説明

ブレーキシュー

【課題】 従来の自転車は、ブレーキをかけて前輪がロックすると、ハンドルが効かなくなり転倒していた。そこで、本発明のブレーキシューは、遠心力を利用して回転を下げるもので、アンバランス(1f)は高速回転するようにはできていないから、周りと接触して回転を下げる。

【解決手段】 回転体(1)が、タイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、回転体(1)は接触部(1c)と軸(1e)とアンバランス(1f)でできており、アンバランス(1f)はパット(4c)と接触し回転のエネルギーを消費する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車等のアンチロックブレーキのブレーキシューに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシューは摩擦ブレーキともいい、摩擦を利用して制動する方式のブレーキで、回転軸に取り付けたドラムを、帯やブレーキシューを締めて、両者間の摩擦で停止させる物である。そのブレーキは、手ブレーキ、空気ブレーキ、遠心ブレーキ、電磁ブレーキなどに分けられる。
そして従来の自転車は、手ブレーキをかけて前輪がロックすると、タイヤ自体の直進性が無くなり、ハンドルの操舵が効かなくなり、普通の場合は転倒していた。しかし、ロックした状態を自転車で再現して、説明するのは難しいので、レーシングカーで説明する。レーシングカーは、カーブのぎりぎりいっぱいまで加速し、カーブのぎりぎりいっぱいの時まで、ブレーキをかけない。そして、ブレーキをかけた時は、最もよく効く状態を、ブレーキペタルで調節していた。
【0003】
しかし、少しでもブレーキペタルを踏み過ぎると、タイヤはロックしてしまう。ロックしてしまうと、タイヤと道路の摩擦で、タイヤが燃え白煙を出す。その状態は、例えばゴムのタイヤの上に、真っ赤に焼いた、鉄の火箸を置いたのと同じで、タイヤと火箸の摩擦は殆ど無い状態になる。それと同じで、タイヤをロックさせると、路面との摩擦でタイヤが熱を持ち、タイヤから燃焼ガスが出て、路面とタイヤの摩擦が極端に少なくなる。そのため、カーブが回れず、道から食み出していた。
【0004】
一般の自動車も、普段ブレーキをかける時は、タイヤをロックさせることは無いから、制動距離は短い。その時の感覚で運転していると、咄嗟の時にタイヤをロックさせてしまう。タイヤをロックさせると、路面との摩擦でタイヤが熱を持ち、タイヤから燃焼ガスが出て、路面とタイヤの摩擦が極端に少なくなり、追突してしまう。そこで、ロックさせると追突させてしまうことは分かっていても、一旦ブレーキをかけて、ロックしたからといっても、ブレーキペタルを緩めるのは、常人には無理である。
【0005】
そして、前方の自動車に追突してしまい、追突した後は、道路にスリップの後がくっきりと残り、警察官も道路に残った後を見て、事故の状態を推察していた。それらの問題を解消するため、アンチロックブレーキが開発された。そのアンチロックブレーキは、油圧ブレーキシステムの油圧を、強制敵に無くする装置があった。その装置は、ブレーキをかけタイヤがロックすると、油圧を抜き、ブレーキをかけていない状態にして、タイヤを回転させる。このような作業を、1秒間に約10回繰り返す。すると、タイヤは一所だけを摩擦するのではなく、平均的に禿びるので制動距離も短く、ハンドルも効く。
【0006】
しかし、アンチロックブレーキシステムは、大掛かりなため自転車には不向きであった。そこで、特開平8−119177の名称 自転車用ブレーキ装置とブレーキレバーでは、レバー体を強く握っても、車輪がロックすることを防止し、ブレーキ操作を軽く安全に行うことができる。しかも、サイクリストの体格や好みに応じてブレーキ感覚などを、変更することの可能なブレーキ装置とブレーキレバーがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−119177
【特許文献2】特開平9−240557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の特開平8−119177の名称 自転車用ブレーキ装置とブレーキレバーでは、ブレーキレバーを改造しただけで根本的な物ではなく、例えば路面に水がある場合や、砂が撒かれている場合にはロックすることが考えられる。
