説明

ポリイミドシロキサン溶液組成物

【課題】 消泡性に優れ、配線基板の表面に塗布し、硬化させて絶縁硬化膜を形成した場合でも、配線基板上のアウターリード部の濡れを高いレベルに維持することのできるポリイミドシロキサン溶液組成物を提供する。
【解決手段】 有機溶媒中に、有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサン、エポキシ化合物および多価イソシアネート化合物などの硬化性成分、そしてシリコーン消泡剤が含まれてなり、該シリコーン消泡剤が、ジメチルポリシロキサン、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物、そして微粉末状シリカを含むものであるポリイミドシロキサン溶液組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドシロキサン溶液組成物に関し、特に、絶縁硬化膜が形成された配線基板の製造に有利に用いることのできるポリイミドシロキサン溶液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に電気回路配線部が形成されている配線基板に電子部品を実装する場合は、まず、配線基板の表面に、その電気回路配線部を部分的に被覆するように硬化性樹脂溶液組成物を塗布して塗布膜を形成し、次いで該塗布膜を加熱して絶縁硬化膜とすることからなる予備処理が行なわれる。
【0003】
特許文献1には、電子部品実装の分野において用いられる絶縁膜(保護膜、ソルダレジスト、層間絶縁層など)を形成するための溶液組成物として、有機溶媒可溶性のポリイミドシロキサンと、エポキシ化合物及び/又は多価イソシアネート化合物などの硬化性成分とを含有してなるポリイミドシロキサン溶液組成物が記載されている。この溶液組成物は、フレキシブル配線基板などの基材上にスクリーン印刷などの方法で良好に塗布できるものであり、比較的低温の加熱処理を行なうことによって硬化絶縁膜を形成することができ、得られた硬化絶縁膜は基材との密着性が優れ、ソリが発生し難く、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐屈曲性、そして電気特性などが優れるものである。従って、特にTAB(Tape Automated Bonding)テープやフレキシブル配線基板などのフレキシブル性を有する配線基板を保護する硬化絶縁膜(保護膜)の形成の目的で好適に使用される。上記の有機溶媒可溶性のポリイミドシロキサンは、芳香族テトラカルボン酸化合物、ジアミノポリシロキサン成分、そして極性基を有する芳香族ジアミン化合物の反応により得られる化合物である。
【0004】
特許文献1には、ポリイミドシロキサン溶液組成物に、必要に応じて消泡剤を加えてもよい旨の記載があり、消泡剤の例として、アクリル系消泡剤、アクリルビニルエーテル系消泡剤、フッ素系消泡剤、そしてシリコ−ン系消泡剤が挙げられている。この内、シリコ−ン系消泡剤の例としては、溶液型やオイルコンパウンド型のジメチルポリシロキサン系消泡剤(信越化学工業株式会社製のKS−603あるいはダウコーニング社製のDB−100)などが列記されている。なお、特許文献1の実施例で用いられている消泡剤は、アクリルビニルエーテル系の消泡剤であるフローレンAC326Fである。
【0005】
配線基板への電子部品の導電性接合は、従来は、はんだを用いる方法あるいは金などの導電性材料をバンプとして用いる方法により行なっていたが、近年、例えば、液晶表示素子などの電子部品の配線基板への実装に際して、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)又は異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste、ACP)などの異方性導電材料によって配線基板のアウターリード部を介して電気的接合部を形成する方法も利用されるようになってきている。
【特許文献1】特開2002−12664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者は、前記特許文献1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物を配線基板の絶縁硬化膜の形成に用いる場合に、絶縁基板への密着性を高め、かつ溶液組成物内に取り込まれた気泡(泡)を短時間に排出させる機能を有する消泡剤について研究を行なった結果、シリコーン系消泡剤として最も一般的なジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)系消泡剤が、上記の目的に好適であることを確認した。
【0007】
しかしながら、その後の検討により、特許文献1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物にジメチルポリシロキサン系消泡剤を加えて消泡性を高めた溶液組成物を配線基板の絶縁硬化膜の形成に用いた場合に、その絶縁硬化膜が形成された配線基板のアウターリード部を介して異方性導電材料により電子部品を電気的に接合させようとすると、異方性導電材料とアウターリード部との親和性が低くなり、目的の異方性導電材料とアウターリード部との間の良好な電気的接合が実現しにくくなることが判明した。
【0008】
このため、本発明者は、上記の異方性材料とアウターリード部との親和性が低くなる原因を調べた。その結果、ジメチルポリシロキサン系消泡剤を添加したポリイミドシロキサン溶液組成物を配線基板の表面に塗布して、絶縁硬化膜の形成に用いると、その溶液組成物の塗布膜からジメチルポリシロキサンの一部がアウターリード部の表面上に滲み出し、絶縁硬化膜の形成後も、そのジメチルポリシロキサンがアウターリード部の表面に残るために、異方性導電材料とアウターリード部との親和性(いわゆる濡れ)が低下し、良好な電気的接合が困難になっているとの結論に達した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の結論に基づき、本発明者は更に研究を進めた結果、特許文献1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物に添加するシリコーン系消泡剤として、ジメチルポリシロキサンと微粉末シリカとを含む最も一般的なシリコーン系消泡剤のジメチルポリシロキサンの一部を、側鎖もしくは末端部に親水性基(特に、ポリオキシアルキレン基)に置換したシリコーン系消泡剤を用いることにより、消泡性(溶液組成物内に取り込まれた気泡を短時間に排出させる機能)が優れ、かつ配線基板の表面に塗布し、硬化させて絶縁硬化膜を形成した場合でも、配線基板上のアウターリード部へのジメチルポリシロキサンの滲み出しを抑制することができ、そして、異方性導電材料とアウターリード部との親和性が向上して、異方性導電材料とアウターリード部との間の良好な電気的接合の実現を可能にするポリイミドシロキサン溶液組成物が得られることを見いだした。
【0010】
従って、本発明は、有機溶媒中に、有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサン、エポキシ化合物および多価イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硬化性成分、そしてシリコーン消泡剤が含まれてなり、該シリコーン消泡剤が、ジメチルポリシロキサン、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物、そして微粉末状シリカを含むことを特徴とするポリイミドシロキサン溶液組成物にある。
