ロッキング椅子
【課題】背もたれの組み立てが簡単、部材の加工が容易、美観の悪化もない、という椅子を提供する。
【手段】背もたれ4は背フレーム19と背インナーシェル20とを備えており、背インナーシェル20にはクッションが張られている。背フレーム19は正面視四角形であり、ロアメンバー54に傾動フレーム27が溶接されている。傾動フレーム27はベースに後傾可能に連結されている。背インナーシェル20の背面に係合爪64,65が形成されており、背フレーム19には係合穴59,60が空いている。背インナーシェル20はその左右側部が背フレーム19で拘束されており、このため着座社の体圧で後ろ向きに凹み得る。背フレーム19と傾動フレーム27とは別々に製造されるため両者の加工は容易であり、また、傾動フレーム27の過度の露出を防止できるため美観の悪化もない。
【手段】背もたれ4は背フレーム19と背インナーシェル20とを備えており、背インナーシェル20にはクッションが張られている。背フレーム19は正面視四角形であり、ロアメンバー54に傾動フレーム27が溶接されている。傾動フレーム27はベースに後傾可能に連結されている。背インナーシェル20の背面に係合爪64,65が形成されており、背フレーム19には係合穴59,60が空いている。背インナーシェル20はその左右側部が背フレーム19で拘束されており、このため着座社の体圧で後ろ向きに凹み得る。背フレーム19と傾動フレーム27とは別々に製造されるため両者の加工は容易であり、また、傾動フレーム27の過度の露出を防止できるため美観の悪化もない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれがばね手段に抗して後傾するロッキング椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子において背もたれの構造は多種多様であるが、一つのタイプとして、強度メンバーとして金属製背フレームを使用してこれに背板等の背サポート体を取付けたものがある。背フレームの素材と形状とは様々であり、例えば特許文献1,2には、骨組みを丸パイプで構成した非ロッキング式の椅子において、背フレームをパイプで正面視略四角形に形成して、この背フレームに背サポート体を取付けると共に、背フレームを脚に取付けることが記載されている。
【0003】
他方、ロッキング椅子は一般にベースに後傾動自在に連結された傾動フレームを備えており、この傾動フレームに背もたれを設けている。そして、特許文献3には、ベースに左右一対のパイプ製傾動フレームを連結したタイプにおいて、傾動フレームを座の後方において上向きに立ち上げることにより、当該傾動フレームに背支柱を一体に形成し、左右の背支柱を上下複数本の横長バーで連結することで背フレームを構成することが記載されている。
【0004】
椅子の背フレームや傾動フレームに金属又は樹脂の成形品を使用することも広く行われているが、成形品は複雑な形状でも能率良く製造できる利点を有する反面、応力分布の解析が厄介であるため設計に手間がかかるという問題がある。これに対して、鋼管や鋼板は信頼性が高くて強度計算が容易であるため、特許文献1〜3のように背フレームや傾動フレームに鋼管や板金品を使用すると、設計の手間を軽減できる利点がある。
【特許文献1】実開昭63−179851号公報
【特許文献2】実公平2−28768号公報
【特許文献3】特開2005−160850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背フレームに背インナーシェルのような背板を直接に取り付けると、それだけ構造が簡単になる利点がある。この場合、背板を安定良く取り付けるためには、背フレームの横幅はできるだけ大きいのが好ましい。背板を撓み変形可能な素材として、左右側部のみを背フレームに拘束することにより、人の体圧で背板を撓ませてロッキング時のフィット性を高めることが行われているが、この場合は、背板の撓み変形を大きくするには背板はその左右両端部を背フレームに取り付ける必要があり、従って、背フレームの左右横幅寸法をできるだけ大きくすることの必要性は特に高いと言える。
【0006】
他方、椅子において、脚の上端に固定されているベースの横幅は一般に座の左右幅寸法よりも遥かに小さい寸法(例えば1/3程度)である。従って、特許文献3のように傾動フレームに背支柱を一体に形成した構成では、傾動フレームをベースの側面に近接させると、背フレームの作用横幅が小さくなって背板を直接に安定的に取付けたり体圧で容易に撓み変形する状態にすることはできず、従って、背板の安定性及び撓み変形の容易性を確保するには左右横幅寸法が大きい別の支持部材を背フレームに固定して、この支持部材に背板を取付けねばならず、すると構造が複雑化する。
【0007】
他方、特許文献3において、背板を安定した状態で直接に取付けできるように左右の傾動フレームの横幅を大きくすると、傾動フレームとベースとの間に大きな間隔が空くために支軸の撓み変形等によって傾動フレームのスムースな傾動が阻害される虞や、傾動フレームが座の側部下方に大きく露出して美観を損なう虞がある。
【0008】
また、背板を背フレームに直接に取り付ける場合、取付けを迅速に行うには、例えば、背フレームの前面部に係合穴を空けておいて、この係合穴に、背板に設けた係合爪を落とし込むといったキャッチ方式を採用するのが好適であり、その場合、係合穴のような穴はパンチと受けダイとを使用した打ち抜き加工で空けるのが能率的であるが、特許文献3のように傾動フレームに背支柱にパイプを使用すると、受けダイを設けることが困難で打ち抜き加工をできないため穴の加工が面倒であるという問題がある。
【0009】
また、背板は着座した人の腰部を的確に支えるように縦断側面視で前向きに凸状に湾曲していることが多く、かつ、平面視では前向き凹状に湾曲させることで身体へのフィット性を高めていることが多く、従って、特許文献3において背板を背支柱に直接に取り付ける場合、背支柱は背板の形態に応じて三次元的に曲げ加工する必要があるが、パイプと曲げに対する断面係数が大きいため、傾動フレームと背支柱とが一体化したパイプ部材を三次元的に曲げ加工するのは頗る厄介である。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の椅子は、基本構成として、脚の上端に固定したベースと、前記ベースの上方に配置された座と、前記座の後方に配置された背板とを備えており、前記ベースには、当該ベースの後方に伸びる金属製の傾動フレームが後傾動自在に連結されており、前記傾動フレームの後傾動がばね手段で弾性的に支持されている。
【0012】
そして、請求項1の発明では、上記の基本構成において、前記背板は、上下長手の左右サイドメンバーと左右横長のアッパーメンバー及びロアメンバーとで正面視略四角形に形成された金属製の背フレームに取付けられており、前記背フレームのロアメンバーを前記傾動フレームの後端に溶接によって固着している。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ベースの横幅は座の左右横幅よりも遥かに小さい(例えば半分以下)寸法であり、前記ベースの左右外側に鋼管製の傾動フレームが1本ずつ配置されている一方、前記背フレームを構成する各メンバーは鋼板製で後ろ向きに開口した溝型形状であり、前記背フレームのサイドメンバーは着座した人の腰に位置する部分が最も前端となるように側面視で前向き凸状に湾曲しており、前記アッパーメンバーとロアメンバーとは平面視で前向き凹状に湾曲しており、更に、前記背板は樹脂製の背インナーシェルであり、その前面にクッションが張られている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記背フレームは、当該背フレームの各メンバーに対応した左右側部と上部と下部とを有する背面視略四角形の裏カバーで裏側から覆われている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、傾動フレームと背フレームとは別々に製造されていて後から溶接によって固着されているため、背フレームを製造するにおいて大きさ等が傾動フレームに制約を受けることはなく、このため背フレームは、背板を安定的に支持できると共に人の体圧で容易に変形し得る状態に取付けできるような大きさ形状に設定できる。逆に、傾動フレームも製造するにおいて背フレームに制約を受けることなく、回動のスムース性や美観の確保といった各種の条件を満たすように自由に設計することができる。
【0016】
従って本願発明によると、傾動フレームの設計の自由性を損なうことなく、背板を背フレームに安定的及び撓み変形し得る状態に直接に取り付けることが可能になる。また、背フレームと傾動フレームとは別々に加工したら良いため、背フレームを曲げ加工することも容易になる。
【0017】
特に、請求項2のように背フレームの各構成メンバーを後ろ向き開口の溝型(断面コ字状やU字状等のチャンネル状)に形成すると、各メンバーに穴があっても穴は打ち抜きで簡単に加工することができ、このため、背板を簡単に取付けできる状態に容易に加工することができる。また、各メンバーが三次元的に複雑に曲がっていてもプレス装置で容易に加工することができる。
【0018】
更に、請求項3のように構成すると、背フレームが背板の裏側に露出することを防止又は著しく抑制できるため、美観の悪化という問題を招来することなく、背フレームに穴等を空けたり背フレームの各メンバーを溝形に形成したりすることができる。
【0019】
裏カバーは背板の裏面の略全体を覆うような形態にすることも可能であるが、この場合は、裏カバーの面積が大きいことにより、全体として厚ぼったくて重たい印象を人に与える場合がある。これに対して請求項3のように裏カバーを背フレームと同じ四角形(すなわち背フレームと略相似形)に形成すると、裏カバーで囲われた内部と背板の背面が露出した空間になっているため、人に軽快でスッキリとした印象を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、児童・生徒が学習机とセットで使用する椅子に適用しているが、勿論、事務用椅子のような成人用の椅子にも使用できる。
【0021】
(1).椅子の概要
まず、図1〜図4に基づいて概要を説明する。図1のうち(A)は椅子を前方から見た斜視図で(B)は背もたれのみの概略平面図、図2のうち(A)は正面図で(B)は側面図、図3は座を中心にして分離斜視図、図4のうち(A)は後方からの斜視図,(B)は裏カバーを分離した状態での後方からの分離斜視図、(C)は背インナーシェルの斜視図である。
【0022】
