説明

パワーオンリセット回路

【課題】パワーオン時における回路電源電圧の変化の緩急に拘らず、非動作電圧から動作電圧へ変化時にリセット信号を確実に出力するパワーオンリセット回路を提供する。
【解決手段】本発明に係るパワーオンリセット回路は、回路電源電圧を受けて充電を行う充電回路と、回路電源電圧を受けて出力電圧を出力する動作電圧設定回路と、前記充電回路の出力する充電電圧、及び、前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧を判定して、パワーオンリセット信号を出力する電圧判定回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路電源電圧が非動作電圧から動作電圧へ変化する際にパワーオンリセット信号を発するパワーオンリセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
リセット付きラッチ回路等の揮発性データを記憶する回路では、回路電源電圧が非動作電圧から動作電圧へ変化する際に、通常、回路を初期状態に設定する必要がある。そのため、回路電源電圧が非動作電圧から動作電圧の変化時にリセット信号を生成し、これによりリセット付きラッチ回路等を初期状態に設定するパワーオンリセット回路に関する技術が開発されている。このようなパワーオンリセット回路は、リセット信号を出力するか否かを判定するパワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)を備えている。
【0003】
従来の技術では、パワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)への入力はインバータ回路で構成される。その入力は充電回路の出力電圧(充電電圧)である。つまり、充電回路における傾斜を有する充電電圧を、パワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)における入力閾値電圧と比較することで、パワーオンリセットを行う期間(パワーオンリセット期間)に関する判定を行っている。このようなパワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)では、回路電源電圧の変化の傾斜が、充電電圧の傾斜と同等に非常に緩やかである場合については考慮されておらず、次のような問題がある。
【0004】
例えば、パワーオンリセット回路において、電源投入後に充電回路が動作し0Vから充電が開始され、充電電圧がパワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)の入力閾値電圧に達するとパワーオンリセット期間が終了する。しかしながら、充電回路の充電電圧の傾斜と回路電源電圧の変化の傾斜が同等である場合、充電回路の充電電圧値は、パワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)の入力閾値電圧に達した状態で遷移することになるため、パワーオンリセット期間が生成されることがない。そうすると、リセット信号は出力され得ない。このことにつき以下、具体的に説明する。
【0005】
図6は、従来のパワーオンリセット回路の各電圧遷移について説明する図である。図6(A)は、回路電源電圧V1の傾斜が、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜よりも急峻である場合の図であり、図6(B)は、回路電源電圧V1の傾斜と、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜が同等である場合の図である。以下、回路電源電圧V1が回路最低動作電圧Vminに達するまでの期間・電圧を「回路非動作期間・電圧(1)」と称し、回路電源電圧V1が回路最低動作電圧Vminを超えた以降の期間・電圧を「回路動作期間・電圧(2)」と称する。
【0006】
図6(A)に示すように、回路電源電圧V1が充電回路の充電電圧よりも急峻に立ち上がる場合、回路動作期間(2)において、Vt1>Vrcである期間、即ち、充電電圧Vrcがパワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)における入力閾値電圧Vt1を超えるまでの期間では、パワーオンリセット回路はリセット信号Pocを出力する(図6(A)の(3)の期間)。しかし、図6(B)に示すような、回路電源電圧V1が充電回路の充電電圧と同等に緩やかに立ち上がる場合、回路電源電圧V1が回路最低動作電圧Vminに達するとき、既に充電電圧Vrcが、パワーオンリセット判定回路(電圧判定回路)における入力閾値電圧Vt1を超えてしまっているため、リセット信号Pocが出力され得ない。このように、回路電源電圧の立ち上がりの変化の緩急により、パワーオンリセット信号が適切に生成できない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パワーオン時における回路電源電圧の変化の緩急に拘らず、非動作電圧から動作電圧へ変化時にリセット信号を確実に出力するパワーオンリセット回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために為されたものである。本発明に係るパワーオンリセット回路は、
