マルチパック
【課題】被包装物の視認性を高めると共に、被包装物をより安定して保持できるマルチパックを提供する。
【解決手段】天板12の対向する一対の辺にそれぞれ側板14、15を連設し、該側板14、15にそれぞれ底板16を連設してなる紙製の本体10を備え、前記天板12と前記側板14、15との境界を含む領域及び前記底板16と前記側板14、15との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部20が形成され、複数の被包装物30を包装するマルチパック1において、前記開口部20には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体40が設けられていることよりなる。
【解決手段】天板12の対向する一対の辺にそれぞれ側板14、15を連設し、該側板14、15にそれぞれ底板16を連設してなる紙製の本体10を備え、前記天板12と前記側板14、15との境界を含む領域及び前記底板16と前記側板14、15との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部20が形成され、複数の被包装物30を包装するマルチパック1において、前記開口部20には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体40が設けられていることよりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、缶、瓶等の被包装物を複数本まとめて包装する包装材料として、1枚の板紙等を折り曲げて略角筒状とし、この内部に被包装物を包み込むように包装するマルチパックが知られている。
マルチパックとしては、例えば、図7に示すマルチパック900のように、切取部922が形成された天板912と、天板912の両側に連接された一対の側板914、915と、側板914、915に連接された底板916とを備えるものが挙げられる。マルチパック900は、図8に示す平板状のブランク902を組み立てることで形成される。ブランク902は、天板912と、天板912の両側に連接された側板914、915と、側板914に連設された底板片916aと、側板915に連設された底板片916bとを備えている。ブランク902は、底板片916aと底板片916bとが重ね合わされ、底板片916aに形成された差込口924に差込片926が差し込まれることで略角筒状のマルチパック900とされ、内部に被包装物930を収容する。
このマルチパック900は、天板912と側板914との境界918を含む領域と、天板912と側板915との境界919を含む領域とに、それぞれ開口部920が形成され、この開口部920で被包装物930を保持する構造とされている。
【0003】
マルチパック900は、開口部920で被包装物を保持することで、マルチパック900から被包装物930が抜け出すのを防止しているものの、被包装物930の形状によっては、被包装物930がマルチパック900から抜け出しやすいという問題があった。
【0004】
こうした問題に対し、例えば、天板の対向する一対の辺のそれぞれの辺から隣接する両側板の辺の一部に渡って折り返し板を連設してなり、ブランクで瓶等を包み込んで集積包装する時に、予め折り返し板を内側に折り返し、折り返し板の両側板に連設した部分を折り返し保持部として瓶等を保持することを可能としたマルチパックが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−347577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マルチパックの開口部は、被包装物を保持するため、被包装物の形状により、その大きさが規制される。加えて、マルチパックは、被包装物への外部からの衝撃を緩和させるために、開口部が小さくされて、被包装物の露出を少なくする傾向にある。このため、マルチパックで包装された被包装物を外部から視認しにくいという問題がある。
例えば、エアゾール容器等、被包装物の容器に特徴がある場合、容器の特徴部分を視認できるように、マルチパックの開口部を大きくしたいという要求がある。被包装物をマルチパックの外部から十分に視認できるように、マルチパックの開口部を単に大きくすると、被包装物が抜け出しやすくなったり、マルチパックの強度が低下しやすいという問題がある。
そこで、本発明は、被包装物の視認性を高められると共に、被包装物をより安定して保持できるマルチパックを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマルチパックは、天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられていることを特徴とする。
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されていることが好ましく、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマルチパックによれば、天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられているため、被包装物の視認性を高められると共に、被包装物をより安定して保持できる。
