説明

ヒトレセプタータンパク質4−1BBの使用方法

【課題】H4−1BBレセプタータンパク質の活性化を阻止する方法、並びに自己免疫反応および病原性ウイルスHIV−1により引き起こされる疾患を処置する方法の提供。
【解決手段】H4−1BBレセプタータンパク質を発現しているT細胞を、本明細書に開示する抗4−1BBモノクローナル抗体で処理することによって、免疫応答を阻害する。さらに、ヒトレセプターH4−1BBのcDNAを開示する。ヒトレセプターH4−1BBのcDNAはマウスcDNA4−1BBに対して約65%相同性であった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトH4-1BBタンパク質、そのリガンドの療法的および科学的使用、並びにH4-1BBレセプタータンパク質を認識し、それに結合するモノクローナル抗体の開発に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトおよび他の種の免疫系は、食細胞(phagocyte)、T リンパ球およびB 細胞を包含する、白血球が骨髄中で作られることを必要とする。食細胞は、不必要な物質、例えば、系からのウイルスタンパク質または細菌細胞壁を掃去するマクロファージ細胞を包含する。リンパ球は、ヘルパーT 細胞(Th)、キラーT 細胞およびB 細胞、ならびに細胞の他の型、例えば、サプレッサーT 細胞としてカテゴリー化される細胞を包含する。これらの細胞は抗体を産生する。キラーT 細胞はターゲット細胞を物理的に破壊し、そしてヘルパーT 細胞は全体のプロセスを促進する。免疫系およびその機能の複雑さは、少なくとも一部分、リンホカインにより促進される。
【0003】
リンホカインは、免疫細胞が互いに連絡する、シグナル伝達タンパク質である。科学者は、免疫学的疾患に対する療法的使用ために十分な量でリンホカインを製造することができた。多数の既知のリンホカインタンパク質が存在し、そしてそれらはインターフェロン、インターロイキン-1、2 、3 、4 、5 、6 、7 、コロニー刺激因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子、およびエリトロポイエチン並びにその他を包含する。
【0004】
インターロイキン-1(IL-1)は、マクロファージから分泌され、ヘルパーT 細胞を活性化し、体温を上昇させ、熱を引き起こし、これにより免疫細胞の活性を増強させる。活性化されたヘルパーT 細胞はインターロイキン-2(IL-2)を産生し、これは引き続いてヘルパーおよびキラーT 細胞を成長させ、分裂させる。ヘルパーT 細胞はまた、他のリンホカイン、B 細胞成長因子(BCGF)( これはB 細胞を増殖させる)を産生する。B 細胞の数が増加するにつれて、ヘルパーT 細胞はB 細胞分化因子(BCDF)として知られている他のリンホカインを産生し、これはB 細胞のいくつかの複製を停止させ、そしてそれらが抗体を産生するようにさせる。
【0005】
また、T 細胞はガンマインターフェロン(IF)を産生し、これは多数の作用を有することにおいて、リンホカイン2 に類似する。ガンマインターフェロンはキラーT 細胞の活性化を促進し、キラーT 細胞が、侵入する生物を攻撃できるようにする。BCGFと同様に、ガンマインターフェロンは、B 細胞が抗体を産生する能力を増加させる。また、IFはマクロファージを感染部位に保持し、マクロファージが取り込んだ細胞の消化を促進する。マクロファージとT 細胞との間のリンホカインのシグナルの各種類をもつによる推進力を集めて、リンホカインは免疫系の応答を増幅し、こうしてウイルスタンパク質、感染した細胞、または他の外来物質は圧倒され、系から除去される。多数のリンホカインが存在し、100 またはそれ多いリンホカインが存在することがあり、これらは免疫プロセスである複雑なウェブに参加する。多数のリンホカインおよびそれらの正確な作用は未知のままである。
【0006】
ある種のリンホカインがターゲット細胞上のその特異的レセプターに結合するとき、リンホカインの活性は産生される。科学者の間で、リンホカインの産生およびそれらのレセプターの産生のためにクローニングされた細胞系統が広く使用されている。リンホカインおよびリンホカインレセプターmRNAの単離は普通の技術となった。本発明者が前に発表(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 、84:2896-2900、 May 1987 、 Immunology)した技術を使用して、マウスレセプタータンパク質、4-1BB が単離され、T 細胞遺伝子の特異的発現に基づいて同定された。科学者は、この刊行物において報告されたプロトコルを使用して事実上すべてのリンホカインを検出することができる。この方法は、発現された事実上すべてのmRNAを分別的に検出するように設計されている。
【0007】
重要なことには、免疫細胞のmRNA配列は一般的にT 細胞に関係し、そして特異的にキラーT 細胞に関係するので、それらは分別的に発現される。発現レベルは低くかつリンホカインおよびそのレセプタータンパク質の量は少ないが、この発現されたmRNAを検出し、単離することができる。上の刊行物に記載した分析は生物学的に重要な分子、例えば、リンホカインおよびそれらのレセプターを明らかにすることができるので、生物学的に重要なまたは活性な分子を非常に稀なメッセージ分子( すなわち、IF、インターロイキン、地図キナーゼキナーゼ、およびその他) により誘導された細胞のシグナルにより開始されるという多数の指示が存在すると、本発明者は考える。
【0008】
大部分のT 細胞因子はアッセイにおいて生物学的活性を認識することによって、その後タンパク質の情報を精製することによって、古典的に同定されてきている。別のアプローチは特異的発現に基づく推定上のT 細胞遺伝子を単離し、それらを適当な発現ベクターの中に挿入し、次いで未知の単離されたタンパク質の機能を証明することである。前述の変更された分別的スクリーニング手順を使用して、本発明者は1 系列のT 細胞サブセット特異的cDNAを、クローニングされたヘルパーT(HTL)L2細胞およびクローニングされた細胞溶解性T リンパ球(CTL)L3 からクローニングした。
【0009】
T 細胞は長期間の後天性免疫性において決定的に重要であり、ウイルス、細菌および寄生体の感染に対する保護を提供する。T 細胞はそれら自身のT 細胞レセプター(TCR) 複合体および他の1 または2 以上の共刺激分子、例えば、CD-28 またはCD-3を介して自己MHC(主要な組織適合性複合体)に関して侵入性病原体からのペプチドに直面するとき、T 細胞は活性化される。他の1 または2 以上の共刺激分子のエンゲージメントなしに、T 細胞はアネルギーとされる(Vassali et al. 、 PNAS 、1979) 。今日まで、最もよく特性決定された共刺激分子はCD-28 であった。しかしながら、より最近において、他の細胞表面の分子、例えば、分子4-1BB はある共刺激的役割を演ずることが示唆された。
【0010】
4-1BB タンパク質はマウスにおいて活性化されたT 細胞上で発現される55kDa
のホモダイマー分子であり、そして神経成長因子レセプター(NGFR)/ 腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)遺伝子のスーパーファミリーのメンバーである(Haskins et
al. 、 J.Exp.Med. 、1983) 。このファミリーは細胞外ドメインにおけるシステインに富んだモチーフにより特徴づけられる。このファミリーの他のメンバーは、NGFR、B 細胞活性化分子CD40、ラットにおけるT 細胞活性化分子OX-40 、およびCD27、TNFR-1およびTNFR-2と呼ぶTNF の2 つのレセプター、アポトーシス誘導タンパク質Fas 、および細胞の成長および形質転換においてある役割を演ずるCD-30 を包含する。
【0011】
これらのメンバーのいくつかは、HIV-1 感染において重要な役割、例えば、CD4+T 細胞の増殖、アポトーシスおよびウイルスの複製を演ずることが示された。CD30の高い血清レベルの存在はAIDSへの進行の予言因子となったが、循環するCD30はHIV-1 血清反応陽性個体において見出されなかった。HIV-1 の発現はHIV-1
血清反応陽性個体のCD30をトリガー(triger) することによって誘導された。HIV-1 の発現は、NF- κB 依存性経路を通してHIV-1 感染CD4+T 細胞のCD30をトリガーすることによって誘導された。
【0012】
Fas の産生はT リンパ球の顕著なアポトーシスをトリガーまたは誘導することが見出され、これはHIV-1 感染によるCD4+T 細胞の消耗に寄与することがある。in vitro刺激後のCD40リガンドを発現するCD4+T 細胞の能力はHIV-1 感染のために損傷されないが、CD40/CD40 リガンドの相互作用はin vitroにおけるB 細胞のHIV-1 複製を調節する。CD27のシグナリングは、HIV-1 感染個体においてT 細胞の増殖的応答を正常な程度に増強した。
【0013】
本発明の開発に導いた実験において、1 系列のT 細胞表面特異的cDNAは、変更された分別的スクリーニング手順を使用することによって、クローニングされたネズミT 細胞から単離された。cDNA種のいくつかのヌクレオチド配列および発現特性が報告された。マウスのレセプタータンパク質4-1BB をコードする、従来特性決定されてきていない遺伝子の1 つは、さらに研究された。これらの研究は4-1BB に対するヒト相同体、H4-1BBの単離に導き、そしてH4-1BBレセプタータンパク質に結合し、これによりH4-1BBのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる、1 系列のモノクローナル抗体に導いた。
【0014】
T 細胞は、炎症の部位へのホーミング(homing) の間の内皮貫通移動後に、インテグリン(integrin) ファミリーのメンバーを通して細胞外マトリックス(ECM) の成分と相互作用する。インテグリンは細胞表面のレセプターの1 ファミリー中の非常に後期の抗原(VLA) であり、ECM タンパク質ならびに他の細胞への細胞の接着を仲介する。ヘテロダイマーのインテグリンは、種々のアルファおよびベータサブユニットから構成され、細胞外シグナルの伝達メカニズムとして作用する。インテグリン機能の調節は、細胞の活性化後の急速な接着のためのT 細胞および他の白血球により利用される。
【0015】
これまでにT 細胞の分化に影響を与えることが知られている主要な因子は、リンホカイン(また、サイトカインと呼ばれる)、例えば、IL-2およびIL-4である。トランスジェニックマウスを使用するin vitroおよびin vivo の研究において、IL-2は効率よいIF産生のためにT 細胞のTh1 サブセットをプライミングすることによって、それらの発生を誘導し、IL-4産生細胞の発育を防止することが証明された。しかしながら、従来、それらの相互作用が免疫応答の増幅およびT 細胞のTh1 およびTh2 サブセットの発生を指令するように働く方法は未知のままであった。
【0016】
特定の免疫応答は、外来抗原に対する抗体の認識により支配される。抗体は1
ファミリーの構造的に関係する糖タンパク質を形成し、一般に、それらを産生する生物に、細胞媒介性免疫性の保護的作用を付与する。抗体はB リンパ球により産生され、そして細胞膜に結合し、抗原のためのB 細胞レセプターとして機能する。抗体はまた、抗体による刺激に対して応答して分化するB 細胞子孫により分泌される。特異的抗原は、1 またはそれ以上の相補的B リンパ球が増殖し、エフェクター細胞に分化し、次いで抗原を排除するように、それらを誘発する。各リンパ球は特定の特異性の抗体を産生し、こうして免疫応答は明確な抗原に対して非常に特異的である。T リンパ球およびB リンパ球により認識される抗原の部分は、エピトープまたは決定基と呼ばれる。
【0017】
特異的抗原エピトープについて事実上無制限の量のシグナル(モノクローナル)抗体を産生する技術の開発は、臨床免疫学に対して莫大な衝撃を有した。既知の特異性のモノクローナル抗体(mAb )を産生するために、マウスに特定の抗原、例えば、レセプタータンパク質を注射し、そして脾B リンパ球(そのタンパク質に対する抗体を産生する)を体細胞ハイブリダイゼーションにより骨髄腫(リンパ球腫瘍)に融合させて永久分裂能化性細胞系統を産生させて、ハイブリドーマをつくることができる。これは、正常のB リンパ球が無限に成長することができず、しかも骨髄腫と融合するとき、生ずるハイブリドーマが事実上無限に特異的モノクローナル抗体を供給するからである。
【0018】
融合した細胞のみが成長し続けることを保証する、選択技術が開発された。各ハイブリドーマ細胞はただ1 つの抗原決定基に対して特異的である。選択的異なる抗体産生ハイブリドーマが産生される場合、個々のB リンパ球の各ハイブリドーマのクローンはただ1 つの表面抗原決定基に対する抗体のみを分泌するであろう。どのmAb がタンパク質レセプターに結合するか、あるいは所望の活性を有する(例えば、mAb がアゴニスト、アンタゴニストとして作用するか、あるいは重大なエピトープに特異的に結合する)かを決定するために、ハイブリドーマをELISA (酵素結合イムノアッセイ)によりスクリーニングすることができる。
【0019】
モノクローナル抗体は多数の用途を有する:1 )ハイブリドーマは、通常少量で入手可能であるか、あるいはまったく入手不可能である特異的抗体を大量に産生することができる;2 )複合抗原のために、通常非常に困難であることがある、単一の抗原決定基に対する抗体を産生するように、ハイブリドーマを指令することができる;3 )精製することができない抗原に対して、純粋な抗体を得ることができる;4 )組織中を循環する特異的抗原を検出するか、あるいはイムノアッセイにおいてモノクローナル抗体を使用することによって、感染性または全身性疾患の免疫診断;5 )タンパク質レセプターの特性決定およびナイーブなT 細胞からメモリーT 細胞への移行においてそれらが演ずる役割の特性決定;および6 )免疫応答または活性化のブロックまたは増強。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、活性化されたT 細胞上で発現されるタンパク質に特異的に結合するリガンド、例えば、モノクローナル抗体を提供する。さらに、本発明は、癌またはHIV-1 を処置または阻害するために使用できるようなリガンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、ヒトレセプタータンパク質H4-1BB、およびヒトレセプタータンパク質H4-1BBをコードするcDNA遺伝子を包含する。単離されたcDNAのヌクレオチド配列を、推定されたアミノ酸配列と一緒に開示する。pH4-1BB として同定されたcDNA遺伝子は、アグリカルチュラル・リサーチ・サービス・カルチャー・コレクション(Agricultural Research Service Culture Collection)に受託され、受け入れ番号:NRRL B21131 を割当てられた。
【0022】
cDNAは、そのフラグメントおよび誘導体を包含し、レセプタータンパク質に類似するタンパク質をコードするDNA 配列を単離するためにプローブとして使用することができる。ヒトレセプター、H4-1BB、のcDNAは、cDNA 4-1BBから誘導されたプローブを使用することによって単離された。p4-1BBとして同定されたcDNA遺伝子は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)( マリイランド州20852 、ロックビレ、 パークローンドライブ12301)にATCC No.67825 で受託された。
こうして、本発明は、H4-1BBタンパク質、そのリガンド(H4-1BB/L 、活性化されたマクロファージおよび成熟B 細胞上に見出される) 、それに対する抗体および他の共刺激分子を提供し、これらは癌およびHIV-1 の処置において療法的に使用することができる。
【0023】
ヒトレセプタータンパク質H4-1BBは次のようにして製造することができる:1
)H4-1BBのcDNAを適当な発現ベクターの中に挿入し、2 )発現ベクターを適当なトランスフェクション宿主の中にトランスフェクトし、3 )トランスフェクトされた宿主を適当な培地中で増殖させ、そして4 )培地からレセプタータンパク質を精製する。タンパク質およびフラグメントおよび誘導体は、次のように使用することができる:1 )ヒトレセプタータンパク質H4-1BBに対するリガンドを単離するためのプローブとして、2 )H4-1BBリガンドを発現するB 細胞の増殖を刺激するために、または3 )H4-1BBリガンドの結合をブロックするために。
【0024】
B 細胞の増殖は、レセプタータンパク質H4-1BBに対するリガンドを発現したB
細胞を、レセプタータンパク質H4-1BBを発現した細胞で処理することによって誘導することができる。H4-1BBリガンドの結合をブロックするために、H4-1BBタンパク質、H4-1BBリガンドのタンパク質、またはタンパク質のフラグメントを使用することは、器官の移植の間に免疫系の抑制において実際的応用性を有する。
【0025】
H4-1BBに対して発生したモノクローナル抗体は、レセプタータンパク質H4-1BBを発現したT 細胞を抗H4-1BBモノクローナル抗体で処理することによって、T 細胞の増殖および活性化を増強または抑制するために使用することができる。免疫反応を増強するために、アゴニストとして作用する抗体を発生させて、T 細胞の増殖および/または活性化を抑制し、アンタゴニストとして作用する抗体を発生させることができる。この目的で、4 つのモノクローナル抗体が使用のために開発された。モノクローナル抗体BBK-1 およびBBK-4 はレセプタータンパク質H4-1BBに対するアゴニストであるが、モノクローナル抗体BBK-2 およびBBK-3 はレセプタータンパク質H4-1BBに対するアンタゴニストであり、そして免疫系をアップレギュレートするか、あるいはその活性を抑制するために使用することができる。
【0026】
いくつかの腫瘍は潜在的に免疫原性であるが、in vivo において有効な抗免疫応答を刺激しない。腫瘍は抗原特異的シグナルをT 細胞に供給することができるが、T 細胞の完全な活性化に必要な共刺激シグナルを供給することができない。H4-1BBに対して発生したモノクローナル抗体(例えば、アゴニスト)は、T 細胞の完全な活性化、増強、および/または増殖を提供するすることによって、低い免疫原性を有する腫瘍を根絶することができる。そのうえ、抗H4-1BBmAb アゴニストは、ナイーブT 細胞からメモリーT 細胞への移行における4-1BB レセプタータンパク質の役割の評価において大きい実用性を有する。4-1BB と抗H4-1BBmAbアゴニスト、例えば、BBK-1 またはBBK-4 との架橋は、4-1BB への4-1BB リガンドの結合に類似する作用を産生するであろう。
【0027】
H4-1BBおよびH4-1BBリガンドの結合を妨害するために、また、H4-1BBに対するmAb を使用することができる。例えば、抗H4-1BBmAb アンタゴニストBBK-2 およびBBK-3 を使用して、リガンドの結合を妨害することによって、免疫応答は抑制されるであろう。これに関して、このようなmAb の療法的使用から利益を受ける疾患は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、および糖尿病である。あるいは、この型の分子は器官移植において移植された組織の免疫系仲介拒絶反応を抑制するために有用である。
【0028】
