説明

ミストサウナ装置

【課題】 ミストサウナの快適性を維持しながらランニングコストを抑制できる経済的なミストサウナ装置を提供すること。
【解決手段】 温水供給手段の運転を制御する運転制御手段は、運転開始からサウナ用空間の温度が目標温度になるまでは、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように、温水供給手段を作動させる立上げ運転処理、及び、サウナ用空間の温度を目標温度に維持すべく、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量を調整する浴用運転処理を実行するように構成され、且つ、浴用運転処理においては、噴霧手段から噴霧される温水の温度を変更する噴霧温度制御状態と噴霧手段から噴霧される温水の量を変更する噴霧量制御状態とに切換え自在に構成されているミストサウナ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サウナ用空間に温水をミスト状に噴霧する噴霧手段に温水を供給する温水供給手段と、その温水供給手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられたミストサウナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなミストサウナ装置として、サウナ用空間を快適な状態に保持するため、温水供給手段が供給する温水の温度を調整する運転制御手段を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のミストサウナ装置は、ミスト運転の開始が指令されると、熱源機を作動させるとともに、液々熱交換器側比例弁を開弁させて、熱源機から液々熱交換器への熱媒の供給を開始させる。その後、熱媒サーミスタの検出温度が加熱用設定温度以上になり、加熱可能状態を検出すると、温水断続弁及び水量調整弁を開弁させて、ミスト噴出部への温水の供給を開始させ、ミスト出湯温サーミスタの検出温度がミスト用設定温度になるように水量調整弁の開度を調整して、液々熱交換器への温水通流量を調整する。こうして、ミスト運転スイッチがOFF操作されるまで、液々熱交換器への温水通流量を調整しながら、ミスト噴出部にてミスト用設定温度の温水を浴室内にミスト状に噴出させる。
【0003】
ちなみに、従来から、ミストサウナ装置では、サウナ用空間の温度が目標温度に到達する前後で、温水温度の制御方法を切換える運転方式を採用したものがある。具体的には、
運転開始からサウナ用空間の温度が目標温度になるまでは、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量が、サウナ用空間の温度を上昇させることができる程度に高付与熱量となるように温水供給手段を作動させる立上げ運転を行い、サウナ用空間の温度が目標温度になると、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量が、サウナ用空間の温度を目標温度に維持できる程度の適切付与熱量となるように温水供給手段を作動させる浴用運転を行う運転方式が採用されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−334230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミストサウナ装置は、噴霧される高温ミストによるサウナとしての快適性が得られる点では優れているが、噴霧されたミストは保有する熱量を完全に放出する前に凝集してしまい、そのまま排水として排出されるので、熱量が含まれた状態の排水が排出されることになり、排水の量に応じた熱エネルギーが捨てられてしまうものとなっている。
【0006】
こうした事情から、ミストサウナ装置の使用に当たっては、ランニングコストが高く付くという問題がある。つまり、噴霧されたミストが凝集して液体になった時点でもある程度の熱量を有する以上、排水として捨てられる熱量は相当なものであり、従来のミストサウナ装置は、十分なランニングコストの低減が図れるものではなく、ミストサウナを使用する場合のランニングコストの低減については改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑み、ミストサウナの快適性を維持しながらランニングコストを抑制できる経済的なミストサウナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴は、サウナ用空間に温水をミスト状に噴霧する噴霧手段に温水を供給する温水供給手段と、その温水供給手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられたミストサウナ装置において、前記運転制御手段が、運転開始から前記サウナ用空間の温度が目標温度になるまでは、前記噴霧手段から噴霧される温水によって前記サウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように、前記温水供給手段を作動させる立上げ運転処理、及び、前記サウナ用空間の温度を前記目標温度に維持すべく、前記噴霧手段から噴霧される温水によって前記サウナ用空間に付与される熱量を調整する浴用運転処理を実行するように構成され、且つ、前記浴用運転処理においては、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を変更する噴霧温度制御状態と前記噴霧手段から噴霧される温水の量を変更する噴霧量制御状態とに切換え自在に構成されている点にある。
【0008】
本発明の第1特徴によると、サウナ用空間の温度が目標温度になるまでは、立上げ運転処理が実行されて、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるので、ミストサウナを使用するに当たって、サウナ用空間の温度を短時間で目標温度にすることができる。
そして、運転制御手段は、浴用運転処理においては噴霧温度制御状態と噴霧量制御状態とに切換え自在に構成されているから、ミストサウナ装置を使用する環境条件に応じて、何れか適切な方の制御状態を選択して浴用運転処理を実行することができる。
【0009】
例えば、夏場の高温多湿な環境の下でミストサウナ装置を使用する場合などのように、ミストサウナ空間に噴霧される温水の量が多少変化してもミストサウナの快適性が損なわれないような使用環境であれば、噴霧量制御状態で浴用運転処理を実行して目標温度を維持するようにすればよい。この場合は、噴霧手段から噴霧される温水の量が調節されて熱量を有する排水の発生を抑制することができるので、当該環境の下で感じられるミストサウナの快適性を損なわずにランニングコストを抑制することができる。
また、冬場の低温低湿度な環境の下でミストサウナ装置を使用する場合などのように、ミストサウナ空間に噴霧される温水の量が変化するとミストサウナの快適性が損なわれ易いような使用環境であれば、噴霧温度制御状態で浴用運転処理を実行して目標温度を維持するようにすればよい。この場合は、噴霧手段から噴霧される温水の温度を調節して熱量を有する排水の発生を抑制することができるので、当該環境の下で感じられるミストサウナの快適性を損なわずにランニングコストを抑制することができる。
なお、冬場の低温低湿度な環境の下でミストサウナ装置を使用する場合には、サウナ用空間から外部に奪取される熱量が比較的多いため、噴霧される温水によって付与される熱量のうち比較的大部分がサウナ用空間を目標温度に維持するために放出されると考えられるので、排水として捨てられる熱エネルギーは排水量の割には小さくなる。
【0010】
このように、本発明の第1特徴によると、使用環境に応じて浴用運転処理における運転制御状態を適切な方に切換えることにより、ミストサウナの快適性を維持しながらランニングコストを抑制できる経済的なミストサウナ装置を得ることができる。
【0011】
