く添加したところ、濃いオレンジ−茶色の溶液が非常に濃い赤色(ほとんど赤黒い色)になった。濃い赤色の有機相を除去し、水性相をヘキサンで数回抽出し、組み合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物(11.0g)をクーゲルロール蒸留により精製した。明るい赤色の油を190℃/0.25mm Hgで回収したところ、いくらかの茶−オレンジ色の物質が元の蒸留フラスコ中に残留していた。生成物を、明るい赤色の固体として85.8%収率(7.40g)で得た。分析的に純粋な化合物を、カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、微量不純物を除去する流出液としてヘキサン、次いで、生成物用の流出液としてヘキサン:EtOAc(30:1))の後に得た。IR(KBr,cm−1):2955,2896,1702,1466,1420,1355,1248,1168,1020,961,838,753,695,620,556,487。UV−vis(CHCl)λmax(nm)273,282,494。C1520OSSiに対するHRMS(EI)算出値336.0494;実測値336.0490。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.07(s,2H,2つのTh−H),0.32(s,18H,2つのSiMe)。13C{H}NMR(400MHz,CDCl):δ183.1,154.3,144.9,144.1,127.9,−0.3。C1520OSSiに対する分析算出値:C,53.52;H,5.99。実測値:C,53.39;H,6.11。
【0133】
実施例10−2,6−ビス(トリメチルシリル)−4−(3,4,5−トリス(ドデシルオキシ)フェニル)−4H−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(1c)。
【化64】

触媒Pd(dba)(0.125mmol、0.115g、ここで、dbaはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)である)、トリ−ブチルホスフィン(ヘキサン中に10重量%、0.625mmol、1.26ml)および25mLの無水トルエンを窒素雰囲気下で20分間撹拌し(濃い紫色の溶液)、3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシラニル−2,2’−ビチオフェン(1a)(2.5mmol、1.17g)、3,4,5−トリス(ドデシルオキシ)アニリン(2.625mmol、1.695g)およびBuONa(11.5mmol、1.09g)を添加した(窒素雰囲気)。得られた濃い茶−オレンジ色の混合物を0.5時間還流し、TLCにより分析し(流出液としてヘキサン)、出発ジブロミド1aの消費を確認し、新たなさらに極性の生成物を検出した。反応混合物を室温に冷却し、約15mLの水で処理した。茶色の有機相を分離し、水性相をヘキサンで抽出した(2×約15ml)。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン、次いで、ヘキサン:CHCl(2:1))。組み合わせた画分をロータリー蒸発に供し、残渣を減圧下で乾燥させた。生成物をきわめて高粘度の黄色がかった油として得た(52.9%収率)。UV−vis(CHCl)λmax(nm)266,315,329。C5697NOSiに対するMS(MALDI)算出値951.6448;実測値951.6。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.21(s,2H),6.78(s,2H),4.02(m,6H),1.84(m,6H),1.51(m,6H),1.45−1.15(m,48H),0.90(m,6H),0.37(s,18H);13C{H}NMR(400MHz,CDCl):δ153.7(第4級C),147.0(第4級C),139.3(第4級C),136.5(第4級C),135.4(第4級C),121.6(第4級C),117.9(CH),102.2(CH),73.7(CH),69.3(CH),31.9(4)(CH),31.9(2)(CH),30.4(CH),29.8(CH),29.8(CH),29.7(CH),29.7(CH),29.4(CH),29.4(CH),29.3(CH),26.2(CH),26.1(CH),22.7(CH),14.1(CH),−0.1(CH)(割り当てはDEPT実験に基づいて行った;おそらくは重複のためにアルキル鎖中の数個のCH炭素が見当たらない)。C5697NOSiに対する分析算出値:C,70.60;H,10.26;N,1.47。実測値:C,70.59;H,10.52;N,1.55。
【0134】
実施例11−2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(1d)
【化65】

3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェン(1a)(60.0mmol、28.11g)を無水THF(240mL)中に溶解し、溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.87M、2当量、120.0mmol、41.8mL(注意!20mL未満の体積で数回に分けて添加した)を滴下した。黄−オレンジ色の溶液を0.5時間撹拌し、次いで、カニューレを介して、ジエチルオキサレート(1.3当量、78.0mmol、11.40g)の200mLの無水THF中の溶液に移した(アセトン/ドライアイス浴中で冷却した)。ジエチルオキサレートへのジリチウム化された種の添加が完了した後、オレンジ−赤色がかった混合物を45分間撹拌し、カニューレを介して水性NHClの溶液中に移した。濃い赤色の有機相を分離し、水性相をヘキサンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を約500mLのエタノールと共に還流に加熱し、室温に冷却し、濃い赤色の針を減圧ろ過により分離した(16.3g、76.7%収率)。母液をロータリー蒸発に供し、残渣をエタノールから再結晶させてさらなる量の生成物を得た(0.7g、全収率17.0g、79.9%)。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.60(s,2H),0.36(s,18H,6CH);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ175.2(第4級C),148.3(第4級C),142.5(第4級C),135.8(第4級C),134.4(CH),−0.44(CH)。C1620Siに対するHRMS(EI)算出値364.0443;実測値364.0469。C1620Siに対する分析算出値:C,52.70;H,5.53。実測値:C,52.70;H,5.36。
【0135】
あるいは、この化合物をジエチルオキサレートの代わりにN,N−ジメチル−ピペラジン−2,3−ジオンを用いて調製した。3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシラニル−2,2’−ビチオフェン(6.5mmol、3.045g)を無水THF(100ml)中に溶解し、無色の溶液をアセトン/CO浴中で冷却し、n−BuLi(ヘキサン中に2.5M、13.0mmol、5.2ml)を滴下した。明るい黄色の溶液を25分間撹拌し、N,N−ジメチル−ピペラジン−2,3−ジオン(6.5mmol、0.924g)を一度に添加した。フラスコを氷水浴中に入れ、混合物を17時間撹拌した。オレンジ−黄色の混合物を水性NHClで処理し、濃い赤色の有機相を分離した。水性相をEtO(2×15ml)で抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(250mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl:EtOAc(200:100:3次いで、200:100:6))。組み合わせた画分をロータリー蒸発に供し、材料を赤色の小さい針として得た(0.98g、41.4%収率)。この材料を約40mLのEtOHから再結晶させ、濃い赤色の針を減圧ろ過により回収した(0.94g、95.9%回収率)。
【0136】
実施例12−2,6−ビス(トリメチルシリル)−4−(3,4,5−トリス(ドデシルオキシ)フェニル)−4H−ジセレノフェノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(2b)
【化66】

