リチウムイオン電池並びにその製造方法及び製造装置
【課題】本発明は、積層型リチウムイオン電池の大量生産技術を確立するため、単電池積層体を大量に効率よく製造する技術及び製造装置の提供、並びに大量生産が可能でコストが安く、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】本発明は、ベルトコンベア11と三種類のロール12〜14を組合せた装置により、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」41を形成し、ベルトコンベアの上にある引き取り装置25を備えた「切断場所」の上でこの「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を切断する製造方法で製造した袋入り正極板(又は負極板)45と相対する裸の負極板(又は正極板)46を交互に積層することにより、大量に且自動的に積層型リチウムイオン電池の単電池積層体47を製造する。この製造方法で製造した単電池積層体を組み込むことにより、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池が大量に安く提供される。
【解決手段】本発明は、ベルトコンベア11と三種類のロール12〜14を組合せた装置により、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」41を形成し、ベルトコンベアの上にある引き取り装置25を備えた「切断場所」の上でこの「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を切断する製造方法で製造した袋入り正極板(又は負極板)45と相対する裸の負極板(又は正極板)46を交互に積層することにより、大量に且自動的に積層型リチウムイオン電池の単電池積層体47を製造する。この製造方法で製造した単電池積層体を組み込むことにより、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池が大量に安く提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型積層型リチウムイオン電池、特に自動車用大型積層型リチウムイオン電池並びにその製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン電池は、エレクトロニクス分野用の小型の渦巻型が主流で、この分野の大量生産技術は確立されている。近時、電気自動車用、緊急電力用、夜間電力貯蔵用など大型のリチウムイオン電池に対する要求が高まってきた。リチウムイオン電池を大型化するには、積層型が適している。しかし、積層型リチウムイオン電池の大量生産技術は、未だ確立されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
積層型リチウムイオン電池の大量生産技術を確立するには、正極板、セパレータ、負極板を積層して作る単電池積層体を大量に、効率よく製造する技術及び製造装置が必要である。
【0004】
積層型リチウムイオン電池の品質と製造時の歩留は、この単電池積層体を如何にうまく作るかにより支配される。単電池積層体の製造には、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し自動的に且正確に積層する技術と装置が求められる。
【0005】
この時、正極板を袋入りにし、袋入り正極板と裸の負極板を交互に積層することにより、単電池積層体を作る方法が考えられる。この方法では、袋入り正極板と裸の負極板の2種類を交互に積層することにより、上記積層と同じ効果が得られるので、積層工程は単純化される。本発明者は、この方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低く品質がよいことを見出した。また、製造時の歩留もよいことも見出した。その理由は正極板の周囲のセパレータを熱接着で封じているため、単電池積層体の電極板の周辺部での電流の漏れが少ないためであると考えられる。しかし、袋入り電極板を大量に且自動的に製造する技術と装置は未だ開発されていない。
【0006】
因みに、電気自動車1台には、約100セルの積層型リチウムイオン電池が必要であり、そのためには、約1万枚の正極板及び負極板を積層することとなる。従って、1万台分の積層型リチウムイオン電池を製造するには約1億枚の正極板及び負極板を積層して単電池積層体を作る必要がある。
【0007】
本発明は、積層型リチウムイオン電池の安定した品質の単電池積層体を大量に効率よく製造する袋入り電極板の新規な製造方法を組み込んだ積層型リチウムイオン電池の単電池積層体の製造方法及び製造装置並びにその製造方法に基づくリチウムイオン電池を提案する。
【0008】
即ち、本発明の目的は、積層型リチウムイオン電池の大量生産技術を確立するため、単電池積層体を大量に効率よく製造する技術及び製造装置の提供すること、並びに大量生産が可能でコストが安く、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に関わる積層型リチウムイオン電池の単電池は、正極合剤を正極集電体(通常はアルミニウムの薄板)の両面に塗布した正極板と負極合剤を負極集電体(通常は銅の薄板)の両面に塗布した負極板を、セパレータを挿んで交互に積層して得られる単電池積層体に正極端子金具及び負極端子金具を接続したものを単電池(セル)ケースに収納し、電解液を注入して密閉構造にしたものである。
【0010】
積層型リチウムイオン電池の心臓部である単電池積層体は、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し積層して製造するのは普通であるが、本発明では、先ず、セパレータの袋入り正極板(又は負極板)を製造し、これと相対する裸の負極板(又は正極板)を交互に積層して単電池積層体を製造する製造方法を開発する。先にも述べたように、この方法の利点は、袋入り正極板(又は負極板)と相対する裸の負極板(又は正極板)を交互に積層する積層工程が単純化されることであり、また、本発明者は長年の研究により、この方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は自己放電率が低く品質がよいこと、及び製造時の歩留もよいことを見出している。
【0011】
本発明では、袋入り正極板(又は負極板)を大量に且自動的に製造する新規な製造方法と製造装置を開発し、袋入り正極板(又は負極板)と裸の負極板(又は正極板)を交互に積層する技術を組み合わせて、大量に且自動的に積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造する製造方法及び製造装置を開発した。また、この製造方法で製造した単電池積層体を組み込むことにより、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池を大量に安く提供することができる。
【0012】
本発明者は、セパレータの袋入りの電極板を製造する製造方法を組み込んだ単電池積層体を製造する製造方法は以下の通りである。即ち、ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール、ベルトコンベアの上にある、引き取り装置を備え且切断機の切断刃を受ける面を備えた、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する場所(「切断場所」と呼ぶ)に、これを押し出す第3ロールを備えた装置において、ベルトコンベア、第1ロール、第2ロール、第3ロール及び引き取り装置を間欠的且自動的に動かし、第1ロールで下側セパレータ帯をベルトコンベア上に繰り出し、第1ロールと第2ロールの間で自動的に作動する電極板移動機により電極板複数個を下側セパレータ帯の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板を下側セパレータ帯の上に乗せた状態で第2ロールに送り、ここで電極板の上に上側セパレータ帯を繰り出して重ね、ベルトコンベア上に、複数個の電極板の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドィッチ状態のセパレータ帯(「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」と呼ぶ)を形成し、第2ロールと第3ロールの間で、電極板の周囲に沿って上側セパレータ帯と下側セパレータ帯を自動的に作動する熱接着機で接着し、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成し、これを第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」に送り出し、ここで、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、セパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板(「端部電極板」と呼ぶ)の熱接着されたセパレータの部分を、自動的に作動する切断機で一枚ずつ切り離す方法で、作製した袋入り電極板(正極又は負極)と相対する裸の電極板(負極又は正極)を交互に積層して積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造する製造方法及びこの方法に基づく製造装置が、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を大量に製造するのに有効であることを見出した。
【0013】
本発明のポイントは、
a.第1段階:複数個の電極板を上下のセパレータ帯で挿んだ三層のサンドイッチ状態のセパレータ帯を形成し、この中で複数個の電極板が所定の位置に所定の間隔で並んでいる状態(「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」)をつくること。
【0014】
b.第2段階:電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成すること。
【0015】
c.第3段階:端を切断されている「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の「端部電極板」を第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」の上に送り出し、「端部電極板」を正確に「切断場所」の上の所定の位置に置くこと。
【0016】
d.4段階:切断機の切断刃を受ける面を備えた「切断場所」の上で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の熱接着されたセパレータの部分で、「端部電極板」を自動的に作動する切断機で一枚ずつ切り離すこと。
【0017】
により、袋入り電極板を製造する点にある。即ち、これら、4つの要素を組み合わせて初めて効率よく安定的に袋入り電極板を製造することを得るのである。
【0018】
ここで、第1のポイントである「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を形成することは、本発明の命とも言えるセパレータの正確な熱接着とその切断を、出来るだけ狭い場所で正確に行うことを可能とするために重要な役割を果たしている。本発明者は、ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール及び形成された「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」に引っ張りを与える第3ロール(このロールは「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を引き取り装置を備えた「切断場所」上に押し出す役割も担う。)を組み込んだシステムを採用し、これがリチウムイオン電池のセパレータを取扱うのに適しており、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」の形成に適していることを見出した。
