プリント配線板とその製造方法
【課題】スリット端面からの切り粉の発生を防止すると共に、連結部を切断して個片基板に分割した際の切り粉の発生をも防止することができる複数の個片基板が面付けされたプリント配線板の提供。
【解決手段】少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐ連結部をエッチング可能な金属にて形成した。
【解決手段】少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐ連結部をエッチング可能な金属にて形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット端面からの切り粉の発生を防止したプリント配線板に関し、特に、連結部を切断した際にも切り粉が発生することのないプリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板を製造する場合、通常、製造効率を上げるために、大判のプリント配線板に複数の個片基板を面付けして製造するようにしている。そして、各個片基板に部品を実装した後の分割作業を容易にするために、個片基板の外形に沿ったスリットを、一部に連結部(個片基板と捨て基板間、あるいは隣接する個片基板間を繋ぐための連結部)を残して形成するようにしている。
尚、ここで個片基板とは、大判プリント配線板が、実際に単体で使用されるピース基板を複数面付けして構成されるシート基板である場合には、当該ピース基板を意味し、また大判のプリント配線板が、当該シート基板を複数面付けして構成されるワーク基板である場合には、当該シート基板を意味する。
【0003】
しかし、上記構成のようにスリットが形成された状態では、プリント配線板の構成材であるガラス繊維などの補強基材やエポキシ樹脂などの樹脂の切り粉がスリット端面から発生してしまうため、例えば、カメラモジュール用のプリント配線板のように、切り粉が不良要因となる製品においては、大きな問題となっていた。
【0004】
このような問題を回避できるものとして、図14に示したようなプリント配線板が既に報告されている(特許文献1参照)。
【0005】
図14(a)は、6個の「個片基板14」、当該個片基板14の周囲を囲む「捨て基板14a」、当該個片基板14と捨て基板14aとを繋ぐ「連結部7a」、個片基板14の外形に沿って形成された「スリット6」からなるプリント配線板Paの概略平面図で、図14(b)〜(d)は、図14(a)に示されるプリント配線板PaのA−A線切断部における要部拡大断面図である。
【0006】
まず、図示しない配線パターン及びスリット6が形成されたプリント配線板Paの全面(スリット端面6bも含む)に、スプレー塗付及び仮乾燥手段によって感光性樹脂10bを形成する(図14(b)参照)。
【0007】
次に、図14(c)に示したように、マスク開口部15aを有する露光マスク15を介して露光処理し、次いで、露光マスク15を除去した後、現像処理で未露光部分の感光性樹脂10bを除去することによって、スリット端面6bとその周囲に樹脂層10cが形成された図14(d)のプリント配線板Paを得るというものである。
【0008】
このように、スリット端面6bを樹脂層10cで被覆するようにしたため、補強基材1bや樹脂の切り粉の発生を防止することができる。
【0009】
しかし、上記構成においては、スリット端面6bからの切り粉の発生に関しては防止できるが、部品実装後に各個片基板14に分割する際に発生する連結部7a端面からの切り粉に関しては対策が採られていなかったため、不良品対策としては不十分なものであった。
【特許文献1】特開2007−335563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、スリット端面からの切り粉の発生を防止するとともに、連結部を切断して個片基板に分割した際の切り粉の発生をも防止することができるプリント配線板と、当該プリント配線板が容易に得られる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の個片基板が面付けされたプリント配線板において、個片基板と、隣接する個片基板間並びに個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間に形成されたスリットと、少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐエッチング可能な金属からなる連結部と、当該スリットの端面を被覆するソルダーレジストとを有することを特徴とするプリント配線板により上記課題を解決するものである。
【0012】
また、複数の個片基板が面付けされたプリント配線板の製造方法において、各個片基板にエッチング可能な金属からなる配線パターンを形成する工程と、当該エッチング可能な金属にて少なくとも個片基板と捨て基板間に跨る連結部を形成する工程と、隣接する個片基板間及び個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間にスリットを形成する工程と、配線パターンを保護するソルダーレジストを形成すると同時にスリット端面を当該ソルダーレジストで被覆する工程とを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法により上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板を本発明の構成とすることによって、スリット端面からの切り粉の発生を防止できるとともに、連結部の切断時の切り粉の発生をも容易に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3に示した3層のプリント配線板の概略断面製造工程図を用いて第一の実施の形態を説明する。尚、当該図1〜図3は図10(a)に示した6個の個片基板14が形成されたプリント配線板PのA−A線切断部における要部拡大断面図である。
【0015】
まず、図1(a)に示したように、銅箔などの金属箔2aの片面にプリプレグなどの絶縁接着剤層1aが設けられた樹脂付き金属箔3aを用意するととともに(あるいは、両者を別々に用意しても構わない)、絶縁基板1の一方の面に配線パターン2、他方の面に金属箔2aが形成された図1(b)の両面基板3を用意する。ここで図中の符号7は、後に捨て基板14aと個片基板14間、あるいは隣接する個片基板14間を接続するための「連結部」で、配線パターン2と一緒に形成されるものである。因みに該図は、隣接する個片基板14間を接続する例を示している(図10(a)に示したプリント配線板Pの概略平面図参照)。
【0016】
次に、図1(c)に示したように、両面基板3の配線パターン2が形成された面と、樹脂付き金属箔3aの絶縁接着剤層1aとを対向させて積層し、次いで、個片基板14の外形線上に位置する金属箔2a(即ち、スリット加工予定部6a上に位置する金属箔2a)とビアホール形成予定部に位置する金属箔2aをエッチング除去して、開口部4、4aを形成する(図1(d)参照)。