本発明のマルチパックによれば、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているため、窓体の破損を防止できる。
本発明のマルチパックによれば、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられているため、被包装物をより安定して保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図4】本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図7】従来のマルチパックの斜視図である。
【図8】従来のマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックについて、以下に図1〜2を参照して説明する。
図1に示すように、マルチパック1は、本体10と窓体40とを備え、全体として略角筒状とされ、内部に被包装物30を収容するものである。本実施形態においては、略円柱状の被包装物30の端面が鉛直方向の上下方向となるようにし、2個の被包装物30を水平方向に1列に並べ、これをマルチパック1で包み込んでいる。
【0011】
本体10は、切取部22が形成され、被包装物30の天面を覆う天板12と、天板12の両側に連接され、被包装物30の側面を覆う一対の側板14、15と、側板14、15に連接され、被包装物30の底面を覆う底板16とを備え、2箇所に開口端が形成された略角筒状のものである。マルチパック1には、天板12と側板14との境界(第一の天板境界)18を含む領域と、天板12と側板15との境界(第二の天板境界)19を含む領域とに略矩形の開口部20が形成され、開口部20には、開口部20を塞ぐ窓体40が設けられている。略矩形とは、角部が直線や曲線で隅切された形状を含む概念である。
【0012】
被包装物30は、特に限定されず、例えば、缶入り殺虫剤、缶入り防虫剤、缶入り飲料等の缶入り製品、瓶入り飲料等の瓶入り製品等が挙げられ、容器の形態を視認することで、用法を理解できる製品、例えば、エアゾール製品、燻蒸剤製品等へ好適に適用できる。
【0013】
マルチパック1の大きさは、被包装物30の大きさや数量等に応じて適宜決定される。
開口部20の大きさは、被包装物30の形状や被包装物30に施された表示の大きさ等に応じて適宜決定できる。
【0014】
本体10は、紙類又は紙類の成形加工品である紙製の材料で構成されている。紙類は、JIS P0001で定義される「紙」の他、JIS P0001で定義される「板紙」を含む概念である。また、紙製とは、紙類、JIS Z0104で定義される「段ボール」、JIS P0001で定義される不織布の内、紙の原料となるパルプを用いたものを含む概念である。
【0015】
本体10の材質は、マルチパック1の強度等を勘案して決定でき、ライナー紙等の段ボール原紙、白板紙、色板紙等の紙器用板紙、防水原紙、紙管原紙等の雑板紙等の板紙、段ボールが好ましい。板紙、段ボールは、自立性を有し、かつ外部の衝撃から被包装物30を良好に保護できるためである。
【0016】
本体10の厚さは、本体10に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、0.3〜1.5mmとされる。
【0017】
窓体40は、開口部20を塞ぐように設けられていればよく、マルチパック1の外面に貼着されていてもよいし、マルチパック1の内面に貼着されていてもよい。
【0018】
窓体40の材質としては、透明又は半透明の樹脂製フィルムであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
【0019】
窓体40の厚さは、被包装物30の形状や窓体40に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、10〜200μmとされる。
【0020】
マルチパック1は、図2に示すブランク2を組み立てることで形成される。ブランク2は、天板12と、天板12の両側に連接された側板14、15と、側板14に連設された第一の底板片16aと、側板15に連設された第二の底板片16bとを備えるものである。ブランク2は、全体として第一の底板片16aから第二の底板片16bに向かう方向を長手とする、略矩形の平板状のものである。側板14と第一の底板片16aの境界(第一の底板境界)28には差込口24が形成され、第二の底板片16bの端部には差込片26が形成されている。第一の天板境界18、第二の天板境界19、第一の底板境界28、第二の底板片16bと側板15との境界(第二の底板境界)29は、いずれも山折線とされている。
【0021】
ブランク2は、例えば、紙製の平板を裁断して本体10を形成し、開口部20を塞ぐように、本体10に樹脂製フィルムを貼着することで製造される。
【0022】
このブランク2を組み立てて、2本の被包装物30を包装する方法の一例について説明する。
まず、並べられた2本の被包装物30の天面に、天板12が位置するようにブランク2を載置し、被包装物30を包み込むように、第一の天板境界18及び第二の天板境界19を山折にする。この際、被包装物30は、天面周縁部32の一部が天板12の幅方向にはみ出した状態とされている。
次いで、第一の底板境界28及び第二の底板境界29を山折にし、第一の底板境界28と第二の底板境界29とを被包装物30の底面で重ね合わせ、差込片26を差込口24に差し込んで、底板16(図1)を形成して、略角筒状のマルチパック1で被包装物30が包装された包装体が得られる。