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴において、前記サウナ用空間から外部に奪取される奪取熱量の多少を検出する熱負荷検出手段が備えられ、前記運転制御手段は、前記浴用運転処理において、前記熱負荷検出手段の検出情報に基づいて前記奪取熱量が多い高負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整し、且つ、前記熱負荷検出手段の検出情報に基づいて前記奪取熱量が少ない低負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整するように構成されている点にある。
【0012】
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第2特徴によると、熱負荷検出手段がサウナ用空間から外部に奪取される奪取熱量の多少を検出し、運転制御手段の運転状態が、この熱負荷検出手段の検出情報に基づいて判別される負荷状態に応じて、噴霧温度制御状態と噴霧量制御状態とに自動的に切換えられるので、夏場のような低負荷状態である場合には、浴用運転処理の運転状態が自動的に噴霧量制御状態に切換えられ、冬場のような高負荷状態である場合には、浴用運転処理の運転状態が自動的に噴霧温度制御状態に切換えられることになる。したがって、ユーザーは、使用環境に応じてわざわざ運転状態の切換え操作を行わなくても、運転費用の節約を無意識のうちに行うことができる。
このように、本発明の第2特徴によると、ミストサウナの快適性を維持しながらランニングコストを抑制できる経済的なミストサウナ装置の好適な実施形態を得ることができる。
【0013】
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴において、前記熱負荷検出手段が、前記サウナ用空間から排出される排水の温度に基づいて、前記奪取熱量の多少を検出するように構成されている点にある。
【0014】
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第3特徴によると、熱負荷検出手段は、サウナ用空間から排出される排水の温度に基づいて奪取熱量の多少を検出する。サウナ用空間から排出される排水は、サウナ用空間に充満するミストが、温度低下等により凝集した結果発生するものであるから、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量を把握していれば、排水の温度を計測することで、サウナ用空間に付与された熱量のうちいかほどの熱量が、サウナ用空間から外部に奪取される奪取熱量を補填するために消費されたかを間接的に把握することができる。また、排水の温度の計測は、サーミスタや水温計等の温度計測手段を排水が排出される流路に設ける等、簡単な構成で実現できるものである。
このように、本発明の第3特徴によると、ミストサウナ装置が使用される環境におけるサウナ用空間の奪取熱量を、簡単な構成により把握することができ、ミストサウナの快適性を維持しながらランニングコストを抑制できる経済的なミストサウナ装置の好適な実施形態を得ることができる。
【0015】
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つにおいて、前記運転制御手段が、前記浴用運転処理において、前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、温水の噴霧量を調整し、且つ、前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、温水の温度を調整するように構成されている点にある。
【0016】
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第4特徴によると、噴霧温度制御状態で浴用運転処理を実行しているとき、噴霧手段から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、噴霧手段が噴霧する温水の噴霧量が少なくなるように温水供給手段の運転が制御されるので、浴用運転処理を実行しているときに排出される排水に含まれる熱量を少なくすることができる。
また、温度調整範囲の下限にしてもサウナ用空間に付与される熱量が過多となる場合は、サウナ用空間の熱負荷が、噴霧温度制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している熱負荷よりも十分に低い熱負荷である環境、つまり、外部の気温が、噴霧温度制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している気温よりも十分に高いような環境で使用されていることになる。このような場合は、噴霧手段が噴霧する温水の噴霧量が少なくなっても、ミストサウナの快適性が損なわれにくいので、噴霧量が少なくなるように温水供給手段の運転が制御されても、ミストサウナの快適性は維持される。
したがって、本発明の第4特徴によると、外部の気温が、噴霧温度制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している気温よりも十分に高いような環境で使用される場合に、温水供給手段の運転が適切に制御され、ミストサウナの快適性を維持しながら、ランニングコストをより一層抑制することができる。
【0017】
本発明の第4特徴によると、噴霧量制御状態で浴用運転処理を実行しているとき、噴霧手段から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、噴霧手段が噴霧する温水の噴霧温度が低くなるように温水供給手段の運転が制御されるので、浴用運転処理を実行しているときに排出される排水に含まれる熱量を少なくすることができる。
【0018】
また、量調整範囲の下限にしてもサウナ用空間に付与される熱量が過多となる場合は、サウナ用空間の熱負荷が、噴霧量制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している熱負荷よりも十分に低い熱負荷である環境、つまり、外部の気温が、噴霧量制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している気温よりも十分に高いような環境で使用されていることになる。このような場合は、噴霧手段が噴霧する温水の噴霧温度が低くなっても、ミストサウナの快適性が損なわれにくいので、噴霧温度が低くなるように温水供給手段の運転が制御されても、ミストサウナの快適性は維持される。
したがって、本発明の第4特徴によると、外部の気温が、噴霧量制御状態で浴用運転処理を実行する場合に想定している気温よりも十分に高いような環境で使用される場合に、温水供給手段の運転が適切に制御され、ミストサウナの快適性を維持しながら、ランニングコストをより一層抑制することができる。
【0019】
以上のように、本発明の第4特徴によると、噴霧温度制御状態と噴霧量制御状態とのいずれの制御状態であっても、浴用運転処理を実行する場合に夫々の制御状態で実行する場合に想定している気温よりも十分に高いような環境で使用される場合に、温水供給手段の運転が適切に制御され、ミストサウナの快適性を維持しながら、一層のランニングコストを抑制することができる経済的なミストサウナ装置を得ることができる。
【0020】
本発明の第5特徴は、本発明の第1〜第4特徴のうちのいずれか一つにおいて、前記サウナ用空間に温風を送風する温風装置が設けられ、前記運転制御手段が、前記立上げ運転処理では、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように前記温風装置の作動を制御し、前記浴用運転処理では、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が温水噴霧時用の熱量となるように前記温風装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0021】
本発明の第5特徴によると、本発明の第1〜第4特徴のうちのいずれか一つと同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第5特徴によると、運転制御手段が立上げ運転処理を実行するときは、温風装置によりサウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように温風装置の作動が制御されるので、立上げ運転処理が実行されるときには、噴霧手段から噴霧される温水によってサウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となり、かつ、温風装置によりサウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるとなるので、サウナ用空間に付与される熱量が、噴霧手段から噴霧される温水によって付与される立上げ用の高付与熱量より、温風装置が付与する立上げ用の高付与熱量の分だけ大きくなる。
