説明

バイオ燃料劣化判定装置

【課題】バイオ燃料の酸化劣化を検知することができるバイオ燃料劣化判定装置を提供すること。
【解決手段】バイオ燃料劣化判定装置1に、少なくともバイオ燃料を含有すると共にエンジンの運転に用いられる燃料中のバイオ燃料の濃度を検出可能なバイオ燃料濃度センサ38と、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が、バイオ燃料の劣化を判定する場合における基準値である劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する劣化判定部89と、劣化判定部89で、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定した場合に、バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行う燃料劣化時制御部91と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ燃料劣化判定装置に関するものである。特に、この発明は、バイオ燃料を含有する燃料で運転する内燃機関に備えられるバイオ燃料劣化判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、燃焼室で燃料を燃焼させた際のエネルギにより運転するが、従来の内燃機関では、環境等を考慮して、複数の種類の燃料を混合した燃料で運転可能に設けられているものがある。このように、複数の種類の燃料を混合した燃料で内燃機関を運転する場合、運転時の出力等の運転状態は、燃料の組成に応じて変化する。このため、従来の内燃機関では、混合燃料のうち、所定の燃料の濃度を検出するセンサを設け、このセンサで燃料の濃度を検出することにより、燃料の組成を判断する。しかし、センサが劣化している場合、燃料の濃度を正確に検出することができず、燃料の組成を正確に判断できないため、内燃機関の運転の制御が不適切になる場合がある。そこで、従来の内燃機関では、燃料の濃度を検出するセンサが劣化した場合でも、燃料の組成を正確に判断できるようにしているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の内燃機関の燃料供給装置では、混合燃料中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサの出力が安定した場合におけるアルコールセンサでの検出値を記憶し、フィードバック制御時に検出した空燃比に基づいて燃料の組成を推定している。また、給油時には、推定された組成と記憶値とにより、給油後のアルコールセンサの出力値を補正し、フィードバック制御による燃料組成の推定が開始されるまではその補正値により、燃料供給制御を行う。さらに、燃料組成の推定が開始されたときには、次回の給油時までは、推定値により燃料供給制御を行う。これにより、燃料の組成を正確に判断することができる。
【0004】
また、アルコールセンサが故障した後に燃料を給油した場合でも、精度の高い燃料噴射制御が行えるように、特許文献2に記載の燃料噴射制御装置では、アルコールセンサが故障したと判定した後に所定の油種の燃料を給油したと判定した場合には、アルコールセンサの故障前のアルコール濃度に応じて給油後のアルコール濃度を推定している。これにより、アルコールセンサが故障した後に燃料を給油した場合でも、高精度な燃料噴射制御を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−5433号公報
【特許文献2】特公平6−100113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年の内燃機関では、二酸化炭素の排出量の低減などを目的として、菜種油など生物体の持つエネルギを利用した燃料であるバイオ燃料が混合された燃料で運転可能な内燃機関が着目されている。しかしながら、バイオ燃料は不飽和結合を有する分子が存在するため、酸化し易い特性を有しており、このためバイオ燃料は燃料タンクに給油後、所定時間が経過した際に酸化劣化する場合がある。バイオ燃料が酸化劣化した場合、燃料を貯留する燃料タンクの腐食や内燃機関運転時におけるデポジットの生成の原因になるため、酸化劣化を検出する必要があるが、特許文献1や特許文献2に記載されたようなアルコールセンサでは、バイオ燃料の酸化劣化の検出は、大変困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バイオ燃料の酸化劣化を検知することができるバイオ燃料劣化判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、少なくともバイオ燃料を含有すると共に内燃機関の運転に用いられる燃料中の前記バイオ燃料の濃度を検出可能なバイオ燃料濃度検出手段と、前記バイオ燃料濃度検出手段での検出値が、前記バイオ燃料の劣化を判定する場合における基準値である劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する劣化判定手段と、前記劣化判定手段で、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値は前記劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定した場合に、前記バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行う燃料劣化時制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明では、燃料中のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度検出手段で検出し、この検出による検出値が劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると劣化判定手段で判定した場合に、燃料劣化時制御手段で燃料劣化時制御を行っている。ここで、バイオ燃料が酸化劣化した場合には劣化が進行するに伴って燃料中の酸素濃度が増加するが、酸素濃度が増加した場合、密度が重くなり、蒸留特性が悪くなるなど、バイオ燃料の濃度が濃くなったかのような特性変化を示す。このため、バイオ燃料の濃度が一定の状態の場合においてバイオ燃料濃度検出手段での検出値が大きくなった場合には、バイオ燃料は酸化劣化していると判断することができる。従って、燃料中のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度検出手段で検出し、この検出による検出値が劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定された場合に燃料劣化時制御を行うことにより、バイオ燃料が酸化劣化していることを認識することができる。この結果、バイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0010】
また、この発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、上記発明において、前記燃料劣化時制御手段は、少なくとも前記燃料劣化時制御時に前記内燃機関を搭載する車両の運転者に対して前記バイオ燃料が劣化したことを伝達する燃料劣化伝達手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明では、燃料劣化時制御手段は、燃料が劣化したことを運転者に伝達する燃料劣化伝達手段を備えているため、バイオ燃料濃度検出手段での検出値が劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定された場合に燃料劣化時制御を行うことにより、燃料が劣化したことを運転者に伝達することができる。この結果、より確実にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0012】
