説明

フェンス用の縦格子パネル及びそれを用いたフェンス

【課題】軽量化を図ることが可能な縦格子パネル及びフェンスを提供すること。
【解決手段】上下の胴縁3間を、複数の縦格子5で連結したフェンス用の縦格子パネルにおいて、各胴縁3はその長手方向に連続したスリット7を有する胴縁3であると共に、スリット7の両側に対向するように胴縁内に向かってそれぞれ起立する胴縁スリット側屈折部10が胴縁3の周面部に一体に連接され、一対の中材4a,4bが縦格子5の上下端部と共にそれぞれ各上下の胴縁3の内側に配置され、中材縦部13と中材横部14とを備えた一対の中材における各中材縦部が縦格子の端部を挟んで背中合わせに配置されて縦格子と共に回動可能に取り付けられ、各中材縦部はそれぞれ胴縁スリット側屈折部に近接又は接触するように配置され、各中材縦部及び各中材横部の巾方向の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されている。また、その縦格子パネルを用いたフェンスとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩車道の境界や敷地境界線上等、あるいは公園や遊歩道、自転車道等に沿って主として屋外に用いられるフェンス(防護柵)の縦格子パネルに関して、平坦地或いは道路縦断勾配あるいは傾斜地などの勾配のある設置場所にも用いられて、傾斜地の勾配にも自在に対応可能なフェンス用の縦格子パネル及びそれを用いたフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦格子パネルとして、上下の胴縁としてのビームパイプに縦格子の上下端部を挿入配置して取り付けるための取り付け穴を、部材長手方向に間隔をおいて多数設けるようにしたフェンス用の縦格子パネルとした技術がある(例えば、特許文献1参照)。
前記の技術の場合には、上下のビームパイプの長手方向に間隔をおいて多数の取り付け穴を設ける形態であるので、ビームパイプはその長手方向で、局所的に断面が欠損されていることになるから、一様な断面性能を発揮できないという問題がある。
【0003】
前記のような問題を解決する技術として、縦格子を挿入配置するためのスリットを部材長手方向の全長に渡り設けるようにした胴縁を縦格子パネルに用いることで部材長手方向の断面が一様になり、前記の問題を解決できる。
このようなスリット付き胴縁を用いた技術としては、例えば、縦格子の上下端部を挿入し配置するためのスリットを有するパイプ状の胴縁を用い、上下の胴縁間を互いに平行な複数の縦格子で連結した縦格子パネルを支柱間に取り付けたフェンスがある。これは、道路フェンス等として用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
例えば、縦格子パネルにおけるスリット付き胴縁に作用する鉛直荷重としては、60kgf/mを想定して、水平荷重として、40kgf/mを想定して、設計される。
前記のスリット付きパイプ状の胴縁では、図14(c)に示すように、例えば板厚2.3mmの1枚の鋼板を曲げ加工してスリット付きパイプ状の胴縁25が製作され、その内側に縦格子5の上下端部を接合した例えば板厚1.6mmの断面L形の中材26を組み合わせた構造の縦格子パネル27である。前記の縦格子パネル27に使用するスリット付き胴縁は、胴縁25の断面のみで前記設計荷重が作用しても曲げ剛性を確保できるように設計されるため、スリット付き胴縁の板厚は板厚が厚い部材を用いることになる。また、縦格子パネル27は、複数の縦格子5を配置し、各縦格子の上下両端部を取り付け金具等の連結手段29により中材26に取り付け、中材26を胴縁25内に取り付ける必要があるため、胴縁に作用する荷重に対してはスリット付き胴縁25のみで曲げ剛性を確保することができるが、複数の縦格子を取り付けるために中材を取り付ける必要があるため、剛性を確保するのに必要のない部材も取り付ける必要があり、縦格子パネル全体の重量が重くなり、縦格子パネルのコストが高くなるばかりでなく、搬送作業、組立て作業及び作業員数、施工時間等の設置コストも高くなるという問題があった。また、中材26は、胴縁25内において縦格子5の上下端部を取り付ける目的のみで胴縁25を補剛する作用をしておらず、部材に必要な断面性能に対して無駄が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−257670号公報
【特許文献2】特開平11−270197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、スリット付き胴縁を用いた縦格子パネルとする場合に、スリット付き胴縁に用いる金属板の板厚が厚く重量が重くなるという前記従来の欠点、また、各縦格子の軸方向の端部を胴縁内において取り付けるための長尺の取り付け部材の重量が付加されているため、益々、縦格子パネルの重量が重くなっている点について種々検討した。
【0007】
そして、スリット付き胴縁の薄板化及び軽量化を図る上で、外形寸法をほとんど変えない場合でも、さらに、縦格子を取り付けている胴縁内に配置される取り付け金具を、胴縁を補剛する上で有効に機能する形状にすると共にこれを巧みに配置することで、胴縁を薄肉化しても、荷重が作用した場合の変形を抑制するようにしている。このようにすることで、縦格子パネルに群衆による鉛直方向あるいは作用方向の荷重が作用したときには、胴縁の小変形時に胴縁と取り付け金具またはこれらと縦格子とが共同して抵抗する構造とすることで、胴縁及び取り付け金具の薄板化を可能にし、縦格子パネル全体としの軽量化を計ることができることに着目した。
【0008】
このような着想は、前記のスリット付きパイプ状の胴縁は、前記従来のように、一枚の厚肉鋼板による構造とするほうが、構造が単純であるが故に、逆に、その軽量化については、これまで考えられていなかった。
【0009】
本発明は、中材を胴縁内に巧みに配置することで、板厚を薄くして軽量化したスリット付き胴縁の補剛を図りながら、剛性を確保することで、胴縁と中材を軽量化し、結果的に縦格子パネルの軽量化を図ることが可能となり、新たな構造のフェンス用の縦格子パネルそれを用いたフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のフェンス用の縦格子パネルにおいては、互いに平行な上下の胴縁間を、互いに平行な複数の縦格子で連結したフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記各胴縁はその長手方向に連続したスリットを有する胴縁であると共に、スリットの両側に対向するように胴縁内に向かってそれぞれ起立する胴縁スリット側屈折部を胴縁の周面部に一体に備え、上下の胴縁はスリットが対向するように配置され、一対の中材が縦格子の端部と共にそれぞれ各上下の胴縁の内側に配置され、前記中材は中材縦部と中材横部とを備え、前記一対の中材における各中材縦部が縦格子の端部を挟んで背中合わせに配置されて縦格子と共に回動可能に取り付けられ、各中材横部の基端側でそれぞれ前記胴縁スリット側屈折部に近接又は接触するように配置され、各中材縦部及び各中材横部の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されて、一対の中材を縦格子の取り付け部材とすると共に胴縁の補剛材としていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、各縦格子の上下端部を挟み込んでいる各一対の中材における各中材横部が、胴縁の横方向の曲げ変形に対して胴縁を補剛していることを特徴とする。
