説明

フォークリフト

【課題】 通常の状況では中間の後傾角で停止でき、必要に応じ大きな後傾角が得られるフォークリフトを提供する。
【解決手段】 複数の車輪3,4を設けた車体2の前部側に、フォーク14を有するマスト6を前後方向に傾動自在に設け、前後傾動を行わせるマスト傾動手段8を設けた。マスト6の後側への傾動角を検出する後傾角検出手段30と、後傾角検出手段30の検出に基づいてマスト6の後側への傾動を中間位置で停止させる中間後傾停止手段35と、中間停止状態を解除させる中間後傾解除手段37を設けた。マストの後側への傾動角を後傾角検出手段により検出して中間後傾停止手段を作動させ、後側への傾動を中間位置で停止させることで、通常の状況では中間の後傾角で停止できる。中間後傾解除手段により中間後傾停止手段による中間停止状態を解除することで、必要に応じて大きな後傾角を得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車体に対してマストが前後方向に傾動自在に設けられたフォークリフトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のフォークリフトは、図7、図8で示す構成であった。すなわちフォークリフト1は、その車体2の前部に左右一対の前車輪(駆動輪)3が設けられるとともに、後部に左右一対の後車輪(換向輪)4が設けられ、そして車体2の前部で上方には運転部5が設けられる。前記車体2の前端部には上下方向で伸縮自在なマスト6が、車幅方向のマスト連結軸7を介して前後方向に回動自在に取り付けられるとともに、前後回動を行わせるティルトシリンダー8が、車体2とマスト6との間に設けられる。
【0003】前記マスト6は、フォークリフト1側の左右一対の外枠9と、この外枠9に案内されて昇降自在な左右一対の内枠10とからなり、そして外枠9と内枠10との間にリフトシリンダー11が設けられている。また内枠10側に案内されて昇降自在なリフトブラケット12が設けられるとともに、このリフトブラケット12に保持枠体13を介して、左右一対のフォーク14が設けられている。
【0004】前記運転部5には、座席15や、この座席15の前方に位置されるハンドル16などが配設され、そして上方には、本体2側から立設されたフロント支柱17やリヤ支柱18を介してヘッドガード19が配設されている。さらに座席15の後方で本体2上にはカウンターウエイト20が設けられている。
【0005】前記本体2側に搭載された油タンク21と前記ティルトシリンダー8との間の給排油経路22中には、ポンプ23やメインバルブ24が設けられている。そして前記ハンドル16の近くには、前記メインバルブ24に連動されたティルト操作レバー25が設けられている。
【0006】このような従来のフォークリフト1では、ティルト操作レバー25の操作、すなわちティルト操作レバー25を押し引きしてメインバルブ24を切換えることにより、ティルトシリンダー8を伸縮動させて、マスト6をマスト連結軸7を介して前後方向に傾動し得、このときフォーク14も一体状に傾動し得る。
【0007】その際に、ティルト操作レバー25を手前に引くことにより、ティルトシリンダー8のロッド側にポンプ23からの作動油が流入して、このティルトシリンダー8を収縮動させ得、以て図7の仮想線に示すように、マスト6を後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷(被運搬物)Aを後傾し得ることになる。
【0008】これにより、制動時や路面の傾斜により積荷Aが前方に飛び出すことを防止し得、以て積荷Aが安定することになる。なおティルト操作レバー25を引き続けるとティルトシリンダー8はストロークエンドに達し、最高傾動位置で作動が停止される。この場合に最大後傾角は、通常12°仕様が主流である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、積荷Aがコンテナなどの容器の場合、この容器内に積み込まれた荷物群の後方に空間が生じる場合が多く、したがって、大きく後傾すると容器内で荷崩れを起こすことになる。この場合に、運転者の感覚により最後傾までせずに使用されている。なお、積荷Aがほぼ限定されている場合には、後傾角を数度に設定したフォークリフトも有るが、路面の状況(排水の傾斜等)、天候の状況、他の積荷Aを扱う場合も有り、更に後傾させることができる構造の要望がある。
