説明

モジュール式電力コンバータ組立部品

【課題】いろいろな所要電力及び熱管理システムを有する多種多様の製品に容易かつ安価に構成できるモジュール式電力コンバータ組み立て部品を提供する。
【解決手段】多種多様の用途に容易に適用できるモジュール式電力コンバータは、電力コンバータの多数の用途特定部品からほぼ同一の電力変換機能を分離するものである。コア電力変換モジュールは、典型的な電力コンバータのうちコンバータ機能と熱システムを備える。出力コネクタは、磁気部、フィルター、コンタクタ、継電器、電流検出器などの用途特定部品を収納できる用途特定モジュールにコアモジュールを接続するように構成される。簡単に再構成できるキャビネットが設けられ、それは特定の用途に簡単に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広範囲の電力レベル及び接続形態に対応するよう迅速かつ簡単に構成できる電力変換モジュールを有するモジュール式電力コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力コンバータは、電源からの1組の電力、電圧及び電流パラメータを、負荷で用いる別の1組の電力、電圧及び電流パラメータに変換するのに使用される装置として良く知られている。ほとんどの場合、DCモーター用、ACモーター用、或いは送電網への接続用に、標準規格のAC電源電圧を低DC電圧、若しくは固定周波数又は可変周波数のAC電圧に変換するのに使用される。大部分の従来型電力コンバータは、1組の特定の電力特性が必要な特定製品用に設計されており、接続形態や所要電力が異なる複数の用途には通常使用できない。例えば、高出力用途において、電力コンバータで使用されるスイッチ(例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBTs)など)は、予想される最大の負荷条件に対処できる大きさに精密に合わせなければならない。IGBTsなどの電力スイッチは高価であり、コア電力コンバータにしっかりと組み込まれ、そのため順応性が低く、そこでコア構造の再利用や再設計の開発時間削減によって大幅なコスト削減での利用を可能としている。このようにしっかりと組み込む結果、新たな用途の各々に応じて、新規な電力コンバータの構造を常に設計し続けなければならない。新たな電力コンバータの設計には、専門技術者の多大な時間と労力を要する。その上、多数の異なる電力コンバータをサポートするには、多数の異なる部品や組立部品の在庫が必要であり、スケールメリットが低下する。
【0003】
今日、よく使われている電力コンバータ製品の特有の形態は、モーター駆動装置である。モーター駆動装置の製品群は、通常、電力レベル範囲をカバーするように設計されるが、ここでは、比較的狭い電力領域や特殊な駆動装置の用途用にハードウェア(電子部品と筐体)のコストを最適化するよう設計されたそれぞれ異なる製品で構成される。例えば、代表的なモーター駆動装置は次の一以上:AC/DCコンバータ(単一ダイオード、又は回生コンバータ(ブースト又はバック))、DCバスレギュレータ、インバータ、磁気部、フィルター、継電器、制御ロジック、検出器、及び入力/出力通信又はインターフェースを、狭い電力範囲用の単一筐体に組み込むことができる。そのようなモーター駆動装置組立部品の最終用途は、エレベータ、搬送機、クレーンや巻き上げ機、風車や燃料電池などの代替エネルギー源、及び一般的な産業用途(これに制限されないが)がある。しかしながら、モーター駆動装置の用途は、1組の所定の電力、電圧、及び電流パラメータを有する特定のAC又はDCモーターによって使用されるため、AC源又はDC源からの電力変換に制限される。
【0004】
いくつかの従来型モーター駆動装置の用途では、複数駆動装置を操作するため、複数のインバータがシステムを構成する際に使用される。通常そのようなシステムは、フロントエンドにコンバータを有し、複数のインバータに配電するためのDC源バスを設ける。従来型の設計では、1組の所定パラメータの特定電力を供給するため、そのコンバータは特定の接続形態(回生又は非回生の)に設計され、そのため、各用途に応じて再設計する必要がある。
【0005】
