説明

プリント基板、画像形成装置及びプリント基板の再利用回数の認識方法

【課題】再利用時の部品交換有無、再利用回数を基板自身が認識可能で、かつ再利用のための作業を行う際に目視で容易に再利用回数を認識することができるようにする。
【解決手段】再利用されるプリント基板110であって、プリント基板110に設けられ、再利用時に切断される少なくとも1つの切断部121と、切断部121を通り、プリント基板110に形成された再利用検知用の導体パターン124と、導体パターン124の切断前と切断後の信号レベルの差を検出するCPU101とを備え、信号レベルの差の変化から切断数を計数し、その結果から再利用の場合の計数値が不正か否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板、画像形成装置及びプリント基板の再利用回数の認識方法に係り、特に再利用回数を電子的及び目視で認識可能なプリント基板、当該プリント基板を搭載した画像形成装置、及びプリント基板の再利用回数の認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば画像形成装置などの機器を構成する上で必ず必要となる電子回路部品が実装された基板は、機器の使用後には廃棄されることが多かった。しかし、近年環境への配慮として再利用することが必要となってきている。特に、メインのプリント基板(以下、単に「基板」とも称す。)や主要な機能を有する基板、例えばプリンタエンジンを制御するエンジンボードなどは、CPUは次の世代の機器に搭載してもそのまま使用できる性能を備えていることが多いので、廃棄せずに再利用することができる。
【0003】
他方、電子部品には寿命があるため、使用後の機器から回収した基板をそのまま使用すると、寿命を超えた部品もあることから、故障や発火に至る可能がある。このため、そういった基板は再利用(以下、「リユース」とも称する。)せずに選別して廃棄する必要がある。そこで基板のリユース回数を基板にペンなどでチェックマークを付ける、あるいはシールを貼り、このシールを貼り替えるなどして基板のリユース回数を管理する方法がある。
【0004】
あるいは、特許文献1及び2に開示された方法も公知である。このうち特許文献1(特開2006−137523号公報)には、部品毎にRFIDタグを実装し、経時変化履歴及び故障履歴などを個別部品毎に書き込んでおき、機器の回収時点でRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取ることにより、部品毎になっても電源を入れずに再利用可能かを判定可能とする技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平4−261084号公報)には、プリント基板の切断部に導体パターンを形成しておき、切断部の導体パターンにレーザを照射してパターンを切断することにより認識する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、今までの方式では何度も再利用する場合にはマーキングやシールの貼り間違えなどが発生することがある。仮に間違ってしまった場合には、最悪、故障や発火に至るおそれがあった。また、基板自身が再利用であることを認識できないため、廃棄すべき基板を使用したり、あるいは耐用年数を越えた基板を使用するという不正な再利用が可能であった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、再利用時の部品交換有無、再利用回数を基板自身が認識可能で、かつ再利用のための作業を行う際に目視で容易に再利用回数を認識することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、再利用されるプリント基板であって、前記プリント基板に設けられ、再利用時に切断される少なくとも1つの切断部と、前記切断部を通り、前記プリント基板に形成された再利用検知用の導体パターンと、前記導体パターンの切断前と切断後の信号レベルの差を検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再利用時の部品交換有無、再利用回数を基板自身が認識可能で、かつ再利用のための作業を行う際に目視で容易に再利用回数を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における画像形成装置としての複写機の制御構成を示すブロック図である。
【図2】基板の再利用回数の認識についての説明図である。
【図3】切断部を切り取りしやすくするための形状についての説明図である。
