説明

ラベルの搬送方法およびインモールド成形システム

【課題】 インモールド成形システムの運転中にラベルの補充を実行できることにより、インモールド成形システムの生産能率低下を回避できるラベルの搬送方法およびラベルのインモールド成形システムを提供する。
【解決手段】 インモールド成形システム1において、ラベルマガジン4に積層収容されているラベルLの最下層ラベルLを、ラベル搬送手段6におけるラベル取出機構50によってラベルマガジン4の下端部開口4aから分離して抜き取り、抜き取った最下層ラベルLの幅方向両端縁部を端縁部挟持移送機構51で挟持して移送し、ラベル取出機構50を含むインモールド成形システム1の運転中であっても、ラベルマガジン4の上端部開口4bからのらラベルLの補充を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルをインモールド成形機の金型内に搬送するラベルの搬送方法およびインモールド成形システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形と同時にラベルを射出成形すべき容器の外周面に一体に溶着するインモールド成形システムにおいて、疑似コアの外周面を負圧化してラベルを吸着し、この状態で疑似コアを固定金型に設けた凹部に挿入したのち、疑似コアの外周面を正圧化するとともに、前記凹部を負圧化してラベルを凹部の内面に吸着して、ラベルを固定金型に受け取らせる技術が既に提供されている(特許文献1)。
【0003】
前記特許文献1に記載の技術では、その図1において、符号10で示す横姿勢のラベルマガジンから符号11Bで示す吸盤によりラベルLを吸着して水平方向に抜き取り符号2で示す疑似コアに搬送している。
【0004】
【特許文献1】特許第2797043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記横姿勢のラベルマガジンからラベルを水平方向に抜き取る構成では、ラベルマガジンに収容されているラベルの数量が少なくなるのに伴って、吸盤がラベルの表面に当接した時の反力が小さくなるので、吸盤による正確な吸着が妨げられてラベルが脱落するおそれを有する。そこで、ラベルマガジンを鉛直縦姿勢に保持して、その上端部開口から吸盤によって鉛直上向きにラベルを抜き取って搬送する方法が考えられる。ところが、この方法を採用すると、ラベルマガジンに積層して収容されているラベルの減少により補充が必要になっても、インモールド成形システムの運転中では吸盤が邪魔になって上端部開口から補充することができない。したがって、ラベル補充の都度、インモールド成形システムの運転を停止しなければならず、インモールド成形の生産能率を低下させることになる。
【0006】
一方、前記ラベルマガジンにラベルを補充する手法を採用せず、ラベルマガジンを交換することが考えられる。しかし、この手法を採用しても、ラベルマガジンの交換そのものが煩雑であるばかりか、交換時時にはインモールド成形システムの運転を停止しなければならず、インモールド成形の生産能率を低下させることに変わりはない。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、インモールド成形システムの運転中にラベルの補充を実行できることにより、インモールド成形システムの生産能率低下を回避できるラベルの搬送方法およびラベルのインモールド成形システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るラベルの搬送方法は、インモールド成形システムにおけるラベルの搬送方法であって、
ラベルマガジンに積層収容されているラベルを、ラベル取出機構によってラベルマガジンの下部から分離させて抜き取ることを特徴としている。
【0009】
これによれば、ラベル取出機構を含むインモールド成形システムの運転中であっても、ラベルマガジンの上部からラベルを補充することができるので、インモールド成形システムの生産能率の低下を回避できる。
【0010】
前記ラベルマガジンから抜き取られたラベルの端縁部を少なくとも一対の端縁部挟持移送機構で挟持して移送することが望ましい。これによると、少なくとも一対の端縁部挟持移送機構によって、ラベルに所定の張力を付与して移送することができるので、ラベルに皺や撚れが生じるのを防止して、インモールド成形システムによって成形されたインモールドワーク成形品の品質向上に寄与することができる。
【0011】
