説明

バッキング材

【課題】 連続通気型ポリウレタンシートに熱硬化性ポリウレタン発泡体を塗付して加熱発泡させることにより、これらを、接着剤を用いて貼着するという煩わしい工程を経ることなく、軽くて扱い易い低密度、低硬度のポリウレタンフォームからなるバッキング材を迅速、安価に提供可能にする。
【解決手段】 長孔が2.0μm以下の微細な開孔を有し、厚みが5μm以上100μm以下であり、密度が840kg/m以上1210kg/m以下の連続通気型発泡ポリウレタンシートであって、その一面側に熱硬化性ポリウレタン発泡体が熱溶着されて一体に形成されており、研磨対象物を保持するための定盤には前記熱硬化性ポリウレタン発泡体の他面側を固着させ、連続通気型発泡ポリウレタンシートの他面側を研摩対象物に当接させることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク基板、半導体基板または半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用のガラス基板などの各種基板、LCDなどの表面を研磨する際に、定盤と研磨対象物との間に介在されて、前記研磨対象物(被研磨物)を保持するバッキング材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの記憶手段として用いられるハードディスク基板、シリコーン棒から切り出したシリコンウエハ、液晶ディスプレイ用のガラス基板などの研磨対象物(以下、被研磨物とも称す。)を製造する場合には、高い精度での平坦性が求められる。このため、これらの基板の表面は研磨粒子を用いて研磨加工される。通常、これらの研磨対象物の研磨加工には片面研磨機が使用されている。従って、この研磨加工では研磨対象物を保持する必要があるが、研磨対象物と定盤等を直接接触させると研磨対象物に傷が発生してしまう。この様な傷の発生を回避するために、従来から研磨対象物の保持に適する多孔質型のポリウレタン発泡体からなるバッキング材が広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、前記ポリウレタン発泡体は、研磨対象物との吸着面(接触面)に緻密で、しかも内部より密度の高い発泡表面層(スキン層)を持つことが好ましく、従って、このポリウレタン発泡体は、水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基板に塗布した後、水系凝固液中で凝固再生させる、いわゆる湿式成膜法で製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、ポリエステルポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒および撥水付与剤を含むポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡および硬化させるに際して、発泡時における温度を低く設定することにより、表面に密度の高い前記スキン層を形成するバッキング材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、研磨対象物とバッキング材との間に空気の咬み込みを防止すると共に、バッキング材内部への水と研磨粒子のスラリーの浸入しない保持パッド(バッキング材)として、基材の上に弾性体を積層し、次いでこの弾性体の表面を研磨により平滑加工し、その平滑化された面に粘着性の樹脂をコーティングし、その樹脂が完全に硬化する前に凹凸を有するフィルムを圧着し、樹脂の硬化後フィルムを剥離することにより製造するバッキング材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−062059
【特許文献2】特開2006−334745
【特許文献3】特開2002−355755
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の(例えば、特許文献1に記載のような)湿式成膜法は湿式であるため発泡層の密度が高いものしかできず、また厚み精度も悪いために研磨を行う必要があった。さらに塗布された樹脂が水混和性有機溶媒の30%液で現場発泡方式によって製造されたためか圧縮した場合の復元回復性が悪く、いわゆる「へたり」が生じ、その結果、長期使用ができないという不都合があった。また、生産性が悪く、コストが高くなるという課題もあった。これらの課題に加えて、湿式成膜法は生産時にN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤を大量に使用するため、環境汚染の面からも大きな課題を負うことになる。また、湿式成膜法で製造されたウレタンは、高発泡フォームにした場合、フォーム硬さ、厚みを自在に可変することが難しい。
【0008】
また、前記従来の低温での(例えば、特許文献2に記載のような)スキン形成技術にあっては、表面皮膜がポーラスとなるため研磨砥粒が皮膜の気孔内に入り込んでしまう。このため、皮膜の密度を上げるために整泡剤を用いない組成でパッド体(バッキング材)を製造しているが、弾性体としてのウレタン発泡体の密度が600〜800kg/mと極めて高い製品となってしまい、重量大でしかも原料費が高くなるという課題があった。
【0009】
さらに、前記従来の(例えば、特許文献3に記載のような)被着体(研磨対象物)とバッキング材との間に空気の咬み込みを防いで平らなバッキング面を得ようとするバッキング材では、前記の粘着性樹脂表面の凹凸形状により、被研磨物(研磨対象物)と、保持パッド(バッキング材)間に噛み込まれたエアーはある程度分散される。しかし、上記弾性体の研磨加工面がスキン層の様に平滑かつ均一で無い為、樹脂コーティングが平滑にならない。更に、凹凸形状の圧着が場所によりバラツキがある為、出来た保持パッド(バッキング材)の平滑性・均一性は劣る。その結果、大型化が進む液晶テレビ用のガラス基板など、面積の大きな被研磨物では、被研磨物と保持パッド(バッキング材)の間に咬み込まれたエアー量が大きくなるとエアーの貯留が発生する。また、被研磨物と保持パッド(バッキング材)の間の水量が一定で無い為、一定の保持力が発現できないという課題があった。
【0010】
本発明者は、このような課題を解決せんと鋭意研究の結果、発泡ポリウレタンシートと熱硬化性ポリウレタン発泡体との一体成形によってウレタンフォームを接着材なしで簡単、確実に一体化でき、研磨対象物に当接する側の発泡ポリウレタンシートと定盤に固着される側の熱硬化性ポリウレタン発泡体とをそれぞれに適正な特性とすることができると共に、高圧力、高回転の研磨に耐えるのに十分な被研磨物の保持力を得ることを見出し、前記課題を解決し、次の課題にも応えるバッキング材を提供するものである。
【0011】
(1)生産時のN,Nジメチルホルムアミドなどの溶剤使用量を抑制することで、環境面での改善が図れる。
(2)被研磨物の保持力を高めて、より高圧力・高回転の研磨に対応できる保持力を有する。
(3)被研磨物のセット時にエアーを貯留し難くして、大面積のガラスや基板のバッキング材装着時に咬んだエアーの貯留を少なくすることができる。
(4)低密度で低硬度とすることで軽くて扱い易くし、低硬度のバッキング材の要求に対応できる。
(5)復元性に優れ、長期使用でも「へたり」が少ないので、コストを低減できる。
