フエルト製靴底
【課題】 靴底の側面部の減りを少なくして耐久性を向上したフエルト製靴底を提供すること。
【解決手段】 フエルト製靴底3は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂繊維がランダムに絡み合って形成された板状のフエルトを靴底形状に合わせて切断したもので、フエルト製靴底3の側面部3cにゴム又は合成樹脂がフエルト製靴底3を形成する繊維Sの間に充填されて形成されてなる補強部Aを設けている。
補強部Aによりフエルト製靴底3の側面部3cの繊維Sが倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【解決手段】 フエルト製靴底3は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂繊維がランダムに絡み合って形成された板状のフエルトを靴底形状に合わせて切断したもので、フエルト製靴底3の側面部3cにゴム又は合成樹脂がフエルト製靴底3を形成する繊維Sの間に充填されて形成されてなる補強部Aを設けている。
補強部Aによりフエルト製靴底3の側面部3cの繊維Sが倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りや運動等のレジャ−に用いるフエルト製靴底の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
川や海などの水辺や水中を歩行するときに苔などに足を取られやすいため、フエルト製の靴底を有する靴が用いられている。
例えば、釣りにおいては、フエルト製の靴底を有する短靴、長靴、足袋、サンダル、ウエ−ダ−(バカ長靴)など様々な種類の靴が用いられている。
これらの靴は、その靴本体の底の形状に合わせて形成された板状のフエルト製の靴底を有し、靴本体に接着されていたり、靴本体側と靴底側にそれぞれ互いに係合可能なベルベット式面ファスナを設け、靴底を着脱して交換できるようになっており、交換用靴底も販売されている。
この様なフエルト製の靴底の靴を使用すると、歩行中の滑りはなくなるが、フエルトの減りが早いという問題がある。
そこで、従来以下の提案がされている。
【0003】
特許文献1の公報にはフエルト製の靴底の接地面に複数の穴を設け、この穴の内部表面を溶融硬化させたことが記載されている。
ところがフエルト製の靴底は柔らかいため比較的広い面積で地面に沿うように接地し、靴底は靴本体側に向けて真上に押圧されるのみで、接地面は減りが少ないが、靴底の側面部の繊維は、外側の支えが無いため靴底の外側方向に繊維が倒れるように動いてしまい、繊維がほつれやすく減るのが早い。
【0004】
例えば、釣りに使うと、とくに、使い始めに、つま先と踵の繊維が側面部の接地面に近い角部側から引き出されてしまい減りが早く、接地面側がほとんど減っていないにもかかわらず、側面部側が数回の使用で靴本体が地面に接するほど減ってしまうことがある。
【特許文献1】実開平5−93204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、フエルト製の靴底は接地面は減りが少ないが、靴底の側面部は、繊維が倒れるように動いてしまうため、繊維がほつれやすく減るのが早いことである。
【0006】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、靴底の側面部の減りを少なくして耐久性を向上したフエルト製靴底を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、
請求項1に係わる本発明は、フエルト製靴底の側面部にゴム又は合成樹脂からなる補強部を設けたことを要旨とするものである。
請求項2に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維を連結するように形成されていることを要旨とするものである。
請求項3に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維の間に充填されて形成されていることを要旨とするものである。
請求項4に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底の側面部に添着されて形成されていることを要旨とするものである。
請求項5に係わる本発明は、補強部は、フエルト製靴底の側面部から側面部と底面部の間の角部に達するように設けたことを要旨とするものである。
【0008】