第3発明では、第1発明又は第2発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、一対の中材における各中材縦部と、中材における中材横部を介して接する前記胴縁スリット側屈折部とが共同して、胴縁の上下方向の曲げ変形に対して補剛していることを特徴とする。
第4発明では、第1発明から第3発明のいずれかに記載のフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記胴縁における周面部は、胴縁の長手方向に直角な断面で、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁水平部分をそれぞれ備えていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明から第4発明のいずれかに記載のフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記胴縁における周面部は、胴縁の長手方向に直角な断面で、縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁鉛直部分をそれぞれ備えていることを特徴とする。
第6発明では、第5発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、中材における中材縦部の先端部が前記胴縁水平部分に、中材横部の先端部が前記胴縁鉛直部分に、それぞれ近接又は接触するように配置されていることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルにおいて、胴縁は、そのスリット側の胴縁水平部分に接続するように傾斜面が設けられていることを特徴とする。
第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルにおいて、一対の中材の中材縦部は、連結部により一体とされていることを特徴とする。
第9発明のフェンスでは、第1発明〜第8発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルを、間隔をおいて隣り合う支柱に亘って設置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によると、互いに平行な上下の胴縁間を、互いに平行な複数の縦格子で連結したフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記各胴縁はその長手方向に連続したスリットを有する胴縁であると共に、スリットの両側に対向するように胴縁内に向かってそれぞれ起立する胴縁スリット側屈折部を胴縁の周面部に一体に備え、上下の胴縁はスリットが対向するように配置され、一対の中材が縦格子の上下端部と共にそれぞれ上下の胴縁の内側に配置され、前記中材は中材縦部と中材横部とを備え、前記一対の中材における各中材縦部が縦格子の上下端部を挟んで背中合わせに配置されて縦格子と共に回動可能に取り付けられ、各中材横部の基端側でそれぞれ前記胴縁スリット側屈折部に近接又は接触するように配置され、各中材縦部及び各中材横部の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されて、一対の中材を縦格子の取り付け部材とすると共に胴縁の断面形態をほぼ維持するように作用する補剛材として機能しているので、胴縁に鉛直方向あるいは左右方向の荷重が作用した場合には、胴縁内に配置された中材等が胴縁と共同して曲げ変形に対して抵抗することができるため、必要とされる曲げ剛性を確保した上で、胴縁及び中材の薄板化と軽量化を図り、軽量な縦格子パネルとすることができ、また、2枚の中材を用いた簡単な構造で、胴縁を補剛することができる等の効果が得られる。
第2発明では、第1発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、各縦格子の上下端部を挟み込んでいる各一対の中材における各中材横部が、胴縁の横方向の曲げ変形に対して胴縁を補剛しているので、胴縁に対して横方向の外力が作用して、胴縁の周面部と中材横部の先端部とが接触した場合に、胴縁の周面部の内の胴縁鉛直部分が、胴縁内側にそれ以上変形するのを防止し、一対の中材における各中材横部と各縦格子の上下端部が一体となっているので、また、スリットに配置されている縦格子端部により各中材の横移動が拘束されて、中材の中材横部は胴縁内周面部を突っ張るように機能するため、胴縁の横方向の曲げ変形に対して抵抗することができ、胴縁の補剛に寄与することができ、胴縁と一対の中材における各中材横部が横方向の曲げに対して共同して抵抗できる等の効果が得られる。
また、胴縁に横方向の外力が作用した場合、縦格子の端部を中材で挟みこんでいることにより、スリット及び中材同士の間隔が保持され、中材横部が胴縁周面部を突っ張るので、胴縁の変形を防止することができる。
第3発明では、第1発明又は第2発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、一対の中材における各中材縦部と、中材における中材横部を介して接する前記胴縁スリット側屈折部とが共同して、胴縁の上下方向の曲げ変形に対して補剛しているので、胴縁に対して鉛直方向の外力が作用して、胴縁の周面部と中材縦部の先端部とが接触した場合に、胴縁の周面部の内の胴縁水平部分が、胴縁内側にそれ以上変形するのを防止して、一対の中材における各中材縦部と胴縁側の胴縁スリット側屈折部が中材横部を介して接触して、胴縁の補剛に寄与することができ、そのため、胴縁の胴縁スリット側屈折部と一対の中材における各中材縦部とが共同して、胴縁の鉛直方向の曲げ変形に対して抵抗することができる等の効果が得られる。