従来型モーター駆動装置を設計する際、もう一つ制限となるのは熱管理である。通常のモーター駆動装置では、完成された熱管理システムとしてファン、ヒートシンク、熱交換器、或いは冷却板を備えることができる。従来型電力コンバータの設計では、このような熱管理部品の物理的な配置や実装はしばしば干渉を起こしたり、設置された磁気部への接続の自由度が制限されたり、又は液体冷却やヒートパイプなどの冷却体系の違いによってスイッチ性能が制限されたりする。その上、従来型のモーター駆動装置は複数のIGBTスイッチを積み重ね、或いは組み合わせるため、下部のIGBTsからの熱が積層体上部のスイッチに伝達されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、いろいろな所要電力及び熱管理システムを有する多種多様の製品に容易かつ安価に構成できるモジュール式電力コンバータ組立部品が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、電力消費装置に電力を供給するモジュール式電力コンバータ組立部品に関する。そのモジュール式電力コンバータは、電源から電力を受信し、かつ第1の1組の電力特性から第2の1組の電力特性へソース電力を変換するコア電力変換モジュールを備える。そのコア電力変換モジュールは、入力コネクタ、1組の電力変換スイッチ及び関連する電子機器、バスコンデンサ、及び出力コネクタを有する。また、そのコア電力変換モジュールは熱管理システムも備える。そのコア電力変換モジュールは、一以上の増設のコア電力変換モジュールとその電力出力が結合する形で並列接続できるように設計される。コア電力変換モジュールのバスコンデンサは、その出力に沿ってほぼ均一に配置されていることが好ましい。用途特定モジュールは、コア電力変換モジュールの出力コネクタに取り外し可能に結合するよう構成される。用途特定モジュールは、電力部品、及び特定の電力消費アプリケーションにコア電力変換モジュールがインターフェース接続するように設計された用途特定部品を備える。用途特定モジュールは、フィルター、コネクタ、継電器及び電流検出器を備えていても良い。
【0008】
本発明の他の実施形態は、第1の1組のパラメータを有する供給電力を受信し、その供給電力を第2の1組のパラメータを有する負荷電力に変換するための電力コンバータに関する。電力コンバータは、複数の用途特定モジュールの1つに結合するよう構成された電力変換モジュールを備える。電力変換モジュールは少なくとも1つの電力変換スイッチを有し、用途特定モジュールは少なくとも1つの電力部品を有する。電力変換部品はモジュール式電力コンバータのサブパネルに取り付けるのが好ましい。コア電力変換モジュールは、ACバス又はDCバスを有し、第2のコア電力変換モジュールと並列接続するよう構成され、そのコア電力変換モジュールのバスが、第2のコア電力変換モジュールのバスに並列に接続されている。またコア電力変換モジュールには、コア電力変換組立部品として熱管理システムを備えていることが好ましい。電力変換モジュールは、電力の流れを双方向とできるように構成できる。用途特定モジュールは、フィルター、コネクタ、継電器又は電流検出器などの電力部品の少なくとも1つを備えていても良い。
【0009】
更に本発明の他の実施形態は、電力特性の異なる様々な電力を供給するよう構成されたモジュール式電力コンバータシステムに関する。電力コンバータは、AC電源又はDC電源から電力を受信し、その電力をDC電圧又はAC電圧に変換するための少なくとも1つの電力変換スイッチを有するコア電力コンバータモジュールを備える。その変換された電圧はバスと合わされる。コアモジュールは、バス電圧がその用途特定モジュールと合うように、複数の用途特定モジュールの少なくとも1つと結合するように構成された出力コネクタを有する。また、そのコアモジュールは第2のコアモジュールと並列接続するように構成され、そのコアモジュールのバスが第2のコアモジュールのバスと電気的に結合される。さらに、コアモジュールは、複数のオプション基板の1つに結合しているオプション基板を備える。少なくとも1つの電力変換スイッチが、コアモジュールのオプション基板に取り付けられる。モジュール式電力コンバータは双方向に電力を流すことができるように構成される。用途特定モジュールは、フィルター、コネクタ、継電器及び電流検出器などの電力部品の少なくとも1つを備えていても良い。
【0010】
更に本発明の他の実施形態は、モジュール式電力コンバータの設計に関する。その設計にはモジュール式や拡張性といった機械的な実装手段を含む。このモジュール方式や拡張性は様々な電力接続形態を可能にさせ、電力変換モジュールを構成する熱手段及び又は電力半導体の組合せを適切に選択することで直ちに実現できる。この設計の柔軟性は、いろいろな接続形態や用途に応じたモジュール式で拡張性ある電力変換を可能とする。モジュール式でかつ順応性ある熱管理手段は、冷却方式を空気、液体、又はヒートパイプに変更するのを可能とする。モジュール式のハードウェアロジックは、様々な用途や顧客需要に対応する構成とできるようにする。モジュール式で適用性ある制御ソフトウェアは、アプリケーションやモジュール化をサポートする。その設計は、ACモーター、DCモーター、負荷が接続された配電網、負荷のない配電網、双方向の風力発電駆動装置、及びDC入力/出力又はAC入力/出力を有するその他の用途に用いることができ、任意の交流又は直流から任意の交流又は直流負荷に変換処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は広範囲の電力レベル及び接続形態に対応するよう迅速かつ簡単に構成できる電力変換モジュールを有するモジュール式電力コンバータに関する。電力変換モジュールの用途は、これに限定されないが、インバータ、ブースト又はバックコンバータ、コンバータ、回生インバータ、及びバスレギュレータを含む。最終的な用途のいくつかは、これに限定されないが、エレベータ、風車などの代替エネルギー用途、燃料電池、搬送機、クレーンや巻き上げ機、及びその他広範囲の産業用途を含む。