【0017】
次に、スリット6を形成する部分のうち、連結部7の非形成部に位置する絶縁基板1(「絶縁接着剤層1a」も積層後は硬化されて「絶縁基板1」と同じになるため、ここでは「絶縁接着剤層1a」も「絶縁基板1」として説明する)をルータ加工やパンチング加工により除去し、次いで、開口部4、4aから露出する残りの絶縁基板1をレーザ5(例えば、「炭酸ガスレーザ」)で除去することによって、ビアホール形成用の非貫通孔16aを穿孔するとともに連結部を露出させる(図1(e)及び図10(a)参照)。
【0018】
ここで、上記「ルータ加工やパンチング加工」と「レーザ加工」の加工順については特に限定されず、どちらを先に行ってもよい。また、連結部7の露出手段としては、連結部7がある程度の厚さ(例えば、20μm以上)を有していれば、連結部7の非形成部を加工するルータ加工と一括して加工することもできる。
【0019】
次に、過マンガン酸カリウム系や過マンガン酸ナトリウム系などのデスミア処理を行うことによって、非貫通孔16aや連結部7の表面をクリーニングし、次いで、無電解めっき(例えば「無電解銅めっき処理」)、電解めっき処理(例えば「フィルビア用のめっき液を用いた電解銅めっき処理」)を順次行うことによって、非貫通孔16a及びスリット6を含む全面にめっき8を析出させる(図1(f)参照)。
【0020】
次に、図2(a)に示したように、図1(f)の状態の基板の表裏にエッチングレジストフィルム9aをラミネートし、周知の露光・現像(例えば、炭酸ナトリウム水溶液による現像処理)工程によって所望のパターンのエッチングレジスト9を形成する(図2(b)参照)。
【0021】
次に、塩化第二鉄溶液などを用いたエッチング処理を行うことによって、エッチングレジスト9から露出している金属箔2aとめっき8を除去し(図2(c)参照)、次いで、エッチングレジスト9を剥離(例えば、水酸化ナトリウム水溶液による剥離処理)することによって、配線パターン2と上下方向の配線パターン間を接続するビアホール16、並びにめっき8で被覆された連結部7を備えた図2(d)の基板を得る。
【0022】
ここで、図2(b)〜図2(d)の配線パターン形成工程では、図11と図12に示した二通りのエッチングレジスト形成が考えられる。尚、当該図11及び12は、図2(b)〜図2(d)を上から見た場合の概略平面図を示したものであるが、図面の見易さを考慮して、一部のハッチングを、図2とは異なるハッチングとした。
【0023】
まず、図11の構成は、エッチングレジスト9のうち、スリット6部に形成するエッチングレジスト99を、連結部7を形成する部分にのみ形成する構成である。
【0024】
本構成では、エッチング液がスリット6に流れ込むため、予め幅広の連結部7を設けておく(図11(a)参照)。
次に、図11(b)に示したように、エッチング処理及びエッチングレジスト剥離を順次行うことによって、所望の幅Wを有する連結部7と配線パターン2を形成するというものである(図11(c)参照)。
【0025】
本構成の場合、エッチングレジスト99を形成した部分に、不要パターン2cが残存するため(図11(c)参照)、若干のデットスペースDが発生するが(図11(c)、図2(d)参照)、これ以外の部分には、スリット6の近傍に配線パターン2を形成できるため、高密度配線化を図ることができる(但し、本構成の場合、スリット6の近傍に、配線パターン2を設けるのは容易にできても、パッド2bの形成は困難であるのだが、その説明については後で詳しく説明する)。
【0026】
続いて、図12の構成であるが、本構成は、スリット6部に形成するエッチングレジスト99を、スリット6を完全にカバーリングするように形成するものである。
【0027】
本構成では、図12(a)の基板をエッチング処理すると、図12(b)に示したように、スリット6に沿って不要パターン2c(即ち、デットスペースDとなる部分)が形成されるため、高密度配線化の観点からすると、図11の構成よりも不利な構成であるといえる。しかし、本構成では、スリット6へのエッチング液の進入を完全に防止できるため、良好な連結部7を確実に形成することができる。
【0028】
次に、ソルダーレジストインキをスプレーなどで塗布した後、仮乾燥処理(例えば、80℃/30分のセミキュア処理)して半硬化状態(タックフリー状態)のソルダーレジスト膜10aを形成し(図2(e)参照)、次いで、露光・現像処理にてパッド2b及び連結部7の一部を露出させた後、本硬化処理(例えば、150℃/1時間のポストキュア処理)してソルダーレジスト10を形成する(図3(a)参照)。
【0029】
次に、図3(b)に示したように、露出している連結部7を耐金めっき膜11で被覆した後、ニッケル−金めっき処理でパッド2bの表面に金めっき12を形成し、次いで、耐金めっき膜11を剥離することによって、スリット端面6bがソルダーレジスト10、あるいはめっき8とソルダーレジスト10で被覆され、且つ連結部7がめっき8で被覆されたプリント配線板Pを得る(図3(c)及び図10(a)参照)。
【0030】
そして、部品を実装した後に各個片基板14に分割するには、連結部7をエッチング処理で除去することによって、容易に各個片基板14に分割することができる(図3(d)参照)。
【0031】
本実施の形態の特徴は、従来、絶縁基板で形成していた連結部を、エッチング可能な金属で形成した点にある。このため、各個片基板に分割する際、切り粉が全く発生しなくなるため、当該切り粉による不良発生を防止することができる。
【0032】
次に、図4を用いて第二の実施の形態を説明する。
第一の実施の形態では、連結部7上のソルダーレジストの除去手段として、露光・現像で行う例を示したが、本実施の形態では、図4(a)に示したように、ソルダーレジスト10を形成した後、パッド2bに金めっき12を形成し、次いで、連結部7上のソルダーレジスト10をレーザ5で除去することによって、図4(b)のプリント配線板Pを得るというものである。尚、図4(c)は、図3(d)と同様に、連結部7をエッチングして、各個片基板14に分割した状態を示したものであるが、以降の実施の形態においても、特に説明はしないが、製造工程図の最後には、図3(d)、図4(c)と同様に、分割後の状態を示すこととする。
【0033】
本実施の形態の特徴は、連結部7上のソルダーレジストの除去を、露光・現像で除去する代わりに、本硬化させた後、レーザで除去するようにした点にある。即ち、第一の実施の形態は、製造工程上、本実施の形態よりも効率よく製造できるものの、金めっき処理の際に、耐金めっき膜11をスクリーン印刷や感光性フィルムを露光・現像して形成する必要があるため、金めっき12上にインクやフィルムが残ってしまうという懸念があるが、本実施の形態ではそのような懸念がなく信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて第三の実施の形態を説明する。
