説明

フライ用バッターミックス

【課題】 本発明の目的は、コロッケ等のブレッダー層を有するフライ済み冷凍フライ食品において、一時的に比較的高温な環境(−18℃以上)に置かれても、具材から衣への水分等の移行が殆どなく、マイクロ波による解凍調理後において、衣のクリスピー感の低下を防止することができる新規なフライ用バッターミックス及びマイクロ波調理を前提とするフライ済み冷凍フライ食品を提供すること。
【解決手段】 穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる焙焼混合物(A)、吸水物質(B)及び膨脹剤(C)を主に含有することを特徴とするフライ用バッターミックスを用いた食品を油調し、その後冷凍することで、フライ済み冷凍フライ食品を作製すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍流通するコロッケ等のブレッダー層を有するフライ済み冷凍フライ食品に用いられるフライ用バッターミックスに関する。冷凍フライ食品において、一時的に比較的高温な状態(−18℃以上)に置かれても、具材から衣への水分等の移行が殆どなく、マイクロ波による解凍調理後における衣のクリスピー感の低下を防止することができる新規なマイクロ波調理用冷凍食品に用いるフライ用バッターミックス及び該バッターミックスを用いたフライ済み冷凍フライ食品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にフライ済みのフライ食品の食感には、衣のクリスピー感と具材自体の食感とがミックスされた食感が望まれている。近年冷凍技術の発達に伴い種々の冷凍食品が開発されており、フライ食品として、フライしていない状態で冷凍され、喫食前にフライ調理する冷凍食品やフライ済みの冷凍食品など種々の冷凍フライ食品が提案されている。上記フライ食品の内、フライ済み冷凍フライ食品には、電子レンジ等のマイクロ波調理器により手軽に調理することが可能なものが知られている。そのような冷凍フライ製品は一般に−18℃より低い温度で冷凍保存されることを前提に開発されている。
【0003】
しかしながら、一般の流通においては通常、このようなフライ済み冷凍フライ食品は、製造されてから消費者が食するまでに1〜2か月程度の時間が要されることがしばしばあり、その間、輸送の際など一時的に−18℃以上の高い環境化に置かれることがあり、また家庭でのフライ済み冷凍フライ食品の保存では、−10℃前後での保存が一般的である。このように比較的高い温度で従来のフライ済み冷凍フライ食品を保存すると、具材の水分などが衣に移行し、電子レンジなどによる解凍調理後において、衣のクリスピー感が著しく低下することが知られている。また、澱粉主体に構成される衣は、比較的高い温度帯での冷凍保存中に澱粉の再凝集が起こることで「ひき」を生じ、衣の食感を著しく低下させると考えられる。
【0004】
そこで、フライ済み冷凍フライ食品においては、前記のような一時的に温度が高い状態(−18℃以上)におかれたとしても前述のフライ食品に望まれる食感が得られるマイクロ波調理を前提とする冷凍フライ食品用バッターミックスの開発が要望されている。
【0005】
上記のような問題を解決するために種々の提案がなされている。具材水分の衣への移行を防止するため、油脂等の疎水性原料をバッター液に均一に分散させる方法が一般的であり、バッター液中に油脂をエマルジョンとして含有させる方法や高融点の粒状または粉末状の油脂をバッター液中に均一分散させる方法等が提案されている。
【0006】
具体的には、食用油脂と、水と、2000Gの遠心法による保水量が100g/100g以上の食用保水性物質と、ロスマイルス法により25℃で0.1重量%含有水溶液として測定した起泡力が50mm以上の起泡剤と、乳化安定剤とを含むエマルジョンからなる方法(特許文献1)や、バッター組成に、ホイップドタンパクと油脂を含有する方法(特許文献2)などが挙げられる。
【0007】
しかし上記の方法はいずれも、冷凍された揚げ物を電子レンジ等で再加熱調理した後、あるいはその後時間が経過した場合に、衣のサクサク感が損なわれるのを十分に防止する方法とは言えないものである。特に、比較的高温(−18℃以上)な環境下での冷凍保存期間が長くなるほど、電子レンジ等による再加熱調理後の衣はクリスピー感の低下が著しく、従来の技術ではそれを十分に防ぐことができないという問題がある。
【特許文献1】特開平7−255402号公報