【0022】
したがって、噴霧手段から噴霧される温水によって付与される立上げ用の高付与熱量だけでサウナ用空間の温度を目標温度にするよりも、短い時間で目標温度に達することになる。つまり、ユーザーがミストサウナを使用する場合に、サウナ用空間が快適な状態となるまでの待ち時間を短縮することができる。また、サウナ用空間の温度が短時間で目標温度に達するので、立上げ運転処理の処理時間が短くなり、これにより、立上げ運転中に排出される排水の量を抑制することができる。したがって、サウナ用空間が快適な状態となるまでに発生する排熱を抑制することができる。
【0023】
本発明の第5特徴によると、浴用運転処理では、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が温水噴霧時用の熱量となるように前記温風装置の作動が制御されるので、浴用運転処理では、サウナ用空間には、噴霧手段から噴霧される温水によって付与される熱量に加えて、温風装置による温水噴霧時用の熱量が付与される。したがって、ある熱負荷状態のサウナ用空間の温度を目標温度に維持するに当たって、必要な付与熱量の一部を温風装置による温水噴霧時用の熱量により賄うことになるので、噴霧手段から噴霧される温水によって付与する熱量は少なくて済む。つまり、浴用運転処理において、噴霧手段から噴霧される温水の量を少なくすることや噴霧される温水の温度を低くすることができ、浴用運転処理を実行しているときに発生する排熱を抑制することができる。
【0024】
以上のように、本発明の第5特徴によると、快適なサウナ用空間となるまでの待ち時間を短くすることができる点で便利で、かつ、発生する排熱を抑制することができる点で経済的なミストサウナ装置を得ることができる。
【0025】
本発明の第6特徴は、本発明の第5特徴において、前記運転制御手段が、前記浴用運転処理において、前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であるために温水の噴霧量を調整する場合において、その噴霧量をその量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整し、且つ、前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であるために温水の温度を調整する場合において、その温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整するように構成されている点にある。
【0026】
本発明の第6特徴によると、本発明の第5特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第6特徴によると、噴霧ノズルから噴霧される温水の量及び温度をそれぞれの調節範囲の下限に変更してもサウナ用空間に付与される熱量が過多であると、温風装置によりサウナ用空間に付与される熱量を調整するように構成されているので、温風装置から送風される温風及び噴霧ノズルから噴霧される温水によりサウナ用空間に付与される熱量が、サウナ用空間の気温を目標温度に維持するために必要な熱量よりも過多である場合に、噴霧ノズルから噴霧される温水によりサウナ用空間に付与される熱量が調節限界であって調節できなくても、温風装置によりサウナ用空間に付与される熱量を減らすように調整することで、サウナ用空間の気温を目標温度に近づけることができる。
したがって、サウナ用空間に付与される熱量を、サウナ用空間の気温を目標温度に維持するために必要な熱量としての適切な量に近づけることができるので、サウナ用空間が快適な状態に近づくとともに、サウナ用空間への必要以上の熱量の付与を抑制することができる経済的なミストサウナ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明にかかるミストサウナ装置を浴室空調装置に組み込んだ例を図面に基づいて説明する。この浴室空調装置は、図1〜図3に示すように、サウナ用空間としての浴室1に設置され、噴霧手段としてのミスト噴出部5、本体ケーシング4、配管ボックス8、熱源機9、排水路6に設けた排水温度センサSdなどで構成されている。
【0028】
図3に示すように、配管ボックス8は、空調用熱交換器3に加熱された温水を供給するための空調用熱媒循環路25及びミスト噴出部5に加熱された温水を供給するためのミスト用温水供給路22、並びに、空調用熱媒断続弁27及びミスト用温水断続弁7などを備えている。
空調用熱媒循環路25は、本体ケーシング4側に延びるように配設されて、熱源機9からの熱源機側熱媒循環路20と空調用熱交換器3とに接続されており、空調用熱交換器3への熱媒の供給を断続させる空調用熱媒断続弁27が設けられている。
ミスト用温水供給路22は、熱源機側温水供給路21とミスト噴出部5とに接続され、ミスト噴出部5への熱媒の供給を断続させるミスト用温水断続弁7と、ミスト噴出部5に通流する水量を調整する止水機能付き水量調整弁29と、ミスト出湯温サーミスタ30とが設けられている。これらの構成により、熱源機9から供給される加熱された温水をミスト噴出部5に供給することにより、温水を浴室1の天井からミスト状に噴出させるようにしている。
【0029】
熱源機9は、本体ケーシング4が備える空調用熱交換器3に供給される熱媒としての温水を、熱源機側熱媒循環路20を介して供給するとともに、ミスト噴出部5から噴出される温水を、熱源機側温水供給路21を介して供給する。
上述のミスト用温水供給路22、熱源機側温水供給路21、ミスト用温水断続弁7、水量調整弁29、及び熱源機9により本発明の温水供給手段が構成されている。
そして、循環ファン2及び空調用熱媒断続弁27、並びに、熱源機9、ミスト用温水断続弁7及び水量調整弁29などの作動状態は、運転制御手段としての制御部Hにより制御される。
【0030】
前記本体ケーシング4は、図2に示すように、浴室1の天井裏に入り込ませた状態で設置され、その設置状態において、ミスト噴出部5を天井10の表面側に支持させ、浴室1内側において、ミスト噴出部5が支持された本体ケーシング4を覆うグリル板11が設けられている。
そして、本体ケーシング4は、浴室1内の浴槽の上部に相当する箇所に設置され、浴室1内を暖房する機能、浴室1内を乾燥させる機能、浴室1内の空気を循環通風させる機能、浴室1を換気する機能などを備えて構成されている。
また、グリル板11には、吸気口12と吹出口13とを並設し、ミスト噴出部5に配設された複数の噴出ノズル5aに対応する位置に、温水をミスト状に噴出するための複数のミスト噴出口14が形成されている。
【0031】
前記本体ケーシング4には、図3に示すように、吸気口12を通して浴室1内の空気を吸引して吹出口13を通して空気を吹き出すための循環通風路15、その循環通風路15に対して通風作用する循環ファン2、循環通風路15を通風する空気の温度を計測する浴室温度センサSr、循環通風路15を通風する空気に対して加熱作用する空調用熱交換器3、浴室1内の空気を吸引して排気ダクト17を通して屋外に排気する換気ファン18などが備えられている。そして、図2に示すように、通風用電動モータにより浴室1内に吹き出す空気の方向を変更する電動式に構成された可動ルーバー16が備えられており、吹出口13を通して吹出される空気の吹き出し方向を変更することができるようになっている。
【0032】
前記循環ファン2は、水平軸心周りで回転して、空気の吸引と排気とをともに回転軸芯と直交する方向に沿って行うクロスフローファンにて構成され、回転軸芯方向のほぼ全幅にわたる広い範囲にわたって空調用熱交換器3を通して浴室1内の空気を吸引し、吹出口13から空調用熱交換器3にて加熱された空気を浴室1に吹き出すように通風作用するように構成されている。したがって、循環ファン2、空調用熱交換器3、可動ルーバー16が本発明の温風装置を構成する。
【0033】