【0010】そこで本発明の請求項1記載の発明は、通常の状況では中間の後傾角で停止し得、必要に応じ大きな後傾角が得られるフォークリフトを提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のフォークリフトは、複数の車輪が設けられた車体の前部側には、フォークを有するマストが前後方向に傾動自在に設けられるとともに、前後傾動を行わせるマスト傾動手段が設けられ、さらに、前記マストの後側への傾動角を検出する後傾角検出手段と、この後傾角検出手段の検出に基づいてマストの後側への傾動を中間位置で停止させる中間後傾停止手段と、この中間停止状態を解除させる中間後傾解除手段とが設けられていることを特徴としたものである。
【0012】したがって請求項1の発明によると、マスト傾動手段の作動により、マストを前後方向に傾動し得る。その際に、マストの後側への傾動角を後傾角検出手段により検出して中間後傾停止手段を作動させ、後側への傾動を中間位置で停止させることで、通常の状況では中間の後傾角で停止し得る。そして、中間後傾解除手段により中間後傾停止手段による中間停止状態を解除することで、必要に応じて大きな後傾角を得られる。
【0013】また本発明の請求項2記載のフォークリフトは、上記した請求項1記載の構成において、中間後傾停止手段は、中間後傾停止角を調整して設定自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0014】したがって請求項2の発明によると、マストの後側への傾動角を後傾角検出手段により検出し、その検出値があらかじめ設定していた中間後傾停止角の値と同じになったときに、中間後傾停止手段によってマストの後側への傾動を停止させることで、通常の状況では希望する中間の後傾角で停止し得る。
【0015】そして本発明の請求項3記載のフォークリフトは、上記した請求項1または2記載の構成において、マスト傾動手段はティルト操作レバーの操作により作動し、このティルト操作レバーの上部に中間後傾解除手段が装備されていることを特徴としたものである。
【0016】したがって請求項3の発明によると、ティルト操作レバーの上部に装備された中間後傾解除手段を操作することにより中間停止状態を解除し得る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第1の実施の形態を、図1、図2に基づいて説明する。なお、実施の形態において、前述した従来例(図7、図8)と同一の構成物またはほぼ同一の構成物については、同一の符号を付して詳細は省略する。
【0018】すなわち、1はフォークリフト、2は車体、3は前車輪、4は後車輪、5は運転部、6はマスト、7はマスト連結軸、8はティルトシリンダー、9は外枠、10は内枠、11はリフトシリンダー、12はリフトブラケット、13は保持枠体、14はフォーク、15は座席、16はハンドル、17はフロント支柱、18はリヤ支柱、19はヘッドガード、20はカウンターウエイト、21はタンク、22は給排油経路、23はポンプ、24はメインバルブ、25はティルト操作レバー、Aは積荷をそれぞれ示す。
【0019】ここで、左右一対の前車輪3は駆動輪(駆動構造は図示せず。)であり、また左右一対の後車輪4は換向輪である。前記車体2の前部側に位置されるマスト6は、起立状の姿勢においてその下部側が左右の前車輪3間に位置される。そしてマスト6は、前車輪3間でかつ車幅方向に位置されるマスト連結軸7を介して前記車体2に対して前後方向に傾動自在に設けられている。前記マスト6の前後傾動を行わせるマスト傾動手段の一例であるティルトシリンダー8が、車体2側とマスト6における外枠9との間に設けられている。
【0020】前記マスト6の後側への傾動角を検出する後傾角検出手段30と、この後傾角検出手段30の検出に基づいてマスト6の後側への傾動を中間位置で停止させる中間後傾停止手段と、この中間停止状態を解除させる中間後傾解除手段37とが設けられている。
【0021】すなわち、後傾角検出手段30は、前記ティルトシリンダー8におけるシリンダー本体8A側に設けられたセンサー31と、ティルトシリンダー8におけるピストンロッド8B側に設けられた被検出板32などにより、その一例が構成されている。この後傾角検出手段30は、ティルトシリンダー8の収縮動によりマスト6を後へ傾動(後傾)させる際に、その収縮動が中間に達したとき被検出板32がセンサー31により検出されるように構成されている。
【0022】前記中間後傾停止手段は、前記給排油経路22中でかつメインバルブ24とティルトシリンダー8との間に設けられたソレノイドバルブ35により、その一例が構成されている。前記中間後傾解除手段37は、解除スイッチ38や制御装置39などにより、その一例が構成されている。なお前記解除スイッチ38は、更に後傾したい場合に操作がしやすいように、ティルト操作レバー25の上部に装備されている。