従来のフエルト製靴底は、使用するうちに側面部が靴底の外側に倒されてしまい、この時、側面部と底面部の間の角部のフエルトからほつれが始まり、これをきっかけに側面部側が早くフエルト(繊維)が減りやすく、場合によっては、まだ十分な厚味を有しながら側面部が減ったために靴本体が地面に接しやすくなってしまい交換しなければならないということがあったが、本発明により、フエルト製靴底の側面部が強化されて繊維が外側に倒れ難くなり、また、繊維が抜け難くなって摩耗が防止されるため、フエルト製靴底の耐久性が向上することとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、フエルト製靴底の側面部の繊維が倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明すると、図1から図8は第1実施例で、図1はフエルト製靴底の靴の断面図、図2はフエルト製靴底の上面側斜視図、図3はフエルト製靴底の下面側斜視図、図4はフエルト製靴底の一部拡大断面図、図5はフエルト製靴底の変形例の一部拡大断面側面図、図6はフエルト製靴底の他の変形例の下面側斜視図、図7はフエルト製靴底のさらに他の変形例の断面図、図8はフエルト製靴底の靴本体への取り付け例を示す断面図である。
【0011】
図1は、フエルト製靴底の靴で、靴本体1がウレタン、ネオプレン等の合成樹脂やゴムなどの柔軟性を有する材料で足形の底部1aと甲部1bと踵部1cと足首部1dが一体に形成され、底部1aの下側に踵側が高い底部材2が固定され、底部材2の下側にフエルト製靴底3が固定されている。
フエルト製靴底3は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂繊維の集合体にニ−ドルパンチを施し、さらに加圧して上記繊維がランダムに絡み合って形成された板状のフエルト材を形成し、これを靴底形状に合わせて切断することで形成され、接地面になる底面部3aとその反対側の靴本体1に止着する上面部3bとこれらの周囲に沿って側面部3cが形成されている。
【0012】
フエルト製靴底3を形成する繊維は、繊度が2〜40デニ−ルで、繊維長は、10〜100mmのものを用いる。 そして、圧力200〜1000N/m2
で3〜10分押圧し、密度0.1〜0.3g/cm3 とし、厚さ5〜30mmとしたフエルト材を用いている。
【0013】
さらに、フエルト材から切断したフエルト製靴底3の側面部3cに沿って加熱して溶融したウレタンやクロロプレンゴム等のゴム又はフエルトと同種又は異種の合成樹脂材料を塗布して付着させ、これを冷却又は、常温で放置して固着させフエルト製靴底3の側面部3cに補強部Aが形成される。
【0014】
フエルト製靴底3の側面部3cの表面に溶融させた流動性を有するゴム又は合成樹脂材料を塗布すると、その一部がフエルト製靴底3の繊維の間に入り込み含浸された状態になり、その状態で硬化するとゴム又は合成樹脂材料が繊維S間に充填された状態で硬化する。
フエルト製靴底3の補強部Aが形成された部分は、補強部Aが形成されていない部分(フエルト部F)より硬く形成される。
【0015】
補強部Aのゴム又は合成樹脂材料は、図4に示すように繊維S間に充填され、繊維Sを取り込んで繊維S同志を連結して固着している充填層A1が形成されているため側面部3cの表面から繊維Sが抜け出たりほつれたりすることが防止される。
しかも、補強部Aの一部のゴム又は合成樹脂材料は、その一部が繊維S間に入り込まずに側面部3cの表面を覆う表面層A2を形成するため側面部3cの表面からの繊維Sのほつれを防止し、繊維Sが外側に倒れ難くなる。
【0016】
補強部Aのゴム又は合成樹脂材料は、へら等を用いて側面部3cに沿ってこれを押圧しながら塗布するが側面部3cに上記材料を添付して加熱するだけでも繊維Sの間に入り込み含浸された状態になり、繊維間に充填された状態で硬化することができる。
例えば、側面部3cに沿って合成樹脂、ゴム等のシート部材を添設し、これを加熱し、場合によってはシート部材の外側から側面部3cの方向へ押圧して充填層A1を有する補強部Aを形成してもよい。
シート材は、例えば雨具等の目止めに使用するウレタン等の合成樹脂のシームテープを用いることができるが、側面部3cの表面を覆うだけでなく、加熱、溶融して繊維S間に入り込み含浸された状態にし、繊維間に充填された状態で硬化する。
ゴム又は合成樹脂材料が硬化した補強部Aは、可撓性を有するように形成され荷重により歪んでも荷重が除かれればもとの形状戻るようになっている。
【0017】
補強部Aは、フエルト製靴底3の側面部3cに沿ってこれを一周するように形成され、側面部3cから底面部3aに変移する角部3dを通り、図2、図3で点線で示した範囲のように底面部3aの周縁部に達するように形成されているが、接地面になる底面部3aは、周縁部の角部3d近傍に補強部Aが形成されるが、底面部3a表面の中央側などその周縁部を除いては補強部Aが形成されないため、底面部3aの中央側の繊維S(フエルト部F)が露呈しているので歩行中の滑りを止めることができる。
更に、補強部Aもゴム又は合成樹脂材料だけではなく、繊維Sが存在するためすべてゴム又は合成樹脂材料で形成した場合に比べ滑りにくくなっている。
また、このように、側面部3cから角部3dにかけて補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sのほつれを防止することができる。
【0018】
