ミクロ孔質ポリマーを含む有機化学センサー、及び使用方法
出願人らは、第1電極及び第2電極、並びに第1及び第2電極に少なくとも近接するミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む、有機化学検体を感知するための感知素子を開示する。検体応答性誘電体材料は、固有ミクロ孔質のポリマーであり得る。キャパシタンスなどの、感知素子の電気的特性が、有機化学検体を感知するために監視され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化学検体、特に有機化学検体を検出する能力は、環境監視などを含む多くの用途において重要である。このような有機分子の検出及び/又は監視は、例えば、レスピレータなどのパーソナル保護具のために所望される、いわゆるサポート終了日表示器に特定の用途を見出し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、光学的、重力測定、微小電気機械など、化学検体の検出のための多くの方法が開発されてきた。特に、キャパシタンス、インピーダンス、レジスタンスなどの、電気特性を監視するセンサーが開発されてきた。多くの場合、このようなセンサーは、材料上への検体の吸着、又は材料中への検体の吸収の際に生じる、材料の電気的特性の変化に依存する。
【0003】
例えば、特許文献1(スノー(Snow)ら)は、下部電極、下部電極上の誘電体、誘電体上のナノ電極のグリッド、及びグリッドと電気的に接触する上部電極を有する検知装置を開示する。ナノ電極は、カーボンナノチューブの網状組織であり得る。このような構成は、化学検体の存在下における、キャパシタンスの変化を呈することのできるものとして、スノー(Snow)らにより記載される。
【0004】
特許文献2(パテル(Patel)ら)は、化学感知材料中の検体を吸着又は吸収し、それによって電気的特性(例えば、キャパシタンス、レジスタンスなど)が、化学感知材料によってコーティングされる感知電極対と関連する回路によって検出可能であるような方法で変化することにより、様々な標的検体を検出することができるものとして記載される装置を開示する。
【0005】
特許文献3(ステッター(Stetter)及びマクレー(Maclay))は、選択される化学物質の蒸気に曝露された際に、そのインピーダンスが変化するセンサーを開示する。センサーは、蒸気によってその物理的構造が変化する(例えば、膨張又は分解によって)ポリマーを含む。センサーは更に、ポリマーが組み込まれている、導電性要素を含む。変化は、インピーダンス測定回路によって測定することができる。
【0006】
特許文献4(シトラー(Sittler))は、有機液体、気体、又は蒸気の存在下で膨張する材料を含むセンサーを開示する。材料は支持表面に適用され、それによって、膨張の際に、支持が変位して2つのコンデンサプレート間の距離を変化させ、これによってプレート間の静電容量を変化させる。
【0007】
特許文献5(プログ(Plog)及びMaunz)は、容量型素子、及び誘電体としての通気性感応層を有する、炭化水素の選択的検出のための気体センサーを開示する。感応層は、その直径が検出される気体分子の気体運動論的直径と類似した主要微細孔から作製される規則的な結晶構造を有する、貴金属をドープしたゼオライトである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0249402号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0237310号公報
【特許文献3】米国特許第5,512,882号明細書
【特許文献4】米国特許第5,482,678号明細書
【特許文献5】米国特許第5,965,451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
出願人は、例えば、周囲雰囲気などの環境における有機化学検体を検出及び監視するために好適な感知素子を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような感知素子は、第1及び第2電極の近位にある検体応答性誘電体材料を含む。これに関連して、検体応答性誘電体材料とは、有機化学検体を吸収することができ、有機検体を材料中に吸収した際に電気的特性の測定可能な変化を呈し得る材料を意味する。一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、検体を吸収した際に誘電率の変化を呈し、その結果、感知素子のキャパシタンスにおける変化が観察され得る。
【0011】
一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、固有ミクロ孔質のポリマーである。このような材料は、低濃度の有機検体に対する高い応答性、有機検体に対する迅速な反応、及び水に対する低い応答性という点において、利点を提供し得る。理論又は機構によって制限されることなく、出願人が検体応答性誘電体材料として固有ミクロ孔質のポリマーの用途に見出した性能は、疎水性、最適な値の多孔率、最適な孔径範囲を包含するミクロ孔質間隙体積、検体応答性誘電体層を形成するために溶液からキャスティングされる固有ミクロ孔質のポリマーの能力という、いくつかの特性のいずれか、又は全てによる場合があると、出願人は考える。
【0012】
様々な実施形態において、固有ミクロ孔質のポリマーは、非常に剛性があるポリマーとなり、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的な特徴が存在するポリマーを提供する、モノマーのいずれかの組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、このような材料は、剛性リンカーによって連結される、第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1のほぼ平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0013】
一態様において、本明細書は、有機化学検体を感知するための感知素子であって、第1電極及び第2電極と、第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料であって、固有ミクロ孔質のポリマーであるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料と、を含む、有機化学検体を感知するための感知素子とを開示する。一実施形態では、電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である。更なる実施形態では、透過性電極は非連続的である。追加の実施形態では、透過性電極はパターンを有する。様々な実施形態において、感知素子は、電極の少なくとも一方に近接する支持層、及び/又はカバー層を含むことができる。様々な実施形態において、感知素子は、平行プレートコンデンサ構成、又は交互配置コンデンサ構成を含むことができる。
【0014】
別の態様において、本明細書は、有機化学検体を感知するためのセンサーであって、第1電極及び第2電極と、第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料が固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、検体応答性誘電体材料と、第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路であって、第1及び第2電極に電圧を印加することができ、感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、を含む、センサーを開示する。
【0015】
更に別の態様において、本明細書は、有機化学検体を感知する方法であって、第1電極及び第2電極、並びに第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料含む感知素子であって、ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料が固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子、並びに第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路であって、第1及び第2電極に電圧を印加することができ、感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路を含む、センサーを提供する工程と、感知素子を1つ以上の有機化学検体を潜在的に含む環境に曝露する工程と、第1及び第2電極に電圧を印加する工程と、感知素子の電気的特性を監視する工程と、を含む、方法を開示する。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記の要約は、決して、請求された主題に関する限定として解釈されるべきではなく、主題は、手続処理の間に補正することができるような付属の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】平行プレート構成における、代表的な感知素子の側面図。
【図2】交互配置構成における代表的な感知素子の平面図。
【図2a】図2の「2a」と印を付けられた線に沿って取られた、図2の代表的な感知素子の断面図。
【図3】交互配置構成における代表的な感知要素の斜視図。
【図4】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図5】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図6】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図7】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図8】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図9】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図10】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図11】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図12】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図13】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図14】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図15】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図16】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。 様々な図面において、類似参照記号は類似要素を表す。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係が、図面から推測されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「最上部」、「底部」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、並びに「第1」及び「第2」などの用語が本開示中で使用され得るが、これらの用語は相対的な意味においてのみ使用されることを理解すべきである。
【0019】
感知素子
図1、図2に関連して、本明細書では、少なくとも、第1電極20/120及び第2電極30/130に近接する検体応答性誘電体層10/110を含む感知素子1/101が開示される。これらの構成要素並びにその特徴及び特性、加えて他の任意の構成要素並びにその特徴及び特性が同じく説明される。これらの説明は、平行プレートコンデンサの一般的な構成に基づく代表的な感知素子を表す図1、並びに交互配置コンデンサの一般的な構成に基づく代表的な感知素子を表す図2、図2a、及び図3の双方を参照する。明確にするため、様々な構成要素が、異なる一般的な構成を表す図中において、異なる参照番号(一般的に、100ずつ増える)を付された。しかしながら、特に指定されない限り、様々な構成要素の構造、組成、及び特性が、任意の容量設計の感知素子に適用可能であり得ることが離解されるべきである。
【0020】
感知素子1/101は、検体応答性誘導体層10/110が第1電極20/120及び第2電極30/130と十分に近接し、それによって層中に含まれる検体応答性誘導体材料が、電極によって形成される電界と相互作用することができるように構成される。感知素子1/101の動作中、検体応答性絶縁体層10/110は、1つ以上の検体を吸収した際に電気的特性の変化を呈する。一実施形態において、電気的特性は、キャパシタンス、又は以下に記載されるキャパシタンスに関連する特性である。このような、キャパシタンスに関連する特性の変化は、第1電極20/120及び第2電極30/130の間に電荷の差を付与し(例えば、電極に電圧差を付与することによって)、検体の存在に反応する感知素子の特性を監視することによって測定することができる。本明細書において後に記載されるように、このような監視は、動作回路28/128の使用によって行うことができる。
【0021】
用語「キャパシタンス」及び「キャパシタンスに関連する特性」とは、あらゆる電気的特性及びその測定値を包含し、これは電荷の付与(一定であっても時間的に変化しても)並びに電荷の付与中、及び/又は付与後の電気的特性の監視と一般的に関連する。このような特性は、キャパシタンスだけではなく、インピーダンス、アドミタンス、抵抗、コンダクタンスなどをも含み、当該技術分野において既知の様々な方法で測定され得る。
【0022】
検体応答性誘電体層
検体応答性誘電体層10/110(用語「層」は、一般的に使用され、あらゆる物理的構成を包含する)は、検体応答性誘電体材料を少なくとも部分的に含む。これに関連して、「検体応答性誘電体材料」とは、有機化学検体を吸収することができ、有機検体を材料中に吸収した際に材料の一定の電気的特性の測定可能な変化を呈し得る材料を意味する。
【0023】
固有ミクロ孔質のポリマー
一実施形態では、検体応答性絶縁体材料は、いわゆる「固有ミクロ孔質のポリマー」(以降、PIMsと称される)を含む材料の一群から選択される。このようなポリマーには、バド(Budd)らの「固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)、剛性がある、溶液処理可能な有機ミクロ孔質材料(Polymers of intrinsic microporosity(PIMs): robust, solution-processable, organic microporous materials)」Chem.Commun.、2004年、230〜231頁)、マコーエン(McKeown)ら(Chem.Eur.J.、2005年、第11巻、第9号、2610〜2620頁)、米国特許出願公開第2006/0246273号(マコーエン(McKeown)ら)及び国際公開第2005/012397(A2)号(マコーエン(McKeown)ら)に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
PIMsは、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的特徴が存在する、非常に剛性があるポリマーとなるモノマーの任意の組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、PIMsは、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含む場合があり、この剛性リンカーは、剛体リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。更なる実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0025】
このような剛性があるねじれた構造を有するポリマーでは、ポリマー鎖が互いに有効に密集することができず、したがってポリマーは、固有のミクロ孔質を有する。したがって、PIMsは、材料の熱履歴に顕著に依存することのない、ミクロ孔質を備えることの利益を有する。PIMsはしたがって、大量に再生可能に製造可能であるという点で、及び老朽化、及び貯蔵寿命などによって変化する特性を呈さないという点で、利益を提供することがある。
【0026】
これに関連して、用語「ミクロ孔質の」及び「ミクロ孔質」は、材料が有意な規模の、内部の相互接続された間隙体積を有し、平均孔径(例えば、吸着等温線手段によって特徴付けられる)は、約100nm未満である。このようなミクロ孔質により、有機検体の分子(存在する場合)が、材料の内部間隙体積に浸透し、内部細孔中に定着することが可能となる。内部細孔中のこのような検体の存在は、材料の誘電特性を変化させることができ、それによって誘電率(又は他の任意の好適な電気的特性)の変化が観察され得る。理論又は機構によって制限されることなく、出願人は、ミクロ孔質誘電体材料に依存する開示される感知素子1/101は、誘電体材料の電気的特性の測定可能な変化が細孔中の検体分子の存在によって生じ得るという点において、有機検体の感知に関する有利な特性を有することがあるものと考える。したがって、検体分子が、増大及び/又は膨張などの、ポリマー材料の特性の変化(ただし、このような現象もまた生じることがあり、やはり測定可能な電気的反応に寄与することがある)を生じるために十分な程度、ポリマー材料自体の中で可溶化されることを必要とせずに、検体を検出することが可能であり得る。このような検体応答性誘電体材料のミクロ孔質特性は、誘電体材料の、少量の有機検体への高い応答性に寄与することがある。
【0027】
様々な実施形態において、PIMは、少なくとも約10%、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%の多孔率を含む(例えば、フロリダ州、ボーイトン・ビーチ(Boynton Beach)のカンタクロム・インストラメンツ(Quantachrome Instruments)からの商標名オートソーブ(Autosorb)で入手可能な器具を使用するものなどの、吸着等温曲線技術によって特徴付けられる)。このような多孔質は、低濃度の有機化学検体に対する良好な反応を提供することができる。しかしながら、材料は、第1電極20/120と、第2電極30/130との間の短絡又はアーク放電の回避が困難であるような、高い間隙体積を有するべきではない。したがって、様々な実施形態において、材料は最高でも約90%、最高でも約60%、又は最高でも約40%の多孔率を含む。
【0028】
また、理論又は機構に制限されることなく、内部細孔の寸法及び分布は、細孔の少なくともいくつかの、有機検体分子の少なくともいくつかが、別の方法で存在するよりも(例えば、これらが、検体が監視される環境における場合よりも)高密度の状態(例えば、擬似液体状態)を形成することができるようなものであり得る。これは、監視される環境中に存在するよりも、より多数で、及び/又はより高密度で、内部細孔中に収集される検体分子を生じ得るか、又は代わりに、この状態の検体分子は、低密度の蒸気又は気体状態におけるよりも高い誘電率(比誘電率)を呈し得る。したがって、適切に選択される寸法及び分布の細孔を有する、ミクロ孔質検体応答性誘電体材料に基づく感知素子は、少量の有機検体に対して優れた感度を呈し得る。様々な実施形態において、PIMは、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の平均孔径を含む。様々な実施形態において、PIMは、約0.3nm超、約0.5nm超、又は約1.0nm超の平均孔径を含む。
【0029】
一実施形態では、PIMは疎水性材料(例えば、疎水性有機高分子材料)であり、これは材料が著しく増大するか、ないしは別の方法で物理的特性の顕著な変化を呈する程度まで液体水を吸収することがない。このような疎水性特性は、水の存在に対する感度が比較的低い有機検体感知素子を提供するために有用である。しかしながら、材料は特定の目的のために、比較的極性の部分を含み得る。
【0030】
一実施形態では、PIMは連続的なマトリックスを含む。このようなマトリックスは、材料の固体部分が連続的に相互接続されているアセンブリ(例えば、コーティング、層など)として定義される(上記の多孔質の存在、又は下記の任意の添加物の存在とは拘わりなく)。即ち、連続的なマトリックスは、粒子の凝集(例えば、ゼオライト、活性炭、カーボンナノチューブなど)を含むアセンブリから区別可能である。例えば、溶液から堆積される層、又はコーティングは、典型的には連続的なマトリックスを含む(コーティング自体がパターンを有する方法で塗布されるか、及び/又は粒子状の添加物を含むとしても)。粉末の噴霧、分散体(例えば、ラテックス)のコーティング及び乾燥、又はゾル−ゲル混合物のコーティング及び乾燥によって堆積された粒子の集合は、出願人によって定義される連続的な網状組織を含まないことがある。しかしながら、このようなラテックス、ゾル−ゲルなどの層が、個別の粒子がもはや認識不可能であるか、又は異なる粒子から得られたアセンブリの領域を認識することが不可能であるように固化され得る場合、このような層は出願人の連続的マトリックスの定義に合致することがある。
【0031】
いくつかの実施形態では、PIMsは、一般的な有機溶媒中に可溶であり、したがってコーティングなどの従来の堆積プロセスに適する。
【0032】
特定の実施形態では、PIM材料が堆積される(例えば、コーティングされる)か、ないしは別の方法で検体応答性誘電体層を含むように形成された後、材料は、好適な架橋剤、例えば、ビス(ベンゾニトリル)二塩化パラジウム(II)などの好適な架橋剤を使用して架橋され得る。このプロセスは、検体応答性誘電体層を有機溶媒中で不溶性にするか、及び/又は耐久性、摩擦耐性などのいくつかの物理的特性を向上することがあり、これはいくつかの用途において望ましい場合がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、PIMsは、他の材料とブレンドされてもよい。例えば、PIMは、それ自体が検体応答性誘導体材料ではない材料とブレンドされてもよい。検体反応に寄与しないものの、このような材料は他の理由のために有用であり得る。例えば、このような材料は、優れた機械特性などを有する、PIM含有層の形成を可能にすることがある。一実施形態では、PIMsは、他の材料と共に一般的な溶媒に溶解して、均質な溶液を形成してもよく、これは、キャスティングされて、PIM及び他のポリマー(1つ又は複数)の双方を含む検体応答性誘導体ブレンド層を形成してもよい。PIMsはまた、検体応答性誘電体材料である材料(例えば、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、超架橋ポリマーネットワークなど)とブレンドされてもよい。このような材料は、PIMs材料を含む溶液中に懸濁された不溶性材料を含み得る。このような溶液/懸濁液のコーティング及び乾燥は、PIM材料と追加的な検体応答性誘導体材料の双方を含む、複合検体応答性誘導体層をもたらすことがある。
【0034】