触媒Pd(dba)(0.319mmol、0.292mg)、トリ−ブチルホスフィン(ヘキサン中に10重量%、1.60mmol、3.23ml)および75mLの無水トルエンを窒素雰囲気下で20分間撹拌し(紫色の溶液)、5,5’−トリメチルシリル−3,3’−ジブロモ−2,2’−ビセレノフェン(2a)(6.386mmol、3.59g)、3,4,5−トリス(ドデシルオキシ)アニリン(6.70mmol、4.33g)およびBuONa(29.38mmol、2.79g)を添加した。得られた濃い茶−オレンジ色の混合物を1時間還流し、TLCにより分析し(流出液としてヘキサン)、ジブロミド2aの消費を確認した。茶色の混合物を室温に冷却し、水(約20ml)で処理し、茶色の有機相を除去した。水性相をヘキサンで抽出し(2×20ml)、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を茶色の油として得た。この材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(550mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン(700ml)、次いで、ヘキサン:CHCl(2:1))。溶剤をロータリー蒸発により除去し、精製した材料を黄色の油として得た(これは、典型的には、冷蔵庫中での保管の最中に静置させると固化する)。C5697NOSeSiに対するMS(MALDI)算出値1047.5337,実測値1047.54。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.49(s,2H),6.73(s,2H),4.05(t,J=6.6Hz,2H),3.99(t,J=6.5Hz,4H),1.84(m,6H),1.49(m,6H),1.28(m,48H),0.89(m,9H),0.35(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ153.6,147.6,145.3,136.9,135.3,122.7,121.2,103.27,73.6,69.3,32.0,31.9,31.6,30.4,29.8,29.7,29.7,29.4,29.4,29.3,26.2,26.1,22.68,22.7,14.1,0.3(重複によりアルキル基の数個のCHシグナルが見当たらない)。C5697NOSeSiに対する分析算出値:C,64.27;H,9.34;N,1.34。実測値:C,64.38;H,9.30;N,1.37。
【0137】
実施例13−2,6−ビス−トリメチルシラニル−3,5−ジ−n−ヘキシル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(3b)
【化67】

3,3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジ−n−ヘキシル−2,2’−ビチオフェン(23.0mmol、14.95g)(3b)を200mLの無水THF中に溶解し、溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、46.0mmol、18.4ml)を滴下した(−70〜65℃)。n−BuLiの添加の最中に、明るい黄色がかった反応混合物はより濃い色に変色したが(黄−オレンジ色)、未だ約1.5mLのn−ブチルリチウムがシリンジ中に残っている時に、混合物はより明るい黄色になった。反応混合物を0.5時間撹拌し、クロロトリメチルシラン(46.0mmol、5.00g)を滴下し(発熱反応)、20分撹拌し、GC/MSにより分析した。3,3’−ジブロモ−4,4’−ジヘキシル−5,5’−ビス−トリメチルシリル−2,2’−ビチオフェンの完全な形成を確認し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、46.0mmol、18.4ml)を滴下した(−70〜−68℃の内部温度)。反応混合物を5分間攪拌した後にGC/MSにより分析し、完全なリチウム化を確認した。10mLの無水THF中のN,N−ジメチルカルバモイルクロリド(23.0mmol、2.47g)を滴下したところ、混合物は、より濃い黄色に変色した。反応フラスコを冷却浴から部分的に取り出し、混合物を−40〜30℃に温めた。40分間攪拌した後、混合物をTLCにより分析し(ヘキサン:EtOAc(20:1)、生成物を主材料として検出した。GC/MS分析は、3種:脱臭素化材料(A、17.4%)、所望の生成物(3b、44.7%)および非脱離中間体(B、37.9%)の存在を示した。
【化68】

【0138】
混合物を1.5時間撹拌し、NHCl(50mLの水の中に12g)で処理し(約−30℃の内部温度)、室温に温め、濃い赤色の有機相を分離した。水性相をヘキサンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を高粘度の赤色の油として得た。この材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン)。純粋な材料を伴う画分を組み合わせ、溶剤を除去し、生成物を減圧下で乾燥させた(3.72g)。わずかに汚染された材料を伴う画分を別に組み合わせ、カラムクロマトグラフィーによりさらに精製して濃い赤色の油を得たところ、これは静置で固化した(2.73g)。純粋な材料の全収率は6.45gであった(55.6%収率)。UV−vis(CHCl)λmax:278,287,499。C2744OSSiに対するHRMS(EI)算出値504.2370;実測値504.2362。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.63(m,4H),1.55(m,4H),1.40−1.25(m,12H),0.87(t,J=6.8Hz,6H),0.31(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ184.5,153.1,147.4,143.5,137.1,31.7,31.1,29.7,29.3,22.7,14.1,0.4。C2744OSSiに対する分析算出値:C,64.22;H,8.78。実測値:C,64.22;H,8.94。
【0139】
実施例14−2,7−ビス−トリメチルシリル−2,6−ジ−n−ヘキシル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(1d)
【化69】

3,3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ジ−n−ヘキシル−2,2’−ビチオフェン(3.076mmol、2.00g)(3b)を60mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、6.15mmol、2.5ml)を黄色がかった溶液に滴下し、反応混合物を15分間撹拌し、クロロトリメチルシラン(6.15mmol、0.67g)を滴下した。混合物を15分間撹拌し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、6.15mmol、2.5ml)を滴下した。反応混合物を0.5時間撹拌し、黄色の溶液を、カニューレを介して、アセトン/ドライアイス浴中で冷却したジエチルオキサレート(4.24mmol、0.62g)の60mLのTHF中の溶液に移した。濃い黄−茶色の反応混合物を0.5時間撹拌し、カニューレを介してNHClの水溶液(50mLの水の中に13g)に移した。濃い赤色の有機相を分離し、有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去して、赤色の高粘度の油として粗生成物を得た。この材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(250mLのシリカゲル、カラムを充填するためにヘキサン:CHCl(3:2)、副産物を溶出するためにヘキサン、次いで、生成物を溶出するためにヘキサン:CHCl(3:2))。組み合わせた画分(赤色)から溶剤を除去して、濃い赤色の油を得、これを減圧下で乾燥させた(油は静置で固化した、0.56g、34.1%)。C2844Siに対するHRMS(EI)算出値532.2321;実測値532.2325。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.89(低分解度のt,4H),1.47(m,8H),1.33(m,8H),0.90(低分解度のt,6H),0.39(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ175.8(第4級C(O),154.0(第4級C),149.1(第4級C),135.0(第4級C),133.3(第4級C),31.6(CH),30.9(CH),30.8(CH),29.8(CH),22.7(CH),14.1(CH),0.2(CH)(炭素シグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C2844Siに対する分析算出値:C,63.10;H,8.32。実測値:C,62.89;H,8.40。
【0140】
実施例15−2,6−ビス−トリメチルシラニル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチアゾール−4−オン(4b)。
【化70】

4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(トリイソプロピルシリル)−5,5’−ビチアゾール(4a)(2.0mmol、1.277g)を80mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、得られた無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、4.0mmol、1.6ml)を滴下した。黄色の溶液を20分間撹拌し、1mLの無水THF中のN,N−ジメチルカルバモイルクロリド(2.0mmol、0.215g)を滴下した。反応フラスコを冷却浴から部分的に取り出し、黄−オレンジ色の混合物を1時間撹拌し、水性NHClで処理した。赤色の有機相を除去し、水性相をヘキサンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、赤色の残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。組み合わせた画分から溶剤を除去し、赤色の固体を得た(0.392g、38.8%収率)。UV−vis(CHCl)λmax:267,309,492。C2542OSSiに対するHRMS(EI)算出値506.2277;実測値506.2239。H NMR(CDCl,400MHz):δ1.46(septet,J=7.4Hz,6H),1.15(d,J=7.5Hz,36H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ179.0,174.0,158.2,145.3,18.4,11.6。C2542OSSiに対する分析算出値:C,59.23;H,8.35;N,5.53。実測値:C,59.43;H,8.44;N,5.55。
【0141】
実施例16−2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチアゾール−4,5−ジオン(4c)
【化71】