【特許文献2】特開2006−197817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、コロッケ等のブレッダー層を有するフライ済み冷凍フライ食品において、一時的に比較的高温な環境(−18℃以上)に置かれても、具材から衣への水分等の移行が殆どなく、マイクロ波による解凍調理後において、衣のクリスピー感の低下を防止することができる新規なフライ用バッターミックス及びマイクロ波調理を前提とするフライ済み冷凍フライ食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる焙焼混合物(A)、架橋α化澱粉、小麦ふすま、おからのうち少なくとも1種を含む吸水物質(B)及び膨脹剤(C)を主に含有することを特徴とするフライ用バッターミックスを用いたフライ食品は、冷凍保存中、一時的に−18℃以上の環境下に置かれても衣のクリスピー感が低下しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の第一は、穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる焙焼混合物(A)、吸水物質(B)及び膨脹剤(C)を主に含有することを特徴とするフライ用バッターミックスに関する。好ましい実施態様は、フライ用バッターミックス全体中、焙焼混合物(A)の含有量が60〜99.8重量%、吸水物質(B)の含有量が0.1〜10重量%、膨張剤(C)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする上記記載のフライ用バッターミックスに関する。より好ましくは、焙焼混合物(A)が、食用油脂中に穀物粉及び乳化剤を分散または加熱溶解させ、100〜200℃で焙焼したものであることを特徴とする上記記載のフライ用バッターミックス、更に好ましくは、吸水物質(B)が架橋α化澱粉、小麦ふすま、おからの内少なくとも1種を用いる上記記載のフライ用バッターミックス、特に好ましくは、膨脹剤(C)がベーキングパウダーであることを特徴とする上記記載のフライ用バッターミックス、に関する。
【0011】
本発明の第二は、上記記載のフライ用バッターミックスを用いて形成されたフライ済み冷凍フライ食品に関する。好ましい実施態様は、ブレッダー層を有する請求項6記載のフライ済み冷凍フライ食品に関する。
【発明の効果】
【0012】
コロッケ等のブレッダー層を有するフライ済み冷凍フライ食品において、一時的に比較的高温な環境(−18℃以上)に置かれても、具材から衣への水分等の移行が殆どなく、マイクロ波による解凍調理後において、衣のクリスピー感の低下を防止することができる新規なフライ用バッターミックス及びマイクロ波調理を前提とするフライ済み冷凍フライ食品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のフライ用バッターミックスは、穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる焙焼混合物(A)、吸水物質(B)及び膨脹剤(C)を主に含有し、本発明の効果を阻害しない程度であれば必要に応じて、呈味剤、増粘多糖類などの食品素材を特に限定無く含有しても良い。また、本発明の効果ではないが、さらに歯切れ感を付与するためには、架橋度の高い架橋澱粉(強架橋澱粉)を含有することが好ましい。
【0014】
本発明のフライ用バッターミックスは、コロッケ等のブレッダー層を有するフライ食品で、電子レンジ等のマイクロ波調理器による解凍調理後においてもフライ済みフライ食品のクリスピー感を保持することが可能なマイクロ波調理を前提とする冷凍フライ食品等の用途に好適に用いられる。
【0015】
前記フライ食品の構成としては、第1バッター層(a)、第1ブレッダー層(b)、第2バッター層(c)、第2ブレッダー層(d)がフライ用具材の外側に順次形成されていることが好ましい。また本発明のバッターミックスは第2バッター層(c)に使用することが好ましく、該バッターミックスを第1バッター層(a)にも使用するとより好ましい。
【0016】
本発明の焙焼混合物(A)は、穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる。焙焼混合物の含有量は、フライ用バッターミックス全体中60〜99.8重量%が好ましく、80〜95重量%がより好ましい。60重量%より少ないと、(a)〜(d)層からなる衣が形成できない場合がある。また99.8重量%より多いと、フライ食品のクリスピー感を保持することができない場合がある。上記においてフライ食品のクリスピー感を保持することができない場合は、冷凍保存中に起こる澱粉の再凝集や具材から第2ブレッダー層への水分移行を防止できないためと考えられる。
