説明

ベーンポンプ

【課題】起動時にポンプ吐出圧が吸込側に逃げることが抑えられるベーンポンプを提供する。
【解決手段】流体圧供給源として用いられるベーンポンプ1であって、ロータ2が回転するのに伴って収縮するポンプ室7から吐出される作動流体を導く複数の吐出ポート32、34と、この吐出ポート32、34から導かれる作動流体を合流させる吐出通路35と、一つの吐出ポート32から吐出通路35に吐出される作動流体の流れに対して開弁する逆止弁60と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧供給源として用いられるベーンポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のベーンポンプは、ロータに放射状に開口する複数のスリットにベーンが収められる。各ベーンは、その基端部を押圧するベーン背圧室の油圧力と、ロータの回転に伴って働く遠心力とによって、スリットから突出する方向に付勢され、その先端部がカムリングの内周カム面に摺接する。ロータが回転するのに伴って内周カム面に摺接するベーンが往復動してポンプ室が拡縮し、ポンプ室にて加圧された作動油がサイドプレートに開口する吐出ポートからベーンポンプ内の吐出圧室に吐出され、この吐出圧室から油圧機器へと供給される。
【0003】
このようなベーンポンプにあっては、ロータの回転停止状態が続くと、ロータの上部にあるベーンが重力によってスリットの奥に落ち込む。このため、起動時にベーンがスリットから突出する動作が遅れて、ポンプ吐出圧の立ち上がりが遅れる可能性があった。
【0004】
この対策として、特許文献1に開示されたベーンポンプ(羽根形回転ポンプ)は、吐出ポート(搬送穴21、23)とスリット内のベーン背圧室(下部羽根領域)を連通する二つの溝(35、37)が設けられ、この溝(35、37)との間に流動連通部を画成する冷間始動板(17)が設けられている。
【0005】
起動時に、吐出ポートから吐出される作動油が流動連通部を通ってベーン背圧室に供給され、停止時に重力によってスリットに落ち込んだベーンがスリットから突出することが促される。
【0006】
起動後に、吐出ポートの圧力が高まるのに伴って、付勢された冷間始動板(17)が溝(35、37)から離れると、吐出ポートから吐出される作動油が溝(35、37)から油圧機器へと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−119383号公報(特許第4164133号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のベーンポンプは、冷間始動板(17)が2つの吐出ポートに連通する溝(35、37)に面して設けられているため、起動時にポンプ吐出圧が吸込側に逃げる可能性があった。
【0009】
これについて説明すると、ベーンポンプの停止状態が続くと、ベーンがスリットに落ち込み、ベーンとカムリング間に圧力逃がし路が画成される状態になる(図1参照)。この状態からベーンポンプが起動される場合に、一方の吐出ポートの圧力が高まるのに伴って付勢された冷間始動板(17)が溝(35、37)から離れると、二つの溝(35、37)が互いに連通し、一方の吐出ポートの圧力が他方の吐出ポートと圧力逃がし路を通って吸込側に逃げてしまい、ポンプ吐出圧の立ち上がりが遅れる可能性があった。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、起動時にポンプ吐出圧が吸込側に逃げることが抑えられるベーンポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、流体圧供給源として用いられるベーンポンプであって、回転駆動されるロータと、このロータに放射状に形成される複数のスリットと、このスリットから摺動可能に突出する複数のベーンと、ロータが回転するのに伴ってベーンの先端部が摺接するカムリングと、このカムリングと隣り合うベーンとの間に画成されるポンプ室と、ロータが回転するのに伴って収縮するポンプ室から吐出される作動流体を導く複数の吐出ポートと、一つの吐出ポートから吐出通路に吐出される作動流体の流れに対して開弁する逆止弁と、を備える構成とした。
