パネル取付金具
【課題】 セメントを使用した建材であるパネルを、損傷させることなく下地材に規定通りの留付ける力で取り付けることができるようにすること。
【解決手段】 パネル2を建物の下地材3に取り付けるためのパネル取付金具11において、枠体状に形成され、下地材3に係合される係合部19を有する係合本体部17と、係合本体部17の内側に配置され、係合本体部17の係合部19と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルト6を挿通するための挿通孔11aを有する取付部18とを備え、係合部19を下地材3に係合させた状態で、ボルト6を取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、ボルト6の先端部をナット部材7に螺合させてボルト6を締め付けたとき、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む構成。
【解決手段】 パネル2を建物の下地材3に取り付けるためのパネル取付金具11において、枠体状に形成され、下地材3に係合される係合部19を有する係合本体部17と、係合本体部17の内側に配置され、係合本体部17の係合部19と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルト6を挿通するための挿通孔11aを有する取付部18とを備え、係合部19を下地材3に係合させた状態で、ボルト6を取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、ボルト6の先端部をナット部材7に螺合させてボルト6を締め付けたとき、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の外壁部材となるパネルを建物の躯体側に設けられた下地材に取り付けるためのパネル取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記従来のパネル取付金具の一例として、図16及び図17に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。このパネル取付金具1は、中空の押出成形セメント板で作られたパネル2やALC(Autoclaved Lightweight Concrete)製のパネルを、例えば建物の躯体側に設けられたC型チャンネル材からなる下地材3に取り付け(留め付ける)ことができるものである。
【0003】
このパネル取付金具1を使用して、パネル2を建物の下地材3に取り付けるときは、図16に示すように、係合部4を下地材3の縁部3aに係合させて、係合本体部5の基端部をパネル2の表面に当接させた状態で、ボルト6を、係合本体部5の挿通孔1a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通して、このボルト6の先端部にナット部材7を螺合させて、ボルト6をナット部材7に対して締め付ける。これによって、パネル2を下地材3に取り付けることができる。このナット部材7は、パネル2に形成された中空部2b内に配置されている。
【0004】
そして、図16に示すように、係合部4を下地材3の縁部3aに係合させて、係合本体部5の基端部をパネル2の表面に当接させた状態では、このパネル取付金具1は、パネル2の表面に対して傾斜した状態となっており、これによって、係合本体部5の下面とパネル2の表面との間に隙間8が形成されている。この隙間8は、ボルト6をナット部材7に締め付けることによって、係合部4を下地材3の縁部3aに押し付けるための締め代となっている。
【0005】
よって、図16に示すボルト6を所定のトルクで締め付けると、パネル2の中空部2b内に配置されたナット部材7がパネル2の内面を所定の押圧力F1で同図の上方向に押圧し、係合部4が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F2で押し付ける状態となり、更に、係合本体部5の基端部がパネル2の表面を同図の下方向に所定の力F3で押し付ける状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−70223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図16及び図17に示す従来のパネル取付金具1では、パネル2を下地材3に対して規定の留付け力F2で取り付けるために、ボルト6を規定されたトルクで締め付ける必要があるが、留付け力が規定値未満とならないように、ボルト6を規定されたトルクよりも大きいトルクで締め付けることがある。
【0008】
そして、ボルト6を規定よりも大きいトルクで締め付けると、図16に示すナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力F1も規定値よりも大きくなる。そして、このように、ナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力F1は、パネル2に対して引っ張り応力又は曲げ応力として働く。
【0009】
しかし、一般にセメントを使用した押出成形セメント板で作られたパネル2では、圧縮応力よりも引っ張り応力や曲げ応力に対する強度が小さいので、ボルト6の締付け力が規定トルクよりも過度に大きい場合は、このような押出成形セメント板等で作られたパネル2に対して、その適応応力以上の引っ張り応力又は曲げ応力が掛かることになり、このパネル2は、場合によっては、そのような引っ張り応力又は曲げ応力が掛かる部分、例えばパネル2の挿通孔1aの周辺部が損傷する恐れがある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に規定通りの留付ける力で取り付けることができるパネル取付金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るパネル取付金具は、パネルを建物の下地材に取り付けるためのパネル取付金具において、枠体状に形成され、前記下地材に係合される係合部を有する係合本体部と、前記係合本体部の内側に配置され、前記係合本体部の前記係合部と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルトを挿通するための挿通孔を有する取付部とを備え、前記係合部を前記下地材に係合させた状態で、ボルトを前記取付部の挿通孔及び前記パネルに形成された取付孔に挿通し、前記ボルトの先端部をナット部材に螺合させて前記ボルトを締め付けたとき、前記取付部が弾性変形して、前記取付部とナット部材との間に前記パネルを挟み込む構成としたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るパネル取付金具を使用して、パネルを建物の下地材に取り付けるときは、係合部を下地材に係合させた状態で、ボルトを、取付部の挿通孔及びパネルに形成された取付孔に挿通し、このボルトの先端部にナット部材を螺合させてボルトを締め付ける。このとき、取付部が弾性変形して、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む状態となる。これによって、パネルを下地材に取り付けることができる。
【0013】
そして、ボルトの締付け力(取付部をパネルの表面に近づける方向の力)によって取付部が弾性変形するときは、そのときに生じる弾性力が、パネル取付金具の係合部が下地材を押し付ける力となり、この押付け力によってパネルを下地材に取り付けることができる。そして、更にボルトをナット部材に対して締め付けていくと、ボルトの締付け力が、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む力(圧縮力)となり、この挟み込む力(圧縮力)によって、パネル取付金具をパネルに強力に取り付けることができる。
【0014】
本発明に係るパネル取付金具において、前記係合部は、断面が略V字形状であり、この係合部の略V字形状の溝の内面が、前記パネルの表面に対して略垂直方向に突出する前記下地材の縁部に係合するように形成されているものとしてよい。
【0015】
このようにすると、例えば地震等によってパネルに層間変位が生じたときに、パネル取付金具の係合部が、下地材の縁部から外れる方向に移動しようとしても、その移動を係合部の略V字形状の溝の内面によって阻止することができる。よって、係合部が下地材の縁部から外れないように、係合状態を維持することができる。
【0016】
本発明に係るパネル取付金具において、前記係合部は、前記係合本体部と略平行する平板状であり、この係合部の表面が、前記パネルの表面に対して略平行する前記下地材の縁部を押圧するように形成されているものとしてよい。
【0017】