【0012】
本発明によると、非常に自由度が高くかつモジュール式の電力変換組立部品を創出することで、簡単に調節できる電力コンバータを提供する。組立部品のモジュール方式は、関連する入出力電子機器、制御ロジック構成、使用する半導体スイッチのサイズ、及び複数の電力変換用途用の入出力開閉装置を単に再構成するだけで、同一又はほとんど同一のハードウェア組立部品が複数の電力レベル及び/又は複数の接続形態を実現できるよう設計される。
【0013】
例えばモーター駆動部などの典型的な電力コンバータは、コンバータ、熱管理システム、インバータ、磁気部、フィルター、継電器、制御ロジック、電流検出器、及び入出力インターフェース電子機器を有する。本発明の好ましい実施形態ではこれらの部品を分離し、コンバータの部品と熱システムをコアモジュールに取り付け、磁気部、フィルター、電流検出器、継電器などの用途特定部品は、別々の用途特定モジュールに配置される。広範囲の電力や用途に対して基本が同じ電力変換モジュールを使用することで、電力変換モジュールは、コストが著しく有利なスケールメリットをもって生産できる。さらに、そのモジュールは複数の電力レベル出力及び双方向を含む電力潮流に対応するため、並列接続するよう設計される。
【0014】
次に、図1を参照し、本発明の一実施形態に従って構成された電力コンバータ組立部品100を示す。図1の実施形態では、電力コンバータ組立部品100は、2つの用途特定インターフェースモジュール106及び108に接続された2つのコア電力変換モジュール102及び104(「コアモジュール」と表記することもある)を備える。電力変換と熱管理はコアモジュール102及び104により処理される。磁気部、フィルター、コネクタ、継電器、電流検出器及びその他の用途特定部品は、電力変換モジュール102及び104と一体となっていない。このことは電力変換モジュール102及び104に順応性を与え、個々の用途に応じて再設計する必要なく、非常に広範囲の用途、電力レベル、及び接続形態に対処することを可能とする。このように、コア電力変換モジュール102及び104から用途特定部品106及び108を別個のものとすることで、用途に応じて容易に構成変更できる電力コンバータ組立部品を提供できる。
【0015】
コアモジュール102及び104は、熱システム110、電力変換スイッチ用のゲート駆動部及び電力供給部品、任意の電力インターフェース電子機器、制御電子機器、並びに設定可能な入力/出力インターフェース電子機器を備えるのが望ましく、全てが筐体112内に組み込まれる。制御電子機器は、個々の用途に応じて変更できるようプログラム制御できる。用途特定インターフェースモジュール106及び108は、AC/DCコンタクタ、電流検出器、電磁干渉フィルターなどの用途特定部品を備える。図1に示したように、コアモジュール102及び104は、電力コンバータ100の最大電力処理能力を増大させるため並列に接続でき、複数の用途特定モジュール106及び108を備える。これはコアモジュール102及び104の各々のDCバスが、他方のコアモジュールのDCバスと並列に接続して達成されるのが望ましい。このようにして、基礎が同じ電力変換モジュール102及び104が広範囲の電力レベル又は電力定格を生成するのに使用できる。反対に、従来型のシステムが並列接続された関連する開閉装置の全てを有するインバータ又は駆動部などの異なる電力変換部品を使用する場合、特別な改良が必要で、並列処理できるように各コアモジュールを構成しなければならない。本発明は、複数レベルに対応するため、同じコア電力変換モジュール102及び104を使用し、この並列処理をより容易にする。この場合、単一のユーザーインターフェース114がコアモジュール102及び104のそれぞれの制御に使用できる。
【0016】
熱システム、IGBTsの場合又はその他の電力半導体スイッチや電力供給部品用の駆動回路の場合のゲート駆動装置、任意の電力インターフェース電子機器、制御電子機器、入力/出力インターフェース電子機器、AC/DCコンタクタ、電流検出器、電磁干渉フィルターなどの電気的及び機械的な設計は既存のもので、当業者に良く知られている。その詳細は示していない。本発明は、電力コンバータ組立部品内の、これら機能部品の新規なモジュール式配置及び構成に関するものである。
