ヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法
【課題】表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を好適に防止する。
【解決手段】メニュー画面を重畳したビデオ画面を表示する際に、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー背景領域にメニュー文言を間引きして表示する。メニュー背景領域とメニュー文言の境界の、静止画素同士の大きな輝度差が生じる時間を短縮することによって、焼き付き現象の発生を防止することができる。但し、メニュー背景領域は、間引かず、常に表示して、画面のちらつきを生じないようにする。
【解決手段】メニュー画面を重畳したビデオ画面を表示する際に、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー背景領域にメニュー文言を間引きして表示する。メニュー背景領域とメニュー文言の境界の、静止画素同士の大きな輝度差が生じる時間を短縮することによって、焼き付き現象の発生を防止することができる。但し、メニュー背景領域は、間引かず、常に表示して、画面のちらつきを生じないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ユーザーの頭部に装着して映像の視聴に供されるヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法に係り、特に、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を防止するヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着して映像を視聴する表示装置、すなわちヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)が広く知られている。ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼毎に光学ユニットを持ち、また、ヘッドフォンと併用し、視覚及び聴覚を制御できるように構成されている。頭部に装着した際に外界を完全に遮るように構成すれば、視聴時の仮想現実感が増す。また、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼に違う映像を映し出すことも可能であり、左右の眼に視差のある画像を表示すれば3D画像を提示することができる。
【0003】
ヘッド・マウント・ディスプレイの左右の眼の表示部には、例えば液晶や有機EL(Electro− Luminescence)素子などからなる高解像度の表示パネルを用いることができる。また、光学系で適当な画角を設定するとともに、ヘッドフォンで多チャンネルを再現すれば、映画館で視聴するような臨場感を再現することができるであろう。
【0004】
液晶や有機EL素子などで構成される表示パネルは、輝度差の大きな領域で焼き付き現象が発生し易くなることが、当業界で知られている。OSD(On Screen Display)画面のような静止画をビデオ画面に重畳して描画すると、輝度差の大きな領域が存在するため、焼き付き現象の原因となる。
【0005】
ヘッド・マウント・ディスプレイの場合、本体に装備できる操作ボタンなどの数に限界があり、OSD画面を介したユーザー操作が必須となる。したがって、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示デバイスにこの種の表示パネルを用いる場合も、OSD画面を表示した際の焼き付き現象の防止を十分検討しなければならない。
【0006】
例えば、メニューの表示に用いるOSD画面は、メニュー背景領域と、この背景領域に描画されたメニュー文言からなる。OSD画面は、基本的に静止画であり、また、輝度差が大きくなりがちであることから、長時間表示すると焼き付き現象を発生する。
【0007】
ビデオ画面自体は動画などのさまざまな映像ソースであることから、画素間の輝度差が変化するので、焼き付き現象はある程度軽減される。これに対し、メニューの背景領域と、メニューの文言を表示した領域との境界では、静止画素同士の大きな輝度差が長時間続くことになり、焼き付き現象が顕著に発生することが懸念される。メニューを表示する度に同じ文言を繰り返し表示することが多いため、とりわけメニューの背景領域とメニューの文言との境界部分では焼き付きが目立ち易い。
【0008】
例えば、表示画面を構成する画素のうち均等に分散した画素のみを順次移動して黒表示として、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止する液晶表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0009】
また、所定時間間隔でパネル全体の表示位置を所定距離だけ移動させることにより、同一画像を長時間表示した場合にも、焼き付きの視認を抑制する有機発光ディスプレイ装置について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0010】
また、OSD表示の輝度を低下させる処理により焼き付きを防止する映像表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0011】
しかしながら、これらの従来技術はいずれも、メニューの背景領域とメニューの文言との境界部分に特化して焼き付き現象を防止するものではない。OSD画面を重畳する前のビデオ画面自体は、動画などのさまざまな映像ソースであるため、本来焼き付き現象を発生し難い。それにも拘らず、ビデオ画面に黒表示する画素を挿入すると、ビデオ画面の画面が暗くなったり、画質が劣化したりする。また、所定時間間隔でパネル全体の表示位置を所定距離だけ移動させると、ビデオ画面の画質を劣化させ、製造元への苦情の原因にもなる。また、OSD表示の輝度を低下させると、OSD画面が見えづらくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−134188号公報
【特許文献2】特開2007−304318号公報
【特許文献3】特開2011−81178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することにある。
【0014】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、メニュー背景領域とメニュー文言からなるOSD画面をビデオ画面に重畳した映像を表示パネルに表示する際に、とりわけメニューの背景領域とメニューの文言との境界部分における焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、
右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイである。
【0016】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返すように構成されている。
【0019】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換えるように構成されている。
【0020】
また、本願の請求項6に記載の技術は、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、
前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、
を有し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法である。