【0011】
本発明はまた、表面に電気回路配線部が形成されている配線基板の表面に該電気回路配線部を部分的に被覆するように上記の本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を塗布して塗布膜を形成し、次いで該ポリイミドシロキサン組成物塗布膜を加熱して絶縁硬化膜とすることからなる表面に絶縁硬化膜が形成された配線基板の製造方法にもある。
【0012】
本発明はさらに、表面に電気回路配線部が形成されている配線基板の表面に該電気回路配線部を部分的に被覆するように上記の本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を塗布して塗布膜を形成する工程、該ポリイミドシロキサン組成物塗布膜を加熱して絶縁硬化膜とする工程、そして上記配線基板表面上の電気回路配線部の絶縁硬化膜で被覆されていない領域に異方性導電性材料を介して電子部品を接続することからなる電子部品の配線基板への実装方法にもある。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、配線基板の表面にスクリーン印刷等の塗布方法により塗布した場合に、その塗布過程で取り込まれて塗布膜内部に生成した気泡の排出を速やかに実現でき、またアウターリード部表面へのジメチルポリシロキサンの滲み出しが抑制されるため、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を利用することにより高い作業性で絶縁硬化膜を有する配線基板を得ることができる。また、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を利用して絶縁硬化膜を形成した配線基板のアウターリード部表面に電気的接合材料、特に異方性導電材料を介して電子部品を実装する場合に実用性が高い優れた電気的接合が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物の好ましい態様を次に示す。
(1)有機溶剤可溶性ポリイミドシロキサン100質量部に対して、硬化性成分を1〜50質量部、そしてシリコーン消泡剤を1〜10質量部含む。
(2)シリコーン消泡剤が、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物をジメチルポリシロキサンより多い量にて含む。
(3)シリコーン消泡剤が、ジメチルポリシロキサンと側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物との合計量100質量部に対して、微粉末状シリカを1〜20質量部を含む。
(4)側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物の親水性基がポリオキシアルキレン基(特に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる基)である。
(5)さらに、無機フィラーを含む。
(6)さらに、硬化触媒(硬化剤)を含む。
(7)シリコーン消泡剤が50゜以下の水滴接触角を示す。
【0015】
次に、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物で用いられる有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサンそしてエポキシ化合物および多価イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硬化性成分について説明する。なお、前述のように、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、前記の特許文献1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物の改良であり、有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサンそしてエポキシ化合物および多価イソシアネート化合物については、特許文献1に詳しい記載がある。
【0016】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物で用いられる有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサンは、芳香族テトラカルボン酸化合物と、ジアミノポリシロキサン及び極性基を有する芳香族ジアミン化合物とを含むジアミン化合物とを、略等モル好ましくはジアミン化合物1モルに対して芳香族テトラカルボン酸化合物が1.0〜1.2モル程度の割合となるように用いて有機溶媒中で反応させることにより得ることができる。
【0017】
芳香族テトラカルボン酸化合物の例としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ベンゼンジカルボン酸)ヘキサフルオロプロパン、ピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ベンゼンジカルボン酸)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(3,4−フェノキシジカルボン酸)フェニル〕プロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタンなどの芳香族テトラカルボン酸、またはそれらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物を好適に挙げることができる。これらのなかでも特に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、及び2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、又は、それらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物は、ポリイミドシロキサンとしたときの有機溶媒に対する溶解性が優れているので好適である。
【0018】
芳香族テトラカルボン酸化合物は、ジアミン化合物と反応させることが容易な芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。また、芳香族テトラカルボン酸二無水物の使用量がジアミン成分に対して1.05倍モル以上で未反応無水環が残存するような場合には、そのままでもよいが、エステル化剤で開環ハーフエステル化してもよい。
【0019】
ジアミン化合物は、ジアミノポリシロキサン及び極性基を有する芳香族ジアミン化合物以外のジアミン化合物を含んでいてもよく、好ましくはジアミノポリシロキサンを30〜95モル%、特に50〜95モル%、更に60〜95モル%、極性基を有する芳香族ジアミン化合物を0.5〜40モル%、そして前記ジアミノポリシロキサン及び前記極性基を有する芳香族ジアミン化合物以外のジアミン化合物を0〜69.5モル%(通常、0〜30モル%)とする割合で使用される。
【0020】
ポリイミドシロキサンのジアミン成分を構成するジアミノポリシロキサンとしては、下記一般式(1)で示される化合物が好適である。
【0021】
【化1】

【0022】