マルチパック1で包装された被包装物30は、天板12と底板16とで上下方向に保持されると共に、側板14、15により幅方向に保持される。加えて、開口部20の周縁が被包装物30の天面又は側面に当接すると共に、窓体40が被包装物30の天面周縁部32及び側面に当接することで、被包装物30は、マルチパック1内で良好に保持される。
【0023】
本実施形態のマルチパックによれば、開口部に透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられているため、窓体を通して被包装物を視認できる。
加えて、開口部に窓体が設けられているため、開口部を大きくしても、窓体の張力によって、被包装物をマルチパック内に安定的に保持できる。
【0024】
従来のマルチパックは、開口部の周縁で被包装物を保持するため、開口部の角部、特に、被包装物の天面周縁部が接触する上角部(図1の符号21)が破損しやすいという問題があった。
本実施形態のマルチパックは、開口部に樹脂製フィルムからなる窓体が貼着されているため、本体における開口部周縁の強度が増大し、開口部の角部が破損されるのを防止できる。
【0025】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックについて、図3〜4を参照して説明する。なお、第一の実施形態を同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略すると共に、主に、第一の実施形態と異なる点を説明する。
【0026】
本実施形態のマルチパック100は、本体110と窓体40とを備えるものである。
本体110は、張出部114が形成された天板112と、側板14、15と、底板16とを備え、開口部20が形成されたものである。
張出部114は、天板112の幅方向外側に向かい、略円弧状に張り出すように形成されたものである。
図4に示すように、ブランク102の天板112には、開口部20の内方に向かい、略円弧状に膨出する形状の張出部114が形成されている。張出部114は、第一の天板境界18及び第二の天板境界19を山折にして、ブランク102で被包装物30を包み込んだ際に、開口部20に対して庇状となる(図3)。
【0027】
張出部114の大きさは、被包装物30の形状や大きさ等に応じて決定され、被包装物30を包装した状態で、被包装物30の天面周縁部32を覆う大きさとされる。窓体40においては、被包装物30の天面周縁部32に当接した部分に応力が集中するため、被包装物30と当接する部分で破損しやすい。張出部114が被包装物30の天面周縁部32を覆う大きさであれば、窓体40は被包装物30の天面周縁部32と当接しないため、破損しにくくなる。加えて、窓体40は、被包装物30の側面と接することで、その張力によって被包装物30がマルチパック1から抜け出すのを防止できる。
【0028】
上述の通り、本実施形態のマルチパックによれば、被包装物を安定して保持すると共に、窓体の破損を防止できる。
【0029】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一及び第二の実施形態では、1つのマルチパックで包装される被包装物が2個であったが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図5のマルチパック200のように、3個の被包装物30を水平方向に1列に並べ、これを包装するものであってもよい。
また、例えば、本発明のマルチパックは、4個以上の被包装物を1列に並べ、これを包装するものであってもよいし、2以上の被包装物を2列以上に並べ、これを包装するものであってもよい。
【0030】
第一及び第二の実施形態では、被包装物が略円柱状とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、被包装物が略角柱状であってもよいし、略円柱状又は略角柱状の胴部とこの胴部から天面に向かい漸次縮径する首部とを有する形状のものであってもよい。本発明のマルチパックは、開口部に設けられた窓体によって被包装物を保持できるため、いずれの形状の被包装物であっても安定して保持できる。
【0031】
第一及び第二の実施形態では、窓体が開口部の全体を塞ぐように設けられているが、本発明はこれに限定されず、窓体が開口部の一部のみを塞ぐものであってもよい。
例えば、図6のマルチパック300のように、本体10に形成された開口部20の天板12寄りにのみ窓体340が設けられ、窓体340の下方が開放部320とされていてもよい。被包装物30は、天面周縁部32がマルチパック300の内方に引っ張られることで、マルチパック300内に安定して保持される。このため、開口部20の天板12寄りにのみ窓体340が設けられていれば、被包装物30の天面周縁部32が窓体340で覆われ、安定して保持される。加えて、樹脂製フィルムの使用量を低減できコスト面で有利である。
また、例えば、複数の開口部の内、その一部の開口部にのみ窓体が設けられていてもよい。
【0032】
第一及び第二の実施形態では、開口部の形状が略矩形とされているが、本発明はこれに限定されず、開口部の形状が、天板側を底辺とする略三角形、三角形及び矩形以外の略多角形、真円形又は楕円形等の円形であってもよい。
【0033】