【図4】複数の再利用信号を1つの端子にて検出する場合の説明図である。
【図5】基板の再利用回数の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例2における基板カウンタの全体の回路構成とリユースタブを示す図である。
【図7】図6の導体パターンの詳細を示す図である。
【図8】導体パターンが形成されたタブ部を折り取った状態である。
【図9】プルアップ抵抗をICの外部に設けた例を示す図である。
【図10】実施例3で解決する問題点として、導体パターンが割った位置で千切れることができなかった例を示す図である。
【図11】実施例3の導体パターンが形成されたプリント基板の要部を示す図である。
【図12】実施例3において基板の切断部の構造を示す断面図である。
【図13】実施例4における複数タブが切断若しくは切り取られたときのプリント基板の状態を示す図である。
【図14】誤って複数タブが接続された際に、リユース回数の誤認を回避するための処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を複数の実施例を挙げ、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0012】
実施例1の特徴は、導体パターンが形成された基板に切断部を設け、この切断部1箇所で基板本体と切断部を接続し、工具を用いずとも切断部を基板本体から切り離すことができる構造としたことにある。このような切断部を設けることにより、切断部が切断された後、基板自身が基板に搭載されたCPUによって信号を読み取り、基板が再利用であるかどうかを判断することができる。また、切断部が切断され、基板本体から切り離されたことは目視により確認できるので、目視での判断も可能とし、基板のリユースの不正使用の防止が可能となる。
【0013】
例えば、複写機においては製品の寿命としては5年程度が想定されるが、基板としてはまだ寿命として問題なく再利用可能である。これは複写機に限った話ではない。但し基板上に搭載されている部品の中で、
・電解コンデンサのように電源やドライバなどに使われる部品はリップル電流による発熱で徐々に劣化する。
・EEPROMは書き換え回数が規定されており、これを越えると間違った値が記憶される。
・大電流を使用する部品(例えば、モータ、ソレノイドなど)を駆動するドライバは駆動時の発熱により劣化する。
など、無条件に再利用はできない部品が存在する。これを無視すると、故障や発火の原因となる。
【0014】
そこで、再利用の回数を管理する必要が生じてくる。本実施例1では、再利用の回数を基板上のCPUで認識でき、かつ目視でも明らかとなるようにする例である。この構成によれば、さらに不正に再利用されて故障や発火などが発生することを防止することができる。
【0015】
図1は画像形成装置としての複写機の制御構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
同図において、複写機は複写機本体100と、スキャナ(原稿読み取り装置)111、電装品112及びプロッタ113などから構成されている。複写機本体100は、制御基板110、画像処理部104、I/O駆動部105、書き込み処理部106などを備えている。制御基板110上には、全体制御を行うCPU101、制御ソフトを記憶しておくROM102、作業メモリとしてのRAM103、及びデータを記憶する不揮発性RAM108が搭載されている。制御基板110もプリント基板によって構成されており、以下、単に基板110と称する。
【0017】
画像処理部104はスキャナ111によって読み取ったデータに対して所定の画像処理を実行し、I/O駆動部105は、センサ、モータ、ヒータ、ファン、LED(レーザ光源)などの電装品112を駆動制御する。書き込み処理部106は、画像データを用紙に書き込むためにLDダイオード(光書き込みヘッド)/インクヘッド(液滴吐出ヘッド)などを備えたプロッタ(画像書き込み装置)113を制御して書き込み処理を行う。複写機本体100には、さらに、電源を生成するレギュレータ107が別の基板に搭載されている。なお、画像処理部B104、I/O駆動部105、書き込み処理部106は、それぞれ別々に画像処理基板、I/O駆動基板、書き込み処理基板に設定され、それぞれの基板にはCPUが搭載されている。
【0018】
図2は基板110の再利用回数の認識する方法を示す説明図、図3は切断部を切り取りしやすくするための形状を示す説明図、図4は複数の再利用信号を1つの端子によって検出する構成を示す説明図である。
【0019】