第4発明では、第1発明から第3発明のいずれかに記載のフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記胴縁における周面部は、胴縁の長手方向に直角な断面で、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁水平部分をそれぞれ備えているので、胴縁はその部材長手方向に直角な断面において、小さな高さの断面でも効率よく高い断面性能が得られる。
第5発明では、第4発明のフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記胴縁における周面板は、胴縁の長手方向に直角な断面で、縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁鉛直部分をそれぞれ備えているので、胴縁はその部材長手方向に直角な断面において、小さな巾の断面でも効率よく高い断面性能が得られる。
また、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁水平部分をそれぞれ備えていると共に縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁鉛直部分をそれぞれ備えているときは、胴縁長手方向に直角な断面で、胴縁の巾および高さを小さくしても板厚を厚くすることなく効率よく設計荷重に必要な断面性能を得ることができる。
第6発明では、第1発明から第5発明のいずれかに記載のフェンス用の縦格子パネルにおいて、中材における中材縦部の先端部が前記胴縁水平部分に、中材横部の先端部が前記胴縁鉛直部分に、それぞれ近接又は接触するように配置されているので、胴縁における前記胴縁水平部分あるいは胴縁鉛直部分の胴縁内側への変形を小さく抑えて、胴縁を補剛することができる等の効果が得られる。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルにおいて、胴縁は、そのスリット側の胴縁水平部分に繋がるように傾斜面が設けられているので、縦格子パネルにおいて下側に配置される胴縁上面側の平坦面を少なくして塵埃が堆積するのを抑制する等の効果が得られる。
また、胴縁における鉛直部分と傾斜部分との交差部内側付近に中材の中材横部の先端が接することにより、中材が安定し、中材及び胴縁のねじれ防止にも効果が得られる。
第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルにおいて、一対の中材の中材縦部は、連結部により一体とされているので、一対の中材をまとめることができ、部品点数を少なくすることができ組み立て作業性が向上すると共に、中材縦材の先端部相互が互いに離反するように開くことがなく、中材縦材を安定させることができ、また、中材縦部間への縦格子端部の挿入組み立て作業も容易になる。
第9発明のフェンスでは、第1発明〜第8発明のいずれかのフェンス用の縦格子パネルを、間隔をおいて隣り合う支柱に亘って設置しているので、胴縁を簡単な構造で補剛して軽量化された縦格子パネルを用いたフェンスとすることができる。また、縦格子パネルが軽量化されているので、その組立てあるいは搬送設置作業も容易になり、施工が容易なフェンスとすることができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のフェンス用の縦格子パネルにおける一端側の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図2】本発明の第2実施形態のフェンス用の縦格子パネルにおける一端側の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図3】図1に示す胴縁を取り出して示すものであって、(a)は胴縁の側面図、(b)は(a)のa−a線断面図、(c)は(a)のb−b線断面図である。
【図4】本発明の縦格子パネルにおける胴縁内に配置される中材を示すものであって、(a)は側面図、(b)は(a)のc−c線断面図、(c)は(a)のd−d線断面図である。
【図5】本発明のフェンス用の縦格子パネルにおける胴縁間に配置される縦格子を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図6】本発明のフェンス用の縦格子パネルを示す側面図である。
【図7】本発明の縦格子パネルを道路勾配等の勾配に合わせて胴縁を傾斜させた状態を示す側面図である。
【図8】本発明のフェンス用の縦格子パネルに用いられる中材及び縦格子端部による胴縁の左右両側の胴縁鉛直部分に対する形状保持作用により、胴縁の剛性が変化しないようにされている作用を説明するための説明図である。
【図9】本発明のフェンス用の縦格子パネルに用いられる中材及び縦格子端部による胴縁の上下両側の胴縁水平部分に対する形状保持作用により、胴縁の剛性が変化しないようにされている作用を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態の縦格子パネルにおける一端側の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態のフェンス用の縦格子パネルにおける一端側の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図12】(a)(b)は本発明の第3実施形態において用いられる胴縁を取り出して示す側面図と正面図、(c)(d)は、本発明において用いられる胴縁の第5実施形態を示す側面図と正面図である。
【図13】(a)(b)は本発明において用いられる胴縁の第6実施形態を示す側面図と正面図、(c)(d)は、本発明において用いられる胴縁の第7実施形態を示す側面図と正面図である。
【図14】本発明の一実施形態の胴縁付近と比較例及び従来例の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図15】本発明のフェンス用の縦格子パネルを道路等に沿って設置した状態を示す概略側面図である。
【図16】図16に示すフェンス用の縦格子パネルの中間部付近の縦断正面図である。
【図17】図16に示すフェンス用の縦格子パネルの支柱取り付け部付近の縦断正面図である。
【図18】縦格子の両端部にそれぞれ一対の中材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図19】図18の一部切り欠き拡大断面図である。
【図20】本発明の第5実施形態のフェンス用の縦格子パネルにおける一端側の胴縁付近を示す一部縦断正面図である。
【図21】本発明の第5実施形態のフェンス用の縦格子パネルに用いられている一対の中材を備えた複合中材を示すものであって、(a)は側面図、(b)は(a)のe−e線断面図、(c)は(a)のf−f線断面図である。