椅子は、主要要素として、キャスター付きの脚1と、脚1の上端に固定したベース2と、ベース2の上方に配置された座3と、座3の後方及び上方に配置された背もたれ4と、オプション品としての肘掛け装置5とを備えている。脚1は伸長自在及び回転自在な脚支柱(ガスシリンダ)6を備えており、脚支柱6の上端にベース2が固定されている。ベース2の横幅は座3の横幅のおおよそ1/3程度である。
【0023】
また、脚1は放射状に延びる5本の枝足7を備えており、隣り合った3本の枝足7に平面視円弧状のステップ板8を固定している。敢えて説明するまでもないが、ステップ板は、児童が机を適正に使用する状態で床に足が届かないときに足を載せるためのものである。ベース2の外側には、ロッキング用ばねの弾性を調節するためのハンドル9、座3を高さ調節するに際して脚支柱6のロックを解除する昇降レバー10、座3の前後位置を調節するに際してロックを解除する前後レバー11が露出している。
【0024】
図3に示すように、座3は、樹脂製の座インナーシェル(座板)12とその上面に張った座クッション13とを備えており、座クッション13には上方からクロス14を覆っている。本実施形態では、座3及び背もたれ4のクッションの外周縁を角張らせたデザインの特徴の一つとしており、そこで、座3においては、クッション13の外周部を伸縮性はあるが型崩れしにくい硬さの保形材13aで構成することにより、外周部のシャープな角張った形態を保持している。
【0025】
座インナーシェル12には、下向きに沈むように変形してクッション性を高めるために多数のスリット15を形成している。スリット15は主として座インナーシェル12の後半部に形成している。座インナーシェル12は、その下方に配置された座アウターシェル(座受け部材)16にビス17で固定されている。座アウターシェル16は座インナーシェル12を支持する強度メンバーとして機能するもので、その下方に配置した金属製の中間金具18に前後位置調節可能に支持されている。図4及び図4(B)から理解できるように、背もたれ4は、金属板を材料として背面視(或いは正面視)四角形に形成された背フレーム19を備えている。この背フレーム19は背もたれ4の強度メンバーの役割を果たすもので、その前面に樹脂製の背インナーシェル(背板)20が取付けられており、また、背フレーム19の背面には樹脂製の裏カバー21が取付けられている。背インナーシェル20の前面に背クッション22が重ね配置されており、背クッション22と背インナーシェル20と袋状のクロス23で覆われている。
【0026】
図4(C)に示すように、背インナーシェル20にも主として水平方向に延びる多数のスリット24が形成されている。これにより、背もたれ4は体圧で撓み変形して高いフィット性が確保される。また、図1(A)に部分的に破断して示すように、背もたれ4においても、クッション22の外周部を伸縮性はあるが型崩れしにくい硬さの保形材22aで構成することにより、外周部のシャープな角張った形態を保持している。
【0027】
(2).ロッキング機構・シンクロ機構
背もたれ4は後傾動し、また、座3は背もたれ4の後傾動に連動して後退しつつ後傾する。次に、このロッキング機構とシンクロ機構及びその周辺の構成を主として図5〜図9に基づいて説明する。図5のうち(A)は機構部の縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図、図6のうち(A)はベース2を中心にした機構部を上方から見た斜視図、(B)は機構部を下方から見た斜視図、図7は機構部の分離斜視図、図8は背フレーム19の取付け構造を示す斜視図、図9は機構部の分離斜視図である。
【0028】
本実施形態では、中間金具18の前部が第1軸26にてベース2の前部に後傾自在及び後退自在に連結され、背フレーム19か固定された傾動フレーム27かベース2の後部に第2軸28によって後傾可能に連結され、更に、中間金具18の後部が傾動フレーム27の前後中途部に第3軸29で回動可能に連結されており、これらの一種のリンク機構によって背もたれ4がロッキング(後傾)すると共に座3は背もたれ4の後傾動に連動して後退しつつ後傾するようになっており、かつ、背もたれ4のロッキングと座3のシンクロとが主としてロッキング用ばね30で弾性的に支持されている。以下、詳述する。
【0029】
例えば図7や図9に明示するように、ベース2は左右側板2aを備えた上向き開口の箱状に形成されており、その後部にインナーブラケット31を固着し、インナーブラケット31を介して脚支柱5の上端を固定している。ベース2における左右側板2aの前部には、第1軸26を軸支するための前向き開口の切り開き穴32が形成されている。
【0030】
中間金具18は平行に延びる左右の側枠33を備えている。側枠33は外向きの上フランジ33aを有する正面視略L字形に形成されており、その前部には丸パイプ製の第1軸26が溶接にて固着され、後部には丸パイプ製の第3軸14が溶接にて固着されている。座アウターシェル16の下面部に形成したガイド溝(図示せず)が側枠33の上フランジ33aにスライド自在に嵌まる。また、一方の側枠33の上フランジ33aには、座3の前後位置を段階的に調節するための切欠き溝34が形成されている。図7に示すように、中間金具18には左右両側からカバー35が装着される。
【0031】
図7から理解できるように、第1軸26のうちベース2の内部の部位には、左右のフロントブッシュ36と、左右フロントブッシュ36の間に挟まれた前部ばね受け37とが被嵌している。左右フロントブッシュ36と前部ばね受け37とは、側面視前向き開口コ字状で金属板製のフロント金具38の内部にきっちり嵌まっており、フロント金具38はベース2に溶接されている。第1軸26の左右中間部には横ずれ防止用のストッパー材39が固定されている。
【0032】
左右フロントブッシュ36は合成樹脂製であり、後ろ向きに開口した側面視U字状(二股状)に形成されており、前向き開口の空所に第1軸26が前後摺動自在に嵌まっている。フロントブッシュ36は、図示しないねじでフロント金具38に固定されている。前部ばね受け37は、第1軸26が嵌まるように後向き開口の側面視U字状に形成されており、左右フロントブッシュ36に挟まれて左右動不能で前後スライド可能に保持されている。
【0033】
ベース2におけるインナーブラケット31は、ベース2の底面と略直角を成す前壁を備えており、この前壁でばね受けスライダー40が左右動可能に支持されている。ばね受けスライダー40には後部ばね受け41が嵌まっており、ハンドル9を回転操作するとばね受けスライダー40が左右移動し、すると、くさび作用により、後部ばね受け41は前後移動する。これによってロッキング用ばね30の初期弾性力が変化する。
【0034】
傾動フレーム27は断面小判形の金属パイプ(鋼管)を使用しており、ベース2の左右両側に配置している。そして、左右傾動フレーム27の前端部には丸パイプ製の第2軸28が固着されている。図10から理解できるように、第2軸28は、上センターブッシュ42と下センターブッシュ43とで上下から挟まれており、かつ、上下センターブッシュ42,43はセンター金具44を介してベース2の下面に固定されている。上センターブッシュ42はベース2に対して左右動不能に嵌まっている。
【0035】
左右傾動フレーム27の間隔(軸心間の間隔)は、座3及び背もたれ4の左右横幅の半分よりも僅かに大きい程度の寸法になっている。ベース2の左右横幅は既述のとおり座3及び背もたれ4の横幅の1/3程度なので、傾動フレーム27とベース2との間にはある程度の寸法の間隔が空いている。
【0036】
図5(B)に示すように、第3軸29は、左右傾動フレーム27に架け渡すように配置されたブリッジ部材45に、上下一対ずつの合成樹脂製リアブッシュ46及びリア金具47にて連結されている。ブリッジ部材45は背フレーム19に溶接で固着されている。
【0037】
ベース2の後端と背フレーム19の下端との間には、背もたれ4を任意の後傾角度に保持できる背用ガスシリンダ48を配置している。背用ガスシリンダ48はベース2と背フレーム19とに相対回動可能に連結されている(背用ガスシリンダ48もロッキング及びシンクロの弾性的な支持に貢献している。)。このため、背フレーム19の下部の左右中間部には連結用突起部49が突設されており、また、左側の傾動フレーム27の後部には受け部材50が固着されており、この受け部材50には、背用ガスシリンダ48をロック状態とフリー状態とに切り替えるレバー(図示せず)が取付けられている。
【0038】
(3).背フレームの構造
次に、図8,9に加えて図10〜図12も参照して背フレーム19の構造を説明する。図10のうち(A)は背フレーム19と補強部材との分離斜視図、(B)は補強部材の前から見た斜視図、図11のうち(A)は背フレーム19と背インナーシェル20との分離斜視図、(B)をストッパー係合爪を下方から見た斜視図、(C)は上係合爪を下方から見た斜視図、(D)は下係合爪の斜視図、図12のうち(A)は上コーナー部の斜視図、(B)は下コーナー部の背面図、(C)は図10(A)の XIIC-XIIC視断面図、(D)は図10(A)の XIID-XIID視断面図、(E)は(B)のE−E視断面図、(F)は(B)のF−F視断面図で、(G)は(B)のG−G視断面図である。
【0039】
背フレーム19は、その側部を構成する上下長手の左右サイドメンバー52と、上部を構成する左右横長のアッパーメンバー53と、下部を構成する左右横長のロアメンバー54との3つの主要部材を備えており、かつ、左右の下コーナー部55には、それぞれ補強部材55が溶接によって固着されている。各メンバーはそれぞれ鋼板を材料にした板金加工によって製造されており、隣り合ったメンバーは溶接によって一体化している。
【0040】
各メンバー52,53,54は、いずれも前面板と側板とを有して後ろ向きに開口した断面略コ字状の溝型形状であり、このため、各メンバー52,53,54の前面は広巾面になっている。また、サイドメンバー52は、着座した人の腰部の高さ位置の箇所が最も前端となるように側面視で前向き凸状に緩い曲率で湾曲しており、他方、アッパーメンバー53とロアメンバー54は平面視で前向き凹状に緩く湾曲している。各メンバー52,53,54は既述のとおり溝型であるが、幅寸法よりも奥行き寸法は小さくなっている。
【0041】
例えば図8から理解できるように、サイドメンバー52の前面は平断面視で内側に行くに従って後退するように僅かの角度で傾斜しており、他方、アッパーメンバー53の前面は鉛直面に対して側面視でやや後傾し、ロアメンバー54の前面は鉛直面に対して側面視でやや前傾している。従って、各メンバー52,53,54は実際にはかなり複雑な形態になっている。背インナーシェル20は、背フレーム19の前面に重なるように側面視では前向き凸状に湾曲して平面視では前向き凹状に湾曲している。