回路電源電圧を受けて充電を行う充電回路と、
回路電源電圧を受けて出力電圧を出力する動作電圧設定回路と、
前記充電回路の出力する充電電圧、及び、前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧を判定して、パワーオンリセット信号を出力する電圧判定回路と
を備える。
【0009】
電圧判定回路における判定のために、充電回路の出力する充電電圧に対して、第1の入力閾値電圧が設定されており、動作電圧設定回路の出力する出力電圧に対して、第2の入力閾値電圧が設定されており、
第1の入力閾値電圧と第2の入力閾値電圧とが、異なる閾値であることが好ましい。
【0010】
電圧判定回路は、
充電回路の出力する充電電圧と第1の入力閾値電圧とを比較しており、同時に、
動作電圧設定回路の出力する出力電圧と、第1の入力閾値電圧より小さい第2の入力閾値電圧とを比較しており、
充電回路の出力する充電電圧が第1の入力閾値電圧より大きくなり、かつ、動作電圧設定回路の出力する出力電圧が第2の入力閾値電圧より大きくなった場合に、パワーオンリセット信号を発する期間を終了させる信号を出力するものであることが好ましい。
【0011】
電圧判定回路が、2入力NAND回路で構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明を利用することにより、パワーオンリセット回路において、パワーオン時の回路電源電圧の立ち上がりの緩急に拘らず、パワーオンリセット期間、及び、パワーオンリセット電圧を容易に設定することができ、パワーオンリセット信号を確実に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路を構成する各ブロックの回路図である。
【図3A】回路電源電圧V1の傾斜が、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜よりも急峻である場合の、本発明の第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路の各電圧遷移について説明する図である。
【図3B】回路電源電圧V1の傾斜と、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜が同等である場合の、本発明の第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路の各電圧遷移について説明する図である。
【図4】本発明のその他の実施形態に係るパワーオンリセット回路を構成する各ブロックの回路図である。
【図5】本発明のその他の実施形態に係るパワーオンリセット回路を構成する各ブロックの回路図である。
【図6】従来のパワーオンリセット回路の各電圧遷移について説明する図である。図6(A)は、回路電源電圧V1の傾斜が、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜よりも急峻である場合の図であり、図6(B)は、回路電源電圧V1の傾斜と、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜が同等である場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態を説明する。
【0015】
[1.第1の実施形態]
1.1.パワーオンリセット回路の全体構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路1の全体構成を示すブロック図である。本明細書においてパワーオンリセット信号とは、回路電源電圧が非動作電圧から動作電圧へ変化する際に、回路を初期状態に設定するために発せられるリセット信号である。図1に示すように、第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路1は、動作電圧設定回路2、充電回路4、動作電圧設定回路2の出力電圧Vpと充電回路4の出力電圧(充電電圧)Vrcを入力とする電圧判定回路(パワーオンリセット判定回路)6、電圧判定回路6の電源電圧を供給する定電圧発生回路8、及び、電圧判定回路8の出力電圧を変換するレベルシフト回路10で構成されている。
【0016】
