バネ力が加えられたヒンジ機構
本発明は、ヒンジ機構に関し、例えば、開位置及び閉位置においてヒンジ機構にバネ力を加えるためのトルク要素を持つカバー用のヒンジ機構に関する。上記ヒンジ機構は、2つの復原力の大きい端部位置を持つバネ力が加えられた機構を有し、ハウジング(6)と結合部材(7)とを含むトルク要素(5)を備え、前記トルク要素は、前記結合部材から分離した軸受面(20)を規定するように配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構に関し、例えば、開位置及び閉位置においてヒンジ機構にバネ力を加えるためのトルク要素を持つカバー用のヒンジ機構に関する。回転ロックは、軸受機能とは分離して設けられる。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒンジにより連結される2つの半片を有する、所謂クラムシェルタイプと呼ばれる携帯電話が存在する。一般的には、上記電話は、操作時に開いておくことが想定される。操作性を良好にするため、開位置において確実に保持されるようにバネ力を加えて付勢される。また、意図せずに開かないように閉位置においても付勢される。
【0003】
バネ力が加えられるヒンジは、トルクを発生する回転要素(図中のトルク要素5)を用いて進歩してきた。このトルク要素は、回転シャフトの復原力の大きい端部位置を規定するバネ及びカム機構を備える。
【0004】
従来技術のヒンジ機構では、上記トルク要素のハウジングが回転不能に一方の半片に取り付けられると同時に、上記突出するシャフトが回転不能に他方の半片に取り付けられていた。すべり軸受が、上記ヒンジの他方側に取り付けられていた。機械的な解決策のため、上記機構はいくつかの不利益を受けていた。
【0005】
上記トルク要素の異なる部品は、公差が合算される。上記トルク要素のハウジングと一方の半片との間、上記ハウジングと上記トルク要素のシャフトとの間、同様に上記シャフトと他方の半片との間には公差が存在する。上記すべり軸受の側部では、上記公差は上記軸受と半片の間だけにある。これは、上記回転ロック側により大きな隙間を発生させる。また、上記回転ロック側のトルクは、上記全ての上記隙間が片側になるように電話側の半片を押す。上記結合部での永久歪みは上記隙間を増加させる傾向となる。このため、従来技術のヒンジ機構は、ずれの問題を引き起こす原因となる非対称であった。
【0006】
上記従来技術のヒンジ機構を組み立てるために、上記トルク要素が一方の半片に先ず挿入される。上記第1の半片を第2の半片に取り付けるため、上記シャフトを押し込む必要があると同時に、上記シャフトが上記第2の半片の静止位置に再び戻るように、上記半片を互いに相対的に余分に折り曲げる。余分に曲げることは、上記バネ力を加える余地を残すために数回転しなければならないため、上記ヒンジ機構の端部位置において、上記トルク要素のシャフトがその端部位置にはないことが原因となっていた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、対称で公差を低減したバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。本発明の他の目的は、軸受領域でのトルクの伝達を回避するバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。
【0008】
更に、本発明の目的は、組み立てが容易なバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。
【0009】
本発明では、バネ力が加えられたヒンジ機構は上記トルク機能と軸受機能とが分離されて規定されている。
【0010】
本発明の第1の観点では、2つの半片を連結するヒンジ機構であって、2つの復原力の大きい端部位置を持つバネ力が加えられた機構を有し、ハウジングと結合部材とを含むトルク要素を備え、前記トルク要素は、前記結合部材から分離した軸受面を規定するように配設される。
【0011】
好ましくは、前記軸受面は、前記2つの半片の軸受孔に当接する前記ハウジングの外面により規定される。
【0012】
適切には、前記ハウジングの外面は、実質的に円形であるが、前記2つの半片のいずれかを固定するためのロックする平面を規定する平坦部を持つ。
【0013】
適切には、前記軸受面は金属からなる。
【0014】
1つの態様では、前記結合部材は、前記軸受面の外側のクランク機構によって半片に連結される。
【0015】
前記クランク機構は、前記ヒンジの回転軸から離間し、前記ヒンジの回転軸を通る直線を中心とする細長いロック孔に配設されたピンを備える。
【0016】
適切には、前記ピンはクランク要素に設けられ、前記ロック孔は前記2つの半片のいずれかに設けられる。
【0017】
1つの態様では、前記クランク要素は、前記結合部材と一体化されている。
【0018】
他の態様では、前記クランク要素は、前記結合部材に連結される分離した要素である。
【0019】
適切には、前記結合部材は、非円形の突出するシャフトである。
【0020】
更なる態様では、前記結合部材は、前記軸受面の外側で、半片に設けられた凹所によって当該半片に連結される。