また、この発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、上記発明において、前記劣化判定手段は、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値と前記劣化判定基準値との差が、前記バイオ燃料が劣化したか否かの判定の閾値となる判定基準差よりも大きい場合に、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値は前記劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定することを特徴とする。
【0013】
この発明では、劣化判定手段で、バイオ燃料濃度検出手段での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かの判定を行う際に、バイオ燃料濃度検出手段で検出した検出値と劣化判定基準値との差が、バイオ燃料が劣化したか否かの判定の閾値となる判定基準差よりも大きい場合に、バイオ燃料濃度検出手段での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定している。このように、バイオ燃料濃度検出手段での検出値を判定する際に、判定基準差と比較して判定することにより、バイオ燃料濃度検出手段での検出値が所定以上大きくなったか否かを、より正確に判定することができる。この結果、より正確にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0014】
また、この発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、上記発明において、前記劣化判定基準値は、前記燃料を貯留する燃料貯留手段に前記燃料を給油した場合における前記バイオ燃料濃度検出手段での前記検出値であることを特徴とする。
【0015】
この発明では、劣化判定基準値を、燃料貯留手段に燃料を給油した場合におけるバイオ燃料濃度検出手段での検出値にするため、給油時の燃料に対する燃料の劣化を検知することができる。つまり、劣化判定基準値を、燃料貯留手段に燃料を給油した場合におけるバイオ燃料濃度検出手段での検出値にすることにより、バイオ燃料濃度検出手段での検出値を、燃料貯留手段への給油時の燃料のバイオ燃料濃度検出手段での検出値と比較することができる。従って、バイオ燃料濃度検出手段での検出値に基づいて燃料の劣化を検知する際に、給油時の燃料に対する劣化を検知することができる。この結果、より確実にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、バイオ燃料の酸化劣化を検知することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るバイオ燃料劣化判定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置を備えるエンジンの概略構成図である。実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1は、少なくともバイオ燃料を含有する燃料によって運転可能な内燃機関として設けられるエンジン10に備えられている。このエンジン10は、圧縮した状態の空気に燃料を供給することにより燃料を燃焼させる、いわゆるディーゼルエンジンとして設けられている。このエンジン10は、4つの気筒(図示省略)が直列に配設されており、各気筒には、燃焼室11が接続されている。また、このエンジン10には、燃焼室11に連通すると共に燃焼室11に吸入される空気が流れる通路である吸気通路15と、燃焼室11で燃料を燃焼させた後、燃焼室11から排出される排気ガスが流れる排気通路16とが接続されている。これらの吸気通路15と排気通路16とは、燃焼室11の数に合わせてそれぞれ4つの通路に分岐しており、分岐した通路が4つの燃焼室11に対応し、燃焼室11に連通してエンジン10に接続されている。
【0019】
また、各燃焼室11には、エンジン10の運転時に燃焼室11に対して燃料を供給可能な燃料供給手段であるメイン燃料インジェクタ21が配設されている。このメイン燃料インジェクタ21は、エンジン10の運転時に燃焼室11内に燃料を噴射することにより、燃焼室11に対して燃料を供給可能に設けられている。
【0020】
このように各燃焼室11に配設されるメイン燃料インジェクタ21は、全てコモンレール25に接続されている。また、コモンレール25は、燃料に圧力を付与してコモンレール25に燃料を供給するサプライポンプ26に機関燃料通路31を介して接続されており、サプライポンプ26は、燃料を貯留する燃料貯留手段である燃料タンク35にメイン燃料通路30を介して接続されている。サプライポンプ26と燃料タンク35とを接続するメイン燃料通路30には、燃料に含まれる不純物を除去する燃料フィルタ36が設けられている。
【0021】
また、燃料タンク35には、当該燃料タンク35に貯留されている燃料のレベル、即ち燃料の貯留量を検出する燃料貯留量検出手段である燃料レベルセンサ37が設けられている。さらに、燃料タンク35には、当該燃料タンク35に貯留されている燃料に含まれているバイオ燃料の濃度を検出するバイオ燃料濃度検出手段であるバイオ燃料濃度センサ38が設けられている。このバイオ燃料濃度センサ38は、公知の燃料中のアルコール濃度を検出できる濃度センサ等と同様に、燃料タンク35に貯留されている燃料の誘電率等を測定することにより、燃料中のバイオ燃料の濃度を検出可能に設けられており、検出したバイオ燃料の濃度が濃くなるに従って検出値が大きくなる。なお、バイオ燃料濃度センサ38によるバイオ燃料の濃度の検出は、誘電率を測定する以外に、燃料の屈折率や透過率を測定する光学式の検出など、その原理や方法は規定しない。
【0022】
また、コモンレール25と燃料タンク35とには、コモンレール25に供給された燃料のうち余剰燃料を燃料タンク35に戻す通路であり、一端がコモンレール25に接続され、他端が燃料タンク35に接続された通路であるリターン通路33が接続されている。
【0023】
また、このエンジン10は、燃焼室11で吸入する空気を圧縮する過給手段であるターボチャージャ40を備えており、ターボチャージャ40が有するコンプレッサ41は吸気通路15に接続され、ターボチャージャ40が有するタービン42は排気通路16に接続されている。ターボチャージャ40は、タービン42が接続されている排気通路16を流れる排気ガスによってタービン42が作動し、タービン42の作動時の力がコンプレッサ41に伝達されてコンプレッサ41が作動することにより、吸気通路15を流れる空気をコンプレッサ41で圧縮可能に設けられている。
【0024】
ターボチャージャ40のコンプレッサ41が接続される吸気通路15は、吸気通路15を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ41の下流側に、コンプレッサ41で圧縮した空気を冷却するインタークーラ45が配設されている。さらに、吸気通路15には、インタークーラ45の下流側に、吸気通路15内を開閉可能なスロットルバルブ46が配設されている。また、吸気通路15には、コンプレッサ41の上流側に、吸気通路15を流れる空気の流量を検出可能な吸入空気量検出手段であるエアフロメータ47が設けられている。
【0025】