4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(トリイソプロピルシリル)−5,5’−ビチアゾール(4a)(1.5mmol、0.958g)を75mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、無色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、3.0mmol)を滴下したところ、混合物は明るい黄色になった。N,N−ジメチル−ピペラジン−2,3−ジオン(1.5mmol、0.213g)を一度に添加し、懸濁液の入ったフラスコを氷水浴に入れた。混合物を一晩撹拌し、オレンジ−赤色がかった溶液をNHClで処理した。混合物は、きわめて濃い色、次いで、オレンジ−赤色に変色した。有機相を分離し、水性相をヘキサンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl(2:1、1:1))。生成物を伴う最初の2回の画分を別に保持して、純粋な(TLCによる)材料を得た(数mg)。わずかに汚染された材料を伴う画分を別に組み合わせ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、生成物をオレンジ−赤色の固体として得た(0.21g、26.1%収率)。C2642Siに対するHRMS(EI)算出値534.2226;実測値534.2241。H NMR(CDCl,400MHz):δ1.51(septet,J=7.5Hz,6H),1.18(d,J=7.5Hz,36H);13C NMR(CDCl,100MHz):δ174.0,172.4,149.8,140.6,18.4,11.6。C2642Siに対する分析算出値:C,58.38;H,7.91;N,5.24。実測値:C,58.51;H,7.98;N,5.16。
【0142】
実施例17−2,6−ジ−ヨード−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン
【化72】

2,6−ビス−トリメチルシラニル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(3.00mmol、1.01g)を20mLのCCl中に溶解し、きわめて濃い赤色の溶液を氷水浴中で冷却し、10mLのCHCl中の一塩化ヨウ素(2.02当量、6.06mmol、0.98g)を滴下した。混合物は濃い紫色に変色した。冷却浴を取り外し、混合物を1時間撹拌したところ、析出が観察された。水(50ml)およびNaの結晶数個を添加し、底層を分離し、紫色の溶液をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣を加熱下でトルエン−ヘキサン混合物中に溶解した。溶液を氷水浴中で冷却し、生成物を、いくらかの光沢のある紫色の固体として単離した(0.65g、48.9%収率)。MgSOを伴うフィルタを完全にCHClで洗浄し、紫色の溶液を水性Naで洗浄し、溶剤をロータリー蒸発により除去した。残渣を約30mLのEtOAcと共に加熱し、きわめて濃い色の溶液を室温に、次いで、氷水浴で冷却した。さらなる量の紫色の固体を得た(0.35g)。生成物の総量は75.2%(1.00g)である。COSに対するHRMS算出値443.7636;実測値443.7644。UV−vis(THF)λmax:207,284,518(弱い)。H NMR(THF−d8,400MHz):δ7.20(s,2H);13C{H}NMR(THF−d8,100MHz):δ179.7,154.5,142.7,131.2,77.7。COSに対する分析算出値:C,24.34;H,0.45。実測値:C,24.74;H,0.43。
【0143】
実施例18−2,7−ジブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化73】

2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(4.0mmol、1.459g)をジクロロメタン(40ml)中に溶解し、臭素(2.2当量、8.8mmol、1.41g)を赤−黒色の溶液に滴下した。反応混合物は紫−黒色になった。反応混合物をTLC(流出液としてCHCl)により分析したところ、新たな生成物および微量不純物を検出した。さらなる量の臭素(0.33g)を添加し、混合物を0.5時間撹拌し、10mLの水性Naで処理した。有機溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を減圧ろ過により分離した(1.95g、128%粗収率、わずかに濡れている)。この粗材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(300mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。組み合わせた画分3−12から溶剤を除去し、黒色の光沢のある微結晶性材料を得た(0.90g、59.5%収率)。ひどく染色されたカラムをクロロホルムで流出し、組み合わせた画分から溶剤を除去し、さらなる量の黒色の微結晶性固体を得た(0.52g、34.4%収率)。C10Brに対するHRMS(EI)算出値375.7863;実測値375.7869。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.47(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ172.5(第4級C),143.6(第4級C),135.4(第4級C),130.1(CH),114.7(第4級C−Br)(第4級およびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C10Brに対する分析算出値:C,31.77;H,0.53。実測値:C,32.06;H,0.40。
【0144】
実施例19−2,7−ジブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化74】

2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(2.58mmol、0.94g)を25mLのCHCl中に溶解し、10mLのCHCl中の一塩化ヨウ素(2.1当量、5.41mmol、0.88g)を濃い赤色の溶液に滴下した。反応混合物は紫色に変色し、析出が観察された。混合物を室温で約2時間撹拌し、ヘキサン(約30ml)で処理し、茶−黒色の固体を減圧ろ過により分離した(1.21g、99.3%粗収率)。この材料を、材料に適用する熱いCHCl、次いで、生成物を溶出するCHCl:EtOAc(150:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な化合物を含む画分を別に組み合わせ、黒色の光沢のある固体を溶剤を除去した後に得た(0.70g)。わずかに汚染された材料を伴う画分を別に組み合わせ、黒色の光沢のある固体を溶剤を除去した後に得た(0.466g)。H NMR(THF−d8,400MHz):δ7.64(s,2H);13C{H}NMR(THF−d8,100MHz):δ172.6(第4級C),147.0(第4級C),138.4(第4級C),137.4(CH),77.2(第4級C−I)(第4級およびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C10Sに対するHRMS(EI)算出値471.7586;実測値471.7608。C10に対する分析算出値:C,25.44;H,0.43。実測値:C,23.91;H,0.54(TGAおよびNMR分析でCHClの存在を確認し、この元素分析は、二ヨウ化物およびクロロホルムの1:1比を有する材料と一致している)。また、材料をトルエンから再結晶させてクロロホルムについて観察された潜在的な溶剤との共結晶化を回避したが、サンプルのNMRおよびTGA分析は、サンプル中にトルエンの存在を示した(TGA基準で3.7%)。
【0145】
実施例20−3,6−ジ−n−ヘキシル−2,7−ジブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化75】