【0021】
適切には、前記結合部材は、平行で平坦な面を持つ突出するシャフトであり、前記凹所は実質的にU形状である。
【0022】
好ましくは、前記凹所が前記半片のインナーシェルに設けられている。
【0023】
好ましくは、前記凹所が実質的に金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等の非降伏材料からなる。
【0024】
適切には、前記トルク要素はヒンジの一端に配置され、すべり軸受は当該ヒンジの他端に配置される。
【0025】
前記ヒンジ機構は、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳のカバーの2つの半片の間に配置される。
【0026】
本発明の態様は、添付の図面を参照して以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態による組み立てられたヒンジの断面の部分的な切断図。
【図2】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの斜視図。
【図3】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの上面図。
【図4】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの側面図。
【図5A】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5B】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5C】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5D】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の斜視図である。
【図5E】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の斜視図である。
【図6】第1の実施形態によるヒンジ機構の分解図。
【図7A】本発明に係る他の実施形態によるヒンジ機構の断面図。
【図7B】本発明に係る他の実施形態によるヒンジ機構の上面図。
【図8】図7A、7Bのヒンジ機構の分解図。
【図9】閉位置におけるヒンジ機構の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、開位置及び閉位置においてバネ力が加えられたヒンジ機構を持つ全ての機器に適用可能である。典型的な例は、2つの部品又は半片を持つ電子機器のリッドやカバーを持つケースである。本発明は特に、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳等の電子機器を開位置で操作可能にすべく開発された。
【0029】
図1乃至6、9に本発明に係る第1の実施形態を示す。このヒンジ機構は、携帯電話のカバーとなる2つの半片を連結する。上部の半片はアウターシェル1とインナーシェル2を備え、下部の半片はインナーシェル3とアウターシェル4を備える。上記ヒンジ機構は片側に配置された、トルク要素5を備える。このトルク要素5は、バネ力を加える機構(不図示)が付随されたハウジング6と、トルクを伝達する突出するシャフト7とを備える。
【0030】
バネ力を加える機構は、2つの復原力の大きい端部位置を有する限りにおいて、従来技術として存在し得る。上記2つの端部位置の間では、上記機構は上記端部位置が最も近づく方向に回転するように上記シャフトに力を加える。厳密な設計は本発明の一部を構成しない。
【0031】
上記ヒンジ機構の他端には、すべり軸受8が存在する。
【0032】
先ず軸受機能について説明する。特に図6に示す。上記すべり軸受8は、上部のインナーシェル2の孔部10と下部のインナーシェル3の孔部12に挿通される。上記すべり軸受8はその位置にぴったりとはめ込まれ、その外周に軸受面を規定する。トルクはこちら側には伝達されない。
【0033】
他の側部では、上記軸受機能がトルク要素5により規定される。従来技術と対比すると、上記ハウジング6は、上記下部のインナーシェルの孔部11と上部のインナーシェルの孔部9の両方を通って突出する。よって、上記ハウジング6の外面は、軸受面20を規定する。これは実質的に円形であるので、上記ハウジング6と孔部9の間にほんの小さな間隙を形成する。トルクの伝達を可能にするためには、上記トルク要素5が上記半片のいずれか、この場合上記下部の半片のインナーシェル3、の相対的な回転に抗して固定されなければならない。このため、円形面20は平坦面21により中断され、孔部11は、トルク要素5が回転可能に取り付けられるように、それに応じた形状とされる。他の形状でももちろん良い。軸受面には当然ながらトルクが伝達されず、すべり側とトルク伝達側の両方で同じ公差及び隙間になることが理解されるであろう。上記ハウジング6は金属若しくはより硬い樹脂、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂が適切である。
【0034】