第一及び第二の実施形態では、両側板に各1個の開口部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、両側板に各2個以上の開口部が形成されていてもよいし、一方の側板に形成された開口部の数と他方の側板に形成された開口部の数とが異なっていてもよいし、一方の側板にのみ1個以上の開口部が形成されていてもよい。
【0034】
第一及び第二の実施形態では、天板境界を含む領域にのみ開口部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、底板境界を含む領域にのみ開口部が形成されていてもよいし、天板境界を含む領域と底板境界を含む領域との両方に開口部が形成されていてもよい。
底板境界を含む領域に開口部が形成されている場合、底板には、側板の外方に張り出す張出部が形成されていてもよい。
【0035】
第一及び第二の実施形態では、ブランクに形成された差込口に差込片を差し込んで、マルチパックを形成するが、本発明は、ブランクの端部同士をつなぐ構造であればよく、例えば、ブランクの第一の底板片と第二の底板片とを重ね合わせ、これを接着剤等で接着して、マルチパックを形成してもよい。
【0036】
第一及び第二の実施形態では、天板に切取部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、切取部が形成されていなくてもよいし、側板又は底板に切取部が形成されていてもよい。
【0037】
第一及び第二の実施形態では、マルチパックが略角筒状に形成され、2箇所が開口端とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、側板に連設された部材により、2箇所の開口端の一方又は双方が塞がれていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1、100、200、300 マルチパック
10、110 本体
12、112 天板
14、15 側板
16 底板
18 第一の天板境界
19 第二の天板境界
20 開口部
28 第一の底板境界
29 第二の底板境界
30 被包装物
40、340 窓体
114 張出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、缶、瓶等の被包装物を複数本まとめて包装する包装材料として、1枚の板紙等を折り曲げて略角筒状とし、この内部に被包装物を包み込むように包装するマルチパックが知られている。
マルチパックとしては、例えば、図7に示すマルチパック900のように、切取部922が形成された天板912と、天板912の両側に連接された一対の側板914、915と、側板914、915に連接された底板916とを備えるものが挙げられる。マルチパック900は、図8に示す平板状のブランク902を組み立てることで形成される。ブランク902は、天板912と、天板912の両側に連接された側板914、915と、側板914に連設された底板片916aと、側板915に連設された底板片916bとを備えている。ブランク902は、底板片916aと底板片916bとが重ね合わされ、底板片916aに形成された差込口924に差込片926が差し込まれることで略角筒状のマルチパック900とされ、内部に被包装物930を収容する。
このマルチパック900は、天板912と側板914との境界918を含む領域と、天板912と側板915との境界919を含む領域とに、それぞれ開口部920が形成され、この開口部920で被包装物930を保持する構造とされている。
【0003】
マルチパック900は、開口部920で被包装物を保持することで、マルチパック900から被包装物930が抜け出すのを防止しているものの、被包装物930の形状によっては、被包装物930がマルチパック900から抜け出しやすいという問題があった。
【0004】
こうした問題に対し、例えば、天板の対向する一対の辺のそれぞれの辺から隣接する両側板の辺の一部に渡って折り返し板を連設してなり、ブランクで瓶等を包み込んで集積包装する時に、予め折り返し板を内側に折り返し、折り返し板の両側板に連設した部分を折り返し保持部として瓶等を保持することを可能としたマルチパックが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−347577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マルチパックの開口部は、被包装物を保持するため、被包装物の形状により、その大きさが規制される。加えて、マルチパックは、被包装物への外部からの衝撃を緩和させるために、開口部が小さくされて、被包装物の露出を少なくする傾向にある。このため、マルチパックで包装された被包装物を外部から視認しにくいという問題がある。
例えば、エアゾール容器等、被包装物の容器に特徴がある場合、容器の特徴部分を視認できるように、マルチパックの開口部を大きくしたいという要求がある。被包装物をマルチパックの外部から十分に視認できるように、マルチパックの開口部を単に大きくすると、被包装物が抜け出しやすくなったり、マルチパックの強度が低下しやすいという問題がある。
そこで、本発明は、被包装物の視認性を高められると共に、被包装物をより安定して保持できるマルチパックを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマルチパックは、天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられていることを特徴とする。