【0017】
焙焼混合物中の穀物粉としては、穀物粉は、小麦、大麦、トウモロコシ、米等を粉状または粒状に粉砕したものを用いることができる。小麦粉としては、一般的に分類されている強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉等の何れでもよく、それらの内少なくとも1種を用いることができる。また米粉としては、道明寺粉、粳粉、餅粉等を用いることができ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。トウモロコシの粉としては、コーングリッツ、コーングルテンミール、コーンジャームミール、コーングルテンフィード等が例示でき、それらの内少なくとも1種を用いることができる。また、コーン、タピオカ、馬鈴薯、甘藷といった各種澱粉や、酸化澱粉、架橋澱粉といった各種加工澱粉を添加しても良い。
【0018】
前記穀物粉の含有量に特に限定はないが、焙焼混合物全体中、30〜70重量%が好ましく、33.3〜60重量%がより好ましい。30重量%より少ないと、油っぽいフライ類になったり、衣が破裂したりする場合があり、70重量%より多いと、フライ食品のクリスピー感を保持することができない場合がある。上記においてフライ食品のクリスピー感を保持することができない場合は、冷凍保存中に衣層の澱粉の再凝集が起こったためと考えられる。
【0019】
焙焼混合物中の食用油脂としては、特に種類の限定はなく、例えば、あまに油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃油、芥子油、向日葵油、綿実油、菜種油、大豆油、辛子油、カボック油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、オリーブ油、椿油、茶油、ひまし油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、ボルネオ脂等の植物性油脂や、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂、羊脂等の動物性油脂、これらの油脂を原料としてエステル交換したものや、硬化油、分別油、混合油などが挙げられ、これらの食用油脂を少なくとも1種用いることができる。食用油脂の含有量は、特に限定はないが、焙焼混合物全体中30〜70重量%であることが好ましく、40〜66.7重量%がより好ましい。30重量%より少ないと、フライ食品のクリスピー感を保持することができない場合があり、70重量%より多いと油っぽいフライ類になったり、衣が破裂したりする場合がある。上記においてフライ食品のクリスピー感を保持することができない場合は、冷凍保存中に衣層の澱粉の再凝集が起こったためと考えられる。
【0020】
焙焼混合物中の乳化剤としては、HLB値が1〜16のものを用いることができる。具体的にはグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン等が例示でき、それらの内少なくとも1種を用いることができる。乳化剤の含有量は、特に限定はないが、焙焼混合物全体中0.3〜7重量%であることが好ましい。0.3重量%より少ないと、フライ食品のクリスピー感を保持できない場合があり、7重量%より多いと、食味に悪影響を与える場合がある。上記においてフライ食品のクリスピー感を保持することができない場合は、冷凍保存中に衣層の澱粉の再凝集が起こったためと考えられる。
【0021】
本発明の焙焼混合物の製造方法は、特に限定はないが、例えば以下のように作製することができる。食用油脂と穀物粉、乳化剤を加えて均一になるまで予備混合し、この混合物を混捏しながら加熱し、加熱開始から40〜60分で品温が100℃になるまで昇温し、その後、必要に応じて200℃程度まで昇温する。最終到達品温を保持、すなわち品温を100〜200℃に保持しながら一定時間攪拌した後、80℃以下になるまで攪拌しながら冷却することで、本発明の焙焼混合物を得ることができる。80℃より高いと、その後で混合する成分が変成してしまう場合がある。
【0022】
本発明の吸水物質(B)は、ある程度の吸水力があり、フライ調理時にかかる加熱に対して構造が壊れない食用の物質であれば何でも良いが、例えば架橋α化澱粉、小麦ふすま、おからが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。吸水物質の含有量は、フライ用バッターミックス全体中0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。0.1重量%よりも少ないと、具材から第2ブレッダー層への水分の移行を防ぐことができず、衣のクリスピー感の低下を防止することができない場合がある。また10重量%より多いと、衣の食感に悪影響を与える場合がある。