融合タンパク質は、ヒトレセプタータンパク質H4-1BBに対する細胞膜のリガンドを検出することができる。本発明の融合タンパク質は、レセプタータンパク質H4-1BBの細胞外部分と、レセプタータンパク質H4-1BBの前記分に結合した検出タンパク質(アルカリ性ホスファターゼ)またはIgG1のFc部分とを含んでなる。さらに、この開示は、CD28と4-1BB との共エンゲージメントは1 型エフェクターT細胞の発生を促進したことを証明する。4-1BB シグナルはCD28仲介サイトカイン産生のプロフィルを2 つの方法で調節し、1 型サイトカイン(リンホカイン)の産生を増強し、同時に、2 型の産生を抑制した。
【0029】
4-1BB 仲介共刺激は、また、Th1 細胞においてγ- インターフェロン(IF)の産生を誘導した。4-1BB の発現はサブセット特異的であり、主としてIF産生細胞で検出されたが、IL-4産生細胞上で検出されなかった。そのうえ、4-1BB およびCD30の発現は相互に独占的であり、それぞれ、1 型および2 型サブセットを表すことが決定された。4-1BB およびCD28の共エンゲージメントは、反復したTCR 活性化により誘導されたアポトーシスに対して感受性である細胞について長期間の細胞の生存率を増強した。したがって、4-1BB およびCD30は相互作用して1 型および2 型のT 細胞サブセットの間の均衡、および免疫応答の極性化を調節することが証明された。療法的に、それらは反対の作用を達成するために使用することができる。
【0030】
本発明は、T 細胞の接着性の応答における4-1BB とCD28との間の機能的相関が存在すること証明するデータを提供する。本発明者は、4-1BB が細胞の接着を誘導することができることを本明細書において開示する。4-1BB シグナルまたはアゴニストの存在により細胞の接着が増強されると、最適より低い濃度の抗−CD3および抗−CD28に対する反復暴露に応答して、T 細胞の活性化は最大となる。こうして、4-1BB の作用は、一次T 細胞を反復的に活性化するために必要である抗−CD3 濃度の限界値を減少する、その能力によるものと考えられた。したがって、抗4-1BB に応答する細胞接着の程度は、4-1BB の発現レベルと相関し、相応してこれらの分子の療法的使用を達成する。
【0031】
4-1BB の発現レベルおよびT 細胞を発現する4-1BB の百分率は、HIV-1 対照よりもHIV-1 陽性個体においてより高かった(P<0.01)。4-1BB シグナルはCD28と共同して、HIV-1 、およびCD4+T 細胞の増殖を誘導した。さらに、4-1BB とアゴニスト性モノクローナル抗体との架橋は、HIV-1 個体からのCD4+T 細胞の一次および二次再刺激の双方におけるHIV-1 複製を増強した。こうして、4-1BB は後期に感染したCD4+T 細胞からのHIV-1 複製の活性化に関係し、そして4-1BB 共刺激経路は療法的関与のターゲットであることができる。
【0032】
HIV-1 感染が感染の初期段階において混乱される場合、H4-1BB抗体の使用により、ウイルス負荷はより低くなるであろう。そのうえ、CD8+T 細胞上の4-1BB 発現の増加は、HIV-1 感染における免疫不全の程度と相関するので、注目に値し、CD8+T 細胞上の架橋する4-1BB はHIV-1 感染CD4+T 細胞に対する細胞障害活性の増強を誘導するであろう。
本発明の目的は、H4-1BBの細胞外部分と、検出部分とからなる融合タンパク質を教示することである。
本発明の他の目的は、H4-1BBに対するモノクローナル抗体を構築することを教示することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
下記において、4-1BB およびそのヒト相同体H4-1BBの単離、抗体を包含する、末梢血細胞および使用する試薬の調製、融合タンパク質の産生、免疫化、およびH4-1BBのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するモノクローナル抗体の産生を説明する。また、4-1BB 、それに対する抗体、そのリガンドの療法的使用、および免疫沈降の研究を開示する。
【0034】
マウスレセプター4-1BB の単離および特性決定
配列番号:1はマウスレセプター4-1BB のヌクレオチド配列を示し、そして配列番号:2は推定されたアミノ酸配列を示す。予測されたアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列の下に示されている。4-1BB の転写は、マウス脾細胞、T 細胞クローン、およびハイブリドーマにおいてコンカナバリンA により誘導可能であった。4-1BB 転写物の発現はシクロスポリンA により阻害された。
【0035】
4-1BB mRNAは抗原レセプターの刺激により誘導可能であったが、クローニングされたT 細胞中のIL-2刺激により誘導可能ではなかった。4-1BB cDNAは、推定上のリーダー配列、潜在的膜アンカーセグメント、および既知のレセプタータンパク質の他の特徴を含有する256 アミノ酸のペプチドをコードする。したがって、4-1BB の発現パターンはリンホカインmRNAのそれらに類似するが、配列はレセプタータンパク質の配列と一致するように見えた。
【0036】
細胞表面上の4-1BB の主要な種は55kDa の二量体であるように見える。4-1BBはまた、30kDa のモノマーとして、そして可能性として110kDaのテトラマーとして存在するように見える。これらの4-1BB 種は細胞(T細胞のクローンf1) の相同体の集団から免疫沈降されたので、すべての形態は各細胞上に潜在的共存する。4-1BB のモノマーおよび二量体からのペプチド消化物は、4-1BB が細胞表面上のホモダイマーとして存在するかどうかを決定するために要求される。
【0037】
種々の細胞表面のレセプター、例えば、インスリンレセプター(Ebina et al.、1985) 、B 細胞表面の免疫グロブリンレセプター(Vassali et al.)、T 細胞Agレセプター(Haskins et al. 、1983) 、CD-28 共刺激レセプター(Lesslaver et al. 、1986) 、およびCD27 T細胞抗原(Van Lier et al.、1987) は、ジサルファイド結合されたサブユニットから構成されている。レセプターの二量体化は、リガンドの結合および引き続く細胞シグナルのトランスダクションに要求されることがある。
【0038】
4-1BB は休止T 細胞上で発現されないが、完全な成長刺激をT 細胞に供給するアクチベーターにより誘導可能である。PMA とイオノマイシンとの組合わせは、T 細胞の増殖に必要なシグナルを模倣することができる。PMA またはイオノマイシン単独は4-1BB mRNAを誘導したが、PMA とイオノマイシンとの組合わせは最適な4-1BB の発現を生じた。さらに、4-1BB の発現は一時的ではなかった。精製された脾T 細胞を固定化抗−CD3 で刺激したとき、4-1BB mRNAが発現され、そしてこの発現は刺激後96時間まで維持された。4-1BB が細胞周期の進行を通じて発現されることを確証するために、細胞周期の分析が必要であろう。
【0039】
4-1BB は神経成長因子のレセプターのファミリーのメンバーに構造的に関係づけられる。これらのレセプターは構造的に類似するリガンド結合特性(システインに富んだ領域)を有するが、これらのタンパク質の細胞質ドメインは非保存的であり、膜貫通シグナリングにおける多様性を可能とすることができるであろう。このファミリーのいくつかのメンバーはT 細胞またはB 細胞の活性化プロセスに関係する。OX-40 、CD40およびCD27抗原についてのin vitroの機能的データが存在する。OX-40 に対する抗体は混合リンパ球反応におけるT 細胞の応答を増大し、そしてCD40に対する抗体はコアクチベーター、例えば、PMA またはCD20抗体の存在下にB 細胞の増殖を増強し、そしてin vitroにおいてIL-4と共力してB 細胞の分化を誘導しかつ長期間の正常B 細胞系統を発生する。
【0040】
1 つのモノクローナル抗体である抗1A4 は、CD27分子上のエピトープを認識し、カルシウムの移動化、IL-2分泌、ヘルパーT 細胞の機能、およびT 細胞の増殖を阻害した。他方において、CLB-CD27/1、他の抗CD27 mAbは、PHA または抗−CD3 mAb で刺激したヒトT 細胞の増殖を増強した。これらの結果が示すように、CD27分子はT 細胞活性化において重要な役割を演ずる。TNFR、NCFRおよびCD40を除外して、スーパーファミリーのメンバーが結合するリガンドまたは細胞表面の分子はまだ同定されていない。レセプターが結合するリガンドの同定および特性決定は、4-1BB の生理学的役割をよりよく定義する上で助けとなるであろう。
【0041】
細胞表面の4-1BB がT 細胞活性化に寄与するかどうかを確認するために、抗4-1BB 53A2を4-1BB に対するアンタゴニストとして使用した。得られるデータが示唆するように、4-1BB は、事実、T 細胞の活性化および増殖の間のアクセサリーシグナリング分子として機能する可能性を有する。固定化抗−CD3 で刺激した精製された脾T 細胞に可溶性53A2を添加すると、抗−CD3 単独で刺激したT 細胞に比較して、3Hチミジンの組込みが増幅した。この増強パターンは3 回の独立の実験において2 〜10倍の範囲であった。
【0042】
BretcherおよびCohnの独創的な2 つのシグナルのモデルにおいて、シグナル1、T 細胞の抗原レセプター(TCR) の占有が、アクセサリー細胞により提供される、シグナル2 の非存在においてT 細胞の不活性化を生ずることを彼らは提案した。これはそれ以来種々の研究により確証された(Moeller et al. 、1989) 。T 細胞上の潜在的共刺激レセプターとしてのアクセサリー細胞CD28の同定は、最適なT 細胞の増殖に必要な1 またはそれ以上のアクセサリーシグナルの特性決定の開始において有意な寄与となった。他の細胞表面の分子はこれらの共刺激活性化の要件に寄与することができる。
【0043】
4-1BB を通して供給された生化学的シグナルは、その細胞質テイル中の推定上のp56lckチロシン結合ドメインの存在を示す。後に、p56lckチミジンキナーゼは4-1BB に結合することが決定された。また、T 細胞の活性化および引き続く増殖にその発現が要求される、遺伝子、例えば、IL-2およびIL-2レセプターを4-1BB仲介シグナリングが調節できるかどうかを決定することは価値がある。
【0044】
神経成長因子レセプター(NGFR)のスーパーファミリーのメンバーの正確な機能は、多様であるように思われる。損傷のそれらの出現は、これらの分子が発現される、特定の細胞の型の応答性および生活能力を維持する、これらの能力に関する。例えば、NGF はin vitroおよびin vivo におけるニューロンの生活能力に絶対的に要求される(Yamori et al.、1992) 。可溶性抗CD40モノクローナル抗体によりCD40の架橋は、胚芽中心の中心細胞がin vitroにおいてアポトーシスを行うのをブロックする。CD40を通して供給されるシグナルは、また、分化因子に対する応答性の維持を促進することができる。IL-4の存在下のCD40と抗CD40F(ab')2フラグメントとの結合は、IgE の合成を大きい増加を誘導した。
【0045】
また、抗CD40はIL-10 で処理したナイーブB 細胞を活性化し、そして形質転換成長因子- βはIgA を分泌するようになった(DeFrance et al.、1992) 。分子の特性をNGFRスーパーファミリーと共有することに加えて、4-1BB は酵母elF-2bタンパク質のそれに類似する推定上の亜鉛フィンガー構造を含有することが認められた。また、4-1BB は、正しい光受容体の細胞の発生に必要である、sina seven in absentia of Drosphila Melangaster を有する保存された領域を共有する(CarthewおよびRubin 、1990) 。その特定の領域は、ディクチオステリウム(Dictyostelium)のDG17遺伝子のタンパク質産物に類似し、その発現はcAMPにより凝集の間に特異的誘導される。
【0046】
この領域はC-X2-C-X9-C-X3-H-X3-C-X-C のパターンを形成し、そしてシステインおよびヒスチジンは4-1BB 、sina、およびDG17タンパク質の中の同様な場所に保存される。4-1BB およびSINAタンパク質の間の24アミノ酸のうちの10は同一である;24のうちの3 は保存的置換基である。保存されたパターンは、これらのアミノ酸が機能的に重要である事を示唆する。sinaタンパク質は核の中に局在化し、それが細胞中で調節機能を有することを示唆する。4-1BB のアミノ酸配列が亜鉛フィンガー、核タンパク質、およびレセプタードメインのモチーフに似た特徴を含有するという事実は、4-1BB が細胞の増殖および分化の間に多様な役割を演ずることができることを示唆する。
【0047】
さらに、4-1BB はT 細胞-APCの相互作用に関係する他の細胞表面の分子を表すことができる。4-1BB-AP融合タンパク質は成熟B 細胞系統、抗IF活性化一次B 細胞、および成熟マクロファージ- 細胞系統に特異的に結合した。4-1BB-APは低いまたは無意味のレベルで未熟B およびマクロファージ細胞系統、T 細胞クローン、一次培養T 細胞、および種々の非リンパ系細胞系統に結合した。4-1BB-APは栄養B 細胞およびマクロファージに結合するので、4-1BB の結合のとき送出されたシグナルはある方法においてAPC 機能をモジュレートすることができる。この可能性は探査されなていない。
【0048】
4-1BB Rg、すなわち、4-1BB の細胞外ドメインと免疫グロブリンIgG のFc領域とから成る融合タンパク質は、細胞外マトリックス(ECM) に結合することを、Chalupny et al. は提案した。最高レベルの4-1BB Rgの結合はヒトビトロネクチンに対してであった。本発明者らは、マイクロタイタープレート上で10mg/ウェルで、0.007mg において固定化された4-1BB-APおよびヒトビトロネクチン(Yelios Pharmaceuticals/GIBCO-BRL 、 ニューヨーク州グランドアイランド) を使用して、この可能性を試験するためにELISA を実施した。AP活性をベースとする4-1BB-APの結合は観測されなかった。
【0049】
4-1BB-APが細胞表面に外的に結合されたタンパク質( 可能な細胞外マトリックスの成分) に結合している可能性を除外するために、B 細胞のリンパ腫を結合アッセイの前に酸性条件下に洗浄した。4-1BB-APは成熟B 細胞のリンパ腫なお特異的に結合した。なお、B 細胞およびマクロファージ上で特異的に発現された4-1BB-リガンドが存在するかどうか、および特定の結合条件下に4-1BB-APがECM に結合することができるかどうを決定すべきである。ECM は特異的細胞表面のリガンドへの4-1BB の結合を促進することができるであろう。
【0050】
B 細胞およびヘルパーT 細胞はB 細胞上のレセプターを通して互いに相互作用して、T 細胞上のそれらの特異的反対(counter)- レセプターに結合する。この相互作用は、2 つの細胞型の間の生化学的シグナリングリプレーのカスケードを生ずる。この相互作用が進行するにつれて、これらの細胞は細胞周期のS 期の中に入るようになる。T 細胞上のTCR とCD4+との間の初期の相互作用、およびB 細胞上のプロセシングされた抗原-MHC II は、細胞周期の中に入ることができるB細胞を生じない(Noelle およびSnow et al. 、1990) 。しかしながら、in vitro系からの研究において、いったんT 細胞が刺激されると、T 細胞は細胞周期の中に入るようにB 細胞を誘導することができる、新しく合成されたまたは修飾された細胞表面の分子を発現することが示唆された。
【0051】
このT 細胞の機能は抗原特異的またはMHC 制限的ではない。さらに、B 細胞の活性化のTh誘導のために、可溶性因子は要求されない。いったんB 細胞が細胞周期の中に入ると、IL-4はB 細胞を誘導してG1からのS 期に進行させる。B 細胞の細胞周期の中へのエントリーを促進する活性化T 細胞またはT 細胞の膜の能力を、シクロヘキシミドまたはシクロスポリンA の処理によりブロックすることができる。これらの新しく発現された膜タンパク質は、それらの誘導特性において「リンホカイン様」であるように見える。
【0052】
4-1BB は、B 細胞の共刺激の要件を満足する発現特性を有する。4-1BB は抗−CD3 またはTCR 仲介T 細胞刺激により誘導可能であり、そしてその発現はシクロスポリンA ならびにシクロヘキシミドの処理に対して感受性である。興味あることには、パラホルムアルデヒド固定SF21-4-1BB細胞は抗μを合成し、そしてB 細胞の増殖を誘導した。SF21-4-1BBによる脾B 細胞の共刺激は、抗μの最適な(10μg/ml) および次善の(1.0〜0.1mg/ml) の投与量において起こった。休止B 細胞にSF21-4-1BB細胞を添加すると、有意なB 細胞の増殖は起こらなかった。SF21-4-1BB細胞は、B 細胞の増殖の誘導において、12-O- テトラデカノイルホルバル-13-アセテートまたはイオノマイシン、あるいは次善濃度のリポ多糖(LPS) と共力しなかった。
【0053】
大量の組換え可溶性タンパク質を発現させるためにバキュロウイルス系が使用されてきているが、この系は組換え細胞表面のタンパク質の発現に利用することができる。SF21単独の添加は有意なレベルの共刺激を生じなかったことは注目に値する。それら自身で強い共刺激活性を示すことができるCOS またはL 細胞系統使用するとき、これは潜在的問題であることがある。
【0054】
NGFRスーパーファミリーの他のメンバーであるCD40はB 細胞上で発現され、そしてgp39、すなわち、活性化されたT 細胞上で発現される分子と相互作用する。ネズミおよびヒトgp39をコードするcDNAはクローニングされた;この細胞表面の分子は腫瘍壊死因子に対する相同性を有するII型膜タンパク質である。CD40-B細胞の増殖および分化を投与量依存的方法においてブロックすることができることを、Noelle et al. は発見した。
【0055】
Armitage et al. はネズミgp39のためのcDNAを単離し、そしてgp39が共刺激因子の非存在下にB 細胞の増殖を誘導することができ、そしてIL-4の存在下にIgE産生を生ずることができることを示した。ヒトgp39でトランスフェクトされたCOS 細胞はヒトB 細胞の増殖においてTPA または抗CD20と共力することができ、そして共刺激因子の非存在下に、あるいは低いレベルのみの共刺激因子の存在下にB 細胞を刺激できることを、Hollenbaugh et al.は示した。投与量のデータは、CD40はT 細胞との物理的接触の間にシグナルを伝達するB 細胞表面の分子の1 つでありうることを示す。
【0056】
細胞表面のレセプターは、可溶性因子または隣接する細胞上で発現される他の細胞表面の分子と相互作用することによって、それらの外部の環境と連絡する。細胞- 細胞により供給される生化学的シグナルの役割と、細胞表面のレセプターと相互作用する可溶性因子により供給されるものとの対比は不明瞭である。TNFR IおよびIIならびにNGFRは2 以上のリガンドと結合するので、NGFRのスーパーファミリーは異常である。TNFR IおよびIIの双方はTNF-a およびTNF-R に結合する。NGFRはNGF 、脳由来神経親和性因子、およびニューロトロフィン-3に結合する。
【0057】
さらに、1 つのリガンドは細胞表面リガンドおよび可溶性リガンドの双方として機能することができる。CD40リガンド、gp39についての最近の証拠は、このリガンドが膜結合したリガンドとしてならびに可溶性リガンドとして存在できることを示唆する。4-1BB は可溶性形態ならびに膜結合した形態で分泌され、B 細胞と相互作用することが可能であろう。NGFRレセプターのファミリーの1 メンバーであるCD27は、T 細胞上で発現され、細胞表面上で発現されることに加えて、分泌される(Hintzen et al. 、1991) 。また、2 以上のリガンドは、可溶性でありかつ細胞表面上に存在する場合、4-1BB と結合することができるであろう。