このように形成したフエルト製靴底3はその上面3bに接着剤が塗布され底部1aの下側に設けた底部材2に接着されて固定され、フエルト製靴底を有する靴となる。
このような靴で歩行すると、フエルト部Fと補強部Aが共に摩耗していき、側面部3cが局部的に減ってしまうことがないためフエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【0019】
図5は、補強部Aの変形例であり、補強部Aを形成するゴム又は合成樹脂材料を側面部3cに散布して、側面部3cの表面において上記ゴム又は合成樹脂材料にて繊維S同志を連結するようにして硬化させた補強部Aを散在させ繊維Sのほつれを防止した例である。
このように補強部Aを側面部3c全体に設けるのではなくその表面に繊維Sが残るようにして形成してもよい。
この場合、側面部3cに加熱により溶融したゴムまたは合成樹脂材料を噴霧器等を用いて吹き付けて散在した状態で付着又は繊維間に侵入させ、その後、冷却により硬化させることができる。
フエルト製靴底3の繊維Sと同種の材料を用いると互いのなじみがよく、補強部Aを側面部3cに強固に取り付けることができる。
また、補強部Aはそれぞれ繊維S同志を連結する他に僅かに繊維S間に充填されているためこの点に於いても繊維Sのほつれを防止することができる。
このように形成するとフエルト製靴底3の軽量化を図ることができる。
【0020】
図6は、補強部Aの他の変形例であり、補強部Aを側面部3cを周回して全体に設けるのではなくフエルト製靴底3の側面部3cの最も減りやすい部分のつま先側と踵側のみに設けている。
このように部分的に設けることでフエルト製靴底3の軽量化を図ることができる。
【0021】
図7は、補強部Aの更に他の変形例であり、フエルト製靴底3の側面部3cから角部3dにかけて補強部Aを設けている。
このように、側面部3cから角部3dに補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sのほつれを防止することができる。
【0022】
図8は、フエルト製靴底3の靴本体1への取り付け例を示す断面図であり、前記は、フエルト製靴底3を靴本体1へ接着して取り付けていたが、図8のように、フエルト製靴底3の上面部3b及び靴本体1側の底部材2の下側に互いに係合可能な面ファスナ4,5を取り付けてフエルト製靴底3を靴本体1に対して着脱自在に止着できるようにしてもよく、このようにすると靴底が交換用のフエルト製靴底3’に容易に交換できる。
またこの時フエルト製靴底3の側面部3cに設けた補強部Aは、補強部Aが形成されていない部分(フエルト部F)より硬く形成されるため、フエルト製靴底3の周縁が撓りにくくなり靴本体1からの不用意な脱落が防止される。
【0023】
図9は第2実施例で、フエルト製靴底の靴の断面図、図10は同フエルト製靴底の上面側斜視図、図11は同フエルト製靴底の下面側斜視図、図12は同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【0024】
第2実施例では、フエルト製靴底3は、その側面部3cに沿ってゴム又は合成樹脂からなる帯状の補強部Aが側面部3cに添着され固定されている。
補強部Aは、例えば、補強部Aを構成する部材の側面部3cへ添着する面を加熱して溶融し、この面を側面部3cに当接して取り付け、さらに押圧して補強部Aを構成する部材の溶融した部分を繊維S間に入り込ませて含浸させた状態で硬化させ取り付ける。
したがって、補強部Aは、溶融後硬化したA3の一部が繊維間に入り込み、側面部3cの周囲を溶融しない補強部Aを構成する部材が覆っている。
したがって、外観が良好な補強部Aを構成することができる。
このような補強部Aでも側面部3cを取り囲んでいるため、底面部3aの繊維Sが外側に倒れるのを防止しフエルト製靴底3の耐久性を向上させることができる。
また、側面部3cの補強部Aは、角部3dに達する様に設けたため靴の使用後すぐにほつれを防止する。
その他の構成は第1実施例と同じである。
このように、側面部3cから角部3dに補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sの倒れとほつれを防止することができる。
【0025】
従来フエルト製靴底は、使用するうちに側面部3cが靴底の外側に倒されてしまい、これをきっかけに側面部3c側が早くフエルト(繊維S)が減りやすく、場合によっては、まだ十分な厚味を有しながら側面部3cが減ったために靴本体が地面に接しやすくなってしまい交換しなければならないということがあったが、本願構成により、フエルト製靴底3の側面部3cが強化されて繊維が倒れ難くなり、また、繊維Sが抜け難くなって摩耗が防止されたため、フエルト製靴底3の耐久性が上がり従来より長く使用できるようになった。
【0026】
また、使用を開始するとすぐに角部3dのフエルト(繊維S)が大きくほつれ、これをきっかけに側面部3c側が早くフエルト(繊維S)が減ってしまい耐久性に欠けたが、側面部の補強部Aは、側面部3cと底面部3aの間の角部3dに達するように設けることで、使用開始後すぐの角部3dの減りが小さくなり、また、角部3dの繊維Sに引かれて周辺の繊維Sが引き出されなくなるため、フエルト製靴底3の耐久性が上がり従来より長く使用できるようになった。