前記ラベルマガジンを安全扉に格納し、この安全扉は開扉力による開扉を許容しかつ開扉力解除により自動閉扉させる閉扉手段を備えているとともに、開扉時でも前記ラベル取出機構および前記端縁部挟持移送機構を含むラベル搬送手段の運転が可能に構成することが望ましい。これによると、ラベルマガジンへのラベル補充のために成形作業オペレータが安全扉を開扉しても、ラベル取出機構および端縁部挟持移送機構を含むラベル搬送手段の運転は継続されるので、インモールド成形システムの生産能率の低下を回避できる。また、ラベル補充後に成形作業オペレータがあえて閉扉操作しなくても、単に開扉力を解除すること、つまり安全扉から手を離すことによって、閉扉手段により安全扉は自動的に閉扉されて安全を確保することができる。そのため、成形作業オペレータの閉扉操作の怠りまたは失念によって安全が損なわれることは起こり得ない。
【0012】
前記ラベルマガジンは、積層収容されているラベルの重量が最下層のラベルに過剰重量として負荷されるのを回避する負荷重量制限手段を備えることが望ましい。これによると、最下層のラベルには過剰重量が負荷されなくなるので、積層収容枚数が大きい大型のラベルマガジンを使用しても、その下部から最下層のラベルを容易に分離して抜き取ることができる。また、積層収容枚数が大きい大型(長寸)のラベルマガジンを使用することで、単位時間当たりのラベルの補充回数を抑えることができるので、成形作業オペレータの負担を軽減できる。
【0013】
前記ラベルマガジンの下部から前記ラベル取出機構で分離させて抜き取ったラベルを前記端縁部挟持移送機構で挟持移送してラベル供給装置で受け取り、ラベル供給装置は前記受け取ったラベルをインモールド成形機の金型に供給するように構成することで、インモールド成形機により高品質のインモールドワーク成形品を能率よくしかも成形作業オペレータの安全を確保して成形することができる。
【0014】
また、前記目的を達成するために、本発明に係るラベルのインモールド成形システムは、インモールド成形機と、該インモールド成形機に備えられた金型へラベルを供給するラベル供給装置と、該ラベル供給装置へ積層収容されたラベルをラベルマガジンから抜き取って供給するラベル搬送装置とを有するとともに、該ラベル搬送装置は前記ラベルマガジンの下部から前記ラベルを分離させて抜き取ることを特徴としている。
【0015】
これによれば、インモールド成形機、ラベル供給装置およびラベル搬送装置を含むラベルのインモールド成形システムの運転中であっても、ラベルマガジンの上部からラベルを補充することができるので、インモールド成形システムの生産能率の低下を回避できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インモールド成形システムの運転中にラベルの補充を実行できるので、インモールド成形システムの生産能率の低下を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略平面図、図2は、図1のII−II矢視図、図3は、インモールドワーク成形品の一例を示す拡大縦断面図である。
【0018】
図1.図2,図3において、ラベルのインモールド成形システム1は、射出成形機(インモールド成形機)2と、該インモールド成形機2に備えられた固定金型21にラベルLを供給するラベル供給装置3と、多数枚のラベルLが積層収容されたラベルマガジン4から最下層のラベルLを抜き取ってラベル供給装置3へ搬送するラベル搬送装置5とを含むラベル搬送手段6を備えている。
【0019】
インモールド成形機2は、図3に示すラベルLと、このラベルLが表面に一体化された合成樹脂製のカップや截頭円錐形容器などの成形品10とからなるインモールドワーク成形品11を射出成形するためのもので、図1に示すように、周知の固定プラテン20に取付けられた固定金型21と、可動プラテン22に取付けられた可動金型23とを有し、可動金型23は型締め機構24によって固定金型21に向けて進退(図1の矢印X1,X2方向)する。
【0020】
固定金型21は、カップや截頭円錐形容器などからなるインモールドワーク成形品11の外面に一致する截頭円錐形凹部21aを有し、該凹部21aの周壁には、たとえば複数の吸・送気通路(図示省略)が径外方向にのびて連通し、各吸・送気通路は図示していない切換弁を介して吸気手段と送気手段(ともに図示せず)に連通している。また、截頭円錐形凹部21aは射出機構25に連通している。
【0021】
可動金型23には、その先端にカップや截頭円錐形容器などからなるインモールドワーク成形品11の内面に一致する截頭円錐形のコア26が突設されている。
【0022】
インモールド成形機2の側方にラベル搬送手段6が設置される。ラベル搬送手段6は、前記ラベル供給装置3と前記ラベル搬送装置5とを含む。
【0023】