【0042】
ロアメンバー54の前面板には左右の傾動フレーム27の後部27aが貫通しており、傾動フレーム27の後部27aはロアメンバー54に溶接によって固着されている。また、ロアメンバー54の左右両端には上向きの起立部54aが一体に形成されており、起立部54aにサイドメンバー52の下部を溶接している(従って、正確には、背フレーム19の左右側部の一部はロアメンバー54の起立部54aによっても構成されている。)。
【0043】
この場合、起立部54aの上半分程度を板厚分だけ左右内側と後ろ側とに段落ちした細幅部54bとなし、この細幅部54bにサイドメンバー52の下部を重ね合わせて、そして細幅部54bとサイドメンバー52とを溶接によって一体に固着している。
【0044】
そして、ロアメンバー54の水平部と起立部54a,54bで構成される下コーナー部55に内側から補強部材56を嵌め入れている。補強部材56は鋼板製でありロアメンバー54のうち傾動フレーム27よりも外側の部分と起立部54aとに重なるL形の形態であり、また、内外の側板55aを有していて前向き開口の樋状に形成されている。
【0045】
補強部材56の起立部はロアメンバー54の起立部54aに左右ずれ不能にきっちり嵌まっており、また、側板55aの起立部には、ロアメンバー54の起立部54aの細幅部54bに対応して切欠き部57を形成しており、このため、補強部材56の起立部54aはロアメンバー54における起立部54aの内底面にきっちり重なっている。
【0046】
補強部材56のうち水平部はロアメンバー54の水平部にきっちり重なっており、また、補強部材56の水平部の端面は傾動フレーム27の後端部27aに横から当たっている。そして、補強部材56とロアメンバー54の水平部及び起立部とが溶接によって固着されていると共に、補強部材56と傾動フレーム27の後端部が溶接によって固着されている。例えば図12(B)(E)に表示されているように、補強部材56の下面とロアメンバー54の下側面との間には若干の間隔の隙間58が空いている。
【0047】
背フレーム19には、図10に実線矢印A及び点線矢印Bで示すようにねじり力が作用することがあり、このねじり力は背フレーム19のうち下コーナー部55に集中的に作用する。しかるに、本願発明では、補強部材56の存在によって下コーナー部55の剛性が格段に向上するため、高い信頼性・耐久性を確保できる。
【0048】
ところで、ロアメンバー54とサイドメンバー52との接合方法としては、ロアメンバー54を単なる左右横長に形成して、例えば額縁のようにサイドメンバー52とロアメンバー54との端部を斜めにカットした状態で突き合わせて溶接することも可能であるが、この額縁構造では、背もたれ4に掛かった応力が溶接箇所に集中的に作用していわゆる溶接割れが生じ易くなる虞がある。
【0049】
これに対して本実施形態のように、1枚の素材板から成るロアメンバー54に起立部54aを一体に形成すると、起立部54aがロアメンバー54と一体に連続しているため強度が格段に高くなる。また、起立部54aに細幅部54bを設けると、ロアメンバー54とサイドメンバー52との外面は同一面を成すため体裁が良く、また、スポット溶接による固着も可能になる利点がある。
【0050】
起立部54aのうち細幅部54bの下方の部位には、背インナーシェル20の下部を取り付けるための下係合穴59が空いている。下係合穴59はその左右中間部に位置した下向きスリット部59aを備えていて略T字形になっている。
【0051】
下係合穴59を空けるとその箇所で強度が低下することになり、その場合、ロアメンバー54が単なる横長形態であると、下係合穴59に起因した強度低下と溶接割れとが複合して相当に強度が低下する虞があるが、本実施形態では、下係合穴59は起立部54aに形成されているため、当該下係合穴59を形成したことに起因した強度低下を著しく抑制できる利点がある。下係合穴59を空けたことによる強度低下はを補強部材56によってもカバーされており、この点も本実施形態の特徴の一つである。
【0052】
サイドメンバー52の上部には背インナーシェル20の上部を取り付けるための上係合穴60が空いている。上係合穴60も下向きスリット部60aを有して略T字形になっている。本実施形態の特徴の一つとして、図12(F)(G)に示すように、サイドメンバー52は、内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2より大きくしている(ロアメンバー54の起立部54a,54bも、内側板54′の高が外側板54″の高さより大きくなっている。)。
【0053】
もとより、内外側板52a,52bの高さH1,H2を同じに揃えたり、逆に、内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2よりも高くするといったことも可能であるが、本実施形態のように内側板52aを外側板52bよりも高くすると、背フレーム19が厚ぼったく見えることを防止して外観をすっきりさせることができる利点がある。
【0054】
アッパーメンバー53における前面板と下側板との左右両端面は、サイドメンバー52の内側板52aに当接しており、両メンバー53,52の当接箇所が溶接されている。また、図12(A)に明示するように、アッパーメンバー53の上側板の左右両端部は、サイドメンバー52の内側板52aの外側に突出した張り出し部53aになっており、この張り出し部53aに取付け穴61が形成されている。
【0055】
サイドメンバー52における前面板の上端面は、アッパーメンバー53の張り出し片53aの付け根に当たる部分がやや高いストッパー部52cになっており、このため、サイドメンバー52における前面板の上端面は段違い状に形成している。ストッパー部52cの存在により、アッパーメンバー53の前後方向の位置決めがワンタッチ的に行われる。
【0056】
(4).背インナーシェルの取付け構造
次に、従前の図に加えて図13〜図16も参照して背インナーシェル20の取付け構造を説明する。図13は背フレーム19と背インナーシェル20との分離斜視図、図14のうち(A)は背もたれ4の平断面図、(B)は(A)の部分的な拡大図、(C)は組立後における図13の XVC-XVC視断面図、(D)は組立後における図13の XVD-XVD視断面図、図15のうち(A)は背もたれ4の上部のみの図14の XVA-XVA視断面図かつ図13の組み立て状態での XVA-XVA視断面図、(B)は背もたれ4の下部のみの図14の XV-XV視断面図、(C)は背もたれの下部のみの図14の XVC-XVC視断面図である。
【0057】
背インナーシェル20の左右両端部の背面には、上端近くに配置された側面視鉤型のストッパー係合爪63と、その下方に配置された上係合爪64と、下端縁近くに配置された下係合爪65との3対の係合爪が形成されている。また、左右中間部にセンター係合爪66が下向きに突設されている。
【0058】
ストッパー係合爪63は側面視で鉤状に形態であり、背フレーム19におけるサイドメンバー52の前面板の上端縁に上方から嵌まっている。上係合爪64は基本的には側面視鉤状であるが、左右中間部には縦長の壁部64aが背インナーシェル20に連続した状態で一体に形成されている。そして、上係合爪64は、サイドメンバー52に形成された上係合穴60に前方から嵌まって下方にスライドさせるようになっており、図14(C)に示すように、鉤状の部分が上係合爪64の広巾部に嵌合することで背インナーシェル20を前向き移動不能に保持すると共に、壁部64aが上係合穴60の下向きスリット60aに嵌まり込むことで背インナーシェル20を左右動不能に保持している。
【0059】
下係合爪65は平面視T型に形成されており、下係合穴59に前方から嵌め入れてスライドさせ、図14(D)に示すように、下係合穴59の下向きスリット部59aに落し込ませるようになっている。このため、背インナーシェル20は下係合爪65によって左右動ずれ不能及び前向き移動不能に保持されている。また、図15(B)に示すように、背もたれ4に人の体圧が掛かっていない状態で、下係合爪65は下係合穴59の下向きスリット部59aの上部に位置している。
【0060】
そして、背もたれ4に人の体圧が掛かると背インナーシェル20は扁平な状態に向けて伸びるように変形するが、下係合爪65が下向きスリット部59aに嵌まった状態で下向きにスライドすることにより、背インナーシェル20が容易に変形することが許容されており、その結果、快適なクッション性を確保することができる。
【0061】
センター係合爪66は背インナーシェル20の下部が過度に前向き動しないように保持する補助的なものであり、下端部は前向き凹状に凹んだ凹み部66aになっており、この凹み部66aを、図15(C)に示すように、背用ガスシリンダ48の上連結軸67の後ろ側に位置させている。なお、上連結軸67はブラケット68に取付けられており、ブラケット67は、ロアメンバー54に設けた軸支用突起部49にビスで固定されている。
【0062】
(5).裏カバーの取付け構造
次に、裏カバー21の取付け構造を従前の図に加えて図16及び図17も参照して説明する。図16は背フレーム19と裏カバー21との分離斜視図、図17のうち(A)は背フレーム19の上部のうち左右中間部の縦断側面図、(B)は図14の下部の XVIIB-XVIIB視断面図である。
【0063】
裏カバー21は背フレーム19と相似形の四角枠状に形成されており、背フレーム19の各メンバーに対応してサイド部21a、上部21b,下部21cとで略矩形に形成されている。サイド部21aと上部21bとはそれぞれ背フレーム19を内外から覆う内側板21a′,21b′と外側板21a″,21b″とを備えており、他方、下部21cは内側板21c′は備えているが外側板は備えていない。これは、通常の使用状態で背フレーム19におけるロアメンバー54の下面は人目に触れないからである(もちろん、下外側板を設けることは可能である。)。
【0064】
図14(B)〜(D)や図15(C)に示すように、裏カバー21の背面部(或いは基板)は外側板21d,21eの外側と内側板21a〜21cの内側とに若干はみ出している(はみ出し部を符号21′,21″で示している。)。これはシャープ感を演出するために主としデザイン面から造形したものである。単なるコ字状に形成することも可能である。
【0065】
裏カバー21を背フレーム19に固定する手段としては、上部21bの外側板21b″の左右両端部を背フレーム19にアッパーメンバー53にビス69で固定すること、サイド部21bの内側板21a″をビス69でサイドメンバー52の内面に締結すること、下部21cに前向き突設したブラケット片70をロアメンバー54の下面にビス69で締結すること、を採用している。