【図22】本発明のフェンス用の縦格子パネルにおける胴縁間に配置される縦格子の他の形態を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図23】図22に示す多数の縦格子の両端部にそれぞれ一対の中材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図24】図23の一部切り欠き拡大断面図である。
【図25】図23に示す状態から胴縁を装着した本発明の第6実施形態のフェンスを示す側面面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1、第2実施形態)
図1、2には、本発明の第1及び第2実施形態のフェンス用の縦格子パネル1(以下、単に縦格子パネル1とも言う)の一端側が示され、図3〜図5には、実施形態における縦格子パネル1に用いられる主要な部品図が示され、図6,7には、本発明の第1実施形態の縦格子パネル1の全体が示され、図15〜図17には、その縦格子パネル1を用いたフェンス2が示されている。
第1実施形態と第2実施形態は、胴縁3内に配置される一対の中材4a,4bの断面外形寸法が多少ことなっているのみで、それ以外の構造は同じであるので、第1実施形態と共に説明する。
【0015】
先ず、図1に示す縦格子パネル1の一端側及び図6及び図7に示す縦格子パネルの全体側面を参照して、本発明の縦格子パネル1の構成について説明すると、縦格子パネル1は、上下に間隔をおいてスリット7側が対向するように配置される一対の胴縁3(以下、スリット付き胴縁3又は単に胴縁3とも言う。)と、前記各胴縁3内に配置される一対の中材4a,4bと、各胴縁3内に亘って配置される複数の縦格子5とを備えている。
【0016】
前記の胴縁3の形態は、鋼板等の金属板が折り曲げ加工されて、縦格子5の軸方向の端部の縦格子連結部6を挿入配置するための長手方向に連続するスリット7を有するスリット付の胴縁3とされている。
本発明の縦格子パネル1に用いる胴縁3の好適な実施形態では、その部材長手方向に直角な断面形態(図1,2、図3(b)参照)を考えた場合に、上下方向および左右方向の端部側に、胴縁3の周面板の対向面を平行に配置して、断面2次モーメントが高まるようにしている。
具体的には、部材長手方向に直角な断面で、胴縁3における周面部(周面板)は、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いにほぼ対向するように平行な横板部分からなる胴縁水平部分8をそれぞれ備えていると共に、縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに対向する平行な縦板部分からなる胴縁鉛直部分9をそれぞれ設けている。
このようにすることで、胴縁3は、同じ外径寸法でありながら、円弧状断面にする場合に比べて断面二次モーメント及び断面係数を大きくすることができて、胴縁3の剛性を効率よく高めるようにしている。また、本発明では、胴縁3に用いる鋼板等の金属板の板厚寸法を、例えば従来公知の板厚寸法よりも格段に薄くして軽量化を図り、このような軽量化を図る上でも、前記のように、互いに対向する(又はほぼ対向する)平行な横板部分からなる胴縁水平部分8と、互いに対向する平行な胴縁鉛直部分9をそれぞれ設けることで、必要な剛性を保った断面性能を有し、かつ、胴縁3の断面積を小さくすることができる。
【0017】
図3に示すように、第1実施形態において用いられている胴縁3の断面形態は、前記スリット7の両側には、間隔をおいて平行に対向するように内向きに縦向きの板からなる胴縁スリット側屈折部10が同レベルに屈曲形成され、前記各胴縁スリット側屈折部10にそれぞれ横板部分からなる胴縁水平部分8の一端側が接続するように一体に屈曲形成され、各胴縁水平部分8の他端側に、それぞれ傾斜側面板からなる胴縁傾斜部分11の一端側が接続するように一体に屈曲形成され、その各胴縁傾斜部分11の他端側に鉛直な胴縁鉛直部分9の一端側が接続するようにそれぞれ屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9の他端側には、それぞれ断面弧状の胴縁弧状部分12の一端側が接続するように屈曲形成され、その各胴縁弧状部分12の他端側は、スリット7側の前記胴縁水平部分8と平行な胴縁水平部分8aにより一体に形成されている。
間隔をおいた前記各胴縁スリット側屈折部10間により形成されたスリット7は、胴縁内の中空部に接続している。対向する各胴縁スリット側屈折部10間の寸法は、縦格子5の軸方向端部の縦格子連結部6の厚さ寸法よりも僅かに大きくされて、縦格子5のがたを防止すると共に、縦格子5の軸方向端部の縦格子連結部6のスリット7長手方向へのスライド移動を容易にしている。
前記のように胴縁傾斜部分11を設けることで、これに接続するスリット7側の胴縁水平部分8が狭くなるが、狭くなった分、縦格子パネル1において、胴縁水平部分8が上側となる下側の胴縁3では、胴縁水平部分8への塵埃の堆積を抑制すると共に、胴縁傾斜部分上の塵埃は風雨により洗い流されるため、塵埃の堆積が少なくなり、また、胴縁3における鉛直部分9と傾斜部分11との交差部内側付近に中材4a,4bの中材横部14の先端が接することにより、中材4a,4bが安定し、中材4a,4b及び胴縁3のねじれ防止にも効果が得られる(以下の実施形態においても、胴縁傾斜部分を設ける場合は同様な作用を発揮する)。
なお、図示の形態では、胴縁3の部材長手方向の端部側における胴縁鉛直部9には、長孔15が設けられ、中材4a,4bと共に前後一対の取り付け金具16(図15、図17参照)にボルト・ナット17により連結可能にされ、その前後一対の取り付け金具16が前記支柱18を抱き込むように前後に配置されることで、前後一対の取り付け金具16により支柱18を把持することで、前記ボルト・ナット17により支柱18(図15、図17参照)に取り可能にされているが、支柱18と縦格子パネル(胴縁)1との連結方法は図示の形態に限るものではなく、他の公知の適宜の形態を採用することができる。
【0018】
次に、図4を参照して、本発明における縦格子パネル1において用いる中材4a,4bの一形態について説明すると、中材4a,4bは、一枚の鋼板等の金属板に折り曲げ加工が施されて、断面L字状の断面形態をしており、中材縦部13と中材横部14とを備えた中材4a,4bとされ、前記中材縦部13の基端側には、長手方向に間隔をおいて多数のピンまたはボルト等の横軸を挿通するための小径の横孔19が設けられ、端部側には、胴縁3と共に支柱18に取り付けるための長孔20が設けられている。
前記の一対の中材4a,4bは、互いに中材横部14が外側を向くように、中材縦部13が間隔をおいて背中合わせとなるように、また、中材縦部13間に縦格子5の軸方向端部の扁平にされた縦格子連結部6を挟むように配置されている。