【0009】
そこで、本発明のブレーキシューは、タイヤ(2)の大きい回転を、接触部(1c)で小さな高速回転にすることで、遠心力が強くなり、早い回転が、小さな力で大きな仕事をするブレーキである。その方法は、誘導電動機の原理の、磁石を回すと非磁性部質が付いて回る原理(アラゴーの円盤)を利用して、回転体(1)が回転すると、非磁性部質の固定子(4)に渦電流が発生して、回転を遅くするがロックはしない物と、遠心力を摩擦に変えるブレーキシューを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、その回転体(1)は棒状の磁石になっていて、縦にS極(1a)とN極(1b)の背中合わせにできている。
その回転体(1)は、両端にベアリング(3)を介して、固定子(4)に取り付けてあり、その固定子(4)は回転体(1)が回転することで、固定子(4)は非磁性部質でできているため、渦電流が流れて抵抗になることで目的を達成した。
【0011】
その他のブレーキシューは、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、その回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)と磁石(1d)でできている。
そして接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、その下の軸(1e)はベアリング(3)を介してケーシング(4b)に回転自在に取り付けられている。
そして、軸(1e)の下部の磁石(1d)は、外側に筒になった固定子(4)を介してケーシング(4b)に取り付けたことで目的を達成した。
【0012】
請求項1のブレーキシューは、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、その回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)とアンバランス(1f)でできている。
その接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、軸(1e)はベアリング(3)を介してケーシング(4b)に回転自在に取り付けられていて、そのベアリング(3)の長さは下部を少し開ける長さになっている。
そしてアンバランス(1f)は、外側に筒になったパット(4c)を介して前記ケーシング(4b)に取り付けられ、そのアンバランス(1f)には、バランスを崩すため一部を取り除いたことで目的を達成した。
【0013】
請求項2のブレーキシューは、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、その回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)と仕切り板(1h)でできている。
その接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、軸(1e)はベアリング(3)を介してケーシング(4b)に回転自在に取り付けられている。
そして仕切り板(1h)の間には重り(1g)が緩挿し、その外側に筒になったパット(4c)を介して前記ケーシング(4b)に取り付けられ、その重り(1g)は遠心力でパット(4c)と干渉して速度を落とすことで目的を達成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブレーキシューは、次のような効果がある。
(イ)回転体は、固定子の中で、高速で回転するとき、渦電流が発生して摩擦となる。
(ロ)回転体は、固定子の中で、低速で回転するとき、渦電流の発生が少ないので、ロックはしない。
(ハ)ロックすることがないから、転倒することがない。
(ニ)ロックすることがないから、タイヤが熱を持たないので、ブレーキが良く効く。
(ホ)回転体は直接に摩擦しないので、高速のブレーキに適している。
(ヘ)請求項1のアンバランスは、回転が高速になるほど、パットと摩擦する。
(ト)請求項2の重りは、回転が高速になるほど、遠心力でパットと摩擦する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】作動している時の、ブレーキ装置を示した模式図である。