(6)2倍の耐久性(耐磨耗性)を持ち、コストの低減に寄与できる。
(7)表面開孔径が2.0μm以下のバッキング材を用いて、酸化セリウム等の微細な研磨材の浸入を防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1に係るバッキング材は、長孔が2.0μm以下の微細な開孔を有し、厚みが5μm以上100μm以下であり、密度が840kg/m以上1210kg/m以下の連続通気型発泡ポリウレタンシートであって、その一面側に熱硬化性ポリウレタン発泡体が一体に形成されており、研磨対象物を保持するための定盤には前記熱硬化性ポリウレタン発泡体の他面側を固着させ、連続通気型発泡ポリウレタンシートの他面側を研摩対象物に当接させることを特徴とする。
【0013】
この構成により、連続通気型発泡ポリウレタンシートと熱硬化性ポリウレタン発泡体との一体成形によってバッキング材(ウレタンフォーム)を接着材なしで簡単、確実に一体化でき、しかも高圧力、高回転の研磨に耐えるのに十分な被研磨物の保持力を得ることができる。
また、連続通気型発泡ポリウレタンシートと熱硬化性ポリウレタン発泡体との一体化によってバッキング材全体として、高い性能を有するものとすることができる。例えば、熱硬化性ポリウレタン発泡体は、厚みが大きく密度が小さく好適な圧縮応力や長期使用での「へたり」が少なく、低吸水性のものとすることができ、連続通気型ポリウレタンシートは、研磨対象物を吸着する表皮材として開孔径が小さく厚みが薄くて密度が大きく、大面積のガラスや基板などの研磨対象物の装着時に、エアーが貯留することがなく、研磨対象物との吸着性が良好なものとすることができ、これによりバッキング材として優れたものとすることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係るバッキング材は、前記連続通気型発泡ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂、2−ブタノン、トルエン、N,Nジメチルホルムアミドおよび水、界面活性剤を必須成分とする混合液を工程紙に塗付し、加温することにより得られることを特徴とする。
【0015】
この構成により、前記ポリウレタンを含む所定量の混合液を工程紙上にスムースに塗工でき、これにより連続通気型発泡ポリウレタンシートの表面に緻密な発泡表面層(スキン層)が形成され、その表面にミクロな平坦性を付与でき、結果として研磨対象物に対する良好な接触性および保持を可能にする。
【0016】
また、本発明の請求項3に係るバッキング材は、前記連続通気型発泡ポリウレタンシートに配合されるトルエン量は12重量%から22重量%、N,Nジメチルホルムアミド量は1.0重量%から1.8重量%、水量は1重量%から14重量%、界面活性剤の添加量は0.1重量%から10重量%であることを特徴とする。
【0017】
トルエンは、希釈溶剤であり、配合量が12重量%未満では、発泡にムラが生じ外観不良を起こし、22重量%を超えると攪拌中に原料が分離してしまうので、トルエンの配合量は12重量%から22重量%の範囲がよい。
N,Nジメチルホルムアミドは、ポリウレタン原料を溶解させ、開孔径を制御できる。1.0重量%未満では発泡ムラを生じ、開孔径が大きくなり、スラリーが滲入(浸入)し、1.8重量%を超えると発泡ポリウレタンシートが非発泡となりエアー残留性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなるので好ましくない。従って、その配合量は、1.0重量%から1.8重量%の範囲が好ましい。
水は発泡剤であり、配合量が1重量%未満では、発泡ポリウレタンシートが非発泡となり、エアー残留性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなり、14重量%を超えると開孔径が大きくなり、スラリーが滲入(浸入)するようになるので好ましくない。従って、水の配合量は、1重量%から14重量%の範囲が好ましい。
界面活性剤の配合量が0.1重量%未満では、発泡ポリウレタンシートが非発泡となり、エアー残留性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなるので好ましくなく、10重量%を超えると攪拌中に原料が分離する。従って、その配合量は、0.1重量%から10重量%の範囲がよい。界面活性剤としては、フッ素界面活性剤が好ましく、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物やポリジメチルシロキサンアルキレンオキシド共重合体を挙げることができる。
【0018】
さらに、本発明の請求項4に係るバッキング材は、前記熱硬化性ポリウレタン発泡体の定盤への固着面に粘着材が塗工されているか、または粘着テープが貼り合わされていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、定盤に容易に取り付けすることができると共に、高圧力、高回転の研磨時にも被加工物を吸着しているバッキング材を容易に外れないように定盤に対し安定的に保持させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバッキング材によれば、次のような効果を奏する。
(1)連続通気型ポリウレタンシートと熱硬化性ポリウレタン発泡体との一体成形によってバッキング材(ウレタンフォーム)を接着材なしで簡単、確実に一体化でき、しかも高圧力、高回転の研磨に耐えるのに十分な被研磨物の保持力を得ることができる。
また、連続通気型ポリウレタンシートと熱硬化性ポリウレタン発泡体との一体成形による一体化によってバッキング材全体として、高い性能を有するものとすることができる。例えば、熱硬化性ポリウレタン発泡体は、厚みが大きく密度が小さく好適な圧縮応力や長期使用での「へたり」が少なく、低吸水性のものとすることができ、連続通気型発泡ポリウレタンシートは、研磨対象物を吸着する表皮材として開孔径が小さく厚みが薄くて密度が大きく、大面積のガラス板や基板などの研磨対象物の装着時に、エアーが貯留することがなく、研磨対象物との吸着性が良好なものとすることができ、これによりバッキング材として優れたものとすることができる。
(2)生産時のN,Nジメチルホルムアミドなどの溶剤使用量を抑制することで、環境面での改善が図れる。
(3)被研磨物の保持力を高めて、より高圧力・高回転の研磨に対応できる保持力を有する。
(4)被研磨物のセット時にエアーを貯留し難くして、大面積のガラス板や基板のバッキング材装着時に咬んだエアーの貯留を少なくすることができる。
(5)低密度で低硬度とすることで軽くて扱い易くし、低硬度のバッキング材の要求に対応できる。
(6)復元性に優れ、長期使用でも「へたり」が少ないので、コストを低減できる。
(7)2倍の耐久性(耐磨耗性)を持ち、コストの低減に寄与できる。
(8)表面開孔径が2.0μm以下のバッキング材を用いて、酸化セリウム等の微細な研磨材の滲入(浸入)を防ぐことができる。
【0021】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るバッキング材を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るバッキング材の製造工程を工程順(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示す断面説明図である。