また、ターボチャージャ40のタービン42が接続される排気通路16には、排気通路16を流れる排気ガスの流れ方向におけるタービン42の上流側に、排気ガスに添加する燃料を噴射する添加燃料供給手段である排気燃料添加インジェクタ22が設けられている。この排気燃料添加インジェクタ22は、遮断弁27を介してサプライポンプ26に接続された添加燃料通路32に接続されている。つまり、サプライポンプ26には遮断弁27が接続されており、遮断弁27には、一端が当該遮断弁27に接続され、他端が排気燃料添加インジェクタ22に接続された添加燃料通路32が接続されている。このように添加燃料通路32が接続された遮断弁27は、サプライポンプ26から排気燃料添加インジェクタ22への燃料の開放や遮断が可能に設けられている。
【0026】
また、排気通路16には、タービン42の下流側に、下流方向に向かうに従って順に、吸蔵還元型NOx触媒を担体に担持したNSR(NOx Storage Reduction)触媒コンバータ60と、多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元触媒が担持され構成されたDPNR(Diesel Particulate NOx Reduction)触媒コンバータ61と、酸化触媒コンバータ62とが配設されている。また、排気通路16には、NSR触媒コンバータ60とDPNR触媒コンバータ61との間、及びDPNR触媒コンバータ61の下流側に、排気通路16を流れる排気ガスの温度を検出する排気温検出手段である排気温センサ51が設けられている。また、DPNR触媒コンバータ61と酸化触媒コンバータ62との間には、排気ガスの成分より、空気と燃料との割合である空燃比を検出する空燃比検出手段である空燃比センサ52が設けられている。
【0027】
さらに、排気通路16には、NSR触媒コンバータ60の上流側と、DPNR触媒コンバータ61の下流側とに両端部が接続された通路である差圧検出通路65が接続されており、この差圧検出通路65には、差圧センサ66が設けられている。この差圧センサ66は、NSR触媒コンバータ60の上流側の圧力と、DPNR触媒コンバータ61の下流側の圧力との差圧を検出可能な差圧検出手段として設けられている。
【0028】
このように設けられる排気通路16と吸気通路15とには、エンジン10から排出された排気ガスの一部であり、再びエンジン10に吸気させる還流ガスであるEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスが流れる通路であるEGR通路70が接続されている。詳しくは、EGR通路70は、両端部のうち一方の端部が、排気通路16におけるタービン42の上流側に接続されており、他方の端部が、吸気通路15におけるスロットルバルブ46の下流側に接続されている。これにより、EGR通路70は、排気通路16を流れる排気ガスの一部をEGRガスとして、排気通路16から吸気通路15に流すことができる。
【0029】
このように設けられるEGR通路70には、EGRガスを浄化するEGR触媒コンバータ71と、EGR通路70を流れるEGRガスを冷却可能な冷却手段であるEGRクーラ72とが設けられている。このうち、EGRクーラ72は、エンジン10を循環し、車両の運転時にエンジン10を冷却する冷却媒体である冷却水(図示省略)と、EGRガスとの間で熱交換を行うことができるように形成されており、EGRクーラ72を通るEGRガスは、冷却水との間で熱交換を行うことにより温度が低下する。
【0030】
また、EGR通路70には、EGRクーラ72が設けられている部分と吸気通路15に接続されている部分との間の部分、即ち、EGR通路70における吸気通路15に接続されている部分の近傍に、EGR通路70内を開閉可能なEGRバルブ73が配設されている。
【0031】
これらのメイン燃料インジェクタ21、排気燃料添加インジェクタ22、サプライポンプ26、遮断弁27、燃料レベルセンサ37、バイオ燃料濃度センサ38、スロットルバルブ46、エアフロメータ47、排気温センサ51、空燃比センサ52、差圧センサ66、EGRバルブ73は、車両に搭載されると共に車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)80に接続されている。また、このECU80には、車両の運転席に設けられ、車両の各種情報を表示する表示装置75が接続されている。
【0032】
図2は、図1に示すバイオ燃料劣化判定装置の要部構成図である。ECU80には、処理部81、記憶部100及び入出力部101が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU80に接続されているメイン燃料インジェクタ21、排気燃料添加インジェクタ22、サプライポンプ26、遮断弁27、燃料レベルセンサ37、バイオ燃料濃度センサ38、スロットルバルブ46、エアフロメータ47、排気温センサ51、空燃比センサ52、差圧センサ66、EGRバルブ73、表示装置75は、入出力部101に接続されており、入出力部101は、これらのメイン燃料インジェクタ21等との間で信号の入出力を行う。また、記憶部100には、バイオ燃料劣化判定装置1を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部100は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0033】
また、処理部81は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、少なくとも、スロットルバルブ46の開閉の制御をすることによりエンジン10の吸入空気量の制御が可能な吸入空気量制御手段であるスロットルバルブ制御部82と、エアフロメータ47での検出結果より運転中のエンジン10の吸入空気量を取得可能な吸入空気量取得手段である吸入空気量取得部83と、メイン燃料インジェクタ21から噴射する燃料の噴射量を制御することによりエンジン10への燃料の供給量を制御可能な燃料供給量制御手段である燃料噴射量制御部84と、を有している。
【0034】
また、処理部81は、サプライポンプ26に接続されている遮断弁27の開閉の制御、及び排気燃料添加インジェクタ22から噴射する燃料の噴射量を制御することにより排気ガスの浄化の制御を行う排気浄化制御手段である排気浄化制御部85と、差圧センサ66での検出結果より排気通路16におけるNSR触媒コンバータ60の上流側とDPNR触媒コンバータ61の下流側との差圧を取得可能な差圧取得手段である差圧取得部86と、EGRバルブ73の開閉の制御を行うことによりEGRガスの流量を制御可能なEGRガス量制御手段であるEGRバルブ制御部87と、を有している。
【0035】
また、処理部81は、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度を検出可能なバイオ燃料濃度センサ38での検出値を取得するバイオ燃料取得手段であるバイオ燃料濃度取得部88と、バイオ燃料濃度取得部88で取得したバイオ燃料濃度センサ38での検出値が、バイオ燃料の劣化を判定する場合における基準値である劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する劣化判定手段である劣化判定部89と、を有している。
【0036】
また、処理部81は、バイオ燃料濃度取得部88で取得したバイオ燃料濃度センサ38での検出値が、劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると劣化判定部89で判定した場合に、バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行う燃料劣化時制御手段である燃料劣化時制御部91と、燃料劣化時制御部91が備えていると共に、燃料劣化時制御時にエンジン10を搭載する車両の運転者に対してバイオ燃料が劣化したことを伝達する燃料劣化伝達手段である燃料劣化伝達部92と、を有している。