【0017】
一般的に、磁気部、フィルターなど、用途や電力と依存関係にあるものは、電力変換スイッチ(例えばIGBTs)や熱システムと結合される。非用途特定部品から用途特定部品を分離することで、基本となる電力変換モジュールが、必要とされる用途特定部品間で再利用できる。従って、そのコアモジュールは別個に大量に、高効率の生産ラインで製造でき、別の製造場所で用途特定部品と組立てできる。設定を簡単にし適用性を高めるため、IGBTsなどの入出力電力半導体スイッチが、ヒートシンク(空気又は液体の)を含む適応性のある熱システムの組立部品に取り付けられる。コアモジュール102及び104の電力半導体スイッチの変更が必要な場合は、適応性ある熱システム組立部品(空気又は液体の)に取り付けられた電力半導体スイッチを単に切り替えることで実行できる。しかしながら、同じIGBT又は同等の電力半導体スイッチは、多くの場合、単に用途特定サブパネルを変更したり、制御ソフトウェアの再プログラミングや、適当なハードウェアロジックモジュールを取り付けたりすることで、複数の用途又は接続形態に対応するコア電力変換モジュールに使用できる。
【0018】
次に図2(a)−(c)を参照して、コア電力変換モジュール200の実施形態を示す。コア電力変換モジュール200(図1の102,104)は、モジュールの内部部品を収納し保護する囲い202を有する。その囲い202は、図2(b)及び図2(c)に示したように、取り外すことができるカバー204を含む。その囲い202は、多様な用途に対応する構成に容易にできるようモジュール式で、かつ順応性があるように設計される。例えば、制御電子機器の数や配置はその用途の必要性に応じて容易に変更できる。さらに、囲い202の側面は複数のコアモジュール200が容易に並列に接続でき、それによって最大限の拡張性が得られるよう取り除くことができる。またユーザーインターフェース206は、ユーザーが電力コンバータをリセット又は設定できるようにする。そのユーザーインターフェース206はモーター駆動装置を遠隔操作するものであってもよい。当業者であれば容易に理解できることであるが、コアモジュール200を僅かに変更することで、特定用途で必要とされる任意のユーザー入力をユーザーインターフェース206に組み込むことができる。コアモジュール200は、用途特定回路がコアモジュールと接続できるようにする電気的インターフェース208を有する。
【0019】
コアモジュール200には、熱システム210が熱を排出できる排気口210が設けられる。ファン、ヒートシンク、熱交換器、及び/又は液冷板などの部品を含む熱システムは、インターフェース208が磁気部まで邪魔されないように配置される。これは磁気部との接続及び配置を容易とする。電力コンバータ電子機器分野の当業者であれば理解できるように、コアモジュール200の熱管理機能は、空気冷却又は液体冷却のいずれかの方法で実現できる。
【0020】
図2(c)に示したように、コアモジュール200は、1組の電気パラメータから別の電気パラメータへソース電源を変換するのに使用されるコンデンサバンク212及びスイッチング装置214を備える。スイッチング装置214(「IGBTs」又は「電力半導体スイッチ」を表記する場合もある)は、コアモジュール200の性能を改善するためヒートシンクに取り付けるのが好ましく、熱を排出し、それにより高い電力が必要な用途を処理する。さらに、コア電力変換モジュール200のスイッチング装置214は、下部の熱損失が上部に伝達されるような垂直方向への積層、又は結合はされない。このことはコア電力変換モジュール200がより多くの用途適用性を有し、コンバータ中のスイッチング装置214の熱応力を低減することを可能とする。また、コンバータやインバータの電力変換部を積層しないことによる熱的効果は、IGBTsなどの電力半導体装置をより高効率とすることもできる。また、スイッチング装置214は、コア電力変換モジュール200を再設計又は再構成する必要なく簡単に取り替えできる熱サブシステムに配置することが望ましい。
【0021】
次に図3(a)及び(b)を参照し、用途特定モジュール302及び304の例を示す。用途特定モジュール302及び304は、磁気トランス及びインダクタ306(ここでは、まとめて「磁気部」と表記する場合もある)、コンタクタ308、フィルター310、継電器、電流検出器などの用途特定部品を備える。用途特定モジュールの筐体312は、コアモジュールの囲い202と結合するように設計される。加えて、コアモジュール200(図1の102,104)と電気的に接続するのを可能とするコンタクト(図3には示していない)が、用途特定モジュール302及び304に設けられる。図3に示した用途特定モジュールは、単なる模範例にすぎず、当業者であれば容易に理解できるように、極めて多岐にわたる用途特定モジュール302及び304が、本発明のコアモジュールと物理的かつ電気的にインターフェースを介して接合できるよう設計できる。