3,6−ジ−n−ヘキシル−2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(0.70mmol、0.37g)をジクロロメタン(20ml)中に溶解し、臭素(2.2当量、1.54mmol、0.25g)を赤−紫色の溶液に滴下した。濃い紫色の混合物を0.5時間撹拌し、水性Naを添加した。有機相を除去し、MgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発より部分的に除去した。紫色の溶液をカラムクロマトグラフィにかけ(250mLのシリカゲル、カラムを充填するためのヘキサン:CHCl(1:1)、副産物を流出するためのヘキサン、次いで、生成物を流出するためのヘキサン:CHCl(1:1))。わずかに汚染された生成物を含む数回分の画分を2−PrOHからの再結晶によりさらに精製し、材料を紫色の固体として得た(0.163g)。純粋な材料を伴う画分をロータリー蒸発に供し、残渣を2−PrOHから再結晶させて紫色の固体を得た(0.078g)。生成物の全収率は63.2%(0.242g)である。C2226Brに対するHRMS(EI)算出値543.9741;実測値543.9722。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.88(t,J=7.6Hz,4H),1.51(m,4H),1.38(m,4H),1.32(m,8H),0.91(t,J=6.9Hz,6H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ173.5(第4級C),145.5(第4級C),144.1(第4級C),131.8(CH),111.7(第4級C−Br),31.5(CH),29.1(CH),28.7(CH),28.5(CH),22.6(CH),14.1(CH)(炭素シグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C2226Brに対する分析算出値:C,48.36;H,4.80。実測値:C,48.46;H,4.81。
【0146】
実施例21 3,6−ジ−n−ヘキシル−2,7−ジ−ヨード−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化76】

3,6−ジ−n−ヘキシル−2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(0.20mmol、0.107g)をジクロロメタン(10ml)中に溶解し、一塩化ヨウ素(2.1当量、0.42mmol、0.068g)を濃い赤−紫色の溶液に滴下した。紫色の混合物を20分間撹拌し、水性Naを添加した。紫色の有機相を除去し、MgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(30mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl(2:1))。組み合わせた画分をロータリー蒸発に供し、残渣を2−PrOH(約10ml)から精製した。材料を紫色の固体として55.9%収率(0.0716mg)で得た。C2226に対するHRMS(EI)算出値639.9464;実測値639.9468。H NMR(CDCl,400MHz):δ2.86(t,J=7.4Hz,4H),1.44(m,8H),1.23(m,8H),0.92(t,J=7.0Hz,6H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ173.1(第4級C),145.5(第4級C),148.8(第4級C),131.3(CH),78.0(第4級C−I),31.5(CH),31.2(CH),29.2(CH),28.9(CH),22.6(CH),14.10(CH)(炭素シグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C2226に対する分析算出値:C,41.26;H,4.09。実測値:C,41.44;H,4.06。
【0147】
実施例22−2,6−ジブロモ−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オンの調製
【化77】

2,6−ビス−トリメチルシリル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(3.0mmol、1.01g)を20mLのジクロロメタン中に溶解し、氷水浴中で冷却し、臭素(2.1当量、6.3mmol、1.01g)の10mLのジクロロメタン中の溶液を濃い赤色の溶液に添加した。反応混合物は紫色に変色し、これを、約0.5時間攪拌した後に室温に温めさせた。Naの水溶液を添加し、有機溶剤をロータリー蒸発により除去した。濃い紫色の固体をろ出し、エタノールで洗浄し、乾燥させた。粗生成物を91.5%収率(0.96g)で得た。この材料をカラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてCHCl;材料を沸騰しているクロロホルム中に溶解してカラムに適用した)。純粋な材料を伴う画分を組み合わせ、溶剤を除去し、生成物2,6−ジブロモ−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オンを濃い紫色の固体として得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.00(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ180.5(第4級C(O)),148.7(第4級C),139.5(第4級C),124.4(CH),113.97(第4級C−Br)(第4級CおよびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。CBrOSに対する分析算出値:C,30.88;H,0.58。実測値:C,30.87;H,0.47。
【0148】
0VのCpFe内標準、走査速度50mV・s−1)を用いた、THF中に0.1MのBuNPF中の2,6−ジブロモ−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オンのサイクリックボルタモグラムで、E1/20/1−=−1.52Vで可逆的な還元を得た。CHCl中に0.1MのBuNPFにおいては、0VのCpFe内標準、走査速度50mV・s−1)を用いて、E1/20/1+=+1.05Vで半可逆的な酸化を観察し、また、E1/20/1−=−1.48Vの可逆的な還元を観察した。
【0149】
実施例23−2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンの調製のための向上した手法
2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンの調製のための収量および精製手法を、わずかに過剰量のジエチルオキサレート(1.3当量)を用いることにより向上した。この変更により、再結晶による生成物の粗混合物からの単離が簡素化され、また、76〜80%以下に収率が向上する。
【0150】
【化78】

3,3’−ジブロモ−5,5’−ビス−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェン(1a)(60.0mmol、28.11g)を無水THF(240mL)中に溶解し、溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.87M、2当量、120.0mmol、41.8mL(注意!20mL未満の体積で数回に分けて添加した)を滴下した。黄−オレンジ色の溶液を0.5時間撹拌し、次いで、カニューレを介して、ジエチルオキサレート(1.3当量、78.0mmol、11.40g)の200mLの無水THF中の溶液に移した(アセトン/ドライアイス浴中で冷却した)。ジエチルオキサレートへのジリチウム化された種の添加が完了した後、オレンジ−赤色がかった混合物を45分間撹拌し、カニューレを介して水性NHClの溶液中に移した。濃い赤色の有機相を分離し、水性相をヘキサンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。溶剤をロータリー蒸発により除去し、粗生成物を約500mLのエタノールと共に還流に加熱し、室温に冷却し、濃い赤色の針を減圧ろ過により分離した(16.3g、76.7%収率)。母液をロータリー蒸発に供し、残渣をエタノールから再結晶させてさらなる量の生成物を得た(0.7g、全収率17.0g、79.9%)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.60(s,2H),0.36(s,18H,6CH);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ175.2(第4級C),148.3(第4級C),142.5(第4級C),135.8(第4級C),134.4(CH),−0.44(CH)。C1620Siに対するHRMS(EI)算出値364.0443;実測値364.0469。C1620Siに対する分析算出値:C,52.70;H,5.53。実測値:C,52.70;H,5.36。
【0151】
実施例24 2,7−ジクロロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化79】

2,7−ビス−トリメチルシリル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(4.0mmol、1.42g)をN−クロロスクシンイミド(2.2当量、8.8mmol、1.18g)と混合し、50mLのアセトニトリルを添加した。濃い赤色の混合物を還流に一晩加熱し、TLCにより分析した。出発材料のみが検出され、HClO(0.05mL、69−72%)を添加し、続いて、N−クロロスクシンイミド(2.2当量、8.8mmol、1.18g)および10mLのCHClを添加した。2つの新たなさらに極性の赤色の点をTLCにより検出し(脱シリルプロトン化の生成物の可能性がある)、得られた混合物を一晩還流した。反応混合物を室温に冷却し、Naの水溶液で処理し、有機溶剤をロータリー蒸発により除去した。有機物をジクロロメタンで抽出し、紫色の有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去した。ほとんど黒色の微結晶性化合物を1.24g、107%粗収率で得た(溶剤との結晶化の可能性がある)。
【0152】
この粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mLのシリカゲル、流出液としてクロロホルム)。純粋な生成物を含む画分を組み合わせ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、きわめて濃色の結晶性の化合物を得た(0.59g、45.6%収率)。この材料を還流下でトルエン(約40mL)中に溶解し(紫色の溶液)、室温に冷却させた。きわめて濃い紫色の長い針を減圧ろ過により得た(2,7−ジクロロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン、0.39g、66.1%回収率)。微量不純物を伴って生成物を含有する最初の2回の画分を別に組み合わせ、溶剤を除去し、残渣を、ジクロロメタンを添加しながら沸騰している2−プロパノール中に溶解し、紫色の溶液を室温に冷却させた。長い針/ブレードを減圧ろ過により分離した(0.063g)。両方の再結晶化からの濾液を別に組み合わせ、溶剤を除去し、残渣を沸騰しているトルエン中に溶解し、冷却させて結晶を成長させた。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.31(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ172.6(第4級C(O)),141.0(第4級C),134.5(第4級C),132.2(第4級C),126.2(CH)。C10Clに対するHRMS(EI)算出値287.8873;実測値287.8876。C10Clに対する分析算出値:C,41.54;H,0.70。実測値:C,41.54;H,0.67。
【0153】
2,7−ジクロロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンのサイクリックボルタモグラム(THF中に0.1MのBuNPF、0VのCpFe内標準、走査速度50mV・s−1)を記録した:E1/20/1−=−0.88V(可逆的)、E1/21−/2−=−1.68V(可逆的)。
【0154】
実施例25−[000163]2,7−ジ−ブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)
【化80】