【0058】
ヒト相同体、H4-1BBの単離
マウス4-1BB のヒト相同体(H4-1BB)を単離するために、2工程のポリメラーゼ連鎖反応(PCR) を設計した。PCR プライマーを設計するために、4-1BB は神経成長因子レセプター(NGFR)スーパーファミリーの1 メンバーであるので、このスーパーファミリーのメンバーの間のアミノ酸配列を比較した(MallettおよびBarclay 、1991) 。使用したアミノ酸配列はマウス4-1BB 、ヒトNGFR、ヒト腫瘍壊死因子のレセプター、ヒトCD40、およびヒトCD27であった。NGFRスーパーファミリーの間の配列の保存領域を選択した。
【0059】
材料および方法
正常の健康な個体からの末梢血リンパ球を単離し、PMA(10ng/ml)およびイオノマイシン(1mM) で活性化した。リンパ球からのメッセンジャーRNA を単離した。逆転写酵素を使用して、ヒトリンパ球mRNAを一本鎖cDNAに変換した。次いでプライマーの組合わせ( 配列番号:3〜6 を使用してTaq ポリメラーゼでcDNAを増幅した。プライマーの組合わせを使用し、そしてこれらは約240bp の特異的バンドを産生した。ヒト相同体タンパク質のサイズがマウス4-1BB のそれに類似する場合、240bp はヒト4-1BB の期待するサイズである。PCR 生成物(240bp) をPGEM3 中でクローニングし、配列決定した。
【0060】
PCR 生成物の1 つのオープンリーディングフレームはマウス4-1BB とほぼ65%同一であった。したがって、240bp のPCR 生成物はマウス4-1BB のヒト相同体であると結論された。240bp のPCR 生成物を使用して、活性化されたヒトT リンパ球のλgt11 cDNA ライブラリーをスクリーニングした。0.85kgのcDNAが単離された。cDNAの配列は配列番号:7に示されており、そして予測されたアミノ酸配列は配列番号:8に示されている。
【0061】
H4-1BB AP タンパク質を産生するための発現プラスミドを構築した。シグナル配列および全体の細胞外ドメインをコードする配列を包含するH4-1BB cDNA の5'部分を、PCR により増幅した。正しく配向されたクローニングを実施するために、前方向プライマーの5'末端上のHindIII 部位および逆方向プライマーの5'末端上のBglII 部位をつくった。
HindIII-BglII H4-1BBフラグメントを、ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼ(AP)のためのコーディング配列から上流において、哺乳動物発現ベクターAPtaq-1の中に挿入した。
【0062】
H4-1BB AP を使用して、ヒト4-1BB(すなわち、H4-1BB) のためのリガンドを発現する細胞および組織を同定する。マウス4-1BB を使用する研究において、4-1BB のリガンドは細胞表面上に存在ことが示された。B 細胞およびマクロファージは4-1BB を発現する主要な細胞であった。H4-1BBはヒトB 細胞およびマクロファージ上で発現されることが期待される。
【0063】
結果
H4-1BBを発現するヒト細胞系統から、哺乳動物発現cDNAライブラリーを発生させた。ライブラリーをヨウ素標識化H4-1BB-AP によりスクリーニングした。次いでH4-1BBのcDNAを単離し、特性決定した。次いで可溶性組換えH4-1BBを産生した。次いで、後述するように、発生した抗体を使用して免疫応答を抑制または増強させた。H4-1BBに対するモノクローナル抗体を発生させ、そして後述する。
【0064】
本発明者が完結した研究に従うと、4-1BB は共刺激シグナルとして作用する。それゆえ、H4-1BBはT 細胞活性化の共刺激シグナルとして作用することが期待される。マウス4-1BB はB 細胞の増殖および分化を促進した。H4-1BBは同一のことを実行することが見出された。H4-1BB-AP 、H4-1BBおよび下に開示する種々のモノクローナル抗体を使用して、ヒト免疫応答を抑制または促進することができる。
【実施例】
【0065】
実施例1.H4-1BBに対するモノクローナル抗体の産生
4-1BB 分子は活性化されたネズミT 細胞上で発現されるが、休止T 細胞上で発現されないが、マウス4-1BB に対して向けられた1 AH2 mAb の架橋は抗−CD3 誘導T 細胞の増殖を増強することが示された。T 細胞上の4-1BB がB 細胞およびマクロファージ上のそのリガンドに結合するのを4-1BB/APで阻害することによって、正常脾細胞抗原提示およびT 細胞活性化をブロックすることができる。このタンパク質4-1BB/APは、4-1BB の細胞外ドメインおよびアルカリ性ホスファターゼを含有する融合タンパク質である。H4-1BB mAbを特性決定し、次いで単離した。
【0066】
材料および方法
組換えH4-1BBの産生
4-1BB およびグルタチオン-S- トランスフェラーゼ(GST) のGST 結合ドメインをコードする全長のcDNA配列を含有するPGX-3 発現ベクター(Pharmacia) を構築し、そして細菌中で融合タンパク質を発現させた。H4-1BBをGST と融合させると、GST-セファローズおよびセファローズ-4B のカラムクロマトグラフィーにより単離するとき、rH4-1BB(組換えH4-1BB) の効率よい精製が可能であった。免疫化前に、GST 結合ドメインを切断する。rH4-1BB 画分をGST-セファローズおよびセファローズ-4B のカラムクロマトグラフィーにより精製し、引き続いて免疫化前に因子Xaで切断してH4-1BB部分を解放する。
【0067】
BALB/c動物をrH4-1BB タンパク質で免疫化し、脾細胞をSp2/0 融合相手と融合させた。BALB/cマウスTitermax(Cytkx) または「Complete Freunds」アジュバントの中に乳化した50μg のsH4-1BB で免疫化すべきである。3 回の腹腔内(ip)注射を2 週の間隔で投与すべきである。最後の注射後3 日に、マウス宿主を殺し、それらの脾臓を取出した。
【0068】
脾細胞をSp2/0 骨髄腫細胞と融合させた。脾細胞およびSp2/0 を5:1 の比で混合し、50%のPEG を使用して融合させた。次いで細胞を洗浄し、OptiMEN(Gibco)、10%のFCS 、5mM のハイポキサンチン、1 %のアミノペプチン、および0.8mMのチミジン(HAT) の中に再懸濁させ、96ウェルのU 字形の底のプレート(Corning) 中の培養した。生ずる細胞上清をrh4-1BB の反応性についてELISA によりスクリーニングした。クローンを単離し、サブクローニングした。
【0069】
活性化T 細胞は4-1BB+およびCD45RAおよびCD45R0を共発現する
従来、マウス4-1BB は1 系列の免疫沈降研究およびペプチドマッピング研究によりp56lckに関連づけられることが示された。収集したデータは、4-1BB が活性化T 細胞上でCD45およびp56lckと多ペプチド複合体を形成することを示す。ヒトにおける4-1BB およびCD45のアソシエーションをよりよく評価するために、PHAで48時間刺激したPBMCを、多色FCM によりCD45RAおよびCD45R0イソ型の発現について分析した。抗体の非特異的結合について補正した後、細胞の16〜19%は4-1BB を発現し、ほとんどすべて(1 %を除外する)はCD45RAを発現し、そしてほとんどすべてはCD45R0を発現した。
【0070】
抗H4-1BB mAbについての使用
いくつかのmAb はSF-21 細胞上で発現された4-1BB を特異的に認識するが、活性化T 細胞上で発現された4-1BB を認識しない。これは、T 細胞上で暴露されないか、あるいはT 細胞上に存在するが、ヒトT 細胞と昆虫細胞(SF-21) との間のグリコシル化およびプロセシングにおけるわずかの差のために、SF-21 細胞上でアクセス可能であるか、あるいはSF-21 上に存在する、1 またはそれ以上のクリプティックまたはユニーク結合部位に対する特異性を有するmAb のためであろう。
【0071】
マウスにおいて、4-1BB mRNAおよび表面の発現は休止の脾細胞または非刺激のクローニングされたT 細胞上で検出不可能である。しかしT 細胞を抗−CD3 、抗TNF-αまたは抗TNF-βにより活性化すると、4-1BB mRNAは3 時間の刺激で検出され、そして最初に刺激後2 〜3 日に細胞で検出可能である。最大の表面の発現は刺激後約6 日に到達する。
【0072】
マウスにおけるように、4-1BB はヒトにおいて新しく単離された末梢血T 細胞の表面上で検出されないが、PHA 刺激後容易に検出される。マウスにおけるのと異なり、4-1BB はヒトにおいて非常により急速に発現され、12〜24時間以内にピークの発現に到達する。4-1BB の発現、ならびに細胞表面上で4-1BB を発現する細胞の細胞は、刺激後72時間以内に減少し始める。マウスおよびヒトの双方において、4-1BB はCD4+およびCDS+T 細胞サブセット上で発現される。
【0073】
4-1BB はp56 lckに関連づけられる。[32]PO4 がガンマ標識化ATP から、抗4-1BB mAb、1AH2 で免疫沈降させたコンカナバリンA(ConA) 活性化胸腺細胞中のp56上に、転移されるとき、56kDa のタンパク質が検出される。ペプチドマッピングにより、この56kDa のホスホタンパク質はp56 lckとして同定される。p56 lckおよび4-1BB 分子は、また、昆虫細胞の研究(SF-21) において、および4-1BBおよびp56 lckで形質転換されたHeLa細胞において、共免疫沈降されることが見出された。さらに、4-1BB の架橋はp56 lckを活性化した。p56 lck-CD4/CD8複合体の形成のために重大なシステイン残基は、また、p56 lck-4-1BBの相互作用のために重大であった。
【0074】
予備的結果において、抗4-1BB は、また、ビオチン表面標識化ConA活性化胸腺細胞から約200kDaのタンパク質を免疫沈降させることが認められた。抗CD45 mAbを免疫沈降のために使用したとき、マウス4-1BB に対する同様なサイズの約30kDa のタンパク質が検出された。従来、CD45はある種のタンパク質、例えば、p56lckの脱リン酸化を仲介することが示された(Biffen et al.,1994)。多分、4-1BB はCD45およびp56 lckを組合わせることにおいてある役割を演じ、そしてCD45ホスファターゼによるp56lckの脱リン酸化を促進する。
【0075】
4-1BB およびCD45のアソシエーションをさらに評価するために、PHA 刺激PBMCを多色FCM により分析した。PHA 中の48時間培養したPBMCのほぼ16〜19%は4-1BB を発現する。すべての4-1BB+細胞がCD45RAおよびCD45R0を発現する場合、4-1BB+細胞の約17.5%はそれらの細胞表面上でCD45RAおよびCD45R0の双方を共発現するに違いない。PHA 刺激したCD45RAhiR0hi細胞のうちで、ほぼ40%は4-1BB を発現する。CD45および4-1BB がアソシエーションを共有するという仮説を、このデータはさらに支持する。
【0076】
より重要なことには、4-1BB はナイーブ表現型(CD45RA hiR0lo) からメモリー表現型(CD45RA loR0hi) へのT 細胞の移行においてある役割を演ずることが示唆される。以前においてPicker et al. は、多色FCM により、ナイーブT 細胞が明確なCD45RAhiR0hiの中間的細胞型を通してナイーブ表現型(CD45RA hiR0lo) からメモリー表現型(CD45RA loR0hi) への「段階的、1 方向の進行」を行うことを証明した。末梢血において、この中間の表現型を発現するわずかの細胞が検出可能である。
【0077】
しかしながら、二次リンパ系組織、例えば、扁桃腺においてT 細胞の2 〜10%はCD45RAhiR0hiであることが見出された。多くはナイーブおよびメモリーT 細胞について知られているが、わずかは移行細胞においてCD45RAhiR0hiについて知られている。メモリーT 細胞の発生を生ずるこの移行相の間に、どんな事象が起こるかは知られていない。したがって、ナイーブからメモリーT 細胞への移行における4-1BB の役割および4-1BB とCD45との見掛けのアソシエーションを評価することが必要であろう。この点において、抗H4-1BB mAbは非常に貴重である。
【0078】
結果
抗H4-1BB mAbを使用してT 細胞の架橋を増強することができ、したがってある型の癌細胞(黒色腫)に対するT 細胞の活性化を誘導することができる。T 細胞の存在下に種々の癌細胞を用いる実験においてmAb を使用することによって、癌細胞に対するT 細胞の活性化を開始する投与量および適切な処方物を決定することができる。同一型の癌を有する動物モデルにおいて、処方物を試験し、そして処方物および投与量をヒトにおける試験のために改良する。
【0079】
慢性関節リウマチの患者における滑膜T リンパ球はH4-1BBを発現するが、この疾患をもたない両種性の滑膜T リンパ球において4-1BB は発現されない。この疾患は患者自身の組織に対する望ましくない免疫応答を含む。したがって、望ましくない免疫応答のブロッキングは関節炎の患者に緩和を提供する。患者に抗H4-1BB mAbまたは融合タンパク質を注射することによって、H4-1BBとそのリガンドとの間の結合はブロックされるであろう。
【0080】
mAb とH4-1BBとの結合が免疫系の活性化を増強しない場合、抗H4-1BB mAbによる結合の妨害は所望の作用を有し、そうでなければ融合タンパク質が結合のブロッキングに使用されるであろう。融合タンパク質(モノマー)はH4-1BBまたはそのリガンドを刺激しないが、それはH4-1BBに結合し、これによりH4-1BBの結合を防止しかつリガンドを刺激するので、すぐれたリガンドの結合ブロッカーである。
【0081】
リガンドの結合をブロックする同様な方法、全身性エリテマトーデスの患者に有用であろう。I 型糖尿病の患者について、T 細胞はそれらの自身のインスリン産生細胞、膵臓ベータ細胞を攻撃する。mAb または融合タンパク質を注射することによって、この破壊をブロックすることができる。
AIDSまたはある型のflu ウイルスを有する患者における末梢血T 細胞はH4-1BBを発現しているが、通常の患者における同一細胞はH4-1BBを発現していない。したがって、4-1BB はこの免疫応答において重要である。H4-1BBリガンド結合の増強またはブロッキングは、これらの疾患を有する患者におけるT 細胞の調節において重要であろう。
【0082】
実施例2.免疫応答の抑制におけるH4-1BB抗体の使用
図1 および図2 は、T 細胞活性化に関係する分子を図解する。初期のT 細胞活性化(認知相)の間に、休止T 細胞はTCR /CD3 複合体および他の「アクセサリー」分子を発現する。これらの構成的に発現された分子の間で、CD4+(またはCD8+)、LFA-1 、およびCD28は多分共刺激シグナルを受け取るものである。TCR /CD3 複合体との初期の相互作用と、これらの「アクセサリー」共刺激シグナルとの組合わせは、追加のレセプター分子、例えば、CD28、CTLA4 、および4-1BB の引き続く発現に導く。これらの新しく発現された分子は、T 細胞活性化の後の段階、例えば、クローナル発現において追加の重要な共刺激シグナルを受け取るであろう。
【0083】
図3 〜図5 は、正常のT 細胞活性化経路を図解する。図6 〜図8 は、4-1BB の可溶性キメラによる免疫応答のブロッキングを図解する。4-1BB がT 細胞活性化においてある役割を演ずる場合、抗原提示細胞上のそのリガンドに対する相互作用のブロッキングはT 細胞依存性免疫応答を抑制させるであろう。CD28とそのカウンター- レセプターB7との相互作用のブロッキングは、in vivo の抗体産生および細胞仲介免疫応答の双方を、変化する程度で、抑制することが適切に証明されている。双方の相互作用はより有効な免疫抑制を生ずるべきである;なぜなら、4-1BB はT 細胞活性化の間に誘導されるからである。4-1BB とそのリガンドとの相互作用のブロッキングは、CD28/B7 の相互作用がもはや無関係である、活性化プロセスの後の段階において重要である。
【0084】
マウスレセプター4-1BB 、活性化されたT 細胞上で発現されるタンパク質、および上記マウスリガンド4-1BB を使用して例示されるように、H4-1BB-AP の添加はH4-1BBを発現する細胞をコーティングし、H4-1BBとH4-1BBL との間の正常の相互作用をブロックするであろう。これは免疫抑制に導くであろう。この型の免疫抑制は抗原特異的である。したがって、それは抗−CD3 またはシクロスポリンA
の処理により産生される一般化免疫抑制を回避する。H4-1BB-AP の処理を使用して、ある種の免疫疾患を治療し、器官の移植を促進することができる。
【0085】
結合活性
レセプタータンパク質H4-1BBの一部分は細胞膜のリガンドに結合し、そして検出タンパク質についての相対活性のアッセイにより、結合を検出することができる。融合タンパク質は、レセプタータンパク質H4-1BBを発現することが推測される細胞の存在下に配置される。次いで、細胞を洗浄して、細胞膜のリガンドに結合しない融合タンパク質を除去する。いったん洗浄された細胞が検出タンパク質の基質の存在下に配置されると、検出タンパク質の相対活性を測定することができる。
【0086】
免疫反応の増強
H4-1BBはT 細胞活性化の後期の段階において機能し、そしてT 細胞活性化の完結について重要な分子であろう。大部分の腫瘍は腫瘍特異的抗原を表示する。しかしながら、免疫原性腫瘍が宿主免疫性から逃げることができる1 つの理由は、腫瘍反応性T 細胞が不適切な共刺激を受け取ることである。したがって、共刺激分子、例えば、H4-1BBを腫瘍の中に導入すると、活性をアップレギュレートすることによって、細胞障害性T 細胞(CTL) の抗腫瘍免疫性を増強することができるであろう。
【0087】
細胞特異的方式でH4-1BBL を発現させることができる。例えば、メラノサイト特異的プロモーター、例えば、チロシナーゼプロモーターを使用して、H4-1BBLを黒色腫中で発現させることができる。H4-1BBL を発現する黒色腫はH4-1BBを通して細胞障害性T 細胞を刺激し、黒色腫特異的CTL を活性化するであろう。活性化された黒色腫特異的CTL は次いでターゲット癌(例えば、黒色腫)を破壊することができる。
【0088】
実施例3.1型サイトカインを促進するC ヒトH4-1BBによるCD28の共刺激
CD28の刺激におけるH4-1BBの役割を決定するために、研究を実施した。また、ヒトエフェクターT 細胞の発生を促進するために、CD28が追加の共刺激シグナルを必要とするかどうかをまた研究した。その努力において、サイトカインIL-2がTh1 細胞中のIFの産生においてCD28と共同することは知られていた。in vitroにおいて、Th1 応答の抗原誘導プライミングのためにIL-2は絶対的には要求されないが、プライミングの間にIL-2が存在すると、IF(ガンマインターフェロン)を産生する、抗原プライムドTh1 細胞の能力は増強されることが決定された。
【0089】
Th1 細胞により産生されるIFはTh1 の発生を増幅し、かつTh2 細胞における増殖を阻害するが、Th2 により産生されるIL-4はTh1 細胞の発生をブロックする。いったん、T 細胞の免疫応答がTh1 またはTh2 に対して発生し始めると、それはその方向に漸進的に極性化するようになる傾向がある。T 細胞の初期のサイトカインの分泌が独立の調節プロセスにより決定されるかどうかは不明瞭のままである。