【0027】
前記のようにフエルト製靴底が構成されていると、フエルト製靴底3の側面部3cの繊維Sが倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、フエルト製靴底に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施例で、図1はフエルト製靴底の靴の断面図である。
【図2】同フエルト製靴底の上面側斜視図である。
【図3】同フエルト製靴底の下面側斜視図である。
【図4】同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【図5】同フエルト製靴底の変形例の一部拡大断面側面図である。
【図6】同フエルト製靴底の他の変形例の下面側斜視図である。
【図7】同フエルト製靴底のさらに他の変形例の断面図である。
【図8】同フエルト製靴底の靴本体への取り付け例を示す断面図である。
【図9】第2実施例で、フエルト製靴底の靴の断面図である。
【図10】同フエルト製靴底の上面側斜視図である。
【図11】同フエルト製靴底の下面側斜視図である。
【図12】同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 靴本体
3 フエルト製靴底
3a 底面部
3c 側面部
A 補強部
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りや運動等のレジャ−に用いるフエルト製靴底の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
川や海などの水辺や水中を歩行するときに苔などに足を取られやすいため、フエルト製の靴底を有する靴が用いられている。
例えば、釣りにおいては、フエルト製の靴底を有する短靴、長靴、足袋、サンダル、ウエ−ダ−(バカ長靴)など様々な種類の靴が用いられている。
これらの靴は、その靴本体の底の形状に合わせて形成された板状のフエルト製の靴底を有し、靴本体に接着されていたり、靴本体側と靴底側にそれぞれ互いに係合可能なベルベット式面ファスナを設け、靴底を着脱して交換できるようになっており、交換用靴底も販売されている。
この様なフエルト製の靴底の靴を使用すると、歩行中の滑りはなくなるが、フエルトの減りが早いという問題がある。
そこで、従来以下の提案がされている。
【0003】
特許文献1の公報にはフエルト製の靴底の接地面に複数の穴を設け、この穴の内部表面を溶融硬化させたことが記載されている。
ところがフエルト製の靴底は柔らかいため比較的広い面積で地面に沿うように接地し、靴底は靴本体側に向けて真上に押圧されるのみで、接地面は減りが少ないが、靴底の側面部の繊維は、外側の支えが無いため靴底の外側方向に繊維が倒れるように動いてしまい、繊維がほつれやすく減るのが早い。
【0004】
例えば、釣りに使うと、とくに、使い始めに、つま先と踵の繊維が側面部の接地面に近い角部側から引き出されてしまい減りが早く、接地面側がほとんど減っていないにもかかわらず、側面部側が数回の使用で靴本体が地面に接するほど減ってしまうことがある。
【特許文献1】実開平5−93204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、フエルト製の靴底は接地面は減りが少ないが、靴底の側面部は、繊維が倒れるように動いてしまうため、繊維がほつれやすく減るのが早いことである。
【0006】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、靴底の側面部の減りを少なくして耐久性を向上したフエルト製靴底を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、
請求項1に係わる本発明は、フエルト製靴底の側面部にゴム又は合成樹脂からなる補強部を設けたことを要旨とするものである。
請求項2に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維を連結するように形成されていることを要旨とするものである。
請求項3に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維の間に充填されて形成されていることを要旨とするものである。
請求項4に係わる本発明は、補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底の側面部に添着されて形成されていることを要旨とするものである。
請求項5に係わる本発明は、補強部は、フエルト製靴底の側面部から側面部と底面部の間の角部に達するように設けたことを要旨とするものである。
【0008】