【図3】図2に示す製造工程で得られたバッキング材の使用例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態にかかるバッキング材を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るバッキング材を示す断面図である。このバッキング材は、基材1上に連続通気型発泡ポリウレタンシート(以下、単に発泡ポリウレタンシートと略称する)2が設けられ、この発泡ポリウレタンシート2上に熱硬化性ポリウレタン発泡体3が一体に形成され、この上に基材付き粘着層5が粘着材6を介し設けられている。基材付き粘着層5は、通常、粘着テープが使用される。本例の基材付き粘着層5は、粘着材6、PETフィルム7、粘着材8と、セパレータ(剥離紙)9とを順に貼り合わせたものからなる。このバッキング材は、概略次のような工程で作られる。基材1上に連続通気型発泡ポリウレタンシート2を設け、この発泡ポリウレタンシート2上に熱硬化性ポリウレタン原料3aを塗布し、さらにこの熱硬化性ポリウレタン原料3aの上に基材4を被せて、基材1、4間に挟まれた発泡ウレタンシート2および熱硬化性ポリウレタン原料3aを加熱して熱硬化性ポリウレタン原料3aを発泡させ、熱硬化性ポリウレタン発泡体3として発泡ポリウレタンシート2と一体成形した弾性体とする。なお、これとは逆に、基材4に熱硬化性ポリウレタン原料3aを塗付し、これに基材1に設けた発泡ポリウレタンシート2を被せることによっても、前記同様の弾性体を得ることができる。
【0024】
また、この弾性体から基材を剥離して、露出した熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を研磨して平滑化し、その平滑面に基材付き粘着層5を貼り合せて所定形状にカットして、所期のバッキング材を得る。
【0025】
前記基材1は、この上にポリウレタン樹脂溶液を主成分とする配合液を塗布し、加熱発泡させて発泡ポリウレタンシート2を形成する基材であり、研磨使用時には発泡ポリウレタンシート2から剥離して定盤に貼り付けるので、剥離可能なものが好ましい。基材1としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)フィルム、あるいは紙にポリプロプレンフィルムをラミネートした複合フィルムを挙げることができる。
【0026】
発泡ポリウレタンシート2は、研磨対象物を吸着する表皮材として開孔径が小さく、厚みが薄くて(5〜100μm以下)密度が大きく(840〜1210kg/m以下)、大面積のガラス板や基板などの研磨対象物の装着時に、エアーが貯留することがなく、研磨対象物との吸着性が良好なものが好ましい。従って、発泡ポリウレタンシート2は、長径が2.0μm以下の微細な開孔を有する連続通気構造とし、厚みが5〜100μm以下とする。長径が2.0μm以下の微細な開孔は、密度を840〜1210kg/mとすることで形成できる。長径が2.0μm以下の微細な開孔とすることで、研磨対象物の吸着性が良好となり、発泡ポリウレタンシート2に研磨対象物を吸着させる際に、連続通気構造(密度840〜1210kg/m)を通して空気を外部に逃すことができ、空気の咬み込みを防止できる。
【0027】
また、発泡ポリウレタンシート2としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることができる。また、この発泡ポリウレタンシート2はポリウレタン樹脂、2−ブタノン、トルエン、N,Nジメチルホルムアミドおよび水、界面活性剤を必須成分とする混合液を基材(工程紙)1に塗布し、加温することにより得ることができる。
【0028】
トルエンは、配合量が12重量%未満では発泡ムラが生じ、外観不良を起こし、22重量%を超えると攪拌中に原料が分離してしまうので、その配合量は12重量%から22重量%の範囲がよい。
水は、配合量が1重量%未満では、発泡ポリウレタンシートが非発泡となり、エアー残量性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなり、14重量%を超えると開孔径が大きくなり、スラリーが滲入(浸入)するようになるので好ましくない。従って、水の配合量は、1重量%から14重量%の範囲が好ましい。
【0029】
ポリウレタン樹脂溶液のクリスボンS501中のN,Nジメチルホルムアミド量が1.0重量%未満では発泡ムラを生じ、開孔径が大きくなり、スラリーが滲入(浸入)するので好ましくなく、1.8重量%を超えると発泡ポリウレタンシートが非発泡となりエアー残留性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなるので好ましくない。従って、その配合量は、1.0重量%から1.8重量%の範囲が好ましい。
界面活性剤は、配合量が0.1重量%未満では、発泡ポリウレタンシートが非発泡となり、エアー残留性が生じ、研磨対象物の保持力も悪くなるので好ましくなく、10重量%を超えると攪拌中に原料が分離するので好ましくない。従って、その配合量は、0.1重量%から10重量%の範囲が好ましい。
【0030】
熱硬化性ポリウレタン発泡体3は、厚みが大きく密度が小さく、好適な圧縮応力や長期使用での「へたり」が少なく、低吸水性のものが好ましい。また、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の定盤10への固着面に粘着材を塗工したり、あるいは粘着テープを張り合わせたりすることで、バッキング材の定盤への取り付けを容易かつ確実なものとすることができる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係るバッキング材の製造工程について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るバッキング材の製造工程を工程順(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示す断面図である。
まず、工程1として、図2(a)に示すように、基材1としてのPETフィルムあるいは紙にポリプレンフィルムをラミネートした複合フィルムの上に、発砲ポリウレタン混合液(熱可塑性ポリウレタン樹脂または熱硬化性ポリウレタン樹脂)を、スキージ等を用いて塗工し、加温させて発泡ポリウレタンシート2とする。この発泡ポリウレタンシート2の厚みは5μm以上100μm以下(好ましくは60μm以下)とし、密度を840〜1150kg/mとする。
【0032】
次に、工程2として、図2(b)に示すように発泡ポリウレタンシート2上に熱硬化性ポリウレタン原料3aを塗布し、その熱硬化性ポリウレタン原料3aの上に基材4を被せて加熱して(80℃×2min、120℃×4min)、発泡させることで、発泡ポリウレタンシート2上に熱硬化性ポリウレタン発泡体3が熱溶着されて一体成形された図2(c)に示すようなウレタンフォームが形成される。
【0033】
次に工程3として、ウレタンフォームを構成する前記基材4を図3(d)に示すように取り除き、露出した熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を研磨して平滑化する。なお、使用条件によっては、この熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面の研磨は不要である。