一般式(1)において、R1は2価の炭化水素基又は芳香族基を示し、R2は独立に一価の炭素水素基又は芳香族基を示し、n1は3〜50の整数を示す。ただし、R1は独立に炭素数1〜6の2価の炭化水素基またはフェニレン基、特にプロピレン基であり、R2は独立に炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基であり、n1は3〜20であることが好ましい。なお、ジアミノポリシロキサンが二種以上の混合物からなる場合は、n1はアミノ当量から計算される。
【0023】
ジアミノポリシロキサンの化合物の例としては、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0024】
ポリイミドシロキサンのジアミン成分を構成する極性基を有する芳香族ジアミン化合物は、分子中にイソシアネート基又はエポキシ基との反応性を有する極性基を有する芳香族ジアミン化合物であり、好ましくは下記一般式(2)で示されるジアミン化合物である。
【0025】
【化2】

【0026】
一般式(2)において、XおよびYは、それぞれ独立に、直接結合、CH2、C(CH32、C(CF32、O、ベンゼン環、SO2を示し、r1はCOOH又はOHを示し、n2は1又は2であり、n3、n4はそれぞれ独立に0、1又は2、好ましくは0又は1であり、n3及びn4の少なくとも一方は1又は2である。
【0027】
一般式(2)で示されるジアミン化合物としては、2,4−ジアミノフェノ−ルなどのジアミノフェノ−ル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラハイドロキシビフェニルなどのヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス〔3−アミノ−4−ハイドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−アミノ−3−ハイドロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−アミノ−4−ハイドロキシフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルメタンなどのヒドロキシジフェニルアルカン化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルエ−テルなどのヒドロキシジフェニルエ−テル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラハイドロキシジフェニルスルホンなどのヒドロキシジフェニルスルホン化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ−3−ハイドロキシフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス(ハイドロキシフェニキシフェニル)アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ハイドロキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(ハイドロキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、そして2,2−ビス〔4−(4−アミノ−3−ハイドロキシフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのビス(ハイドロキシフェニキシフェニル)スルホン化合物類などの、OH基を有するジアミン化合物類を挙げることができる。
【0028】
一般式(2)で示されるジアミン化合物としては更に、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸などのベンゼンカルボン酸化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニルなどのカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2−ビス〔3−アミノ−4−カルボキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−アミノ−3−カルボキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−アミノ−4−カルボキシフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニルなどのカルボキシジフェニルアルカン化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエ−テルなどのカルボキシジフェニルエ−テル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルホンなどのカルボキシジフェニルスルホン化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス(カルボキシフェノキシフェニル)アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(カルボキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのビス(カルボキシフェノキシフェニル)スルホン化合物類などの、COOH基を有するジアミン化合物類を挙げることができる。
【0029】
ポリイミドシロキサンのジアミン成分を構成する前記ジアミノポリシロキサン及び前記極性基を有する芳香族ジアミン以外のジアミン化合物は、特に限定されるものではないが、下記一般式(3)で示される芳香族ジアミン化合物が好適である。
【0030】
【化3】


一般式(3)において、XおよびYは、それぞれ独立に、直接結合、CH2、C(CH32、C(CF32、O、ベンゼン環、SO2を示し、n5は1又は2である。
【0031】
一般式(3)で示される芳香族ジアミン化合物の例としては、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2,5−ジハロゲノベンゼンなどのベンゼン環を1個を含むジアミン化合物類、ビス(4−アミノフェニル)エ−テル、ビス(3−アミノフェニル)エ−テル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、o−ジアニシジン、o−トリジン、トリジンスルホン酸などのベンゼン環を2個を含むジアミン化合物類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどのベンゼン環を3個を含むジアミン化合物類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4’−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセンなどのベンゼン環を4個以上を含むジアミン化合物類などのジアミン化合物類が挙げられる。
また、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノドデカンなど脂肪族ジアミン化合物を上記ジアミンと共に使用することができる。
【0032】
ポリイミドシロキサンは、例えば次の方法で得ることができる。
a)テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とを略等モル使用し、有機極性溶媒中で連続的に15〜250℃で重合及びイミド化させてポリイミドシロキサンを得る方法。