このようにすると、パネルに対して、このパネルと垂直方向に下地材から引離す方向の力が掛かったときでも、パネルが下地材から引き離されないように係合して留め付けておくことができる。
【0018】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部に形成された前記挿通孔は、前記下地材が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔であり、前記係合本体部には、前記長孔と平行してリブが形成されているものとしてよい。
【0019】
このように、取付部に形成された挿通孔を長孔とすると、係合部の下地材に対する係合位置を、長孔に沿って調整することができる。そして、係合本体部に、長孔と平行してリブを形成することによって、係合本体部の強度を高めることができ、これによって、パネルを下地材に強力に留め付けることができる。
【0020】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部は、前記リブに沿って切込みを形成することによって設けられているものとしてよい。
【0021】
このようにすると、取付部を設けるために切込みを形成しても、リブによって係合本体部に必要とされる強度を確保することができる。
【0022】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部には、前記係合部側に向かって突出する突出部が形成され、前記突出部は、前記パネル取付金具を使用して前記パネルを前記下地材に取り付けた状態で、前記下地材の縁部に当接し、又は前記下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成されているものとしてよい。
【0023】
このように、取付部の突出部は、パネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態で、下地材の縁部に当接し、又は下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成したものであるので、パネル取付金具と下地材との位置関係がずれないように規制することができる。これによって、パネル取付金具と下地材との位置関係を、当初の規定通りの状態で維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係るパネル取付金具によると、作業者は、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む状態となるまでボルトを締め付けることによって、パネル取付金具の係合部が下地材を規定通りの押付け力で押し付けた状態にすることができ、これによって、パネルを下地材に対して規定の留付け力で簡単に取り付けることができる。
【0025】
そして、ボルトを締め付けていくときに、取付部がパネルの表面に当接した状態となったときは、ボルトの締付け力は、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む圧縮力として働くようになり、従って、作業者が、ボルトを多少強く締め付けることがあっても、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に対して規定通りの留付け力となるように簡単に取り付けることができる。
【0026】
また、パネル取付金具の取付部の弾性力を大きく設定することによって、係合部が下地材をパネル側に押圧する力を大きくすることができ、これによって、パネルの留付け力を大きくすることができる。この場合、ナット部材がパネルを押付ける力が大きくなるが、パネルは、取付部とナット部材とによって挟まれて圧縮力が働くので、このパネルには、大きな歪みが生じることがなく、損傷も生じることがない。
【0027】
また、例えば地震等によって、パネルに層間変位が起こり、ボルトがパネル取付金具に対して位置ずれしても、取付部が、弾性変形してパネルと略平行してパネルに当接しているので、ボルトによる所望の締付け力を維持でき、更にパネルの留付け部は、常に圧縮応力が掛かった状態を維持することができる。これによって、パネルの取付け状態を、パネルに層間変位が起こる前の状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図3】図1に示すパネル取付金具をボルトで締め付けていく状態を示す縦断面図である。
【図4】同第1実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルの上部及び下部を下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4に示すパネルを下地材に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図4に示すパネルを下地材に取り付けた状態を示す背面図である。
【図7】同発明の第2実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルの上部及び下部を下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図8】同発明の第3実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図9】図8に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図10】同発明の第4実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】図10に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図12】第1実施形態に係るパネル取付金具をボルトで締め付けたときにパネルに掛かる歪み量を測定する状態を示す縦断面図である。
【図13】図12に示すパネルの表面に貼着されている歪みゲージを示す図であり、(a)は、そのパネルの部分平面図、(b)は、そのパネルの部分右側面図である。
【図14】図12に示す同第1実施形態に係るパネル取付金具をボルトで締め付けたときの、ボルトの締付けトルクとパネルに生じる歪み値との関係を示す図である。
【図15】図16に示す従来のパネル取付金具をボルトで締め付けたときの、ボルトの締付けトルクとパネルに生じる歪み値との関係を示す図である。
【図16】従来のパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図17】図16に示す従来のパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るパネル取付金具、及びこのパネル取付金具を使用して、パネルを上側及び下側下地材3に取り付ける方法の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。このパネル2は、例えば建物の外壁を形成するための外壁パネルである。
【0030】
このパネル取付金具11は、図4に示すように、パネル2を建物の上側下地材3(例えばC型鋼材)及び下側下地材3(C型鋼材)に取り付けることができるものである。図5は、図4に示すパネル2を下地材3に取り付けた状態を示す部分切欠き斜視図である。図6は、図4に示すパネル2を下地材3に取り付けた状態を示す背面図である。
【0031】
なお、図4の下側に示す上側下地材3は、建物の梁12に溶接され、同図の上側に示す下側下地材3は、平板状のブラケット13を介して建物の梁12に溶接されている。パネル2は、例えば中空の押出成形セメント板である。
【0032】
また、図4に示す上側のパネル2の下端部と下側のパネル2の上端部との間の隙間には、外側から順に、シーリング材14、バックアップ材15、及びブラケット13の縁部が装着されている。そして、このブラケット13の縁部の下側には、ロックウール材16が装着されている。
【0033】
パネル取付金具11は、図1及び図2に示すように、略矩形の板状体を屈曲して形成したものであり、係合本体部17と取付部18とを備えている。
【0034】
係合本体部17は、平面形状が略矩形の枠体状に形成され、下地材3の縁部3aに係合される係合部19を有している。この係合部19は、断面が略V字形状であり、この係合部19の略V字形状の溝の内面が、パネル2の表面に対して略垂直方向に突出する下地材3の縁部3aに係合するように形成されている。そして、係合本体部17には、図1に示す下地材3が延びる方向と略直交する方向に延びるリブ20が2つ形成されている。このリブ20は、係合本体部17を屈曲して形成した突条である。
【0035】