【0021】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0022】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0023】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返すように構成されている。
【0024】
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換えるように構成されている。
【発明の効果】
【0025】
本明細書で開示する技術によれば、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することができる。
【0026】
また、本明細書で開示する技術によれば、メニュー背景領域とメニュー文言からなるOSD画面をビデオ画面に重畳した映像を表示パネルに表示する際に、メニューの背景領域とメニューの文言との境界部分における焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することができる。
【0027】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、表示パネル224、225にそれぞれ表示された左眼用映像と右眼用映像を両目で見たときに、ユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示した図である。
【図4】図4は、ニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示した表示パネルにおいて焼き付き現象が発生する様子を示した図である。
【図5】図5は、メニュー文言を間引き表示するメニュー画面が重畳されたビデオ画面を表示した際に、両目で見たユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示した図である。
【図6A】図6Aは、左眼用映像と右眼用映像で交互にメニュー画面内にメニュー文言を表示する様子を示した図である。
【図6B】図6Bは、左眼用映像と右眼用映像で交互にメニュー画面内にメニュー文言を表示する様子を示した図である。
【図7】図7は、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【図8A】図8Aは、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が表示されている様子を示した図である。
【図8B】図8Bは、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が削除されメニュー背景領域のみが表示されている様子を示した図である。
【図9】図9は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【図10】図10は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1には、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示している。図示のシステムは、ヘッド・マウント・ディスプレイ10本体と、視聴コンテンツのソースとなるブルーレイ・ディスク再生装置20と、ブルーレイ・ディスク再生装置20の再生コンテンツの他の出力先となるハイビジョン・ディスプレイ(例えば、HDMI対応テレビ)30と、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号の処理を行なうフロント・エンド・ボックス40で構成される。
【0031】
フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号をHDMI入力すると、例えば信号処理して、HDMI出力するHDMIリピーターに相当する。また、フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20の出力先をヘッド・マウント・ディスプレイ10又はハイビジョン・ディスプレイ30のいずれかに切り替える2出力スイッチャーでもある。図示の例では、フロント・エンド・ボックス40は2出力であるが、3以上の出力を有していてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40は、AV信号の出力先を排他的とし、且つ、ヘッド・マウント・ディスプレイ10への出力を最優先とする。
【0032】
なお、HDMI(High−Definition Mutlimedia Interface)は、DVI(Digital Visual Interface)を基にし、物理層にTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)を用いた、主に音声と映像の伝送を用途としたディジタル家電向けのインターフェース規格である。本システムは、例えばHDMI1.4に準拠する。
【0033】
ブルーレイ・ディスク再生装置20とフロント・エンド・ボックス40間、並びに、フロント・エンド・ボックス40とハイビジョン・ディスプレイ30間は、それぞれHDMIケーブルで接続されている。フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間も、HDMIケーブルで接続するように構成することも可能であるが、その他の仕様のケーブルを用いてAV信号をシリアル転送するようにしてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間を接続するケーブル1本で、AV信号と電力を供給するものとし、ヘッド・マウント・ディスプレイ10はこのケーブルを介して駆動電力も得ることができる。
【0034】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10は、左眼用及び右眼用の独立した表示部を備えている。各表示部は、例えば有機EL素子を用いている。また、左右の各表示部は、低歪みで且つ高解像度の広視野角光学系を装備している。
【0035】
図2には、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示している。図示のヘッド・マウント・ディスプレイは、UI(User Interface)操作部201と、映像信号入力部202と、中央制御部210と、表示制御部220を備えている。
【0036】
映像信号入力部202は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から再生出力される映像信号を、フロント・エンド・ボックス40経由で入力する。
【0037】
中央制御部210内では、左右映像信号生成部211が、入力映像信号から、左眼用映像信号及び右眼用映像信号を混合した左右映像信号を生成して、ビデオ・バッファー212に書き込む。
【0038】
また、UI操作部201は、ボタンなどを介したユーザーの操作を受け容れる。中央制御部210内では、OSD制御部213が、UI操作に応じて、該当するメニュー用の画像データをビットマップ・バッファー214から読み出して、OSD画面を生成する。また、OSD表示位置制御部215は、OSD画面の表示位置を制御し、OSD描画部216はOSDバッファー217の該当する位置にOSD画面の画像データを書き込む。OSD画面は、例えば、メニュー背景領域とメニュー文言からなるメニュー画面である。
【0039】
そして、画像合成部218は、ビデオ・バッファー212に書き込まれた画像データ上に、OSDバッファー217に書き込まれたOSD画面を重畳して、表示制御部220に出力する。