【0090】
T 細胞活性化はTCR を通して供給されるシグナル、および大部分はCD28を介する共刺激と呼ばれる第2のシグナルを必要とする。CD28シグナルの非存在下にin vitroにおける活性化されたT 細胞は、来るべき抗原刺激に対する応答を欠如し、アネルギー(例えば、「アネルギー化された」)として特徴づけられる。ヒトT細胞をin vitroにおいて抗−CD28で反復的に再活性化したとき、このプロセスはIL-2の産生を減少させ、そしてTh2 様細胞を産生するようにIL-4を誘導した。CD28欠乏マウスにおける抗原特異的サイトカインの産生に対する応答の研究において、IL-4および、より少ない程度に、IFの産生はCD28仲介シグナルにより増強されることが証明された。
【0091】
CD28シグナリングはアポトーシス、すなわち、抗−CD3 活性化ネズミおよびヒトT 細胞の双方における活性化誘導細胞死(AICD)として知られている現象、を防止することが最近示された。反復したTCR エンゲージメントは、Fas またはCD28シグナリングに対する長時間の非応答性を発現する細胞の蓄積を生ずる。CD28の応答性の欠如およびFas の獲得は、通常長時間の刺激後に起こり、エフェクターT 細胞の集団の再活性化を防止するメカニズムを提供する。したがって、長期間のT 細胞の維持およびエフェクターT 細胞の分化のため、AICDから細胞を保護するために、CD28に対する追加の共刺激因子の共エンゲージメントが要求されるであろう。
【0092】
Th2 型サイトカインプロフィルをもつヒトCD4+およびCD8+クローンにより、CD30分子は優先的に発現される。CD30発現とIFの産生との間の逆相関が存在する。4-1BB およびCD30の発現は等しく活性化依存性であり、そして主としてCD45R0+細胞に制限される。4-1BB に対する暴露はIL-2産生およびネズミ脾T 細胞の増殖を支持した。4-1BB はCD4+およびCD8+T 細胞の双方上で発現され、そしてp56lckに関連づけられる。
【0093】
本明細書において、4-1BB はCD28仲介共刺激で調節的役割を演じて、1 型細胞の発生を特異的に促進し、かつAICDを防止する。4-1BB 仲介1 型応答はCD30陽性細胞において観察されなかった。現在の結果が示すように、それらの発現が相互に独占的である、4-1BB およびCD30は、1 型および2 型の発生の均衡を調節するように反作用することができる。
【0094】
材料および方法
抗体および試薬
モノクローナル抗4-1BB を使用して、フローサイトメトリー分析のためにT 細胞上で4-1BB を結合しかつ4-1BB を染色した。抗−CD28、mAb9.3(マウスIgG2)はCarl H.June 博士から提供され、そしてCD28.2( マウスIgG1) をPharmingen(カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。
【0095】
ヒトCD3 に対するモノクローナル抗体(OKT3、マウスIgG1) をオルト・ダイアグノスチック(Ortho Diagnsotic)(マサチュセッツ州ウェストウッド)から購入した。フローサイトメトリーのための二次架橋ヤギ抗マウスIgG(H+L)、および抗マウスIgG1-FITC を、それぞれ、ザイムド(Zymed )( カリフォルニア州サウスサンフランシスコ) およびサザーン・バイオテクノロジー・アソシエーツ( アラバマ州バービンガム) から購入した。
【0096】
抗IF- フィコエリトリン(PE)、抗IL-4-PE 、抗CD4-Cy- クローム、およびPE標識化マウスIgG1イソ型対照(MOPC-21) をファーミンゲン(PharMingen)から購入した。4-1BBFc 、すなわち、ヒトIgG(38) のFc領域に結合したヒト4-1BB の細胞外部分から成る融合タンパク質は、イムネックス(Immunex)(ワシントン州シアトル)から入手した。アイソトープ対照マウスIgG をシグマ(Sigma)(ミゾリー州セントルイス) から購入した。T ヘルパー細胞を単離するためのモノクローナル抗体、および補体のプレミックスカクテル(LymphoKwik)をワン・ラムダ(One Lambda)( カリフォルニア州カノガパーク) から購入した。
【0097】
Histopaque-1077(Sigma)密度遠心により、ヒトPBMCを健康なドナーのバッフィーコートから単離した。対応するモノクローナル抗体および補体によりPBMCからCD8+T 細胞、B 細胞、およびマクロファージ細胞を消耗させることによって、CD4+T 細胞を精製した。CD4+T 細胞の純度は、フローサイトメトリー分析により測定して、約85%であった。
【0098】
1 ×106細胞/ml の精製されたT 細胞またはPBMCを5 μg/mlのフィトヘムアグルチニン(PHA、Calbiochem) で4 日間活性化し、次いでPHA を洗浄除去し、引き続いて100 μl/mlのIL-2の存在下に次に続く実験に依存して3 〜10日間拡張し、3 日毎に新鮮なIL-2で置換した。>95 %のT 細胞を含む生ずる細胞を以後「PHA/IL-2細胞」と呼ぶ。増殖アッセイのために、すべてのクラスター化PHA 芽細胞が完全に分散するようになるまで、細胞を10日間IL-2中で培養し、再活性化前に細胞サイズを減少させた。
【0099】
T 細胞の再活性化
イソ型対照マウスIgG1(MOPC-21) 、または4-1BB に対する追加の抗体、CD3 の存在下にCD28に対する抗体または2 つの抗体の組合わせで、各々10μg/mlにおいて、4 ℃において一夜被覆したプレート(Costar、マサチュセッツ州ケンブリッジ) 中において、精製されたCD4+T 細胞またはPBMCからのPHA/IL-2細胞を5 倍過剰のヤギ抗マウスIgG の存在下に1 μg/mlの可溶性抗−CD3 mAb で再活性化した。3 〜5 日間抗−CD3 で活性化した後、同一方法において抗体で被覆した新しいプレートに細胞を移し、必要に応じて、他の活性化サイクルを反復した。
【0100】
サイトカインの産生
イソ型対照マウスIgG1、抗4-1BB 、抗−CD28、および抗4-1BB と抗−CD28との組合わせで、10μg/mlの各抗体において、被覆した24ウェルのプレート中でPHA/IL-2細胞を抗−CD3 で再活性化した後、コンディショニングした培地を収集して、IL-2、IF、TNF-α、IL-4、およびTGF-βを測定した。サイトカインIL-2をIL-2依存性細胞系統、CTLL-2によりアッセイし、そしてサイトカインの残部を商業的に入手可能なELISA キットにより測定した;IF(Endogen) 、TNF-α(Genzyme) 、IL-4およびTGF-β(RおよびD Systems)。
【0101】
細胞増殖アッセイ
一次T 細胞を、前述したように、3 つの連続的サイクルにより反復的に活性化した。各3 サイクルの抗−CD3 活性化後、細胞を収集し、1μg/mlの抗−CD3 および5 μg/mlの架橋性抗マウスIgG により再活性化して、96ウェルのマイクロタイタープレート(5×104 細胞/200μl/ウェル) 中の抗−CD3 仲介TCR 活性化において、固定化抗−CD28または抗4-1BB または双方の抗体に対する応答性を測定した。追加の抗4-1BB(10μg/ml) の存在または非存在下に表示した濃度の抗−CD28を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS) 中で96ウェルのプレート上に4 ℃において一夜被覆した。[!3H]チミジンの組込みを3 日の培養の最後の6 時間の間測定した。
【0102】
フローサイトメトリー
4-1BB の発現を測定するために、異なる共刺激条件下に再活性化されたほぼ2
×106細胞を洗浄し、100 μl の染色溶液(1%のBSA を含有するPBS )中の2 μg/mlの抗4-1BB の中に懸濁させ、4 ℃において30分間インキュベートした。引き続いて細胞を3 回洗浄し、200 μl の1 μg/mlのFITC結合抗マウスIgG1の中に再懸濁させ、30分間インキュベートした。
【0103】
洗浄後、FACScan(Becton Dickinson、カリフォルニア州マウンテンビュー) 上のフローサイトメトリー分析前に、試料を1 %のパラホルムアルデヒドで固定した。前方向/側面の散乱プロフィルに基づいて、ゲートを生きている細胞について設定した。各場合において、少なくとも10,000の事象を各試料について収集した。細胞内IFおよびIL-4のレベルを測定するために、製造業者が推奨するプロトコルに従った( 引用することによって本明細書の一部とされる) 。
【0104】
PHA で活性化されたPBMCを、抗4-1BB の存在または非存在下に、抗−CD3 および抗−CD28により3 日間反復的に活性化し、収集し、洗浄し、それぞれ前述したように、表面の4-1BB およびCD30を抗4-1BB-FITCおよび抗−CD30-FITC で染色した。4-1BB およびCD30を同定するために、4-1BB について抗4-1BB-ビオチンおよびストレプトアビジン-PE を使用しかつCD30について抗−CD30-FITC を使用する2 色の染色を使用した。
【0105】
細胞を4 %のパラホルムアルデヒドで固定し、そして0.1 %のサポニンで透過性化した後、細胞をさらに0.1 %のサポニン中で1 μg/mlのIF-PE またはIL-4-PE で染色した。細胞を最後に1 %のBSA を含有するPBS の中に再懸濁させ、そしてFACScan により2 色染色された表面のマーカーおよび細胞内のサイトカインについて分析した。ある場合において、細胞内染色前に細胞を4-1BB またはCD30に加えてCD4 について抗CD4-Cy- クロームで染色した。
【0106】
結果
それ自身のシグナル( 例えば、陽性フィードバックループ) により反復的に活性化した後、4-1BB の最大の発現が見られた。CD28はナイーブおよびメモリーT細胞の大部分上で発現される。CD28、4-1BB と対照的に、健康なボランティアから新しく調製されたナイーブT 細胞において、他の細胞表面の分子は検出されなかった。また、ヒトT 細胞上の最大の4-1BB の発現についての活性化条件を研究した。4-1BB の発現はPHA または抗−CD3 刺激により誘導され、最大のプラトーレベルは3 または4 日後であった。ピークにおいて、T 細胞の20%より小は4-1BB 陽性であった。
【0107】
PHA 刺激後、10日間IL-2(100u/ml) 中で休止させると(PHA/IL-2 細胞と呼ぶ)
、4-1BB の発現はT 細胞陽性の5 %より低く減少した。抗4-1BB の存在または非存在下の抗−CD3 および抗−CD28によるPHA/IL-2細胞の再活性化は、4-1BB を顕著に増加させた。T 細胞の50%より多は3 日で4-1BB 陽性となった。
【0108】
高い4-1BB の発現は一時的であり、そして再活性化の次のサイクルのための抗−CD28単独を使用する連続的抗−CD3 の再活性化は4-1BB の発現を維持せず、10%より少ない4-1BB 陽性細胞を生じた。対照的に、抗−CD28共刺激との4-1BB 共エンゲージメントは劇的の差を生じ、反復した活性化で60%より高い4-1BB 発現の増加に導いた。この発見が示すように、高い4-1BB 発現はCD28および4-1BB の双方からの共刺激シグナルを使用する反復したTCR 活性化を必要とする。CD28が関与しない4-1BB 共刺激を使用する抗−CD3 活性化は4-1BB の誘導で適度の作用のみを生じた。
【0109】
したがって、4-1BB シグナルはそれ自身の発現において重要な役割を演じ、CD28は本質的に止まるすることが決定された。CD28を使用するそれ自身のシグナルの共刺激により引き起こされる、高い4-1BB 発現は、in vivo における反復抗原投与の間の積極的フィードバックのループを通して4-1BB を発現するT 細胞に極性化する手段を提供することができる。4-1BB シグナルは、1 型サイトカイン産生を増強するが、2 型サイトカイン産生を抑制するように、CD28共刺激を調節した。
【0110】
4-1BB 、またはCD28、または4-1BB とCD28との組合せに対する共刺激抗体を使用して抗−CD3 により、PHA/IL-2細胞を再活性化した。3 日の再活性化後のコンディショニングされる培地の中に分泌したサイトカインをアッセイした。それ以来4-1BB はCD4+およびCD8+細胞の双方において誘導される。CD4+およびCD8+T 細胞のエフェクター表現型に与えられた表示は、Th1 またはTh2 の代わりに、それぞれ、集合的に1 型および2 型であった。4-1BB シグナルはIL-2、TNF-α、およびIF(これらは主として1 型サイトカインとして分類される)をCD28共刺激単独により誘導されたレベルよりも数倍高く増強した。誘導されたサイトカインの間で、IF( ガンマインターフェロン) は4-1BB により最も有意に増強された(7.3倍) 。
【0111】
CD28共刺激を使用しない、4-1BB 単独は、有意な作用を示さなかった。CD28に対する追加の4-1BB シグナルはその代わりにIL-4、2 型サイトカインおよびTGF-βを、より少ない程度に、CD28共刺激単独により誘導されるレベルよりも下に増強したことは驚くべきことであった。4-1BB シグナルは、投与量依存的方法でCD28仲介IL-4産生を抑制した。この結果が示すように、CD28共刺激と共エンゲージ(co-engage) するときとように、4-1BB は特異的に1 型サイトカイン産生を誘導しかつ2 型サイトカイン産生を抑制することにおいて調節的役割を演ずる。
【0112】
4-1BB シグナルは、もっぱらCD30陰性細胞において、IF産生細胞集団を拡張した。4-1BB シグナリングによる同時の1 型サイトカイン産生の増強および2 型サイトカイン産生の抑制は、共刺激におけるCD28との4-1BB の共エンゲージメントが1 型サブセットT 細胞の発生の誘導に実際に関係するかどうかに関する検査を刺激した。フローサイトメトリーにより細胞内IFを検出することによって、IF産生細胞が単細胞レベルにおいて同定された。
【0113】
PHA/IL-2細胞は、抗−CD3 および抗−CD28で再活性化するとき、全体の集団の3 %においてIF産生細胞を産生した。追加の抗4-1BB を使用して抗−CD3 および抗−CD28で再活性化した同一細胞は、集団の15%より多く、IF産生細胞を増加した。したがって、共刺激においてCD28に対する4-1BB の共エンゲージメントの結果として、培地中のIFの増強はIF産生細胞の増加に帰属させることができる。IF産生細胞は直接的に4-1BB シグナルにより、あるいは間接的に促進されたサイトカインにより、あるいは双方の組合わせにより発生されたかどうかは未知である。
【0114】
抗4-1BB により発生したIF産生細胞は、2 つの表面マーカー、4-1BB およびCD30、他の誘導可能な分子によりさらに同定され、ここで誘導可能な分子はTNF レセプターのスーパーファミリーのメンバーとして4-1BB に対する構造的相同性を有する。他の研究者らは潜在的Th2 マーカーとしてCD30を提案した。IF産生細胞の大部分は4-1BB 陽性であった。
【0115】
4-1BB と逆に、同一IF産生細胞は主としてCD30陰性であるように見えた。これらの結果が示すように、多分1 型サブセット特異的4-1BB の発現のために、特異的にIF産生であるが、CD30陰性である細胞の拡張に4-1BB シグナルは関係する。傾斜した円錐形パターンによりドットプロットで発現されるように、細胞内IFの強度と表面の4-1BB 発現との間の積極的相関がまた見出された。IFおよび4-1BB発現の積極的相関は、4-1BB シグナルが新規なIF機能、ならびにIF産生細胞の発現に直接的に関係するという見解を支持する。4-1BB タンパク質は、IL-4産生細胞上ではなく、IF産生細胞上の優先的に発現された。
【0116】
4-1BB 誘導IF産生細胞はCD30を欠如したので、4-1BB 発現が1 型表現型をもつ細胞のもっぱら制限されるかどうかを次の検査した。この開示の目的で、ガンマインターフェロンおよびIL-4サイトカインを、それぞれ、1 型および2 型表現型のための代表的なマーカーサイトカインとして選択し、そして2 つのサブセット集団において4-1BB 発現のレベルを比較した。
【0117】
PHA/IL-2細胞を抗−CD28および抗4-1BB を使用して抗−CD3 により3 日間再活性化し、表面の4-1BB について染色し、引き続いてマーカーサイトカイン、IFまたはIL-4で同定した。IF陽性およびIL-4陽性の細胞についてゲートアウトした集団における4-1BB の発現レベルを比較した。IF産生細胞とIL-4産生細胞との間に4-1BB の発現レベルの有意差が見出された。4-1BB 発現は、IL-4産生細胞(22.7%) に比較してIF陽性細胞(61.7 %) において高度に富んでいた。これらの結果が示すように、4-1BB はランダムではなく、1 型サブセット細胞上で優先的に発現される。4-1BB およびCD30は発現において相互に独占的である。
【0118】
結果が示すように、IF産生細胞上の優先的4-1BB 発現およびIF産生を誘導するその能力をベースとして、4-1BB は1 型T 細胞の分化を仲介する。他方において、他のグループはCD30がTh2 マーカーまたはIL-4応答のマーカーであることを証明した。また、4-1BB およびCD30の発現がT 細胞集団の2 つの異なるサブセットにもっぱら分割されるかどうかを検査した。2 色染色を使用するフローサイトメトリーにより、CD4+T 細胞における4-1BB およびCD30の表面の発現を分析した。CD4+細胞上および95%より高くCD8+であるCD4-細胞上で、4-1BB およびCD30の双方は発現された。
【0119】
4-1BB はCD8+細胞上で主として発現されるので、CD8+細胞における4-1BB およびCD30の発現の相関を分析した。4-1BB およびCD30を発現する細胞は大きく2 つの別々のグループに分割され、わずかに小さい細胞の集団が4-1BB およびCD30の双方を共有した。また、これらのCD4+細胞は同様な4-1BB およびCD30の発現パターンを発生し、互いに対して発現は相互に独占的である。これらの結果が証明するように、4-1BB およびCD30はT 細胞上の発現が相互に独占的であり、そして2つの分子の相互のこの独占性はCD4+およびCD8+細胞の間におけるそれらの示差的優勢から生じなかった。
【0120】
4-1BB シグナルはCD30陽性細胞集団をダウンレギュレートした
4-1BB およびCD30の双方が細胞表面の分子であることを考慮して、CD30産生細胞集団の発生における4-1BB とCD30との間の交差調節の可能性を検査した。これを実施するために、4-1BB またはCD30のシグナリングに応答する初期の活性化の間に、CD30を発現する細胞の発生レベルをフローサイトメトリーにより測定した。抗−CD3 および抗−CD28と、4-1BB およびCD30、または4-1BB およびCD30の双方に対する追加の抗体との組合わせで、PHA 活性化した(2日間)PBMC を直ちに2日間再活性化した。4-1BB およびCD30のシグナリングは、CD30産生細胞の発生レベルにおいて互いに反作用することが決定された。
【0121】
明らかなように、4-1BB のシグナリングは、CD28単独で再活性化した細胞のレベルより下に、CD30レベルをダウンレギュレートした。CD30のシグナリングは、4-1BB が4-1BB 発現を誘導するのと正確に同一の方法において、CD30陽性細胞集団を増加した。4-1BB およびCD30の双方のシグナルが存在したとき、4-1BB シグナルはCD30の作用を逆転した。4-1BB およびCD30のシグナリングは、アンタゴニストのサイトカイン、例えば、IFおよびIL-4を解放して対応分子で細胞集団をダウンレギュレートすることによって、互いの機能を交差調節することができる。