b)テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とをそれぞれ分けて、まず過剰量のテトラカルボン酸化合物とジアミン化合物(例、ジアミノポリシロキサン)とを有機極性溶媒中15〜250℃で重合及びイミド化させて平均重合度1〜10程度の末端に酸無水物基(又は、酸、そのエステル化物)を有するイミドシロキサンオリゴマーを調製し、別にテトラカルボン酸化合物と過剰量のジアミン化合物とを有機極性溶媒中15〜250℃で重合及びイミド化させて平均重合度1〜10程度の末端にアミノ基を有するイミドオリゴマーを調製し、次いでこの両者を酸成分とジアミン成分とが略等モルになるように混合して15〜60℃で反応させて、さらに130〜250℃に昇温して反応させてポリイミドシロキサンを得る方法。
c)テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とを略等モル使用し、有機極性溶媒中でまず20〜80℃で重合させてポリアミック酸を得た後に、そのポリアミック酸をイミド化してポリイミドシロキサンを得る方法。
【0033】
上述の方法でポリイミドシロキサンを得る際に使用される有機極性溶媒としては、含窒素系溶媒、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなど;硫黄原子を含有する溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなど,フェノール系溶媒、例えばクレゾール、フェノール、キシレノールなど;ジグライム系溶媒、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなど;酸素原子を分子内に有する溶媒、例えばアセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフランなど;その他、ピリジン、テトラメチル尿素などを挙げることができる。また必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒やソルベントナフサ、ベンゾニトリルなど他の有機溶媒を併用してもよい。
【0034】
ポリイミドシロキサンは、前記a)〜b)などいずれの方法で得られたものを使用してもよいが、有機溶媒に少なくとも3質量%以上、好ましくは5〜60質量%の高濃度で溶解させることができるもので、25℃の溶液粘度(E型回転粘度計)が1〜10000ポイズ、特に1〜100ポイズであることが好ましい。
【0035】
ポリイミドシロキサンは高分子量のものが好ましく、更にイミド化率が高いものが好ましい。分子量の目安としての対数粘度(測定濃度:0.5g/100ミリリットル、溶媒:N−メチル−2−ピロリドン、測定温度:30℃)が、0.15以上、特に0.16〜2のものが、硬化物の強度、伸度などの機械的物性の点から好ましい。また、赤外吸収スペクトルから求められるイミド化率は、90%以上特に95%以上更に実質的に100%のものが好ましい。
【0036】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物で用いられる硬化性成分は、エポキシ化合物及び/又は多価イソシアネート化合物である。
【0037】
エポキシ化合物としては、エポキシ当量が100〜4000程度であって、分子量が300〜10000程度である液状または固体状のエポキシ樹脂が好ましい。
【0038】
多価イソシアネ−ト化合物としては、1分子中にイソシアネ−ト基を2個以上有するものであればどのようなものでもよい。このような多価イソシアネ−ト化合物としては、脂肪族、脂環族または芳香族のジイソシアネ−ト等があり、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
【0039】
更に、多価イソシアネ−ト化合物として、脂肪族、脂環族または芳香族の多価イソシアネ−トから誘導されるもの、例えばイソシアヌレ−ト変性多価イソシアネ−ト、ビュレット変性多価イソシアネ−ト、ウレタン変性多価イソシアネ−ト等を挙げることができる。
【0040】
多価イソシアネ−トとしては、多価イソシアネ−トのイソシアネ−ト基をブロック化剤でブロックしたブロック多価イソシアネ−トが好適に使用される。このブロック化剤としては例えば、アルコ−ル系、フェノ−ル系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾ−ル系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物等があり、これらを単独あるいは、混合して使用してもよい。具体的なブロック化剤としては、アルコ−ル系としてメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、2−エチルヘキサノ−ル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルピト−ル、ベンジルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル等、フェノ−ル系として、フェノ−ル、クレゾ−ル、エチルフェノ−ル、ブチルフェノ−ル、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、スチレン化フェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸エステル等、活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等、メルカプタン系として、ブチルメルカプタン、 ドデシルメルカプタン等、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等、酸イミド系として、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾ−ル系として、イミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等、オキシム系として、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等、アミン系として、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等、イミン系として、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等、重亜硫酸塩として、重亜硫酸ソ−ダ等、ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
【0041】
本発明において、硬化性成分の使用量は、ポリイミドシロキサン100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部、特に2〜40質量部である。本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物では、エポキシ化合物のみか、又はエポキシ化合物とブロック多価イソシアネート化合物との組合せが好適に使用される。エポキシ化合物とブロック多価イソシアネート化合物との組合せでは、ポリイミドシロキサン100質量部に対してエポキシ化合物を0.5〜30質量部及びブロック多価イソシアネート化合物を2〜40質量部の組合せで使用するのが130℃程度以下の低温で硬化することができる上に、封止材料との密着性が良好であるので好適である。