【0037】
また、処理部81は、燃料タンク35に燃料を給油したか否かを判定する給油判定手段である給油判定部95と、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度に基づいてバイオ燃料が劣化したか否かの判定をするのに必要最低限な時間で、バイオ燃料の劣化の判定を明確に行うことのできる時間である計測時間を設定する計測時間設定手段である計測時間設定部96と、燃料タンク35に給油を行った後、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が安定した状態になった場合における当該検出値を劣化判定基準値としてバイオ燃料濃度取得部88で取得した後、計測時間設定部96で設定した計測時間を経過したか否かを判定する経過時間判定手段である経過時間判定部97と、を有している。
【0038】
ECU80によって制御されるバイオ燃料劣化判定装置1の制御は、例えば、バイオ燃料濃度センサ38などによる検出結果に基づいて、処理部81が上記コンピュータプログラムを当該処理部81に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じてメイン燃料インジェクタ21などを作動させることにより制御する。その際に処理部81は、適宜記憶部100へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このようにバイオ燃料劣化判定装置1を制御する場合には、上記コンピュータプログラムの代わりに、ECU80とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
【0039】
この実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1が備えられるエンジン10は、例えば、菜種油をメチルエステル化したバイオ燃料であるRME(Rapeseed Methyl Ester)等の脂肪酸メチルエステルと軽油とが混合された燃料であるバイオ混合軽油によって運転可能になっている。このため、燃料タンク35には、エンジン10を運転する際における燃料として、バイオ混合軽油が貯留される。
【0040】
このエンジン10の運転時には、車両の室内に設けられるアクセルペダル(図示省略)の開度であるアクセル開度に応じてECU80の処理部81が有するスロットルバルブ制御部82がスロットルバルブ46の開度を制御する。即ち、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ(図示省略)の検出結果に応じて、スロットルバルブ制御部82がスロットルバルブ46の開度を制御する。これにより、吸気通路15にはスロットルバルブ46の開度に応じた空気が流れる。吸気通路15に空気が流れた場合、この空気の流量をエアフロメータ47で検出し、エアフロメータ47での検出結果をECU80の処理部81が有する吸入空気量取得部83で取得する。
【0041】
ここで、この吸気通路15には、ターボチャージャ40のコンプレッサ41が接続されている。このコンプレッサ41は、エンジン10から排出される排気ガスによってターボチャージャ40のタービン42が作動した際の力により、作動可能に設けられている。コンプレッサ41が作動した際には、吸気通路15を流れる空気の流れ方向におけるコンプレッサ41の上流側の空気を吸引し、圧縮して下流側に流す。これにより、ターボチャージャ40の作動時におけるコンプレッサ41の下流側の吸気通路15には、大気圧よりも圧力が高くなった空気が流れる。
【0042】
圧力が高くなった空気は吸気通路15を流れ、コンプレッサ41の下流側に配設されるインタークーラ45に流れる。空気を圧縮して圧力を高くした場合、温度が上昇するが、インタークーラ45は、インタークーラ45内を流れる圧縮空気とインタークーラ45の周囲を流れる空気との間で熱交換を行うことにより、インタークーラ45内を流れる空気の温度を下げる。これにより、インタークーラ45内を流れる空気の密度が高くなる。
【0043】
インタークーラ45で冷却され、密度が高くなった空気は、さらに吸気通路15における下流側に流れる。スロットルバルブ46は、このインタークーラ45の下流に配設されており、吸気通路15を流れる空気の流量を調整するスロットルバルブ46は、ターボチャージャ40のコンプレッサ41で圧縮され、インタークーラ45で冷却された後の空気の流量を調整する。スロットルバルブ46で流量を調整した空気は、エンジン10に供給される。即ち、エンジン10は、ターボチャージャ40によって過給した状態で吸気する。
【0044】
また、エンジン10の運転時には、サプライポンプ26が作動し、燃料タンク35内の燃料をコモンレール25に供給する。つまり、サプライポンプ26が作動することにより、燃料タンク35内の燃料がメイン燃料通路30を介してサプライポンプ26に吸引される。その際に、サプライポンプ26に吸引される燃料は、メイン燃料通路30に配設される燃料フィルタ36によって不純物が除去された後、サプライポンプ26に流れる。
【0045】
サプライポンプ26に吸引された燃料は、サプライポンプ26で圧力が高められ、機関燃料通路31を通ってコモンレール25に供給される。このため、コモンレール25内の燃料は、高圧の状態になっている。また、燃焼室11に配設されているメイン燃料インジェクタ21は、このコモンレール25に接続されているため、メイン燃料インジェクタ21には、コモンレール25から高圧の燃料が供給される。
【0046】
このように、高圧の燃料が供給されるメイン燃料インジェクタ21は、ECU80の処理部81が有する燃料噴射量制御部84で制御可能になっている。つまり、燃料噴射量制御部84には、吸入空気量取得部83で取得した吸入空気量やアクセル開度などの運転状態に関する情報が伝達され、燃料噴射量制御部84は、伝達された運転状態に関する情報に応じてメイン燃料インジェクタ21を制御し、作動させる。これにより、メイン燃料インジェクタ21は、燃料噴射量制御部84での制御に応じた燃料を燃焼室11に噴射する。
【0047】
具体的には、燃料噴射量制御部84は、エンジン10の圧縮行程で燃焼室11の空気が高圧になった時点で、運転状態に適した量の燃料をメイン燃料インジェクタ21から燃焼室11に噴射させる。燃焼室11に噴射された燃料は、圧縮することにより高温になった空気によって燃焼し、燃焼した後の排気ガスは、排気行程で燃焼室11から排気通路16に排気される。排気通路16に排気された排気ガスは、排気通路16に接続されるターボチャージャ40のタービン42に流れ、ターボチャージャ40を作動させる。
【0048】
ターボチャージャ40を作動させた後の排気ガスは、さらに排気通路16を流れ、NSR触媒コンバータ60を通過する。NSR触媒コンバータ60では、当該NSR触媒コンバータ60を通過する排気ガスを、燃焼室11で燃焼させる燃料と空気との割合である空燃比をリッチとリーンとで繰り返し変化させて流すことにより、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化する。
【0049】
詳しくは、空燃比がリーンの場合、即ち、排気ガス中に多量の酸素が含まれている場合には、NSR触媒コンバータ60はNOxを吸蔵し、空燃比がリッチの場合、即ち、酸素濃度が低く、且つ、HC(炭化水素)などの還元成分が多量に含まれている場合には、NOxをNO(二酸化窒素)、若しくはNO(一酸化窒素)に還元して放出する。NOやNOとして放出されたNOxは、排気ガス中のHCやCO(一酸化炭素)と反応することによってさらに還元され、N(窒素)になる。この場合、HCやCOは、NOやNOを還元することにより酸化されて、HO(水)やCO(二酸化炭素)になる。即ち、NSR触媒コンバータ60は、NSR触媒コンバータ60を通過する排気ガス中のNOx、HC、COを浄化する。