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されていることが好ましく、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマルチパックによれば、天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられているため、被包装物の視認性を高められると共に、被包装物をより安定して保持できる。
本発明のマルチパックによれば、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているため、窓体の破損を防止できる。
本発明のマルチパックによれば、前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられているため、被包装物をより安定して保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図4】本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるマルチパックの斜視図である。
【図7】従来のマルチパックの斜視図である。
【図8】従来のマルチパックを形成するブランクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかるマルチパックについて、以下に図1〜2を参照して説明する。
図1に示すように、マルチパック1は、本体10と窓体40とを備え、全体として略角筒状とされ、内部に被包装物30を収容するものである。本実施形態においては、略円柱状の被包装物30の端面が鉛直方向の上下方向となるようにし、2個の被包装物30を水平方向に1列に並べ、これをマルチパック1で包み込んでいる。
【0011】
本体10は、切取部22が形成され、被包装物30の天面を覆う天板12と、天板12の両側に連接され、被包装物30の側面を覆う一対の側板14、15と、側板14、15に連接され、被包装物30の底面を覆う底板16とを備え、2箇所に開口端が形成された略角筒状のものである。マルチパック1には、天板12と側板14との境界(第一の天板境界)18を含む領域と、天板12と側板15との境界(第二の天板境界)19を含む領域とに略矩形の開口部20が形成され、開口部20には、開口部20を塞ぐ窓体40が設けられている。略矩形とは、角部が直線や曲線で隅切された形状を含む概念である。
【0012】
被包装物30は、特に限定されず、例えば、缶入り殺虫剤、缶入り防虫剤、缶入り飲料等の缶入り製品、瓶入り飲料等の瓶入り製品等が挙げられ、容器の形態を視認することで、用法を理解できる製品、例えば、エアゾール製品、燻蒸剤製品等へ好適に適用できる。
【0013】
マルチパック1の大きさは、被包装物30の大きさや数量等に応じて適宜決定される。
開口部20の大きさは、被包装物30の形状や被包装物30に施された表示の大きさ等に応じて適宜決定できる。
【0014】
本体10は、紙類又は紙類の成形加工品である紙製の材料で構成されている。紙類は、JIS P0001で定義される「紙」の他、JIS P0001で定義される「板紙」を含む概念である。また、紙製とは、紙類、JIS Z0104で定義される「段ボール」、JIS P0001で定義される不織布の内、紙の原料となるパルプを用いたものを含む概念である。
【0015】
本体10の材質は、マルチパック1の強度等を勘案して決定でき、ライナー紙等の段ボール原紙、白板紙、色板紙等の紙器用板紙、防水原紙、紙管原紙等の雑板紙等の板紙、段ボールが好ましい。板紙、段ボールは、自立性を有し、かつ外部の衝撃から被包装物30を良好に保護できるためである。
【0016】
本体10の厚さは、本体10に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、0.3〜1.5mmとされる。
【0017】
窓体40は、開口部20を塞ぐように設けられていればよく、マルチパック1の外面に貼着されていてもよいし、マルチパック1の内面に貼着されていてもよい。
【0018】
窓体40の材質としては、透明又は半透明の樹脂製フィルムであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
【0019】
窓体40の厚さは、被包装物30の形状や窓体40に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、10〜200μmとされる。
【0020】
マルチパック1は、図2に示すブランク2を組み立てることで形成される。ブランク2は、天板12と、天板12の両側に連接された側板14、15と、側板14に連設された第一の底板片16aと、側板15に連設された第二の底板片16bとを備えるものである。ブランク2は、全体として第一の底板片16aから第二の底板片16bに向かう方向を長手とする、略矩形の平板状のものである。側板14と第一の底板片16aの境界(第一の底板境界)28には差込口24が形成され、第二の底板片16bの端部には差込片26が形成されている。第一の天板境界18、第二の天板境界19、第一の底板境界28、第二の底板片16bと側板15との境界(第二の底板境界)29は、いずれも山折線とされている。