【0040】
表示制御部220内では、まず、左右映像信号分離部221が入力した左右映像信号を左眼用映像信号と右眼用映像信号に分離する。そして、左眼用表示駆動制御部222は、左眼用映像信号の左眼用表示パネル224への描画を制御する。また、右眼用表示駆動制御部223は、右眼用映像信号の右眼用表示パネル225への描画を制御する。表示パネル224、225は、例えば有機EL素子や液晶などの表示デバイスからなる。また、左眼用表示パネル224並びに右眼用表示パネル225には、それぞれ映像を拡大するレンズ・ブロックが装備されている。左右のレンズ・ブロックは、それぞれ複数の光学レンズの組み合わせからなり、表示パネル224、225が表示する映像を光学処理する。表示パネル224、225の発光面に表示された映像は、レンズ・ブロックを通過する際に拡大され、ユーザーの網膜に大きな虚像を結像する。そして、観察するユーザーの脳内では左眼用映像と右眼用映像が融像される。
【0041】
図3には、表示パネル224、225にそれぞれ表示された左眼用映像と右眼用映像を両目で見たときに、ユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示している。図示の例では、左眼用映像と右眼用映像はともに、ビデオ画面の中央付近にOSD画面が重畳されている。OSD画面は、メニュー背景領域にメニュー文言(TEXT)を描いたメニュー画面である。両眼で見た状態では、ビデオ画面とともに、メニュー画面も融像される。
【0042】
表示パネル224、225は、例えば有機EL素子や液晶などの表示デバイスからなるが、この種の表示デバイスは輝度差の大きな領域で焼き付き現象が発生し易いという問題がある。例えば、OSD画面のような静止画をビデオ画面に重畳して描画すると、輝度差の大きな領域が存在するため、焼き付き現象の原因となる。とりわけ、OSD画面がメニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面の場合、メニューの背景領域と、メニューの文言を表示した領域との境界では、静止画素同士の大きな輝度差が長時間続くことになり、焼き付き現象が顕著に発生することが懸念される。他方、OSD画面が重畳されるビデオ画面自体は動画などのさまざまな映像ソースであることから、画素間の輝度差が変化するので、焼き付き現象はある程度軽減される。
【0043】
図4には、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示した表示パネルにおいて焼き付き現象が発生する様子を示している。同図右に示すように、メニュー背景領域とメニュー文言の境界において、焼き付き現象が顕著に観察される。
【0044】
そこで、本明細書で開示する技術では、ヘッド・マウント・ディスプレイ10でメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示する際に、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー背景領域にメニュー文言を間引きして表示するようにした。これによって、メニュー背景領域とメニュー文言の境界の、静止画素同士の大きな輝度差が生じる時間を短縮することによって、焼き付き現象の発生を防止することができる。
【0045】
なお、ビデオ画面自体は、動画などのさまざまな映像ソースであり、画素間の輝度差が変化して焼き付き現象は発生し難いので、間引き表示を行なわない。また、メニュー背景領域も、メニュー文言に合わせて間引き表示を行なうことはせず、表示し続けるようにする。何故ならば、画面内で比較的大きな領域を占めるメニュー背景領域についても表示と非表示を交互に切り換えると、ちらつきを生じるからである。
【0046】
図5には、メニュー文言を間引き表示するメニュー画面が重畳されたビデオ画面を表示パネル224、225にそれぞれ表示した際に、両目で見たユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示している。図示の例では、左眼用映像の画面中央付近にはメニュー文言も描かれたメニュー画面が重畳されているが、右眼用映像の中央付近にはメニュー背景領域のみが表示され、メニュー文言の表示はメニュー画面から削除されている。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。これらの左右映像を両眼で見た状態では、ビデオ画面とともにメニュー画面も融像され、メニュー文言もほぼ正常に視認される。
【0047】
図6Aには、メニュー背景領域上にメニュー文言も描かれたメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された左眼用映像と、メニュー文言を間引きメニュー背景領域のみからなるメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された右眼用映像を同時刻に表示する様子を示した図である。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。
【0048】
また、図6Bには、メニュー文言を間引きメニュー背景領域のみからなるメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された左眼用映像と、メニュー背景領域上にメニュー文言も描かれたメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された右眼用映像を同時刻に表示する様子を示した図である。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。
【0049】
図6A及び図6Bのいずれの左右映像表示においても、これらの左右映像を両眼で見た状態では、ビデオ画面とともにメニュー画面も融像され、メニュー文言もほぼ正常に視認される。図6Aと図6Bの映像表示を交互に繰り返すと、左右の表示パネル224、225においてメニュー背景にメニュー文言が表示されるデューティー比はそれぞれ50%となる。したがって、OSD画面表示の焼き付きによる表示パネル224、225の劣化をほぼ50%防ぐことができるといえる。
【0050】
左右の映像においてメニュー画面からメニュー文言を間引きして表示する方法はいくつか挙げられる。以下ではメニュー文言を間引く方法を数例紹介する。
【0051】
表示方法1
上述したように、UI操作部201におけるユーザーからのUI操作に応じてOSD画面の表示処理が起動する。メニュー文言を間引いて表示する方法の例1として、UI操作部201におけるユーザーの操作をトリガーとして、メニュー文言の表示、非表示を切り替える方法が考えられる。すなわち、UI操作部201を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する。
【0052】
UI操作部201が操作され、該当するメニュー画面を表示するときは、まず、図6Aに示したように、左眼用映像にのみメニュー文言を表示する。
【0053】
次いで、メニュー選択などの操作がUI操作部201で行なわれると、メニューの仕様が終了したことに応答して、左眼用映像及び右眼用映像からともにメニュー画面を削除する(図示を省略する)。
【0054】
次に、UI操作部201が操作され、該当するメニュー画面を表示するときは、今度は、図6Bに示したように、右眼用映像にのみメニュー文言を表示する。
【0055】
表示方法2
続いて、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する方法を説明する。メニュー文言を表示する映像を所定時間間隔毎に切り換える方法と言い換えることもできる。