次に上記ヒンジ機構のトルク伝達機能について説明する。第1の実施形態では、上記トルク要素5のシャフト7は、クランク機構14,15によって、上部半片のインナーシェル2に連結される。上記クランク要素14は、インナーシェル2の回転ロック孔13に取り付けられるピン15を有する。適切には、上記孔部13は、公差の問題をなくすため、長円形で上記ヒンジの回転軸の中心線上に配置される。また適切には、上記ピン15は長円形又は円筒形である。もう1つの方法として、上記クランク要素を孔部に設け、ピンをインナーシェル(不図示)に設けることもできる。
【0035】
第1の実施形態では、上記クランク要素14は上記シャフト7に取り付けられた分離する要素となる。上記シャフト7の外面は全体的に円形となっておらず、典型的には図示のように2つの平坦面をを持つ長円形であり、上記クランク要素14には、上記シャフト7と共に回転可能に取り付けられるように、それに応じた形状の孔部16が設けられる。もう1つの方法として、上記クランク要素に、トルク要素(不図示)に設けられた孔部に取り付けられる突出する部分を設けることもできる。
【0036】
他の実施形態では、上記クランク要素15は上記シャフト7と一体化され、分離するクランク要素14を避けている。しかしながら、最近ではトルク要素5が、分離するクランク要素14を必要とする在庫品となっている。
【0037】
上記ヒンジ機構の組み立ては以下のように行われる。
【0038】
上部半片のインナーシェル2を下部半片のインナーシェル3に配置すると共に、いずれの軸受も配置しないで孔部9,10,11,12の全てを位置決めする。
【0039】
上記すべり軸受8を孔部10,12にはめ込む。
【0040】
上記トルク要素5を他の側部の孔部9,11に挿通する。
【0041】
上記クランク要素14を上記シャフト7に装着する。同時にピン15を孔部13に挿入する。これは、クランク要素がシャフト7と共にトルク要素5の静止位置からインナーシェル2,3の間の停止位置へ回転することを要する。これにより、上記ヒンジ機構は、シェル2,3の間の端部位置においてバネ力が加えられる。このバネ機構に抗した回転は必要であるが、従来技術と比較して非常に簡単に行える。上記トルク要素5の静止位置は、正しいバネ力が加わるように、完全に閉じた位置及び完全に開いた位置における上記半片の間の停止位置を超えて通常10〜20°となる。
【0042】
ここで、上記ヒンジ機構は完全に組み立てられ、上部のアウターシェル1と下部のアウターシェル4とがネジ止めされ、締結される。最終的な外観を図9に示す。
【0043】
上述したように又はそれとは反対に、上記すべり軸受8が上記トルク要素5の前に組み立てられることが理解されるであろう。
【0044】
第2の実施形態では、上記クランク要素14がシャフト7と一体化されている。上記組み立て手順は、同時にクランク要素を回転させ、ロック孔16に回転ロックピンを挿入しながら、トルク要素を挿入する1つの工程が必要なだけである以外は、上記と同様である。
【0045】
本発明に係る第3の実施形態を図7A,B及び8を参照して説明する。同一の部品には同一の符号を付して示している。上記すべり軸受8とトルク要素5は第1の実施形態と同じである。第3の実施形態では、上記トルク要素からのトルクが、クランク要素を中継せずに直接1つの半片に伝達される。U形状の凹所17が上部半片のアウターシェル1に配設される。この凹所17は突出するシャフト7に追従する。
【0046】
上記組み立ては第1の実施形態と同様に実行される。上記すべり軸受8とトルク要素5が前述したようにそれぞれの孔部に挿通される。しかしながら、シャフト7を上部半片に連結するためには、アウターシェル1をシャフト7より上部から配置し、これによりシャフト7を凹所17に位置決めする。上記凹所17の開口部は、アウターシェル1を押し下げた時に、シャフト7が自動的に位置決めされるように、適切に開口が広がる加工がなされている。
【0047】
携帯電話では、カバーは通常樹脂、例えば、永久歪みに耐えるのに適さない降伏材料からなる。このため、上記凹所17は、金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等のより硬い材料からなることが好ましい。アウターシェル1の全体はこのような材料からなる。
【0048】
本発明は、詳細に示された好適な実施形態により記述されている。しかしながら、本実施形態は一例として考慮されるべきであり、本発明の趣旨は以下の請求項にのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構に関し、例えば、開位置及び閉位置においてヒンジ機構にバネ力を加えるためのトルク要素を持つカバー用のヒンジ機構に関する。回転ロックは、軸受機能とは分離して設けられる。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒンジにより連結される2つの半片を有する、所謂クラムシェルタイプと呼ばれる携帯電話が存在する。一般的には、上記電話は、操作時に開いておくことが想定される。操作性を良好にするため、開位置において確実に保持されるようにバネ力を加えて付勢される。また、意図せずに開かないように閉位置においても付勢される。