【0012】
上記構成に基づき、ベーンがスリットに落ち込み、ベーンとカムリング間に圧力逃がし路が画成されている起動時に、逆止弁が閉弁することによって、ポンプ室に生じる作動流体圧が吐出通路から吐出ポート、圧力逃がし路を通って吸込側に逃げることが抑えられる。
【0013】
逆止弁は、一つの吐出ポートから吐出通路に吐出される作動流体の流れに対して開弁する構成のため、別の吐出ポートから導かれるポンプ吐出圧によって開弁することがなく、上記の起動時に、複数の吐出ポートが連通することが回避される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベーンポンプは、起動時にポンプ吐出圧が吸込側に逃げることが抑えられ、ポンプ吐出圧が速やかに立ち上がる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示すベーンポンプの正面図である。
【図2】サイドプレートの正面図である。
【図3】ベーンポンプの通路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1、2に示すベーンポンプ1は、車両に搭載される油圧機器、例えば、変速機やパワーステアリング装置等の油圧供給源として用いられるものである。
【0018】
ベーンポンプ1は、作動流体として、作動油(オイル)を用いるが、作動油の代わりに例えば水溶性代替液等の作動液を用いてもよい。
【0019】
ベーンポンプ1は、駆動シャフト9の端部に図示しないエンジンまたは電動モータの動力が伝達され、駆動シャフト9に連結されたロータ2が回転する。ロータ2は、各図において矢印で示す方向に回転する。
【0020】
ポンプボディ10には、ロータ2、カムリング4、及びサイドプレート30等が収容されるポンプ収容凹部10Aが形成される。ポンプボディ10にはポンプカバー(図示せず)が締結され、このポンプカバーによってポンプ収容凹部10Aが封止される。駆動シャフト9は、ポンプボディ10とポンプカバーに回転自在に支持される。
【0021】
なお、これに限らず、カムリング4、サイドプレート30がポンプボディ10に一体形成される構成としてもよい。
【0022】
ポンプボディ10のポンプ収容凹部10Aの底部とサイドプレート30の間には吐出通路(高圧室)35が画成される。この吐出通路35に導かれるポンプ吐出圧によってサイドプレート30がカムリング4の後側の端面に押し付けられる。
【0023】
カムリング4とロータ2の間には複数のベーン3が介装される。ロータ2には、複数のスリット5が所定間隔をもって放射状に形成される。ベーン3は、矩形の板状をしており、スリット5に摺動自在に挿入される。
【0024】
スリット5の奥側には、ベーン3の基端部との間に背圧室6が画成され、この背圧室6にポンプ吐出圧が導かれる。ベーン3は、その基端部を押圧する背圧室6の圧力と、ロータ2の回転に伴って働く遠心力とによって、スリット5から突出する方向に付勢され、その先端部がカムリング4の内周カム面4Aに摺接する。
【0025】
カムリング4は、内周カム面4Aが略長円形状をした環状の部材である。ロータ2が1回転するのに伴って、内周カム面4Aに追従する各ベーン3が2回往復動する。
【0026】
カムリング4の内側には、カムリング4の内周カム面4Aと、ロータ2の外周と、隣り合うベーン3とによって複数のポンプ室7が画成される。
【0027】
ベーンポンプ1は、ベーン3が一回目の往復動をする第一の吸込領域及び第一の吐出領域と、ベーン3が二回目の往復動をする第二の吸込領域及び第二の吐出領域とに分けられる。第一、第二の吸込領域では、ロータ2の回転に伴ってポンプ室7の容積が拡張する。第一、第二の吐出領域では、ロータ2の回転に伴ってポンプ室7の容積が収縮する。
【0028】
このように、ベーンポンプ1は、二つの吸込領域及び二つの吐出領域を有するが、これに限らず、三つ以上の吸込領域及び三つ以上の吐出領域を有する構成としてもよい。
【0029】
ロータ2は、その回転中心軸に直交する二つの端面を有する。図1に示すロータ2の前側の端面21は、ポンプカバーの端面に摺接する。ロータ2の後側の端面は、サイドプレート30の端面38に摺接する。