2,7−ジブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(18.0mmol、6.81g)、エチレングリコール(20mL)および100mLのベンゼンを、磁気攪拌棒、ディーンスタークトラップおよび凝縮器を備えた丸底フラスコ中で一緒に混合した。触媒量(数個の結晶)のp−TSAを添加し、混合物を還流に加熱した。さらなる量のエチレングリコール(40mL)を数時間後に添加し、出発材料が完全に消費されるまで混合物を4日間還流した。緑色がかった析出物を伴う反応混合物を室温に冷却し、ロータリー蒸発に供し(多くは除去されなかった)、水で処理し、緑色がかった固体を減圧ろ過により分離した(6.50g、77.5%粗収率)。濾液中の有機物をジクロロメタンで抽出し、緑色がかった固体と組み合わせ、カラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてCHCl:ヘキサン(2:1))。わずかに汚染された生成物を含む最初の画分を組み合わせ、溶剤を除去し、残渣を約250mLの2−プロパノールと共に加熱し、室温に冷却し、真空ろ過した(4.40g、かすかに黄色がかった固体)。その後の画分を別に保持し、溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣を約150mLの2−プロパノールと共に加熱してオフホワイトの固体を得た(2,7−ジ−ブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)、1.21g、合計収率5.61g、85%回収率)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.15(s,2H),4.16(m,4H),3.70(m,4H);13C{H}NMR(400MHz,CDCl):δ135.9(第4級C),133.5(第4級C),128.1(CH),111.5(第4級C),92.8(第4級C),61.6(CH)。C1410Brに対する分析算出値C,36.07;H,2.16。実測値:C,36.35;H,2.02。
【0155】
実施例26−2,7−ジフルオロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化81】

2,7−ジ−ブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)(2.5mmol、1.165g)を75mLの無水THF中に溶解し(窒素雰囲気)、得られた黄色がかった溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.87M、5.0mmol、1.75mL)を滴下したところ、黄色がかった溶液はほとんど無色の懸濁液となり、これは数分間攪拌した後に明るいピンク色となった。反応混合物を15分間撹拌し、N−フルオロベンゼンスルホンイミド(2.1当量、5.25mmol、1.66g)の25mLの無水THF中の溶液を滴下した。反応混合物はオレンジ色の溶液となった。10分間攪拌した後、さらなる量のN−フルオロベンゼンスルホンイミド(0.16g)を添加し、反応混合物を室温に温めさせ、次いで、水で処理した。有機相を分離し、水性相をジクロロメタンで抽出し、組み合わせた有機相(黄−茶色がかった色)をロータリー蒸発に供した。残渣をクロロホルムと混合し、還流に加熱し、不溶物質を減圧ろ過により分離した。濾液をカラムクロマトグラフィにかけた(約250mLのシリカゲル、流出液としてジクロロメタン)。生成物を含有する画分を組み合わせ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、ベージュ色の固体を得た(微結晶性化合物、0.46g、53.5%収率)。フラスコ側の化合物を2−プロパノールと混合し、還流に加熱して固体を溶解させ、冷却した。冷却により無色の結晶がわずかに形成され、これは、2−プロパノールが再結晶用に好適な溶剤である可能性があることを示している。固体の一部(0.21g)を2−プロパノールから再結晶させ、精製した生成物を黄色がかった大きな結晶として得た(0.16g、76.2%回収率)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ6.61(s,2H),4.13(m,4H),3.71(m,4H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ165.2(d,J=295Hz,第4級C−F),131.7(第4級C),120.8(第4級C),105.8(d,J=11Hz,CH),92.7(第4級C),61.6(CH)。19F NMR(CDCl,376.3MHz):δ−129.9(1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを、−71.75ppm(t)でのδで基準として用いた)。C1410のHRMS(EI)算出値343.9989;実測値343.9982。C1410に対する分析算出値:C,48.83;H,2.93。実測値:C,48.73;H,2.90。
【0156】
【化82】

2,7−ジフルオロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)(0.5mmol、0.172g)を酢酸(10mL)と混合し、得られた混合物を還流に加熱した。HCl(1mL)を滴下したところ、黄色がかった混合物は数分間の内に紫色になった。混合物を約10分間還流し、TLCにより分析し(流出液としてCHCl)、出発材料の完全な消費を確認した(生成物の新たな紫色の点も検出した)。反応混合物を室温に冷却し、水で処理し、濃色の析出物を減圧ろ過により分離し、水、次いで、エタノールで洗浄し、乾燥させた(0.144g、113%粗収率、おそらくは、まだいくらかの溶剤を含有していた)。この材料をトルエン−ヘキサンから再結晶させ、きわめて濃い紫色の針を得た(0.123g、96%収率)。いくつかの針が単結晶X線分析に適切と見られ、これらをメインバッチから分離した。
【0157】
2,7−ジフルオロ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン:H NMR(CDCl,400MHz):δ6.89(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ172.9(第4級C(O)),165.4(d,J=300Hz,第4級C−F),133.0(第4級C),132.2(第4級C),107.3(d,J=11Hz,CH)(CHおよび第4級炭素の割り当ては、DEPT−135分析に基づいて行った)。C10に対するHRMS(EI)算出値255.9464;実測値255.9476。C10に対する分析算出値:C,46.87;H,0.79。実測値:C,47.36;H,0.83。
【0158】
実施例27−2,7−ビス−トリメチルシリルエチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化83】