【0034】
次の工程4として、平滑に研磨した熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面に基材付き粘着層5を設ける(貼り付ける)。具体的には、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面に粘着材6と、PETフィルム7と、粘着材8と、セパレータ9とからなる基材付き粘着層5を図2(e)に示すように貼り合せる。
【0035】
このようにして形成されたバッキング材は、使用に際しては図3に示すように、切断面に防水処理11を行う。なお、使用条件によってはこの防水処理は不要である。そして使用時には、図3に示すように前記基材1を発泡ポリウレタンシート2から剥すとともに、セパレータ9を粘着材8から剥して、この粘着材8側を片面研磨機の定盤10の支持面に貼り付ける。このとき発泡ポリウレタンシート2が最上面に位置し、この最上面に半導体基板やガラス板などの被研磨物を傷付けることなく安定かつ安全に吸着して、高圧力、高回転での研磨加工を可能にする。
【0036】
本実施形態では、発泡ポリウレタンシートと、これとは別工程で得た熱硬化性フォーム体とを接着層で貼り合わせるというような複雑な工程を経ずに、発泡ポリウレタンシート2と熱硬化性ポリウレタン発泡体3との一体成形によってウレタンフォームを接着材なしで一体化でき、高圧力、高回転の研磨に耐えるのに十分な研磨物の保持力を得ることができる。
【0037】
次に実施例および比較例を挙げて説明する。なお、各実施例および比較例で、前記図1乃至図3に示す実施の形態と同一符号は、同様な構成要素を示す。なお、各実施例および各比較例の%は、重量%である。また、各実施例および各比較例において、ポリウレタン樹脂溶液としてのクリスボンS−501の配合量の数値の次に()内で示した数値は、ポリウレタン樹脂溶液としてのクリスボンS−501中のN,Nジメチルホルムアミド量の数値である。
【実施例1】
【0038】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)46.9%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.8%(1.68%)、希釈溶剤としてトルエンを22.1%、2−ブタノン11.1%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水1%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み23μmで密度1204kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大1μmと微細セルであった。
次にポリウレタン原料のポリオールとしてポリオキシプロピレングリセリルエーテル(三洋化成工業株式会社製サンニックスGP−3000)100部とポリイソシアネートとしてカルボジイミド変性4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製コロネートC−98、NCO29.5%)を44部、30℃で温調した。更に触媒としてジブチルチンジラウレート(日東化成株式会社製ネオスタンU−100)を0.4部、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(三共エアプロダクツ株式会社製Dabco33LV)0.03部、発泡剤として水を0.1部添加、顔料2部、界面活性剤としてシリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製SH192)を1部添加し、よく攪拌した後に離型処理したPETフィルム基材4上に塗布し、PETフィルム基材1付き発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、50℃×1.5min、90℃×1.5minn加温し、厚み1mm密度;300kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。更にPETフィルム基材4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
【実施例2】
【0039】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)40.2%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.4%(1.41%)、希釈溶剤としてトルエンを19%、2−ブタノン10.9%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水13.8%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み30μmで密度850kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大2μmと微細セルであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;320kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例3】
【0040】
ポリウレタン樹脂溶液(大日精化工業株式会社製ハイムレンATX−10)44.1%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)15.8%(1.58%)、希釈溶剤としてトルエンを20.8%、2−ブタノン11%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水6.5%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み25μmで密度940kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大1.5μmと微細セルであった。
次にポリウレタン原料として、ポリオールとしてダイマー酸ポリエステルジオール(分子量1236、水酸基価104.4、DIC株式会社製UA2812)100部とポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとPPGとのプレポリマー(イソシアネート含有量13.1wt%、日本ポリウレタン株式会社製DC6974)をNCO/OH比率=1.05で混ぜ、35℃で温調した。更に触媒として1,8−ジアザ・ビシクロ[5,4,0]ウンデセン・7有機酸塩(三洋化成工業株式会社製SA102)を0.4部、発泡剤として水を0.7部添加し、よく攪拌した後に離型処理したPETフィルム基材4上に塗布し、PETフィルム基材1付き発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、80℃×2min、120℃×4minn加温し、厚み1mm密度;198kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。更にPETフィルム基材4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