【0066】
なお、ビス69としてタッピンねじを使用すると能率的である。ビス69を使用した取付け方法に代えて、弾性変形する係合爪を利用したスナップ方式(或いはキャッチ方式)を採用することも可能である。或いは、係合爪とビスとを併用することも可能である。
【0067】
裏カバー21の上部21bの外側板21b″を背フレーム19のアッパーメンバー53にビス69で締結すると、ビス69の頭が上方に露出する。ビス69の頭が露出することを防止するには、裏カバー21の上部21bを上方から化粧カバーで覆ったり、裏カバー21における上部21bの内側板21b″をアッパーメンバー53の下面にビスで締結したりしたら良い。更に、裏カバー21を背フレーム19にしっかりと位置決めしたい場合は、裏カバー21に、背フレーム19の内部に入り込む位置決め片を一体に形成したら良い。
【0068】
既述のとおり裏カバー21における上部21bの外側板21b″は背フレーム19のアッパーメンバー53にビス69で固定されているが、本実施形態の特徴として、図15(A)から理解できるように、裏カバー21の上部21bの外側板21b″が背インナーシェル20におけるストッパー係合爪63の上方に位置するように設定している。
【0069】
これにより、裏カバー21の上外側板21b″が背インナーシェル20の上向き移動を阻止するストッパーの役割を果たしており、その結果、背インナーシェル20は単に係合爪63,64,65を背フレーム19に嵌め入れただけであるのに離脱不能に保持されている。すなわち、簡単に組立できるにも拘わらず背インナーシェル20を抜け不能に保持できる。
【0070】
図17(A)に示すように、背フレーム19におけるアッパーメンバー53の上下側板53a,53bは略水平姿勢になっており、裏カバー21の上部の側板21b′,21b″も略水平姿勢になっている。他方、図17(B)に示すように、背フレーム19におけるロアメンバー54の上面は前傾姿勢であるのに対して、裏カバー21における下部21cの内側板21c′は略水平姿勢になっている。これは、主として裏カバー21を射出成形法で製造するに際しての型抜きの容易性に起因したものである。
【0071】
(6).まとめ
本実施形態において、左右の傾動フレーム27と背フレーム19とはそれぞれ別々に製造されてから、溶接によって組み立てられている。また、背フレーム19も3つのメンバー52〜54で構成されていて各メンバー52〜54はそれぞれ個別に製造されてから溶接によって一体化している。
【0072】
従って、背フレーム19は全体として三次元的に曲がった複雑な形状でかつ係合穴59,60等が存在しているが、各メンバー52〜54は帯板を素材として型(例えば雄型と雌型)を使用したプレス加工によって容易に加工することができる。また、傾動フレーム27は背フレーム19の制約を受けることなく設計及び加工することができる。従って、あまり目立たないようになるべく内側に配置したり、或いは肘掛け装置5の取付けに利用することを容易に実現できるのである。
【0073】
また、本実施形態では背フレーム19の下コーナー部55に補強部材56を配置したことにより、既述のとおり背フレーム19を堅牢な構造にすることができる。補強部材56は厚板を使用することも可能であるが、本実施形態のように前向きに開口した形態のものを採用すると、下係合穴59に対する下係合爪65の係脱作用を阻害することなく背フレーム19を補強できる利点がある。
【0074】
本実施形態では、図15(A)や図14に示すように、背インナーシェル20と背フレーム19との間には隙間が空いている。特に、例えば図1(A)に明示するように(図16(A)と図17(A)との比較からも容易に推測できる)、アッパーメンバー53とロアメンバー54とはその中間部において背インナーシェル20との隙間が大きくなるように設定されている。
【0075】
このため、背インナーシェル20が人の体圧によって後ろ向き凸状に凹むように逃げ変形することが許容されており、その結果、ロッキングに際しての高いフィット性とクッション性とが確保される。なお、背フレーム19のアッパーメンバー53及び裏カバー21の上部と背インナーシェル20との間の隙間間隔は、左右中間部において人が指を差し込みできる程度の寸法に設定できる。この隙間に設定しておくと、人が裏カバー21の上部21b及び背フレーム19のアッパーメンバー53を掴んで押し引きすることができる。
【0076】
裏カバー21は背インナーシェル20の全体を覆うように構成することも可能であるが、本実施形態のように背フレーム19と相似形の四角枠状に構成すると、全体的にスッキリしていた体裁が良い利点がある。特に、本実施形態のようにサイドメンバー52の内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2よりも低くしてこれに裏カバー21を重ねると、背もたれ4は裏側から見た状態でスッキリ感が際立って好適である。
【0077】
つまり、H1とH2とを上記の関係にすると、図14(B)から理解できるように、裏カバー21と背インナーシェル20との間隔H3は背もたれ4の側端が最も低くなり、すると、背もたれ4の全体としては左右両側部の前後幅寸法ができるだけ薄くなり、このため、背インナーシェル20と背フレーム19とを前後に重ね合わせたことに起因して背もたれ4が全体的に厚ぼったく見えることを防止又は著しく抑制でき、その結果、デザイン的にスッキリさせて美観を向上できるのである。
【0078】
本実施形態の背フレーム19は、ロアメンバー34の上下幅寸法よりもサイドメンバー32の左右幅寸法及びアッパーメンバー33の上下幅寸法が小さくなっている。このため、全体としてスマートな感じになっており、かつ、補強部材56を設けたことによってねじりに対する強度も確保されている。この点も本実施形態の利点の一つである。
【0079】
本実施形態のように、背インナーシェル20の上係合爪64に壁部64aを形成すると、上係合爪64が単なる鉤状である場合に比べて剛性が格段に向上するため、高い耐性を確保できる利点がある。背インナーシェル20の取付け方法としては、背インナーシェル20の左右両側部に、その上下中途高さ部位に位置した中間係合爪を設けて、これをサイドメンバー52に形成した中間係合穴に嵌め込むといったことも可能である。
【0080】
(7).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えばロッキング機構は実施形態のような一種のリンク機構を使用したものに限定されず、ばね手段に抗して背もたれが後傾するもの全てが包含される。また、背もたれのみが後傾して座は後退及び後傾しないタイプにも適用できる。
【0081】
背フレームは正面視でおおむね四角形であれば良く、従って、台形又は逆台形であっても良い。背フレームは例えば1枚の鋼板を材料にしてプレス加工で一体物に加工することも可能である。傾動フレームは単一構造体とすることも可能である。また、背フレームの各構成メンバーのうち全部又は一部を角パイプやC形チャンネル材で構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(A)は本願発明の実施形態に係る椅子を前方から見た斜視図、(B)は背もたれの概略平面図である。
【図2】(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】座を中心にした箇所の分離斜視図である。
【図4】(A)は後方からの斜視図、(B)は裏カバーを分離した状態での後方からの分離斜視図、(C)は背インナーシェルの斜視図である。
【図5】(A)は縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図6】(A)はベースを中心にした機構部を上方から見た斜視図、(B)は機構部を下方から見た斜視図である。
【図7】機構部の分離斜視図である。
【図8】背フレームの取付け構造を示す斜視図である。
【図9】機構部の分離斜視図である。
【図10】(A)は背フレームと補強部材との分離斜視図、(B)は補強部材を前から見た斜視図である。
【図11】(A)は背フレームと背インナーシェルとの分離斜視図、(B)は上係合爪の斜視図である。
【図12】背フレームの構造を示す図である。
【図13】背フレームと背インナーシェルとの分離斜視図である。
【図14】(A)は背もたれの平断面図、(B)は(A)の部分的な拡大図、(C)(D)は組立後における図13(A)の XIVC-XIVC視断面図、 XIVD-XIVD視断面図である。
【図15】(A)は背もたれの上部のみの図14の XVA-XVA視断面図でかつ図13の組み立て状態での XVA-XVA視断面図、(B)は背もたれの下部のみの図14の XV-XV視断面図、(C)は背もたれの下部のみの図14の XVC-XVC視断面図である。
【図16】背フレームと裏カバーとの分離斜視図である。
【図17】(A)は背フレームの左右中間部でかつ上部の縦断側面図、(B)は図14の下部の XVIIB-XVIIB視断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 脚装置
2 ベース
3 座
4 背もたれ
19 背フレーム
20 背板の一例としての樹脂製の背インナーシェル
21 裏カバー
22 背のクッション
27 傾動フレーム
30 ロッキング用ばね
52 背フレームのサイドメンバー
53 背フレームのアッパーメンバー
54 背フレームのロアメンバー
55 背フレームの下コーナー部
56 補強部材
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれがばね手段に抗して後傾するロッキング椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子において背もたれの構造は多種多様であるが、一つのタイプとして、強度メンバーとして金属製背フレームを使用してこれに背板等の背サポート体を取付けたものがある。背フレームの素材と形状とは様々であり、例えば特許文献1,2には、骨組みを丸パイプで構成した非ロッキング式の椅子において、背フレームをパイプで正面視略四角形に形成して、この背フレームに背サポート体を取付けると共に、背フレームを脚に取付けることが記載されている。
【0003】
他方、ロッキング椅子は一般にベースに後傾動自在に連結された傾動フレームを備えており、この傾動フレームに背もたれを設けている。そして、特許文献3には、ベースに左右一対のパイプ製傾動フレームを連結したタイプにおいて、傾動フレームを座の後方において上向きに立ち上げることにより、当該傾動フレームに背支柱を一体に形成し、左右の背支柱を上下複数本の横長バーで連結することで背フレームを構成することが記載されている。