2,7−ジヨード−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(1.0mmol、0.472g)、PdCl(0.04当量、0.04mmol、0.007g)、PPh(0.1当量、0.1mmol、0.026g)およびEtN(2.2当量、2.2mmol、0.22g)を、オーブン乾燥したシュレンクフラスコ中で窒素雰囲気下で混合した。無水THF(30mL)を添加し、続いて、トリメチルシリルアセチレン(2.2当量、2.2mmol、0.22g)およびCuI(0.012当量、0.012mmol、2.3mg)を添加した。混合物を加熱したが(初めに58℃の浴温度で、次いで、40〜45℃の浴温度)、約1.5時間の加熱後に、TLC分析(流出液としてCHCl)により反応は観察されなかった。さらなる量のEtN(0.3mL)を添加し、続いて、トリメチルシリルアセチレン(2.4mmol、0.24g)を添加した。加熱(47〜49℃浴温度)下での4時間の攪拌後も、TLC分析に基づいて反応は観察されず、さらなる量のCuI(6.5mg)を添加した。約20分間攪拌した後、濃い赤−紫色の混合物は黄緑色がかった色となり、混合物を一晩撹拌した(40℃、窒素雰囲気)。黄−緑色がかった混合物を室温に冷却し、水で処理した。有機相は濃い紫−茶色となり、塩水を添加し、有機相を分離した。水性相をジエチルエーテルで数回抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。乾燥剤をろ過し、溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。材料は汚染されたまま排出され、生成物を含む画分を組み合わせ、ロータリー蒸発に供し、残渣を2−プロパノールから再結晶させた。生成物をきわめて濃い色の針として得た(0.058g、14%)。カラムをCHCl:EtOAcで流出し、紫色の溶液を回収し、ロータリー蒸発に供し、カラムクロマトグラフィーにより精製した(150mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。組み合わせた画分をロータリー蒸発に供し、残渣を約15mLのEtOHから再結晶させた。きわめて濃色の結晶を減圧ろ過により分離し、さらなる量の生成物を得た(0.029g、7.0%)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.53(s,2H),0.27(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ173.6,142.9,135.0,132.1(CH),124.5,104.5,95.0。C2020Siに対するHRMS(EI)算出値412.0443;実測値412.0449。C2020Siに対する分析算出値:C,58.21;H,4.88。実測値:C,57.36;H,4.87(ΔC−0.85)
【0159】
2,7−ビス−トリメチルシラニルエチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンのサイクリックボルタモグラム:を記録し(THF中に0.1MのBuNPF、0VのCpFe内標準、走査速度50mV・s−1)、E1/20/1−=−0.91V(可逆的)およびE1/21−/2−=−1.60V(可逆的)を示した。
【0160】
実施例28−2,7−エチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
【化84】

2,7−ビス−トリメチルシリルエチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン(0.07mmol、0.029g)をジクロロメタン−メタノール(10:10mL)の混合物中に溶解し、KCO(3.0当量、0.12mmol、0.029g)を濃い青−紫色の溶液に室温で添加した。反応混合物を約1時間撹拌し、水で処理した。有機相を除去し、水性相をジクロロメタンで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。乾燥剤をろ過し、溶剤を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(50mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。組み合わせた画分から溶剤を除去し、生成物を暗い微結晶性固体として得た(100%収率、0.019g)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.61(s,2H),3.56(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ173.50(第4級C(O)),143.03(第4級C),132.72(CH),123.41(第4級C),85.69(CH),74.70(第4級C)(第4級およびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。
【0161】
2,7−エチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンのサイクリックボルタモグラム(THF中に0.1MのBuNPF、0VのCpFe内標準、走査速度50mV・s−1)は、2つの可逆的な還元E1/20/1−=−0.91V、E1/21−/2−=−1.60Vを示した。
【0162】
実施例29−2,7−エチニル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン
工程1−4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(4−ヘキシル−5−(トリメチルシリル)チオフェン−2−イル)−5,5’−ビチアゾール
リチウムジイソプロピルアミド(LDA)(2.2当量、0.37M、6ml)をジイソプロピルアミン(2.4mmol、0.24g)、n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.5M、2.2mmol、0.9ml)および5mLの無水THFから調製した。2−(5−トリメチルシリル−3−n−ヘキシル−チオフェン−2−イル)−5−ブロモチアゾール(1.0mmol、0.40g、実施例7を参照のこと)を20mLの無水THF中に溶解し、黄色がかった溶液をアセトン/CO浴中で冷却した(窒素雰囲気)。新たに調製したLDA(THF中に0.37M、1.1当量、3ml)をブロモチアゾール誘導体に滴下したところ、反応混合物は明るい紫色に変色した。反応混合物を20分間撹拌し、少量をヘキサン:MeOHで処理し、有機溶剤を除去し、残渣をGC/MS分析により分析した。BCHD反応の完了を確認し、CuCl(1.1当量、0.148g)を紫色の反応混合物一度に添加した。5分間攪拌した後、色が黄緑色に変色し、混合物を冷却浴を取り外すことなく室温にゆっくりと温めた。
【0163】
ヘキサンおよび水を添加し、有機相を除去し、水性相をEtOで抽出した(3×15−20ml)。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶剤をロータリー蒸発により除去して、濃い黄色の固体として粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して(50mLのシリカゲル、ヘキサン:CHCl(3:2)、明るい黄−オレンジ色の固体を得た(0.27g)。微量不純物をTLC分析により検出し、材料をカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した(100mLのシリカゲル、ヘキサン:CHCl(35:15))。組み合わせた画分から溶剤を除去し、生成物を黄−オレンジ色の油として得、これは静置で固化した。
4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(4−ヘキシル−5−トリメチルシリル−チオフェン−2−イル)−5,5’−ビチアゾール;H NMR(CDCl,400MHz):δ7.53(s,2H),2.66(t,J=8.0Hz,4H),1.62(m,4H),1.45−1.30(m,12H) 0.98(t,J=6.9Hz,6H),0.38(s,18H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ162.1(第4級C),151.4(第4級C),139.0(第4級C),138.5(第4級C),130.5(CH),127.6(第4級C),121.0(第4級C),31.7(CH),31.6(CH),31.3(CH),29.3(CH),22.6(CH),14.1(CH),0.14(CH)(第4級,CH,CHおよびCHシグナルの割り当ては、DEPT実験に基づいて行った)。C3246BrSiに対するHRMS(EI)算出値800.0449;実測値800.0420。C3246BrSiに対する分析算出値:C,47.87;H,5.77;N,3.49。実測値:47.72;H,5.77;N,3.47。
【0164】
工程2
【化85】