様々な実施形態において、検体応答性誘電体材料でない材料の追加の層(1つ又は複数)が、検体応答性誘電体層の近位に提供されてもよい。このような層(1つ又は複数)は、例えば、保護層として、接着剤を向上するための結合層としてなど、様々な理由のいずれかのために提供されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、検体応答性誘電体材料の複数の個別の層が使用され得る。例えば、PIM材料の複数の層が使用され得る。あるいは、PIM材料の層に加えて、一定の他の検体応答性誘電体材料の1つ以上の層が使用され得る。検体応答性誘電体材料の様々な層が、互いに直接接する場合があり、又はこれらは、一定の他の目的のために存在する層(1つ又は複数)(例えば、本明細書において記載されるように、不動態層、結合層など)によって隔離される場合がある。
【0036】
電極
図1及び図2に関連し、第1電極20/120及び第2電極30/130は、任意の好適な導電性材料を含むことができる。十分な全体導電性がもたらされる限り(例えば、電極材料は約10−2オーム/メートルの一定抵抗率を含む)、異なる材料(導電性、及び/又は非導電性)の組み合わせが、異なる層又は混合物として使用され得る。第1電極及び/又は第2電極を作製するために使用され得る材料の例としては、有機材料、無機材料、金属、合金、及び様々な混合物、並びにこれらの材料のいずれか、又は全てを含む複合材料が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、コーティング(例えば、蒸気コーティング、スパッタコーティングなど)された金属、若しくは酸化金属、又はこれらの組み合わせが使用され得る。好適な導電性金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、酸化インジウムスズ、金、銀、プラチナ、パラジウム、銅などが挙げられる。一実施形態では、両方の電極が同じ金属を含み、別の実施形態では、第1及び第2電極が異なる材料を含む。
【0037】
様々な実施形態において、電極のいずれか、又は両方が有機検体に対して透過性であり得る。このような電極の透過性は、図1に図示される平行プレートコンデンサの一般的な様式で構成される感知素子の場合に特に有用であり得る。このような場合、第2電極30が透過性であると、有機検体は、縁部15を経由して(これは、より遅いプロセスであり得る)検体応答性誘電体層10に入らなくてはならないわけではなく、主表面13を通って検体応答性誘電体層10に入ることができる。同様に、第1電極20が透過性である場合、有機検体は主表面11を通って検体応答性誘電体層10に入ることができる場合がある(しかしながら、支持体40が検体に対して透過性でない場合、第1電極20を透過性構成で提供することは有益でないことがある)。
【0038】
様々な実施形態において、電極は非連続的であることによって検体透過性であることができる。これに関連して、用語非連続的とは、電極が互いに電気的に接触しないユニット(スポット、アイランドなど)を含むことを意味しない。むしろ、非連続的とは、電極の全体的な境界の内部において、いくつかの領域が導電性の材料を含まないことを意味する。このような非連続的な電極は微視的に非連続的であり得る。例えば、電極は、導電性材料の粒子(例えば、ナノ粒子)を含むゾルの堆積(例えば、コーティング、インクジェット印刷などによる)によって形成され得る。このような場合、電極は、電極が導電性であることを確実にするために、十分に接触する導電性粒子を含むが、電極を有機検体に対して透過性とするために粒子間に十分な空間を有する。他の実施形態では、電極は巨視的に非連続的な構造を含み得る。例えば、導電性材料が蒸気コーティングされた金属(これは典型的には不透過性である)を含む場合、導電性金属は、連続的な層としてではなく、あるパターン(例えば、格子パターンで、又は実施例1に開示される「櫛形」パターンで)で堆積され得る。
【0039】
図1及び図2を参照すると、第1電極20/120の電気的にアクセス可能な領域25/125、及び第2電極30/130の電気的にアクセス可能な領域35/135が提供され、それにより、これらの領域を通じて動作回路28/128を感知素子に接続することが可能である。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。例えば、このような電気的にアクセス可能な領域は、図1及び図2の代表的な図の電極の縁部に図示され、図3の代表的な図の電極の主表面(123及び133)に図示される。一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、又はタブ)22/122が、第1電極20のアクセス可能な領域と接触するように(例えば、取り付けられる)位置付けられ、それによって感知素子1/101と動作回路28/128との間に電気的接触をつくることができる(例えば、ワイヤー24/124を取り付けることによって)。同様な接続装置32/132を、第2電極30のアクセス可能な領域と接触させるように、同様に位置付けることができる。
【0040】
代表的な感知素子と、平行プレート構成を作製する方法
一実施形態では、図1の断面図の代表的な方法に示される、平行プレートコンデンサの一般的な方法で構成される、感知素子1が製造され得る。このような構成では、感知素子は2つのほぼ平面的な、平行な、対向する電極を含み、検体応答性誘電体層が電極の間に存在して、2つの電極の間の直接的な電気的接触を防ぐ。
【0041】
このような感知素子を作製するための代表的なプロセスでは、支持体40(これは材料の連続的なスラブ、層、又はフィルムであり得る)が提供され、これは、電極の少なくとも一方の近位にあり、完成した感知素子に物理的強度、及び一体性を提供するように機能し得る。ガラス、セラミック、プラスチックなどを含む、任意の好適な材料が使用されてもよい。大規模生産では、ポリマーフィルム(ポリエステルなど)が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、支持体は検体透過性材料(例えば、シリコーンゴム、ミクロ孔質膜など)である。
【0042】
一実施形態では、第1電極20として機能する導電性層が支持体40上に提供される。導電性層は、導電性及び非導電性材料のブレンド又は混合物を含む、上記の材料のいずれかを含んでもよく、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、トランスファーコーティング、スパッタコーティング、物理蒸着、化学蒸着、又はこれらの方法の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な方法によって堆積され得る。別の実施形態では、導電性層は、支持体40の上に予め作製されたフィルム(例えば、金属フォイル、導電性テープなど)を配置することによって提供され得る。この第1電極20は、既述のように、連続的な層又は非連続的な層として提供され得る。
【0043】
一実施形態では、電極20の第1表面21が、支持体40の第1表面41の少なくとも一部の近位にあるように、及び/又はこれに接触するように、導電性層が提供される。別の実施形態では、電極20の第1表面21の少なくとも一部と、支持体40の第1表面41との間に任意の層が存在する。このような任意の層は、この層が感知素子1の機能に干渉しない限りにおいて、任意の目的(第1電極20と支持体40との間の結合の向上など)で使用され得る。
【0044】
感知素子1の製造において、検体応答性誘電体層10がまた提供される。一実施形態では、検体応答性誘電体層10は、層10の第1主表面11が、第1電極20の第2表面23の少なくとも一部と直接接触するように(動作回路への接続のために、第1電極20の少なくとも一部をアクセス可能なままにしておく)、提供される。
【0045】
一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、例えば、溶媒コーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷などが挙げられるが、これらに限定されないコーティングプロセスによって、第1電極の近位に配置される。ある実施形態では、誘電体材料は、感知素子の性能を損なうように作用し得る、欠陥、ピンホールなどの存在を極小化するような方法で堆積される。特定の実施形態では、検体応答性誘電体層は、PIM材料の溶液を好適な基材上にコーティングし、溶液を乾燥させてPIM材料を含む固体層を形成することによって堆積される、固有ミクロ孔質のポリマーを含む。
【0046】
検体応答性誘電体層10はまた、他の方法でも提供され得る。例えば、検体応答性誘電体材料の予備形成されたフィルムが、第1電極の第2表面上に配置され得る。別の実施形態では、検体応答性誘電体材料は、特定の形態(例えば、粉末として、懸濁液として、又はゾルとして)で提供され、このような形態で第1電極上に堆積されて粒子状コーティングを形成することができる。必要であれば、このような材料は、検体応答性誘電体材料の連続的なマトリックスを形成するように固化され得る。
【0047】
様々な実施形態において、第2電極30は、第2導電性層を、検体応答性誘電体層10の近位に配置することによって形成され得る。第2電極30は上記の導電性材料を含んでもよく、上記の方法に従って堆積されてもよい。ある実施形態では、(特に、支持体40が検体に対して不透過性である場合)、第2電極は、有機検体に対して透過性となるように、非連続的な構造(やはり前記のように)を含んでもよい。
【0048】
図1に関連し、任意の保護カバー、又は障壁50が、電極の少なくとも一方の近位に提供され得る。一実施形態では、カバー層50を、第2電極30の上に配置することができる(第2電極30の一領域を電気的接触のために、アクセス可能なままにしておく)。任意のこのようなカバー層50は、感知素子1の機能に有意に干渉するべきではない。例えば、感知素子が、対象の検体が検体応答性誘電体層10に到達するためにカバー層50を通過しなくてはならないように構成される場合、カバー層は検体に対して十分に透過性であるべきである。
【0049】
カバー層50は、コーティング(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒コーティング、蒸気コーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷など)を含む、当該技術分野において既知の任意の方法で堆積されてもよい。別の実施形態では、カバー層50は第2電極30上に配置される、予め作製された層(例えば、フィルム、又はテープ)を含み得る。一実施形態では、カバー層50は、カバー層50の第1表面51が、第2電極30の第2表面33の少なくとも一部と直接接触するように提供される。カバー層の第2表面は、感知素子の最も外側の表面であってもよく、あるいは必要であれば、それ自体が追加のコーティング又は層を受けてもよい。
【0050】
一実施形態では、第1電極20の第2表面23と、検体応答性誘電体層10の第1主表面11は直接接触し、その間に介在する層(1つ又は複数)は存在しない。同様に一実施形態では、第2電極30の第1表面31と、検体応答性誘電体層10の第2主表面13が、直接接触し、その間に介在する層(1つ又は複数)は存在しない。このような実施形態が図1に図示される。しかしながら、他の任意の層が、第1電極20と検体応答性誘電体層10との間、及び/又は第2電極30と検体応答性誘電体層10との間に存在し得ることもまた考察される。このような場合、電極のいずれか、又は両方が検体応答性誘電体材料のいくらか、又は全てと直接接していなくてもよい。例えば、電極と検体応答性誘電体層との間の結合を向上するために、結合層(1つ又は複数)が使用されてもよい。又は、電極間のアーク放電の可能性を極小化するために、不動態層(1つ又は複数)(例えば、二酸化ケイ素の層)が、検体応答性誘電体層の表面と電極表面との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のこのような任意の層が使用され得る、あるいは、単一の層が複数の機能を果たし得る。いずれかのこのような任意の層(1つ又は複数)、例えば、上記の結合層、不動態層、保護層、カバー層などが、これらが感知素子の望ましい機能に有意に干渉しない限りにおいて、あらゆる目的のために使用され得る。例えば、感知素子が、検体が検体応答性誘電体層10に到達するために、任意の層を通過しなくてはならないように構成されている場合、任意の層は、対象の検体に対して十分に透過性であるべきである。
【0051】
一般的に、様々な層の縁部が互いにぴったり重なるように位置合わせされ得る(図1の代表的な実施形態に表されるように)。あるいは、様々な相が他の層と重なり合い、及び/又はいくつかの層の縁部が他の層に対して奥にあってもよい。
【0052】
第1電極20上の検体応答性誘電体材料の堆積において、電気的にアクセス可能な領域25が第1電極20上に提供されて、電極と動作回路との間の電気的接触を可能にするべきである。同様に、カバー層が第2電極30の上に配置される場合、電気的にアクセス可能な領域35が同様に提供されるべきである。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、タブなど)22を、第1電極20のアクセス可能な領域25と電気的に接触させてもよい。同様に、接続装置32を、第2電極30のアクセス可能な領域35と同様に接触させてもよい。
【0053】
交互配置構成
別の実施形態では、交互配置コンデンサの一般的な方法で構成される、感知素子が製造され得る。交互配置感知素子の代表的な実施形態が、図2の平面図、図2aの断面図(図2の「2a」と印を付けられた線に沿って取られた)、及び図3の斜視図に図示される。これに関連して、用語「交互配置の」は交互配置構成で存在する少なくとも2つの電極を含む、任意の構成を包含する。このような構成は、交互配置の櫛形パターン(図2、図2a、及び図3に表される)に加えて、当該技術分野において既知の交互配置の螺旋状、又はS字状パターンを含む。これらの設計は全て、(少なくとも)2つの電極が、電極の近位に存在する検体応答性誘電体層と、概して同一平面上の交互配置構成にあるように存在するという共通の特徴を有し、それによって、電極の間に電界が形成されたときに、層中に含まれる検体応答性誘電体材料が電界と相互作用することができる。検体応答性誘電体層/材料は、電極の間(即ち、2つの電極の平面内、及び第1及び第2電極の接近部の任意の2点の間の最も近い線状通路に介在する)に提供され得る。あるいは、検体応答性誘電体層/材料は、電極と同一平面上ではないが、検体応答性誘電体材料が、少なくとも、2つの電極の近接する区分の間に形成される周辺電界に曝露されるように提供され得る。更に別の代替的実施形態では、検体応答性誘電体層が、両方の位置に提供され得る。
【0054】
交互配置電極は、材料のパターン化された堆積のための既知の方法(例えば、マスク蒸着、スクリーン印刷、インクジェット印刷)のいずれかによって、2つの交互配置パターンで導電性材料を堆積することによって提供され得る。電極のパターンの、特定の幾何学的/寸法的特性(間隔、高さ、長さなど)は、所望により設計されてもよい。
【0055】
一実施形態では、交互配置電極は、上記の材料からなり得る支持体140上に提供される。第1電極120及び第2電極130は、典型的には同じ支持体140上に配置され得る。一実施形態(図2、図2a、及び図3に図示される)では、第1電極120の第1表面121、第2電極130の第1表面131、は両方とも、支持体140の第1表面141の少なくともいくらかの部分と直接的に接する。別の実施形態では(図示されない)、任意の層(1つ又は複数)が、上記の任意の層と同様に、電極120及び/又は電極130と、支持体140との間に存在し、同じ問題及び制約を受ける場合がある。
【0056】
図2、図2a、及び図3の代表的な実施形態に例示されるように、第1電極120及び第2電極130のパターン化された堆積は、支持体140の表面141の(又はその上の任意の層の表面の)領域を曝露されたままにすることがある。検体応答性誘電体層は、次に、平行プレート型の感知素子に関して先に記載されたものと同様の方法により、支持体140上に堆積され得る。堆積された検体応答性誘電体材料はしたがって、2つの電極の間の空間(例えば、図2、図2a、及び図3に表される空間117)を埋める。したがって、この実施形態では、検体応答性誘電体層110の第1表面111は、支持体140の表面141の少なくとも一部と直接接触する。図2a及び図3に表されるように、堆積プロセスによってまた、検体応答性誘電体層110が、第1電極の第2表面123、及び第2電極の第2表面133を覆い、これと接触することがある(例えば、電極の一方又は両方がマスクされるなどして、堆積が選択的に行われない限り)。したがって、様々な実施形態において、検体応答性誘電体層110の第1表面111は、第1電極120の第2表面123と、及び/又は第2電極130の第2表面133と、直接接触する。
【0057】
別の実施形態では、任意の層(図2、図2a、又は図3に図示されない)が、第1電極120の第2表面123の上、及び/又は第1電極130の第2表面133の上に提供され得る(この実施形態では、検体応答性誘電体層110の第1表面111と、第1電極120の第2表面123及び/又は第2電極130の第2表面133との間の直接的接触は、生じないことがある)。このような任意の層は、上記のものと同様の目的(保護など)を果たすことがある。しかしながら、交互配置型の感知素子では、電極の一方又は両方の上の任意の層は、検体が、検体応答性誘電体層110の領域117に到達するために任意の層を通過する必要がない場合があるため、検体に対して必ずしも透過性である必要はない場合がある。
【0058】
一実施形態では、任意のカバー層150(これは、保護層、絶縁層、装飾層などとして機能し得る)は、検体応答性誘電体層110の第2表面113の上に堆積され得る。任意のこのようなカバー層は、感知層の機能に有意に干渉するべきではない(例えば、これは対象の検体に対して十分に透過性であるべきである)。このカバー層は、任意の既知のコーティングプロセスによって堆積されるコーティングを含み得る(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒コーティング、蒸気コーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷など)。別の実施形態では、カバー層150は、層110の第2表面113の上に配置される予め作製された層(例えば、フィルム又はテープ)を含み得る。
【0059】
検体応答性誘電体材料(及びいずれかの任意のカバー層の)の堆積において、各電極と動作回路との間の電気的接触を可能にするために、電気的にアクセス可能な領域125が第1電極120上に、及びアクセス可能な領域135が第2電極130上に提供されるべきである。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。例えば、このような電気的にアクセス可能な領域125及び135は、図2の代表的な図の電極の縁部上に図示され、かつ図3の代表的な図の電極の表面123及び133上で図示される。
【0060】
一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、タブなど)122を、第1電極120のアクセス可能な領域125と電気的に接触するように配置してもよい。同様に、接続装置132を、第2電極130のアクセス可能な領域135と同様に接触するように配置してもよい。
【0061】
動作回路
検体応答性誘電体層によって十分な検体が吸収された際に、感知素子に関連する電気的特性(キャパシタンス、インピーダンス、アドミタンス、電流、又は抵抗などが挙げられるがこれらに限定されない)の検出可能な変化が生じ得る。このような検出可能な変化は、第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路28/128によって検出され得る。これに関連して「動作回路」とは一般的に、第1電極及び第2電極に電圧を印加する(したがって、電極に電荷の差を付与する)、及び/又は感知素子の電気的特性(電気的特性は有機検体の存在に反応して変化し得る)を監視するために使用され得る電気装置を指す。様々な実施形態において、動作回路は、インダクタンス、キャパシタンス、電圧、抵抗、コンダクタンス、電流、インピーダンス、位相角、損失率、又は散逸のいずれか、又は組み合わせを監視してもよい。
【0062】
このような動作回路は、電極に電圧を印加し、かつ電気的特性を監視することの両方を行う単一の装置を含み得る。別の実施形態では、このような動作回路は、電圧を提供するものと、信号を監視するものとの2つの別個の装置を含んでもよい。動作回路は、ワイヤー24/124及び34/134により、第1電極20/120、及び第2電極30/130に接続されてもよい。別の実施形態では、動作回路は、接続装置22/122及び32/132によって、又は動作回路の一定の部分を各電極の電気的にアクセス可能な領域へ直接的に接触させることによって、のいずれかで第1及び/又は第2電極と直接接触するように提供され得る。例えば、動作回路は、回路基板上、又はフレキシブル回路上(これらのいずれかは、また、支持体40/140として機能し得る)に存在する動作回路が提供され得る。第1電極は次に、回路基盤/支持体40上に直接堆積され得、それによって、これは、動作回路の一部と直接的に接触する。
【0063】
動作回路28/128は、例えば、電源を含んでもよい(これは電池又はハードワイヤード電源を含んでもよく、あるいは、例えば、電力が動作回路内に組み込まれたBFID回路の充電によって間接的に提供されてもよい)。動作回路28/128はまた、電極の充電を制御する、及び/又は充電された感知電極対の1つ以上の電気的特性の変化を監視するように構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。アナログデジタル変換機、感知素子から得られるデータを保存するための記憶装置、感知素子を操作するためのソフトウェア、データロギング及び/又は一方向若しくは双方向のテレメトリ機能を提供する構成要素などもまた存在し得る。
【0064】
検体
例えば、本明細書において開示される感知素子は、有機検体(1つ又は複数)の存在を検出及び/又は監視(定性的であっても、定量的であっても)するために使用され得る。このような検体としては、炭化水素、フッ化炭素、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。検体は、比較的無極性の有機分子、又は比較的極性の有機分子であり得る。検体はいわゆる蒸気、即ち、検体が経験している周囲条件の温度及び圧力において、固体又は液体を形成することができる分子である場合がある(例えば、トルエン、アセトン、ヘプタンなど)。検体はいわゆる気体、即ち、通常、周囲条件において液体又は固体を形成することができない分子である場合がある(ただし、このような分子は、上記の検体応答性誘電体材料の内部細孔中のより高密度の状態を更に含み得る)。このような気体は、メタン、エタンなどを含み得る。いくつかの環境において、有機検体分子の混合が検出され得る。
【0065】
本発明は以下の実施例により更に説明される。以下の実施形態における全ての数値は、用語「およそ」によって修正されるものとしてみなされるべきである。
【実施例】