【0050】
NSR触媒コンバータ60で浄化された排気ガスは、さらに、NSR触媒コンバータ60の下流側に配設されるDPNR触媒コンバータ61を通過する。このDPNR触媒コンバータ61は、排気ガスがセラミックスの隙間を通る間に、多孔質セラミック構造体に担持されたNOx吸蔵還元触媒で酸化や還元を行うことで、無害なガスへと化学変化させて排出する。具体的には、DPNR触媒コンバータ61は、空燃比をリーンにした場合に、当該DPNR触媒コンバータ61を構成すると共にフィルターの役割を果たす多孔質セラミック構造体でPM(Particulate Matter:粒子状物質)を一時的に捕集すると同時に、NOxを吸蔵する際に生成される活性酸素と排気ガス中の酸素とにより酸化浄化する。また、空燃比をリーンにした場合には、DPNR触媒コンバータ61はNOxを一旦吸蔵し、空燃比をリッチにした際に還元浄化する。また、空燃比をリッチにした場合には、DPNR触媒コンバータ61はNOxを還元浄化する際に生成される活性酸素によりPMを酸化浄化する。
【0051】
NSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61は、このように空燃比を変化させることにより排気ガスを浄化するが、空燃比をリッチにする場合には、ECU80の処理部81が有する排気浄化制御部85で、サプライポンプ26に接続されている遮断弁27を開くと共に排気燃料添加インジェクタ22を作動させる。これにより、添加燃料通路32を介してサプライポンプ26から排気燃料添加インジェクタ22に燃料が供給され、排気燃料添加インジェクタ22から排気ガスに対して燃料を噴射する。このため、NSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61に流れる排気ガスは、空燃比がリッチの状態になる。
【0052】
排気ガスの浄化は、空燃比をリッチやリーンにすることにより行うが、この空燃比の制御は排気通路16に設けられる空燃比センサ52や差圧検出通路65に設けられる差圧センサ66の検出結果等に基づいて行う。このうち、差圧センサ66は、差圧検出通路65が接続されている、排気通路16におけるNSR触媒コンバータ60の上流側とDPNR触媒コンバータ61の下流側との差圧を検出するが、差圧センサ66の検出結果は、ECU80の処理部81が有する差圧取得部86に伝達され、差圧取得部86で取得する。排気ガスの浄化を行うことを目的として空燃比を制御する際には、例えば、差圧取得部86で取得した差圧が排気浄化制御部85に伝達され、伝達された差圧が大きい場合には、排気燃料添加インジェクタ22から燃料を噴射し、排気ガスの空燃比をリッチにする。つまり、差圧が大きい状態とは、DPNR触媒コンバータ61で捕集したPMの量が多くなり、排気ガスが流れ難くなった状態であるため、この場合には排気ガスの空燃比をリッチにし、PMを酸化浄化する。
【0053】
NSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61は、これらのように排気ガスを浄化するが、NSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61は、温度が比較的低い場合には、排気燃料添加インジェクタ22で噴射した燃料はNSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61をすり抜けてしまう場合がある。この場合、NSR触媒コンバータ60やDPNR触媒コンバータ61では排気ガスの浄化が困難になる場合があるが、すり抜けた燃料がDPNR触媒コンバータ61の下流に配設される酸化触媒コンバータ62に到達し、酸化触媒コンバータ62でこの燃料を用いて酸化浄化を行うことにより、排気ガスを浄化する。燃焼室11から排出された排気ガスは、これらのNSR触媒コンバータ60、DPNR触媒コンバータ61、酸化触媒コンバータ62で浄化された後、大気に放出される。
【0054】
また、燃焼室11から排気通路16に排出された排気ガスの一部は、排気通路16に接続されているEGR通路70に流入し、EGRガスとして、EGR通路70における排気通路16に接続されている側の端部から、吸気通路15に接続されている側の端部に向けて流れる。
【0055】
このEGR通路70には、EGR触媒コンバータ71が配設されており、EGR通路70を流れるEGRガスは、このEGR触媒コンバータ71を通過する際に浄化される。EGR触媒コンバータ71で浄化されたEGRガスは、EGR通路70を流れるEGRガスの流れ方向におけるEGR触媒コンバータ71の下流側に配設されるEGRクーラ72を通過する。その際に、EGRクーラ72は、EGRガスと冷却水との間で熱交換を行わせる。これにより、EGRガスは、温度が低下する。
【0056】
EGRクーラ72によって温度が低下したEGRガスは、さらにEGR通路70を流れ、EGRバルブ73の方向に向かう。このEGRバルブ73は、ECU80の処理部81が有するEGRバルブ制御部87によって制御可能に設けられており、EGRバルブ制御部87は、EGRバルブ73を制御することによりEGRバルブ73の開度を調整する。
【0057】
ここで、EGRバルブ73が設けられるEGR通路70は、吸気通路15に接続されているが、吸気通路15内を流れる空気とEGR通路70内を流れるEGRガスとでは、EGR通路70内を流れるEGRガスの方が、吸気通路15内を流れる空気よりも圧力が高くなっている。このため、吸気通路15とEGR通路70とが連通した状態では、EGR通路70内を流れるEGRガスは、吸気通路15内に流入する。従って、EGRバルブ制御部87によってEGRバルブ73を制御し、EGRバルブ73の開度を大きくした場合には、EGR通路70内を流れるEGRガスの吸気通路15内への流入量は多くなり、EGRバルブ73の開度を小さくした場合には、吸気通路15内へのEGRガスの流入量は少なくなる。エンジン10の運転時には、このようにEGRバルブ73の開度に応じたEGRガスが吸気通路15に流れ、エンジン10は、吸気通路15を流れる空気と共に、EGRガスを吸気する。
【0058】
また、エンジン10の運転時には、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度センサ38で検出する。バイオ燃料濃度センサ38でバイオ燃料の濃度を検出した際における検出値は、ECU80の処理部81が有するバイオ燃料濃度取得部88で取得する。ECU80の処理部81が有する劣化判定部89は、このバイオ燃料濃度取得部88で取得したバイオ燃料濃度センサ38での検出値に基づいて、燃料タンク35に貯留されている燃料が劣化しているか否かを判定する。
【0059】
ここで、バイオ燃料の酸化劣化について説明する。実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1を備えるエンジン10は、バイオ混合軽油を燃料としているが、このバイオ混合軽油に含まれるバイオ燃料は、軽油と比較して密度が重くなっており、蒸留特性が悪くなっている。このため、燃料の特性は、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って、密度が重くなるなどバイオ燃料の特性に近付く。
【0060】