【0056】
図7には、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。メニュー文言の表示期間は、その表示信号強度(電流)をIAとし、メニュー文言を削除している期間は、その表示信号強度を0とする。
【0057】
この場合、図6Aに示したような左右映像の表示と、図6Bに示したような左右映像の表示が、所定の時間間隔毎に交互に繰り返される。
【0058】
表示方法3
続いて、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す方法について説明する。上記の表示方法2とは相違し、左眼用映像と右眼用映像で、メニュー文言の表示、非表示の切り替え動作を同じにする。
【0059】
図8Aには、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が表示されている様子を示している。また、図8Bには、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が削除されメニュー背景領域のみが表示されている様子を示している。また、図9には、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。
【0060】
表示方法4
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える方法について説明する。
【0061】
図10には、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。
【0062】
メニュー文言をフル表示するときの表示信号強度(電流)をIA、本方法において、メニュー文言の表示信号強度の高い方の値をIAよりも低いIH、メニュー文言の表示信号強度の低い方の値を0よりも高いILとし、IHとの間でIA=IH+ILという関係が成立するとする。この場合、左眼用映像及び右眼用映像の各々において、IH又はILのいずれの表示信号強度でメニュー文言が表示されたとしても、片方の映像のみでは表示信号強度IAで表示した場合よりもメニュー文言は暗く映る。左眼用映像と右眼用映像でメニュー文言の表示信号強度を加算すると常にIA=IH+ILで一定となる。したがって、観察するユーザーの脳内では左眼用映像と右眼用映像が融像されると、所望する輝度でメニュー文言が視認されることが期待される。
【0063】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、を具備し、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、ヘッド・マウント・ディスプレイ。
(2)ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(3)OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(4)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(5)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(6)左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、を有し、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(7)ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(8)OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(9)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(10)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0065】
本明細書では、本明細書で開示する技術をヘッド・マウント・ディスプレイに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨は特定のヘッド・マウント・ディスプレイの構成に限定されるものではない。左眼用映像及び右眼用映像、あるいは複数の映像を同時に表示するさまざまなタイプの表示システムにも、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。また、映像を表示するデバイスは、液晶や有機EL素子に限定されるものではなく、輝度差の大きい領域で焼き付き現象を発生し易いさまざまな表示デバイスに対して、本明細書で開示する技術は効果を奏する。
【0066】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0067】
10…ヘッド・マウント・ディスプレイ
20…ブルーレイ・ディスク再生装置
30…ハイビジョン・ディスプレイ
40…フロント・エンド・ボックス
201…UI操作部、202…映像信号入力部
210…中央制御部、211…左右映像信号生成部
212…ビデオ・バッファー、213…OSD制御部
214…ビットマップ・バッファー、215…OSD表示位置制御部
216…OSD描画部、217…OSDバッファー
218…画像合成部
220…表示制御部、221…左右映像信号分離部
222…左眼用表示駆動制御部、223…右眼用表示駆動制御部
224…左眼用表示パネル、225…右眼用表示パネル
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ユーザーの頭部に装着して映像の視聴に供されるヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法に係り、特に、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を防止するヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着して映像を視聴する表示装置、すなわちヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)が広く知られている。ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼毎に光学ユニットを持ち、また、ヘッドフォンと併用し、視覚及び聴覚を制御できるように構成されている。頭部に装着した際に外界を完全に遮るように構成すれば、視聴時の仮想現実感が増す。また、ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼に違う映像を映し出すことも可能であり、左右の眼に視差のある画像を表示すれば3D画像を提示することができる。
【0003】
ヘッド・マウント・ディスプレイの左右の眼の表示部には、例えば液晶や有機EL(Electro− Luminescence)素子などからなる高解像度の表示パネルを用いることができる。また、光学系で適当な画角を設定するとともに、ヘッドフォンで多チャンネルを再現すれば、映画館で視聴するような臨場感を再現することができるであろう。
【0004】
液晶や有機EL素子などで構成される表示パネルは、輝度差の大きな領域で焼き付き現象が発生し易くなることが、当業界で知られている。OSD(On Screen Display)画面のような静止画をビデオ画面に重畳して描画すると、輝度差の大きな領域が存在するため、焼き付き現象の原因となる。
【0005】
