説明

パネル取付構造

【課題】 パネル取付構造において、パネルの取り付け、取り外しの際にパネルの爪の破損を防止する。
【解決手段】 アッパーケース3の前面部5に対向するように取り付けられるパネル7の端部に設けた爪20aは、アッパーケース3の係入孔11aに係入されることにより係合片14に係合する。係合片14は、前面部5に一対の溝に挟まれ弾性変形可能な舌片状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示部や電話機の操作面等を覆う透明部材によって形成されたパネルの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のパネル取付構造として典型的なものは、電話機に備え付けられ相手方の電話番号や通話時間等を表示する液晶表示部を、表示内容が表記されたシートとともにパネルで覆うものがある。この場合、電話機の機種の違い等によって液晶表示部に表示される内容が異なることがあり、これに対応してシートを交換できるようにするため、パネルを液晶表示部に対して着脱自在としている。
【0003】
従来のパネル取付構造としては、図8および図9に示すものがある。図8に全体を符号101に示す電話機は、ダイヤルボタンや機能ボタン(図示せず)が配設される操作部102を備えており、この操作部102は、シート部材103を挟むようにして透明部材によって形成されたパネル104によって覆われている。操作部102の上端部には、同図(C)に示すようにパネル104の上端部に設けた断面L字状の爪105が係入される係入孔106と、係入孔106に係入された爪105が係合する係合部107とが設けられている。
【0004】
パネル104の下端部には、同図(B)に示すように先端に爪を有する弾性係合片108が突設されており、操作部102の下端部には、弾性係合片108が係合する段部109が設けられている。このような構成において、図9(A)に示すように爪105を係入孔106に係入し係合部107に係合させた状態で、係合部107を回動中心としてパネル104を図中反時計方向に回動させ、弾性係合片108を弾性変形させながら、段部109に係合させることにより、パネル104を操作部102に取り付ける。この状態から、弾性係合片108を弾性変形させながら、弾性係合片108と段部109との係合を解除し、パネル104を時計方向に回動させることにより、パネル104を操作部102から取り外す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のパネル取付構造においては、パネル104を操作部102から取り外すために、パネル104を時計方向に回動させていくと、図9(B)に示すように爪105が係入孔106の壁面106aと係合部107との間で圧接され、爪105が破損してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、パネルの取り付け、取り外しの際にパネルの爪の破損を防止したパネル取付構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、矩形状のパネルを筺体の前面部に対向させて第1および第2の係合手段によって着脱自在に取り付けるパネル取付構造において、前記第1の係合手段を、前記パネルの一端部の両端から突設した一対の爪と、前記前面部の一端部の両端に一対の溝に挟まれ舌片状に突設され先端部に前記爪が係合する弾性変形可能な一対の係合片とによって構成し、前記第2の係合手段を、前記パネルの前記一端部と直交する二つの端部および前記前面部の前記一端部と直交する二つの端部のそれぞれに設けた係合突起とこの係合突起が係合する係合凹部とによって構成したものである。
【0008】
本発明は、前記発明において、前記爪に指掛け用の突起を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パネルを取り付ける際および取り外す際に、爪が係合している係合片が弾性変形するため、爪が破損するようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るパネル取付構造を実施した液晶表示装置の平面図、図2は同じく外観を示す斜視図、図3は同じくシートを載置させた状態を示す斜視図、図4は同じくパネルを取り付けた状態を示す斜視図、図5(A)は図2におけるV(A)部の拡大図、同図(B)は図2におけるV(B)部の拡大図、図6(A)は図1におけるVI(A)-VI(A) 線断面図、同図(B)は同図(A)におけるVI(B)部の拡大図、図7(A)は図1におけるVII(A)-VII(A) 線断面図、同図(B)は同図(A)におけるVII(B)部の拡大図、同図(C)はパネルを取り外す状態を示す同図(A)におけるVII(B)部の拡大図である。