【0122】
これらの結果が支持するように、4-1BB およびCD30は、サブセット細胞がそれら自身の分子を発現するときそれらの細胞を主として維持することができる。反復したTCR 活性化の間の4-1BB およびCD30とCD28との共エンゲージメントの調節は、1 型および2 型の発生を極性化する他のコントロールメカニズムを提供することができる。4-1BB シグナルとCD28共刺激との共エンゲージメントは、反復した抗−CD3 活性化の間の増殖を維持するために重大であった。
【0123】
また、高い投与量の可溶性抗−CD3 による以前に活性化された細胞の多サイクルの再活性化後、有意な細胞の死が見られることが発見された。これは実質的な量の抗−CD28の存在においてさえ真実であった。抗原、および細胞周期の進行のための高い濃度のIL-2に対する強い初期の増殖的応答後、TCR の再エンゲージメントはアポトーシスを誘導したという他の研究者らによる最近の報告と、これらの結果は一致する。特に高い投与量のIL-2に対する暴露後における、反復したin vitro活性化の結果の1 つは、CD28共刺激に対する応答性の段階的減少である。反復したTCR 活性化、すなわち、細胞死のための条件は、その代わりに、4-1BB発現を誘導した。
【0124】
したがって、連続的再活性化は、CD28シグナリングの非存在においてさえ、不可逆的損傷を引き起こし、アポトーシスに導き、そして4-1BB とCD28との共エンゲージメントは抗−CD3 再活性化推進アポトーシスを防止することができると考えられる。抗−CD3 および抗−CD28によるin vitroの反復した活性化の間における、細胞の増殖活性に対する4-1BB の作用を研究した。PHA 活性化T 細胞は、T細胞の芽細胞がより小さい細胞サイズに戻るまで10日間IL-2刺激した後、4-1BB共エンゲージメントの存在または非存在下に、抗−CD3 および抗−CD28により連続的に再活性化した。3 サイクルの再活性化の各々の後、追加の10μg/mlの抗4-1BB の存在または非存在下に、0.01から10μg/mlまでの連続希釈した抗−CD28で被覆した96ウェルのプレート中で、細胞を再び抗−CD3 で再活性化した。
【0125】
[!3H]チミジンの組込みの測定により、細胞を増殖活性について検査した。再活性化サイクルの数が進行するにつれて、飽和抗−CD28濃度を使用してさえ、細胞は抗−CD28に対する応答性を減少させ、より低い最大増殖プラトーを生じた。第3 サイクルの再活性化後、T 細胞は抗−CD28単独に対してめったに応答しなかった。しかしながら、CD28との4-1BB の共エンゲージメントは、欠陥のある増殖を克服において劇的作用を発揮し、ならびに最大の発現プラトーを完全に回復した。4-1BB シグナル単独は強いレベルの発現を示すことができなかった。4-1BB の作用は機能的アンタゴニスト、4-1BBFc 、4-1BB の可溶性形態(それを再活性化に含めるとき、抗4-1BB の特異性を示す)によりブロックされた。
【0126】
抗−CD28の応答が抗−CD28の反復した活性化により弱化した後、最も有意な4-1BB の作用が観測されたので、4-1BB 応答の主要な機能の1 つは、連続的な高い投与量の抗原の再チャレンジの間におけるCD28との相乗的共同により、クローナル拡張を維持することであるように思われる。
【0127】
反復的に活性化されたT 細胞における細胞周期の進行に対する4-1BB の作用
細胞増殖および死の事象は反復したin vitroのCD-3活性化の間に同時に起こったので、細胞周期の進行およびアポトーシスの事象に対する4-1BB シグナルの作用を決定した。これはヨウ化プロピジウムで染色されたDNA を測定することによって達成された。染色は再活性化の間に実施された。
細胞周期およびAICDの間のアポトーシスの状態に対する4-1BB シグナルのトランスダクションの作用を検査するために、PHA/IL-2細胞を抗−CD3 、抗−CD28、または抗4-1BB 単独で、あるいは双方の抗体の組合わせで、2 サイクルで3 日間再活性化した。ヨウ化プロピジウムで染色した細胞のDNA 含量を、ModFitソフトウェアプログラムにより分析した。
【0128】
以前の増殖結果と一致して、抗−CD28または抗4-1BB の結合単独はS 期において有意な細胞集団を発生しなかった(10 %より少ない) が、比較的高い画分がサブG 期において存在し、アポトーシス細胞を表すと推定された。4-1BB およびCD28の同時の結合はS 期において細胞集団を劇的に増加させ(40 %より高い) 、付随的にサブG 期の細胞を減少させた。これらの結果が示すように、4-1BB とCD28との間の追加の共刺激は、G1/S期の移行を通して細胞の進行を増強するためにばかりでなく、かつまた慢性的刺激の間のアポトーシス細胞死を防止するために必須であった。4-1BB 分子は、CD28と共同して1 型サブセットの発生を促進するための、調節共刺激分子である。
【0129】
本明細書に開示するデータは、T 細胞の活性化の2 工程のモデルを支持する。第1 工程において、T 細胞の活性化はTCR を介する抗原のシグナルとの共刺激シグナルとしてCD28-B7 の認識を包含する。一次T 細胞活性化の結果として、活性化されたT 細胞は二次認知依存的認識の中に入ることができる。活性化されたAPC により提供される、新規な調節細胞表面の分子およびそれらのリガンドは、異なる環境に対して特異的な方法において、T 細胞とAPC との間の順次のクロス-トーク(cross-talk)により相互作用するであろう。
【0130】
二次活性化相において、TCR 活性化推進細胞死を防止し、ならびに、特に細胞が多数サイクルの分裂を通して進行した後、エフェクター細胞の分化を促進するために、細胞はCD28-B7 の認識の外に追加のシグナルを必要とするであろう。このモデルにおいて、新しい調節分子の認知依存的認識は生存または死のシグナルを送出すように厳密に調節されなくてはならない。
【0131】
4-1BB の役割を描写するために、in vivo において反復的に活性化された細胞を使用する実験モデルを採用した。CD28単独は、細胞を反復的に活性化した後、細胞周期の維持を維持することができないように見えた。これらの結果が示すように、4-1BB およびCD28の共エンゲージメントは長期間の増殖活性を維持した。したがって、4-1BB は細胞死を促進するCD30またはFas により複雑な調節ネットワークを阻害することができる。これに関して、4-1BB は二次活性化相において1 型細胞に対して特異的に向けられた生存因子である。そのうえ、CD28との4-1BB の共エンゲージメントは1 型表現型の応答の促進に対して、かつ4-1BB を発現する細胞集団の特異的拡張において重大であることが示された。
【0132】
遅延された型の過敏性(DTH) は、主としてIFを産生するTh1 集団により仲介される。Th1/Th2 調節ネットワークの変更は、局所的免疫応答の決定において重要であろう。Th2 細胞の産生は、in vivo におけるそれらの抗炎症作用のための強い基礎を提供する。最近、CD28/B7 経路は非肥満型糖尿病のマウスにおいて自己抗原特異的T 細胞のためのTh2 の発生を選択的に促進することが報告された。
【0133】
こうして、抗自己免疫Th2 細胞を誘導するための4-1BB 仲介Th1 応答のブロックは、自己免疫疾患に関係する有害なDTH 反応のための抗原特異的療法のすぐれたアプローチである。HIV 感染の病原的進行は、また、1 型サイトカイン産生の減少および2 型サイトカイン産生の増強に関連づけられた。したがって、1 型サイトカインの活性の増強は、HIV 感染の個体に介入する方法を提供するという利益を有するであろう。CD30シグナルは、CD3 抗体に応答して、HIV 転写およびIL-4産生の双方を増強する。したがって、抗−CD28共刺激の連続的使用はHIV-1 の促進を防止または阻害するであろう。
【0134】
実施例4.HIV-1 感染細胞に対して抗H4-1BB抗体の使用
4-1BB はヒト末梢血T リンパ球において検出されず、5 %〜20%の範囲の、マイトジェンによる刺激および/またはCD3 の架橋により誘導され、引き続いて延長した活性化後、段階的に減少する。4-1BB によるシグナリングは、T リンパ球の増殖および生存の調節に関係する。
【0135】
4-1BBFc 融合タンパク質は、マウス脾細胞においてばかりでなく、かつまたヒトPBMCにおいて、抗−CD3 誘導増殖を防止し、細胞死を引き起こした。最近、CD28分子の共刺激は4-1BB の誘導のために必須であり、引き続いて4-1BB は連続的刺激のとき陽性フィードバックループとしてそれ自身の発現を増強することが決定された。CD28および4-1BB の双方からの組合わされた共刺激から生ずる4-1BBシグナルは、引き続いて細胞の生存およびエフェクター細胞の発生を促進した。
【0136】
HIV-1 感染において、CD28およびCD8+T 細胞の数とHIV-1 関係疾患との間において観測される有意な相関により発現されるように、CD28の発現はダウンレギュレートされる。他の研究者らによる以前の研究が示すように、CD28に対する可溶性モノクローナル抗体を介するCD4+T 細胞の共刺激は、in vitroにおけるHIV-1感染および複製を促進した。これらの結果に比較して、HIV-1 の個体からのCD4+T 細胞を固定化された抗−CD3 +固定化された抗−CD28 mAbで刺激したとき、HIV-1 ウイルスの負荷が減少した、ポリクローナルCD4+T 細胞細胞の数が増加した。
【0137】
HIV-1 感染誘導からのTリンパ球における4-1BB の役割
40のHIV-1 陽性の個体および12のHIV-1 陰性の個体からのT 細胞上の4-1BB の発現レベルを比較した。また、TCR/CD3 仲介シグナルに対する応答を損傷した、HIV-1 陽性の個体からのT 細胞を、4-1BB 共刺激、およびHIV-1 ウイルスの負荷に対する4-1BB 結合の作用により回復させることができるかどうかを検査した。
【0138】
材料および方法
患者
HIV-1 感染患者の血液試料は、Wishard Hospital Department of Medicine 、 Division of Infections Diseasesにおける外来患者のクリニックから入手した。この研究は55のHIV-1 陽性の個体をカバーし、それらのうちの47はCD段階II/IIIとして分類され、そして18はHIV-1 に関係する疾患を有する( 段階IV) として分類された。12性別および年齢の匹敵する健康なドナーを対照として研究した。
【0139】
抗体および試薬
抗4-1BB モノクローナル抗体(mAb) 、BBK-1 、BBK-2 、BBK-3 およびBBK-4 を以前に記載されたように製造した。BBK-1 およびBBK-4 はT 細胞活性化のためのアゴニストであり、そしてこの研究において使用した。BBK-2 およびBBK-3 は4-1BB アンタゴニストであり、また、この研究のために発生させ、使用した。精製されたBBK-1 をFITC(Pierce 、イリノイ州ロックフォード) と製造業者の使用説明書に従いインキュベートすることによって、FITC結合抗4-1BB mAb を発生させた。
【0140】
抗−CD28 mAb、9.3 は、Carl June 博士(Naval Medical Research Institute、マリイランド州ベセスダ) から提供された。抗−CD3 mAb はオルト(Ortho) から購入した。抗4-1BB mAb/Cychrome、抗CD8 mAb/Cychromeおよびイソ型対照のmAb は、ファーミンゲン(Pharmingen)( カリフォルニア州サンディエゴ)から入手した。ヤギ抗マウスIgG(M-450)と結合した磁気ビーズをダイナル(Dynal)(ニュージャージイ州レイクサクセス) から購入した。
【0141】
細胞および細胞の刺激
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Histopaque 1077(Sigma 、ミゾリー州セントルイス) 密度遠心により、EDTA抗結合血液から調製した。Lymphokwik(One Lambda Inc.、カリフォルニア州カノガパーク) を製造業者の使用説明書に従い使用する陰性消耗により、CD4+T 細胞をPBMCから調製した。簡単に述べると、PBMCをLymphokwik Th 単離溶液で37℃において45分間処理し、次いで5 分間遠心した。フローサイトメトリー分析によると、CD4+T 細胞の純度は約85〜90%であり、T 細胞は5 %より低かった。
【0142】
培地は10%の胎仔ウシ血清(Hyclone、ユタ州) 、ペニシリン(50u/ml)、ストレプトマイシン(50 μg/ml) 、および2mM のグルタミン(Sigma) を補充したRPMI 1640(Life Technologies,Inc.)(RPMI-CM)であった。RPMI-CM 中において3 日間PHA(Calbiochem、5 μg/ml) で活性化する前または後に、PBMCを使用した。示した濃度の抗−CD3 mAb とBBK-4 または9.3 または双方との組合わせで被覆した、平らな底の96ウェルのマイクロタイタープレート(Costar Corporation 、マサチュセッツ州ケンブリッジ) の中に、新しく単離したCD4+T 細胞(2.5×104/ウェル)を添加した。
【0143】
リン酸塩緩衝生理食塩水、pH7.3(PBS)中で4 ℃において一夜、培養プレートへの抗体の固定化を実施した。いくつかの実験において、150gの各抗体/磁気ビーズの添加により、mAb を磁気ビーズ(M-450、 Dynal) に結合し、ウイルス誘導研究において3:1 の磁気ビーズ/CD4+T 細胞の比において添加した。新鮮なCD4+T細胞をPHA(5 μg/ml) および組換えIL-2(20U/ml)(Boehringer,Mannheim、インジアナ州インジアナポリス) を10日間培養し、新鮮なIL-2を3 日毎に交換することによって、ポリクローナルCD4+T 細胞系統を発生させた。前述したように、共刺激抗体の存在下に96ウェルのプレート中で、ポリクローナルT 細胞系統からのCD4+T 細胞の芽細胞(5×104/ウェル) をさらに3 日間培養した。4-1BB cDNAでトランスフェクトされたJurkat細胞(J8-1)を調製し、RPMI-CM 中で維持した。
【0144】
フローサイトメトリー分析
細胞を染色し、FACScan(Becton Dicknson)上で、Hurado et al. 、J.Immunol.、150:771-781(1993) に記載されているように、分析した。簡単に述べると、新鮮な細胞を1 回洗浄し、1 %のBSA を含有するPBS 中で3 回培養した。ほぼ2.5〜5 ×105細胞を希釈したmAb を含む200 μl のPBS-1 %のBSA の中に再懸濁させ、氷上で30分間インキュベートした。2 回洗浄した後、細胞を1 %のパラホルムアルデヒドで固定した。前方向/側面の散乱プロフィルに基づいてリンパ球でゲートした細胞について、フローサイトメトリー分析を実施した。
【0145】
増殖アッセイ
四重反復実験のウェル中の細胞を5 日間刺激し、次いで5 時間[!3H]チミジン(TdR)(NEN 、マサチュセッツ州ボストン)で1.0Ci/ウェルにおいてパルスした。刺激された細胞の[!3H]の計数/分(CPM) を非刺激細胞のそれらで割ることによって、刺激指数を計算した。
【0146】
RT活性のアッセイ
Willey et al.(J.Virol.、62:139-47 、1988) が記載するように、下記の変更を加えて、ヴィリオン関連逆転写酵素(RT)活性を測定した:50mMのTris、pH7.8、7.5mM のMgCl2、2mM のジチオスレイトール(DTT) の中に鋳型プライマーポリ(A)(5 μg/ml) 、Oligo(dT)(1.57μg/ml)(Pharmacia)および10μg[!3H]dTTP(Amersham Corp.、イリノイ州アーリントンハイツ) を含有する混合物の25μl に、5μl の7 日の培養上清を三重反復実験において添加した。
【0147】
37℃において2 時間インキュベートした後、6 μl の混合物をDE81紙上にスポッティングし、空気乾燥し、2 ×SSC(150mM の塩化ナトリウム/15mMのクエン酸ナトリウム、pH7.0)緩衝液中で5 回洗浄し、95%のエタノール中でさらに2 回洗浄した。紙を乾燥し、切断し、シンチレーションカウンター上で計数した。
【0148】
遺伝子のトランスフェクションおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT) 活性のアッセイ
ヒトJurkatT リンパ球および4-1BB トランスフェクトされたサブライン(subline) 、J8-1、を、Bressler(J.Immunol. 、147:2290-94 、1991) が記載するように、DEAE-Dextran法により、PHIV-1-LTR-CATプラスミド(20 μg/107細胞) で一時的にトランスフェクトした。ルシフェラーゼ遺伝子を正規化のために共トランスフェクトした。
【0149】
トランスフェクション後24時間に、細胞を固定化mAb で示すように、またはPHA(5 μg/ml) +PMA(10ng/ml)で24時間刺激した後、収集した。全細胞の抽出物をトランスフェクタントから調製し、そして0.1 μCi(3.7kBq)の14C-クロラムフェニコール、4mM のブチル- 補酵素A および0.25M のTris-HCl、 pH7.4を含有する150 μl の最終体積で37℃において一夜CAT 活性のアッセイを実施した。結果をクロラムフェニコールからそのモノアセチル化形態への変換百分率で与える。ルシフェラーゼ活性の正規化後に4 つの独立のトランスフェクタントから、値を得た。
【0150】
統計学的解析
データを平均±SDとして表す。両側スチューデントのt 検定を使用して、グループの間の差の意味を決定した。「r」線形相関係数を使用して、相関を計算した。
結果
HIV-1PBMC からのCD4+およびCD8+T 細胞上の4-1BB の発現:臨床的相関
40のHIV-1 感染被検体および12の血清反応陰性対照を、免疫蛍光サイトメトリーによりT 細胞上の4-1BB の発現について検査した。in vivo 刺激の前に、HIV-1 感染または対照の個体からの未刺激T リンパ球上で、4-1BB の発現レベルは検出できなかった。PHA 刺激後、4-1BB を発現する細胞の百分率は、HIV-1 陰性の対照の個体におけるよりもHIV 陽性の個体において有意に高かった。4-1BB の発現レベルばかりでなく、かつまた4-1BB +T 細胞の集団はHIV-1 陽性の個体において増加したことに注意すべきである。
【0151】
3 グループ内のCD4+およびCD8+T 細胞上の4-1BB 発現の分布は、HIV-1 対照においてCD4+T 細胞の10.9%であり、そして無症候性HIV-1 陽性の個体の間においてCD4+T 細胞の28.9%であった(p<0.01)。4-1BB は段階IVno個体においてCD4+T 細胞の30.9%上で発現された。対照と段階II/IIIの患者のT 細胞の間の4-1BB発現の差は、CD4+T 細胞におけるよりも8+T 細胞においていっそう深遠であった。
【0152】
さらに、無症候性個体に比較して、4-1BB 8+T 細胞の有意な増加は段階IVの患者( メジアン47.9%) において見出された(p<0.05)。段階II/IIIの個体において、CD4+およびCD8+T 細胞の間の4-1BB 発現において有意な相関が存在した(r=0.72 、p<0.01) 。また、すべてのHIV-1 陽性の個体において、絶対CD4+細胞計数と4-1BB を発現する8+T 細胞の百分率との間の逆の相関(r=0.63 、p<0.05) が存在した。