取付部18は、例えば細長い板状に形成され、略矩形の枠体状に形成された係合本体部17の内側に配置されている。そして、この取付部18の基端部が、係合本体部17の係合部19と反端側の部分に形成された内縁部に結合し、ボルト6を挿通するための挿通孔11aを有している。この挿通孔11aは、図1に示す下地材3が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔である。この挿通孔11aは、2つのリブ20の間に配置され、各リブ20と平行している。
【0036】
そして、取付部18の先端部には、図1及び図2に示すように、係合部19側に向かって突出する突出部21が形成されている。この突出部21は、略三角形の板状部であり、パネル取付金具11を使用してパネル2を下地材3に取り付けた状態で、この突出部21の先端部が下地材3の縁部3aに当接し、又は下地材3の縁部3aと隙間を隔てて配置されるように形成されている。
【0037】
また、このパネル取付金具11は、図1に示すように、係合部19を下地材3に係合させた状態で、ボルト6を取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、ボルト6の先端部をナット部材7に螺合させてボルト6を締め付けたとき、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込むように構成されている。このナット部材7は、パネル2の中空部2b内に配置されている。
【0038】
更に、パネル取付金具11は、図2(a)に示すように、係合本体部17と取付部18及び突出部21との間の境界部分(略U字状部分)を打ち抜くことによって、取付部18及び突出部21が形成されている。そして、このように、取付部18が、リブ20に沿って切込み22を形成して設けたものとすると、取付部18を設けるために切込み22を形成しても、リブ20によって係合本体部17に必要とされる強度を確保することができる。
【0039】
次に、図1〜図6を参照して、このパネル取付金具11の作用を説明する。このパネル取付金具11を使用して、パネル2を建物の下地材3に取り付けるときは、まず、図3に示すように、係合部19を下地材3の縁部3aに係合させた状態で、ボルト6を、取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、このボルト6の先端部にナット部材7を螺合させてボルト6を締め付ける。これによって、図1に示すように、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となる。これによって、パネル2を下地材3に取り付けることができる。
【0040】
そして、ボルト6の締付け力(取付部18をパネル2の表面に近づける方向の力)によって取付部18が弾性変形するときは、そのときに生じる弾性力が、パネル取付金具11の係合部19が下地材3を押し付ける力となり、この押付け力によってパネル2を下地材3に取り付けることができる。そして、更にボルト6をナット部材7に対して締め付けていくと、ボルト6の締付け力が、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む力(圧縮力)となり、この挟み込む力(圧縮力)によって、パネル取付金具11をパネル2に強力に取り付けることができる。
【0041】
よって、このパネル取付金具11によると、作業者は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となるまでボルト6を締め付けることによって、パネル取付金具11の係合部19が下地材3を規定通りの押付け力F4で押し付けた状態にすることができ、これによって、パネル2を下地材3に対して規定の留付け力で簡単に取り付けることができる。
【0042】
そして、ボルト6を締め付けていくときに、取付部18がパネル2の表面に当接した状態となったときは、ボルト6の締付け力は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む圧縮力F5、F6として働くようになり、従って、作業者が、ボルト6を多少強く締め付けることがあっても、セメントを使用した建材であるパネル2を、ボルト6の締結によりそのパネル2の留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材3に対して規定通りの留付け力F4となるように簡単に取り付けることができる。
【0043】
また、パネル取付金具11の取付部18の弾性力を大きく設定することによって、係合部19が下地材3をパネル2側に押圧する力F4を大きくすることができ、これによって、パネル2の留付け力F4を大きくすることができる。この場合、ナット部材7がパネル2を押付ける力F5が大きくなるが、パネル2は、取付部18とナット部材7とによって挟まれて圧縮力F5、F6が働くので、このパネル2には、大きな歪みが生じることがなく、損傷も生じることがない。
【0044】
更に、例えば地震等によって、パネル2に層間変位が起こり、図1に示すボルト6がパネル取付金具11に対して同図の右方向に位置ずれしても、取付部18が、弾性変形してパネル2と略平行してパネル2に当接しているので、ボルト6の締付け力が低下したり緩むことがなく、所望の締付け力を維持することができる。これによって、パネル2の留付け力を、パネル2に層間変位が起こる前の状態に維持することができる。
【0045】
更に、例えば地震等によってパネル2に層間変位が生じたときに、図1に示すパネル取付金具11の係合部19が、下地材3の縁部3aから外れる方向(同図における左右の各方向)に移動しようとしても、その移動を係合部19の略V字形状の溝の内面によって阻止することができる。よって、係合部19が下地材3の縁部3aから外れないように、係合状態を維持することができる。
【0046】
そして、図2(a)に示すように、取付部18に形成された挿通孔11aを長孔とすると、係合部19の下地材3に対する係合位置を、長孔に沿って調整することができる。また、取付部18に形成された挿通孔11aが長孔であるので、地震等によってパネル2及びボルト6の下地材3及びパネル取付金具11に対する位置関係がずれることを許容することができ、パネル2の損傷を防止できる。
【0047】
また、図1及び図2に示すように、係合本体部17に、長孔の挿通孔11aと平行してリブ20を形成することによって、係合本体部17の強度を高めることができ、これによって、パネル2を下地材3に強力に留め付けることができる。
【0048】
更に、図1に示すように、取付部18の突出部21は、パネル取付金具11を使用してパネル2を下地材3に取り付けた状態で、下地材3の縁部3aに当接し、又は下地材3の縁部3aと隙間を隔てて配置されるように形成したものであるので、パネル取付金具11と下地材3との位置関係(同図の左右方向の位置関係)がずれないように規制することができる。これによって、パネル取付金具11と下地材3との位置関係を、図1に示す当初の規定通りの状態で維持することができる。
【0049】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第2実施形態を、図7を参照して説明する。この図7の上側に示すパネル取付金具24が、第2実施形態のものであり、同図の下側に示すパネル取付金具11が、第1実施形態のものである。
【0050】
この図7の上側に示す第2実施形態と、同図の下側に示す第1実施形態とが相違するところは、同図の下側に示す第1実施形態では、取付部18の先端に形成されている突出部21が、取付部18と同一平面上に形成された平板状部であるのに対して、同図の上側に示す第2実施形態では、取付部18の先端に形成されている突出部25が、L字状部として形成されているところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0051】
このように、第2実施形態の突出部25を、L字状部として形成したのは、その突出部25が、パッキン26を介してパネル2の表面と間隔を隔てて配置されている下地材27の縁部27aに当接し、又は下地材27の縁部27aと隙間を隔てて配置されるようにするためである。
【0052】
この下地材27は、例えばZ型鋼材であり、この下地材27は、ブラケット(L型鋼材)28に溶接され、このブラケット28は、梁12に溶接されている。
【0053】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第3実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。この図8及び図9に示す第3実施形態のパネル取付金具31は、取付部18の先端に突出部21を設けていない例を示したものである。これ以外は、図1及び図2に示す第1実施形態のパネル取付金具11と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0054】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第4実施形態を、図10及び図11を参照して説明する。この図10及び図11に示す第4実施形態と、図1及び図2に示す第1実施形態とが相違するところは、係合部35と19が相違するところである。そして、図10等に示す第4実施形態では、取付部18の先端に突出部21が設けられていないし、リブ20も設けられていない。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0055】