【0023】以下に、上記した第1の実施の形態における作用を説明する。図1の実線は通常走行時を示している。このときティルトシリンダー8の伸展によりマスト6は起立状の姿勢にあり、その下部側が左右の前車輪3間に位置されている。このようなフォークリフト1は、運転部5の座席15に座った作業者がハンドル16を操縦することで、走行動し得る。そしてリフト用レバーを操作しリフトシリンダー11を作動させることで、リフトブラケット12などを介してフォーク14を昇降動させ得、以て所期のフォーク作業を行える。
【0024】また座席15に座った作業者が、ティルト操作レバー25の操作、すなわちティルト操作レバー25を押し引きしてメインバルブ24を切換えることにより、ティルトシリンダー8を伸縮動させて、マスト6をマスト連結軸7を介して前後方向に傾動し得る。
【0025】その際に、ティルト操作レバー25を手前に引くことにより、ティルトシリンダー8のロッド側にポンプ23からの作動油が流入して、このティルトシリンダー8を収縮動させ得、以て図1の仮想線で示すように、マスト6を後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aを後傾し得る。
【0026】このとき、ティルトシリンダー8の収縮動が中間に達したとき、被検出板32をセンサー31が検出し、その検出信号を制御装置39に入力することにより、この制御装置39からの指示によってソレノイドバルブ35を自動的に閉動させることになり、以てティルトシリンダー8の収縮動を停止させて、マスト6の後へ傾動(後傾)を中間で停止し得る。すなわち、前記マスト6の後側への傾動角を後傾角検出手段30により検出し、この後傾角検出手段30の検出に基づいて作動するソレノイドバルブ(中間後傾停止手段)35によって、マスト6の後側への傾動を中間位置で停止し得る。
【0027】その後に、マスト6をさらに後へ傾動(後傾)させるとき、ティルト操作レバー25に装備している解除スイッチ38を押し(オン)操作し、その信号を制御装置39に入力する。これにより、センサー31が検出状態でありながら、制御装置39からの指示によってソレノイドバルブ35を開動し得る。すなわち、中間後傾解除手段37によって、ソレノイドバルブ35による中間停止状態を解除し得る。
【0028】したがって、解除スイッチ38を押しながらティルト操作レバー25を手前に引くことにより、ティルトシリンダー8をさらに収縮動させ得、以てマスト6をさらに後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aをさらに後傾し得る。その際に、マスト6の後へ傾動(後傾)は、ティルトシリンダー8がストロークエンドに達した最高傾動位置(最大後傾角は通常12°)で自動的に停止し得るが、ストロークエンドに達する前に解除スイッチ38の押し操作を開放させることで、任意の後傾角で停止し得る。
【0029】なお、図1の仮想線に示すようにマスト連結軸7の周りに傾動させているマスト6を、図1の実線に示すように起立状の姿勢に戻すには、一方向弁36の作用により、解除スイッチ38を押すことなくティルト操作レバー25を前方へ押すことにより、ティルトシリンダー8を伸展動させて行える。
【0030】上述したように、前記マスト6の後側への傾動角を後傾角検出手段30により検出してソレノイドバルブ35を作動させ、マスト6の後側への傾動を中間位置で停止し得ることで、通常の状況では希望する中間の後傾角で停止し得、そして、中間後傾解除手段37によりソレノイドバルブ35による中間停止状態を解除し得ることで、必要に応じ大きな後傾角を得られる。
【0031】これによりフォーク14を任意の後傾角で維持し得、以て積荷Aが落下することを防止し得るとともに、たとえば、この積荷(容器)A内に積み込まれた荷物群が荷崩れを起こすようなことを防止し得る。
【0032】次に、本発明の第2の実施の形態を、図3R>3、図4に基づいて説明する。すなわち、後傾角検出手段40は、前記ティルトシリンダー8におけるシリンダー本体8A側に設けられたセンサー41と、ティルトシリンダー8におけるピストンロッド8B側に設けられた被検出板42などにより、その一例が構成されている。この後傾角検出手段40は、ティルトシリンダー8の収縮動によりマスト6を後へ傾動(後傾)させる際に、その収縮動が中間に達したとき被検出板42がセンサー41により検出されるように構成されている。
【0033】前記中間後傾停止手段は、前記給排油経路22中でかつメインバルブ24とティルトシリンダー8との間に設けられたソレノイドバルブ45により、その一例が構成されている。前記中間後傾解除手段は、センサー41とリレー43との間に介在された解除スイッチ47により、その一例が構成されている。なお前記解除スイッチ47は、更に後傾したい場合に操作がしやすいように、ティルト操作レバー25の上部に装備されている。