前記換気ファン18は、縦軸芯周りで回転して、ファンケース18aの下方側から空気を吸引して、本体ケーシング4の横一側面に形成した排出口19を通して排気ダクト17に向けて空気を通風させるように構成されている。
【0034】
前記循環ファン2は、循環ファン2を回転させるモータの駆動電圧を変更することによって、浴室1内に通風される空気の通風量が変更されるように構成され、浴室1内に通風される空気の通風量が、スピード暖房用の通風量(スピード暖房運転)とそれよりも小さな通常暖房用の通風量とに変更され、さらに、通常暖房用の通風量は強弱2段階(強暖房運転と弱暖房運転)に変更されるように構成されている。
【0035】
前記ミスト噴出部5は、図4に示すように、ミスト用温水供給路22に接続された直管状のミスト供給管5b、及び、そのミスト供給管5bの長手方向に間隔を隔てて配設された複数の噴出ノズル5aとを備えて、浴室1の洗い場に向けて温水をミスト状に噴出するように構成されている。
そして、ミスト供給管5bは、その両端部分において、本体ケーシング4にネジ止めされる支持具Lなどにて吊り下げ支持され、本体ケーシング4に一体的に設けられ、ミスト供給管5bの下流側端部に取り付けられたミスト用電動モータMにて、ミスト供給管5bが水平軸芯周りで回動自在に支持され、そのミスト用電動モータMにてミスト供給管5bを回転させて噴出ノズル5aによる噴出方向を変更するように構成されている。
【0036】
前記排水温度センサSdは、ミストサウナ装置を使用した場合に排水路6(図1参照)に排出される排水の温度Tdを測定するものである。排水温度センサSdの測定情報は後述の制御部Hに入力されており、制御部Hは、ミスト運転処理を行う際の浴室1の熱負荷状態を排水温度Tdの値に基づいて把握することができる。
【0037】
説明を加えると、ミスト運転において浴室1に付与される熱量は、外部に奪取される熱量と、浴室温度Trの変化させる熱量と排水により排出される熱量とに分散する。ここで、ミスト運転のある運転状態で付与される熱量は設計段階で予め把握しておくことが可能であり、浴室温度Trの変化は温度センサSrの検出情報により把握可能で、これに基づく熱量も算出可能であるから、排水により排出される熱量を把握することで、外部に奪取される熱量の把握が可能となる。
本ミストサウナ装置では、制御部Hが、浴室1の温度Trを目標温度Ttに維持する浴用運転処理を行う際に排水温度センサSdの検出情報に基づいて制御状態を異ならすように構成されている。これにより、浴室1の熱負荷状態に応じた適切な制御が行われることになる。つまり、排水温度センサSdは本発明の熱負荷検出手段に相当する。
【0038】
前記本体ケーシング4と熱源機9などの作動状態は、マイクロコンピュータを利用した制御部Hによって制御され、その制御部Hに双方向に通信可能なリモコン操作部Rが、浴室1に隣接する脱衣室や台所などに設けられている。
そして、リモコン操作部Rには、暖房運転モードMをスピード暖房運転モードM1、強暖房運転モードM2及び弱暖房運転モードM3に設定するように指令する暖房運転スイッチ31、換気運転モードを指令する換気運転スイッチ32、乾燥運転モードを指令する乾燥運転スイッチ33、涼風運転モードを指令する涼風運転スイッチ34、ミスト運転モードを指令するミスト運転スイッチ35などが設けられている。
【0039】
前記制御部Hは、リモコン操作部Rの指令に基づいて、暖房運転スイッチ31が1回押されてスピード暖房運転モードM1となるとスピード暖房運転を実行し、暖房運転スイッチ31が2回押されて強暖房運転モードM2となると強暖房運転を実行し、暖房運転スイッチ31が3回押されて弱暖房運転モードM3となると弱暖房運転を実行し、換気運転スイッチ32がON操作されると換気運転を実行し、乾燥運転スイッチ33がON操作されると乾燥運転を実行し、涼風運転スイッチ34がON操作されると涼風運転を実行し、ミスト運転スイッチ35がON操作されるとミスト運転を実行するように構成されている。
【0040】
以下、各運転について説明する。
前記スピード暖房運転は、換気ファン18を停止させかつ循環ファン2を作動させるとともに、熱源機9を作動させて、吹出し口13での温風温度がスピード暖房用の設定温度(例えば56℃)に維持されるように、空調用熱媒断続弁27の開閉と熱源機9の熱媒加熱作動を制御して、空調用熱交換器3にスピード暖房用の温水温度に加熱された温水を循環供給し、この空調用熱交換器3により加熱された循環空気を吹出口13から浴室1内に吹き出すようにしている。
そして、浴室1内に通風される空気の通風量がスピード暖房用の通風量となるように循環ファン2を最強状態にて作動させるとともに、通風用電動モータにて可動ルーバー16を揺動させるようにしている。
【0041】
前記強暖房運転は、上述のスピード暖房運転と同様に、換気ファン18を停止させかつ循環ファン2を作動させるとともに、熱源機9を作動させて、吹出し口13での温風温度が強暖房用の設定温度(例えば51℃)に維持されるように、空調用熱媒断続弁27の開閉と熱源機9の熱媒加熱作動を制御して、空調用熱交換器3に強暖房用の温水温度に加熱された温水を循環供給し、この空調用熱交換器3により加熱された循環空気を吹出口13から浴室1内に吹き出すようにしている。
そして、浴室1内に通風される空気の通風量がスピード暖房用の通風量よりも小さな強暖房用の通風量となるように循環ファン2を強状態にて作動させるとともに、通風用電動モータにて可動ルーバー16を揺動させるようにしている。
【0042】
前記弱暖房運転は、上述の強暖房運転と同様に、換気ファン18を停止させかつ循環ファン2を作動させるとともに、熱源機9を作動させて、吹出し口13での温風温度が弱暖房用の設定温度(例えば46℃)に維持されるように、空調用熱媒断続弁27の開閉と熱源機9の熱媒加熱作動を制御して、空調用熱交換器3に弱暖房用の温水温度に加熱された温水を循環供給し、この空調用熱交換器3により加熱された循環空気を吹出口13から浴室1内に吹き出すようにしている。
そして、浴室1内に通風される空気の通風量が強暖房用の通風量よりも小さな弱暖房用の通風量となるように循環ファン2を弱状態にて作動させるとともに、通風用電動モータにて可動ルーバー16を揺動させるようにしている。
【0043】
前記換気運転は、循環ファン2の作動を停止しかつ空調用熱媒断続弁27を閉状態に維持した状態で、換気ファン18を作動させ、可動ルーバー16が閉状態となるように通風用電動モータにて可動ルーバー16の作動状態を調整して、浴室1内から吸引した空気を排気するようにしている。
【0044】
前記乾燥運転は、循環ファン2を作動させ、かつ、熱源機9を作動させて、吹出し口13での温風温度が乾燥用の設定温度範囲に維持されるように、空調用熱媒断続弁27の開閉と熱源機9の熱媒加熱作動を制御して、空調用熱交換器3に乾燥運転用の温水温度に加熱された温水を循環供給するとともに、換気ファン18を作動させて、浴室1内から吸引した空気の一部を排気ダクト17を通して屋外に排出させながら、空調用熱交換器3により加熱された循環空気を吹出口13から浴室1内に吹き出すようにしている。
そして、浴室1内への空気の吹き出し方向が乾燥用吹き出し方向としてほぼ真下の方向となるように、通風用電動モータを作動させて可動ルーバー16の向きを調整するようにしている。
【0045】
前記涼風運転は、空調用熱媒断続弁27を閉状態に維持した状態で循環ファン2を作動させるとともに、換気ファン18を作動させて、浴室1内から吸引した空気の一部を排気ダクト17を通して屋外に排出させながら、浴室1内から吸引した空気を加熱することなく循環通風路15を通して浴室1内に吹き出すようにしている。
そして、浴室1内への空気の吹き出し方向が、涼風用吹き出し方向(例えば、洗い場に向く方向)になるように、通風用電動モータを作動させて可動ルーバー16の向きを調整するようにしている。
【0046】
前記ミスト運転は、ミスト運転スイッチ35がON操作されて、ミスト運転の開始が指令されると、熱源機9を作動させて、熱源機9からミスト噴出部5への温水の供給を開始するようにミスト用温水断続弁7及び水量調整弁29を開弁させるようにしている。こうして、ミスト噴出部5にてミスト用温水供給路22を通して供給される温水を浴室1内にミスト状に噴出させる。