図5(a)は、内層の配線パターン2の表裏に絶縁基板1が積層されたものであり、例えば、図1(c)の基板の外層に積層されている金属箔2aをエッチング除去するか、片面に配線パターン2を有する片面基板の配線パターン形成面にプリプレグなどの絶縁接着剤層1aを積層・硬化するなどして得ることができる。
【0035】
次に、第一の実施の形態と同様に、スリット6とビアホール形成用の非貫通孔16aを形成し、次いで、デスミア処理で非貫通孔16aをクリーニングするとともに絶縁基板1の表面を粗化する(図5(b)参照)。
【0036】
次に、パラジウムなどの触媒処理を行った後、非貫通孔16a及びスリット6を含む全面に、厚さ1〜3μm程度の無電解めっき8a(例えば、無電解銅めっき)を析出させ(図5(c)参照)、次いで、図5(d)に示したように、めっきレジストフィルム13aをラミネートした後、露光・現像処理を行うことによって、所望のめっきレジスト13を形成する(図5(e)参照)。
【0037】
次に、図6aに示したように、無電解めっき8aを給電層とする電解めっき処理を行うことによって、めっきレジスト13から露出する無電解めっき8a上に電解めっき8b(例えば、電解銅めっき)を析出させ、次いで、めっきレジスト13を剥離したあと(図6(b)参照)、露出した無電解めっき8aをソフトエッチング処理(例えば、蟻酸やアミン系錯化剤を主成分とするソフトエッチング液、硫酸や過酸化水素を主成分とするソフトエッチング液、過硫酸アンモニウム系または過硫酸ナトリウム系のソフトエッチング液などを用いたソフトエッチング処理)で除去することによって、配線パターン2と上下方向の配線パターン2間を接続するビアホール16を形成する(図6(c)参照)。
【0038】
ここで、図5(e)〜図6(c)の配線パターン形成工程においても、第一の実施の形態と同様に、二通りのめっきレジスト形成が考えられるが、本実施の形態においては、第一の実施の形態とは逆に、めっきレジスト非形成部13bにめっきを析出させて、配線パターン2を形成する構成であるため、図13(図5(e)を上から見た場合の概略平面図)に示したように、スリット6の近傍に配線パターン2を設けるようにした場合、この部分のめっきレジスト13の接着代13c(スリット端面6bとめっきレジスト13の端部との間の幅)が小さくなり、剥がれてしまう危険性がある。
【0039】
従って、図13の状態でめっき処理を行えば、第一の実施の形態と同様に、高密度配線化を図ることも可能であるが、本実施の形態においては、めっきレジスト13が剥離しない程度の接着代13d(例えば、2.0mm程度)を確保し、図中の点線で示したエリアにめっきレジスト非形成部13bがかからないようにするのが好ましい(この場合は、図12(b)と同様の構成となり、不要パターン2cのエリアにパターンが形成されない状態のデットスペースD(図6(c)参照)となる)。
【0040】
次に、ソルダーレジスト10及び金めっき12を第一の実施の形態あるいは第二の実施の形態と同様に形成することによって、スリット端面6bがソルダーレジスト10で被覆され、且つ、金属箔2aのみからなる連結部7が形成された図6(d)のプリント配線板Pを得る。
【0041】
本実施の形態の特徴は、外層の配線パターン2の形成手段として、セミアディティブ法を採用することにより、ビアホール形成用のめっきを連結部7に析出させないようにした点にある。
【0042】
即ち、外層の配線パターン2の形成手段として、予め絶縁基板1に積層されている金属箔2aをエッチングして形成するサブトラクティブ法を採用した第一、第二の実施の形態では、連結部7にビアホール形成用のめっき8が析出してしまうため、本実施の形態と比較してエッチング時間が長くかかってしまう。その結果、金めっき12に微小のピンホールがあった場合、第一、第二の実施の形態では、パッド2bにダメージが発生する懸念があるが、本実施の形態では、連結部7の厚さが金属箔2a分の厚さのみとなるため、エッチング時間を短くでき、以って、パッド2bに対するダメージの懸念をほぼなくすことができる。
【0043】
次に、図7を用いて第四の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、第一又は第二の実施の形態と、第三の実施の形態とを兼ね備えたような構成である。
【0044】
まず、図1(c)と同じ基板にビアホール形成用の非貫通孔16aを穿孔し、次いで、デスミア処理で非貫通孔16aをクリーニングした後、無電解めっき処理及び電解めっき処理を順次行うことによって、非貫通孔16aを含む外層全面にめっき8を析出させる(図7(b)参照)。
【0045】
次に、周知のサブトラクティブ法によって、層間接続用のビアホール16と配線パターン2を形成し(図7(c)参照)、次いで、図1(e)と同様に、スリット6を形成するとともに連結部7を露出させる(図7(d)参照)。
【0046】
次に、第一〜第三の実施の形態と同様に、ソルダーレジスト10及び金めっき12を形成することによって、図7(e)のプリント配線板Pを得るというものである。
【0047】
本実施の形態の特徴は、スリット6の加工をビアホール16形成用のめっき処理前に行っていた第一〜第三の実施の形態に代えて、ビアホール16形成用のめっき処理工程及び配線パターン2の形成工程の後に、スリット6を設けるようにした点にある。
【0048】
即ち、第一〜第三の実施の形態では、配線パターン形成の際のエッチングレジスト9又はめっきレジスト13の形成エリア分、スリット6の近傍に配線パターン2を形成することができないデットスペースD(図2(d)、図6(c)参照)が発生するのに対し、本実施の形態では、製造工程は幾分煩雑になるものの、スリット6近傍の全エリアに配線パターン2を形成することができるため、第一、第二の実施の形態よりも小型、高密度配線化を図ることができる。
【0049】
また、第一、第二の実施の形態においては、スリット6の近傍に、ソルダーレジスト10から露出させるパッド2bを設けるのは困難であったが、本実施の形態では、当該パッド2bも容易に設けることが可能である。
【0050】
その理由は、第一、第二の実施の形態では、ソルダーレジストの露光工程の際に、露光光がスリット6を通り抜けて裏面側に回り込み、これにより、裏面側のスリット6の近傍に設けたパッド2bに、ソルダーレジスト被りが発生する懸念があるのに対し、本実施の形態においては、図9に示したように、スリット端面6bとパッド2bの距離Lが短い部分(例えば0.5mm程度)に対応して遮光パターンとしての連結部7(具体的には、ソルダーレジスト被りが発生しない程度の大きさの連結部7)を設けることが可能であるため、パッド2bのソルダーレジスト被りを容易に防止するできるからである(図中の符号17は「露光光」である。また、露光マスクは省略した)。