【0003】
バネ力が加えられるヒンジは、トルクを発生する回転要素(図中のトルク要素5)を用いて進歩してきた。このトルク要素は、回転シャフトの復原力の大きい端部位置を規定するバネ及びカム機構を備える。
【0004】
従来技術のヒンジ機構では、上記トルク要素のハウジングが回転不能に一方の半片に取り付けられると同時に、上記突出するシャフトが回転不能に他方の半片に取り付けられていた。すべり軸受が、上記ヒンジの他方側に取り付けられていた。機械的な解決策のため、上記機構はいくつかの不利益を受けていた。
【0005】
上記トルク要素の異なる部品は、公差が合算される。上記トルク要素のハウジングと一方の半片との間、上記ハウジングと上記トルク要素のシャフトとの間、同様に上記シャフトと他方の半片との間には公差が存在する。上記すべり軸受の側部では、上記公差は上記軸受と半片の間だけにある。これは、上記回転ロック側により大きな隙間を発生させる。また、上記回転ロック側のトルクは、上記全ての上記隙間が片側になるように電話側の半片を押す。上記結合部での永久歪みは上記隙間を増加させる傾向となる。このため、従来技術のヒンジ機構は、ずれの問題を引き起こす原因となる非対称であった。
【0006】
上記従来技術のヒンジ機構を組み立てるために、上記トルク要素が一方の半片に先ず挿入される。上記第1の半片を第2の半片に取り付けるため、上記シャフトを押し込む必要があると同時に、上記シャフトが上記第2の半片の静止位置に再び戻るように、上記半片を互いに相対的に余分に折り曲げる。余分に曲げることは、上記バネ力を加える余地を残すために数回転しなければならないため、上記ヒンジ機構の端部位置において、上記トルク要素のシャフトがその端部位置にはないことが原因となっていた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、対称で公差を低減したバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。本発明の他の目的は、軸受領域でのトルクの伝達を回避するバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。
【0008】
更に、本発明の目的は、組み立てが容易なバネ力が加えられたヒンジ機構を提供することである。
【0009】
本発明では、バネ力が加えられたヒンジ機構は上記トルク機能と軸受機能とが分離されて規定されている。
【0010】
本発明の第1の観点では、2つの半片を連結するヒンジ機構であって、2つの復原力の大きい端部位置を持つバネ力が加えられた機構を有し、ハウジングと結合部材とを含むトルク要素を備え、前記トルク要素は、前記結合部材から分離した軸受面を規定するように配設される。
【0011】
好ましくは、前記軸受面は、前記2つの半片の軸受孔に当接する前記ハウジングの外面により規定される。
【0012】
適切には、前記ハウジングの外面は、実質的に円形であるが、前記2つの半片のいずれかを固定するためのロックする平面を規定する平坦部を持つ。
【0013】
適切には、前記軸受面は金属からなる。
【0014】
1つの態様では、前記結合部材は、前記軸受面の外側のクランク機構によって半片に連結される。
【0015】
前記クランク機構は、前記ヒンジの回転軸から離間し、前記ヒンジの回転軸を通る直線を中心とする細長いロック孔に配設されたピンを備える。
【0016】
適切には、前記ピンはクランク要素に設けられ、前記ロック孔は前記2つの半片のいずれかに設けられる。
【0017】
1つの態様では、前記クランク要素は、前記結合部材と一体化されている。
【0018】
他の態様では、前記クランク要素は、前記結合部材に連結される分離した要素である。
【0019】
適切には、前記結合部材は、非円形の突出するシャフトである。
【0020】
更なる態様では、前記結合部材は、前記軸受面の外側で、半片に設けられた凹所によって当該半片に連結される。
【0021】
適切には、前記結合部材は、平行で平坦な面を持つ突出するシャフトであり、前記凹所は実質的にU形状である。
【0022】
好ましくは、前記凹所が前記半片のインナーシェルに設けられている。
【0023】
好ましくは、前記凹所が実質的に金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等の非降伏材料からなる。
【0024】
適切には、前記トルク要素はヒンジの一端に配置され、すべり軸受は当該ヒンジの他端に配置される。
【0025】
前記ヒンジ機構は、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳のカバーの2つの半片の間に配置される。
【0026】
本発明の態様は、添付の図面を参照して以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態による組み立てられたヒンジの断面の部分的な切断図。
【図2】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの斜視図。
【図3】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの上面図。