【0022】
本願の基本的な設計方法は、電力コンバータの機能を決める代表的な駆動装置であるインバータとコンバータを別々の組立部品に分離することである。ここで図4を参照し、本発明における制御ロジック電子機器の一実施形態の配置のブロック図を示す。コンバータ又はユーティリティ側の主制御基板402がユーティリティ側コンバータで規定され、インバータ又はモーター側の主制御基板404がモーター側インバータで規定される。ユーティリティ側の主制御基板402は、ユーティリティ側コンバータのためのプロダクトインターフェース基板406に接続される。そのプロダクトインターフェース基板406は一連のゲート駆動基板408に順に接続される。同様に、インバータの主制御基板404は、モーター側インバータのためのプロダクトインターフェース基板410に接続され、その基板410は一連のゲート駆動基板412に順に接続される。また、カスタマー入力/出力基板414も設けられ、電力コンバータがそれに連結され、特別なカスタマー用途への対応を可能とする。下位の制御機器やインターフェースハードウェアは特定の用途条件に合わせて任意の形式に設計される。また、その下位の構造は、新たな用途を処理するのに必要なものが、新規なソフトウェア又は任意の組立部品だけとなるよう順応性あるデザインに設計される。例えば、プロダクトインターフェース基板406及び410は、特定用途に合わせて調整された任意のインターフェース基板と簡単に入れ替えできるように設計される。その上、ゲート駆動装置は、異なる特性を有する替わりのゲート駆動基板と簡単に入れ替えできるようなゲート駆動基板412及び418に設置される。このように、一連の相互接続された基板に電力コンバータを分割することは、その用途に必要な基板だけを単に再配置するだけで、容易に電力コンバータを個々の用途に対応したものとすることを可能とする。
【0023】
次に図5を参照し、コアモジュール502(図1の102,104)と用途特定モジュール504(図3(a)及び図3(b)の302,304)間の電力コンバータの機能の分布を示すブロック図を示す。コアモジュール502は、熱システム506、電力変換スイッチ508、及び制御電子機器510を備える。熱システム506は、インターフェース電子機器514と干渉しないようにコアモジュール502に配置される。電力コンバータの電力変換スイッチ508は、電力コンバータの性能特性を変更するために第2の電力変換スイッチ508と簡単に入れ替えできるように、サブ組立部品又はオプション基板に設けられる。また制御電子機器510は、コアモジュール502の性能が制御電子機器510の再プログラミングにより簡単に変更できるように、プログラム可能であることが望ましい。インターフェース電子機器514は、用途特定モジュール504にコアモジュール502を連結するのに使用される。その上、コアモジュール502はDCバス512への接続手段を備えていることが望ましく、それにより、さらに高い電力レベルを提供するため、複数のコアモジュール502のDCバス512を並列に接続できる。
【0024】
用途特定モジュール504は、コアモジュール502のインターフェース電子機器514と接続し、コアモジュール502の出力を受信するためのインターフェース電子機器516を備える。図5に示した用途特定モジュール504は、電力インバータ524、電流検出器518、コンタクタ520、フィルター522、及び磁気部526を備える。しかしながら、当業者であれば理解できるように、その用途特定モジュール504は特定用途に合わせて具体的に調整され、その用途特定モジュールに必要な部品は個々の用途次第である。
【0025】
本発明の実施形態に従って構成されたいろいろな電力コンバータの構成を図6−17に示す。特に図6は、本発明の実施形態を取り付けるモジュール式キャビネット構造602を示す。用途特定モジュールは、電力コンバータの入出力を設定する入力/出力パネル604を有する。電力コンバータ606はコア電力変換モジュール内に収納され、モーター駆動装置用の電力フィルターリアクタ608はコアモジュールの熱システムの近くに取り付けられる。この場合のリアクタ608は、AC線とDCバス間のインピーダンスとして回生コンバータに使用される。この場合、そのリアクタは非常に重くサブパネルに取り付けできないためキャビネットの下板に配置される。
【0026】