【0030】
図2に示すように、サイドプレート30の端面38には、第一の吸込領域に第一の吸込ポート31が開口し、第一の吐出領域に第一の吐出ポート32が開口し、第二の吸込領域に第二の吸込ポート33が開口し、第二の吐出領域に第二の吐出ポート34が開口する。
【0031】
図3に示すように、第一の吸込ポート31、第二の吸込ポート33は、吸込通路25を介してタンク26に連通し、タンク26からの作動油が導かれる。
【0032】
第一の吐出ポート32、第二の吐出ポート34は、吐出通路35を介して図示しない油圧機器に連通する。第一の吐出ポート32、第二の吐出ポート34から吐出される加圧作動油は、吐出通路35を通って油圧機器に供給される。
【0033】
サイドプレート30におけるロータ2が摺接する端面38には、4つの背圧ポート41〜44が形成される。各背圧ポート41〜44は、ロータ2の回転軸を中心とする円弧状に並んで延び、第一の吸込領域、第一の吐出領域、第二の吸込領域、第二の吐出領域の各ベーン背圧室6にそれぞれ連通される。
【0034】
サイドプレート30には、第一の吸込領域において、吐出通路35と背圧ポート41とを連通する吐出圧導入通路51が形成される。第二の吸込領域において、吐出通路35と背圧ポート43とを連通する吐出圧導入通路53が形成される。
【0035】
ベーンポンプ1の作動時に、ベーン3は、その基端部を押圧するベーン背圧室6の作動油圧力と、ロータ2の回転に伴って働く遠心力とによって、スリット5から突出する方向に付勢され、その先端部がカムリング4の内周カム面4aに摺接する。ロータ2が回転するのに伴って内周カム面4aに摺接するベーン3が往復動してポンプ室7が拡縮し、ポンプ室7にて加圧された作動油が吐出ポート32、34から吐出通路35に吐出される。
【0036】
ベーンポンプ1は、第一の吸込領域が上方(図1、2の矢印参照)に来て、第二の吸込領域が下方に来るように搭載される。
【0037】
ベーンポンプ1の停止状態が続くと、図1に示すように、ベーンポンプ1の上部に位置する第一の吸込領域にあるベーン3が重力によって各スリット5の内奥に落ち込み、ベーン3とカムリング4との間に画成される間隙を介して第一の吐出ポート32と第一の吸込ポート31を連通する圧力逃がし路39がつくられる。一方、ベーンポンプ1の下部に位置する第二の吸込領域にあるベーン3は、重力によって各スリット5から突出して内周カム面4Aに当接した状態が維持される。
【0038】
ベーンポンプ1の起動時に、ポンプ室7が第二の吐出領域において収縮することによって、第二の吐出ポート34から吐出通路35に導かれるポンプ吐出圧力が、図中矢印Aで示すように、第一の吐出ポート32から上記の圧力逃がし路39を通って吸込通路25へと逃げてしまうと、吐出通路35のポンプ吐出圧が上昇するのに時間がかかる。
【0039】
これに対処して、ベーンポンプ1には、第一の吐出ポート32に逆止弁60が設けられる。この逆止弁60は、第一の吐出ポート32から吐出通路35に吐出される作動油の流れに対して開弁し、吐出通路35から第一の吐出ポート32に向かう作動油の流れに対して閉弁する。
【0040】
逆止弁60は、吐出通路35に対する第一の吐出ポート32の開口端を閉塞する弁体(図示せず)と、この弁体を閉弁方向に付勢する付勢手段(図示せず)とによって構成される。
【0041】
図3の(A)の回路図には、通常のベーンポンプ1の作動時における作動油の流れを矢印で示している。ロータ2が矢印方向に回転するベーンポンプ1の作動時に、第一、第二の吐出領域において、ベーン3がカムリング4に追従してスリット5に入り、第一、第二の吸込領域において、ベーン3がカムリング4に追従してスリット5から突出する動作が繰り返され、ポンプ室7が拡縮される。これに伴って、タンク26内の作動油が、吸込通路25、第一の吸込ポート31、第二の吸込ポート33をそれぞれ通ってポンプ室7に供給される。一方、ポンプ室7から吐出される加圧作動油は、第一の吐出ポート32及び第二の吐出ポート34、吐出通路35を順に通って油圧機器(作動流体供給先)に供給される。このとき、第一の吐出ポート32から吐出通路35に流入する作動油に対しては、逆止弁60が開弁する。油圧機器から排出される作動油は、戻し通路(図示せず)を通ってタンク26に戻される。