【0066】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、様々な材料の分子量を測定した。各サンプルは、10mLのTHFを、およそ25mgの材料に加えることによって調製された。溶液は0.25マイクロメートル、テフロン(Teflon)シリンジフィルターを使用して濾過された。100マイクロリットルの溶液を、ウォーターズ(Waters)2695(商標)セパレーションモジュール(Separation Module)(ウォーターズ社(Waters Corp.)(マサチューセッツ州、ミルフォード(Milford)))と組み合わせたカラム6本セット(ジョルディ・アソシエーツ(Jordi Associates)混合床及び500A 25cm長さカラム、ジョルディ・アソシエーツ(Jordi Associates)社(マサチューセッツ州ベリングハム(Bellingham))に注入した。ウォーターズ(Waters)2695(商標)を、溶離液としてTHFを用い、流速1.0mL/分で、35℃にて作動させた。ワイアットドーンEOS型(Wyatt DAWN EOS)多角度レーザー光散乱検出器(カリフォルニア州、サンタバーバラ(Santa Barbara)のワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology)社)と組み合わせた、島津サイエンティフィック(Shimadzu Scientific)RID−10A屈折率検出器(メリーランド州コロンビア(Columbia)の島津サイエンティフィック(Shimadzu Scientific)社)を用いて、濃度変化が検出された。分子量の計算は、ワイアット(Wyatt)社のアストラ(ASTRA)ソフトウェアを用いて、まず各サンプルのdn/dcを算出し、次にこの値を用いて分子量を算出することによって達成された。結果は、Mw(重量平均分子量)、及びMn(数平均分子量)として表現される。
【0067】
PIM1の調製
PIM材料は、バド(Budd)ら「アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)」、2004年、第16巻、第5号、456〜459頁に報告される手順に一般的に従って、モノマー、5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン、及びテトラフルオロテレフタロニトリルから調製された。19.31グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、11.34グラムのテトラフルオロテレフタロニトリル、47.02gの炭酸カリウム、及び500ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で48時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから3回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ95,000の重量平均分子量、及びおよそ64,300の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0068】
PIM2の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された、同じ一般的な手順に従って調製された。19.31グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、11.34gのテトラフルオロテレフタロニトリル、47.02gの炭酸カリウム、及び500ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で48時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから3回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ109,000の重量平均分子量、及びおよそ73,600の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0069】
PIM3の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された、同じ一般的な手順に従って調製された。5.62グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、3.30gのテトラフルオロテレフタロニトリル、13.68gの炭酸カリウム、及び150ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で62時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから2回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ65,300の重量平均分子量、及びおよそ35,600の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0070】
PIM4の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された同じ一般的な手順に従って調製されたが、ただし、再結晶させた5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンを使用した。重合における使用の前に、アルドリッチ(Aldrich)から購入した5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンをTHE/ヘプタン(1.2:1)から再結晶させた。33.44グラムの再結晶させた5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン、及び19.80gのテトラフルオロテレフタロニトリルを900mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド内に溶解させた。窒素を、攪拌される溶液中で、1時間バブリングした。81.45グラムの炭酸カリウムをモノマー溶液に加えた。得られる混合物を、67℃で、67.5時間、激しく攪拌した。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから2回沈殿させ、次に65℃の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ58,900の重量平均分子量、及びおよそ35,800の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0071】
サンプル1の調製
清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)が、1.3mPa(1×10−5トール)の基本圧力で動作するCHAインダストリーズ(CHA Industries)マーク−50蒸発器、及びA−2049号アルミニウムペレット(99.995%純度、6×6mm、セラック(Cerac)社から)を使用して、アルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングでコーティングされた。アルミニウムコーティングは、15オングストローム/秒の割合で堆積された。最終的な厚さは100nmであった。ダイヤモンドチップペンを使用して、一方の縁部からおよそ5mmでアルミニウム処理したガラスに切り目を入れた。切り目を入れたアルミニウム処理されたガラスの断片は、サンプルの縁部の周囲全体に、マスクされたアルミニウム表面の縁が存在するように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。マスクされた領域が、切り目の線から更に2mmであるように注意が払われた。クロロベンゼンのPIM1、4重量%溶液が調製され、ペンシルベニア州ノースウェールズ(North Wales)の、ローレル・テクノロジーズ(Laurell Technologies)社によって製造される、WS−400B−8NPP−ライトシングルウエファース(Lite Single Wafer)ピンプロセッサを使用して、1200rpmで2分間にわたり、マスクされたサンプル上へとスピンコーティングされた。第2電極は、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社(韓国)から商標名シルバージェット(Silverjet)DGP−40LT−25Cから入手可能な、銀ナノ粒子懸濁液(メタノール中に懸濁され、30nm平均粒径)を使用して作製された。この受容されたままの懸濁液が0.5gの量で、1ミリリットルのメタノールと混合された。希釈された銀ナノ粒子懸濁液は、1000rpmで2分間、PIMフィルム上にスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルは、従来的な乾燥炉で、150℃で3時間にわたって加熱された。予め作製されたマスクをサンプルに取り付けることにより、一連の1mm幅×4mm長さのアルミニウムタブが、サンプルの切り目の線に最も近い側に作製され、それによって、アルミニウムタブが、第2電極を下部アルミニウム電極に接続した。カート・レスカー真空システム内で、0.13mPa(1×10−6トール)の基本圧力で、アルミニウム蒸発が実行された。アルファ・エーザ(Alfa Aesar)から購入された純度99.999%のアルミニウムが、5オングストローム/秒の割合で、タングステンボートから熱的に蒸発された。最終的な厚さは100nmであった。この手順は、したがって、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス(支持)層を提供し、これに動作回路を接触させることができる。PIM材料(およそ600nm厚さ)を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム誘電体の上にあった。微視的に非連続的な(したがって検体透過性の)銀層(およそ300nm厚さ)を含む第2電極が、PIM材料の上にあった。この第2電極は、アルミニウムタブによってより小さいアルミニウムコーティングされた領域と接触し、その結果、第2電極は、回路をより小さいアルミニウムコーティングされた領域に取り付けることによって動作回路に接続されることができた。
【0072】
サンプル2の調製
清浄化されたガラスの断片が、サンプル1について記載されたように、アルミニウムでコーティングされ、切り目を入れられ、PIM1でコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉で、150℃で1時間にわたって加熱された。パターンを有する第2電極が、PIM材料の上にインクジェット印刷されて、このサンプルの作製を完了した。第2電極をインクジェット印刷するために、ビットマップイメージ(インチ当たり702ドット)が、アドビ・フォトショップ(Adobe Photoshop)内に作製され、次にXY堆積システム(XY deposition system)にダウンロードされた。銀を堆積するために使用されるプリントヘッドは、10pLの液滴容積、及び128ジェット/開口部を有するディマティックス(Dimatix)SX3−128プリントヘッドであり、プリントヘッドアセンブリはおよそ6.5cm長さであり、ジェットとジェットの間隔は約508マイクロメートルであった。この電極を作製するために使用される銀ナノ粒子ゾルは、カボット(Cabot)社から、商標名AG−IJ−G−100−S1で得られた。この銀ナノ粒子ゾルはおよそ15〜40重量%エタノール、15〜40重量%エチレングリコール、及び20重量%銀であった。サンプルは、多孔質アルミニウム真空プラテンの使用により、インクジェット印刷プロセスの間、しっかりと固定された。印刷を完成した際に、サンプルが多孔質アルミニウム真空プラテンから取り除かれ、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。
【0073】
インクジェット印刷された銀電極は櫛上のパターンを含み、これは、一方の縁部から線が延びる中実の矩形からなっていた。印刷された電極の矩形部分は、矩形の一部がより小さいアルミニウムコーティングされた領域の一部の上にあるように(ワイヤーをより小さいアルミニウムコーティングされた領域に取り付けることによって、上部電極との電気的接触が達成され得るように)位置付けられ、第2の印刷された電極の残部がPIM材料の上にあった。電極上の線は、およそ8.3mm長さ、及びおよそ102マイクロメートル幅であるように設計された。線の間の空隙は、およそ152マイクロメートルであるように設計された(これらの寸法は全て、ビットマップイメージの公称直径であり、実際の「印刷された」寸法ではないことに留意するべきである)。
【0074】
この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層がアルミニウム電極の上にあり、櫛状パターンの、銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0075】
サンプル3の調製
交互配置電極変換器は、ポリイミド支持層(厚さおよそ52マイクロメートル)上に銅を蒸着(およそ43マイクロメートルの厚さ)することによって作製された。電極は、導電性リードに接続された、0.5cm×0.5cmの寸法の、交互配置櫛状パターンを含んだ。電極線は、およそ20マイクロメートルの幅、及びおよそ40マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM1、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に2500rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。テープがマスクされたサンプルから取り除かれた。この手続きはしたがって、第1及び第2の交互に配置された銅電極を有するポリイミド支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0076】
サンプル4の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ320マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0077】
サンプル5の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ120マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0078】
サンプル6の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ80マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)は、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0079】
サンプル7の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ40マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2の4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に、1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0080】
サンプル8の調製
金コーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)(デラウェア州、ウィルミントン、E.I.デュポン・デ・ネモース・アンド・カンパニー(DuPont de Nemours and Company)、ST504)基材が、20オングストロームのクロミウム、続いて100nmの金を熱蒸発(ニュージャージー州、ムーアズタウン(Moorestown)デントン・バキューム(Denton Vacuum)DV−502A)させることによって調製された。
【0081】
エラストマースタンプを成形するために使用されるマスターツールは、フォトリソグラフィーを使用して、10cm直径シリコンウェファー上にフォトレジスト(ペンシルバニア州、フィラデルフィア(Philadelphia)の、ローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)、シプレー(Shipley)1818)のパターンを調製することによって生じる。エラストマースタンプは、未硬化ポリ(ジメチルシロキサン)が(ミシガン州、ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)、シルガード(Sylgard)(商標)184、PDMS)を、ツールに、およそ3.0mmの厚さまで注ぐことによって、マスターツールに対して成形された。マスターと接触する未硬化シリコーンは、真空に曝露することによって脱気され、その後70℃で2時間にわたって硬化された。マスターツールから取り出した後、PDMSスタンプは、およそ1.8マイクロメートルの高さで隆起した形状を含む、レリーフパターンを付与された。このスタンプで、およそ3マイクロメートルの幅、及びおよそ10マイクロメートルのピッチを有する、交互配置電極変換器が製造された。
【0082】
交互配置電極変換器を作製するために、構造化されたスタンプは、その後部(レリーフパターンを有さない平坦な表面)をエタノール中の10mMオクタデシルチオール(マサチューセッツ州、ウェルズリーヒルズ(Wellesley Hills)、TCIアメリカ(TCI AMERICA)、「ODT」O0005)の溶液と20時間接触させることによって、インクを塗布された。金コーティングされたPETフィルムは、まずフィルムサンプルの縁部をスタンプ表面に接触させ、次におよそ3.0cmの直径を有するローラーを使用し、フィルムをスタンプにわたってロールで接触させることによって、スタンプのレリーフパターンを有する表面(この面を上に向けた)に接触させた。次に金コーティングされたPETフィルムを、スタンプと20秒間接触させたままにし、これによってパターンを有するチオールの自己組織化単分子膜(SAM)を金の表面上に配置した。金コーティングされたPETフィルムは次に、スタンプから剥がされた。印刷されたパターンを有する金コーティングされたPETフィルムは、次に、選択的エッチング及び金属パターニングのために、50秒間にわたって、エッチング溶液に浸された。エッチング液は、1.0グラムのチオ尿素(ミズーリ州、セントルイス(St. Louis)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、T8656)、0.54ミリリットルの濃縮塩酸(ニュージャージー州、ギッブスタウン(Gibbstown)、EMDケミカル(EMD Chemicals)、HX0603−75)、0.5ミリリットルの過酸化水素水(ニュージャージー州、フィリップスバーグ(Phillipsburg)、マリンクロート・ベーカー(Mallinckrodt Baker)5240−05、30%)、及び21グラムの脱イオン水を含む。金をパターンエッチングした後、2.5グラムの過マンガン酸カリウム(ニュージャージー州、ギッブスタウン(Gibbstown)、EMDケミカルズ(EMD Chemicals)、PX1551−1)、4グラムの水酸化カリウム(ミズーリ州、セントルイス(St. Louis)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、484016)及び100ミリリットルの脱イオン水の溶液を使用して、残りのクロムがエッチングされた。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手続きはしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0083】
サンプル9の調製
マスクを使用し、清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)の1.2cm×2.0cmの角部が、まず10nmのチタンと続く100nmのアルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングにより、サンプル1の調製において上記された装置を用いて蒸気でコーティングされた。PIM3のクロロベンゼン溶液が使用されて、ガラス断片上全体に750nm厚さの層をスピンコーティングした。少量のアセトンを含むスワブを使用して、PIM層を取り除き、動作回路への接続のために、下部アルミニウム電極の小さな角部を曝露した。サンプル2の調製において上記されたインクジェット印刷方法を使用して、銀ナノ粒子ゾル(カボット(Cabot)AG−IJ−G−100−S1)の0.9cm×1.5cmの矩形がPIM層の上部に印刷され、矩形の0.9cm×1.0cmの部分のみが下部アルミニウム電極の真上にあるように位置付けられた。印刷を完成した際に、サンプルが、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。上部電極に接続するための能力を改善するために、上部のインクジェット印刷された電極を、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社、銀ナノ粒子懸濁液(アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社からの、シルバージェットDGP−40LT−25C)を使用して厚くした(下部アルミニウム電極の真上にない領域のみ)。この厚くする工程は、単にペイントブラシを使用して所望の領域上にナノ粒子懸濁液を塗布することによって、達成された。厚くする工程の後、サンプルは、従来的な乾燥炉内で、150℃で1時間にわたって乾燥された。この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム電極の上にあり、微視的に非連続的な(したがって、検体透過性の)銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0084】
サンプル10の調製
マスクを使用し、清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)の1.2cm×2.0cmの角部が、まず10nmのチタンと続く100nmのアルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングにより、サンプル1の調製において上記された装置を用いて蒸気でコーティングされた。PIM4のクロロベンゼン溶液が使用されて、ガラス断片上全体に400nm厚さの層をスピンコーティングした。少量のアセトンを含むスワブを使用して、PIM層を取り除き、動作回路への接続のために、下部アルミニウム電極の小さな角部を曝露した。サンプル2の調製において上記されたインクジェット印刷方法を使用して、銀ナノ粒子ゾル(カボット(Cabot)AG−IJ−G−100−S1)の0.9cm×1.5cmの矩形がPIM層の上部に印刷され、矩形の0.9cm×1.0cmの部分のみが下部アルミニウム電極の真上にあるように位置付けられた。印刷を完成した際に、サンプルが、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。上部電極に接続するための能力を改善するために、上部のインクジェット印刷された電極を、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社、銀ナノ粒子懸濁液(アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社からの、シルバージェットDGP−40LT−25C)を使用して厚くした(下部アルミニウム電極の真上にない領域のみ)。この厚くする工程は、単にペイントブラシを使用して所望の領域上にナノ粒子懸濁液を塗布することによって、達成された。厚くする工程の後、サンプルは、従来的な乾燥炉内で、150℃で1時間にわたって乾燥された。この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム電極の上にあり、微視的に非連続的な(したがって、検体透過性の)銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0085】