動作電圧設定回路2は、回路電源電圧V1から出力電圧Vpを生成し、出力する。充電回路4は、回路電源電圧V1から充電傾斜を持つ電圧(充電電圧)Vrcを生成し、出力する。
【0017】
電圧判定回路6は、出力電圧Vpと充電電圧Vrcの二つを入力とする。これら入力に対して、後述のように異なる入力閾値電圧が設定されている。つまり、電圧判定回路6の第1の入力In1には、充電回路4の充電電圧Vrcが入力され、この入力に対しては、第1の入力閾値電圧Vt1が設定されている。電圧判定回路6の第2の入力In2には、動作電圧設定回路2からの出力電圧Vpが入力され、この入力に対しては、第2の入力閾値電圧Vt2が設定されている。
【0018】
電圧判定回路6の第1の入力In1に対する第1の入力閾値電圧Vt1は、後で説明するように、充電回路4の充電電圧Vrcの電圧傾斜に合わせて、パワーオンリセット期間を適宜形成するように設定されている。同様に、電圧判定回路6の第2の入力In2に対する第2の入力閾値電圧Vt2は、後で説明するように、パワーオンリセット信号を出力する回路電源電圧に合わせて、所定の電圧となるように設定されている。なお、動作電圧設定回路2の出力電圧Vpと第2の入力閾値電圧Vt2は、回路電源電圧V1が最低動作電圧Vmin未満のときに、「Vt2>Vp」の関係が維持されるように設定されている。
【0019】
電圧判定回路6は、定電圧発生回路8の出力V2を受けて定電圧動作する。このことにより、定電圧発生回路8の出力以上に回路電源電圧V1の電圧変動が発生した際にも、入力閾値電圧(第1の入力閾値電圧Vt1、第2の入力閾値電圧Vt2)の変動が抑えられ、パワーオンリセット信号が安定制御される。
【0020】
電圧判定回路6は、第1の入力In1が第1の入力閾値電圧Vt1を超え、且つ、第2の入力In2が第2の入力閾値電圧Vt2を超えた場合に、その出力Vaを変化させるように構成されている。
【0021】
レベルシフト回路10は、定電圧発生回路8の出力V2で動作する電圧判定回路6の出力Vaの電圧値V2を、電圧値V1に変換する回路である。
【0022】
1.2.パワーオンリセット回路の各ブロックの構成
図2は、第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路1を構成する各ブロックの回路図である。
【0023】
動作電圧設定回路2は、PチャネルCMOSトランジスタP1、NチャネルディプリーションCMOSトランジスタNDで構成される。動作電圧設定回路2では、NチャネルディプリーションCMOSトランジスタNDのゲートをGND(接地)に接続することで、NチャネルディプリーションCMOSトランジスタNDが定電流源として使用される。また、PチャネルCMOSトランジスタP1のゲートをドレインに接続することで、飽和結線が形成されている。更に、PチャネルCMOSトランジスタP1のドレインと、NチャネルディプリーションCMOSトランジスタNDのドレインとを接続することにより、PチャネルCMOSトランジスタP1が、ダイオードとして機能している。これらの構成によって、動作電圧設定回路2は、回路電源電圧V1より上記ダイオード降下分の出力電圧Vpを出力する。即ち、動作電圧設定回路2は、回路電源電圧V1の所定の割合の電圧を出力する。
【0024】
充電回路4では、動作電圧設定回路2の出力電圧Vpがゲートに接続されたPチャネルCMOSトランジスタP2のドレインと、容量Cpとが、接続される。更に、容量Cpの片側をGND(接地)に接続することで、出力電圧Vpにより制御された、PチャネルCMOSトランジスタP2を電流源とする、充電回路が構成される。充電回路4は、PチャネルCMOSトランジスタP2のK値と容量Cpの容量値により決定される傾斜を有する充電電圧Vrcを出力する。
【0025】
定電圧発生回路8は、電圧判定回路6に電源を供給し、回路電源電圧V1が定電圧発生回路8に設定された電圧に達すると、定電圧出力動作を開始し、定電圧V2を安定して供給する。レベルシフト回路10は、定電圧発生回路8の出力V2で動作する電圧判定回路6の出力Vaの電圧値V2を電圧値V1に変換し、パワーオンリセット信号Pocとして出力する。
【0026】
電圧判定回路6は、PチャネルCMOSトランジスタP3、PチャネルCMOSトランジスタP4、NチャネルCMOSトランジスタNE、及び、NチャネルCMOSトランジスタNLを、NAND結線することにより、構成される。NチャネルCMOSトランジスタNEには第1の入力閾値電圧Vt1が設定され、NチャネルCMOSトランジスタNLには第2の入力閾値電圧Vt2が設定される。ここで、NチャネルCMOSトランジスタNLに設定される第2の入力閾値電圧Vt2は、NチャネルCMOSトランジスタNEに設定される第1の入力閾値電圧Vt1よりも低く設定されている。
【0027】