【0034】以下に、上記した第2の実施の形態における作用を説明する。通常においては、センサー41がオフでかつ解除スイッチ47がオンの状態であり、このときリレー43は非励滋(オフ)でソレノイドバルブ45は開動(導通)状態にある。したがって、座席15に座った作業者が、ティルト操作レバー25を手前に引いてメインバルブ24を動作させることにより、ティルトシリンダー8のロッド側にポンプ23からの作動油が流入して、このティルトシリンダー8を収縮動させ得、以て図3の仮想線で示すように、マスト6を後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aを後傾し得る。
【0035】そして、ティルトシリンダー8の収縮動が中間に達したとき、センサー41は被検出板42を検出してオンとなり、これによりリレー43が励滋(オン)してソレノイドバルブ45は自動的に閉動(遮断)状態になり、以てティルトシリンダー8の収縮動を停止させて、マスト6の後へ傾動(後傾)を中間で停止し得る。すなわち、前記マスト6の後側への傾動角を後傾角検出手段40により検出し、この後傾角検出手段40の検出に基づいて作動するソレノイドバルブ(中間後傾停止手段)45によって、マスト6の後側への傾動を中間位置で停止し得る。
【0036】その後に、マスト6をさらに後へ傾動(後傾)させるとき、ティルト操作レバー25に装備している解除スイッチ47を押し(オフ)操作する。これにより、ソレノイドバルブ45は非励滋(オフ)となり、したがって、センサー31が検出状態でありながら、ソレノイドバルブ35を開動(導通)状態にし得る。すなわち、解除スイッチ47によって、ソレノイドバルブ35による中間停止状態を解除し得る。
【0037】したがって、解除スイッチ47を押しながらティルト操作レバー25を手前に引くことにより、ティルトシリンダー8をさらに収縮動させ得、以てマスト6をさらに後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aをさらに後傾し得る。その際に、マスト6の後へ傾動(後傾)は、ティルトシリンダー8がストロークエンドに達した最高傾動位置(最大後傾角は通常12°)で自動的に停止し得るが、ストロークエンドに達する前に解除スイッチ47の押し操作を開放させることで、任意の後傾角で停止し得る。
【0038】なお、図3の仮想線に示すようにマスト連結軸7の周りに傾動させているマスト6を、図3の実線に示すように起立状の姿勢に戻すには、一方向弁46の作用により、解除スイッチ38を押すことなくティルト操作レバー25を前方へ押してメインバルブ24を逆動作させることにより、ティルトシリンダー8を伸展動させて行える。
【0039】上述したように、前記マスト6の後側への傾動角を後傾角検出手段40により検出してソレノイドバルブ45を作動させ、マスト6の後側への傾動を中間位置で停止し得ることで、通常の状況では希望する中間の後傾角で停止し得、そして、解除スイッチ47によりソレノイドバルブ45による中間停止状態を解除し得ることで、必要に応じ大きな後傾角を得られる。
【0040】これによりフォーク14を任意の後傾角で維持し得、以て積荷Aが落下することを防止し得るとともに、たとえば、この積荷(容器)A内に積み込まれた荷物群が荷崩れを起こすようなことを防止し得る。
【0041】前記ソレノイドバルブ45とリレー43との間には、中間後傾停止機能解除スイッチ48が介在され、これをオフ操作することで、一般のフォークにおけるティルト機能が可能となる。
【0042】なお、第1の実施の形態や第2の実施の形態において、センサー31,41を増設することにより、中間後傾停止位置を複数箇所に設けることもできる。次に、本発明の第3の実施の形態を、図5、図6に基づいて説明する。
【0043】すなわち、後傾角検出手段は、前記ティルトシリンダー8におけるシリンダー本体8A側とピストンロッド8B側との間に設けられたポテンショメータ50などにより、その一例が構成されている。このポテンショメータ50は、ティルトシリンダー8の収縮動によりマスト6を後へ傾動(後傾)させる際に、その収縮量が随時に検出されるように構成されている。
【0044】中間後傾停止手段53は、中間後傾停止角を調整して設定自在に構成されている。すなわち中間後傾停止手段53は、前記給排油経路22中でかつメインバルブ24とティルトシリンダー8との間に設けられたソレノイドバルブ54と、前記ポテンショメータ50やソレノイドバルブ54に接続される制御装置55と、この制御装置55に接続された中間後傾停止角設定装置56などにより、その一例が構成されている。なお中間後傾停止角設定装置56はダイヤル形式であり、操作がしやすいように座席15の近くに装備されている。
