説明

フリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器及びその製造方法

【課題】2成分製剤を所定の割合で取出することができる開閉操作が容易で、簡単な容器構造により製造コストが安い二重隔室チューブ容器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下部隔壁13により第1隔室11と第2隔室12に分離され、下端部にシーリング部14を形成するチューブ容器18の上端外週縁部に上部隔壁17を持つショルダー15及びネック16が融着され、前記下部隔壁13の上端面は前記上部隔壁17の下端面と繋がれ、前記ネック16は前記上部隔壁17により第1開口16a及び第2開口16bを有しその外週縁には第1吐出孔32aと第2吐出孔32bが形成され、前記環状突出顎16cと咬合される環状決着部33を備えたキャップ本体31と、前記キャップ本体31とヒンジ35により結合され、前記第1吐出孔32aと第2吐出孔32bを同時に開閉する2個の突部34aが形成される蓋34で形成されるフリップキャップ30とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器及びその製造方法に係り、より詳しくは、染毛剤のように第1剤と第2剤とで分離保管され、使用時に混合される2成分製剤を所定の割合で取出(squeezing)可能なフリップキャップ(flip cap)タイプ二重隔室チューブ容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2成分製剤の典型的な例としては、アルカリ剤及び染料中間体からなる第1剤と酸化剤の第2剤とで構成される染毛剤や、第1接着成分の第1剤と第2接着成分及び硬化促進剤からなる第2剤とで構成される2液形接着剤などをあげることができる。これら染毛剤用容器や2液形接着剤用容器の構造は本質的に同じであるため、以下、毛髪の染毛剤用容器について説明する。
【0003】
毛髪は、鱗形態に積層された毛表皮またはキューティクル(cuticle)と、メラニン色素を多量に含む毛皮質(コルテックス cortex)と、毛髪中心部の多孔部である毛髄質(メデュラ、medulla)から構成されている。
最近、白毛を黒に染色する従来型の毛髪の染毛以外にも、個性を表現する目的で黒毛を多様な色相に染色する人々が増えいるため、染毛剤の使用も増加しているとともに多種の染毛剤が発売されている、
【0004】
染毛剤は、使用目的または染毛の維持期間によって漂白剤(bleaching agent)、永久染毛剤、半永久染毛剤、一時的染毛剤に区分される。また染毛剤の化学的特性によって酸性染毛剤、酸性酸化染毛剤、及び、アルカリ性酸化染毛剤に区分され、合成染毛剤または天然染毛剤で分けることもできるが、現在一番広く使われている染毛剤は、合成の酸化型永久染毛剤である。

【0005】
酸性染料及び塩基性染料は、一時的に毛髪に吸着されるが、時間の経過とともに脱色されるため、酸化染料が永久染毛剤(パーマネント ヘアー ダイ(permanent hair dye))として主に使用される。 酸化染料はジアミン係化合物と一緒に酸化されて発色し、染毛時は水溶性であるが、時間経過による化学反応により不溶性になって毛髪の中に残る。
酸化染料は、第1剤と第2剤とで構成され、第1剤は染料中間体であるジアミン係化合物とアルカリ剤の混合物で、そして第2剤は酸化剤で構成される。
【0006】
染料中間体は酸化剤と混合すれば発色するが、下記の通り多類の染料中間体を異なる割合で混合することにより多様な色相を作ることができる。
・黒色: p−フェニレンジアミン
・多褐色−黒褐色: p−トルエンジアミン
・赤色: モノニトロ−p−フェニレンジアミン
・多褐色: p−アミノフェノール
・黄褐色: o−アミノフェノール
・暗褐色−赤字色: p−フェニレンジアミン + p−アミノフェノール
【0007】
前記染料中間体に含まれたアルカリ剤は、毛表皮(cuticle)を膨潤(swelling)、 軟化(softening)させて、毛皮質(cortex) 内部へ染料が容易に浸透できるようにし、また酸化剤の作用を促進させる。
アルカリ剤の典型的な例としては、アンモニアとモノエチルアルコールアミンがある。アンモニアは染毛の持続性が良好で揮発性のため毛髪の損傷を減らすことができるが、臭いが強くて刺激的という短所がある。一方、モノエチルアルコールアミンは、頭皮刺激性が低く、無臭であるが、非揮発性物質なので、毛髪に残って毛髪の損傷をもたらす恐れがあり、毛髪への浸透が遅れるという短所がある。
【0008】
第2剤である酸化剤は、毛髪の毛皮質(cortex)内に多量分散分布されている天然色素であるメラニンを脱色させ、染料中間体に作用して染料を生成することによって、発色させる。
酸化剤としては、通常、過酸化水素水が使用され、メラニンをとり除いて脱色させるためのブリーチ(Bleaching: 漂白)を目的に使われる。東洋人の場合、染毛染料中間体を使わないでブリーチすれば、メラニンが完全に除去されないで一部残って黄褐色毛髪に染毛される。