【0019】
次に、本発明における縦格子パネル1において用いる縦格子5の一形態について説明すると、図5(a)〜(c)に示すように、鋼製パイプ等の金属製パイプが加工された縦格子5の軸方向の端部には、同図(c)に示すように、押し潰し扁平状に変形された縦格子連結部6が設けられ、その縦格子連結部6の部分には、貫通する横孔21が設けられて、前記の中材4a,4bとのリベット又はボルト・ナット等による接合を可能にしている。
図18及び図19に示すように、前記の縦格子5と中材4a,4bは、多数の縦格子5の軸方向の端部に亘ってこれらを各中材縦部13により挟むように一対の中材4a,4bの間に配置された状態で、リベット又はボルト・ナット等の連結手段29により、多数の縦格子5の軸方向の両端部には、それぞれ、一対の中材4a,4bにおける各中材縦部13により押圧された状態で回動可能に連結されている。そのため、一対の中材4a,4bと縦格子5とは、設置される場所の勾配に応じて、一対の中材4a,4bと縦格子5との交差角度を調整した状態では、その状態を保持可能にされている。
前記のように各縦格子5の両端部に、それぞれ一対の中材4a,4bをセットしパネル状にした状態で、図16に示すように、中材4a,4bの外側にこれを収納するように胴縁3をスライドして嵌め合わせて、図6及び図1に示すような縦格子パネル1が構成されている。縦格子パネル1における中材4a,4bにおける中材横部14と胴縁3の胴縁スリット側屈折部10とは、互いに接触するか、力が作用し胴縁3が変形しようとするときに接触するくらいの僅かな隙間で配置されている。
したがって、各縦格子5とその軸方向の両端部の一対の中材4a,4bとは、図6に示すように直角の位置関係に配置したり、図7に示すように、傾斜して交差するように配置することができるため、図15〜図17に示すように、勾配のない平坦地に設置する場合、あるいは勾配のある傾斜地に設置する場合に適宜調整可能な縦格子パネル1とされている。尤も、本発明においては、一対の中材4a,4bと縦格子5の連結手段29は、リベットを用いた連結手段が最も良く、ボルト・ナットやその他回動可能に接合できるものでもよい。
【0020】
さらに、本発明の縦格子パネル1の特徴について、図1に示す第1実施形態及び図2に示す第2実施形態の縦格子パネル1を参照して説明すると、図1及び図2では、一対の中材4a,4bにおける各中材横部14の先端部と、各中材縦部13の先端部が、胴縁3の内周面に近接して配置されている構造(図1)と、胴縁3の内周面に接触して配置されている構造(図2)とが示されている。その他の構造は、いずれの実施形態においても同じである。
特に、図1,2に示すように、中材4a,4bにおける各中材横部14の先端部は、胴縁3における胴縁鉛直部分9に近接又は接触して配置され、各中材縦部13の先端部は、胴縁3の頂部側の胴縁水平部分8に近接又は接触して配置されている。
その理由について、第1実施形態の場合は図1に2点鎖線で、第2実施形態の場合は図8に実線で示すように、例えば人(群衆)のよりかかりにより、胴縁3に横方向の右側(又は左側)から外力F2(又は反対方向の外力F2´)が作用した場合には、胴縁3における右側(又は左側)の胴縁鉛直部分9が胴縁内側に寄るように多少変形して胴縁水平部分8の先端部を確実に押圧するようになると共に、図示を省略するが、胴縁3はその長手方向に左方向(右方向)に曲げ変形する。
この場合、一対の中材4a,4bと縦格子5とは一体に連結しているため、図8にハッチングで示す領域が、胴縁鉛直部分9が胴縁3内の中央(縦中心軸線)寄りに変形するのを拘束して、その位置を保持するように作用している。
また、図8において左右方向のいずれか一方の外力F2(又は反対方向の外力F2´)による胴縁3の曲げに対して、一対の中材4a,4bにおける中材横部14と縦格子5の軸方向の端部とは一体に連結しているため、図8に示す斜線ハッチングで示す部分Xが胴縁3と共に曲げ変形に対して、抵抗できるようにされている。したがって、本発明の実施形態では、中材4a,4b及び縦格子5は、胴縁3の左右方向の曲げに対して補剛するようになっている。
また、第1実施形態の場合は図1に2点鎖線で、第2実施形態の場合は図9に実線で示すように、胴縁3に鉛直下方向(又は鉛直上方向)から外力F1(又は反対方向の外力F1´)が作用した場合には、胴縁3における上側(又は下側)の胴縁水平部分8が胴縁内側に寄るように多少変形して胴縁鉛直部分9の先端部を上側の胴縁水平部分8が押圧するようになると共に、図示を省略するが、胴縁3はその長手方向に下方向(上方向)に曲げ変形する。
この場合、一対の中材4a,4b(中材横部14の基端側)と胴縁3の胴縁スリット側屈折部10とは接触しているため、図9に斜線ハッチングで示す部分Y(中材縦部13と胴縁スリット側屈折部10と中材横部14の一部)が、胴縁水平部分8が胴縁3内の中央(横中心軸線)寄りに変形するのを拘束して、その位置を保持するように作用している。
また、図9において上下方向のいずれか一方の外力F1(又は反対方向の外力F1´)による胴縁3の曲げに対して、一対の中材4a,4bにおける中材縦部13と胴縁スリット側屈折部10とは中材横部14の基端側を介して接触しているため、図9に示す斜線ハッチングで示す部分Yが胴縁3と共に曲げ変形に対して、抵抗できるようにされている。したがって、本発明の実施形態では、中材4a,4bの中材縦部13と中材横部14の基端側及び胴縁3の胴縁スリット側屈折部10が共同して、胴縁3の上下方向の曲げに対して補剛するようになっている。なお、中材縦部13の基端側の板厚を一部厚くする場合には、中材4a,4bの中材縦部13及び胴縁の胴縁スリット側屈折部10が共同して、胴縁3の上下方向の曲げに対して補剛するようになる。
また、図1又は図8,9において、胴縁3に右上方等の斜め方向から外力が作用した場合には、一対の中材4a,4bにおける中材縦部13と各胴縁スリット側屈折部10とによる上下方向補剛作用と、各中材横部14と縦格子5の端部とによる左右方向の補剛作用を発揮することができ、したがって、部材長手方向に直角な断面で、全方向で胴縁3は、一対の中材4a,4bにより補剛されている。
前記のように、胴縁3の長手方向に直角な断面形状に関して、胴縁断面の変形が中材4a,4bにより抑制されている。
【0021】
図10には、本発明の第3実施形態の縦格子パネル1の一端側が示され、図6及び図7には、縦格子パネル1の全体が示されている。
前記第1及び第2実施形態と相違する部分は、胴縁3の断面形態が相違しているが、その他の部分は、前記実施形態と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付して、相違する部分を主に説明する。