4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(4−n−ヘキシル−5−トリメチルシリル−チオフェン−2−イル)−5,5’−ビチアゾール(0.5mmol、0.401g)を30mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解し、得られた明るい黄色の溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.85M、1.0mmol、0.35mL)を滴下したところ、反応混合物はオレンジ−赤色になった。0.5時間攪拌した後、この溶液をカニューレを介して、ジエチルオキサレート(1.2当量、0.6mmol、0.09g)の50mLの無水THF中の溶液に移し、アセトン/ドライアイス浴中で冷却した。きわめて濃い赤−オレンジ色の溶液は黄−赤−茶色がかった色になった。1時間攪拌した後、わずかに微量の所望の生成物がTLC分析により検出され、混合物を0℃に温めさせた。3時間攪拌した後、さらなる量のジエチルオキサレート(0.2mL)を添加し、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を水性NHClで処理し、濃い茶色の有機相を分離し、水性相をジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、有機溶剤をロータリー蒸発により除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mLのシリカゲル、CHCl:EtOAc(30:1、20:1、10:1))。すべての青色または緑色の画分を組み合わせ、溶剤を除去し、生成物(未だ純粋ではない)を緑−青色のフィルム(約50mg)として得た。この材料をカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した(約50mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。材料を含む画分(青色)を組み合わせ、溶剤をロータリー蒸発により除去し、生成物を青−緑色のフィルムとして得た(約30mg、<10%収率)。
H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.59(s,2H),2.65(t,J=8.0Hz,4H),1.61(m,4H),1.42−1.30(m,12H),0.93,(t,J=6.6Hz,6H),0.38(s,18H);13C{H}NMR(CDCl3,100MHz):172.5,162.0,151.6,147.9,140.9,137.8,136.8,132.0(CH),31.7(CH2),31.6(CH2),31.3(CH2),29.3(CH2),22.6(CH2),14.1(CH3),0.1(CH3)。C34H46N2O2S4Si2に対するHRMS(EI)算出値698.1981。実測値:698.1970。(M+2イオンもまた主イオンとして観察された:C3448Siに対する算出値700.2137;実測値700.2090)。C3446Siに対する分析算出値:C,58.41;H,6.63;N,4.01。実測値:58.50;H,6.64,N,4.11。
【0165】
実施例30−2,7−ビス(パーフルオロベンゾイル)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンの合成
【化86】

工程1:
【化87】

2,7−ジブロモ−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)(3.0mmol、1.40g)を75mLの無水THF中に溶解し、溶液をアセトン/ドライアイス浴中で冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に2.85M、6.0mmol、2.11mL)を滴下して、紫色の懸濁液を形成した。反応混合物を約40分間撹拌し、カニューレを介して、アセトン/ドライアイス浴中で冷却した塩化ペンタフルオロベンゾイル(9.0mmol、2.07g)の75mLの無水THF中の溶液に移した。黄−茶色の溶液を形成した。約2時間攪拌した後、冷却浴を取り外し、混合物をNHClの水溶液で処理し、有機相を除去した。水性相をCHClで抽出し、組み合わせた有機相をMgSOで乾燥させた。乾燥剤をろ過し、溶剤をロータリー蒸発により除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(250mLのシリカゲル、流出液としてヘキサン:CHCl)。純粋な生成物を含む画分を組み合わせ、溶剤を黄色の溶液から除去して黄色の固体を得た。この材料はいくらかの溶剤を含有しており、100mgを2−プロパノール(約75mL)から再結晶させた。黄色の固体(83mg)を得た。C281010に対する分析算出値:C,48.28;H,1.45。実測値:C,48.14;H,1.54。
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.57(s,2H),4.17(m,4H),3.70(m,4H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ176.0,142.9,141.7,140.1,133.6(CH),61.5(CH)(C−F炭素に対する多重項を弱いシグナルとして、145.1、142.6、139.0、136.5で観察した)。19F NMR(CDCl,376.3MHz):δ−139.4(m,4F),−148.9(低分解度のttに見えた,2F),−159.0(良好に分解されていないqtに見える,4F)(1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを、−71.75ppm(t)のδで基準として用いた)。C281010に対するHRMS(EI)算出値695.9759;実測値695.9733。
【0166】
工程2:
【化88】

2,7−ビス−ペンタフルオロベンゾイル−ベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチアゾール−4,5−ジ−(1,3−ジオキソラン)(0.4mmol、0.279g)を50mLの酢酸と混合し、混合物を還流に加熱した。HCl(約5mL)を黄色の溶液に添加したところ、反応混合物はオレンジ色となり、次いで、赤−オレンジ色となった。1時間還流させた後、混合物を室温に冷却したところ、わずかに少量の析出物が形成された。混合物を還流に加熱し、析出が観察されるまで水を添加した。反応混合物を冷却し、オレンジ色の固体を分離し、水、エタノール洗浄し、乾燥させた(0.190g、78.2%)。この材料を、易動性計測のためにカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mLのシリカゲル、流出液としてCHCl)。生成物を含む中程の画分を組み合わせ、溶剤を除去し、オレンジ−赤色の粉末を得た(0.109g、77.9%回収率)。
ビス(パーフルオロベンゾイル)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオン。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.88(s,2H);13C{H}NMR(CDCl,100MHz):δ176.5(第4級C(O)),173.1(第4級C(O)),148.7,144.3,137.3,134.4(弱いC−F炭素が145.2、142.7、139.2、136.6で多重項として検出された)。19F NMR(CDCl,376.3MHz):δ−139.1(m,4F),−147.1(tt,J=20.7Hz,3.4Hz,2F),−158.2(m,4F)(1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを、−71.75ppm(t)のδで基準として用いた)。C2410に対するHRMS(EI)算出値607.9235;実測値607.9216(609.9でM+2Hを分子イオンに対して約80%強度で観察した)。C2410に対する分析算出値:C,47.38;H,0.33。実測値:C,47.13;H,0.34。
【0167】
上記明細書、実施例およびデータは、本発明の種々の組成物および素子の製造および使用、ならびに、これらの製造および使用方法の例示的な説明を提供している。これらの開示を考慮して、技術分野における当業者は、本明細書において開示および特許請求されている本発明の多くの追加的な実施形態が明らかであり、これらは本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく成すことが可能であることを構想可能であろう。本明細書の以下に添付されている特許請求の範囲がこれらの実施形態のいくつかを定義している。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

(式中、HArは、少なくとも1個の環炭素原子および少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、任意に置換されていてもよい5員または6員ヘテロアリール環であり、Halはハロゲンである)
を含むビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を合成する方法であって:
a)前記HAr環上の第1の位置にHal置換基を有するハロヘテロアリール環を含む、任意に置換されていてもよい前駆体化合物を準備する工程;
b)前記前駆体化合物を強塩基性化合物で処理して前記前駆体化合物の異性化を誘起して、前記Hal原子が前記HAr環上の異なる位置に結合している中間体化合物を生成させる工程;
c)2つの中間体化合物間に炭素−炭素結合が形成されるよう前記中間体化合物を酸化剤で処理し、これにより、前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を形成させる工程
を含む方法。
【請求項2】
HalがBrまたはIである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HArが、任意に置換されていてもよい5員ヘテロアリール環である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体化合物のHArおよびHalが、構造:
【化2】

(式中、
a)Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;かつ、
c)Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体化合物のHArおよびHalが、構造:
【化3】

(式中、
a)Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Xは、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体化合物のHArおよびHalが、構造:
【化4】

(式中、
a)Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;かつ
b)Xは、SまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前駆体化合物のHArおよびHalが、構造:
【化5】

(式中、
a)Rは、ハロゲン、または、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるか、または、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成している)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
が、ハロゲン、アルキル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシド、パーフルオロアルコキシド、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORまたは−B(−OR21から独立して選択される1〜4つの環置換基によって任意に置換されていてもよいC〜C30アリールもしくはヘテロアリールであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成している、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
が、
【化6】

(式中、R14は、水素、または、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルもしくアルコキシ基である)
である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
が、
【化7】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORまたはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成している)
である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記強塩基性化合物がアルキルリチウム化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記強塩基性化合物がリチウムジアルキルアミド化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化剤がCu(II)塩である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が2,2’−ビスハロ−1,1’−ビスヘテロアリール化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が、構造:
【化8】