【図2】ブレーキシューの斜視図である。
【図3】回転体を固定子から外した斜視図である。
【図4】その他のブレーキシューの断面図である。
【図5】請求項1の断面図である。
【図6】図5のA−Aの断面図である。
【図7】請求項2の断面図である。
【図8】図7のB−Bの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のブレーキシューの、回転体(1)は棒状の磁石(1d)になっていて、縦にS極(1a)とN極(1b)の背中合わせになっている。
そして回転体(1)は、両端にベアリング(3)を介して、固定子(4)に取り付けているので、回転体(1)の方をベアリング(3)が付くように削ってあり、そのため固定子(4)の穴は、特別な細工はしていない。その固定子(4)は、回転体(1)が回転することで、固定子(4)は非磁性部質の銅でできているため、渦電流が流れて回転体(1)に固定子(4)が付いて回転しようとするが、固定子(4)は固定されているため、回転体(1)に回らないように抵抗となる。そして、回転しないと渦電流は発生しないので、回転体(1)は適度に回転する。
【0017】
そして、回転体(1)が高速回転しているときは、固定子(4)に渦電流が流れ、回転する前方には、同じ極になるような渦電流が流れ、反発することで回転を妨げる。また、回転する後方には、違う極になるような渦電流が流れ、引きつけ合うので、これもまた回転を妨げる。つまり、誘導電動機のすべりが、強制的に起こっている状態である。
【0018】
このような電気的抵抗で高速回転を妨げ、止まっているときには渦電流が発生しないからタイヤ(2)がロックすることが無い。このような回転体(1)を、2個取り付けたブレーキシューがタイヤ(2)を直接挟み込むため、ブレーキシューも2個取り付けているので、全部で4個の回転体(1)で、ブレーキを掛ける。それでは、ブレーキシューの場合、普通のブレーキでは、ゴムでできているパットの説明をしたが、ブレーキ全体の説明をする。
【0019】
まず、ブレーキレバーを強く握ると、ブレーキ装置(5)に取り付けているワイヤーが、一点を引っ張り上げることで、ブレーキシューの支点(4a)を中心に、ブレーキ装置(5)が作動して、タイヤ(2)に回転体(1)を押し付ける。すると、回転しているタイヤ(2)は、停止している回転体(1)を回すエネルギーを吸収され、少し制動距離が短くなる。そして、回転体(1)は高速で回転するが、渦電流が抵抗になりブレーキの役目を果たすので、ロックをしないでブレーキをかける。
【0020】
その他の、ブレーキをかけた時のエネルギーを、誘導電流だけでどうにかなるものではないが、実際に走る速度より、何倍も早い回転体(1)の回転速度なら、ブレーキとして使用できる。この誘導電流は、直接の摩擦を使用しないので、高速のブレーキに適している。
その回転体(1)の上部の端に、接触部(1c)が設置してあり、タイヤ(2)の回転するエネルギーを、接触部(1c)が接して、回転体(1)と固定子(4)の間に発生する、電気エネルギーに変えて吸収するブレーキである。
その回転体(1)の、もう一方の端には、磁石(1d)のS極(1a)とN極(1b)が二個づつあり、4極になっている。その磁石(1d)の外側に、非磁性部質でできた、銅製の固定子(4)は筒になっており、その外側はケーシング(4b)に固定している。そのケーシング(4b)は、ベアリング(3)を介して回転体(1)の中央の軸(1e)を、回転自在に取り付けている。
【0021】
そのケーシング(4b)を、支点(4a)を中心に、タイヤ(2)と接触部(1c)が接触すると、接触部(1c)は回転体(1)を回転させる。すると、回転しているタイヤ(2)は、停止している回転体(1)を回すエネルギーを吸収され、少し制動距離が短くなる。そして、回転体(1)は高速で回転するが、渦電流が抵抗になりブレーキの役目を果たすので、ロックをしないでブレーキをかける。この時、回転体(1)の磁石(1d)部分は、タイヤ(2)の回転する速度より早く回転するため、少しの力で、大きなブレーキの作用となる。
【0022】