【実施例4】
【0041】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)44.1%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)15.8%(1.58%)、希釈溶剤としてトルエンを12.5%、2−ブタノン19.4%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水6.5%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み23μmで密度970kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大1.5μmと微細セルであった。
次に、ポリオール成分のポリテトレメチレングリコール(分子量2000、水酸基価57、三菱化学株式会社製PTMG2000)100部及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(三井化学株式会社製IR94)5部とポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとPPGとのプレポリマー(イソシアネート含有量13.1wt%、日本ポリウレタン株式会社製DC6974)をNCO/OH比率=1.05で混ぜ、35℃で温調した。更に触媒として1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]ウンデセン・7有機酸塩(三洋化成工業株式会社製SA102)0.4部、発泡剤として水を0.5部添加し、よく攪拌した後にポリウレタン原料を塗布し、PETフィルム基材1付発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、80℃×2min、120℃×4minn加温し、厚み1mm密度;399kg/mの弾性体を得た。更に4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
【実施例5】
【0042】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)46.9%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.8%(1.68%)、希釈溶剤としてトルエンを22.5%、2−ブタノン10.7%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水1%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み22μmで密度1195kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大1μmと微細セルであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;330kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例6】
【0043】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)40.4%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.5%(1.45%)、希釈溶剤としてトルエンを19.4%、2−ブタノン10.6%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.1%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水13.8%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み24μmで密度930kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大2μmと微細セルであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;298kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例7】
【0044】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)46%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.5%(1.65%)、希釈溶剤としてトルエンを21.7%、2−ブタノン10.9%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))2.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水1%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み23μmで密度1200kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大1μmと微細セルであった。
以降は実施例4と同様に作製し、厚み1.5mm密度;380kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例8】
【0045】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)46.4%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)17.7%(1.77%)、希釈溶剤としてトルエンを21.9%、2−ブタノン11%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水1%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み19μmで密度1200kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大0.5μmと微細セルであった。
次にポリウレタン原料として、ポリオールとしてダイマー酸ポリエステルジオール(分子量1236、水酸基価104.4、DIC株式会社製UA2812)100部とポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとPPGとのプレポリマー(イソシアネート含有量13.1wt%、日本ポリウレタン株式会社製DC6974)をNCO/OH比率=1.05で混ぜ、35℃で温調した。更に触媒として1,8−ジアザ・ビシクロ[5,4,0]ウンデセン・7有機酸塩(三洋化成工業株式会社製SA102)を0.4部、発泡剤として水を0.7部添加し、よく攪拌した後に離型処理したPETフィルム基材4上に塗布し、PETフィルム基材1付き発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、80℃×2min、120℃×4minn加温し、厚み1mm密度;205kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。更にPETフィルム基材4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた
【実施例9】
【0046】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)41.7%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)11.3%(1.13%)、希釈溶剤としてトルエンを19.7%、2−ブタノン11.4%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水14.3%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み30μmで密度840kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大2μmと微細セルであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;290kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例10】
【0047】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)45.2%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.2%(1.62%)、希釈溶剤としてトルエンを21.3%、2−ブタノン11.1%配合し、界面活性剤(シリコーン(信越化学株式会社製NP−210))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水4.4%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み18μmで密度1209kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。開孔径が最大0.2μmと微細セルであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;310kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。
【実施例11】
【0048】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)40.2%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.4%(1.44%)、希釈溶剤としてトルエンを8.5%、2−ブタノン21.4%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水13.8%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み21μmで密度900kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。最大開孔径は2μmであった。しかし、少し発泡ムラが生じた。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;288kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
次に比較例を挙げて説明する。
【比較例1】
【0049】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)39.4%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.1%(1.41%)、希釈溶剤としてトルエンを18.6%、2−ブタノン10.8%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水15.4%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み32μmで密度800kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。最大開孔径が2.5μmとなった。
次にポリウレタン原料として、ポリオールとしてダイマー酸ポリエステルジオール(分子量1236、水酸基価104.4、DIC株式会社製UA2812)100部とポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとPPGとのプレポリマー(イソシアネート含有量13.1wt%、日本ポリウレタン株式会社製DC6974)をNCO/OH比率=1.05で混ぜ、35℃で温調した。更に触媒として1,8−ジアザ・ビシクロ[5,4,0]ウンデセン・7有機酸塩(三洋化成工業株式会社製SA102)を0.4部、発泡剤として水を0.7部添加し、よく攪拌した後に離型処理したPETフィルム基材4上に塗布し、PETフィルム基材1付き発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、80℃×2min、120℃×4minn加温し、厚み1mm密度;220kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。更にPETフィルム基材4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
最大開孔径が2.5μmあったために、スラリーが浸入した。
【比較例2】
【0050】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)46.3%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.6%(1.66%)、希釈溶剤としてトルエンを23%、2−ブタノン10.1%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水2.3%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。しかし、攪拌最中に原料が分離してしまった。
【比較例3】
【0051】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)40.4%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.5%(1.45%)、希釈溶剤としてトルエンを19.0%、2−ブタノン11%配合し、界面活性剤を0%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水13.9%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み20μmで密度1250kg/mの非発泡のポリウレタンシート2を得た。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度;310kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。非発泡ポリウレタンシートのため、保持力が低下し、エアー残留性もNGとなった。
【比較例4】