基板110の再利用時には信号のレベル(電圧)を変更し、基板110上のCPU101によって基板110が再利用可能であるか否かを認識させる。このため、図2に示しているように基板110の一部に切り取ることができる部分(切断部)121を設ける。この切断部121には導体パターン124が形成されている。そして、切断部121で基板110を切断すると、導体パターン124も切断され、信号レベル(電圧)が変化するように構成する。例えば導体パターン124の片側のパターン124−1をCPU101の入力端子、もう片側のパターン124−2をGNDに接続し、CPU101へ接続する前記パターン124−1は抵抗122にて電源(5V)にプルアップする。また、CPU101へ接続するパターン124−1については、基板110の内層を通すようにする。これにより、切断後に例えばジャンパ線125を半田付けによって接続して不正に再利用回数を改ざんすることを防止することができる。なお、基板110は図2の例では1箇所で切り離され、導体パターン124は、124−1,2の2箇所で切断される。
【0020】
図3は、切断しやすい形状を示すもので、例えば細く形成した切断部分110bに応力集中する角部110aを設け、切断部分110bに力を与えれば、容易に折り取り、分離可能な構造とすることができる。その際、後述のように導体パターン124が形成されていない面202sに切断部121に沿ってV字カット(V字溝202v)を設け、このV字カットの部分で折り曲げて切り取るようにすることもできる。このように切断部121で基板110を切り取ると、再利用時に基板110の一部分が切り取られていることが認識できるので、使用する基板110が再利用基板であることが目視によって明白となる。
【0021】
再利用は1回とは限らないため、複数の切断箇所を設ける場合も想定される。このとき、CPU101の端子をその個数分持つことも考えられるが、例えば図4に示すようにCPU101のA/D(analog/digital)変換の端子101aで電圧を読み取って再利用回数を検出することもできる。検出する信号レベル(電圧)は切断部121を介して接続された抵抗124a,124bで接地されている。このため、抵抗124a,124bで分圧された電圧がCPU101の端子101aに入力される。接地されている抵抗の数が多いほど信号レベルは小さくなるのでその値を検出することによって再利用回数を検出することができる。また、切断する基板110の位置毎に抵抗の抵抗値を変えると、分圧レベルもいくつかのパターンになるため、そのパターンから基板110のどの箇所が切断されたかも検知することができる。
【0022】
なお、図4の導電パターン124は図2の導電パターンを並列に2段設けた例で、パターン124−1a,1bがA/D端子101aに接続され、パターン124−2a,2bがそれぞれ抵抗123a及び123bを介してGNDに接続されている。その他の各部は図2の例と同様である。
【0023】
図5は基板の再利用回数の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0024】
同図に示すように電源が投入されると(ステップS100)、CPU101は再利用判定を実施する(ステップS101)。この判定の判定結果が再利用ではない(切断されていない)場合は動作を許可する(ステップS102:N、ステップS112,S113)。その際、寿命情報を更新し(ステップS112)、その後、動作を許可する(ステップS113)。ステップS102で再利用と判定した場合(ステップS102:Y)は、まず、回数を判定し(ステップS103)、さらに、不正カウントの有無を判定する。そして、メモリ(不揮発RAM108)に保持している再利用情報に対して、不正な情報が検出された場合は動作を禁止とする(ステップS104,S105)。このようにすれば、再利用回数を偽造して使用しようとした場合の判断が可能となる。ここで不正カウント若しくは不正な情報とは、例えば、メモリに記憶された回数と検出した回数が一致しない場合である。回数が一致しない場合とは、切断した基板110を切断部分で例えばジャンパ線125によって半田付けし、接続した場合などである。
【0025】
また、寿命部品の交換によって再利用を可能とする場合、その部品がどのくらい使われていて劣化度合いを判断して交換を促す必要がある。そこで、再利用回数を確認したら(ステップS104:Y)寿命情報を確認する(ステップS106)。再利用回数毎に交換する部品が決まっている場合はその情報を示すのも良い。また、通電時間、印刷時間、枚数、ROM/RAMの書き換え回数といった規定を設けておき、その状況によって交換部品を選別して示すようにする。指示は例えば操作部やデバッグのモニタなどによって行う。