ラベル搬送手段6におけるラベル供給装置3は、疑似コア30と、この疑似コア30を先端側の固定金型21に対向する面に取付けた第1把持アーム31と、吸着パッド32と、この吸着パッド32を先端側の可動金型23に対向する面に取付けた第2把持アーム33と、第1,第2把持アーム31,33を図1の矢印X1,X2方向およびY1,Y2方向への移動を可能に組み付けた成形品取出機34および該成形品取出機34に組み込まれて第1,第2把持アーム31,33を前記矢印X1,X2方向およびY1,Y2方向に進退させる進退装置(図示省略)とを備える。
【0024】
疑似コア30は、外形状がインモールドワーク成形品11(図3参照)の外形状に一致し、その外面に多数の吸気孔30aを設けてあり、各吸気孔30aは図示していない切換弁を介して吸気手段と送気手段(ともに図示せず)に連通している。また、吸着パッド32は、図示していない切換弁を介して吸気手段と送気手段(ともに図示せず)に連通している。
【0025】
ラベル搬送手段6におけるラベル搬送装置5は、ラベルマガジン4に積層収容されているラベルLにおける最下層のラベルLをラベルマガジン4の下部から分離して抜き取って、前記ラベル供給装置3へ搬送供給するためのもので、ラベル取出機構50と、ラベル取出機構50によってラベルマガジン4の下部から取り出されたラベルLの幅方向両端縁部(図5の矢印W方向の両端縁部)を挟持して、そのラベルLをラベル供給装置3における疑似コア30への受け渡し位置(後述する巻き付けステージ)まで移送する端縁部挟持移送機構51とを備える。
【0026】
図4,図5において、ラベル取出機構50は、ラベルマガジン4の下端部開口4aから最下層のラベルLを吸着により分離させて抜き取る一対の吸着パッド52と、これら吸着パッド52を実線で示す吸着姿勢と二点鎖線で示す待機姿勢のいずれかに姿勢保持させるための姿勢保持装置53および該姿勢保持装置53を中間に設置してラベル取り出し方向へ上向き勾配でのびる互いに平行な一対のベルトコンベア54,55とからなり、これらベルトコンベア54,55の原動プーリ54aと原動プーリ55a、従動プーリ54bと従動プーリ55bはそれぞれ幅方向(図5の矢印W方向)にのびる回転軸56に固着され、原動プーリ54a,55aは、制御装置12からの制御信号に基づいて数値制御可能なサ−ボモータなどの電動モータ56aによって回転駆動される。また、吸着パッド52は、図示していない切換弁を介して吸気手段と送気手段(ともに図示せず)に連通している。
【0027】
図1,図4,図5において、端縁部挟持移送機構51は、ラベル取出機構50の吸着パッド52に吸着されて、ラベルマガジン4の下端部開口4aから分離されて抜き取られ、かつ一対のベルトコンベア54,55によって第1ステージ13上に送り出された最下層のラベルLの幅方向両端縁部(図5の矢印W方向両端縁部)を挟持して巻き付けステージ14に移送するためのもので、一対のシリンダ装置57と、各シリンダ装置57のロッド57aの先端部に下向きの連結部材58を介して取付けられた挟持爪59とを有する。
【0028】
一対のシリンダ装置57は、一対のベルトコンベア54,55の幅方向(図5の矢印W方向)両側の上位に、投影平面上では一対のベルトコンベア54,55に平行し、投影側面上では水平に配置され、それぞれの前室は送・排気管16aを介して電磁切換弁15の第1ポート15aに連通し、それぞれの後室は送・排気管16bを介して電磁切換弁15の第2ポート15bに連通している。また、電磁切換弁15の給気ポート15cは給気管16cを介してエアーコンプレッサーなどの高圧空気供給源17に連通しており、電磁切換弁15は、制御装置12からの制御信号に基づいて切り換えられて高圧空気を各シリンダ装置57の前室または後室に給気してロッド57aを進退させる。なお、EXは排気ポートを示す。さらに、前記各挟持爪59は、それらの爪先を相手側に向けてて水平にのばして互いに対向させており、図示していない開閉機構によって上下に開閉される。
【0029】
図4,図5において、第1ステージ13は、表面が平滑な金属製の板材からなり、その幅方向寸法(図5の矢印W方向の寸法)は、ラベルLの幅方向寸法よりも若干小さく設定されており、幅方向に直交する長手方向で二つのブロック13a,13bに分離可能に構成され、各ブロック13a,13bには厚さ方向に貫通する透孔18が設けられ、これら透孔18から突没する位置決めピン19を備える。各位置決めピン19は突没機構7によって各透孔18から突没する。
【0030】