【0051】
因みに、第四の実施の形態では、第一、第二の実施の形態と同様に、サブトラクティブ法による製造工程を用いて説明したが、第三の実施の形態と同様に、セミアディティブ法により製造することももちろん可能である。
【0052】
本発明を説明するに当たって、3層のプリント配線板の例を用いて説明したが、本発明は、これ以外の層数のプリント配線板にも利用することができる。例えば、図8に示した片面のプリント配線板Pにおいては、金属箔2aが積層されていない面からレーザ5を照射することによって、連結部7を形成することができ、また、3層より多い場合でも、いずれか1層に連結部7を設けることによって、今回説明したのと同様のプリント配線板が得られる。
【0053】
更に、スリット6の形態として、図10(a)に示したような貫通部分(図中の白抜き部分)と連結部7が混在する例を用いて説明したが、図10(b)に示したように、個片基板14の外形全周に連結部7を設け、ルータやレーザ加工で当該連結部7を露出させることも可能である。この形態の場合、連結部7の接着代7b(図7(e)参照)が、個片基板14の外形全周に沿って形成されてしまうため、連結部7を設けた層の配線パターン形成エリアが少なくなってしまうというデメリットがあるが、第四の実施の形態に採用した場合、スリット6の近傍に形成されたパッド2bに対するソルダーレジスト被りの発生を完全に防止できるため、個片基板14の外形全周に満遍なくパッド2bが形成されている仕様においては、メリットのある構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図2】図1に続く第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図3】図1、図2に続く第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図4】本発明の第二の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図5】第三の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図6】図5に続く第三の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図7】本発明の第四の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図8】本発明を片面基板に採用した場合のプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図9】第四の実施の形態において、スリット端面の近傍に設けたパッドのソルダーレジスト被りを防止する例を説明するための概略断面斜視図。
【図10】(a)は、貫通部分と連結部が混在したスリットを有する本発明のプリント配線板の概略平面図。(b)は、外形全周に連結部を形成した本発明のプリント配線板の概略平面図。
【図11】第一、第二の実施の形態における、エッチングレジストの形成例を説明するための概略平面工程図。
【図12】第一、第二の実施の形態における、エッチングレジストの他の形成例を説明するための概略平面工程図。
【図13】第三の実施の形態における、めっきレジストの形成例を説明するための概略平面図。
【図14】(a)は、スリット端面を樹脂層で被覆する従来のプリント配線板を説明するための概略平面図。(b)〜(d)は、スリット端面に樹脂層を被覆する例を説明するための従来のプリント配線板の概略断面製造工程図。
【符号の説明】
【0055】
1:絶縁基板
1a:絶縁接着剤層
2:配線パターン
2a:金属箔
2b:パッド
2c:不要パターン
3:両面基板
3a:樹脂付き金属箔
3b:片面基板
4、4a:開口部
5:レーザ
6:スリット
6a:スリット加工予定部
6b:スリット端面
7、7a:連結部
7b:接着代
8:めっき
8a:無電解めっき
8b:電解めっき
9、99:エッチングレジスト
9a:エッチングレジストフィルム
10:ソルダーレジスト
10a:ソルダーレジスト膜
10b:感光性樹脂
10c:樹脂層
11:耐金めっき膜
12:金めっき
13:めっきレジスト
13a:めっきレジストフィルム
13b:めっきレジスト非形成部
13c、13d:接着代
14:個片基板
14a:捨て基板
15:露光マスク
15a:マスク開口部
16:ビアホール
16a:非貫通孔
17:露光光
P、Pa:プリント配線板
D:デットスペース
L:スリット端面とパッドとの間の距離
W:連結部の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット端面からの切り粉の発生を防止したプリント配線板に関し、特に、連結部を切断した際にも切り粉が発生することのないプリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板を製造する場合、通常、製造効率を上げるために、大判のプリント配線板に複数の個片基板を面付けして製造するようにしている。そして、各個片基板に部品を実装した後の分割作業を容易にするために、個片基板の外形に沿ったスリットを、一部に連結部(個片基板と捨て基板間、あるいは隣接する個片基板間を繋ぐための連結部)を残して形成するようにしている。
尚、ここで個片基板とは、大判プリント配線板が、実際に単体で使用されるピース基板を複数面付けして構成されるシート基板である場合には、当該ピース基板を意味し、また大判のプリント配線板が、当該シート基板を複数面付けして構成されるワーク基板である場合には、当該シート基板を意味する。
【0003】
しかし、上記構成のようにスリットが形成された状態では、プリント配線板の構成材であるガラス繊維などの補強基材やエポキシ樹脂などの樹脂の切り粉がスリット端面から発生してしまうため、例えば、カメラモジュール用のプリント配線板のように、切り粉が不良要因となる製品においては、大きな問題となっていた。
【0004】
このような問題を回避できるものとして、図14に示したようなプリント配線板が既に報告されている(特許文献1参照)。
【0005】
図14(a)は、6個の「個片基板14」、当該個片基板14の周囲を囲む「捨て基板14a」、当該個片基板14と捨て基板14aとを繋ぐ「連結部7a」、個片基板14の外形に沿って形成された「スリット6」からなるプリント配線板Paの概略平面図で、図14(b)〜(d)は、図14(a)に示されるプリント配線板PaのA−A線切断部における要部拡大断面図である。
【0006】
まず、図示しない配線パターン及びスリット6が形成されたプリント配線板Paの全面(スリット端面6bも含む)に、スプレー塗付及び仮乾燥手段によって感光性樹脂10bを形成する(図14(b)参照)。
【0007】