また、回転体(1)に具備している磁石(1d)は、固定子(4)の筒の中で回転するので、回転体(1)の磁石(1d)の、S極(1a)とN極(1b)は、固定子(4)に渦電流を発生させ、渦電流は手前に同じ極になるように渦電流が巻くので、反発して抵抗になる。一方過ぎ去ったところは、違う極になるような渦電流が巻くので、くっつけるような力が働き抵抗になる。このような回転体(1)を、タイヤ(2)の両端に取り付けている。
【0023】
それでは、ブレーキシューは普通のブレーキでは、ゴムでできているパットの説明をしたが、ブレーキ全体の説明をする。まず、ブレーキレバーを強く握ると、ブレーキ装置(5)のワイヤーが、一点を引っ張り上げることで、ブレーキシューの支点(4a)を中心に、ブレーキ装置(5)が作動して、タイヤ(2)に回転体(1)を押し付ける。すると、回転しているタイヤ(2)は、停止している回転体(1)を回すエネルギーを吸収され、少し制動距離が縮むが、その後高速で回転する。そして、渦電流が抵抗になりブレーキの役目を果たす。
【0024】
請求項1のブレーキシューは、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキである。その回転体(1)は、接触部(1c)が、タイヤ(2)の回転を伝える物で、接触部(1c)には摩擦を多くするために縦の溝が付いてあり、その回転を軸(1e)に伝える。その軸(1e)は、アンバランス(1f)が下部に付いており、アンバランス(1f)が高速で回転すると、アンバランス(1f)は重さの中心が軸(1e)よりずれているため、軸(1e)が歪み、遠心力でパット(4c)と接触して摩擦する。このため、ベアリング(3)部とアンバランス(1f)との間が開いることで、揺動している。したがって、アンバランス(1f)はパット(4c)との摩擦で、回転速度が上がらないのでブレーキがきく。
【0025】
低速で回転する場合には、遠心力は効かないので軸(1e)は曲がらず、アンバランス(1f)はパット(4c)と接触することがないので、タイヤ(2)がロックすることがない。したがって、タイヤ(2)が高速回転しても、回転体(1)は低速で回転するので、ロックはしない。
【0026】
請求項2のブレーキシューは、回転体(1)がタイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、その回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)と仕切り板(1h)でできている。そのタイヤ(2)は、直径が大きな回転を接触部(1c)の小さな直径の、大きな遠心力に変えて、遠心力でパット(4c)と摩擦するものである。
その接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、軸(1e)はベアリング(3)を介してケーシング(4b)に回転自在に取り付けられている。
そして仕切り板(1h)の間には、扇型になった重り(1g)が配置し、その外側に筒になったパット(4c)を介してケーシング(4b)に取り付けられている。
【0027】
その回転体(1)が高速で回転するときは、仕切り板(1h)が高速で回り、その間の重り(1g)は緩やかに差し込んでいるだけなので、遠心力でパット(4c)と干渉して、摩擦で速度を落とす。速度が落ちたら、遠心力がなくなり、重り(1g)とパット(4c)は摩擦しなくなり、ロックすることはない。
【実施例1】
【0028】
本発明のブレーキシューを、図面を参照して説明する。
なお、本発明はブレーキシューだけの発明であるから、その他の方式のブレーキに取り付けても使用できる。
図1は、前方から見た模式図で、時速20キロの時にブレーキを掛けた場合を説明する。タイヤ(2)は路面に接ししているので、タイヤ(2)も時速20キロで回転している。そしてブレーキ装置(5)は、ブレーキレバーを握ることで、一点線で示していたブレーキ装置(5)は、ワイヤーを引っ張ることで支点(4a)を中心に、タイヤ(2)とブレーキシューが接触して、実線のようになる。従来の場合だと、タイヤ(2)を止めているリムに、ブレーキシューのゴムを押さえ付けて止める物であるが、本発明のブレーキシューは金属製でできているため、ゴムのタイヤ(2)部分に接触している。
【0029】