【0019】
この時、セパレータは上下各1枚でもよいが、リチウムイオン電池の単電池積層体の電解液の保液性を向上させる効果などを狙って複数枚のセパレータを使用することがある。本発明の袋入り電極板製造方法では、容易に複数枚のセパレータを用いた袋入り電極板を製造することができる。本明細書の例では、2枚のセパレータを用いて袋入り電極板を製造する場合を示している。
【0020】
また、ベルトコンベアと第1ロール、第2ロール及び第3ロールの動きは、完全に連動するような電気的な又は機械的な仕組みが組み込まれているが、さらに第1ロール、第2ロール及び第3ロールの動きを正確に行わせるためには、それぞれ複数個のロールを組み込むことが好ましい。特に、第2ロール及び第3ロールではその必要性が高い。
【0021】
なお、第1ロールはベルトコンベアの上流側ロールの真上又はその近傍に配置することが、セパレータ帯の動きを確実なものにする上で好ましい。また、第2ロール及び第3ロールの下にはベルトを支えるロールを設けることが、同様の理由で好ましい。第1ロール、第2ロール、第3ロールを複数個備える場合は、それぞれの下にベルトを支えるロールを設けることが好ましい。さらに、これらのロールは、自ら動く駆動ロールが好ましいが、場合によってはベルトコンベアなどの力で動くフリーロールでもよい。本明細書では、単に「ロール」と表示したものは、どちらでもよい場合、「駆動ロール」と表示したものは駆動ロールでなくてはならないものを示す。
【0022】
第2のポイントである「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成することは、20ミクロンから200ミクロンオーダーの厚みの薄くて傷つき安い、電極板やセパレータを取扱う上で極めて優れた方法である。通常は、単電池積層体は、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し積層して製造することとなるが、この場合、これらがそれぞれ20ミクロンから200ミクロンオーダーの厚みであり、これらを正確に一枚ずつ取り扱うのは大変難しい。しかし、これらを本発明の方法で「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」に変えることにより、取り扱い上の様々な問題を解決できることが分かった。
【0023】
先に説明した、ベルトコンベア上の第1ロール、第2ロール及び第3ロールの働きで形成された「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を第2ロールと第3ロールの間のベルトコンベア上で、自動的に作動する熱接着機により熱接着することにより、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成する。
【0024】
第3のポイントは、引き取り装置を備えた「切断場所」である。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」を第3ロールで「切断場所」の上に正確に送り出すことが、本発明を達成する上で最も困難な点であった。その解決策が引き取り装置を備えた「切断場所」である。
【0025】
「切断場所」は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」と「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」本体とを両者の間のセパレータ熱接着部で切断する場所として重要な役割を担うものである。そして、「切断場所」は切断機の切断刃を受ける面(「切断刃受け面」と呼ぶ)を備えている。従って、この切断される部分が正確に「切断場所」の「切断刃受け面」の上で、切断機の切断刃の真下に置かれるように設計することが必要である。本発明では、動くベルトコンベアの上にこの「切断刃受け面」を設けることを求められる。一つは、ベルトコンベアのベルト表面をそのまま「切断刃受け面」として使用する方法である。しかし、この方法では、ベルトコンベアの寿命が短く、その交換のために時間と費用がかかる。より好ましい方法としては、ベルトコンベアの直ぐ上に、「切断刃受け面」として固定の薄い板を設け、それを乗り越えて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端の「端部電極板」を移動させる機構のある引き取り装置を備えた「固定切断刃受け面方式」がより好ましい。この方式では、受け面の薄板は、容易に交換できるので設備保全の経費と時間が節約できる。
【0026】
「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」を第3ロールでこの「切断場所」の上に押し出すだけであると、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の電極板のないセパレータのみの部分が変形して歪みが生じ、「端部電極板」を「切断場所」の上の所定の場所に正確に自動的に置くことが難しいことが分かった。つまり、「端部電極板」は「切断場所」の上の所定の位置からずれた位置に置かれる場合が多い結果となる。そのために、切断線が斜めになったり、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の電極板の周囲の熱接着されたセパレータの部分ではなく、電極板そのものを切断したりする不具合が起こり、所定の位置を自動的に切断することができないことが分かった。即ち、安定的に一定の形の袋入り電極板を製造することが困難であった。
【0027】
その対応策としては、切断機に電極板の位置を検知する装置を備え、都度切断機の位置を調整して切断することも試みたが、装置の作動速度が大幅に遅くなること、所定の位置との差異大きくて検知装置が対応できないなどの不具合があってうまく行かなかった。
【0028】
そこで、このように、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の電極板のないセパレータのみの部分が変形して歪みが生ずる原因を追究したところ、先ず、この部分の剛性が電極板のある部分と比べると低いために押し出すだけでは歪みが生ずることが分かった。さらに、このセパレータのみの部分は熱接着されており、熱接着によるセパレータの歪も大きいことが分かった。即ち、第2ロールと第3ロールの間に「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」がある間は、両端が押さえられているので「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」は真っ直ぐに移動するが、第3ロールを過ぎて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」の先を押さえるものがなくなると真っ直ぐに移動しなくなることが分かった。これは、リチウムイオン電池用のセパレータの特性に基づくものと考えられる。
【0029】
本発明者は、以上の事情から、引き取り装置を備えた「切断場所」を用いて試験したところ、上記問題点を解決することができた。
【0030】
この引き取り装置はベルトコンベア上のロールと同様に「端部電極板」の先を押さえることを要求される。具体的には、「端部電極板」の電極板の部分が第3ロールに架かっている間は問題がないので、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」本体と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部が第3ロールを離れる前に「切断場所」の引き取り装置が作動するように設計する必要がある。
【0031】
本発明では、このような要求を満たす引き取り装置として、吸引盤の付いたアーム方式が好適に適用できるものとして提案しているが、同様の効果を持つ引き取り装置であればこれに限るものではない。引き取り装置は、第3ロールの動きと合わせて自動的に動くように設計される。この「切断場所」の引き取り装置の働きにより、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の「端部電極板」を一様に且正確に移動することができるようになった。なお、「切断場所」に置かれた「端部電極板」の位置を検知して、切断機の切断刃の位置を微調整する機構を組み込むことにより、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する精度を高め、速度を高めることができることが分かった。
【0032】
吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置は、「切断場所」の上で上下及び主ベルトコンベアの軸方向に移動し、先に付いた吸引盤で「端部電極板」の先端部に吸引しこの部分を数ミリメートル引き上げることができるので、ベルトコンベアの上にある「固定切断刃受け面方式」の「切断刃受け面」を乗り越えるよう設計することも容易である。「端部電極板」の先端部に吸引した吸引盤の付いたアームは、第3ロールの動きに合わせて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部に適度の引っ張り力が作用するように調整して「端部電極板」を引き取り、「切断場所」の所定の位置に「端部電極板」を置く。
【0033】
これらの4つの仕組みの組合せにより初めて所定の位置で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断することが可能となり、一定の形の袋入り電極板を効率よく安定的に製造することができる製造方法及び製造装置を得た。
【0034】
本発明は、この新規に開発した袋入り電極板製造方法により製造した袋入り電極板(正極又は負極)と相対する裸の電極板(負極又は正極)を積層装置で、交互に積層して単電池積層体積層体を自動的に効率よく大量に生産することを可能にした。
【0035】
本発明のセパレータの袋入り電極板の製造方法は、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を大量生産するために開発されたものであり、ここまでに述べたように、リチウムイオン電池のセパレータ、電極板及び単電池積層体の特性、特にセパレータの特性に、合わせて開発されている。また、本発明の方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低い優れた品質のリチウムイオン電池であり、本発明により、積層型リチウムイオン電池の大量生産が可能となり、また製造時の歩留もよいこともあって、自動車用大型リチウムイオン電池について広く要望されている、低コスト化の実現が期待される。
【0036】
なお、本発明は自動車用の積層型リチウムイオン電池を工業的に大量生産する技術の開発を目指しているが、自動車用の場合、できるだけ小さな容積に出来るだけ容量の大きい単電池積層体を収納することを要求される。本発明の製造方法で製造した袋入り電極板は無駄なセパレータ(「余剰セパレータ」と呼ぶ)が多いという問題があった。本発明者はさらに研究を重ねた結果、最後の切断工程の改良により、無駄なセパレータの少ない、容積効率のより高い積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造することができるようになった。
【0037】