このとき、浴室1内の温度Trが目標温度Tt(例えば40℃)になるように、水量調整弁29の開度を調整してミスト噴出部5に供給される温水の量を調整するとともに、ミスト出湯温サーミスタ30の検出温度に基づいて、熱源機9の温水加熱作動を制御して、ミスト噴出部5に供給される温水の温度を調整するようにしている。
ちなみに、噴出ノズル5aの噴出方向は、リモコン操作部Rの設定スイッチなどで変更可能に構成され、具体的には、ミスト用電動モータMを作動させて、温水供給管5bを水平軸芯周りで回転させて、噴出ノズル5aの噴出方向を変更するように構成されている。
ミスト運転が開始されるときは、スピード暖房運転等の暖房運転も同時に開始され、浴室温度Trを出来るだけ短時間に目標温度Ttにできるとともに、目標温度Ttに達するまでの排水による排熱をできるだけ少なくするようになっている。また、浴室温度Trが目標温度Ttに達した後は、強暖房運転或いは弱暖房運転が温水の噴霧と同時に行われ、排水による排熱ができるだけ少なくなる状態で浴室温度Trが目標温度Tt近傍で維持されるようになっている。
【0047】
前記ミスト運転における制御部Hの動作について、図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、ミスト運転スイッチ35がON操作されて、ミスト運転の開始が指令されると、浴室温度Trを目標温度Ttにするための立上げ運転処理を行う(ステップ#1〜ステップ#2)。
【0048】
立上げ運転処理が完了すると、ミスト運転スイッチ35がOFF操作されて停止指令が指令されるまで、排水温度センサSdの測定情報に基づいて、制御状態が異なる2つの浴用運転処理のうちの何れか一方の処理が実行される(ステップ#3〜ステップ#8)。
つまり、排水温度Tdが予め設定された閾値Tcより高い場合は、浴室1が低熱負状態である場合の浴用運転処理である温水量制御浴用運転処理が実行され、浴室1に噴霧される温水の量を調整することで、浴室1に付与される熱量を調整して、浴室温度Trを目標温度Ttで維持するような制御が優先される制御状態となり、排水温度Tdが予め設定された閾値Tcより低い場合は、浴室1が高熱負状態である場合の浴用運転処理である温水温度制御浴用運転処理が実行され、浴室1に噴霧される温水の量を調整することで、浴室1に付与される熱量を調整して、浴室温度Trを目標温度Ttで維持するような制御が優先される制御状態となる。
【0049】
このように、制御部Hは、運転開始から浴室1の温度Trが目標温度Ttになるまでは、ミスト噴出部5から噴霧される温水によって浴室1に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように、熱源機9等の作動を制御する立上げ運転処理を実行し、浴室1の温度Trが目標温度Ttに到達した後は、浴室1の温度Trを目標温度Ttに維持すべく、ミスト噴出部5から噴霧される温水によって浴室1に付与される熱量を調整する浴用運転処理を実行するように構成されており、浴用運転処理においては、ミスト噴出部5から噴霧される温水の温度を変更する噴霧温度制御状態とミスト噴出部5から噴霧される温水の量を変更する噴霧量制御状態とに切換え自在に構成され、排水温度センサSdの検出情報に基づいて奪取熱量が多い高負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧温度制御状態により浴室1に付与される熱量を調整し、且つ、排水温度センサSdの検出情報に基づいて奪取熱量が少ない低負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧量制御状態により浴室1に付与される熱量を調整するように構成されている。
【0050】
図5のステップ#2の立上げ運転処理について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。図6に示すように、まず、暖房運転モードMがスピード暖房運転モードM1に設定され、前述のスピード暖房運転が開始される(ステップ#21)。目標温水温度TがTh(例えば65℃)に、目標温水供給量VがVb(例えば1.0[l/分])に設定される(ステップ#22〜ステップ#23)。その後は、浴室温度Trが目標温度Ttに到達するまで、熱源機9から供給される温水の温度が設定された目標温水温度Thとなるように、熱源機9の加熱作動が制御され、ミスト噴出部5から噴霧される温水の量が設定された目標温水量Vbとなるように、水量調整弁29の開閉作動が制御される(ステップ#24)。そして、浴室温度Trが目標温度Ttに到達すると、暖房運転モードMがスピード暖房運転モードM1から強暖房運転モードM2に変更され(ステップ#25)、立上げ運転処理が終了する。
【0051】
図5のステップ#4の温水量制御浴用運転処理について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップ#V1で量調整下限フラグF1の状態を判別する。量調整下限フラグF1は、初期状態がオフであり、ミスト運転処理が終了する際に初期状態であるオフにリセットされる(図5のステップ#8参照)ので、ミスト運転が開始されるときは量調整下限フラグF1の状態はオフである。したがって、温水量制御浴用運転処理が開始されてから、ステップ#V8で量調整下限フラグF1がオン状態に変更されるまでは、ステップ#V1での判別処理後はステップ#V3へ移行する。
【0052】
立上げ運転処理により浴室温度Trが目標温度Ttに到達した後、目標温水供給量VとしてVs(例えば0.5[l/分])が設定され(ステップ#V1→ステップ#V3→ステップ#V5→ステップ#V6→ステップ#VR)、浴室温度Trが目標温度Ttを下回るまでは、この設定状態が継続(ステップ#V1→ステップ#V3→ステップ#V5→ステップ#V7→ステップ#VR)し、浴室1に噴霧される温水の量がVsとなるように、水量調整弁29の開閉が制御されて熱源機9から供給される温水の量が調整される。
浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、目標温水供給量Vとして、立上げ運転時の目標温水供給量Vと同じVbが設定され(ステップ#V1→ステップ#V3→ステップ#V4→ステップ#VR)、浴室1に噴霧される温水の量が、目標温水供給量Vとして設定されるVbとなるように、水量調整弁29の開閉が制御され熱源機9から供給される温水の量が調整される。
そして、浴室温度Trが回復して目標温度Ttを上回ると、目標温水供給量VとしてVsが再び設定される(ステップ#V1→ステップ#V3→ステップ#V5→ステップ#V6→ステップ#VR)。
【0053】
このように、浴室温度Trが目標温度Ttを超えると、浴室1に付与される熱量を減らすべく、噴霧される温水の量を少なくし、浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、浴室1に付与される熱量を増やすべく、噴霧される温水の量を多くして、浴室温度Trが目標温度Ttの近傍で維持されるような制御が行われる。つまり、制御部Hは、浴室1の温度Trを目標温度Ttに維持すべく、ミスト噴出部5から噴霧される温水によって浴室1に付与される熱量を噴霧される温水の量を変更することにより調整する噴霧量調整状態で浴用運転処理を実行するように構成されている。
【0054】
浴室1の熱負荷状態が低いために、目標温水供給量VがVsに設定された状態で噴霧される温水により付与される熱量が過多である場合には、浴室1に付与される熱量をさらに減らすべく、熱源機9から供給される温水温度の調整が行われる。
即ち、目標温水供給量VがVbからVsに変更されてから浴室温度Trが目標温度Ttを上回る状態が所定時間継続したと判別される(ステップ#V7)と、量調整下限フラグF1がオン状態に変更され(ステップ#V8)、熱源機9から供給される温水温度の調整が行われる(ステップ#V9〜ステップ#V14)。
【0055】
立上げ運転処理により浴室温度Trが目標温度Ttに到達した後、目標温水供給量Vの変更により目標温度Ttを維持しようと試みている間に、量調整下限フラグF1がオン状態に変更されると、温水量制御浴用運転処理は、ステップ#V1からステップ#V2の判別処理に移行する態様の処理となる。したがって、量調整下限フラグF1が一旦オン状態に変更されると、ステップ#V3〜ステップ#V8の処理は実行されないことになり、目標温水供給量VはVsに設定された状態が維持される。