図7は、本発明の実施形態に従ってモーター駆動装置を取り付けるための相互接続したキャビネット構造702の平面図である。キャビネット702、及びその中に取り付けられた電力コンバータは、複数の電力コンバータを必要とする用途に対応するため、又はコアモジュールそれ自体とほぼ同じ構成で大量の電力に対応するため、並列に接続するよう設計される。そのキャビネットは、電力リアクタ708が熱システムに隣接して取り付けできる寸法とされる。入力パネル704及び出力パネル706は、外部装置との接続を容易にするためキャビネット702の端に隣接して取り付けられる。
【0027】
図8はキャビネット702を取り外した図7のモーター駆動装置の平面図である。電力リアクタ806はコアモジュールの端に取り付けられる。入力802及び出力804パネルは、用途特定モジュールに取り付けられ、コアモジュールに取り付けられた電力コンバータ808と結合される。入力パネル802と結合した電力コンバータは入力コンバータ、それは回生コンバータとして使用され、用途特定モジュールの出力804と結合したもう一方の電力コンバータは、モーターを駆動するインバータとして使用される。これは、基本が同じ電力変換モジュールが如何に2つの異なる機能をするのに使われているかの1例である。このように、本発明のモジュール方式及び順応性は他に類を見ないものである。
【0028】
図9は、本発明の実施形態に従って構成された典型的な電力変換モジュールの平面図である。コアモジュールに取り付けられた冷却システム902及び電力コンバータ組立部品904を示す。
【0029】
図10は、コアモジュールに取り付けられたスイッチ1002及びコンデンサバンク1004を示すため、制御サブパネルを取り除いた図9の電力変換モジュールの平面図である。
【0030】
図11は、電力変換モジュールの冷却送風機1102を示すため熱冷却システムのカバーを取り外した、図10の電力変換モジュールの平面図である。
【0031】
図12は、本発明の実施形態に使用する典型的な空冷式ヒートシンク1202の平面図である。ヒートシンク1202はスイッチ1204と熱的に接続され、冷却エアフィン1206を備える。
【0032】
図13は、本発明の実施形態に使用する液冷式ヒートシンク1302の平面図である。水冷式のプレート1302はスイッチ1304と熱的に接続され、従来型の冷却水の流入部及び流出部1306を備える。
【0033】
図14は、本発明の実施形態に従って構成された用途特定モジュールのための典型的な入力パネルの平面図である。上述のように、入力パネル1402は電磁干渉フィルター1404、ACコンタクタ1406、電流検出器1408、プリチャージPC基板1410、プリチャージコンタクタヒューズ1412などの用途特定部品を備える。
【0034】
図15は、本発明の実施形態に従って構成された用途特定モジュールのための出力パネル1502の平面図である。出力パネル1502は直流界磁組立部品1504、DCコンタクタ1506、フィルター1508、電流検出器1510を備える。その用途特定モジュール用の入力パネル1402及び出力パネル1502は単に典型的なもので、本発明に基づき、多種多様の入力及び出力パネルを用途特定モジュールに取り付けできる。
【0035】
図16は、本発明の実施形態に従って構成された単一モジュールのモーター駆動用途に係る用途特定モジュール用の入力/出力合成パネル1602の平面図である。入力/出力合成パネル1602は、電磁干渉フィルター1604、ACコンタクタ1606、プリチャージPC基板1608、プリチャージコンタクタヒューズ1610、DC界磁組立部品1612、DCコンタクタ1614、フィルター1616、電流検出器1618、界磁端子ブロック1620、及びDCコンタクタPC基板1622などの入力/出力の用途特定部品の全てを備える。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、一般産業機、エレベータ、クレーンや巻き上げ機、搬送機、及び代替エネルギーなどの分野における用途のため、双方向電力潮流を処理できる。例えばエレベータ用の設計では、ACモーター及びDCモーターの両方に用いる回生電力コンバータを4象限全ての方向、又は完全に線路型で構成できる。入力電力又は出力電力はAC又はDC電圧でよい。接続形態が簡単に再構成できるため、供給電力の形式には順応性がある。最終用途のエレベータでは、電源は交流である。しかし、単一の出力インバータに対しシステムを再構成すれば、入力を光電池パネルからの直流源にできる。
【0037】
本発明のモジュール式電力コンバータは、基本のコア組立部品が同じもので複数の電力レベルを生成するのに使用でき、DCバスで変換モジュールを並列接続でき、順応性ある制御機器及び入力/出力インターフェースを備えるという点で従来技術を改良するものである。加えて、本発明では簡単なACとDC制御、及び双方向電流潮流の制御を提供する。電力変換部品は、設定変更ができ又は拡張性のある広範囲の用途に対応する筐体内に収納される。広範囲の用途に対応するために必要となる時間的及びコスト的な製品リソースは、製品構成にかかる時間が非電力変換部品の選択と適当なオプション基板の選択に限られるため、格段に低く抑えられる。従来型のモーター駆動装置の設計では、特定のサイズ、電力及び限定用途に特化して、全体の電力変換コストを最適化するのが目的であった。本発明は、用途と電力特有の要素を一体として分離せずに電力変換コストとサイズを最適化する。