その方法は、最初の袋入り電極板を製造するための切断は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部の中央ではなく、セパレータ熱接着部の境界線にできる限り近い線で行い、その後余剰セパレータを切断するものである。この場合、切断された余剰セパレータを除去する必要があるが、空気による吸引法が簡単で効率がよいことが分かった。この余剰セパレータ切除工程を組み込んだ2段切断法は積層型リチウムイオン電池の容積効率の向上に大きく寄与するものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、電気自動車用、緊急電力用、夜間電力貯蔵用など大型のリチウムイオン電池に適した積層型リチウムイオン電池の心臓部に当たる正極板、セパレータ、負極板を積層して作る積層体を大量に、効率よく製造するための製造技術及び製造装置が提供できる。
【0039】
特に本発明の方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低い優れた品質のリチウムイオン電池であり、本発明により、積層型リチウムイオン電池の大量生産が可能となり、また製造時の歩留もよいこともあって、自動車用大型リチウムイオン電池について広く要望されている低コスト化の実現が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[一実施形態]
本発明に基づく単電池積層体を製造するための袋入り電極板製造装置の一例の概略図を図1に示す。なお、図1は、引き取り装置が吸引盤の付いたアーム方式の場合を示している。
【0041】
図1(a)に示す同装置の立面図は、図1(b)に示す平面図中のB−B線に沿う断面図を示している。立面図は、主に装置の位置関係を表すように示している。電極板移動機、熱接着機、切断機などは実際の大きさや形を示すものではなく、それぞれの機能を有する機器がその位置にあって、それぞれの機能を果たすことを示している。平面図は、立面図のA−A線を上から見た図で、上下のセパレータ及び電極板の部分を主体に示している。第3ロールは位置のみを一点破線で示し、「切断場所」29及び吸引盤の付いたアーム25は特に示している。
【0042】
図2(a),(b)は、図1のA部及びB部の詳細を示す立面図及び平面図の拡大図である。
【0043】
図3〜図17は、本発明で特別に使用している用語である、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42、袋入り電極板P43、袋入り電極板Q44及び電極板1の形状を平面図及び断面図で示している。
【0044】
図3〜図6は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」をセパレータの熱接着部31の中間で切断し、余剰セパレータの切断除去がない場合の電極板から袋入り電極板ができるまでの流れを示す。図7は、図4の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41の、図8は、図5及び図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42(余剰セパレータの切断除去がない場合の切断線32及び切断面33の位置を示している)の、図9は、図6の袋入り電極板P43(余剰セパレータの切断除去がない場合)の詳細を示す平面図及び断面図の拡大図である。また、図10〜図14は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」をセパレータの熱接着部31の熱接着境界線に近いところを切断し、余剰セパレータ35を切除する場合の電極板から袋入り電極板ができるまでの流れを示す。図15は、図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42(余剰セパレータの切断除去がある場合の切断線32及び切断面33の位置を示している)の、図16は、図13の袋入り電極板P43(余剰セパレータの切断除去がある場合)の、図17は図14の袋入り電極板Q44(余剰セパレータの切断除去がある場合)の詳細を示す平面図及び断面図の拡大図である。断面図は、それぞれ平面図のD−D線、E−E線、F−F線、G−G線に沿う断面を示す。
【0045】
図18は、積層機を配置する場合及び余剰セパレータを切断除去する場合の機器の配置を示しており、図1のC−C線に沿う断面をベルトコンベアの軸方向から見た立面図及びその平面図である。立面図、平面図共に装置の配置を示す概念図である。平面図は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42から切断した後の袋入り電極P43を示している。立面図は、平面図のH-H線から見たときの図を示している。「切断場所」29の引き取り装置は吸引盤付きアーム方式の場合を示している。
【0046】
図19は、本発明に基づく袋入り電極板を組み込んだ単電池積層体で、その平面図(上から見た図)を示している。図20は、図19中のI−I線に沿う断面を、また、図21は図19中のJ−J線に沿う断面を示している。
【0047】
全ての図は、電極及びセパレータの厚みを実際よりは大幅に厚く表示している。それは、電極板及びセパレータの動きをできるだけ分かり易くするためである。
【0048】
先ず、図1に基づき、本発明の実施の形態に付き説明する。11はベルトコンベア(主ベルトコンベア)であり、この上には、セパレータロール15及び15’より下側セパレータ帯2を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール12、セパレータロール16及び16’より上側セパレータ帯3を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール13及び「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を「切断場所」29上に押し出す第3ロール14を備えている。ベルトコンベア11、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は間欠的且自動的に動く仕組みになっている。なお、他の機械もこの動きに合わせて自動的に作動する。先ず、第1ロール12で下側セパレータ帯2(この例では2種類のセパレータを使用する)をベルトコンベア11上に繰り出し、第1ロール12と第2ロール13の間で自動的に作動する吸引盤方式の電極板移動機17により電極板1(正極板又は負極板)(図1には電極板1の収納ケースは表示されていない)を第1ロール12から繰り出した下側セパレータ帯2の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板1を下側セパレータ帯2の上に乗せた状態で第2ロール13に送り、ここで電極板1の上に上側セパレータ帯3を繰り出して重ね、ベルトコンベア11上に、複数個の電極板1の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドイッチ状態のセパレータ帯(「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」41と呼ぶ)を形成する。「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41は、図7及び図8に示すように、上下の上側セパレータ帯3及び下側セパレータ帯2が、電極板1の電極材を塗布してある部分56は完全に上下を覆うように、また、電池から電気を取り出す役割を持つ電極板の耳の部分53は覆わないように、電極板を配置している。電極板の耳は、セパレータ帯の長手方向とは直角の方向に出るように電極板を配置するが、耳のない3辺は上下のセパレータ帯を熱接着できるよう熱接着代を設けるように配置している。この「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41を形成することが本発明の袋入り電極板製造工程の第1段階である。なお、この例では、上下各2種類2枚のセパレータを使用する場合を示しているが、セパレータは上下各1枚でもよいし、3枚以上複数枚でもよい。本発明の装置は、容易にそれぞれの場合に対応できる。
【0049】
このような、配置が崩れると後のセパレータの熱接着及び切断がうまくいかないので、ベルトコンベア11、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は精度よく自動的に動くことが要求される。なお、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は、夫々の役割を確実に安定して果たすには、複数個備えることが好ましい。
【0050】
次に、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41をそのままの形で第2ロール13と第3ロール14の間に送る。ここで、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41の所定の間隔で並んだ電極板1の両側と耳のある辺の対辺の3辺にある熱接着代の上下のセパレータを自動的に作動する熱接着機18で熱接着する。
【0051】
その結果、周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板1複数個が、上下のセパレータ帯に挟まれた形のセパレータ帯(「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42と呼ぶ)を形成する。この「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を形成することが本発明の袋入り電極板製造工程の第2段階である。
【0052】
次の第3段階は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の先端部にあるセパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板(「端部電極板」5と呼ぶ)の第3ロール14による押し出しと引き取り装置を備えた「切断場所」29による引き取りである。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5を第3ロール14で、引き取り装置を備えた「切断場所」29の上に送り出す。図2に示す一例の引き取り装置は、吸引盤の付いたアーム方式を採用している。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5を送り出す第3ロール14の動きと、「切断場所」29の上に押し出された「端部電極板」5を引き取る動きを自動的に合わせて行う機構を備えている。引き取り装置については他にも様々な方式が考えられるので、これに限るものではない。なお、30は受けロールを示す。
【0053】
図2により、吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置を備えた場合について説明する。ここで、図2のXは、「切断場所」29の上の「切断刃受け面」の位置を示す。先端を切り取られた状態の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5は、第3ロール14により押し出される。この時、「端部電極板」5の電極板1が第3ロール14に架かっている間は、正確に歪まず押し出されるが、電極板1と電極板1の間のセパレータの熱接着部31の部分は剛性が低く、また、熱接着による歪があり、真っ直ぐに移動しない。吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置は、「端部電極板」5が第3ロール14により半分程度押し出され、未だ「端部電極板」5の電極板1が第3ロール14に架かっている間に、「切断場所」29の上で矢印dの方向に上下し、矢印cの方向に往復移動する吸引盤の付いたアームが「端部電極板」5を吸引し、矢印cの方向に第3ロール14の動きと自動的に合わせて引き取り、「端部電極板」5が第3ロール14の後においても張力が掛かった状態を保つことにより、「切断場所」29上の所定の位置に正確に、即ち、「切断場所」29の「切断は刃受け面」Xの上で、切断機20真下に正確に置かれることとなる。