【0026】
部品変更が必要(ステップS107:Y)で交換後は、指定の手順を踏むことで交換済みであることをCPU101に認識させ(ステップS108,S109,S111)、寿命情報を更新すると共に動作を可とする(ステップS112,S113)。基板110は再利用をすることになるので、再利用開始からの時間/枚数といった情報と共に交換していない部品については再利用前からの積算情報を記憶しておく(ステップS110)。このようにすることで、次回の再利用時の交換部品の判断も可能となる。
【0027】
すなわち、部品変更が必要な場合に、部品変更済み(ステップS109:Y)であれば、変更済みであることを入力し、回数をメモリに記憶し(ステップS111)、CPU101はメモリに記憶した寿命情報を更新する。他方、変更済みでなければ(ステップS109:N)、電源をOFFし、部品を交換した後に部品変更したことを示す処理を実行し(ステップS110)、ステップS100に戻って電源をONとし、ステップS101以降の処理を繰り返す。この場合、ステップS109で部品変更済みと判定され、ステップS111以降の処理を実行し、動作が許可された(ステップS113)時点で、基板の再利用回数の検出処理を終了する。
【0028】
以上のように、本実施例によれば、基板110の切断部121の1箇所で接続し、当該切断部121で工具を使用しなくとも切断できるようにし、前記切断部121を切断することによって基板110に搭載されたCPU101が信号レベル(HighかLow、あるいは電圧)を読み取り、再利用であるかどうかを判断することができる。また、少なくとも1つのパターン124−1を基板110の内層に通すと、折り取った後、パターン124の端部を接着できないので、不正を防止することができる。さらに、切断部121で切断した後が、再利用のための作業を行う際に目視で容易に確認できる。切断部121が複数の場合には、切断した数で再利用回数を認識することができる。なお、パターン124は2本通っているので、切断部121で切断すると、2点で接続が切られることになる。
【実施例2】
【0029】
実施例2の特徴は、電子回路の信号パターンが形成された基板端に、折り取りやすい加工が施され、それを人の手で折り取ることにより、電子回路の入力信号が変化し、回路が折り取られたかを認識できると同時に、電源を入れることなくその折り取られた状態を目視できることにある。
【0030】
図6は基板カウンタの全体の回路構成とリユースタブを示す図である。
【0031】
本実施例では、基板201の端部に簡単な工具あるいは人の手で折り取れるようなミシン目(状の穴)208等を入れたタブ形状の部位202(以下、「タブ」と称する。)を作成し、そこを通る細い導体パターン203を形成する。この導体パターン203は図7に示すように片方が基板のGND204に、もう片方がIC205の入力部211にそれぞれ接続され、IC205の内部又は外部でプルアップ抵抗206によってプルアップされている。なお、実施例2では、タブ202は5個形成され、5回の再利用が認識可能である。図6では、1回目から5回目の対応するタブについて202−1〜5の符号を付している。
【0032】
こうすることによって、電源投入時、タブ202が基板201の本体側に付いているときはIC205の入力部211にはGND204によってLow信号が入力され、タブ202が折り取られていたときは、プルアップ抵抗によりHigh信号が入力される。一方、このIC205の入力部206を見れば、基板201のIC205によってタブ202が付いたままか、折り取られた後かを識別することができる。
【0033】
また、タブ202を折り取る構造になっているので、タブ202は一度折り取られると元には戻せない。これは例えば基板201のリユース回数を管理するときに最適である。基板リユース工場に回収された基板201は、その基板201が寿命なのか、まだリユースして使えるのかを判断しなければならない。タブ202が折り取られていれば、折り取られた枚数を作業者が見て何回目のリユースかを知ることができる。これによって基板110のリユースが可能か否かを選別することができる。
【0034】
しかし、誤ってリユースできない寿命の基板201がリユース工程に混入してしまうこともある。そのような場合、本実施例ではチェック工程で回路に電源を入れた際にタブ202の状況を識別し、警告を点灯することができる。また、リユース回数により例えばモータなどの駆動回路の駆動特性を変えて、部品への負荷を変更して動かすことにも、このリユース回数の情報はリユースの可否を判断するのに重要である。さらに、タブ202は折り取られるので、元の状態に戻すことは不可能であり、第三者による情報の改ざんによる不正使用を防ぐことができる。