【0009】
一方、染毛位は毛髪の質(Texture)、色相、毛髪の太さ、毛髪の損傷位、温度、毛根からの距離、染毛剤の塗布時間, 第1剤のpH、第2剤の濃度、第1剤及び第2剤の配合量のような多様なパラメタによって影響を受け、第1剤及び第2剤の配合量と塗布時間は特に重要な要素である。
現在市販されている毛髪染毛剤は染料中間体とアルカリ剤が入れられた染毛剤用チューブ容器、及び、酸化剤が入れられたチューブ容器からなっており、チューブ容器の材質は樹脂または金属である。
【0010】
毛髪を染毛する際は、第1剤である染毛剤と第2剤である酸化剤を決まった割合で混合しなければならないので、別の混合容器を準備し、染毛剤と酸化剤が入ったそれぞれのチューブ容器から適量をしぼり出した後、均一になるよう混合してブラシに載せて梳る。一定時間経過すると、染毛剤と酸化剤の反応によって希望の色相で毛髪が染毛される。
【0011】
ここで、第1剤である染毛剤と第2剤である酸化剤は、通常1:1の体積比で混合される。第2剤である酸化剤の量を第1剤である染毛剤の量より多く混合すれば、急激な反応によって毛髪の脱色が過度に進行されるか、または、染毛が急激に進行される恐れがある。反面、第2剤である酸化剤の量を第1剤である染毛剤の量より少量混合すれば、反応が非常に遅く進行し、毛髪染毛に長時間要する恐れがある。何れの場合も、時間経過による指標色相ガイドが無意味になって結果的に毛髪を希望する正確な色相に染色できない問題点がある。
したがって、第1剤である染毛剤と第2剤である酸化剤とを正確な割合で混合して使うことが非常に重要である。
【0012】
しかし、現在市販中の大部分の毛髪染毛剤は、前記の通り、互いに違う容器に第1剤である染毛剤と第2剤である酸化剤が入れられているので、これらを決まった割合で混合するのが容易ではなく、また、毛髪の染毛時間調節及び希望する毛髪の色相を得るのが難しいという問題点がある。
このような問題点を解決するための方案として、以下の通り、多様な二重隔室チューブ容器が提案されている。
【0013】
韓国登録特許第0,467,265号(2005.01.11日登録)は、第1剤と第2剤とに分けて充填されていた既存の染毛剤材料を一つのチューブ内で別々に充填し、使用時に入口を切断して異種材料を混合して使うようにした染毛剤充填用二重チューブを提案したものである。内側容器が外側容器の内部に収容され、内側容器の入口部が外側容器の入口部に密着するようにされた二重容器構造であるため、製作が困難で非経済的と言う問題があった。特に、クリームタイプの内容物に主に適用されるスクィージング(squeezing)タイプの軟質容器への適用が困難な問題点があった。
【0014】
韓国特許公開第2006−0081268号(2006.07.12日公開)は、2種以上の内容物を一つの容器に充填し、使用時には包装体を破って充填材を混合及び排出させる容器に関するものである。外力による包装体破損の恐れがあることや、特に、容器内で2種以上の内容物を完全に混合しなければならないことから、クリームタイプの内容物には適用するのは困難と言う問題点があった。
【0015】
韓国実用新案登録第0,199,207号(2000.07.29. 登録)は、チューブ容器の下端部が熱融着され、チューブ容器内に二つの区画空間を形成し、区画空間の引出口の一端にA及びBの染毛剤の引出口を形成し、そのまわり部にねじ形成蓋が締結される染毛剤チューブ容器を提案するものである。このチューブ容器は2種成分を隔壁で区画された一つの二重容器内に収容しているという点を除き、ねじキャップで締結するため取扱い性が劣るだけでなく、ねじキャップの回転により両成分がキャップ内部で混合して化学的反応を起こしやすい問題点があった。
【0016】
韓国登録実用新案第0,304,903号(2003.02.06. 登録)は、同登録の図6及び図7に示されているように、上端に排出孔111が形成され、外周に.00に螺旋112が形成されたネック部11´と、螺旋112が形成されないネック部11´の下側に形成された付着面12´と、内部にクリームタイプの内容物が充填されるチューブ本体13´を有する内側チューブ10´と、 付着面12´を基準にして二つの内側チューブ10´が附着した状態で収納され、それぞれの内側チューブ10´と附着性を高めるために内側で接着剤が塗布され、熱処理によって収縮されて二つの内側チューブ10´に密着されて一体化される外側チューブ20´、及び二つの内側チューブ10´が附着した状態でネック部11´に螺旋結合するカバー30´を含むことを特徴とする二重チューブ容器を開示したものである。
【0017】
この二重チューブ容器も、ねじキャップで締結する点で取扱性が劣るだけでなく、ねじキャップの回転により両成分がキャップ内部で混合して化学的反応を起こしやすい問題点があるほか、内外側チューブ10´、20´を使用する点で製造コストが高くなる問題点があった。