図1,図2において、ラベルマガジン4は、その下端部開口4aをラベル搬送手段6におけるラベル取出機構50に対向させ、ラベル補充口として機能する上端部開口4bを下端部開口4aよりも後退させて安全扉8内に格納した後傾姿勢で設置される。すなわち、ラベルマガジン4は、該ラベルマガジン4に積層収容されている最下層のラベルLに、該最下層のラベルLよりも上側に積層収容されている最下層のラベルL以外のラベルの重量が負荷されるように、傾斜角θを30度〜60度の範囲に設定している(ただし、本実施形態では、傾斜角θを45度に設定してある)。なお、前記傾斜角θが70度を超えると、成形作業オペレータによるラベルマガジン4の上端部開口4b上部からのラベル補充が困難になるので、傾斜角θを30度〜70度の範囲に設定することが好ましい。
【0031】
安全扉8は、その開閉中心側の基端部が上下一対のヒンジ80を介してフレーム81に開閉自在に支持されており、各ヒンジ80には、成形作業オペレータの開扉力による開扉(図1の二点鎖線参照)を許容し、かつ開扉力解除により自動閉扉させるスプリングからなる閉扉手段82が組み込まれている。また、安全扉8の開扉時でも前記ラベル取出機構50および端縁部挟持移送機構51を含むラベル搬送手段6の運転が可能に構成されている。したがって、ラベルマガジン4へのラベルLを補充するために成形作業オペレータが安全扉8を開扉しても、ラベル取出機構50および端縁部挟持移送機構51を含むラベル搬送手段6の運転は継続されるので、インモールド成形システム1の生産能率の低下を回避できる。また、ラベルLの補充後に成形作業オペレータがあえて閉扉操作しなくても、単に開扉力を解除すること、つまり安全扉8から手を離すことによって、閉扉手段82により安全扉8は自動的に閉扉されて安全を確保することができる。そのため、成形作業オペレータの閉扉操作の怠りまたは失念によって安全が損なわれることは起こり得ない。
【0032】
つぎに、前記構成の作動を図1,図2,図4,図5に基づいて説明する。
ラベル取出機構50の一対の吸着パッド52を姿勢保持装置53により実線で示す吸着姿勢に保持して、ラベルマガジン4に積層されて収容されている多数のラベルLにおける最下層のラベルL下面に近接または当接させて、該最下層のラベルLを吸着し、この状態で一対の吸着パッド52を二点鎖線で示す待機姿勢に向けて回動することで、ラベルマガジン4の下端部開口4aから最下層のラベルLを吸着により分離させて抜き取る。このように、ラベルマガジン4に積層されて収容されているラベルLを、ラベル取出機構50によってラベルマガジン4の下部から分離させて抜き取れることにより、ラベル取出機構50を含むインモールド成形システム1の運転中であっても、ラベルマガジン4の上部からラベルLを補充することができるので、インモールド成形システム1の生産能率の低下を回避できる。
【0033】
前記最下層のラベルLを吸着により分離させて抜き取る過程でラベルLが一対のベルトコンベア54,55の搬送面に到達して載置される寸前に一対の吸着パッド52の吸引を停止する。これにより、ラベルLは搬送面に載置されて第1ステージ13に向けて送られ、慣性によって第1ステージ13の上面を滑走する。
【0034】
ラベルLが第1ステージ13の上面を滑走するのに対応して、ブロック13b側の突没機構7によって位置決めピン19を透孔18から突出させる。第1ステージ13の上面を滑走するラベルLは、その前端縁が突出したブロック13b側の位置決めピン19に当接して停止する。同時に、ブロック13a側の突没機構7によって位置決めピン19を透孔18から突出させてラベルLの後端縁に干渉させる。これにより、ラベルLの後退は拘束されて第1ステージ13の所定位置に載置されて停止する。
【0035】
第1ステージ13が長手方向で二つのブロック13a,13bに分離可能に構成されていることにより、ラベルLの大きさや形状の変更に応じて、ブロック13a側の位置決めピン19とブロック13b側の位置決めピン19との間隔Lx拡縮することができる。なお、間隔Lxが拡大された場合、ブロック13aとブロック13bの間に形成される間隙に、別途用意した補助ブロックを嵌め込んで間隙を無くせばよい。
【0036】
つぎに、端縁部挟持移送機構51における挟持爪59が前記第1ステージ13の所定位置に載置されて停止しているラベルLの幅方向両端縁部(図5の矢印W方向両端縁部)を挟持する。同時に、突没機構7によって各位置決めピン19を各透孔18内に没入する。つづいて、一対のシリンダ装置57のロッド57aを突出させてラベルLを巻き付けステージ14の上面に移送する。
【0037】
このように、端縁部挟持移送機構51における挟持爪59で挟持することによって、ラベルLに所定の張力を付与して移送することができるので、ラベルLに皺や撚れが生じるのを防止して、インモールド成形システム1によって成形されたインモールドワーク成形品11の品質向上に寄与することができる。