従来のフエルト製靴底は、使用するうちに側面部が靴底の外側に倒されてしまい、この時、側面部と底面部の間の角部のフエルトからほつれが始まり、これをきっかけに側面部側が早くフエルト(繊維)が減りやすく、場合によっては、まだ十分な厚味を有しながら側面部が減ったために靴本体が地面に接しやすくなってしまい交換しなければならないということがあったが、本発明により、フエルト製靴底の側面部が強化されて繊維が外側に倒れ難くなり、また、繊維が抜け難くなって摩耗が防止されるため、フエルト製靴底の耐久性が向上することとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、フエルト製靴底の側面部の繊維が倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明すると、図1から図8は第1実施例で、図1はフエルト製靴底の靴の断面図、図2はフエルト製靴底の上面側斜視図、図3はフエルト製靴底の下面側斜視図、図4はフエルト製靴底の一部拡大断面図、図5はフエルト製靴底の変形例の一部拡大断面側面図、図6はフエルト製靴底の他の変形例の下面側斜視図、図7はフエルト製靴底のさらに他の変形例の断面図、図8はフエルト製靴底の靴本体への取り付け例を示す断面図である。
【0011】
図1は、フエルト製靴底の靴で、靴本体1がウレタン、ネオプレン等の合成樹脂やゴムなどの柔軟性を有する材料で足形の底部1aと甲部1bと踵部1cと足首部1dが一体に形成され、底部1aの下側に踵側が高い底部材2が固定され、底部材2の下側にフエルト製靴底3が固定されている。
フエルト製靴底3は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂繊維の集合体にニ−ドルパンチを施し、さらに加圧して上記繊維がランダムに絡み合って形成された板状のフエルト材を形成し、これを靴底形状に合わせて切断することで形成され、接地面になる底面部3aとその反対側の靴本体1に止着する上面部3bとこれらの周囲に沿って側面部3cが形成されている。
【0012】
フエルト製靴底3を形成する繊維は、繊度が2〜40デニ−ルで、繊維長は、10〜100mmのものを用いる。 そして、圧力200〜1000N/m2
で3〜10分押圧し、密度0.1〜0.3g/cm3 とし、厚さ5〜30mmとしたフエルト材を用いている。
【0013】
さらに、フエルト材から切断したフエルト製靴底3の側面部3cに沿って加熱して溶融したウレタンやクロロプレンゴム等のゴム又はフエルトと同種又は異種の合成樹脂材料を塗布して付着させ、これを冷却又は、常温で放置して固着させフエルト製靴底3の側面部3cに補強部Aが形成される。
【0014】
フエルト製靴底3の側面部3cの表面に溶融させた流動性を有するゴム又は合成樹脂材料を塗布すると、その一部がフエルト製靴底3の繊維の間に入り込み含浸された状態になり、その状態で硬化するとゴム又は合成樹脂材料が繊維S間に充填された状態で硬化する。
フエルト製靴底3の補強部Aが形成された部分は、補強部Aが形成されていない部分(フエルト部F)より硬く形成される。
【0015】
補強部Aのゴム又は合成樹脂材料は、図4に示すように繊維S間に充填され、繊維Sを取り込んで繊維S同志を連結して固着している充填層A1が形成されているため側面部3cの表面から繊維Sが抜け出たりほつれたりすることが防止される。
しかも、補強部Aの一部のゴム又は合成樹脂材料は、その一部が繊維S間に入り込まずに側面部3cの表面を覆う表面層A2を形成するため側面部3cの表面からの繊維Sのほつれを防止し、繊維Sが外側に倒れ難くなる。
【0016】
補強部Aのゴム又は合成樹脂材料は、へら等を用いて側面部3cに沿ってこれを押圧しながら塗布するが側面部3cに上記材料を添付して加熱するだけでも繊維Sの間に入り込み含浸された状態になり、繊維間に充填された状態で硬化することができる。
例えば、側面部3cに沿って合成樹脂、ゴム等のシート部材を添設し、これを加熱し、場合によってはシート部材の外側から側面部3cの方向へ押圧して充填層A1を有する補強部Aを形成してもよい。
シート材は、例えば雨具等の目止めに使用するウレタン等の合成樹脂のシームテープを用いることができるが、側面部3cの表面を覆うだけでなく、加熱、溶融して繊維S間に入り込み含浸された状態にし、繊維間に充填された状態で硬化する。
ゴム又は合成樹脂材料が硬化した補強部Aは、可撓性を有するように形成され荷重により歪んでも荷重が除かれればもとの形状戻るようになっている。
【0017】
補強部Aは、フエルト製靴底3の側面部3cに沿ってこれを一周するように形成され、側面部3cから底面部3aに変移する角部3dを通り、図2、図3で点線で示した範囲のように底面部3aの周縁部に達するように形成されているが、接地面になる底面部3aは、周縁部の角部3d近傍に補強部Aが形成されるが、底面部3a表面の中央側などその周縁部を除いては補強部Aが形成されないため、底面部3aの中央側の繊維S(フエルト部F)が露呈しているので歩行中の滑りを止めることができる。
更に、補強部Aもゴム又は合成樹脂材料だけではなく、繊維Sが存在するためすべてゴム又は合成樹脂材料で形成した場合に比べ滑りにくくなっている。