また、このような特性を有するバイオ燃料が混合される燃料をエンジン10の運転時の燃料とし、燃料タンク35に貯留した場合、時間が経過するに従って酸化劣化する場合がある。バイオ燃料が酸化劣化した場合には、燃料に含まれる酸素が増加し、燃料中の酸素濃度が増加するが、燃料中の酸素濃度が増加した場合、燃料は密度が重くなる。即ち、バイオ燃料が酸化劣化した場合には、バイオ燃料の濃度が濃くなった場合と同様な特性変化をする。このため、燃料タンク35に給油などを行わず、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度が一定の状態において、バイオ燃料の濃度が濃くなったような検出値が検出された場合には、バイオ燃料は酸化劣化していると判断することができる。従って、ECU80の処理部81が有する劣化判定部89は、バイオ燃料濃度取得部88で取得したバイオ燃料濃度センサ38での検出値が所定以上大きくなっている場合に、バイオ燃料は酸化劣化していると判定する。
【0061】
劣化判定部89で、バイオ燃料の酸化劣化を判定する場合は、バイオ燃料濃度取得部88で取得したバイオ燃料濃度センサ38での検出値が、バイオ燃料の劣化を判定する場合における基準値である劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する。この劣化判定基準値は、燃料タンク35に給油を行った後、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が一定になった状態での検出値になっており、燃料タンク35に給油を行う度に、給油後のバイオ燃料濃度センサ38での検出値が劣化判定基準値として設定される。劣化判定基準値として設定された検出値は、ECU80の記憶部100に記憶される。
【0062】
劣化判定部89で、バイオ燃料濃度センサ38での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する場合には、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値と劣化判定基準値との差が、バイオ燃料が劣化したか否かの判定の閾値となる判定基準差よりも大きい場合に、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定する。この判定により、劣化判定基準値に対するバイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値の増加分が、判定基準差よりも大きい場合には、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっており、バイオ燃料は酸化劣化していると判定する。
【0063】
バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定された場合、即ち、バイオ燃料が酸化劣化していると判定された場合には、ECU80の処理部81が有する燃料劣化時制御部91で、バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行う。この燃料劣化時制御は、燃料劣化時制御部91が有する燃料劣化伝達部92によって、運転席に設けられている表示装置75の警告表示をONにして、運転者に対して燃料が酸化劣化している旨を伝達する。これにより、酸化劣化した燃料でエンジン10の運転を続けることを抑制する。
【0064】
図3は、実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1の制御方法、即ち、当該バイオ燃料劣化判定装置1の処理手順について説明する。実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1の処理手順では、まず、燃料を給油したか否かを判定する(ステップST101)。この判定は、ECU80の処理部81が有する給油判定部95で行う。この給油判定部95は、エンジン10の停止時における燃料タンク35内の燃料の貯留量を、燃料タンク35に設けられる燃料レベルセンサ37での検出結果より取得して、ECU80の記憶部100に記憶する。
【0065】
給油判定部95で、燃料を給油したか否かを判定する際には、エンジン10の始動時に、現在の燃料タンク35内の燃料の貯留量を燃料レベルセンサ37での検出結果より取得し、取得した現在の燃料の貯留量と、記憶部100に記憶されている燃料の貯留量、即ち、前回のエンジン10の停止時における燃料の貯留量とを比較する。この比較により、現在の燃料の貯留量が、前回のエンジン10の停止時における燃料の貯留量よりも一定量以上越えていれば、給油判定部95は、燃料を給油したと判定する。なお、この判定の基準になる燃料の一定量は、予めECU80の記憶部100に記憶されている。この判定により、燃料を給油していないと判定された場合には、後述するステップST105に向かう。
【0066】
給油判定部95での判定(ステップST101)により、燃料を給油したと判定された場合には、次に、運転者への警告表示をOFFにする(ステップST102)。この警告表示は、運転席に設けられている表示装置75を、ECU80の処理部81が有する燃料劣化伝達部92で制御することにより行う。燃料劣化伝達部92は、表示装置75を制御することにより、燃料が劣化していることを示す警告表示をOFFにする。これにより、運転者への警告表示をOFFにすることができ、運転者に対して燃料が劣化していないことを伝達する。
【0067】
次に、バイオ燃料濃度の初期値Aを測定し、記憶する(ステップST103)。つまり、バイオ燃料が劣化しているか否かの判定に用いる劣化判定基準値は、燃料タンク35に給油を行った後、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が一定になった状態での検出値が用いられるため、燃料タンク35に燃料を給油したと判定された場合には、この状態のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度センサ38で測定して検出し、検出値をECU80の処理部81が有するバイオ燃料濃度取得部88で取得する。バイオ燃料濃度取得部88で取得した検出値はECU80の記憶部100に記憶する。
【0068】
詳しくは、燃料タンク35に給油を行った後、バイオ燃料濃度センサ38でバイオ燃料の濃度を検出し続け、検出値が一定値になるまで連続計測をしてバイオ燃料濃度取得部88で取得し続ける。このように、バイオ燃料の濃度を検出し続け、検出値が安定して一定値になったら、その検出値を初期値Aとして設定し、記憶部100に記憶する。この記憶部100に記憶した初期値Aが、バイオ燃料が劣化しているか否かの判定を行う際に用いる劣化判定基準値として用いられる。
【0069】
次に、初期値Aの測定後、計測時間T以上経過したか否かを判定する(ステップST104)。この判定は、ECU80の処理部81が有する経過時間判定部97で行う。経過時間判定部97は、初期値Aをバイオ燃料濃度センサ38で測定して記憶部100に記憶した後、バイオ燃料が劣化したか否かの判定を明確に行うことのできる時間である計測時間Tが経過したか否かを判定する。この計測時間Tは、バイオ燃料が劣化したか否かの判定をするのに必要最低限な時間として、バイオ燃料の劣化が進行する単位で予め設定され、記憶部100に記憶されている。
【0070】
計測時間Tの設定は、初期値AをECU80の処理部81が有する計測時間設定部96で取得し、初期値Aに応じて、即ちバイオ燃料の濃度に応じて計測時間設定部96で設定する。この設定は、例えば、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って計測時間Tが短時間になるように設定する。計測時間設定部96で設定した計測時間Tは、記憶部100に記憶する。経過時間判定部97は、初期値Aを測定した後の時間が、この記憶部100に記憶された計測時間T以上経過したか否かを判定する。この判定により、初期値Aの測定後、計測時間T以上経過していないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