【0011】
図2ないし図4に全体を符号1で示す液晶表示装置は、ロアーケース2とアッパーケース3とによって筺体4が形成され、アッパーケース3の前面部5に載置されるシート6と、このシート6と前面部5とを覆う透明部材によって形成されたパネル7とを備えている。
【0012】
アッパーケース3は、図2に示すように窓5aを有する矩形状の前面部5と、両側面部10,10と、背面部11と、正面部12(図7参照)とによって、全体がプラスチックによって下方が開口した箱状に形成されている。正面部12には、図7(A)に示すようにパネル7の後述する係合凸条体7aが係合する段部12aが、矢印C−D方向全体に設けられている。
【0013】
前面部5の矢印A方向の端部の矢印C−D方向の両側には、図5(B)に示すように互いに平行な一対の溝13,13に挟まれ、矢印A方向に向かって突設された舌片状の弾性変形可能な係合片14,14が設けられている。これら係合片14,14に対応して、アッパーケース3の背面部11の矢印C−D方向の両端部には、パネル7の後述する爪20aが係入される係入孔11a,11aが設けられている。この係合片14と、この係合片14の先端部に係合する爪20aとによって第1の係合手段23が構成されている。
【0014】
前面部5の矢印C−D方向の両端部には、矢印A−B方向に延在する凸条体15,15が突設されており、これら凸条体15,15の矢印B方向の端部には、図5(A)に示すようにそれぞれ矢印C方向または矢印D方向に向かって突設された突起16,16が一体に設けられており、これら突起16,16の下部には、図6(B)に示すように係合凹部17,17が形成されている。
【0015】
図2において、18は筺体4内に実装された液晶表示器であって、前面部5の窓5aから露呈している。シート6の中央部には、図3に示すように窓5aと同じ大きさに形成された孔6aが設けられており、シート6は全体が枠状に形成されている。
【0016】
パネル7は、図4に示すように凸条体15,15間に嵌合する大きさの矩形状に形成されており、矢印B方向の端部には、図7(A)に示すように矢印C−D方向全体に延在する係合凸条部7aが矢印F方向に向かって突設されている。また、パネル7の矢印A方向の端部の矢印C−D方向の両側には、図7(B)に示すように係合部20,20が矢印F方向に向かって突設されている。
【0017】
これら係合部20,20の先端部には、矢印B方向に向かって突設された爪20a,20aが設けられており、これら爪20a,20aはアッパーケース3の係入孔11a,11aに係入させることにより、係合片14,14の先端部に係合する。係合部20には、爪20aと反対方向に向かって突設した指掛け用突起20bが一体に設けられている。
【0018】
パネル7の矢印C−D方向の両端部であって矢印B方向の端部には、図6(B)に示すように凸条体15,15の係合凹部17,17に係合する係合突起21,21が矢印C方向または矢印D方向に向かって突設されている。これら係合凹部17と係合突起21とが第2の係合手段24を構成している。
【0019】
次に、このように構成された液晶表示装置において、パネルの取り付けおよび取り外しの方法について説明する。先ず、パネル7を前面部5に取り付ける方法について説明する。この場合は、アッパーケース3の前面部5上に、図3に示すようにシート6を載置する。次いで、パネル7の爪20aをアッパーケース3の係入孔11a,11aに係入させることにより、図7(c)示すように、爪20aを係合片14,14の先端部に係合させる。パネル7を、係合片14を回動中心として同図(A)において反時計方向に回動させ、パネル7をアッパーケース3の前面部5に対向させることにより、図6(B)に示すようにパネル7の係合突起21をアッパーケース3の係合凹部17に係合させる。
【0020】
したがって、この係合突起21と係合凹部17との係合および爪20aと係合片14との係合によって、パネル7はアッパーケース3に取り付けられる。この状態で、パネル7は、図7(A)に示すように係合凸条体7aがアッパーケース3の段部12aに係合し、同図(B)に示すように爪20aが係合片14に係合するため、矢印A−B方向の移動が規制される。同時に、パネル7は、図4に示すようにアッパーケース3の一対の凸条体15,15に挟持されるため、矢印C−D方向の移動が規制される。さらに、パネル7は、係合突起21と係合凹部17との係合および爪20aと係合片14との係合によって、矢印E−F方向の移動が規制される。
【0021】