また、このように、側面部3cから角部3dにかけて補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sのほつれを防止することができる。
【0018】
このように形成したフエルト製靴底3はその上面3bに接着剤が塗布され底部1aの下側に設けた底部材2に接着されて固定され、フエルト製靴底を有する靴となる。
このような靴で歩行すると、フエルト部Fと補強部Aが共に摩耗していき、側面部3cが局部的に減ってしまうことがないためフエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【0019】
図5は、補強部Aの変形例であり、補強部Aを形成するゴム又は合成樹脂材料を側面部3cに散布して、側面部3cの表面において上記ゴム又は合成樹脂材料にて繊維S同志を連結するようにして硬化させた補強部Aを散在させ繊維Sのほつれを防止した例である。
このように補強部Aを側面部3c全体に設けるのではなくその表面に繊維Sが残るようにして形成してもよい。
この場合、側面部3cに加熱により溶融したゴムまたは合成樹脂材料を噴霧器等を用いて吹き付けて散在した状態で付着又は繊維間に侵入させ、その後、冷却により硬化させることができる。
フエルト製靴底3の繊維Sと同種の材料を用いると互いのなじみがよく、補強部Aを側面部3cに強固に取り付けることができる。
また、補強部Aはそれぞれ繊維S同志を連結する他に僅かに繊維S間に充填されているためこの点に於いても繊維Sのほつれを防止することができる。
このように形成するとフエルト製靴底3の軽量化を図ることができる。
【0020】
図6は、補強部Aの他の変形例であり、補強部Aを側面部3cを周回して全体に設けるのではなくフエルト製靴底3の側面部3cの最も減りやすい部分のつま先側と踵側のみに設けている。
このように部分的に設けることでフエルト製靴底3の軽量化を図ることができる。
【0021】
図7は、補強部Aの更に他の変形例であり、フエルト製靴底3の側面部3cから角部3dにかけて補強部Aを設けている。
このように、側面部3cから角部3dに補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sのほつれを防止することができる。
【0022】
図8は、フエルト製靴底3の靴本体1への取り付け例を示す断面図であり、前記は、フエルト製靴底3を靴本体1へ接着して取り付けていたが、図8のように、フエルト製靴底3の上面部3b及び靴本体1側の底部材2の下側に互いに係合可能な面ファスナ4,5を取り付けてフエルト製靴底3を靴本体1に対して着脱自在に止着できるようにしてもよく、このようにすると靴底が交換用のフエルト製靴底3’に容易に交換できる。
またこの時フエルト製靴底3の側面部3cに設けた補強部Aは、補強部Aが形成されていない部分(フエルト部F)より硬く形成されるため、フエルト製靴底3の周縁が撓りにくくなり靴本体1からの不用意な脱落が防止される。
【0023】
図9は第2実施例で、フエルト製靴底の靴の断面図、図10は同フエルト製靴底の上面側斜視図、図11は同フエルト製靴底の下面側斜視図、図12は同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【0024】
第2実施例では、フエルト製靴底3は、その側面部3cに沿ってゴム又は合成樹脂からなる帯状の補強部Aが側面部3cに添着され固定されている。
補強部Aは、例えば、補強部Aを構成する部材の側面部3cへ添着する面を加熱して溶融し、この面を側面部3cに当接して取り付け、さらに押圧して補強部Aを構成する部材の溶融した部分を繊維S間に入り込ませて含浸させた状態で硬化させ取り付ける。
したがって、補強部Aは、溶融後硬化したA3の一部が繊維間に入り込み、側面部3cの周囲を溶融しない補強部Aを構成する部材が覆っている。
したがって、外観が良好な補強部Aを構成することができる。
このような補強部Aでも側面部3cを取り囲んでいるため、底面部3aの繊維Sが外側に倒れるのを防止しフエルト製靴底3の耐久性を向上させることができる。
また、側面部3cの補強部Aは、角部3dに達する様に設けたため靴の使用後すぐにほつれを防止する。
その他の構成は第1実施例と同じである。
このように、側面部3cから角部3dに補強部Aを設けると使用後すぐに減りやすい角部3dとその近傍からの繊維Sの倒れとほつれを防止することができる。
【0025】
従来フエルト製靴底は、使用するうちに側面部3cが靴底の外側に倒されてしまい、これをきっかけに側面部3c側が早くフエルト(繊維S)が減りやすく、場合によっては、まだ十分な厚味を有しながら側面部3cが減ったために靴本体が地面に接しやすくなってしまい交換しなければならないということがあったが、本願構成により、フエルト製靴底3の側面部3cが強化されて繊維が倒れ難くなり、また、繊維Sが抜け難くなって摩耗が防止されたため、フエルト製靴底3の耐久性が上がり従来より長く使用できるようになった。