上記のような、NチャネルCMOSトランジスタNEと、NチャネルCMOSトランジスタNLとを使用することにより、第1の入力In1に対する第1の入力閾値電圧Vt1に対して、第2の入力In2に対する第2の入力閾値電圧Vt2を下げることができる。
【0028】
PチャネルCMOSトランジスタP4のドレインに繋がる抵抗Rdは、第2の入力In2の第2の入力閾値電圧を下げるように作用する。よって、抵抗Rdの設置により、第2の入力閾値電圧を微調整することが可能となるが、条件によっては、抵抗Rdが設置されなくてもよい。
【0029】
電圧判定回路6において、第1の入力In1には、充電回路4の充電電圧Vrcが接続され、第2の入力In2には、動作電圧設定回路2の出力電圧Vpが接続される。第1の入力In1、及び、第2の入力In2の電圧値(即ち、充電電圧Vrc、及び、出力電圧Vp)が共に、各入力に設定された入力閾値電圧値(Vt1、Vt2)以上となった場合に限り、電圧判定回路6の出力Vaが、GND(接地)電圧となる。その他の入力の場合には、V2の電圧値が出力される。
【0030】
1.3.パワーオンリセット回路の動作
図3A及び図3Bは、第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路1の各電圧遷移について説明する図である。図3Aは、回路電源電圧V1の傾斜が、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜よりも急峻である場合の図であり、図3Bは、回路電源電圧V1の傾斜と、充電回路の充電電圧Vrcの傾斜が同等である場合の図である。
【0031】
図3A(a)(b)及び図3B(a)(b)に示すように、回路電源を投入することで、回路電源電圧V1がある傾斜をもって上昇する。回路電源電圧V1が上昇して、最低動作電圧Vminを超えると、回路電源V1を動作電源とする動作電圧設定回路2、充電回路4、定電圧発生回路8、及び、レベルシフト回路10が動作を開始する。
【0032】
ここで、回路非動作期間(1)は、回路電源電圧V1が最低動作電圧Vminをまだ超えないときの期間であり、回路非動作電圧(1)はそのときの電圧である。回路非動作期間・電圧(1)においては、回路全体の動作が不安定であり、正常動作が望めない。回路動作期間(2)は、回路電源電圧V1が最低動作電圧Vminを超えた以降の期間であり、回路動作電圧(2)はそのときの電圧である。回路動作期間・電圧(2)においては、回路の動作が安定する。
【0033】
最初に、図3Aに示すように、回路電源電圧V1が、充電回路4により設定される充電電圧の傾斜よりも急峻に立ち上る場合の動作を説明する。図3A(a)(d)に示すように、まず先に、回路電源電圧V1に対して動作電圧設定回路2によりダイオード降下した出力電圧Vpが、第2の入力In2の第2の入力閾値電圧Vt2を超え、その後、充電回路4の充電電圧Vrcが第1の入力In1の第1の入力閾値電圧Vt1を超える。図3A(d)(e)に示すように、第1の入力In1、及び、第2の入力In2共に、閾値電圧(第1の入力閾値電圧Vt1、第2の入力閾値電圧Vt2)を超えた時点で、パワーオンリセット信号PocがGND(接地)電位に変化し、パワーオンリセット期間が終了する。なお、図3A(及び図3B)に示すグラフにおいて、(3)は、パワーオンリセット信号(Poc)出力期間を示している。
【0034】
なお、回路電源電圧V1がより急峻に立ち上がる場合には、動作電圧設定回路2の出力電圧Vpの立ち上がりも急峻になり、電圧判定回路6の第2の入力In2の応答時間によっては、第2の入力In2の第2の入力閾値電圧を超えた状態となる可能性があるが、このような場合には、第1の入力In1が優位に機能してパワーオンリセット信号を確実に出力する。
【0035】
続いて、図3Bに示すように、回路電源電圧V1が、充電回路に設定された充電傾斜と同等に緩やかに立上る場合の動作を説明する。図3B(a)(d)に示すように、まず、充電回路4の出力Vrcは、回路動作期間・電圧(2)に到った時点で、電圧判定回路6の第1の入力In1に対して設定されている第1の入力閾値電圧Vt1を超えてしまっている。図3B(d)(e)に示すように、その後、動作電圧設定回路2からの出力電圧Vpが、電圧判定回路6の第2の入力In2に対して設定されている第2の入力閾値電圧Vt2を超えた時点で、パワーオンリセット信号PocがGND(接地)電位に変化し、パワーオンリセット期間が終了する。このように、図3Bに示すような場合でも、第2の入力In2が優位に機能してパワーオンリセット信号を確実に出力する。
【0036】
1.4.まとめ
パワーオンリセット回路1の電圧判定回路6において、第1の入力In1の第1の入力閾値電圧Vt1と、第2の入力In2の第2の入力閾値電圧Vt2とを異なるように設定することで、パワーオンリセット信号を出力する期間を、第1の閾値電圧Vt1で判定し、パワーオンリセット信号を出力する回路電源の電圧を、第2の入力閾値電圧Vt2で判定することができる。このことにより、パワーオンリセット信号の期間設定と電圧設定の調整が容易になる。