この状態から、シート6を交換するためにパネル7を前面部5から取り外すには、図4において、図示を省略した指をパネル7の矢印A方向の端部の中央部Gに掛け、この中央部Gを持ち上げる。中央部Gに指を掛けることにより、指を掛けた中央部Gと、係合突起21が設けられたパネル7の矢印C−D方向の両端部との間の距離Lが相対的に長く、中央部Gが比較的容易に上方に撓むため、比較的小さな力で係合突起21と係合凹部17との係合を解除することができる。
【0022】
係合突起21と係合凹部17との係合を解除することにより、パネル7を係合片14を回動中心として図7において時計方向に回動させ、パネル7をアッパーケース3の前面部5から離間させる。このとき、爪20aが係合している係合片14は、図7(C)に示すように弾性変形するため、爪20aと係合片14との係合が解除され、パネル7はアッパーケース3から取り外される。このように、爪20aと係合片14との係合が解除されるとき、係合片14が弾性変形するため、係合片14または爪20aが破損するようなことがない。
【0023】
このパネル7の前面部5からの取り外しに当たっては、先に係合突起21と係合凹部15との係合を解除するのではなく、係合突起21と係合凹部15との係合を解除する以前に爪20aと係合片14との係合が解除するようにしてもよい。すなわち、係合部20の指掛け用突起20bに指を掛けて、強制的に爪20aと係合片14との係合を解除させてから、係合突起21と係合凹部15との係合を解除して、パネル7をアッパーケース3から取り外す。この場合も、係合片14が弾性変形するため、係合片14または爪20aが破損するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るパネル取付構造を実施した液晶表示装置の平面図である。
【図2】本発明に係るパネル取付構造を実施した液晶表示装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るパネル取付構造を実施した液晶表示装置において、シートを載置させた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るパネル取付構造を実施した液晶表示装置において、パネルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】同図(A)は図2におけるV(A)部の拡大図、同図(B)は図2におけるV(B)部の拡大図である。
【図6】同図(A)は図1におけるVI(A)-VI(A) 線断面図、同図(B)は同図(A)におけるVI(B)部の拡大図である。
【図7】同図(A)は図1におけるVII(A)-VII(A) 線断面図、同図(B)は同図(A)におけるVII(B) 部の拡大図、同図(C)はパネルを取り外す状態を示す同図(A)におけるVII(B)部の拡大図である。
【図8】従来のパネル取付構造を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は同図(A)におけるVIII(B)-VIII(B) 線断面図、同図(C)は同図(B)におけるVIII(C)部の拡大図である。
【図9】従来のパネル取付構造を示し、同図(A)はパネルを取り外す状態を示す断面図、同図(B)は同図(A)におけるIX(B)-IX(B) 部の拡大図である。
【符号の説明】
【0025】
1…液晶表示装置、3…アッパーケース、5…前面部、6…シート、7…パネル、11a…係入孔、13…溝、14…係合片、17…係合凹部、20…係合部、20a…爪、21b…指掛け用突起、23…第1の係合手段、24…第2の係合手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のパネルを筺体の前面部に対向させて第1および第2の係合手段によって着脱自在に取り付けるパネル取付構造において、
前記第1の係合手段を、
前記パネルの一端部の両端から突設した一対の爪と、
前記前面部の一端部の両端に一対の溝に挟まれ舌片状に突設され先端部に前記爪が係合する弾性変形可能な一対の係合片とによって構成し、
前記第2の係合手段を、
前記パネルの前記一端部と直交する二つの端部および前記前面部の前記一端部と直交する二つの端部のそれぞれに設けた係合突起とこの係合突起が係合する係合凹部とによって構成したことを特徴とするパネル取付構造。
【請求項2】
前記爪に指掛け用の突起を設けたことを特徴とする請求項1記載のパネル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54935(P2010−54935A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221449(P2008−221449)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】