【0004】
椅子の背フレームや傾動フレームに金属又は樹脂の成形品を使用することも広く行われているが、成形品は複雑な形状でも能率良く製造できる利点を有する反面、応力分布の解析が厄介であるため設計に手間がかかるという問題がある。これに対して、鋼管や鋼板は信頼性が高くて強度計算が容易であるため、特許文献1〜3のように背フレームや傾動フレームに鋼管や板金品を使用すると、設計の手間を軽減できる利点がある。
【特許文献1】実開昭63−179851号公報
【特許文献2】実公平2−28768号公報
【特許文献3】特開2005−160850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背フレームに背インナーシェルのような背板を直接に取り付けると、それだけ構造が簡単になる利点がある。この場合、背板を安定良く取り付けるためには、背フレームの横幅はできるだけ大きいのが好ましい。背板を撓み変形可能な素材として、左右側部のみを背フレームに拘束することにより、人の体圧で背板を撓ませてロッキング時のフィット性を高めることが行われているが、この場合は、背板の撓み変形を大きくするには背板はその左右両端部を背フレームに取り付ける必要があり、従って、背フレームの左右横幅寸法をできるだけ大きくすることの必要性は特に高いと言える。
【0006】
他方、椅子において、脚の上端に固定されているベースの横幅は一般に座の左右幅寸法よりも遥かに小さい寸法(例えば1/3程度)である。従って、特許文献3のように傾動フレームに背支柱を一体に形成した構成では、傾動フレームをベースの側面に近接させると、背フレームの作用横幅が小さくなって背板を直接に安定的に取付けたり体圧で容易に撓み変形する状態にすることはできず、従って、背板の安定性及び撓み変形の容易性を確保するには左右横幅寸法が大きい別の支持部材を背フレームに固定して、この支持部材に背板を取付けねばならず、すると構造が複雑化する。
【0007】
他方、特許文献3において、背板を安定した状態で直接に取付けできるように左右の傾動フレームの横幅を大きくすると、傾動フレームとベースとの間に大きな間隔が空くために支軸の撓み変形等によって傾動フレームのスムースな傾動が阻害される虞や、傾動フレームが座の側部下方に大きく露出して美観を損なう虞がある。
【0008】
また、背板を背フレームに直接に取り付ける場合、取付けを迅速に行うには、例えば、背フレームの前面部に係合穴を空けておいて、この係合穴に、背板に設けた係合爪を落とし込むといったキャッチ方式を採用するのが好適であり、その場合、係合穴のような穴はパンチと受けダイとを使用した打ち抜き加工で空けるのが能率的であるが、特許文献3のように傾動フレームに背支柱にパイプを使用すると、受けダイを設けることが困難で打ち抜き加工をできないため穴の加工が面倒であるという問題がある。
【0009】
また、背板は着座した人の腰部を的確に支えるように縦断側面視で前向きに凸状に湾曲していることが多く、かつ、平面視では前向き凹状に湾曲させることで身体へのフィット性を高めていることが多く、従って、特許文献3において背板を背支柱に直接に取り付ける場合、背支柱は背板の形態に応じて三次元的に曲げ加工する必要があるが、パイプと曲げに対する断面係数が大きいため、傾動フレームと背支柱とが一体化したパイプ部材を三次元的に曲げ加工するのは頗る厄介である。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の椅子は、基本構成として、脚の上端に固定したベースと、前記ベースの上方に配置された座と、前記座の後方に配置された背板とを備えており、前記ベースには、当該ベースの後方に伸びる金属製の傾動フレームが後傾動自在に連結されており、前記傾動フレームの後傾動がばね手段で弾性的に支持されている。
【0012】
そして、請求項1の発明では、上記の基本構成において、前記背板は、上下長手の左右サイドメンバーと左右横長のアッパーメンバー及びロアメンバーとで正面視略四角形に形成された金属製の背フレームに取付けられており、前記背フレームのロアメンバーを前記傾動フレームの後端に溶接によって固着している。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ベースの横幅は座の左右横幅よりも遥かに小さい(例えば半分以下)寸法であり、前記ベースの左右外側に鋼管製の傾動フレームが1本ずつ配置されている一方、前記背フレームを構成する各メンバーは鋼板製で後ろ向きに開口した溝型形状であり、前記背フレームのサイドメンバーは着座した人の腰に位置する部分が最も前端となるように側面視で前向き凸状に湾曲しており、前記アッパーメンバーとロアメンバーとは平面視で前向き凹状に湾曲しており、更に、前記背板は樹脂製の背インナーシェルであり、その前面にクッションが張られている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記背フレームは、当該背フレームの各メンバーに対応した左右側部と上部と下部とを有する背面視略四角形の裏カバーで裏側から覆われている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、傾動フレームと背フレームとは別々に製造されていて後から溶接によって固着されているため、背フレームを製造するにおいて大きさ等が傾動フレームに制約を受けることはなく、このため背フレームは、背板を安定的に支持できると共に人の体圧で容易に変形し得る状態に取付けできるような大きさ形状に設定できる。逆に、傾動フレームも製造するにおいて背フレームに制約を受けることなく、回動のスムース性や美観の確保といった各種の条件を満たすように自由に設計することができる。
【0016】
従って本願発明によると、傾動フレームの設計の自由性を損なうことなく、背板を背フレームに安定的及び撓み変形し得る状態に直接に取り付けることが可能になる。また、背フレームと傾動フレームとは別々に加工したら良いため、背フレームを曲げ加工することも容易になる。
【0017】
特に、請求項2のように背フレームの各構成メンバーを後ろ向き開口の溝型(断面コ字状やU字状等のチャンネル状)に形成すると、各メンバーに穴があっても穴は打ち抜きで簡単に加工することができ、このため、背板を簡単に取付けできる状態に容易に加工することができる。また、各メンバーが三次元的に複雑に曲がっていてもプレス装置で容易に加工することができる。
【0018】
更に、請求項3のように構成すると、背フレームが背板の裏側に露出することを防止又は著しく抑制できるため、美観の悪化という問題を招来することなく、背フレームに穴等を空けたり背フレームの各メンバーを溝形に形成したりすることができる。
【0019】
裏カバーは背板の裏面の略全体を覆うような形態にすることも可能であるが、この場合は、裏カバーの面積が大きいことにより、全体として厚ぼったくて重たい印象を人に与える場合がある。これに対して請求項3のように裏カバーを背フレームと同じ四角形(すなわち背フレームと略相似形)に形成すると、裏カバーで囲われた内部と背板の背面が露出した空間になっているため、人に軽快でスッキリとした印象を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、児童・生徒が学習机とセットで使用する椅子に適用しているが、勿論、事務用椅子のような成人用の椅子にも使用できる。
【0021】
(1).椅子の概要
まず、図1〜図4に基づいて概要を説明する。図1のうち(A)は椅子を前方から見た斜視図で(B)は背もたれのみの概略平面図、図2のうち(A)は正面図で(B)は側面図、図3は座を中心にして分離斜視図、図4のうち(A)は後方からの斜視図,(B)は裏カバーを分離した状態での後方からの分離斜視図、(C)は背インナーシェルの斜視図である。
【0022】
椅子は、主要要素として、キャスター付きの脚1と、脚1の上端に固定したベース2と、ベース2の上方に配置された座3と、座3の後方及び上方に配置された背もたれ4と、オプション品としての肘掛け装置5とを備えている。脚1は伸長自在及び回転自在な脚支柱(ガスシリンダ)6を備えており、脚支柱6の上端にベース2が固定されている。ベース2の横幅は座3の横幅のおおよそ1/3程度である。
【0023】
また、脚1は放射状に延びる5本の枝足7を備えており、隣り合った3本の枝足7に平面視円弧状のステップ板8を固定している。敢えて説明するまでもないが、ステップ板は、児童が机を適正に使用する状態で床に足が届かないときに足を載せるためのものである。ベース2の外側には、ロッキング用ばねの弾性を調節するためのハンドル9、座3を高さ調節するに際して脚支柱6のロックを解除する昇降レバー10、座3の前後位置を調節するに際してロックを解除する前後レバー11が露出している。
【0024】
図3に示すように、座3は、樹脂製の座インナーシェル(座板)12とその上面に張った座クッション13とを備えており、座クッション13には上方からクロス14を覆っている。本実施形態では、座3及び背もたれ4のクッションの外周縁を角張らせたデザインの特徴の一つとしており、そこで、座3においては、クッション13の外周部を伸縮性はあるが型崩れしにくい硬さの保形材13aで構成することにより、外周部のシャープな角張った形態を保持している。
【0025】
座インナーシェル12には、下向きに沈むように変形してクッション性を高めるために多数のスリット15を形成している。スリット15は主として座インナーシェル12の後半部に形成している。座インナーシェル12は、その下方に配置された座アウターシェル(座受け部材)16にビス17で固定されている。座アウターシェル16は座インナーシェル12を支持する強度メンバーとして機能するもので、その下方に配置した金属製の中間金具18に前後位置調節可能に支持されている。図4及び図4(B)から理解できるように、背もたれ4は、金属板を材料として背面視(或いは正面視)四角形に形成された背フレーム19を備えている。この背フレーム19は背もたれ4の強度メンバーの役割を果たすもので、その前面に樹脂製の背インナーシェル(背板)20が取付けられており、また、背フレーム19の背面には樹脂製の裏カバー21が取付けられている。背インナーシェル20の前面に背クッション22が重ね配置されており、背クッション22と背インナーシェル20と袋状のクロス23で覆われている。
【0026】