【0038】
ラベルLが巻き付けステージ14の上面に到達すると、挟持爪59はラベルLの挟持を解除する。これにより、ラベルLは巻き付けステージ14の所定位置に載置される。一対のシリンダ装置57のロッド57aは元の位置に復帰する。
【0039】
ラベルLが巻き付けステージ14の所定位置に載置された時点では、ラベル搬送手段6におけるラベル供給装置3の第1把持アーム31と疑似コア30および第2把持アーム33と吸着パッド32は実線で示す待機位置P1で待機している。ここで、成形品取出機34の図示されていない進退装置により第1把持アーム31を矢印X1方向に移動させて、疑似コア30を巻き付けステージ14上のラベルLにおける幅方向中央部に当接または近接させる。
【0040】
つぎに、疑似コア30の多数の吸気孔30aから吸気する。これにより、疑似コア30の周辺部の空気に吸気孔30aに向かう流れが生じ、この空気流によりラベルLは疑似コア30の外周の一部に当接している幅方向中央部から幅方向の両端縁部にかけて順次疑似コア30の外周に向けて吸引されて湾曲し、最終的に疑似コア30の外周に巻き付けられる。ついで、前記図示されていない進退装置により第1把持アーム31を矢印X2方向に移動させて、元の位置に戻す。
【0041】
つぎに、図示されていない進退装置により第1把持アーム31と疑似コア30および第2把持アーム33と吸着パッド32をP2位置に前進させる。この時点では、既にインモールド成形機2の固定金型21と可動金型23は型開しているので、第1把持アーム31および第2把持アーム33は型開している金型21,23間に進入して、疑似コア30は固定金型21の截頭円錐形凹部21aに対向するとともに、各吸着パッド32は、前記型開の前段で成形されて可動金型23のコア26に外嵌保持されているインモールドワーク成形品11(図3参照)に対向する。
【0042】
つぎに、図示されていない進退装置により第1把持アーム31を固定金型21の方向(図1の矢印X1方向)に前進させ、疑似コア30を固定金型21の截頭円錐形凹部21aに挿入して停止させる。ここで、疑似コア30によるラベルLの吸気を解除して送気に切換え、同時に固定金型21側の図示されていない吸・送気通路を負圧化して、ラベルLを截頭円錐形凹部21aの内面に吸着保持する。すなわち、ラベルLは、疑似コア30から離れて截頭円錐形凹部21a内に装着される。
【0043】
一方、図示されていない進退装置により第2把持アーム33を可動金型23方向(図1の矢印X2方向)に前進させ、既に吸着パッド32を可動金型23のコア26に外嵌保持されているインモールドワーク成形品11(図3参照)の底部に当接または近接して停止させる。ここで、吸着パッド32を吸気により負圧化してインモールドワーク成形品11の底部を吸着保持する。これにより、インモールドワーク成形品11は、可動金型23のコア26から吸着パッド32に受け渡される。
【0044】
前述のように、疑似コア30から截頭円錐形凹部21aへのラベルLの受け渡しが済むと、図示されていない進退装置により第1把持アーム31を元の位置に戻す。また、可動金型23のコア26から吸着パッド32へのインモールドワーク成形品11の受け渡しが済むと、図示されていない進退装置により第2把持アーム33を元の位置に戻す。
【0045】
つづいて、図示されていない進退装置により第1把持アーム31および第2把持アーム33をP1位置まで後退させる。ここで、吸着パッド32の吸気を解除してインモールドワーク成形品11を解放する。解放されたインモールドワーク成形品11は、コンベアーなどの搬送手段(図示省略)に受け取られて適宜回収される。
【0046】
第1把持アーム31および第2把持アーム33がP1位置まで後退する間に、型締め機構24により可動金型23は固定金型21に向けて前進し、両金型21,23は型締めされて可動金型23のコア26が固定金型21の截頭円錐形凹部21aに挿入され、コア26の外面,截頭円錐形凹部21aの内面、ラベルLの内面および可動金型23の先端面で囲まれるインモールドワーク成形品11成形用のキャビティ(図示省略)を形成する。この状態で、射出機構25から溶融樹脂を射出して前記図示していないキャビティに充填する。
【0047】
キャビティに充填された溶融樹脂は、所定時間型締め状態で保持されることにより、ラベルLの内面側と溶着しつつ一体化して凝固する。これにより、ラベルLと、このラベルLが一体化された合成樹脂製のカップや截頭円錐形容器などの成形品10とからなるインモールドワーク成形品11(図3参照)が成形される。ここで、固定金型21側の図示されていない吸・送気通路の吸気による負圧化を解除する。なお、前述の作動を反復することで、インモールドワーク成形品11を連続して製造することができる。
