説明

フィード量測定用プログラム、フィード量測定方法及びRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタ

【課題】 RFIDラベルをラベル搬送方向に搬送するフィード量を最適な値を求めること。
【解決手段】 RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送してRFIDタグにデータを読み書きし、その後に前記ラベル又はタグをフィードしてラベル表面に印字を行うプリンタの印字待機位置からRFIDアンテナへの最適なフィード量を測定するコンピュータにより実行されるプログラムであって、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行うステップS1,S2,S6,S7と、前記ステップで行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示ステップS10とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でデータを読み出し/書き込みすることができるRFID読み込み/書き込み装置を内蔵したRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、RFID(Radio Frequency Identification)ラベルあるいはタグは、電波を利用することにより非接触でデータを読み書きすることができるので、バーコードに代わる技術として注目されている。
【0003】
しかし、店舗に設置されているバーコードを読み取るシステムをRFID対応に切り換えてしまうと、現行のバーコードを読み取ることができなくなってしまう。
【0004】
そこで、1つのラベルあるいはタグにバーコードの印刷とRFIDの書き込みを行う必要が発生する。このような必要性を満たすように、1つのタグにバーコードの印刷とRFIDの書き込みを行う機能を備えたプリンタが知られている(特許文献1参照)。このプリンタでは、ラベルをラベル搬送方向に搬送してRFIDにデータを書き込んだ後、ラベルを逆方向に搬送させてラベルの表面にバーコード等を印刷するようにしていた。
【0005】
例えば、RFIDラベルとして図2に示すようなラベルや、図3に示すようなラベルが存在する。図2において、11は台紙、12はラベルである。そして、台紙11とラベル12との間には、RFIDタグ13が配設されている。このRFIDタグ13は、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15で構成される。
【特許文献1】特開2001−96814
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリンタを用いて、RFIDチップ15へのデータの書き込み及びラベル12への印字動作について説明する。プリンタの印字ヘッドがホームポジションにある位置にあるときに、RFIDチップ15がデータを書き込みするRFID読み込み/書き込み装置から書き込みするのに適した位置とはずれているため、まず、ラベルを搬送させて、RFIDチップ15がRFID読み込み/書き込み装置から最適位置に移動させてRFIDチップ15にデータを書き込む。その後、再度ラベルを搬送させて、印字ヘッドによりラベルを印字するのに適した位置まで移動させていた。
【0007】
RFIDタグの種類によって、ラベル12内のRFIDチップ15の埋設位置が異なるため、RFIDチップ15にデータを書き込む際に、ラベルをラベル搬送方向に搬送するフィード量が異なっている。
【0008】
もし、このフィード量が適切な値でないと、RFIDチップ15へのデータの書き込み及びラベル12へのデータの印字に支障をきたす結果となる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、RFIDラベルをラベル搬送方向に搬送するフィード量を最適な値を求めることができるフィード量測定用プログラム、フィード量測定方法及びRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送してRFIDタグにデータを読み書きし、その後に前記ラベル又はタグを逆方向にフィードしてラベル表面に印字を行うプリンタの印字待機位置からRFIDアンテナへの最適なフィード量を測定するコンピュータにより実行されるプログラムであって、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行うステップと、前記ステップで行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示ステップとを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送してRFIDタグにデータを読み書きし、その後に前記ラベル又はタグを逆方向にフィードしてラベル表面に印字を行うプリンタの印字待機位置からRFIDアンテナへの最適なフィード量を測定するフィード量測定方法であって、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行うステップと、前記ステップで行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示ステップとを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、RFIDタグを内蔵したラベル又はタグのRFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うと共に前記ラベル又はタグの表面に印字を行うRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタにおいて、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行う手段と、前記手段で行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示手段とを具備したことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、RFIDタグを内蔵したラベル又はタグのRFIDタグにデータを読み込み/書き込みを行うと共に前記ラベル又はタグの表面に印字を行うRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタにおいて、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み込み及び書き込みを行う手段と、 この読み取り及び書き込みを行った結果に基づいたフィード量を取り込む取り込み手段と、ラベル又はタグの発行コマンドがあったときに、前記取り込み手段で取り込まれたフィード量に基づいて前記ラベル又はタグのフィードを行うと共に印字を行う発行手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行い、その結果を表示するようにしたので、フィード量の最適値を適確に視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。まず、図1のブロック図を参照して、RFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタのシステム構成について説明する。