【0054】
次の第4段階で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の端を切り取られた状態の「端部電極板」5と「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42本体の間の熱接着されたセパレータの部分31の中にある切断線32を所定の位置で自動的に作動する切断機20で切断して、袋入り電極板P43を得る。この時、電極板の位置を検知して切断機20の位置を微調整する機能を備えることにより、よりスムーズな操業が可能となる。
【0055】
ここまでが、本発明の袋入り電極板製造工程の基本要素の説明である。
【0056】
ここで、図3〜図9により、裸の電極板1が、本発明の袋入り電極板製造方法により、袋入り電極板P43に変わる様子を説明する。図3〜図6は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42をセパレータの熱接着部31の中間で切断し、余剰セパレータの切断除去がない場合の電極板1から袋入り電極板P43ができるまでの流れを示す。第1段階では、図1の第2ロール13の処で、図4の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41となる。図7に詳細を示している。次に、第2段階では、図1の第2ロール13と第3ロール14の間で熱接着機18により熱接着され、図5の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42となる。図8に詳細を示している。第3段階では、「切断場所」29の引き取り装置25により引き取られて、所定の位置に置かれる。第4段階では、「切断場所」29の上で切断機20により切断され、袋入り電極板P43を得る。図9に詳細を示している。
【0057】
袋入り電極板の製造をより確実に安定して行うため、切断機20の切断で得られた袋入り電極板P43を、次の工程に移すに当たり、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42と袋入り電極板P43の間に間隔をとって完全に切り離すことが望ましい。その方法としては、切断機20による切断後、ベルトコンベア11を動かさずに吸引盤の付いたアームで動かすことが考えられる。
【0058】
図10〜図17により、裸の電極板1が、本発明の袋入り電極板製造方法により、袋入り電極板Qに変わる様子を説明する。図10〜図14は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42をセパレータの熱接着部31の熱接着境界線34に近いところを切断し、余剰セパレータ35を切除する場合の電極板1から袋入り電極板Q44ができるまでの流れを示す。第1段階では、図1の第2ロール13の処で、図11の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41となる。図7に詳細を示している。次に、第2段階では、図1の第2ロール13と第3ロール14の間で熱接着機18により熱接着され、図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42となる。図15に詳細を示している。第3段階では、「切断場所」29の引き取り装置25により引き取られて、所定の位置に置かれ、第4段階では、「切断場所」29の上で切断機20により切断され、図13の袋入り電極板Pを得る。図16に詳細を示している。この場合の袋入り電極板P43には、余剰セパレータ部35がある。さらに、第5段階では、余剰セパレータ切断機21で余剰セパレータ35を切除し、図12の袋入り電極板Q44を得る。図17に詳細を示している。なお、袋入り電極板P43から余剰セパレータ部35を切り離して袋入り電極板Q44とすることにより、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体の無駄な容積を減らすことができ、電池の容積エネルギー密度などの容積効率の改善に寄与することは、先に説明した通りである。
【0059】
図18により、袋入り電極板製造工程の第5段階である余剰セパレータ切除工程及び単電池積層体製造工程をについて説明する。余剰セパレータ切断機(余剰セパレータ吸引除去機付き)21は、矢印eの方向に移動し、「切断場所」29の上に来て、袋入り電極板P43の余剰セパレータ部35を余剰セパレータ切断線36の処で切り離し、余剰セパレータ部35を吸引除去する。この結果、袋入り電極板Q44を得る。次いで、引き取り装置25は、袋入り電極板Q44の上から移動し、その後に吸引盤方式の袋入り電極板移動機22(この例では裸の電極板移動機としても作動する)が矢印fの方向に移動し、「切断場所」29の上に来て、袋入り電極板Q44(この場合は正極板)を矢印f及び矢印f’’の方向に移動させ、単電池積層体積層機26内の所定の位置に置く。次に、袋入り電極板移動機22は、裸の電極板移動機として作動し、矢印gの方向に移動し、裸の電極板ケース28より相対する裸の電極板(この場合は負極板)を取り出し、単電池積層体積層機26内の袋入り電極板Q44の上に置く。
【0060】
以上説明した作業工程を自動的に繰り返し、自動的に大量の袋入り電極板45(この場合は正極板)を製造しつつ、同時に相対する裸の電極板46(この場合は負極板)を積層し、単電池積層体47を自動的に積層する。
【0061】
図19〜図21には、本発明で作製した袋入り電極板を使用した単電池積層体47を示す。
【0062】
53は正極板の耳(袋入り正極板のもの)、54は負極板の耳(裸の負極板のもの)、55はセパレータ(袋入り正極板に付いているもの)、56は正極板の電極材を塗布した部分(袋入り正極板のもの)、57は負極板の電極材を塗布した部分(裸の負極板のもの)を示す。
【0063】
なお、図18の電極板移動機22で、袋入り電極板Q44を矢印f及び矢印f’の方向に移動させ、一旦袋入り電極板ケース27に収納し、袋入り電極板製造装置とは切り離した単電池積層体積層機26で単電池積層体47を製造することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る袋入り電極製造装置の構成を示す図。
【図2】図1中のA部及びB部の詳細を示す図。
【図3】電極板を示す平面図。
【図4】「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を示す図。
【図5】「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を示す図。
【図6】袋入り電極板Pを示す図。
【図7】「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図8】「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図9】袋入り電極板Pを拡大した図。
【図10】余剰セパレータを切断除去する場合の電極板を示す図。
【図11】同じく「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を示す図。
【図12】同じく「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を示す図。
【図13】同じく袋入り電極板Pを示す図。
【図14】同じく袋入り電極板Qを示す図。
【図15】「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図16】袋入り電極板Pを拡大して示す図。
【図17】袋入り電極板Qを拡大して示す図。
【図18】袋入り電極製造装置の「切断場所」及び積層機の配置を示す図。
【図19】単電池積層体を示す平面図。
【図20】図19中のI−I線に沿う断面図。
【図21】図19中のJ−J線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0065】
1…電極板、2…セパレータ帯(下側)、3…セパレータ帯(上側)、5…「端部電極板」、11…ベルトコンベア、12…第1ロール、13…第2ロール、14…第3ロール、15、15’…セパレータロール(下側)、16、16’…セパレータロール(上側)、17…電極板移動機、18…熱接着機、20…切断機、25…「切断場所」引き取り装置(吸引盤付きアーム方式)、26…単電池積層体積層機、29…「切断場所」、41…「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」、42…「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」、43…袋入り電極板P、44…袋入り電極板Q、45…袋入り電極板(正極板)、46…裸の電極板(負極板)、47…単電池積層体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型積層型リチウムイオン電池、特に自動車用大型積層型リチウムイオン電池並びにその製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン電池は、エレクトロニクス分野用の小型の渦巻型が主流で、この分野の大量生産技術は確立されている。近時、電気自動車用、緊急電力用、夜間電力貯蔵用など大型のリチウムイオン電池に対する要求が高まってきた。リチウムイオン電池を大型化するには、積層型が適している。しかし、積層型リチウムイオン電池の大量生産技術は、未だ確立されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
積層型リチウムイオン電池の大量生産技術を確立するには、正極板、セパレータ、負極板を積層して作る単電池積層体を大量に、効率よく製造する技術及び製造装置が必要である。
【0004】
積層型リチウムイオン電池の品質と製造時の歩留は、この単電池積層体を如何にうまく作るかにより支配される。単電池積層体の製造には、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し自動的に且正確に積層する技術と装置が求められる。
【0005】
この時、正極板を袋入りにし、袋入り正極板と裸の負極板を交互に積層することにより、単電池積層体を作る方法が考えられる。この方法では、袋入り正極板と裸の負極板の2種類を交互に積層することにより、上記積層と同じ効果が得られるので、積層工程は単純化される。本発明者は、この方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低く品質がよいことを見出した。また、製造時の歩留もよいことも見出した。その理由は正極板の周囲のセパレータを熱接着で封じているため、単電池積層体の電極板の周辺部での電流の漏れが少ないためであると考えられる。しかし、袋入り電極板を大量に且自動的に製造する技術と装置は未だ開発されていない。
【0006】
因みに、電気自動車1台には、約100セルの積層型リチウムイオン電池が必要であり、そのためには、約1万枚の正極板及び負極板を積層することとなる。従って、1万台分の積層型リチウムイオン電池を製造するには約1億枚の正極板及び負極板を積層して単電池積層体を作る必要がある。
【0007】
本発明は、積層型リチウムイオン電池の安定した品質の単電池積層体を大量に効率よく製造する袋入り電極板の新規な製造方法を組み込んだ積層型リチウムイオン電池の単電池積層体の製造方法及び製造装置並びにその製造方法に基づくリチウムイオン電池を提案する。