図4(C)に示すように、背インナーシェル20にも主として水平方向に延びる多数のスリット24が形成されている。これにより、背もたれ4は体圧で撓み変形して高いフィット性が確保される。また、図1(A)に部分的に破断して示すように、背もたれ4においても、クッション22の外周部を伸縮性はあるが型崩れしにくい硬さの保形材22aで構成することにより、外周部のシャープな角張った形態を保持している。
【0027】
(2).ロッキング機構・シンクロ機構
背もたれ4は後傾動し、また、座3は背もたれ4の後傾動に連動して後退しつつ後傾する。次に、このロッキング機構とシンクロ機構及びその周辺の構成を主として図5〜図9に基づいて説明する。図5のうち(A)は機構部の縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図、図6のうち(A)はベース2を中心にした機構部を上方から見た斜視図、(B)は機構部を下方から見た斜視図、図7は機構部の分離斜視図、図8は背フレーム19の取付け構造を示す斜視図、図9は機構部の分離斜視図である。
【0028】
本実施形態では、中間金具18の前部が第1軸26にてベース2の前部に後傾自在及び後退自在に連結され、背フレーム19か固定された傾動フレーム27かベース2の後部に第2軸28によって後傾可能に連結され、更に、中間金具18の後部が傾動フレーム27の前後中途部に第3軸29で回動可能に連結されており、これらの一種のリンク機構によって背もたれ4がロッキング(後傾)すると共に座3は背もたれ4の後傾動に連動して後退しつつ後傾するようになっており、かつ、背もたれ4のロッキングと座3のシンクロとが主としてロッキング用ばね30で弾性的に支持されている。以下、詳述する。
【0029】
例えば図7や図9に明示するように、ベース2は左右側板2aを備えた上向き開口の箱状に形成されており、その後部にインナーブラケット31を固着し、インナーブラケット31を介して脚支柱5の上端を固定している。ベース2における左右側板2aの前部には、第1軸26を軸支するための前向き開口の切り開き穴32が形成されている。
【0030】
中間金具18は平行に延びる左右の側枠33を備えている。側枠33は外向きの上フランジ33aを有する正面視略L字形に形成されており、その前部には丸パイプ製の第1軸26が溶接にて固着され、後部には丸パイプ製の第3軸14が溶接にて固着されている。座アウターシェル16の下面部に形成したガイド溝(図示せず)が側枠33の上フランジ33aにスライド自在に嵌まる。また、一方の側枠33の上フランジ33aには、座3の前後位置を段階的に調節するための切欠き溝34が形成されている。図7に示すように、中間金具18には左右両側からカバー35が装着される。
【0031】
図7から理解できるように、第1軸26のうちベース2の内部の部位には、左右のフロントブッシュ36と、左右フロントブッシュ36の間に挟まれた前部ばね受け37とが被嵌している。左右フロントブッシュ36と前部ばね受け37とは、側面視前向き開口コ字状で金属板製のフロント金具38の内部にきっちり嵌まっており、フロント金具38はベース2に溶接されている。第1軸26の左右中間部には横ずれ防止用のストッパー材39が固定されている。
【0032】
左右フロントブッシュ36は合成樹脂製であり、後ろ向きに開口した側面視U字状(二股状)に形成されており、前向き開口の空所に第1軸26が前後摺動自在に嵌まっている。フロントブッシュ36は、図示しないねじでフロント金具38に固定されている。前部ばね受け37は、第1軸26が嵌まるように後向き開口の側面視U字状に形成されており、左右フロントブッシュ36に挟まれて左右動不能で前後スライド可能に保持されている。
【0033】
ベース2におけるインナーブラケット31は、ベース2の底面と略直角を成す前壁を備えており、この前壁でばね受けスライダー40が左右動可能に支持されている。ばね受けスライダー40には後部ばね受け41が嵌まっており、ハンドル9を回転操作するとばね受けスライダー40が左右移動し、すると、くさび作用により、後部ばね受け41は前後移動する。これによってロッキング用ばね30の初期弾性力が変化する。
【0034】
傾動フレーム27は断面小判形の金属パイプ(鋼管)を使用しており、ベース2の左右両側に配置している。そして、左右傾動フレーム27の前端部には丸パイプ製の第2軸28が固着されている。図10から理解できるように、第2軸28は、上センターブッシュ42と下センターブッシュ43とで上下から挟まれており、かつ、上下センターブッシュ42,43はセンター金具44を介してベース2の下面に固定されている。上センターブッシュ42はベース2に対して左右動不能に嵌まっている。
【0035】
左右傾動フレーム27の間隔(軸心間の間隔)は、座3及び背もたれ4の左右横幅の半分よりも僅かに大きい程度の寸法になっている。ベース2の左右横幅は既述のとおり座3及び背もたれ4の横幅の1/3程度なので、傾動フレーム27とベース2との間にはある程度の寸法の間隔が空いている。
【0036】
図5(B)に示すように、第3軸29は、左右傾動フレーム27に架け渡すように配置されたブリッジ部材45に、上下一対ずつの合成樹脂製リアブッシュ46及びリア金具47にて連結されている。ブリッジ部材45は背フレーム19に溶接で固着されている。
【0037】
ベース2の後端と背フレーム19の下端との間には、背もたれ4を任意の後傾角度に保持できる背用ガスシリンダ48を配置している。背用ガスシリンダ48はベース2と背フレーム19とに相対回動可能に連結されている(背用ガスシリンダ48もロッキング及びシンクロの弾性的な支持に貢献している。)。このため、背フレーム19の下部の左右中間部には連結用突起部49が突設されており、また、左側の傾動フレーム27の後部には受け部材50が固着されており、この受け部材50には、背用ガスシリンダ48をロック状態とフリー状態とに切り替えるレバー(図示せず)が取付けられている。
【0038】
(3).背フレームの構造
次に、図8,9に加えて図10〜図12も参照して背フレーム19の構造を説明する。図10のうち(A)は背フレーム19と補強部材との分離斜視図、(B)は補強部材の前から見た斜視図、図11のうち(A)は背フレーム19と背インナーシェル20との分離斜視図、(B)をストッパー係合爪を下方から見た斜視図、(C)は上係合爪を下方から見た斜視図、(D)は下係合爪の斜視図、図12のうち(A)は上コーナー部の斜視図、(B)は下コーナー部の背面図、(C)は図10(A)の XIIC-XIIC視断面図、(D)は図10(A)の XIID-XIID視断面図、(E)は(B)のE−E視断面図、(F)は(B)のF−F視断面図で、(G)は(B)のG−G視断面図である。
【0039】
背フレーム19は、その側部を構成する上下長手の左右サイドメンバー52と、上部を構成する左右横長のアッパーメンバー53と、下部を構成する左右横長のロアメンバー54との3つの主要部材を備えており、かつ、左右の下コーナー部55には、それぞれ補強部材55が溶接によって固着されている。各メンバーはそれぞれ鋼板を材料にした板金加工によって製造されており、隣り合ったメンバーは溶接によって一体化している。
【0040】
各メンバー52,53,54は、いずれも前面板と側板とを有して後ろ向きに開口した断面略コ字状の溝型形状であり、このため、各メンバー52,53,54の前面は広巾面になっている。また、サイドメンバー52は、着座した人の腰部の高さ位置の箇所が最も前端となるように側面視で前向き凸状に緩い曲率で湾曲しており、他方、アッパーメンバー53とロアメンバー54は平面視で前向き凹状に緩く湾曲している。各メンバー52,53,54は既述のとおり溝型であるが、幅寸法よりも奥行き寸法は小さくなっている。
【0041】
例えば図8から理解できるように、サイドメンバー52の前面は平断面視で内側に行くに従って後退するように僅かの角度で傾斜しており、他方、アッパーメンバー53の前面は鉛直面に対して側面視でやや後傾し、ロアメンバー54の前面は鉛直面に対して側面視でやや前傾している。従って、各メンバー52,53,54は実際にはかなり複雑な形態になっている。背インナーシェル20は、背フレーム19の前面に重なるように側面視では前向き凸状に湾曲して平面視では前向き凹状に湾曲している。
【0042】
ロアメンバー54の前面板には左右の傾動フレーム27の後部27aが貫通しており、傾動フレーム27の後部27aはロアメンバー54に溶接によって固着されている。また、ロアメンバー54の左右両端には上向きの起立部54aが一体に形成されており、起立部54aにサイドメンバー52の下部を溶接している(従って、正確には、背フレーム19の左右側部の一部はロアメンバー54の起立部54aによっても構成されている。)。
【0043】
この場合、起立部54aの上半分程度を板厚分だけ左右内側と後ろ側とに段落ちした細幅部54bとなし、この細幅部54bにサイドメンバー52の下部を重ね合わせて、そして細幅部54bとサイドメンバー52とを溶接によって一体に固着している。
【0044】
そして、ロアメンバー54の水平部と起立部54a,54bで構成される下コーナー部55に内側から補強部材56を嵌め入れている。補強部材56は鋼板製でありロアメンバー54のうち傾動フレーム27よりも外側の部分と起立部54aとに重なるL形の形態であり、また、内外の側板55aを有していて前向き開口の樋状に形成されている。
【0045】
補強部材56の起立部はロアメンバー54の起立部54aに左右ずれ不能にきっちり嵌まっており、また、側板55aの起立部には、ロアメンバー54の起立部54aの細幅部54bに対応して切欠き部57を形成しており、このため、補強部材56の起立部54aはロアメンバー54における起立部54aの内底面にきっちり重なっている。
【0046】
補強部材56のうち水平部はロアメンバー54の水平部にきっちり重なっており、また、補強部材56の水平部の端面は傾動フレーム27の後端部27aに横から当たっている。そして、補強部材56とロアメンバー54の水平部及び起立部とが溶接によって固着されていると共に、補強部材56と傾動フレーム27の後端部が溶接によって固着されている。例えば図12(B)(E)に表示されているように、補強部材56の下面とロアメンバー54の下側面との間には若干の間隔の隙間58が空いている。
【0047】
背フレーム19には、図10に実線矢印A及び点線矢印Bで示すようにねじり力が作用することがあり、このねじり力は背フレーム19のうち下コーナー部55に集中的に作用する。しかるに、本願発明では、補強部材56の存在によって下コーナー部55の剛性が格段に向上するため、高い信頼性・耐久性を確保できる。
【0048】