【0038】
新規かつ有用なモジュール式電力コンバータ組立部品に関する本発明の特定の実施形態について記載したが、そのような記載は、特許請求の範囲において規定している場合を除き、本発明の範囲を限定して解釈すべきことを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に従って構成されたモジュール式電力コンバータの平面図である。
【図2(a)】図1に示した本発明の実施形態に従って構成されたコアモジュール組立部品の平面図である。
【図2(b)】囲いカバーを取り外した図2(a)のコアモジュール組立部品の平面図である。
【図2(c)】ユーザーインターフェース及び囲いカバーを取り外し、コンデンサバンク及び電力スイッチの配置を示す図2(a)及び図2(b)のコアモジュール組立部品の平面図である。
【図3(a)】図1に示した本発明の実施形態において使用されるよう構成された用途特定モジュールの一実施形態の平面図である。
【図3(b)】図1に示した本発明の実施形態において使用される用途特定モジュールの第2の実施形態の平面図である。
【図4】本発明に係る複数の機能モジュール及び物理モジュールの配置を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態におけるモジュール間の機能の分布を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に従ってモーター駆動装置を取り付けるためのキャビネット構造の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に従ってモーター駆動装置を取り付けるための相互接続したキャビネット構造の平面図である。
【図8】コアモジュールに取り付けられた電力リアクタを有する本発明の実施形態に従って構成されたモーター駆動装置の平面図である。
【図9】本発明の実施形態に従って構成されたモーター駆動装置の平面図である。
【図10】本発明の実施形態に従って構成されたモーター駆動装置の平面図である。
【図11】本発明の実施形態に従って構成されたモーター駆動装置の平面図である。
【図12】本発明の実施形態で用いるヒートシンクの平面図である。
【図13】本発明の実施形態で用いる水冷式プレートの平面図である。
【図14】本発明の実施形態に従って構成された用途特定モジュール用の典型的な入力パネルの平面図である。
【図15】本発明の実施形態に従って構成された用途特定モジュール用の典型的な出力パネルの平面図である。
【図16】本発明の実施形態に従って構成された用途特定モジュール用の典型的な入力/出力パネルの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電力を受信し、該電力を第1の1組の電力特性から第2の1組の電力特性に変換し、少なくとも1つの電力変換スイッチ及び出力コネクタを有するコア電力変換モジュールと、
前記出力コネクタに取り外し可能に結合されるよう構成され、いくつかの電力部品、及び前記コア電力変換モジュールと特定の電力消費アプリケーションをインターフェース接続するよう設計された用途特定部品を含む用途特定モジュールと、
を備える、電力を電力消費装置に供給するモジュール式電力コンバータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電力変換部品が、前記コア電力変換モジュールに接続するサブパネルに構成される請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項3】
前記コア電力変換モジュールが、少なくとも1つの増設のコア電力変換モジュールと並列に接続するよう構成され、前記コア電力変換モジュールの電力出力間が結合される請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項4】
前記用途特定モジュールが、フィルター、コンタクタ、継電器及び電流検出器の少なくとも1つを備える請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項5】
前記コア電力変換モジュールが、熱管理システムを備える請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項6】