【0008】
即ち、本発明の目的は、積層型リチウムイオン電池の大量生産技術を確立するため、単電池積層体を大量に効率よく製造する技術及び製造装置の提供すること、並びに大量生産が可能でコストが安く、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に関わる積層型リチウムイオン電池の単電池は、正極合剤を正極集電体(通常はアルミニウムの薄板)の両面に塗布した正極板と負極合剤を負極集電体(通常は銅の薄板)の両面に塗布した負極板を、セパレータを挿んで交互に積層して得られる単電池積層体に正極端子金具及び負極端子金具を接続したものを単電池(セル)ケースに収納し、電解液を注入して密閉構造にしたものである。
【0010】
積層型リチウムイオン電池の心臓部である単電池積層体は、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し積層して製造するのは普通であるが、本発明では、先ず、セパレータの袋入り正極板(又は負極板)を製造し、これと相対する裸の負極板(又は正極板)を交互に積層して単電池積層体を製造する製造方法を開発する。先にも述べたように、この方法の利点は、袋入り正極板(又は負極板)と相対する裸の負極板(又は正極板)を交互に積層する積層工程が単純化されることであり、また、本発明者は長年の研究により、この方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は自己放電率が低く品質がよいこと、及び製造時の歩留もよいことを見出している。
【0011】
本発明では、袋入り正極板(又は負極板)を大量に且自動的に製造する新規な製造方法と製造装置を開発し、袋入り正極板(又は負極板)と裸の負極板(又は正極板)を交互に積層する技術を組み合わせて、大量に且自動的に積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造する製造方法及び製造装置を開発した。また、この製造方法で製造した単電池積層体を組み込むことにより、自己放電率が低く品質のよい積層型リチウムイオン電池を大量に安く提供することができる。
【0012】
本発明者は、セパレータの袋入りの電極板を製造する製造方法を組み込んだ単電池積層体を製造する製造方法は以下の通りである。即ち、ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール、ベルトコンベアの上にある、引き取り装置を備え且切断機の切断刃を受ける面を備えた、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する場所(「切断場所」と呼ぶ)に、これを押し出す第3ロールを備えた装置において、ベルトコンベア、第1ロール、第2ロール、第3ロール及び引き取り装置を間欠的且自動的に動かし、第1ロールで下側セパレータ帯をベルトコンベア上に繰り出し、第1ロールと第2ロールの間で自動的に作動する電極板移動機により電極板複数個を下側セパレータ帯の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板を下側セパレータ帯の上に乗せた状態で第2ロールに送り、ここで電極板の上に上側セパレータ帯を繰り出して重ね、ベルトコンベア上に、複数個の電極板の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドィッチ状態のセパレータ帯(「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」と呼ぶ)を形成し、第2ロールと第3ロールの間で、電極板の周囲に沿って上側セパレータ帯と下側セパレータ帯を自動的に作動する熱接着機で接着し、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成し、これを第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」に送り出し、ここで、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、セパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板(「端部電極板」と呼ぶ)の熱接着されたセパレータの部分を、自動的に作動する切断機で一枚ずつ切り離す方法で、作製した袋入り電極板(正極又は負極)と相対する裸の電極板(負極又は正極)を交互に積層して積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造する製造方法及びこの方法に基づく製造装置が、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を大量に製造するのに有効であることを見出した。
【0013】
本発明のポイントは、
a.第1段階:複数個の電極板を上下のセパレータ帯で挿んだ三層のサンドイッチ状態のセパレータ帯を形成し、この中で複数個の電極板が所定の位置に所定の間隔で並んでいる状態(「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」)をつくること。
【0014】
b.第2段階:電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成すること。
【0015】
c.第3段階:端を切断されている「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の「端部電極板」を第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」の上に送り出し、「端部電極板」を正確に「切断場所」の上の所定の位置に置くこと。
【0016】
d.4段階:切断機の切断刃を受ける面を備えた「切断場所」の上で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の熱接着されたセパレータの部分で、「端部電極板」を自動的に作動する切断機で一枚ずつ切り離すこと。
【0017】
により、袋入り電極板を製造する点にある。即ち、これら、4つの要素を組み合わせて初めて効率よく安定的に袋入り電極板を製造することを得るのである。
【0018】
ここで、第1のポイントである「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を形成することは、本発明の命とも言えるセパレータの正確な熱接着とその切断を、出来るだけ狭い場所で正確に行うことを可能とするために重要な役割を果たしている。本発明者は、ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール及び形成された「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」に引っ張りを与える第3ロール(このロールは「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を引き取り装置を備えた「切断場所」上に押し出す役割も担う。)を組み込んだシステムを採用し、これがリチウムイオン電池のセパレータを取扱うのに適しており、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」の形成に適していることを見出した。
【0019】
この時、セパレータは上下各1枚でもよいが、リチウムイオン電池の単電池積層体の電解液の保液性を向上させる効果などを狙って複数枚のセパレータを使用することがある。本発明の袋入り電極板製造方法では、容易に複数枚のセパレータを用いた袋入り電極板を製造することができる。本明細書の例では、2枚のセパレータを用いて袋入り電極板を製造する場合を示している。
【0020】
また、ベルトコンベアと第1ロール、第2ロール及び第3ロールの動きは、完全に連動するような電気的な又は機械的な仕組みが組み込まれているが、さらに第1ロール、第2ロール及び第3ロールの動きを正確に行わせるためには、それぞれ複数個のロールを組み込むことが好ましい。特に、第2ロール及び第3ロールではその必要性が高い。
【0021】
なお、第1ロールはベルトコンベアの上流側ロールの真上又はその近傍に配置することが、セパレータ帯の動きを確実なものにする上で好ましい。また、第2ロール及び第3ロールの下にはベルトを支えるロールを設けることが、同様の理由で好ましい。第1ロール、第2ロール、第3ロールを複数個備える場合は、それぞれの下にベルトを支えるロールを設けることが好ましい。さらに、これらのロールは、自ら動く駆動ロールが好ましいが、場合によってはベルトコンベアなどの力で動くフリーロールでもよい。本明細書では、単に「ロール」と表示したものは、どちらでもよい場合、「駆動ロール」と表示したものは駆動ロールでなくてはならないものを示す。
【0022】
第2のポイントである「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成することは、20ミクロンから200ミクロンオーダーの厚みの薄くて傷つき安い、電極板やセパレータを取扱う上で極めて優れた方法である。通常は、単電池積層体は、正極板、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板、セパレータを繰り返し積層して製造することとなるが、この場合、これらがそれぞれ20ミクロンから200ミクロンオーダーの厚みであり、これらを正確に一枚ずつ取り扱うのは大変難しい。しかし、これらを本発明の方法で「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」に変えることにより、取り扱い上の様々な問題を解決できることが分かった。
【0023】
先に説明した、ベルトコンベア上の第1ロール、第2ロール及び第3ロールの働きで形成された「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を第2ロールと第3ロールの間のベルトコンベア上で、自動的に作動する熱接着機により熱接着することにより、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成する。
【0024】
第3のポイントは、引き取り装置を備えた「切断場所」である。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」を第3ロールで「切断場所」の上に正確に送り出すことが、本発明を達成する上で最も困難な点であった。その解決策が引き取り装置を備えた「切断場所」である。
【0025】
「切断場所」は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」と「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」本体とを両者の間のセパレータ熱接着部で切断する場所として重要な役割を担うものである。そして、「切断場所」は切断機の切断刃を受ける面(「切断刃受け面」と呼ぶ)を備えている。従って、この切断される部分が正確に「切断場所」の「切断刃受け面」の上で、切断機の切断刃の真下に置かれるように設計することが必要である。本発明では、動くベルトコンベアの上にこの「切断刃受け面」を設けることを求められる。一つは、ベルトコンベアのベルト表面をそのまま「切断刃受け面」として使用する方法である。しかし、この方法では、ベルトコンベアの寿命が短く、その交換のために時間と費用がかかる。より好ましい方法としては、ベルトコンベアの直ぐ上に、「切断刃受け面」として固定の薄い板を設け、それを乗り越えて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端の「端部電極板」を移動させる機構のある引き取り装置を備えた「固定切断刃受け面方式」がより好ましい。この方式では、受け面の薄板は、容易に交換できるので設備保全の経費と時間が節約できる。