【0071】
経過時間判定部97での判定(ステップST104)により、初期値Aの測定後、計測時間T以上経過したと判定された場合には、次に、バイオ燃料濃度の現状値Bを測定する(ステップST105)。つまり、初期値Aの測定後、バイオ燃料が劣化したか否かの判定を明確に行うことのできる時間である計測時間T以上経過したと判定された場合には、バイオ燃料の劣化を判定するため、バイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度センサ38で測定して検出し、検出値をバイオ燃料濃度の現状値Bとしてバイオ燃料濃度取得部88で取得する。
【0072】
次に、(現状値B−初期値A)>判定基準差Cであるか否かを判定する(ステップST106)。この判定は、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値に基づいて、ECU80の処理部81が有する劣化判定部89で行う。劣化判定部89は、この判定を行う際には、現状値BからECU80の記憶部100に記憶されている初期値Aを減算し、この減算により算出された値が、燃料が劣化したか否かの判定の基準となる判定基準差Cより大きいか否かを判定する。即ち、判定基準差Cは、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が大きくなった場合における閾値となっており、バイオ燃料濃度センサ38での検出値に基づいてバイオ燃料が劣化しているか否かの判定をする際における基準値として、予めECU80の記憶部100に記憶されている。
【0073】
このように、劣化判定部89は、現状値Bから初期値Aを減算した値と判定基準差Cとを比較し、現状値Bから初期値Aを減算した値、即ち、初期値Aに対する現状値Bの増加分が、判定基準差Cより大きい場合には、現状値Bである現在のバイオ燃料濃度センサ38での検出値が、初期値Aである劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定する。劣化判定部89での判定により、B−A>Cではないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
【0074】
劣化判定部89での判定(ステップST106)により、B−A>Cであると判定された場合には、次に、運転者への警告表示をONにする(ステップST107)。この警告表示は、表示装置75を、ECU80の処理部81が有する燃料劣化時制御部91及び燃料劣化時制御部91が有する燃料劣化伝達部92で制御することにより行う。燃料劣化時制御部91は、劣化判定部89での判定によりB−A>Cであると判定された場合には、バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行い、燃料劣化伝達部92は、具体的な燃料劣化時制御として表示装置75を制御する。燃料劣化伝達部92で表示装置75を制御することにより燃料劣化時制御を行う場合には、表示装置75を制御して、燃料が劣化していることを示す警告表示をONにする。これにより、運転者への警告表示をONにすることができ、運転者に対して燃料が劣化していることを伝達する。
【0075】
運転者は、表示装置75での警告表示がONになることにより、バイオ燃料が酸化劣化したことを認識できる。この場合、燃料タンク35に新たに燃料を給油したり、燃料タンク35内の燃料を早めに消費したり、燃料タンク内の燃料を抜き取ったりすることにより、バイオ燃料が酸化劣化した状態でエンジン10を運転し続けることを抑制できる。
【0076】
以上のバイオ燃料劣化判定装置1は、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度センサ38で検出し、この検出による検出値が劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると劣化判定部89で判定した場合に、燃料劣化時制御部91で燃料劣化時制御を行っている。ここで、バイオ燃料が酸化劣化した場合には、劣化が進行するに従ってバイオ燃料の濃度が濃くなったかのような特性変化を示す。このため、燃料タンク35に燃料が給油されることがなく、燃料タンク35内のバイオ燃料の濃度が一定の状態の場合においてバイオ燃料濃度センサ38での検出値が大きくなった場合には、バイオ燃料は酸化劣化していると判断することができる。従って、燃料タンク35に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度をバイオ燃料濃度センサ38で検出し、この検出による検出値が劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定された場合に燃料劣化時制御を行うことにより、バイオ燃料が酸化劣化していることを認識することができる。この結果、バイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0077】
また、ECU80の処理部81が有する燃料劣化時制御部91は、燃料が劣化したことを運転者に伝達する燃料劣化伝達部92を備えているため、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が所定以上大きくなっていると判定された場合に燃料劣化時制御を行うことにより、バイオ燃料が劣化したことを運転者に伝達することができる。即ち、車両の運転席に設けられる表示装置75を燃料劣化伝達部92で制御し、表示装置75の警告表示をONにすることにより、燃料が劣化したことを運転者に伝達することができる。この結果、より確実にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。また、このように燃料が劣化したことを運転者に伝達することにより、燃料タンク35内の燃料の交換を促すことができる。この結果、バイオ燃料が酸化劣化した状態で燃料タンク35内の燃料を使用し続けることを抑制できる。
【0078】
また、劣化判定部89で、バイオ燃料濃度センサ38での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かの判定を行う際に、バイオ燃料濃度センサ38で検出した検出値と劣化判定基準値との差が、判定基準差よりも大きい場合に、バイオ燃料濃度センサ38での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定している。詳しくは、劣化判定基準値を初期値Aとし、バイオ燃料濃度センサ38で検出した現在の検出値を現状値Bとし、判定基準差を判定基準差Cとした場合において、現状値Bから初期値Aを減算した値が判定基準差Cよりも大きい場合、即ち(現状値B−初期値A)>判定基準差Cを満たしている場合に、バイオ燃料濃度センサ38での検出値は劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定している。このように、バイオ燃料濃度センサ38での検出値を判定する際に、判定基準差と比較して判定することにより、バイオ燃料濃度センサ38での検出値が所定以上大きくなったか否かを、より正確に判定することができる。この結果、より正確にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0079】