【0056】
温度調整下限フラグF2は、初期状態がオフであり、ミスト運転処理が終了する際に初期状態であるオフにリセットされる(図5のステップ#8参照)ので、ミスト運転が開始されるときはフラグF2の状態はオフである。したがって、量調整下限フラグF1がオン状態に変更されてから温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されるまでは、ステップ#V2での判別処理後はステップ#V9へ移行する態様の処理となる。
【0057】
浴室温度Trが目標温度Ttを下回るまでは、目標温水温度TとしてTm(例えば60℃)が設定され(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V12→ステップ#VR)、この設定状態が継続し(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V13→ステップ#VR)、浴室1に噴霧される温水の温度がTmとなるように、熱源機9の加熱作動が制御されて熱源機9から供給される温水の温度が調整される。
【0058】
浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、目標温水温度Tとして、立上げ運転時の目標温水温度Tと同じThが設定され(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V10→ステップ#VR)、浴室1に噴霧される温水の温度がThとなるように、熱源機9の加熱作動が制御されて熱源機9から供給される温水の温度が調整される。
そして、浴室温度Trが回復して目標温度Ttを上回ると、目標温水温度TとしてTmが再び設定される(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V12→ステップ#VR)。
【0059】
浴室1の熱負荷状態が低いために、目標温水温度TがTmに設定された状態で噴霧される温水により付与される熱量が過多である場合には、浴室1に付与される熱量をさらに減らすべく、目標温水温度TがTL(例えば55℃)に設定されて、熱源機9から供給される温水温度の調整が行われる。即ち、目標温水温度TがThからTmに変更されてから浴室温度Trが目標温度Ttを上回る状態が所定時間継続したと判別されると、目標温水温度TがTLに設定される(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V13→ステップ#V14→ステップ#V15→ステップ#VR)。
【0060】
そして、浴室温度Trが目標温度Ttを下回るまでは、この設定状態が継続し(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V13→ステップ#V14→ステップ#V16→ステップ#VR)、浴室1に噴霧される温水の温度がTLとなるように、熱源機9の加熱作動が制御されて熱源機9からの供給される温水の温度が調整される。
浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、目標温水温度Tとして、再びThが設定され(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V10→ステップ#VR)、浴室1に噴霧される温水の温度がThとなるように、熱源機9の加熱作動を制御して熱源機9から供給される温水の温度が調整される。
そして、浴室温度Trが回復して目標温度Ttを上回ると、目標温水温度TとしてTmが再び設定される(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V9→ステップ#V11→ステップ#V12→ステップ#VR)。
【0061】
このように、浴室1の熱負荷状態が低いために、目標温水供給量Vの設定値をVsにしても、浴室温度Trが目標温度Ttを下回らない場合には、浴室1に付与される熱量を減らすべく、噴霧される温水の温度を低くし、浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、浴室1に付与される熱量を増やすべく、噴霧される温水の温度を高くして、浴室温度Trが目標温度Ttの近傍で維持されるような制御が行われる。つまり、制御部Hは、温水量制御浴室運転処理を実行しているときに、ミスト噴出部5から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多である場合には、制御状態が噴霧温度調整状態となり、温水の温度を調整するように構成されている。
【0062】
さらに、浴室1の熱負荷状態が低いために、目標温水温度TがTLに設定された状態で噴霧される温水により付与される熱量が過多である場合には、浴室1に付与される熱量をさらに減らすべく、暖房運転モードMが強暖房運転モードM2から弱暖房運転モードM3に切換えられて、熱源機9及び循環ファン2の作動が弱暖房状態に制御される。
即ち、目標温水温度TがTmからTLに変更されてから浴室温度Trが目標温度Ttを上回る状態が所定時間継続したと判別される(ステップ#V16)と、温度調整下限フラグF2がオン状態に変更され(ステップ#V17)、暖房運転により付与される熱量の調整が行われる(ステップ#V18〜ステップ#V21)。
【0063】
温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されると、温水量制御浴用運転処理は、ステップ#V1からステップ#V2を経由してステップ#V18の判別処理に移行する態様の処理となる。したがって、温度調整下限フラグF2が一旦オン状態に変更されると、ステップ#V9〜ステップ#V17の処理は実行されないことになり、目標温水温度TはTLに設定された状態が維持される。
【0064】
浴室温度Trが目標温度Ttを下回るまでは、暖房運転モードMが弱暖房運転モードM3に設定され(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V18→ステップ#V20→ステップ#V21→ステップ#VR)、この設定状態が継続し(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V18→ステップ#V20→ステップ#VR)、弱暖房運転が行われる。
そして、浴室温度Trが回復して目標温度Ttを上回ると、暖房運転モードMが再び強暖房運転モードM2に設定される(ステップ#V1→ステップ#V2→ステップ#V18→ステップ#V19→ステップ#VR)。
【0065】
このように、浴室1の熱負荷状態が低いために、目標温水供給量Vの設定値をVsにして、目標温水温度Tの設定値をTLにしても、浴室温度Trが目標温度Ttを下回らない場合には、浴室1に付与される熱量を減らすべく、暖房運転モードMを強暖房運転モードM2から弱暖房運転モードM3に切換え、浴室温度Trが目標温度Ttを下回ると、浴室1に付与される熱量を増やすべく、暖房運転モードMを弱暖房運転モードM3から強暖房運転モードM2に切換えて、浴室温度Trが目標温度Ttの近傍で維持されるような制御が行われる。つまり、制御部Hは、噴霧量制御状態により浴室1に付与される熱量を調整しているときに、ミスト噴出部から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であるために温水の温度を調整する場合において、その温水の温度を温度調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であると、温風装置により浴室1に付与される熱量を調整するように構成されている。
【0066】