このような背景から、所定の割合で2成分製剤の取出し、及び、2成分製剤の定量混合が可能で、開閉操作が容易、かつ、簡単な容器構造により製造コストが安い二重隔室チューブ容器の開発が要請されて来た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国登録特許第0,467,265号
【特許文献2】韓国特許公開第2006−0081268号
【特許文献3】韓国実用新案登録第0,199,207号
【特許文献4】韓国登録実用新案第0,304,903号
【特許文献5】特開2002−255183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、2成分製剤を所定の割合で取出することができる開閉操作が容易で、簡単な容器構造により製造コストが安い二重隔室チューブ容器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、下部隔壁により第1隔室と第2隔室に分離され、下端部にシーリング部を形成するチューブ容器の上端外週縁部に上部隔壁を持つショルダー(shoulder)及びネックが融着され、前記下部隔壁の上端面は前記上部隔壁の下端面と繋がれ、前記ネックは前記上部隔壁により第1開口及び第2開口を有しその外週縁には環状突出顎が形成される本体と、中央下方へ延長されキャップ隔壁により分離された第1吐出孔と第2吐出孔が形成され、前記環状突出顎と咬合される環状決着部を備えたキャップ本体と、前記キャップ本体とヒンジにより結合され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個の突部が中央下方へ延長形成される蓋で形成されるフリップキャップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
前記キャップ隔壁により分離された前記第1吐出孔と第2吐出孔を有する前記環状決着部が、上方へ延長突出された吐出部を備えることを特徴とする。
【0022】
前記環状決着部の第1吐出孔と第2吐出孔が相互螺旋状でよじれた形態であることを特徴とする。
【0023】
前記蓋の突部が、前記環状決着部の上向延長部外週縁に内週縁が密着される環状リームを有することを特徴とする。
【0024】
前記フリップキャップがキャップ本体の上面に蓋載置部を持ち、前記蓋が前記蓋載置部に締結されることを特徴とする。
【0025】
前記キャップ本体の環状決着部に垂直で相互対向する位置に切欠溝が形成されることを特徴とする。
【0026】
前記突部、または前記突部及び前記環状リームが密着性向上のために二重射出によるエラストマ(elastomer)で形成されることを特徴とする。
【0027】
前記突部は、端部が半球型である円筒状形態または上狭下広の外週傾斜面を有する円錐形態であることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、下部隔壁により第1隔室と第2隔室とに分離される円筒状チューブ体を射出成形する段階Aと、前記円筒状チューブ体を射出成形する段階とは別に、上部隔壁を有し、外週縁に環状突出顎を持つネックとショルダーを一体射出成形する段階Bと、前記段階A及びBとは別に、中央下方へ延長されキャップ隔壁により分離された第1吐出孔と第2吐出孔が形成され、前記環状突出顎と咬合される環状決着部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジによって結合され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個の突部が中央下方へ延長形成される蓋とからなるフリップキャップを一体射出成形する段階Cと、
前記段階Aで用意した円筒状チューブ体の上端周縁部と下部隔壁の上端部を前記段階Bで用意したショルダーの下方周縁部と上部隔壁の下端面とを熱融着して本体を形成する段階Dと、前記段階Cで準備したフリップキャップの環状決着部を前記段階Dで用意した本体のネックの環状突出顎に圧入締結する段階Eと、から構成されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、下部隔壁により第1隔室と第2隔室とで分けられる円筒状チューブ体を圧出成形して準備する段階Aと、前記段階Aとは別に、上部隔壁を持ち、外週縁に環状突出顎を持つネックとショルダーを一体に射出成形して準備する段階Bと、前記段階A及びBとは別に、中央に下方へ延長されキャップ隔壁により分離した第1吐出孔と第2吐出孔が形成されて前記環状突出顎と圧入締結される環状決着部を持つキャップ本体と前記キャップ本体にヒンジによって繋がれる蓋とで形成されるフリップキャップを一体に射出成形して準備する段階C1と、前記蓋の中央から下方へ延長形成され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個のエラストマ(elastomer)で形成される突部を二重射出により前記蓋に形成する段階C2と、前記段階Aから用意した円筒状チューブ体の上端周縁部と下部隔壁の上端部を前記段階Bから用意したショルダーの下方周縁部と上部隔壁の下端面と熱融着して本体を形成する段階Dと、前記段階C2でのフリップキャップの環状決着部を前記段階Dから用意した本体のネックの環状突出顎に圧入締結する段階Eと、から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器は、染毛剤のように第1剤と第2剤とで分離保管され、使用のためには等量取出して混合した状態で使われる形態の2成分製剤を二重隔室内に效果的に分離保管すると同時に、2成分製剤を所定の決まった割合で取出することができる。