【0045】中間後傾解除手段は、ポテンショメータ50とソレノイドバルブ54との間に介在される解除スイッチ58などにより、その一例が構成されている。なお前記解除スイッチ58は、更に後傾したい場合に操作がしやすいように、ティルト操作レバー25の上部に装備されている。
【0046】以下に、上記した第3の実施の形態における作用を説明する。通常においては解除スイッチ58がオンの状態であり、このときソレノイドバルブ54は非励滋(オフ)で開動(導通)状態にある。したがって、座席15に座った作業者が、ティルト操作レバー25を手前に引いてメインバルブ24を動作させることにより、ティルトシリンダー8のロッド側にポンプ23からの作動油が流入して、このティルトシリンダー8を収縮動させ得、以て図5の仮想線で示すように、マスト6を後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aを後傾し得る。
【0047】その際に、目的とする後傾角がある場合には、あらかじめ中間後傾停止角設定装置56に設定しておく。すると、ティルトシリンダー8の収縮動によりマスト6が目的とする後傾角に達したとき、ポテンショメータ50からの検出信号が制御装置55に入り、そして制御装置55からの指示によりソレノイドバルブ54は励滋(オン)して自動的に閉動(遮断)状態になり、以てティルトシリンダー8の収縮動を停止させて、マスト6の後へ傾動(後傾)を目的とする後傾角で停止し得る。
【0048】すなわち、前記マスト6の後側への傾動角をポテンショメータ(後傾角検出手段)50により検出し、このポテンショメータ50の検出値があらかじめ中間後傾停止角設定装置56に設定していた中間後傾停止角の値と同じになったときに、中間後傾停止手段53によってマスト6の後側への傾動を停止し得る。
【0049】その後に、マスト6をさらに後へ傾動(後傾)させるとき、ティルト操作レバー25に装備している解除スイッチ58を押し(オフ)操作する。これにより、ソレノイドバルブ54は非励滋(オフ)となり、したがって、ポテンショメータ50が設定値を検出状態でありながら、ソレノイドバルブ54を開動(導通)状態にし得る。すなわち、解除スイッチ58によって、ソレノイドバルブ54による中間停止状態を解除し得る。
【0050】したがって、解除スイッチ58を押しながらティルト操作レバー25を手前に引くことにより、ティルトシリンダー8をさらに収縮動させ得、以てマスト6をさらに後へ傾動(後傾)させて、フォーク14により支持している積荷Aをさらに後傾し得る。その際に、マスト6の後へ傾動(後傾)は、ティルトシリンダー8がストロークエンドに達した最高傾動位置(最大後傾角は通常12°)で自動的に停止し得るが、ストロークエンドに達する前に解除スイッチ58の押し操作を開放させることで、任意の後傾角で停止し得る。
【0051】なお、図5の仮想線に示すようにマスト連結軸7の周りに傾動させているマスト6を、図5の実線に示すように起立状の姿勢に戻すには、一方向弁57の作用により、解除スイッチ38を押すことなくティルト操作レバー25を前方へ押してメインバルブ24を逆動作させることにより、ティルトシリンダー8を伸展動させて行える。
【0052】上述したように、前記マスト6の後側への傾動角をポテンショメータ(後傾角検出手段)50により検出し、その検出値があらかじめ設定していた中間後傾停止角の値と同じになったときに、中間後傾停止手段53によってマスト6の後側への傾動を停止し得ることで、通常の状況では希望する中間の後傾角で停止し得、そして、解除スイッチ58により中間後傾停止手段53による中間停止状態を解除し得ることで、必要に応じ大きな後傾角を得られる。
【0053】これによりフォーク14を希望した後傾角で維持し得、以て積荷Aが落下することを防止し得るとともに、たとえば、この積荷(容器)A内に積み込まれた荷物群が荷崩れを起こすようなことを防止し得る。
【0054】上記した各実施の形態では、解除スイッチ38,47,58を、操作がしやすいようにティルト操作レバー25の上部に装備しているが、作業形態などにより、まれにしか中間後傾角の解除の必要がない場合などには、座席15の近くで他の場所に装備してもよい。
【0055】上記した各実施の形態では、マスト傾動手段としてティルトシリンダー8が示されているが、このマスト傾動手段としては、螺子駆動形式やリンク形式などであってもよい。それに応じて、中間後傾停止手段としてソレノイドバルブとは別の形式が採用される。また、後傾角検出手段や中間後傾解除手段としても種々な形式を採用し得る。