この第3実施形態では、胴縁3は、スリット付の矩形状の断面形態とされ、スリット7を挟んで間隔をおいて対向する各胴縁スリット側屈折部10に、それぞれ胴縁水平部分8が一体に接続するように屈曲形成され、その各胴縁水平部分8に直角にそれぞれ胴縁鉛直部分9が接続するように屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9相互を広幅の胴縁水平部分8aで接続するように屈曲形成された形態とされている。
部材長手方向に直角な断面で、胴縁3における上下方向の高さ寸法と、左右方向の幅寸法は前記実施形態と同じであり、このような胴縁3では、材料が多少多くなるが、胴縁3の縦中心軸線から最も遠い位置に胴縁鉛直部分9及び横中心軸線から最も遠い位置に、大きな面積の胴縁水平部分8、8aを備えた形態となるため、胴縁自身の剛性が向上する。
この形態の変形形態として、中材4a,4bにおける中材縦部13の幅寸法を広げてその先端部を、広幅の胴縁水平部分の内側面に接触させる形態としてもよい。
なお、胴縁断面形状が異なれば得られる断面性能が変わってくるので、胴縁断面の高さ及び巾寸法は胴縁に作用する荷重に必要な断面性能が得られる寸法に変えることができる(前記各実施形態及び他の実施形態でも同様である。)
【0022】
図11には、本発明の第4実施形態の縦格子パネル1の一端側が示され、図6及び図7には、縦格子パネル1の全体が示されている。また、図12(a)(b)は、図10に示す形態において用いられている胴縁3を取り出して示している。
前記第1及び第2実施形態と相違する部分は、胴縁3の断面形態が相違しているが、その他の部分は、前記実施形態と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付して、相違する部分を主に説明する。
この第4実施形態では、胴縁3は、スリット付の矩形状の断面形態とされ、スリット7を挟んで間隔をおいて対向する各胴縁スリット側屈折部10に、それぞれ胴縁水平部分8が一体に接続するように屈曲形成され、その各胴縁水平部分8に傾斜して接続する胴縁傾斜部分11がそれぞれ屈曲形成され、その各胴縁傾斜部分11にそれぞれ胴縁鉛直部分9が接続するように屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9相互を広幅の胴縁水平部分8aで接続するように屈曲形成された形態とされている。
部材長手方向の断面で、胴縁3における上下方向の高さ寸法と、左右方向の幅寸法は前記実施形態と同じであり、このような胴縁3では、図1,2に示す形態に比べて、材料が多少多くなるが、胴縁自身の剛性が向上する。
【0023】
図12(c)(d)及び図13(a)〜(d)には、前記各実施形態に用いられている胴縁3と、置き換え可能な胴縁3の形態を示されている。
図12(c)(d)に示す胴縁3では、スリット7を挟んで間隔をおいて対向する各胴縁スリット側屈折部10に、それぞれ胴縁水平部分8が一体に接続するように屈曲形成され、その各胴縁水平部分8に傾斜して接続する胴縁傾斜部分11がそれぞれ屈曲形成され、その各胴縁傾斜部分11にそれぞれ胴縁鉛直部分9が接続するように屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9に傾斜して接続する胴縁傾斜部分22がそれぞれ屈曲形成され、胴縁傾斜部分22相互を接続する胴縁水平部分8aで接続するように屈曲形成された形態とされている。前記胴縁傾斜部分11と傾斜方向が異なる方向に胴縁傾斜部分22が設けられているから、胴縁3は胴縁水平部分8,8aの両側での塵埃の堆積および雨等による清掃が容易になる。
【0024】
図13(a)(b)に示す形態の胴縁3では、スリット7を挟んで間隔をおいて対向する各胴縁スリット側屈折部10に、それぞれ胴縁水平部分8が一体に接続するように屈曲形成され、その各胴縁水平部分8に傾斜して接続する胴縁傾斜部分11がそれぞれ設けられ、その各胴縁傾斜部分11にそれぞれ胴縁鉛直部分9が接続するように屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9に傾斜して接続する第1胴縁傾斜部分22aがそれぞれ設けられ、前記第1胴縁傾斜部分22aに交差するように傾斜して接続する第2胴縁傾斜部分22bがそれぞれ設けられ、第2胴縁傾斜部分22b相互を接続する胴縁水平部分8aで接続するように屈曲形成された形態とされている。
図13(c)(d)に示す形態の胴縁3では、スリット7を挟んで間隔をおいて対向する各胴縁スリット側屈折部10に、それぞれ胴縁水平部分8が一体に接続するように屈曲形成され、その各胴縁水平部分8に傾斜して接続する急傾斜の胴縁傾斜部分11がそれぞれ屈曲形成され、その各胴縁傾斜部分11にそれぞれ胴縁鉛直部分9が接続するように屈曲形成され、各胴縁鉛直部分9に傾斜して接続する第1胴縁傾斜部分22aがそれぞれ屈曲形成され、前記第1胴縁傾斜部分22aに交差するように傾斜して接続する第2胴縁傾斜部分22aがそれぞれ屈曲形成され、前記第2胴縁傾斜部分22bに交差するように傾斜して接続する第3胴縁傾斜部分22cがそれぞれ屈曲形成され、第3胴縁傾斜部分22c相互を接続する胴縁水平部分8aで接続するように屈曲形成された形態とされている。
【0025】
前記各実施形態のように、一つ又は複数の胴縁傾斜部分11,22(22a,22b,22c)を設けるようにすると、円弧状板とする場合よりも、胴縁断面で周方向の距離が短くなる分、材料を少なくすることができ、胴縁3の軽量化を図ることができる。
【0026】
図示を省略するが、胴縁3の断面形態としては、胴縁スリット側屈折部10寄りの胴縁傾斜部分11を複数段階に屈折又は屈曲する形態にする等、図示以外の形態も可能である。
しかし、いずれの形態の場合にも、胴縁3側には、中材4a,4bにおける中材縦部13の先端部が近接又は接触する胴縁水平部分8,8aを備えていると共に、中材4a,4bにおける中材横部14の先端部が近接又は接触する胴縁鉛直部分9を備えて、中材4a,4bにより、胴縁水平部分8a,胴縁鉛直部分9の胴縁内側への変形を抑制するようにしている。
【0027】
前記のように、本発明では、一対の中材4a,4bにおける各中材横部14は、それぞれ胴縁3側の胴縁スリット側屈折部10に近接又は接触するように配置され、各中材縦部13及び各中材横部14の巾方向の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されて、一対の中材4a,4bを縦格子5の取り付け部材とすると共に胴縁3の補剛材として用いている。そのため、胴縁に鉛直方向あるいは左右方向の荷重が作用した場合には、胴縁内に配置された中材等が胴縁と共同して曲げ変形に対して抵抗することができるため、必要とされる曲げ剛性を確保した上で、胴縁3及び中材4a,4bの薄板軽量化を図り、軽量な縦格子パネルとすることができ、また、2枚の中材4a,4bを用いた簡単な構造で、胴縁3を補剛することができる。