【0023】
本発明の膨張剤(C)とは、重炭酸ナトリウムを必須とし、好ましくは塩化アンモニウム、酒石酸、L−酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、第一リン酸ナトリウム、フマル酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、焼ミョウバン、焼アンモニウムミョウバン、グルコノデルタラクトン等、重炭酸ナトリウムと反応してガスを発生させることのできる酸性剤を併用したベーキングパウダーを使用する。ベーキングパウダーにおいて、前記酸性剤は少なくとも1種を用いることができる。膨張剤の含有量は、フライ用バッターミックス全体中0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。0.1重量より少ないと、フライ食品のクリスピー感を保持することができない場合がある。また10重量%より多いと、フライ時に衣が破裂する場合がある。上記においてクリスピー感を保持することができない場合は、冷凍保存中に衣層の澱粉の再凝集が起こったためと考えられる。
【0024】
本発明のフライ用バッターミックスの製造方法は、特に限定はないが、以下に例示する。前述のように焙焼混合物を得た後、冷却し、品温が70〜80℃まで下がったところで吸水物質、膨脹剤、その他の副剤を添加し混捏することで、本発明のバッターミックスを得ることができる。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0026】
<コロッケの官能評価法>
実施例・比較例で得られたフライ済み冷凍コロッケ3個(20g/個)を−10℃で3日間保存してから、600Wの電子レンジで、1分間加熱調理した後で5人の熟練したパネラーに食べてもらい、その食感を評価し、結果を集約した。その際の評価基準は、以下の通りであった。◎:フライ直後と同等のクリスピー感がある、○:クリスピー感はフライ直後と同等だが、「ひき」を若干感じる、△:クリスピー感は残るが、フライ直後より劣る。「ひき」も感じる、商品×:クリスピー感がなく「ひき」を強く感じる。
【0027】
(製造例) 焙焼混合物の作製
表1の配合に従って、薄力粉、菜種油及びモノグリセリン脂肪酸エステルを均一になるまで混合し、品温が120℃になるまで加熱し、保温しながら10分間攪拌した後、さらに攪拌しながら80℃まで放冷して焙焼混合物を得た。
【0028】
【表1】

【0029】
(実施例1) フライ用バッターミックス1の作製
表2の配合に従って、製造例で得た焙焼混合物に、架橋α化澱粉、キサンタンガム、膨脹剤を加え、攪拌しながら60℃まで冷却し、包装充填した後、室温まで放冷し、フライ用バッターミックス1を得た。
【0030】
【表2】

【0031】
(比較例1) フライ用バッターミックス2の作製
表2の配合にある原料を全て室温にて撹拌混合し、フライ用バッターミックス2を得た。
【0032】
(実施例2) フライ済み冷凍コロッケの作製
100重量部のフライ用バッターミックス1に冷水600重量部を加えて溶解し、第1バッター液を得た。100重量部のフライ用バッターミックス1に冷水250重量部を加えて溶解し、第2バッター液を得た。公知の方法で作製したコロッケの中種を第1バッター液に浸漬させ、中種表面に第1バッター液層を形成した。次に第1バッター液層上に微粉パン粉を付着させ、第1ブレッダー層を形成した。続けて第2バッター液に浸漬させ、第2バッター液層を形成し、最後に長径16mmの生パン粉を付着させた。得られたコロッケを175℃のサラダ油でフライした後、急速冷凍し、フライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表2に示した。
【0033】
(比較例2) フライ済み冷凍コロッケの作製
フライ用バッターミックス1の代わりに、フライ用バッターミックス2を使用した以外は、実施例2と同様にしてフライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表2に示した。製造例で得た焙焼混合物を使用した実施例2は比較例2と比べ、クリスピー感があり、ひきを感じなかった。
【0034】
(実施例3,4) フライ用バッターミックス3,4の作製