それによって、開閉操作を容易にし高い使用便宜性を持ち、チューブ容器は高い生産性を持つ圧出成形で製作し、フリップキャップとショルダー及びネックは別に射出成形した後、熱融着により簡単に接合可能なので、高い生産性及び製作容易性を持ち、簡単な容器構造によって経済性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器の長手方向断面図である。
【図2】図1のフリップキャップの斜視図である。
【図3】本発明の第2実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器の長手方向の一部断面図である。
【図4】本発明の第3実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器のフリップキャップ上面斜視図である。
【図5】本発明の第3実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器のフリップキャップ底面斜視図である。
【図6】従来の二重隔室チューブ容器の長手方向断面図である。
【図7】従来の二重隔室チューブ容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し本発明について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器1の長手方向断面図であり、図2は図1のフリップキャップの斜視図である。
本発明の第1実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器1は、下部隔壁13により第1隔室11と第2隔室12とで分けられるチューブ容器18の上端外週縁部に、上部隔壁17を持つショルダー15及びネック16が融着される本体10と、その中央に下方へ延長され、キャップ隔壁32cにより分離した第1吐出孔32aと第2吐出孔32bが形成されたキャップ本体31と、前記キャップ本体31にヒンジ35により結合され、第1吐出孔32aと第2吐出孔32bを同時に開閉する2個の突部34aが中央から下方へ延長形成される蓋34とからなるフリップキャップ30とで構成される。
【0033】
ここで、チューブ容器18の下端部は高周波熱融着などのような適切な公知の手段によりシーリング部14を形成し、チューブ容器18内の下部隔壁13の上端面は上部隔壁17の下端面と接合されて繋がり、ショルダー15及びネック16は、上部隔壁17により第1開口16a及び第2開口16bを形成する。
ネック16の外週縁部にはフリップキャップ30の環状決着部33と強制圧入により締結するための環状突出顎16cが形成され、本発明においてはこのような強制圧入による締結方式を採択しているので、ねじ締結式締結方式ににず、ネック16の第1開口16a及び第2開口16bそれぞれを吐出部32の第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bそれぞれと正確に一致させることが可能になる。
【0034】
一方、キャップ本体31の中央には下方を向けてネック16の環状突出顎16cと圧入締結するための環状顎33bを持つ環状決着部33が形成され、必要であれば、確かな決着のために前記キャップ本体31の環状決着部33に垂直に相互対向する位置に切欠溝(図4bの図面符号33a参照)を形成させることもできる。
また、例えば、ショルダー15及びネック16の上部隔壁17の上端部及び下端部にそれぞれ溝17b及び17aを形成することによって、それぞれキャップ隔壁32cの下端部及び下部隔壁13の上端部を挿止した状態で熱融着などのような適切な公知の接合手段により融着することができるし、溝17b及び17aを上部隔壁17の代りにキャップ隔壁32cの下端部及び/または下部隔壁13の上端部に形成することもできることは勿論である。
【0035】
フリップキャップ30の蓋34の中央下端部には、第1吐出孔32a 及び第2吐出孔32bを持つ上方で突き出延長される吐出部32の外週縁傾斜面とその内週縁が当接して密着されるように環状リーム34bが形成される。また、第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bを開閉するように該当の位置に2個の突部34aが形成される。