サンプル1の試験
測定のために、単純な貫流特注デリバリーシステムを使用して既知の濃度のアセトンをサンプルに供給した。デリバリーシステム全体にわたって、テフロンチューブを使用した。液体形態のアセトンを含む容器にわたって窒素が散布され、アセトンで飽和した窒素気流を提供するために、低温に維持された。液体アセトンが、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)社からの冷却装置を使用して低温に維持され、アセトンの飽和気流をつくるために、冷却装置を維持するべき温度は、蒸気圧のハンドブック(Handbook of Vapor Pressure)(ヨーズ(Yaws)C.I.ガルフ出版(Gulf Publishing)、ヒューストン(Houston)、1994年)を使用して算出された。飽和した気体アセトン流は、一連の流量制御装置を使用して、追加の窒素で希釈された。気流中のアセトンの濃度は、赤外線分光計(マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham)の、サーモエレクトロン(Thermo Electron)から、商標名ミランサファイア(Miran Sapphire)で入手可能)の使用によって検量された。気体アセトン流が、サンプル1を含むサンプルチャンバ(制御された温度に維持される)内に導入された。サンプルの第1及び第2電極が、ワニ口クリップを使用して、LCRメーター(カリフォルニア州、チノ(Chino)のインステック・アメリカ(Instek America)社から、商標名インステック(Insted)モデル821 LCRメーターで入手可能)を含む動作回路に接続された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、蒸気試験(図4に示される)の経過全体において、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。
【0086】
サンプルがまず、周囲条件(室内空気、およそ58%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。次にサンプルは、時間=0から初め、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、及び20℃)に曝露された。試験チャンバは次に密閉され、394ppmのアセトンを含む気体窒素流が、第1の時間にわたって、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露を更に2度繰り返し、サンプルは、各アセトンへの曝露の後に、アセトンを含まない乾燥窒素気流に曝露された。最後に乾燥窒素に曝露した後、サンプルは、915ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は651ppmまで、次に394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、51%相対湿度)に曝露された。
【0087】
サンプル2の試験
サンプル2(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、蒸気試験(図5に示される)の経過全体において、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ64%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。サンプルは次に、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。試験チャンバは密閉され、394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が更に二度繰り返され、その度、続いて乾燥窒素に曝露された。その後、サンプルは、133、394、651、及び915ppmを含む、一連の窒素気流に曝露され、サンプルは、各曝露の間にアセトンを含まない乾燥窒素環境に戻された。最後に乾燥窒素に曝露した後、サンプルは、915ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は651ppmまで、次に394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、64%相対湿度)に曝露された。
【0088】
サンプル3の試験
サンプル3(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図6に示される)の間、特定の時間間隔で、20キロヘルツの周波数で監視された。蒸気試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、40%相対湿度、図6に図示されない)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。サンプルは次に、乾燥窒素(8%相対湿度、20℃)に曝露された。試験チャンバは密閉され、133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された(図6において、乾燥窒素への曝露と133ppmアセトンへの曝露との間のピークはアーティファクトであった)133ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、394ppmまで増加された。394ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、651ppmまで増加された。651ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、915ppmまで増加された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、40%相対湿度)に曝露された。
【0089】
サンプル4の試験
サンプル4(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図7に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ50%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。
【0090】
サンプル5の試験
サンプル5(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図8に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ52%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、50%相対湿度)に曝露された。
【0091】
サンプル6の試験
サンプル6(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図9に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ71%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、71%相対湿度)に曝露された。
【0092】
サンプル7の試験
サンプル7(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図10に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ74%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、71%相対湿度)に曝露された。
【0093】
サンプル8の試験
サンプル8(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図11に示される)の間、特定の時間間隔で、200キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ66%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に651ppmまで、段階的に増加された。651ppmのアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、65%相対湿度)に曝露された。
【0094】
サンプル9の試験
サンプル9(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、試験の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。図12では、データは、経時的なキャパシタンス比(ΔC/Co)(絶対的キャパシタンスとは対照的に)の変化としてプロットされる。サンプルが試験チャンバ内に配置され、試験チャンバが密閉された。サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された(図12には図示されない)。これらの乾燥窒素条件下におけるサンプルのキャパシタンスは、実験全体を通じてCo値として使用された。実験全体が20℃の定温で行われ、したがって相対湿度値は、この温度において算出された。サンプルは次に、12%の相対湿度を含む窒素気流に曝露された。一定時間の後、サンプルは、12%相対湿度、及び50ppmのアセトンを含む窒素気流に曝露された。相対湿度を12%に維持しながら、アセトンの濃度を、250、500、及び1000ppmへと、連続的に増加させた。試験チャンバは次に、12%相対湿度の窒素環境へと戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、24%まで増加された。サンプルは次に、24%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、24%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、39%まで増加された。サンプルは次に、39%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、39%相対湿度窒素環境に戻された。試験チャンバは次に、乾燥窒素環境(8%相対湿度)へと戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、56%まで増加された。サンプルは次に、56%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、56%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、70%まで増加された。サンプルは次に、70%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、70%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、88%まで増加された。サンプルは次に、88%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。サンプルは次に、88%の相対湿度で、0ppmのアセトンを含む気体流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境(8%相対湿度)へと戻された。
【0095】
サンプル10の試験
サンプル10(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、試験の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。図13では、データは、経時的なキャパシタンス比(ΔC/Co)の変化としてプロットされる。サンプルが試験チャンバ内に配置され、試験チャンバが密閉された。サンプルは次に、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。これらの乾燥窒素条件下におけるサンプルのキャパシタンスは、実験全体を通じてCo値として使用された。5ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。サンプルは次に10ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は20ppmまで増加された。その後、サンプルは、50、100、200、及び500ppmのアセトンを含む、一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境に戻された。(図13の、200と500ppmのアセトンへの曝露の間におけるキャパシタンス比の低下は、検体の供給における問題によって生じたアーティファクトである。)
【0096】
サンプル11の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、トルエンに対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図14に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ29%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。16ppmのトルエンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。一定時間の後、トルエンの濃度は26ppmまで増加された。その後サンプルは、48、91、及び175ppmのトルエンを含む一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。
【0097】
サンプル12の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、ヘキサンに対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図15に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ23%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。チャンバが密閉され、サンプルが次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。73ppmのヘキサンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。一定時間の後、アセトンの濃度は117ppmまで増加された。その後サンプルは、231、322、及び408ppmのヘキサンを含む一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。
【0098】
サンプル13の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、イソプロピルアルコール(IPA)に対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図16に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ23%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。45ppmのイソプロピルアルコール(IPA)を含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。サンプルは次に15ppmのIPAを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、IPA濃度は23ppmまで増加された。その後サンプルは、45、87、171、及び254ppmのIPAを含む、一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、26%相対湿度)に曝露された。
【0099】
本発明の多数の実施形態を記載してきた。いずれにしても、本発明から逸脱することなく様々な修正を行ってもよいことが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲の範疇にある。
【技術分野】
【0001】
化学検体、特に有機化学検体を検出する能力は、環境監視などを含む多くの用途において重要である。このような有機分子の検出及び/又は監視は、例えば、レスピレータなどのパーソナル保護具のために所望される、いわゆるサポート終了日表示器に特定の用途を見出し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、光学的、重力測定、微小電気機械など、化学検体の検出のための多くの方法が開発されてきた。特に、キャパシタンス、インピーダンス、レジスタンスなどの、電気特性を監視するセンサーが開発されてきた。多くの場合、このようなセンサーは、材料上への検体の吸着、又は材料中への検体の吸収の際に生じる、材料の電気的特性の変化に依存する。
【0003】
例えば、特許文献1(スノー(Snow)ら)は、下部電極、下部電極上の誘電体、誘電体上のナノ電極のグリッド、及びグリッドと電気的に接触する上部電極を有する検知装置を開示する。ナノ電極は、カーボンナノチューブの網状組織であり得る。このような構成は、化学検体の存在下における、キャパシタンスの変化を呈することのできるものとして、スノー(Snow)らにより記載される。
【0004】
特許文献2(パテル(Patel)ら)は、化学感知材料中の検体を吸着又は吸収し、それによって電気的特性(例えば、キャパシタンス、レジスタンスなど)が、化学感知材料によってコーティングされる感知電極対と関連する回路によって検出可能であるような方法で変化することにより、様々な標的検体を検出することができるものとして記載される装置を開示する。
【0005】
特許文献3(ステッター(Stetter)及びマクレー(Maclay))は、選択される化学物質の蒸気に曝露された際に、そのインピーダンスが変化するセンサーを開示する。センサーは、蒸気によってその物理的構造が変化する(例えば、膨張又は分解によって)ポリマーを含む。センサーは更に、ポリマーが組み込まれている、導電性要素を含む。変化は、インピーダンス測定回路によって測定することができる。
【0006】
特許文献4(シトラー(Sittler))は、有機液体、気体、又は蒸気の存在下で膨張する材料を含むセンサーを開示する。材料は支持表面に適用され、それによって、膨張の際に、支持が変位して2つのコンデンサプレート間の距離を変化させ、これによってプレート間の静電容量を変化させる。
【0007】
特許文献5(プログ(Plog)及びMaunz)は、容量型素子、及び誘電体としての通気性感応層を有する、炭化水素の選択的検出のための気体センサーを開示する。感応層は、その直径が検出される気体分子の気体運動論的直径と類似した主要微細孔から作製される規則的な結晶構造を有する、貴金属をドープしたゼオライトである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0249402号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0237310号公報
【特許文献3】米国特許第5,512,882号明細書
【特許文献4】米国特許第5,482,678号明細書
【特許文献5】米国特許第5,965,451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
出願人は、例えば、周囲雰囲気などの環境における有機化学検体を検出及び監視するために好適な感知素子を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような感知素子は、第1及び第2電極の近位にある検体応答性誘電体材料を含む。これに関連して、検体応答性誘電体材料とは、有機化学検体を吸収することができ、有機検体を材料中に吸収した際に電気的特性の測定可能な変化を呈し得る材料を意味する。一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、検体を吸収した際に誘電率の変化を呈し、その結果、感知素子のキャパシタンスにおける変化が観察され得る。
【0011】
一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、固有ミクロ孔質のポリマーである。このような材料は、低濃度の有機検体に対する高い応答性、有機検体に対する迅速な反応、及び水に対する低い応答性という点において、利点を提供し得る。理論又は機構によって制限されることなく、出願人が検体応答性誘電体材料として固有ミクロ孔質のポリマーの用途に見出した性能は、疎水性、最適な値の多孔率、最適な孔径範囲を包含するミクロ孔質間隙体積、検体応答性誘電体層を形成するために溶液からキャスティングされる固有ミクロ孔質のポリマーの能力という、いくつかの特性のいずれか、又は全てによる場合があると、出願人は考える。
【0012】
様々な実施形態において、固有ミクロ孔質のポリマーは、非常に剛性があるポリマーとなり、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的な特徴が存在するポリマーを提供する、モノマーのいずれかの組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、このような材料は、剛性リンカーによって連結される、第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1のほぼ平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0013】
一態様において、本明細書は、有機化学検体を感知するための感知素子であって、第1電極及び第2電極と、第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料であって、固有ミクロ孔質のポリマーであるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料と、を含む、有機化学検体を感知するための感知素子とを開示する。一実施形態では、電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である。更なる実施形態では、透過性電極は非連続的である。追加の実施形態では、透過性電極はパターンを有する。様々な実施形態において、感知素子は、電極の少なくとも一方に近接する支持層、及び/又はカバー層を含むことができる。様々な実施形態において、感知素子は、平行プレートコンデンサ構成、又は交互配置コンデンサ構成を含むことができる。