以上に説明したように、図5のステップ#4の温水量制御浴用運転処理では、制御部Hは、目標温水供給量VとしてVb或いはVsが設定され、目標温水温度TとしてTh,Tm或いはTLが設定されるので、目標温水供給量Vと目標温水温度Tとについては、図9に示すようなZbh,Zsh,Zsm,ZsLの4つの設定状態が存在する。そして、浴室温度Trを目標温度Ttに維持するべく温水量制御浴用運転処理が実行されると、制御部Hは、量調整下限フラグF1がオン状態に変更されるまで、目標温水供給量V及び目標温水温度Tの設定状態が状態Zbhと状態Zshの間で遷移(図9に白矢印で示す変化:Zbh⇔Zsh)する噴霧量制御状態となり、量調整下限フラグF1がオン状態に変更されると温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されるまで、目標温水供給量V及び目標温水温度Tの設定状態が状態Zsh,状態Zsm,状態ZsLの間で遷移(図9に白矢印で示す変化:Zsh⇔Zsm⇔ZsL)する噴霧温度制御状態となる。そして、温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されると、ミスト運転が停止されるまで、目標温水供給量Vと目標温水温度Tの設定値は状態ZsLを維持することになる。
【0067】
なお、温水量制御浴用運転処理における上記した4つの設定状態のいずれの状態であっても、制御部Hは強暖房運転モードM2となっており、強暖房運転が併行して行われるが、設定状態が状態ZsLである場合には、浴室1に付与される熱量が過多なときには、暖房運転モードMが強暖房運転モードM2から弱暖房運転モードM3に切換えられ、弱暖房運転が併行して行われることになる。
【0068】
次に、図5のステップ#6の温水温度制御浴用運転処理について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0069】
図8に示すように、温水温度制御浴用運転処理のステップ#T1及びステップ#T3〜#T11の処理は、温水量制御浴用運転処理のステップ#V2及びステップ#V9〜#V17と同じ処理であり、温水温度制御浴用運転処理のステップ#T2及びステップ#T12〜#T17の処理は、温水量制御浴用運転処理のステップ#V1及びステップ#V3〜#V8と同じ処理であり、温水温度制御浴用運転処理のステップ#T18〜#T21の処理は、温水量制御浴用運転処理のステップ#T18〜#T21と同じ処理である。
【0070】
つまり、目標温水温度Tの設定を変更して浴室1に付与される熱量を調節する処理と、目標温水供給量Vの設定を変更して浴室1に付与される熱量を調節する処理との順序が入れ替わっている他は、各処理の内容に違いはない。したがって、温水温度制御浴用運転処理についての詳しい説明は省略し、温水量制御浴用運転処理との相違点を中心に以下に説明する。
【0071】
温水温度制御浴用運転処理においても、制御部Hは、目標温水供給量VとしてVb或いはVsが設定され、目標温水温度TとしてTh,Tm或いはTLが設定されるので、目標温水供給量Vと目標温水温度Tとについては、温水量制御浴用運転処理と同様に図9に示すようなZbh,Zsh,Zsm,ZsLの4つの設定状態が存在する。そして、浴室温度Trを目標温度Ttに維持すべく温水温度制御浴用運転処理が実行されると、温水温度制御浴用運転処理では上述したように、目標温水温度Tの設定値を変更して浴室1に付与される熱量を調節する処理を、目標温水供給量Vの設定値を変更して浴室1に付与される熱量を調節する処理よりも優先して行うので、目標温水供給量Vと目標温水温度Tの設定値は、図9に黒矢印で示す変化をすることになる。
【0072】
つまり、制御部Hは、温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されるまで、目標温水供給量V及び目標温水温度Tの設定状態が状態Zbh,状態Zbm,状態ZbLの間で遷移(図9に黒矢印で示す変化:Zbh⇔Zbm⇔ZbL)する噴霧温度制御状態となり、温度調整下限フラグF2がオン状態に変更されると量調整下限フラグF1がオン状態に変更されるまで、目標温水供給量V及び目標温水温度Tの設定状態が状態ZbLと状態ZsLの間で遷移(図9に黒矢印で示す変化:ZbL⇔ZsL)する噴霧量制御状態となる。そして、量調整下限フラグF1がオン状態に変更されると、ミスト運転が停止されるまで、目標温水供給量Vと目標温水温度Tの設定値は状態ZsLを維持することになる。
【0073】
なお、温水量制御浴用運転処理と同様に、温水温度制御浴用運転処理における上記した4つの設定状態のいずれの状態であっても、制御部Hは強暖房運転モードM2となっており、強暖房運転が併行して行われるが、設定状態が状態ZsLである場合には、浴室1に付与される熱量が過多なときには、暖房運転モードMが強暖房運転モードM2から弱暖房運転モードM3に切換えられ、弱暖房運転が併行して行われることになる。
【0074】
制御部Hは、温水温度制御浴用運転処理において図8のフローチャートに示す処理を実行するので、制御部Hは、浴室1の温度Trを目標温度Ttに維持すべく、ミスト噴出部5から噴霧される温水によって浴室1に付与される熱量を噴霧される温水の温度を変更することにより調整する噴霧温度調整状態で温水温度制御浴用運転処理を実行するように構成されており、温水温度制御浴室運転処理を実行しているときに、ミスト噴出部5から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多である場合には、制御状態が噴霧量調整状態となり、温水の量を調整するように構成されている。そして、制御部Hは、噴霧温度制御状態により浴室1に付与される熱量を調整しているときに、ミスト噴出部から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であるために温水の量を調整する場合において、その温水の量を量調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であると、温風装置により浴室1に付与される熱量を調整するように構成されている。
【0075】
また、立上げ運転処理が完了して温水量制御浴用運転処理或いは温水温度制御浴用運転処理が実行されると、暖房運転モードMがスピード暖房運転モードM1から強暖房運転モードM2に変更され、目標温水供給量V及び目標温水温度Tの設定状態が状態ZsLである場合、つまり、目標温水供給量VがVsに設定され、目標温水温度TがTLに設定された場合に、浴室1に付加される熱量が過多であるときには、暖房運転モードMが強暖房運転モードM2から弱暖房運転モードM3に変更されるので、制御部Hは、立上げ運転処理では、温風装置により浴室1に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように温風装置の作動を制御し、浴用運転処理では、温風装置により浴室1に付与される熱量が温水噴霧時用の熱量となるように前記温風装置の作動を制御するように構成されており、さらに、制御部Hは、浴用運転処理において、噴霧温度制御状態により浴室1に付与される熱量を調整しているときに、ミスト噴出部5から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であるために温水の噴霧量を調整する場合において、その噴霧量をその量調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により浴室1に付与される熱量を調整し、且つ、噴霧量制御状態により浴室1に付与される熱量を調整しているときに、ミスト噴出部5から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であるために温水の温度を調整する場合において、その温水の温度を温度調整範囲の下限にしても浴室1に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により浴室1に付与される熱量を調整するように構成されている。
【0076】
以下、別実施形態を列記する。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、本発明のミストサウナ装置を浴室空調装置に組み込んだ例を示したが、ミストサウナ装置を単独で浴室1に設置して実施することも可能である。また、上記実施形態では、サウナ用空間を浴室にて構成しているが、サウナ用空間をミストサウナ専用室で構成するなど、適宜変更が可能である。
【0077】
(2)上記実施形態では、制御部Hが、排水温度センサSdの計測情報に基づいて浴用運転処理における制御状態が選択されるように構成された例を示したが、例えば、制御部Hが、任意に設定される切換え日を記憶し、この切換え日が到来すると、浴用運転処理における制御状態が、噴霧量制御状態から噴霧温度制御状態に、或いはその逆に変更されるように構成してもよいし、ユーザー或いは販売店員等の手動操作により、浴用運転処理における制御状態が、噴霧量制御状態から噴霧温度制御状態に、或いはその逆に変更されるように構成してもよい。