【0021】
ブランク2は、例えば、紙製の平板を裁断して本体10を形成し、開口部20を塞ぐように、本体10に樹脂製フィルムを貼着することで製造される。
【0022】
このブランク2を組み立てて、2本の被包装物30を包装する方法の一例について説明する。
まず、並べられた2本の被包装物30の天面に、天板12が位置するようにブランク2を載置し、被包装物30を包み込むように、第一の天板境界18及び第二の天板境界19を山折にする。この際、被包装物30は、天面周縁部32の一部が天板12の幅方向にはみ出した状態とされている。
次いで、第一の底板境界28及び第二の底板境界29を山折にし、第一の底板境界28と第二の底板境界29とを被包装物30の底面で重ね合わせ、差込片26を差込口24に差し込んで、底板16(図1)を形成して、略角筒状のマルチパック1で被包装物30が包装された包装体が得られる。
マルチパック1で包装された被包装物30は、天板12と底板16とで上下方向に保持されると共に、側板14、15により幅方向に保持される。加えて、開口部20の周縁が被包装物30の天面又は側面に当接すると共に、窓体40が被包装物30の天面周縁部32及び側面に当接することで、被包装物30は、マルチパック1内で良好に保持される。
【0023】
本実施形態のマルチパックによれば、開口部に透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられているため、窓体を通して被包装物を視認できる。
加えて、開口部に窓体が設けられているため、開口部を大きくしても、窓体の張力によって、被包装物をマルチパック内に安定的に保持できる。
【0024】
従来のマルチパックは、開口部の周縁で被包装物を保持するため、開口部の角部、特に、被包装物の天面周縁部が接触する上角部(図1の符号21)が破損しやすいという問題があった。
本実施形態のマルチパックは、開口部に樹脂製フィルムからなる窓体が貼着されているため、本体における開口部周縁の強度が増大し、開口部の角部が破損されるのを防止できる。
【0025】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかるマルチパックについて、図3〜4を参照して説明する。なお、第一の実施形態を同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略すると共に、主に、第一の実施形態と異なる点を説明する。
【0026】
本実施形態のマルチパック100は、本体110と窓体40とを備えるものである。
本体110は、張出部114が形成された天板112と、側板14、15と、底板16とを備え、開口部20が形成されたものである。
張出部114は、天板112の幅方向外側に向かい、略円弧状に張り出すように形成されたものである。
図4に示すように、ブランク102の天板112には、開口部20の内方に向かい、略円弧状に膨出する形状の張出部114が形成されている。張出部114は、第一の天板境界18及び第二の天板境界19を山折にして、ブランク102で被包装物30を包み込んだ際に、開口部20に対して庇状となる(図3)。
【0027】
張出部114の大きさは、被包装物30の形状や大きさ等に応じて決定され、被包装物30を包装した状態で、被包装物30の天面周縁部32を覆う大きさとされる。窓体40においては、被包装物30の天面周縁部32に当接した部分に応力が集中するため、被包装物30と当接する部分で破損しやすい。張出部114が被包装物30の天面周縁部32を覆う大きさであれば、窓体40は被包装物30の天面周縁部32と当接しないため、破損しにくくなる。加えて、窓体40は、被包装物30の側面と接することで、その張力によって被包装物30がマルチパック1から抜け出すのを防止できる。
【0028】
上述の通り、本実施形態のマルチパックによれば、被包装物を安定して保持すると共に、窓体の破損を防止できる。
【0029】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一及び第二の実施形態では、1つのマルチパックで包装される被包装物が2個であったが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図5のマルチパック200のように、3個の被包装物30を水平方向に1列に並べ、これを包装するものであってもよい。
また、例えば、本発明のマルチパックは、4個以上の被包装物を1列に並べ、これを包装するものであってもよいし、2以上の被包装物を2列以上に並べ、これを包装するものであってもよい。
【0030】
第一及び第二の実施形態では、被包装物が略円柱状とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、被包装物が略角柱状であってもよいし、略円柱状又は略角柱状の胴部とこの胴部から天面に向かい漸次縮径する首部とを有する形状のものであってもよい。本発明のマルチパックは、開口部に設けられた窓体によって被包装物を保持できるため、いずれの形状の被包装物であっても安定して保持できる。
【0031】
第一及び第二の実施形態では、窓体が開口部の全体を塞ぐように設けられているが、本発明はこれに限定されず、窓体が開口部の一部のみを塞ぐものであってもよい。