【0026】
「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」を第3ロールでこの「切断場所」の上に押し出すだけであると、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の電極板のないセパレータのみの部分が変形して歪みが生じ、「端部電極板」を「切断場所」の上の所定の場所に正確に自動的に置くことが難しいことが分かった。つまり、「端部電極板」は「切断場所」の上の所定の位置からずれた位置に置かれる場合が多い結果となる。そのために、切断線が斜めになったり、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の電極板の周囲の熱接着されたセパレータの部分ではなく、電極板そのものを切断したりする不具合が起こり、所定の位置を自動的に切断することができないことが分かった。即ち、安定的に一定の形の袋入り電極板を製造することが困難であった。
【0027】
その対応策としては、切断機に電極板の位置を検知する装置を備え、都度切断機の位置を調整して切断することも試みたが、装置の作動速度が大幅に遅くなること、所定の位置との差異大きくて検知装置が対応できないなどの不具合があってうまく行かなかった。
【0028】
そこで、このように、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間の電極板のないセパレータのみの部分が変形して歪みが生ずる原因を追究したところ、先ず、この部分の剛性が電極板のある部分と比べると低いために押し出すだけでは歪みが生ずることが分かった。さらに、このセパレータのみの部分は熱接着されており、熱接着によるセパレータの歪も大きいことが分かった。即ち、第2ロールと第3ロールの間に「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」がある間は、両端が押さえられているので「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」は真っ直ぐに移動するが、第3ロールを過ぎて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の端を切断されている「端部電極板」の先を押さえるものがなくなると真っ直ぐに移動しなくなることが分かった。これは、リチウムイオン電池用のセパレータの特性に基づくものと考えられる。
【0029】
本発明者は、以上の事情から、引き取り装置を備えた「切断場所」を用いて試験したところ、上記問題点を解決することができた。
【0030】
この引き取り装置はベルトコンベア上のロールと同様に「端部電極板」の先を押さえることを要求される。具体的には、「端部電極板」の電極板の部分が第3ロールに架かっている間は問題がないので、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」本体と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部が第3ロールを離れる前に「切断場所」の引き取り装置が作動するように設計する必要がある。
【0031】
本発明では、このような要求を満たす引き取り装置として、吸引盤の付いたアーム方式が好適に適用できるものとして提案しているが、同様の効果を持つ引き取り装置であればこれに限るものではない。引き取り装置は、第3ロールの動きと合わせて自動的に動くように設計される。この「切断場所」の引き取り装置の働きにより、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」の「端部電極板」を一様に且正確に移動することができるようになった。なお、「切断場所」に置かれた「端部電極板」の位置を検知して、切断機の切断刃の位置を微調整する機構を組み込むことにより、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する精度を高め、速度を高めることができることが分かった。
【0032】
吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置は、「切断場所」の上で上下及び主ベルトコンベアの軸方向に移動し、先に付いた吸引盤で「端部電極板」の先端部に吸引しこの部分を数ミリメートル引き上げることができるので、ベルトコンベアの上にある「固定切断刃受け面方式」の「切断刃受け面」を乗り越えるよう設計することも容易である。「端部電極板」の先端部に吸引した吸引盤の付いたアームは、第3ロールの動きに合わせて「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部に適度の引っ張り力が作用するように調整して「端部電極板」を引き取り、「切断場所」の所定の位置に「端部電極板」を置く。
【0033】
これらの4つの仕組みの組合せにより初めて所定の位置で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断することが可能となり、一定の形の袋入り電極板を効率よく安定的に製造することができる製造方法及び製造装置を得た。
【0034】
本発明は、この新規に開発した袋入り電極板製造方法により製造した袋入り電極板(正極又は負極)と相対する裸の電極板(負極又は正極)を積層装置で、交互に積層して単電池積層体積層体を自動的に効率よく大量に生産することを可能にした。
【0035】
本発明のセパレータの袋入り電極板の製造方法は、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を大量生産するために開発されたものであり、ここまでに述べたように、リチウムイオン電池のセパレータ、電極板及び単電池積層体の特性、特にセパレータの特性に、合わせて開発されている。また、本発明の方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低い優れた品質のリチウムイオン電池であり、本発明により、積層型リチウムイオン電池の大量生産が可能となり、また製造時の歩留もよいこともあって、自動車用大型リチウムイオン電池について広く要望されている、低コスト化の実現が期待される。
【0036】
なお、本発明は自動車用の積層型リチウムイオン電池を工業的に大量生産する技術の開発を目指しているが、自動車用の場合、できるだけ小さな容積に出来るだけ容量の大きい単電池積層体を収納することを要求される。本発明の製造方法で製造した袋入り電極板は無駄なセパレータ(「余剰セパレータ」と呼ぶ)が多いという問題があった。本発明者はさらに研究を重ねた結果、最後の切断工程の改良により、無駄なセパレータの少ない、容積効率のより高い積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造することができるようになった。
【0037】
その方法は、最初の袋入り電極板を製造するための切断は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」と「端部電極板」の間のセパレータ熱接着部の中央ではなく、セパレータ熱接着部の境界線にできる限り近い線で行い、その後余剰セパレータを切断するものである。この場合、切断された余剰セパレータを除去する必要があるが、空気による吸引法が簡単で効率がよいことが分かった。この余剰セパレータ切除工程を組み込んだ2段切断法は積層型リチウムイオン電池の容積効率の向上に大きく寄与するものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、電気自動車用、緊急電力用、夜間電力貯蔵用など大型のリチウムイオン電池に適した積層型リチウムイオン電池の心臓部に当たる正極板、セパレータ、負極板を積層して作る積層体を大量に、効率よく製造するための製造技術及び製造装置が提供できる。
【0039】
特に本発明の方法で作られる単電池積層体よりなる積層型リチウムイオン電池は、自己放電率が低い優れた品質のリチウムイオン電池であり、本発明により、積層型リチウムイオン電池の大量生産が可能となり、また製造時の歩留もよいこともあって、自動車用大型リチウムイオン電池について広く要望されている低コスト化の実現が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[一実施形態]
本発明に基づく単電池積層体を製造するための袋入り電極板製造装置の一例の概略図を図1に示す。なお、図1は、引き取り装置が吸引盤の付いたアーム方式の場合を示している。
【0041】
図1(a)に示す同装置の立面図は、図1(b)に示す平面図中のB−B線に沿う断面図を示している。立面図は、主に装置の位置関係を表すように示している。電極板移動機、熱接着機、切断機などは実際の大きさや形を示すものではなく、それぞれの機能を有する機器がその位置にあって、それぞれの機能を果たすことを示している。平面図は、立面図のA−A線を上から見た図で、上下のセパレータ及び電極板の部分を主体に示している。第3ロールは位置のみを一点破線で示し、「切断場所」29及び吸引盤の付いたアーム25は特に示している。
【0042】
図2(a),(b)は、図1のA部及びB部の詳細を示す立面図及び平面図の拡大図である。
【0043】
図3〜図17は、本発明で特別に使用している用語である、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42、袋入り電極板P43、袋入り電極板Q44及び電極板1の形状を平面図及び断面図で示している。
【0044】
図3〜図6は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」をセパレータの熱接着部31の中間で切断し、余剰セパレータの切断除去がない場合の電極板から袋入り電極板ができるまでの流れを示す。図7は、図4の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41の、図8は、図5及び図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42(余剰セパレータの切断除去がない場合の切断線32及び切断面33の位置を示している)の、図9は、図6の袋入り電極板P43(余剰セパレータの切断除去がない場合)の詳細を示す平面図及び断面図の拡大図である。また、図10〜図14は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」をセパレータの熱接着部31の熱接着境界線に近いところを切断し、余剰セパレータ35を切除する場合の電極板から袋入り電極板ができるまでの流れを示す。図15は、図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42(余剰セパレータの切断除去がある場合の切断線32及び切断面33の位置を示している)の、図16は、図13の袋入り電極板P43(余剰セパレータの切断除去がある場合)の、図17は図14の袋入り電極板Q44(余剰セパレータの切断除去がある場合)の詳細を示す平面図及び断面図の拡大図である。断面図は、それぞれ平面図のD−D線、E−E線、F−F線、G−G線に沿う断面を示す。
【0045】
図18は、積層機を配置する場合及び余剰セパレータを切断除去する場合の機器の配置を示しており、図1のC−C線に沿う断面をベルトコンベアの軸方向から見た立面図及びその平面図である。立面図、平面図共に装置の配置を示す概念図である。平面図は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42から切断した後の袋入り電極P43を示している。立面図は、平面図のH-H線から見たときの図を示している。「切断場所」29の引き取り装置は吸引盤付きアーム方式の場合を示している。