【0078】
(3)上記実施形態では、熱負荷検出手段が、サウナ用空間から排出される排水の温度に基づいて、前記奪取熱量の多少を検出するように構成されているものを例に示したが、熱負荷検出手段が、屋外の気温を計測する外気温センサを屋外に設け、この外気温センサの計測値に基づいて、サウナ用空間から外部に奪取される奪取熱量の多少を検出するように構成されたものでもよいし、熱負荷検出手段が、立上げ運転処理が開始されてから完了するまでの所要時間に基づいて、前記奪取熱量の多少を検出するように構成されているものでもよいし、また、熱負荷検出手段が、浴室の壁面(例えば、ユニットバスの壁面の浴室壁の外側)で壁温センサを設けて外部に奪取される熱量の多少を検出するように構成されているものでもよい。
【0079】
(4)上記実施形態では、噴霧手段から噴霧される温水の量を選択的に2段階に変化させることで噴霧される温水により付与される熱量を調整するように構成されたものを例に示したが、噴霧手段から噴霧される温水の量を連続的に変化させることで噴霧される温水により付与される熱量を調整するように構成してもよい。
【0080】
(5)上記実施形態では、噴霧手段から噴霧される温水の目標温度を選択的に3段階に変化させることで噴霧される温水により付与される熱量を調整するように構成されたものを例に示したが、噴霧手段から噴霧される温水の温度の目標温度を2段階或いは4段階以上の段階に変化させることで噴霧される温水により付与される熱量を調整するように構成してもよい。
【0081】
(6)上記実施形態では、立上げ運転処理及び浴用運転処理において、温風装置により前記サウナ用空間に熱量が付与されるように構成された例を示したが、立上げ運転処理と浴用運転処理の何れかの処理、又は、両方の処理において温風装置により前記サウナ用空間に熱量が付与されないように構成してもよい。
【0082】
(7)上記実施形態では、温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が、調整されるように構成された例を示したが、、温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が一定の熱量となるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ミストサウナ装置を備えた浴室空調装置が設置された浴室の斜視図
【図2】ミストサウナ装置を備えた浴室空調装置の縦断断面図
【図3】ミストサウナ装置を備えた浴室空調装置の概略構成図
【図4】ミスト噴出部の支持状態を示す図
【図5】ミスト運転における制御動作を示すフローチャート
【図6】制御部が実行する立上げ運転処理のフローチャート
【図7】制御部が実行する温水量制御浴用運転処理のフローチャート
【図8】制御部が実行する温水温度制御浴用運転処理のフローチャート
【図9】温水量制御浴用運転処理及び温水温度浴用運転処理において発生する目標温水供給量と目標温水温度の設定状態とその設定状態の状態遷移を示す図
【符号の説明】
【0084】
H 運転制御手段
Sd 熱負荷検出手段
Tr サウナ用空間の温度
Tt 目標温度
Td 排水の温度
TL 温度調整範囲の下限
Vs 量調整範囲の下限
1 サウナ用空間
2,3,16 温風装置
5 噴霧手段
7,9,21,22,29 温水供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウナ用空間に温水をミスト状に噴霧する噴霧手段に温水を供給する温水供給手段と、
その温水供給手段の運転を制御する運転制御手段とが設けられたミストサウナ装置であって、
前記運転制御手段は、運転開始から前記サウナ用空間の温度が目標温度になるまでは、前記噴霧手段から噴霧される温水によって前記サウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように、前記温水供給手段を作動させる立上げ運転処理、及び、前記サウナ用空間の温度を前記目標温度に維持すべく、前記噴霧手段から噴霧される温水によって前記サウナ用空間に付与される熱量を調整する浴用運転処理を実行するように構成され、且つ、前記浴用運転処理においては、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を変更する噴霧温度制御状態と前記噴霧手段から噴霧される温水の量を変更する噴霧量制御状態とに切換え自在に構成されているミストサウナ装置。
【請求項2】
前記サウナ用空間から外部に奪取される奪取熱量の多少を検出する熱負荷検出手段が備えられ、
前記運転制御手段は、前記浴用運転処理において、前記熱負荷検出手段の検出情報に基づいて前記奪取熱量が多い高負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整し、且つ、前記熱負荷検出手段の検出情報に基づいて前記奪取熱量が少ない低負荷状態であることを判別した場合には、前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整するように構成されている請求項1に記載のミストサウナ装置。
【請求項3】
前記熱負荷検出手段が、前記サウナ用空間から排出される排水の温度に基づいて、前記奪取熱量の多少を検出するように構成されている請求項2記載のミストサウナ装置。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記浴用運転処理において、
前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、温水の噴霧量を調整し、且つ、
前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多である場合には、温水の温度を調整するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のミストサウナ装置。
【請求項5】
前記サウナ用空間に温風を送風する温風装置が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記立上げ運転処理では、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が立上げ用の高付与熱量となるように前記温風装置の作動を制御し、前記浴用運転処理では、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量が温水噴霧時用の熱量となるように前記温風装置の作動を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のミストサウナ装置。
【請求項6】
前記運転制御手段が、前記浴用運転処理において、
前記噴霧温度制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であるために温水の噴霧量を調整する場合において、その噴霧量をその量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整し、且つ、
前記噴霧量制御状態により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整しているときに、前記噴霧手段から噴霧される温水の量を量調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であるために温水の温度を調整する場合において、その温水の温度を温度調整範囲の下限にしても前記サウナ用空間に付与される熱量が過多であると、前記温風装置により前記サウナ用空間に付与される熱量を調整するように構成されている請求項5に記載のミストサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−271535(P2006−271535A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92232(P2005−92232)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】