【0042】
上記ベーンポンプ1の作動時に、吐出通路35のポンプ吐出圧が各吐出圧導入通路51、53から各背圧ポート41、43をそれぞれ介して各ベーン背圧室6に導かれ、この圧力によってベーン3がスリット5から突出する方向に付勢される。
【0043】
前述したように、ベーンポンプ1の停止状態が続くと、ベーンポンプ1の上部に位置するベーン3が重力によって各スリット5の内奥に落ち込み、第一の吐出ポート32と第一の吸込ポート31を連通する圧力逃がし路39がつくられる。この状態からロータ2が矢印方向に回転するのに伴って、第一の吐出領域において、ベーン3がスリット5に落ち込んで、ポンプ室7が画成されないめ、第一の吐出ポート32には加圧作動油が導かれず、逆止弁60が閉弁している。一方、第二の吐出領域においては、ベーン3がカムリング4に追従してスリット5に入り、ポンプ室7が収縮される。このポンプ室7から吐出される加圧作動油は、第二の吐出ポート34を通って吐出通路35に導かれる。このとき、逆止弁60が閉弁しているため、吐出通路35に導かれるポンプ吐出圧力が、第一の吸込ポート31と圧力逃がし路39を通って吸込通路25へと逃げてしまうことが抑えられ、吐出通路35のポンプ吐出圧が速やかに上昇する。
【0044】
図3の(B)は、上記の圧力逃がし路39がつくられたベーンポンプ1の起動時における作動油の流れを矢印で示している。タンク26内の作動油が、吸込通路25、第二の吸込ポート33を通って第二の吸込領域のポンプ室7に供給される。一方、第二の吐出領域のポンプ室7から吐出される加圧作動油は、逆止弁60によって第一の吸込ポート31と圧力逃がし路39を通って吸込通路25へと逆流することが抑えられる。これにより、第二の吐出領域のポンプ室7から吐出される加圧作動油が、第二の吐出ポート34、吐出通路35を順に通って油圧機器に供給される。
【0045】
上記ベーンポンプ1の起動時に、吐出通路35のポンプ吐出圧が各吐出圧導入通路51、53から各背圧ポート41、43をそれぞれ介して各ベーン背圧室6に導かれる。背圧ポート41に導かれる圧力によって第一の吸込領域にて落ち込んでいたベーン3がスリット5から突出することが促され、圧力逃がし路39がなくなることによってポンプ吐出圧が速やかに上昇する。
【0046】
以下、本発明の要旨と作用、効果を説明する。
【0047】
(ア)本発明は、流体圧供給源として用いられるベーンポンプ1であって、回転駆動されるロータ2と、このロータ2に放射状に形成される複数のスリット5と、このスリット5から摺動可能に突出する複数のベーン3と、ロータ2が回転するのに伴ってベーン3の先端部が摺接するカムリング4と、このカムリング4と隣り合うベーン3との間に画成されるポンプ室7と、ロータ2が回転するのに伴って収縮するポンプ室7から吐出される作動流体を導く複数の吐出ポート32、34と、この吐出ポート32、34から導かれる作動流体を合流させる吐出通路35と、一つの吐出ポート32から吐出通路35に吐出される作動流体の流れに対して開弁する逆止弁60と、を備える構成とした。
【0048】
上記構成に基づき、上方のベーン3がスリット5に落ち込み、ベーン3とカムリング4間に圧力逃がし路39が画成されている起動時に、逆止弁60が閉弁することによって、ポンプ室7に生じる作動流体圧が吐出通路35から吐出ポート32、圧力逃がし路39を通って吸込側(吸込通路25)に逃げることが抑えられる。
【0049】
逆止弁60は、一つの吐出ポート32から吐出通路35に吐出される作動流体の流れに対して開弁する構成のため、別の吐出ポート34から導かれるポンプ吐出圧によって開弁することがなく、上記の起動時に、複数の吐出ポート32、34が連通することが回避される。
【0050】
これにより、ベーンポンプ1は、起動時にポンプ吐出圧が吸込側(吸込通路25)に逃げることが抑えられ、ポンプ吐出圧が速やかに立ち上がり、起動性が改善される。
【0051】
(イ)スリット5に落ち込んだベーン3によってポンプ室7が吸込側(吸込通路25)に連通する領域(第一の吐出領域)に逆止弁60が設けられる構成とした。