【0052】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)54.7%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)0%、希釈溶剤としてトルエンを18.9%、2−ブタノン11%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水1.1%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み24μmで密度890kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。しかし、発泡にムラが生じた。最大開孔径が2.5μmであった。
以降は実施例1と同様に作製し、厚み1.5mm密度890kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。スラリー残留性がNGとなった。
【比較例5】
【0053】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)35%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)19.7%(1.97%)、希釈溶剤としてトルエンを18.9%、2−ブタノン11%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.5%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水13.8%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み21μmで密度1280kg/mの非発泡ポリウレタンシート2を得た。
次にポリウレタン原料として、ポリオールとしてダイマー酸ポリエステルジオール(分子量1236、水酸基価104.4、DIC株式会社製UA2812)100部とポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとPPGとのプレポリマー(イソシアネート含有量13.1wt%、日本ポリウレタン株式会社製DC6974)をNCO/OH比率=1.05で混ぜ、35℃で温調した。更に触媒として1,8−ジアザ・ビシクロ[5,4,0]ウンデセン・7有機酸塩(三洋化成工業株式会社製SA102)を0.4部、発泡剤として水を0.7部添加し、よく攪拌した後に離型処理したPETフィルム基材4上に塗布し、PETフィルム基材1付き発泡ポリウレタンシート2をポリウレタン原料と発泡ポリウレタンシートが接するように被せ、80℃×2min、120℃×4minn加温し、厚み1mm密度;204kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。更にPETフィルム基材4を取除き、熱硬化性ポリウレタン発泡体3の表面を平滑研磨し、厚み公差±0.02mmに調整した後に基材付粘着層5を貼り付けた。
非発泡ポリウレタンシートのため、保持力は低下した。
【比較例6】
【0054】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)47.5%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)17%(1.7%)、希釈溶剤としてトルエンを22.4%、2−ブタノン11.1%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.3%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水は添加せず攪拌した。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に200μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み15μmで密度1250kg/mの非発泡ポリウレタンシート2を得た。
以降は実施例4と同様に作製し、厚み1.5mm密度;365kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。非発泡ポリウレタンシートであったため、保持力が低下し、エアー残留性もNGとなった。
【比較例7】
【0055】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)40.4%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)14.5%(1.45%)、希釈溶剤としてトルエンを19.1%、2−ブタノン9.9%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))11%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水4%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.4%添加する。しかし、攪拌最中に原料が分離してしまった。
【比較例8】
【0056】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)45.2%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.2%(1.62%)、希釈溶剤としてトルエンを21.3%、2−ブタノン11.1%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水10.6%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に10μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み5μmで密度1180kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。
以降は実施例4と同様に作製し、厚み1.5mm密度;380kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。発泡ポリウレタンシートが薄いため、耐磨耗性が弱い結果となった。
【比較例9】
【0057】
ポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製ゾルテックスPX550)45.2%とポリウレタン樹脂溶液(DIC株式会社製クリスボンS−501)16.2%(1.62%)、希釈溶剤としてトルエンを21.3%、2−ブタノン11.1%配合し、界面活性剤(パーフルオロアルキレンエチレンオキシド共重合体(AGCセイミケミカル株式会社製S420))0.6%、顔料(大日精化工業株式会社製セイカセブンX2710ブラック)0.2%をそれぞれ加え、1000rpmで攪拌し、均一にする。その後、攪拌機の攪拌速度を1500rpmに上げ、発泡剤として水10.6%を5回に分け、攪拌しながら加える。更に、架橋剤としてゾルテックスCL−15及び触媒としてクリスボンアクセルT−81Eを各0.5%添加する。良く攪拌しながら25℃に調整した。PETフィルム基材1に570μm間隙のスキージを用いて塗工し50℃×1.5min、90℃×1.5min間乾燥させ、厚み120μmで密度1140kg/mの発泡ポリウレタンシート2を得た。