【0153】
4-1BB 共刺激に対するCD4+T 細胞の増殖的応答
4-1BB シグナルおよびCD3 刺激は、一次T 細胞の増殖のためには十分ではなかった。したがって、抗4-1BB および抗−CD28 mAbの相乗的作用を試験し、そして抗−CD3 mAb(1 μg/ml) とともに、組織培養プレート上に固定化された抗4-1BB(10μg/ml) の存在または非存在下に、連続希釈の抗−CD28(0〜10μg/ml) を使用して、3人のHIV-1 健康なドナーからのCD4+T 細胞の増殖を測定した。CD4+T 細胞をmAb とともに5 日間培養し、[!3H]TdR の吸収により、細胞の増殖を測定した。1 μg/mlの抗−CD28 mAbは4-1BB 共刺激活性と共力することができることが見出された。
【0154】
これらの結果に基づいて、組合わされた抗−CD28(1μg/ml) および抗4-1BB mAb(10μg/ml) を使用して、HIV-1 陽性の個体からのCD4+T 細胞の増殖に対する4-1BB 共刺激の機能を研究した。9 人のHIV-1 陽性の個体からのPBMCから精製したCD4+T 細胞(CD4+ の計数:468 ±142)を、5 日間の培養後に増殖について検査した。4-1BB シグナル単独は、HIV-1 陽性の個体のCD4+T 細胞において刺激活性をほとんど示さなかった。しかしながら、CD28による次善の刺激を加えたとき、4-1BB の架橋を使用してCD4+T 細胞の増殖は起こった。さらに、HIV-1 個体と比較して、HIV-1 感染した個体において、CD4+T 細胞の増殖の応答は低いことが決定された。さらに、より低い増殖はより低いCD4+T 細胞の計数に対応した。
【0155】
H4-1BB共刺激およびHIV-1 産生
CD4+T 細胞におけるHIV-1 産生に対する4-1BB 共刺激の作用を研究するために、プレート結合またはビーズ結合したmAb によりCD4+T 細胞を刺激した。HIV-1産生を逆転写酵素(RT)活性により測定し、そして刺激指数(SI)により表示されるように、細胞の増殖を[!3H]TdR により測定した。陰性の対照のメジアンよりも3標準偏差だけ高い値により、RT活性の陽性の限界値を設定した。10人の試験した個体の間で陽性のウイルスの複製( 刺激グループの少なくとも1 つから) を有した6 人のHIV-1 +患者からの結果を、表1 に要約する。
【0156】
7 日の培養後、これらのグループにおける細胞はほとんど生き残らなかったので、いくつかのグループの増殖指数を決定しなかった。2 人の患者において、RT活性は組合わされたCD28および4-1BB 共刺激のグループのみから検出され、CD28単独のグループから検出されなかったが、双方のグループは同様な刺激指数を示した。3 人の患者において、RT活性は組合わされたCD28および4-1BB 共刺激のグループにおいて、CD28単独のグループと比較して、同様であるか、あるいはわずかに高かった。すべてのこれらの6 人の患者において、CD3 刺激のグループまたはCD3 刺激+4-1BB 共刺激のグループにおいて、ウイルスは検出されなかった。
【0157】
また、刺激後にウイルスを産生したCD4+T 細胞の大部分は、CD4 計数がより低い患者からものであることが見出された。9 人の患者のうちの6 人からのデータを表2 に示し、ここで6 人の患者のT 細胞はDynal M450ビーズに結合したmAb で刺激され、そして刺激グループの少なくとも1 つからRT活性を産生した。プレート結合したmAb の刺激と比較して、ビーズ結合mAb により仲介される刺激はRT活性レベルがより高く、多分ビーズ上に固定化されたmAb がより強いシグナルを与えることを示す。ビーズに結合したmAb の刺激は、CD3 およびCD3 +4-1BB 刺激のグループにおいてさえ細胞を増殖させることができるであろう。
【0158】
したがって、ウイルスの複製において4-1BB 共刺激単独の機能を観測することができるようになった。表2 に示すように、組合わされたCD28および4-1BB 共刺激はすべてのドナーからのCD4+T 細胞培養物からウイルスを産生した。RT活性は、CD28共刺激単独と比較して、CD28および4-1BB の組合わされた共刺激により1.2 倍〜11倍増加した。2 人のドナーにおいて他の抗4-1BB mAb(BBK-4)を使用したとき、同様な結果得られた。
【0159】
重要なことには、ウイルスはまた抗4-1BB mAb 単独の共刺激において検出されたが、これらのグループにおいて7 日の培養後に、刺激指数は非常に低かった。表1 および2 に要約するデータから示唆されるように、4-1BB を介する共刺激はCD4+T 細胞活性化を生じ、引き続いて、ウイルス産生を増強する。HIV-1 産生についてのこれらの活性化シグナルは、増殖応答を仲介するものと一致することがある。
【0160】
【表1】

【0161】
【表2】

【0162】
3HIV-1+個体からのポリクローナルCD4+T 細胞系統における4-1BB 共刺激およびウイルスの複製
4-1BB シグナルはHIV-1 感染した個体からのCD4+T 細胞におけるHIV-1 の複製を増強するという発見をさらに確証するために、ポリクローナルCD4+T 細胞系統を6 人の無症候性個体からPHA およびIL-2で10日間刺激することによって発生させた。培養上清からRT活性は検出されないか、あるいは非常に低いRT活性が検出された。引き続いて、これらの細胞を固定化抗−CD3 mAb および追加の共刺激抗体で3 日間刺激した。ウイルスのレベルは、抗−CD3 mAb 刺激単独よりも、4-1BB 共刺激において有意に高かった(p<0.05)。
【0163】
対照的に、ウイルスのレベルはCD3 刺激グループよりもCD28共刺激グループにおいて高かったので、これらの2 つのグループの間で統計的意味は見出されなかった。この研究において、増殖指数はこれらのグループのすべてにおいてほとんど同一であった。ポリクローナルCD4+T 細胞系統からのこれらの結果は、表1 および2 に示す一次CD4+T 細胞の刺激から得られた結果と一致した。総合すると、4-1BB 共刺激はHIV-1 感染CD4+T 細胞の培養物におけるウイルスの産生を増強することがデータから示唆される。
【0164】
4-1BB 結合はJurkat細胞系統におけるLTR 推進転写を増強する
J8-1細胞系統はJurkatの下位系統であり、そして高いレベルの4-1BB を構成的に発現する4-1BB トランスフェクタントである。J8-1をpHIV-1+LTR-CAT で一時的にトランスフェクトし、引き続いて固定化共刺激mAb またはPHA +PMA で活性化した。フローサイトメトリーにより検出可能な4-1BB を発現しない親Jurkat細胞を対照として使用した。刺激グループにおけるCAT 活性のレベルを、フォルドオーバー(fold over) 非刺激対照として示した。イソ型対照と比較して、J8-1において固定化抗−CD3 mAb において、1.9 倍のCAT 活性の増加が観測された。抗4-1BB mAb それ自体はJS-1においてCAT 活性を増加しなかった。
【0165】
しかしながら、固定化抗−CD3 mAb と組合わせたとき、抗4-1BB mAb はイソ型対照と比較してCAT 活性の5.8 倍の増加を与えるか、あるいは抗−CD3 mAb 刺激単独と比較して3.2 倍の増加を与えた。4-1BB 刺激はCD3 +CD28の組合わされた刺激に対して追加の作用を有した。親Jurkat細胞において、4-1BB 共刺激は抗−CD3 mAb 単独と比較して1.2 倍より高いCAT 活性を産生した。親Jurkat細胞における4-1BB 共刺激からのCAT 活性のこれらのわずかの増加は、活性化の間に誘導された少量の4-1BB 発現から生ずる増加であろう。これらのデータから、1 )TCR /CD3 との4-1BB 共刺激はHIV-1-LTR の転写を増強する;2 )4-1BB は抗−CD3 +抗−CD28刺激に追加の刺激作用を提供する、ことが示された。
【0166】
考察
このデータの結果が示すように、CD4+およびCD8+T 細胞の双方において4-1BBを発現するT 細胞の相対的比率は、PHA 刺激後、HIV-1 血清反応陽性個体から増加し、そして8+T 細胞上の4-1BB の相対的発現はCD4+T 細胞の計数に相関し、これらは疾患の重症度および進行に関係づけることができる。4-1BB 分子は急速に発現され、そして48〜72時間の間にそのピークに到達した。発現されたH4-1BBのレベルは刺激後72時間までに減少し始め、究極的に正常レベルに戻った。いったんこれらの細胞が再活性化されると、各細胞上の4-1BB のレベルおよび4-1BB を発現する細胞の数は増加することが決定された。
【0167】
HIV-1 感染の間、HIV 抗原の刺激後の初期段階において、T 細胞はプライミングされるが、数週後、これらのあるものはメモリー細胞の特性を獲得し、同一組の活性化マーカーを発現し続ける。この組のマーカーはHLA-DRおよびCD38を包含する。これらは4-1BB の発現が休止T 細胞上で見出されないという発見を説明することができ、これはそれ自体in vivo におけるHIV-1 抗原に応答するCD4+4-1BB+T 細胞の連続的活性化および死に関係づけられる。次いで、in vitro刺激後のHIV-1 感染した個体のT リンパ球上の4-1BB 発現の増加は、HIV-1 感染における免疫活性化の現在の状態ばかりでなく、かつまたin vivo 急性感染の間のHIV-1抗原によりチャレンジされたメモリー- プライムド細胞の状態を反映するであろう。
【0168】
再刺激後のCD4+T 細胞上の4-1BB 発現の増加は、ウイルス複製の増加に関係づけられる。HIV-1 感染において、感染した細胞の古典的HLA 制限細胞溶解反応およびある分泌されたCD8 細胞の抗ウイルス因子を含む非細胞溶解的メカニズムを通して、8+T 細胞はHIV-1 複製の抑制においてある役割を演ずる。4-1BB は、細胞表面の分子として、HIV-1 感染においてCD8+細胞上のその発現を増加し、8+T細胞の増殖および抗ウイルス機能に関係することができる。HIV-1 患者において、CD8+細胞は、抗4-1BB mAb で刺激されるとき、一般にCD4+T 細胞よりもいっそう激しく増殖する。
【0169】
可溶性抗−CD3 の存在または非存在下のCD28と可溶性mAb との結合は、HIV-1感染ドナーから調製されたCD4+T 細胞からのウイルスを誘導することが報告された。しかしながら、HIV-1 陽性ドナーからのCD4+T 細胞を固定化抗−CD3 および抗−CD28 mAbで活性化すると、ウイルス耐性状態が誘導された。この作用はマクロファージ向性HIV-1 に対して特異的であり、そしてCCR5、融合因子のダウンレギュレーションの結果であるように見える。統計的有意差は見出されなかったが、固定化9.3 によるCD28の結合はあるHIV-1 感染ドナーからのHIV-1 複製を事実増加した。
【0170】
この観察は、他の報告と異なり、ビーズ上の抗−CD3 または抗−CD28 mAbの固定化方法のためであろう。ビーズ固定化されたmAb を使用する研究において、4-1BB からの追加のシグナルはHIV-1 陽性ドナーからの一次CD4+T 細胞からのウイルスの複製を増強することが示された。正確な量の抗−CD28 mAbおよび抗−CD3mAb を組合わされたCD28および4-1BB 共刺激およびCD28共刺激のグループにおいて使用したので、ウイルス産生の増強を追加の4-1BB シグナリングから考慮すべきである。
【0171】
さらに、ウイルスは4-1BB 共刺激単独により誘導された。あるドナーにおいて、ウイルスのレベルはCD28共刺激によりそれよりも高いが、4-1BB 共刺激に応答する一次CD4+T 細胞の刺激指数は非常に低かった。ポリクローナルCD4+T 細胞系統において、4-1BB 共刺激とCD3 刺激単独との間の統計的有意差が見出された。この比較は各グループ内の同様な刺激指数に基づいた。これらの研究から、HIV-1+個体からのCD4+T 細胞における4-1BB およびCD3 の架橋はウイルスの産生を誘導することが示された。ウイルスの産生に対する4-1BB 共刺激の機能はT 細胞の増殖に対する機能と相関せず、多分HIV-1 誘導を仲介する細胞の経路が、突然変異誘発的刺激のそれらに類似するが、同一ではないことを示唆するであろう。
【0172】
in vitroにおけるHIV-1 の発現をアップレギュレートする、多数の因子が報告されてきている。TNF-α、抗−CD30 mAb、HIV Tat タンパク質を包含するこれらの因子の多数は、HIV-1-LTR の中に存在するNF- κB エンハンサーを通してHIV-1 転写を活性化する。実施された実験において、HIV-1-LTR のトランス活性化は抗−CD3 および抗4-1BB mAb の組合わせにより得られたことが示された。
【0173】
これらの結果から、HIV-1 の病原性における4-1BB のいくつかの潜在的役割が示唆される:(1) 4-1BB は潜在的に感染した細胞におけるウイルスゲノムの転写を直接的にアップレギュレートする;(2) 4-1BB および4-1BB リガンドの相互作用は抗原性刺激の存在下にCD4+T 細胞のウイルス複製を活性化することができる;(3) 4-1BB 共刺激は結果CD4+T 細胞を活性化することができ、結局、活性化されたCD4+T 細胞を優先的に感染する、新しく産生されたヴィリオンの効率よい増殖を促進することができる;(4) HIV-1 感染CD4+T 細胞に対する4-1BB 仲介シグナルはアポトーシスに結合することができ、感染した細胞の早期の死を生ずる。
【0174】
これらの結果が証明するように、免疫活性化および疾患の進行に相関するin vitro活性化後、4-1BB 発現はHIV-1 感染PBMCにおいて増加された。HIV-1 感染CD4+T 細胞における4-1BB の結合は、NF- κB 経路を通して仲介されるとき、in vitroのウイルス複製を増強した。4-1BB 共刺激経路が感染を初期段階において混乱するか、あるいは故意に妨害する場合、ウイルスの負荷はより低くなるようである。次いで、これはCD4+T 細胞の引き続く損失を防止し、免疫受容能を維持する働きをするであろう。8+T 細胞細胞上の4-1BB 発現の増加は、HIV-1 感染における免疫不全の程度に関係づけられる。
【0175】
実施例5.ヒトCD4+T 細胞の接着における4-1BB の役割
ヒト4-1BB タンパク質はT 細胞の細胞表面の分子である。ヒト一次T 細胞および2 つのT 細胞系統、すなわち、CEM およびJurkat、とのT 細胞の接着における4-1BB の役割を研究することによって、4-1BB 共刺激はT 細胞の接着を劇的に誘導することが発見された。抗4-1BB のシグナリングはPMA /イオノマイシンの刺激と一緒に、4-1BB を高いレベルで発現するCEM 細胞の特色を示さない細胞接着を引き起こした。対照的に、4-1BB を検出可能なレベルで発現しないJurkat細胞は、フィブロネクチン(FN)に対する細胞接着において抗4-1BB に対する応答をほとんど示さなかった。
【0176】
Jurkat細胞を4-1BB を産生するようにトランスフェクトしたとき、Jurkat細胞は抗4-1BB 刺激によりFNに応答して接着する能力を獲得した。Jurkatトランスフェクタント中の細胞接着に対する4-1BB シグナリングの付加における抗−CD3 刺激についての絶対的共通要件は、抗4-1BB により引き起こされる接着が、4-1BBとFNまたは抗4-1BB との間の直接的相互作用よりむしろ接着シグナリングの活性化を通して、仲介されることを示唆する。この方法において、4-1BB 共刺激のシグナルは、CD28共刺激を接着の応答で仲介することによって、T 細胞の接着を増幅する。
【0177】
接着の研究のための抗体および試薬
モノクローナル抗4-1BB 、BK-4、また、4B4-1 (マウスIgG )と呼ばれる、を使用して、T 細胞上の4-1BB を刺激しかつ免疫染色した。抗4-1BB をフローサイトメトリー分析のためにビオチンと結合させた。抗−CD28、mAb9.3( マウスIgG2a)は、C.H.June博士(Nava Medical Research Institute、マリイランド州ベセスダ)から提供された。モノクローナル抗−CD3(OKT3) は、オルト・ダイアグノスチック(Ortho Diagnostic)( マサチュセッツ州ウェストウッド) から購入した。二次架橋性ヤギ抗マウスIgG(H+L)はザイムド(Zymed)(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ) から購入した。
【0178】
ブロッキング抗インテグリンb1はイムノテク(Immunotech)( ネブラスカ州ウェストブルック) から購入した。ヒトIgG1のFc領域とカップリングしたH4-1BBの細胞外部分から成る融合タンパク質、すなわち、4-1BBFc はイムネックス(Immnex)( ワシントン州シアトル)から入手した。ビオチンと結合したイソ型構造マウスIgG1(MOPC-21) は、ファルミンゲン(PharMingen)( カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。ヒトフィブロネクチンはFred Pavalko博士(Indiana Univaersity) から入手した。T 細胞を単離するためのモノクローナル抗体と補体とのプレミックスカクテルは、ワン・ラムダ(One Lambda)( カリフォルニア州カノガパーク) から購入した。
【0179】
フローサイトメトリー
選択したT 細胞を抗−CD3 および抗−CD28で3 日間刺激しかつ再刺激し、そして異なる共刺激mAb に応答する増殖および接着のアッセイのために使用した。CEM 、すなわち、ヒト白血病性T 細胞系統を、接着アッセイの前に、PMA(10ng/ml)およびイオノマイシン(IgM) で刺激した。Jurkatヒト白血病性T 細胞系統をpcDNA3および全体の4-1BB cDNAでトランスフェクトし、そして制限希釈によりネオマイシン耐性クローンについて選択した。トランスフェクタントの細胞表面上の4-1BB の発現レベルをフローサイトメトリーにより測定した。
【0180】
T 細胞(2×105細胞) を染色溶液、200ml の1 %のBSA を含有するPBS 中の2μg/mlのビオチンと結合した抗4-1BB の中に懸濁させ、4 ℃において30分間インキュベートした。引き続いて細胞を3 回洗浄し、200ml の1 μg/mlのフィコエリトリン(PE)結合ストレプトアビジンの中に再懸濁させ、30分間インキュベートした。洗浄後、試料を1 %のパラホルムアルデヒドで固定し、次いでFACScan(Becton Dicknson 、カリフォルニア州マウンテンビュー) 上でフローサイトメトリー分析に付した。ビオチン結合抗4-1BB のイソ型対照のために、ビオチン結合マウスIgG(MOPC-21 、PharMingen、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用した。前方向/側面の散乱プロフィルに基づいて、ゲートを生きている細胞上に設定した。各試料のための、10,000事象を収集した。
【0181】
平らな底のポリスチレンの96ウェルのマイクロタイタープレート(Costar 、マサチュセッツ州ケンブリッジ) に抗体およびFNを固定化し、40℃において抗4-1BB 、抗−CD28で、PBS 中の10μg/mlまたはそうでなければテキスト中に示されている濃度において一夜被覆した。ある場合において、抗体溶液に対照として各々0.1 μg/mlのFNまたはBSA を添加した。次いでプレートをすすいで非接着タンパク質を除去し、そして最終洗浄後直ちに細胞をプレートに添加した。抗4-1BB をブロックするために、T 細胞を200 μg/mlの[-5'Cr] クロム酸ナトリウムで37℃において1 時間標識化し、抗−CD28、抗4-1BB または双方の抗−CD28および抗4-1BB で被覆した96ウェルのプレート(5×101細胞/ ウェル) に移した。