第4実施形態のパネル取付金具34に設けられている係合部35は、図10及び図11に示すように、係合本体部17と略平行する矩形の平板状であり、この係合部35の表面が、パネル2の表面に対して略平行する下地材36の縁部36aの表面と面接触して押圧するように形成されている。
【0056】
このパネル取付金具34によると、係合部35とパネル2との間に下地材(L型鋼)36の縁部36aを挟み込むようになっており、パネル2に対して、このパネル2と垂直方向に下地材3から引き離す方向の力が掛かったときでも、パネル2が下地材3から引き離されないように係合して留め付けておくことができる。
【0057】
次に、図12〜図15を参照して、第1実施形態に係るパネル取付金具11、及び図16に示す従来のパネル取付金具1をボルト6で締め付けたときに、パネル2に掛かる歪み量について説明する。
【0058】
図12は、第1実施形態に係るパネル取付金具11を、トルクレンチ38を使用してボルト6で締め付けている状態を示している。同図に示すように、ボルト6の締付け力が所定以上となり、取付部18とナット部材7との間にパネル2が挟み込まれた状態となると、それ以上のボルト6の締付け力は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む力(圧縮応力)F5、F6となり、パネル2には、引っ張り応力又は曲げ応力が殆ど掛からないようになっている。また、係合部19が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F4で押し付ける状態となる。
【0059】
これに対して、図16に示すように、従来のパネル取付金具1を、トルクレンチ38を使用してボルト6で締め付けると、ボルト6の締付け力によって、ナット部材7がパネル2の内面を所定の押圧力F1で同図の上方向に押圧し、係合部19が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F2で押し付ける状態となり、更に、係合本体部17の基端部がパネル2の表面を同図の下方向に所定の力F3で押し付ける状態となる。
【0060】
よって、パネル2には、ナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力によって、引っ張り応力又は曲げ応力が働く。
【0061】
図13は、図12に示すパネル2の表面であって取付孔2aの周辺部に貼着されている4つの歪みゲージG1〜G4を示している。この4つの歪みゲージG1〜G4によって、ボルト6を締め付けたときに、取付孔2aの周辺部の4箇所に生じる歪み値εを測定することができるようになっている。
【0062】
図14は、図12に示す第1実施形態に係るパネル取付金具11をボルト6で締め付けたときの、締付けトルク値Tとパネル2に生じる歪み値εとの関係を示している。図14から分かるように、締付けトルク値Tが0〜T1の間では、取付部18が弾性変形している範囲であり、パネル2には、引っ張り応力又は曲げ応力が働いており、締付けトルク値Tの増加に従って歪み値εが増加している。そして、締付けトルク値TがT2となると、取付部18とパネル2とが互いに密着して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となる。従って、締付けトルク値TをT2を超えて増加させても、パネル2は、取付部18とナット部材7とで挟み込まれた状態となっているので、圧縮応力F5、F6が働き、次第に歪み値εが減少していく。よって、締付けトルク値TをT3まで大きくしても、パネル2に生じる歪み値εは、ε31であり、パネル2の適応応力(引っ張り応力又は曲げ応力に基づく適応応力)を超えないようにすることができる。ただし、パネル2の圧縮応力に基づく適応応力を超えないように、設定締付けトルク値TS1を決定する必要がある。
【0063】
従って、トルク値がT2を超えると、取付部18とパネル2とが互いに密着し、このトルク値T2で係合部19が下地材3を最大押付け力で押圧した状態となるので、作業者は、トルク値T2を超える範囲であって、パネル2の圧縮応力に基づく適応応力を超えない広いトルク範囲でボルト6を締め付けることができ、締付け作業の簡単化を図ることができる。
【0064】
図15は、図16に示す従来のパネル取付金具11をボルト6で締め付けたときの、締付けトルク値Tとパネル2に生じる歪み値εとの関係を示している。図15から分かるように、締付けトルク値Tが増加するに従って歪み値εが増加している。
【0065】
従って、パネル2の適応応力(引っ張り応力又は曲げ応力に基づく適応応力)を超えないように、例えば設定締付けトルク値TS2をT5に決定することができる。
【0066】
このように、設定締付けトルク値TSは、従来のパネル取付金具1では、TS2(=T5)であるのに対して、第1実施形態に係るパネル取付金具11では、設定締付けトルク値をTS1(=例えばT4>T5)とすることができる。このとき、第1実施形態に係るパネル取付金具11のトルク値T4のときの歪み値ε41は、従来のパネル取付金具1のトルク値T5のときの歪み値ε52よりも小さいので、第1実施形態に係るパネル取付金具11のトルク値Tを比較的大きいT4としても、パネル2の適応応力を超えないようにすることができる。
【0067】
よって、第1実施形態に係るパネル取付金具11は、その設定締付けトルク値TS1を、従来のパネル取付金具1の設定締付けトルク値TS2よりも大きくすることができるので、従来のものよりもパネル2の留付け力を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係るパネル取付金具は、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に規定通りの留付ける力で取り付けることができる優れた効果を有し、このようなパネル取付金具に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0069】
2 パネル
2a 取付孔
2b 中空部
3 下地材
3a 縁部
6 ボルト
7 ナット部材
11、24、31、34 パネル取付金具
11a 挿通孔
12 梁
13 ブラケット
14 シーリング材
15 バックアップ材
16 ロックウール材
17 係合本体部
18 取付部
19、35 係合部
20 リブ
21、25 突出部
22 切込み
26 パッキン
27、36 下地材
27a、36a 縁部
28 ブラケット
38 トルクレンチ
F1、F2、F3、F4、F5、F6 力
G1、G2、G3、G4 歪みゲージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の外壁部材となるパネルを建物の躯体側に設けられた下地材に取り付けるためのパネル取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記従来のパネル取付金具の一例として、図16及び図17に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。このパネル取付金具1は、中空の押出成形セメント板で作られたパネル2やALC(Autoclaved Lightweight Concrete)製のパネルを、例えば建物の躯体側に設けられたC型チャンネル材からなる下地材3に取り付け(留め付ける)ことができるものである。
【0003】
このパネル取付金具1を使用して、パネル2を建物の下地材3に取り付けるときは、図16に示すように、係合部4を下地材3の縁部3aに係合させて、係合本体部5の基端部をパネル2の表面に当接させた状態で、ボルト6を、係合本体部5の挿通孔1a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通して、このボルト6の先端部にナット部材7を螺合させて、ボルト6をナット部材7に対して締め付ける。これによって、パネル2を下地材3に取り付けることができる。このナット部材7は、パネル2に形成された中空部2b内に配置されている。
【0004】
そして、図16に示すように、係合部4を下地材3の縁部3aに係合させて、係合本体部5の基端部をパネル2の表面に当接させた状態では、このパネル取付金具1は、パネル2の表面に対して傾斜した状態となっており、これによって、係合本体部5の下面とパネル2の表面との間に隙間8が形成されている。この隙間8は、ボルト6をナット部材7に締め付けることによって、係合部4を下地材3の縁部3aに押し付けるための締め代となっている。