【0014】
別の態様において、本明細書は、有機化学検体を感知するためのセンサーであって、第1電極及び第2電極と、第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料が固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、検体応答性誘電体材料と、第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路であって、第1及び第2電極に電圧を印加することができ、感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、を含む、センサーを開示する。
【0015】
更に別の態様において、本明細書は、有機化学検体を感知する方法であって、第1電極及び第2電極、並びに第1及び第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料含む感知素子であって、ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料が固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子、並びに第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路であって、第1及び第2電極に電圧を印加することができ、感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路を含む、センサーを提供する工程と、感知素子を1つ以上の有機化学検体を潜在的に含む環境に曝露する工程と、第1及び第2電極に電圧を印加する工程と、感知素子の電気的特性を監視する工程と、を含む、方法を開示する。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記の要約は、決して、請求された主題に関する限定として解釈されるべきではなく、主題は、手続処理の間に補正することができるような付属の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】平行プレート構成における、代表的な感知素子の側面図。
【図2】交互配置構成における代表的な感知素子の平面図。
【図2a】図2の「2a」と印を付けられた線に沿って取られた、図2の代表的な感知素子の断面図。
【図3】交互配置構成における代表的な感知要素の斜視図。
【図4】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図5】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図6】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図7】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図8】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図9】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図10】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図11】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、交互配置構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図12】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図13】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図14】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図15】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。
【図16】様々な濃度の有機検体への曝露時間の関数としての、平行プレート構成の代表的な感知素子の測定されたキャパシタンスのプロット。 様々な図面において、類似参照記号は類似要素を表す。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係が、図面から推測されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「最上部」、「底部」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、並びに「第1」及び「第2」などの用語が本開示中で使用され得るが、これらの用語は相対的な意味においてのみ使用されることを理解すべきである。
【0019】
感知素子
図1、図2に関連して、本明細書では、少なくとも、第1電極20/120及び第2電極30/130に近接する検体応答性誘電体層10/110を含む感知素子1/101が開示される。これらの構成要素並びにその特徴及び特性、加えて他の任意の構成要素並びにその特徴及び特性が同じく説明される。これらの説明は、平行プレートコンデンサの一般的な構成に基づく代表的な感知素子を表す図1、並びに交互配置コンデンサの一般的な構成に基づく代表的な感知素子を表す図2、図2a、及び図3の双方を参照する。明確にするため、様々な構成要素が、異なる一般的な構成を表す図中において、異なる参照番号(一般的に、100ずつ増える)を付された。しかしながら、特に指定されない限り、様々な構成要素の構造、組成、及び特性が、任意の容量設計の感知素子に適用可能であり得ることが離解されるべきである。
【0020】
感知素子1/101は、検体応答性誘導体層10/110が第1電極20/120及び第2電極30/130と十分に近接し、それによって層中に含まれる検体応答性誘導体材料が、電極によって形成される電界と相互作用することができるように構成される。感知素子1/101の動作中、検体応答性絶縁体層10/110は、1つ以上の検体を吸収した際に電気的特性の変化を呈する。一実施形態において、電気的特性は、キャパシタンス、又は以下に記載されるキャパシタンスに関連する特性である。このような、キャパシタンスに関連する特性の変化は、第1電極20/120及び第2電極30/130の間に電荷の差を付与し(例えば、電極に電圧差を付与することによって)、検体の存在に反応する感知素子の特性を監視することによって測定することができる。本明細書において後に記載されるように、このような監視は、動作回路28/128の使用によって行うことができる。
【0021】
用語「キャパシタンス」及び「キャパシタンスに関連する特性」とは、あらゆる電気的特性及びその測定値を包含し、これは電荷の付与(一定であっても時間的に変化しても)並びに電荷の付与中、及び/又は付与後の電気的特性の監視と一般的に関連する。このような特性は、キャパシタンスだけではなく、インピーダンス、アドミタンス、抵抗、コンダクタンスなどをも含み、当該技術分野において既知の様々な方法で測定され得る。
【0022】
検体応答性誘電体層
検体応答性誘電体層10/110(用語「層」は、一般的に使用され、あらゆる物理的構成を包含する)は、検体応答性誘電体材料を少なくとも部分的に含む。これに関連して、「検体応答性誘電体材料」とは、有機化学検体を吸収することができ、有機検体を材料中に吸収した際に材料の一定の電気的特性の測定可能な変化を呈し得る材料を意味する。
【0023】
固有ミクロ孔質のポリマー
一実施形態では、検体応答性絶縁体材料は、いわゆる「固有ミクロ孔質のポリマー」(以降、PIMsと称される)を含む材料の一群から選択される。このようなポリマーには、バド(Budd)らの「固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)、剛性がある、溶液処理可能な有機ミクロ孔質材料(Polymers of intrinsic microporosity(PIMs): robust, solution-processable, organic microporous materials)」Chem.Commun.、2004年、230〜231頁)、マコーエン(McKeown)ら(Chem.Eur.J.、2005年、第11巻、第9号、2610〜2620頁)、米国特許出願公開第2006/0246273号(マコーエン(McKeown)ら)及び国際公開第2005/012397(A2)号(マコーエン(McKeown)ら)に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
PIMsは、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的特徴が存在する、非常に剛性があるポリマーとなるモノマーの任意の組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、PIMsは、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含む場合があり、この剛性リンカーは、剛体リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。更なる実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0025】
このような剛性があるねじれた構造を有するポリマーでは、ポリマー鎖が互いに有効に密集することができず、したがってポリマーは、固有のミクロ孔質を有する。したがって、PIMsは、材料の熱履歴に顕著に依存することのない、ミクロ孔質を備えることの利益を有する。PIMsはしたがって、大量に再生可能に製造可能であるという点で、及び老朽化、及び貯蔵寿命などによって変化する特性を呈さないという点で、利益を提供することがある。
【0026】
これに関連して、用語「ミクロ孔質の」及び「ミクロ孔質」は、材料が有意な規模の、内部の相互接続された間隙体積を有し、平均孔径(例えば、吸着等温線手段によって特徴付けられる)は、約100nm未満である。このようなミクロ孔質により、有機検体の分子(存在する場合)が、材料の内部間隙体積に浸透し、内部細孔中に定着することが可能となる。内部細孔中のこのような検体の存在は、材料の誘電特性を変化させることができ、それによって誘電率(又は他の任意の好適な電気的特性)の変化が観察され得る。理論又は機構によって制限されることなく、出願人は、ミクロ孔質誘電体材料に依存する開示される感知素子1/101は、誘電体材料の電気的特性の測定可能な変化が細孔中の検体分子の存在によって生じ得るという点において、有機検体の感知に関する有利な特性を有することがあるものと考える。したがって、検体分子が、増大及び/又は膨張などの、ポリマー材料の特性の変化(ただし、このような現象もまた生じることがあり、やはり測定可能な電気的反応に寄与することがある)を生じるために十分な程度、ポリマー材料自体の中で可溶化されることを必要とせずに、検体を検出することが可能であり得る。このような検体応答性誘電体材料のミクロ孔質特性は、誘電体材料の、少量の有機検体への高い応答性に寄与することがある。
【0027】
様々な実施形態において、PIMは、少なくとも約10%、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%の多孔率を含む(例えば、フロリダ州、ボーイトン・ビーチ(Boynton Beach)のカンタクロム・インストラメンツ(Quantachrome Instruments)からの商標名オートソーブ(Autosorb)で入手可能な器具を使用するものなどの、吸着等温曲線技術によって特徴付けられる)。このような多孔質は、低濃度の有機化学検体に対する良好な反応を提供することができる。しかしながら、材料は、第1電極20/120と、第2電極30/130との間の短絡又はアーク放電の回避が困難であるような、高い間隙体積を有するべきではない。したがって、様々な実施形態において、材料は最高でも約90%、最高でも約60%、又は最高でも約40%の多孔率を含む。
【0028】
また、理論又は機構に制限されることなく、内部細孔の寸法及び分布は、細孔の少なくともいくつかの、有機検体分子の少なくともいくつかが、別の方法で存在するよりも(例えば、これらが、検体が監視される環境における場合よりも)高密度の状態(例えば、擬似液体状態)を形成することができるようなものであり得る。これは、監視される環境中に存在するよりも、より多数で、及び/又はより高密度で、内部細孔中に収集される検体分子を生じ得るか、又は代わりに、この状態の検体分子は、低密度の蒸気又は気体状態におけるよりも高い誘電率(比誘電率)を呈し得る。したがって、適切に選択される寸法及び分布の細孔を有する、ミクロ孔質検体応答性誘電体材料に基づく感知素子は、少量の有機検体に対して優れた感度を呈し得る。様々な実施形態において、PIMは、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の平均孔径を含む。様々な実施形態において、PIMは、約0.3nm超、約0.5nm超、又は約1.0nm超の平均孔径を含む。
【0029】
一実施形態では、PIMは疎水性材料(例えば、疎水性有機高分子材料)であり、これは材料が著しく増大するか、ないしは別の方法で物理的特性の顕著な変化を呈する程度まで液体水を吸収することがない。このような疎水性特性は、水の存在に対する感度が比較的低い有機検体感知素子を提供するために有用である。しかしながら、材料は特定の目的のために、比較的極性の部分を含み得る。
【0030】
一実施形態では、PIMは連続的なマトリックスを含む。このようなマトリックスは、材料の固体部分が連続的に相互接続されているアセンブリ(例えば、コーティング、層など)として定義される(上記の多孔質の存在、又は下記の任意の添加物の存在とは拘わりなく)。即ち、連続的なマトリックスは、粒子の凝集(例えば、ゼオライト、活性炭、カーボンナノチューブなど)を含むアセンブリから区別可能である。例えば、溶液から堆積される層、又はコーティングは、典型的には連続的なマトリックスを含む(コーティング自体がパターンを有する方法で塗布されるか、及び/又は粒子状の添加物を含むとしても)。粉末の噴霧、分散体(例えば、ラテックス)のコーティング及び乾燥、又はゾル−ゲル混合物のコーティング及び乾燥によって堆積された粒子の集合は、出願人によって定義される連続的な網状組織を含まないことがある。しかしながら、このようなラテックス、ゾル−ゲルなどの層が、個別の粒子がもはや認識不可能であるか、又は異なる粒子から得られたアセンブリの領域を認識することが不可能であるように固化され得る場合、このような層は出願人の連続的マトリックスの定義に合致することがある。
【0031】
いくつかの実施形態では、PIMsは、一般的な有機溶媒中に可溶であり、したがってコーティングなどの従来の堆積プロセスに適する。
【0032】
特定の実施形態では、PIM材料が堆積される(例えば、コーティングされる)か、ないしは別の方法で検体応答性誘電体層を含むように形成された後、材料は、好適な架橋剤、例えば、ビス(ベンゾニトリル)二塩化パラジウム(II)などの好適な架橋剤を使用して架橋され得る。このプロセスは、検体応答性誘電体層を有機溶媒中で不溶性にするか、及び/又は耐久性、摩擦耐性などのいくつかの物理的特性を向上することがあり、これはいくつかの用途において望ましい場合がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、PIMsは、他の材料とブレンドされてもよい。例えば、PIMは、それ自体が検体応答性誘導体材料ではない材料とブレンドされてもよい。検体反応に寄与しないものの、このような材料は他の理由のために有用であり得る。例えば、このような材料は、優れた機械特性などを有する、PIM含有層の形成を可能にすることがある。一実施形態では、PIMsは、他の材料と共に一般的な溶媒に溶解して、均質な溶液を形成してもよく、これは、キャスティングされて、PIM及び他のポリマー(1つ又は複数)の双方を含む検体応答性誘導体ブレンド層を形成してもよい。PIMsはまた、検体応答性誘電体材料である材料(例えば、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、超架橋ポリマーネットワークなど)とブレンドされてもよい。このような材料は、PIMs材料を含む溶液中に懸濁された不溶性材料を含み得る。このような溶液/懸濁液のコーティング及び乾燥は、PIM材料と追加的な検体応答性誘導体材料の双方を含む、複合検体応答性誘導体層をもたらすことがある。
【0034】
様々な実施形態において、検体応答性誘電体材料でない材料の追加の層(1つ又は複数)が、検体応答性誘電体層の近位に提供されてもよい。このような層(1つ又は複数)は、例えば、保護層として、接着剤を向上するための結合層としてなど、様々な理由のいずれかのために提供されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、検体応答性誘電体材料の複数の個別の層が使用され得る。例えば、PIM材料の複数の層が使用され得る。あるいは、PIM材料の層に加えて、一定の他の検体応答性誘電体材料の1つ以上の層が使用され得る。検体応答性誘電体材料の様々な層が、互いに直接接する場合があり、又はこれらは、一定の他の目的のために存在する層(1つ又は複数)(例えば、本明細書において記載されるように、不動態層、結合層など)によって隔離される場合がある。
【0036】
電極
図1及び図2に関連し、第1電極20/120及び第2電極30/130は、任意の好適な導電性材料を含むことができる。十分な全体導電性がもたらされる限り(例えば、電極材料は約10−2オーム/メートルの一定抵抗率を含む)、異なる材料(導電性、及び/又は非導電性)の組み合わせが、異なる層又は混合物として使用され得る。第1電極及び/又は第2電極を作製するために使用され得る材料の例としては、有機材料、無機材料、金属、合金、及び様々な混合物、並びにこれらの材料のいずれか、又は全てを含む複合材料が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、コーティング(例えば、蒸気コーティング、スパッタコーティングなど)された金属、若しくは酸化金属、又はこれらの組み合わせが使用され得る。好適な導電性金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、酸化インジウムスズ、金、銀、プラチナ、パラジウム、銅などが挙げられる。一実施形態では、両方の電極が同じ金属を含み、別の実施形態では、第1及び第2電極が異なる材料を含む。
【0037】
様々な実施形態において、電極のいずれか、又は両方が有機検体に対して透過性であり得る。このような電極の透過性は、図1に図示される平行プレートコンデンサの一般的な様式で構成される感知素子の場合に特に有用であり得る。このような場合、第2電極30が透過性であると、有機検体は、縁部15を経由して(これは、より遅いプロセスであり得る)検体応答性誘電体層10に入らなくてはならないわけではなく、主表面13を通って検体応答性誘電体層10に入ることができる。同様に、第1電極20が透過性である場合、有機検体は主表面11を通って検体応答性誘電体層10に入ることができる場合がある(しかしながら、支持体40が検体に対して透過性でない場合、第1電極20を透過性構成で提供することは有益でないことがある)。
【0038】
様々な実施形態において、電極は非連続的であることによって検体透過性であることができる。これに関連して、用語非連続的とは、電極が互いに電気的に接触しないユニット(スポット、アイランドなど)を含むことを意味しない。むしろ、非連続的とは、電極の全体的な境界の内部において、いくつかの領域が導電性の材料を含まないことを意味する。このような非連続的な電極は微視的に非連続的であり得る。例えば、電極は、導電性材料の粒子(例えば、ナノ粒子)を含むゾルの堆積(例えば、コーティング、インクジェット印刷などによる)によって形成され得る。このような場合、電極は、電極が導電性であることを確実にするために、十分に接触する導電性粒子を含むが、電極を有機検体に対して透過性とするために粒子間に十分な空間を有する。他の実施形態では、電極は巨視的に非連続的な構造を含み得る。例えば、導電性材料が蒸気コーティングされた金属(これは典型的には不透過性である)を含む場合、導電性金属は、連続的な層としてではなく、あるパターン(例えば、格子パターンで、又は実施例1に開示される「櫛形」パターンで)で堆積され得る。
【0039】
図1及び図2を参照すると、第1電極20/120の電気的にアクセス可能な領域25/125、及び第2電極30/130の電気的にアクセス可能な領域35/135が提供され、それにより、これらの領域を通じて動作回路28/128を感知素子に接続することが可能である。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。例えば、このような電気的にアクセス可能な領域は、図1及び図2の代表的な図の電極の縁部に図示され、図3の代表的な図の電極の主表面(123及び133)に図示される。一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、又はタブ)22/122が、第1電極20のアクセス可能な領域と接触するように(例えば、取り付けられる)位置付けられ、それによって感知素子1/101と動作回路28/128との間に電気的接触をつくることができる(例えば、ワイヤー24/124を取り付けることによって)。同様な接続装置32/132を、第2電極30のアクセス可能な領域と接触させるように、同様に位置付けることができる。
【0040】
代表的な感知素子と、平行プレート構成を作製する方法
一実施形態では、図1の断面図の代表的な方法に示される、平行プレートコンデンサの一般的な方法で構成される、感知素子1が製造され得る。このような構成では、感知素子は2つのほぼ平面的な、平行な、対向する電極を含み、検体応答性誘電体層が電極の間に存在して、2つの電極の間の直接的な電気的接触を防ぐ。
【0041】
このような感知素子を作製するための代表的なプロセスでは、支持体40(これは材料の連続的なスラブ、層、又はフィルムであり得る)が提供され、これは、電極の少なくとも一方の近位にあり、完成した感知素子に物理的強度、及び一体性を提供するように機能し得る。ガラス、セラミック、プラスチックなどを含む、任意の好適な材料が使用されてもよい。大規模生産では、ポリマーフィルム(ポリエステルなど)が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、支持体は検体透過性材料(例えば、シリコーンゴム、ミクロ孔質膜など)である。
【0042】
一実施形態では、第1電極20として機能する導電性層が支持体40上に提供される。導電性層は、導電性及び非導電性材料のブレンド又は混合物を含む、上記の材料のいずれかを含んでもよく、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、トランスファーコーティング、スパッタコーティング、物理蒸着、化学蒸着、又はこれらの方法の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な方法によって堆積され得る。別の実施形態では、導電性層は、支持体40の上に予め作製されたフィルム(例えば、金属フォイル、導電性テープなど)を配置することによって提供され得る。この第1電極20は、既述のように、連続的な層又は非連続的な層として提供され得る。