【図4】本発明に係るヒンジ機構の上部半片のインナーシェルの側面図。
【図5A】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5B】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5C】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の平面図である。
【図5D】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の斜視図である。
【図5E】本発明に係る一実施形態による回転ロッククランク要素の斜視図である。
【図6】第1の実施形態によるヒンジ機構の分解図。
【図7A】本発明に係る他の実施形態によるヒンジ機構の断面図。
【図7B】本発明に係る他の実施形態によるヒンジ機構の上面図。
【図8】図7A、7Bのヒンジ機構の分解図。
【図9】閉位置におけるヒンジ機構の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、開位置及び閉位置においてバネ力が加えられたヒンジ機構を持つ全ての機器に適用可能である。典型的な例は、2つの部品又は半片を持つ電子機器のリッドやカバーを持つケースである。本発明は特に、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳等の電子機器を開位置で操作可能にすべく開発された。
【0029】
図1乃至6、9に本発明に係る第1の実施形態を示す。このヒンジ機構は、携帯電話のカバーとなる2つの半片を連結する。上部の半片はアウターシェル1とインナーシェル2を備え、下部の半片はインナーシェル3とアウターシェル4を備える。上記ヒンジ機構は片側に配置された、トルク要素5を備える。このトルク要素5は、バネ力を加える機構(不図示)が付随されたハウジング6と、トルクを伝達する突出するシャフト7とを備える。
【0030】
バネ力を加える機構は、2つの復原力の大きい端部位置を有する限りにおいて、従来技術として存在し得る。上記2つの端部位置の間では、上記機構は上記端部位置が最も近づく方向に回転するように上記シャフトに力を加える。厳密な設計は本発明の一部を構成しない。
【0031】
上記ヒンジ機構の他端には、すべり軸受8が存在する。
【0032】
先ず軸受機能について説明する。特に図6に示す。上記すべり軸受8は、上部のインナーシェル2の孔部10と下部のインナーシェル3の孔部12に挿通される。上記すべり軸受8はその位置にぴったりとはめ込まれ、その外周に軸受面を規定する。トルクはこちら側には伝達されない。
【0033】
他の側部では、上記軸受機能がトルク要素5により規定される。従来技術と対比すると、上記ハウジング6は、上記下部のインナーシェルの孔部11と上部のインナーシェルの孔部9の両方を通って突出する。よって、上記ハウジング6の外面は、軸受面20を規定する。これは実質的に円形であるので、上記ハウジング6と孔部9の間にほんの小さな間隙を形成する。トルクの伝達を可能にするためには、上記トルク要素5が上記半片のいずれか、この場合上記下部の半片のインナーシェル3、の相対的な回転に抗して固定されなければならない。このため、円形面20は平坦面21により中断され、孔部11は、トルク要素5が回転可能に取り付けられるように、それに応じた形状とされる。他の形状でももちろん良い。軸受面には当然ながらトルクが伝達されず、すべり側とトルク伝達側の両方で同じ公差及び隙間になることが理解されるであろう。上記ハウジング6は金属若しくはより硬い樹脂、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂が適切である。
【0034】
次に上記ヒンジ機構のトルク伝達機能について説明する。第1の実施形態では、上記トルク要素5のシャフト7は、クランク機構14,15によって、上部半片のインナーシェル2に連結される。上記クランク要素14は、インナーシェル2の回転ロック孔13に取り付けられるピン15を有する。適切には、上記孔部13は、公差の問題をなくすため、長円形で上記ヒンジの回転軸の中心線上に配置される。また適切には、上記ピン15は長円形又は円筒形である。もう1つの方法として、上記クランク要素を孔部に設け、ピンをインナーシェル(不図示)に設けることもできる。
【0035】
第1の実施形態では、上記クランク要素14は上記シャフト7に取り付けられた分離する要素となる。上記シャフト7の外面は全体的に円形となっておらず、典型的には図示のように2つの平坦面をを持つ長円形であり、上記クランク要素14には、上記シャフト7と共に回転可能に取り付けられるように、それに応じた形状の孔部16が設けられる。もう1つの方法として、上記クランク要素に、トルク要素(不図示)に設けられた孔部に取り付けられる突出する部分を設けることもできる。
【0036】
他の実施形態では、上記クランク要素15は上記シャフト7と一体化され、分離するクランク要素14を避けている。しかしながら、最近ではトルク要素5が、分離するクランク要素14を必要とする在庫品となっている。
【0037】
上記ヒンジ機構の組み立ては以下のように行われる。