ヘッド・マウント・ディスプレイの場合、本体に装備できる操作ボタンなどの数に限界があり、OSD画面を介したユーザー操作が必須となる。したがって、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示デバイスにこの種の表示パネルを用いる場合も、OSD画面を表示した際の焼き付き現象の防止を十分検討しなければならない。
【0006】
例えば、メニューの表示に用いるOSD画面は、メニュー背景領域と、この背景領域に描画されたメニュー文言からなる。OSD画面は、基本的に静止画であり、また、輝度差が大きくなりがちであることから、長時間表示すると焼き付き現象を発生する。
【0007】
ビデオ画面自体は動画などのさまざまな映像ソースであることから、画素間の輝度差が変化するので、焼き付き現象はある程度軽減される。これに対し、メニューの背景領域と、メニューの文言を表示した領域との境界では、静止画素同士の大きな輝度差が長時間続くことになり、焼き付き現象が顕著に発生することが懸念される。メニューを表示する度に同じ文言を繰り返し表示することが多いため、とりわけメニューの背景領域とメニューの文言との境界部分では焼き付きが目立ち易い。
【0008】
例えば、表示画面を構成する画素のうち均等に分散した画素のみを順次移動して黒表示として、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止する液晶表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0009】
また、所定時間間隔でパネル全体の表示位置を所定距離だけ移動させることにより、同一画像を長時間表示した場合にも、焼き付きの視認を抑制する有機発光ディスプレイ装置について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0010】
また、OSD表示の輝度を低下させる処理により焼き付きを防止する映像表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0011】
しかしながら、これらの従来技術はいずれも、メニューの背景領域とメニューの文言との境界部分に特化して焼き付き現象を防止するものではない。OSD画面を重畳する前のビデオ画面自体は、動画などのさまざまな映像ソースであるため、本来焼き付き現象を発生し難い。それにも拘らず、ビデオ画面に黒表示する画素を挿入すると、ビデオ画面の画面が暗くなったり、画質が劣化したりする。また、所定時間間隔でパネル全体の表示位置を所定距離だけ移動させると、ビデオ画面の画質を劣化させ、製造元への苦情の原因にもなる。また、OSD表示の輝度を低下させると、OSD画面が見えづらくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−134188号公報
【特許文献2】特開2007−304318号公報
【特許文献3】特開2011−81178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明細書で開示する技術の目的は、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することにある。
【0014】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、メニュー背景領域とメニュー文言からなるOSD画面をビデオ画面に重畳した映像を表示パネルに表示する際に、とりわけメニューの背景領域とメニューの文言との境界部分における焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、
右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイである。
【0016】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返すように構成されている。
【0019】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイは、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換えるように構成されている。
【0020】
また、本願の請求項6に記載の技術は、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、
前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、
を有し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法である。
【0021】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0022】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除するように構成されている。
【0023】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返すように構成されている。
【0024】
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換えるように構成されている。
【発明の効果】
【0025】
本明細書で開示する技術によれば、表示パネルにOSD画面などの静止画を表示する際の焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することができる。
【0026】
また、本明細書で開示する技術によれば、メニュー背景領域とメニュー文言からなるOSD画面をビデオ画面に重畳した映像を表示パネルに表示する際に、メニューの背景領域とメニューの文言との境界部分における焼き付き現象を好適に防止することができる、優れたヘッド・マウント・ディスプレイ及び表示制御方法を提供することができる。
【0027】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、表示パネル224、225にそれぞれ表示された左眼用映像と右眼用映像を両目で見たときに、ユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示した図である。
【図4】図4は、ニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示した表示パネルにおいて焼き付き現象が発生する様子を示した図である。
【図5】図5は、メニュー文言を間引き表示するメニュー画面が重畳されたビデオ画面を表示した際に、両目で見たユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示した図である。
【図6A】図6Aは、左眼用映像と右眼用映像で交互にメニュー画面内にメニュー文言を表示する様子を示した図である。
【図6B】図6Bは、左眼用映像と右眼用映像で交互にメニュー画面内にメニュー文言を表示する様子を示した図である。
【図7】図7は、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【図8A】図8Aは、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が表示されている様子を示した図である。
【図8B】図8Bは、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が削除されメニュー背景領域のみが表示されている様子を示した図である。