次に、図14(c)に示したように、マスク開口部15aを有する露光マスク15を介して露光処理し、次いで、露光マスク15を除去した後、現像処理で未露光部分の感光性樹脂10bを除去することによって、スリット端面6bとその周囲に樹脂層10cが形成された図14(d)のプリント配線板Paを得るというものである。
【0008】
このように、スリット端面6bを樹脂層10cで被覆するようにしたため、補強基材1bや樹脂の切り粉の発生を防止することができる。
【0009】
しかし、上記構成においては、スリット端面6bからの切り粉の発生に関しては防止できるが、部品実装後に各個片基板14に分割する際に発生する連結部7a端面からの切り粉に関しては対策が採られていなかったため、不良品対策としては不十分なものであった。
【特許文献1】特開2007−335563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、スリット端面からの切り粉の発生を防止するとともに、連結部を切断して個片基板に分割した際の切り粉の発生をも防止することができるプリント配線板と、当該プリント配線板が容易に得られる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の個片基板が面付けされたプリント配線板において、個片基板と、隣接する個片基板間並びに個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間に形成されたスリットと、少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐエッチング可能な金属からなる連結部と、当該スリットの端面を被覆するソルダーレジストとを有することを特徴とするプリント配線板により上記課題を解決するものである。
【0012】
また、複数の個片基板が面付けされたプリント配線板の製造方法において、各個片基板にエッチング可能な金属からなる配線パターンを形成する工程と、当該エッチング可能な金属にて少なくとも個片基板と捨て基板間に跨る連結部を形成する工程と、隣接する個片基板間及び個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間にスリットを形成する工程と、配線パターンを保護するソルダーレジストを形成すると同時にスリット端面を当該ソルダーレジストで被覆する工程とを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法により上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板を本発明の構成とすることによって、スリット端面からの切り粉の発生を防止できるとともに、連結部の切断時の切り粉の発生をも容易に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3に示した3層のプリント配線板の概略断面製造工程図を用いて第一の実施の形態を説明する。尚、当該図1〜図3は図10(a)に示した6個の個片基板14が形成されたプリント配線板PのA−A線切断部における要部拡大断面図である。
【0015】
まず、図1(a)に示したように、銅箔などの金属箔2aの片面にプリプレグなどの絶縁接着剤層1aが設けられた樹脂付き金属箔3aを用意するととともに(あるいは、両者を別々に用意しても構わない)、絶縁基板1の一方の面に配線パターン2、他方の面に金属箔2aが形成された図1(b)の両面基板3を用意する。ここで図中の符号7は、後に捨て基板14aと個片基板14間、あるいは隣接する個片基板14間を接続するための「連結部」で、配線パターン2と一緒に形成されるものである。因みに該図は、隣接する個片基板14間を接続する例を示している(図10(a)に示したプリント配線板Pの概略平面図参照)。
【0016】
次に、図1(c)に示したように、両面基板3の配線パターン2が形成された面と、樹脂付き金属箔3aの絶縁接着剤層1aとを対向させて積層し、次いで、個片基板14の外形線上に位置する金属箔2a(即ち、スリット加工予定部6a上に位置する金属箔2a)とビアホール形成予定部に位置する金属箔2aをエッチング除去して、開口部4、4aを形成する(図1(d)参照)。
【0017】
次に、スリット6を形成する部分のうち、連結部7の非形成部に位置する絶縁基板1(「絶縁接着剤層1a」も積層後は硬化されて「絶縁基板1」と同じになるため、ここでは「絶縁接着剤層1a」も「絶縁基板1」として説明する)をルータ加工やパンチング加工により除去し、次いで、開口部4、4aから露出する残りの絶縁基板1をレーザ5(例えば、「炭酸ガスレーザ」)で除去することによって、ビアホール形成用の非貫通孔16aを穿孔するとともに連結部を露出させる(図1(e)及び図10(a)参照)。
【0018】
ここで、上記「ルータ加工やパンチング加工」と「レーザ加工」の加工順については特に限定されず、どちらを先に行ってもよい。また、連結部7の露出手段としては、連結部7がある程度の厚さ(例えば、20μm以上)を有していれば、連結部7の非形成部を加工するルータ加工と一括して加工することもできる。
【0019】
次に、過マンガン酸カリウム系や過マンガン酸ナトリウム系などのデスミア処理を行うことによって、非貫通孔16aや連結部7の表面をクリーニングし、次いで、無電解めっき(例えば「無電解銅めっき処理」)、電解めっき処理(例えば「フィルビア用のめっき液を用いた電解銅めっき処理」)を順次行うことによって、非貫通孔16a及びスリット6を含む全面にめっき8を析出させる(図1(f)参照)。
【0020】
次に、図2(a)に示したように、図1(f)の状態の基板の表裏にエッチングレジストフィルム9aをラミネートし、周知の露光・現像(例えば、炭酸ナトリウム水溶液による現像処理)工程によって所望のパターンのエッチングレジスト9を形成する(図2(b)参照)。
【0021】
次に、塩化第二鉄溶液などを用いたエッチング処理を行うことによって、エッチングレジスト9から露出している金属箔2aとめっき8を除去し(図2(c)参照)、次いで、エッチングレジスト9を剥離(例えば、水酸化ナトリウム水溶液による剥離処理)することによって、配線パターン2と上下方向の配線パターン間を接続するビアホール16、並びにめっき8で被覆された連結部7を備えた図2(d)の基板を得る。
【0022】
ここで、図2(b)〜図2(d)の配線パターン形成工程では、図11と図12に示した二通りのエッチングレジスト形成が考えられる。尚、当該図11及び12は、図2(b)〜図2(d)を上から見た場合の概略平面図を示したものであるが、図面の見易さを考慮して、一部のハッチングを、図2とは異なるハッチングとした。
【0023】
まず、図11の構成は、エッチングレジスト9のうち、スリット6部に形成するエッチングレジスト99を、連結部7を形成する部分にのみ形成する構成である。
【0024】
本構成では、エッチング液がスリット6に流れ込むため、予め幅広の連結部7を設けておく(図11(a)参照)。