前記モジュール式電力コンバータが、電力の流れを双方向又は非回生にできるよう構成される請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項7】
前記コア電力変換モジュールのバス容量が、前記出力に沿ってほぼ均一に配置される請求項1に記載のモジュール式電力コンバータ。
【請求項8】
第1の1組のパラメータを有する電力を受信し、該電力を第2の1組のパラメータを有する電力に変換する電力コンバータであり、複数の用途特定モジュールの1つと接続するよう構成された電力変換モジュールを備え、該電力変換モジュールが少なくとも1つの電力変換スイッチを有し、前記用途特定モジュールが少なくとも1つの電力部品を有する電力コンバータ。
【請求項9】
前記電力変換モジュールがバスを有する請求項8に記載の電力コンバータ。
【請求項10】
前記電力変換モジュールの前記バスが第2の電力変換モジュールのバスと並列に接続される形で前記電力変換モジュールが前記第2の電力変換モジュールと並列に接続するよう構成される請求項9に記載の電力コンバータ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電力部品が、前記電力変換モジュールのサブパネルに取り付けられる請求項8に記載の電力コンバータ。
【請求項12】
前記電力コンバータが、電力の流れを双方向又は非回生にできるよう構成される請求項8に記載の電力コンバータ。
【請求項13】
前記用途特定モジュールが、フィルター、コンタクタ、継電器及び電流検出器の少なくとも1つを備える請求項8に記載の電力コンバータ。
【請求項14】
前記電力変換モジュールが、熱管理システムを備える請求項8に記載の電力コンバータ。
【請求項15】
異なる電力特性を有する様々な電力を供給するよう構成されたモジュール式電力コンバータシステムであり、前記電力コンバータが、電源から電力を受信し、該電力をバス電圧に変換し、該バス電圧をバスと合わせる少なくとも1つの電力変換スイッチを有するコアモジュールを備え、前記バス電圧を用途特定モジュールと合わせるように、前記コアモジュールが複数の前記用途特定モジュールの少なくとも1つと接続するよう構成された出力コネクタを有するモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項16】
前記コアモジュールの前記バスが第2のコアモジュールのバスと電気的に接続される形で、前記コアモジュールが前記第2のコアモジュールと並列に接続するよう構成される請求項15に記載のモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの電力変換スイッチが、前記コアモジュールのオプション基板に取り付けられる請求項15に記載のモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項18】
前記モジュール式電力コンバータが、電力の流れを双方向又は非回生にできるよう構成される請求項15に記載のモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項19】
前記用途特定モジュールが、フィルター、コンタクタ、継電器および電流検出器の少なくとも1つを含む請求項15に記載のモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項20】
前記コアモジュールが、複数のオプション基板の1つと結合するオプション基板を備える請求項15に記載のモジュール式電力コンバータシステム。
【請求項21】
モジュール式で拡張性ある機械的実装手段と、
モジュール式で拡張性ある電力変換手段と、
モジュール式で拡張性ある熱管理手段と、
モジュール式で設定可能なハードウェアロジックと、
モジュール式で設定可能な制御ソフトウェアと、
を含むモジュール式電力コンバータの設計。
【請求項22】
前記コンバータが、任意のAC又はDC源から任意のAC又はDC負荷への電力変換をサポートするよう構成される請求項21記載のモジュール式電力コンバータの設計。
【請求項23】
前記コンバータが、双方向風力発電駆動装置として構成される請求項21記載のモジュール式電力コンバータの設計。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−166689(P2006−166689A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138154(P2005−138154)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(300053911)マグネテック インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】