表3の配合に従って、吸水物質である架橋α化澱粉を小麦ふすま(実施例3)、おから(実施例4)に代えた以外は、実施例1と同様にしてフライ用バッターミックス3,4を得た。
【0035】
(比較例3〜5) フライ用バッターミックス5〜7の作製
表3の配合に従って、吸水物質である架橋α化澱粉をα化澱粉(比較例3)、セルロース粉末(比較例4)、卵白粉末(比較例5)に代えた以外は、実施例1と同様にしてフライ用バッターミックス5〜7を得た。
【0036】
【表3】

【0037】
(実施例5,6) フライ済み冷凍コロッケの作製
フライ用バッターミックス1の代わりに、フライ用バッターミックス3,4を使用した以外は、実施例2と同様にしてフライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0038】
(比較例6〜8) フライ済み冷凍コロッケの作製
フライ用バッターミックス1の代わりに、フライ用バッターミックス5〜7を使用した以外は、実施例2と同様にしてフライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表3に示した。前記の吸水物質を使用した実施例2、5、6は比較例6〜8と比較して、クリスピー感があり、引きを感じなかった。
【0039】
(実施例7〜9) フライ用バッターミックス8〜10の作製
表4の配合に従って、膨脹剤の1種である塩化アンモニウムをフマル酸(実施例7)、L−酒石酸水素K(実施例8)、酸性ピロリン酸Na(実施例9)に代えた以外は、実施例1と同様にしてフライ用バッターミックス8〜10を得た。
【0040】
【表4】

【0041】
(比較例9) フライ用バッターミックス11の作製
表4の配合に従って、膨脹剤である重炭酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含有しない以外は、実施例1と同様にしてフライ用バッターミックス剤11を得た。
【0042】
(実施例10〜12) フライ済み冷凍コロッケの作製
フライ用バッターミックス1の代わりに、フライ用バッターミックス8〜10を使用した以外は、実施例2と同様にしてフライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0043】
(比較例10) フライ済み冷凍コロッケの作製
フライ用バッターミックス1の代わりに、フライ用バッターミックス11を使用した以外は、実施例2と同様にしてフライ済み冷凍コロッケを得た。得られたフライ済み冷凍コロッケは、−10℃で3日間保存した後、電子レンジで加熱した後で、官能評価を行い、その結果を表4に示した。前記の膨脹剤を使用した実施例2、10、11、12は比較例10と比較して、クリスピー感があり、引きを感じなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉、食用油脂及び乳化剤からなる焙焼混合物(A)、吸水物質(B)及び膨脹剤(C)を主に含有することを特徴とするフライ用バッターミックス。
【請求項2】
フライ用バッターミックス全体中、焙焼混合物(A)の含有量が60〜99.8重量%、吸水物質(B)の含有量が0.1〜10重量%、膨張剤(C)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載のフライ用バッターミックス。
【請求項3】
焙焼混合物(A)が、食用油脂中に穀物粉及び乳化剤を分散または加熱溶解させ、100〜200℃で焙焼したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフライ用バッターミックス。
【請求項4】
吸水物質(B)が架橋α化澱粉、小麦ふすま、おからの内少なくとも1種を用いる請求項1〜3何れかに記載のフライ用バッターミックス。
【請求項5】
膨脹剤(C)がベーキングパウダーであることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のフライ用バッターミックス。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のフライ用バッターミックスを用いて形成されたフライ済み冷凍フライ食品。
【請求項7】
ブレッダー層を有する請求項6記載のフライ済み冷凍フライ食品。

【公開番号】特開2008−161076(P2008−161076A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351319(P2006−351319)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】