【0037】
つまり、本実施形態のパワーオンリセット回路は、充電回路の充電電圧の状態と、回路電源からの出力電圧の状態との両方から、パワーオンリセット信号を出力する期間を判定している。
【0038】
以上の説明ように、第1の実施形態に係るパワーオンリセット回路1により、回路電源V1の立ち上がりの緩急に拘らず、パワーオンリセット期間、及び、パワーオンリセット電圧を容易に設定することができ、パワーオンリセット信号を確実に出力することができる。
【0039】
[2.その他の実施形態]
本発明の実施形態は、第1の実施形態に係るものに限定されない。例えば、図4に示すように、動作電圧設定回路2’がダイオードD1と電流源I2とで構成され、充電回路4’が電流源I1と容量Cpとで構成されても、本発明に係るパワーオンリセット回路1を実現することができる。
【0040】
また、図5に示すように、動作電圧設定回路2”が、ダイオードD1と電流源I2との代わりに、抵抗R1と抵抗R2とにより構成されてもよい。同じく図5に示すように、充電回路4’が、電流源I1と容量Cpとの代わりに、抵抗R3と容量Cpとにより構成されても、本発明に係るパワーオンリセット回路1を実現することができる。
【0041】
更に、第1の実施形態では、電圧判定回路6の各入力の閾値電圧を変更するために、閾値電圧Vthの異なるNチャネルCMOSトランジスタを使用している。つまり、第1の入力In1の第1の入力閾値電圧Vt1に対して、第2の入力In2の第2の入力閾値電圧Vt2を下げることにより、各入力の閾値電圧を個別に設定できるようにしているが、各入力の閾値電圧を個別に設定できるのであれば、他の構成を用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・・パワーオンリセット回路、2・・・動作電圧設定回路、4・・・充電回路、6・・・電圧判定回路(パワーオンリセット判定回路)、8・・・定電圧発生回路、10・・・レベルシフト回路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
本願発明の先行技術文献として、以下の特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特許第4103459号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路電源電圧を受けて充電を行う充電回路と、
回路電源電圧を受けて出力電圧を出力する動作電圧設定回路と、
前記充電回路の出力する充電電圧、及び、前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧を判定して、パワーオンリセット信号を出力する電圧判定回路と
を備えるパワーオンリセット回路。
【請求項2】
前記電圧判定回路における判定のために、前記充電回路の出力する充電電圧に対して、第1の入力閾値電圧が設定されており、前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧に対して、第2の入力閾値電圧が設定されており、
前記第1の入力閾値電圧と前記第2の入力閾値電圧とが、異なる閾値であることを特徴とする請求項1に記載のパワーオンリセット回路。
【請求項3】
前記電圧判定回路は、
前記充電回路の出力する充電電圧と第1の入力閾値電圧とを比較しており、同時に、
前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧と、前記第1の入力閾値電圧より小さい第2の入力閾値電圧とを比較しており、
前記充電回路の出力する充電電圧が第1の入力閾値電圧より大きくなり、かつ、前記動作電圧設定回路の出力する出力電圧が第2の入力閾値電圧より大きくなった場合に、パワーオンリセット信号を発する期間を終了させる信号を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーオンリセット回路。
【請求項4】
前記電圧判定回路が、2入力NAND回路で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載のパワーオンリセット回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−195667(P2012−195667A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56522(P2011−56522)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】