【0035】
図7はタブ部の拡大図である。タブ1_202−1に注目すると、この状態では信号はGND(Low信号)としてIC205に入力される。図8はタブ1_202−1を折り取った状態を示す図である。この状態では信号はIC205の内部又は外部にあるプルアップ抵抗206によってHighレベルに電圧が引き上げられ、High信号としてIC205に入力される。図6、図7及び図8ではプルアップ抵抗206をIC205内蔵の抵抗成分としたが、図9の変形例を示す図において符号206’で示すように外部に別途付けても良い。
【0036】
以上のように、本実施例では、電子回路基板201の端部に、簡単な工具で折り取れる若しくは切断できるタブ202形状を形成し、そこに(電子)導体パターン203を引き、導体パターン203に一方はGND(アース)204に、他方は電子回路の入力ポート211とプルアップ抵抗206に接続する。これにより、タブ202が存在している入力ポート211にはHigh信号が入力され、タブ202が折り取られた入力ポートにはLow信号が入力され、かつ、折り取られたタブ202は一旦折り取られると、接続することはできない。そのため、基板201のリユース履歴が作業者の人の目で目視でき、かつ、電子回路動作上で、IC205が電気信号として履歴を認識することができる。
【実施例3】
【0037】
実施例3の特徴は、手でタブを千切って切断したときに、導体パターンをきれいにかつ確実に折り取ることができるようにしたことにある。
【0038】
プリント基板に切り取り部を設ける場合、
・基板の表面にV字の溝、所謂Vカットを形成し、基板の厚みの薄い所を作る。
・実施例2における図6のようにミシン目状に穴を開けて、ミシン目の部分で基板を割って(折って)切り取り可能とする。
などの方法がある。なお、Vカットの場合、導体パターンを表面上に形成することはできないため、切断部に掛けて導体パターンを形成する場合は、ミシン目加工を選択する必要がある。すなわち、後述の図11ないし図13に示すように、導体パターンを避けてミシン目加工を行うことになる。
【0039】
図10は実施例2における図7のタブ202部を折り取った他の例の状態を示す図である。導体パターン203に対して工具等による切断を行わずに基板201を割ると、図10に示すように導体パターン203が割った位置(A−A’線)で千切れることができず、導体パターン203の端部207が飛び出し、あるいは基板201から剥がれてしまうことがある。
【0040】
そこで、本実施例ではパターンが千切れやすく、あるいはプリント基板201から剥がれにくい形状に変更した。図11は本実施例の導体パターン203が形成されたプリント基板201の要部(ミシン目部分)を示す図である。プリント基板201はタブ202のミシン目208のところから割る(折る)ことになるが、プリント基板201の割り位置の導体パターン203に幅細部203hを設け、基板201を割った(折った)ときに前記幅細部203hで導体パターン203が簡単に切断されるようにした(図11(a))。
【0041】
本実施例では、通常の導体パターン203の幅を0.5〜0.7mmとしたとき、切断部の導体パターン203の幅は0.15〜0.2mm程度としている。これによりプリント基板201のタブ202をA−A’線に沿って割ったときに、導体パターン202は剥がれることもなく、タブ202を折り取ると同時に容易に千切れることになる。この千切れは、幅が細くなって強度が落ちるばかりでなく、細くなった部分に応力が集中するからである。なお、導体パターン203の厚さは一定であり、導体パターン202の大きさを変えて強度を調整するためには、幅方向の寸法を変更する以外に方法はない。
【0042】
図11(b)は導体パターン203にランドを設けた例である。図11(b)では、直径1mm程度の導体ランドパターン203aを、基板201を割る(折る)のライン(A−A’)のごく近くに配置する。ランド部分は幅方向の寸法が導体パターン203よりも大きく、大きな面積によってプリント基板110への吸着力が大きい。そこで、導体ランドパターン203aの縁部203bでパターン切れが起こるようにする。
【0043】
図11(c)は図11(b)の導体ランドパターン203aを、スルーホールを有するスルーホールランド203cとしたものである。図11(c)では、直径1mm程度のスルーホールランド203cを、基板201を割るライン(A−A’)のごく近くに配置する。スルーホールランド203cのスルーホールには金属製の筒体が挿入され、導体の強度が大きいので、スルーホールランド203cの縁部203dでパターン切れが起こるようにすることができる。