タイヤ(2)に押し付けられた、回転体(1)の直径はφ12で、1秒間に138回転することになるが、回転体(1)は固定子(4)に渦電流が巻き、精々60回転が精一杯である。そこで、タイヤ(2)と路面が摩擦するか、タイヤ(2)と回転体(1)の接点が摩擦するかである。タイヤ(2)と路面が摩擦しても、1秒間に60回転で回転体(1)は回転し、タイヤ(2)の速度は秒速2メートルで、摩擦面を変えているので、ロックしたようなことは無い。
【0030】
図2は、ブレーキシューだけを現した斜視図であり、中央にはタイヤ(2)が接する部分が、凹面に引っ込んでいて、タイヤ(2)と回転体(1)の接触する部分の、回転体(1)の一部が露出している。また、回転体(1)の上部と、下部には、ベアリング(3)が付いており、その回転体(1)が2個付いている。
【0031】
図3は、ブレーキシューから回転体(1)を外し、回転体(1)からベアリング(3)を外したところである。そのベアリング(3)は、ボール式のベアリング(3)よりもテフロンを使用した物で良く、ベアリング(3)は外形がφ12.2で、内径がφ6で、厚みが5ミリである。そこで、それに合わして回転体(1)も、ベアリング(3)が付くように加工する。また、固定子(4)は回転体(1)が挿入していた穴はφ12.2で、回転体(1)の直径はφ12で、ギャップは0.1ミリしか開いてないが、非磁性部質は空中に浮く性質があるので、少々干渉しても差支え無い。
【0032】
また回転体(1)は、ネオジュム磁石の金属でできていて、タイヤ(2)との接触部(1c)は、ゴムのタイヤ(2)の場所が、摩擦の面で良い。その回転体(1)は、全体が磁石(1d)でできており、その磁石(1d)はS極(1a)とN極(1b)でできている。
【実施例2】
【0033】
図4は、その他のブレーキシューの断面図である。請求項1のブレーキシューは、回転体(1)が背中合わせに、S極(1a)とN極(1b)を合わせた、棒状の磁石が市販されていないため、自転車の発電機を改造してブレーキシューを作って、実際に実験した。その前に、発電機の抵抗からブレーキシューの抵抗を推察すると、接触部(1c)をφ20からφ10にすることで倍以上の抵抗が加わる。それを、左右に取り付けることで4倍の抵抗が加わることは、自転車に乗ったことのある人には、分かるはずである。さらに、接触部(1c)をφ5にすると、8倍以上の抵抗が発電機で得られる。
【0034】
その自転車の発電機は、発電するとき抵抗になるが、それでも抵抗が少ないのは6Vの0.3Aの電球であるからである。その自転車の発電機の、発電部分を除き、固定子(4)を取り付ける。固定子(4)は、回転体(1)の磁石(1d)部分はφ27、8であるから、内径はφ28で、外形はφ32のパイプで、長さは20ミリで、非磁性部質の銅でできている。ギャップは0.1ミリしか開いてないが、非磁性部質は空中に浮く性質があるので、少々干渉しても差支え無い。
【0035】
そして、回転するタイヤ(2)に回転体(1)を押さえ付けて、磁石(1d)の誘導する力で減速するのではなく、回転するタイヤ(2)に棒{回転体(1)}を押さえ付けると、タイヤ(2)がロックするので、棒{回転体(1)}を回転するようにした。しかし、棒{回転体(1)}の回転が、とても高速になるとブレーキの役目を果たさないので、誘導電流を利用して、速度を落としたのが、このブレーキの原理である。したがって、磁石(1d)の誘導電流だけで、速度を落とす物ではない。さらに、ブレーキ装置(5)を取り付ける前に、固定子(4)を取り付ける前の物を、自転車に取り付けて、ブレーキをかけると、最初は回転体(1)が回転するのに、エネルギーを吸収されて遅くなる。その次に、タイヤ(2)が変形するぐらいに挟むと、その挟んだタイヤ(2)が変形するエネルギーもブレーキの作用となる。
【0036】
その回転体(1)の接触部(1c)は、φ20だったものをφ10とし、回転を倍にして、実際の走る早さの3倍の、時速60キロの速度で、磁石(1d)の表面は回転し、ゴムとの摩擦を多くするため溝を掘った。そして、磁石(1d)部分のS極(1a)とN極(1b)は、2個づつの4極になっている。そのブレーキシューで、両側からタイヤ(2)をブレーキ装置(5)で締め付けてブレーキをかける。φ10でブレーキのききが悪い時には、最も細い物で軸(1e)がφ5であるため、φ5まで細くすることが可能である。φ5にすると、実際に走っている速度の6倍の、時速120キロの早さで磁石(1d)の表面が回転する。したがって、6分の1のブレーキの力で停止ができる。