【0182】
一次およびJurkat細胞についての接着アッセイのために、抗体に加えてFNで被覆されるプレートを使用した。細胞を37℃において一酸化炭素のインキュベーター中で示した時間の間インキュベートした後、前もって加温した培地でプレートを洗浄して非結合細胞を除去し、そしてプレートに結合したままの細胞を1 %のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 中の溶解した。ライゼイトを反応性について計数し、そして結合/ウェルに添加した全体のcpm の比として、結合した細胞の百分率を計算した。CEM 細胞についての接着アッセイをプレート中で実施し、ここでFNを抗体被覆において省略した。Jurkat4-1BB トランスフェクタントについての接着アッセイを、1 μg/mlの可溶性抗−CD3 の存在または非存在下に実施した。
【0183】
増殖についてのアッセイ
前述したように抗−CD3 および抗−CD28で反復的に刺激した一次T 細胞を、共刺激抗−CD28または抗4-1BB でまたは10μg/mlの抗−CD28+示した濃度の追加の抗4-1BB で被覆した96ウェルのプレート中において、1 μg/mlの可溶性抗−CD3および5 μg/mlの二次抗マウスIgG でさらに活性化した。ある場合において、次善の0.1 μg/mlのFNを含む固定化共刺激抗体で細胞を共刺激した。3 日後、1.0/ウェルの[!3H]チミジンの6 時間のパルス−標識化により増殖速度を測定した。
【0184】
4-1BB シグナルは、培養プレートに対するPMA /イオノマイシン刺激CEM 細胞の特色を示さない細胞接着を誘導した。CD28および4-1BB は増殖およびIL-2産生と同様にT 細胞を共刺激することができるが、2 つの分子の1 つの明らかな差はそれらの発現モードである。ほとんどのT 細胞において構成的に発現するCD28に比較して、4-1BB の発現は高度に調節される。ヒトリンパ腫の大部分からの4-1BB 分子は検出されなかった。
【0185】
試験したT 細胞系統は、Jurkat、CEM 、Molt-4、およびHUT-78を包含した。しかしながら、CEM 細胞は、PMA /イオノマイシン刺激のとき、活性化一次T 細胞により誘導されたものに比較して極めて高いレベルに4-1BB を容易に誘導することにおいて例外的である。CEM 細胞は、PMA /イオノマイシン刺激後、芽細胞となり、凝集したが、培養プレートに接着しないままであった。
【0186】
実験の間に、刺激したCEM 細胞はプレート結合抗4-1BB に対して激しく応答し、培養プレートに完結に拡大することが明らかとなった。応答は非常に強かったので、外部の刺激接着レセプターのリガンドは不必要であった。PMA /イオノマイシン刺激されたCEM 細胞の80%より多くは、1 時間以内に抗4-1BB に応答して培養プレートに堅固に結合した。反対に、以前に刺激されず、したがって、検出可能な4-1BB を産生しないCEM 細胞は抗4-1BB に対してまったく応答しなかった。CD28は主要な細胞表面の分子であるので、抗−CD28に対するCEM 細胞の応答を試験して、CEM 細胞のこの誘導が4-1BB 共刺激に対してユニークであるかどうかを決定した。抗4-1BB と対照的に、CD28は刺激されたCEM 細胞および非刺激CEM細胞の双方について細胞接着を誘導しなかった。
【0187】
CEM 細胞接着における4-1BB およびCD28に由来する独特の共刺激の結果は、2 つの細胞表面の分子がオーバーラップしないシグナルを送達していることを示している。それらの抗原がCEM 細胞表面に豊富に存在するが、4-1BB を使用するとき見られるような応答が観測されない、いくつかの抗4-1BB mAb を試験した。4-1BB シグナルはCEM 細胞の形態を変更した。また、CEM 細胞における顕著な形態学的変化は抗4-1BB に応答する培養プレートへの堅固な結合の直後であることが決定された。
【0188】
CEM 細胞は培養の間に分散した形態に止まり、通常PMA /イオノマイシン刺激後にクラスターとなった。刺激された細胞を固定化抗4-1BB に暴露したとき、細胞の形状は劇的に変化した。PMA /イオノマイシン刺激後の抗4-1BB シグナルは、丸い細胞を鋭いスパイクをもつ細長い繊維芽細胞の形状に完全に変更した。この観察から、4-1BB シグナルは細胞を培養プレートへの細胞接着に適合させる、細胞骨格の再配列を誘導することができること示唆される。抗−CD28を使用して同様な形態学的変化は観測されなかった。
【0189】
しかしながら、抗4-1BB により引き起こされる接着および形態学的変化は、細胞の増殖速度に影響を与えなかった。4-1BB 共刺激シグナルはFNへのJurkat細胞の接着を誘導した。CEM 細胞はT 細胞活性化において4-1BB の役割を誘発するためのすぐれたモデルを提供したが、主として4-1BB 刺激の間に4-1BB を産生するPMA /イオノマイシン刺激のために、結果を解釈するために障害が存在した。同時の多重シグナルは、最終の結果の原因となる4-1BB の作用の識別を困難とした。このPBMCを回避するために、4-1BB 発現を誘導する前の刺激を使用しないで、4-1BB を構成的に発現する、安定なT 細胞のトランスフェクタントを発生させた。
【0190】
Jurkat細胞は4-1BB を検出可能なレベルで発現しなかった。発現プラスミドpcDNA3の中に挿入された4-1BB cDNAを使用して、4-1BB を産生するようにJurkat細胞をトランスフェクトした。G418選択後、最低から最高の順序で4-1BB 、17-2、8-1 および2-7 を異なるレベルで発現する、3 つのトランスフェクタントのクローンが得られた。親および各々のJurkatトランスフェクタントの4-1BB 発現を、フローサイトメトリーにより測定した。最高の4-1BB 産生体、トランスフェクタント、2-7 、の4-1BB の発現レベルは、CEM において見られるものよりも、なお10倍低かった。したがって、T 細胞におけるインテグリン仲介接着を主として支持するプレート結合した次善のFN(0.1μg/ml) への4d仲介細胞接着のために、親Jurkatおよびこれらのトランスフェクタントを使用した。
【0191】
FNに加えてイソ型対照b1、抗−CD28、抗4-1BB または双方の抗−CD28および抗4-1BB で被覆したプレートを使用して、細胞接着アッセイを実施し、そして可溶性抗−CD3 の存在または非存在下に37℃において1 〜5 分培養した後、プレートに結合した細胞を測定した。抗−CD3 の存在下にのみ親Jurkat細胞は抗4-1BB に対して即座に応答したが、4-1BB トランスフェクタントは応答しなかった。
【0192】
Jurkat4-1BB トランスフェクタントからのデータは、4-1BB に応答する細胞接着が4-1BB の発現レベルに依存する方法で起こることを明瞭に示した。最高の応答はトランスフェクタント2-7 において見られたが、最低の応答はトランスフェクタント17-2において見られた。同一条件下に、対照Igおよび抗−CD28 mAbは、飽和濃度において試験したすべての細胞について、このような細胞接着を誘導しなかった。
【0193】
4-1BB およびCD28のシグナルが互いに相互作用するかどうかを検査するために、双方の抗4-1BB および抗−CD28の存在下の細胞接着レベルを測定した。試験した。2 つの共刺激シグナルは相乗的により高い細胞接着を生じた。したがって、4-1BB は最大の接着応答のためにCD28シグナリングを必要とするように見える。抗−CD3 の存在下に検出された抗体仲介接着応答は、抗−CD3 が存在しないとき、完全に壊滅された。4-1BB 仲介細胞接着における抗−CD3 の決定的な要件は、この細胞接着が4-1BB と抗4-1BB またはFNとの間の相互作用ではなく、むしろに細胞接着経路への中間のCD3 シグナリングより簡単な引き起こされたことを示す。
【0194】
総合すると、4-1BB およびCD28の双方は共刺激T 細胞であるが、4-1BB の役割はFNへのT 細胞の接着の誘導においてCD28と異なる。抗4-1BB シグナルを通す細胞接着は、CEM において見られるように、Jurkat細胞において増殖速度を変化させなかった。4-1BB 発現は反復したCD3 活性化により漸進的に増加した。以前の研究およびヒト末梢血T 細胞との連結は、抗4-1BB 活性化の間の4-1BB 発現パターンを使用する、1 系列のフローサイトメトリー実験を通して強化された。
【0195】
4-1BB の発現レベルは、健康な個体から新しく調製されたT 細胞の約2 %のみであった。レベルは反復したin vitroの抗−CD3 および抗−CD28の活性化を通して増加した。抗−CD3 および抗−CD28で3 〜4 日間刺激したT 細胞は約20%の細胞が4-1BB 陽性であることを示したが、レベルはピーク後段階的に減少した。抗−CD3 および抗−CD28の非存在下にIL-2中の活性化された細胞の数は拡大された。4-1BB の発現レベルは、IL-2中の培養の間に漸進的に減少した。
【0196】
しかしながら、抗−CD3 および抗−CD28を使用して再刺激するとき、4-1BB 陽性の細胞数および発現レベルの双方における4-1BB の劇的増加が得られ、4-1BBを使用して50%のより大きい陽性の細胞を生じた。追加の抗4-1BB シグナルを抗−CD3 および抗−CD28の刺激に付加するとき、反復した刺激サイクルは4-1BB の発現レベルをなおより高く漸進的に増加した。これらの観察から示唆されるように、4-1BB を産生する細胞集団は、反復した刺激の間の追加の4-1BB 共刺激のために、増殖上の利点を有することができる。
【0197】
T 細胞の大きい部分は、4-1BB 発現に関して延長して活性化した後でさえ、4-1BB の発現をなお記録した。4-1BB シグナリングは、主としてインテグリンを通して、一次T 細胞の接着を誘導した。抗−CD3 および抗−CD28を使用して3 日間の連続的刺激サイクルにより活性化されたヒト一次T 細胞を調製して、細胞の4-1BB 発現を増加させた。再刺激の前に、細胞をIL-2中で7 日間維持した。各刺激工程後、CEM およびJurkat細胞において観測されるように、活性化された一次T細胞を次善のFNに対する細胞接着を誘導できるかどうかを決定した。
【0198】
1 時間後、可溶性抗−CD3 の存在下に0.1 μg/mlの次善のFNに加えて抗−CD28または抗−CD28および抗4-1BB で被覆したプレートに結合した細胞の百分率を決定した。抗−CD3 単独または抗−CD3 および抗4-1BB はFNに対する無視できる接着を誘導したが、抗−CD28共刺激は次善のFNで被覆したプレートに対して約16%の結合を生じた。しかしながら、活性化されたT 細胞を双方の抗4-1BB および抗−CD28により共刺激したとき、細胞接着の劇的増加が見られ、1 時間後、プレートに堅固に結合した50%の細胞を生じた。アッセイにおいて使用した刺激したT細胞の約50%のみが4-1BB を発現したことを考慮すると、観測された細胞接着は達成可能な最大レベルであったと言うことができる。
【0199】
反復した再刺激によりさらに活性化された細胞は、シグナル抗−CD28単独に対する応答性を段階的に喪失したが、抗−CD28および4-1BB の双方からの組合わされたシグナルに対して喪失しなかった。インテグリン、主として(X401(CD49d/CD29) およびa5b1(CD49e/CD29)は主としてFN相互作用を伝達するための主要な接着分子である。FNに対する4-1BB 誘導細胞接着がインテグリンにより仲介されるかどうかを決定するために、接着アッセイ前にインテグリンb1に対するブロッキングmAb と細胞をインキュベートした。抗4-1BB により誘導される接着は、抗インテグリンを使用する前処理の結果として、50%より高く効果的に阻害された。
【0200】
これらの結果が示すように、4-1BB はFNとの直接的アソシエーションに関係するよりむしろ、FN相互作用を促進するようにインテグリンを活性化することができる。ネズミ4-1BB はFNに対して強いアフィニティーを有することが知られているが、4-1BB とFNとの間の直接的相互作用はこの細胞接着における主要な力であるように思われない。FNはCD28共刺激に対する相乗的4-1BB 作用を増強した。4-1BB およびCD28はFNに対するT 細胞の接着を促進するために共同したが、細胞接着の応答が増殖の応答のための4-1BB とCD28との間の相乗性に影響を与えるかどうかを決定した。
【0201】
CD28と共同的に働く場合、4-1BB の作用がFNによりさらに増幅されると仮定された。事実、FNそれ自体はT 細胞を共刺激して、T 細胞活性化のための抗原の限界値を減少させることが示された。この可能性を試験するために、抗−CD28、抗4-1BB 、または双方の抗体により共刺激された活性化一次T 細胞の増殖の応答におけるFNの作用を決定した。抗4-1BB の作用を最大化するために、0.5 μg/mlの次善の抗−CD28濃度を選択した。なぜなら、それは抗−CD3 による限界的増殖のみに導くからである。これらの条件下に、FNの存在または非存在下に抗−CD28仲介増殖に対する抗4-1BB の作用を決定した。抗4-1BB 単独は高度に精製されたヒトT 細胞を抗−CD3 で適度に共刺激する。
【0202】
しかしながら、抗4-1BB は次善の抗−CD28を高い増殖応答に導かせ、共刺激においてCD28と4-1BB との間に明確な共同が存在したことが示される。次に、このCD28との4-1BB の共同がFNにより増幅されるかどうかを決定した。実験の結果により、CD28と4-1BB との間の相乗的共同がFNにより大きく増強されることが証明された。この実験において使用した次善のFN濃度は、CD28または4-1BB をほとんど共刺激しなかった。次善のCD28およびFNの影響下に、細胞は4-1BB シグナルの存在により抗−CD3 活性に完全に応答することができた。これにより示されるように、4-1BB の主要な役割は、TCR 共刺激および細胞接着を一体化することによって、抗原の活性化に応答するようにT 細胞を増感することである。
【0203】
T 細胞の増殖の応答に対する抗4-1BB の作用は、4-1BBFc 、すなわち、4-1BB
に対する競合的ブロッキング因子を培養に含めるとき、完全に壊滅され、抗4-1BB の特異性が示された。4-1BB のシグナリングは、CD28の共刺激に必要なCD3 シグナルの限界値を低下させた。共刺激シグナルは抗原の限界値を低下させることができる。強化された共刺激入力は抗原刺激の限界値を低下させることができる。CD28共刺激に対する相乗的4-1BB の作用がCD3 シグナルの限界値をさらに低下させることができるかどうかを決定するために、増殖により測定したT 細胞の活性化に必要な抗−CD3 濃度を滴定により測定した。
【0204】
抗−CD28、抗4-1BB または双方抗−CD28および抗4-1BB による異なる共刺激条件下に、抗−CD3 濃度を0.01、0.1 および1mg/mlで変化させることによって、活性化された一次T 細胞を増殖させた。CD28共刺激に対する4-1BB の相乗的作用は0.1mg/mlの抗−CD3 で高い増殖を可能とし、この濃度は、細胞が抗−CD28または抗4-1BB の単独で共刺激される場合、比較的低い増殖の応答に導くであろう濃度であった。
【0205】
このような高い増殖の応答は、細胞を抗−CD3 単独で共刺激したときよりも10より高い抗−CD3(1mg/ml) により達成された。したがって、有効な抗−CD3 濃度はCD28共刺激に対する4-1BB のエンゲージメントにより低下させることができるであろう。しかしながら、抗4-1BB 共刺激単独は適度の増殖を生じた。これらの結果が証明するように、4-1BB シグナルはCD28との共同により抗−CD3 の限界値の低下において顕著な衝撃を発生する。
【0206】
CD28共刺激に対する4-1BB の作用を確認するために、10mg/lの固定した抗−CD28濃度において抗4-1BB の量を増加させて共刺激条件下に0.1mg/mlの抗−CD3 に対するT 細胞増殖の応答を測定した。CD28共刺激に対する4-1BB の相乗的作用は投与量依存的方法であることが、結果により示された。したがって、4-1BB シグナルは接着の応答を増強することによってCD28仲介T 細胞活性化を相乗化し、これにより低い抗−CD3 濃度で高い増殖の応答を可能とすることが示された。
【0207】
この4-1BB の機能は、慢性的免疫反応の間の制限された共刺激シグナルにおいて連続的に活性化されるか、あるいは生き残ることが要求されるT 細胞について重要である。特に、T 細胞の免疫監視機構をしばしばダウンレギュレートする免疫原性が弱い腫瘍細胞を根絶するために、細胞障害性T 細胞の応答を増幅することにおいて、4-1BB の役割は重大である。4-1BB により促進された接着応答は、腫瘍細胞に対する8+T 細胞の細胞障害性の4-1BB 仲介増幅のための、主要な仲介経路である。
【0208】
T 細胞のインテグリン活性化
インテグリン活性のアップレギュレーションは数分以内にT 細胞の活性化により誘導され、インテグリンレセプターの機能の定量的変更が示唆される。インテグリンは、FNまたは他の適当なECM タンパク質の存在下に突然変異誘発より低いレベルの抗−CD3 により活性化されたT 細胞を共刺激する。インテグリンa4b1およびa5b1はフィブロネクチン(FN)または小胞細胞接着分子1(VCAM-1) に結合し、FN共刺激されたT 細胞の増殖および細胞内CA+2のシグナリングの仲介において主要な役割を演ずる。T 細胞のFN仲介接着はインテグリンの活性化および結合活性を示す。
【0209】
T 細胞を活性化するレセプターは、CD3/TCR 複合体およびCD2 、CD7 、CD28およびサイトカインを包含する。T 細胞をホルボールエステル、PMA またはCA+ イオノホア、イオノマイシンで処理すると、また、インテグリン活性はアップレギュレートされ、タンパク質キナーゼC および細胞内カルシウムをこの調節事象と関係づける。インテグリンはアソシエートされた細胞内細胞骨格タンパク質であり、そしてアクチンの末端はフォーカル接着として知られている細胞結合構造に繊維束応力を加える。
【0210】
インテグリンの刺激は究極的にRho 依存的フォーカル接着の形成に導き、これはパクシリンのチロシンリン酸化ならびにFAK 、Src およびCsk のメンバーの活性の変化により達成される。CD28、すなわち、T 細胞上の糖タンパク質は、また、FN、VCAM-1および細胞内接着分子-1(ICAM-1)に対する接着を増加させる。b1-インテグリン依存的接着のCD28仲介調節1:1 は、ホスファチジルイノシトール-3- キナーゼ(PI3-K) のアソシエーションを含む。CD28は、IL-2遺伝子の発現を生ずる、T 細胞活性化のための細胞表面の分子として適切に特徴づけられた。
【0211】
細胞接着に対する4-1BB の作用は抗−CD3 を絶対的を必要としたが、抗−CD28を必要としなかった。こうして、4-1BB の機能は抗原活性化により厳密にコントロールされる。Jurkat細胞の接着においてCD28および4-1BB のシグナルの間で相乗性が存在し、こうして内部から外への接着応答に適合するようにTCR シグナルを促進する下流の経路のために、4-1BB はCD28共刺激を補足する機能をすることができる。
【0212】