【0044】
このように導体パターン203の形状を変更し、所望の箇所で確実に折り取るようにすることが可能であるが、これをさらに確実にするために、本実施例では、基板201の導体パターン203の非形成側の面202sにVカットを施し、そのVカットに沿って割り、あるいは折ってタブ202を分離するようにした。この例を図12に示す。図12は、図10に相当する基板201におけるB−B’線断面図である。
【0045】
図12(a)はミシン目208加工によって折り取るA−A’線に沿った部分の強度を下げて割る(折る)ようにした従来の手法を使用した例である。図12(b)ないし(d)は導体パターン203の非形成面202sに予め設定された深さのV字溝202vをA−A’線に沿って形成したものである。V字溝202vの深さは基板202の厚さ及び強度に応じて適宜設定される。
【0046】
このV字溝202vは、大きな基板に同一の導体パターン203を複数(多数)形成し、独立した各導体パターン203を切り離すために設けられる。V字溝202vは、導体パターン203の形成後に各導体パターン203を区画に分ける直線状の溝を断面V字型の回転刃によって切削することにより形成される。この形成方法から、形成されたV字溝202vはV字カットとも称される。このV字溝202vは、基板201の両面のXY方向の全幅にわたって形成されることから、V字溝形成位置には導体パターン203は形成されていない。言い換えれば、導体パターン203はV字溝202vの形成位置を避けて形成されている。従って、これまで知られているV字カットにより形成されるV字溝は、たとえ折ったとしても、導体パターン203を分離することはない。
【0047】
これに対し、本実施例におけるV字溝202vは、導体パターン203と直交する方向であって、しかも、導体パターン203が形成されていない面に形成した。図12(b)は基板201のパターン形成側を表面とすると裏面にV字溝203vを形成した例、図12(c)は図12(a)に示したミシン目208と図12(b)に示したV字溝203vを組み合わせた例、図12(d)は導体パターン203を基板203の内層に形成した内層パターン203iとし、パターンが形成されていない基板202の両面にV字溝203vを形成した例である。
【0048】
なお、V字溝202vは図11に示した各パターン形状と組み合わせても良いことは言うまでもない。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、切り取りタブ202に掛けて配線された導体パターン203に対して、基板202の切断点において切れやすい形状にし、及び/又は基板202にV字溝202vを形成して基板202を割れやすく(折りやすく)したので、リユースのためのタブ切り取り処理において、基板の損傷を抑制することができる。
【実施例4】
【0050】
本実施例は、電源のOFF/ONでタブ202が1つ以上減少したことを判断したら、リユース回数をカウントすることを特徴とする。
図13は、タブ202−1,2が切断若しくは切り取られたときのプリント基板110の状態を示す図である。
【0051】
図13は図7に示すようにタブ202が1つも切断されていない状態から図8に示すように第1のタブ202−1を切断すべきであったときに第1及び第2のタブ202−1,2の2枚のタブを切断したときの状態を示す図である。このように1個のタブ202−1を切断すべきときに、誤って複数のタブ202が切断されていると、目視でリユース回数を判断することができなくなってしまう。また、電気的な接続状態も変化してしまうため、チェック工程で回路に電源を入れた際にタブ202の状況を識別しても、誤ってリユースできない寿命の基板がリユース工程に混入してしまう可能性がある。
【0052】
図14は誤って複数タブが接続された際に、リユース回数の誤認を回避するための処理手順を示すフローチャートである。タブ202を切断した状態は前述の図8に示したもので、この状態では信号はIC205内部又は外部にあるプルアップ抵抗206によってHighレベルに電圧が引き上げられ、High信号としてICに入力される。
【0053】
図14において、電源がONされたら(ステップS201:YES)、タブ202の接続状態を確認し(ステップS202)、基板110上に設置されている不揮発メモリから電源がONされる前のタブの接続状態を読み込む(ステップS203)。このとき、もしタブ202の状態が、電源ONされる前よりも1つ以上接続数が少ないと判断したら(ステップS204:YES)、不揮発メモリに記憶されているリユース回数を読み込み、リユース回数を+1カウントアップする(ステップS205)。そして、不揮発メモリ上のリユース回数を書き換える(ステップS206)。