ここで、吐出部32は、図示した例のように、上方へ延長突き出された形態ではなく、図4に示したような平面形で形成することもできる。
【0036】
環状リーム34b及び/または突部34aは、フリップキャップ30のような等しい素材、例えば、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレ蓋レート(PET)などで一体に形成することもできるが、より確かな気密維持のために、この部分は2重射出によるシリコーンラバーのようなエラストマ(elastomer)で形成するのがより望ましい。また、その形態は、端部が半球型である円筒形態にすることもできるが、全体的に上狭下広の外週傾斜面を持つ大体的に円錐形態にすることもできる。
【0037】
一方、チューブ容器18及び下部隔壁13は可橈性(flexible)素材である低密度ポリエチレン(LDPE)やエチレンビニールアセテート(EVA)で製作されることができるが、アルミニウム積層複合樹脂材またはアルミニウム薄膜材で形成することもできることは勿論である。
図示の例では、フリップキャップ30のキャップ本体31の前面上端部と蓋34の前面下端部には、それぞれフリップ溝31b及び34cが形成されているし、これにより指を軽くタッチする簡単な操作により蓋34を簡単で便利に開くことができる。
【0038】
したがって、使用者がチューブ容器18を手で軽く押して搾れば、第1隔室11及び第2隔室12内に充填されている第1剤21及び第2剤22はそれぞれネック16の第1開口16a及び第2開口16bをパスした後、キャップ本体31の環状決着部33と繋がれた吐出部32の第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bそれぞれを通じて等量または所定の割合量(この場合、第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bの吐出口の広さがあらかじめ所定の割合で成形)で吐出することができる。
【0039】
図面の中で、未説明の符号 31cは蓋安着顎である。
図3は本発明の第2実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器1aの一部切欠断面図として、その基本構成は、吐出部32を除き、前に説明した図1及び図2の場合と本質的に等しいので、吐出部32に対してだけ説明する事にする。
図1及び図2の場合には、吐出部32に形成される第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bが垂直方向で直線上に形成されるので、クリームタイプまたはゲルタイプの第1剤及び第2剤(それぞれ図1での図面符号21及び22)の吐出も直線上に相互一直線に並んで吐出される一方、図3の第2実試例の場合には、吐出部32を形成する第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bの二つのラインが相互螺旋状でよじれた形態なので、クリームタイプまたはゲルタイプの第1剤及び第2剤(それぞれ図 1での図面符号21及び22)の吐出は相互ツイスト(twist)形態に吐出されるので、混合がより容易であるという長所がある。
【0040】
引き続き、本発明の第3実試例によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器のフリップキャップ30に対する対面斜視図及び底面斜視図を図示している図4及び図5を説明する。
図4及び図5ではフリップキャップ30のみを図示しているが、本体10の構成は、前述した例の場合と本質的に等しいので、これに対する敷衍説明は略する。
図4及び図5に図示した本発明による第3実試例でのフリップキャップ30は、吐出部32が上向に突出延長されない平面形態である。また、キャップ本体31の上面に蓋載置部31aが形成されており、蓋34が前記蓋載置部31aに締結される形態である。
【0041】
図示の通り、吐出部32にはキャップ隔壁32cが形成されているので、第1吐出孔32a及び第2吐出孔32bを区画形成し。キャップ隔壁32cの下端部は、前述したように、本体10の上部隔壁(図1及び図3での図面符号17参照)と結合され、蓋34に2個の突部34a及び環状リーム34bが形成される。
また、キャップ本体31の環状決着部33に確かに決着を助けるために垂直で相互対向する位置に切欠溝33aが形成されている。これも前述した 通りである。
ただ、蓋34にはフリップ溝が形成されないし、キャップ本体31の前方上端部にだけフリップ溝31bが形成されるので、こちらに指を触れて、軽く上方へタッチすることによって、蓋34は簡単で容易に開放される。
【0042】