(式中、
a)Rは、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、−Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;かつ
c)Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が、構造:
【化9】

(式中、
a)Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項17】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が、構造:
【化10】

(式中、
a)Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が、構造:
【化11】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物が、構造:
【化12】

を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
構造:
【化13】

を含む縮合三環式化合物を合成する方法であって、式中、
a)HArは請求項1〜9のいずれか一項に定義されているとおりであり、
b)Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rであり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、パーフルオロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基であり、
請求項1〜17のいずれか一項に記載の前記工程を含み、次いで、
c)場合により、前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物を有機金属化合物で処理して、金属を前記Hal置換基と交換して、ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を形成させる工程、および
d)前記ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を好適な求電子体と反応させるか、または、前記ビスハロ−ビスヘテロアリール化合物もしくはビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物を求核剤と反応させて、前記縮合三環式化合物の形成に好適な前記Z基もしくはその前駆体を導入する工程
をさらに含む方法。
【請求項21】
前記有機金属化合物が、アルキルリチウム化合物もしくはリチウムジオルガノアミドである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記有機金属化合物が遷移金属化合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記求電子体が、化合物V−R−V’〔式中、Rは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rから選択され、VおよびV’は脱離基であるかまたは、VおよびV’は、前記縮合三環式化合物を形成するための前記ビスメタロ−ビスヘテロアリール化合物との縮合反応に好適な脱離基を一緒になって形成する〕である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記縮合三環式化合物が、構造:
【化14】

(式中、
a)Rは、水素、ハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており;
b)Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
c)Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;かつ
d)Zは、S、Se、NR、C(O)、C(O)C(O)、Si(R、SO、SO、PR、P(O)R、BRまたはC(Rであり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、パーフルオロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記縮合三環式化合物が、構造:
【化15】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、Rは、水素、または、場合によりC〜C18アルキル基であり、かつ、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
が、
【化16】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORまたはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記縮合三環式化合物が、構造:
【化17】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、Rは、水素、または、場合により、〜C18アルキル基であり、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記縮合三環式化合物が、構造:
【化18】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキル、パーフルオロアルキルまたはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成しており、Rは、水素、もしくは、任意により、C〜C18アルキル基であり、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記縮合三環式化合物が、構造:
【化19】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アリールもしくはヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキル、パーフルオロアルキルまたはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成しており、Rは、水素、もしくは、任意により、C〜C18アルキル基であり、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
が、
【化20】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、かつ、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORまたはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜30に記載の方法のいずれか1つによって生成された化合物。
【請求項32】
請求項31に記載の化合物を1種以上含む組成物。
【請求項33】
請求項31に記載の化合物を1種以上含む電子素子。
【請求項34】
構造:
【化21】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する化合物。
【請求項35】
が、
【化22】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R、R11、R12、R14は、独立して選択されるC〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORもしくはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
構造:
【化23】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(Rもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成して前記酸素原子を架橋する環を形成しており、かつ、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を含む縮合三環式化合物。
【請求項37】
が、
【化24】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキルまたはアルコキシ基であり、かつ、R13は、水素、ハロゲン、Si(RまたはSn(Rである)
である、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
構造:
【化25】

(式中、Rは水素、ハロゲン、任意に置換されていてもよいC〜C30アルキニル、アリールもしくはヘテロアリール、Si(R、Sn(RまたはB(ORであり、式中、各Rは、独立して選択されるC〜C18アルキルもしくはアリールであるかまたは、R基は一緒になって環式アルキレンを形成している)
を有する化合物。
【請求項39】
が、
【化26】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルまたはアルコキシ基であり、かつ、R13は水素、ハロゲン、Si(RまたはSn(Rである)
である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
が、
【化27】

(式中、R14は、水素、または、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキルもしくはアルコキシ基である)
である、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
構造:
【化28】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成しており、かつ、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する化合物。
【請求項42】
が、
【化29】

(mは、1、2、3または4であり、R、R11、R12、R14は、独立して選択されているC〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORもしくはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
である、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
構造:
【化30】

(式中、
a)Rは、任意に置換されていてもよいC〜C30アリールもしくはヘテロアリールを含んでおり、
b)Xは、O、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、フルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、かつ、
c)Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、任意に置換されていてもよいC〜C18アルキル、アリール、またはヘテロアリールである)
を有する化合物。
【請求項44】
構造:
【化31】

(式中、Rは、水素もしくはハロゲン、または、C〜C30有機基であり、Rは、水素、または、場合によりC〜C18アルキル基であり、かつ、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択されるC〜C50有機基である)
を有する縮合三環式化合物。
【請求項45】
が、水素もしくはハロゲン、または、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールから選択されるC〜C30有機基、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21であり、式中、各Rが、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、かつ、各R21が、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基が、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成する、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
が、式:
【化32】

(式中、R11は、ハロゲン、シアノ、アルキル、パーフルオロアルキル、アシル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基から独立して選択される1〜10個の基で場合により置換されていてもよい、アリールもしくはヘテロアリールである)
を有する有機アシル化合物である、請求項44に記載の化合物。
【請求項47】
が、
【化33】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシまたはパーフルオロアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(R、Si(ORまたはSn(Rであり、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成している)
である、請求項44に記載の化合物。
【請求項48】
が、
【化34】

(式中、mは、1、2、3または4であり、R11、R12、R14は、C〜C18アルキルまたはアルコキシ基であり、R13は、水素、−B(−OR21、Si(RまたはSn(Rである)
である、請求項44に記載の化合物。
【請求項49】
が、
【化35】

である、請求項44に記載の化合物。
【請求項50】
構造:
【化36】

(式中、R12は、C〜C18アルキルまたはアルコキシ基であり、R13は、水素、ハロゲン、またはSi(Rであり、式中、各Rは独立して選択されるアルキルもしくはアリールである)
を有する化合物。
【請求項51】
構造:
【化37】

(式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有する繰り返し単位を含むポリマーまたはコポリマー。
【請求項52】
構造:
【化38】

(式中、R11およびR12は、水素またはC〜C18アルキルである)
を有する繰り返し単位を含むポリマーまたはコポリマー。
【請求項53】
式:
【化39】

(式中、
a)Rは、水素もしくはハロゲン、または、C〜C30有機基であり;
b)Xは、O、S、SeまたはNRであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;および
c)Yは、CH、CRまたはNであり、式中、Rは、C〜C18アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)
を有するモノもしくはビスケタール化合物。
【請求項54】
前記C〜C30有機基が、任意に置換されていてもよいアルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール、または、−Sn(R、−Si(R、Si(ORもしくは−B(−OR21から選択され、式中、各Rは、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであり、かつ、各R21は、独立して選択されるアルキルもしくはアリールであるかまたは、R21基は、前記酸素原子を架橋する任意に置換されていてもよいアルキレン基を一緒になって形成する、請求項53に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−519648(P2013−519648A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552386(P2012−552386)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051913
【国際公開番号】WO2011/098495
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(594136664)ジョージア・テック・リサーチ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】