【0026】
また、使用を開始するとすぐに角部3dのフエルト(繊維S)が大きくほつれ、これをきっかけに側面部3c側が早くフエルト(繊維S)が減ってしまい耐久性に欠けたが、側面部の補強部Aは、側面部3cと底面部3aの間の角部3dに達するように設けることで、使用開始後すぐの角部3dの減りが小さくなり、また、角部3dの繊維Sに引かれて周辺の繊維Sが引き出されなくなるため、フエルト製靴底3の耐久性が上がり従来より長く使用できるようになった。
【0027】
前記のようにフエルト製靴底が構成されていると、フエルト製靴底3の側面部3cの繊維Sが倒れ難く、また、ほつれ難くなるため、フエルト製靴底3の耐久性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、フエルト製靴底に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施例で、図1はフエルト製靴底の靴の断面図である。
【図2】同フエルト製靴底の上面側斜視図である。
【図3】同フエルト製靴底の下面側斜視図である。
【図4】同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【図5】同フエルト製靴底の変形例の一部拡大断面側面図である。
【図6】同フエルト製靴底の他の変形例の下面側斜視図である。
【図7】同フエルト製靴底のさらに他の変形例の断面図である。
【図8】同フエルト製靴底の靴本体への取り付け例を示す断面図である。
【図9】第2実施例で、フエルト製靴底の靴の断面図である。
【図10】同フエルト製靴底の上面側斜視図である。
【図11】同フエルト製靴底の下面側斜視図である。
【図12】同フエルト製靴底の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 靴本体
3 フエルト製靴底
3a 底面部
3c 側面部
A 補強部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フエルト製靴底の側面部にゴム又は合成樹脂からなる補強部を設けたことを特徴とするフエルト製靴底。
【請求項2】
補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維を連結するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のフエルト製靴底。
【請求項3】
補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維の間に充填されて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のフエルト製靴底。
【請求項4】
補強部はゴム又は合成樹脂少なくとも一部がフエルト製靴底の側面部に添着されて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のフエルト製靴底。
【請求項5】
補強部はフエルト製靴底の側面部から側面部と底面部の間の角部に達するように設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載のフエルト製靴底。
【請求項1】
フエルト製靴底の側面部にゴム又は合成樹脂からなる補強部を設けたことを特徴とするフエルト製靴底。
【請求項2】
補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維を連結するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のフエルト製靴底。
【請求項3】
補強部はゴム又は合成樹脂の少なくとも一部がフエルト製靴底を形成する繊維の間に充填されて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のフエルト製靴底。
【請求項4】
補強部はゴム又は合成樹脂少なくとも一部がフエルト製靴底の側面部に添着されて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のフエルト製靴底。
【請求項5】
補強部はフエルト製靴底の側面部から側面部と底面部の間の角部に達するように設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載のフエルト製靴底。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−51344(P2006−51344A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206600(P2005−206600)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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