【0056】
【発明の効果】上記した本発明の請求項1によると、マスト傾動手段の作動により、マストを前後方向に傾動できる。その際に、マストの後側への傾動角を後傾角検出手段により検出して中間後傾停止手段を作動させ、後側への傾動を中間位置で停止させることで、通常の状況では中間の後傾角で停止できる。そして、中間後傾解除手段により中間後傾停止手段による中間停止状態を解除することで、必要に応じて大きな後傾角を得ることができる。
【0057】また本発明の請求項2によると、マストの後側への傾動角を後傾角検出手段により検出し、その検出値があらかじめ設定していた中間後傾停止角の値と同じになったときに、中間後傾停止手段によってマストの後側への傾動を停止させることで、通常の状況では希望する中間の後傾角で停止できる。これによりフォークを希望した後傾角で維持できる。
【0058】そして本発明の請求項3によると、ティルト操作レバーの上部に装備した中間後傾解除手段を操作することにより中間停止状態を解除でき、更に後傾したい場合の操作を容易に迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示し、フォークリフトの側面図である。
【図2】同フォークリフトにおける油圧回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示し、フォークリフトの側面図である。
【図4】同フォークリフトにおける制御部で、(a)は油圧回路図、(b)は電気回路図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示し、フォークリフトの側面図である。
【図6】同フォークリフトにおける制御部で、(a)は油圧回路図、(b)は電気回路図である。
【図7】従来例を示し、フォークリフトの側面図である。
【図8】同フォークリフトにおける油圧回路図である。
【符号の説明】
1 フォークリフト
2 車体
3 前車輪
4 後車輪
6 マスト
7 マスト連結軸
8 ティルトシリンダー(マスト傾動手段)
8A シリンダー本体
8B ピストンロッド
14 フォーク
15 座席
16 ハンドル
21 タンク
22 給排油経路
23 ポンプ
24 メインバルブ
25 ティルト操作レバー
30 後傾角検出手段
31 センサー
32 被検出板
35 ソレノイドバルブ(中間後傾停止手段)
37 中間後傾解除手段
38 解除スイッチ
39 制御装置
40 後傾角検出手段
41 センサー
42 被検出板
45 ソレノイドバルブ(中間後傾停止手段)
47 解除スイッチ(中間後傾解除手段)
50 ポテンショメータ(後傾角検出手段)
53 中間後傾停止手段
54 ソレノイドバルブ
55 制御装置
56 中間後傾停止角設定装置
58 解除スイッチ(中間後傾解除手段)
A 積荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の車輪が設けられた車体の前部側には、フォークを有するマストが前後方向に傾動自在に設けられるとともに、前後傾動を行わせるマスト傾動手段が設けられ、さらに、前記マストの後側への傾動角を検出する後傾角検出手段と、この後傾角検出手段の検出に基づいてマストの後側への傾動を中間位置で停止させる中間後傾停止手段と、この中間停止状態を解除させる中間後傾解除手段とが設けられていることを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】 中間後傾停止手段は、中間後傾停止角を調整して設定自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載のフォークリフト。
【請求項3】 マスト傾動手段はティルト操作レバーの操作により作動し、このティルト操作レバーの上部に中間後傾解除手段が装備されていることを特徴とする請求項1または2記載のフォークリフト。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−179399(P2002−179399A)
【公開日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−381136(P2000−381136)
【出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(000003241)ティー・シー・エム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】