以降は実施例4と同様に作製し、厚み1.5mm密度;394kg/mの熱硬化性ポリウレタン発泡体3を得た。その後、粘着テープ付複合ウレタンシートを作製した。発泡ポリウレタンシートが厚いため、溶剤のとっ沸跡がピンホール(開孔径70μm)となり、スラリー残留性がNGとなった。また、乾燥時間を要し、乾燥不十分の箇所もあった。
【0058】
前記各実施例および各比較例の物理特性(物性)は、表1〜表4に示す通りである。
なお、この物理特性の測定方法は、次の通りである。
保持力:試験治具に50×50mm角のサンプル片を貼付け、8g/cmの荷重がかかるように調整する。50μlの水をガラス上に滴下し、その上にサンプル片を馴染ませ、静値させる。ガラス板と水平方向にサンプル片を引張り、サンプル片がずれる時の引張力のピーク値を測定した。単位;N(ニュートン) 引張速度;100mm/min。試験機;UT4−5KN
エアー残留性:100×100mm角のガラス板を100μlの霧状の水で濡らした保持パッド材上に5°の傾きをつけた状態から静かに置く。ガラス板上に400gのおもりを1分置いた後、おもりを外し、エアーの有無を確認する。○;エアー残留無し、 ×;エアー残留有り。
スラリー残留性:100×100mm角のガラス板上に0.1mlの研磨用スラリー液を滴下し、その上に50×50mm角のサンプル片を静置させる。80g/cmの荷重を繰返し10回かけた後、流水でスラリーを洗い流す。保持パッド材表面にスラリー(研磨砥粒)を目視にて確認できなければ○、スラリーを目視にて確認できた場合を×とした。
乾燥時間:50×50mm角のガラス板を一定量の霧状の水で濡らした保持パッド材上に静置する。50%圧縮率でガラス板を10回/分で1分間上下した後、80℃のオーブン中に1分間入れ、乾燥しているか否かを確認する。
復元性:70℃オーブンにて促進した、25%圧縮永久歪。
開孔径;電子顕微鏡にて3500倍に拡大し、最大開孔径を測定した値である。電子顕微鏡としては電界放出形走査電子顕微鏡S−4300(日立製作所製)を使用した。
耐磨耗性;JIS K5600・5・9<塗膜・機械的性質(第9節;耐磨耗性(磨耗輪法)) 準拠
磨耗輪;H・18、荷重250gを用い、400回試験サンプル後の重量減少率(%)を測定した値である。耐磨耗試験機はティーバー式(東洋精機製)を使用した。
ポリウレタン発泡体:エステルとは、各種ポリエステルポリオール原料を使用し、所定の条件で発泡させたポリウレタン発泡体をいい、エーテルとはポリエーテルポリオール原料を使用し、所定の条件で発泡させたポリウレタン発泡体をいう。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
上記物理特性の測定結果によれば、以下に示すことが理解できる。
(1)発泡剤としての水の配合量は、実施例1の1重量%および実施例2の13.8重量%では、物理特性が良好であるが、比較例1の15.4重量%では最大開孔径が2.5μmと大きくなり、スラリーが滲入(浸入)して好ましくなく、比較例6の1重量%未満ではポリウレタンシートが非発泡となり、保持力が低下し、エアー残留性もあるため不具合である。従って、発泡剤としての水の配合量は、1重量%〜14重量%の範囲が好ましい。
(2)希釈溶剤としてのトルエンの配合量は、実施例4の12.5重量%、実施例5の22.5重量%では、物理特性が良好であるが、比較例2の23重量%では、攪拌中に原料が分離してしまい、また、実施例11の8.5重量%では、発泡ムラが生じ好ましくない。従って、希釈剤としてのトルエンの配合量は、12重量%から22重量%の範囲が好ましい。しかし、実施例11では、希釈溶剤としてのトルエンの配合量は、8.5重量%と本発明の下限値未満であり、比較例とすべきであるが、発泡ムラが生じても使用できる物理特性の範囲であったので実施例として記載した。
【0064】
(3)界面活性剤の配合量は、実施例6の0.1重量%および実施例7の2.5重量%では、物理特性は良好であるが、比較例3の0重量%ではポリウレタンシートが非発泡となり、保持力が低下し、エアー残留性も生じ好ましくなく、比較例7の11重量%では、攪拌中に原料が分離してしまった。従って、界面活性剤の配合量は、0.1重量%〜10重量%の範囲が好ましい。
(4)N,Nジメチルホルムアミドの配合量は、実施例8の1.77重量%、および実施例9の1.13重量%では、物理特性は良好であるが、比較例4の0重量%では発泡ムラが生じ、最大開孔径も2.5μmで、スラリーが滲入(浸入)して好ましくなく、比較例5の1.97重量%は、ポリウレタンシートが非発泡となり、保持力が低下して好ましくない。従って、N,Nジメチルホルムアミドの配合量は、1.0重量%〜1.8重量%の範囲が好ましい。
【0065】
(5)実施例3で示すように主材原料であるポリウレタン樹脂溶液は、実施例1および2に示すDIC株式会社製ゾルデックスPX550以外の類似原料である大日本精化工業株式会社製ハイムレンATX−10でも実施可能である。
(6)実施例10で示すように界面活性剤は、実施例1〜9に示す以外のシリコーン系でも実施可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 基材
2 発泡ポリウレタンシート
3 熱硬化性ポリウレタン発泡体
4 基材
5 基材付き粘着層
6 粘着材
7 PETフィルム
8 粘着材
9 セパレータ(剥離紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長孔が2.0μm以下の微細な開孔を有し、厚みが5μm以上100μm以下であり、密度が840kg/m以上1210kg/m以下の連続通気型発泡ポリウレタンシートであって、その一面側に熱硬化性ポリウレタン発泡体が一体に形成されており、研磨対象物を保持するための定盤には前記熱硬化性ポリウレタン発泡体の他面側を固着させ、連続通気型発泡ポリウレタンシートの他面側を研摩対象物に当接させることを特徴とするバッキング材。
【請求項2】
前記連続通気型発泡ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂、2−ブタノン、トルエン、N,Nジメチルホルムアミドおよび水、界面活性剤を必須成分とする混合液を工程紙に塗付し、加温することにより得られることを特徴とする請求項1記載のバッキング材。
【請求項3】
前記連続通気型発泡ポリウレタンシートに配合される、トルエン量は12重量%から22重量%、N,Nジメチルホルムアミド量は1.0重量%から1.8重量%、水量は1重量%から14重量%、界面活性剤の添加量は0.1重量%から10重量%であることを特徴とする請求項2記載のバッキング材。
【請求項4】
前記熱硬化性ポリウレタン発泡体の定盤への固着面に粘着材が塗工されているか、または粘着テープが貼り合わされていることを特徴とする請求項1記載のバッキング材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−94929(P2013−94929A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242167(P2011−242167)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】