【0042】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物で用いられるシリコーン消泡剤は、ジメチルポリシロキサン、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物、そして微粉末状シリカを含むシリコーン消泡剤であり、一般に自己乳化型消泡剤と呼ばれる消泡剤に属する。なかでも好ましいのは、50゜以下、好ましくは25゜以下、の水滴接触角を示すシリコーン消泡剤である。
【0043】
側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物の親水性基の代表例としては、ポリオキシアルキレン基を挙げることができる。ポリオキシアルキレン基の例としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリオキシエチレンオキシプロピレン基(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体基)を挙げることができる。ポリオキシエチレンオキシプロピレン基であることが最も好ましい。
【0044】
ポリオキシアルキレン基に代表される親水性基は、ポリシロキサン化合物のポリシロキサン主鎖の側鎖として、末端基として、あるいは側鎖と末端基として付けられていてよい。また、親水性基は、ポリシロキサン主鎖にアルキレン基などの連結基を介して付けられていてもよい。
【0045】
側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物は、本発明で用いるシリコーン消泡剤に含まれるポリシロキサン成分(ジメチルポリシロキサンと側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物)の約50質量%、もしくはそれ以上を占めることが好ましく、さらには、約60〜90質量%を占めることが好ましい。また、本発明のシリコーン消泡剤には、例えば、フェニル基などの芳香族基で変性されたポリシロキサン化合物などの各種のポリシロキサン化合物を少量成分として含んでいてもよい。
【0046】
本発明で用いるシリコーン消泡剤は、微粉末状シリカを、ジメチルポリシロキサンと側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物との合計量100質量部に対する量として1〜20質量部含むことが好ましい。
【0047】
なお、本発明で用いるシリコーン消泡剤は、たとえば、KS530、KS531、KS538(いずれも信越化学工業株式会社製)などの商品名で市販されている。
【0048】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、微細な無機フィラーを含有することが好ましい。微細な無機フィラ−としては、平均粒子径が0.001〜15μm、特に0.005〜10μmのものが好ましい。微細なフィラ−としては、例えば微粉状シリカであるアエロジル、タルク、マイカ、硫酸バリウムなどの微細無機フィラ−を好適に挙げることができる。微細な無機フィラーとしては、アエロジルとタルク、マイカ及び硫酸バリウムのうちの少なくとも一つからなる組合せ、特にアエロジルとタルクと硫酸バリウムとからなる組合せが好適に用いられる。
【0049】
微細な無機フィラーはポリイミドシロキサン溶液組成物中において、スクリーン印刷などによって塗膜を形成する時の粘度特性を良好に調整し、スズメッキ時のスズ潜り(銅箔と絶縁膜との隙間にスズが侵入する現象、銅箔がえぐれて孔蝕となることもある)を好適に抑制するために有効である。
【0050】
微細な無機フィラ−の使用量は、ポリイミドシロキサン100質量部に対して、合計で20〜150質量部、特に40〜125質量部であることが好適である。
更に、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、ブロック多価イソシアネ−トのブロック化剤を一定の温度以上で解離する解離触媒や、エポキシ基及び/又はイソシアネート基がポリイミドシロキサンの極性基を含む基との硬化反応を促進する硬化促進触媒からなる硬化触媒を含有することが好ましい。
【0051】
ブロック多価イソシアネートの解離触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレ−トなどや3級アミン類が例示できる。解離触媒の量はブロック多価イソシアネ−ト100質量部に対して0.01〜25質量部程度特に0.1〜15質量部程度が好ましい。
【0052】
また、硬化促進触媒としては、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類や3級アミン類が例示できる。硬化促進触媒の量は、ブロック多価イソシアネ−ト100質量部に対して約0.01〜25質量部、特に約0.1〜15質量部が好ましい。
【0053】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物が、エポキシ化合物とブロック多価イソシアネートとを含有する場合には、解離触媒と硬化促進触媒との両方の作用を発揮することができる3級アミンを硬化触媒として含有させることが特に好ましい。
【0054】
3級アミンとしては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBUと略記することもある。以下同様)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、2−ジメチルアミノメチルフェノール(DMP−10)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、1,4−ジメチルピペラジン、シクロヘキシルジメチルアミンなどを挙げることができる。
【0055】
特に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、ジメチルベンジルアミン、そしてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミンは、ブロックイソシアネートからブロック化剤を適当な温度において解離し、且つ、ポリイミドシロキサンとエポキシ化合物及び多価イソシアネート化合物との架橋反応を適当な速度に促進することができるので、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、エポキシ化合物とブロック多価イソシアネートの両方を含有することが好ましい。
【0056】
3級アミンの使用量は、ポリシロキサン骨格を有する化合物100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
【0057】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を構成する有機溶媒としては、ポリイミドシロキサンを調製するときの反応に使用した有機溶媒をそのまま使用することができるが、好適には、含窒素系溶媒、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなど;含硫黄原子溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなど;含酸素溶媒、例えばフェノ−ル系溶媒、例えばクレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ルなど;ジグライム系溶媒、例えばジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(ジグライム)、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(トリグライム)、テトラグライムなど;そしてアセトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テルなどを使用することができ、特にジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(ジグライム)、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(トリグライム)、テトラグライムなどのジグライム系溶媒を好適に使用することができる。