【0038】
上部半片のインナーシェル2を下部半片のインナーシェル3に配置すると共に、いずれの軸受も配置しないで孔部9,10,11,12の全てを位置決めする。
【0039】
上記すべり軸受8を孔部10,12にはめ込む。
【0040】
上記トルク要素5を他の側部の孔部9,11に挿通する。
【0041】
上記クランク要素14を上記シャフト7に装着する。同時にピン15を孔部13に挿入する。これは、クランク要素がシャフト7と共にトルク要素5の静止位置からインナーシェル2,3の間の停止位置へ回転することを要する。これにより、上記ヒンジ機構は、シェル2,3の間の端部位置においてバネ力が加えられる。このバネ機構に抗した回転は必要であるが、従来技術と比較して非常に簡単に行える。上記トルク要素5の静止位置は、正しいバネ力が加わるように、完全に閉じた位置及び完全に開いた位置における上記半片の間の停止位置を超えて通常10〜20°となる。
【0042】
ここで、上記ヒンジ機構は完全に組み立てられ、上部のアウターシェル1と下部のアウターシェル4とがネジ止めされ、締結される。最終的な外観を図9に示す。
【0043】
上述したように又はそれとは反対に、上記すべり軸受8が上記トルク要素5の前に組み立てられることが理解されるであろう。
【0044】
第2の実施形態では、上記クランク要素14がシャフト7と一体化されている。上記組み立て手順は、同時にクランク要素を回転させ、ロック孔16に回転ロックピンを挿入しながら、トルク要素を挿入する1つの工程が必要なだけである以外は、上記と同様である。
【0045】
本発明に係る第3の実施形態を図7A,B及び8を参照して説明する。同一の部品には同一の符号を付して示している。上記すべり軸受8とトルク要素5は第1の実施形態と同じである。第3の実施形態では、上記トルク要素からのトルクが、クランク要素を中継せずに直接1つの半片に伝達される。U形状の凹所17が上部半片のアウターシェル1に配設される。この凹所17は突出するシャフト7に追従する。
【0046】
上記組み立ては第1の実施形態と同様に実行される。上記すべり軸受8とトルク要素5が前述したようにそれぞれの孔部に挿通される。しかしながら、シャフト7を上部半片に連結するためには、アウターシェル1をシャフト7より上部から配置し、これによりシャフト7を凹所17に位置決めする。上記凹所17の開口部は、アウターシェル1を押し下げた時に、シャフト7が自動的に位置決めされるように、適切に開口が広がる加工がなされている。
【0047】
携帯電話では、カバーは通常樹脂、例えば、永久歪みに耐えるのに適さない降伏材料からなる。このため、上記凹所17は、金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等のより硬い材料からなることが好ましい。アウターシェル1の全体はこのような材料からなる。
【0048】
本発明は、詳細に示された好適な実施形態により記述されている。しかしながら、本実施形態は一例として考慮されるべきであり、本発明の趣旨は以下の請求項にのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの半片を連結するヒンジ機構であって、
2つの復原力の大きい端部位置を持つバネ力が加えられた機構を有し、ハウジングと結合部材とを含むトルク要素を備え、前記トルク要素は、前記結合部材から分離した軸受面を規定するように配設されるヒンジ機構。
【請求項2】
前記軸受面は、前記2つの半片の軸受孔に当接する前記ハウジングの外面により規定される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記ハウジングの外面は、実質的に円形であるが、前記2つの半片のいずれかを固定するためのロックする平面を規定する平坦部を持つ請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記軸受面は金属からなる請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項5】
前記結合部材は、前記軸受面の外側のクランク機構によって1つの半片に連結される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項6】
前記クランク機構は、前記ヒンジの回転軸から離間し、前記ヒンジの回転軸を通る直線を中心とする細長いロック孔に配設されたピンを備える請求項5に記載のヒンジ機構。
【請求項7】
前記ピンはクランク要素に設けられ、前記ロック孔は前記2つの半片のいずれかに設けられる請求項6に記載のヒンジ機構。
【請求項8】
前記クランク要素は、前記結合部材と一体化されている請求項7に記載のヒンジ機構。
【請求項9】
前記クランク要素は、前記結合部材に連結される分離した要素である請求項7に記載のヒンジ機構。
【請求項10】
前記結合部材は、非円形の突出するシャフトである請求項9に記載のヒンジ機構。
【請求項11】
前記結合部材は、前記軸受面の外側で、半片に設けられた凹所によって当該半片に連結される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項12】