【図9】図9は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【図10】図10は、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1には、ヘッド・マウント・ディスプレイを含む画像表示システムの構成を模式的に示している。図示のシステムは、ヘッド・マウント・ディスプレイ10本体と、視聴コンテンツのソースとなるブルーレイ・ディスク再生装置20と、ブルーレイ・ディスク再生装置20の再生コンテンツの他の出力先となるハイビジョン・ディスプレイ(例えば、HDMI対応テレビ)30と、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号の処理を行なうフロント・エンド・ボックス40で構成される。
【0031】
フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から出力されるAV信号をHDMI入力すると、例えば信号処理して、HDMI出力するHDMIリピーターに相当する。また、フロント・エンド・ボックス40は、ブルーレイ・ディスク再生装置20の出力先をヘッド・マウント・ディスプレイ10又はハイビジョン・ディスプレイ30のいずれかに切り替える2出力スイッチャーでもある。図示の例では、フロント・エンド・ボックス40は2出力であるが、3以上の出力を有していてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40は、AV信号の出力先を排他的とし、且つ、ヘッド・マウント・ディスプレイ10への出力を最優先とする。
【0032】
なお、HDMI(High−Definition Mutlimedia Interface)は、DVI(Digital Visual Interface)を基にし、物理層にTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)を用いた、主に音声と映像の伝送を用途としたディジタル家電向けのインターフェース規格である。本システムは、例えばHDMI1.4に準拠する。
【0033】
ブルーレイ・ディスク再生装置20とフロント・エンド・ボックス40間、並びに、フロント・エンド・ボックス40とハイビジョン・ディスプレイ30間は、それぞれHDMIケーブルで接続されている。フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間も、HDMIケーブルで接続するように構成することも可能であるが、その他の仕様のケーブルを用いてAV信号をシリアル転送するようにしてもよい。但し、フロント・エンド・ボックス40とヘッド・マウント・ディスプレイ10間を接続するケーブル1本で、AV信号と電力を供給するものとし、ヘッド・マウント・ディスプレイ10はこのケーブルを介して駆動電力も得ることができる。
【0034】
ヘッド・マウント・ディスプレイ10は、左眼用及び右眼用の独立した表示部を備えている。各表示部は、例えば有機EL素子を用いている。また、左右の各表示部は、低歪みで且つ高解像度の広視野角光学系を装備している。
【0035】
図2には、ヘッド・マウント・ディスプレイ10の内部構成を模式的に示している。図示のヘッド・マウント・ディスプレイは、UI(User Interface)操作部201と、映像信号入力部202と、中央制御部210と、表示制御部220を備えている。
【0036】
映像信号入力部202は、ブルーレイ・ディスク再生装置20から再生出力される映像信号を、フロント・エンド・ボックス40経由で入力する。
【0037】
中央制御部210内では、左右映像信号生成部211が、入力映像信号から、左眼用映像信号及び右眼用映像信号を混合した左右映像信号を生成して、ビデオ・バッファー212に書き込む。
【0038】
また、UI操作部201は、ボタンなどを介したユーザーの操作を受け容れる。中央制御部210内では、OSD制御部213が、UI操作に応じて、該当するメニュー用の画像データをビットマップ・バッファー214から読み出して、OSD画面を生成する。また、OSD表示位置制御部215は、OSD画面の表示位置を制御し、OSD描画部216はOSDバッファー217の該当する位置にOSD画面の画像データを書き込む。OSD画面は、例えば、メニュー背景領域とメニュー文言からなるメニュー画面である。
【0039】
そして、画像合成部218は、ビデオ・バッファー212に書き込まれた画像データ上に、OSDバッファー217に書き込まれたOSD画面を重畳して、表示制御部220に出力する。
【0040】
表示制御部220内では、まず、左右映像信号分離部221が入力した左右映像信号を左眼用映像信号と右眼用映像信号に分離する。そして、左眼用表示駆動制御部222は、左眼用映像信号の左眼用表示パネル224への描画を制御する。また、右眼用表示駆動制御部223は、右眼用映像信号の右眼用表示パネル225への描画を制御する。表示パネル224、225は、例えば有機EL素子や液晶などの表示デバイスからなる。また、左眼用表示パネル224並びに右眼用表示パネル225には、それぞれ映像を拡大するレンズ・ブロックが装備されている。左右のレンズ・ブロックは、それぞれ複数の光学レンズの組み合わせからなり、表示パネル224、225が表示する映像を光学処理する。表示パネル224、225の発光面に表示された映像は、レンズ・ブロックを通過する際に拡大され、ユーザーの網膜に大きな虚像を結像する。そして、観察するユーザーの脳内では左眼用映像と右眼用映像が融像される。
【0041】
図3には、表示パネル224、225にそれぞれ表示された左眼用映像と右眼用映像を両目で見たときに、ユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示している。図示の例では、左眼用映像と右眼用映像はともに、ビデオ画面の中央付近にOSD画面が重畳されている。OSD画面は、メニュー背景領域にメニュー文言(TEXT)を描いたメニュー画面である。両眼で見た状態では、ビデオ画面とともに、メニュー画面も融像される。
【0042】
表示パネル224、225は、例えば有機EL素子や液晶などの表示デバイスからなるが、この種の表示デバイスは輝度差の大きな領域で焼き付き現象が発生し易いという問題がある。例えば、OSD画面のような静止画をビデオ画面に重畳して描画すると、輝度差の大きな領域が存在するため、焼き付き現象の原因となる。とりわけ、OSD画面がメニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面の場合、メニューの背景領域と、メニューの文言を表示した領域との境界では、静止画素同士の大きな輝度差が長時間続くことになり、焼き付き現象が顕著に発生することが懸念される。他方、OSD画面が重畳されるビデオ画面自体は動画などのさまざまな映像ソースであることから、画素間の輝度差が変化するので、焼き付き現象はある程度軽減される。
【0043】
図4には、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示した表示パネルにおいて焼き付き現象が発生する様子を示している。同図右に示すように、メニュー背景領域とメニュー文言の境界において、焼き付き現象が顕著に観察される。
【0044】
そこで、本明細書で開示する技術では、ヘッド・マウント・ディスプレイ10でメニュー画面を重畳したビデオ画面を表示する際に、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー背景領域にメニュー文言を間引きして表示するようにした。これによって、メニュー背景領域とメニュー文言の境界の、静止画素同士の大きな輝度差が生じる時間を短縮することによって、焼き付き現象の発生を防止することができる。
【0045】