【0046】
図19は、本発明に基づく袋入り電極板を組み込んだ単電池積層体で、その平面図(上から見た図)を示している。図20は、図19中のI−I線に沿う断面を、また、図21は図19中のJ−J線に沿う断面を示している。
【0047】
全ての図は、電極及びセパレータの厚みを実際よりは大幅に厚く表示している。それは、電極板及びセパレータの動きをできるだけ分かり易くするためである。
【0048】
先ず、図1に基づき、本発明の実施の形態に付き説明する。11はベルトコンベア(主ベルトコンベア)であり、この上には、セパレータロール15及び15’より下側セパレータ帯2を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール12、セパレータロール16及び16’より上側セパレータ帯3を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール13及び「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を「切断場所」29上に押し出す第3ロール14を備えている。ベルトコンベア11、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は間欠的且自動的に動く仕組みになっている。なお、他の機械もこの動きに合わせて自動的に作動する。先ず、第1ロール12で下側セパレータ帯2(この例では2種類のセパレータを使用する)をベルトコンベア11上に繰り出し、第1ロール12と第2ロール13の間で自動的に作動する吸引盤方式の電極板移動機17により電極板1(正極板又は負極板)(図1には電極板1の収納ケースは表示されていない)を第1ロール12から繰り出した下側セパレータ帯2の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板1を下側セパレータ帯2の上に乗せた状態で第2ロール13に送り、ここで電極板1の上に上側セパレータ帯3を繰り出して重ね、ベルトコンベア11上に、複数個の電極板1の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドイッチ状態のセパレータ帯(「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」41と呼ぶ)を形成する。「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41は、図7及び図8に示すように、上下の上側セパレータ帯3及び下側セパレータ帯2が、電極板1の電極材を塗布してある部分56は完全に上下を覆うように、また、電池から電気を取り出す役割を持つ電極板の耳の部分53は覆わないように、電極板を配置している。電極板の耳は、セパレータ帯の長手方向とは直角の方向に出るように電極板を配置するが、耳のない3辺は上下のセパレータ帯を熱接着できるよう熱接着代を設けるように配置している。この「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41を形成することが本発明の袋入り電極板製造工程の第1段階である。なお、この例では、上下各2種類2枚のセパレータを使用する場合を示しているが、セパレータは上下各1枚でもよいし、3枚以上複数枚でもよい。本発明の装置は、容易にそれぞれの場合に対応できる。
【0049】
このような、配置が崩れると後のセパレータの熱接着及び切断がうまくいかないので、ベルトコンベア11、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は精度よく自動的に動くことが要求される。なお、第1ロール12、第2ロール13及び第3ロール14は、夫々の役割を確実に安定して果たすには、複数個備えることが好ましい。
【0050】
次に、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41をそのままの形で第2ロール13と第3ロール14の間に送る。ここで、「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41の所定の間隔で並んだ電極板1の両側と耳のある辺の対辺の3辺にある熱接着代の上下のセパレータを自動的に作動する熱接着機18で熱接着する。
【0051】
その結果、周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板1複数個が、上下のセパレータ帯に挟まれた形のセパレータ帯(「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42と呼ぶ)を形成する。この「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42を形成することが本発明の袋入り電極板製造工程の第2段階である。
【0052】
次の第3段階は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の先端部にあるセパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板(「端部電極板」5と呼ぶ)の第3ロール14による押し出しと引き取り装置を備えた「切断場所」29による引き取りである。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5を第3ロール14で、引き取り装置を備えた「切断場所」29の上に送り出す。図2に示す一例の引き取り装置は、吸引盤の付いたアーム方式を採用している。「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5を送り出す第3ロール14の動きと、「切断場所」29の上に押し出された「端部電極板」5を引き取る動きを自動的に合わせて行う機構を備えている。引き取り装置については他にも様々な方式が考えられるので、これに限るものではない。なお、30は受けロールを示す。
【0053】
図2により、吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置を備えた場合について説明する。ここで、図2のXは、「切断場所」29の上の「切断刃受け面」の位置を示す。先端を切り取られた状態の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の「端部電極板」5は、第3ロール14により押し出される。この時、「端部電極板」5の電極板1が第3ロール14に架かっている間は、正確に歪まず押し出されるが、電極板1と電極板1の間のセパレータの熱接着部31の部分は剛性が低く、また、熱接着による歪があり、真っ直ぐに移動しない。吸引盤の付いたアーム方式の引き取り装置は、「端部電極板」5が第3ロール14により半分程度押し出され、未だ「端部電極板」5の電極板1が第3ロール14に架かっている間に、「切断場所」29の上で矢印dの方向に上下し、矢印cの方向に往復移動する吸引盤の付いたアームが「端部電極板」5を吸引し、矢印cの方向に第3ロール14の動きと自動的に合わせて引き取り、「端部電極板」5が第3ロール14の後においても張力が掛かった状態を保つことにより、「切断場所」29上の所定の位置に正確に、即ち、「切断場所」29の「切断は刃受け面」Xの上で、切断機20真下に正確に置かれることとなる。
【0054】
次の第4段階で、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42の端を切り取られた状態の「端部電極板」5と「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42本体の間の熱接着されたセパレータの部分31の中にある切断線32を所定の位置で自動的に作動する切断機20で切断して、袋入り電極板P43を得る。この時、電極板の位置を検知して切断機20の位置を微調整する機能を備えることにより、よりスムーズな操業が可能となる。
【0055】
ここまでが、本発明の袋入り電極板製造工程の基本要素の説明である。
【0056】
ここで、図3〜図9により、裸の電極板1が、本発明の袋入り電極板製造方法により、袋入り電極板P43に変わる様子を説明する。図3〜図6は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42をセパレータの熱接着部31の中間で切断し、余剰セパレータの切断除去がない場合の電極板1から袋入り電極板P43ができるまでの流れを示す。第1段階では、図1の第2ロール13の処で、図4の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41となる。図7に詳細を示している。次に、第2段階では、図1の第2ロール13と第3ロール14の間で熱接着機18により熱接着され、図5の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42となる。図8に詳細を示している。第3段階では、「切断場所」29の引き取り装置25により引き取られて、所定の位置に置かれる。第4段階では、「切断場所」29の上で切断機20により切断され、袋入り電極板P43を得る。図9に詳細を示している。
【0057】
袋入り電極板の製造をより確実に安定して行うため、切断機20の切断で得られた袋入り電極板P43を、次の工程に移すに当たり、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42と袋入り電極板P43の間に間隔をとって完全に切り離すことが望ましい。その方法としては、切断機20による切断後、ベルトコンベア11を動かさずに吸引盤の付いたアームで動かすことが考えられる。
【0058】
図10〜図17により、裸の電極板1が、本発明の袋入り電極板製造方法により、袋入り電極板Qに変わる様子を説明する。図10〜図14は、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42をセパレータの熱接着部31の熱接着境界線34に近いところを切断し、余剰セパレータ35を切除する場合の電極板1から袋入り電極板Q44ができるまでの流れを示す。第1段階では、図1の第2ロール13の処で、図11の「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」41となる。図7に詳細を示している。次に、第2段階では、図1の第2ロール13と第3ロール14の間で熱接着機18により熱接着され、図12の「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」42となる。図15に詳細を示している。第3段階では、「切断場所」29の引き取り装置25により引き取られて、所定の位置に置かれ、第4段階では、「切断場所」29の上で切断機20により切断され、図13の袋入り電極板Pを得る。図16に詳細を示している。この場合の袋入り電極板P43には、余剰セパレータ部35がある。さらに、第5段階では、余剰セパレータ切断機21で余剰セパレータ35を切除し、図12の袋入り電極板Q44を得る。図17に詳細を示している。なお、袋入り電極板P43から余剰セパレータ部35を切り離して袋入り電極板Q44とすることにより、積層型リチウムイオン電池の単電池積層体の無駄な容積を減らすことができ、電池の容積エネルギー密度などの容積効率の改善に寄与することは、先に説明した通りである。
【0059】