前記結合部材は、平行で平坦な面を持つ突出するシャフトであり、前記凹所は実質的にU形状である請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項13】
前記凹所が前記半片のインナーシェルに設けられている請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項14】
前記凹所が実質的に金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等の非降伏材料からなる請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項15】
前記トルク要素はヒンジの一端に配置され、すべり軸受は当該ヒンジの他端に配置される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項16】
前記ヒンジ機構は、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳のカバーの2つの半片の間に配置される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項1】
2つの半片を連結するヒンジ機構であって、
2つの復原力の大きい端部位置を持つバネ力が加えられた機構を有し、ハウジングと結合部材とを含むトルク要素を備え、前記トルク要素は、前記結合部材から分離した軸受面を規定するように配設されるヒンジ機構。
【請求項2】
前記軸受面は、前記2つの半片の軸受孔に当接する前記ハウジングの外面により規定される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記ハウジングの外面は、実質的に円形であるが、前記2つの半片のいずれかを固定するためのロックする平面を規定する平坦部を持つ請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記軸受面は金属からなる請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項5】
前記結合部材は、前記軸受面の外側のクランク機構によって1つの半片に連結される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項6】
前記クランク機構は、前記ヒンジの回転軸から離間し、前記ヒンジの回転軸を通る直線を中心とする細長いロック孔に配設されたピンを備える請求項5に記載のヒンジ機構。
【請求項7】
前記ピンはクランク要素に設けられ、前記ロック孔は前記2つの半片のいずれかに設けられる請求項6に記載のヒンジ機構。
【請求項8】
前記クランク要素は、前記結合部材と一体化されている請求項7に記載のヒンジ機構。
【請求項9】
前記クランク要素は、前記結合部材に連結される分離した要素である請求項7に記載のヒンジ機構。
【請求項10】
前記結合部材は、非円形の突出するシャフトである請求項9に記載のヒンジ機構。
【請求項11】
前記結合部材は、前記軸受面の外側で、半片に設けられた凹所によって当該半片に連結される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項12】
前記結合部材は、平行で平坦な面を持つ突出するシャフトであり、前記凹所は実質的にU形状である請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項13】
前記凹所が前記半片のインナーシェルに設けられている請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項14】
前記凹所が実質的に金属若しくはポリアセタール(POM)樹脂等の非降伏材料からなる請求項11に記載のヒンジ機構。
【請求項15】
前記トルク要素はヒンジの一端に配置され、すべり軸受は当該ヒンジの他端に配置される請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項16】
前記ヒンジ機構は、携帯電話、ポケットベル、情報機器、スマートフォン、若しくは電子手帳のカバーの2つの半片の間に配置される請求項1に記載のヒンジ機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−510444(P2010−510444A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536679(P2009−536679)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054876
【国際公開番号】WO2008/058771
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054876
【国際公開番号】WO2008/058771
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
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