【0005】
よって、図16に示すボルト6を所定のトルクで締め付けると、パネル2の中空部2b内に配置されたナット部材7がパネル2の内面を所定の押圧力F1で同図の上方向に押圧し、係合部4が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F2で押し付ける状態となり、更に、係合本体部5の基端部がパネル2の表面を同図の下方向に所定の力F3で押し付ける状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−70223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図16及び図17に示す従来のパネル取付金具1では、パネル2を下地材3に対して規定の留付け力F2で取り付けるために、ボルト6を規定されたトルクで締め付ける必要があるが、留付け力が規定値未満とならないように、ボルト6を規定されたトルクよりも大きいトルクで締め付けることがある。
【0008】
そして、ボルト6を規定よりも大きいトルクで締め付けると、図16に示すナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力F1も規定値よりも大きくなる。そして、このように、ナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力F1は、パネル2に対して引っ張り応力又は曲げ応力として働く。
【0009】
しかし、一般にセメントを使用した押出成形セメント板で作られたパネル2では、圧縮応力よりも引っ張り応力や曲げ応力に対する強度が小さいので、ボルト6の締付け力が規定トルクよりも過度に大きい場合は、このような押出成形セメント板等で作られたパネル2に対して、その適応応力以上の引っ張り応力又は曲げ応力が掛かることになり、このパネル2は、場合によっては、そのような引っ張り応力又は曲げ応力が掛かる部分、例えばパネル2の挿通孔1aの周辺部が損傷する恐れがある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に規定通りの留付ける力で取り付けることができるパネル取付金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るパネル取付金具は、パネルを建物の下地材に取り付けるためのパネル取付金具において、枠体状に形成され、前記下地材に係合される係合部を有する係合本体部と、前記係合本体部の内側に配置され、前記係合本体部の前記係合部と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルトを挿通するための挿通孔を有する取付部とを備え、前記係合部を前記下地材に係合させた状態で、ボルトを前記取付部の挿通孔及び前記パネルに形成された取付孔に挿通し、前記ボルトの先端部をナット部材に螺合させて前記ボルトを締め付けたとき、前記取付部が弾性変形して、前記取付部とナット部材との間に前記パネルを挟み込む構成としたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るパネル取付金具を使用して、パネルを建物の下地材に取り付けるときは、係合部を下地材に係合させた状態で、ボルトを、取付部の挿通孔及びパネルに形成された取付孔に挿通し、このボルトの先端部にナット部材を螺合させてボルトを締め付ける。このとき、取付部が弾性変形して、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む状態となる。これによって、パネルを下地材に取り付けることができる。
【0013】
そして、ボルトの締付け力(取付部をパネルの表面に近づける方向の力)によって取付部が弾性変形するときは、そのときに生じる弾性力が、パネル取付金具の係合部が下地材を押し付ける力となり、この押付け力によってパネルを下地材に取り付けることができる。そして、更にボルトをナット部材に対して締め付けていくと、ボルトの締付け力が、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む力(圧縮力)となり、この挟み込む力(圧縮力)によって、パネル取付金具をパネルに強力に取り付けることができる。
【0014】
本発明に係るパネル取付金具において、前記係合部は、断面が略V字形状であり、この係合部の略V字形状の溝の内面が、前記パネルの表面に対して略垂直方向に突出する前記下地材の縁部に係合するように形成されているものとしてよい。
【0015】
このようにすると、例えば地震等によってパネルに層間変位が生じたときに、パネル取付金具の係合部が、下地材の縁部から外れる方向に移動しようとしても、その移動を係合部の略V字形状の溝の内面によって阻止することができる。よって、係合部が下地材の縁部から外れないように、係合状態を維持することができる。
【0016】
本発明に係るパネル取付金具において、前記係合部は、前記係合本体部と略平行する平板状であり、この係合部の表面が、前記パネルの表面に対して略平行する前記下地材の縁部を押圧するように形成されているものとしてよい。
【0017】
このようにすると、パネルに対して、このパネルと垂直方向に下地材から引離す方向の力が掛かったときでも、パネルが下地材から引き離されないように係合して留め付けておくことができる。
【0018】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部に形成された前記挿通孔は、前記下地材が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔であり、前記係合本体部には、前記長孔と平行してリブが形成されているものとしてよい。
【0019】
このように、取付部に形成された挿通孔を長孔とすると、係合部の下地材に対する係合位置を、長孔に沿って調整することができる。そして、係合本体部に、長孔と平行してリブを形成することによって、係合本体部の強度を高めることができ、これによって、パネルを下地材に強力に留め付けることができる。
【0020】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部は、前記リブに沿って切込みを形成することによって設けられているものとしてよい。
【0021】
このようにすると、取付部を設けるために切込みを形成しても、リブによって係合本体部に必要とされる強度を確保することができる。
【0022】
本発明に係るパネル取付金具において、前記取付部には、前記係合部側に向かって突出する突出部が形成され、前記突出部は、前記パネル取付金具を使用して前記パネルを前記下地材に取り付けた状態で、前記下地材の縁部に当接し、又は前記下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成されているものとしてよい。
【0023】
このように、取付部の突出部は、パネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態で、下地材の縁部に当接し、又は下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成したものであるので、パネル取付金具と下地材との位置関係がずれないように規制することができる。これによって、パネル取付金具と下地材との位置関係を、当初の規定通りの状態で維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係るパネル取付金具によると、作業者は、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む状態となるまでボルトを締め付けることによって、パネル取付金具の係合部が下地材を規定通りの押付け力で押し付けた状態にすることができ、これによって、パネルを下地材に対して規定の留付け力で簡単に取り付けることができる。
【0025】
そして、ボルトを締め付けていくときに、取付部がパネルの表面に当接した状態となったときは、ボルトの締付け力は、取付部とナット部材との間にパネルを挟み込む圧縮力として働くようになり、従って、作業者が、ボルトを多少強く締め付けることがあっても、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に対して規定通りの留付け力となるように簡単に取り付けることができる。
【0026】
また、パネル取付金具の取付部の弾性力を大きく設定することによって、係合部が下地材をパネル側に押圧する力を大きくすることができ、これによって、パネルの留付け力を大きくすることができる。この場合、ナット部材がパネルを押付ける力が大きくなるが、パネルは、取付部とナット部材とによって挟まれて圧縮力が働くので、このパネルには、大きな歪みが生じることがなく、損傷も生じることがない。
