説明

ポリペプチドの結晶及び阻害薬の設計方法

【課題】 アスペルギルス・フミガトゥスのNMTを結晶化し、その結晶をX線結晶解析して三次元構造を得ることにより、アスペルギルス・フミガトゥスのNMT阻害薬をデザインするために有用な技術を提供すること。
【解決手段】 本発明によれば、アスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレース(N-myristoyltransferase)の少なくとも一部のアミノ酸配列、又は、前記アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む結晶及びその三次元構造が得られ、その三次元構造データからアスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレースに対する阻害薬を設計する方法が提供される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレース(N-myristoyltransferase)の少なくとも一部のアミノ酸配列、又は、前記アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む結晶。
【請求項2】
空間群がP2であり、単位格子定数がa=5.348〜5.632nm、b=7.597〜7.750nm、及びc=11.051〜11.380nmである請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
前記ポリペプチドと脂肪酸CoA誘導体との複合体の結晶である請求項1又は2に記載の結晶。
【請求項4】
空間群がP2であり、単位格子定数がa=5.491nm、b=7.723nm、及びc=11.372nmである請求項3に記載の結晶。
【請求項5】
蒸気拡散法により得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項6】
前記蒸気拡散法がシッティング・ドロップ蒸気拡散法、ハンギング・ドロップ蒸気拡散法、又はサンドイッチ・ドロップ蒸気拡散法である請求項5に記載の結晶。
【請求項7】
前記蒸気拡散法がシッティング・ドロップ蒸気拡散法である請求項5に記載の結晶。
【請求項8】
硫酸アンモニウムを沈殿剤として結晶化させて得られる請求項1〜7のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項9】
前記ポリペプチドと脂肪酸CoA誘導体とN−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物との複合体の結晶である請求項1又は2に記載の結晶。
【請求項10】
前記N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物が下記化合物(1)である請求項9に記載の結晶。
【化1】

【請求項11】
空間群がP2であり、単位格子定数がa=5.479nm、b=7.707nm、及びc=11.324nmである請求項9又は10に記載の結晶。
【請求項12】
前記N−ミリストイルトランスフェレースの少なくとも一部のアミノ酸配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端側から80〜110残基が欠失したアミノ酸配列である請求項1〜11のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項13】
前記N−ミリストイルトランスフェレースの少なくとも一部のアミノ酸配列が、配列番号3に示すアミノ酸配列である請求項1〜12のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項14】
前記脂肪酸CoA誘導体が、S−(2−オキソ)ペンタデシルCoAである請求項2〜13のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項15】
アスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレースに対する阻害薬をコンピュータを用いて設計する方法であって、
(a)三次元構造モデル作成手段により、前記N―ミリストイルトランスフェレースの少なくとも一部のアミノ酸配列、又は、前記アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む結晶のX線解析データから、前記ポリペプチドの三次元構造モデルを作成する工程と、
(b)三次元構造構築手段により、前記阻害薬の候補化合物の三次元構造を作成する工程と、
(c)前記ポリペプチドと前記阻害薬候補化合物との仮想の複合体の三次元構造を作成する工程であって、ドッキング手段により、前記ポリペプチドの三次元構造モデル中のTyr115、Leu448、Tyr219、及びTyr349のアミノ酸残基で囲まれた空間に、前記阻害薬候補化合物の三次元構造を配座させて、前記ポリペプチドと前記阻害薬候補化合物との仮想の複合体の三次元構造を作成する工程と、
(d)前記仮想の複合体の三次元構造において、分子間の相互作用解析手段により、前記複合体を構成する前記ポリペプチドと前記候補化合物の相互作用の強さを算出する工程と、
(e)スクリーニング手段により、前記相互作用の強さが所定の数値範囲にある阻害薬候補化合物をスクリーニングする工程と、
を含む阻害薬設計方法。
【請求項16】
アスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレースに対する阻害薬をコンピュータを用いて設計する方法であって、
(a)三次元構造モデル作成手段により、前記N―ミリストイルトランスフェレースの少なくとも一部のアミノ酸配列、又は、前記アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドとN−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物とを含む複合体の結晶のX線解析データから、前記複合体の三次元構造モデルを作成する工程と、
(b)三次元構造構築手段により、前記阻害薬の候補化合物の三次元構造を作成する工程と、
(c)前記複合体の三次元構造モデルにおいて、前記N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物の三次元構造を前記阻害薬候補化合物の三次元構造により置換して仮想の複合体の三次元構造を作成する工程であって、ドッキング手段により、前記ポリペプチドの三次元構造モデル中のTyr115、Leu448、Tyr219、及びTyr349のアミノ酸残基で囲まれた空間に配座する前記N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物を前記阻害薬候補化合物で置換して仮想の複合体の三次元構造を作成する工程と、
(d)前記仮想の複合体の三次元構造において、分子間の相互作用解析手段により、前記複合体を構成する前記ポリペプチドと前記候補化合物の相互作用の強さを算出する工程と、
(e)スクリーニング手段により、前記相互作用の強さが所定の数値範囲にある阻害薬候補化合物をスクリーニングする工程と、
を含む阻害薬設計方法。
【請求項17】
アスペルギルス・フミガトゥス由来のN−ミリストイルトランスフェレースに対する阻害薬をコンピュータを用いて設計する方法であって、
(a)三次元構造モデル作成手段により、前記N―ミリストイルトランスフェレースの少なくとも一部のアミノ酸配列、又は、前記アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドと、ミリストイルCoA又は脂肪酸CoA誘導体と、N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物との複合体の結晶のX線解析データから、前記複合体の三次元構造モデルを作成する工程と、
(b)三次元構造構築手段により、前記阻害薬の候補化合物の三次元構造を作成する工程と、
(c)前記複合体の三次元構造モデルにおいて、前記N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物の三次元構造を前記阻害薬候補化合物の三次元構造により置換して仮想の複合体の三次元構造を作成する工程であって、ドッキング手段により、前記ポリペプチドの三次元構造モデル中のTyr115、Leu448、Tyr219、及びTyr349のアミノ酸残基で囲まれた空間に配座する前記N−ミリストイルトランスフェレース阻害化合物を前記阻害薬候補化合物で置換して仮想の複合体の三次元構造を作成する工程と、
(d)前記仮想の複合体の三次元構造において、分子間の相互作用解析手段により、前記複合体を構成する前記ポリペプチドと前記候補化合物の相互作用の強さを算出する工程と、
(e)スクリーニング手段により、前記相互作用の強さが所定の数値範囲にある阻害薬候補化合物をスクリーニングする工程と、
を含む阻害薬設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−280264(P2006−280264A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104040(P2005−104040)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】