また、劣化判定基準値を、燃料タンク35に燃料を給油した場合におけるバイオ燃料濃度センサ38での検出値である初期値Aにしているため、給油時の燃料に対する燃料の劣化を検知することができる。つまり、劣化判定基準値を、燃料タンク35に燃料を給油した場合におけるバイオ燃料濃度センサ38での検出値にすることにより、バイオ燃料濃度センサ38による現在の検出値である現状値Bを、燃料タンク35への給油時の燃料のバイオ燃料濃度センサ38での検出値である初期値Aと比較することができる。従って、バイオ燃料濃度センサ38での検出値に基づいて燃料の劣化を検知する際に、給油時の燃料に対する劣化を検知することができる。この結果、より確実にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0080】
なお、実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置1では、バイオ燃料が劣化したか否かの判定に判定基準差Cを用いているが、バイオ燃料が劣化したか否かの判定の基準となる閾値であり、現状値Bと初期値Aとの差と比較する判定基準差Cは、バイオ燃料の濃度に応じて異なった値が用いられるのが好ましい。例えば、燃料タンク35に燃料を給油した場合におけるバイオ燃料の濃度である初期値Aに対する判定基準差Cのマップを予め作成してECU80の記憶部100記憶しておき、(現状値B−初期値A)>判定基準差Cの判定に行う際には、初期値Aに基づいて記憶部100に記憶されたマップより判定基準差Cを読み取り、読み取った値を用いてこの判定を行ってもよい。これにより、バイオ燃料の濃度に関わらず、より正確にバイオ燃料の酸化劣化を検知することができる。
【0081】
また、このように初期値Aに対する判定基準差Cのマップを作成する場合、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って、或いは初期値Aが大きくなるに従って判定基準差Cを小さくして作成するのが好ましい。バイオ燃料の酸化劣化は、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って燃料全体での影響が大きくなるため、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って判定基準差Cを小さくすることにより、バイオ燃料が酸化劣化したか否かの判定をする際に、バイオ燃料の濃度が濃くなるに従って、バイオ燃料が酸化劣化したとの判定になり易くすることができる。これにより、バイオ燃料が酸化劣化した際における不具合を、より確実に低減することができる。
【0082】
また、燃料が劣化していることを運転者に伝達する手段として、上述したバイオ燃料劣化判定装置1では、表示装置75の警告表示によって伝達しているが、伝達する手段はこれ以外の手段でもよい。例えば、燃料が劣化した場合には、車内に設けられるスピーカ(図示省略)から、警告音や音声によって運転者に対してバイオ燃料が劣化していることを伝達してもよい。
【0083】
また、燃料劣化時制御部91による燃料劣化時制御として、上述したバイオ燃料劣化判定装置1では、表示装置75で警告表示を行うことにより運転者に対してバイオ燃料が劣化していることを伝達しているが、燃料劣化時制御は、これ以外の制御を行ってもよい。例えば、バイオ燃料が酸化劣化していると判定された場合における燃料劣化時制御として、メイン燃料インジェクタ21や排気燃料添加インジェクタ22での燃料噴射量を変更するなど、酸化劣化したバイオ燃料でエンジン10を運転した場合における不具合を低減する制御を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係るバイオ燃料劣化判定装置は、バイオ燃料を含む燃料によって運転する内燃機関に有用であり、特に、バイオ燃料の混合率が高い場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置を備えるエンジンの概略構成図である。
【図2】図1に示すバイオ燃料劣化判定装置の要部構成図である。
【図3】実施例に係るバイオ燃料劣化判定装置の処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0086】
1 バイオ燃料劣化判定装置
10 エンジン
11 燃焼室
15 吸気通路
16 排気通路
21 メイン燃料インジェクタ
22 排気燃料添加インジェクタ
25 コモンレール
26 サプライポンプ
30 メイン燃料通路
31 機関燃料通路
32 添加燃料通路
33 リターン通路
35 燃料タンク
37 燃料レベルセンサ
38 バイオ燃料濃度センサ
40 ターボチャージャ
45 インタークーラ
46 スロットルバルブ
47 エアフロメータ
51 排気温センサ
52 空燃比センサ
60 NSR触媒コンバータ
61 DPNR触媒コンバータ
62 酸化触媒コンバータ
65 差圧検出通路
66 差圧センサ
70 EGR通路
75 表示装置
80 ECU
81 処理部
82 スロットルバルブ制御部
83 吸入空気量取得部
84 燃料噴射量制御部
85 排気浄化制御部
86 差圧取得部
87 EGRバルブ制御部
88 バイオ燃料濃度取得部
89 劣化判定部
91 燃料劣化時制御部
92 燃料劣化伝達部
95 給油判定部
96 計測時間設定部
97 経過時間判定部
100 記憶部
101 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバイオ燃料を含有すると共に内燃機関の運転に用いられる燃料中の前記バイオ燃料の濃度を検出可能なバイオ燃料濃度検出手段と、
前記バイオ燃料濃度検出手段での検出値が、前記バイオ燃料の劣化を判定する場合における基準値である劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっているか否かを判定する劣化判定手段と、
前記劣化判定手段で、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値は前記劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定した場合に、前記バイオ燃料が劣化した場合における制御である燃料劣化時制御を行う燃料劣化時制御手段と、
を備えることを特徴とするバイオ燃料劣化判定装置。
【請求項2】
前記燃料劣化時制御手段は、少なくとも前記燃料劣化時制御時に前記内燃機関を搭載する車両の運転者に対して前記バイオ燃料が劣化したことを伝達する燃料劣化伝達手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバイオ燃料劣化判定装置。
【請求項3】
前記劣化判定手段は、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値と前記劣化判定基準値との差が、前記バイオ燃料が劣化したか否かの判定の閾値となる判定基準差よりも大きい場合に、前記バイオ燃料濃度検出手段で検出した前記検出値は前記劣化判定基準値に対して所定以上大きくなっていると判定することを特徴とする請求項1または2に記載のバイオ燃料劣化判定装置。
【請求項4】
前記劣化判定基準値は、前記燃料を貯留する燃料貯留手段に前記燃料を給油した場合における前記バイオ燃料濃度検出手段での前記検出値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオ燃料劣化判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−227077(P2009−227077A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74213(P2008−74213)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】