【0058】
さらに、本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物においては、有機着色顔料、無機着色顔料を所定量、例えばポリイミドシロキサン100質量部に対して、0.1〜100質量部程度使用することができる。
【0059】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、ポリイミドシロキサン、エポキシ化合物及び/又は多価イソシアネ−ト化合物などの硬化性成分、前述のシリコーン消泡剤、微細なフィラーおよび有機溶媒などの所定量を均一に、撹拌・混合することによって容易に得ることができる。有機溶媒に混合させて溶液組成物にするにあたっては、ポリイミドシロキサンの重合溶液をそのままでも、又その重合溶液を適当な有機溶媒で希釈したものを使用してもよい。有機溶媒としては、前記ポリイミドシロキサンを得る際に使用できる有機極性溶媒を挙げることができるが、沸点140℃以上で210℃以下のものを使用することが好ましい。特に沸点180℃以上、特に200℃以上である有機溶媒(例えばトリグライムなど)を使用すると、溶媒の蒸発による散逸が極めて減少するので、又その溶液組成物を使用するとスクリーン印刷などによって印刷をしやすくなる。有機溶媒は、ポリイミドシロキサン100質量部に対して通常は、60〜200質量部程度使用する。
【0060】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、特に限定するものではないが、室温(25℃)での溶液粘度が50〜10000ポイズ、特に100〜1000ポイズ、更に100〜600ポイズであることがスクリーン印刷などの作業性や溶液物性や得られる硬化絶縁膜の特性上などを考慮すると好適である。
【0061】
本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物は、フレキシブル配線基板などの基材上にスクリーン印刷などの方法で良好に塗布でき、比較的低温で加熱処理することによって硬化絶縁膜を形成することができ、且つ得られた硬化絶縁膜は基材との密着性が優れ、ソリが発生し難く、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性(スズ潜りが小さい)、耐屈曲性、電気特性が優れるのものであり、特に溶液組成物として泡抜け性(気泡の排出の容易さ)が良好(後述の測定方法で、泡抜け時間が好ましくは400秒以下、特に100秒以下)であるから、スクリーン印刷を用いた塗布などによって硬化絶縁膜を形成する際の作業性を著しく改善することができ、且つ前記溶液組成物を配線基板に塗布後、加熱処理して得られた硬化絶縁膜の周辺部で接着不良の原因になるハジキが抑制されるため(後述の測定方法でハジキ距離が好ましくは100μm以下、特に30μm以下)、異方性導電フィルム又は異方性導電ペーストに対するアウターリード部の親和性(濡れ)が維持されて、信頼性が高い電気的接合が可能となる。
【0062】
次に本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を用いる配線基板の実装方法について説明する。
【0063】
本発明の配線基板の実装方法の代表的な態様は、(1)表面に電気回路となる配線が形成された絶縁基板上に配線を部分的に覆うようにポリイミドシロキサン溶液組成物塗布膜を形成する工程、(2)該ポリイミドシロキサン溶液組成物塗布膜を加熱して硬化絶縁膜とする工程、次いで(3)硬化絶縁膜で覆われていない配線部にて異方性導電フィルム(ACF)又は異方性導電ペースト(ACP)によって電気的接合部を形成する工程を含む。本発明の実装方法においては、硬化絶縁膜を本発明のポリイミドシロキサン溶液組成物を用いて製造する点以外については、従来周知の配線基板の実装方法に基づくものである。
【0064】
図1は、インナーリード部がICチップ部品などのチップ部品に接合され、アウターリード部がACFまたはACPによって液晶装置の電極と接合されて実装が行なわれた配線基板の実施態様の一例を示す概略の断面図である。
このような配線基板の実装は、概略、次の手順によっておこなわれる。
(1)ポリイミドフィルムの絶縁基板1の表面に電気回路配線2が形成されている配線基板を準備する。必要に応じて電気回路配線2の表面はスズメッキされる。
(2)配線基板の表面の所定部分に、ポリイミドシロキサン溶液組成物をスクリーン印刷によって塗布し、得られた塗膜を50℃〜210℃にて加熱処理して、硬化絶縁膜3を形成する。この加熱処理は、通常は160℃程度の温度で行なわれるが、既にスズメッキされた場合には120℃程度の比較的低い温度で加熱処理が行なわれる。
(3)硬化絶縁膜で覆われていない配線の表面にスズメッキ層4を形成する。既にスズメッキされた場合はこの工程が省略される場合もある。
(4)チップ部品5を、硬化絶縁膜で覆われていない配線部(インナーリード部)に金バンプ6によって電気的に接合する。
(5)ポリイミドフィルムの絶縁基板1とチップ部品5との隙間にエポキシ樹脂などの硬化性樹脂からなるアンダーフィル材7を注入し、通常150℃〜160℃程度の温度で加熱処理して硬化させる。
(6)液晶パネルの基板10の電極9を、ACFまたはACP8を用いて、配線基板の硬化絶縁膜で覆われていない配線部(アウターリード部)に熱圧着して接合する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例において「泡抜け時間」は、ポリイミドシロキサン組成物をスクリーンマスク(SUS#180、乳剤厚15μm、メッシュ厚101μm)を用い、1cm×1cm枠をスキージ(硬度:70、材質:シリコーンゴム)にてポリイミドフィルム(ユーピレックス25S)上に手塗り印刷し、印刷面を10倍の光学顕微鏡にて透過光下に観察し、全ての泡が消滅するまでの時間を測定することにより調べた。測定は3回行いその平均値を泡抜け時間として記載した。泡抜け時間が短いことは、泡抜け性が良いことを意味する。
【0066】
「ハジキ」の評価では、スクリーンマスク(SUS#180、乳剤厚15μm、メッシュ厚101μm)とスキージ(硬度:70、材質:シリコーンゴム)とを用いて、銅箔(福田金属箔粉工業(株)製CF−T8の鏡面)上にポリイミドシロキサン溶液組成物を塗布し、次いで120℃(もしくは160℃)の温度で1時間加熱処理して硬化させた後、銅箔上にスズメッキし、その後150℃の温度で2時間熱処理してハジキ評価用サンプルを作製した。
ハジキの評価は、和光純薬工業(株)製のぬれ張力試験用混合液No.35.0を用い、これをスポイトにて硬化絶縁膜際から1cmの位置に0.1mL垂らし、次いで、スポイトの先でぬれ張力試験用混合液を硬化膜際に近づけて、硬化膜の際を挟んで硬化絶縁膜表面の側から銅箔表面を濡らす。そして、その後、硬化膜の際からぬれ張力試験用混合液がはじかれた銅箔表面領域の距離を測定した。はじかれた距離が大きいほどハジキの程度が大きい。