【0037】
このブレーキシューを、自転車に取り付け、作動した時の断面図で、前方から見た図で、時速20キロの時に、ブレーキをかけた場合を説明する。タイヤ(2)は路面に接ししているので、タイヤ(2)の外周も時速20キロで回転している。そして、タイヤ(2)に押しつけられた接触部(1c)の直径はφ10で、磁石(1d)の表面の回転速度は時速60キロの早さで回転し、1秒間に166回転することになるが、回転体(1)は停止しているので、毎秒166回転まで加速するエネルギーの、一部を吸収して時速20キロの速度は、時速18キロの速度に落ちる。そして、回転体(1)は回転しているが高速回転はしないので、回転しているタイヤ(2)に回転体(1)を押しつける、普通のブレーキどうりに、摩擦することで速度を落とす。
【0038】
したがって回転体(1)は、固定子(4)に渦電流が巻き、精々60回転の時速6キロの速度が精一杯である。そこで、タイヤ(2)と路面が摩擦するか、タイヤ(2)と接触部(1c)の接点が摩擦するかである。タイヤ(2)と路面が摩擦しても、1秒間に60回転で、秒速1.8メートルでタイヤ(2)の摩擦面を変えているので、ロックしたようなタイヤ(2)が同じ所を摩擦することは無い。これに時速6キロとはいえ、操舵は効くので転倒することは無い。そして、時速6キロまで速度が落ちると、後は回転体(1)が渦電流を固定子(4)に発生させる抵抗となるので停止する。
【実施例3】
【0039】
請求項1のブレーキシューは、回転体(1)のアンバランス(1f)が特徴で、図5の断面図のようにアンバランス(1f)を一部切り取った形をしている。そのブレーキ装置(5)に、ブレーキをかけるように回転体(1)の接触部(1c)を押し付け、時速20キロのタイヤ(2)の回転を、回転体(1)の接触部(1c)を介し、アンバランス(1f)に伝えたところである。
【0040】
接触部(1c)は、φ20であるため毎秒83回転するので、アンバランス(1f)は、図6の断面図で、図5のA−Aの断面は、下部が大きく切り取っているのでバランスが取れず、軸(1e)はベアリング(3)で回転自在に取り付けているが、ベアリング(3)で支えていないところから、軸(1e)が曲がってアンバランス(1f)全体が大きく振れる。アンバランス(1f)が大きく振れると、アンバランス(1f)を囲んだ筒状になったパット(4c)に干渉し、摩擦となって回転速度を落とす。
【0041】
回転速度が落ちて毎秒5回転になったら、遠心力が弱くなり、φ5の軸(1e)が真っ直ぐになるので、直径φ30のアンバランス(1f)はパット(4c)と干渉せず回転する速度は、時速2キロ以下になる。したがって、高速の時は、パット(4c)に干渉して回転速度を落とし、低速になるとパット(4c)との干渉はせずに回るので理想的なブレーキシューである。
【実施例4】
【0042】
請求項2のブレーキシューは、回転体(1)の仕切り板(1h)と重り(1g)が特徴で、図7の断面図のように回転体(1)は接触部(1c)があり、接触部(1c)はφ20で、軸(1e)φ5を介して仕切り板(1h)が付いており、仕切り板(1h)は4個の重り(1g)を仕切る。その仕切り板(1h)の中の重り(1g)は、扇形の形をしており、重さは20グラムである。
【0043】
そのブレーキ装置(5)に、ブレーキをかけるように回転体(1)の接触部(1c)を押し付け、時速20キロのタイヤ(2)の回転を、回転体(1)の接触部(1c)を介し、軸(1e)の仕切り板(1h)が回転したところである。
【0044】
接触部(1c)はφ20であるため、毎秒83回転するので仕切り板(1h)は、図8のようになる。その断面図は、図7のB−Bから切った図で、一点線の中心線は、右側が低速の時で、左側が高速回転している時で、重り(1g)とパット(4c)の間のギャップは、0.5ミリ開いている。その図の左側のようになっているので、遠心力で重り(1g)がパット(4c)と摩擦してブレーキをかけ、図の右側のように低速になると重り(1g)が、外側にかかる力がなくなり摩擦はせずに回転するので、速度は時速2キロ以下になる。したがって、高速の時はパット(4c)に干渉して、回転速度を落とし、低速になるとパット(4c)との干渉はせずに回る理想的なブレーキシューである。
【実施例5】
【0045】