例えば、図6のマルチパック300のように、本体10に形成された開口部20の天板12寄りにのみ窓体340が設けられ、窓体340の下方が開放部320とされていてもよい。被包装物30は、天面周縁部32がマルチパック300の内方に引っ張られることで、マルチパック300内に安定して保持される。このため、開口部20の天板12寄りにのみ窓体340が設けられていれば、被包装物30の天面周縁部32が窓体340で覆われ、安定して保持される。加えて、樹脂製フィルムの使用量を低減できコスト面で有利である。
また、例えば、複数の開口部の内、その一部の開口部にのみ窓体が設けられていてもよい。
【0032】
第一及び第二の実施形態では、開口部の形状が略矩形とされているが、本発明はこれに限定されず、開口部の形状が、天板側を底辺とする略三角形、三角形及び矩形以外の略多角形、真円形又は楕円形等の円形であってもよい。
【0033】
第一及び第二の実施形態では、両側板に各1個の開口部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、両側板に各2個以上の開口部が形成されていてもよいし、一方の側板に形成された開口部の数と他方の側板に形成された開口部の数とが異なっていてもよいし、一方の側板にのみ1個以上の開口部が形成されていてもよい。
【0034】
第一及び第二の実施形態では、天板境界を含む領域にのみ開口部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、底板境界を含む領域にのみ開口部が形成されていてもよいし、天板境界を含む領域と底板境界を含む領域との両方に開口部が形成されていてもよい。
底板境界を含む領域に開口部が形成されている場合、底板には、側板の外方に張り出す張出部が形成されていてもよい。
【0035】
第一及び第二の実施形態では、ブランクに形成された差込口に差込片を差し込んで、マルチパックを形成するが、本発明は、ブランクの端部同士をつなぐ構造であればよく、例えば、ブランクの第一の底板片と第二の底板片とを重ね合わせ、これを接着剤等で接着して、マルチパックを形成してもよい。
【0036】
第一及び第二の実施形態では、天板に切取部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、切取部が形成されていなくてもよいし、側板又は底板に切取部が形成されていてもよい。
【0037】
第一及び第二の実施形態では、マルチパックが略角筒状に形成され、2箇所が開口端とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、側板に連設された部材により、2箇所の開口端の一方又は双方が塞がれていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1、100、200、300 マルチパック
10、110 本体
12、112 天板
14、15 側板
16 底板
18 第一の天板境界
19 第二の天板境界
20 開口部
28 第一の底板境界
29 第二の底板境界
30 被包装物
40、340 窓体
114 張出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、
前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられていることを特徴とするマルチパック。
【請求項2】
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【請求項3】
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、
前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【請求項1】
天板の対向する一対の辺にそれぞれ側板を連設し、該側板にそれぞれ底板を連設してなる紙製の本体を備え、前記天板と前記側板との境界を含む領域及び前記底板と前記側板との境界を含む領域の双方又はいずれか一方に開口部が形成され、複数の被包装物を包装するマルチパックにおいて、
前記開口部には、少なくとも一部を塞ぐ、透明又は半透明の樹脂製フィルムからなる窓体が設けられていることを特徴とするマルチパック。
【請求項2】
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記天板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されているか、又は、前記開口部は、前記底板と前記側板との境界を含む領域に形成され、前記底板には、前記側板の外方に張り出した張出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【請求項3】
前記開口部は、前記天板と前記側板との境界を含む領域に形成され、
前記窓体は、前記被包装物の天面周縁部を覆う領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−86868(P2013−86868A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231803(P2011−231803)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
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