【0028】
次に、図14(a)に示す本発明の縦格子パネル1における胴縁3及び中材4a,4bを用いた構造と、比較例として図14(b)に示す従来構造の胴縁25及び中材26を用いた構造の場合の重量比について検討した結果について説明する。なお、いずれの場合も必要とされる剛性は確保されている。
図14(a)における胴縁3の断面外形寸法は、高さ47mm、横幅42mm、板厚1.2mm,長さ2900mmで材質はSGC400 Z27であり、その材料サイズ(板厚×幅×長さ mm)は、1.2×165×2900mmであり、亜鉛めっき材の比重が8.17を用いてめっき処理され、製品重量は4.691kgである。
また、以下同様に、一対の中材4a,4bの中材横部14の巾寸法(15mm)と、中材縦部13の巾寸法(30mm)と、板厚寸法(1.2mm)及び長さ寸法(2900mm)並びに製品重量等は、下記表1に示す通りである。
さらに、図14(b)に示す比較例の胴縁25と、中材26の板厚寸法及び製品とした場合の重量は下記表1に示す通りである。
なお、本発明において用いた胴縁3及び左右の中材4a,4bの材質は、SGC400 Z27(冷延圧延原板を用いた溶融亜鉛めっき鋼板)で、比較例において用いた胴縁25及び中材26の材質は、SGH400 Z27(冷延圧延原板を用いた溶融亜鉛めっき鋼板)で、降伏点295N/mm2,引っ張り強さ400N/mm2以上、伸び18%以上の鋼材である。したがって、両材質とも、同等の強度を有する材料である。
【0029】
表1より、本発明の形態の場合は、胴縁3及び一対の中材4a、4bの合計の重量が、7.250kgであるのに対して、比較例の胴縁25及び中材26の合計の重量が、9.576となり、本発明の実施形態では、薄板化された胴縁3及び一対の中材4a、4bにより24%軽量化できていることがわかる。
前記のように、本発明では、2枚の中材4a,4bを用いているが、本発明では、薄板としているため、胴縁と中材との合計重量では、比較例よりも格段に軽量にされていることがわかる。
【0030】
【表1】

【0031】
本発明を実施する場合、図20に示すように、一対の中材縦部13の間隔を縦格子5の端部の厚さ寸法よりも僅かに大きくして中材縦部13の先端部相互を、接続板などの接続部30を介して接続した複合中材4としてもよく、このようにすると、一対の中材4a,4bをまとめることができ、部品点数を少なくすることができ組み立て作業性が向上すると共に、中材縦材13の先端部が互いに離反するように開くことがなく、中材縦材13を安定させることができ、また、中材縦部13間への縦格子5端部の挿入組み立て作業も容易になる。図21には、図20に示した複合中材4が示されている。
【0032】
本発明を実施する場合、図22に示すように、各縦格子接続部6の基端部に、組み立て用の横孔31を設けておくと、縦格子5を組み立て治具側にセットする場合に、中材4a,4bに干渉することなく、組み立て治具側のピンに前記横孔31を嵌合するようにして縦格子5を位置決めして仮置きすることが容易になる。また、一対の中材4a,4b間に縦格子5を安定した状態でセットすることができ、図23及び図24に示すように、リベットあるいはボルト等の連結手段29による各中材と縦格子5の連結する場合にも容易になる。図25には、図23に示す状態から胴縁3を装着した本発明の第6実施形態のフェンス1が示されており、前記の横孔31以外の構成は、前記各実施形態の場合と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付している。
【0033】
以上のように、本発明の実施形態によると、互いに平行な上下の胴縁3間を、互いに平行な複数の縦格子5で連結したフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記各胴縁3はその長手方向に連続したスリット7を有する胴縁3であると共に、スリット7の両側に対向するように胴縁内に向かってそれぞれ起立する胴縁スリット側屈折部10が胴縁3の周面部(周面板)に一体に連接されて備え、上下の胴縁3はスリット7が対向するように配置され、中材縦部13と中材横部14とを備えた一対の中材4a,4bにおける補剛板としての各中材縦部13が縦格子5の端部を挟んで背中合わせに配置されて縦格子5と共に取り付けられ、前記一対の中材4a,4bが縦格子5の端部と共にそれぞれ各胴縁3の内側に配置され、各中材横部14はそれぞれ前記胴縁スリット側屈折部10に近接又は接触するように配置され、各中材縦部13及び各中材横部14の巾方向の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されて、一対の中材4a,4bを縦格子5の取り付け部材とすると共に胴縁3の断面形態をほぼ維持するように作用する補剛材として機能しているので、胴縁3に鉛直方向あるいは左右方向の荷重が作用した場合には、胴縁3を補剛すると共に胴縁3内に配置された中材4a,4b等が胴縁3と共同して曲げ変形に対して抵抗することができるため、必要とされる曲げ剛性を確保した上で、胴縁3及び中材4a,4bの薄板軽量化を図り、軽量な縦格子パネル1とすることができ、また、2枚の中材4a,4bを用いた簡単な構造で、胴縁3を補剛することができる。
【0034】
また、各縦格子5の軸方向端部と、各縦格子5の軸方向端部を挟み込んでいる一対の中材4a,4bが、胴縁3の横方向の曲げ変形に対して胴縁3を補剛しているので、胴縁3に対して横方向の外力が作用して、胴縁3の周面部(周面板)と中材横部14の先端部とが接触した場合に、胴縁3の周面部の内の胴縁鉛直部分9が、胴縁内側にそれ以上変形するのを防止し、一対の中材4a,4bにおける各中材横部14と各縦格子5の上下端部が連結手段により一体となっており、しかも縦格子5の端部を中材4a,4bで挟みこんでいることにより、胴縁3に横方向の外力が作用しても、スリット7及び中材4a,4b同士の間隔が保持され、前記のように、中材横部14が胴縁周面部を突っ張るので、胴縁3の変形を防止することができる。
なお、中材横部14先端部を胴縁3の内周面に近接配置させる場合に、胴縁長手方向に直角な断面で、スリット7と縦格子5の端部との横方向の隙間より、中材4a,4bの中材横部14先端部と、胴縁3の内周面との間の横方向の隙間を小さく設定するのが好ましい。
【0035】