ところで、ロアメンバー54とサイドメンバー52との接合方法としては、ロアメンバー54を単なる左右横長に形成して、例えば額縁のようにサイドメンバー52とロアメンバー54との端部を斜めにカットした状態で突き合わせて溶接することも可能であるが、この額縁構造では、背もたれ4に掛かった応力が溶接箇所に集中的に作用していわゆる溶接割れが生じ易くなる虞がある。
【0049】
これに対して本実施形態のように、1枚の素材板から成るロアメンバー54に起立部54aを一体に形成すると、起立部54aがロアメンバー54と一体に連続しているため強度が格段に高くなる。また、起立部54aに細幅部54bを設けると、ロアメンバー54とサイドメンバー52との外面は同一面を成すため体裁が良く、また、スポット溶接による固着も可能になる利点がある。
【0050】
起立部54aのうち細幅部54bの下方の部位には、背インナーシェル20の下部を取り付けるための下係合穴59が空いている。下係合穴59はその左右中間部に位置した下向きスリット部59aを備えていて略T字形になっている。
【0051】
下係合穴59を空けるとその箇所で強度が低下することになり、その場合、ロアメンバー54が単なる横長形態であると、下係合穴59に起因した強度低下と溶接割れとが複合して相当に強度が低下する虞があるが、本実施形態では、下係合穴59は起立部54aに形成されているため、当該下係合穴59を形成したことに起因した強度低下を著しく抑制できる利点がある。下係合穴59を空けたことによる強度低下はを補強部材56によってもカバーされており、この点も本実施形態の特徴の一つである。
【0052】
サイドメンバー52の上部には背インナーシェル20の上部を取り付けるための上係合穴60が空いている。上係合穴60も下向きスリット部60aを有して略T字形になっている。本実施形態の特徴の一つとして、図12(F)(G)に示すように、サイドメンバー52は、内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2より大きくしている(ロアメンバー54の起立部54a,54bも、内側板54′の高が外側板54″の高さより大きくなっている。)。
【0053】
もとより、内外側板52a,52bの高さH1,H2を同じに揃えたり、逆に、内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2よりも高くするといったことも可能であるが、本実施形態のように内側板52aを外側板52bよりも高くすると、背フレーム19が厚ぼったく見えることを防止して外観をすっきりさせることができる利点がある。
【0054】
アッパーメンバー53における前面板と下側板との左右両端面は、サイドメンバー52の内側板52aに当接しており、両メンバー53,52の当接箇所が溶接されている。また、図12(A)に明示するように、アッパーメンバー53の上側板の左右両端部は、サイドメンバー52の内側板52aの外側に突出した張り出し部53aになっており、この張り出し部53aに取付け穴61が形成されている。
【0055】
サイドメンバー52における前面板の上端面は、アッパーメンバー53の張り出し片53aの付け根に当たる部分がやや高いストッパー部52cになっており、このため、サイドメンバー52における前面板の上端面は段違い状に形成している。ストッパー部52cの存在により、アッパーメンバー53の前後方向の位置決めがワンタッチ的に行われる。
【0056】
(4).背インナーシェルの取付け構造
次に、従前の図に加えて図13〜図16も参照して背インナーシェル20の取付け構造を説明する。図13は背フレーム19と背インナーシェル20との分離斜視図、図14のうち(A)は背もたれ4の平断面図、(B)は(A)の部分的な拡大図、(C)は組立後における図13の XVC-XVC視断面図、(D)は組立後における図13の XVD-XVD視断面図、図15のうち(A)は背もたれ4の上部のみの図14の XVA-XVA視断面図かつ図13の組み立て状態での XVA-XVA視断面図、(B)は背もたれ4の下部のみの図14の XV-XV視断面図、(C)は背もたれの下部のみの図14の XVC-XVC視断面図である。
【0057】
背インナーシェル20の左右両端部の背面には、上端近くに配置された側面視鉤型のストッパー係合爪63と、その下方に配置された上係合爪64と、下端縁近くに配置された下係合爪65との3対の係合爪が形成されている。また、左右中間部にセンター係合爪66が下向きに突設されている。
【0058】
ストッパー係合爪63は側面視で鉤状に形態であり、背フレーム19におけるサイドメンバー52の前面板の上端縁に上方から嵌まっている。上係合爪64は基本的には側面視鉤状であるが、左右中間部には縦長の壁部64aが背インナーシェル20に連続した状態で一体に形成されている。そして、上係合爪64は、サイドメンバー52に形成された上係合穴60に前方から嵌まって下方にスライドさせるようになっており、図14(C)に示すように、鉤状の部分が上係合爪64の広巾部に嵌合することで背インナーシェル20を前向き移動不能に保持すると共に、壁部64aが上係合穴60の下向きスリット60aに嵌まり込むことで背インナーシェル20を左右動不能に保持している。
【0059】
下係合爪65は平面視T型に形成されており、下係合穴59に前方から嵌め入れてスライドさせ、図14(D)に示すように、下係合穴59の下向きスリット部59aに落し込ませるようになっている。このため、背インナーシェル20は下係合爪65によって左右動ずれ不能及び前向き移動不能に保持されている。また、図15(B)に示すように、背もたれ4に人の体圧が掛かっていない状態で、下係合爪65は下係合穴59の下向きスリット部59aの上部に位置している。
【0060】
そして、背もたれ4に人の体圧が掛かると背インナーシェル20は扁平な状態に向けて伸びるように変形するが、下係合爪65が下向きスリット部59aに嵌まった状態で下向きにスライドすることにより、背インナーシェル20が容易に変形することが許容されており、その結果、快適なクッション性を確保することができる。
【0061】
センター係合爪66は背インナーシェル20の下部が過度に前向き動しないように保持する補助的なものであり、下端部は前向き凹状に凹んだ凹み部66aになっており、この凹み部66aを、図15(C)に示すように、背用ガスシリンダ48の上連結軸67の後ろ側に位置させている。なお、上連結軸67はブラケット68に取付けられており、ブラケット67は、ロアメンバー54に設けた軸支用突起部49にビスで固定されている。
【0062】
(5).裏カバーの取付け構造
次に、裏カバー21の取付け構造を従前の図に加えて図16及び図17も参照して説明する。図16は背フレーム19と裏カバー21との分離斜視図、図17のうち(A)は背フレーム19の上部のうち左右中間部の縦断側面図、(B)は図14の下部の XVIIB-XVIIB視断面図である。
【0063】
裏カバー21は背フレーム19と相似形の四角枠状に形成されており、背フレーム19の各メンバーに対応してサイド部21a、上部21b,下部21cとで略矩形に形成されている。サイド部21aと上部21bとはそれぞれ背フレーム19を内外から覆う内側板21a′,21b′と外側板21a″,21b″とを備えており、他方、下部21cは内側板21c′は備えているが外側板は備えていない。これは、通常の使用状態で背フレーム19におけるロアメンバー54の下面は人目に触れないからである(もちろん、下外側板を設けることは可能である。)。
【0064】
図14(B)〜(D)や図15(C)に示すように、裏カバー21の背面部(或いは基板)は外側板21d,21eの外側と内側板21a〜21cの内側とに若干はみ出している(はみ出し部を符号21′,21″で示している。)。これはシャープ感を演出するために主としデザイン面から造形したものである。単なるコ字状に形成することも可能である。
【0065】
裏カバー21を背フレーム19に固定する手段としては、上部21bの外側板21b″の左右両端部を背フレーム19にアッパーメンバー53にビス69で固定すること、サイド部21bの内側板21a″をビス69でサイドメンバー52の内面に締結すること、下部21cに前向き突設したブラケット片70をロアメンバー54の下面にビス69で締結すること、を採用している。
【0066】
なお、ビス69としてタッピンねじを使用すると能率的である。ビス69を使用した取付け方法に代えて、弾性変形する係合爪を利用したスナップ方式(或いはキャッチ方式)を採用することも可能である。或いは、係合爪とビスとを併用することも可能である。
【0067】
裏カバー21の上部21bの外側板21b″を背フレーム19のアッパーメンバー53にビス69で締結すると、ビス69の頭が上方に露出する。ビス69の頭が露出することを防止するには、裏カバー21の上部21bを上方から化粧カバーで覆ったり、裏カバー21における上部21bの内側板21b″をアッパーメンバー53の下面にビスで締結したりしたら良い。更に、裏カバー21を背フレーム19にしっかりと位置決めしたい場合は、裏カバー21に、背フレーム19の内部に入り込む位置決め片を一体に形成したら良い。
【0068】
既述のとおり裏カバー21における上部21bの外側板21b″は背フレーム19のアッパーメンバー53にビス69で固定されているが、本実施形態の特徴として、図15(A)から理解できるように、裏カバー21の上部21bの外側板21b″が背インナーシェル20におけるストッパー係合爪63の上方に位置するように設定している。
【0069】
これにより、裏カバー21の上外側板21b″が背インナーシェル20の上向き移動を阻止するストッパーの役割を果たしており、その結果、背インナーシェル20は単に係合爪63,64,65を背フレーム19に嵌め入れただけであるのに離脱不能に保持されている。すなわち、簡単に組立できるにも拘わらず背インナーシェル20を抜け不能に保持できる。
【0070】
図17(A)に示すように、背フレーム19におけるアッパーメンバー53の上下側板53a,53bは略水平姿勢になっており、裏カバー21の上部の側板21b′,21b″も略水平姿勢になっている。他方、図17(B)に示すように、背フレーム19におけるロアメンバー54の上面は前傾姿勢であるのに対して、裏カバー21における下部21cの内側板21c′は略水平姿勢になっている。これは、主として裏カバー21を射出成形法で製造するに際しての型抜きの容易性に起因したものである。
【0071】
(6).まとめ
本実施形態において、左右の傾動フレーム27と背フレーム19とはそれぞれ別々に製造されてから、溶接によって組み立てられている。また、背フレーム19も3つのメンバー52〜54で構成されていて各メンバー52〜54はそれぞれ個別に製造されてから溶接によって一体化している。
【0072】