【0027】
また、例えば地震等によって、パネルに層間変位が起こり、ボルトがパネル取付金具に対して位置ずれしても、取付部が、弾性変形してパネルと略平行してパネルに当接しているので、ボルトによる所望の締付け力を維持でき、更にパネルの留付け部は、常に圧縮応力が掛かった状態を維持することができる。これによって、パネルの取付け状態を、パネルに層間変位が起こる前の状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図3】図1に示すパネル取付金具をボルトで締め付けていく状態を示す縦断面図である。
【図4】同第1実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルの上部及び下部を下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4に示すパネルを下地材に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図4に示すパネルを下地材に取り付けた状態を示す背面図である。
【図7】同発明の第2実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルの上部及び下部を下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図8】同発明の第3実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図9】図8に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図10】同発明の第4実施形態に係るパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】図10に示すパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【図12】第1実施形態に係るパネル取付金具をボルトで締め付けたときにパネルに掛かる歪み量を測定する状態を示す縦断面図である。
【図13】図12に示すパネルの表面に貼着されている歪みゲージを示す図であり、(a)は、そのパネルの部分平面図、(b)は、そのパネルの部分右側面図である。
【図14】図12に示す同第1実施形態に係るパネル取付金具をボルトで締め付けたときの、ボルトの締付けトルクとパネルに生じる歪み値との関係を示す図である。
【図15】図16に示す従来のパネル取付金具をボルトで締め付けたときの、ボルトの締付けトルクとパネルに生じる歪み値との関係を示す図である。
【図16】従来のパネル取付金具を使用してパネルを下地材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図17】図16に示す従来のパネル取付金具を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るパネル取付金具、及びこのパネル取付金具を使用して、パネルを上側及び下側下地材3に取り付ける方法の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。このパネル2は、例えば建物の外壁を形成するための外壁パネルである。
【0030】
このパネル取付金具11は、図4に示すように、パネル2を建物の上側下地材3(例えばC型鋼材)及び下側下地材3(C型鋼材)に取り付けることができるものである。図5は、図4に示すパネル2を下地材3に取り付けた状態を示す部分切欠き斜視図である。図6は、図4に示すパネル2を下地材3に取り付けた状態を示す背面図である。
【0031】
なお、図4の下側に示す上側下地材3は、建物の梁12に溶接され、同図の上側に示す下側下地材3は、平板状のブラケット13を介して建物の梁12に溶接されている。パネル2は、例えば中空の押出成形セメント板である。
【0032】
また、図4に示す上側のパネル2の下端部と下側のパネル2の上端部との間の隙間には、外側から順に、シーリング材14、バックアップ材15、及びブラケット13の縁部が装着されている。そして、このブラケット13の縁部の下側には、ロックウール材16が装着されている。
【0033】
パネル取付金具11は、図1及び図2に示すように、略矩形の板状体を屈曲して形成したものであり、係合本体部17と取付部18とを備えている。
【0034】
係合本体部17は、平面形状が略矩形の枠体状に形成され、下地材3の縁部3aに係合される係合部19を有している。この係合部19は、断面が略V字形状であり、この係合部19の略V字形状の溝の内面が、パネル2の表面に対して略垂直方向に突出する下地材3の縁部3aに係合するように形成されている。そして、係合本体部17には、図1に示す下地材3が延びる方向と略直交する方向に延びるリブ20が2つ形成されている。このリブ20は、係合本体部17を屈曲して形成した突条である。
【0035】
取付部18は、例えば細長い板状に形成され、略矩形の枠体状に形成された係合本体部17の内側に配置されている。そして、この取付部18の基端部が、係合本体部17の係合部19と反端側の部分に形成された内縁部に結合し、ボルト6を挿通するための挿通孔11aを有している。この挿通孔11aは、図1に示す下地材3が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔である。この挿通孔11aは、2つのリブ20の間に配置され、各リブ20と平行している。
【0036】
そして、取付部18の先端部には、図1及び図2に示すように、係合部19側に向かって突出する突出部21が形成されている。この突出部21は、略三角形の板状部であり、パネル取付金具11を使用してパネル2を下地材3に取り付けた状態で、この突出部21の先端部が下地材3の縁部3aに当接し、又は下地材3の縁部3aと隙間を隔てて配置されるように形成されている。
【0037】
また、このパネル取付金具11は、図1に示すように、係合部19を下地材3に係合させた状態で、ボルト6を取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、ボルト6の先端部をナット部材7に螺合させてボルト6を締め付けたとき、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込むように構成されている。このナット部材7は、パネル2の中空部2b内に配置されている。
【0038】
更に、パネル取付金具11は、図2(a)に示すように、係合本体部17と取付部18及び突出部21との間の境界部分(略U字状部分)を打ち抜くことによって、取付部18及び突出部21が形成されている。そして、このように、取付部18が、リブ20に沿って切込み22を形成して設けたものとすると、取付部18を設けるために切込み22を形成しても、リブ20によって係合本体部17に必要とされる強度を確保することができる。
【0039】
次に、図1〜図6を参照して、このパネル取付金具11の作用を説明する。このパネル取付金具11を使用して、パネル2を建物の下地材3に取り付けるときは、まず、図3に示すように、係合部19を下地材3の縁部3aに係合させた状態で、ボルト6を、取付部18の挿通孔11a及びパネル2に形成された取付孔2aに挿通し、このボルト6の先端部にナット部材7を螺合させてボルト6を締め付ける。これによって、図1に示すように、取付部18が弾性変形して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となる。これによって、パネル2を下地材3に取り付けることができる。
【0040】
そして、ボルト6の締付け力(取付部18をパネル2の表面に近づける方向の力)によって取付部18が弾性変形するときは、そのときに生じる弾性力が、パネル取付金具11の係合部19が下地材3を押し付ける力となり、この押付け力によってパネル2を下地材3に取り付けることができる。そして、更にボルト6をナット部材7に対して締め付けていくと、ボルト6の締付け力が、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む力(圧縮力)となり、この挟み込む力(圧縮力)によって、パネル取付金具11をパネル2に強力に取り付けることができる。
【0041】
よって、このパネル取付金具11によると、作業者は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となるまでボルト6を締め付けることによって、パネル取付金具11の係合部19が下地材3を規定通りの押付け力F4で押し付けた状態にすることができ、これによって、パネル2を下地材3に対して規定の留付け力で簡単に取り付けることができる。
【0042】