【0054】
このように本実施例によれば、電源のOFF/ONでタブ202が1つ以上減少したと判断したら、リユース回数をカウントアップし、不揮発メモリに記憶するので、正確なリユース回数を記憶することが可能となる。これにより基板202のリユースを正確に判断することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0056】
(1)基板110のリユースに際し、何度も再利用する場合にリユース回数を仮に間違ってしまった場合には、最悪、故障や発火に至るおそれがあった。また、基板自身がリユースであることを認識できないため、廃棄すべき基板110を使用したり、あるいは耐用年数を越えた基板110を使用するという不正なリユースが可能であった。これに対し、本実施形態では、リユースされる基板110に搭載されたCPU101が信号レベルの変化に基づいてリユース時の部品交換有無、リユース回数を認識することが可能なので、前記事態の発生を回避することができる。
【0057】
(2)また、RFIDタグを使用した場合、目視で確認することができず、また、簡単な道具で情報を更新することは不可能であり、利便性に欠けていたが、本実施形態では、リユースのための作業を行う際に切断部121を目視で確認できることから、電子装置を使用することなくリユース回数を認識することができる。さらに、簡単な道具でそのリユース回数情報を更新することができる。これにより利便性も向上する。
【0058】
(3)基板110の切断部に形成された導体パターンが形成されたタブ202を切断するチェック方法では、切断に工具を使用しないと、切断部を通る導体パターン203を切断したときの際の弾みで導体パターン203が基板110から剥がれ、基板110が損傷するというおそれがあった。しかし、本実施形態では、V字溝202vあるいはミシン目208等を切断部121に設けているので、工具を使わずに手で切断部121を容易に切断することができる。その際、導体パターン203が切断しやすい形状に形成され、及び/又は基板110が切断しやすい形状に加工されているので、導体パターン203及び基板110を損傷することなく切断することができる。
【0059】
(4)誤って複数のタブが切断された場合に、廃棄処分すべき基板がリユースの加工ラインに入ってしまっても、警告を出すことが不可能であったが、正確なリユース回数を記憶するので、正確に基板110のリユースの可否を判断することができる。
なお、特許請求の範囲におけるプリント基板は前記実施形態ではプリント基板若しくは基板110に、切断部は符号121、A−A’線、ミシン目(状の穴)208あるいはV字溝202vに、導体パターンは符号124あるいは符号203に、検出手段はA/D端子101a及びCPU101、あるいは入力ポート211、プルアップ抵抗206、導電パターン203及びIC205に、幅細の形状は切断部分110bに、導電パターンが形成されていない面は非導電パターン形成面202sに、V字状の溝はV字溝202vに、ミシン目状の穴はミシン目208に、導体パターンの幅が当該切断箇所の前後の導体幅よりも狭く形成された箇所は幅細部203hに、ランドはランドパターン203aに、スルーホールはするーホールランド203cに、切断箇所に画像形成装置は複写機本体100、スキャナ111、電装品112及びプロッタ113に、それぞれ対応する。
【0060】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100 複写機本体
101 CPU
101a A/D端子
110,201 プリント基板(基板)
110b 切断部分
111 スキャナ
112 電装品
113 プロッタ
121 切断部
122,206,206’ プルアップ抵抗
124,203 導体パターン
202s 非導電パターン形成面
202v V字溝
203a ランドパターン
203c スルーホール
203h 幅細部
205 IC
208 ミシン目(状の穴)
211 入力ポート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2006−137523号公報
【特許文献2】特開平4−261084号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用されるプリント基板であって、