次に、図11(b)に示したように、エッチング処理及びエッチングレジスト剥離を順次行うことによって、所望の幅Wを有する連結部7と配線パターン2を形成するというものである(図11(c)参照)。
【0025】
本構成の場合、エッチングレジスト99を形成した部分に、不要パターン2cが残存するため(図11(c)参照)、若干のデットスペースDが発生するが(図11(c)、図2(d)参照)、これ以外の部分には、スリット6の近傍に配線パターン2を形成できるため、高密度配線化を図ることができる(但し、本構成の場合、スリット6の近傍に、配線パターン2を設けるのは容易にできても、パッド2bの形成は困難であるのだが、その説明については後で詳しく説明する)。
【0026】
続いて、図12の構成であるが、本構成は、スリット6部に形成するエッチングレジスト99を、スリット6を完全にカバーリングするように形成するものである。
【0027】
本構成では、図12(a)の基板をエッチング処理すると、図12(b)に示したように、スリット6に沿って不要パターン2c(即ち、デットスペースDとなる部分)が形成されるため、高密度配線化の観点からすると、図11の構成よりも不利な構成であるといえる。しかし、本構成では、スリット6へのエッチング液の進入を完全に防止できるため、良好な連結部7を確実に形成することができる。
【0028】
次に、ソルダーレジストインキをスプレーなどで塗布した後、仮乾燥処理(例えば、80℃/30分のセミキュア処理)して半硬化状態(タックフリー状態)のソルダーレジスト膜10aを形成し(図2(e)参照)、次いで、露光・現像処理にてパッド2b及び連結部7の一部を露出させた後、本硬化処理(例えば、150℃/1時間のポストキュア処理)してソルダーレジスト10を形成する(図3(a)参照)。
【0029】
次に、図3(b)に示したように、露出している連結部7を耐金めっき膜11で被覆した後、ニッケル−金めっき処理でパッド2bの表面に金めっき12を形成し、次いで、耐金めっき膜11を剥離することによって、スリット端面6bがソルダーレジスト10、あるいはめっき8とソルダーレジスト10で被覆され、且つ連結部7がめっき8で被覆されたプリント配線板Pを得る(図3(c)及び図10(a)参照)。
【0030】
そして、部品を実装した後に各個片基板14に分割するには、連結部7をエッチング処理で除去することによって、容易に各個片基板14に分割することができる(図3(d)参照)。
【0031】
本実施の形態の特徴は、従来、絶縁基板で形成していた連結部を、エッチング可能な金属で形成した点にある。このため、各個片基板に分割する際、切り粉が全く発生しなくなるため、当該切り粉による不良発生を防止することができる。
【0032】
次に、図4を用いて第二の実施の形態を説明する。
第一の実施の形態では、連結部7上のソルダーレジストの除去手段として、露光・現像で行う例を示したが、本実施の形態では、図4(a)に示したように、ソルダーレジスト10を形成した後、パッド2bに金めっき12を形成し、次いで、連結部7上のソルダーレジスト10をレーザ5で除去することによって、図4(b)のプリント配線板Pを得るというものである。尚、図4(c)は、図3(d)と同様に、連結部7をエッチングして、各個片基板14に分割した状態を示したものであるが、以降の実施の形態においても、特に説明はしないが、製造工程図の最後には、図3(d)、図4(c)と同様に、分割後の状態を示すこととする。
【0033】
本実施の形態の特徴は、連結部7上のソルダーレジストの除去を、露光・現像で除去する代わりに、本硬化させた後、レーザで除去するようにした点にある。即ち、第一の実施の形態は、製造工程上、本実施の形態よりも効率よく製造できるものの、金めっき処理の際に、耐金めっき膜11をスクリーン印刷や感光性フィルムを露光・現像して形成する必要があるため、金めっき12上にインクやフィルムが残ってしまうという懸念があるが、本実施の形態ではそのような懸念がなく信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて第三の実施の形態を説明する。
図5(a)は、内層の配線パターン2の表裏に絶縁基板1が積層されたものであり、例えば、図1(c)の基板の外層に積層されている金属箔2aをエッチング除去するか、片面に配線パターン2を有する片面基板の配線パターン形成面にプリプレグなどの絶縁接着剤層1aを積層・硬化するなどして得ることができる。
【0035】
次に、第一の実施の形態と同様に、スリット6とビアホール形成用の非貫通孔16aを形成し、次いで、デスミア処理で非貫通孔16aをクリーニングするとともに絶縁基板1の表面を粗化する(図5(b)参照)。
【0036】
次に、パラジウムなどの触媒処理を行った後、非貫通孔16a及びスリット6を含む全面に、厚さ1〜3μm程度の無電解めっき8a(例えば、無電解銅めっき)を析出させ(図5(c)参照)、次いで、図5(d)に示したように、めっきレジストフィルム13aをラミネートした後、露光・現像処理を行うことによって、所望のめっきレジスト13を形成する(図5(e)参照)。
【0037】
次に、図6aに示したように、無電解めっき8aを給電層とする電解めっき処理を行うことによって、めっきレジスト13から露出する無電解めっき8a上に電解めっき8b(例えば、電解銅めっき)を析出させ、次いで、めっきレジスト13を剥離したあと(図6(b)参照)、露出した無電解めっき8aをソフトエッチング処理(例えば、蟻酸やアミン系錯化剤を主成分とするソフトエッチング液、硫酸や過酸化水素を主成分とするソフトエッチング液、過硫酸アンモニウム系または過硫酸ナトリウム系のソフトエッチング液などを用いたソフトエッチング処理)で除去することによって、配線パターン2と上下方向の配線パターン2間を接続するビアホール16を形成する(図6(c)参照)。
【0038】
ここで、図5(e)〜図6(c)の配線パターン形成工程においても、第一の実施の形態と同様に、二通りのめっきレジスト形成が考えられるが、本実施の形態においては、第一の実施の形態とは逆に、めっきレジスト非形成部13bにめっきを析出させて、配線パターン2を形成する構成であるため、図13(図5(e)を上から見た場合の概略平面図)に示したように、スリット6の近傍に配線パターン2を設けるようにした場合、この部分のめっきレジスト13の接着代13c(スリット端面6bとめっきレジスト13の端部との間の幅)が小さくなり、剥がれてしまう危険性がある。
【0039】
従って、図13の状態でめっき処理を行えば、第一の実施の形態と同様に、高密度配線化を図ることも可能であるが、本実施の形態においては、めっきレジスト13が剥離しない程度の接着代13d(例えば、2.0mm程度)を確保し、図中の点線で示したエリアにめっきレジスト非形成部13bがかからないようにするのが好ましい(この場合は、図12(b)と同様の構成となり、不要パターン2cのエリアにパターンが形成されない状態のデットスペースD(図6(c)参照)となる)。