本発明によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器1、1aを利用すれば、毛髪染毛のための酸化剤と染毛剤や2液形接着樹脂のように、化学反応を起こす二つの剤型(Formulation)を混合使用する場合、所定の決まった混合の割合を簡単で容易く維持することができることは勿論、その開閉操作が非常に簡単で容易く成り立つので、使用便宜性が高いことは勿論、チューブ容器は高い生産性を持つ圧出成形で製作し、フリップキャップとショルダー及びネックは、別に射出成形した後、熱融着により簡単に接合可能なので、高い生産性及び製作容易性を持ち、簡単な容器構造によって経済性が高い。
【0043】
以下、本発明によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器の製造方法に関して下記の各段階を通じて簡単に説明する。
(A)段階:
下部隔壁13により第1隔室11と第2隔室12とで区画され、両端部が開放された円筒状チューブ体(未図示)を圧出成形して準備する。
(B)段階:
段階(A)とは別に、上部隔壁17を持ち、外週縁に環状突出顎16cを持つネック16とショルダー15とを一体に射出成形して準備する。
【0044】
(C)段階:
段階(A)及び(B)とは別に、その中央に下方へ延長されキャップ隔壁32cにより分離した第1吐出孔32aと第2吐出孔32bが形成され、環状突出顎16cと圧入締結される環状決着部33を持つキャップ本体31と、キャップ本体31にヒンジ35により繋がれ、第1吐出孔32aと第2吐出孔32bを同時に開閉する2個の突部34aが中央に下方へ延長形成される蓋34とでなるフリップキャップ30を一体に射出成形して準備する。
選択的には、突部34aはシリコーンラバーのようなエラストマ(elastomer)の二重射出により形成することもできるし、これによって密閉がもっと容易くなるので、本発明においてはこれが望ましいことがある。
【0045】
(D)段階:
段階(A)で用意した円筒状チューブ体の上端周縁部と下部隔壁13の上端部とを段階(B)で用意したショルダー15の下方周縁部と上部隔壁17の下端面と熱融着して本体10を形成する。
(E)段階:
段階(C)で準備したフリップキャップ30の環状決着部33を段階(D)で用意した本体10のネック16の環状突出顎16cに圧入締結する。
【0046】
本発明は、染毛剤のように第1剤と第2剤とで分離保管され、使用のためには等量取出して混合した状態で使われる形態の2成分製剤がそれぞれの隔室内に別途区画保管され、使用のためのスクィージング(squeezing)時には前記陰気2成分製剤を所定の決まった割合で取出することができるフリップキャップタイプの二重隔室チューブ容器及びその製造方法に関するものである。本発明によれば、フリップキャップ構造体により開閉操作を容易くすることによって、使用便宜性をめっきり高める一方、所定の割合への2成分製剤の決まった取出が可能なので、2成分製剤の定量混合が可能であり、容器の構造が簡単であり、容器の製造容易性が優秀であり、経済性を向上するものとともに、第1剤及び第2剤の保管容器を別に製造して保管しなければならない必要性がないので、便利であり、染毛剤の場合、スクィージング(squeezing)後、すぐくしけずることや、手で擦るなどの作業により、別途の混合作業をしないても、すぐ染色することができるというなどの長所がある。
【0047】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1,1a 本発明によるフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器
10 本体(body)
11 第1隔室
12 第2隔室
13 下部隔壁
14 シーリング(sealing)部
15 ショルダー(shoulder)
16 ネック(neck)
16a 第1開口
16b 第2開口
16c 環状突出顎
17 上部隔壁
17a,17b 溝
18 チューブ容器
21 第1剤
22 第2剤
30 フリップキャップ(flip cap)
31 キャップ本体
31a 蓋載置部
31b フリップ溝
31c蓋安着顎
32 吐出部
32a 第1吐出孔
32b 第2吐出孔
32c キャップ隔壁
33 環状決着部
33a 切欠溝
33b 環状顎
34 蓋
34a 突部
34b 環状リーム
34c フリップ溝
35 ヒンジ












【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部隔壁により第1隔室と第2隔室に分離され、下端部にシーリング部を形成するチューブ容器の上端外週縁部に上部隔壁を持つショルダー(shoulder)及びネックが融着され、前記下部隔壁の上端面は前記上部隔壁の下端面と繋がれ、前記ネックは前記上部隔壁により第1開口及び第2開口を有しその外週縁には環状突出顎が形成される本体と、
中央下方へ延長されキャップ隔壁により分離された第1吐出孔と第2吐出孔が形成され、前記環状突出顎と咬合される環状決着部を備えたキャップ本体と、