前記プリント基板に設けられ、再利用時に切断される少なくとも1つの切断部と、
前記切断部を通り、前記プリント基板に形成された再利用検知用の導体パターンと、
前記導体パターンの切断前と切断後の信号レベルの差を検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
請求項1記載のプリント基板であって、
前記検出手段の検出結果から前記切断部の切断数を計数する計数手段を備えたこと
をプリント基板。
【請求項3】
請求項2記載のプリント基板であって、
前記計数手段の計数結果に基づいて再利用の場合の計数値が不正か否かを判断する判断手段を備えたこと
を特徴とするプリント基板。
【請求項4】
請求項2記載のプリント基板であって、
前記計数結果の計数結果に基づいて前記切断部の切断数が1以上減少した回数をカウントし、再利用回数を判断する判断手段を備えたこと
を特徴とするプリント基板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記検出手段が、
前記導電パターンに接続されたA/D端子と、
前記A/D端子に入力される電圧変化を検出する制御手段と、
を含み、
前記制御手段は、切断数に応じた電圧の変化を前記信号レベルの差として検出すること
を特徴とするプリント基板。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記検出手段が、入力ポートに接続されたプルアップ抵抗並びに前記入力ポート及びGNDに接続された前記導電パターンを含み、
前記制御手段は前記入力ポートの電圧レベルの変化を前記信号レベルの差として検出すること
を特徴とするプリント基板。
【請求項7】
請求項6記載のプリント基板であって、
前記プルアップ抵抗は、IC内蔵の抵抗成分で構成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項8】
請求項6記載のプリント基板であって、
前記プルアップ抵抗は、プリント基板上の抵抗器で構成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプリント基板であって
前記切断部の切断箇所が前記プリント基板に対して幅細の形状に形成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記切断部の切断箇所の前記プリント基板の前記導体パターンが形成されていない面にV字状の溝が形成され、前記切断箇所では、当該V字状の溝に沿って切断されること
を特徴とするプリント基板。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記切断部の切断箇所の前記プリント基板の前記導体パターンが形成されていない箇所にミシン目状に穴が形成され、前記切断箇所では、当該ミシン目状の穴に沿って切断されること
を特徴とするプリント基板。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記切断部の切断箇所における導体パターンの幅が当該切断箇所の前後の導体幅よりも狭く形成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記切断部の切断箇所にごく近い位置に導体パターンのランドが形成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記切断部の切断箇所にごく近い位置に導体パターンのスルーホールが形成されていること
を特徴とするプリント基板。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載のプリント基板を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
プリント基板を再利用するときのプリント基板の再利用回数の認識方法であって、
再利用時に切断される少なくとも1つの切断部と、前記切断部を通る再利用検知用の導体パターンをプリント基板に予め設けておき、
前記導体パターンに対して検出手段により前記導体パターンの切断前と切断後の信号レベルの差を検出手段によって検出し、
前記検出手段によって検出された検出結果から計数手段によって前記切断部の切断数を計数し、
前記計数手段によって計数された計数数から再利用回数を認識すること
を特徴とするプリント基板の再利用回数の認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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