【0043】
一実施形態では、電極20の第1表面21が、支持体40の第1表面41の少なくとも一部の近位にあるように、及び/又はこれに接触するように、導電性層が提供される。別の実施形態では、電極20の第1表面21の少なくとも一部と、支持体40の第1表面41との間に任意の層が存在する。このような任意の層は、この層が感知素子1の機能に干渉しない限りにおいて、任意の目的(第1電極20と支持体40との間の結合の向上など)で使用され得る。
【0044】
感知素子1の製造において、検体応答性誘電体層10がまた提供される。一実施形態では、検体応答性誘電体層10は、層10の第1主表面11が、第1電極20の第2表面23の少なくとも一部と直接接触するように(動作回路への接続のために、第1電極20の少なくとも一部をアクセス可能なままにしておく)、提供される。
【0045】
一実施形態では、検体応答性誘電体材料は、例えば、溶媒コーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷などが挙げられるが、これらに限定されないコーティングプロセスによって、第1電極の近位に配置される。ある実施形態では、誘電体材料は、感知素子の性能を損なうように作用し得る、欠陥、ピンホールなどの存在を極小化するような方法で堆積される。特定の実施形態では、検体応答性誘電体層は、PIM材料の溶液を好適な基材上にコーティングし、溶液を乾燥させてPIM材料を含む固体層を形成することによって堆積される、固有ミクロ孔質のポリマーを含む。
【0046】
検体応答性誘電体層10はまた、他の方法でも提供され得る。例えば、検体応答性誘電体材料の予備形成されたフィルムが、第1電極の第2表面上に配置され得る。別の実施形態では、検体応答性誘電体材料は、特定の形態(例えば、粉末として、懸濁液として、又はゾルとして)で提供され、このような形態で第1電極上に堆積されて粒子状コーティングを形成することができる。必要であれば、このような材料は、検体応答性誘電体材料の連続的なマトリックスを形成するように固化され得る。
【0047】
様々な実施形態において、第2電極30は、第2導電性層を、検体応答性誘電体層10の近位に配置することによって形成され得る。第2電極30は上記の導電性材料を含んでもよく、上記の方法に従って堆積されてもよい。ある実施形態では、(特に、支持体40が検体に対して不透過性である場合)、第2電極は、有機検体に対して透過性となるように、非連続的な構造(やはり前記のように)を含んでもよい。
【0048】
図1に関連し、任意の保護カバー、又は障壁50が、電極の少なくとも一方の近位に提供され得る。一実施形態では、カバー層50を、第2電極30の上に配置することができる(第2電極30の一領域を電気的接触のために、アクセス可能なままにしておく)。任意のこのようなカバー層50は、感知素子1の機能に有意に干渉するべきではない。例えば、感知素子が、対象の検体が検体応答性誘電体層10に到達するためにカバー層50を通過しなくてはならないように構成される場合、カバー層は検体に対して十分に透過性であるべきである。
【0049】
カバー層50は、コーティング(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒コーティング、蒸気コーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷など)を含む、当該技術分野において既知の任意の方法で堆積されてもよい。別の実施形態では、カバー層50は第2電極30上に配置される、予め作製された層(例えば、フィルム、又はテープ)を含み得る。一実施形態では、カバー層50は、カバー層50の第1表面51が、第2電極30の第2表面33の少なくとも一部と直接接触するように提供される。カバー層の第2表面は、感知素子の最も外側の表面であってもよく、あるいは必要であれば、それ自体が追加のコーティング又は層を受けてもよい。
【0050】
一実施形態では、第1電極20の第2表面23と、検体応答性誘電体層10の第1主表面11は直接接触し、その間に介在する層(1つ又は複数)は存在しない。同様に一実施形態では、第2電極30の第1表面31と、検体応答性誘電体層10の第2主表面13が、直接接触し、その間に介在する層(1つ又は複数)は存在しない。このような実施形態が図1に図示される。しかしながら、他の任意の層が、第1電極20と検体応答性誘電体層10との間、及び/又は第2電極30と検体応答性誘電体層10との間に存在し得ることもまた考察される。このような場合、電極のいずれか、又は両方が検体応答性誘電体材料のいくらか、又は全てと直接接していなくてもよい。例えば、電極と検体応答性誘電体層との間の結合を向上するために、結合層(1つ又は複数)が使用されてもよい。又は、電極間のアーク放電の可能性を極小化するために、不動態層(1つ又は複数)(例えば、二酸化ケイ素の層)が、検体応答性誘電体層の表面と電極表面との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のこのような任意の層が使用され得る、あるいは、単一の層が複数の機能を果たし得る。いずれかのこのような任意の層(1つ又は複数)、例えば、上記の結合層、不動態層、保護層、カバー層などが、これらが感知素子の望ましい機能に有意に干渉しない限りにおいて、あらゆる目的のために使用され得る。例えば、感知素子が、検体が検体応答性誘電体層10に到達するために、任意の層を通過しなくてはならないように構成されている場合、任意の層は、対象の検体に対して十分に透過性であるべきである。
【0051】
一般的に、様々な層の縁部が互いにぴったり重なるように位置合わせされ得る(図1の代表的な実施形態に表されるように)。あるいは、様々な相が他の層と重なり合い、及び/又はいくつかの層の縁部が他の層に対して奥にあってもよい。
【0052】
第1電極20上の検体応答性誘電体材料の堆積において、電気的にアクセス可能な領域25が第1電極20上に提供されて、電極と動作回路との間の電気的接触を可能にするべきである。同様に、カバー層が第2電極30の上に配置される場合、電気的にアクセス可能な領域35が同様に提供されるべきである。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、タブなど)22を、第1電極20のアクセス可能な領域25と電気的に接触させてもよい。同様に、接続装置32を、第2電極30のアクセス可能な領域35と同様に接触させてもよい。
【0053】
交互配置構成
別の実施形態では、交互配置コンデンサの一般的な方法で構成される、感知素子が製造され得る。交互配置感知素子の代表的な実施形態が、図2の平面図、図2aの断面図(図2の「2a」と印を付けられた線に沿って取られた)、及び図3の斜視図に図示される。これに関連して、用語「交互配置の」は交互配置構成で存在する少なくとも2つの電極を含む、任意の構成を包含する。このような構成は、交互配置の櫛形パターン(図2、図2a、及び図3に表される)に加えて、当該技術分野において既知の交互配置の螺旋状、又はS字状パターンを含む。これらの設計は全て、(少なくとも)2つの電極が、電極の近位に存在する検体応答性誘電体層と、概して同一平面上の交互配置構成にあるように存在するという共通の特徴を有し、それによって、電極の間に電界が形成されたときに、層中に含まれる検体応答性誘電体材料が電界と相互作用することができる。検体応答性誘電体層/材料は、電極の間(即ち、2つの電極の平面内、及び第1及び第2電極の接近部の任意の2点の間の最も近い線状通路に介在する)に提供され得る。あるいは、検体応答性誘電体層/材料は、電極と同一平面上ではないが、検体応答性誘電体材料が、少なくとも、2つの電極の近接する区分の間に形成される周辺電界に曝露されるように提供され得る。更に別の代替的実施形態では、検体応答性誘電体層が、両方の位置に提供され得る。
【0054】
交互配置電極は、材料のパターン化された堆積のための既知の方法(例えば、マスク蒸着、スクリーン印刷、インクジェット印刷)のいずれかによって、2つの交互配置パターンで導電性材料を堆積することによって提供され得る。電極のパターンの、特定の幾何学的/寸法的特性(間隔、高さ、長さなど)は、所望により設計されてもよい。
【0055】
一実施形態では、交互配置電極は、上記の材料からなり得る支持体140上に提供される。第1電極120及び第2電極130は、典型的には同じ支持体140上に配置され得る。一実施形態(図2、図2a、及び図3に図示される)では、第1電極120の第1表面121、第2電極130の第1表面131、は両方とも、支持体140の第1表面141の少なくともいくらかの部分と直接的に接する。別の実施形態では(図示されない)、任意の層(1つ又は複数)が、上記の任意の層と同様に、電極120及び/又は電極130と、支持体140との間に存在し、同じ問題及び制約を受ける場合がある。
【0056】
図2、図2a、及び図3の代表的な実施形態に例示されるように、第1電極120及び第2電極130のパターン化された堆積は、支持体140の表面141の(又はその上の任意の層の表面の)領域を曝露されたままにすることがある。検体応答性誘電体層は、次に、平行プレート型の感知素子に関して先に記載されたものと同様の方法により、支持体140上に堆積され得る。堆積された検体応答性誘電体材料はしたがって、2つの電極の間の空間(例えば、図2、図2a、及び図3に表される空間117)を埋める。したがって、この実施形態では、検体応答性誘電体層110の第1表面111は、支持体140の表面141の少なくとも一部と直接接触する。図2a及び図3に表されるように、堆積プロセスによってまた、検体応答性誘電体層110が、第1電極の第2表面123、及び第2電極の第2表面133を覆い、これと接触することがある(例えば、電極の一方又は両方がマスクされるなどして、堆積が選択的に行われない限り)。したがって、様々な実施形態において、検体応答性誘電体層110の第1表面111は、第1電極120の第2表面123と、及び/又は第2電極130の第2表面133と、直接接触する。
【0057】
別の実施形態では、任意の層(図2、図2a、又は図3に図示されない)が、第1電極120の第2表面123の上、及び/又は第1電極130の第2表面133の上に提供され得る(この実施形態では、検体応答性誘電体層110の第1表面111と、第1電極120の第2表面123及び/又は第2電極130の第2表面133との間の直接的接触は、生じないことがある)。このような任意の層は、上記のものと同様の目的(保護など)を果たすことがある。しかしながら、交互配置型の感知素子では、電極の一方又は両方の上の任意の層は、検体が、検体応答性誘電体層110の領域117に到達するために任意の層を通過する必要がない場合があるため、検体に対して必ずしも透過性である必要はない場合がある。
【0058】
一実施形態では、任意のカバー層150(これは、保護層、絶縁層、装飾層などとして機能し得る)は、検体応答性誘電体層110の第2表面113の上に堆積され得る。任意のこのようなカバー層は、感知層の機能に有意に干渉するべきではない(例えば、これは対象の検体に対して十分に透過性であるべきである)。このカバー層は、任意の既知のコーティングプロセスによって堆積されるコーティングを含み得る(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒コーティング、蒸気コーティング、トランスファーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷など)。別の実施形態では、カバー層150は、層110の第2表面113の上に配置される予め作製された層(例えば、フィルム又はテープ)を含み得る。
【0059】
検体応答性誘電体材料(及びいずれかの任意のカバー層の)の堆積において、各電極と動作回路との間の電気的接触を可能にするために、電気的にアクセス可能な領域125が第1電極120上に、及びアクセス可能な領域135が第2電極130上に提供されるべきである。このような電気的にアクセス可能な領域は、任意の便利な位置に提供され得る。例えば、このような電気的にアクセス可能な領域125及び135は、図2の代表的な図の電極の縁部上に図示され、かつ図3の代表的な図の電極の表面123及び133上で図示される。
【0060】
一実施形態では、接続装置(例えば、接触パッド、タブなど)122を、第1電極120のアクセス可能な領域125と電気的に接触するように配置してもよい。同様に、接続装置132を、第2電極130のアクセス可能な領域135と同様に接触するように配置してもよい。
【0061】
動作回路
検体応答性誘電体層によって十分な検体が吸収された際に、感知素子に関連する電気的特性(キャパシタンス、インピーダンス、アドミタンス、電流、又は抵抗などが挙げられるがこれらに限定されない)の検出可能な変化が生じ得る。このような検出可能な変化は、第1及び第2電極と電気的に導通する動作回路28/128によって検出され得る。これに関連して「動作回路」とは一般的に、第1電極及び第2電極に電圧を印加する(したがって、電極に電荷の差を付与する)、及び/又は感知素子の電気的特性(電気的特性は有機検体の存在に反応して変化し得る)を監視するために使用され得る電気装置を指す。様々な実施形態において、動作回路は、インダクタンス、キャパシタンス、電圧、抵抗、コンダクタンス、電流、インピーダンス、位相角、損失率、又は散逸のいずれか、又は組み合わせを監視してもよい。
【0062】
このような動作回路は、電極に電圧を印加し、かつ電気的特性を監視することの両方を行う単一の装置を含み得る。別の実施形態では、このような動作回路は、電圧を提供するものと、信号を監視するものとの2つの別個の装置を含んでもよい。動作回路は、ワイヤー24/124及び34/134により、第1電極20/120、及び第2電極30/130に接続されてもよい。別の実施形態では、動作回路は、接続装置22/122及び32/132によって、又は動作回路の一定の部分を各電極の電気的にアクセス可能な領域へ直接的に接触させることによって、のいずれかで第1及び/又は第2電極と直接接触するように提供され得る。例えば、動作回路は、回路基板上、又はフレキシブル回路上(これらのいずれかは、また、支持体40/140として機能し得る)に存在する動作回路が提供され得る。第1電極は次に、回路基盤/支持体40上に直接堆積され得、それによって、これは、動作回路の一部と直接的に接触する。
【0063】
動作回路28/128は、例えば、電源を含んでもよい(これは電池又はハードワイヤード電源を含んでもよく、あるいは、例えば、電力が動作回路内に組み込まれたBFID回路の充電によって間接的に提供されてもよい)。動作回路28/128はまた、電極の充電を制御する、及び/又は充電された感知電極対の1つ以上の電気的特性の変化を監視するように構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。アナログデジタル変換機、感知素子から得られるデータを保存するための記憶装置、感知素子を操作するためのソフトウェア、データロギング及び/又は一方向若しくは双方向のテレメトリ機能を提供する構成要素などもまた存在し得る。
【0064】
検体
例えば、本明細書において開示される感知素子は、有機検体(1つ又は複数)の存在を検出及び/又は監視(定性的であっても、定量的であっても)するために使用され得る。このような検体としては、炭化水素、フッ化炭素、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。検体は、比較的無極性の有機分子、又は比較的極性の有機分子であり得る。検体はいわゆる蒸気、即ち、検体が経験している周囲条件の温度及び圧力において、固体又は液体を形成することができる分子である場合がある(例えば、トルエン、アセトン、ヘプタンなど)。検体はいわゆる気体、即ち、通常、周囲条件において液体又は固体を形成することができない分子である場合がある(ただし、このような分子は、上記の検体応答性誘電体材料の内部細孔中のより高密度の状態を更に含み得る)。このような気体は、メタン、エタンなどを含み得る。いくつかの環境において、有機検体分子の混合が検出され得る。
【0065】
本発明は以下の実施例により更に説明される。以下の実施形態における全ての数値は、用語「およそ」によって修正されるものとしてみなされるべきである。
【実施例】
【0066】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、様々な材料の分子量を測定した。各サンプルは、10mLのTHFを、およそ25mgの材料に加えることによって調製された。溶液は0.25マイクロメートル、テフロン(Teflon)シリンジフィルターを使用して濾過された。100マイクロリットルの溶液を、ウォーターズ(Waters)2695(商標)セパレーションモジュール(Separation Module)(ウォーターズ社(Waters Corp.)(マサチューセッツ州、ミルフォード(Milford)))と組み合わせたカラム6本セット(ジョルディ・アソシエーツ(Jordi Associates)混合床及び500A 25cm長さカラム、ジョルディ・アソシエーツ(Jordi Associates)社(マサチューセッツ州ベリングハム(Bellingham))に注入した。ウォーターズ(Waters)2695(商標)を、溶離液としてTHFを用い、流速1.0mL/分で、35℃にて作動させた。ワイアットドーンEOS型(Wyatt DAWN EOS)多角度レーザー光散乱検出器(カリフォルニア州、サンタバーバラ(Santa Barbara)のワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology)社)と組み合わせた、島津サイエンティフィック(Shimadzu Scientific)RID−10A屈折率検出器(メリーランド州コロンビア(Columbia)の島津サイエンティフィック(Shimadzu Scientific)社)を用いて、濃度変化が検出された。分子量の計算は、ワイアット(Wyatt)社のアストラ(ASTRA)ソフトウェアを用いて、まず各サンプルのdn/dcを算出し、次にこの値を用いて分子量を算出することによって達成された。結果は、Mw(重量平均分子量)、及びMn(数平均分子量)として表現される。
【0067】
PIM1の調製
PIM材料は、バド(Budd)ら「アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)」、2004年、第16巻、第5号、456〜459頁に報告される手順に一般的に従って、モノマー、5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン、及びテトラフルオロテレフタロニトリルから調製された。19.31グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、11.34グラムのテトラフルオロテレフタロニトリル、47.02gの炭酸カリウム、及び500ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で48時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから3回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ95,000の重量平均分子量、及びおよそ64,300の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0068】
PIM2の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された、同じ一般的な手順に従って調製された。19.31グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、11.34gのテトラフルオロテレフタロニトリル、47.02gの炭酸カリウム、及び500ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で48時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから3回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ109,000の重量平均分子量、及びおよそ73,600の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0069】
PIM3の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された、同じ一般的な手順に従って調製された。5.62グラムの5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンが、3.30gのテトラフルオロテレフタロニトリル、13.68gの炭酸カリウム、及び150ミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドと組み合わされ、混合物を65℃で62時間反応させた。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから2回沈殿させ、次に室温の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ65,300の重量平均分子量、及びおよそ35,600の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0070】
PIM4の調製
PIM材料は、PIM1に関して記載された同じ一般的な手順に従って調製されたが、ただし、再結晶させた5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンを使用した。重合における使用の前に、アルドリッチ(Aldrich)から購入した5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダンをTHE/ヘプタン(1.2:1)から再結晶させた。33.44グラムの再結晶させた5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン、及び19.80gのテトラフルオロテレフタロニトリルを900mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド内に溶解させた。窒素を、攪拌される溶液中で、1時間バブリングした。81.45グラムの炭酸カリウムをモノマー溶液に加えた。得られる混合物を、67℃で、67.5時間、激しく攪拌した。得られたポリマーを、テトラヒドロフラン内に融解させ、メタノールから2回沈殿させ、次に65℃の真空下で乾燥させた。光散乱検出を使用するゲル透過クロマトグラフィー分析によって決定した際に、およそ58,900の重量平均分子量、及びおよそ35,800の数平均分子量を有する黄色い固体生成物が得られた。
【0071】
サンプル1の調製