【0052】
上記構成に基づき、起動時に、逆止弁60が閉弁することによって、ポンプ室7に生じる作動流体圧がスリット5に落ち込んだベーン3によって画成される圧力逃がし路39を通って吸込側(吸込通路25)に逃げることが抑えられる。
【0053】
前記実施形態では、スリット5に落ち込んだベーン3によってポンプ室7が吸込側(吸込通路25)に連通しない領域(第二の吐出領域)にある吐出ポート34に逆止弁60が設けられない構成とした。
【0054】
上記構成に基づき、一方の吐出ポート34に逆止弁60が設けられないため、この吐出ポート34から吐出通路35に流入する作動流体の流れに対して逆止弁60が抵抗を付与することがなく、ポンプ性能の低下が回避される。
【0055】
なお、第一、第二の吐出ポート32、34の両方に逆止弁60をそれぞれ設けてもよい。これにより、ベーンポンプ1の搭載方向によらず、上記の作用、効果が得られる。
【0056】
(ウ)ベーン3が一回目の往復動をする第一の吸込領域及び第一の吐出領域と、ベーン3が二回目の往復動をする第二の吸込領域及び第二の吐出領域とに分けられ、第一の吸込領域が第二の吸込領域の上方より配置され、第一の吐出領域に設けられる吐出ポート32に逆止弁60が設けられる構成とした。
【0057】
上記構成に基づき、上部に配置された第一の吸込領域にあるベーン3が停止時にスリット5に落ち込むが、逆止弁60によってポンプ吐出圧が第一の吸込領域へと逃げることが抑えられる。これにより、ベーンポンプ1は、ポンプ吐出圧が速やかに立ち上がり、起動性が改善される。
【0058】
本発明は、上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のベーンポンプは、車両に搭載される流体圧機器に限らず、例えば建設機械、作業機械、他の機械、設備等の負荷を駆動する流体圧供給源として利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 ベーンポンプ
2 ロータ
3 ベーン
4 カムリング
5 スリット
7 ポンプ室
32、34 吐出ポート
35 吐出通路
39 圧力逃がし路
60 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧供給源として用いられるベーンポンプであって、
回転駆動されるロータと、
前記ロータに放射状に形成される複数のスリットと、
前記スリットから摺動可能に突出する複数のベーンと、
前記ロータが回転するのに伴って前記ベーンの先端部が摺接するカムリングと、
前記カムリングと隣り合う前記ベーンとの間に画成されるポンプ室と、
前記ロータが回転するのに伴って収縮する前記ポンプ室から吐出される作動流体を導く複数の吐出ポートと、
前記吐出ポートから導かれる作動流体を合流させる吐出通路と、
前記一つの吐出ポートから前記吐出通路に吐出される作動流体の流れに対して開弁する逆止弁と、を備えることを特徴とするベーンポンプ。
【請求項2】
前記スリットに落ち込んだ前記ベーンによって前記ポンプ室が吸込側に連通する領域に前記逆止弁が設けられることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
【請求項3】
前記ベーンが一回目の往復動をする第一の吸込領域及び第一の吐出領域と、
前記ベーンが二回目の往復動をする第二の吸込領域及び第二の吐出領域と、に分けられ、
前記第一の吸込領域が前記第二の吸込領域より上方に配置され、
前記第一の吐出領域に前記逆止弁が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のベーンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87751(P2013−87751A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231861(P2011−231861)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】