磁石誘導を利用したブレーキだけでなく、遠心クラッチを利用した物も作れる。しかし、遠心クラッチは、ヒンジを使用しなければならず、長年使用していうちに錆でヒンジが作動しなくなり、故障する恐れがある。故障するとき、回らなくなる方に故障するのならば我慢もできるが、故障すると遠心クラッチは作動しなくなり、高速で回転して、ブレーキが全く効かない状態が想像できるため、遠心クラッチは使用するのを止めた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この磁石誘導を利用したブレーキは、高速で回転すれば、回るほど渦電流が発生してブレーキをかけ、止まれば渦電流は発生しないからロックすることはない。このような性質は、ダイラタンシーのように外力をかけると、見掛けの粘土が上昇する現象で、例えば生デンプンと水を混ぜたペースト状の物質は、傾けた場合は緩やかに流動するが、撹拌棒でかき混ぜ外力を加えると、乾いた状態となり硬化する。撹拌を停めると、再び流動しやすくなる性質がある。このような性質はブレーキには特によい、ブレーキをかけた時には効果的によくきき、ロックはしない。この性質は、ダイラタンシーと磁石誘導と遠心力を利用したものが考えられる。
【0047】
そのブレーキシューは、自動車や自動二輪にも使用できる可能性がある。自動二輪は、自転車と構造か同じであるから、自動二輪に応じた設計をすれば簡単にできる。
また、自動車の場合は、片側からタイヤ(2)に接触しなければならないので、工夫が必要であるが、本発明はブレーキシューだけなので、ここでの説明は省く。
しかし、このブレーキシューはロックしないだけでなく、ブレーキ装置(5)が露出しているため、熱がこもらない利点もある。
【符号の説明】
【0048】
1 回転体 1a S極 1b N極
1c 接触部 1d 磁石 1e 軸
1f アンバランス 1g 重り 1h 仕切り板
2 タイヤ 3 ベアリング
4 固定子 4a 支点 4b ケーシング 4c パット
5 ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のアンチロックするブレーキであって、
回転体(1)が、タイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、
該回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)とアンバランス(1f)でできており、
該接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、
接触させるためにケーシング(4b)は、支点(4a)を中心に回動し、
前記軸(1e)は、ベアリング(3)を介して該ケーシング(4b)に回転自在に取り付けられ、
前記アンバランス(1f)は、外側に筒になったパット(4c)を介して該ケーシング(4b)に取り付けられていることを特徴とするブレーキシュー。
【請求項2】
自転車のアンチロックするブレーキであって、
回転体(1)が、タイヤ(2)の回転するエネルギーを吸収するブレーキであって、
該回転体(1)は、接触部(1c)と軸(1e)と仕切り板(1h)でできており、
該接触部(1c)は、タイヤ(2)と接触する部分で、
接触させるためにケーシング(4b)は、支点(4a)を中心に回動し、
前記軸(1e)は、ベアリング(3)を介して該ケーシング(4b)に回転自在に取り付けられ、
前記仕切り板(1h)の間には重り(1g)があり、該重り(1g)は外側に筒になったパット(4c)を介して該ケーシング(4b)に取り付けられていることを特徴とするブレーキシュー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−210939(P2012−210939A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148106(P2012−148106)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2010−129735(P2010−129735)の分割
【原出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(307010384)
【Fターム(参考)】