そして、ボルト6を締め付けていくときに、取付部18がパネル2の表面に当接した状態となったときは、ボルト6の締付け力は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む圧縮力F5、F6として働くようになり、従って、作業者が、ボルト6を多少強く締め付けることがあっても、セメントを使用した建材であるパネル2を、ボルト6の締結によりそのパネル2の留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材3に対して規定通りの留付け力F4となるように簡単に取り付けることができる。
【0043】
また、パネル取付金具11の取付部18の弾性力を大きく設定することによって、係合部19が下地材3をパネル2側に押圧する力F4を大きくすることができ、これによって、パネル2の留付け力F4を大きくすることができる。この場合、ナット部材7がパネル2を押付ける力F5が大きくなるが、パネル2は、取付部18とナット部材7とによって挟まれて圧縮力F5、F6が働くので、このパネル2には、大きな歪みが生じることがなく、損傷も生じることがない。
【0044】
更に、例えば地震等によって、パネル2に層間変位が起こり、図1に示すボルト6がパネル取付金具11に対して同図の右方向に位置ずれしても、取付部18が、弾性変形してパネル2と略平行してパネル2に当接しているので、ボルト6の締付け力が低下したり緩むことがなく、所望の締付け力を維持することができる。これによって、パネル2の留付け力を、パネル2に層間変位が起こる前の状態に維持することができる。
【0045】
更に、例えば地震等によってパネル2に層間変位が生じたときに、図1に示すパネル取付金具11の係合部19が、下地材3の縁部3aから外れる方向(同図における左右の各方向)に移動しようとしても、その移動を係合部19の略V字形状の溝の内面によって阻止することができる。よって、係合部19が下地材3の縁部3aから外れないように、係合状態を維持することができる。
【0046】
そして、図2(a)に示すように、取付部18に形成された挿通孔11aを長孔とすると、係合部19の下地材3に対する係合位置を、長孔に沿って調整することができる。また、取付部18に形成された挿通孔11aが長孔であるので、地震等によってパネル2及びボルト6の下地材3及びパネル取付金具11に対する位置関係がずれることを許容することができ、パネル2の損傷を防止できる。
【0047】
また、図1及び図2に示すように、係合本体部17に、長孔の挿通孔11aと平行してリブ20を形成することによって、係合本体部17の強度を高めることができ、これによって、パネル2を下地材3に強力に留め付けることができる。
【0048】
更に、図1に示すように、取付部18の突出部21は、パネル取付金具11を使用してパネル2を下地材3に取り付けた状態で、下地材3の縁部3aに当接し、又は下地材3の縁部3aと隙間を隔てて配置されるように形成したものであるので、パネル取付金具11と下地材3との位置関係(同図の左右方向の位置関係)がずれないように規制することができる。これによって、パネル取付金具11と下地材3との位置関係を、図1に示す当初の規定通りの状態で維持することができる。
【0049】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第2実施形態を、図7を参照して説明する。この図7の上側に示すパネル取付金具24が、第2実施形態のものであり、同図の下側に示すパネル取付金具11が、第1実施形態のものである。
【0050】
この図7の上側に示す第2実施形態と、同図の下側に示す第1実施形態とが相違するところは、同図の下側に示す第1実施形態では、取付部18の先端に形成されている突出部21が、取付部18と同一平面上に形成された平板状部であるのに対して、同図の上側に示す第2実施形態では、取付部18の先端に形成されている突出部25が、L字状部として形成されているところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0051】
このように、第2実施形態の突出部25を、L字状部として形成したのは、その突出部25が、パッキン26を介してパネル2の表面と間隔を隔てて配置されている下地材27の縁部27aに当接し、又は下地材27の縁部27aと隙間を隔てて配置されるようにするためである。
【0052】
この下地材27は、例えばZ型鋼材であり、この下地材27は、ブラケット(L型鋼材)28に溶接され、このブラケット28は、梁12に溶接されている。
【0053】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第3実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。この図8及び図9に示す第3実施形態のパネル取付金具31は、取付部18の先端に突出部21を設けていない例を示したものである。これ以外は、図1及び図2に示す第1実施形態のパネル取付金具11と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0054】
次に、本発明に係るパネル取付金具の第4実施形態を、図10及び図11を参照して説明する。この図10及び図11に示す第4実施形態と、図1及び図2に示す第1実施形態とが相違するところは、係合部35と19が相違するところである。そして、図10等に示す第4実施形態では、取付部18の先端に突出部21が設けられていないし、リブ20も設けられていない。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0055】
第4実施形態のパネル取付金具34に設けられている係合部35は、図10及び図11に示すように、係合本体部17と略平行する矩形の平板状であり、この係合部35の表面が、パネル2の表面に対して略平行する下地材36の縁部36aの表面と面接触して押圧するように形成されている。
【0056】
このパネル取付金具34によると、係合部35とパネル2との間に下地材(L型鋼)36の縁部36aを挟み込むようになっており、パネル2に対して、このパネル2と垂直方向に下地材3から引き離す方向の力が掛かったときでも、パネル2が下地材3から引き離されないように係合して留め付けておくことができる。
【0057】
次に、図12〜図15を参照して、第1実施形態に係るパネル取付金具11、及び図16に示す従来のパネル取付金具1をボルト6で締め付けたときに、パネル2に掛かる歪み量について説明する。
【0058】
図12は、第1実施形態に係るパネル取付金具11を、トルクレンチ38を使用してボルト6で締め付けている状態を示している。同図に示すように、ボルト6の締付け力が所定以上となり、取付部18とナット部材7との間にパネル2が挟み込まれた状態となると、それ以上のボルト6の締付け力は、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む力(圧縮応力)F5、F6となり、パネル2には、引っ張り応力又は曲げ応力が殆ど掛からないようになっている。また、係合部19が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F4で押し付ける状態となる。
【0059】
これに対して、図16に示すように、従来のパネル取付金具1を、トルクレンチ38を使用してボルト6で締め付けると、ボルト6の締付け力によって、ナット部材7がパネル2の内面を所定の押圧力F1で同図の上方向に押圧し、係合部19が下地材3の縁部3aをパネル2側(同図の下方向)に所定の力F2で押し付ける状態となり、更に、係合本体部17の基端部がパネル2の表面を同図の下方向に所定の力F3で押し付ける状態となる。
【0060】
よって、パネル2には、ナット部材7がパネル2の内面を同図の上方向に押圧する力によって、引っ張り応力又は曲げ応力が働く。
【0061】
図13は、図12に示すパネル2の表面であって取付孔2aの周辺部に貼着されている4つの歪みゲージG1〜G4を示している。この4つの歪みゲージG1〜G4によって、ボルト6を締め付けたときに、取付孔2aの周辺部の4箇所に生じる歪み値εを測定することができるようになっている。
【0062】
図14は、図12に示す第1実施形態に係るパネル取付金具11をボルト6で締め付けたときの、締付けトルク値Tとパネル2に生じる歪み値εとの関係を示している。図14から分かるように、締付けトルク値Tが0〜T1の間では、取付部18が弾性変形している範囲であり、パネル2には、引っ張り応力又は曲げ応力が働いており、締付けトルク値Tの増加に従って歪み値εが増加している。そして、締付けトルク値TがT2となると、取付部18とパネル2とが互いに密着して、取付部18とナット部材7との間にパネル2を挟み込む状態となる。従って、締付けトルク値TをT2を超えて増加させても、パネル2は、取付部18とナット部材7とで挟み込まれた状態となっているので、圧縮応力F5、F6が働き、次第に歪み値εが減少していく。よって、締付けトルク値TをT3まで大きくしても、パネル2に生じる歪み値εは、ε31であり、パネル2の適応応力(引っ張り応力又は曲げ応力に基づく適応応力)を超えないようにすることができる。ただし、パネル2の圧縮応力に基づく適応応力を超えないように、設定締付けトルク値TS1を決定する必要がある。