なお、ビデオ画面自体は、動画などのさまざまな映像ソースであり、画素間の輝度差が変化して焼き付き現象は発生し難いので、間引き表示を行なわない。また、メニュー背景領域も、メニュー文言に合わせて間引き表示を行なうことはせず、表示し続けるようにする。何故ならば、画面内で比較的大きな領域を占めるメニュー背景領域についても表示と非表示を交互に切り換えると、ちらつきを生じるからである。
【0046】
図5には、メニュー文言を間引き表示するメニュー画面が重畳されたビデオ画面を表示パネル224、225にそれぞれ表示した際に、両目で見たユーザーの脳内で融像される様子を模式的に示している。図示の例では、左眼用映像の画面中央付近にはメニュー文言も描かれたメニュー画面が重畳されているが、右眼用映像の中央付近にはメニュー背景領域のみが表示され、メニュー文言の表示はメニュー画面から削除されている。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。これらの左右映像を両眼で見た状態では、ビデオ画面とともにメニュー画面も融像され、メニュー文言もほぼ正常に視認される。
【0047】
図6Aには、メニュー背景領域上にメニュー文言も描かれたメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された左眼用映像と、メニュー文言を間引きメニュー背景領域のみからなるメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された右眼用映像を同時刻に表示する様子を示した図である。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。
【0048】
また、図6Bには、メニュー文言を間引きメニュー背景領域のみからなるメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された左眼用映像と、メニュー背景領域上にメニュー文言も描かれたメニュー画面がビデオ画面の中央付近に重畳された右眼用映像を同時刻に表示する様子を示した図である。ビデオ画面とメニュー背景領域は、左眼用映像と右眼用映像で共通である。
【0049】
図6A及び図6Bのいずれの左右映像表示においても、これらの左右映像を両眼で見た状態では、ビデオ画面とともにメニュー画面も融像され、メニュー文言もほぼ正常に視認される。図6Aと図6Bの映像表示を交互に繰り返すと、左右の表示パネル224、225においてメニュー背景にメニュー文言が表示されるデューティー比はそれぞれ50%となる。したがって、OSD画面表示の焼き付きによる表示パネル224、225の劣化をほぼ50%防ぐことができるといえる。
【0050】
左右の映像においてメニュー画面からメニュー文言を間引きして表示する方法はいくつか挙げられる。以下ではメニュー文言を間引く方法を数例紹介する。
【0051】
表示方法1
上述したように、UI操作部201におけるユーザーからのUI操作に応じてOSD画面の表示処理が起動する。メニュー文言を間引いて表示する方法の例1として、UI操作部201におけるユーザーの操作をトリガーとして、メニュー文言の表示、非表示を切り替える方法が考えられる。すなわち、UI操作部201を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する。
【0052】
UI操作部201が操作され、該当するメニュー画面を表示するときは、まず、図6Aに示したように、左眼用映像にのみメニュー文言を表示する。
【0053】
次いで、メニュー選択などの操作がUI操作部201で行なわれると、メニューの仕様が終了したことに応答して、左眼用映像及び右眼用映像からともにメニュー画面を削除する(図示を省略する)。
【0054】
次に、UI操作部201が操作され、該当するメニュー画面を表示するときは、今度は、図6Bに示したように、右眼用映像にのみメニュー文言を表示する。
【0055】
表示方法2
続いて、OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する方法を説明する。メニュー文言を表示する映像を所定時間間隔毎に切り換える方法と言い換えることもできる。
【0056】
図7には、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。メニュー文言の表示期間は、その表示信号強度(電流)をIAとし、メニュー文言を削除している期間は、その表示信号強度を0とする。
【0057】
この場合、図6Aに示したような左右映像の表示と、図6Bに示したような左右映像の表示が、所定の時間間隔毎に交互に繰り返される。
【0058】
表示方法3
続いて、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す方法について説明する。上記の表示方法2とは相違し、左眼用映像と右眼用映像で、メニュー文言の表示、非表示の切り替え動作を同じにする。
【0059】
図8Aには、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が表示されている様子を示している。また、図8Bには、左眼用映像及び右眼用映像のメニュー画面ともにメニュー文言が削除されメニュー背景領域のみが表示されている様子を示している。また、図9には、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。
【0060】
表示方法4
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える方法について説明する。
【0061】
図10には、OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える場合の、左眼用映像及び右眼用映像の各々におけるメニュー文言の表示信号強度のタイミング・チャートを示している。
【0062】
メニュー文言をフル表示するときの表示信号強度(電流)をIA、本方法において、メニュー文言の表示信号強度の高い方の値をIAよりも低いIH、メニュー文言の表示信号強度の低い方の値を0よりも高いILとし、IHとの間でIA=IH+ILという関係が成立するとする。この場合、左眼用映像及び右眼用映像の各々において、IH又はILのいずれの表示信号強度でメニュー文言が表示されたとしても、片方の映像のみでは表示信号強度IAで表示した場合よりもメニュー文言は暗く映る。左眼用映像と右眼用映像でメニュー文言の表示信号強度を加算すると常にIA=IH+ILで一定となる。したがって、観察するユーザーの脳内では左眼用映像と右眼用映像が融像されると、所望する輝度でメニュー文言が視認されることが期待される。
【0063】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、を具備し、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、ヘッド・マウント・ディスプレイ。
(2)ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(3)OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(4)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(5)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、上記(1)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