清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)が、1.3mPa(1×10−5トール)の基本圧力で動作するCHAインダストリーズ(CHA Industries)マーク−50蒸発器、及びA−2049号アルミニウムペレット(99.995%純度、6×6mm、セラック(Cerac)社から)を使用して、アルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングでコーティングされた。アルミニウムコーティングは、15オングストローム/秒の割合で堆積された。最終的な厚さは100nmであった。ダイヤモンドチップペンを使用して、一方の縁部からおよそ5mmでアルミニウム処理したガラスに切り目を入れた。切り目を入れたアルミニウム処理されたガラスの断片は、サンプルの縁部の周囲全体に、マスクされたアルミニウム表面の縁が存在するように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。マスクされた領域が、切り目の線から更に2mmであるように注意が払われた。クロロベンゼンのPIM1、4重量%溶液が調製され、ペンシルベニア州ノースウェールズ(North Wales)の、ローレル・テクノロジーズ(Laurell Technologies)社によって製造される、WS−400B−8NPP−ライトシングルウエファース(Lite Single Wafer)ピンプロセッサを使用して、1200rpmで2分間にわたり、マスクされたサンプル上へとスピンコーティングされた。第2電極は、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社(韓国)から商標名シルバージェット(Silverjet)DGP−40LT−25Cから入手可能な、銀ナノ粒子懸濁液(メタノール中に懸濁され、30nm平均粒径)を使用して作製された。この受容されたままの懸濁液が0.5gの量で、1ミリリットルのメタノールと混合された。希釈された銀ナノ粒子懸濁液は、1000rpmで2分間、PIMフィルム上にスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルは、従来的な乾燥炉で、150℃で3時間にわたって加熱された。予め作製されたマスクをサンプルに取り付けることにより、一連の1mm幅×4mm長さのアルミニウムタブが、サンプルの切り目の線に最も近い側に作製され、それによって、アルミニウムタブが、第2電極を下部アルミニウム電極に接続した。カート・レスカー真空システム内で、0.13mPa(1×10−6トール)の基本圧力で、アルミニウム蒸発が実行された。アルファ・エーザ(Alfa Aesar)から購入された純度99.999%のアルミニウムが、5オングストローム/秒の割合で、タングステンボートから熱的に蒸発された。最終的な厚さは100nmであった。この手順は、したがって、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス(支持)層を提供し、これに動作回路を接触させることができる。PIM材料(およそ600nm厚さ)を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム誘電体の上にあった。微視的に非連続的な(したがって検体透過性の)銀層(およそ300nm厚さ)を含む第2電極が、PIM材料の上にあった。この第2電極は、アルミニウムタブによってより小さいアルミニウムコーティングされた領域と接触し、その結果、第2電極は、回路をより小さいアルミニウムコーティングされた領域に取り付けることによって動作回路に接続されることができた。
【0072】
サンプル2の調製
清浄化されたガラスの断片が、サンプル1について記載されたように、アルミニウムでコーティングされ、切り目を入れられ、PIM1でコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉で、150℃で1時間にわたって加熱された。パターンを有する第2電極が、PIM材料の上にインクジェット印刷されて、このサンプルの作製を完了した。第2電極をインクジェット印刷するために、ビットマップイメージ(インチ当たり702ドット)が、アドビ・フォトショップ(Adobe Photoshop)内に作製され、次にXY堆積システム(XY deposition system)にダウンロードされた。銀を堆積するために使用されるプリントヘッドは、10pLの液滴容積、及び128ジェット/開口部を有するディマティックス(Dimatix)SX3−128プリントヘッドであり、プリントヘッドアセンブリはおよそ6.5cm長さであり、ジェットとジェットの間隔は約508マイクロメートルであった。この電極を作製するために使用される銀ナノ粒子ゾルは、カボット(Cabot)社から、商標名AG−IJ−G−100−S1で得られた。この銀ナノ粒子ゾルはおよそ15〜40重量%エタノール、15〜40重量%エチレングリコール、及び20重量%銀であった。サンプルは、多孔質アルミニウム真空プラテンの使用により、インクジェット印刷プロセスの間、しっかりと固定された。印刷を完成した際に、サンプルが多孔質アルミニウム真空プラテンから取り除かれ、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。
【0073】
インクジェット印刷された銀電極は櫛上のパターンを含み、これは、一方の縁部から線が延びる中実の矩形からなっていた。印刷された電極の矩形部分は、矩形の一部がより小さいアルミニウムコーティングされた領域の一部の上にあるように(ワイヤーをより小さいアルミニウムコーティングされた領域に取り付けることによって、上部電極との電気的接触が達成され得るように)位置付けられ、第2の印刷された電極の残部がPIM材料の上にあった。電極上の線は、およそ8.3mm長さ、及びおよそ102マイクロメートル幅であるように設計された。線の間の空隙は、およそ152マイクロメートルであるように設計された(これらの寸法は全て、ビットマップイメージの公称直径であり、実際の「印刷された」寸法ではないことに留意するべきである)。
【0074】
この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層がアルミニウム電極の上にあり、櫛状パターンの、銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0075】
サンプル3の調製
交互配置電極変換器は、ポリイミド支持層(厚さおよそ52マイクロメートル)上に銅を蒸着(およそ43マイクロメートルの厚さ)することによって作製された。電極は、導電性リードに接続された、0.5cm×0.5cmの寸法の、交互配置櫛状パターンを含んだ。電極線は、およそ20マイクロメートルの幅、及びおよそ40マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM1、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に2500rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。テープがマスクされたサンプルから取り除かれた。この手続きはしたがって、第1及び第2の交互に配置された銅電極を有するポリイミド支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0076】
サンプル4の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ320マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0077】
サンプル5の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ120マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0078】
サンプル6の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ80マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)は、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0079】
サンプル7の調製
交互配置電極変換器が、ポリマー支持層に金を蒸着させることによって作製された。金は次に、導電性リードに接続される、1.2cm×1.0cmの寸法の交互配置櫛状パターンを含むように、フォトリソグラフ的に画定された。電極線はおよそ40マイクロメートルのピッチを有した。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2の4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に、1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手順はしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0080】
サンプル8の調製
金コーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)(デラウェア州、ウィルミントン、E.I.デュポン・デ・ネモース・アンド・カンパニー(DuPont de Nemours and Company)、ST504)基材が、20オングストロームのクロミウム、続いて100nmの金を熱蒸発(ニュージャージー州、ムーアズタウン(Moorestown)デントン・バキューム(Denton Vacuum)DV−502A)させることによって調製された。
【0081】
エラストマースタンプを成形するために使用されるマスターツールは、フォトリソグラフィーを使用して、10cm直径シリコンウェファー上にフォトレジスト(ペンシルバニア州、フィラデルフィア(Philadelphia)の、ローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)、シプレー(Shipley)1818)のパターンを調製することによって生じる。エラストマースタンプは、未硬化ポリ(ジメチルシロキサン)が(ミシガン州、ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)、シルガード(Sylgard)(商標)184、PDMS)を、ツールに、およそ3.0mmの厚さまで注ぐことによって、マスターツールに対して成形された。マスターと接触する未硬化シリコーンは、真空に曝露することによって脱気され、その後70℃で2時間にわたって硬化された。マスターツールから取り出した後、PDMSスタンプは、およそ1.8マイクロメートルの高さで隆起した形状を含む、レリーフパターンを付与された。このスタンプで、およそ3マイクロメートルの幅、及びおよそ10マイクロメートルのピッチを有する、交互配置電極変換器が製造された。
【0082】
交互配置電極変換器を作製するために、構造化されたスタンプは、その後部(レリーフパターンを有さない平坦な表面)をエタノール中の10mMオクタデシルチオール(マサチューセッツ州、ウェルズリーヒルズ(Wellesley Hills)、TCIアメリカ(TCI AMERICA)、「ODT」O0005)の溶液と20時間接触させることによって、インクを塗布された。金コーティングされたPETフィルムは、まずフィルムサンプルの縁部をスタンプ表面に接触させ、次におよそ3.0cmの直径を有するローラーを使用し、フィルムをスタンプにわたってロールで接触させることによって、スタンプのレリーフパターンを有する表面(この面を上に向けた)に接触させた。次に金コーティングされたPETフィルムを、スタンプと20秒間接触させたままにし、これによってパターンを有するチオールの自己組織化単分子膜(SAM)を金の表面上に配置した。金コーティングされたPETフィルムは次に、スタンプから剥がされた。印刷されたパターンを有する金コーティングされたPETフィルムは、次に、選択的エッチング及び金属パターニングのために、50秒間にわたって、エッチング溶液に浸された。エッチング液は、1.0グラムのチオ尿素(ミズーリ州、セントルイス(St. Louis)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、T8656)、0.54ミリリットルの濃縮塩酸(ニュージャージー州、ギッブスタウン(Gibbstown)、EMDケミカル(EMD Chemicals)、HX0603−75)、0.5ミリリットルの過酸化水素水(ニュージャージー州、フィリップスバーグ(Phillipsburg)、マリンクロート・ベーカー(Mallinckrodt Baker)5240−05、30%)、及び21グラムの脱イオン水を含む。金をパターンエッチングした後、2.5グラムの過マンガン酸カリウム(ニュージャージー州、ギッブスタウン(Gibbstown)、EMDケミカルズ(EMD Chemicals)、PX1551−1)、4グラムの水酸化カリウム(ミズーリ州、セントルイス(St. Louis)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、484016)及び100ミリリットルの脱イオン水の溶液を使用して、残りのクロムがエッチングされた。交互配置変換器は、変換器の2つの端部がテープで覆われ、テープの断片の1つが導電性リードを完全に覆うように、5cm×5cmのガラスの断片にテープで留められた。クロロベンゼン中のPIM2、4重量%溶液(上記のように調製される)が、マスクされたサンプル上に1200rpmで2分間にわたってスピンコーティングされた。マスクされたサンプルからテープが取り除かれ、サンプルが従来的な乾燥炉内で、100℃で1時間にわたって加熱された。この手続きはしたがって、第1及び第2の交互に配置された金電極を有するポリマー支持層を提供した。およそ400nm厚さのPIM材料を含む、検体応答性誘電体層が、交互配置電極の上にあった。
【0083】
サンプル9の調製
マスクを使用し、清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)の1.2cm×2.0cmの角部が、まず10nmのチタンと続く100nmのアルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングにより、サンプル1の調製において上記された装置を用いて蒸気でコーティングされた。PIM3のクロロベンゼン溶液が使用されて、ガラス断片上全体に750nm厚さの層をスピンコーティングした。少量のアセトンを含むスワブを使用して、PIM層を取り除き、動作回路への接続のために、下部アルミニウム電極の小さな角部を曝露した。サンプル2の調製において上記されたインクジェット印刷方法を使用して、銀ナノ粒子ゾル(カボット(Cabot)AG−IJ−G−100−S1)の0.9cm×1.5cmの矩形がPIM層の上部に印刷され、矩形の0.9cm×1.0cmの部分のみが下部アルミニウム電極の真上にあるように位置付けられた。印刷を完成した際に、サンプルが、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。上部電極に接続するための能力を改善するために、上部のインクジェット印刷された電極を、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社、銀ナノ粒子懸濁液(アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社からの、シルバージェットDGP−40LT−25C)を使用して厚くした(下部アルミニウム電極の真上にない領域のみ)。この厚くする工程は、単にペイントブラシを使用して所望の領域上にナノ粒子懸濁液を塗布することによって、達成された。厚くする工程の後、サンプルは、従来的な乾燥炉内で、150℃で1時間にわたって乾燥された。この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム電極の上にあり、微視的に非連続的な(したがって、検体透過性の)銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0084】
サンプル10の調製
マスクを使用し、清浄化されたガラスの断片(2.5cm×2.5cm)の1.2cm×2.0cmの角部が、まず10nmのチタンと続く100nmのアルミニウムの連続的な(パターンを有さない)コーティングにより、サンプル1の調製において上記された装置を用いて蒸気でコーティングされた。PIM4のクロロベンゼン溶液が使用されて、ガラス断片上全体に400nm厚さの層をスピンコーティングした。少量のアセトンを含むスワブを使用して、PIM層を取り除き、動作回路への接続のために、下部アルミニウム電極の小さな角部を曝露した。サンプル2の調製において上記されたインクジェット印刷方法を使用して、銀ナノ粒子ゾル(カボット(Cabot)AG−IJ−G−100−S1)の0.9cm×1.5cmの矩形がPIM層の上部に印刷され、矩形の0.9cm×1.0cmの部分のみが下部アルミニウム電極の真上にあるように位置付けられた。印刷を完成した際に、サンプルが、サーモライン(Thermolyne)熱版上に125℃で15分間にわたって配置された。上部電極に接続するための能力を改善するために、上部のインクジェット印刷された電極を、アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社、銀ナノ粒子懸濁液(アドバンスト・ナノ・プロダクツ(Advanced Nano Products)社からの、シルバージェットDGP−40LT−25C)を使用して厚くした(下部アルミニウム電極の真上にない領域のみ)。この厚くする工程は、単にペイントブラシを使用して所望の領域上にナノ粒子懸濁液を塗布することによって、達成された。厚くする工程の後、サンプルは、従来的な乾燥炉内で、150℃で1時間にわたって乾燥された。この手順は、連続的なアルミニウムを含む第1電極を有するガラス支持層を提供した。PIM材料を含む検体応答性誘電体層が、アルミニウム電極の上にあり、微視的に非連続的な(したがって、検体透過性の)銀層を含む第2電極がPIM層の上に存在した。動作回路は、サンプル1に関して記載されたものと同様の方法で、電極に取り付けることができた。
【0085】
サンプル1の試験
測定のために、単純な貫流特注デリバリーシステムを使用して既知の濃度のアセトンをサンプルに供給した。デリバリーシステム全体にわたって、テフロンチューブを使用した。液体形態のアセトンを含む容器にわたって窒素が散布され、アセトンで飽和した窒素気流を提供するために、低温に維持された。液体アセトンが、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)社からの冷却装置を使用して低温に維持され、アセトンの飽和気流をつくるために、冷却装置を維持するべき温度は、蒸気圧のハンドブック(Handbook of Vapor Pressure)(ヨーズ(Yaws)C.I.ガルフ出版(Gulf Publishing)、ヒューストン(Houston)、1994年)を使用して算出された。飽和した気体アセトン流は、一連の流量制御装置を使用して、追加の窒素で希釈された。気流中のアセトンの濃度は、赤外線分光計(マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham)の、サーモエレクトロン(Thermo Electron)から、商標名ミランサファイア(Miran Sapphire)で入手可能)の使用によって検量された。気体アセトン流が、サンプル1を含むサンプルチャンバ(制御された温度に維持される)内に導入された。サンプルの第1及び第2電極が、ワニ口クリップを使用して、LCRメーター(カリフォルニア州、チノ(Chino)のインステック・アメリカ(Instek America)社から、商標名インステック(Insted)モデル821 LCRメーターで入手可能)を含む動作回路に接続された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、蒸気試験(図4に示される)の経過全体において、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。
【0086】
サンプルがまず、周囲条件(室内空気、およそ58%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。次にサンプルは、時間=0から初め、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、及び20℃)に曝露された。試験チャンバは次に密閉され、394ppmのアセトンを含む気体窒素流が、第1の時間にわたって、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露を更に2度繰り返し、サンプルは、各アセトンへの曝露の後に、アセトンを含まない乾燥窒素気流に曝露された。最後に乾燥窒素に曝露した後、サンプルは、915ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は651ppmまで、次に394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、51%相対湿度)に曝露された。
【0087】
サンプル2の試験
サンプル2(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、蒸気試験(図5に示される)の経過全体において、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ64%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。サンプルは次に、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。試験チャンバは密閉され、394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が更に二度繰り返され、その度、続いて乾燥窒素に曝露された。その後、サンプルは、133、394、651、及び915ppmを含む、一連の窒素気流に曝露され、サンプルは、各曝露の間にアセトンを含まない乾燥窒素環境に戻された。最後に乾燥窒素に曝露した後、サンプルは、915ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は651ppmまで、次に394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、64%相対湿度)に曝露された。
【0088】
サンプル3の試験
サンプル3(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図6に示される)の間、特定の時間間隔で、20キロヘルツの周波数で監視された。蒸気試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、40%相対湿度、図6に図示されない)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。サンプルは次に、乾燥窒素(8%相対湿度、20℃)に曝露された。試験チャンバは密閉され、133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された(図6において、乾燥窒素への曝露と133ppmアセトンへの曝露との間のピークはアーティファクトであった)133ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、394ppmまで増加された。394ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、651ppmまで増加された。651ppmアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は、915ppmまで増加された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、40%相対湿度)に曝露された。