【0063】
従って、トルク値がT2を超えると、取付部18とパネル2とが互いに密着し、このトルク値T2で係合部19が下地材3を最大押付け力で押圧した状態となるので、作業者は、トルク値T2を超える範囲であって、パネル2の圧縮応力に基づく適応応力を超えない広いトルク範囲でボルト6を締め付けることができ、締付け作業の簡単化を図ることができる。
【0064】
図15は、図16に示す従来のパネル取付金具11をボルト6で締め付けたときの、締付けトルク値Tとパネル2に生じる歪み値εとの関係を示している。図15から分かるように、締付けトルク値Tが増加するに従って歪み値εが増加している。
【0065】
従って、パネル2の適応応力(引っ張り応力又は曲げ応力に基づく適応応力)を超えないように、例えば設定締付けトルク値TS2をT5に決定することができる。
【0066】
このように、設定締付けトルク値TSは、従来のパネル取付金具1では、TS2(=T5)であるのに対して、第1実施形態に係るパネル取付金具11では、設定締付けトルク値をTS1(=例えばT4>T5)とすることができる。このとき、第1実施形態に係るパネル取付金具11のトルク値T4のときの歪み値ε41は、従来のパネル取付金具1のトルク値T5のときの歪み値ε52よりも小さいので、第1実施形態に係るパネル取付金具11のトルク値Tを比較的大きいT4としても、パネル2の適応応力を超えないようにすることができる。
【0067】
よって、第1実施形態に係るパネル取付金具11は、その設定締付けトルク値TS1を、従来のパネル取付金具1の設定締付けトルク値TS2よりも大きくすることができるので、従来のものよりもパネル2の留付け力を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係るパネル取付金具は、セメントを使用した建材であるパネルを、ボルトの締結によりその留付け部に圧縮応力が掛かるように取り付けることができると共に、下地材に規定通りの留付ける力で取り付けることができる優れた効果を有し、このようなパネル取付金具に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0069】
2 パネル
2a 取付孔
2b 中空部
3 下地材
3a 縁部
6 ボルト
7 ナット部材
11、24、31、34 パネル取付金具
11a 挿通孔
12 梁
13 ブラケット
14 シーリング材
15 バックアップ材
16 ロックウール材
17 係合本体部
18 取付部
19、35 係合部
20 リブ
21、25 突出部
22 切込み
26 パッキン
27、36 下地材
27a、36a 縁部
28 ブラケット
38 トルクレンチ
F1、F2、F3、F4、F5、F6 力
G1、G2、G3、G4 歪みゲージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを建物の下地材に取り付けるためのパネル取付金具において、
枠体状に形成され、前記下地材に係合される係合部を有する係合本体部と、
前記係合本体部の内側に配置され、前記係合本体部の前記係合部と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルトを挿通するための挿通孔を有する取付部とを備え、
前記係合部を前記下地材に係合させた状態で、ボルトを前記取付部の挿通孔及び前記パネルに形成された取付孔に挿通し、前記ボルトの先端部をナット部材に螺合させて前記ボルトを締め付けたとき、前記取付部が弾性変形して、前記取付部とナット部材との間に前記パネルを挟み込む構成としたことを特徴とするパネル取付金具。
【請求項2】
前記係合部は、断面が略V字形状であり、この係合部の略V字形状の溝の内面が、前記パネルの表面に対して略垂直方向に突出する前記下地材の縁部に係合するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル取付金具。
【請求項3】
前記係合部は、前記係合本体部と略平行する平板状であり、この係合部の表面が、前記パネルの表面に対して略平行する前記下地材の縁部を押圧するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル取付金具。
【請求項4】
前記取付部に形成された前記挿通孔は、前記下地材が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔であり、
前記係合本体部には、前記長孔と平行してリブが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル取付金具。
【請求項5】
前記取付部は、前記リブに沿って切込みを形成することによって設けられていることを特徴とする請求項4記載のパネル取付金具。
【請求項6】
前記取付部には、前記係合部側に向かって突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記パネル取付金具を使用して前記パネルを前記下地材に取り付けた状態で、前記下地材の縁部に当接し、又は前記下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のパネル取付金具。
【請求項1】
パネルを建物の下地材に取り付けるためのパネル取付金具において、
枠体状に形成され、前記下地材に係合される係合部を有する係合本体部と、
前記係合本体部の内側に配置され、前記係合本体部の前記係合部と反端側の位置に形成された部分に結合し、ボルトを挿通するための挿通孔を有する取付部とを備え、
前記係合部を前記下地材に係合させた状態で、ボルトを前記取付部の挿通孔及び前記パネルに形成された取付孔に挿通し、前記ボルトの先端部をナット部材に螺合させて前記ボルトを締め付けたとき、前記取付部が弾性変形して、前記取付部とナット部材との間に前記パネルを挟み込む構成としたことを特徴とするパネル取付金具。
【請求項2】
前記係合部は、断面が略V字形状であり、この係合部の略V字形状の溝の内面が、前記パネルの表面に対して略垂直方向に突出する前記下地材の縁部に係合するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル取付金具。
【請求項3】
前記係合部は、前記係合本体部と略平行する平板状であり、この係合部の表面が、前記パネルの表面に対して略平行する前記下地材の縁部を押圧するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル取付金具。
【請求項4】
前記取付部に形成された前記挿通孔は、前記下地材が延びる方向と略直交する方向に延びる長孔であり、
前記係合本体部には、前記長孔と平行してリブが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル取付金具。
【請求項5】
前記取付部は、前記リブに沿って切込みを形成することによって設けられていることを特徴とする請求項4記載のパネル取付金具。
【請求項6】
前記取付部には、前記係合部側に向かって突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記パネル取付金具を使用して前記パネルを前記下地材に取り付けた状態で、前記下地材の縁部に当接し、又は前記下地材の縁部と隙間を隔てて配置されるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のパネル取付金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−2198(P2013−2198A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136184(P2011−136184)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000135335)株式会社ノザワ (52)
【出願人】(000203265)村上工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000135335)株式会社ノザワ (52)
【出願人】(000203265)村上工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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