また、一対の中材4a,4bにおける各中材縦部13と、中材4a,4bにおける中材横部14を介して接する前記胴縁スリット側屈折部10とが共同して、胴縁3の上下方向の曲げ変形に対して補剛しているので、胴縁3に対して鉛直方向の外力が作用して、胴縁3の周面部と中材縦部13の先端部とが接触した場合に、胴縁3の周面部の内の胴縁水平部分8(8a)が、胴縁内側にそれ以上変形するのを防止して、一対の中材4a,4bにおける各中材縦部13と胴縁側の胴縁スリット側屈折部10が中材横部14を介して接触しているので、胴縁3の補剛に寄与することができ、そのため、胴縁3の胴縁スリット側屈折部10と一対の中材4a,4bにおける各中材縦部13とが共同して、胴縁3の鉛直方向の曲げ変形に対して抵抗することができる。
【0036】
また、前記胴縁3における周面部(周面板)は、胴縁3の長手方向に直角な断面で、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁水平部分8(8a)をそれぞれ備えていたり、縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁鉛直部分9をそれぞれ備えているので、胴縁3の長手方向に直角な断面において、高さ寸法又は巾寸法或いは高さ寸法及び巾寸法が小さな断面でも、胴縁3の剛性を効率よく高めることができる。
また、中材4a,4bにおける中材縦部13の巾方向の先端部が前記胴縁水平部分8aに、中材横部14の巾方向の先端部が前記胴縁鉛直部分9に、それぞれ近接又は接触するように配置されているので、胴縁3における前記胴縁水平部分8(8a)あるいは胴縁鉛直部分9の胴縁3内側への変形を小さく抑えて、胴縁を補剛することができる。
また、胴縁3は、そのスリット7側の胴縁水平部分8(8a)に接続するように傾斜面28が設けられているので、縦格子パネル1において下側に配置される胴縁3上面側の平坦面を少なくして塵埃が堆積するのを抑制することができると共に、胴縁水平部分8(8a)を備えていることで剛性を効率よく向上することができる。
また、一対の中材の中材縦部は、連結部により一体とされているので、一対の中材をまとめることができ、部品点数を少なくすることができ組み立て作業性が向上する。
また、縦格子パネル1を、間隔をおいて隣り合う支柱18に亘って設置しているので、胴縁3を簡単な構造で補剛して軽量化された縦格子パネル1を用いたフェンス2とすることができる。また、縦格子パネル1が軽量化されているので、その組立てあるいは搬送設置作業も容易になり、施工が容易なフェンスとすることができる。
【0037】
本発明を実施する場合、前記の胴縁3あるいは中材4a,4bを製作する場合には、市販の鋼板を冷間成形して製作することができ、例えば、亜鉛めっき鋼板をロールフォーミング加工或いはプレス加工により製作すると安価な部材とすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 縦格子パネル
2 フェンス
3 胴縁
4 複合中材
4a 中材
4b 中材
5 縦格子
6 縦格子連結部
7 スリット
8 胴縁水平部分
8a 胴縁水平部分
9 胴縁鉛直部分
10 胴縁スリット側屈折部
11 胴縁傾斜部分
12 胴縁弧状部分
13 中材縦部
14 中材横部
15 長孔
16 取り付け金具
17 ボルト・ナット
18 支柱
19 横孔
20 長孔
21 横孔
22 胴縁傾斜部分
25 胴縁(従来)
26 中材(従来)
27 縦格子パネル
28 傾斜面
29 連結手段
30 接続部
31 横孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な上下の胴縁間を、互いに平行な複数の縦格子で連結したフェンス用の縦格子パネルにおいて、前記各胴縁はその長手方向に連続したスリットを有する胴縁であると共に、スリットの両側に対向するように胴縁内に向かってそれぞれ起立する胴縁スリット側屈折部を胴縁の周面部に一体に備え、上下の胴縁はスリットが対向するように配置され、一対の中材が縦格子の上下端部と共にそれぞれ各上下の胴縁の内側に配置され、前記中材は中材縦部と中材横部とを備え、前記一対の中材における各中材縦部が縦格子の上下端部を挟んで背中合わせに配置されて縦格子と共に回動可能に取り付けられ、各中材横部の基端側でそれぞれ前記胴縁スリット側屈折部に近接又は接触するように配置され、各中材縦部及び各中材横部の先端は、胴縁内側面に近接又は接触するように配置されて、一対の中材を縦格子の取り付け部材とすると共に胴縁の補剛材としていることを特徴とするフェンス用の縦格子パネル。
【請求項2】
各縦格子の上下端部を挟み込んでいる各一対の中材における各中材横部が、胴縁の横方向の曲げ変形に対して胴縁を補剛していることを特徴とする請求項1に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項3】
一対の中材における各中材縦部と、中材における中材横部を介して接する前記胴縁スリット側屈折部とが共同して、胴縁の上下方向の曲げ変形に対して補剛していることを特徴とする請求項1また2に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項4】
前記胴縁における周面部は、胴縁の長手方向に直角な断面で、横中立軸から上下方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁水平部分をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項5】
前記胴縁における周面は、胴縁の長手方向に直角な断面で、縦中立軸から左右方向の両端側の最も遠い位置に互いに平行な胴縁鉛直部分をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項6】
中材における中材縦部の先端部が前記胴縁水平部分に、中材横部の先端部が前記胴縁鉛直部分に、それぞれ近接又は接触するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項7】
胴縁は、そのスリット側の胴縁水平部分に繋がるように傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項8】
一対の中材の中材縦部は、連結部により一体とされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェンス用の縦格子パネル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の縦格子パネルを、間隔をおいて隣り合う支柱に亘って設置していることを特徴とするフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−214289(P2011−214289A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82517(P2010−82517)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】