図18により、袋入り電極板製造工程の第5段階である余剰セパレータ切除工程及び単電池積層体製造工程をについて説明する。余剰セパレータ切断機(余剰セパレータ吸引除去機付き)21は、矢印eの方向に移動し、「切断場所」29の上に来て、袋入り電極板P43の余剰セパレータ部35を余剰セパレータ切断線36の処で切り離し、余剰セパレータ部35を吸引除去する。この結果、袋入り電極板Q44を得る。次いで、引き取り装置25は、袋入り電極板Q44の上から移動し、その後に吸引盤方式の袋入り電極板移動機22(この例では裸の電極板移動機としても作動する)が矢印fの方向に移動し、「切断場所」29の上に来て、袋入り電極板Q44(この場合は正極板)を矢印f及び矢印f’’の方向に移動させ、単電池積層体積層機26内の所定の位置に置く。次に、袋入り電極板移動機22は、裸の電極板移動機として作動し、矢印gの方向に移動し、裸の電極板ケース28より相対する裸の電極板(この場合は負極板)を取り出し、単電池積層体積層機26内の袋入り電極板Q44の上に置く。
【0060】
以上説明した作業工程を自動的に繰り返し、自動的に大量の袋入り電極板45(この場合は正極板)を製造しつつ、同時に相対する裸の電極板46(この場合は負極板)を積層し、単電池積層体47を自動的に積層する。
【0061】
図19〜図21には、本発明で作製した袋入り電極板を使用した単電池積層体47を示す。
【0062】
53は正極板の耳(袋入り正極板のもの)、54は負極板の耳(裸の負極板のもの)、55はセパレータ(袋入り正極板に付いているもの)、56は正極板の電極材を塗布した部分(袋入り正極板のもの)、57は負極板の電極材を塗布した部分(裸の負極板のもの)を示す。
【0063】
なお、図18の電極板移動機22で、袋入り電極板Q44を矢印f及び矢印f’の方向に移動させ、一旦袋入り電極板ケース27に収納し、袋入り電極板製造装置とは切り離した単電池積層体積層機26で単電池積層体47を製造することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る袋入り電極製造装置の構成を示す図。
【図2】図1中のA部及びB部の詳細を示す図。
【図3】電極板を示す平面図。
【図4】「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を示す図。
【図5】「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を示す図。
【図6】袋入り電極板Pを示す図。
【図7】「電極板を挿んだサンドィッチ状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図8】「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図9】袋入り電極板Pを拡大した図。
【図10】余剰セパレータを切断除去する場合の電極板を示す図。
【図11】同じく「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を示す図。
【図12】同じく「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を示す図。
【図13】同じく袋入り電極板Pを示す図。
【図14】同じく袋入り電極板Qを示す図。
【図15】「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」を拡大した図。
【図16】袋入り電極板Pを拡大して示す図。
【図17】袋入り電極板Qを拡大して示す図。
【図18】袋入り電極製造装置の「切断場所」及び積層機の配置を示す図。
【図19】単電池積層体を示す平面図。
【図20】図19中のI−I線に沿う断面図。
【図21】図19中のJ−J線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0065】
1…電極板、2…セパレータ帯(下側)、3…セパレータ帯(上側)、5…「端部電極板」、11…ベルトコンベア、12…第1ロール、13…第2ロール、14…第3ロール、15、15’…セパレータロール(下側)、16、16’…セパレータロール(上側)、17…電極板移動機、18…熱接着機、20…切断機、25…「切断場所」引き取り装置(吸引盤付きアーム方式)、26…単電池積層体積層機、29…「切断場所」、41…「電極板を挿んだサンドイッチ状態のセパレータ帯」、42…「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」、43…袋入り電極板P、44…袋入り電極板Q、45…袋入り電極板(正極板)、46…裸の電極板(負極板)、47…単電池積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール、ベルトコンベアの上にある、引き取り装置を備え且切断機の切断刃を受ける面を備えた、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する場所に、これを押し出す第3ロールを備え、ベルトコンベア、第1ロール、第2ロール、第3ロール及び引き取り装置を動かし、第1ロールで下側セパレータ帯をベルトコンベア上に繰り出し、第1ロールと第2ロールの間で作動する電極板移動機により電極板複数個を下側セパレータ帯の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板を下側セパレータ帯の上に乗せた状態で第2ロールに送り、ここで電極板の上に上側セパレータ帯を繰り出して重ね、ベルトコンベア上に、複数個の電極板の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドィッチ状態のセパレータ帯を形成し、第2ロールと第3ロールの間で、電極板の周囲に沿って上側セパレータ帯と下側セパレータ帯を作動する熱接着機で接着し、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成し、これを第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた切断する場所に送り出し、ここで、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、セパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板の熱接着されたセパレータの部分を、作動する切断機で一枚ずつ切り離す方法で作製した袋入り電極板と相対する裸の電極板を交互に積層して積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリチウムイオン電池の製造方法において、先ず、熱接着の境界に出来る限り近い線で「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断し、次いで、
余剰セパレータを切断除去することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造した単電池積層体よりなることを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項4】
請求項3記載のリチウムイオン電池において複数枚のセパレータを組み合わせて使用することを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の製造方法により、単電池積層体を製造することを特徴とするリチウムイオン電池の製造装置。
【請求項6】
請求項5記載のリチウムイオン電池の製造装置において、ベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」の引き取り装置が、第3ロールの送り出し速度に合わせて引き取る吸引盤の付いたアームであることを特徴とするリチウムイオン電池の製造装置。
【請求項1】
ベルトコンベアの上に、セパレータロールより下側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第1ロール、セパレータロールより上側セパレータ帯を受け入れてベルトコンベア上に押し付ける第2ロール、ベルトコンベアの上にある、引き取り装置を備え且切断機の切断刃を受ける面を備えた、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断する場所に、これを押し出す第3ロールを備え、ベルトコンベア、第1ロール、第2ロール、第3ロール及び引き取り装置を動かし、第1ロールで下側セパレータ帯をベルトコンベア上に繰り出し、第1ロールと第2ロールの間で作動する電極板移動機により電極板複数個を下側セパレータ帯の上の所定の位置に所定の間隔で置き、この電極板を下側セパレータ帯の上に乗せた状態で第2ロールに送り、ここで電極板の上に上側セパレータ帯を繰り出して重ね、ベルトコンベア上に、複数個の電極板の上下をセパレータ帯で挿んだ三層のサンドィッチ状態のセパレータ帯を形成し、第2ロールと第3ロールの間で、電極板の周囲に沿って上側セパレータ帯と下側セパレータ帯を作動する熱接着機で接着し、電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板が複数個並んで上下のセパレータ帯に挟まれた「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を形成し、これを第3ロールでベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた切断する場所に送り出し、ここで、「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」から、セパレータに挿まれ電極板の周囲のセパレータを熱接着された状態の電極板の熱接着されたセパレータの部分を、作動する切断機で一枚ずつ切り離す方法で作製した袋入り電極板と相対する裸の電極板を交互に積層して積層型リチウムイオン電池の単電池積層体を製造することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリチウムイオン電池の製造方法において、先ず、熱接着の境界に出来る限り近い線で「電極板を挿んだ熱接着状態のセパレータ帯」を切断し、次いで、
余剰セパレータを切断除去することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の製造方法により製造した単電池積層体よりなることを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項4】
請求項3記載のリチウムイオン電池において複数枚のセパレータを組み合わせて使用することを特徴とするリチウムイオン電池。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の製造方法により、単電池積層体を製造することを特徴とするリチウムイオン電池の製造装置。
【請求項6】
請求項5記載のリチウムイオン電池の製造装置において、ベルトコンベアの上にある引き取り装置を備えた「切断場所」の引き取り装置が、第3ロールの送り出し速度に合わせて引き取る吸引盤の付いたアームであることを特徴とするリチウムイオン電池の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−242507(P2007−242507A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65549(P2006−65549)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(501136400)リッセル株式会社 (4)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(501136400)リッセル株式会社 (4)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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