従って、背フレーム19は全体として三次元的に曲がった複雑な形状でかつ係合穴59,60等が存在しているが、各メンバー52〜54は帯板を素材として型(例えば雄型と雌型)を使用したプレス加工によって容易に加工することができる。また、傾動フレーム27は背フレーム19の制約を受けることなく設計及び加工することができる。従って、あまり目立たないようになるべく内側に配置したり、或いは肘掛け装置5の取付けに利用することを容易に実現できるのである。
【0073】
また、本実施形態では背フレーム19の下コーナー部55に補強部材56を配置したことにより、既述のとおり背フレーム19を堅牢な構造にすることができる。補強部材56は厚板を使用することも可能であるが、本実施形態のように前向きに開口した形態のものを採用すると、下係合穴59に対する下係合爪65の係脱作用を阻害することなく背フレーム19を補強できる利点がある。
【0074】
本実施形態では、図15(A)や図14に示すように、背インナーシェル20と背フレーム19との間には隙間が空いている。特に、例えば図1(A)に明示するように(図16(A)と図17(A)との比較からも容易に推測できる)、アッパーメンバー53とロアメンバー54とはその中間部において背インナーシェル20との隙間が大きくなるように設定されている。
【0075】
このため、背インナーシェル20が人の体圧によって後ろ向き凸状に凹むように逃げ変形することが許容されており、その結果、ロッキングに際しての高いフィット性とクッション性とが確保される。なお、背フレーム19のアッパーメンバー53及び裏カバー21の上部と背インナーシェル20との間の隙間間隔は、左右中間部において人が指を差し込みできる程度の寸法に設定できる。この隙間に設定しておくと、人が裏カバー21の上部21b及び背フレーム19のアッパーメンバー53を掴んで押し引きすることができる。
【0076】
裏カバー21は背インナーシェル20の全体を覆うように構成することも可能であるが、本実施形態のように背フレーム19と相似形の四角枠状に構成すると、全体的にスッキリしていた体裁が良い利点がある。特に、本実施形態のようにサイドメンバー52の内側板52aの高さH1を外側板52bの高さH2よりも低くしてこれに裏カバー21を重ねると、背もたれ4は裏側から見た状態でスッキリ感が際立って好適である。
【0077】
つまり、H1とH2とを上記の関係にすると、図14(B)から理解できるように、裏カバー21と背インナーシェル20との間隔H3は背もたれ4の側端が最も低くなり、すると、背もたれ4の全体としては左右両側部の前後幅寸法ができるだけ薄くなり、このため、背インナーシェル20と背フレーム19とを前後に重ね合わせたことに起因して背もたれ4が全体的に厚ぼったく見えることを防止又は著しく抑制でき、その結果、デザイン的にスッキリさせて美観を向上できるのである。
【0078】
本実施形態の背フレーム19は、ロアメンバー34の上下幅寸法よりもサイドメンバー32の左右幅寸法及びアッパーメンバー33の上下幅寸法が小さくなっている。このため、全体としてスマートな感じになっており、かつ、補強部材56を設けたことによってねじりに対する強度も確保されている。この点も本実施形態の利点の一つである。
【0079】
本実施形態のように、背インナーシェル20の上係合爪64に壁部64aを形成すると、上係合爪64が単なる鉤状である場合に比べて剛性が格段に向上するため、高い耐性を確保できる利点がある。背インナーシェル20の取付け方法としては、背インナーシェル20の左右両側部に、その上下中途高さ部位に位置した中間係合爪を設けて、これをサイドメンバー52に形成した中間係合穴に嵌め込むといったことも可能である。
【0080】
(7).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えばロッキング機構は実施形態のような一種のリンク機構を使用したものに限定されず、ばね手段に抗して背もたれが後傾するもの全てが包含される。また、背もたれのみが後傾して座は後退及び後傾しないタイプにも適用できる。
【0081】
背フレームは正面視でおおむね四角形であれば良く、従って、台形又は逆台形であっても良い。背フレームは例えば1枚の鋼板を材料にしてプレス加工で一体物に加工することも可能である。傾動フレームは単一構造体とすることも可能である。また、背フレームの各構成メンバーのうち全部又は一部を角パイプやC形チャンネル材で構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(A)は本願発明の実施形態に係る椅子を前方から見た斜視図、(B)は背もたれの概略平面図である。
【図2】(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】座を中心にした箇所の分離斜視図である。
【図4】(A)は後方からの斜視図、(B)は裏カバーを分離した状態での後方からの分離斜視図、(C)は背インナーシェルの斜視図である。
【図5】(A)は縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図6】(A)はベースを中心にした機構部を上方から見た斜視図、(B)は機構部を下方から見た斜視図である。
【図7】機構部の分離斜視図である。
【図8】背フレームの取付け構造を示す斜視図である。
【図9】機構部の分離斜視図である。
【図10】(A)は背フレームと補強部材との分離斜視図、(B)は補強部材を前から見た斜視図である。
【図11】(A)は背フレームと背インナーシェルとの分離斜視図、(B)は上係合爪の斜視図である。
【図12】背フレームの構造を示す図である。
【図13】背フレームと背インナーシェルとの分離斜視図である。
【図14】(A)は背もたれの平断面図、(B)は(A)の部分的な拡大図、(C)(D)は組立後における図13(A)の XIVC-XIVC視断面図、 XIVD-XIVD視断面図である。
【図15】(A)は背もたれの上部のみの図14の XVA-XVA視断面図でかつ図13の組み立て状態での XVA-XVA視断面図、(B)は背もたれの下部のみの図14の XV-XV視断面図、(C)は背もたれの下部のみの図14の XVC-XVC視断面図である。
【図16】背フレームと裏カバーとの分離斜視図である。
【図17】(A)は背フレームの左右中間部でかつ上部の縦断側面図、(B)は図14の下部の XVIIB-XVIIB視断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 脚装置
2 ベース
3 座
4 背もたれ
19 背フレーム
20 背板の一例としての樹脂製の背インナーシェル
21 裏カバー
22 背のクッション
27 傾動フレーム
30 ロッキング用ばね
52 背フレームのサイドメンバー
53 背フレームのアッパーメンバー
54 背フレームのロアメンバー
55 背フレームの下コーナー部
56 補強部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚の上端に固定したベースと、前記ベースの上方に配置された座と、前記座の後方に配置された背板とを備えており、前記ベースには、当該ベースの後方に伸びる金属製の傾動フレームが後傾動自在に連結されており、前記傾動フレームの後傾動がばね手段で弾性的に支持されている、
という構成において、
前記背板は、上下長手の左右サイドメンバーと左右横長のアッパーメンバー及びロアメンバーとで正面視略四角形に形成された金属製の背フレームに取付けられており、前記背フレームのロアメンバーを前記傾動フレームの後端に溶接によって固着している、
ロッキング椅子。
【請求項2】
前記ベースの横幅は座の左右横幅よりも遥かに小さい寸法であり、前記ベースの左右外側に鋼管製の傾動フレームが1本ずつ配置されている一方、前記背フレームを構成する各メンバーは鋼板製で後ろ向きに開口した溝型形状であり、前記背フレームのサイドメンバーは着座した人の腰に位置する部分が最も前端となるように側面視で前向き凸状に湾曲しており、前記アッパーメンバーとロアメンバーとは平面視で前向き凹状に湾曲しており、
更に、前記背板は前面にクッションが張られた樹脂製の背インナーシェルであり、この背インナーシェルの左右側部を前記背フレームの左右サイドメンバーに直接に取付けている、
請求項1に記載したロッキング椅子。
【請求項3】
前記背フレームは、当該背フレームの各メンバーに対応した左右側部と上部と下部とを有する背面視略四角形の裏カバーで裏側から覆われている、
請求項1又は2に記載したロッキング椅子。
【請求項1】
脚の上端に固定したベースと、前記ベースの上方に配置された座と、前記座の後方に配置された背板とを備えており、前記ベースには、当該ベースの後方に伸びる金属製の傾動フレームが後傾動自在に連結されており、前記傾動フレームの後傾動がばね手段で弾性的に支持されている、
という構成において、
前記背板は、上下長手の左右サイドメンバーと左右横長のアッパーメンバー及びロアメンバーとで正面視略四角形に形成された金属製の背フレームに取付けられており、前記背フレームのロアメンバーを前記傾動フレームの後端に溶接によって固着している、
ロッキング椅子。
【請求項2】
前記ベースの横幅は座の左右横幅よりも遥かに小さい寸法であり、前記ベースの左右外側に鋼管製の傾動フレームが1本ずつ配置されている一方、前記背フレームを構成する各メンバーは鋼板製で後ろ向きに開口した溝型形状であり、前記背フレームのサイドメンバーは着座した人の腰に位置する部分が最も前端となるように側面視で前向き凸状に湾曲しており、前記アッパーメンバーとロアメンバーとは平面視で前向き凹状に湾曲しており、
更に、前記背板は前面にクッションが張られた樹脂製の背インナーシェルであり、この背インナーシェルの左右側部を前記背フレームの左右サイドメンバーに直接に取付けている、
請求項1に記載したロッキング椅子。
【請求項3】
前記背フレームは、当該背フレームの各メンバーに対応した左右側部と上部と下部とを有する背面視略四角形の裏カバーで裏側から覆われている、
請求項1又は2に記載したロッキング椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−302082(P2008−302082A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153001(P2007−153001)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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