【0016】
図1において、21は本装置を統括して制御するCPU(中央処理装置)である。このCPU21からのシステムバス21aには、フラッシュROM(リード・オンリ・メモリ)22、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)23、入力部24、印字ヘッド制御部25、表示部26、搬送手段27、RFID読み込み/書き込み装置28、インタフェース29が接続される。
【0017】
前記印字制御部25には、印字ヘッド31が接続される。また、インタフェース29にはパーソナルコンピュータ32が接続されている。このインタフェース29は後述するフィード量を取り込む取り込み手段として機能する。このパーソナルコンピュータ32の構成については周知であるのでその詳細な説明については省略するが、フラッシュROM、
RAM、表示部、入力部等を備えている。この入力部からはオペレータがラベル又はタグの発行を入力することができる。
【0018】
フラッシュROM22には、プリンタ動作に必要な各種制御プログラムが記憶されている。
【0019】
RAM23には、上記各種制御プログラムで使用する作業エリアが確保される。
【0020】
印字ヘッド制御部25は、例えばサーマルヘッドで構成される印字ヘッド31に対して駆動信号を出力する。
【0021】
表示部26は、例えば液晶表示装置より構成される。
【0022】
搬送手段27は、台紙11を搬送する例えばステッピングモータ、プラテン42、搬送ローラ等により構成される。
【0023】
次に、図2及び図3を参照してRFIDタグの種類について説明する。図2のRFIDタグについては従来技術で説明したとおりである。
【0024】
図3のRFIDタグの構成について説明する。図3において、図2と同じ部分には同じ番号を付し、その詳細な説明については省略する。図3に示すRFIDタグはRFIDアンテナ14とRFIDチップ15は図2のRFIDタグよりも搬送方向(矢印Xで示す)に対して上流側に埋設されている。
【0025】
次に、図4を参照してRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタの構成の要部について説明する。
【0026】
図4において、41は台紙11が搬送される搬送路である。この搬送路41を介する台紙11の搬送は搬送手段27により行われる。
【0027】
42はプラテンである。このプラテン42より上流側にRFID読み込み/書き込み装置28が設けられている。
【0028】
また、このプラテン42と搬送路41を挟んで対向するように印字ヘッド31が配設されている。
【0029】
この印字ヘッド31より上流側には、インクリボン43を供給する供給側ローラ44が設けられ、印字ヘッド31の下流側には、インクリボン43を巻き取る巻き取り側ローラ45が設けられている。
【0030】
図4は印字ヘッド31がホームポジションに来たときの図2のRFIDタグの位置関係を示している。図2のRFIDタグ13は、ラベル12内において、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15が印字ヘッド31側に偏って埋設されている。従って、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15は、ほぼRFID読み込み/書き込み装置28の上方に位置している。
【0031】
また、図5は印字ヘッド31がホームポジションに来たときの図3のRFIDタグの位置関係を示している。図3に示すRFIDタグ13はRFIDアンテナ14とRFIDチップ15は図2のRFIDタグよりも搬送方向(矢印Xで示す)に対して上流側に埋設されている。従って、RFIDアンテナ14とRFIDチップ15は、RFID読み込み/書き込み装置28の位置より搬送方向(矢印Xで示す)に対して上流側に埋設されている。
【0032】
次に、図6のフローチャートを参照して本発明の一実施の形態の動作について説明する。
【0033】
図6のフローチャートに示した動作を行うプログラムはパーソナルコンピュータ32に搭載されている。まず、図4に示す印字待機位置において、読み取りテストが行われる(ステップS1)。この読み取りテストはRFID読み込み/書き込み装置28がRFIDチップ15に記憶されているデータを読み取る処理である。この読み取りテストの結果は、パーソナルコンピュータ32のメモリに記憶される。
【0034】
次に、書き込みテストが行われる(ステップS2)。この書き込みテストは、RFID読み込み/書き込み装置28がRFIDチップ15にデータを書き込む処理である。この書き込みテストの結果は、パーソナルコンピュータ32のメモリに記憶される。
【0035】
次に、搬送手段27によりラベル12を正方向、つまり印字ヘッド31方向に向かって+5mmだけフィードする(ステップS3)。
【0036】
そして、正方向のフィードが終了したかが判定される(ステップS4)。このフィード量は搬送手段27を構成するステッピングモータの特性を考慮して決定される。
【0037】
このステップS4において「NO」と判定された場合には、前述したステップS1以降の処理が再度行われる。つまり、正方向のフィードが終了するまで、RFIDチップ15に記憶されているデータを読み取る処理及びRFIDチップ15にデータを書き込む処理が行われる。
【0038】
この実施の形態では正方向に対しては、100回のデータを読み取る処理及びデータを書き込む処理が行われる。
【0039】
ステップS4において「YES」と判定されると、搬送手段27によりラベル12を逆方向に搬送させて印字待機位置に戻す処理が行われる(ステップS4)。
【0040】
そして、この印字待機位置において、前述した読み取りテストが行われる(ステップS6)。次に、前述した書き込みテストが行われる(ステップS7)。
【0041】
そして、搬送手段27によりラベル12を逆方向、つまり印字ヘッド31方向と逆方向に5mmだけフィードする。つまり、−5mmだけフィードする。
【0042】
次に、逆方向のフィードが終了したかが判定される(ステップS9)。このステップS9において「YES」と判定されるまで、ステップS6〜S8の処理が繰り返し行われる。
【0043】
ここで、この実施の形態では、逆方向の読み取りテスト及び書き込みテストが100回行われ、その結果はパーソナルコンピュータ32のメモリに記憶される。
【0044】
そして、ステップS9の判定で「YES」と判定されると、テストの結果が図7に示すように表示部26に表示される。
【0045】