【0048】
図6,図7で示すように、ラベルマガジン4の両側壁4cにおける下端部開口4aに近い位置の内面に、実線で示す嵌合溝40を互いに対向して設け、これら嵌合溝40に仕切板からなる負荷重量制限手段41の幅方向両端部を嵌脱自在に上側から嵌め込むことで、ラベルマガジン4を前述のような傾斜角θを有する後前姿勢で設置しても、下端部開口4aに臨んでいる最下層のラベルLには、負荷重量制限手段41から上端部開口4bの間の領域に存在するラベルL群の重量が負荷されなくなり、最下層のラベルLを容易に分離して抜き取ることができる。そのため、ラベルLの積層収容枚数が大きい大型(長寸)のラベルマガジン4の使用が可能になり、その結果、単位時間当たりのラベルLの補充回数を抑えて、成形作業オペレータの負担を軽減することができる。
【0049】
なお、図6,図7において、二点鎖線で示すように、所定の間隔を隔てて複数箇所に嵌合溝40を設け、各嵌合溝40に二点鎖線で示す負荷重量制限手段41を嵌脱自在に上側から嵌め込んだ構成、つまり、複数の負荷重量制限手段41を使用する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】インモールドワーク成形品の一例を示す拡大縦断面図である。
【図4】ラベル搬送手段の一実施形態を示す拡大側面図である。
【図5】ラベルマガジンを省略して示した図4の平面図である。
【図6】ラベルマガジンの変形例を示す縦断側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 インモールド成形システム
3 ラベル供給装置
4 ラベルマガジン
5 ラベル搬送装置
6 ラベル搬送手段
8 安全扉
21 固定金型(金型)
23 可動金型(金型)
41 負荷重量制限手段
50 ラベル取出機構
51 端縁部挟持移送機構
82 閉扉手段
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インモールド成形システムにおけるラベルの搬送方法であって、
ラベルマガジンに積層収容されているラベルを、ラベル取出機構によってラベルマガジンの下部から分離させて抜き取ることを特徴とするラベルの搬送方法。
【請求項2】
請求項1に記載のラベルの搬送方法において、
前記ラベルマガジンから抜き取られたラベルの端縁部を少なくとも一対の端縁部挟持移送機構で挟持して移送することを特徴とするラベルの搬送方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のラベルの搬送方法において、
前記ラベルマガジンは安全扉に格納されており、この安全扉は開扉力による開扉を許容しかつ開扉力解除により自動閉扉させる閉扉手段を備えているとともに、開扉時でも前記ラベル取出機構および前記端縁部挟持移送機構を含むラベル搬送手段の運転が可能に構成されていることを特徴とするラベルの搬送方法。
【請求項4】
請求項1,請求項2または請求項3に記載のラベルの搬送方法において、
前記ラベルマガジンは、積層収容されているラベルの重量が最下層のラベルに過剰重量として負荷されるのを回避する負荷重量制限手段を備えていることを特徴とするラベルの搬送方法。
【請求項5】
請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のラベルの搬送方法において、
前記ラベルマガジンの下部から前記ラベル取出機構で分離させて抜き取ったラベルを前記端縁部挟持移送機構で挟持移送してラベル供給装置で受け取り、ラベル供給装置は前記受け取ったラベルをインモールド成形機の金型に供給することを特徴とするラベルの搬送方法。
【請求項6】
インモールド成形機と、該インモールド成形機に備えられた金型へラベルを供給するラベル供給装置と、該ラベル供給装置へ積層収容されたラベルをラベルマガジンから抜き取って供給するラベル搬送装置とを有するとともに、該ラベル搬送装置は前記ラベルマガジンの下部から前記ラベルを分離させて抜き取ることを特徴とするラベルのインモールド成形システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−96014(P2009−96014A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268217(P2007−268217)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【出願人】(000138473)株式会社ユーシン精機 (117)
【Fターム(参考)】