【0067】
ACF密着強度の測定は次の方法により実施した。まず、ACF密着強度測定用サンプルをハジキ評価用サンプルの作成方法と同じ方法により作成した。次いで、別の銅箔(福田金属箔粉工業(株)製CF−T8の鏡面)上にACF(ソニーケミカル(株)製FP1708E)を60℃で圧着した。次に、ACF密着強度測定用サンプルの硬化膜の隣接する位置に、ACFを圧着した銅箔のACF部を配置し、銅箔の上から190℃、10kg/cm2の圧力で10秒間圧着して、剥離試験用の積層体を得た。次いで、この積層体を90゜剥離により剥離して、剥離強度を測定した。
【0068】
水滴接触角は、次の方法により測定した。銅箔(福田金属箔粉工業(株)製CF−T8の鏡面)の表面に消泡剤を薄く塗布し、この塗布面に精製水の水滴を垂らし、その水滴接触角を水滴接触角測定装置を用いて測定した。測定は5回実施し、その平均値を水滴接触角として記載した。
【0069】
実施例と比較例で用いた材料(消泡剤以外)は次の通りである。
〔エポキシ化合物〕
(1)エピコート828:ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ樹脂、エポキシ当量:190
(2)エピコート157S70:ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ樹脂、エポキシ当量:210
〔多価イソシアネート化合物〕
B−882N:タケネートB−882N、三井武田ケミカル(株)製、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートブロック化体、ブロック化剤:メチルエチルケトオキシム
〔硬化触媒〕
2E4MZ:四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール
DBU:アルドリッチ製、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
〔無機フィラー〕
アエロジル#50:日本アエロジル(株)製、平均粒径30nm
アエロジル#130:日本アエロジル(株)製、平均粒径16nm
タルクP−3:日本タルク(株)製タルク、ミクロエースP−3、平均粒径5.1μm
硫酸バリウムB−30:堺化学工業(株)製硫酸バリウム、平均粒径0.3μm
【0070】
〔参考例1〕
ポリイミドシロキサン溶液の製造:
容量500mLのガラス製フラスコに、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物47.1g(0.16モル)、溶媒のメチルトリグライム(TG)100gを仕込み、窒素雰囲気下、180℃で加熱撹拌した。α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(アミノ当量:460)125.1g(0.136モル)、TG40gを加え、180℃で60分加熱撹拌した。さらにこの反応溶液に3,3’−カルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)6.9g(0.024モル)及びTG39gを加え、180℃で10時間加熱撹拌した後、濾過を行った。得られたポリイミドシロキサン反応溶液は、ポリマ−固形分濃度51質量%、ηinhが0.20の溶液であった。イミド化率は実質的に100%であった。
【0071】
[実施例1]
ガラス製容器に、参考例1で得たポリイミドシロキサン溶液を40.0g、エポキシ化合物のエピコート828を3.7g(ポリイミドシロキサン溶液100質量部に対して9.25質量部、以下同じ)、硬化触媒の2E4MZを0.08g(0.2質量部)、シリコーン系消泡剤のKS531(信越化学工業(株)製、自己乳化型シリコーン消泡剤、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンより多い量の側鎖にポリエチレンオキシ・プロピレンオキシ基が付いて親水性とされたポリシロキサン化合物、そして微粉末状のシリカを含有、水滴接触角:18゜)を0.9g(2.25質量部)、無機充填材のアエロジル#50を3.9g(9.75質量部)、タルクのミクロエースP−3を4.8g(12.0質量部)、そして硫酸バリウムB−30を14.5g(36.25質量部)を仕込み、25℃で2時間撹拌して均一に混合して、本発明のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)とハジキ距離(μm)の測定結果を表1に示す。
【0072】
[実施例2]
エポキシ化合物のエピコート828をエピコート157S70に変え、そして硬化触媒の2E4MZの使用量を0.25質量部(ポリイミドシロキサン溶液100質量部に対する相対量、以下同じ)に変えた以外は、実施例1と同様な操作を行ない、本発明のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0073】
[実施例3]
エポキシ化合物のエピコート157S70の使用量を1質量部(ポリイミドシロキサン溶液100質量部に対する相対量、以下同じ)に変え、多価イソシアネート化合物のB−882Nを10質量部追加し、硬化触媒として0.1質量部の2E4MZと0.4質量部のDBUを用い、無機フィラーとして、2質量部のアエロジル#50、8.25質量部のアエロジル#130、22.75質量部のミクロエースP−3、そして11.25質量部の硫酸バリウムB−30を用いた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、本発明のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)とハジキ距離(μm)の測定結果を表1に示す。
【0074】
[実施例4]
シリコーン系消泡剤のKS531をKS530(信越化学工業(株)製、自己乳化型シリコーン消泡剤、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンより多い量の側鎖にポリエチレンオキシ・プロピレンオキシ基が付いて親水性とされたポリシロキサン化合物そして微粉末状のシリカを含有、水滴接触角:13゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、本発明のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0075】
[実施例5]
シリコーン系消泡剤のKS531をKS−538(信越化学工業(株)製、自己乳化型シリコーン消泡剤、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンより多い量の側鎖にポリエチレンオキシ・プロピレンオキシ基が付いて親水性とされたポリシロキサン化合物そして微粉末状のシリカを含有、水滴接触角:17゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、本発明のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0076】
[比較例1]
シリコーン系消泡剤のKS531をDB−100(ダウ・コーニング・アジア(株)製、ジメチルポリシロキサンと微粉末状のシリカを含有、水滴接触角:66゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0077】