一次T 細胞の初期の活性化後、細胞特異的リガンドまたはECM に対する1 系列の接着応答もまたT 細胞の増殖を共刺激する。インテグリン活性化は、それらのリガンドに対する結合活性を増強するためにTCR シグナルを必要とする。4-1BBおよび接着分子の双方の発現は延長したTCR 活性化を必要とすることがあり、そして4-1BB は細胞接着を活性化することができ、活性化されたT 細胞を高い活性化状態に維持し、これは特に弱い抗原提示において陽性のフィードバック増幅ループにより4-1BB 発現を増強する。4-1BB の発現は高度にin vitroCD28共刺激に依存的であり、したがって、一次T 細胞における4-1BB およびCD28共刺激の相関はJurkat4-1BB トランスフェクタントにおけるそれらよりもいっそう複雑なである。
【0213】
抗−CD3 シグナルの限界値のそれ以上の低下における4-1BB およびCD28の本質的共存により示される2 つの分子の共同は、接着分子の活性化に主として帰属される。したがって、4-1BB は抗原レセプターのシグナリングの限界値を低下し、これによりエフェクターT 細胞の機能に影響を与えるという作用を有する。TCRシグナリングの強度は、主として共刺激により影響を受け、また、サイトカイン、例えば、IFおよびIL-2の産生パターンに影響を与える。4-1BB 仲介増幅されたT 細胞の応答は、細胞障害性T 細胞上の接着分子のアップレギュレートされた結合活性からか、あるいは免疫原性が低い腫瘍の抗原性限界値を低下させるH4-1BBの能力から適切に生ずることができる。
【0214】
引用文献および参考文献
引用することによって本明細書の一部とされる
1. Smith 、C.A.、Davis 、T.、Anderson、D.、Solam 、L.、Beckmann、M.P.、Jerzy 、R.、Dower 、S.K.、Cosman、D.、およびGoddwin 、R.G.、1990、腫瘍壊死因子のレセプターは細胞およびウイルスのタンパク質の異常なファミリーを定める、Science 248:1019-1023 。
2. Ebina 、Y.、L.Ellis 、K.Jaruagin、M.Edery 、L.Graf、E.Clauser 、J.On、F.Marizrz 、Y.W.Kan 、J.D.Goldfine、R.A.RothおよびW.J.Rutter、1985、ヒトインスリンレセプターcDNA:ホルモン活性化された膜貫通シグナリングのための構造的基準、Cell 40:747 。
3. Vassali 、R.、R.Tedghi、B.Listowska-Bernstein 、A.Tartakoff およびJ.C.Jaton 、1979、マウスB リンパ球膜結合IgM の重鎖内の疎水性領域についての証拠、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:5515。
【0215】
4. Haskins 、K.、R.Kubo、J.White 、M.Pigeon、J.Kappler およびP.Marrack 、1983、T 細胞I 上の主要な組織適合性複合体- 制限抗原レセプター。モノクローナル抗体を使用する単離、J.Exp.Med. 157:1149 。
5. Lesslaver 、W.およびH.Gmunder 、1986、ヒトT 細胞の9.3 抗原の生化学的特性決定:細胞表面におけるジサルファイド結合90kDa の二量体および遊離サブユニットの刺激発現、Mol.Immunol. 23:271 。
6. Van Lier、R.、J.Borst 、T.Vroom 、H.Klein 、P.Mourik、W.Mourik、W.Zeijlemaker およびC.Melife、1987、Tp55(CD27)新規な分化抗原の組織分布および生化学的および機能的性質、J.Immunol. 139:1589 。
7. Mallet、S.、S.FossumおよびA.Barclay,1990、活性化CD4 陽性T リンパ球- 神経成長因子のレセプターに関係する分子のMRC OX40抗原の特性決定、EMBO J. 9:1603。
8. Banchereau、J.、P.Paoli 、A.、Valle 、E.GarciaおよびF.Roussel 、1991、インターロイキン-4およびCD40に対する抗体に依存する長期間のヒトB 細胞系統、Science 251:70。
【0216】
9. Moeller 、D.L.、M.K.Jenkins およびR.H.Schwartz、1989、クローナル拡張/機能的クローナル不活性化:共刺激シグナリング経路はT 細胞抗原レセプターの占有の結果を決定する、Ann.Rev.Immunol. 7:445。
10. June、D.H.、J.A.Ledbetter 、P.S.Linsley およびC.B.Thompson、T 細胞の活性化におけるCD28レセプターの役割、Immunol.Today 11:211。
11. Yang、L.、B.Jones 、A.Aruffo、K.M.Sullivan、P.S.Linsley およびC.A.Janeway 、Jr. 、1992、熱安定性抗原はCD4 T 細胞の成長のための共刺激分子である、J.Exp.Med. 175:437。
12. Yamori,T. 、1992、神経の多様性および特異性の発生の分子のメカニズム:有糸分裂後のニューロンの発生におけるポリペプチド因子のフォールス(foles) 、 Neuroscience Res. 12:545 。
13. Liu,Y.J.、 D.E.Joshua 、G.T.Williams、C.A.Smith 、J.GordonおよびI.C.M.MacLennan 、1989、胚中心における抗原推進選択のメカニズム、Nature 342:929。
【0217】
14. Jabara、H.H.、S.M.Fu、R.S.Geha、およびD.Vercelli、1990、CD40およびIgE :高度に精製されたヒトB 細胞によるIgE 合成の誘導における抗CD40モノクローナル抗体とインターロイキン-4との間の相乗性、J.Exp.Med. 172:1861 。
15. Defrance、R.B.Vanbervliet 、F.Briere、I.Durnad、F.Roussle およびJ.Banchereau、1992、インターロイキン10および形質転換性成長因子b は共同して抗CD40活性化されたナイーブヒトB 細胞を誘導して免疫グロブリンA を分泌させる、J.Exp.Med. 175:671。
16. Donahue 、T.、Cigan 、A.、Pahich、E.およびValavicius、B.、酵母elF-2b遺伝子におけるZn(II)フィンガーモチーフにおける突然変異は走査プロセスの間のリボソーム開始部位の選択を変更する、Cell 54(1988)621-632。
【0218】
17. Carthew 、R.W.およびRubin 、G.M.、アブセンチア(absentia)、ショウジョウバエ(Drosophila)の眼におけるR7細胞ラットの規格に必要な遺伝子における7 つ、Cell 63(1990)561-577。
18. Driscoll、D.M.およびWilliams、J.G.、発生の間の誘導可能な、共調節されたディクチィオステリウム・ディスコイデウム(Dictyostelium dicoideum) および環状AMP の2 つの発散的に転写された遺伝子、Mol.and Cell.Biol. 7(1987)4482-4489 。
19. Chalupny、N.J.、 Peach、R.、Hollenbaugh 、D.、Ledbetter 、J.A.、Farr、A.G.およびAruffo、A.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10360-10364 。
20. Noelle、R.J.、およびSnow、E.C.、1991、The FASEB J. 5:2770-2776。
21. Noelle、R.およびSnow、E.、1990、Immunol.Today 11:361-368。
【0219】
22. Zurawski、G.、Benedik 、M.、Kamb、B.J.、Abrams、J.S.、Zurawaki、S.M.およびLee 、F.D.、1986、Science 232:772-775 。
23. Kinachi 、T.、1986、Nature 3235:70-73 。
24. Gershenfield、H.K.およびWissman 、I.L.、1986、Science 232:854-858

25. Biggin、M.、Gison 、T.およびHung、G.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:3963-3965 。
26. Hodgkin 、P.D.、Yamashita 、L.C.、Coffman 、R.L.およびKehry 、M.R.、1990、J.Immunol. 145:2025-2034。
27. Barlett 、W.C.、McCann、J.、Shephaer、D.M.、Roy 、M.およびNoelle、R.J.、1990、J.Immunol. 145:3956-3962。
【0220】
28. Kwon、B.S.、Kestler 、D.P.、Eshhar、Z.、Oh、K.、およびWakulchik 、M.、1989、2 つの潜在的T 細胞メディエイター遺伝子の発現特性、Cell Immunol. 121:414-422 。
29. Armitage、R.、Fanslow 、W.、Strockbine、L.、Sato、T.、Clifford、K.、MacDuff 、B.、Anderson、D.、Gimpel、S.、Davis-Smith 、T.、Maliszewski
、C.、Clark 、E.、Smith 、C.、Grabstgein、K.、Cosman、D.およびSpriggs 、M.、1991、Nature 357:80-82。
30. Kwon、B.、Kestler 、D.、Lee 、E.、Wakulchik 、M.およびYoung J.、1988、J.Exp.Med.。
31. Noelle、R.J.、Roy 、M.、Shepherd、D.M.、Stamenkovic 、I.、Ledbetter 、J.A.およびAruffo、A.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6550-6554 。
32. Hollenbaugh 、D.、Grosmaier 、L.S.、Kullas、C.D.、Chalupny、N.J.、Braesch-Andersen、S.、Noelle、R.J.、Stamenkovic 、I.、Ledbetter 、J.A.およびAruffo A. 、1992、EMBO J. 11:4314-4321。
【0221】
33. Schall、T.J.、M.Lewis 、K.J.Koller、A.Lee 、G.C.Rice、G.H.W.Wong、T.Gatanaga、G.A.Granger 、R.Lentz 、H.Raab、W.J.Koher およびD.V.Goeddel
、1990、ヒト腫瘍壊死因子のレセプターの分子クローニングおよび発現、Cell 61:361 。
34. Klein 、R.、Nanduri 、V.、Jing、S.、Lamballe、F.、Tapley、P.、Bryant、S.、Cordon-Cardo、C.、Jones 、K.R.、Reichardt 、L.F.およびBarbacid、M.、1991、Cell 66:395-403 。
35. Armitage、R.J.、Sato、T.A.、Macduff 、B.M.、Cliford 、K.N.、Alpert、A.R.、Smith 、C.A.およびFanslow 、W.C.、1992、Eur.J.Immunol. 22:2071-2076 。
36. Hintzen 、R.Q.、deJong、R.、Hack、E.E.、Chamuleau 、M.、de Vries、E.F.R.、ten Berge 、I.J.M.、およびvan Lier、R.A.W.、1991、J.Immunol. 147:29-35。
37. Mallett 、S.、およびBarclay 、A.N.、1991、神経成長因子のレセプターに関係する細胞表面のタンパク質の新しいスーパーファミリー、Immunol.Today
12:220-223。
【0222】
38. Kwon、B.S.およびWeissman、S.M.、1989、2 つの誘導可能なT 細胞遺伝子のcDNA配列、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1963-1967 。
39. Johnson 、D.、Lanaham 、A.、Buck、C.R.、Sehgal、A.、Morgan、C.、Mercer、E.、Bothwell、M.、およびChao、M.、1986、ヒトNGF レセプターの発現および構造、Cell 47:545-554 。
40. Stamenkovic 、I.、Clark 、E.、およびSeed、B.、1989、神経成長因子のレセプターに関係しかつ癌腫中のサイトカインにより誘導された、AB- リンパ球の活性化分子、EMBO J. 8:1403-1408 。
41. Pollok、 K.E. 、 Y-J Kim、 Z.Zhou 、 J.Hurtado、 K.K.Kim、およびB.S.Kwon、1993、誘導可能なT 細胞抗原4-1BB :発現および機能の分析、J.Immunol. 150:771。
42. Antibody Lab Manual 、1988、編者:E.Harlow およびD.Lane、Cold Spring Harbor Lab. 。
43. Pelchen-Matthews,A. 、 J.E.Armes、 G.Griffiths、およびM.Marsh 、1991、リンパ球および非リンパ球細胞中のCD4 の示差的エンドサイトーシス、J.Exp.Med. 173:575。
【0223】
44. Biffen、 M. 、 D.McMichael-Phillips 、 T.Larson 、A.Venkitaraman、およびD.Alexander 、1994、CD45チロシンホスファターゼはヒトT 細胞における抗原レセプター関連P59 およびCD4 関連p56lckチミジンキナーゼの特異的プールを調節する、EMBO J. 13:1920 。
以上の記載は、例示および説明のための特許法の要件に従い本発明の特定の態様に向けられて来た。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本発明の範囲および精神から逸脱しないで多数の変更および変化が可能である。下記の請求の範囲はすべてのこのような変更を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】T細胞活性化の認知相に関係する分子を示す。
【図2】T細胞活性化の後期部分において起こるT細胞のクローナル拡張に関係する分子を示す。
【図3】正常T細胞活性化経路の休止部分を示す。
【図4】正常T細胞活性化経路の間の「プライムド」細胞を示す。
【図5】非自己、抗原提示細胞の存在により活性化された、活性化T細胞、および正常T細胞活性化経路の結論を表す。
【図6】T細胞活性化経路における工程をブロックするために使用される、それぞれ、アネルギー化T細胞CTLA4-1g単独、4-1BB/APとCTLA4-1gとの組合わせ、および4-1BB/AP単独を示す。
【図7】T細胞活性化経路をブロックするときの4-1BB/APとCTLA4-1gとの組合わせを示す。
【図8】T細胞活性化経路における工程をブロックするために使用するときの4-1BB/AP単独を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H4−1BBレセプタータンパク質に対するアンタゴニストの有効量を含有し、該アンタゴニストは、H4−1BBリガンドのH4−1BBレセプタータンパク質への結合を阻止することができ、該アンタゴニスト自体はCD4+またはCD8+T細胞を活性化することができない、自己免疫反応を処置するための医薬組成物。
【請求項2】
前記アンタゴニストが0.20μmol〜2.0μmolの投与量範囲にて、1日に1〜3回投与される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記アンタゴニストが錠剤の形態でまたは静脈注射によって投与される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記自己免疫反応が、
a) 真性糖尿病;
b) 慢性関節リウマチ;および
c) 全身性エリテマトーデス;
を患っている患者におけるものである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記免疫反応が臓器移植後に起こる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
H4−1BBレセプタータンパク質に対するアンタゴニストの有効量を含有し、該アンタゴニストは、H4−1BBリガンドのH4−1BBレセプタータンパク質への結合を阻止することができ、該アンタゴニスト自体はCD4+またはCD8+T細胞を活性化することができない、自己免疫反応を阻止するための医薬組成物。
【請求項7】
CD4+Tリンパ球上のH4−1BBレセプタータンパク質に結合することができ、それによって該H4−1BBレセプタータンパク質をブロックする作用物質の有効量を含有する、HIV−1の進行を阻止するための医薬組成物。
【請求項8】
前記作用物質が、
a) 4−1BB−Fc分子;
b) ブロッキング抗4−1BBモノクローナル抗体;および
c) H4−1BBレセプタータンパク質に結合するH4−1BBリガンドの部分を含む融合タンパク質
からなる群から選択される、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
H4−1BBレセプタータンパク質の活性化を阻止する、H4−1BBレセプタータンパク質に対するアンタゴニストの有効量を含有する、T細胞活性化をブロックするための医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのT細胞と接触し、それにより少なくとも1つのCD8+T細胞を活性化する、アンタゴニスト性H4−1BB抗体の有効量を含有する、病原性ウイルスHIV−1により引き起こされるヒト後天性免疫不全症を処置するための医薬組成物。
【請求項11】
前記抗体が0.20μmol〜2.0μmolの投与量範囲にて、1日に1〜3回投与される、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのCD8+T細胞が、
a) CD4+細胞;
b) 星状細胞;
c) マクロファージ;
d) 樹状細胞;および
e) 小グリア細胞;
からなる群から選択される、HIV−1感染細胞を殺すことが可能な、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗体が、錠剤の形態でまたは静脈注射によって投与される、請求項11記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−84562(P2007−84562A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299163(P2006−299163)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【分割の表示】特願2000−539866(P2000−539866)の分割
【原出願日】平成11年1月14日(1999.1.14)
【出願人】(500334014)インディアナ・ユニバーシティ・リサーチ・アンド・テクノロジー・コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】Indiana University Research and Technology Corporation
【Fターム(参考)】