(6)左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、を有し、メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(7)ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(8)OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(9)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
(10)OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、上記(6)に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0065】
本明細書では、本明細書で開示する技術をヘッド・マウント・ディスプレイに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨は特定のヘッド・マウント・ディスプレイの構成に限定されるものではない。左眼用映像及び右眼用映像、あるいは複数の映像を同時に表示するさまざまなタイプの表示システムにも、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。また、映像を表示するデバイスは、液晶や有機EL素子に限定されるものではなく、輝度差の大きい領域で焼き付き現象を発生し易いさまざまな表示デバイスに対して、本明細書で開示する技術は効果を奏する。
【0066】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0067】
10…ヘッド・マウント・ディスプレイ
20…ブルーレイ・ディスク再生装置
30…ハイビジョン・ディスプレイ
40…フロント・エンド・ボックス
201…UI操作部、202…映像信号入力部
210…中央制御部、211…左右映像信号生成部
212…ビデオ・バッファー、213…OSD制御部
214…ビットマップ・バッファー、215…OSD表示位置制御部
216…OSD描画部、217…OSDバッファー
218…画像合成部
220…表示制御部、221…左右映像信号分離部
222…左眼用表示駆動制御部、223…右眼用表示駆動制御部
224…左眼用表示パネル、225…右眼用表示パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、
右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項2】
ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、
ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項3】
OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項4】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項5】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項6】
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、
前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、
を有し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項7】
ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項8】
OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項9】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項10】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項1】
左眼用映像を表示する左眼用表示パネルと、
右眼用映像を表示する右眼用表示パネルと、
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部で処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルの表示駆動を制御する表示制御部と、
を具備し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項2】
ユーザーが操作入力するためのユーザー操作部をさらに備え、
ユーザーが前記ユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項3】
OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項4】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項5】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、
請求項1に記載のヘッド・マウント・ディスプレイ。
【請求項6】
左眼用映像及び右眼用映像の映像信号を処理するとともに、OSD画面を生成して左眼用映像及び右眼用映像に重畳する映像信号処理ステップと、
前記映像信号処理ステップで処理された映像信号に基づいて、前記左眼用表示パネル及び前記右眼用表示パネルにそれぞれ左眼用映像及び右眼用映像を表示する表示ステップと、
を有し、
メニュー背景領域にメニュー文言を描いたOSD画面を表示する際には、左眼用映像又は右眼用映像のうち少なくとも一方において、メニュー文言を間引いて表示する、
ヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項7】
ユーザーが前記ヘッド・マウント・ディスプレイユーザー操作部を操作したことに応じてOSD画面を表示する際に、前記ユーザー操作部を操作する度に、左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項8】
OSD画面を表示している期間中、所定の時間間隔毎に左眼用映像又は右眼用映像の一方から交互にメニュー文言を削除する、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項9】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像及び右眼用映像におけるメニュー文言の表示と非表示を所定の時間間隔で交互に繰り返す、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【請求項10】
OSD画面を表示している期間中、左眼用映像と右眼用映像におけるメニュー文言の表示信号強度の強弱を所定の時間間隔毎に交互に切り換える、
請求項6に記載のヘッド・マウント・ディスプレイの表示制御方法。
【図2】
【図7】
【図9】
【図10】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図8A】
【図8B】
【図7】
【図9】
【図10】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2013−44914(P2013−44914A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182323(P2011−182323)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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