[比較例2]
シリコーン系消泡剤のKS531をKS510(信越化学工業(株)製、オイルコンパウンド型シリコーン消泡剤、側鎖に炭素原子数10以上のアルキル基を有するポリシロキサン化合物と微粉末状のシリカを含有、水滴接触角:94゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0078】
[比較例3]
シリコーン系消泡剤のKS531をX−50−1041(信越化学工業(株)製、エマルジョン型シリコーン消泡剤、ジメチルポリシロキサン、微粉末状のシリカそして乳化剤を含有、水滴接触角:19゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0079】
[比較例4]
シリコーン系消泡剤のKS531をKM−981(信越化学工業(株)製、エマルジョン型シリコーン消泡剤、ジメチルポリシロキサン、微粉末状のシリカそして乳化剤を含有、水滴接触角:30゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0080】
[比較例5]
シリコーン系消泡剤のKS531を金属石鹸系消泡剤のノプコNXZ(サンノプコ(株)製、脂肪酸金属塩を含有、水滴接触角:10゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0081】
[比較例6]
シリコーン系消泡剤のKS531をアクリルビニルエーテル系消泡剤のフローレンAC−326F(共栄社化学(株)製、水滴接触角:42゜)に変えた以外は、実施例2と同様な操作を行ない、比較用のポリイミドシロキサン組成物を得た。
このポリイミドシロキサン組成物の泡抜け時間(秒)、ハジキ距離(μm)そしてACF剥離強度(g/cm)の測定結果を表1に示す。
【0082】
表1
──────────────────────────────────
泡抜け時間 ハジキ距離 ACF剥離強度
──────────────────────────────────
実施例1 38秒 0μm −−
実施例2 47秒 0μm 780g/cm
実施例3 57秒 0μm −−
実施例4 37秒 0μm 740g/cm
実施例5 24秒 0μm 750g/cm
──────────────────────────────────
比較例1 25秒 500μm 740g/cm
比較例2 142秒 400μm 280g/cm
比較例3 26秒 410μm 290g/cm
比較例4 28秒 370μm 340g/cm
比較例5 >600秒 0μm 770g/cm
比較例6 >600秒 0μm 780g/cm
──────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】インナーリード部がチップ部品に接合され、アウターリード部がACF又はACPによって液晶装置の電極と接合されて実装された配線基板の概略の断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ポリイミドフィルムかなる絶縁基板
2 電気回路配線
3 硬化膜(保護膜)
4 スズメッキ
5 ICチップ部品
6 金バンプ
7 アンダーフィル
8 異方性導電フイルム又は異方性導電ペースト
9 液晶パネル基板の電極
10 液晶パネル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中に、有機溶媒可溶性ポリイミドシロキサン、エポキシ化合物および多価イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硬化性成分、そしてシリコーン消泡剤が含まれてなり、該シリコーン消泡剤が、ジメチルポリシロキサン、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物、そして微粉末状シリカを含むことを特徴とするポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項2】
有機溶剤可溶性ポリイミドシロキサン100質量部に対して、硬化性成分を1〜50質量部、そしてシリコーン消泡剤を1〜10質量部含む請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項3】
該シリコーン消泡剤が、側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物をジメチルポリシロキサンより多い量にて含むものである請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項4】
該シリコーン消泡剤が、ジメチルポリシロキサンと側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物との合計量100質量部に対して、微粉末状シリカを1〜20質量部を含む請求項2に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項5】
側鎖もしくは末端部に親水性基を有するポリシロキサン化合物の親水性基がポリオキシアルキレン基である請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項6】
ポリオキシアルキレン基が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる基である請求項5に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項7】
さらに、無機フィラーを含む請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項8】
さらに、硬化触媒を含む請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項9】
該シリコーン消泡剤が50゜以下の水滴接触角を示す請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物。
【請求項10】
表面に電気回路配線部が形成されている配線基板の表面に該電気回路配線部を部分的に被覆するように請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物を塗布して塗布膜を形成し、次いで該ポリイミドシロキサン溶液組成物塗布膜を加熱して絶縁硬化膜とすることからなる表面に絶縁硬化膜が形成された配線基板の製造方法。
【請求項11】
表面に電気回路配線部が形成されている配線基板の表面に該電気回路配線部を部分的に被覆するように請求項1に記載のポリイミドシロキサン溶液組成物を塗布して塗布膜を形成する工程、該ポリイミドシロキサン溶液組成物塗布膜を加熱して絶縁硬化膜とする工程、そして上記配線基板表面上の電気回路配線部の絶縁硬化膜で被覆されていない領域に異方性導電性材料を介して電子部品を接続することからなる電子部品の配線基板への実装方法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/080505
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510270(P2006−510270)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002749
【国際出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】