次に、図7を参照してパーソナルコンピュータ32の表示部(図示しない)に表示されるテスト結果について説明する。図7において、Aは読み取りテスト、Bは書き込みテストを示す。
【0046】
図7に示すように、フィード量が「0」〜「10」までは読み取り及び書き込みが100%成功していることを示している。そして、フィード量が「15」、「20」となると読み取り及び書き込みが100%に達しなくなる。
【0047】
また、フィード量が「−5」〜「−10」となると、読み取り及び書き込みが100%成功しなくなる。
【0048】
このように、図2に示したように、フィード量が「0」付近で、読み取り及び書き込みが100%成功していることが分かる。従って、最適フィード量は「0」に設定される。
【0049】
これは、RFIDタグ13が印字待機位置にあるときに、RFIDチップ15がRFID読み込み/書き込み装置28の上方に位置しているからである。
【0050】
次に、図3に示すRFIDタグを用いて同様のテストを行った結果がパーソナルコンピュータ32の表示部に表示された状態を図8に示しておく。
【0051】
この図から明らかなように、フィード量が「+20」〜「+30」の範囲で、読み取り及び書き込みが100%成功していることが分かる。この場合には、フィード量の最適値を「+25」と設定すれば良い。
【0052】
以上のようにして、パーソナルコンピュータ32に図6のフローチャートに示す処理を行うプログラムを搭載おくことにより、プリンタの最適なフィード量を求めることができる。
【0053】
また、この最適なフィード量をパーソナルコンピュータ32のRAMに記憶させておき、
パーソナルコンピュータ32から発行コマンドが入力されると、パーソナルコンピュータ32はインタフェース29を介して発行コマンドをプリンタに対して送信するように構成し、プリンタはこの発行コマンドを受信すると、このフィード量に基づいて前記ラベル又はタグのフィードを行うと共に印字を行う(発行手段)ようにしても良い。
【0054】
なお、上記した実施の形態では、パーソナルコンピュータ32に図6のフローチャートに示す処理を行うプログラムを搭載しておいたが、フラッシュROM22に図6のフローチャートに示す処理を行うプログラムを搭載しておくようにしても良い。
【0055】
さらに、テストの結果をパーソナルコンピュータ32の表示部に表示させるようにしたが、プリンタの表示部26に表示させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係るRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタの構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係るRFIDラベルを示す図。
【図3】同実施の形態に係るRFIDラベルの別の例を示す図。
【図4】図2のRFIDラベルの構成を示す図。
【図5】図3のRFIDラベルの構成を示す図。
【図6】同実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】同実施の形態の動作を説明するための表示例。
【図8】同実施の形態の動作を説明するための他の表示例。
【符号の説明】
【0057】
11…台紙、12…ラベル、13…RFIDタグ、14…RFIDアンテナ、15…RFIDチツプ、21…CPU、22…フラッシュROM、23…RAM、24…入力部、25…印字ヘッド制御部、26…表示部、27…搬送手段、28…RFID読み込み/書き込み装置、29…インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送してRFIDタグにデータを読み書きし、その後に前記ラベル又はタグを逆方向にフィードしてラベル表面に印字を行うプリンタの印字待機位置からRFIDアンテナへの最適なフィード量を測定するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行うステップと、
前記ステップで行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示ステップとを具備したことを特徴とするフィード量測定用プログラム。
【請求項2】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグを搬送してRFIDタグにデータを読み書きし、その後に前記ラベル又はタグを逆方向にフィードしてラベル表面に印字を行うプリンタの印字待機位置からRFIDアンテナへの最適なフィード量を測定するフィード量測定方法であって、
印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行うステップと、
前記ステップで行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示ステップとを具備したことを特徴とするフィード量測定方法。
【請求項3】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグのRFIDタグに対して読み取り/書き込みを行うと共に前記ラベル又はタグの表面に印字を行うRFID読み取り/書き込み機能を備えたプリンタにおいて、
印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定フィード量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み取り及び書き込みテストを行う手段と、
前記手段で行われた読み取り及び書き込みテストの結果を表示する表示手段とを具備したことを特徴とするRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタ。
【請求項4】
RFIDタグを内蔵したラベル又はタグのRFIDタグにデータを読み込み/書き込みを行うと共に前記ラベル又はタグの表面に印字を行うRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタにおいて、
印字待機位置から前記ラベル又はタグを所定量ずつ搬送する毎に前記RFIDタグへの読み込み及び書き込みを行う手段と、
この読み取り及び書き込みを行った結果に基づいたフィード量を取り込む取り込み手段と、
ラベル又はタグの発行コマンドがあったときに、前記取り込み手段で取り込まれたフィード量に基づいて前記ラベル又はタグのフィードを行うと共に印字を行う発行手段とを具備したことを特徴とするRFID読み込み/書き込み機能を備えたプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−181800(P2006−181800A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376325(P2004−376325)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】