前記キャップ本体とヒンジにより結合され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個の突部が中央下方へ延長形成される蓋で形成されるフリップキャップと、
を含むことを特徴とするフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項2】
前記キャップ隔壁により分離された前記第1吐出孔と第2吐出孔を有する前記環状決着部が、上方へ延長突出された吐出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項3】
前記環状決着部の第1吐出孔と第2吐出孔が相互螺旋状でよじれた形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項4】
前記蓋の突部が、前記環状決着部の上向延長部外週縁に内週縁が密着される環状リームを有することを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項5】
前記フリップキャップがキャップ本体の上面に蓋載置部を持ち、前記蓋が前記蓋載置部に締結されることを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項6】
前記キャップ本体の環状決着部に垂直で相互対向する位置に切欠溝が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項7】
前記突部、または前記突部及び前記環状リームが密着性向上のために二重射出によるエラストマ(elastomer)で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項8】
前記突部は、端部が半球型である円筒状形態または上狭下広の外週傾斜面を有する円錐形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器。
【請求項9】
下部隔壁により第1隔室と第2隔室とに分離される円筒状チューブ体を射出成形する段階Aと、
前記円筒状チューブ体を射出成形する段階とは別に、上部隔壁を有し、外週縁に環状突出顎を持つネックとショルダーを一体射出成形する段階Bと、
前記段階A及びBとは別に、中央下方へ延長されキャップ隔壁により分離された第1吐出孔と第2吐出孔が形成され、前記環状突出顎と咬合される環状決着部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジによって結合され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個の突部が中央下方へ延長形成される蓋とからなるフリップキャップを一体射出成形する段階Cと、
前記段階Aで用意した円筒状チューブ体の上端周縁部と下部隔壁の上端部を前記段階Bで用意したショルダーの下方周縁部と上部隔壁の下端面とを熱融着して本体を形成する段階D、 及び
前記段階Cで準備したフリップキャップの環状決着部を前記段階Dで用意した本体のネックの環状突出顎に圧入締結する段階Eと、
から構成されることを特徴とするフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器の製造方法。
【請求項10】
下部隔壁により第1隔室と第2隔室とで分けられる円筒状チューブ体を圧出成形して準備する段階Aと、
前記段階Aとは別に、上部隔壁を持ち、外週縁に環状突出顎を持つネックとショルダーを一体に射出成形して準備する段階Bと、
前記段階A及びBとは別に、中央に下方へ延長されキャップ隔壁により分離した第1吐出孔と第2吐出孔が形成されて前記環状突出顎と圧入締結される環状決着部を持つキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジによって繋がれる蓋とで形成されるフリップキャップを一体に射出成形して準備する段階C1と、
前記蓋の中央から下方へ延長形成され、前記第1吐出孔と第2吐出孔を同時に開閉する2個のエラストマで形成される突部を二重射出により前記蓋に形成する段階C2と、
前記段階Aから用意した円筒状チューブ体の上端周縁部と下部隔壁の上端部を前記段階Bから用意したショルダーの下方周縁部と上部隔壁の下端面と熱融着して本体を形成する段階Dと、
前記段階C2でのフリップキャップの環状決着部を前記段階Dから用意した本体のネックの環状突出顎に圧入締結する段階Eと、
から構成されることを特徴とするフリップキャップタイプ二重隔室チューブ容器の製造方法。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240989(P2011−240989A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142255(P2010−142255)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(510175241)
【出願人】(510175403)
【Fターム(参考)】