【0089】
サンプル4の試験
サンプル4(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図7に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ50%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。
【0090】
サンプル5の試験
サンプル5(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図8に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ52%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、50%相対湿度)に曝露された。
【0091】
サンプル6の試験
サンプル6(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図9に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ71%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、71%相対湿度)に曝露された。
【0092】
サンプル7の試験
サンプル7(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図10に示される)の間、特定の時間間隔で、10キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ74%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に651ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、71%相対湿度)に曝露された。
【0093】
サンプル8の試験
サンプル8(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ピコファラッドで)の変化は、試験(図11に示される)の間、特定の時間間隔で、200キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが周囲室内条件(空気、およそ66%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。133ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。394ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。試験チャンバが次に乾燥窒素環境に戻された。394ppmのアセトンへの曝露が繰り返され、続いて乾燥窒素に曝露された。乾燥窒素に曝露した後、サンプルは次に133ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に651ppmまで、段階的に増加された。651ppmのアセトンでの一定時間の後、アセトンの濃度は394ppmまで、次に133ppmまで、段階的に低減された。その後、サンプルは乾燥窒素に曝露された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、65%相対湿度)に曝露された。
【0094】
サンプル9の試験
サンプル9(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、試験の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。図12では、データは、経時的なキャパシタンス比(ΔC/Co)(絶対的キャパシタンスとは対照的に)の変化としてプロットされる。サンプルが試験チャンバ内に配置され、試験チャンバが密閉された。サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された(図12には図示されない)。これらの乾燥窒素条件下におけるサンプルのキャパシタンスは、実験全体を通じてCo値として使用された。実験全体が20℃の定温で行われ、したがって相対湿度値は、この温度において算出された。サンプルは次に、12%の相対湿度を含む窒素気流に曝露された。一定時間の後、サンプルは、12%相対湿度、及び50ppmのアセトンを含む窒素気流に曝露された。相対湿度を12%に維持しながら、アセトンの濃度を、250、500、及び1000ppmへと、連続的に増加させた。試験チャンバは次に、12%相対湿度の窒素環境へと戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、24%まで増加された。サンプルは次に、24%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、24%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、39%まで増加された。サンプルは次に、39%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、39%相対湿度窒素環境に戻された。試験チャンバは次に、乾燥窒素環境(8%相対湿度)へと戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、56%まで増加された。サンプルは次に、56%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、56%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、70%まで増加された。サンプルは次に、70%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。試験チャンバは次に、70%相対湿度窒素環境に戻された。一定時間の後、窒素気流の相対湿度は、88%まで増加された。サンプルは次に、88%の一定相対湿度で、アセトンの濃度の増加に連続的に曝露された(50、250、500、及び1000ppm)。サンプルは次に、88%の相対湿度で、0ppmのアセトンを含む気体流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境(8%相対湿度)へと戻された。
【0095】
サンプル10の試験
サンプル10(上記のように調製される)は、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)の変化は、試験の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。図13では、データは、経時的なキャパシタンス比(ΔC/Co)の変化としてプロットされる。サンプルが試験チャンバ内に配置され、試験チャンバが密閉された。サンプルは次に、乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。これらの乾燥窒素条件下におけるサンプルのキャパシタンスは、実験全体を通じてCo値として使用された。5ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。サンプルは次に10ppmのアセトンを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、アセトンの濃度は20ppmまで増加された。その後、サンプルは、50、100、200、及び500ppmのアセトンを含む、一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境に戻された。(図13の、200と500ppmのアセトンへの曝露の間におけるキャパシタンス比の低下は、検体の供給における問題によって生じたアーティファクトである。)
【0096】
サンプル11の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、トルエンに対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図14に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ29%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。16ppmのトルエンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。一定時間の後、トルエンの濃度は26ppmまで増加された。その後サンプルは、48、91、及び175ppmのトルエンを含む一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。
【0097】
サンプル12の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、ヘキサンに対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図15に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ23%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。チャンバが密閉され、サンプルが次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。73ppmのヘキサンを含む乾燥窒素気流が、次に試験チャンバ内に導入された。一定時間の後、アセトンの濃度は117ppmまで増加された。その後サンプルは、231、322、及び408ppmのヘキサンを含む一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。
【0098】
サンプル13の試験
サンプル2の調製に関して記載されたものと同様の方法で調製された新しいサンプルが、サンプル1に関して記載されたものと同じ段取りを使用して、イソプロピルアルコール(IPA)に対する反応について試験された。サンプルのキャパシタンス(ナノファラッドで)における変化は、試験(図16に示される)の間、特定の時間間隔で、1キロヘルツの周波数で監視された。試験の最初に、サンプルが、周囲室内条件(空気、およそ23%相対湿度)におけるサンプルの初期キャパシタンスを測定するために、密閉されていない試験チャンバ内に配置された。試験チャンバが密閉され、サンプルは次に乾燥窒素(およそ8%相対湿度、20℃)に曝露された。45ppmのイソプロピルアルコール(IPA)を含む乾燥窒素気流が、試験チャンバ内に導入された。次に試験チャンバが、乾燥窒素環境に戻された。サンプルは次に15ppmのIPAを含む乾燥窒素気流に曝露された。一定時間の後、IPA濃度は23ppmまで増加された。その後サンプルは、45、87、171、及び254ppmのIPAを含む、一連の窒素気流に曝露された。サンプルは次に、乾燥窒素環境へと戻された。試験チャンバが次に開かれ、サンプルは周囲条件(空気、26%相対湿度)に曝露された。
【0099】
本発明の多数の実施形態を記載してきた。いずれにしても、本発明から逸脱することなく様々な修正を行ってもよいことが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲の範疇にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化学検体を感知するための感知素子であって、
第1電極及び第2電極と、
前記第1及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料であって、固有ミクロ孔質のポリマーであるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料と、
を含む、感知素子。
【請求項2】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項1に記載の感知素子。
【請求項3】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーが、前記リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項2に記載の感知素子。
【請求項4】
前記ねじれ点が、スピロ基、架橋環部又は立体的に密集した単一の共有結合であり、その周囲では回転が制限される、請求項2に記載の感知素子。
【請求項5】
前記電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である、請求項1に記載の感知素子。
【請求項6】
前記透過性の電極が、導電性材料の非連続的な層を含む、請求項5に記載の感知素子。
【請求項7】
前記透過性の電極が、導電性材料のパターン層を含む、請求項6に記載の感知素子。
【請求項8】
前記感知素子が、平行プレートコンデンサ構成を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項9】
前記感知素子が、交互配置コンデンサ構成を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項10】
前記感知素子が、前記電極の少なくとも一方に近接する支持体を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項11】
前記感知素子が、前記電極の少なくとも一方と近接するカバー層を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項12】
前記カバー層が、有機化学検体に対して透過性である、請求項11に記載の感知素子。
【請求項13】
有機化学検体を感知するためのセンサーであって、
第1電極及び前記第2電極、並びに前記第1及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、前記ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料は固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、
前記第1及び前記第2電極と電気的に導通する動作回路であって、前記第1及び前記第2電極に電圧を印加することができ、前記感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、
を含む、センサー。
【請求項14】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって連結される、ほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が、非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記ねじれ点が、スピロ基、架橋環部又は立体的に密集した単一の共有結合であり、その周囲では回転が制限される、請求項14に記載のセンサー。
【請求項17】
前記電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である、請求項13に記載のセンサー。
【請求項18】
有機化学検体を感知する方法であって、
第1電極及び第2電極、並びに前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、前記ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料は、固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、
前記第1及び前記第2電極と電気的に導通する動作回路であって、前記第1及び前記第2電極に電圧を印加することができ、前記感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、
を含むセンサーを提供する工程と、
前記感知素子を1つ以上の有機化学検体を潜在的に含む環境に曝露する工程と、
電圧を前記第1及び前記第2電極に印加する工程と、
前記感知素子の電気的特性を監視する工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
前記感知素子がコンデンサを含み、監視される前記電気的特性が前記感知素子の容量特性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
測定される前記特性が、前記感知素子のキャパシタンスである、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
有機化学検体を感知するための感知素子であって、
第1電極及び第2電極と、
前記第1及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料であって、固有ミクロ孔質のポリマーであるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料と、
を含む、感知素子。
【請求項2】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項1に記載の感知素子。
【請求項3】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーが、前記リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項2に記載の感知素子。
【請求項4】
前記ねじれ点が、スピロ基、架橋環部又は立体的に密集した単一の共有結合であり、その周囲では回転が制限される、請求項2に記載の感知素子。
【請求項5】
前記電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である、請求項1に記載の感知素子。
【請求項6】
前記透過性の電極が、導電性材料の非連続的な層を含む、請求項5に記載の感知素子。
【請求項7】
前記透過性の電極が、導電性材料のパターン層を含む、請求項6に記載の感知素子。
【請求項8】
前記感知素子が、平行プレートコンデンサ構成を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項9】
前記感知素子が、交互配置コンデンサ構成を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項10】
前記感知素子が、前記電極の少なくとも一方に近接する支持体を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項11】
前記感知素子が、前記電極の少なくとも一方と近接するカバー層を含む、請求項1に記載の感知素子。
【請求項12】
前記カバー層が、有機化学検体に対して透過性である、請求項11に記載の感知素子。
【請求項13】
有機化学検体を感知するためのセンサーであって、
第1電極及び前記第2電極、並びに前記第1及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、前記ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料は固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、
前記第1及び前記第2電極と電気的に導通する動作回路であって、前記第1及び前記第2電極に電圧を印加することができ、前記感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、
を含む、センサー。
【請求項14】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって連結される、ほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が、非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記固有ミクロ孔質のポリマーが、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含み、前記剛性リンカーは、前記リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する、請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記ねじれ点が、スピロ基、架橋環部又は立体的に密集した単一の共有結合であり、その周囲では回転が制限される、請求項14に記載のセンサー。
【請求項17】
前記電極の少なくとも一方が、有機化学検体に対して透過性である、請求項13に記載のセンサー。
【請求項18】
有機化学検体を感知する方法であって、
第1電極及び第2電極、並びに前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも近位に配置されるミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料を含む感知素子であって、前記ミクロ孔質で疎水性の検体応答性誘電体材料は、固有ミクロ孔質のポリマーである、感知素子と、
前記第1及び前記第2電極と電気的に導通する動作回路であって、前記第1及び前記第2電極に電圧を印加することができ、前記感知素子の電気的特性の変化を検出することができる動作回路と、
を含むセンサーを提供する工程と、
前記感知素子を1つ以上の有機化学検体を潜在的に含む環境に曝露する工程と、
電圧を前記第1及び前記第2電極に印加する工程と、
前記感知素子の電気的特性を監視する工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
前記感知素子がコンデンサを含み、監視される前記電気的特性が前記感知素子の容量特性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
測定される前記特性が、前記感知素子のキャパシタンスである、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−540966(P2010−540966A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528029(P2010−528029)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/076781
【国際公開番号】WO2009/045733
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/076781
【国際公開番号】WO2009/045733
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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