【0040】
次に、ソルダーレジスト10及び金めっき12を第一の実施の形態あるいは第二の実施の形態と同様に形成することによって、スリット端面6bがソルダーレジスト10で被覆され、且つ、金属箔2aのみからなる連結部7が形成された図6(d)のプリント配線板Pを得る。
【0041】
本実施の形態の特徴は、外層の配線パターン2の形成手段として、セミアディティブ法を採用することにより、ビアホール形成用のめっきを連結部7に析出させないようにした点にある。
【0042】
即ち、外層の配線パターン2の形成手段として、予め絶縁基板1に積層されている金属箔2aをエッチングして形成するサブトラクティブ法を採用した第一、第二の実施の形態では、連結部7にビアホール形成用のめっき8が析出してしまうため、本実施の形態と比較してエッチング時間が長くかかってしまう。その結果、金めっき12に微小のピンホールがあった場合、第一、第二の実施の形態では、パッド2bにダメージが発生する懸念があるが、本実施の形態では、連結部7の厚さが金属箔2a分の厚さのみとなるため、エッチング時間を短くでき、以って、パッド2bに対するダメージの懸念をほぼなくすことができる。
【0043】
次に、図7を用いて第四の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、第一又は第二の実施の形態と、第三の実施の形態とを兼ね備えたような構成である。
【0044】
まず、図1(c)と同じ基板にビアホール形成用の非貫通孔16aを穿孔し、次いで、デスミア処理で非貫通孔16aをクリーニングした後、無電解めっき処理及び電解めっき処理を順次行うことによって、非貫通孔16aを含む外層全面にめっき8を析出させる(図7(b)参照)。
【0045】
次に、周知のサブトラクティブ法によって、層間接続用のビアホール16と配線パターン2を形成し(図7(c)参照)、次いで、図1(e)と同様に、スリット6を形成するとともに連結部7を露出させる(図7(d)参照)。
【0046】
次に、第一〜第三の実施の形態と同様に、ソルダーレジスト10及び金めっき12を形成することによって、図7(e)のプリント配線板Pを得るというものである。
【0047】
本実施の形態の特徴は、スリット6の加工をビアホール16形成用のめっき処理前に行っていた第一〜第三の実施の形態に代えて、ビアホール16形成用のめっき処理工程及び配線パターン2の形成工程の後に、スリット6を設けるようにした点にある。
【0048】
即ち、第一〜第三の実施の形態では、配線パターン形成の際のエッチングレジスト9又はめっきレジスト13の形成エリア分、スリット6の近傍に配線パターン2を形成することができないデットスペースD(図2(d)、図6(c)参照)が発生するのに対し、本実施の形態では、製造工程は幾分煩雑になるものの、スリット6近傍の全エリアに配線パターン2を形成することができるため、第一、第二の実施の形態よりも小型、高密度配線化を図ることができる。
【0049】
また、第一、第二の実施の形態においては、スリット6の近傍に、ソルダーレジスト10から露出させるパッド2bを設けるのは困難であったが、本実施の形態では、当該パッド2bも容易に設けることが可能である。
【0050】
その理由は、第一、第二の実施の形態では、ソルダーレジストの露光工程の際に、露光光がスリット6を通り抜けて裏面側に回り込み、これにより、裏面側のスリット6の近傍に設けたパッド2bに、ソルダーレジスト被りが発生する懸念があるのに対し、本実施の形態においては、図9に示したように、スリット端面6bとパッド2bの距離Lが短い部分(例えば0.5mm程度)に対応して遮光パターンとしての連結部7(具体的には、ソルダーレジスト被りが発生しない程度の大きさの連結部7)を設けることが可能であるため、パッド2bのソルダーレジスト被りを容易に防止するできるからである(図中の符号17は「露光光」である。また、露光マスクは省略した)。
【0051】
因みに、第四の実施の形態では、第一、第二の実施の形態と同様に、サブトラクティブ法による製造工程を用いて説明したが、第三の実施の形態と同様に、セミアディティブ法により製造することももちろん可能である。
【0052】
本発明を説明するに当たって、3層のプリント配線板の例を用いて説明したが、本発明は、これ以外の層数のプリント配線板にも利用することができる。例えば、図8に示した片面のプリント配線板Pにおいては、金属箔2aが積層されていない面からレーザ5を照射することによって、連結部7を形成することができ、また、3層より多い場合でも、いずれか1層に連結部7を設けることによって、今回説明したのと同様のプリント配線板が得られる。
【0053】
更に、スリット6の形態として、図10(a)に示したような貫通部分(図中の白抜き部分)と連結部7が混在する例を用いて説明したが、図10(b)に示したように、個片基板14の外形全周に連結部7を設け、ルータやレーザ加工で当該連結部7を露出させることも可能である。この形態の場合、連結部7の接着代7b(図7(e)参照)が、個片基板14の外形全周に沿って形成されてしまうため、連結部7を設けた層の配線パターン形成エリアが少なくなってしまうというデメリットがあるが、第四の実施の形態に採用した場合、スリット6の近傍に形成されたパッド2bに対するソルダーレジスト被りの発生を完全に防止できるため、個片基板14の外形全周に満遍なくパッド2bが形成されている仕様においては、メリットのある構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図2】図1に続く第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図3】図1、図2に続く第一の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図4】本発明の第二の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図5】第三の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図6】図5に続く第三の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図7】本発明の第四の実施の形態を説明するためのプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図8】本発明を片面基板に採用した場合のプリント配線板の概略断面製造工程図。
【図9】第四の実施の形態において、スリット端面の近傍に設けたパッドのソルダーレジスト被りを防止する例を説明するための概略断面斜視図。
【図10】(a)は、貫通部分と連結部が混在したスリットを有する本発明のプリント配線板の概略平面図。(b)は、外形全周に連結部を形成した本発明のプリント配線板の概略平面図。
【図11】第一、第二の実施の形態における、エッチングレジストの形成例を説明するための概略平面工程図。
【図12】第一、第二の実施の形態における、エッチングレジストの他の形成例を説明するための概略平面工程図。
【図13】第三の実施の形態における、めっきレジストの形成例を説明するための概略平面図。
【図14】(a)は、スリット端面を樹脂層で被覆する従来のプリント配線板を説明するための概略平面図。(b)〜(d)は、スリット端面に樹脂層を被覆する例を説明するための従来のプリント配線板の概略断面製造工程図。
【符号の説明】
【0055】
1:絶縁基板
1a:絶縁接着剤層
2:配線パターン
2a:金属箔
2b:パッド
2c:不要パターン
3:両面基板
3a:樹脂付き金属箔
3b:片面基板
4、4a:開口部
5:レーザ
6:スリット
6a:スリット加工予定部
6b:スリット端面
7、7a:連結部
7b:接着代
8:めっき
8a:無電解めっき
8b:電解めっき
9、99:エッチングレジスト
9a:エッチングレジストフィルム
10:ソルダーレジスト
10a:ソルダーレジスト膜
10b:感光性樹脂
10c:樹脂層
11:耐金めっき膜
12:金めっき
13:めっきレジスト
13a:めっきレジストフィルム
13b:めっきレジスト非形成部
13c、13d:接着代
14:個片基板
14a:捨て基板
15:露光マスク
15a:マスク開口部
16:ビアホール
16a:非貫通孔
17:露光光
P、Pa:プリント配線板
D:デットスペース
L:スリット端面とパッドとの間の距離
W:連結部の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板において、個片基板と、隣接する個片基板間並びに個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間に形成されたスリットと、少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐエッチング可能な金属からなる連結部と、当該スリットの端面を被覆するソルダーレジストとを有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記連結部が、めっきで被覆されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記スリットの端面が、めっきとソルダーレジストで被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプリント配線板。
【請求項4】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板の製造方法において、各個片基板にエッチング可能な金属からなる配線パターンを形成する工程と、当該エッチング可能な金属にて少なくとも個片基板と捨て基板間に跨る連結部を形成する工程と、隣接する個片基板間及び個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間にスリットを形成する工程と、配線パターンを保護するソルダーレジストを形成すると同時にスリット端面を当該ソルダーレジストで被覆する工程とを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記連結部を、配線パターンと同時に形成することを特徴とする請求項4記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
更に、前記連結部とスリットの端面をめっきで被覆する工程を有することを特徴とする請求項4又は5記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項1】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板において、個片基板と、隣接する個片基板間並びに個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間に形成されたスリットと、少なくとも個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板とを繋ぐエッチング可能な金属からなる連結部と、当該スリットの端面を被覆するソルダーレジストとを有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記連結部が、めっきで被覆されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記スリットの端面が、めっきとソルダーレジストで被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプリント配線板。
【請求項4】
複数の個片基板が面付けされたプリント配線板の製造方法において、各個片基板にエッチング可能な金属からなる配線パターンを形成する工程と、当該エッチング可能な金属にて少なくとも個片基板と捨て基板間に跨る連結部を形成する工程と、隣接する個片基板間及び個片基板と当該個片基板を囲む捨て基板間にスリットを形成する工程と、配線パターンを保護するソルダーレジストを形成すると同時にスリット端面を当該ソルダーレジストで被覆する工程とを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記連結部を、配線パターンと同時に形成することを特徴とする請求項4記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
更に、前記連結部とスリットの端面をめっきで被覆する工程を有することを特徴とする請求項4又は5記載のプリント配線板の製造方法。
【図1】
【図9】
【図10】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図9】
【図10】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−10244(P2010−10244A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165386(P2008−165386)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000228833)日本シイエムケイ株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000228833)日本シイエムケイ株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
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